JP2015137215A - オゾン発生器 - Google Patents

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Abstract

【課題】使用環境の湿度が高くなっても、オゾン発生の変化が少なく、幅広い湿度環境(絶対湿度0〜50g/m3)において安定したオゾン発生を得ることができるオゾン発生器を提供する。【解決手段】2つの電極20が所定のギャップ長Dgを隔てて配置された1以上の電極対16を有し、電極対16の少なくとも2つの電極20間に原料ガス12を通過させ、2つの電極20間に放電を発生させることで、オゾンを発生させるオゾン発生器10において、電極20は、中空部30を有する筒状の誘電体32と、該誘電体32の中空部30内に位置された導体34とを有する。ギャップ長Dgは1.0mm未満である。【選択図】図1

Description

本発明は、電極間に原料ガスを通過させ、電極間に放電を発生させることで、オゾンを発生させるオゾン発生器に関する。
オゾン発生器は、放電発生装置により発生した放電を利用して生成された熱的非平衡プラズマ中に、空気等の酸素を含有するガスを通すことにより、オゾンを発生する装置である。放電発生装置としては例えば無声放電方式がある。この方式は、例えば高電圧電極と接地電極の放電ギャップ間に、高圧交流電源より発生した数〜数十kVの高電圧を印加して微小放電柱の集合である放電を発生させる。酸素含有ガスは放電によって分解され、これによって、オゾンが発生する。
従来、このようなオゾン発生器の構成としては、例えば特許文献1〜3に開示がある。
すなわち、特許文献1の段落[0002]には、「無声放電式オゾン生成装置は1又は2の誘電体を挟んで対向した電極を有し、誘電体と電極との隙間又は誘電体同士の隙間に酸素を含む原料ガス(高濃度酸素(PSA酸素)や脱湿空気等)を通過させながら前記電極に交流高電圧を印加し、無声放電により酸素を解離させてオゾンを生成する。前記隙間は1mm前後で、誘電体には絶縁耐力の高いガラスやセラミックが用いられる。」と記載されている。
さらに、特許文献1の[発明が解決しようとする課題]の段落[0005]には、「誘電体と電極との隙間又は誘電体同士の隙間をより狭くする(0.5〜1mm)ことにより、印加電圧を抑えつつ空間のエネルギーを高めると共に」との記載がある。
また、特許文献2の段落[0011]に、「乾燥空気を原料とし、円筒状の高圧電極に対し、同軸に円筒状の低圧電極を配置し、前記高圧電極と前記低圧電極との間に誘電体を介して所定の高電圧を印加して放電させ、前記放電によりオゾンを発生させるオゾン発生装置において、放電ギャップ長dが0.3mm〜0.5mmとされている。」との記載がある。
また、特許文献3の段落[0008]には、「放電電極と、前記放電電極に対向する誘導電極と、前記放電電極と前記誘導電極との間に設けられた誘電体層と、前記放電電極上に形成された撥水層とを備えている。」と記載されている。
特開平10−324504号公報 特開2013−193893号公報 特開2013−060327号公報
特許文献1では、誘電体を挟んで対向した電極を有し、誘電体と電極との隙間又は誘電体同士の隙間をより狭くすること、具体的には、0.5〜1mmにし、さらに、対向する電極を強制空冷する等して温度上昇を抑制することで、オゾン収率を高めようとしていることが記載されている。しかし、電極間の狭小化には限界があり、オゾン濃度を高めることが難しいことが記載されている。つまり、特許文献1では、誘電体と電極との隙間又は誘電体同士の隙間を0.5〜1mmとすることが記載されているが、特許文献1の段落[0005]の記載内容から、その実現には困難が伴うことが示唆されている。
特許文献2では、同軸上に円筒状の高圧電極と低圧電極を配置し、さらに、放電ギャップ長dを0.3mm〜0.5mmに設定している。この場合、高圧電極や低圧電極に付着する水分子やOHが存在すると共に、高圧電極と低圧電極との中央部分に位置する水分子やOHが存在することとなる。この特許文献2記載のオゾン発生器において、オゾン発生量を増やすには放電面積を増やす必要があり、両電極の円筒の径を大きくするか、円筒を長くしなければならない。径を大きくすると全体の体積が大きくなり、サイズが大型化するという問題がある。円筒を長くすると、高圧電極と低圧電極との中央部分に位置する水分子やOHが広範囲にわたって存在することとなり、そのため、オゾンの生成が阻害されたり、オゾンの生成効率が低下するという問題がある。
