以下、消去装置、消去装置の消去方法及び画像形成装置の一実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
本実施形態の消去装置は、シートを搬送するシート搬送路と、シート上の画像を読み取る読取部と、読取部のシート搬送方向下流に設けられ、シート上の画像を消去する消去部と、入力されたIDに基づいてユーザに固有に割り当てられるIDごとに認証情報を格納する認証テーブルを検索して読みだした認証情報と、入力された認証情報とが一致する場合に消去部にシート上の画像の消去させる制御部と、を備える。
図1は、消去装置100の構成を説明する概略図である。消去装置100は、消色可能トナーや消色可能インク等の消色可能色材により画像を形成されたシートに対して、消色可能な色材(以下、単に記録材料と呼ぶ。)による画像の色を消す消色処理を施す。
消去装置100は、給紙カセット102、給紙部材104、読取部106、消去部108、リユースボックス110、リジェクトボックス112、排出部材114、116、第1搬送路118、第2搬送路120、第3搬送路122、第1分岐部材124、第2分岐部材126、及び操作部128を備える。
給紙カセット102は、再利用するためのシートを積載する。給紙カセット102は、A4、A3、B5等、様々なサイズのシートを積載する。給紙カセット102が積載するシートは、例えば、所定温度以上に加熱することにより消色する記録材料で画像形成されたシートである。
給紙部材104は、ピックアップローラ、シート供給ローラ、およびシート供給ローラに対抗配置される分離ローラ等を有し、給紙カセット102上のシートを1枚ずつ消去装置100内部の第1搬送路118に供給する。
また、給紙カセット102は、給紙カセット102上のシートの有無を検知する検知センサ103を有する。検知センサ103は、例えば、マイクロセンサやマイクロアクチュエータであって良い。
第1搬送路118は、給紙カセット102からリユースボックス110へ向かう搬送路を形成する。第1搬送路118は、給紙されたシートを読取部106を経由してリユースボックス110へ搬送する。
読取部106は、給紙カセット102に対し、シート搬送方向下流において第1搬送路118に沿って配置される。読取部106は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)スキャナあるいはCMOSセンサ等の読取ユニットを有する。
本実施の形態では、読取部106は、搬送されるシートの第1面および第2面のそれぞれの画像を読み取る。すなわち、読取部106は、第1搬送路118に沿ってかつ搬送路を挟んで配置される第1の読取ユニット106A及び第2の読取ユニット106Bを備え、搬送されるシートの画像の両面を読み取る。読取部106の読取ユニットがシートの画像を読み取る位置を読取位置と呼ぶ。読取部106が読み取った画像は、図2に示す記憶部210に保存される。
例えば、消色処理する前に読取部106が読み取ったシート上の画像を電子化して記憶部へ保存することにより、後で消色された画像のデータが必要となった場合に、画像データを取得することができる。また、後述する制御部200は、読取部106が読み取った画像に基づいて、消色可能なシートか否か、あるいは、再利用可能なシートか否かを判断する。
消去装置100は、読取部106の下流に切り替え部としての第1分岐部材124を備える。
第1分岐部材124は、搬送されるシートの搬送方向を切り替える。第1分岐部材124は、第1搬送路118を搬送されるシートを第2搬送路120またはリユースボックス110へ搬送する。
第2搬送路120は、第1分岐部材124が配置される分岐点において第1搬送路118より分岐する。分岐点より分岐した第2搬送路120は、シートを消去部108へ搬送する。また、第2搬送路120は、読取部106よりもシート搬送方向上流における合流点121において、第1搬送路118に合流する。すなわち、第2搬送路120は、給紙カセット102と読取部106の間における合流点121で第1搬送路118に合流する。
したがって、第2搬送路120は、読取部106から搬送されてきたシートを、消去部108を経由して、再び、読取部106へ搬送することができる。
すなわち、消去装置100は、給紙部材104から供給されたシートを、第1分岐部材124を制御して、読取部106、消去部108、読取部106の順に搬送することができる。
第1搬送路118は、第1分岐部材124の下流に第2分岐部材126を有する。第2分岐部材126は、第1分岐部材124から搬送されたシートをリユースボックス110または第3搬送路122へ案内する。第3搬送路122は、シートをリジェクトボックス112へ搬送する。
