JP2015129617A - マイクロ波乾燥装置及びマイクロ波乾燥方法 - Google Patents

マイクロ波乾燥装置及びマイクロ波乾燥方法 Download PDF

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Abstract

【課題】マイクロ波を利用して乾燥炉内に装入された被乾燥物の下層部位を、選択的かつより効率的に加熱することが可能な、マイクロ波乾燥装置及びマイクロ波乾燥方法を提供すること。
【解決手段】本発明に係るマイクロ波乾燥装置は、被乾燥物をコンベアにより搬送する際に乾燥させるために用いられるものであり、前記マイクロ波を発振するマイクロ波発振器と、前記被乾燥物からなる被乾燥物層の内部に挿入され、前記マイクロ波発振器から発振されたマイクロ波を導波する導波管と、を備え、前記導波管は、前記導波管の先端に設けられ、当該導波管の先端を閉塞する金属板と、前記導波管の側面に設けられた開口部と、を有しており、前記開口部は、前記導波管の中心軸方向において導波管内の磁場強度が極大となる位置を含み、導波管内の磁場強度が極小となる位置を含まない。
【選択図】図17

Description

本発明は、マイクロ波乾燥装置及びマイクロ波乾燥方法に関する。
電気炉による鋼材の製造が盛んになるにつれ、その主原料であるスクラップの需要は逼迫し、電気炉での高級鋼製造に対する要請から還元鉄の需要が増大しつつある。
還元鉄を製造する方法の一つとして、粉状の鉄鉱石や製鉄ダスト等の酸化鉄原料と、粉状の石炭やコークス等の炭材とを混合して、例えばペレットやブリケットのような塊成化物とし、この塊成化物を回転炉床炉等の還元炉に装入して高温に加熱することで酸化鉄原料を還元し、固体状の金属鉄を得る方法がある。このような方法において、酸化鉄原料と炭材とを含む塊成化物の水分含有率を調整することが、酸化鉄原料の還元率を高める上で重要となる。
以上のような還元鉄の製造工程において、塊成化物等の水分含有率を調整するための装置として、金網状のコンベア上に装入された被乾燥物を熱風により乾燥させるトンネル状の炉がある(例えば、以下の特許文献1を参照。)。このような乾燥炉は、炉の上方から下方に向けて熱風を通過させることで、装入された被乾燥物を乾燥させる。
上記特許文献1に開示されているような乾燥炉は、熱風を上方から供給することによる熱風乾燥であるため、被乾燥物である小塊原料(塊成化物に相当する。)の下層部分(金網状のコンベアに近い部分)の乾燥が遅れ、下層部分に位置する小塊原料の乾燥が不十分になってしまう。小塊原料の乾燥が不足すると小塊原料の強度が不足し、次工程において小塊原料が粉化することで生産歩留まりの低減が生じてしまう。また、このような生産歩留まりの低減を防止するためには、小塊原料に混合する各種バインダーを余分に添加することが必要となり、製造コストが増加してしまうという問題がある。また、かかる小塊原料は石炭やコークス等の炭材を含有しているため、これら原料を加熱しすぎると発火の可能性があり、熱風の温度を上げて乾燥効率の改善を図ることは困難である。従って、発火防止の観点から、十分に乾燥される上層部分ではなく、水分の残留する下層部分の乾燥を選択的に改善する技術が希求されている。
また、上記のような熱風を利用する乾燥炉以外にも、ヒーターによる乾燥を補助するために被加工物の外部から乾燥室の自由空間内にマイクロ波を照射する乾燥炉が提案されている(例えば、以下の特許文献2を参照。)。
しかしながら、上述のような還元鉄の製造工程では、被乾燥物である塊成化物の乾燥炉内での層厚は約250mmと厚い。そのため、上記特許文献2に記載されているように炉内の自由空間に対してマイクロ波を照射した場合、塊成化物層の上層部位にマイクロ波を作用させることは可能であるが、塊成化物の下層部位にマイクロ波を作用させることが出来ず、下層部分の乾燥を選択的に改善することはできない。
そこで、金属製のコンベアにて搬送されている塊成化物の下層部位にマイクロ波を選択的に作用させるために、被乾燥物層の内部までマイクロ波の導波管を挿入し、塊成化物の下層部位を選択的に加熱する方法が提案されている(以下の特許文献3を参照。)。
特開2005−113197号公報 特開平6−347165号公報 特開2013−76562号公報
中島将光著、「マイクロ波工学」、森北出版、1975年
しかしながら、本発明者らが検討を行ったところ、上記特許文献3に開示されている方法では、以下で詳述するように、導波管内の磁場強度の分布と導波管先端との位置関係によってはマイクロ波の反射強度が増大し、下層を効率良く加熱できない場合があることが明らかになった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、マイクロ波を利用して乾燥炉内に装入された被乾燥物の下層部位を、選択的かつより効率的に加熱することが可能な、マイクロ波乾燥装置及びマイクロ波乾燥方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、被乾燥物をコンベアにより搬送する際に乾燥させるために用いられるマイクロ波乾燥装置であって、前記マイクロ波を発振するマイクロ波発振器と、前記被乾燥物からなる被乾燥物層の内部に挿入され、前記マイクロ波発振器から発振されたマイクロ波を導波する導波管と、を備え、前記導波管は、前記導波管の先端に設けられ、当該導波管の先端を閉塞する金属板と、前記導波管の側面に設けられた開口部と、を有しており、前記開口部は、前記導波管の中心軸方向において導波管内の磁場強度が極大となる位置を含み、導波管内の磁場強度が極小となる位置を含まないマイクロ波乾燥装置が提供される。
前記導波管は、前記開口部の前記導波管の中心軸方向の上端と前記コンベアとの間の距離が、自由空間における前記マイクロ波の波長の4分の1以上となるように前記被乾燥物層に挿入されてもよい。
前記導波管は、前記開口部の前記導波管の中心軸方向の上端と前記コンベアとの間の距離が、自由空間における前記マイクロ波の波長の4分の1未満となるように前記被乾燥物層に挿入されてもよい。
前記導波管は、当該導波管から放射された前記マイクロ波によって前記被乾燥物が加熱される加熱範囲が前記被乾燥物層の最下層を含む深さまで挿入されることが好ましい。
前記被乾燥物層は、金属製のコンベア上に載置されており、前記開口部の前記中心軸方向の長さは、前記金属板から前記コンベアまでの距離より大きく、かつ、前記金属板から前記コンベアまでの距離と、前記導波管内を伝播する前記マイクロ波の管内波長の1/4に対応する距離との和よりも小さいことが好ましい。
自由空間中での前記マイクロ波の波長をλとし、前記導波管を前記中心軸に対して直交する方向に切断した断面における長辺の長さをaとした際に、当該導波管内を伝播する前記マイクロ波の管内波長λは、下記式1の関係式を満足し、かつ、前記コンベアからの前記マイクロ波の反射率が所定の閾値未満となるように前記長辺の長さaに基づいて算出される上限値未満となることが好ましい。
Figure 2015129617
前記マイクロ波の周波数が、2.40GHz〜2.50GHzであってもよい。
