JP2015133237A - ワイヤハーネス - Google Patents
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Abstract
【課題】それぞれ位相がずれている複数相の交流電気各々を流す複数の電線を有するワイヤハーネスにおいて、簡易な構造によって電磁界ノイズを含む高周波のノイズを効果的に抑制できること。【解決手段】ワイヤハーネス1の異形シールド導体2における複数の配線用側面21は、それぞれ非凸状の側面であり、異形シールド導体2の中心線Loを基準にして回転対称に形成されている。複数のシールド対象電線3各々は、配線用側面21各々に沿って配列され、電線保持部4は、シールド対象電線3各々を配線用側面21各々に沿う位置に保持する。【選択図】図1
Description
本発明は、電線とシールド導体とを備えるワイヤハーネスに関する。
車両において、高周波の電気が流れるワイヤハーネスは、高周波ノイズの対策が必要である。例えば、ハイブリッド自動車などの電動車両において、駆動モータとインバータ回路とを接続するワイヤハーネスは、高周波ノイズの対策が重要なワイヤハーネスの典型例である。
電動車両の駆動モータ(三相モータ)に接続されるワイヤハーネスは、対称三相交流の電気を伝導する3本の電力線を備える。対称三相交流において、各相の位相のずれは同じ(120度)である。
例えば、特許文献1が示すように、高周波の電気が流れる複数の電線に沿ってシールド導体(高周波漏れ電流リターン線)を配線することが、ワイヤハーネスにおける高周波のノイズ対策として有効であることが知られている。シールド導体は、ワイヤハーネスの低インピーダンス化に寄与し、その結果、ワイヤハーネスにおけるコモンモードノイズが低減される。
ところで、三相モータに接続されるワイヤハーネスのように、それぞれ位相がずれている複数相の交流電気各々を流す複数の電線を有するワイヤハーネスにおいて、各相の交流電気によって生じる電磁界ノイズを抑制することも重要である。
本発明は、それぞれ位相がずれている複数相の交流電気各々を流す複数の電線を有するワイヤハーネスにおいて、簡易な構造によって電磁界ノイズを含む高周波のノイズを効果的に抑制できることを目的とする。
第1態様に係るワイヤハーネスは、異形シールド導体と複数の電線と電線保持部とを備えている。上記異形シールド導体は、長尺な導体であり、それぞれその導体の非凸状の側面を成す複数の配線用側面を有している。上記異形シールド導体における上記配線用側面は、上記異形シールド導体の中心線を基準にして回転対称に形成されている。複数の上記電線各々は、上記異形シールド導体における複数の上記配線用側面各々に沿って配列されている。上記電線保持部は、複数の上記電線各々を上記異形シールド導体における上記配線用側面各々に沿う位置に保持する。
第2態様に係るワイヤハーネスは、第1態様に係るワイヤハーネスの一態様である。第2態様に係るワイヤハーネスにおいて、上記配線用側面各々は上記電線各々の外周面における周方向の一部が入った溝状の凹面である。
第3態様に係るワイヤハーネスは、第1態様または第2態様に係るワイヤハーネスの一態様である。第3態様に係るワイヤハーネスにおいて、上記配線用側面各々は上記中心線の周囲において螺旋状に延びて形成されている。
第4態様に係るワイヤハーネスは、第1態様から第3態様のいずれか1つに係るワイヤハーネスの一態様である。第4態様に係るワイヤハーネスにおいて、上記異形シールド導体は管状に形成されている。
第5態様に係るワイヤハーネスは、第1態様から第4態様のいずれか1つに係るワイヤハーネスの一態様である。第5態様に係るワイヤハーネスにおいて、上記電線保持部は、上記異形シールド導体に固定された固定部と上記電線各々を弾性力によって把持する複数の把持部とを有する。
上記の各態様によれば、シールド導体(異形シールド導体)の側面を成す複数の配線用側面各々が、非凸状の側面である。ここで、非凸状の側面は、異形シールド導体の横断面の輪郭における当該側面に相当する部分が直線状または外周側で凹状であることを意味する。電線の外周面は凸状の面であるため、電線が配線用側面に沿う状態で安定的に保持されやすい。従って、電線各々に流れる高周波の電気に起因する高周波ノイズ(コモンモードノイズ)を安定的に抑制することができる。
