JP2015134855A - 着色樹脂粒子分散体及びインクジェットインク - Google Patents

着色樹脂粒子分散体及びインクジェットインク Download PDF

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Abstract

【課題】印刷物の耐摩耗性に優れる着色樹脂粒子分散体及びインクジェットインクを提供する。【解決手段】着色樹脂粒子、酸性分散剤、及び非水系溶剤を含み、着色樹脂粒子は、色材、固体樹脂、及び塩基性基を有する液体有機化合物を含む、着色樹脂粒子分散体である。色材は造塩染料及び/または塩基性染料を含むことが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、着色樹脂粒子分散体及びインクジェットインクに関する。
印刷用インクの色材としては、大別して染料と顔料がある。染料を用いる場合、発色が良いといった利点がある。また、染料は、顔料に比べ耐摩耗性、特に耐擦過性に優れるという利点がある。しかし、染料自体の耐水性及び耐マーカー性が低いという問題がある。一方、顔料は、画像濃度が高い、耐候性に優れるという利点があるが、染料に比べ耐摩耗性、特に耐擦過性が低いという問題がある。
これに対して、色材を樹脂で包含して着色樹脂粒子の形態とすることで、色材の持つ画像性に関する特徴をいかしつつ、耐摩耗性とともに耐水性及び耐マーカー性にも優れるインクを提供する方法がある。ここで、樹脂としては、インクに耐摩耗性、耐水性及び耐マーカー性を付与する特性を有することが望まれる。
特許文献1、特許文献2及び非特許文献1には、有機溶媒Aと、有機溶媒Aとほとんど相溶性がない有機溶媒Bとを使用して、有機溶媒Bと樹脂とを含む分散相及び有機溶媒Aを含む連続相からなる分散液とした後、分散液から減圧又は加熱により有機溶媒Bを除去することで、有機溶媒A中に高分子粒子が分散した高分子粒子分散物を製造することが提案されている。
すなわち、有機溶媒B中に有機溶媒Aに溶解しない樹脂を溶解させて内包させたものを、連続相となる有機溶媒A中に分散させ、その後有機溶媒Bを減圧又は加熱によって除去することにより、高分子粒子が有機溶媒A中に安定に分散した高分子粒子分散物を得ることが提案されている。
分散相の樹脂として、特許文献1の実施例ではスチレン−マレイン酸共重合樹脂が使用され、特許文献2の実施例ではスチレン−マレイン酸共重合樹脂及びポリビニルピロリドンが使用され、非特許文献1ではポリビニルピロリドンが使用されている。これらの樹脂は、負に解離する極性基を有する樹脂や、正に解離する極性基を有する樹脂であり、負の電荷や正の電荷を有する高分子粒子を形成し、安定な分散液が提供されることが提案されている。
特許文献3では、有機溶媒Aと、有機溶媒Aとほとんど相溶性がない有機溶媒Bを使用して、有機溶媒Bと多官能モノマーまたは樹脂と重合開始剤とを含む分散相及び有機溶媒Aを含む連続相からなる分散液とした後、光または熱により架橋反応を生じさせ、分散液から減圧又は加熱により有機溶媒Bを除去することで、有機溶媒A中に高分子粒子が分散した高分子粒子分散物を製造することが提案されている。
上記文献によれば、高分子粒子分散物は、インキ、複写用トナーをはじめ、各種用途の塗料、さらにカラー化される液晶、携帯端末用カラーフィルター、電子ブック及び電子ペーパーの着色材料として、ナノレベルからマイクロレベルの高分子粒子が安定に分散されることが望まれる。
特開2007−197632号公報 特開2005−255911号公報 特開2007−197633号公報
高分子論文集、Vol.62、No.7、pp.310―315(July、2005)
しかしながら、これらの高分子粒子分散物を用いて印刷用インキを調整した場合に、用紙等へ印刷された画像の耐摩耗性について、上記文献では検討されていない。単に樹脂を添加したのみでは、画像の耐摩耗性を十分に得ることは難しい。また、インクの耐摩耗性、耐水性及び耐マーカー性が向上する樹脂を用いた場合に、分散液の安定性を維持することは難しいという問題がある。さらに、印刷画像の十分な発色性を得るための色材量を配合した場合、高分子粒子分散物の粘度が上昇して分散物の調整が難しくなるという問題がある。
また、特許文献3の方法では、分散相中の多官能モノマーまたは樹脂の重合反応が必要であり、高分子粒子分散物の製造工程数がかかるという問題がある。
本発明の目的としては、印刷物の耐摩耗性に優れる着色樹脂粒子分散体及びインクジェットインクを提供することである。
本発明の一側面としては、着色樹脂粒子、酸性分散剤、及び非水系溶剤を含み、前記着色樹脂粒子は、色材、固体樹脂、及び塩基性基を有する液体有機化合物を含む、着色樹脂粒子分散体である。
本発明の他の側面としては、上記着色樹脂粒子分散体を含む、インクジェットインクである。
本発明によれば、印刷物の耐摩耗性に優れる着色樹脂粒子分散体及びインクジェットインクを提供することができる。
本発明の一実施形態による着色樹脂粒子分散体(以下、単に「分散体」という場合がある)は、着色樹脂粒子、酸性分散剤、及び非水系溶剤を含み、着色樹脂粒子は、色材、固体樹脂、及び塩基性基を有する液体有機化合物(以下、単に「塩基性化合物」という場合がある)を含むことを特徴とする。
これによって、印刷物の耐摩耗性に優れる着色樹脂粒子分散体及びインクジェットインクを提供することができる。
本実施形態によれば、着色樹脂粒子に塩基性化合物が含まれることで、固体樹脂と色材とが均一に配合されて、印刷物の耐摩耗性、特に耐擦過性をより高めることができる。さらに、印刷画像の十分な発色性を得るために十分な量の色材を配合した場合においても、塩基性化合物が含まれることで、固体樹脂と色材とがより均一に安定して配合されて、色材の発色性をより高めることができる。
着色樹脂粒子の製造工程において、固体樹脂及び色材とともに塩基性化合物を溶剤に配合して混合することで、系が安定化して、各成分をより均一に配合することができる。特に、油中油型エマルションによって着色樹脂粒子分散体を製造する場合には、固体樹脂及び色材とともに塩基性化合物を溶剤に配合して分散相として用いることで、エマルションの乳化安定性をより高めて、結果として、着色樹脂粒子の各成分をより均一に配合することができる。
このような発色性の作用は、塩基性化合物が含まれることで、固体樹脂の種類によらず得ることができる。
また、色材が固体樹脂に包含されて形成されることで、印刷物の耐マーカー性を高めることができる。印刷物をマーカーでなぞる場合、印刷物がマーカーによって擦られて、場合によってはマーカーに含まれる溶剤とインクが作用することがある。色材が固体樹脂に包含されることで、耐擦過性とともに溶剤耐性をより高めることができる。塩基性化合物が含まれることで、色材と固体樹脂とがより均一に安定して配合されるため、耐擦過性及び溶剤耐性をより高めることができ、耐マーカー性をさらに高めることができる。
また、固体樹脂に耐水性を有する固体樹脂を用いた場合においても、塩基性化合物が含まれることで、色材と固体樹脂とをより均一に安定して配合することができる。そのため、耐水性を有する固体樹脂を用いることで、印刷物の発色性及び耐摩耗性とともに、耐水性に優れた着色樹脂粒子分散体を提供することができる。
(着色樹脂粒子)
本実施形態による着色樹脂粒子としては、色材と、固体樹脂と、塩基性化合物とを含む。
この着色樹脂粒子は、色材と固体樹脂と塩基性化合物とが均一に混合されて、粒子形状となっていることが好ましい。
「固体樹脂」
固体樹脂としては、室温(23℃)で固体状の樹脂であることが好ましい。
固体樹脂のガラス転移温度(Tg)としては、粒子形状を安定化するために、30℃以上であることが好ましく、より好ましくは40℃以上である。固体樹脂のガラス転移温度は、制限されないが、150℃以下であることが好ましく、より好ましくは120℃以下である。
また、固体樹脂の溶融温度(Tm)としては、粒子形状を安定化させるために、30℃以上であることが好ましく、より好ましくは、40℃以上である。固体樹脂の溶融温度は、制限されないが、250℃以下であることが好ましく、より好ましくは200℃以下である。
固体樹脂の質量平均分子量としては、3000〜100000が好ましく、より好ましくは5000〜80000である。この範囲で、着色樹脂粒子の形状の安定性を高めることができる。また、着色樹脂粒子の製造工程において、固体樹脂を含む原料を溶剤により均一に混合することができ、結果として成分が均一な着色樹脂粒子を提供することができる。
ここで、樹脂の質量平均分子量は、GPC法により、標準ポリスチレン換算により求めることができる。以下同じである。
固体樹脂としては、Hansenの溶解性パラメーター(HSP値)が22〜27MPa/cmであることが好ましい。また、固体樹脂は、分散項δdが13〜20、極性項δpが5〜12、水素結合項δhが10〜20であることが好ましい。この範囲とすることで、着色樹脂粒子分散体としてのインクが用紙に塗布される際に、着色樹脂粒子と非水系溶剤を速やかに分離させ、耐摩耗性をより向上することができる。
溶解性パラメーターの算出方法を以下に説明する。本発明では、1967年にHansenが提唱した3次元溶解性パラメーターを用いる。
Hansenの溶解性パラメーターは、Hildebrandによって導入された溶解性パラメーターを分散項δd、極性項δp、水素結合項δhの3成分に分割し、3次元空間で表したものである。分散項は、分散力による効果、極性項は、双極子間力による効果、水素結合項は、水素結合力の効果を示す。より詳細には、POLYMER HANDBOOK.FOURTH EDITION.(Editors.J.BRANDRUP,E.H.IMMERGUT,andE.A.GRULKE.)等に説明されている。
Hansenの溶解性パラメーターについては、下記に説明する通り、実験から求めることができる。
まず、分散項δd、極性項δp、水素結合項δhが既知である表1に示す溶剤に対して対象物(固体樹脂等)の溶解性(10mass%)を調査する。次いで、対象物が溶解する溶剤の範囲に相当する分散項δd、極性項δp、水素結合項δhの範囲(最小値と最大値)を求め、その中間の値(3次元溶解性パラメーターの範囲の中心の値)をその対象物の3次元溶解性パラメーターとする。つまり、良溶媒が内側、貧溶媒が外側にくる最大の直方体を考えて、その直方体の中心を対象物の溶解性パラメーター(HSP値)と定める。
分散項δd=(δdmax−δdmin)/2