前記マイクロ波の周波数が、902MHz〜928MHzであってもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の更に別の観点によれば、被乾燥物をコンベアにより搬送する際に乾燥させるために用いられるマイクロ波乾燥方法であって、所定の周波数のマイクロ波を発振可能なマイクロ波発振器から発振された前記マイクロ波を、被乾燥物からなる被乾燥物層の内部に挿入され、先端に金属板が設けられ、かつ、側面に開口部の設けられた導波管により導波し、当該開口部から放射された前記マイクロ波により前記被乾燥物を乾燥させ、前記開口部は、前記導波管の中心軸方向において導波管内の磁場強度が極大となる位置を含み、導波管内の磁場強度が極小となる位置を含まないマイクロ波乾燥方法が提供される。
前記導波管は、前記開口部の前記導波管の中心軸方向の上端と前記コンベアとの間の距離が自由空間における前記マイクロ波の波長の4分の1以上となるように被乾燥物からなる被乾燥物層の内部に挿入されてもよい。
前記導波管は、前記開口部の前記導波管の中心軸方向の上端と前記コンベアとの間の距離が自由空間における前記マイクロ波の波長の4分の1未満となるように被乾燥物からなる被乾燥物層の内部に挿入されてもよい。
以上説明したように本発明によれば、マイクロ波を利用して乾燥炉内に装入された被乾燥物の下層部位を、選択的かつより効率的に加熱することが可能となる。
一般的な還元鉄の製造方法の流れについて示した説明図である。 乾燥炉内における塊成化物の状態について説明するための説明図である。 マイクロ波を用いた加熱方法に関する検討結果を説明するための説明図である。 マイクロ波を用いた加熱方法に関する検討結果を説明するための説明図である。 マイクロ波を用いた加熱方法に関する検討結果を説明するための説明図である。 矩形導波管におけるマイクロ波の伝播について説明するための説明図である。 矩形導波管におけるマイクロ波の伝播について説明するための説明図である。 矩形導波管におけるマイクロ波の伝播について説明するための説明図である。 矩形導波管におけるマイクロ波の伝播について説明するための説明図である。 矩形導波管におけるマイクロ波の伝播に関する検討結果を説明するための説明図である。 矩形導波管におけるマイクロ波の伝播に関する検討結果を説明するための説明図である。 矩形導波管におけるマイクロ波の伝播に関する検討結果を説明するための説明図である。 矩形導波管におけるマイクロ波の伝播に関する検討結果を説明するための説明図である。 矩形導波管におけるマイクロ波の伝播に関する検討結果を説明するための説明図である。 本発明の実施形態に係るマイクロ波乾燥装置の構成を示した説明図である。 同実施形態に係るマイクロ波照射導波管の構成を模式的に示した説明図である。 同実施形態に係るマイクロ波照射導波管について説明するための説明図である。 同実施形態に係るマイクロ波照射導波管について説明するための説明図である。 同実施形態に係るマイクロ波照射導波管について説明するための説明図である。 同実施形態に係るマイクロ波照射導波管について説明するための説明図である。 実施例1について説明するための説明図である。 実施例1について説明するための説明図である。 実施例1について説明するための説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(還元鉄の製造工程について)
本発明の実施形態に係る乾燥炉について説明するに先立ち、まず、図1を参照しながら、還元鉄の製造工程について、詳細に説明する。図1は、還元鉄の製造工程を説明するための説明図である。
まず、製鉄ダスト(酸化鉄粉)及び鉄鉱石、粉鉱石などの酸化鉄原料と、石炭、コークス、微粒カーボン等の還元材とは、予めホッパー1等に格納されている。酸化鉄原料及び還元材は、予め設定された配合比となるように配合されて、粉砕機2に装入される。
ボールミル等の振動ミルに代表される粉砕機2は、装入された酸化鉄原料及び還元材を、混合しながら所定の粒径まで粉砕する。粉砕後の酸化鉄原料及び還元材の粒径は、還元鉄の製造に用いられる回転炉床炉、流動床炉、シャフト炉等の固体還元炉に適した値とすることができる。粉砕後の酸化鉄原料及び還元材からなる混合物は、混練機3に運搬される。
混練機3は、粉砕機2により所定の粒径に粉砕された混合物を混練する。また、混練機3は、混合物の混練に際して、還元鉄の製造に用いる固体還元炉に適した水分量となるまで混合物に加水を行う調湿処理を施してもよい。混練機3の一例として、例えば、ミックスマーラー等を挙げることができる。混練機3によって混練された混合物は、成型機4に搬送される。
パンペレタイザー(皿型造粒機)、ダブルロール圧縮機(ブリケット製造機)、押し出し成型機等の成型機4は、酸化鉄原料及び還元材を含む混合物を成型し、例えばペレットのような塊成化物とする。ここで、塊成化物とは、ペレット、ブリケット、押し出し成型して裁断した成型品、粒度調整された塊状物等の粒状物・塊状物をいう。成型機4は、後述する乾燥・加熱還元後、例えば熱間にて溶解炉7に装入する際、炉内上昇ガス流で飛散しない程度の粒径以上の大きさとなるように、上記混合物を塊成化する。生成された塊成化物は、乾燥炉5へと装入される。
乾燥炉5は、塊成化物を乾燥して、後述する加熱還元工程に適した水分含有率(換言すれば、還元鉄の製造に用いる固体還元炉ごとに適した水分含有率:例えば、1%以下)となるようにする。所定の水分含有率となった塊成化物は、後述する固体還元炉6へと搬送される。
例えば回転炉床炉(Rotary Hearth Furnace:RHF)、流動床炉、シャフト炉等のような固体還元炉6は、装入された塊成化物を、LNGバーナーやCOGバーナー等の加熱雰囲気で加熱して還元させ、還元鉄とする。固体還元炉は、塊成化物を例えば1000〜1300℃程度まで加熱して塊成化物の還元処理を行い、還元鉄を製造する。製造された還元鉄は、溶解炉7に搬送される。溶解炉7では、固体還元炉6で製造された還元鉄を溶解し、溶銑を生成する。生成された溶銑は、脱硫/脱炭工程、二次精錬工程、連続鋳造工程、圧延工程等を経て、各種鉄鋼製品へと加工されることとなる。
(マイクロ波を用いた乾燥方法の概略)
以上のような還元鉄の製造工程において、通常、乾燥炉5は、熱風を用いて被乾燥物である塊成化物を乾燥させるトンネル状の炉が用いられる。この乾燥炉5の内部には、通常、ブリケット等の塊成化物が例えば高さ250mm程度となるまで装入され、炉内を網目状の金属コンベアで搬送される。搬送される個々の塊成化物は、還元炉や溶解炉の型式等によって様々な大きさのものがあるが、例えば10mmφ〜20mmφ程度の概球形状のものや、30mmφ〜50mmφ×厚み25mm程度の大きさのものである。このような塊成化物が高さ250mm程度まで積層されることで、網目状の金属コンベアには、約300kg/m(2940Pa)の荷重がかかる。この搬送の過程で、熱風によって塊成化物中の水分が除去され、塊成化物の水分含有率が所望の値となるように制御される。また、先だって説明したように、塊成化物中に含まれる炭材成分の発火を防止するために、使用する熱風は約200℃以下とする制約がある。
本発明者らが乾燥炉内の水分の残存状況を調査した結果、図2に模式的に示したように、上方からの熱風による乾燥では、塊成化物層の上層部位は乾燥するものの、下層部位(網目状コンベアに近い部位)では水分の残留量が大きく、下層部位の塊成化物は、乾燥不良となっていることが多いことが明らかとなった。一方で、生産増強の必要性から、下層への伝熱が十分進行する程の乾燥時間を取るわけにはいかないという事情もある。そのため、下層部位の塊成化物は乾燥不良となったまま炉外へ排出されることとなる。その結果、乾燥が十分ではない塊成化物は強度が不足し、歩留まりが低下してしまう。
以上のような乾燥不良のため、塊成化物層の下層部位に対してマイクロ波を選択的に照射することが求められる。