さらに、Nが2以上の整数であるとすると、N個の配線用側面は、異形シールド導体の中心線を基準にしてN回対称の面として形成されている。従って、N本の電線各々が上記のようなN個の配線用側面各々に沿って配列されると、それらN本の電線が、概ね異形シールド導体の中心線を基準としてN回対称の位置関係で安定的に保持される。
対称なN相交流の電気を伝導するN本の電線がN回対称の位置関係で配列されると、各相の交流電気によって生じる電磁界ノイズが相互に打ち消し合う。そのため、各相の交流電気によって生じる電磁界ノイズを安定的に抑制することができる。しかも、シールド導体の形状の工夫により、特別な部材の追加を伴わずに簡易な構造によって高周波ノイズを効果的に抑制できる。
さらに、異形シールド導体は、N本の電線がN回対称の位置関係で配列されたときに電線群の中心の隙間を埋めるように形成されている。そのため、ワイヤハーネスにおける電線および異形シールド導体のスペース効率が高まり、ワイヤハーネスの省スペース化も可能となる。
また、第2態様において、配線用側面各々は、電線各々の外周面における周方向の一部が入った溝状の凹面である。この場合、電線が配線用側面に沿う状態でより安定的に保持されやすい。
また、第3態様において、配線用側面各々は異形シールド導体の中心線の周囲において螺旋状に延びて形成されている。この場合、N本の電線各々がそのような配線用側面各々に沿って配列されると、N本の電線は、撚り線のような形状、すなわち、異形シールド導体の中心線の周囲に螺旋状に撚り合わさったような形状で、N回対称の位置関係になる。
対称なN相交流の電気を伝導するN本の電線が、撚り線のような形状で配列されると、各相の交流電気によって生じる電磁界ノイズ相互の打ち消し効果がより高まる。
また、第4態様において、異形シールド導体は管状に形成されている。電線各々が非常に高い周波数の電気を伝導する場合、いわゆる表皮効果により、異形シールド導体の中心線付近の部分のノイズ低減への寄与度が低くなる。従って、第4態様によれば、電線各々が伝導する電気の周波数によっては、ノイズ低減効果を犠牲にすることなく異形シールド導体を軽量化することが可能となる。
また、第5態様によれば、異形シールド導体に固定された電線保持部が、電線各々を弾性力によって把持する。これにより、異形シールド導体と電線各々とを予め定められた位置関係で合体させることが容易となる。
以下、添付の図面を参照しながら、実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定する事例ではない。以下に示される各実施形態に係るワイヤハーネスは、自動車などの車両に搭載される車両用のワイヤハーネスとして実施されることが考えられる。
<第1実施形態>
まず、図1,2を参照しつつ、第1実施形態に係るワイヤハーネス1について説明する。ワイヤハーネス1は、例えば、電動車両におけるインバータ回路と走行用のモータ(三相モータ)とを接続する対称三相交流の電力ケーブルなどである。
まず、図1,2を参照しつつ、第1実施形態に係るワイヤハーネス1について説明する。ワイヤハーネス1は、例えば、電動車両におけるインバータ回路と走行用のモータ(三相モータ)とを接続する対称三相交流の電力ケーブルなどである。
図1,2が示すように、ワイヤハーネス1は、異形シールド導体2と複数のシールド対象電線と電線保持部4とを備えている。
<異形シールド導体>
異形シールド導体2は、長尺な導体であり、例えば、銅、アルミニウム、ステンレスまたは鉄などを主成分とする金属部材である。
異形シールド導体2は、長尺な導体であり、例えば、銅、アルミニウム、ステンレスまたは鉄などを主成分とする金属部材である。
異形シールド導体2は、それぞれその当該異形シールド導体2の非凸状の側面を成す複数の配線用側面21を有している。異形シールド導体2における複数の配線用側面21は、異形シールド導体2の中心線Loを基準にして回転対称に形成されている。