極性項δp=(δpmax−δpmin)/2
水素結合項δh=(δhmax−δhmin)/2
HSP=δd+δp+δh
溶解性試験に供する溶剤は、溶解性パラメーター(HSP値)がなるべく異なる3次元空間上に位置するものを選択することが好ましい。表1に、各溶剤の溶解性パラメーター(HSP値)、分散項δd、極性項δp、水素結合項δhを示す。
Figure 2015134855
固体樹脂は、上記物性を備えるものを好ましく用いることができ、その種類は限定されない。
固体樹脂の具体例としては、アルキルフェノール樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)、スチレンマレイン酸樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、メトキシメチル化ナイロン等のポリアミド樹脂、ケトン樹脂、ロジン樹脂、酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン等を挙げることができる。
これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
アルキルフェノール樹脂としては、ノボラック型アルキルフェノール樹脂及びレゾール型アルキルフェノール樹脂のいずれであってもよく、これらを組み合わせて用いてもよい。
ノボラック型アルキルフェノール樹脂は、アルキルフェノールとアルデヒドとを酸触媒の存在下で反応させ製造することができる。
レゾール型アルキルフェノール樹脂は、アルキルフェノールとアルデヒドとをアルカリ触媒の存在下で反応させ製造することができる。
また、変性アルキルフェノール樹脂を用いてもよい。変性アルキルフェノール樹脂としては、ロジン変性アルキルフェノール樹脂、アルコキシ基含有シラン変性アルキルフェノール樹脂等を挙げることができる。
原料であるアルキルフェノールとしては、炭素数1〜12のアルキル基を有することが好ましい。アルキルフェノールとしては、一例として、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、プロピルフェノール、ブチルフェノール、アミルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールC、ビスフェノールE、ビスフェノールF等を用いることができる。これらは、単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、これらのアルキルフェノールの置換基の位置は限定されない。
アルデヒドとしては、一例として、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、テトラオキサン等、またはこれらの組み合わせを用いることができる。
ポリビニルアルコールとしては、一般的に、ポリ酢酸ビニルを原料に用いて、ポリ酢酸ビニルの酢酸基を水酸基に置換して製造されため、置換の割合に応じて水酸基とともに酢酸基とを含む樹脂である。
ポリビニルアルコールを構成する全単位に対し、ヒドロキシ基を有する単位のモル比をnとし、酢酸基(−O−CO−CH)を有する単位のモル比をmとする場合、けん化度は(n/(n+m))×100、重合度はn+mで表される。
ポリビニルアルコールのけん化度(n/(n+m))×100としては、0〜60であることが好ましく、より好ましくは1〜50である。
ポリビニルアルコールの重合度(n+m)としては、10〜1000であることが好ましく、より好ましくは20〜500である。
ポリビニルアセタール樹脂としては、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂をアセタール化して製造されるものを用いることができる。具体的には、PVA樹脂を酸触媒でアルデヒドと反応させて、PVA樹脂の水酸基の一部または全部をアセタール化して、ポリビニルアセタール樹脂を製造することができる。
ポリビニルアセタール樹脂を調製する際に必要なポリビニルアルコールのけん化度(n/(n+m)×100)としては、2以上であることが好ましく、より好ましくは5以上である。このヒドロキシ基の割合はアセタール化に適する。
また、ポリビニルアルコールの重合度(n+m)としては、10〜1000であることが好ましく、より好ましくは20〜500である。
アルデヒドとしては、一例として、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、テトラオキサン、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、等を用いることができる。
また、アルデヒドとしては、脂環族アルデヒド類及び芳香族アルデヒドを用いることができる。
脂環族アルデヒド類としては、シクロヘキサンカルボキシアルデヒド、5−ノルボルネン−2−カルボキシアルデヒド、3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド、ジメチル−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド等を挙げることができる。
芳香族アルデヒド類としては、2,4,6−トリメチルベンズアルデヒド(メシトアルデヒド)、2,4,6−トリエチルベンズアルデヒド、2,6−ジメチルベンズアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、2−メトキシ−1−ナフトアルデヒド、2−エトキシ−1−ナフトアルデヒド、2−プロポキシ−1−ナフトアルデヒド、2−メチル−1−ナフトアルデヒド、2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、その他置換基を有する1−ナフトアルデヒド、置換基を有する2−ナフトアルデヒド、9−アントラアルデヒド、置換基を有する9−アントラアルデヒド等を挙げることができる。
上記アルデヒドに加えて、または代えて、ケトンを用いてもよい。
ケトンとしては、2−メチルアセトフェノン、2,4−ジメチルアセトフェノン等のアセトフェノン類、2−ヒドロキシ−1−アセトナフトン、8’−ヒドロキシ−1’−ベンゾナフトン、アセトナフトン等のナフトン類等を挙げることができる。
これらのアルデヒド及びケトンは単独で、または組み合わせて用いてもよい。
ポリビニルアセタール樹脂は、アセタール化度が40〜95mol%であることが好ましく、より好ましくは50〜85mol%である。これによって、着色樹脂粒子の製造工程において、固体樹脂を色材等と溶剤に混合する際に、固体樹脂の溶剤への溶解性を向上することができる。結果として、着色樹脂粒子の成分の均一性や形状の安定性を高めることができる。
ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は、ポリビニルアルコール樹脂の水酸基のうちアセタール化された水酸基の割合として表すことができる。ポリビニルブチラール樹脂の場合は、JISK6728に準拠して測定することができる。
このアセタール化度は、ポリビニルアルコール樹脂をブチルアルデヒドでアセタール化した割合は、特にブチラール化度と称することがある。このブチラール化度は、上記したアセタール化度と同じ範囲であることが好ましい。
ポリビニルアセタール樹脂は、水酸基が60mol%以下であることが好ましく、より好ましくは50mol%以下である。これによって、着色樹脂粒子の製造工程において、固体樹脂を色材等と溶剤に混合する際に、固体樹脂の溶剤への溶解性を向上することができる。結果として、着色樹脂粒子の成分の均一性や形状の安定性を高めることができる。
ここで、固体樹脂の水酸基の割合は、固体樹脂を構成する全単位(mol)に対する、水酸基を有する単位(mol)の割合として表すことができる。以下同じである。
ポリビニルアセタール樹脂としては、ポリビニルアルコール樹脂をブチルアルデヒドによってアセタール化して得られるポリビニルブチラール樹脂(以下、単にブチラール樹脂と称することがある。)、ポリビニルアルコール樹脂をホルムアルデヒドによってアセタール化して得られるポリビニルホルマール樹脂(ビニロン)を好ましく用いることができる。
ポリビニルブチラール樹脂の市販品としては、例えば、積水化学工業株式会社製のエスレックBシリーズ「BL−2H」、「BL−10」、「BL−S」、「BM−1」、「BM−2」、「MN−6」、「BX−L」等;株式会社クラレ製のモビタールBシリーズ「16H」「20H」「30T」「30H」「30HH」「45M」「45H」等を用いることができる。
ポリビニルホルマール樹脂の市販品としては、例えば、JNC株式会社製のビニレックシリーズ「ビニレックK」、「ビニレックC」等;株式会社クラレ製のビニロン繊維等を用いることができる。
これらは単独でも、2種以上を合わせて用いてもよい。
セルロース系樹脂としては、セルロースアセテート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、ニトロセルロース等を挙げることができる。
上記した固体樹脂の配合量は、着色樹脂粒子全体に対し、10質量%以上であることが好ましく、より好ましくは20質量%以上である。
一方、固体樹脂の配合量は、着色樹脂粒子全体に対し、70質量%以下であることが好ましく、より好ましくは50質量%以下である。
着色樹脂粒子には、本発明の効果を損なわない限り、上記した樹脂以外のその他の樹脂が含まれてもよい。その他の樹脂としては、後述する着色樹脂粒子分散体の製造方法で説明しているように、顔料分散剤や添加剤等がある。
「色材」
着色樹脂粒子に含まれる色材としては、顔料及び染料のいずれであってもよく、これらの組み合わせであってもよい。詳細については後述する。
色材は、着色樹脂粒子全体に対して、呈色性及び成分の均一性の観点から、0.1〜50質量%で配合されることが好ましく、より好ましくは1〜40質量%である。
「塩基性化合物」
着色樹脂粒子には、塩基性基を有する液体有機化合物(塩基性化合物)が含まれる。ここで、塩基性基を有する液体有機化合物としては、23℃で液体状であり塩基性基を有する有機化合物である。
固体樹脂とともに塩基性化合物を含むことで、印刷物の耐摩耗性をより向上させることができる。これは、塩基性化合物によって、色材と固体樹脂とをより均一に安定して配合することが可能になるからである。
