以下、本発明の第1実施形態を説明する。本発明は、非接地配電方式だけでなく、接地配電方式で非接地状態にした回路構成にも適用できるが、以下の説明では、非接地配電方式に適用した場合について説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係る絶縁監視装置を適用した非接地配電方式の電路の一例を示す系統図である。非接地配電方式の電路は変圧器11で降圧された電圧が配電母線12に供給される。配電母線12は変圧器11の二次側直近の直近配電母線12aと、直近配電母線12aから分岐した分岐配電母線12bからなる。変圧器11には図示省略の混触防止板が設けられている。この混触防止板により変圧器の一次側コイル(高圧コイル)と二次側コイル(低圧側コイル)との絶縁が破れても二次側(低圧側)に一次側の高電圧が侵入しないよう保護する。これにより、非接地配電方式を構成している。
変圧器11の二次側電路の直近配電母線12aから分岐した分岐配電母線12bから複数のフィーダ13a〜13nが引き出され分岐配電母線12bから各々のフィーダ13a〜13nに電圧が供給される。また、各々のフィーダ13a〜13nは複数の分岐回路を有する。二次側電路の分岐点には開閉器14が設けられている。開閉器14は常時は閉じており、開閉器14の下流側(負荷側)の点検の際に開放される。
本発明の第1実施形態に係る絶縁監視装置は、各々の分岐回路の分岐点の下流側、つまり、各々の開閉器14の上流側(変圧器側)に、それぞれ設けられた電流検出器15と、活線状態で変圧器11の二次側電路に探査電流を供給する直流電流供給部16と、絶縁劣化の箇所を特定する絶縁状態評価部17とからなる。
第1実施形態に係る絶縁監視装置の直流電流供給部16は変圧器11の二次側電路の分岐配電母線12bから引き出されたフィーダ13a〜13nのいずれかの箇所に接続される。図1では、直流電流供給部16をフィーダ13nの分岐回路の末端に接続した場合を示している。
直流電流供給部16は、活線状態で変圧器11の二次側電路に直流の探査電流Isを供給するものであり、直流電源18とスイッチ19と抵抗R0とからなり、抵抗R0を介して接地点Aに接地されている。直流電流供給部16のスイッチ19がオンすると、直流電源18が抵抗R0を介して接地点Aに接続される。直流電流供給部16のスイッチ19は常時はオンした状態である。探査電流Isは変圧器11の二次側電路に絶縁劣化があったときに流れる直流電流であり、絶縁劣化の箇所がない場合は探査電流Isは零である。
通常、各々のフィーダ13a〜13nの分岐回路の末端あるいは分岐回路の途中には、負荷接続端末部として予備回路(空き回路)が用意されている。予備回路は負荷を追加して増設できるようにしたものであり、負荷の接続が容易に行えるように接続端子が設けられている。そこで、本発明の第1実施形態では、フィーダ13nの予備回路の接続端子に絶縁監視装置の直流電流供給部16を接続する。これにより、容易に絶縁監視装置の直流電流供給部16を変圧器11の二次側電路に接続できる。なお、直流電流供給部16を接続するための接続端子を分岐回路の途中に設けるようにしてもよい。
電流検出器15は、各々の開閉器14の上流側(分岐回路の分岐点の下流側)にそれぞれ設けられ、直流電流供給部16から供給された探査電流Isを検出する。例えば、フィーダ13aには開閉器14a1〜14a11の上流側に電流検出器15a1〜15a11が設けられ、フィーダ13dには開閉器14d1〜14d4の上流側に電流検出器15d1〜15d4が設けられ、フィーダ13nには開閉器14n1〜14n11の上流側に電流検出器15n1〜15n11が設けられている。
その他のフィーダ13にも、同様に開閉器14及び電流検出器15が設けられるが、図1では、開閉器14b1、14c1、14e1及び電流検出器15b1、15c1、15e1を図示し、それ以外の開閉器14及び電流検出器15の図示は省略している。電流検出器15は、感度の良い計測器{例えば、マルチ計測器株式会社製のクランプ式の計測器でAC/DCクランプリーカ(M700、M730)}を用いる。
なお、電流検出器15は、すべての開閉器14に対応して、その上流側にそれぞれ設けてもよいが、必ずしもすべての開閉器14の上流側に設ける必要はない。負荷や分岐回路の重要度に応じて分岐回路の分岐点の下流側に設ければよい。
絶縁状態評価部17は、各々の電流検出器15で検出された探査電流Isの検出値を入力する。各々の電流検出器15の検出値は図示省略の信号線により絶縁状態評価部17に入力される。また、無線通信により絶縁状態評価部17に入力されるようにしてもよい。絶縁状態評価部17は、電流検出器15で探査電流Isが検出されると、予め定めた所定値より大きい探査電流Isを検出した電流検出器15の情報を外部に出力し、また、それらの電流検出器15の配置関係及び直流電流供給部16のフィーダへの接続箇所から絶縁劣化の箇所を特定する。また、必要に応じて電流検出器15が検出した探査電流Isの大きさに基づいて絶縁抵抗Rを求め、求めた絶縁抵抗Rの大きさにより絶縁状態を評価する。
絶縁状態評価部17で得られた絶縁抵抗の評価結果や絶縁劣化の箇所の情報は、記憶装置に記憶するようにしてもよいし、必要に応じて、警報装置、表示装置、印刷装置、通信装置などの出力装置に出力するようにしてもよい。
図2は、図1に示した電路の系統図を簡略化した系統図であり、フィーダ13は5本のフィーダ13a〜13eの場合を示しており、各々のフィーダ13a〜13eの分岐点での分岐回路の図示を省略している。電流検出器15は分岐点の下流側に設けられるので、実際には、各々の電流検出器の上流側で分岐回路が分岐しているが、その分岐回路の図示を省略している。また、開閉器14の図示も省略している。さらに、直流電流供給部16はフィーダ13eの電流検出器15e2と電流検出器15e3との間に接続した場合を示している。以下、図2に示す簡略化した系統図に基づいて説明する。
図3は、図2に示した電路の直流電流供給部16を接続したフィーダ13eの直流電流供給部16の接続箇所の上流側で絶縁劣化があった場合の本発明の第1実施形態の実施例1に係る絶縁監視装置の動作説明図である。いま、直流電流供給部16を接続したフィーダ13eの絶縁劣化点F1で絶縁抵抗R1の絶縁劣化があったとする。そうすると、直流電流供給部16のスイッチ19はオンした状態であるので、直流電流供給部16の直流電源18、接地点A、絶縁劣化点F1、フィーダ13e、直流電流供給部16の直流電源18の閉回路(以下、F1閉回路という)が形成され、図3中の矢印で示す方向に、直流電流供給部16の直流電源18から探査電流Is1が流れる。この探査電流Is1はフィーダ13eの電流検出器15e2で検出される。
絶縁状態評価部17は、フィーダ13eの電流検出器15e2で探査電流Is1が検出されると、電流検出器15e2で検出された探査電流Is1が予め定めた所定値より大きいか否かを判定し、予め定めた所定値より大きいときは、その情報を外部に出力する。これにより、作業員は絶縁劣化の箇所が特定できる。
また、絶縁状態評価部17は、直流電流供給部16のフィーダ13eへの接続箇所、及び電流検出器15e2の配置関係から絶縁劣化の箇所を特定する。すなわち、絶縁状態評価部17は、予め定めた所定値より大きい探査電流を検出した電流検出器15e2が直流電流供給部16のフィーダ13eへの接続箇所より上流か否かを判定する。予め定めた所定値より大きい探査電流を検出した電流検出器15e2は、直流電流供給部16のフィーダ13eへの接続箇所より上流側であるので、その電流検出器15e2より上流側で絶縁劣化の箇所が有ると判定する。
これは、電流検出器15e2より上流側の電流検出器15e1は探査電流Is1を検出しておらず、直流電流供給部16のフィーダ13eへの接続箇所はフィーダ13eの電流検出器15e2の上流側であるので、探査電流Is1を検出していない電流検出器15e1と探査電流Is1を検出している15e2との間で絶縁劣化の箇所が有ると判定できるからである。