Nが2以上の整数であるとすると、N個の配線用側面21は、異形シールド導体2の中心線Loを基準にしてN回対称の側面として形成されている。
即ち、配線用側面21各々は、異形シールド導体2の中心線Loから等距離の位置で異形シールド導体2の非凸状の側面を成している。さらに、配線用側面21各々は、中心線Loに直交する平面各々において中心線Loの周囲の全周方向を等分する複数の放射方向各々を向く側面である。
本実施形態において、異形シールド導体2は、3つの配線用側面21を有し、3つの配線用側面21が、中心線Loを基準にして3回対称の側面として形成されている。従って、3つの配線用側面21は、中心線Loに直交する平面各々において、中心線Loの周囲の全周方向を3等分する3つの放射方向各々を向く側面、即ち、中心線Loから見て120度ずつ異なる放射方向各々を向く側面である。
異形シールド導体2は、例えば、直線状の中心線Loに沿って形成されている。また、異形シールド導体2の中心線Loが、僅かに湾曲した線であることも考えられる。
非凸状の側面とは、異形シールド導体2の横断面の輪郭におけるその側面に相当する部分が直線状または外周側で凹状であることを意味する。
本実施形態の異形シールド導体2において、配線用側面21各々は、それぞれ中心線Loに平行に形成されている。
本実施形態の異形シールド導体2において、配線用側面21各々はシールド対象電線3各々の外周面における周方向の一部が入った溝状の凹面である。図1,2が示す例では、配線用側面21各々は、円柱状のシールド対象電線各々における外周面の一部に沿って湾曲した溝状の凹面である。
異形シールド導体2は、その両端部において、シールド対象電線3の接続先の機器を収容する導電性の筐体に対して電気的に接続される。
<電線>
シールド対象電線3各々は、シールドの対象となる電線である。本実施形態において、シールド対象電線3各々は、導電性の芯線31と芯線31の周囲を覆う絶縁被覆32とを有する絶縁電線である。
シールド対象電線3各々は、シールドの対象となる電線である。本実施形態において、シールド対象電線3各々は、導電性の芯線31と芯線31の周囲を覆う絶縁被覆32とを有する絶縁電線である。
本実施形態において、シールド対象電線3各々の絶縁被覆32は、異形シールド導体2とシールド対象電線各々とを電気的に遮断する絶縁体の一例である。
ワイヤハーネス1は、異形シールド導体2が有する配線用側面21の数と同数のシールド対象電線3を備える。換言すれば、異形シールド導体2は、シールド対象電線3と同数の配線用側面21を有している。
シールド対象電線3各々は、異形シールド導体2における配線用側面21各々に沿って配列されている。そのため、複数のシールド対象電線3は、概ね異形シールド導体2の中心線Loを基準としてN回対称の位置関係で配列されている。
<電線保持部>
電線保持部4は、複数のシールド対象電線3各々を異形シールド導体2における配線用側面21各々に沿う位置に保持している。なお、図4において、電線保持部4の描画は省略されている。
電線保持部4は、複数のシールド対象電線3各々を異形シールド導体2における配線用側面21各々に沿う位置に保持している。なお、図4において、電線保持部4の描画は省略されている。
本実施形態における電線保持部4は、異形シールド導体2の配線用側面21各々に接する状態で異形シールド導体2の周囲に並ぶ複数のシールド対象電線3を結束する結束バンドまたは粘着テープなどの結束材である。
図1には、1つの電線保持部4(結束材)のみが示されているが、ワイヤハーネス1は複数の電線保持部4を備えている。これら電線保持部4は、複数のシールド対象電線3をその長手方向における複数の箇所において複数の配線用側面21に沿う状態に保持する。
<効果>
ワイヤハーネス1において、異形シールド導体2の側面を成す複数の配線用側面21各々が、非凸状の側面である。シールド対象電線3の外周面は凸状の面であるため、シールド対象電線3が配線用側面21に沿う状態で安定的に保持されやすい。