また、固体樹脂に、酸価が低く耐水性が高い樹脂を用いる場合、耐摩耗性が低下することがあるが、この固体樹脂とともに塩基性化合物を含むことで、耐水性とともに耐摩耗性を向上させることができる。
また、塩基性化合物は、着色樹脂粒子分散体の製造工程において、油中油型エマルションの安定性を維持するために配合することができる。
塩基性化合物の融点としては、室温で液体状を維持するために、23℃以下であることが好ましく、より好ましくは15℃以下である。また、塩基性化合物の炭素数は2以上であることが好ましい。
塩基性化合物としては、着色樹脂粒子分散体に含まれる非水系溶剤に対し溶解度が3g/100g以下であることが好ましく、より好ましくは1g/100g以下であり、さらに好ましくは0.5g/100g以下である。一層好ましくは、着色樹脂粒子分散体の配合において、塩基性化合物が非水系溶剤に実質的に溶解しないように、塩基性化合物が選択される。
塩基性化合物は、塩基性化合物を非水系溶剤に溶解させるときに、塩基性化合物の濃度が高くなるほど酸化還元電位(ORP)値が低くなるものであることが好ましい。一方、塩基性化合物に塩基性基とともに酸性基が含まれる場合は、このORP値が低くなる傾向を示す範囲内であれば、酸性基が含まれていても、塩基性化合物として好ましく用いることができる。なお、塩基性化合物には、酸性基が含まれないことが好ましい。
本実施形態では、塩基性化合物を非水系溶剤としてメタノール等の高極性有機溶剤に溶解させる場合のORP値が低くなることが望ましい。
塩基性化合物のORP値は、0mV未満であることが好ましい。塩基性化合物が塩基性基とともに酸性基を有する場合のORP値は、0〜200mVであることが好ましい。
ここで、酸化還元電位(ORP値)は、作用電極に銀電極、参照電極に塩化銀電極を用いて、測定温度23℃で、各種材料の溶液に作用電極及び参照電極を挿入して測定したものである。酸化還元電位は、一例として、ポータブルpHメータ「pH−208」にORP電極「ORP−14」(ともに、株式会社FUSO製)を用いて測定することができる。以下同じである。
塩基性化合物の溶解性パラメーターとしては、Hansenの溶解性パラメーター(HSP値)が22〜27MPa/cmであることが好ましい。また、塩基性化合物は、分散項δdが13〜20、極性項δpが5〜12、水素結合項δhが10〜20であることが好ましい。この範囲とすることで、着色樹脂粒子の各成分をより均一に配合することができて、粒子形状が安定化され経時安定性をより向上することができるととともに、発色性、耐摩耗性をより向上することができる。
塩基性化合物の塩基性基としては、例えばアミノ基、ピリジル基等を挙げることができる。アミノ基としては、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、及びこれらの組み合わせのいずれであってもよい。中でも、塩基性化合物に第2級アミノ基(イミノ基)が含まれることが好ましい。また、塩基性化合物の塩基性基としては、ウレタン結合やアミド結合等を有する窒素含有の官能基を挙げることができる。また、ウレタン結合やアミド結合等の窒素含有の構成単位が塩基性化合物に導入されていてもよい。
塩基性化合物としては、1分子中に塩基性基を2個以上有する液体有機化合物であることが好ましい。
塩基性化合物は、オリゴマー、ポリマー、低分子量化合物のいずれであってもよい。
オリゴマーまたはポリマーとしては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエチレンイミン等を、単独で、または併用して用いることができる。また、これらの樹脂を構成するモノマーまたはオリゴマーの共重合体を用いてもよい。
塩基性基としては、オリゴマーまたはポリマーを構成するモノマーに由来して、各構成単位の主鎖または側鎖に酸性基が結合して導入されていてもよい。
また、塩基性基としては、オリゴマーまたはポリマーのアルキルアンモニウム塩やアミン塩等として導入されていてもよい。
塩基性化合物がオリゴマーまたはポリマーである場合は、質量平均分子量が500〜10000であることが好ましく、より好ましくは1000〜5000である。
塩基性化合物としては、例えば、変性ポリウレタン、塩基性基含有ポリ(メタ)アクリレート、塩基性基含有ポリエステル、ポリエステルアミン、ポリエチレンイミン、第4級アンモニウム塩、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩、脂肪酸アミン塩等を挙げることができる。これらは、単独で、または複数種を組み合わせて使用してもよい。
塩基性化合物は、塩基価を持つことが好ましい。塩基性化合物の塩基価は、好ましくは10KOHmg/g以上であり、より好ましくは40KOHmg/g以上であり、一層好ましくは70KOHmg/g以上である。
ここで、塩基価は、不揮発分1gに含まれる全塩基性成分を中和するのに必要な塩酸と当量の水酸化カリウムのミリグラム数である。以下同じである。
市販されているもののなかから、塩基性化合物として用いることができるものとしては、例えば、
日本ルーブルゾール株式会社製「ソルスパース71000」(ポリエチレンイミン系化合物、塩基価77mgKOH/g)、「ソルスパース20000」(塩基価32mgKOH/g);
ビックケミー・ジャパン株式会社製「DYSPERBYK109」(塩基価140mgKOH/g)、「DYSPERBYK116」(塩基価65mgKOH/g)、「DYSPERBYK2155」(塩基価48mgKOH/g)、「DYSPERBYK9077」(塩基価48mgKOH/g)等を用いることができる。
塩基性化合物は、着色樹脂粒子全体に対して、0.1〜50質量%で配合されることが好ましく、より好ましくは1〜40質量%である。これによって、着色樹脂粒子の成分の均一性及び安定性を維持する一方で、その他の原料への作用を防ぐことができる。
「可塑剤」
着色樹脂粒子は、上記した塩基性化合物に加えて、塩基性基を有していない、液体状の有機化合物(以下、単に「可塑剤」と称することがある。)をさらに含むことができる。これによって、印刷物の耐摩耗性をより高めることができる。
可塑剤は、固体樹脂の軟化領域を下げ可塑性を付与し、着色樹脂粒子の固体樹脂及び色材を混合する際に、可塑剤が配合されていることで、上記した固体樹脂と色材とをより均一に混合することができる。これによって、着色樹脂粒子の成分が均一となって、耐摩耗性をより高めることができる。
可塑剤の非水系溶剤に対する溶解度は23℃で3g/100g以下であることが好ましく、着色樹脂粒子の固体樹脂に可塑性を付与するとともに、非水系溶剤への溶解を防いで、着色樹脂粒子の形状安定性を維持することができる。また、着色樹脂粒子分散体を製造する際に、固体樹脂及び色材を含む分散相の合一を防いで、油中油型エマルションの安定性をより高めることができる。結果として、着色樹脂粒子の成分をより均一にすることができる。
この溶解度は、より好ましくは23℃で1g/100g以下であり、一層好ましくは0.5g/100g以下である。最も好ましくは、着色樹脂粒子分散体の配合割合において、可塑剤は非水系溶剤に実質的に溶解しないものである。
可塑剤の融点としては、23℃以下であることが好ましく、より好ましくは15℃以下である。これによって、着色樹脂粒子の固体樹脂及び色材をより均一に混合することができる。
可塑剤としては、低分子化合物、高分子化合物及びこれらの組み合わせのいずれであってもよい。
低分子化合物としては、例えば、アルコール類、エステル類、エーテル類等を用いることができる。
アルコール類としては、低級多価アルコール及び/または高級多価アルコールを好ましく用いることができる。アルコール類のヒドロキシ基数は1〜10であることが好ましい。
低級多価アルコールの炭素数としては、4〜6であることが好ましい。
低級多価アルコールの具体例としては、1,5ペンタンジオール、1,6ヘキサンジオール、3メチル1,5ペンタンジオール等のジオール類を挙げることができる。
高級多価アルコールの炭素数としては、10〜250であることが好ましい。
高級多価アルコールの具体例としては、ヒマシ油ポリオール等のポリオール類を挙げることができる。
エステル類としては、低分子エステルを好ましく用いることができる。
低分子エステルの炭素数としては、8〜30であることが好ましい。
低分子エステルの具体例としては、フタル酸ジイソノニル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジイソノニル等を挙げることができる。
また、可塑剤としては、ポリエステル類、ポリエーテル類、(メタ)アクリルポリマー類等の高分子化合物を好ましく用いることができる。
高分子化合物の質量平均分子量としては、300〜8000であることが好ましく、より好ましくは1000〜5000である。これによって、着色樹脂粒子の形状の安定性と可塑性をバランス良く与えることができる。
ポリエステル類としては、例えば、低分子量のポリオールと二塩基酸とをエステル化反応して得られるポリエステルポリオール、ポリカプロラクトン、ポリ−β−メチル−δ−バレロラクトン等を挙げることができる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、アジピン酸ジエチレングリコール(AA−DEG)、アジピン酸ネオペンチルグリコール(AA−NPG)、アジピン酸トリメチロールプロパン/ジエチレングリコール(AA−TMP/DEG)等を挙げることができる。
ポリエーテル類としては、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール等のポリエーテルポリオール等を挙げることができる。
(メタ)アクリルポリマー類としては、メタクリル単位及び/またはアクリル単位を有する(メタ)アクリル樹脂の他、メタクリル単位及び/またはアクリル単位とともにその他の単位を有する共重合体を用いることができる。その他の単量体としては、例えば、酢酸ビニル単位、スチレン単位等を用いることができる。
(メタ)アクリルポリマー類の市販品としては、東亜合成株式会社製「ARUFONUP−1010」、「ARUFONUP−1190」、「ARUFONUH−2000、「ARUFONUH−2190」、「ARUFONUH−2041」、「ARUFONUG−4010」、「ARUFONUS−6100」等を挙げることができる。
