JP2015128440A - 失明の治療のための新規な治療用ツールおよび方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、失明を治療する方法、失明の治療における使用のための構築物、ならびに失明の治療のための医薬の製造におけるそれらの使用を提供することを目的する。【解決手段】本発明は、古細菌に由来する過分極光依存性イオンチャネルもしくはポンプ遺伝子をコードする核酸配列または該遺伝子の光活性化フラグメント、あるいは該核酸配列に相補的なヌクレオチド配列を含む、失明の治療または軽減のための単離された核酸分子の使用に関する。該光依存性イオンチャネルもしくはポンプ遺伝子がハロロドプシン遺伝子でありうる。【選択図】なし
Description
本発明は、失明を治療する方法に関するものである。本発明はまた、失明の治療における使用のための構築物、ならびに失明の治療のための医薬の製造におけるそれらの使用に関するものである。
失明は、何百万もの世界中の人々に障害を与えている主な健康問題である。失明の最も一般的な原因は、網膜の機能障害である。網膜による失明の3つの最も一般的な形態は、網膜色素変性(RP)、黄斑変性(MD)および緑内障(G)である。RPおよびMDでは、主な問題は、光受容体の変性およびその後の光感受性の喪失である。それゆえ、かかる光受容体の変性を関連した問題を取り除くことができる必要性が存在する。
1つのアプローチとして、1000個ほどもの小さい電極を眼に埋め込む「義眼(seeing eye)」チップである人工網膜(retinal prosthesis)が開発されている。これは、視力を失った人が独立して働くのに十分な視力を回復する可能性を高めるであろうが、電極の数は獲得すべき高い程度または水準の視力を提供するには全く不十分である。さらに、眼に異物を挿入することに伴う問題が存在する。
近年、発現された時に細胞を光感受性にできる多くの遺伝子が単離および/または操作されている。ある場合には、さらなる非遺伝学的因子もまた細胞を光感受性とするのに必要とされる。
2001年のEliの1つの提案は、失明の処置のための、ホウレンソウ中のクロロフィル含有タンパク質の使用であった。これらのタンパク質は、光の入射光子のエネルギーを捕捉した後、小さい電界を生じる。研究では、光化学系I反応中心をリポソームに取り込むことができ、光がその上に照射されると実験的に同等な電圧を生じる点で機能的であることが示されたが、これまで、これが網膜細胞で働くことは示されていない。
UC Berkeleyの神経生物学者Richard Kramerによる別の研究は、光に対して、通常、非感受性である脳細胞内への光活性化スイッチの挿入を可能にするために、カリウムチャネルを、ボルト数よりむしろ光に対して応答するように再設計することを検討した。しかしながら、このチャネルは、常に開放されたままであって、チャネルに結合した化学的な「プラグ」は、光に対して感受性を有し、その結果、長波長UV光を照射した時に、プラグがチャネルから放出され、カリウムをチャネルから出すように変異されていなければならない。より長い波長の光は、プラグをチャネル内に戻し、カリウムの放出を停止させる。しかしながら、このようなシステムは、非常に複雑であり、チャネルが誤ったタイプの網膜細胞に送達された時に問題が生じるであろうと考えられる。
非特許文献1は、光受容体の変性を有するマウスにおいて視覚応答を回復させるための、微生物型ロドプシンの使用を記載する。しかしながら、ロドプシン遺伝子の発現は、所望されないおよび/または問題となる可能性がある眼における種々のタイプの細胞で生じている可能性がある。応答を生じるのに必要とされる閾値の光強度が、正常な桿体および錐体の光受容体に対するよりもはるかに高いことも明らかであるが、これは、例えば、微光環境でどのように達成することができるかを教示するものではない。
代替的な方法は、特許文献1において本発明者らのうちのいずれかにより記載されており、例えば、チャネルロドプシン−2が、例えば、ON−細胞を標的とすることが記載されている。しかしながら、この方法は、OFF−細胞では不適合であるという不利な点を有する。
Bi et al., Neuron,50,2006, p23-33
本発明の目的は、とりわけ、前記の欠点のうちの少なくとも1つを除くおよび/または軽減することである。
本発明の目的はまた、対象における失明の予防および/または治療における使用に適するシステムを提供することである。
この目的を達成するために、本発明者らは、失明の実験モデルにおいて、視力を回復する能力のための桿体および錐体の光受容体で特に発現される、始生(古細菌)Natronomas pharaonis(NpHR)に由来するハロロドプシンのごとき系統発生学的に古細菌の過分極性光センサーの能力を研究した。
驚くべきことに、本発明者らは、この受容体自体が、桿体および錐体の光受容体に導入されると、ON−およびOFF−システムを活性化し、それ自体の視力をある程度回復すること、すなわち、通常、桿体および錐体の光受容体で見出される多くの他の光シグナル伝達カスケードの構成分子を必要としないことを知見した。
したがって、本発明は、失明の治療または軽減における使用のための単離された核酸分子であって、古細菌に由来する過分極光依存性イオンチャネルもしくはポンプ遺伝子または前記遺伝子の光活性化フラグメントをコードするヌクレオチド配列、あるいは前記ヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子を含む。前記光依存性イオンチャネルもしくはポンプ遺伝子は、ハロロドプシン遺伝子、例えば、Natronomas pharaonis(NpHR)に由来するハロロドプシン遺伝子であり得る。
本発明の単離された核酸分子は、桿体、錐体、水平細胞、桿体双極細胞、ON−錐体双極細胞、OFF−錐体双極細胞、アマクリン細胞、神経節細胞のうちの少なくとも1つにおける投与および発現により用いることができる。それゆえ、本発明の単離された核酸分子は、細胞特異的プロモーター、例えば、光依存性イオンチャネルもしくはポンプ遺伝子の発現を制御するヒトロドプシンプロモーター、ヒト赤オプシンプロモーター、Grm6プロモーターを含むことができる。
さらに、本発明の単離された核酸分子は、脱分極光依存性イオンチャネル遺伝子、例えば、チャネルロドプシン、例えば、チャネルロドプシン−2と一緒に、同時にまたは連続して用いることができる。さらに、脱分極光依存性イオンチャネル遺伝子は、ヒトロドプシンプロモーター、ヒト赤オプシンプロモーターおよびGrm6プロモーターの制御下であり得る。