ワイヤハーネス1において、異形シールド導体2の側面を成す複数の配線用側面21各々が、非凸状の側面である。シールド対象電線3の外周面は凸状の面であるため、シールド対象電線3が配線用側面21に沿う状態で安定的に保持されやすい。
また、配線用側面21各々は、シールド対象電線3各々の外周面における周方向の一部が入った溝状の凹面である。この場合、シールド対象電線3が配線用側面21に沿う状態でより安定的に保持されやすい。
従って、それぞれ位相がずれている複数相の交流電気各々がシールド対象電線3各々に流れる場合に、シールド対象電線3各々に流れる高周波の電気に起因する高周波ノイズ(コモンモードノイズ)を安定的に抑制することができる。
さらに、3つの配線用側面21は、異形シールド導体2の中心線Loを基準にしてN回対称の面として形成されている。そのため、3本のシールド対象電線3が、概ね異形シールド導体2の中心線Loを基準として3回対称の位置関係で安定的に保持される。
対称三相交流の電気を伝導する3本のシールド対象電線3が3回対称の位置関係で配列されると、各相の交流電気によって生じる電磁界ノイズが相互に打ち消し合う。そのため、各相の交流電気によって生じる電磁界ノイズを安定的に抑制することができる。しかも、形状が工夫された異形シールド導体2の採用により、特別な部材の追加を伴わずに簡易な構造によって高周波ノイズを効果的に抑制できる。
さらに、異形シールド導体2は、3本のシールド対象電線3が3回対称の位置関係で配列されたときに電線群の中心の隙間を埋めるように形成されている。そのため、ワイヤハーネス1におけるシールド対象電線3および異形シールド導体2のスペース効率が高まり、ワイヤハーネス1の省スペース化も可能となる。
<第2実施形態>
次に、図3を参照しつつ、第2実施形態に係るワイヤハーネス1Aについて説明する。図3は、ワイヤハーネス1Aの一部の斜視図である。図3において、図1,2に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。
次に、図3を参照しつつ、第2実施形態に係るワイヤハーネス1Aについて説明する。図3は、ワイヤハーネス1Aの一部の斜視図である。図3において、図1,2に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。
ワイヤハーネス1Aは、図1,2が示すワイヤハーネス1における異形シールド導体2が異形シールド導体2Aに置き換えられた構成を有している。
即ち、ワイヤハーネス1Aは、異形シールド導体2Aと複数のシールド対象電線3と電線保持部4とを備えている。以下、ワイヤハーネス1Aの異形シールド導体2Aにおける異形シールド導体2と異なる点について説明する。
異形シールド導体2Aは、異形シールド導体2と同様に、その中心線Loを基準にして3回対称の側面を成す3つの配線用側面21Aを有している。従って、3つの配線用側面21Aは、中心線Loに直交する平面各々において、中心線Loの周囲の全周方向を3等分する3つの放射方向各々を向く側面、即ち、中心線Loから見て120度ずつ異なる放射方向各々を向く側面である。
3つの配線用側面21A各々は、異形シールド導体2Aの横断面の輪郭におけるその側面に相当する部分が直線状である。この点が、異形シールド導体2と比較して異形シールド導体2Aが異なる点である。
本実施形態の異形シールド導体2Aにおいて、配線用側面21A各々は、それぞれ中心線Loに平行に形成されている。従って、3つの配線用側面21A各々は平面である。
図3が示す例では、異形シールド導体2Aは、配線用側面21A以外の側面を有していないため、正三角柱に形成されている。
図3が示すようなワイヤハーネス1Aが採用される場合も、前述したワイヤハーネス1が採用される場合と同様の効果が得られる。
<第3実施形態>
次に、図4を参照しつつ、第3実施形態に係るワイヤハーネス1Bについて説明する。図4は、ワイヤハーネス1Bの一部の斜視図である。図4において、図1,2,3に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。