これらの可塑剤は単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なかでも、ポリエステル類、ポリエーテル類、(メタ)アクリルポリマー類を単独で、または組み合わせて好ましく用いることができる。
上記した可塑剤の配合量は、着色樹脂粒子全体に対し、5質量%〜40質量%であることが好ましい。
着色樹脂粒子の平均粒子径は、10μm以下程度であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましく、1μm以下であることが一層好ましい。この範囲であることで、微細な粒子を提供することができ、インクジェット用インク、電子写真方式用トナー、オフセット用インク、孔版印刷用インク、グラビア印刷用インク等の各種インクに応用することができる。
ここで、着色樹脂粒子の平均粒子径は、動的散乱方式による体積基準の平均粒子径であり、例えば、株式会社堀場製作所製の動的光散乱式粒径分布測定装置「LB−500」等を用いて測定することができる。以下同じである。
(着色樹脂粒子分散体)
本実施形態による着色樹脂粒子分散体は、上記した着色樹脂粒子とともに、非水系溶剤及び酸性分散剤を含む。非水系溶剤及び酸性分散剤については、後述の着色樹脂粒子分散体の製造方法で説明する通りである。非水系溶剤としては、着色樹脂粒子を分散可能である溶剤であることが好ましい。酸性分散剤としては、非水系溶剤中で着色樹脂粒子を分散させるために配合される。また、酸性分散剤は、後述する着色樹脂粒子の製造工程において、エマルションの調整のために配合されることもある。
酸性分散剤は、分散性の観点から、分散体全体に対して、0.1〜20質量%で配合されることが好ましく、より好ましくは1〜15質量%である。
本実施形態による着色樹脂分散体において、着色樹脂粒子は分散体全体に対し1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは5質量%以上であり、さらに好ましくは10質量%以上である。これによって、インクとして呈色性にすぐれ、溶剤量を低減して乾燥性を高めることができる。
一方、着色樹脂粒子は分散体全体に対し50質量%以下であることが好ましく、より好ましくは40質量%以下であり、さらに好ましくは30質量%以下である。これによって、分散性及び保存安定性を高めることができる。
(着色樹脂粒子分散体の製造方法)
以下、本実施形態による着色樹脂粒子分散体の製造方法の一例について説明する。なお、本実施形態による着色樹脂粒子分散体は、以下の製造方法で製造されたものに限定されない。
着色樹脂粒子分散体の調整方法は、化学的方法、物理化学的方法に大別される。化学的手法としては、界面重縮合法、界面反応法(in situ重合法)、液中硬化皮膜法(オリフィス法)などが挙げられる。物理化学的手法としては、液中乾燥法(水中乾燥法、油中乾燥法)、コアセルベーション法、融解分散冷却法などが挙げられる。
本実施形態による着色樹脂粒子分散体は、例えば、上記の物理化学的方法を用いて調整が可能であり、特に、液中乾燥法を好ましく用いることができ、油中油型エマルションの油中乾燥法を特に好ましく用いることができる。
油中油型エマルションの油中乾燥法を用いることで、上記記載の材料を用いて、平均粒子径が小さくかつ、粒子径分布が狭い着色樹脂粒子を調整することが可能であり、また、粘度が低い着色樹脂粒子分散体を調整することが可能である。これによって、特に、インクジェット吐出に適するインクを得ることができ、更に、耐擦過性に優れるインクジェットインクを得ることできる。
油中油型エマルションの油中乾燥法を用いた着色樹脂粒子分散体は、酸性分散剤及び非水系溶剤(以下、連続相の非水系溶剤を溶剤Aと称することがある。)を少なくとも含む相を連続相とし、色材、固体樹脂、塩基性化合物及び非水系溶剤(以下、分散相の非水系溶剤を溶剤Bと称することがある。)を少なくとも含む相を分散相とし、連続相と分散相とを混合して油中油(O/O)型エマルションを作製し、これから分散相のうち溶剤Bを除去して得ることができる。
油中油型エマルションを安定して作製するために、溶剤Bは、溶剤Aに対して溶解度が低いことが好ましい。また、溶剤Bを除去するために、溶剤Bは、溶剤Aに対して沸点が低いことが好ましい。
油中油型エマルションを安定して作製するために、酸性分散剤は、溶剤Bよりも溶剤Aに対する溶解度が高いことが好ましい。また、着色樹脂粒子の形状を安定させるために、固体樹脂及び塩基性化合物は溶剤Aよりも溶剤Bに対する溶解度が高いことが好ましい。
「連続相」
連続相としては、溶剤Aと酸性分散剤とを含む。
溶剤Aとしては、後述する酸性分散剤、溶剤B及び固体樹脂との関係性を満たすように、各種非水系溶剤から適宜選択して用いることができる。
非水系溶剤としては、非極性有機溶剤及び極性有機溶剤の何れも使用できる。これらは、単独で使用してもよく、単一の相を形成する限り、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
非極性有機溶剤としては、脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素溶剤、芳香族炭化水素溶剤等の石油系炭化水素溶剤を好ましく挙げることができる。脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素溶剤としては、パラフィン系、イソパラフィン系、ナフテン系の溶剤が挙げられる。例えば、以下の商品名で販売されているものが挙げられる。テクリーンN−16、テクリーンN−20、テクリーンN−22、ナフテゾールL、ナフテゾールM、ナフテゾールH、0号ソルベントL、0号ソルベントM、0号ソルベントH、アイソゾール300、アイソゾール400、AFソルベント4号、AFソルベント5号、AFソルベント6号、AFソルベント7号、カクタスノルマルパラフィンN12、N13、N14、YHNP、SHNP(いずれもJX日鉱日石エネルギー株式会社製);アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM、エクソールD40、エクソールD80、エクソールD100、エクソールD130、及びエクソールD140(いずれも東燃ゼネラル石油株式会社製)。芳香族炭化水素溶剤としては、グレードアルケンL、グレードアルケン200P(いずれもJX日鉱日石エネルギー株式会社製)、ソルベッソ200(東燃ゼネラル石油株式会社製)等が挙げられる。非極性有機溶剤の50%留出点は、100℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることがいっそう好ましい。50%留出点は、JIS K0066「化学製品の蒸留試験方法」に従って測定される、質量で50%の溶剤が揮発したときの温度を意味する。
極性有機溶剤としては、非水溶性の極性有機溶剤として、エステル系溶剤、高級アルコール系溶剤、高級脂肪酸系溶剤等を好ましく挙げることができる。例えば、ラウリル酸メチル、ラウリル酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソステアリル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、リノール酸メチル、リノール酸イソブチル、リノール酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、大豆油メチル、大豆油イソブチル、トール油メチル、トール油イソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、モノカプリン酸プロピレングリコール、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル等の、1分子中の炭素数が14以上のエステル系溶剤;イソミリスチルアルコール、イソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール等の、1分子中の炭素数が8以上の高級アルコール系溶剤;イソノナン酸、イソミリスチン酸、ヘキサデカン酸、イソパルミチン酸、オレイン酸、イソステアリン酸等の、1分子中の炭素数が9以上の高級脂肪酸系溶剤等が挙げられる。
これらは単独で、または複数種を組み合わせて使用することができる。
これらの中でも、溶剤Aとして、非極性有機溶剤が好ましく、より好ましくはナフテン系、パラフィン系、イソパラフィン系等の炭化水素溶剤である。
溶剤Aは、Hansenの溶解性パラメーター(HSP値)が14〜18MPa/cmであることが好ましい。また、溶剤Aは、分散項δdが12〜20、極性項δpが0〜4、水素結合項δhが0〜4であることが好ましい。
溶剤Aの溶解性パラメーターが上記範囲であるとともに、着色樹脂粒子の塩基性化合物及び固体樹脂の溶解性パラメーターが上記範囲であることで、着色樹脂粒子の溶媒Aに対する分散安定性を向上することができる。また、着色樹脂粒子分散体を用いて印刷する際に、用紙上で着色樹脂粒子と非水系溶剤の分離をより促進することができ、着色樹脂粒子の用紙への定着性をより高めて、耐摩耗性をより向上することができる。このような定着性の効果は、コート紙等の非浸透紙に印刷した際により発揮することができる。
固体樹脂と溶剤Aとの組み合わせとしては、下記ΔHSP値の範囲が14〜25であることが好ましい。
ΔHSP=(δd固体樹脂−δd溶剤A+(δp固体樹脂−δp溶剤A+(δh固体樹脂−δh溶剤A
塩基性化合物と溶剤Aとの組み合わせとしては、同様に、下記ΔHSP値の範囲が14〜25であることが好ましい。
ΔHSP=(δd塩基性化合物−δd溶剤A+(δp塩基性化合物−δp溶剤A+(δh塩基性化合物−δh溶剤A
ΔHSPを上記範囲とすることで、着色樹脂粒子の溶媒Aに対する分散安定性をより向上することができるとともに、用紙上で着色樹脂粒子と非水系溶剤の分離をより促進し、用紙への定着性をより向上することができる。
溶剤Aの50%留出点としては、400℃以下であることが好ましく、より好ましくは300℃以下である。一方、溶剤Aの50%留出点の下限値は、溶剤Aの揮発を防止して着色樹脂粒子分散体の安定性を保つために、100℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましい。
酸性分散剤は、酸性基を有する分散剤である。酸性分散剤としては、溶剤Bよりも溶剤Aに対する溶解度が高いことが好ましい。