また、特許文献3では、放電電極上に撥水層を設けている。しかしながら、特許文献3の段落[0020]に記載されているように、剥離防止のための保護膜を誘電体層と撥水層の間に設けていても、長期間の運転では剥離するおそれがある。しかも、高湿度環境では運転時間の経過に伴ってオゾンの生成効率が下がっていく、という問題がある。
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、使用環境の湿度が高くなっても、オゾン発生の変化が少なく、幅広い湿度環境(絶対湿度0〜50g/m3)において安定したオゾン発生を得ることができるオゾン発生器を提供することを目的とする。
[1] 本発明に係るオゾン発生器は、2つの電極が所定のギャップ長を隔てて配置された1以上の電極対を有し、前記電極対の少なくとも前記2つの電極間に原料ガスを通過させ、前記2つの電極間に放電を発生させることで、オゾンを発生させるオゾン発生器において、前記電極は、中空部を有する筒状の誘電体と、該誘電体の前記中空部内に位置された導体とを有し、前記ギャップ長は1.0mm未満であることを特徴とする。
これにより、高湿度環境であっても、オゾンの生成に影響を与える水分子やOHが誘電体の表面に付着し、誘電体の付近や放電空間の中央部分に存在する水分子やOHの量が減少する。そのため、オゾンの生成が阻害されず、オゾン生成量の減少を抑制することができる。さらに、誘電体の付近や放電空間の中央部分に水分子やOHが存在する範囲も狭くなるため、オゾンの生成が阻害される範囲も小さく、オゾン生成量の減少が少ない。
その結果、湿度が高くなってもオゾン発生の変化が少なくなり、幅広い湿度環境(絶対湿度0〜50g/m3)において、安定したオゾン発生が得られるオゾン発生器とすることができる。
また、特許文献3のような撥水層が存在しないため、長期間の運転による撥水層の剥離の影響も無く、長期間において安定したオゾン発生量が得られる。
[2] 本発明において、前記ギャップ長は0.5mm以下であることが好ましい。これにより、さらにオゾンの生成を阻害する水分子やOHが誘電体に付着する割合が増え、水分子やOHが誘電体の付近や放電空間の中央部分に存在する割合が減少するため、オゾン生成量の減少をさらに抑えることができる。
[3] 本発明において、前記ギャップ長は0.1mm以上であることが好ましい。これにより、放電空間が水分子やOHによって短絡することが回避され、オゾン生成量の減少を抑えることができる。
[4] 本発明において、前記ギャップ長は0.2mm以上であることが好ましい。放電空間が水分子やOHによって短絡することがさらに回避され、オゾン生成量の減少を抑えることができる。
[5] 本発明において、前記原料ガスが大気であってもよい。この場合、除湿されていない空気であっても構わない。
[6] 本発明において、前記原料ガスが絶対湿度0〜50g/m3の大気であってもよい。
[7] 本発明において、前記2つの電極で挟まれた空間が放電空間であり、複数の前記電極対が並列もしくは直列又は並列及び直列に配置され、前記原料ガスの流れの主方向を法線方向とする原料ガス通過面に、前記放電空間ではない部分が存在してもよい。
[8] 本発明において、前記2つの電極間に交流電圧を印加する電源を有し、前記2つの電極で挟まれた空間が放電空間であり、前記放電空間を通過する前記原料ガスの流速をV(m/s)、前記交流電圧の周波数をf(Hz)、前記放電空間のうち、前記原料ガスの流れの主方向に沿った長さをL(m)としたとき、
0.5<L/V/f
を満足することが好ましい。
これにより、放電によって発生したオゾンは、再び放電にさらされ難くなるため、O原子との反応による分解反応や、水分子やOHとの反応による分解反応が起きず、オゾン発生の低減を少なくすることが可能となる。
[9] 本発明において、前記2つの電極間に交流電圧を印加する電源を有し、前記2つの電極で挟まれた空間が放電空間であり、前記放電空間を通過する前記原料ガスの流速をV(m/s)、前記交流電圧の周波数をf(Hz)、前記放電空間のうち、前記原料ガスの流れの主方向に沿った長さをL(m)としたとき、
1<L/V/f
を満足することが好ましい。
これにより、放電によって発生したオゾンは、再び放電にさらされ難くなる度合いが高くなる。そのため、O原子との反応による分解反応や、水分子やOHとの反応による分解反応が起きず、オゾン発生の低減をさらに少なくすることが可能となる。
[10] 本発明において、50>L/V/fを満足することが好ましい。これにより、反応しないまま通過する原料ガスが減少するため、オゾン発生の低減を少なくすることが可能となる。