次に、図4を参照しつつ、第3実施形態に係るワイヤハーネス1Bについて説明する。図4は、ワイヤハーネス1Bの一部の斜視図である。図4において、図1,2,3に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。
ワイヤハーネス1Aは、図3が示すワイヤハーネス1Aにおける異形シールド導体2Aが異形シールド導体2Bに置き換えられた構成を有している。
即ち、ワイヤハーネス1Bは、異形シールド導体2Bと複数のシールド対象電線3と電線保持部4とを備えている。以下、ワイヤハーネス1Bの異形シールド導体2Bにおける異形シールド導体2Aと異なる点について説明する。
異形シールド導体2Bは、異形シールド導体2Aと同様に、その中心線Loを基準にして3回対称の側面を成す3つの配線用側面21Aを有している。3つの配線用側面21A各々は、異形シールド導体2Aの横断面の輪郭におけるその側面に相当する部分が直線状である。より具体的には、3つの配線用側面21A各々は平面である。
異形シールド導体2Bは、管状に形成されている。即ち、異形シールド導体2Bには、中心線Loに沿う中空部22が形成されている。この点が、異形シールド導体2Aと比較して異形シールド導体2Bが異なる点である。
図4が示すようなワイヤハーネス1Bが採用される場合も、前述したワイヤハーネス1,1Aが採用される場合と同様の効果が得られる。
また、シールド対象電線3各々が非常に高い周波数の電気を伝導する場合、いわゆる表皮効果により、シールド導体における中心線Lo付近の部分のノイズ低減への寄与度が低くなる。従って、ワイヤハーネス1Bが採用されれば、シールド対象電線3各々が伝導する電気の周波数によっては、ノイズ低減効果を犠牲にすることなく異形シールド導体2Bを軽量化することが可能となる。
<第4実施形態>
次に、図5を参照しつつ、第4実施形態に係るワイヤハーネス1Cについて説明する。図5は、ワイヤハーネス1Cの一部の分解斜視図である。図5において、図1,2,3,4に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。
次に、図5を参照しつつ、第4実施形態に係るワイヤハーネス1Cについて説明する。図5は、ワイヤハーネス1Cの一部の分解斜視図である。図5において、図1,2,3,4に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。
ワイヤハーネス1Cは、図3が示すワイヤハーネス1Aにおける電線保持部4が電線保持部5に置き換えられた構成を有している。
即ち、ワイヤハーネス1Cは、異形シールド導体2Bと複数のシールド対象電線3と電線保持部5とを備えている。以下、ワイヤハーネス1Cの電線保持部5における電線保持部4と異なる点について説明する。
電線保持部5は、異形シールド導体2Aと合体して形成されている。即ち、電線保持部5は、異形シールド導体2Aに固定された固定部51を有している。
さらに、電線保持部5は、シールド対象電線3各々を把持する複数の把持部52を有している。把持部52各々は、シールド対象電線3を嵌め入れ可能な中空部である電線挿入部520の周囲を少なくとも180度を超える範囲において囲むとともに、電線挿入部520への開口を形成している。
把持部52各々は、弾性変形可能に形成されており、シールド対象電線3における開口から電線挿入部520へ挿入された部分を弾性力によって把持する。
ワイヤハーネス1Cは、複数の電線保持部5を備えている。これら電線保持部5は、複数のシールド対象電線3をその長手方向における複数の箇所において複数の配線用側面21に沿う状態に保持する。
電線保持部5は、把持部52各々がシールド対象電線3各々を把持することにより、シールド対象電線3各々を異形シールド導体2Aにおける配線用側面21A各々に沿う状態に保持する。
電線保持部5は、例えば、インサート成形によって異形シールド導体2Aの一部に成形された合成樹脂の部材である。なお、電線保持部5が、予め成形された後に異形シールド導体2Aに取り付けられた部材であることも考えられる。