本発明はまた、失明を治療するのに有用な単離された核酸分子であって、過分極光依存性イオンチャネルもしくはポンプ遺伝子をコードする核酸配列および脱分極光依存性イオンチャネルもしくはポンプ遺伝子をコードする核酸配列を含む、単離された核酸分子を含む。それらの1つの具体例は、前記過分極光依存性イオンチャネルもしくはポンプ遺伝子がハロロドプシン、例えば、Natronomas pharaonisに由来するハロロドプシン遺伝子(NpHR)であり、前記脱分極光依存性イオンチャネルもしくはポンプ遺伝子がチャネルロドプシン、例えば、チャネルロドプシン−2である単離された核酸分子である。この場合、過分極光依存性イオンチャネルもしくはポンプおよび脱分極光依存性イオンチャネルは、融合タンパク質が発現に際して形成されるようにコードされ得る。さらに、両方の遺伝子は、同時にまたは独立してのいずれかにおいて、ヒトロドプシンプロモーター、ヒト赤オプシンプロモーターおよびGrm6プロモーターの群から選択されるプロモーターの制御下であり得る。
本発明は、さらに、本発明の核酸を含む組み換えベクターまたは前記ベクターを含む宿主細胞を含む。
加えて、本発明はまた、本発明の単離された核酸分子、前記分子を含む組み換えベクターまたは前記ベクターを含む宿主細胞を含むキットを含む。
この目的を達成するために、本発明者らは、失明の実験モデルにおいて、視力を回復する能力のための桿体および錐体の光受容体で特に発現される、始生(古細菌)Natronomas pharaonis(NpHR)に由来するハロロドプシンのごとき系統発生学的に古細菌の過分極光センサーの能力を研究した。
驚くべきことに、本発明者らは、この受容体自体が桿体および錐体の光受容体に導入されると、ON−およびOFF−システムを活性化し、自己の視力をある程度回復すること、すなわち、通常、桿体および錐体の光受容体で見出される多くの他の光シグナル伝達カスケードの構成分子を必要としないことを知見した。
したがって、本発明は、失明の治療または軽減における使用のための単離された核酸分子であって、古細菌に由来する過分極光依存性イオンチャネルもしくはポンプ遺伝子または前記遺伝子の光活性化フラグメントをコードするヌクレオチド配列、あるいは前記ヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子を含む。前記光依存性イオンチャネルもしくはポンプ遺伝子は、ハロロドプシン遺伝子、例えば、Natronomas pharaonis(NpHR)に由来するハロロドプシン遺伝子であり得る。
本発明の単離された核酸分子は、桿体、錐体、水平細胞、桿体双極細胞、ON−錐体双極細胞、OFF−錐体双極細胞、アマクリン細胞、神経節細胞のうちの少なくとも1つにおける投与および発現により用いることができる。それゆえ、本発明の単離された核酸分子は、細胞特異的プロモーター、例えば、光依存性イオンチャネルもしくはポンプ遺伝子の発現を制御するヒトロドプシンプロモーター、ヒト赤オプシンプロモーター、Grm6プロモーターを含むことができる。
さらに、本発明の単離された核酸分子は、脱分極光依存性イオンチャネル遺伝子、例えば、チャネルロドプシン、例えば、チャネルロドプシン−2と一緒に、同時にまたは連続して用いることができる。さらに、脱分極光依存性イオンチャネル遺伝子は、ヒトロドプシンプロモーター、ヒト赤オプシンプロモーターおよびGrm6プロモーターの制御下であり得る。
本発明はまた、過分極光依存性イオンチャネルもしくはポンプ遺伝子をコードする核酸配列および脱分極光依存性イオンチャネルもしくはポンプ遺伝子をコードする核酸配列を含む、失明を治療するのに有用な単離された核酸分子を含む。それらの1つの実施形態は、前記過分極光依存性イオンチャネルもしくはポンプ遺伝子が、ハロロドプシン、例えば、Natronomas pharaonisに由来するハロロドプシン遺伝子(NpHR)であり、前記脱分極光依存性イオンチャネルもしくはポンプ遺伝子が、チャネルロドプシン、例えば、チャネルロドプシン−2である、単離された核酸分子である。この場合、過分極光依存性イオンチャネルもしくはポンプおよび脱分極光依存性イオンチャネルは、融合タンパク質が発現に際して形成されるようにコードし得る。さらに、両方の遺伝子は、同時または独立してのいずれかにおいて、ヒトロドプシンプロモーター、ヒト赤オプシンプロモーターおよびGrm6プロモーターの群から選択されるプロモーターの制御下であり得る。
本発明は、さらに、本発明の核酸を含む組み換えベクターまたは前記ベクターを含む宿主細胞を含む。
加えて、本発明はまた、本発明の単離された核酸分子、前記分子を含む組み換えベクターまたは前記ベクターを含む宿主細胞を含むキットを含む。
さらに、本発明はまた、本発明の単離された核酸分子またはベクターを用いて失明を治療する方法を含む。
本発明の核酸分子を含む組成物もまた、本発明に含まれる。前記組成物は、医薬上許容される組成物であり得る。
さらに、本発明の核酸分子は、医薬の製造および患者の治療に用いることができる。したがって、本発明はまた、本発明の核酸分子を用いる治療方法を含む。
医薬は、一般的に治療に用いられると理解されるが、対象が失明する可能性が高いと同定されているが、実際の視力の喪失がまだ生じていないか、またはごくわずかしか生じていない場合に予防医学的な意味で用いられてもよい。
「失明」は、全てのまたは一部の視力の喪失を意味する。典型的に、医薬は、黄斑変性、緑内障および/または網膜色素変性に関連した失明を治療するのに用いられてもよい。しかしながら、眼における光受容体の変性または非機能性を生じるいずれの疾患または病状は、前記医薬を用いて治療され得ると認められる。さらに、理論に拘束されることなく、本発明は、光受容体の機能が失われているが、光受容体からの双極性シナプスがまだ無傷であり得る場合に、網膜変性(rd)の早い段階における失明を治癒するのに特に有効であると考えられる。
「光依存性イオンチャネルもしくはポンプの活性化フラグメント」は、発現されると、光捕捉分子として機能することができるポリペプチドを生じ、その後、チャネルが局在する細胞内もしくは細胞外へのイオンが流れ、次いで電圧の変化を生じるフラグメントである。
「過分極」は、細胞の膜電位が減少することを意味する。「脱分極」は、細胞の膜電位が増加することを意味する。
本発明はまた、失明にかかっているか、または発症しやすい患者に、光依存性イオンチャネルもしくはポンプ遺伝子配列またはその活性化フラグメントを含む本発明によるDNA構築物であって、前記遺伝子配列またはそのフラグメントが、網膜細胞において光依存性イオンチャネルもしくはポンプタンパク質の1つまたはそれ以上のコピーを発現し、それにより光依存性イオンチャネルもしくはポンプタンパク質の1つまたはそれ以上のコピーの発現が失明を治療または軽減できるように細胞に光感受性を付与するものである、DNA構築物を投与することにより、予防医学的または治療として失明を処置する方法まで拡張するものと認められる。