[11] 本発明において、20>L/V/fを満足することが好ましい。これにより、反応しないまま通過する原料ガスがさらに減少するため、オゾン発生の低減をより少なくすることが可能となる。
本発明に係るオゾン発生器によれば、使用環境の湿度が高くなっても、オゾン発生の変化が少なく、幅広い湿度環境(絶対湿度0〜50g/m3)において安定したオゾン発生を得ることができるオゾン発生器を提供することができる。
本実施の形態に係るオゾン発生器の要部を示す縦断面図である。 図1におけるII−II線上の断面図である。 図3Aは電極対のギャップ長を大きくした場合の問題点を示す説明図であり、図3Bは本実施の形態に係るオゾン発生器の効果を示す説明図である。 第1変形例に係るオゾン発生器の要部を示す縦断面図である。 第2変形例に係るオゾン発生器の要部を示す縦断面図である。 第3変形例に係るオゾン発生器の要部を示す縦断面図である。 本実施の形態に係るオゾン発生器の要部であって、特に、放電空間を通過する原料ガスの流速V(m/s)、交流電圧vの周波数f(Hz)、放電空間のうち、原料ガスの流れの主方向に沿った長さL(m)を示す説明図である。 サンプル1〜6について、絶対湿度を変化させた場合のオゾン発生効率の変化を示すグラフである。 それぞれ原料ガスの流量が異なるサンプル11〜13について、L/V/fを変化させたときのオゾン濃度の変化を示すグラフである。
以下、本発明に係るオゾン発生器の実施の形態例を図1〜図9を参照しながら説明する。なお、本明細書において数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味として使用される。
本実施の形態に係るオゾン発生器10は、図1及び図2に示すように、原料ガス12が流通する筐体14と、筐体14の内部に設置された1以上の電極対16と、交流電源18とを有する。電極対16は、2つの電極20(一方の電極20a及び他方の電極20b)が所定のギャップ長Dgを隔てて配置されて構成されている。交流電源18は、2つの電極20間に交流電圧v(=Asin(2πf)t)を印加する。
オゾン発生器10は、電極対16の少なくとも2つの電極20間に原料ガス12を通過させ、2つの電極20間に放電を発生させることで、オゾンを発生させる。2つの電極20で挟まれた空間は、放電が発生する空間であることから、ここでは、放電空間22と定義する。
また、このオゾン発生器10は、原料ガス12の流れの主方向を法線方向とする原料ガス通過面24に、放電空間ではない部分26が存在する。具体的には、原料ガス通過面24のうち、一方の電極20aと筐体14の一方の内壁28a(一方の電極20aに近接する内壁)間の部分と、他方の電極20bと筐体14の他方の内壁28b(他方の電極20bに近接する内壁)間の部分とがそれぞれ放電空間ではない部分26である。なお、原料ガス12の流れの主方向とは、原料ガス12の中央部分における指向性のある流れの方向を示し、これは、原料ガス12の周辺部の指向性のない流れ成分の方向を排除する意味である。
各電極20は棒状を有し、中空部30を有する筒状の誘電体32と、該誘電体32の中空部30内に位置された導体34とを有する。図1及び図2では、誘電体32は円筒状を有し、横断面形状が円形の中空部30が形成された例を示す。導体34は横断面形状が円形を有する。もちろん、これらの形状に限定する必要はなく、誘電体32は、横断面形状が三角形、四角形、五角形、六角形、八角形等の多角形の筒状としてもよい。これに対応させて、導体34の形状も横断面形状が三角形、四角形、五角形、六角形、八角形等の多角形の柱状としてもよい。
原料ガス12は、本実施の形態では、オゾンを発生させることを目的としているため、大気や酸素を含んだガスを例示することができる。この場合、除湿されていない空気であっても構わない。
誘電体32の材料は、酸化バリウム、酸化ビスマス、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ネオジム、窒化チタン、窒化アルミ、窒化珪素、アルミナ、シリカ及びムライトからなる群から選ばれた1つ以上の材料を含む単独もしくは複合酸化物や複合窒化物であってもよい。
導体34の材料は、モリブデン、タングステン、銀、銅、ニッケル及びこれらの中から少なくとも1つを含む合金からなる群より選ばれた1つであることが好ましい。合金としては、インバー、コバール、インコネル(登録商標)、インコロイ(登録商標)を例示することができる。