図5が示すようなワイヤハーネス1Cが採用される場合も、前述したワイヤハーネス1,1Aが採用される場合と同様の効果が得られる。さらに、電線保持部5の採用により、異形シールド導体2Aとシールド対象電線3各々とを予め定められた位置関係で合体させることが容易となる。
<第5および第6実施形態>
次に、図6,7を参照しつつ、第5実施形態および第6実施形態に係るワイヤハーネス1D,1Eについて説明する。図6は、ワイヤハーネス1Dの一部の斜視図である。図7は、ワイヤハーネス1Eの一部の斜視図である。図6,7において、図1〜5に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。
次に、図6,7を参照しつつ、第5実施形態および第6実施形態に係るワイヤハーネス1D,1Eについて説明する。図6は、ワイヤハーネス1Dの一部の斜視図である。図7は、ワイヤハーネス1Eの一部の斜視図である。図6,7において、図1〜5に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。
ワイヤハーネス1D,1Eは、図1,2が示すワイヤハーネス1と比較してシールド対象電線3の数が異なる。これに伴い、ワイヤハーネス1D,1Eは、ワイヤハーネス1における異形シールド導体2が異形シールド導体2D,2Eに置き換えられた構成を有している。
即ち、ワイヤハーネス1Dは、異形シールド導体2Dと2本のシールド対象電線3と電線保持部4とを備えている。また、ワイヤハーネス1Eは、異形シールド導体2Eと6本のシールド対象電線3と電線保持部4とを備えている。
異形シールド導体2Dは、その中心線Loを基準にして2回対称の側面を成す2つの配線用側面21Dを有している。従って、2つの配線用側面21Dは、中心線Loに直交する平面各々において、中心線Loの周囲の全周方向を2等分する2つの放射方向各々を向く側面、即ち、中心線Loから見て180度ずつ異なる放射方向各々を向く側面である。
一方、異形シールド導体2Eは、その中心線Loを基準にして6回対称の側面を成す6つの配線用側面21Eを有している。従って、6つの配線用側面21Eは、中心線Loに直交する平面各々において、中心線Loの周囲の全周方向を6等分する2つの放射方向各々を向く側面、即ち、中心線Loから見て60度ずつ異なる放射方向各々を向く側面である。
異形シールド導体2Dを備えるワイヤハーネス1Dは、例えば、電動車両において走行用モータ(三相モータ)に接続された対称三相交流のインバータ回路とバッテリとを接続する直流電力ケーブルなどである。
通常、直流電力ケーブル自体においては、高周波ノイズの問題は生じない。しかしながら、直流電力ケーブルが高周波数のインバータ回路に接続されると、高周波ノイズがインバータ回路から直流電力ケーブルへ伝搬することがある。このような場合に、ワイヤハーネス1Dの採用が有効となる。
また、異形シールド導体2Eを備えるワイヤハーネス1Eは、例えば、電動車両においてインバータ回路と2つの走行用モータ(三相モータ)とを接続する一対の対称三相交流の電力ケーブルである。
例えば、ワイヤハーネス1Eにおける6本のシールド対象電線3は、2つの走行用モータの一方に接続される対称三相交流用の3本の電線と、2つの走行用モータの他方に接続される対称三相交流用の3本の電線とを含む。
上記の場合、2組の対称三相交流の電力における位相が相互に60度ずつずれていれば、6本のシールド対象電線3が6回対称の位置関係で配列されることにより、各相の交流電気によって生じる電磁界ノイズが相互に打ち消し合う。
従って、図6,7が示すようなワイヤハーネス1D,1Eが採用される場合も、前述したワイヤハーネス1,1Aが採用される場合と同様の効果が得られる。
3つの配線用側面21A各々は、異形シールド導体2Aの横断面の輪郭におけるその側面に相当する部分が直線状である。この点が、異形シールド導体2Aと比較して異形シールド導体2D,2Eが異なる点である。
本実施形態の異形シールド導体2Aにおいて、配線用側面21A各々は、それぞれ中心線Loに平行に形成されている。従って、3つの配線用側面21A各々は平面である。
図3が示す例では、異形シールド導体2Aは、配線用側面21A以外の側面を有していないため、正三角柱に形成されている。