好ましくは、酸性分散剤は、溶剤Bに対する溶解度が23℃で3g/100g以下であり、より好ましくは0.5g/100g以下である。また、好ましくは、酸性分散剤は、溶剤Aに対する溶解度が23℃で3g/100g以上であり、より好ましくは5g/100g以上であり、さらに好ましくは10g/100g以上である。一層好ましくは、油中油型エマルションの配合割合において、溶剤Aに酸性分散剤が実質的に全て溶解し、溶剤Bに酸性分散剤が実質的に溶解しないように、酸性分散剤が選択される。
酸性分散剤は、酸性分散剤を非水系溶剤に溶解させるときに、酸性分散剤の濃度が高くなるほど酸化還元電位(ORP)値が高くなるものであることが好ましい。一方、酸性分散剤に酸性基とともに塩基性基が含まれる場合は、このORP値が高くなる傾向を示す範囲内であれば、塩基性基が含まれていても、酸性分散剤として好ましく用いることができる。なお、酸性分散剤には、塩基性基が含まれないことが好ましい。
酸性分散剤のORP値は、500mV以上であることが好ましく、より好ましくは1000mV以上である。
酸性分散剤の酸性基としては、リン酸基、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸エステル基、硫酸エステル基、硝酸エステル基、亜リン酸基、ホスホン酸基、スルフィン酸基等を挙げることができる。これらは、1分子中に1種、または2種以上組み合わせて含まれてもよい。
酸性分散剤は、オリゴマー、ポリマー、低分子量化合物のいずれであってもよい。
オリゴマーまたはポリマーとしては、例えば、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリエーテル系樹脂等を、単独で、または併用して用いることができる。また、これらの樹脂を構成するモノマーまたはオリゴマーの共重合体を用いてもよい。
酸性基としては、オリゴマーまたはポリマーを構成するモノマーに由来して、各構成単位の主鎖または側鎖に酸性基が結合して導入されていてもよい。
また、酸性基としては、オリゴマーまたはポリマーをリン酸エステル化して導入されていてもよい。
酸性分散剤がオリゴマーまたはポリマーである場合は、質量平均分子量が500〜10000であることが好ましく、より好ましくは1000〜5000である。
また、酸性分散剤としては、12−ヒドロキシステアリン酸等の高級脂肪酸を用いることができる。
酸性分散剤は、酸価を持つことが好ましい。酸性分散剤の酸価は、好ましくは10KOHmg/g以上であり、より好ましくは20KOHmg/g以上であり、一層好ましくは30KOHmg/g以上である。
ここで、酸価は、不揮発分1g中の全酸性成分を中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数である。以下同じである。
市販されているもののなかから、酸性分散剤として用いることができるものとしては、例えば、
日本ルーブルゾール株式会社製「ソルスパース3000」(12―ヒドロキシステアリン酸の6量体、酸価32mgKOH/g)、「ソルスパース21000」(酸価72mgKOH/g)、「ソルスパース36000」(酸価45mgKOH/g)、「ソルスパース41000」(酸価50mgKOH/g);
ビックケミー・ジャパン株式会社製「DYSPERBYK2096」(酸価40mgKOH/g)等を挙げることができる。
連続相中の酸性分散剤は、エマルションの安定性及び着色樹脂粒子の分散性の観点から、連続相全体に対し0.1〜15質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜10質量%である。
溶剤Bの除去後の酸性分散剤の含有量としては、着色樹脂粒子の分散性の観点から、着色樹脂粒子分散体全体に対し0.1〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜15質量%である。
連続相には、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、表面張力調整剤、消泡剤等のその他の任意成分を添加してもよい。
「分散相」
分散相としては、溶剤Bと色材と固体樹脂と塩基性化合物とを含む。
溶剤Bは、上記した溶剤Aに対する溶解度が23℃で3g/100g以下であり、溶剤Aよりも沸点が低いものであることが好ましい。
溶剤Bとしては、好ましくは極性有機溶剤であり、より好ましくは低級アルコール系溶剤である。低級アルコール系溶剤としては、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール等を挙げることができる。さらに好ましくは、炭素数4以下の低級アルコール系溶剤である。
溶剤Bのその他の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等を挙げることができ、さらに、上記した溶剤A、酸性分散剤及び樹脂との関係性を満たすものを適宜選択して用いることができる。
これらは単独で、または複数種を組み合わせて使用することができる。
溶剤Bの溶剤Aに対する溶解度は23℃で3g/100gであることが好ましく、より好ましくは、23℃で1g/100g以下であり、さらに好ましくは0.5g/100g以下であり、一層好ましくは、実質的に溶解しないことである。
溶剤Bと溶剤Aとの沸点の差は、10℃以上であることが好ましく、より好ましくは20℃以上であり、さらに好ましくは、50℃以上である。この場合、石油系炭化水素溶剤等の混合溶剤の場合、50%留出点を沸点とする。また、溶剤Bの沸点は、100℃以下であることが好ましく、より好ましくは90℃以下である。一方、溶剤Bの沸点の下限値は、溶剤Bが−20〜90℃の範囲で液状であれば特に制限されない。
溶剤Bは、Hansenの溶解性パラメーター(HSP値)が18〜30MPa/cmであることが好ましく、より好ましくは20〜30MPa/cmである。また、溶剤Bは、分散項δdが14〜17、極性項δpが5〜15、水素結合項δhが5〜25であることが好ましく、より好ましくは、分散項δdが14〜17、極性項δpが5〜15、水素結合項δhが15〜25である。
溶剤Bの溶解性パラメーターが上記範囲であることで、溶剤Aに対して溶解性が低く、かつ、着色樹脂粒子及び固体樹脂をそれぞれ溶解させる能力を有することができる。着色樹脂粒子及び固体樹脂の溶解性パラメーターとしては、上記範囲のものであれば、溶剤Bに溶解し、溶剤Aに対して不溶性で分散安定性を得ることができる。
また、溶剤Aが炭化水素系溶剤を含み、溶剤Bが炭素数4以下のアルコール系溶剤を含むことが好ましい。炭化水素系溶剤の好ましい例としては、ナフテン、パラフィン、イソパラフィン等であり、炭素数4以下のアルコール系溶剤の好ましい例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等であり、より好ましくはメタノールである。
色材としては、染料及び顔料のいずれであってもよく、これらを組み合わせて用いてもよい。
染料としては、当該技術分野で一般に用いられているものを任意に使用することができ、例えば、塩基性染料、酸性染料、直接染料、可溶性バット染料、酸性媒染染料、媒染染料、反応染料、バット染料、硫化染料、金属錯塩染料、造塩染料等を挙げることができる。これらは単独で、または複数種を組み合わせて用いてよい。
染料としては、具体的には、アゾ染料、金属錯塩染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、カーボニウム染料、キノンイミン染料、キサンテン染料、シアニン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、フタロシアニン系染料、金属フタロシアニン系染料、トリアリールメタン染料、ローダミン染料、スルホローダミン染料、メチン染料、アゾメチン染料、キノン染料、フタロシアニン系染料、トリフェニルメタン染料、ジフェニルメタン染料、メチレンブルー等を挙げることができる。これらは単独で、または複数種を組み合わせて用いてよい。
染料としては、分散相中で溶解可能または分散可能であれば、油溶性染料及び水溶性染料のいずれであってもよい。好ましくは油溶性染料を用いることで、分散相への溶解性を高めることができる。
油溶性染料としては、例えば、上記各種染料のうち油溶性の染料を用いることができる。水溶性染料としては、例えば、上記各種染料のうち水溶性の染料及び還元等により水溶性にされた染料等を用いることができる。
染料としては、塩基性染料を好ましく用いることができる。塩基性染料を用いることで、油中油型エマルションによって分散体を作製する際に、連続相に酸性分散剤を含ませ、分散相に塩基性染料を含ませることができ、油中油型エマルションをより安定化することができる。
塩基性染料としては、例えば、アントラキノン染料、ローダミン染料、トリアリールメタン染料、アゾ染料、キサンテン染料、メチン染料等を好ましく用いることができる。
また、酸性染料を用いることもできる。好ましい酸性染料としては、例えば、金属錯塩染料、アゾ染料、アントラキノン染料、金属フタロシアニン系染料、キサンテン染料、キノリン染料、インジゴ染料等を挙げることができる。
染料として、造塩染料を好ましく用いることができる。造塩染料としては、酸性染料と塩基性染料とを反応させた造塩染料、酸性染料を有機アミン等の塩基によって造塩した造塩染料、塩基性染料を有機酸等の酸によって造塩した造塩染料を用いることができる。造塩染料は酸性度が低いため、分散相に好ましく配合することができる。
塩基性染料としては、例えば、和光純薬工業株式会社製ローダミン6G、ローダミンB、ローダミン123等;保土谷化学工業株式会社製アイゼンカチロンシリーズの「Yellow3GLH」、「PinkFGH」等を用いることができる。
金属錯塩染料としては、例えば、オリヱント化学工業株式会社製「VALIFAST COLORシリーズ」のValifastBlack3804、3810(ソルベントブラック29)、3820、3830、3840(ソルベントブラック27)、3870、ValifastBlue1605、2606、2620、2670、ValifastOrange3209、3210、ValifastPink2310N、2312、ValifastRed3304、3311、3312、3320、ValifastYellow3108、3170、4120、4121等;
BASF社製「オラゾールシリーズ」のオラゾールブラックRLI、ブルーGN、ピンク5BLG、イエロー2RLN等;