さらに、絶縁状態評価部17は、F1閉回路の探査電流Is1の大きさに基づいて絶縁劣化点F1の絶縁抵抗R1を求め評価する。F1閉回路においては、電流検出器15e2で検出された探査電流Is1の大きさに基づいて絶縁抵抗R1を演算する。
直流電流供給部16の直流電源18の電圧をEとすると、下記(1)式が成り立ち、(1)式から絶縁抵抗R1を求めると、絶縁抵抗R1は(2)式で示される。
Is1=E/(R0+R1) …(1)
R1=(E/Is1)−R0 …(2)
直流電源18の電圧E、直流電流供給部16の抵抗R0は既知であり、探査電流Is1はフィーダ13eの電流検出器15e2で検出された値であるので、(2)式から絶縁抵抗R1を求めることができる。絶縁状態評価部17は、求めた絶縁抵抗R1の大きさにより絶縁状態を評価する。
このように、予め定めた所定値より大きい探査電流Isを検出した電流検出器15が直流電流供給部16を接続したフィーダ13の電流検出器15のみであり、直流電流供給部16の接続箇所より変圧器側から見て上流側の電流検出器15であるときは、変圧器側から見て探査電流Isの流れる最も上流側の電流検出器15より上流側で絶縁劣化の箇所が有ると判定する。図3のF1点で絶縁劣化があった場合には、探査電流Is1の流れる最も上流側の電流検出器15e2より上流の箇所で絶縁劣化が発生したと判定する。
図4は、図2に示した電路の直流電流供給部16を接続したフィーダ13eの直流電流供給部16の接続箇所の下流側で絶縁劣化があった場合の本発明の第1実施形態の実施例2に係る絶縁監視装置の動作説明図である。いま、直流電流供給部16を接続したフィーダ13eの絶縁劣化点F2で絶縁抵抗R2の絶縁劣化があったとする。そうすると、直流電流供給部16のスイッチ19はオンした状態であるので、直流電流供給部16の直流電源18、接地点A、絶縁劣化点F2、フィーダ13e、直流電流供給部16の直流電源18の閉回路(以下、F2閉回路という)が形成され、図4中の矢印で示す方向に、直流電流供給部16の直流電源18から探査電流Is2が流れる。この探査電流Is2はフィーダ13eの電流検出器15e3で検出される。
絶縁状態評価部17は、フィーダ13eの電流検出器15e3で探査電流Is2が検出されると、電流検出器15e3で検出された探査電流Is2が予め定めた所定値より大きいか否かを判定し、予め定めた所定値より大きいときは、その情報を外部に出力する。これにより、作業員は絶縁劣化の箇所が特定できる。
また、絶縁状態評価部17は、直流電流供給部16のフィーダ13eへの接続箇所、及び電流検出器15e3の配置関係から絶縁劣化の箇所を特定する。すなわち、絶縁状態評価部17は、予め定めた所定値より大きい探査電流を検出した電流検出器15e3が直流電流供給部16のフィーダ13eへの接続箇所より上流か否かを判定する。予め定めた所定値より大きい探査電流を検出した電流検出器15e3は、直流電流供給部16のフィーダ13eへの接続箇所より下流側であるので、その電流検出器15e3より下流側で絶縁劣化の箇所が有ると判定する。
これは、電流検出器15e3より下流側の電流検出器15e4は探査電流Is2を検出しておらず、直流電流供給部16のフィーダ13eへの接続箇所はフィーダ13eの電流検出器15e3の下流側であるので、探査電流Is2を検出していない電流検出器15e4と探査電流Is2を検出している15e3との間で絶縁劣化の箇所が有ると判定できるからである。
さらに、絶縁状態評価部17は、F2閉回路の探査電流Is2の大きさに基づいて絶縁劣化点F2の絶縁抵抗R2を求め評価する。前述の(1)式、(2)式を用いて、(1)式のIs1をIs2に、R1をR2に置き換えて、絶縁抵抗R2を求め、求めた絶縁抵抗R2の大きさにより絶縁状態を評価する。
このように、予め定めた所定値より大きい探査電流Isを検出した電流検出器15が直流電流供給部16を接続したフィーダ13の電流検出器15のみであり、直流電流供給部16の接続箇所より変圧器側から見て下流側の電流検出器15であるときは、変圧器側から見て探査電流Isの流れる最も下流側の電流検出器15より下流側で絶縁劣化の箇所が有ると判定する。
図5は、図2に示した電路の直流電流供給部16を接続したフィーダ13eの直流電流供給部16の接続箇所を挟んで上流及び下流の2箇所で絶縁劣化があった場合の本発明の第1実施形態の実施例3に係る絶縁監視装置の動作説明図である。いま、直流電流供給部16を接続したフィーダ13eの上流側の絶縁劣化点F3で絶縁抵抗R3の絶縁劣化があり、下流側の絶縁劣化点F4でも絶縁抵抗R4の絶縁劣化があったとする。
そうすると、直流電流供給部16のスイッチ19はオンした状態であるので、直流電流供給部16の直流電源18、接地点A、絶縁劣化点F3、フィーダ13e、直流電流供給部16の直流電源18の閉回路(以下、F3閉回路という)が形成され、図5中の矢印で示す方向に、直流電流供給部16の直流電源18から探査電流Is3が流れる。この探査電流Is3はフィーダ13eの電流検出器15e2で検出される。
同様に、直流電流供給部16の直流電源18、接地点A、絶縁劣化点F4、フィーダ13e、直流電流供給部16の直流電源18の閉回路(以下、F4閉回路という)が形成され、図5中の矢印で示す方向に、直流電流供給部16の直流電源18から探査電流Is4が流れる。この探査電流Is4はフィーダ13eの電流検出器15e3で検出される。
絶縁状態評価部17は、フィーダ13eの電流検出器15e2で探査電流Is3が検出されると、電流検出器15e2で検出された探査電流Is3が予め定めた所定値より大きいか否かを判定し、予め定めた所定値より大きいときは、その情報を外部に出力する。同様に、フィーダ13eの電流検出器15e3で探査電流Is4が検出されると、電流検出器15e3で検出された探査電流Is4が予め定めた所定値より大きいか否かを判定し、予め定めた所定値より大きいときは、その情報を外部に出力する。これにより、作業員は絶縁劣化の箇所が特定できる。
また、絶縁状態評価部17は、直流電流供給部16のフィーダ13eへの接続箇所、及び電流検出器15e2、15e3の配置関係から絶縁劣化の箇所を特定する。すなわち、絶縁状態評価部17は、予め定めた所定値より大きい探査電流を検出した電流検出器15e2、15e3が直流電流供給部16のフィーダ13eへの接続箇所より上流か否かを判定する。予め定めた所定値より大きい探査電流を検出した電流検出器15e2は、直流電流供給部16のフィーダ13eへの接続箇所より上流側であるので、図3に示した実施例1の場合と同様に、その電流検出器15e2より上流側で絶縁劣化の箇所が有ると判定する。また、予め定めた所定値より大きい探査電流を検出した電流検出器15e3は、直流電流供給部16のフィーダ13eへの接続箇所より下流側であるので、図4に示した実施例2の場合と同様に、その電流検出器15e3より下流側で絶縁劣化の箇所が有ると判定する。これにより、直流電流供給部16の接続箇所より変圧器側から見て上流側及び下流側の双方で絶縁劣化があった場合も絶縁劣化の箇所を判定できる。
さらに、絶縁状態評価部17は、F3閉回路の探査電流Is3の大きさに基づいて絶縁劣化点F3の絶縁抵抗R3を求め評価する。前述の(1)式、(2)式を用いて、(1)式のIs1をIs3に、R1をR3に置き換えて、絶縁抵抗R3を求め、求めた絶縁抵抗R3の大きさにより絶縁状態を評価する。同様に、F4閉回路の探査電流Is4の大きさに基づいて絶縁劣化点F4の絶縁抵抗R4を求め評価する。前述の(1)式、(2)式を用いて、(1)式のIs1をIs4に、R1をR4に置き換えて、絶縁抵抗R4を求め、求めた絶縁抵抗R4の大きさにより絶縁状態を評価する。
このように、予め定めた所定値より大きい探査電流Isを検出した電流検出器15が直流電流供給部16を接続したフィーダ13の電流検出器15のみであり、直流電流供給部16の接続箇所より変圧器側から見て上流側及び下流側の電流検出器15の双方であるときは、変圧器側から見て探査電流Isの流れる最も上流側の電流検出器15より上流側、及び変圧器側から見て探査電流Isの流れる最も下流側の電流検出器15より下流側の双方で絶縁劣化の箇所が有ると判定する。