ところで、物質に吸収される単位体積あたりのマイクロ波のエネルギーPabsは、以下の式11のように表される。以下の式11を参照するとわかるように、加熱される物質(被加熱物質)に吸収される単位体積あたりのマイクロ波のエネルギーPabsは、被加熱物質の導電率、誘電率及び透磁率に依存している。従って、下記式11で表されるPabsは、被加熱物質のマイクロ波の吸収効率に関係する量であるともいえる。マイクロ波は、誘電損失により物質に吸収されると、マイクロ波のエネルギーが熱に変換され、結果的にマイクロ波を吸収した物質が加熱されることとなる。
Figure 2015129617
ここで、上記式11において、
σ :被加熱物質の導電率 [S/m]
f :マイクロ波の周波数 [Hz]
ε:真空中の誘電率 [F/m]
ε”:被加熱物質の比誘電率の虚数部
μ:真空中の透磁率 [H/m]
μ”:被加熱物質の比透磁率の虚数部
E :マイクロ波により形成される電場強度 [V/m]
H :マイクロ波により形成される磁場強度 [A/m]
π :円周率
である。
以下に、塊成化物の原料となる酸化鉄及び炭素材(還元材)と、一般的に使用される耐火炉材とについて、比誘電率の虚数部ε”の値をまとめて示す。
比誘電率の虚数部ε”
・代表的な耐火炉材であるアルミナ:0.004〜0.01
・粉状の炭素粉:10〜50
・酸化鉄:0.1〜10
上記より明らかなように、塊成化物の原料となる酸化鉄及び炭素材は、乾燥炉等において一般的に使用される耐火炉材に対して比誘電率の虚数部ε”の値が大きく、酸化物及び炭素材(還元材)にマイクロ波のエネルギーをより多く吸収させることが可能である。
このように、マイクロ波は、酸化物及び炭素材を含む塊成化物を乾燥させるために有用な手段であるが、上記特許文献2に開示されているような技術には、下記のような問題があった。
すなわち、乾燥炉の床面は、金属を用いた格子間隔が20mm程度の網目状のコンベアとなっているため、図3に模式的に示すように、上記特許文献2に則してコンベアの下方からマイクロ波を照射したとしても、照射したマイクロ波が金属製のコンベアで反射されてしまい、塊成化物を加熱することはできない。また、コンベアの材質を、例えばテフロンやナイロンのようにマイクロ波の吸収が少ない材質に変更することも考えられるが、このような材質は約300kg/m(2940Pa)という塊成化物層の荷重に耐えることができない。また、マイクロ波を上方から照射する場合であっても、塊成化物層の上下を乾燥炉内で反転させることで以前は下層に位置していた塊成化物を加熱することができるかもしれないが、このような上下反転を実施してしまうと、塊成化物が互いに衝突することにより砕けてしまい、塊成化物が粉化してしまうという問題が生じうる。
図4に模式的に示すように、塊成化物層上方からマイクロ波を照射した場合、マイクロ波による加熱が及ぶ範囲は、せいぜい最表層から2層目までであるため、結局のところ塊成化物層の上層部位のみが加熱され、塊成化物層の下層部位の乾燥には寄与しない。
図5に模式的に示すように、上記特許文献3には、塊成化物の下層までマイクロ波の導波管を挿入し、塊成化物の下層に対してマイクロ波を照射する技術が開示されている。この技術に関して本発明者らが詳細な検討を行った結果、以下のように、金属製の網目状コンベアから導波管先端までの距離によっては、網目状コンベアによるマイクロ波の反射強度が増大し、塊成化物の下層を効率良く加熱できない場合が生じうることが明らかとなった。以下、図6A〜図11を参照しながら、本発明者らによる検討結果について、詳細に説明する。
<導波管内の電磁場分布について>
一般的に、工業用加熱に用いられるマイクロ波としては、真空中での周波数が2.45GHzであるものが用いられる。マイクロ波を伝送するために、断面が矩形である金属製の中空管が、導波管として用いられ、マイクロ波は、TE10モードでかかる導波管内を伝播する(例えば、上記非特許文献1を参照。)。
ここで、マイクロ波が放射される矩形導波管の末端部は閉塞されていない開放端となっているが、かかる先端部を金属板で閉塞してショートさせた場合、矩形導波管は、TE101モードの矩形空洞共振器となる(例えば、上記非特許文献1を参照。)。以下では、図6A〜図6Dを参照しながら、先端部を金属板でショートさせた矩形導波管における電磁場の分布について、詳細に説明する。図6A〜図6Dは、先端部を金属板でショートさせた矩形導波管について説明するための説明図である。
図6Aに示したような座標系を便宜的に採用し、矩形導波管のxy断面において、長辺の長さをaとし、短辺の長さをbとし、矩形導波管の中心軸方向(z軸方向)の長さをcとする。マイクロ波は、面EFGHの側から伝播してくるものとし、矩形導波管の先端部(すなわち、面ABCD)は、金属板によって閉塞されているものとする。また、図6A〜図6Dにおいて、矩形導波管の長さcは、マイクロ波の管内波長をλとし、c=λ/2として図示している。
図6B〜図6Dは、図6Aに示した先端部を金属板でショートさせた矩形導波管における電磁場の分布の様子を示している。まず、図6B〜図6Dにおいて実線で示した電場の分布に着目すると、図6Cから明らかなように、z軸方向(すなわち、導波管の中心軸方向)の電場の分布は、c/2の位置で電場強度が腹となり、管内波長λの1/2の間隔で腹と節とが繰り返される定在波が生じていることがわかる。マイクロ波の周波数が2.45GHzであるとすると、(1/2.45)×10−9秒の周期で正弦的に反転する。
また、図6Bから明らかなように、x軸方向の電場の分布においても、a/2の位置で電場強度が腹となることがわかる。従って、xz平面における電場の分布は、図6Dに示したようなものとなる。
一方、磁場の分布は、図6B〜図6Dに示したようなものとなり、その結果、導波管先端の金属板で磁場強度が腹となり、管内波長λの1/2の間隔で腹と節とが繰り返される定在波が生じることとなる。磁場に関する定在波の様子を、図7に示した。電場強度の場合と同様に、磁場強度は、マイクロ波の周波数が2.45GHzであるとすると、(1/2.45)×10−9秒の周期で正弦的に反転する。
次に、図5に示したように、先端部が開口となっている導波管を金属製の網目状コンベアに近付けていくことを考える。網目状コンベアと導波管先端との間の離隔距離が管内波長λ以下となり両者が互いに近接した場合、先端部が開口となっている導波管であっても、金属製の網目状コンベアが、見かけ上図6A等に示した金属板と同様の働きをしてしまう。その結果、図5に示したような乾燥炉の内部では、図8に示したような定在波が生じることとなる。この場合、金属製の網目状コンベアの表面で磁場強度が腹となり、導波管の上流側(−z方向)に向かって、管内波長λの1/2の間隔で、腹と節とが交互に繰り返されることとなる。
マイクロ波を外部に放射する際、図9に模式的に示したように、磁場のつくる定在波が腹となる部分を含む高さに導波管の先端を設けた場合(換言すれば、導波管が途切れた部分(先端)のz軸正方向側のすぐ外側に、磁場のつくる定在波が腹となる部分が位置する場合)に、放射効率が最大となる。これは、磁場により導波管に管壁電流が生じ、導波管の開口で管壁電流が遮られることにより開口の縁に電荷の偏りが生じ、かかる電荷の偏りにより導波管の外部に電場が生じ、電磁波として放射されるエネルギーが支配的となるためである。