保土谷化学工業株式会社製「AizenSpilonシリーズ」のアイゼンスピロンBlackBH、RLH、アイゼンスピロンVioletRH、アイゼンスピロンRedCBH、BEH、アイゼンスピロンYellowGRH、アイゼンSPTBlue26、アイゼンSPTBlue121、アイゼンSBNYellow510等を用いることができる。
金属フタロシアニン系染料としては、例えば、オリヱント化学工業株式会社製「VALIFAST COLORシリーズ」のValifastBlue1605、2606、2620、2670等を用いることができる。
造塩染料としては、例えば、オリヱント化学工業株式会社製「VALIFAST COLORシリーズ」のValifastBlack1815、1821、ValifastBlue1613、1621、1631、ValifastRed1308(ベーシックレッド1とアシッドイエロー23の混合物)、1355、1362、1364、1388、ValifastYellow1101、1151、ValifastViolet1731等を用いることができる。
その他の酸性染料としては、例えば、オリヱント化学工業株式会社製Water Blue3、105、Water Red3、9、Water Yellow1、6、Water BlackR−455、R−500、R−510等;日本化薬株式会社製Kayacyl Yellow GG、Kayacyl Blue HRL等を用いることができる。
その他の油溶性染料としては、例えば、オリヱント化学工業株式会社製「OIL COLORシリーズ」のOILBlue613、OILYellow107、SpilitBlackAB、ROB−B等を用いることができる。
その他の水溶性染料としては、例えば、オリヱント化学工業株式会社製「WATER COLORシリーズ」のWaterBlue9、WaterRed1、2、27(アシッドレッド52)、WaterPink2、WaterYellow6C等;ダイワ化成株式会社製DirectBlue199、DaiwaIJBlue109H、ReactiveBlue49、AcidRed289、DaiwaIJRed311H、ReactiveRed218、DaiwaIJYellow214H等を用いることができる。
顔料としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、多環式顔料、染付レーキ顔料等の有機顔料、及び、カーボンブラック、金属酸化物等の無機顔料を用いることができる。アゾ顔料としては、溶性アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料及び縮合アゾ顔料が挙げられる。フタロシアニン顔料としては、金属フタロシアニン顔料及び無金属フタロシアニン顔料が挙げられる。多環式顔料としては、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキシサジン系顔料、チオインジゴ系顔料、アンスラキノン系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料及びジケトピロロピロール(DPP)等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスカーボンブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラックが挙げられる。金属酸化物としては、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。これらの顔料は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
顔料の平均粒子径としては、300nm以下であることが好ましく、より好ましくは200nm以下である。これによって、分散相中での顔料の分散性を良好に保つことができ、また、最終的な着色樹脂粒子の粒子サイズを適正にすることができる。
色材に顔料を用いる場合では、上記した固体樹脂に、あらかじめ顔料を分散させた固形チップを用いることができる。この場合、顔料と樹脂の親和性が向上し定着性をより向上させることができる、また、インク製造上も有利である。固体樹脂に顔料を分散させる方法としては、二本ロールミル等を用いることができる。
固形チップの市販品としては、例えば、以下のものを用いることができる。いずれも太平化学製品株式会社製であり、固体樹脂としてニトロセルロース(NC)を用いている。
「NCL1/4モーガルL」:カーボンブラック(45%)/NCL1/4(45%)/ATBC(10%)。
「NCL1/8イエローFGS」:ピグメントイエロー74(50%)/NCL1/8(35%)/ATBC(15%)。
「NCL1/4ブルーB4G」:フタロシアニンブルー(40%)/NCL1/8(45%)/ATBC(15%)。
NCL1/4はニトロセルロースであり、ATBCはアセチルクエン酸トリブチルである。ここで、%は質量%である。
色材は、染料及び顔料の総量として、着色樹脂粒子全体に対して、呈色性及び成分の均一性の観点から、0.1〜50質量%で配合されることが好ましく、より好ましくは1〜40質量%である。
色材に顔料を用いる場合は、分散相中、すなわち溶剤B中で顔料を安定して分散させるために、顔料分散剤を分散相に含ませてもよい。
顔料分散剤としては、アニオン性分散剤、カチオン性分散剤及びノニオン性分散剤のいずれを用いてもよく、エマルションのその他成分に応じて適宜選択すればよい。また、顔料分散剤は、また、高分子量化合物及び低分子量化合物(界面活性剤)のいずれを用いてもよい。
顔料分散剤としては、例えば、水酸基含有カルボン酸エステル、高分子量ポリカルボン酸の塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、ポリエステルポリアミン、ステアリルアミンアセテート、高分子量不飽和酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート等を用いることができる。
これらは単独で用いられるほか、複数種を組み合わせて使用してもよい。
顔料分散剤は、溶剤Bに対する溶解度が溶剤Aに対する溶解度よりも高いことが好ましく、例えば、溶剤Bに対する溶解度が23℃で3g/100g以上であることが好ましく、より好ましくは5g/100g以上である。さらに好ましくは、油中油型エマルションの配合割合において、溶剤Bに顔料分散剤が実質的に全て溶解し、溶剤Aに顔料分散剤が実質的に溶解しないように、顔料分散剤が選択される。
分散相には、顔料とともにカチオン性分散剤を好ましく配合することができる。
カチオン性分散剤としては、上記した塩基性化合物のなかから顔料分散性を備えるものを用いてもよい。例えば、アミノ基、アミド基、ピリジル基、ウレタン結合等を有する含窒素化合物を好ましく用いることができ、中でもアミノ基を有する含窒素化合物であることが好ましい。
カチオン性分散剤として使用可能な塩基性化合物として、市販されているものとしては、例えば、ルーブリゾール社製「ソルスパース71000」、ビックケミー・ジャパン社製「DISPERBYK2155、9077」等を用いることができる。これらはいずれも溶剤Bに対する溶解性が良好である。
分散相中の顔料分散剤の配合量は、適宜設定できるが、顔料分散性の観点から、質量比で、顔料1部に対し0.05〜2.0部程度であることが好ましく、0.1〜1.0部であることがより好ましく、0.2〜0.6であることがさらに好ましい。
固体樹脂としては、室温(23℃)で固体状の樹脂であることが好ましい。詳細については、上記した通りである。
この固体樹脂は、油中油型エマルションによって着色樹脂粒子を製造する場合は、溶剤Aよりも溶剤Bに対する溶解度が高いものであることが好ましい。
樹脂の溶剤Bに対する溶解度は23℃で10g/100g以上であることが好ましく、より好ましくは20g/100g以上である。また、樹脂の溶剤Aに対する溶解度は23℃で3g/100g以下であることが好ましく、より好ましくは0.5g/100g以下である。一層好ましくは、樹脂は、油中油型エマルションの配合割合において、溶剤Bに実質的に全て溶解し、溶剤Aに実質的に溶解しないものである。
分散相中の固体樹脂は、分散相全量に対し、0.1〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜40質量%であり、一層好ましくは2〜20質量%である。これによって、溶剤Bへの樹脂の溶解性を適正にして、着色樹脂粒子の成分をより均一にすることができる。
溶剤B除去後の固体樹脂の含有量としては、着色樹脂粒子分散体全量に対し、0.1〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜40質量%であり、一層好ましくは2〜20質量%である。これによって、着色樹脂粒子の呈色を適正にして、形状を安定化することができる。
固体樹脂と色材の質量比は、(固体樹脂の質量)/(色材の質量)≧0.5であることが好ましい。この範囲で、連続相と分散相とを混合及び攪拌したときに、乳化安定性に優れた油中油型エマルションを提供することができる。
塩基性化合物は、塩基性基を有する液体有機化合物である。詳細については、上記した通りである。
塩基性化合物を添加することで、印刷物の耐摩耗性をより向上させることができる。これは、塩基性化合物によって、色材と固体樹脂とをより均一に安定して配合することが可能になるからである。
また、固体樹脂に、酸価が低く耐水性が高い樹脂を用いる場合、耐摩耗性が低下することがあるが、この固体樹脂とともに塩基性化合物を添加することで、耐水性とともに耐摩耗性を向上させることができる。
また、塩基性化合物は、着色樹脂粒子分散体の製造工程において、油中油型エマルションの安定性をより高めることができる。
塩基性化合物は、特に制限されないが、溶剤Aよりも溶剤Bに対する溶解度が高いことが好ましい。塩基性化合物の溶剤Bに対する溶解度は23℃で1g/100g以上であることが好ましく、より好ましくは2g/100g以上である。また、塩基性化合物の溶剤Aに対する溶解度は23℃で3g/100g以下であることが好ましく、より好ましくは0.5g/100g以下である。一層好ましくは、塩基性化合物は、油中油型エマルションの配合割合において、溶剤Bに実質的に全て溶解し、溶剤Aに実質的に溶解しないものである。