典型的に、本発明の光依存性イオンチャネルもしくはポンプ遺伝子配列またはそのフラグメントは、対象の網膜細胞に投与されると前記光依存性イオンチャネルもしくはポンプタンパク質の発現を可能にする適切な転写/翻訳制御下にて前記光依存性イオンチャネル遺伝子配列または活性化フラグメントを含む組み換え分子の形態で対象に投与されてもよい。光依存性イオンチャネルもしくはポンプ配列またはフラグメントは、構成性および/または制御可能なプロモーターのごとき適するプロモーターの制御下であってもよいと認められる。
それゆえ、本発明はまた、光依存性イオンチャネルもしくはポンプ遺伝子配列またはその活性化フラグメントを含む、治療における使用のための本発明の組み換え分子を提供する。組み換え分子は、プラスミド、ファージミドまたはウイルスベクターの形態であってもよい。さらに、組み換え体として発現された、または化学的に合成された光依存性イオンチャネルもしくはポンプタンパク質、あるいはその機能的に重要なフラグメントは、生成され、前記疾患を治療するための処置または予防医学的検査として、適する軟膏またはその他の医薬ビヒクルを介して眼に適用されてもよい。
遺伝子治療における使用のための多くの異なるウイルスおよび非ウイルスベクターならびにそれらの送達方法は、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、リポソーム、裸のDNA投与、ならびにこれらの類似ベクターおよび方法のごとく知られている。遺伝子を眼の所望の細胞に形質転換するための可能な技術の詳細な総説は、Wright(Br J Ophthalmol, 1997;81:620-622)により教示されており、出典明示により本明細書に取り込まれる。さらに、例えば、Neurotechにより開発されたように、被包性細胞技術(encapsulated cell technology)を用いることもできる。
光依存性イオンチャネルもしくはポンプ遺伝子は、ハロロドプシン遺伝子であり、所望により、単細胞藻類、典型的には、クラミドモナス種、特に緑藻クラミドモナスのごとき微生物に由来するロドプシンのごときロドプシンと組み合わせることができる。好ましいロドプシンは、緑藻クラミドモナスに由来する光依存性陽イオンチャネルであるチャネルロドプシン−2(ChR2)であり、例えば、Boydenら2005(Nature Neuroscience,8,9;1263-1268)およびWO−A−2003/084994を参照のこと。
好ましくは、医薬またはベクターが投与され、遺伝子が発現される細胞は、桿体双極細胞、ON錐体双極細胞、OFF錐体双極細胞、水平細胞、アマクリン細胞および神経節細胞である。さらに、光受容体細胞(桿体および錐体)自体は、光感受性を喪失しているが、「死んだ」のではなく、光依存性イオンチャネルもしくはポンプ遺伝子を発現させるのに用いることができる。さらに、光受容体における光依存性イオンチャネルもしくはポンプ遺伝子の発現は、変性の阻害または減少を提供しうる。
本発明の光依存性イオンチャネル遺伝子の発現が細胞特異的プロモーターを経由して制御されることが好ましいと認められる。それゆえ、細胞特異的プロモーターは、光依存性イオンチャネル遺伝子が特異的な細胞型においてのみ発現されることを確保するのに用いられてもよい。例えば、mGluR6プロモーター(Ueda et al, J Neurosci.1997 May 1;17(9):3014-23)は、ON−双極細胞における発現を制御するのに用いられてもよい。
適切な網膜細胞で発現されると、光依存性イオンチャネルもしくはポンプタンパク質は、細胞の細胞膜内に挿入され、細胞に光感受性を付与し、光に応答してイオン輸送、陽イオンまたは陰イオンを引き起こすことができる。それにもかかわらず、網膜は、光受容体の適応性により極めて広範囲の光強度に対して感受性を有することが知られているが、光依存性イオンチャネルもしくはポンプは、適応することができ得ず、それゆえ、狭い範囲の光強度に対してのみ応答する。この場合において、かかる限定は、当該技術分野で知られる画像増倍器および/または画像変換器の使用により軽減されてもよい。例えば、上記方法により治療されている患者は、例えば、眼鏡などに取り付けられた画像増倍器/増幅器を着用してもよい。
1の実施例として、Telesensory(http://www.telesensory.com)により提供される画像増倍装置がMicrovision (http://www.microvision.com/milprod.html)により開発された網膜走査型ディスプレイ(RSD)と組み合わされることにより、視力を喪失した患者の網膜に直接強い光で増強された画像を送達できる頭部装着型装置(http://www.telesensory.com/home8.html)が提供されてもよい。簡単に説明すると、RSDは網膜に画像を投影し、その結果、個体は、さらなるスクリーンまたはモニターを必要とすることなく、大きなフルモーション画像を見ることができる。それゆえ、視力を喪失した個体の網膜に増強された画像を直接投影することにより、見えていないと考えられる視力を改善することが可能となり得る。
網膜双極または神経節細胞において光依存性イオンチャネルもしくはポンプを発現させる場合、網膜の機能を処理するネットワークのいくつかの特徴が喪失され得る。例えば、水平細胞により介在される側方抑制は、光が双極または神経節細胞を活性化する場合に喪失され得る。これらの場合、網膜に類似するプロセッサー(D. Balya and B. Roska: "Retina model with real time implementation", International Symposium on Circuits and Systems ISCAS 2005, Kobe, Japan, May, pp. 5222-5225.、http://www.anafocus.com/およびhttp://www.eutecus.com/も参照のこと)がマイクロビジョンシステム(Microvision system)と組み合わされてもよい。
光依存性イオンチャネルもしくはポンプが上述のごとく光受容体で発現される場合、光受容体における光応答の極性が逆となりうる。これは、投影された画像の極性を逆にすることで訂正することができる:暗い画素が明るくなり、明るい画素が暗くなる。
本発明のこれらおよびその他の態様は、本明細書の教示から当業者にとって明らかであろう。
便宜上、明細書、実施例、および添付の特許請求の範囲に用いられている一定の用語および表現の意味は、以下で提供される。
単数形「a」、「an」および「the」は、特に示されていない限り、複数形を含む。