また、誘電体32の材料は、導体34の融点未満の温度において焼成することができるセラミックス材料、例えばLTCC(Low Temperature Co−fired Ceramics)を用いることが好ましい。具体的には、酸化バリウム、酸化ビスマス、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ネオジム、窒化チタン、窒化アルミ、窒化珪素、アルミナ、シリカ及びムライトからなる群から選ばれた1つ以上の材料を含む単独もしくは複合酸化物や複合窒化物であることが好ましい。
そして、2つの電極20間のギャップ長Dgは、2つの電極20間の距離のうち、一方の電極20aの誘電体32と他方の電極20bの誘電体32との間の最短距離を示す。このギャップ長Dgの上限は、1.0mm未満であることが好ましい。
本実施の形態では、各電極20を、中空部30を有する筒状の誘電体32と、該誘電体32の中空部30内に位置された導体34とを有する構成としたので、電極20間の距離を容易に調整することができ、特許文献1に記載された沿面放電方式の構成と比して、電極20間のギャップ長Dgを1.0mm未満とすることが容易になる。
ところで、高湿度環境では、オゾンの生成に影響を与える水分子やOHをできるだけ電極20の誘電体32に付着させることが好ましい。これにより、放電空間22の中央部分22aに存在する水分子やOHの量が減少し、オゾンの生成への影響を低減させることできる。しかし、図3Aに示すように、ギャップ長Dgが1.0mm以上であると、誘電体32間の距離が大きくなることから、誘電体32に付着する水分子やOHの量が減り、誘電体32の付近や放電空間22の中央部分22aに存在する水分子やOHの量が増えることとなる。そのため、高湿度環境では原料ガス12に含まれ、且つ、誘電体32の付近や放電空間22の中央部分22aに存在する水分子やOHの影響によってオゾンの生成が阻害され、オゾンの生成効率が低下したり、発生しなくなる。
これに対して、本実施の形態では、ギャップ長Dgの上限を、1.0mm未満としている。これにより、図3Bに示すように、高湿度環境であっても、オゾンの生成に影響を与える水分子やOHが誘電体32の表面に付着し、誘電体32の付近や放電空間22の中央部分22aに存在する水分子やOHの量が減少する。そのため、オゾンの生成が阻害されず、オゾン生成量の減少を抑制することができる。さらに、誘電体32の付近や放電空間22の中央部分22aに水分子やOHが存在する範囲も狭くなるため、オゾンの生成が阻害される範囲も小さく、オゾン生成量の減少が少ない。
その結果、湿度が高くなってもオゾン発生の変化が少なくなり、幅広い湿度環境(絶対湿度0〜50g/m3)において、安定したオゾン発生が得られるオゾン発生器とすることができる。
また、特許文献3のような撥水層が存在しないため、長期間の運転による撥水層の剥離の影響も無く、長期間において安定したオゾン発生量が得られる。
ギャップ長Dgの上限として、0.5mm未満がさらに好ましい。これにより、さらにオゾンの生成を阻害する水分子やOHが誘電体32に付着する割合が増え、水分子やOHが誘電体32の付近や放電空間22の中央部分22aに存在する割合が減少するため、オゾン生成量の減少をさらに抑えることができる。
一方、ギャップ長Dgが小さすぎると、水分子やOHが誘電体32に付着することによって、放電空間22が短絡するおそれがある。すなわち、誘電体32間が水分子やOHで接続されるおそれがある。これは、放電空間22の中央部分22aに水分子やOHが多く存在することと同じになり、水分子やOHの影響によってオゾンの生成が阻害され、オゾンの生成効率が低下したり、発生しなくなる。そこで、ギャップ長Dgの下限としては、0.1mm以上が好ましく、さらに好ましくは0.2mm以上である。これにより、放電空間22が水分子やOHによって短絡することが回避され、オゾン生成量の減少を抑えることができる。
なお、電極20の製造方法としては、以下に示す方法が挙げられる。すなわち、例えば筒状の成形体を仮焼成して中空部を有する仮焼成体を作製し、その後、仮焼成体の中空部内に導体34を挿入する。そして、仮焼成体と導体34とを仮焼成よりも高い温度で焼成することによって直接一体化させて誘電体32の中空部30に導体34が挿入された電極20を作製する。