従って、図5に示したように、塊成化物層の下部までマイクロ波の導波管を挿入し、塊成化物に対してマイクロ波を照射する場合、図9に示したように、磁場のつくる定在波の腹を含むように導波管の先端を設置することで、マイクロ波の放射効率を最大にすることができる。換言すれば、かかる設置とすることで、マイクロ波のコンベアによる反射率を最小にし、より多くのエネルギーを塊成化物に与えることが可能となる。
網目状コンベアの表面(床面)が定在波の腹となることを考えると、z軸負方向側において次に定在波の腹が存在する位置は、図9に示したように、網目状コンベアの表面からλ/2だけ上方(z軸負方向側)に離隔した位置となる。2.45GHzのマイクロ波の伝送に一般的に用いられる、長辺a=109mmの矩形導波管の内部では、かかるマイクロ波の管内波長λは148mm程度となる。従って、マイクロ波の反射率を最小とし、マイクロ波の放射率を最大にしようとすれば、網目状コンベアの表面から74mmの位置が導波管先端のすぐ外側となるように、導波管を設置することとなる。
しかしながら、図2に示したような乾燥不良の塊成化物は、網目状コンベアの表面近傍に位置しており、また、一般的に操業に用いられる塊成化物の厚みは上記のように25mm程度である。従って、これらの内容を考慮すると、上記のような位置に導波管の先端を設置した場合には、塊成化物層の最下層に多くのマイクロ波エネルギーを供給することはできない。逆に、網目状コンベアの近傍まで導波管の先端を下げた場合には、マイクロ波の反射率が増大し、効率良く加熱を行うことが出来なくなってしまう。
本発明者らは、上記のような知見を確認するために、図9に示した網目状コンベアの表面から導波管下端までの距離sに対するマイクロ波の反射率Rの関係を、市販のアプリケーションを利用した有限要素法による電磁場解析で求めた。かかる電磁場解析では、2.45GHzのマイクロ波に着目し、矩形導波管の長辺の長さaは、109mmに設定した。得られた結果を、図10に示した。
図10から明らかなように、反射率Rは、距離sが45mmのときに極大となった後減少していき、距離sが75mmの時に最小となっていることがわかる。また、距離sを大きくしていくと、距離s=105mmのときに再度極大となり、その後減少していくが、かかる周期性は、定在波の腹と節とが交互に現れることに起因していると考えられる。
また、上記のような30mmφ〜50mmφ×厚み25mm程度の大きさの塊成化物が層状に積み重なっているモデルを採用し、図9に示した距離sを45mmとした場合、及び、75mmとした場合の双方について、上記と同様な有限要素法による電磁場解析により、塊成化物各層におけるマイクロ波のエネルギー吸収の割合を求めた。得られた結果を、図11に示した。
図11から明らかなように、距離s=45mmとした場合には、最下層である第1層に最も多くのエネルギーを吸収させることが可能であり、層が上方になるほど吸収されるエネルギー量は小さくなっていく。また、距離s=75mmとした場合には、最下層である第1層と第2層に対してもエネルギーを吸収させることは可能であるが、第3層が最も多くエネルギーを吸収することがわかる。
図10及び図11に示した知見を総合すると、s=75mmの場合、反射率Rは極小となるものの、最下層へのエネルギー吸収が減少する。逆に、s=45mmの場合、最下層に最も多くのエネルギーを供給可能であるが、反射率Rがs=75mmの場合に比べて増大する。従って、上記特許文献3に開示されている、図5に示した方法では、反射率の最小化と被乾燥物層最下層の加熱はトレードオフの関係にあり、両立できないことが明らかになった。
そこで、本発明者らは、金属製のコンベアからの反射率の最小化と、被乾燥物最下層の加熱とを両立可能なマイクロ波の照射方法について鋭意検討を重ねた結果、以下で説明するマイクロ波乾燥装置及びマイクロ波乾燥方法に想到したのである。
(実施形態)
以下では、図12〜図17を参照しながら、本発明の実施形態に係るマイクロ波乾燥装置及びマイクロ波乾燥方法について、詳細に説明する。図12は、本実施形態に係るマイクロ波乾燥装置の構成を示した説明図であり、図13は、本実施形態に係るマイクロ波照射導波管の構成を模式的に示した説明図である。図14〜図17は、本実施形態に係るマイクロ波照射導波管について説明するための説明図である。
<使用するマイクロ波について>
まず、本発明の実施形態に係るマイクロ波乾燥装置及びマイクロ波乾燥方法に用いられるマイクロ波について、簡単に説明する。
マイクロ波は、一般的には、波長1mm〜1m、周波数300MHz〜300GHzの電磁波をいう。しかしながら、本実施形態に係る塊成化物の加熱方法で着目しているように、マイクロ波を加熱手段として用いる(いわゆるマイクロ波加熱を行う)場合には、マイクロ波とは、いわゆるISM(Industry−Science−Medical)バンドに属する周波数帯域の電磁波を指す。
以下で説明する本発明の実施形態では、電磁波の周波数は特に限定されず、例えば、ISMバンドである2.45GHz帯(2.40GHz〜2.50GHz)、5.8GHz帯(5.725GHz〜5.875GHz)、及び、24GHz帯(24.0GHz〜24.25GHz)に属する周波数、又は、北米におけるISMバンドである915MHz帯(902MHz〜928MHz)等を適宜選択することが可能である。しかしながら、マイクロ波の被加熱物内部への浸透は、以下で説明するようにマイクロ波の波長に比例するため、上記のマイクロ波では、915MHz帯、2.45GHz帯の浸透深さδが大きく、したがって数少ない導波管の本数で、乾燥炉全幅にわたって原料の加熱を行うことができる。また、915MHz、2.45GHzという周波数のマイクロ波は、装置が安価である点や、発振器1台で数十kWまでの大出力の放射が可能である点などから、kWクラスの大出力が求められる本発明の設備コストとしても、安価に導入することができる。このため、本発明に用いるマイクロ波装置としては、915MHz、又は、2.45GHzのマイクロ波を発振可能なものが好ましい。
<マイクロ波乾燥装置の構成について>
以下では、図12を参照しながら、本実施形態に係る乾燥炉の構成について、詳細に説明する。図12は、本実施形態に係る乾燥炉の構成を模式的に説明するための説明図である。
本実施形態に係る乾燥炉に対して設置されるマイクロ波乾燥装置は、粉体又は小塊状の原料(被乾燥物)を金属製の網目状コンベアで搬送する過程で、この原料の上方から熱風を吹き付けて当該熱風を原料の上方から下方へと通過させることにより、原料中に含まれる水分を低減させる熱風式のトンネル乾燥炉に対して利用されるものである。
本実施形態に係るマイクロ波乾燥装置10は、図12に示したように、マイクロ波発振器101と、サーキュレータ103と、自動整合器107とを主に備え、これらの機器が導波管により接続されている。乾燥炉内の原料の上方には、これらの機器に接続されており、原料層に対してマイクロ波を照射するためのマイクロ波照射導波管109(以下、単に、導波管109ともいう。)が設置されている。
マイクロ波発振器101は、周波数300MHz〜300GHzのマイクロ波を発振する機器である。このマイクロ波発振器101は、kWクラスの出力を有するマイクロ波を発振可能な機器であることが好ましい。このマイクロ波発振器101により、例えば915MHzや2.45GHz帯に属する周波数のマイクロ波が、被乾燥物である原料が積層している原料層に対してマイクロ波を照射するための導波管109へと出力されることとなる。このマイクロ波発振器101は、公知のものを適宜選択して使用することが可能である。