図6は、図2に示した電路の直流電流供給部16を接続したフィーダ13eの分岐回路で絶縁劣化があった場合の本発明の第1実施形態の実施例4に係る絶縁監視装置の動作説明図である。いま、直流電流供給部16を接続したフィーダ13eの電流検出器15e1、15e2との間から分岐した分岐回路の絶縁劣化点F5で絶縁抵抗R5の絶縁劣化があったとする。
そうすると、直流電流供給部16のスイッチ19はオンした状態であるので、直流電流供給部16の直流電源18、接地点A、絶縁劣化点F5、フィーダ13eの分岐回路13e1、フィーダ13e、直流電流供給部16の直流電源18の閉回路(以下、F5閉回路という)が形成され、図6中の矢印で示す方向に、直流電流供給部16の直流電源18から探査電流Is5が流れる。この探査電流Is5はフィーダ13eの分岐回路13e1の電流検出器15e7、15e6、15e5、フィーダ13eの電流検出器15e2で検出される。
絶縁状態評価部17は、フィーダ13eの分岐回路13e1の電流検出器15e7、15e6、15e5、フィーダ13eの電流検出器15e2で探査電流Is5が検出されると、これら電流検出器15で検出された探査電流Is5が予め定めた所定値より大きいか否かを判定し、予め定めた所定値より大きいときは、その情報を外部に出力する。これにより、作業員は絶縁劣化の箇所が特定できる。
また、絶縁状態評価部17は、直流電流供給部16のフィーダ13eへの接続箇所、及び予め定めた所定値より大きい探査電流を検出した電流検出器15の配置関係から絶縁劣化の箇所を特定する。すなわち、絶縁状態評価部17は、予め定めた所定値より大きい探査電流を検出した電流検出器15のうち、直流電流供給部16のフィーダ13eへの接続箇所より上流側か否かを判定する。
電流検出器15e2は、直流電流供給部16のフィーダ13eへの接続箇所より上流側であり、フィーダ13eの分岐回路13e1の電流検出器15e7、15e6、15e5は、変圧器側から見て直流電流供給部16のフィーダ13eへの接続箇所より上流側とは言えない。
そこで、絶縁状態評価部17は、直流電流供給部16のフィーダ13eへの接続箇所より上流側の電流検出器15e2より上流側で分岐した分岐回路13e1に絶縁劣化の箇所があると判定する。そして、図4に示した実施例2の場合と同様に、その分岐回路13e1の予め定めた所定値より大きい探査電流Isを検出した電流検出器15e7、15e6、15e5のうち、下流側の電流検出器15e7より下流側で絶縁劣化の箇所が有ると判定する。
これは、直流電流供給部16のフィーダ13eへの接続箇所より上流側の電流検出器15e2は、それより上流側で分岐した分岐回路13e1の絶縁劣化点F5の影響により、探査電流Is5を検出したものであるからである。
さらに、絶縁状態評価部17は、F5閉回路の探査電流Is5の大きさに基づいて絶縁劣化点F5の絶縁抵抗R5を求め評価する。前述の(1)式、(2)式を用いて、(1)式のIs1をIs5に、R1をR5に置き換えて、絶縁抵抗R5を求め、求めた絶縁抵抗R5の大きさにより絶縁状態を評価する。
このように、予め定めた所定値より大きい探査電流Isを検出した電流検出器15が直流電流供給部16を接続したフィーダ13の電流検出器15のみであり、直流電流供給部16の接続箇所より変圧器側から見て上流側の電流検出器15及び分岐回路の電流検出器15であるときは、分岐回路の変圧器側から見て探査電流Isの流れる最も下流側の電流検出器15より下流側で絶縁劣化の箇所が有ると判定する。なお、直流電流供給部16の接続箇所より変圧器側から見て上流側の電流検出器15が予め定めた所定値より大きい探査電流Isを検出していないときは、図4に示した実施例2の場合と同様に、予め定めた所定値より大きい探査電流を検出した電流検出器15のうち、下流側の電流検出器15より下流側で絶縁劣化の箇所が有ると判定する。
図7は、図2に示した電路の直流電流供給部16を接続していない1つのフィーダ13aで絶縁劣化があった場合の第1実施形態の実施例5に係る絶縁監視装置の動作説明図である。いま、直流電流供給部16を接続していない1つのフィーダ13aの分岐回路のF6点で絶縁抵抗R6の絶縁劣化があったとする。そうすると、直流電流供給部16の直流電源18、接地点A、絶縁劣化点F6、フィーダ13a、分岐配電母線12b、フィーダ13e、直流電流供給部16の直流電源18の閉回路(F6閉回路)が形成され、図7中の矢印で示す方向に、直流電流供給部16の直流電源18から探査電流Is6が流れる。この探査電流Is6はフィーダ13aの電流検出器15a3、15a2、15a1、フィーダ13eの電流検出器15e1、15e2で検出される。
絶縁状態評価部17は、フィーダ13aの電流検出器15a3、15a2、15a1、フィーダ13eの電流検出器15e1、15e2で探査電流Is6が検出されると、これら電流検出器15a3、15a2、15a1、15e1、15e2で検出された探査電流Is6が予め定めた所定値より大きいか否かを判定し、予め定めた所定値より大きいときは、その情報を外部に出力する。これにより、作業員は絶縁劣化の箇所が特定できる。
また、絶縁状態評価部17は、直流電流供給部16のフィーダ13eへの接続箇所、及び電流検出器15a3、15a2、15a1、15e1、15e2の配置関係から絶縁劣化の箇所を特定する。すなわち、絶縁状態評価部17は、予め定めた所定値より大きい探査電流Isを検出した電流検出器15が直流電流供給部16を接続したフィーダ13eの電流検出器15、及び直流電流供給部16を接続していないフィーダ13aの電流検出器15の双方であるか否かを判定する。
探査電流Isを検出した電流検出器15が直流電流供給部16を接続したフィーダ13の電流検出器15及び直流電流供給部16を接続していないフィーダ13の電流検出器15の双方であるときは、直流電流供給部16を接続したフィーダ13eの電流検出器15e1、15e2で検出した探査電流Isの大きさが同じであるか否かを判定し、同じであるときは、直流電流供給部16を接続していないフィーダ13aの電流検出器15のうち、変圧器側から見て探査電流Isの流れる最も下流側の電流検出器15より下流側で絶縁劣化の箇所が有ると判定する。
これは、電流検出器15e1、15e2で検出した探査電流Isの大きさが同じであるときは、直流電流供給部16を接続したフィーダ13eに流れる電流は一定であり、直流電流供給部16を接続したフィーダ13eに絶縁劣化が発生していないと判定できるからである。つまり、直流電流供給部16を接続したフィーダ13eの電流検出器15は、絶縁劣化点F6の影響でフィーダ13aから分岐配電母線12bを介して流れ込む探査電流Isを検出しているに過ぎず、また、絶縁劣化点F6の発生したフィーダ13aでは、絶縁劣化点F6から分岐配電母線12bに(変圧器側に)探査電流Isが流れるからである。これにより、絶縁劣化点F6の発生したフィーダ13aの電流検出器15のうち、変圧器側から見て探査電流Isの流れる最も下流側の電流検出器15より下流側で絶縁劣化の箇所が有ると判定できる。具体的には、探査電流Is6の流れる最も下流側の電流検出器15a3より下流側で絶縁劣化の箇所が有ると判定する。
さらに、絶縁状態評価部17は、F6閉回路の探査電流Is6の大きさに基づいて絶縁劣化点F6の絶縁抵抗R6を求め評価する。前述の(1)式、(2)式を用いて、(1)式のIs1をIs6に、R1をR6に置き換えて、絶縁抵抗R6を求め、求めた絶縁抵抗R6の大きさにより絶縁状態を評価する。なお、F6閉回路での電流検出器15a3、15a2、15a1、15e1、15e2で検出された探査電流Is6は、絶縁劣化点F6以外に絶縁劣化の箇所がないので同じ値である。
このように、絶縁状態評価部17は、直流電流供給部16を接続したフィーダ13eの電流検出器15、及び直流電流供給部16を接続していないフィーダ13aの電流検出器15の双方が予め定めた所定値より大きい探査電流Isを検出したときは、その探査電流Isを検出した電流検出器15の情報を出力する。また、直流電流供給部16のフィーダ13eへの接続箇所、及びそれらの電流検出器15の配置関係から絶縁劣化の箇所を特定し、必要に応じて絶縁抵抗Rを求める。図7のF6点で絶縁劣化があった場合には、直流電流供給部16を接続していないフィーダ13aの探査電流Is6の流れる最も下流側の電流検出器15a3より下流の箇所で絶縁劣化が発生したと判定する。また、電流検出器15a3、15a2、15a1、15e1、15e2で検出された探査電流Is6の大きさに基づいて絶縁抵抗R6を求める。