その他の方法としては、ゲルキャスト法を用いることができる。ゲルキャスト法では、金型内に、導体34をセットし、セラミック粉末、分散媒、及びゲル化剤を含むスラリーを注型した後に、このスラリーを温度条件や架橋剤の添加等によりゲル化させることにより固化し、成形して、その後、焼成することで、電極20を作製する。
上述の例では、1つの電極対16を示したが、その他、図4〜図6に示す第1変形例〜第3変形例も好ましく採用することができる。
第1変形例に係るオゾン発生器10aは、図4に示すように、複数の電極対16を並列に配列した点で、オゾン発生器10(図1及び図2参照)と異なる。交流電源18は、それぞれ一方の電極20aと他方の電極20b間に交流電圧vを印加する。
このオゾン発生器10aにおいても、原料ガス通過面24に、放電空間ではない部分26が存在する。具体的には、原料ガス通過面24のうち、電極対16間の部分と、筐体14の一方の内壁28aに近接する一方の電極20aと一方の内壁28a間の部分と、筐体14の他方の内壁28bに近接する他方の電極20bと他方の内壁28b間の部分が、それぞれ放電空間ではない部分26である。
第2変形例に係るオゾン発生器10bは、図5に示すように、複数の電極対16を直列に配列した点で、オゾン発生器10(図1及び図2参照)と異なる。交流電源18は、それぞれ一方の電極20aと他方の電極20b間に交流電圧vを印加する。
このオゾン発生器10bにおいても、原料ガス通過面24に放電空間ではない部分26が存在する。具体的には、複数の電極対16の各一方の電極20aと筐体14の一方の内壁28a間の部分と、複数の電極対16の各他方の電極20bと筐体14の他方の内壁28b間の部分が、それぞれ放電空間ではない部分26である。
第3変形例に係るオゾン発生器10cは、図6に示すように、複数の電極対16を並列及び直列に配列した点で、オゾン発生器10(図1及び図2参照)と異なる。交流電源18は、それぞれ一方の電極20aと他方の電極20b間に交流電圧vを印加する。
このオゾン発生器10cにおいても、原料ガス通過面24に放電空間ではない部分26が存在する。
また、本実施の形態に係るオゾン発生器10においては、図7に示すように、放電空間22を通過する原料ガス12の流速をV(m/s)、交流電圧vの周波数をf(Hz)、放電空間22のうち、原料ガス12の流れの主方向に沿った長さをL(m)としたとき、以下の(1)式を満足することが好ましい。
0.5<L/V/f ……(1)
ここで、L/V/fは、交流電圧1周期当たりに長さLの何倍の距離だけ原料ガス12が移動するかを示す。
上述の(1)式を満足することで、放電によって発生したオゾンは、再び放電にさらされ難くなるため、O原子との反応による分解反応や、水分子やOHとの反応による分解反応が起きず、オゾン発生の低減を少なくすることが可能となる。
また、以下の(2)式を満足することで、放電によって発生したオゾンは、(1)式の場合よりも、再び放電にさらされ難くなる度合いが高くなる。そのため、O原子との反応による分解反応や、水分子やOHとの反応による分解反応が起きず、オゾン発生の低減をさらに少なくすることが可能となる。
1<L/V/f ……(2)
以下の(3)式を満足することで、反応しないまま通過する原料ガス12が減少するため、オゾン発生の低減を少なくすることが可能となる。
50>L/V/f ……(3)
また、以下の(4)式を満足することで、反応しないまま通過する原料ガス12がさらに減少するため、オゾン発生の低減をより少なくすることが可能となる。
20>L/V/f ……(4)
本実施の形態に係るオゾン発生器10においては、放電空間22を通過する原料ガス12の流量を380L/min以下とすることが好ましい。さらに好ましくは、300L/min以下であり、より好ましくは150L/min以下である。
これにより、放電空間22に流れる原料ガス12の分布が減少し、放電空間22内で均一にオゾンが生成でき、原料ガス12が多すぎてオゾンが生成しきれないことをなくすことができる。その結果、オゾンの分解反応によるオゾン発生の低減を減らすことができ、且つ、反応しきれないまま放電空間22を通過する原料ガス12を減らすことができるため、高いオゾンの生成効率を得ることができる。
[第1実施例]
サンプル1〜6について、絶対湿度を変化させた場合のオゾン発生効率の変化を確認した。オゾン発生効率は、一定の投入電力、一定のガス流量下における排出ガス中のオゾン濃度とした。
(オゾン発生効率の確認方法)
先ず、オゾン発生効率を確認するために、原料ガス12は、空気を使用した。ガス流量は350L/minであり、ガス圧力は0.10MPaとした。