サーキュレータ103は、例えば磁石を利用したマイクロ波の進行制御を行うことで、サーキュレータに入力されるマイクロ波を、マイクロ波発振器101から出力された入射波と、後述する自動整合器107側から戻ってきた反射波とに分離する。サーキュレータ103は、分離した入射マイクロ波を後述する自動整合器107側へと導波するとともに、反射マイクロ波を、アイソレータ105の側へと導波する。これにより、反射マイクロ波は、アイソレータ105内に設けられたダミー負荷(例えば、水など)に吸収され、マイクロ波発振器101側に戻らないようにすることができる。このようなサーキュレータ103を設けることにより、本実施形態に係るマイクロ波乾燥装置10では、安定したマイクロ波の出力を行うことができる。このサーキュレータ103は、公知のものを適宜選択して使用することが可能である。
自動整合器107は、入射側のインピーダンスと、負荷側(すなわち、塊成化物からなる被乾燥物層側)のインピーダンスとの整合を取ることで負荷側からの反射波を低減し、反射波をほぼゼロとする機器である。この自動整合器107は、反射電界の位相及び強度を測定し、インピーダンス整合を自動で行うことで、上記のような反射波の低減を実現する。
本実施形態に係るマイクロ波乾燥装置10の乾燥対象は、乾燥炉5内を搬送されている塊成化物等の小塊原料である。そのため、移動している小塊原料の状況が変化し、負荷側のインピーダンスが変動する場合、マイクロ波の照射効率は変動することとなる。この場合には、マイクロ波を照射するための導波管109から、マイクロ波エネルギーを安定して効率良く被乾燥物層に照射するために、自動整合器107を設けて負荷側のインピーダンスにあわせた自動整合処理を行っても良い。
なお、上記のような各機器を接続している導波管は、マイクロ波を導波して所望の箇所へと導く金属の中空管である。この導波管の形状については、マイクロ波の導波特性等を考慮して適宜決定すればよく、導波管自体についても、使用するマイクロ波の周波数や出力強度等に応じて、公知のものを適宜選択することができる。
マイクロ波照射導波管109は、熱風式の乾燥炉5において塊成化物等の被乾燥物からなる被乾燥物層の下層部位を選択的に加熱するために、マイクロ波を被乾燥物層の下層部位へと照射する部材である。このマイクロ波照射導波管109について、図13を参照しながら説明する。
導波管109は、マイクロ波発振器101から発振されたマイクロ波を、被乾燥物層の下層部位へと放射するために用いられる金属の中空管である。かかる導波管109の断面形状(図13におけるxy切断面での断面形状)は特に限定されるものではないが、図13に例示したように、断面が矩形状となる矩形導波管を用いることが好ましい。
かかる導波管109の被乾燥物層へと挿入される側の先端部は、図13に模式的に示したように、金属板121によって閉塞されている。金属板121に用いる金属は、導電率が高く、非磁性のものであれば特に限定されるものではないが、加工の容易さを考慮すると、導波管109の本体と同様の金属を用いて形成することが好ましい。
また、導波管109の側壁の一部には、図13に模式的に示したように、マイクロ波が放射される開口部123が形成されている。開口部123が形成される側壁については特に限定されるものではないが、放射されるマイクロ波と被乾燥物との作用時間がなるべく長くなるような面に、開口部123が形成されることが好ましい。
例えば、導波管109が図6A〜図6D等に示した矩形導波管である場合に、矩形導波管を被乾燥物が搬送されている乾燥炉内に装入すると、矩形導波管は、被乾燥物の流れから抵抗を受けることとなる。従って、矩形導波管を乾燥炉内に設置する際には、被乾燥物の流れに起因する抵抗がなるべく少なくなることが好ましい。具体的には、被乾燥物の流れの方向に対向する矩形導波管の面積をなるべく少なくしたいため、矩形導波管の短辺に対応する面(例えば図6Aでは、面ADHEに相当する面、図13では、yz平面に平行な面)が被乾燥物の流れの方向に対向するように、矩形導波管が設置されることとなる。この場合、被乾燥物とマイクロ波との作用時間が長くなる面は、被乾燥物の流れに対して平行となる面、すなわち、長辺aに対応する面(例えば図6Aでは、面ABFEに相当する面、図13では、xz平面に平行な面)である。従って、かかる場合には、開口部123は、長辺aに対応する面に形成されることが好ましい。なお、被乾燥物とマイクロ波との作用時間を長くするという観点から、開口部123は、長辺aに対応する2つの側面(例えば図6Aでは、面ABFEと面DCGHに相当する面)に形成されることがより好ましい。
なお、導波管109の側面における開口部123のより詳細な構成については、以下で改めて詳細に説明する。
かかる導波管109は、図14に模式的に示したように、被乾燥物層の内部に対して、導波管109から放射されたマイクロ波によって被乾燥物が加熱される加熱範囲が、被乾燥物層の最下層を含む深さまで挿入されることが好ましい。より詳細には、導波管109は、金属製の網目状コンベアと導波管先端との間の離隔距離が、導波管109内を伝播するマイクロ波の管内波長λ以下となるように、乾燥炉中に挿入されることが好ましい。
ところで、マイクロ波が誘電損失により物質に吸収されると、マイクロ波のエネルギーは熱に変換されて、結果的にマイクロ波を吸収した物質が加熱されることとなる。この際、マイクロ波がどのくらいまで物質の内部に浸透するかは、以下の式12で算出することが可能である。
Figure 2015129617
ここで、上記式12において、
δ(左辺) :マイクロ波の浸透深さ [cm]
λ :自由空間におけるマイクロ波の波長 [cm]
ε’ :物質の比誘電率(実部)
tan δ:物質の誘電正接
である。
また、上記式12のうちtan δは、物質の誘電率ε’及び誘電損失係数ε”を用いて、(ε”/ε’)で算出することが可能である。
本発明者らによる検討の結果、乾燥炉に装入される被乾燥物であるブリケットは30mmφ〜50mmφ×厚み25mmの塊状であって、各ブリケットの間に空隙を持っており、搬送中のブリケットでは各ブリケットの間の空隙の状態が変化するため、マイクロ波加熱範囲が拡大し、上記式12で求めた浸透深さδの10倍までの範囲が実効的な加熱範囲(以下、δeffとも表記する。)であることが明らかとなった。一般的な操業に用いられるブリケットの物性値から上記浸透深さδを算出すると、その大きさは、約0.5cm程度となるため、マイクロ波加熱による実効的な加熱範囲δeffは、約5cm程度となる。
従って、導波管109は、金属製の網目状コンベアと導波管先端(より詳細には、導波管109の先端に設けられた金属板121)との間の離隔距離が、導波管109内を伝播するマイクロ波の管内波長λ以下となるように乾燥炉中に挿入されることが好ましく、マイクロ波加熱による実効的な加熱範囲δeffより小さくなるように乾燥炉中に挿入されることが更に好ましい。
なお、乾燥炉5の炉幅が広く、単一の導波管109のみでは被乾燥物を乾燥炉5の炉幅方向に均一に加熱できない場合、被乾燥物を乾燥炉5の炉幅方向に均一に加熱するため、例えば図15に示したように、複数本の導波管109のうち少なくとも2本は、乾燥炉の炉幅方向の互いに異なる位置に配置することが好ましい。
また、図15に示したように、各導波管109により加熱される範囲(加熱範囲)が乾燥炉5の炉幅方向全体を覆うような間隔で、導波管109を配置することが好ましい。なお、図15に示したように、導波管109の側面のうち開口部123が存在している面が主な加熱範囲となるが、導波管109を伝播しているマイクロ波の波長が長いために、マイクロ波が開口部123で回折したり塊成化原料で反射したりして回り込みが発生する。その結果、図15に示したように、導波管109の側面のうち開口部123が存在していない面についても、加熱が行われることとなる。この際に、各導波管109の加熱範囲が互いに重畳するように、導波管109の配置間隔を決定することが好ましい。