図8は、図2に示した電路の直流電流供給部を接続していない複数のフィーダで絶縁劣化があった場合の第1実施形態の実施例6に係る絶縁監視装置の動作説明図である。図8では2つのフィーダ13c、13aで絶縁劣化があった場合を示している。いま、直流電流供給部16を接続していないフィーダ13cの絶縁劣化点F7で絶縁抵抗R7の絶縁劣化があり、直流電流供給部16を接続していないフィーダ13aの絶縁劣化点F8でも絶縁抵抗R8の絶縁劣化があったとする。
そうすると、直流電流供給部16の直流電源18、接地点A、絶縁劣化点F7、フィーダ13c、分岐配電母線12b、直流電流供給部16を接続したフィーダ13e、直流電流供給部16の直流電源18の閉回路(F7閉回路)が形成され、図8中の矢印で示す方向に、直流電流供給部16の直流電源18から探査電流Is7が流れる。探査電流Is7はフィーダ13cの電流検出器15c3、15c2、15c1、フィーダ13eの電流検出器15e1、15e2で検出される。
同様に、直流電流供給部16の直流電源18、接地点A、絶縁劣化点F8、直流電流供給部16を接続していないフィーダ13a、分岐配電母線12b、直流電流供給部16を接続したフィーダ13e、直流電流供給部16の直流電源18の閉回路(F8閉回路)が形成され、図8中の矢印で示す方向に、直流電流供給部16の直流電源18から探査電流Is8が流れる。この探査電流Is8は、フィーダ13aの電流検出器15a3、15a2、15a1、フィーダ13eの電流検出器15e1、15e2で検出される。
なお、大地の一部、分岐配電母線12b及び直流電流供給部16を接続したフィーダ13eには絶縁劣化点F7による探査電流Is7と絶縁劣化点F8での絶縁劣化による探査電流Is8との合計電流Is7+Is8が流れる。従って、フィーダ13eの電流検出器15e1、15e2は探査電流Isとして合計電流Is7+Is8を検出することになる。
絶縁状態評価部17は、フィーダ13cの電流検出器15c3、15c2、15c1で探査電流Is7が検出され、フィーダ13aの電流検出器15a3、15a2、15a1で探査電流Is8が検出され、フィーダ13eの電流検出器15e1、15e2で探査電流Is7+Is8が検出されると、これらの探査電流Is7、Is8、Is7+Is8が予め定めた所定値より大きいか否かを判定し、予め定めた所定値より大きいときは、その情報を外部に出力する。これにより、作業員は絶縁劣化の箇所が特定できる。
また、絶縁状態評価部17は、直流電流供給部16のフィーダ13eへの接続箇所、及び電流検出器15c3、15c2、15c1、電流検出器15a3、15a2、15a1、電流検出器15e1、15e2の配置関係から絶縁劣化の箇所を特定する。すなわち、絶縁状態評価部17は、予め定めた所定値より大きい探査電流Isを検出した電流検出器15が直流電流供給部16を接続したフィーダ13の電流検出器15、及び直流電流供給部16を接続していないフィーダ13の電流検出器15の双方であるか否かを判定する。
探査電流Isを検出した電流検出器15が直流電流供給部16を接続したフィーダ13の電流検出器15及び直流電流供給部16を接続していないフィーダ13の電流検出器15の双方であるときは、直流電流供給部16を接続したフィーダ13eの電流検出器15e1、15e2で検出した探査電流Isの大きさが同じであるか否かを判定し、同じであるときは、図7に示した実施例5の場合と同様に、直流電流供給部16を接続していないフィーダ13の電流検出器15のうち、変圧器側から見て探査電流Isの流れる最も下流側の電流検出器15より下流側で絶縁劣化の箇所が有ると判定する。これは、電流検出器15e1、15e2で検出した探査電流Isの大きさが同じであるときは、直流電流供給部16を接続したフィーダ13eに流れる電流は一定であり、直流電流供給部16を接続したフィーダ13eに絶縁劣化が発生していないと判定できるからである。
さらに、絶縁状態評価部17は、F7閉回路の探査電流Is7の大きさに基づいて絶縁劣化点F7の絶縁抵抗R7を求め評価する。前述の(1)式、(2)式を用いて、(1)式のIs1をIs7に、R1をR7に置き換えて、絶縁抵抗R7を求め、求めた絶縁抵抗R7の大きさにより絶縁状態を評価する。
同様に、絶縁状態評価部17は、F8閉回路の探査電流Is8の大きさに基づいて絶縁劣化点F8の絶縁抵抗R8を求め評価する。前述の(1)式、(2)式を用いて、(1)式のIs1をIs8に、R1をR8に置き換えて、絶縁抵抗R8を求め、求めた絶縁抵抗R8の大きさにより絶縁状態を評価する。
なお、電流検出器15e1、15e2で検出された探査電流Isは、絶縁劣化点F7の影響による探査電流Is7と絶縁劣化点F8の影響による探査電流Is8との合計電流Is7+Is8であるので、絶縁劣化点F7の絶縁抵抗R7や絶縁劣化点F8の絶縁抵抗R8の計算には用いない。
このように、直流電流供給部16を接続していない複数のフィーダ13で絶縁劣化があった場合であっても、図7に示した実施例5の場合と同様に、個別に、直流電流供給部16を接続していないフィーダ13の電流検出器15のうち、変圧器側から見て探査電流Isの流れる最も下流側の電流検出器15より下流側で絶縁劣化の箇所が有ると判定し、それぞれのフィーダの絶縁劣化の箇所を特定する。
図9は、図2に示した電路の直流電流供給部を接続しているフィーダの直流電流供給部の接続箇所より変圧器側から見て上流側及び直流電流供給部を接続していないフィーダの双方で絶縁劣化があった場合の第1実施形態の実施例7に係る絶縁監視装置の動作説明図である。いま、直流電流供給部16を接続しているフィーダ13eの直流電流供給部16の接続箇所における上流側の絶縁劣化点F9で絶縁抵抗R9の絶縁劣化、及び直流電流供給部16を接続していないフィーダ13aで絶縁劣化点F10で絶縁抵抗R10の絶縁劣化があったとする。
そうすると、直流電流供給部16の直流電源18、接地点A、絶縁劣化点F9、直流電流供給部16を接続したフィーダ13e、直流電流供給部16の直流電源18の閉回路(F9閉回路)が形成され、図9中の矢印で示す方向に、直流電流供給部16の直流電源18から探査電流Is9が流れる。探査電流Is9はフィーダ13eの電流検出器15e2で検出される。
同様に、直流電流供給部16の直流電源18、接地点A、絶縁劣化点F10、直流電流供給部16を接続していないフィーダ13a、分岐配電母線12b、直流電流供給部16を接続したフィーダ13e、直流電流供給部16の直流電源18の閉回路(F10閉回路)が形成され、図9中の矢印で示す方向に、直流電流供給部16の直流電源18から探査電流Is10が流れる。この探査電流Is10は、フィーダ13aの電流検出器15a3、15a2、15a1、フィーダ13eの電流検出器15e1、15e2で検出される。
なお、大地の一部、直流電流供給部16を接続したフィーダ13eの一部には絶縁劣化点F9による探査電流Is9と絶縁劣化点F10での絶縁劣化による探査電流Is10との合計電流Is9+Is10が流れる。従って、フィーダ13eの電流検出器15e2は探査電流Isとして合計電流Is9+Is10を検出することになる。
絶縁状態評価部17は、フィーダ13aの電流検出器15a3、15a2、15a1、フィーダ13eの電流検出器15e1、15e2で探査電流Isが検出されると、これらの探査電流Is9、Is10、Is9+Is10が予め定めた所定値より大きいか否かを判定し、予め定めた所定値より大きいときは、その情報を外部に出力する。これにより、作業員は絶縁劣化の箇所が特定できる。
また、絶縁状態評価部17は、直流電流供給部16のフィーダ13eへの接続箇所、及び電流検出器15a3、15a2、15a1、電流検出器15e1、15e2の配置関係から絶縁劣化の箇所を特定する。すなわち、絶縁状態評価部17は、予め定めた所定値より大きい探査電流Isを検出した電流検出器15が直流電流供給部16を接続したフィーダ13eの電流検出器15、及び直流電流供給部16を接続していないフィーダ13aの電流検出器15の双方であるか否かを判定する。