「古細菌」は、原核生物および単一細胞からなる微生物群である。ここで、それらは細菌に類似するが、これらの2つの群は異なって進化しており、3ドメイン説において異なる界として分類される。本来、これらの微生物はアーキバクテリア(archaebacteria)と名付けられていた。いまだ系統発生学において確かではないが、古細菌、真核生物および細菌は、1977年にCarl Woeseにより3ドメイン説における基本的な分類として提唱された。原核生物として、古細菌はまた、伝統的な5界層リンネ系統(five−kingdom Linnaean taxonomy)にてモネラ界に分類される。それらの原核生物の細胞構造は、細菌と類似する一方で、古細菌の遺伝子およびそれらの代謝経路のいくつかは、真核生物のものにより密接に関連する。これを説明するための1つの方法は、グラム陽性細菌から進化したであろうクレードのネオムラにおいて古細菌と真核生物を同じ群に分けることである。一方、別の研究は、古細菌は、世界で最も古い系統であり得、細菌と真核生物がこの群から分かれたと提唱している。古細菌は、元々極限の環境で発見されたが、その後、全ての生息環境で見出され、全バイオマスの20%にまで寄与しうる。これらの細胞は、特に海中でよく見られ、プランクトン中の古細菌は、地球上の生物のうちの最も豊富な群の1つであり得る。この界に由来する単一の個体または種は、古細菌(archaeon)(「archeon」とも記される)と呼ばれ、形容詞の形は、archaealまたはarchaeanである。
「ハロロドプシン」は、塩化物イオンに特異的であり、好塩菌として知られる系統発生学的に古い「細菌」(古細菌)において見出された光駆動型イオンポンプである。それは、光駆動型プロトンポンプバクテリオロドプシンに相同であり、脊椎動物ロドプシンと(一次構造ではなく)三次構造において類似するレチニリデンタンパク質ファミリーの7回膜貫通型タンパク質であって、網膜にて光を感知する色素である。ハロロドプシンはまた、光駆動型イオンチャネルであるチャネルロドプシンに対して配列類似性を共有する。ハロロドプシンは、必須の光異性体化ビタミンA誘導体オールトランスレチナールを含む。ハロロドプシンは、結晶構造が知られているいくつかの膜タンパク質のうちの1つである。ハロロドプシン異性体は、H.salinarumおよびN.pharaonisを含む複数種の好塩菌で見出され得る。多くの進行中の研究は、これらの差異を調べており、それらを用いて光サイクルおよびポンプ特性を別々に解析している。バクテリオロドプシンの後に、ハロロドプシンは、研究に最適なI型(微生物の)オプシンであり得る。ハロロドプシン網膜複合体のピーク吸光度は、約570nmである。近年、ハロロドプシンは、光遺伝学におけるツールの1つとなっている。青色光で活性化されるイオンチャネルチャネルロドプシン−2が、青色光の短いパルスにより(神経細胞、筋肉細胞、膵臓細胞、および免疫細胞のごとき)興奮性細胞を活性化する能力を活発にするのと同時に、ハロロドプシンは、黄色光の短いパルスにより興奮性細胞をサイレンスする能力を活発にする。それゆえ、ハロロドプシンおよびチャネルロドプシンは同時に、神経活動の多色光による活性化、サイレンシング、および脱同調化を可能にし、強力な神経操作のツールボックスを作り出す。
本明細書において相互に置換可能に用いられる「ポリヌクレオチド」および「核酸」は、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドのいずれかの長さのヌクレオチド多量体型を意味する。それゆえ、これらの用語は、一本鎖、二本鎖、または複数鎖のDNAもしくはRNA、ゲノムDNA、cDNA、DNA−RNAハイブリッド、あるいは、プリンおよびピリミジン塩基またはその他の天然の、化学的もしくは生化学的に修飾された非天然の、または誘導体化されたヌクレオチド塩基を含むポリマーを含むが、これらだけに限定されない。これらの用語は、さらに、イントロン配列を含むmRNAまたはcDNAを含むが、これらだけに限定されない。ポリヌクレオチドの骨格は、(典型的にRNAまたはDNAで見出されうる)糖およびリン酸基、または修飾もしくは置換された糖もしくはリン酸基を含むことができる。代替的に、ポリヌクレオチドの骨格は、ホスホラミダイトのごとき合成サブユニットのポリマーを含むことができ、それゆえオリゴデオキシヌクレオシドホスホラミダイトまたは混合されたホスホラミダイト−ホスホジエステルオリゴマーであり得る。ポリヌクレオチドは、メチル化されたヌクレオチドおよびヌクレオチド類似物のごとき修飾されたヌクレオチド、ウラシル、その他の糖、ならびにフルオロリボースおよびチオレートのごとき連結基、ならびにヌクレオチド分枝(nucleotide branch)を含んでもよい。ヌクレオチド配列は、非ヌクレオチド構成分子により遮断されてもよい。ポリヌクレオチドは、さらに、標識成分分子との抱合によるごとく、多量体化後に修飾されてもよい。この定義に含まれるその他の修飾タイプは、キャップ、1つまたはそれ以上の天然に存在するヌクレオチドと類似物との置換、ならびにポリヌクレオチドを、タンパク質、金属イオン、標識成分分子、別のポリヌクレオチド、または固体担体に結合する手段の導入である。用語「ポリヌクレオチド」はまた、ペプチド性核酸、PNAおよびLNAを含む。ポリヌクレオチドは、さらに、ゲノムDNA、cDNA、またはDNA−を含んでもよい。
「配列同一性」は、類似性または相補性の程度を意味する。部分的な同一性または完全な同一性であってもよい。部分的に相補的な配列は、標的ポリヌクレオチドに対してハイブリダイズすることから同一の配列を少なくとも部分的に阻害するものであり;それは、機能的な用語「実質的に同一」を用いて表される。標的配列に対して完全に相補的な配列のハイブリダイゼーションの阻害は、低いストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーションアッセイ(サザンまたはノザンブロット、溶液ハイブリダイゼーションおよびその類似アッセイ)を用いて調べられてもよい。実質的に同一な配列またはプローブは、低いストリンジェントな条件下で、標的配列に対して完全に同一な配列またはプローブの結合(すなわち、ハイブリダイゼーション)に競合し、阻害する。低いストリンジェントな条件が非特異的な結合となるわけではなく;低いストリンジェントな条件は、2つの配列の結合が相互に特異的(すなわち、選択的)な相互作用であることを必要とする。非特異的な結合が存在しないことは、部分的な相補性の程度さえを欠く(例えば、約30%同一性より少ない)第2の標的配列の使用により調べられてもよく;非特異的な結合の存在しない中で、プローブは第2の非相補的標的配列に対してハイブリダイズしないであろう。