図3が示すようなワイヤハーネス1Aが採用される場合も、前述したワイヤハーネス1が採用される場合と同様の効果が得られる。
<第7実施形態>
次に、図8,9を参照しつつ、第7実施形態に係るワイヤハーネス1Fについて説明する。図8は、ワイヤハーネス1Fが備える異形シールド導体2Fの一部の斜視図である。図9は、ワイヤハーネス1Fの斜視図である。図8,9において、図1〜7に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。
次に、図8,9を参照しつつ、第7実施形態に係るワイヤハーネス1Fについて説明する。図8は、ワイヤハーネス1Fが備える異形シールド導体2Fの一部の斜視図である。図9は、ワイヤハーネス1Fの斜視図である。図8,9において、図1〜7に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。
ワイヤハーネス1Fは、図1,2が示すワイヤハーネス1における異形シールド導体2が異形シールド導体2Fに置き換えられた構成を有している。
即ち、ワイヤハーネス1Fは、異形シールド導体2Fと複数のシールド対象電線3と電線保持部4とを備えている。以下、ワイヤハーネス1Fの異形シールド導体2Fにおける異形シールド導体2と異なる点について説明する。
異形シールド導体2Fは、異形シールド導体2と同様に、その中心線Loを基準にして3回対称の側面を成す3つの配線用側面21Fを有している。従って、3つの配線用側面21Fは、中心線Loに直交する平面各々において、中心線Loの周囲の全周方向を3等分する3つの放射方向各々を向く側面、即ち、中心線Loから見て120度ずつ異なる放射方向各々を向く側面である。
3つの配線用側面21F各々は、配線用側面21と同様に、シールド対象電線3各々の外周面における周方向の一部が入った溝状の凹面である。
異形シールド導体2Fにおいて、3つの配線用側面21F各々は、異形シールド導体2Fの中心線Loの周囲において螺旋状に延びて形成されている。即ち、3つの配線用側面21F各々は、中心線Loの周囲における相互の位置関係を一定にしつつ中心線Loの周囲を螺旋状に旋回する経路に沿って形成されている。この点が、異形シールド導体2Aと比較して異形シールド導体2Fが異なる点である。
3本のシールド対象電線3各々は配線用側面21F各々に沿って配列された状態で保持されている。この場合、図9が示すように、3本のシールド対象電線3は、撚り線のような形状、すなわち、中心線Loの周囲に螺旋状に撚り合わさったような形状で、3回対称の位置関係になる。
対称三相交流の電気を伝導する3本のシールド対象電線3が、撚り線のような形状で配列されると、各相の交流電気によって生じる電磁界ノイズ相互の打ち消し効果がより高まる。
<応用例>
前述したように、シールド対象電線3各々の絶縁被覆32は、異形シールド導体2とシールド対象電線各々とを電気的に遮断する絶縁体の一例である。一方、異形シールド導体2とシールド対象電線各々とを電気的に遮断する絶縁体が、異形シールド導体2,2A,2B,2D,2E,2Fの周囲を覆う絶縁被覆であってもよい。
前述したように、シールド対象電線3各々の絶縁被覆32は、異形シールド導体2とシールド対象電線各々とを電気的に遮断する絶縁体の一例である。一方、異形シールド導体2とシールド対象電線各々とを電気的に遮断する絶縁体が、異形シールド導体2,2A,2B,2D,2E,2Fの周囲を覆う絶縁被覆であってもよい。
例えば、導体とその導体の表面に樹脂塗料の塗布によって形成された絶縁被覆(エナメル被覆)とを有するエナメル線が、絶縁被覆付の異形シールド導体2,2A,2B,2D,2E,2Fとして採用されることが考えられる。
エナメル線などの被覆電線が、絶縁被覆付の異形シールド導体2,2A,2B,2D,2E,2Fとして採用される場合、シールド対象電線3が裸電線であることも考えられる。この場合、ワイヤハーネス1,1A,1B,1C,1D,1E,1Fが、複数のシールド対象電線3(裸電線)の束を一括して覆う非導電性の外装部材を備えることが考えられる。非導電性の外装部材は、例えば、コルゲートチューブなどである。