複数の導波管の間隔が上記で決定される間隔よりも大きい場合は、炉幅方向に対して塊成化原料の加熱ムラができるため、原料の乾燥ムラにつながって好ましくない。しかしながら、マイクロ波により加熱が行われた部分については原料の乾燥が改善されるため、挿入した導波管の本数に応じて、原料全体としてみた平均値としての乾燥は改善される。
また、乾燥炉の特性として炉幅方向における原料層の厚みが異なる、あるいは熱風の風量に分布があり熱風乾燥の効率が炉幅方向で異なる場合も起こりうる。この際には、原料層が厚い炉幅方向位置、もしくは、風量が小さく乾燥効率が劣位で塊成化原料に残留している水分量の多い炉幅方向位置ほど、他の位置と比較して塊成化原料に残留している水分量が多くなると考えられる。そこで、原料層が厚い炉幅方向位置、もしくは、風量が小さく乾燥効率が劣位で塊成化原料に残留している水分量の多い炉幅方向位置等の塊成化原料に残留している水分量が多い炉幅方向位置ほど、多くの本数の導波管109を炉長方向に沿って直列に設置し、マイクロ波を照射することも有効である。
また、どのように各導波管109を配置するかについては、特に限定されるわけではなく、例えば、乾燥炉5の残留水分の偏り状況に関する知見等に基づき、この偏りを解消可能なように導波管の配設位置を決定すればよい。従って、例えば図15に示すように、炉幅方向の同一の領域に複数個の導波管109が配設されていてもよい。
また、乾燥炉5の内部では、被乾燥物層の上方から吹き込まれる熱風によって、被乾燥物層の上方が粉塵環境となっている。また、炉内は約80℃以上の温度を有し、約100%に近い湿度を有する高温多湿状態にあり、このような状況下で被乾燥物である塊成化物が移動している。そのため、導波管109の内部に粉塵が侵入することによるアーキングの発生を防止するとともに、導波管109の内部への湿気の侵入を防止するために、乾燥空気や乾燥窒素や乾燥アルゴン等の防塵ガスを中空の導波管内部に導入して、導波管109に正圧がかかっている状態とすることが好ましい。
また、図16に例示したように、マイクロ波を照射するための導波管109に設けられた開口部123に対し、セラミックスカバーとして、セラミックスからなる防塵板125を設け、この防塵板125を通してマイクロ波が放射されるようにしてもよい。
防塵板125は、加熱源であるマイクロ波の吸収が少なく、高温多湿状態でも利用可能である無機材料セラミックスを用いて形成されることが好ましい。防塵板125に用いられる無機材料セラミックスは、マイクロ波の吸収特性に関与する誘電損失係数ε”が、0.02未満であることが好ましい。誘電損失係数ε”を0.02未満とすることで、マイクロ波吸収による無機材料セラミックスの自己発熱を抑制することが可能となる。
このような無機材料セラミックスの例として、アルミナ(Al)、窒化ケイ素(Si)、サイアロン(SiAlON、化学式:Si・Al)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ホウ素(BN)等がある。これらの無機材料セラミックスを単独で使用して防塵板125を製造してもよく、これらの無機材料セラミックスを混合して防塵板125を製造してもよい。
[開口部の構成について]
次に、図17を参照しながら、本実施形態に係る導波管109に設けられた開口部123について、より詳細に説明する。
先だって説明したように、導波管109の先端部と金属製の網目状コンベアとの間の離隔距離は、導波管109内を伝播しているマイクロ波の管内波長λ以下となっている。そのため、導波管側面の開口から放射されたマイクロ波は、金属製の網目状コンベアに到達する。これは、例えば2.45GHzのマイクロ波の波長が自由空間で123mmとなるようにマイクロ波の波長が長いため、マイクロ波は、開口があれば回折して側面から放射されるからである。
また、金属製の網目状コンベアと導波管109の先端が近接しており、開口から放射されたマイクロ波が完全に減衰する前に網目状コンベアに到達するため、コンベア面が反射面となり、図8等を参照しながら説明した場合と同様に、見かけ上、網目状コンベアと導波管109とは、網目状コンベアをショート板とする矩形空洞共振器として働く。また、導波管109の先端に設けられた金属板121は、空洞共振器中に存在する金属板として機能する。その結果、金属板121の表面に渦電流が生じ、渦電流が磁場を発生することで、図17に示すような定在波が発生する。
このとき、先だって説明したように、金属製の網目状コンベアの表面は、磁場のつくる定在波の腹となり、磁場の分布は、金属板121を鏡面とした分布となる。その結果、導波管109の内部に生じる磁場の腹は、「網目状コンベアから導波管109の先端の金属板121までの距離L」と等距離だけ、マイクロ波発振器側に戻った点となる。すなわち、磁場の腹は、「網目状コンベアから導波管109先端の金属板121までの距離L」と同じだけ、金属板121の位置から上方(z軸負方向側)にずれることとなる。
また、導波管109の先端から距離Lだけ遡った点から、更に、マイクロ波の管内波長λの1/4だけ遡った点が、磁場のつくる定在波の節となる。以降、上記の定在波の腹の位置からλ/2だけ遡るごとに定在波の腹の位置が現れ、定在波の節の位置からλ/2だけ遡るごとに定在波の節の位置が現れる。
本実施形態に係る導波管109では、開口部123は、導波管の中心軸方向(z軸方向)において導波管内の定在波の腹(すなわち、磁場強度が極大となる位置)を含み、定在波の節(すなわち、磁場強度が極小となる位置)を含まないように、導波管109の側面に設けられる。かかる条件は、「導波管の側面に設けた開口部123の高さ(開口部123の中心軸方向の長さ)h」が、「金属板から網目状コンベアまでの距離Lより大きく、かつ、金属板から網目状コンベアまでの距離Lと、導波管109内を伝播するマイクロ波の管内波長の1/4に対応する距離(λ/4)との和(L+λ/4)よりも小さい」と言い換えることができる。かかる記載からも明らかなように、本実施形態に係る導波管109では、金属板から網目状コンベアまでの距離Lと、マイクロ波の管内波長λとにのみ基づいて、開口部123の高さhを一義的に決定することができる。
このように、磁場のつくる定在波の腹を含み、かつ、節を含まないように、導波管109の側面に開口を設けることで、網目状コンベアからの反射率を最小化するとともに、放射効率を最大化することが可能となる。
また、網目状コンベアの表面が定在波の腹となり、金属板121を鏡面とする磁場の分布が発生することからも明らかなように、距離Lを変更することで、乾燥炉内の任意の高さに磁場のつくる定在波の腹を発生させることができる。そのため、開口部123の高さhに対応する位置が、磁場のつくる定在波の腹を含み、かつ、節を含まないという関係さえ満たしていれば、反射率を最小としたまま、炉内の任意の位置でマイクロ波を最も強く放射することが可能となる。なお、磁場のつくる定在波の腹が開口部123に含まれていない場合、開口部123からマイクロ波は放射されず、導波管109内で反射することとなる。
従って、用いる導波管109の長辺の長さaとマイクロ波の自由空間での波長λ(換言すれば、マイクロ波の周波数)によって決定される管内波長λに合わせて、開口部123の高さhを変更することも可能である。