2つの核酸またはポリペプチド配列に関して配列同一性を調べる別の方法は、特定の領域に対して最大に一致するように整列された場合に同一である2つの配列における残基の関連を含む。本明細書で用いられるように、配列同一性のパーセンテージは、2つの最適に整列された配列を比較ウィンドウ(coparison window)に対して比較することにより調べられた値を意味し、比較ウィンドウにおけるポリヌクレオチド配列の一部が、2つの配列の最適なアラインメントに関して、(付加または欠失を含まない)参照配列と比較して付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含んでもよい。パーセンテージは、同一の核酸塩基が両方の配列で見られる位置の番号を調べて一致した位置の番号を割り出し、一致した位置の番号を比較ウィンドウにおける合計の位置の番号で割り、その結果を100で掛けて配列同一性のパーセンテージを割り出すことにより算出される。
「遺伝子」は、ポリペプチドまたは前駆体の産生に必要な制御およびコーディング配列を含むポリヌクレオチド配列を意味する。ポリペプチドは、全長のコーディング配列により、またはコーディング配列のいずれか一部によりコードされ得る。遺伝子は、連続したコーディング配列を構成してもよく、あるいは、適当なスプライス部位により結合される1つまたはそれ以上のイントロンを含んでもよい。さらに、遺伝子は、発現産物の生物学的活性もしくは化学的構造、発現速度、または発現制御の様式に影響しうるコーディングまたは非翻訳領域のいずれかにおいて1つまたはそれ以上の修飾を含んでもよい。かかる修飾は、1つまたはそれ以上のヌクレオチドの変異、挿入、欠失、および置換を含むが、これらだけに限定されない。これに関して、かかる修飾された遺伝子は、「天然」の遺伝子の「変異型」と呼ばれ得る。
「発現」は、一般に、ポリヌクレオチド配列が連続的な転写および翻訳を経て、検出可能なレベルのアミノ酸配列またはタンパク質が発現されるプロセスを意味する。本明細書中のある文脈において、発現はmRNAの産生を意味する。別の文脈において、発現は、タンパク質の産生を意味する。
「細胞型」は、一定の供給源(例えば、組織または器官)に由来する細胞または一定の分化状態における細胞、あるいは一定の病態または遺伝学的構造に関連した細胞を意味する。
本明細書で相互に置換可能に用いられる「ポリペプチド」および「タンパク質」は、いずれかの長さのアミノ酸の多量体形態を意味し、翻訳された、翻訳されていない、化学的に修飾された、生化学的に修飾された、および誘導体化された、アミノ酸を含んでもよい。ポリペプチドまたはタンパク質は、天然に存在する、組み換え、または合成された、あるいはこれらを組み合わせたものであってもよい。さらに、ポリペプチドまたはタンパク質は、天然に存在するタンパク質またはペプチドのフラグメントを含んでもよい。ポリペプチドまたはタンパク質は、単一分子であってもよく、あるいは多分子複合体であってもよい。さらに、かかるポリペプチドまたはタンパク質は、修飾されたペプチド骨格を有していてもよい。前記用語は、異種性アミノ酸配列を有する融合タンパク質、異種および同種のリーダー配列を有する融合物、N−末端メチオニン残基を有するか、または有しない融合物、免疫学的に標識されたタンパク質、およびこれらの類似物を含む融合物を含む。
「タンパク質のフラグメント」は、別のタンパク質の一部であるタンパク質を意味する。例えば、タンパク質のフラグメントは、培養された細胞から単離された全長タンパク質を消化することにより得られたポリペプチドを含んでもよい。1の具体例において、タンパク質フラグメントは、少なくとも約6個のアミノ酸を含む。別の具体例において、フラグメントは、少なくとも約10個のアミノ酸を含む。さらに別の具体例において、タンパク質フラグメントは、少なくとも約16個のアミノ酸を含む。
「発現産物」または「遺伝子産物」は、遺伝子が生体内で転写もしくは翻訳または翻訳後修飾時に産生されるタンパク質またはmRNAのごとき生体分子である。
「宿主細胞」は、組み換えベクターまたはポリヌクレオチドのその他の移行のためのレシピエントとして用いられてもよく、あるいは用いられている微生物、原核細胞、真核細胞または単細胞の実体として培養された細胞株を意味し、トランスフェクトされた元々の細胞の子孫を含む。単一細胞の子孫は、自然、偶然、もしく計画的な変異により、必ずしも、元々の親と形態またはゲノムもしくは合計DNA相補物において完全に同一でなくてもよい。
用語「機能的な等価物」は、元々の遺伝子またはウイルスの「フラグメント」、「変異体」、「誘導体」、「対立遺伝子」、「ハイブリッド」、「変異型」、「アナログ」、または「化学的な誘導体」を含むものとされる。
「単離された」は、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、免疫グロブリン、ウイルスまたは宿主細胞が天然に存在する環境とは異なる環境に存在するポリヌクレオチド、ポリペプチド、免疫グロブリン、ウイルスまたは宿主細胞を意味する。
「実質的に精製された」は、その自然環境から取り出され、天然に結合したその他の構成成分から少なくとも約60%解離され、少なくとも約65%解離され、少なくとも約70%解離され、少なくとも約75%解離され、少なくとも約80%解離され、少なくとも約83%解離され、少なくとも約85%解離され、少なくとも約88%解離され、少なくとも約90%解離され、少なくとも約91%解離され、少なくとも約92%解離され、少なくとも約93%解離され、少なくとも約94%解離され、少なくとも約95%解離され、少なくとも約96%解離され、少なくとも約97%解離され、少なくとも約98%解離され、少なくとも約99%解離され、少なくとも約99.9%解離され、または少なくとも約99.99%またはそれ以上解離された化合物を意味する。
「診断」および「診断する」は、一般に、病気もしくは疾患に対する対象の感受性の測定、対象が病気もしくは疾患に現在かかっているかどうかに関する測定、病気もしくは疾患にかかっている対象の予後診断(例えば、前転移性もしくは転移性癌の状態、癌の段階、または治療に対する癌の反応性の同定)、ならびにセラメトリックス(therametrics)(例えば、治療の効果または有効性に関する情報を提供するために対象の症状をモニタリングすること)を含む。
「生物学的試料」は、診断またはモニタリングアッセイで用いられ得る生体から取得された種々の試料タイプを含む。前記用語は、生物起源の血液およびその他の液体試料、生検材料のごとき固体組織試料、またはそれらに由来する組織培養物もしくは細胞、およびそれらの子孫を含む。前記用語は、臨床試料を特に含み、さらに、細胞培養中の細胞、細胞上清、細胞溶解物、血清、血漿、尿、羊水、生物学的液体、および組織試料を含む。前記用語はまた、試薬による処理、可溶化、または特定の成分の濃縮のごとき獲得後にいずれかの方法で操作された試料を含む。