消去部108は、搬送されるシートの画像の色を消す。例えば、消去部108は、搬送されるシートへ接触した状態で、シートを所定の消色温度まで加熱することにより、記録材料によりシート上に形成された画像の色を消色する。
例えば、本実施の形態の消去装置100の消去部108は、シートの第1面消色用の第1の消色ユニット108Aと、第2面消色用の第2の消色ユニット108Bと、を有する。
第1の消色ユニット108Aは、ヒータを有する第1の加熱ローラ108Hと、第1の加熱ローラ108Hの温度を検知する第1の加熱ローラ温度センサ109Aと、第1の従動ローラとを備える。第1の加熱ローラ108Hと第1の従動ローラとは第2搬送路を挟み、対向配置される。
第2の消色ユニット108Bは、ヒータを有する第2の加熱ローラ108Iと、第2の加熱ローラ108Iの温度を検知する第2の加熱ローラ温度センサ109Bと、第2の従動ローラとを備える。
以下、第1の加熱ローラ温度センサ109Aと第2の加熱ローラ温度センサ109Bとを加熱ローラ温度センサという。
第2の加熱ローラ108Iと第2の従動ローラとは第2搬送路を挟み、対向配置される。
第1の加熱ローラ108Hと第2の加熱ローラ108Iとは、第2搬送路を挟み、互いに反対側に配置される。
第1の加熱ローラ108Hは、シートの一方の面側からシートへ当接して加熱する。第2の加熱ローラ108Iは、シートの他方の面側からシートへ当接して加熱する。すなわち、消去部108は、搬送されるシート両面の画像を一度の搬送で消色する。
消去装置100本体の上部に配置された操作部128は、タッチパネル式の表示部と各種の操作キーと、を有する。
操作キーは、例えばテンキー、ストップキー、スタートキー等を有する。ユーザは、操作部を介して、消色の開始あるいは消色するシートの画像の読み込み等の消去装置100の機能動作を指示する。
操作部128は、消去装置100の設定情報や動作ステータス、ログ情報、あるいはユーザへのメッセージを表示する。なお、操作部128は、消去装置100の本体に配置されるものに限定されない。例えばネットワークを介して消去装置100と接続される外部装置の操作部から操作できる構成であっても良い。あるいは、操作部は、消去装置本体から独立した形態であり、有線あるいは無線通信によって消去装置100を操作する構成であっても良い。本実施形態の操作部は、消去装置100に対して処理の指示や情報の閲覧等ができるものであれば良い。
排出部材114、116は、シートを、本体の下部に上下に配置されたリユースボックス110、リジェクトボックス112へ排出する。たとえば、リユースボックス110は、シート上の画像が消色され、再利用可能となったシートを積載する。リジェクトボックス112は、再利用不可と判断されたシートを積載する。
シートの搬送経路は、消去装置100が実行する処理モードに基づいて適宜変更される。消去装置100は、複数の処理モードを有する。消去装置100は、例えば、(1)画像読取を行わず、消色処理のみを行う第1消色モード、(2)画像の読み取り後、消色処理を行う第2消色モード、(3)消色前の読取処理を行わず、消色処理後、シートPの再利用可否の分別(分別処理)を実施する第3消色モード、(4)画像の読み取り後、消色処理を実施し、さらに分別処理を実施する第4消色モード、(5)画像消色を行わず、画像の読取処理を実施する読取モードを有する。
上述の各モードは、消去装置100の操作部128で選択できる。また、各処理モードの選択は、消去装置100の操作部128に限らず、外部の端末から設定しても良い。第1乃至第4の消色モードでは、シートは必ず消去部108へ搬送される。
一方、読取モードでは、消去装置100は、第1分岐部材124を制御して、シートを消去部108へ搬送することなく、読取部106を経由して排出する。
消去装置100は、第1乃至第3搬送路118、120、122を搬送されるシートを検知する複数のシート検知センサ131、及び132を有する。
給紙カセット102は、給紙カセット102を識別する識別部222を備えていてもよい。識別部222は、突起であっても、無線タグであってもよい。
消去装置100は、給紙カセット102が識別部222を備える場合、給紙カセット102の装着位置に識別部222を読み取る検知部221を備える。検知部221は、識別部222が突起の場合はアクチュエータを備え、識別部222が無線タグの場合は、無線タグリーダライタを備える。検知部221は制御部200に接続する。