探査電流Isを検出した電流検出器15が直流電流供給部16を接続したフィーダ13の電流検出器15及び直流電流供給部16を接続していないフィーダ13の電流検出器15の双方であるときは、直流電流供給部16を接続したフィーダ13eの電流検出器15で検出した探査電流Isの大きさが同じであるか否かを判定する。直流電流供給部16を接続したフィーダ13eの電流検出器15で検出した探査電流Isの大きさが一部で異なるときは、直流電流供給部16を接続したフィーダ13eの電流検出器15のうち、大きさが異なる探査電流Isを検出した電流検出器15の間に絶縁劣化の箇所が有ると判定する。
図9に示した実施例7の場合には、フィーダ13eの電流検出器15e1で検出した探査電流IsはIs10であり、電流検出器15e2で検出した探査電流はIs9+Is10であるので、電流検出器15e1と電流検出器15e2との間に絶縁劣化の箇所が有ると判定する。
また、直流電流供給部16を接続していないフィーダ13の電流検出器15が予め定めた所定値より大きい探査電流Isを検出しているので、図7に示した実施例5の場合と同様に、直流電流供給部16を接続していないフィーダ13の電流検出器15のうち、変圧器側から見て探査電流Isの流れる最も下流側の電流検出器15より下流側で絶縁劣化の箇所が有ると判定する。図9に示した実施例7の場合には、フィーダ13aの電流検出器15a3の下流側で絶縁劣化の箇所が有ると判定する。
さらに、絶縁状態評価部17は、F9閉回路の探査電流Is9の大きさに基づいて絶縁劣化点F9の絶縁抵抗R9を求め評価する。前述の(1)式、(2)式を用いて、(1)式のIs1をIs9に、R1をR9に置き換えて、絶縁抵抗R9を求め、求めた絶縁抵抗R9の大きさにより絶縁状態を評価する。
同様に、絶縁状態評価部17は、F10閉回路の探査電流Is10の大きさに基づいて絶縁劣化点F10の絶縁抵抗R10を求め評価する。前述の(1)式、(2)式を用いて、(1)式のIs1をIs10に、R1をR10に置き換えて、絶縁抵抗R10を求め、求めた絶縁抵抗R10の大きさにより絶縁状態を評価する。
このように、直流電流供給部16を接続しているフィーダ13の直流電流供給部16の接続箇所より変圧器側から見て上流側及び直流電流供給部16を接続していないフィーダの双方で絶縁劣化があった場合、直流電流供給部16を接続したフィーダ13eの電流検出器15で検出した探査電流Isの大きさが異なるときは、大きさが異なる探査電流を検出した電流検出器16の間に絶縁劣化の箇所が有ると判定する。また、直流電流供給部16を接続していないフィーダ13の電流検出器15のうち、変圧器側から見て探査電流Isの流れる最も下流側の電流検出器15より下流側で絶縁劣化の箇所が有ると判定する。
図10は、図2に示した電路の直流電流供給部を接続しているフィーダの直流電流供給部の接続箇所より変圧器側から見て下流側及び直流電流供給部を接続していないフィーダの双方で絶縁劣化があった場合の第1実施形態の実施例8に係る絶縁監視装置の動作説明図である。いま、直流電流供給部16を接続しているフィーダ13eの直流電流供給部16の接続箇所における下流側の絶縁劣化点F11で絶縁抵抗R11の絶縁劣化、及び直流電流供給部16を接続していないフィーダ13aの絶縁劣化点F12で絶縁抵抗R12の絶縁劣化があったとする。
そうすると、直流電流供給部16の直流電源18、接地点A、絶縁劣化点F11、直流電流供給部16を接続したフィーダ13e、直流電流供給部16の直流電源18の閉回路(F11閉回路)が形成され、図10中の矢印で示す方向に、直流電流供給部16の直流電源18から探査電流Is11が流れる。探査電流Is11はフィーダ13eの電流検出器15e3で検出される。
同様に、直流電流供給部16の直流電源18、接地点A、絶縁劣化点F12、直流電流供給部16を接続していないフィーダ13a、分岐配電母線12b、直流電流供給部16を接続したフィーダ13e、直流電流供給部16の直流電源18の閉回路(F12閉回路)が形成され、図10中の矢印で示す方向に、直流電流供給部16の直流電源18から探査電流Is12が流れる。この探査電流Is12は、フィーダ13aの電流検出器15a3、15a2、15a1、フィーダ13eの電流検出器15e1、15e2で検出される。
絶縁状態評価部17は、フィーダ13aの電流検出器15a3、15a2、15a1、フィーダ13eの電流検出器15e1、15e2、15e3で探査電流Isが検出されると、これらの探査電流Is11、Is12が予め定めた所定値より大きいか否かを判定し、予め定めた所定値より大きいときは、その情報を外部に出力する。これにより、作業員は絶縁劣化の箇所が特定できる。
また、絶縁状態評価部17は、直流電流供給部16のフィーダ13eへの接続箇所、及び電流検出器15a3、15a2、15a1、電流検出器15e1、15e2、15e3の配置関係から絶縁劣化の箇所を特定する。すなわち、絶縁状態評価部17は、予め定めた所定値より大きい探査電流Isを検出した電流検出器15が直流電流供給部16を接続したフィーダ13eの電流検出器15、及び直流電流供給部16を接続していないフィーダ13aの電流検出器15の双方であるか否かを判定する。
探査電流Isを検出した電流検出器15が直流電流供給部16を接続したフィーダ13の電流検出器15及び直流電流供給部16を接続していないフィーダ13の電流検出器15の双方であるときは、直流電流供給部16の接続箇所より変圧器側から見て下流側の電流検出器15も探査電流Isを検出しているか否かを判定し、下流側の電流検出器15が探査電流Isを検出しているときは、直流電流供給部16を接続しているフィーダ13eの変圧器側から見て探査電流Isの流れる最も下流側の電流検出器15より下流側で絶縁劣化の箇所が有ると判定する。
図10に示す実施例8の場合には、フィーダ13eの電流検出器15e3が変圧器側から見て探査電流Isの流れる最も下流側の電流検出器15であるので、電流検出器15e3より下流側で絶縁劣化の箇所が有ると判定する。
また、直流電流供給部16を接続していないフィーダ13の電流検出器15が予め定めた所定値より大きい探査電流Isを検出しているので、図7に示した実施例5の場合と同様に、直流電流供給部16を接続していないフィーダ13の電流検出器15のうち、変圧器側から見て探査電流Isの流れる最も下流側の電流検出器15より下流側で絶縁劣化の箇所が有ると判定する。図10に示す実施例8の場合には、フィーダ13aの電流検出器15a3の下流側で絶縁劣化の箇所が有ると判定する。
さらに、絶縁状態評価部17は、F11閉回路の探査電流Is11の大きさに基づいて絶縁劣化点F11の絶縁抵抗R11を求め評価する。前述の(1)式、(2)式を用いて、(1)式のIs1をIs11に、R1をR11に置き換えて、絶縁抵抗R11を求め、求めた絶縁抵抗R11の大きさにより絶縁状態を評価する。
同様に、絶縁状態評価部17は、F12閉回路の探査電流Is12の大きさに基づいて絶縁劣化点F12の絶縁抵抗R12を求め評価する。前述の(1)式、(2)式を用いて、(1)式のIs1をIs12に、R1をR12に置き換えて、絶縁抵抗R12を求め、求めた絶縁抵抗R12の大きさにより絶縁状態を評価する。
このように、直流電流供給部16を接続しているフィーダの直流電流供給部16の接続箇所より変圧器側から見て下流側及び直流電流供給部16を接続していないフィーダの双方で絶縁劣化があった場合、直流電流供給部16を接続しているフィーダ13eの変圧器側から見て探査電流Isの流れる最も下流側の電流検出器15より下流側で絶縁劣化の箇所が有ると判定する。また、直流電流供給部16を接続していないフィーダ13の電流検出器15のうち、変圧器側から見て探査電流Isの流れる最も下流側の電流検出器15より下流側で絶縁劣化の箇所が有ると判定する。