分散相中の塩基性化合物は、分散相全体に対し0.1〜25質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜20質量%である。これによって、エマルションをより安定化することができる。
溶剤B除去後の塩基性化合物の含有量としては、着色樹脂粒子分散体全体に対し0.1〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜15質量%である。これによって、耐摩耗性をより高めることができる。
塩基性化合物と色材の質量比は、(塩基性化合物の質量)/(色材の質量)≧0.5であることが好ましく、3.0≧(塩基性化合物の質量)/(色材の質量)≧0.7であることがより好ましい。この範囲で、連続相と分散相とを混合及び攪拌したときに、乳化安定性に優れた油中油型エマルションを提供することができるともに、印刷物の耐擦過性をより高めることができる。
分散相は、塩基性基を有さない液体状である有機化合物(可塑剤)をさらに含むことができる。可塑剤の詳細については、上記した通りである。
これによって、上記した固体樹脂及び色材を溶剤Bに混合する際に、溶解性をより高めることができる。これによって、油中油型エマルションにおいて、連続相中で分散相をより安定して分散させることができる。結果として、着色樹脂粒子の成分をより均一にすることができ、印刷物の耐摩耗性等の効果をより高めることができる。
可塑剤の溶剤Bに対する溶解度は23℃で3g/100g以上であることが好ましく、より好ましくは10g/100g以上であり、さらに好ましくは20g/100g以上である。また、可塑剤の溶剤Aに対する溶解度は23℃で3g/100g以下であることが好ましく、より好ましくは1g/100g以下であり、さらに好ましくは0.5g/100g以下である。一層好ましくは、可塑剤は、油中油型エマルションの配合割合において、溶剤Bに実質的に全て溶解し、溶剤Aに実質的に溶解しないものである。
分散相中の可塑剤の含有量は、分散相全量に対し、1質量%〜20質量%であることが好ましい。
溶剤B除去後の可塑剤の含有量としては、着色樹脂粒子分散体全量に対し、5質量%〜40質量%である。
分散相には、本発明の効果を損なわない範囲で、消泡剤、酸化防止剤、表面張力調整剤等のその他の任意成分を添加してもよい。
「分散体の調整方法」
着色樹脂粒子分散体の調整方法としては、特に限定されず、上記した連続相と上記した分散相とを含む油中油型エマルションを作製し、この油中油型エマルションから、減圧及び/または加熱等により分散相中の非水系溶剤Bを除去することで調整することができる。
例えば、連続相及び分散相は、上記した各成分を混合して調整することができる。その後、連続相に分散相を滴下しながら混合及び攪拌することで、連続相に分散相を分散させることができる。このとき、混合及び攪拌は、超音波ホモジナイザーを用いて行うことができる。得られた油中油型エマルションから減圧及び/または加熱により非水系溶剤Bを除去する。このとき、減圧及び/または加熱の程度は、非水系溶剤Bが除去されるが、非水系溶剤Aは残るように調整する。
色材に顔料を用いる場合は、分散相中での顔料の分散方法としては、ボールミル、ビーズミル、超音波、ホモミキサー、高圧ホモジナイザー等の一般的な湿式分散機を用いることができる。
また、油中油型エマルションの連続相と分散相との質量比は、40:60〜95:5の範囲で調整することができる。非水系溶剤Bの添加量は、油中油型エマルション全体に対し、5〜40質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜30質量%である。また、非水系溶剤Bの除去量は、配合された非水系溶剤B全量であることが望ましいが、配合された非水系溶剤B全量に対し90質量%以上であればよい。
着色樹脂粒子分散体の製造方法の他の例としては、例えば、分散相の成分を複数の混合液として別々に調整し、それぞれの混合液を同時もしくは順次、連続相に滴下することで、油中油型エマルションを調整することができる。
具体的には、例えば、酸性分散剤及び非水系溶剤(溶剤A)を少なくとも含む相を連続相とし、色材及び固体樹脂を含まず、塩基性化合物及び非水系溶剤(溶剤B)を少なくとも含む相を分散相とし、連続相と分散相とを混合して油中油(O/O)型プレエマルションを作製し、このプレエマルションに、色材、固体樹脂及び非水系溶剤(溶剤B)を含む混合液をさらに添加して油中油型(O/O)エマルションを作製し、これから分散相及び混合液として添加された溶剤Bを減圧及び/または加熱することで除去して得る方法を用いることができる。以下、この方法を2段階乳化方法と称することがある。
油中油型エマルションを安定して作製するために、溶剤Bは、溶剤Aに対して溶解度が低いことが好ましい。また、溶剤Bを除去するために、溶剤Bは、溶剤Aに対して沸点が低いことが好ましい。
油中油型エマルションを安定して作製するために、酸性分散剤は、溶剤Bよりも溶剤Aに対する溶解度が高いことが好ましい。また、着色樹脂粒子の形状を安定させるために、樹脂は溶剤Aよりも溶剤Bに対する溶解度が高いことが好ましい。
この2段階乳化方法では、着色樹脂粒子を作製する過程で、色材の凝集を防いで、より微細な着色樹脂粒子を提供することができる。着色樹脂粒子の作製行程では、色材が他の成分、特に塩基性化合物と作用して凝集する場合があるが、この2段階乳化方法によれば、色材を後から単独で添加することができ、このような凝集を防止することができる。
微細な粒子径の着色樹脂粒子は、特にインクジェットインクに適する。
2段階乳化方法において、油中油型エマルションに用いられる各成分は、特に説明のない限り、上記したものと共通する。色材としては、顔料及び染料のいずれにおいても、凝集の問題を改善することができる。
連続相において、酸性分散剤及び溶剤Aの配合量は、上記した1段階乳化方法と共通する。
分散相において、塩基性化合物は、分散相全体に対して、1〜70質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜50質量%である。
混合液において、色材は、混合液全体に対して、5〜40質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜30質量%である。色材が顔料である場合は、顔料分散剤を混合液にさらに添加することができる。
混合液において、固体樹脂は、混合液全体に対して、5〜40質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜30質量%である。
2段階乳化方法によって得られる着色樹脂粒子分散体は、上記した1段階乳化方法と同様に、各成分を所定の割合で含むことが好ましい。
着色樹脂粒子分散体において、着色樹脂粒子の平均粒子径は、上記した通りであることが好ましい。
着色樹脂粒子の平均粒子径は、連続相に配合される酸性分散剤の量、または、分散相に配合される不揮発分の量等を調整することで制御することができる。塩基性化合物を配合することで、着色樹脂粒子の平均粒子径をより小さく制御することが可能である。
(インク)
本実施形態によるインクとしては、上記した着色樹脂粒子分散体を含むインクである。このインクは、インクジェット印刷、オフセット印刷、孔版印刷、グラビア印刷、電子写真方式等の印刷インク全般として用いることができる。特に、分散安定性が良好であるため、インクジェットインクとして用いることが好ましい。
インクジェットインクとして用いる場合、着色樹脂粒子分散体をそのまま用いることも可能であり、また、必要に応じて、本発明の目的を阻害しない範囲内で、当該分野において通常用いられている各種添加剤を含ませることができる。例えば、ノズルの目詰まり防止剤、酸化防止剤、導電率調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、酸素吸収剤等を適宜添加することができる。これらの種類は、特に限定されることはなく、当該分野で使用されているものを用いることができる。また、着色樹脂粒子分散体を上記した非水系溶剤で希釈してもよい。
インクジェットインクとしての粘度は、インクジェット記録システムの吐出ヘッドのノズル径や吐出環境等によってその適性範囲は異なるが、一般に、23℃において5〜30mPa・sであることが好ましく、5〜15mPa・sであることがより好ましく、約10mPa・s程度であることが、一層好ましい。ここで粘度は、23℃において0.1Pa/sの速度で剪断応力を0Paから増加させたときの10Paにおける値を表す。
インクジェットインクを用いた印刷方法としては、特に限定されず、ピエゾ方式、静電方式、サーマル方式など、いずれの方式のものであってもよい。インクジェット記録装置を用いる場合は、デジタル信号に基づいてインクジェットヘッドから本実施形態によるインクを吐出させ、吐出されたインク液滴を記録媒体に付着させるようにすることが好ましい。
本実施形態において、記録媒体は、特に限定されるものではなく、普通紙、コート紙、特殊紙等の印刷用紙、布、無機質シート、フィルム、OHPシート等、これらを基材として裏面に粘着層を設けた粘着シート等を用いることができる。これらの中でも、インクの浸透性の観点から、普通紙、コート紙等の印刷用紙を好ましく用いることができる。
ここで、普通紙は、通常の紙の上にインクの受容層やフィルム層等が形成されていない紙である。普通紙の一例としては、上質紙、中質紙、PPC用紙、更紙、再生紙等を挙げることができる。普通紙は、数μm〜数十μmの太さの紙繊維が数十から数百μmの空隙を形成しているため、インクが浸透しやすい紙となっている。
また、コート紙としては、インクジェット用コート紙や、いわゆる塗工印刷用紙を好ましく用いることができる。ここで、塗工印刷用紙とは、従来から凸版印刷、オフセット印刷、グラビア印刷等で使用されている印刷用紙であって、上質紙や中質紙の表面にクレーや炭酸カルシウム等の無機顔料と、澱粉等のバインダーを含む塗料により塗工層を設けた印刷用紙である。塗工印刷用紙は、塗料の塗工量や塗工方法により、微塗工紙、上質軽量コート紙、中質軽量コート紙、上質コート紙、中質コート紙、アート紙、キャストコート紙等に分類される。塗工印刷用紙は、普通紙、インクジェット用コート紙と比較して紙表面の空隙が少ないため、インクの浸透が遅く、インク成分が紙表面に留まりやすい。そのため、本実施形態によるインクは、塗工印刷用紙に対する定着性を向上させることに適している。