図2は、消去装置100の構成を説明するブロック図である。消去装置100は、制御部200と、記憶部212と、検知部221と、通信インターフェース(通信I/F)214と、搬送部216と、読取部106と、消去部108と、操作部128と、を有する。
制御部200は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ202、記憶装置であるメモリ204を有する。
制御部200は、読取部106、消去部108、操作部128を制御する。メモリ204は、例えば、半導体メモリであり、各種制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)206と、プロセッサ202に一時的な作業領域を提供するRAM(Random Access Memory)208とを有する。
例えば、ROM206は、再利用可否の閾値とする用紙の印字率、画像が消色されたか否かを判断するための濃度閾値等を格納する。RAM208は、読取部106で読み取った画像を一時的に保存しても良い。消去装置100の各コンポーネントは、バス218を介して接続される。
制御部200は、例えば、操作部128で設定された上記処理モード(1)〜(5)に応じて、読取部106、消去部108、およびその他の構成を制御する。
例えば、第1乃至第4の消色モードが選択された場合には、制御部200は、消去部108にシートの画像を消色させる。消去部108へシートが搬送される前に、読取部106がシートを読み取る場合には(第2消色モード、第4消色モード)、制御部200は、読取部106で読み取った画像を記憶部210へ保存する。
ここで、制御部200は、読取部106が読み取ったシート画像のデータ中に機密データ等の消色を禁止すべき禁止データが含まれているか否かを判定してもよい。
あるいは、読み取ったシート上の画像の印字率が閾値を超えるか否かを判断しても良い。消色を禁止すべきデータが含まれる場合あるいは、印字率が閾値を超える場合には、制御部200は、シートをリジェクトボックス112へ搬送する。
一方、消色を禁止すべきデータが含まれない場合あるいは、印字率が閾値を超えない場合には、シート上の画像を読み取った後、制御部200は、シートを消去部108へ搬送する。
また、制御部200は、消去部108がシートの画像を消色した後に、この消色されたシートの画像を読取部106が読み取る場合には(第3消色モード、第4消色モード)、読取部106が読み取った画像のデータに基づいて、シートが再利用可能か否かを判定する。
制御部200は、上記判定結果に基づいて、シートの搬送先を決定する。再利用可能か否かを判定する分別処理は、シート上に画像があるか否かを判定する処理を含む。例えば、消去部108で消色処理された後のシートを読み取った場合に、消去されずに残っている画像ある場合には、消色残りがあるとして、再利用不可と判断する。あるいは、分別処理は、読み取った画像に基づいて、シートの折れの有無や、しわ深さ、あるいは穴が開いている等の状態に基づいて、再利用可能か否かを判定する処理を含む。
制御部200は、検知センサ103からの信号に基づいて給紙カセット102上のシートの有無を判断する。また、制御部200は、加熱ローラ温度センサ109A、109Bを用いて第1の加熱ローラ108Hおよび第2の加熱ローラ108Iの温度を検知するとともに、第1の加熱ローラ108Hおよび第2の加熱ローラ108Iの温度を制御する。
また、制御部200は、シート検知センサ131、132、133、手前センサ130を用いて、第1乃至第3搬送路118、120、122内のシートの位置を把握する。
記憶部210は、読取部106で読み取った画像を保存する。また、記憶部210は、消去装置100で処理したシートの処理枚数を記憶する。記憶部210としては、例えば、ハードディスクドライブやその他の磁気記憶装置、光学式記憶装置、フラッシュ・メモリ等の半導体記憶装置またはこれらの任意の組合せであってよい。
記憶部210は、シートの画像形成を行った画像形成装置、又は消去可能かどうかを示す識別子と、消去可否と、消去温度と、を格納する消去可否テーブル210Aを格納する。
消去装置100は、外部機器と接続するインターフェースである通信I/F214を備える。
搬送部216は、第1搬送路118、第2搬送路120および第3搬送路122に配置される複数の搬送ローラと、搬送ローラを駆動する搬送モータとを有する。制御部200は、搬送部216の搬送モータの駆動を制御することによって、シートの搬送速度を制御する。ここで、シートの画像を読み取るために読取部106を搬送されるシートの速度を読取速度、シートの画像の色を消すために消去部108を搬送されるシートの速度を消色速度とする。