また、ワイヤハーネス1,1Fにおける異形シールド導体2,2Fが、異形シールド導体2Bと同様に中空部22が形成された管状の導体であることも考えられる。
また、ワイヤハーネス1,1A,1B,1D,1E,1Fにおいて、電線保持部4が、シールド対象電線3各々を異形シールド導体2,2A,2B,2D,2E,2Fにおける配線用側面21,21A,21D,21E,21F各々に接着することによって配線用側面21,21A,21D,21E,21F各々に沿う位置に保持する接着層であることも考えられる。この場合、例えば、電線保持部4(接着層)がホットメルトなどの接着剤または両面粘着テープなどであることが考えられる。
なお、本発明に係るワイヤハーネスは、各請求項に記載された発明の範囲において、以上に示された各実施形態および応用例を自由に組み合わせること、あるいは各実施形態および応用例を適宜、変形するまたは一部を省略することによって構成されることも可能である。
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F ワイヤハーネス
2,2A,2B,2D,2E,2F 異形シールド導体
21,21A,21D,21E,21F 配線用側面
22 中空部
3 シールド対象電線(電線)
31 芯線
32 絶縁被覆
4,5 電線保持部
51 固定部
52 把持部
520 電線挿入部
Lo 異形シールド導体の中心線
2,2A,2B,2D,2E,2F 異形シールド導体
21,21A,21D,21E,21F 配線用側面
22 中空部
3 シールド対象電線(電線)
31 芯線
32 絶縁被覆
4,5 電線保持部
51 固定部
52 把持部
520 電線挿入部
Lo 異形シールド導体の中心線
Claims (5)
- 長尺な導体であり、それぞれ当該導体の非凸状の側面を成すとともに当該導体の中心線を基準にして回転対称に形成された複数の配線用側面を有する異形シールド導体と、
前記異形シールド導体における複数の前記配線用側面各々に沿って配列された複数の電線と、
複数の前記電線各々を前記異形シールド導体における前記配線用側面各々に沿う位置に保持する電線保持部と、を備えるワイヤハーネス。 - 前記配線用側面各々は前記電線各々の外周面における周方向の一部が入った溝状の凹面である、請求項1に記載のワイヤハーネス。
- 前記配線用側面各々は前記中心線の周囲において螺旋状に延びて形成されている、請求項1または請求項2に記載のワイヤハーネス。
- 前記異形シールド導体は管状に形成されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のワイヤハーネス。
- 前記電線保持部は、前記異形シールド導体に固定された固定部と前記電線各々を弾性力によって把持する複数の把持部とを有する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のワイヤハーネス。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014004027A JP2015133237A (ja) | 2014-01-14 | 2014-01-14 | ワイヤハーネス |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2020156293A (ja) * | 2019-03-22 | 2020-09-24 | 日本電産株式会社 | モータ、およびインバータ装置 |
-
2014
- 2014-01-14 JP JP2014004027A patent/JP2015133237A/ja active Pending
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JP7078002B2 (ja) | 2019-03-22 | 2022-05-31 | 日本電産株式会社 | モータ、およびインバータ装置 |
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