図11は、図2に示した電路の直流電流供給部を接続しているフィーダの直流電流供給部の接続箇所より変圧器側から見て上流側、下流側、及び直流電流供給部を接続していないフィーダで絶縁劣化があった場合の第1実施形態の実施例9に係る絶縁監視装置の動作説明図である。いま、直流電流供給部16を接続しているフィーダ13eの直流電流供給部16の接続箇所における上流の絶縁劣化点F13で絶縁抵抗R13の絶縁劣化、下流側の絶縁劣化点F14で絶縁抵抗R14の絶縁劣化、及び直流電流供給部16を接続していないフィーダ13aの絶縁劣化点F15で絶縁抵抗R15の絶縁劣化があったとする。
そうすると、直流電流供給部16の直流電源18、接地点A、絶縁劣化点F13、直流電流供給部16を接続したフィーダ13e、直流電流供給部16の直流電源18の閉回路(F13閉回路)が形成され、図11中の矢印で示す方向に、直流電流供給部16の直流電源18から探査電流Is13が流れる。探査電流Is13はフィーダ13eの電流検出器15e2で検出される。
同様に、直流電流供給部16の直流電源18、接地点A、絶縁劣化点F14、直流電流供給部16を接続したフィーダ13e、直流電流供給部16の直流電源18の閉回路(F14閉回路)が形成され、図11中の矢印で示す方向に、直流電流供給部16の直流電源18から探査電流Is14が流れる。探査電流Is14はフィーダ13eの電流検出器15e3で検出される。
さらに、直流電流供給部16の直流電源18、接地点A、絶縁劣化点F15、直流電流供給部16を接続していないフィーダ13a、分岐配電母線12b、直流電流供給部16を接続したフィーダ13e、直流電流供給部16の直流電源18の閉回路(F15閉回路)が形成され、図11中の矢印で示す方向に、直流電流供給部16の直流電源18から探査電流Is15が流れる。この探査電流Is15は、フィーダ13aの電流検出器15a3、15a2、15a1、フィーダ13eの電流検出器15e1、15e2で検出される。
絶縁状態評価部17は、フィーダ13aの電流検出器15a3、15a2、15a1、フィーダ13eの電流検出器15e1、15e2、15e3で探査電流Isが検出されると、これらの探査電流Isが予め定めた所定値より大きいか否かを判定し、予め定めた所定値より大きいときは、その情報を外部に出力する。これにより、作業員は絶縁劣化の箇所が特定できる。
また、絶縁状態評価部17は、直流電流供給部16のフィーダ13eへの接続箇所、及び電流検出器15a3、15a2、15a1、電流検出器15e1、15e2、15e3の配置関係から絶縁劣化の箇所を特定する。すなわち、絶縁状態評価部17は、予め定めた所定値より大きい探査電流Isを検出した電流検出器15が直流電流供給部16を接続したフィーダ13eの電流検出器15、及び直流電流供給部16を接続していないフィーダ13aの電流検出器15の双方であるか否かを判定する。
探査電流Isを検出した電流検出器15が直流電流供給部16を接続したフィーダ13の電流検出器15及び直流電流供給部16を接続していないフィーダ13の電流検出器15の双方であるときは、直流電流供給部16を接続したフィーダ13eの電流検出器15で検出した探査電流Isの大きさが同じであるか否かを判定する。また、直流電流供給部16の接続箇所より変圧器側から見て下流側の電流検出器15も探査電流Isを検出しているか否かを判定する。
直流電流供給部16を接続したフィーダ13eの電流検出器15で検出した探査電流Isの大きさが一部で異なるときは、直流電流供給部16を接続したフィーダ13eの電流検出器15のうち、大きさが異なる探査電流Isを検出した電流検出器15の間に絶縁劣化の箇所が有ると判定する。図11に示す実施例9の場合には、フィーダ13eの電流検出器15e1で検出した探査電流IsはIs15であり、電流検出器15e2で検出した探査電流はIs13+Is15であるので、電流検出器15e1と電流検出器15e2との間に絶縁劣化の箇所が有ると判定する。
また、直流電流供給部16の接続箇所より変圧器側から見て下流側の電流検出器15が探査電流Isを検出しているときは、直流電流供給部16を接続しているフィーダ13eの変圧器側から見て探査電流Isの流れる最も下流側の電流検出器15より下流側で絶縁劣化の箇所が有ると判定する。図11に示す実施例9の場合には、フィーダ13eの電流検出器15e3が変圧器側から見て探査電流Isの流れる最も下流側の電流検出器15であるので、電流検出器15e3より下流側で絶縁劣化の箇所が有ると判定する。
また、直流電流供給部16を接続していないフィーダ13の電流検出器15が予め定めた所定値より大きい探査電流Isを検出しているので、図7に示した実施例5の場合と同様に、直流電流供給部16を接続していないフィーダ13の電流検出器15のうち、変圧器側から見て探査電流Isの流れる最も下流側の電流検出器15より下流側で絶縁劣化の箇所が有ると判定する。図11に示す実施例9の場合には、フィーダ13aの電流検出器15a3の下流側で絶縁劣化の箇所が有ると判定する。
さらに、絶縁状態評価部17は、F13閉回路の探査電流Is13の大きさに基づいて絶縁劣化点F13の絶縁抵抗R13を求め評価する。前述の(1)式、(2)式を用いて、(1)式のIs1をIs13に、R1をR13に置き換えて、絶縁抵抗R13を求め、求めた絶縁抵抗R13の大きさにより絶縁状態を評価する。
同様に、絶縁状態評価部17は、F14閉回路の探査電流Is14の大きさに基づいて絶縁劣化点F14の絶縁抵抗R14を求め評価する。前述の(1)式、(2)式を用いて、(1)式のIs1をIs14に、R1をR14に置き換えて、絶縁抵抗R14を求め、求めた絶縁抵抗R14の大きさにより絶縁状態を評価する。
また、絶縁状態評価部17は、F15閉回路の探査電流Is15の大きさに基づいて絶縁劣化点F15の絶縁抵抗R15を求め評価する。前述の(1)式、(2)式を用いて、(1)式のIs1をIs15に、R1をR15に置き換えて、絶縁抵抗R15を求め、求めた絶縁抵抗R15の大きさにより絶縁状態を評価する。
このように、直流電流供給部16を接続しているフィーダの直流電流供給部16の接続箇所より変圧器側から見て上流側、下流側、及び直流電流供給部16を接続していないフィーダの双方で絶縁劣化があった場合、直流電流供給部16を接続したフィーダ13eの電流検出器15で検出した探査電流Isの大きさが異なるときは、大きさが異なる探査電流を検出した電流検出器16の間に絶縁劣化の箇所が有ると判定する。また、直流電流供給部16を接続しているフィーダ13eの変圧器側から見て探査電流Isの流れる最も下流側の電流検出器15より下流側で絶縁劣化の箇所が有ると判定する。さらにまた、直流電流供給部16を接続していないフィーダ13の電流検出器15のうち、変圧器側から見て探査電流Isの流れる最も下流側の電流検出器15より下流側で絶縁劣化の箇所が有ると判定する。
図12は、本発明の第1実施形態に係る絶縁監視装置の絶縁状態評価部17の処理内容を示すフローチャートである。絶縁状態評価部17は、直流電流供給部16を接続したフィーダ13の電流検出器15のみが予め定めた所定値より大きい探査電流Isを検出したか否かを判定する(S1)。直流電流供給部16を接続したフィーダ13の電流検出器15のみが予め定めた所定値より大きい探査電流Isを検出しているときは、直流電流供給部16の接続箇所より上流側及び下流側の双方の電流検出器15が予め定めた所定値より大きい探査電流Isを検出しているか否かを判定する(S2)。
直流電流供給部16の接続箇所より上流側及び下流側の双方の電流検出器15が予め定めた所定値より大きい探査電流Isを検出しているときは、図5に示した実施例3の判定処理を行う(S3)。つまり、直流電流供給部16を接続したフィーダ13eの直流電流供給部16の接続箇所を挟んで上流及び下流の2箇所での絶縁劣化の箇所の判定処理を行う。
ステップS2の判定で、直流電流供給部16の接続箇所より上流側及び下流側の双方の電流検出器15が予め定めた所定値より大きい探査電流Isを検出していないとき、つまり、直流電流供給部16の接続箇所より上流側または下流側のいずれかで電流検出器15が予め定めた所定値より大きい探査電流Isを検出しているときは、直流電流供給部16の接続箇所より上流側の電流検出器15が予め定めた所定値より大きい探査電流Isを検出しているか否かを判定する(S4)。