放電用の電源として、電圧(振幅A)が±4kV、周波数fが20kHzの交流電圧vを出力する交流電源18を用いた。
上記の条件で、排出ガスのオゾン濃度をオゾン濃度計(EG−3000D(荏原実業株式会社製))にて測定した。
サンプル1〜6に係るオゾン発生器における電極構造の内訳は以下の通りである。
(サンプル1)
サンプル1は、図1及び図2に示す構造において、電極対16のギャップ長Dgが0.60mmである。
(サンプル2〜5)
サンプル2、3、4及び5は、電極対16のギャップ長Dgがそれぞれ0.45mm、0.30mm、0.15mm、0.05mmである点以外はサンプル1と同じである。
(サンプル6)
サンプル6は、電極対16のギャップ長Dgが1.00mmである点以外はサンプル1と同じである。
(評価結果)
サンプル1〜6の評価結果を図8に示す。
図8から、サンプル6は絶対湿度0〜15g/m3にわたってオゾンが生成されていることがわかった。
また、サンプル1〜5では、絶対湿度0〜50g/m3にわたってオゾンが生成されている。特に、サンプル2〜4では、絶対湿度0〜50g/m3にわたってオゾン発生効率が15g/kWh以上を維持しており、幅広い湿度環境において安定したオゾン発生が実現されている。その中でも、サンプル2及び3は、絶対湿度0〜50g/m3にわたってオゾン発生効率が25g/kWh以上を維持している。
このことから、電極対16のギャップ長Dgの上限は1.0mm未満であることが好ましく、0.5mm未満であることがさらに好ましいことがわかる。また、ギャップ長Dgの下限は0.1mm以上であることが好ましく、0.2mm以上であることがさらに好ましいことがわかる。
[第2実施例]
それぞれ原料ガス12の流量が異なるサンプル11〜13について、上述したL/V/fを変化させたときのオゾン濃度の変化を確認した。
図7に示すように、Lは、放電空間22のうち、原料ガス12の流れの主方向に沿った長さ(m)を示し、Vは、放電空間22を通過する原料ガス12の流速(m/s)を示す。また、fは、交流電源18の交流電圧vの周波数(Hz)を示す。
(サンプル11)
サンプル11は、上述したサンプル3の電極構造を有し、原料ガス12の流量が350L/minである。
(サンプル12)
サンプル12は、原料ガス12の流量が275L/minである点以外はサンプル11と同じである。
(サンプル13)
サンプル13は、原料ガス12の流量が145L/minである点以外はサンプル11と同じである。
(評価結果)
サンプル11〜13の評価結果を図9に示す。図9において横軸のL/V/fは対数目盛である。
図9から、サンプル11は、0.5<L/V/f≦10の範囲で、0.7ppm以上のオゾン濃度を維持し、1<L/V/f<10の範囲で、約0.72ppmのオゾン濃度を維持している。また、10<L/V/f≦30の範囲で、0.6〜0.7ppmのオゾン濃度を維持し、30<L/V/f<50の範囲で、0.55〜0.6ppmのオゾン濃度を維持している。
サンプル12は、0.5<L/V/f≦20の範囲で、0.7ppm以上のオゾン濃度を維持し、1<L/V/f<10の範囲で、約0.75ppmのオゾン濃度を維持している。また、20<L/V/f<50の範囲で、オゾン濃度0.6〜0.7ppmを維持している。
サンプル13は、0.5<L/V/f≦10の範囲で、オゾン濃度0.8ppm以上を維持し、1<L/V/f<10の範囲で、約0.82ppmのオゾン濃度を維持している。また、10<L/V/f≦35の範囲で、オゾン濃度0.7〜0.8ppmを維持し、35<L/V/f<50の範囲で、オゾン濃度0.65〜0.7ppmを維持している。
このことから、0.5<L/V/fを満足することが好ましく、1<L/V/fを満足することがさらに好ましいことがわかる。これらの条件を満足することで、放電によって発生したオゾンが、再び放電にさらされ難くなっているものと考えられる。つまり、再度の放電によるO原子との反応による分解反応や、水分子やOHとの反応による分解反応を引き起こすことがなく、オゾン発生の低減が抑制されているものと考えられる。
また、50>L/V/fを満足することが好ましく、20>L/V/fを満足することがさらに好ましいことがわかる。これらの条件を満足することで、反応しないまま通過する原料ガス12が減少し、その結果、オゾン発生の低減が抑制されているものと考えられる。