消去装置100は、通信I/F214を介してプリンタサーバ400に接続する。プリンタサーバ400は、CPU401と、メモリ402と、記憶部403と、通信I/F404と、を備える。
記憶部403は、ユーザに固有に割り当てられるIDごとにパスワードなどの認証情報を格納する認証テーブル403Aを備える。
図3は、認証テーブル403Aのデータ構成を示す図である。図3に示すように、認証テーブル403Aは、ユーザに固有に割り当てられる「ID」と、認証に使用する「パスワード」と、ユーザの「メールアドレス」と、ユーザの所属部署を示す「部署コード」と、当該ユーザが消去したシートの枚数を示す「消去枚数」と、を格納する。
各データの例は、IDが「1000123」、パスワードが「123456」、メールアドレスが「abc@cdf.com」、部署コードが「001」、消去枚数が「102」である。
図4は、消去装置100の動作を示すフローチャートである。図4に示すように、ステップ501において、消去装置100はユーザからのログイン要求を操作部128から入力する。消去装置100は、ユーザのIDの入力を受けるとパスワードの入力要求を操作部に表示する。ユーザによって操作部128からパスワードが入力されると、消去装置100はプリンタサーバ400にIDとパスワード送信要求を送信する。
プリンタサーバ400は、受信したIDに基づいて認証テーブル403Aを検索し、パスワードを読み出し、このIDとパスワードとを消去装置に送信する。
消去装置100は、ユーザが入力したパスワードとプリンタサーバから受信したパスワードとが同一であると判定した場合、ログインを許可し、同一でない場合にはパスワードの再入力をユーザに要求する。
なお、給紙カセット102が識別部222を有し、消去装置100が検知部221を有する場合、消去装置100はIDに代えて検知部が読み取った識別部222が示すカセットIDをプリンタサーバに送信する。
この場合、プリンタサーバ400は、IDに代えてカセットIDを認証テーブル403Aに格納する。
プリンタサーバ400は、受信したカセットIDに基づいて認証テーブル403Aを検索し、パスワードを読み出し、消去装置100に送信する。
消去装置100は、ユーザが入力したパスワードとプリンタサーバから受信したパスワードとが同一であると判定した場合、ログインを許可し、同一でない場合にはパスワードの再入力をユーザに要求する。
ステップ501において、消去装置100は、給紙カセット102からシートを取り出し、読取部106によってスキャンしてシート上に予め画像形成されているプリントIDを読み取る。
ここで、シート上のプリントIDは、消去するシートに画像形成されたIDである。このプリントIDは、バーコードでも文字でもよい。また、プリントIDは消色可能な現像剤によって画像形成される。
ステップ503において、消去装置100はプリントIDとログインID、すなわちユーザのID又はカセットIDが同一であるかを判定する。消去装置100は、プリントIDとログインIDとが同一であると判定した場合には、ステップ504に進み、同一でない場合、又はプリントIDが検知できない場合はステップ506に進む。
ステップ504において、消去装置100はシート上の画像を消去部108によって消去する。そして、ログインIDと消去済を示す信号とをプリンタサーバ400に送信する。
プリンタサーバ400は、受信したログインIDの消去枚数に1を加算して認証テーブル403Aに格納する。
ステップ505において、消去装置100はリユースボックス110に消去済のシートを搬送する。
ステップ506において、消去装置100はシートをリジェクトボックス112に搬送する。
ステップ507において、消去装置100は、プリントIDとメールアドレス送信要求とをプリンタサーバ400に送信する。
プリンタサーバ400は、受信したプリントIDに基づいて認証テーブル403Aを検索し、メールアドレスを読み出し、消去装置100に送信する。
消去装置100は、受信したメールアドレスに、シートが消去されずにリジェクトボックス112に格納されている旨のメッセージを添付してメールを送信する。
以上述べたように、本実施形態の消去装置100は、シートを搬送するシート搬送路118と、シート上の画像を読み取る読取部106と、読取部106のシート搬送方向下流に設けられ、シートを加熱することによってシート上の画像を消去する消去部108と、入力されたIDに基づいてユーザに固有に割り当てられるIDごとに認証情報を格納する認証テーブル403Aを検索して読みだした認証情報と、入力された認証情報とが一致する場合に消去部108にシート上の画像の消去させる制御部200と、を備える。