本明細書で相互に置換可能に用いられる「個体」、「対象」、「宿主」および「患者」は、診断、処置、または治療が所望される哺乳類の対象のいずれかを意味する。1の好ましい具体例において、個体、対象、宿主、または患者はヒトである。その他の対象は、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、霊長類、およびマウスを含んでもよいが、これらに限定されない。
「ハイブリダイゼーション」は、ポリヌクレオチド配列が塩基対形成を介して相補的な配列に結合するいずれかのプロセスを意味する。ハイブリダイゼーションの条件は、例えば、プレハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーション溶液中の塩もしくはホルムアミドの濃度により、またはハイブリダイゼーション温度により定義することができ、当該技術分野において周知である。ハイブリダイゼーションは、種々のストリンジェントな条件下で生じさせことができる。
「ストリンジェントな条件」は、プローブが別の配列ではなくその標的ポリヌクレオチド配列に対してハイブリダイズしうる条件を意味する。ストリンジェントな条件は、配列依存的である(例えば、より長い配列は、より高い温度で特異的にハイブリダイズする)。一般に、ストリンジェントな条件は、規定されたイオン強度およびpHにおいて特定の配列に対して融点(Tm)より約5℃低く設定される。Tmは、標的配列に相補的なプローブの50%が平衡状態で標的配列にハイブリダイズする(規定されたイオン強度、pH、およびポリヌクレオチド濃度下における)温度である。典型的に、ストリンジェントな条件は、塩濃度が、約pH7.0から約pH8.3において少なくとも約0.01から約1.0Mナトリウムイオン濃度(またはその他の塩)であり、温度が、短いプローブ(例えば、10から50ヌクレオチド)に対して少なくとも約30℃である。
ストリンジェントな条件はまた、ホルムアミドのごとき脱安定化剤の添加により達成されてもよい。
「生体分子」は、ポリヌクレオチドおよびポリペプチドを含む。
「生物学的活性」は、タンパク質またはペプチドの生物学的作用および効果を意味する。タンパク質の生物学的活性は、細胞レベルおよび分子レベルで影響され得る。例えば、タンパク質の生物学的活性は、分子レベルでの変化により影響され得る。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、特定のmRNAの翻訳を阻害し、それによりmRNAによりコードされるタンパク質の生物学的活性を阻害し得る。さらに、免疫グロブリンは、特定のタンパク質に結合し、そのタンパク質の生物学的活性を阻害し得る。
「オリゴヌクレオチド」は、例えば、約10ヌクレオチド(nt)から約1000ntを含むポリヌクレオチド配列を意味する。本発明における使用のためのオリゴヌクレオチドは、例えば、約15ntから約150nt、例えば、約150ntから約1000ntの長さである。オリゴヌクレオチドは、天然に存在するオリゴヌクレオチドまたは合成オリゴヌクレオチドであってもよい。
「修飾されたオリゴヌクレオチド」および「修飾されたポリヌクレオチド」は、塩基、糖部分、ヌクレオシド間リン酸結合のうちの全てまたはいずれかの天然の分子構造の分子レベルにおいて1つまたはそれ以上の化学的な修飾を有するオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドであって、ならびにこれらの部位に加えられた置換または修飾の組み合わせを有する分子を意味する。ヌクレオシド間リン酸結合は、リン酸ジエステル、リン酸トリエステル、ホスホロアミダート、シロキサン、カルボナート、カルボキシメチルエステル、アセトアミダート、カルバメート、チオエーテル、架橋されたホスホロアミダート、架橋されたメチレンホスホナート、ホスホロチオアート、メチルホスホナート、ホスホロジチオアート、架橋されたホスホロチオアートもしくはスルホンヌクレオチド間結合、または3’−3’、5’−3’、もしくは5’−5’結合、ならびにかかる同様の結合の組み合わせであってもよい。ホスホジエステル結合は、ホスホロチオアート、メチルアミノ、メチルホスホナート、ホスホロアミダート、およびグアニジンのごとき置換基の結合で置換されてもよく、ポリヌクレオチドのリボースサブユニットはまた、置換されてもよい(例えば、六炭糖リン酸ジエステル;ペプチド核酸)。修飾は、オリゴヌクレオチド分子内(単一または繰り返された)または末端であってもよく、デオキシリボースのごときヌクレオシド間リン酸結合の分子への付加、ならびに反対の鎖または結合した酵素もしくはその他の酵素を切断するか、もしくは架橋するリン酸修飾を含んでもよい。用語「修飾されたオリゴヌクレオチド」および「修飾されたポリヌクレオチド」はまた、糖部分(例えば、3’置換されたリボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチド単量体)に対する修飾を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを含み、そのうちのいずれかが5’を介して3’結合に対して一緒に結合される。
「生体分子の配列」または「配列」は、全てまたは一部のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列を意味する。
用語「検出可能な」は、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)、逆転写酵素−(RT)PCR、ディファレンシャルディスプレイ、およびノザン解析の一般的な技術により検出可能であるポリヌクレオチド発現パターンを意味し、それらは当業者に周知である。同様に、ポリペプチド発現パターンは、ウエスタンブロットなどの免疫アッセイを含む一般的な技術によって「検出」され得る。
「標的遺伝子」は、多くの場合、オリゴヌクレオチドプローブが特異的にハイブリダイズするように設計される生物学的試料に由来するポリヌクレオチドを意味する。これは、検出される標的ポリヌクレオチドの有無、または定量される標的ポリヌクレオチドの量のいずれかである。標的ポリヌクレオチドは、標的に対して相当するプローブのポリヌクレオチド配列に相補的である配列を有する。標的ポリヌクレオチドはまた、プローブが標的とするより大きなポリヌクレオチドの特異的な部分配列(subsequence)、または発現レベルを検出することが所望される全体の配列(例えば、遺伝子またはmRNA)を意味してもよい。