直流電流供給部16の接続箇所より上流側の電流検出器15のみが予め定めた所定値より大きい探査電流Isを検出しているときは、図3に示した実施例1の判定処理、または図6に示した実施例4の判定処理を行う(S5)。つまり、直流電流供給部16を接続したフィーダ13の直流電流供給部16の接続箇所の上流側での絶縁劣化の箇所の判定処理、または直流電流供給部16を接続したフィーダ13の分岐回路での絶縁劣化の判定処理を行う。
ステップS4の判定で、直流電流供給部16の接続箇所より上流側の電流検出器15が予め定めた所定値より大きい探査電流Isを検出していないとき、つまり、下流側の電流検出器15のみが予め定めた所定値より大きい探査電流Isを検出しているときは、図4に示した実施例2の判定処理を行う(S6)。つまり、直流電流供給部を接続したフィーダの直流電流供給部の接続箇所の下流側での絶縁劣化の判定処理を行う。
次に、ステップS1の判定で、直流電流供給部16を接続したフィーダ13の電流検出器15のみが予め定めた所定値より大きい探査電流Isを検出していないとき、つまり、直流電流供給部16を接続しないフィーダ13の電流検出器15も予め定めた所定値より大きい探査電流Isを検出しているときは、直流電流供給部16を接続したフィーダ13の電流検出器15の電流値が異なるか否かを判定する(S7)。
直流電流供給部16を接続したフィーダ13の電流検出器15の電流値が異ならないとき、つまり、直流電流供給部16を接続したフィーダ13の電流検出器15の電流値が同じであるときは、直流電流供給部16を接続しない複数のフィーダ13の電流検出器15が予め定めた所定値より大きい探査電流Isを検出しているか否かを判定する(S8)。
直流電流供給部16を接続しない複数のフィーダ13の電流検出器15が予め定めた所定値より大きい探査電流Isを検出していないとき、つまり、直流電流供給部16を接続しない1つのフィーダ13の電流検出器15が予め定めた所定値より大きい探査電流Isを検出しているときは、図7に示した実施例5の判定処理を行う(S9)。つまり、直流電流供給部16を接続していない1つのフィーダ13の探査電流Isの流れる最も下流側の電流検出器15より下流側での絶縁劣化の箇所の判定処理を行う。
ステップS8での判定で、直流電流供給部16を接続しない複数のフィーダ13の電流検出器15が予め定めた所定値より大きい探査電流Isを検出しているときは、図8に示した実施例6の判定処理を行う(S10)。つまり、直流電流供給部16を接続していない複数のフィーダ13に対し、個別に、変圧器側から見て探査電流Isの流れる最も下流側の電流検出器15より下流側での絶縁劣化の箇所の判定処理を行う。
ステップS7の判定で、直流電流供給部16を接続したフィーダ13の電流検出器15の電流値が異なるときは、直流電流供給部16の接続箇所より下流側の電流検出器15が予め定めた所定値より大きい探査電流Isを検出しているか否かを判定する(S11)。直流電流供給部16の接続箇所より下流側の電流検出器15が予め定めた所定値より大きい探査電流Isを検出していないとき、つまり、直流電流供給部16の接続箇所より上流側の電流検出器15が予め定めた所定値より大きい探査電流Isを検出しているときは、図9に示した実施例7の判定処理を行う(S12)。つまり、直流電流供給部16を接続しているフィーダ13の直流電流供給部16の接続箇所より変圧器側から見て上流側及び直流電流供給部16を接続していないフィーダ13の双方での絶縁劣化の箇所の判定処理を行う。
ステップS11の判定で、直流電流供給部16の接続箇所より下流側の電流検出器15が予め定めた所定値より大きい探査電流Isを検出しているときは、図10に示した実施例8の判定処理、または図11に示した実施例9の判定処理を行う(S13)。つまり、直流電流供給部16を接続しているフィーダ13の直流電流供給部16の接続箇所より変圧器側から見て下流側及び直流電流供給部16を接続していないフィーダ13の双方での絶縁劣化の箇所の判定処理、または、直流電流供給部16を接続しているフィーダ13の直流電流供給部16の接続箇所より変圧器側から見て上流側、下流側、及び直流電流供給部16を接続していないフィーダ13での絶縁劣化の箇所の判定を行う。
次に、本発明の第2実施形態を説明する。図13は本発明の第2実施形態に係る絶縁監視装置を適用した非接地配電方式の電路の一例を示す簡略化した系統図である。この第2実施形態は、図2に示す第1実施形態に対し、直流電流供給部16をフィーダ13eの途中に接続することに代えて、直流電流供給部16をフィーダ13dの末端に接続し、直近配電母線12aと分岐配電母線12bとの接続点の変圧器側に電流検出器15T1を、直流電流供給部16を接続したフィーダ13dの分岐配電母線12bへの接続点を挟んで変圧器側から見て上流下流の両側に電流検出器15T2、15T3を追加して設けたものである。
これらの電流検出器15T1、15T2、15T3を追加して設けることにより、直近配電母線12a、分岐配電母線12bでの絶縁劣化の検出を可能としている。ここで、直流電流供給部16を接続したフィーダ13dの分岐配電母線12bへの接続点より、変圧器側の分岐配電母線12bを上流側の分岐配電母線12b、逆側の分岐配電母線12bを下流側の分岐配電母線12bということにする。図2と同一要素には、同一符号を付し重複する説明は省略する。
図14は、図13に示した電路の直近配電母線12aに絶縁劣化があった場合の本発明の第2実施形態に係る絶縁監視装置の動作説明図である。いま、直近配電母線12aのF16点で絶縁抵抗R16の絶縁劣化があったとする。
そうすると、直流電流供給部16の直流電源18、接地点A、絶縁劣化点F16、直近配電線母線12a、分岐配電母線12b、直流電流供給部16を接続したフィーダ13d、直流電流供給部16の直流電源18の閉回路(F16閉回路)が形成され、図14中の矢印で示す方向に、直流電流供給部16の直流電源18から探査電流Is16が流れる。この探査電流Is16は、電流検出器15T1、15T2、フィーダ13dの電流検出器15d1、15d2、15d3、15d4で検出される。
絶縁状態評価部17は、電流検出器15T1、15T2、フィーダ13dの電流検出器15d1、15d2、15d3、15d4で探査電流Is16が検出されると、検出された探査電流Is16が予め定めた所定値より大きいか否かを判定し、予め定めた所定値より大きいときは、その情報を外部に出力する。これにより、作業員は絶縁劣化の箇所が特定できる。
また、絶縁状態評価部17は、F16閉回路において、直流電流供給部16のフィーダ13dへの接続箇所、及び探査電流Is16を検出した電流検出器15T1、15T2、15d1、15d2、15d3、15d4の配置関係から絶縁劣化の箇所を特定する。すなわち、絶縁状態評価部17は、電流検出器15T1の上流側の直近配電母線12aで絶縁劣化の箇所が有ると判定する。
これは、電流検出器15T1が探査電流Isを検出するのは、電流検出器15T1の上流側の直近配電母線12aで絶縁劣化の箇所が有る場合に限られるからである。直流電流供給部16がフィーダ13dの末端に接続されていることから、分岐配電母線12bの上流側の電流検出器15T2、直流電流供給部16を接続したフィーダ13dの電流検出器15d1、15d2、15d3、15d4は、絶縁劣化点F16の影響で流れ込む探査電流Is16を検出しているに過ぎないからである。
さらに、絶縁状態評価部17は、その探査電流Is16の大きさに基づいて絶縁劣化点F16の絶縁抵抗R16を評価する。前述の(1)式、(2)式を用いて、(1)式のIs1をIs16に、R1をR16に置き換えて、絶縁抵抗R16を求め、求めた絶縁抵抗R16の大きさにより絶縁状態を評価する。