従って、ユーザごとに消去装置100の使用を制限することが可能となるという効果がある。
図5は、消去装置を内蔵する画像形成装置1の構成を示す図である。図5に示すように、画像形成装置1は、制御部300と、コントロールパネル303と、スタートボタン303Aと、自動原稿送り装置11と、画像読取部12と、画像形成部13と、転写部14と、用紙搬送機構18と、給紙ユニット15と、を含む。
コントロールパネル303は、例えば、グラフィカルユーザーインターフェースを表示する入出力部であるタッチパネルを備える。
スタートボタン303Aは、押下されると画像形成を開始する旨の信号が制御部300に送信される。
自動原稿送り装置11は、画像形成装置1の本体上部に開閉可能に設置される。自動原稿送り装置11は、原稿を一枚ずつ給紙カセットから取り出し、排紙トレイまで搬送する原稿搬送機構を備える。
自動原稿送り装置11は、原稿搬送機能により原稿を一枚ずつ画像読取部12の原稿読取部に搬送する。また、自動原稿送り装置11を開けて画像読取部12の原稿台の上に原稿を載置することも可能である。
画像読取部12は、原稿に露光する露光ランプと第1の反射ミラーを備えるキャリッジと、このキャリッジの動きに合わせて動く複数の第2の反射ミラーと、レンズブロックと、画像読取センサのCCD(Charge Coupled Device)と、を備える。
キャリッジは原稿読取部に静止して、あるいは原稿台の下を往復移動して、原稿が反射した露光ランプの光を第1の反射ミラーに反射させる。複数の第2の反射ミラーは第1の反射ミラーの反射光をレンズブロックに反射させる。レンズブロックはこの反射光の倍率を変更し、CCDに出力する。CCDは入射光を電気信号に変換して画像信号として画像形成部13に出力する。
画像形成部13は、イエローY、マゼンダM、シアンC、ブラックK、及び消色可能現像材Eごとに、レーザー照射ユニット20Aと、静電潜像担持体である感光体ドラム20Bと、現像材供給ユニット20Cと、を備える。
消色可能現像材は、呈色性化合物、顕色剤、消色剤を含む。呈色性化合物は、例えばロイコ染料が挙げられる。顕色剤は、例えばフェノール類が挙げられる。消色剤は、加熱されると呈色性化合物と相溶し、顕色剤と親和性を有さない物質が挙げられる。
消色可能現像材は、呈色性化合物と顕色剤との相互作用により発色し、消色温度以上の加熱により呈色性化合物と顕色剤との相互作用が絶たれるため、消色する。
レーザー照射ユニット20Aは画像信号に基づいて感光体ドラム20Bにレーザー光を照射し、感光体ドラム20B上に静電潜像を形成する。現像材供給ユニット20Cは現像材を感光体ドラム20Bに供給し、静電潜像から現像材像を形成する。
給紙ユニット15は、給紙カセットから一枚ずつシートを取り出して用紙搬送機構に引き渡す。用紙搬送機構はシートを転写部14に搬送する。
転写部14は、転写ベルト14Bと、転写ローラ14Aと、を備える。像担持体としての転写ベルト14Bは、感光体ドラム20Bの現像材像を転写して担持する。転写ローラは電圧を印加して転写ベルトの現像材像を搬送されてきたシートに転写する。
画像形成装置1は、転写部14のシート搬送方向下流に定着装置14Cを備える。定着装置14Cは、現像材像を加熱及び加圧してシートに定着させる。
排紙口から排紙されたシートPは、シートを担持する担持部である排紙トレイ16の上に積載される。
画像形成装置1は、シート搬送方向の転写ローラ14Aの上流、かつ給紙ユニット15の下流に、読取部106、消去部108をこの順に備える。
給紙ユニット15に装着される給紙カセットは、給紙カセットを識別する識別部222を備えていてもよい。識別部222は、突起であっても、無線タグであってもよい。
画像形成装置1は、給紙カセットが識別部222を備える場合、給紙カセットの装着位置に識別部222を読み取る検知部221を備える。検知部221は、識別部222が突起の場合はアクチュエータを備え、識別部222が無線タグの場合は、無線タグリーダライタを備える。検知部221は制御部300に接続する。
図6は、画像形成装置1の構成を示すブロック図である。図6に示すように、画像形成装置1は、画像形成装置1全体を統括制御する制御部300の演算装置であるメインCPU301と、このメインCPU301に接続するコントロールパネル303と、記憶装置であるROM,RAM302A並びにハードディスクドライブ(以下、ハードディスクドライブをHDDという。)302Bとスタートボタン303Aと、画像処理を行う画像処理部304と、を備える。
メインCPU301は、外部装置であるコンピュータ320にインターフェース313を介して接続する。また、メインCPU301は画像形成系統の各部を制御するプリントCPU305と、画像読み込み系統の各部を制御するスキャンCPU309と、駆動部を制御する駆動コントローラ312と、に接続する。