以下に、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。特に説明のない限り、「%」は「質量%」を示す。
<インク調整>
表2に、溶剤B除去前の実施例及び比較例の油中油型エマルションの処方を示す。表2において、各成分に揮発分が含まれる場合は、各成分の全体量とともに不揮発分量をカッコ内に併せて示す(後述する表3も同じである)。
表2に示す配合量で、溶剤A及び酸性分散剤を混合し連続相を調整した。次に、表2に示す配合量で、溶剤Bに、氷冷下、色材、及び固体樹脂を混合し、ビーズミルにて分散した後、塩基性化合物を加えて分散相を調整した。
連続相をマグネティックスターラーで攪拌した状態で、この連続相に、予め混合しておいた分散相を滴下しながら、氷冷下、超音波ホモジナイザー「Ultrasonic processor VC―750」(ソニックス社製)を10分間照射し、油中油(O/O)型エマルションを得た。
得られたエマルションを、エバポレーターで減圧しながら、分散相中の溶剤Bを除去して、着色樹脂粒子分散体を得た。溶剤Bの除去率は、ほぼ100質量%であった。この着色粒子分散体をそのままインクとして用いた。
以下に示す他は上記の方法にしたがって、実施例1〜4及び比較例1〜3のインクを調整した。
比較例1では、分散相に塩基性化合物を配合しなかった。
比較例2では、分散相に塩基性化合物を配合しないで酸性化合物を配合した。
比較例3では、連続相に酸性分散剤を配合しないで塩基性分散剤を配合した。
表3に、溶剤B除去後の実施例及び比較例のインクの処方を示す。インク全量に対する不揮発分(酸性分散剤または塩基性分散剤、固体樹脂、色材、及び塩基性化合物または酸性化合物)の合計量から、不揮発分量を求め、表3に併せて示す。
比較例4では、油中油型エマルションを経由しないで、インクを調整した。具体的には、各成分を一括で混合し、ロッキングミル(セイワ技研株式会社製)で固体樹脂と色材を分散して調整した。
比較例4の配合を表3に併せて示す。
Figure 2015134855
Figure 2015134855
各表に示す成分は、以下の通りである。
(連続相)
炭化水素系溶剤「アイソパーM」:イソパラフィン系炭化水素、東燃ゼネラル石油株式会社製「アイソパーM」。
塩基性分散剤「S11200」:日本ルーブリゾール株式会社製「ソルスパース11200」、不揮発分50質量%、塩基価37KOHmg/g。
酸性分散剤「S3000」:日本ルーブリゾール株式会社製「ソルスパース3000」、不揮発分100質量%、酸価32KOHmg/g。
(分散相)
アルコール系溶剤「メタノール」:炭素数1のアルコール系溶剤、和光純薬工業株式会社製。
アルキルフェノール樹脂:酢酸基0mol%、荒川化学株式会社製「タマノル7509」。
青色酸性染料「Water Blue 9」:オリヱント化学株式会社製「Water Blue 9」。
青色造塩染料「Valifast Blue 1621」:オリヱント化学工業株式会社製「Valifast Blue 1621」。
赤色塩基性染料「ローダミン6G」:和光純薬工業株式会社製「ローダミン6G」。
青色アントラキノン系染料「Oil Blue 2N」:オリヱント化学株式会社製「Oil Blue 2N」。
塩基性化合物「S71000」:日本ルーブリゾール株式会社製「ソルスパース71000」、不揮発分100%、塩基価77.4KOHmg/g。
酸性基を有する液体有機化合物(酸性化合物)「DISPERBYK2095」:ビックケミー・ジャパン株式会社製「DISPERBYK2095」、不揮発分95%、酸価13KOHmg/g。
溶剤Bであるメタノールは、溶剤Aである炭化水素系溶剤(アイソパーM)に対する溶解度が23℃で0.4g/100gである。また、メタノールの沸点は64.7℃であり、アイソパー Mの50%留出点はおよそ234℃である。
酸性分散剤であるソルスパース3000は、表2に示す連続相の配合割合で溶剤Aに溶解し、溶剤Bに対する溶解度が23℃で3g/100g未満であった。塩基性分散剤であるソルスパース11200も同様であった。
固体樹脂は、表2に示す分散相の配合割合で溶剤Bに溶解し、溶剤Aに対する溶解度が23℃で3g/100g未満であり、水に対する溶解度が23℃で3g/100g未満であった。
塩基性化合物であるソルスパース71000は、表2に示す分散相の配合割合で溶剤Bに溶解し、溶剤Aに対する溶解度が23℃で3g/100g未満であった。酸性化合物であるDISPERBYK2095も同様であった。
各成分の溶解性パラメーター(HSP値)は以下の通りである。単位は「MPa/cm」である。また、分散項δd、極性項δp、水素結合項δhを併せて示す。
溶剤A「アイソパーM」:16(δd=16、δp=0、δh=0)。
溶剤B「メタノール」:29.6(δd=15.1、δp=12.3、δh=22.3)。
各種固体樹脂:22〜27(δd=12〜20、δp=5〜12、δh=10〜20)の範囲内であった。
塩基性化合物:22〜27(δd=12〜20、δp=5〜12、δh=10〜20)の範囲内であった。
各成分の酸化還元電位(ORP値)は以下の通りである。単位は「mV」である。
ソルスパース3000:ドデカンに0.5質量%溶解させたときのORP値に比べて、5.0質量%溶解させたときのORP値が高く、ドデカンに5.0質量%溶解させたときのORP値は900であった。
ソルスパース11200:ドデカンに0.5質量%溶解させたときのORP値に比べて、5.0質量%溶解させたときのORP値が低く、ドデカンに5.0質量%溶解させたときのORP値は−85であった。
ソルスパース71000:ドデカンに0.5質量%溶解させたときのORP値に比べて、5.0質量%溶解させたときのORP値が低く、ドデカンに5.0質量%溶解させたときのORP値は−30であった。
DISPERBYK−2095:ドデカンに0.5質量%溶解させたときのORP値に比べて、5.0質量%溶解させたときのORP値が高く、メタノールに5.0質量%溶解させたときのORP値は220であった。
<評価>
上記した各インクを用いて、以下の各評価を行った。結果を各表に併せて示す。
(乳化安定性)
上記工程に従って着色樹脂粒子分散体を調整した際に、以下の基準で乳化性を評価した。
AA:油中油型エマルションを調製することができ、分散相中の溶剤Bを除去後に沈殿物がなかった。
A:油中油型エマルションを調製することができ、分散相中の溶剤Bを除去後に沈殿物が少なかった。
B:油中油型エマルションを調製することができるが、分散相中の溶剤Bを除去後に沈殿物が多かった。
C:油中油型エマルションを調製することができなかった。
(耐擦過性)
上記した各インクをライン式インクジェットプリンタ「オルフィスX9050」(理想科学工業株式会社製)に装填し、上質コート紙「オーロラコート」(日本製紙株式会社製)に、ベタ画像を印刷して、印刷物を得た。印刷は、解像度300×300dpiにて、1ドット当りのインク量が42plの吐出条件で行った。なお、「オルフィスX9050」は、ライン型インクジェットヘッドを使用し、主走査方向(ノズルが並んでいる方向)に直交する副走査方向に用紙を搬送して印刷を行うシステムである。
印刷後24時間(1日)放置後に、印刷物のベタ画像部分を指で強く5回擦った時の状態を目視で観察し、耐擦過性を次の基準で評価した。
A:画像のはがれがほとんど確認されないレベル。
B:画像のはがれが確認されるが実際の使用上問題ないレベル。
C:画像のはがれが顕著であり実際の使用上問題あるレベル。
(着色樹脂粒子の平均粒子径)
上記した各インクについて、インク中に分散している着色樹脂粒子の体積基準の平均粒子径を動的光散乱式粒径分布測定装置「LB―500」(株式会社堀場製作所製)を用いて測定した。
上記表3に示す通り、各実施例のインクは、いずれの評価も良好であり、また、着色樹脂粒子の平均粒子径も適正な範囲であった。
実施例2〜4では、造塩染料または塩基性染料を用いており、分散相中で塩基性化合物とのバランスから、乳化安定性がより優れた。
実施例3では、同じ成分系の実施例4に比べ、色材に対する塩基性化合物の比率が好ましい範囲であるため、エマルションの粒子径が小さくなり、着色樹脂粒子が小さくなって、耐擦過性がより優れた。
比較例1では、塩基性化合物を含まず、乳化安定性が低下し、油中油型エマルションを安定して作製できず、インクを調整できなかった。
比較例2では、分散相に塩基性化合物の代わりに酸性化合物を用いており、比較例1と同様の結果であった。
比較例3では、連続相に酸性分散剤の代わりに塩基性分散剤を用いており、比較例1と同様の結果であった。
比較例4では、非水系溶剤に油溶性染料が溶解しているインクであって、樹脂と染料とが粒子を形成していないことから、耐擦過性が低下した。

Claims (6)

  1. 着色樹脂粒子、酸性分散剤、及び非水系溶剤を含み、
    前記着色樹脂粒子は、色材、固体樹脂、及び塩基性基を有する液体有機化合物を含む、
    着色樹脂粒子分散体。
  2. 前記色材は造塩染料及び/または塩基性染料を含む、請求項1に記載の着色樹脂粒子分散体。
  3. 前記塩基性基を有する液体有機化合物はアミノ基を有する、請求項1または2に記載の着色樹脂粒子分散体。
  4. 前記酸性分散剤はカルボキシ基を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の着色樹脂粒子分散体。
  5. 非水系溶剤Aと、前記非水系溶剤Aよりも沸点が低い非水系溶剤Bを用いて、
    前記非水系溶剤Aと前記酸性分散剤とを含む連続相に、前記非水系溶剤Bと前記色材と前記固体樹脂と前記塩基性基を有する液体有機化合物とを含む分散相を分散させて油中油型エマルションを作製し、
    前記油中油型エマルションから前記非水系溶剤Bを除去したものであり、
    前記酸性分散剤は、前記非水系溶剤Bよりも前記非水系溶剤Aに対する溶解度が高く、
    前記固体樹脂及び前記塩基性基を有する液体有機化合物は、前記非水系溶剤Aよりも前記非水系溶剤Bに対する溶解度が高い、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の着色樹脂粒子分散体。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の着色樹脂粒子分散体を含む、インクジェットインク。
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