このように、絶縁状態評価部17は、予め定めた所定値より大きい探査電流Isを検出した電流検出器15の情報を出力するととともに、それらの電流検出器15の配置関係及び直流電流供給部16のフィーダ13への接続箇所から絶縁劣化の箇所を特定し、必要に応じて絶縁抵抗を求める。図14のF16点で絶縁劣化があった場合には、探査電流Is16の流れる電流検出器15T1により直近配電母線12aで絶縁劣化の箇所が有ると判定する。また、電流検出器15T1で検出された探査電流Is16の大きさに基づいて絶縁抵抗R16を求める。従って、直近配電母線12aでの絶縁劣化も評価できる。
以上の説明では、直近配電母線12aに絶縁劣化があった場合について説明したが、変圧器2次側コイルに絶縁劣化があった場合も同様に検出できる。つまり、直近配電母線12a、変圧器2次側コイルのいずれかまたは双方の絶縁劣化を検出できる。直近配電母線12aの絶縁劣化と変圧器2次側コイルの絶縁劣化とを区別するには、直近配電母線12aと変圧器2次側コイルとの境界部分に電流検出器15を設ければよい。
図15は図13に示した電路の上流側の分岐配電母線12bで絶縁劣化があった場合の本発明の第2実施形態に係る絶縁監視装置の動作説明図である。いま、分岐配電母線12bのフィーダ13aの引出点とフィーダ13bの引出点との間のF17点で絶縁抵抗R17の絶縁劣化があったとする。そうすると、直流電流供給部16の直流電源18、接地点A、絶縁劣化点F17、分岐配電母線12b、直流電流供給部16を接続したフィーダ13d、直流電流供給部16の直流電源18の閉回路(F17閉回路)が形成され、図15中の矢印で示す方向に、直流電流供給部16の直流電源18から探査電流Is17が流れる。この探査電流Is17は、電流検出器15T2、フィーダ13dの電流検出器15d1、15d2、15d3、15d4で検出される。
絶縁状態評価部17は、電流検出器15T2、フィーダ13dの電流検出器15d1、15d2、15d3、15d4が探査電流Is17を検出すると、検出された探査電流Is17が予め定めた所定値より大きいか否かを判定し、予め定めた所定値より大きいときは、その情報を外部に出力する。これにより、作業員は絶縁劣化の箇所が特定できる。
また、絶縁状態評価部17は、F17閉回路において、直流電流供給部16のフィーダ13dへの接続箇所、及び探査電流Is17を検出した電流検出器15T2、15d1、15d2、15d3、15d4の配置関係から絶縁劣化の箇所を特定する。すなわち、絶縁状態評価部17は、電流検出器15T2の上流側の分岐配電母線12bで絶縁劣化の箇所が有ると判定する。
これは、電流検出器15T2が探査電流Isを検出するのは、電流検出器15T2の上流側の分岐配電母線12bで絶縁劣化の箇所が有る場合に限られるからである。直流電流供給部16がフィーダ13dの末端に接続されていることから、直流電流供給部16を接続したフィーダ13dの電流検出器15d1、15d2、15d3、15d4は、絶縁劣化点F17の影響で流れ込む探査電流Is17を検出しているに過ぎないからである。
さらに、絶縁状態評価部17は、その探査電流Is17の大きさに基づいて絶縁劣化点F17の絶縁抵抗R17を評価する。前述の(1)式、(2)式を用いて、(1)式のIs1をIs17に、R1をR17に置き換えて、絶縁抵抗R17を求め、求めた絶縁抵抗R17の大きさにより絶縁状態を評価する。
このように、絶縁状態評価部17は、予め定めた所定値より大きい探査電流Isを検出した電流検出器15の情報を出力するととともに、それらの電流検出器15の配置関係及び直流電流供給部16のフィーダ13への接続箇所から絶縁劣化の箇所を特定し、必要に応じて絶縁抵抗を求める。
図15のF17点で絶縁劣化があった場合には、探査電流Is17の流れる最も上流側の電流検出器15T2より上流の箇所、つまり、上流側の分岐配電母線12bで絶縁劣化の箇所が有ると判定する。また、電流検出器15T2で検出された探査電流Is17の大きさに基づいて絶縁抵抗R17を求める。従って、分岐配電母線12bでの絶縁劣化も評価できる。
図16は図13に示した電路の下流側の分岐配電母線12bで絶縁劣化があった場合の本発明の第2実施形態に係る絶縁監視装置の動作説明図である。いま、分岐配電母線12bのフィーダ13dの引出点とフィーダ13eの引出点との間のF18点で絶縁抵抗R18の絶縁劣化があったとする。そうすると、直流電流供給部16の直流電源18、接地点A、絶縁劣化点F18、分岐配電母線12b、直流電流供給部16を接続したフィーダ13d、直流電流供給部16の直流電源18の閉回路(F18閉回路)が形成され、図16中の矢印で示す方向に、直流電流供給部16の直流電源18から探査電流Is18が流れる。この探査電流Is18は、電流検出器15T3、フィーダ13dの電流検出器15d1、15d2、15d3、15d4で検出される。
絶縁状態評価部17は、電流検出器15T3、フィーダ13dの電流検出器15d1、15d2、15d3、15d4が探査電流Isを検出すると、検出された探査電流Is18が予め定めた所定値より大きいか否かを判定し、予め定めた所定値より大きいときは、その情報を外部に出力する。これにより、作業員は絶縁劣化の箇所が特定できる。
また、絶縁状態評価部17は、F18閉回路において、直流電流供給部16のフィーダ13dへの接続箇所、及び探査電流Is18を検出した電流検出器15T3、15d1、15d2、15d3、15d4の配置関係から絶縁劣化の箇所を特定する。すなわち、絶縁状態評価部17は、電流検出器15T3の下流側の分岐配電母線12bで絶縁劣化の箇所が有ると判定する。
これは、電流検出器15T3が探査電流Isを検出するのは、電流検出器15T3の下流側の分岐配電母線12bで絶縁劣化の箇所が有る場合に限られるからである。直流電流供給部16がフィーダ13dの末端に接続されていることから、直流電流供給部16を接続したフィーダ13dの電流検出器15d1、15d2、15d3、15d4は、絶縁劣化点F18の影響で流れ込む探査電流Is18を検出しているに過ぎないからである。
さらに、絶縁状態評価部17は、その探査電流Is18の大きさに基づいて絶縁劣化点F18の絶縁抵抗R18を評価する。前述の(1)式、(2)式を用いて、(1)式のIs1をIs18に、R1をR18に置き換えて、絶縁抵抗R18を求め、求めた絶縁抵抗R18の大きさにより絶縁状態を評価する。
このように、絶縁状態評価部17は、予め定めた所定値より大きい探査電流Isを検出した電流検出器15の情報を出力するととともに、それらの電流検出器15の配置関係及び直流電流供給部16のフィーダ13への接続箇所から絶縁劣化の箇所を特定し、必要に応じて絶縁抵抗を求める。
図16のF18点で絶縁劣化があった場合には、探査電流Is18の流れる最も下流側の電流検出器15T3より下流の箇所、つまり、下流側の分岐配電母線12bで絶縁劣化の箇所が有ると判定する。また、電流検出器15T3で検出された探査電流Is18の大きさに基づいて絶縁抵抗R18を求める。従って、分岐配電母線12bでの絶縁劣化も評価できる。
以上の説明では、直流電流供給部16を接続したフィーダ13dの分岐配電母線12bへの接続点を挟んで変圧器側から見て上流下流の両側に電流検出器15T2、15T3を設けた場合について説明したが、分岐配電母線12bへの接続点の片側に設けるようにしてもよい。分岐配電母線12bへの接続点の片側に設けた場合には、接続点の上流側の分岐配電母線12bで絶縁劣化が発生したのか、下流側で絶縁劣化が発生したのかの識別ができないことがあるが、分岐配電母線12bのいずれかで絶縁劣化が発生したことは分かる。
また、直流電流供給部16をフィーダ13dの末端に接続した場合について説明したが、直流電流供給部16をフィーダ13の途中に接続した場合であっても同様に適用できる。
また、直近配電母線12aや分岐配電母線12bで単独で絶縁劣化が発生した場合について説明したが、直近配電母線12a、分岐配電母線12b、フィーダ13の2箇所以上で絶縁劣化が発生した場合であっても、第1実施形態で述べたように、直流電流供給部16のフィーダ13への接続箇所、予め定めた所定値より大きい探査電流Isを検出した電流検出器15の配置関係、探査電流Isの大きさから、2箇所以上の絶縁劣化の箇所を特定できる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。