さらに、サンプル11〜13の結果から、放電空間22を通過する原料ガス12の流量を380L/min以下とすることが好ましいことがわかる。さらに好ましくは、300L/min以下であり、より好ましくは150L/min以下である。これらの条件を満足することにより、放電空間22に流れる原料ガス12の分布が減少し、放電空間22内で均一にオゾンが生成でき、原料ガス12が多すぎてオゾンが生成しきれないことをなくすことができているものと考えられる。その結果、放電空間22に入った原料ガス12のうち、放電空間22で反応しきれないまま放電空間22を通過する原料ガス12を減らすことができるため、高いオゾンの生成効率を得ることができる。
なお、本発明に係るオゾン発生器は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
10…オゾン発生器 12…原料ガス
16…電極対 18…交流電源
20…電極 20a…一方の電極
20b…他方の電極 22…放電空間
24…原料ガス通過面 26…放電空間ではない部分
30…中空部 32…誘電体
34…導体 Dg…ギャップ長

Claims (11)

  1. 2つの電極が所定のギャップ長を隔てて配置された1以上の電極対を有し、
    前記電極対の少なくとも前記2つの電極間に原料ガスを通過させ、前記2つの電極間に放電を発生させることで、オゾンを発生させるオゾン発生器において、
    前記電極は、中空部を有する筒状の誘電体と、該誘電体の前記中空部内に位置された導体とを有し、
    前記ギャップ長は1.0mm未満であることを特徴とするオゾン発生器。
  2. 請求項1記載のオゾン発生器において、
    前記ギャップ長は0.5mm以下であることを特徴とするオゾン発生器。
  3. 請求項1記載のオゾン発生器において、
    前記ギャップ長は0.1mm以上であることを特徴とするオゾン発生器。
  4. 請求項1記載のオゾン発生器において、
    前記ギャップ長は0.2mm以上であることを特徴とするオゾン発生器。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のオゾン発生器において、
    前記原料ガスが大気であることを特徴とするオゾン発生器。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のオゾン発生器において、
    前記原料ガスが絶対湿度0〜50g/m3の大気であることを特徴とするオゾン発生器。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のオゾン発生器において、
    前記2つの電極で挟まれた空間が放電空間であり、
    複数の前記電極対が並列もしくは直列又は並列及び直列に配置され、
    前記原料ガスの流れの主方向を法線方向とする原料ガス通過面に、前記放電空間ではない部分が存在することを特徴とするオゾン発生器。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のオゾン発生器において、
    前記2つの電極間に交流電圧を印加する電源を有し、
    前記2つの電極で挟まれた空間が放電空間であり、
    前記放電空間を通過する前記原料ガスの流速をV(m/s)、前記交流電圧の周波数をf(Hz)、前記放電空間のうち、前記原料ガスの流れの主方向に沿った長さをL(m)としたとき、
    0.5<L/V/f
    を満足することを特徴とするオゾン発生器。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のオゾン発生器において、
    前記2つの電極間に交流電圧を印加する電源を有し、
    前記2つの電極で挟まれた空間が放電空間であり、
    前記放電空間を通過する前記原料ガスの流速をV(m/s)、前記交流電圧の周波数をf(Hz)、前記放電空間のうち、前記原料ガスの流れの主方向に沿った長さをL(m)としたとき、
    1<L/V/f
    を満足することを特徴とするオゾン発生器。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のオゾン発生器において、
    50>L/V/f
    を満足することを特徴とするオゾン発生器。
  11. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のオゾン発生器において、
    20>L/V/f
    を満足することを特徴とするオゾン発生器。
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