プリントCPU305は、感光体ドラム20Bに静電潜像を形成するプリントエンジン306と、現像材像を形成するプロセスユニット307と、を制御する。
スキャンCPU309は、CCD211を駆動させるCCD駆動回路310を制御する。CCD311からの信号は画像形成部13に出力される。
メインCPU301は、さらに、読取部106、消去部108、搬送部216、検知部221、通信I/F314に接続する。
制御部300は、加熱ローラ温度センサ109A、109Bを用いて第1の加熱ローラ108Hおよび第2の加熱ローラ108Iの温度を検知するとともに、第1の加熱ローラ108Hおよび第2の加熱ローラ108Iの温度を制御する。
記憶部302は、読取部106で読み取った画像を保存する。また、記憶部302は、消去処理したシートの処理枚数を記憶する。
HDD302Bは、ユーザに固有に割り当てられるIDごとにパスワードなどの認証情報を格納する認証テーブル403Aを格納する。
画像形成装置1の動作は、プリンタサーバ400との送受信を除き画像形成装置1の動 作と同様である。従って、図4を用いて説明する。
ステップ501において、画像形成装置1はユーザからのログイン要求をコントロールパネル303から入力する。画像形成装置1は、ユーザのIDの入力を受けるとパスワードの入力要求をコントロールパネル303に表示する。ユーザによってコントロールパネル303からパスワードが入力される。
画像形成装置1は、IDに基づいて認証テーブル403Aを検索し、パスワードを読み出す。
画像形成装置1は、ユーザが入力したパスワードと読み出したパスワードとが同一であると判定した場合、ログインを許可し、同一でない場合にはパスワードの再入力をユーザに要求する。
なお、給紙カセットが識別部222を有し、画像形成装置1が検知部221を有する場合、画像形成装置1はIDに代えてカセットIDを認証テーブル403Aに格納する。
画像形成装置1は、受信したカセットIDに基づいて認証テーブル403Aを検索し、パスワードを読み出す。
画像形成装置1は、ユーザが入力したパスワードと読み出したパスワードとが同一であると判定した場合、ログインを許可し、同一でない場合にはパスワードの再入力をユーザに要求する。
ステップ501において、画像形成装置1は、給紙カセット102からシートを取り出し、読取部106によってスキャンしてシート上に予め画像形成されているプリントIDを読み取る。
ここで、シート上のプリントIDは、消去するシートに画像形成されたIDである。このプリントIDは、バーコードでも文字でもよい。また、プリントIDは消色可能な現像剤によって画像形成される。
ステップ503において、画像形成装置1はプリントIDとログインID、すなわちユーザのID又はカセットIDが同一であるかを判定する。画像形成装置1は、プリントIDとログインIDとが同一であると判定した場合には、ステップ504に進み、同一でない場合、又はプリントIDが検知できない場合はステップ506に進む。
ステップ504において、画像形成装置1はシート上の画像を消去部108によって消去する。
画像形成装置1は、ログインIDの消去枚数に1を加算して認証テーブル403Aに格納する。
ステップ505において、画像形成装置1はリユースボックスに消去済のシートを搬送する。
ステップ506において、画像形成装置1はシートをリジェクトボックスに搬送する。
ステップ507において、画像形成装置1は、プリントIDに基づいて認証テーブル403Aを検索し、メールアドレスを読み出す。
画像形成装置1は、受信したメールアドレスに、シートが消去されずにリジェクトボックスに格納されている旨のメッセージを添付してメールを送信する。
以上述べたように、画像形成装置1は、シートを搬送するシート搬送路と、シートに画像形成する画像形成部13と、画像形成部13のシート搬送方向上流に設けられ、シート上の画像を読み取る読取部106と、画像形成部13のシート搬送方向上流、かつ、読取部106のシート搬送方向下流に設けられ、シートを加熱することによってシート上の画像を消去する消去部108と、ユーザに固有に割り当てられるIDごとにパスワードなどの認証情報を格納する認証テーブル403Aと、入力されたIDとシート上のプリントIDとが同一の場合、シート上の画像を消去する制御部と、を備える。
従って、他人のシートを誤って消去することがないという効果がある。
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。