「標的タンパク質」は、多くの場合、タンパク質捕獲物質が特異的にハイブリダイズするか、または結合する生物学的試料に由来するポリペプチドを意味する。これは、検出される標的タンパク質の有無、または定量される標的タンパク質の量のいずれかである。標的タンパク質は、標的に対して相当するタンパク質捕獲物質によって認識される構造を有する。標的タンパク質またはアミノ酸はまた、タンパク質捕獲物質が標的とするより大きなタンパク質の特異的な部分構造(substructure)、またはその発現レベルを検出することが望まれる全体の構造(例えば、遺伝子またはmRNA)を意味してもよい。
「相補的」は、プローブ分子およびその標的との相互作用する表面の互いの形態上の適合性または整合性を意味する。標的およびそのプローブは、相補的なものとして記載することができ、さらに、接触面の特性は相互に相補的である。例えば、二本鎖DNA分子の2つの鎖間またはオリゴヌクレオチドプローブと標的との間のごとき、ヌクレオチドもしくは核酸間のハイブリダイゼーションまたは塩基対形成は、相補的である。
「標識」は、直接に、またはシグナル産生系の1つもしくはそれ以上のさらなるメンバーとの相互作用を介するかのいずれかにより、検出可能なシグナルを提供することができる物質を意味する。直接的に検出可能であり、本発明における使用が見いだされ得る標識は、蛍光標識を含む。特定のフルオロフォアは、フルオレセイン、ローダミン、BODIPY、シアニン色素およびこれらの類似物を含む。
用語「融合タンパク質」は、典型的に、天然状態において連結されていないが、ペプチド結合を介してそれらの各アミノおよびカルボキシル末端に連結されて単一の連続的なポリペプチドを形成する、2つまたはそれ以上のポリペプチドから構成されるタンパク質を意味する。2つまたはそれ以上のポリペプチド成分は、直接的に連結されるか、またはペプチドリンカー/スペーサーを介して間接的に連結されるかのいずれかであり得ることが考えられる。
用語「通常の生理学的条件」は、生きている生物または細胞の内部で典型的な条件を意味する。いくつかの器官または生物は、極限状態を条件とするが、生物内および細胞内の環境は、通常、pH7付近(すなわち、pH6.5からpH7.5)で変化し、主な溶媒として水を含み、0℃より高く50℃より低い温度である。種々の塩濃度は、対照として用いられる器官、生物、細胞、または細胞構築物に依存する。
「BLAST」は、所定のクエリー配列に適合するギャップのない部分配列を検出するための技術である、ベーシックローカルアライメントサーチツール(Basic Local Alignment Search Tool)を意味する。
「BLASTP」は、タンパク質配列データベースに対してアミノ酸クエリー配列を比較するBLASTプログラムである。「BLASTX」は、タンパク質配列データベースに対してヌクレオチドクエリー配列(両方の鎖)の6フレームの概念上の翻訳産物を比較するBLASTプログラムである。
GenBank DNA配列の項目で用いられる「cds」は、コーディング配列を意味する。コーディング配列は、遺伝子をコードすることが推測されるDNA配列の部分配列である。
本明細書にて理解されるように、「コンセンサス」または「コンティグ配列」とは、特に、本発明の1つまたはそれ以上のデータベースにおける配列間で構築された重複する配列の群である。
本発明の核酸分子は、関連する遺伝子配列をコードする核酸を保有するウイルスにより産生することができる。ウイルスは、核酸の発現を制御および/または増強することができるエレメントを含んでもよい。ウイルスは、組み換えウイルスであってもよい。組み換えウイルスはまた、その他の機能的なエレメントを含んでもよい。例えば、組み換えウイルスは、ウイルスが標的細胞において自律的に複製するように設計されてもよい。この場合、核酸の複製を誘導するエレメントは、組み換えウイルスにおいて必要とされてもよい。組み換えウイルスはまた、必要とされる核酸の発現を制御するプロモーターもしくは制御因子またはエンハンサーを含んでもよい。組織特異的プロモーター/エンハンサーエレメントは、特異的な細胞型における核酸の発現を調節するのに用いられてもよい。プロモーターは構成性または誘導性であってもよい。
「プロモーター」は、一般に、転写されることが必要とされる遺伝子の上流(5’領域方向)に局在するDNA領域である。プロモーターは、それが制御する遺伝子の適正な活性または抑制を可能にする。本発明に適するプロモーターの例は、ヒトロドプシンプロモーター(Allocca et al., Novel AAV serotypes efficiently transduce murine photoreceptors, J Virol. (2007))、ヒト赤オプシンプロモーター(Nathan et al., Science. 1986 Apr 11;232(4747):193-202)、赤色錐体オプシンプロモーター、arr3プロモーター(Zhu, X. et al. Mouse cone arrestin gene characterization: promoter targets expression to cone photoreceptors. FEBS Letters 524, 116-122 (2002))またはGrm6プロモーター(Masu, M. et al. Specific deficit of the ON response in visual transmission by targeted disruption of the mGluR6 gene. Cell 80, 757-765 (1995))である。
自然環境の不純物成分は、本発明の方法および組成物を干渉するであろう物質であり、酵素、ホルモン、およびその他のタンパク質もしくは非タンパク質溶質を含んでもよい。通常、単離された物質は、少なくとも1回の精製プロセスにより調製される。1の具体例において、物質は、少なくとも約60重量%、少なくとも約65重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約75重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、少なくとも約88重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約92重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約97重量%、少なくとも約98重量%、少なくとも約99重量%、少なくとも約99.9重量%、または少なくとも約99.99重量%まで精製される。