例えば、開口部123の導波管中心方向の上端(z軸負方向側の端部)から網目状コンベアの表面までの距離(図17における距離L)が、マイクロ波の自由空間での波長λの4分の1以上(L≧λ/4)となる場合において、更に、開口部123の高さhに対応する位置が、磁場のつくる定在波の腹を含み、かつ、節を含まないという関係を満たすように開口部123を設けることで、反射率を最小としたまま、マイクロ波を最も強く放射することができる。逆に、L≧λ/4という条件を満足する場合であっても、開口部123の高さhに対応する位置が磁場のつくる定在波の節を含んでしまう場合には、反射率を最小としたまま、マイクロ波を最も強く放射することはできない。
また、例えば、開口部123の導波管中心方向の上端(z軸負方向側の端部)から網目状コンベアの表面までの距離(図17における距離L)が、マイクロ波の自由空間での波長λの4分の1未満(L<λ/4)となる場合においても、開口部123の高さhに対応する位置が、磁場のつくる定在波の腹を含み、かつ、節を含まないという関係を満たしさえすれば、反射率を最小としたまま、マイクロ波を最も強く放射することができる。前述したように、上方からの熱風による乾燥では、塊成化物層の上層部位は乾燥するものの、下層部位(網目状コンベアに近い部位)では水分の残留量が大きい。Lが小さいほど下層に絞ってマイクロ波を供給することができるため、被乾燥物の乾燥により効果的である。
ここで、マイクロ波の管内波長λは、マイクロ波の自由空間での波長λ及び矩形導波管の長辺の長さaと、以下の式13のような関係が成立しており、マイクロ波が導波管109によって伝送されるためには、導波管の長辺aに対して、以下の式14で表される伝送条件(TE10モードでの伝送条件)を満たすことが求められる。
Figure 2015129617
従って、上記式13及び式14より、管内波長λの下限を規定する値は、式14において導波管の長辺aが自由空間での波長λとなるときであり、a=λを式13に代入することで、下記式15で表される関係式を得ることができる。
Figure 2015129617
管内波長の上限値は、網目状コンベアからのマイクロ波の反射率が所定の閾値未満となるように、導波管の長辺の長さaに基づいて算出される上限値未満となる。かかる反射率の閾値は、例えば、図12に示したようなサーキュレータ103や自動整合器107において不具合が生じることなく処理可能な反射率の値に設定することができる。例えば、サーキュレータ103や自動整合器107において不具合が生じることなく処理可能な反射率の値が10%である場合には、導波管の長辺の長さaに基づいて反射率が10%未満となるように算出された管内波長λの値が、上限値となる。このような値は特に限定されるものではないが、例えば、λ<30.5×λとしてもよい。
また、ISMバンドに属する周波数のマイクロ波は、周波数変動が所定の閾値以内(例えば、f±50MHz(ただし、fは中心周波数))に収まることが好ましいとされている。そのため、2.45GHzのマイクロ波を利用することを想定する場合、用いるマイクロ波の周波数を2.40GHz〜2.50GHzの帯域に含まれるものとすることが好ましい。従って、マイクロ波の管内波長λは、自由空間での波長λと導波管の長辺の長さaに基づいて式13から算出される管内波長の値からの変動値が、上記周波数変動の閾値に対応する波長の長さ以下となることが好ましい。例えば、2.45GHzのマイクロ波を利用し、導波管の長辺の長さaを109mmとする場合には、管内波長λは、以下の関係式16を満たすことが好ましい。すなわち、2.45GHzのマイクロ波を利用し、導波管の長辺の長さaを109mmとする場合、±50MHzに対応する波長は、下記式16に示したように、5mmに相当する。
|λ−148mm|≦5mm ・・・(式16)
同様に、915MHz帯のマイクロ波を利用することを想定する場合についても、マイクロ波の管内波長λは、自由空間での波長λと導波管の長辺の長さaに基づいて式13から算出される管内波長の値からの変動値が、周波数変動の閾値に対応する波長の長さ以下となることが好ましい。
以上説明したように、本実施形態に係るマイクロ波乾燥装置及びマイクロ波乾燥方法によれば、金属製の網目状コンベアから任意の高さに存在する被乾燥物に対して、マイクロ波を高効率で照射して加熱することが可能となる。これにより、乾燥炉内の下層に位置する被乾燥物の強度が上昇し、歩留まりが向上することとなる。また、被乾燥物を形成する際に添加されるバインダーの量や、炉内に供給されるマイクロ波の出力を抑えることが可能となるため、製造コストの削減を図ることが可能となる。
以上、図12〜図17を参照しながら、本実施形態に係るマイクロ波乾燥装置及びマイクロ波乾燥方法について、詳細に説明した。
以下に、実施例を示しながら、本発明の実施形態に係るマイクロ波乾燥装置及びマイクロ波乾燥方法について、具体的に説明する。なお、以下に示す実施例は、本発明の実施形態に係るマイクロ波乾燥装置及びマイクロ波乾燥方法のあくまでも一例であって、本発明の実施形態に係るマイクロ波乾燥装置及びマイクロ波乾燥方法が下記の例に限定されるわけではない。
(実施例1:電磁場解析による検証)
まず、市販のアプリケーションを利用した有限要素法による電磁場解析により、図12〜図17に示した本発明の実施形態に係るマイクロ波乾燥装置の検証を行った。
かかる検証に際して、マイクロ波の周波数を2.45GHzとし、導波管の長辺の長さa=109mmとした上で、網目状コンベアから金属板までの距離L、及び、開口部123の高さhの組み合わせを、下記の表1に示すように通り準備し、解析を行った。電磁場解析のモデルを、図18に示した。図18に示したように、このモデルでは、導波管109の先端部における電磁場の挙動をシミュレートし、開口部123の周囲に実際の操業で用いられる塊成化原料と同等の誘電率及び誘電損失を有する球状の物体を配して、金属製の網目状コンベアを模した平面からの反射率を算出している。
着目しているマイクロ波の周波数が2.45GHzであるため、管内波長λは148mmとなる。従って、λ/4=37mmである。下記の表1から明らかなように、パターンA,B,D,Eにおいては、L<h<L+λ/4となっており、磁場のつくる定在波の腹を含み、節を含まないという条件を満足していることがわかる。逆に、パターンCにおいては、h>L+λ/4、パターンFにおいては、h<Lとなっており、磁場のつくる定在波の腹を含み、節を含まないという条件を満足していない。
Figure 2015129617
得られた反射率を、上記表1にあわせて示した。なお、自由空間における周波数2.45GHzのマイクロ波の波長λは、123mmであり、λ/4=31mmである。参考のため、パターンA〜Fにおいて、金属板121の厚みを5mmとして開口部123の導波管中心方向の上端から網目状コンベアの表面までの距離Lの値も併せて表1に示す。また、6通りの組み合わせのそれぞれについて、塊成化物層の各層におけるマイクロ波エネルギー吸収の割合を算出し、図19に示した。
表1から明らかなように、パターンA,B,D,Eにおいては、マイクロ波の反射率を10%未満とできることが明らかになった。また、図19から明らかなように、最下層〜最下層から2番目に位置する塊成化物に対して、多くのマイクロ波エネルギーを供給できることがわかった。逆に、パターンC,Fにおいては、最下層に位置する塊成化物に対してマイクロ波エネルギーを与えることはできるものの、反射率が20%以上と大きくなることがわかった。
(実施例2)
次に、網目状コンベアから金属板までの距離をLとし、金属板121(導波管と同一の材質のもの)の厚みを5mmとし、開口部の高さhを、下記の表2に示すように4通り選択し、矩形導波管(長辺a=109mm)を、実際の操業で用いられる塊成化物による層厚250mmの塊成化物層に挿入し、塊成化物に2.45GHzのマイクロ波を照射して、パワーモニタにより測定される反射率を測定した。また、矩形導波管近傍に位置する塊成化物に予め熱電対を挿入しておき、実験前後の塊成化物の温度差から、塊成化物の各層に吸収されたエネルギーを求め、層毎の吸収割合を算出した。
ここで、パターンG,Iは、磁場のつくる定在波の腹を含み、節を含まない条件を満たしている。また、パターンHは、磁場のつくる定在波の腹及び節の双方を含む条件となっている。
得られた反射率を、下記の表2に示した。また、塊成化物各層のエネルギー吸収割合を、図20に示した。なお、参考のため、表1と同様、パターンG〜Jにおいて、Lの値も併せて表2に示す。
Figure 2015129617
上記表2から明らかなように、パターンG,Iの開口部を備える導波管を用いた方が、パターンH,Jの開口部を備える導波管を用いた場合よりも反射率が小さくなっており、塊成化物に対してより多くのマイクロ波エネルギーを供給できたことがわかる。
また、図20を参照すると、パターンG,Iの開口部を備える導波管を用いた場合は、最下層〜最下層から2層目(層の番号=3)に位置する塊成化物に対して、マイクロ波エネルギーを供給出来ていることがわかる。一方、パターンHの開口部を備える導波管を用いた場合は、最下層から2層目〜3層目(層の番号=3〜4)に対してマイクロ波のエネルギーが多く吸収されていることがわかる。パターンH,Jの導波管の場合、反射率が70%以上であることから、実際にマイクロ波発振機から供給されたエネルギーの25%しか、塊成化物にエネルギーが吸収されていない。その25%のエネルギーのうち、最下層〜最下層から2層目に吸収されたエネルギーは、10%未満であり、h=60mmとした場合には、最下層の塊成化物を加熱できていないことが明らかとなった。
以上の結果からも、本発明の実施形態に係るマイクロ波乾燥装置及びマイクロ波乾燥方法を用いることで、より効率的に被乾燥物層の下層を加熱できることが明らかとなった。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
10 マイクロ波乾燥装置
101 マイクロ波発振器
103 サーキュレータ
105 アイソレータ
107 自動整合器
109 マイクロ波照射導波管(導波管)
121 金属板
123 開口部
125 防塵板

Claims (11)

  1. 被乾燥物をコンベアにより搬送する際に乾燥させるために用いられるマイクロ波乾燥装置であって、
    前記マイクロ波を発振するマイクロ波発振器と、
    前記被乾燥物からなる被乾燥物層の内部に挿入され、前記マイクロ波発振器から発振されたマイクロ波を導波する導波管と、
    を備え、
    前記導波管は、
    前記導波管の先端に設けられ、当該導波管の先端を閉塞する金属板と、
    前記導波管の側面に設けられた開口部と、
    を有しており、
    前記開口部は、前記導波管の中心軸方向において導波管内の磁場強度が極大となる位置を含み、導波管内の磁場強度が極小となる位置を含まない
    ことを特徴とする、マイクロ波乾燥装置。
  2. 前記導波管は、前記開口部の前記導波管の中心軸方向の上端と前記コンベアとの間の距離が、自由空間における前記マイクロ波の波長の4分の1以上となるように前記被乾燥物層に挿入される
    ことを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ波乾燥装置。
  3. 前記導波管は、前記開口部の前記導波管の中心軸方向の上端と前記コンベアとの間の距離が、自由空間における前記マイクロ波の波長の4分の1未満となるように前記被乾燥物層に挿入される
    ことを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ波乾燥装置。
  4. 前記導波管は、当該導波管から放射された前記マイクロ波によって前記被乾燥物が加熱される加熱範囲が前記被乾燥物層の最下層を含む深さまで挿入される
    ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のマイクロ波乾燥装置。
  5. 前記被乾燥物層は、金属製のコンベア上に載置されており、
    前記開口部の前記中心軸方向の長さは、前記金属板から前記コンベアまでの距離より大きく、かつ、前記金属板から前記コンベアまでの距離と、前記導波管内を伝播する前記マイクロ波の管内波長の1/4に対応する距離との和よりも小さい
    ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のマイクロ波乾燥装置。
  6. 自由空間中での前記マイクロ波の波長をλとし、前記導波管を前記中心軸に対して直交する方向に切断した断面における長辺の長さをaとした際に、
    当該導波管内を伝播する前記マイクロ波の管内波長λは、下記式1の関係式を満足し、かつ、前記コンベアからの前記マイクロ波の反射率が所定の閾値未満となるように前記長辺の長さaに基づいて算出される上限値未満となる
    ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のマイクロ波乾燥装置。
    Figure 2015129617
  7. 前記マイクロ波の周波数が、2.40GHz〜2.50GHzである
    ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のマイクロ波乾燥装置。
  8. 前記マイクロ波の周波数が、902MHz〜928MHzである
    ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のマイクロ波乾燥装置。
  9. 被乾燥物をコンベアにより搬送する際に乾燥させるために用いられるマイクロ波乾燥方法であって、
    所定の周波数のマイクロ波を発振可能なマイクロ波発振器から発振された前記マイクロ波を、被乾燥物からなる被乾燥物層の内部に挿入され、先端に金属板が設けられ、かつ、側面に開口部の設けられた導波管により導波し、当該開口部から放射された前記マイクロ波により前記被乾燥物を乾燥させ、
    前記開口部は、前記導波管の中心軸方向において導波管内の磁場強度が極大となる位置を含み、導波管内の磁場強度が極小となる位置を含まない
    ことを特徴とする、マイクロ波乾燥方法。
  10. 前記導波管は、前記開口部の前記導波管の中心軸方向の上端と前記コンベアとの間の距離が自由空間における前記マイクロ波の波長の4分の1以上となるように被乾燥物からなる被乾燥物層の内部に挿入される
    ことを特徴とする、請求項9に記載のマイクロ波乾燥方法。
  11. 前記導波管は、前記開口部の前記導波管の中心軸方向の上端と前記コンベアとの間の距離が自由空間における前記マイクロ波の波長の4分の1未満となるように被乾燥物からなる被乾燥物層の内部に挿入される
    ことを特徴とする、請求項9に記載のマイクロ波乾燥方法。
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