細胞においてタンパク質を「発現させる」とは、例えば、目的の手法のために、タンパク質が細胞に存在することを確保することを意味する。多くの具体例において、タンパク質を「発現させる」は、プロモーターに作動可能に連結されたタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む導入遺伝子を細胞に導入することを含み、前記プロモーターが、誘導するのに十分な条件が作り出される構成性プロモーターまたは誘導性プロモーター、ならびに局在配列を含むものである。しかしながら、例えば、目的のタンパク質を自然に発現する細胞は、操作されることなく用いることができ、タンパク質を「発現させる」と考えられる。
「蛍光プローブ」は、別の波長の光により活性化されると一定の波長の光を放出する能力を有するいずれかの化合物を意味する。
「蛍光」は、強度、スペクトラム、波長、細胞内分布などの蛍光シグナルの検出可能な特性のいずれかを意味する。
蛍光を「検出する」とは、定性的または定量的方法を用いて細胞の蛍光を測定することを意味する。例えば、蛍光は、蛍光強度、スペクトラム、または細胞内分布を測定することなどの定量的手法を用いて調べられ、異なる条件下で得られた値の統計学的な比較を可能にする。そのレベルはまた、ヒトの複数の試料、例えば、蛍光顕微鏡またはその他の光学的検出器(例えば、画像解析システムなど)を用いて検出された試料による視覚的解析および比較のごとき定性的方法を用いて調べることができる。蛍光の「変化」または「変調」は、別の条件と比較して特定の条件下にて、強度、細胞内分布、スペクトラム、波長、またはその他の蛍光の特徴におけるいずれかの検出可能な差異を意味する。例えば、「変化」または「変調」が定性的に検出され、差異は統計学的に有意な差である。蛍光のいずれかの「変化」または「変調」は、蛍光顕微鏡、CCD、またはいずれか他の蛍光検出器のごとき一般的な機器を用いて検出することができ、統合システムのごとき自動システムを用いて検出することができ、あるいはヒトの観察者により変化の主観的検出を反映することができる。
「均一な形式」で実施されるアッセイは、アッセイが、アッセイの結果を調べることが必要とされるいずれかの成分を操作または精製することなく単一の容器で実施することができること、例えば、試験物質がアッセイ系に添加され、効果を直接測定することができることを意味する。多くの場合、かかる「均一な形式」のアッセイは、試験物質の存在または非存在において「消光される」か、あるいは修飾される少なくとも1つの成分を含む。
多くの細胞型のいずれかは本発明に用いることができる。例えば、植物、動物、および真菌細胞を含むいずれかの真核細胞が用いられ得る。いくつかの具体例において、神経細胞が用いられる。本明細書で用いられるように、「細胞」は、細胞全体(未処置の細胞)、透過性細胞、単離されたミトコンドリア、およびプロテオリポソーム、例えば、UCPまたは目的の別のタンパク質にて再構成されたプロテオリポソームを含むことができる。酵母細胞を含む細胞の世話および維持は、当業者に周知であり、Freshney (1994) Culture of Animal Cells. Manual of Basic Technique, Wiley- Liss, New York、Guthrie & Fink (1991)、Guthrie and Fink, Guide to Yeast Genetics and Molecular Biology、Academic Press、Ausubel et al. (1999) Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associatesなどのごとき多くの出典のいずれかにおいて見出することができる。
細胞は、色素、試験物質、および特定のアッセイ条件に依存して広範囲の密度のいずれかで用いることができる。例えば、約OD600=0.01から1の密度が用いられ、例えば、約0.05と0.5の間、例えば、約0.1である。
細胞で異種タンパク質を発現させる方法は、当業者に周知であり、例えば、Ausubel (1999)、Guthrie and Fink (1991)、Sherman, et al. (1982) Vlethods ineast Genetics, Cold Spring Harbor Laboratories, Freshneyなどに記載される。典型的に、かかる具体例において、目的の異種タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、異種タンパク質が発現される特定の宿主細胞に適当な発現制御配列に作動可能に連結される。多くの周知なプロモーターのいずれかは、かかる方法で用いることができる。プロモーターの選択は、達成される発現レベルおよび所望される細胞特異性に依存する。ポリアデニル化シグナル、5’および3’非翻訳配列などのごときさらなるエレメントはまた、周知の参考文献に記載される。
後生動物(組織および器官に分化した細胞から構成される体を有する動物)の細胞において、異種タンパク質を発現させるプロモーターおよびその他のエレメントが一般に用いられ、当業者によく知られている。例えば、Cruz & Patterson (1973) Tissue Culture, Academic Press; Meth. Enzymology 68 (1979), Academic Press; Freshney, 3rd Edition (1994) Culture of Animal Cells: A Manual of Basic Techniques, Wiley-Lissを参照のこと。かかる細胞のプロモーターおよび制御配列は、例えば、一般的に用いられるサルウイルス40(SV40)に由来する初期および後期プロモーター、あるいは、ポリオーマ、アデノウイルス2、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、ヘルペスウイルス科(例えば、サイトメガロウイルス、単純ヘルペスウイルス、エプスタイン−バーウイルス)に由来のごときその他のウイルスプロモーター、または免疫グロブリンプロモーターおよび熱ショックプロモーター(例えば、Sambrook, Ausubel, Meth. Enzymology Pouwells, et al., supra (1987)を参照のこと)を含む。さらに、メタロチオネイン(すなわち、MT−1およびMT−2)、グルココルチコイド、または抗生物質遺伝子「スイッチ」のごとき調節されたプロモーターが用いられ得る。かかるプロモーターのエンハンサー領域もまた用いることができる。
発現カセットは、典型的に、発現カセットの宿主細胞への移行および発現カセットの宿主細胞における維持を容易にするベクターに導入される。かかるベクターは一般的に用いられ、当業者によく知られている。多くのかかるベクターは、例えば、Invitrogen、Stratagene、Clontechなどから市販されており、上記全てのAusubel、Guthrie、Strathem、またはBergerのごとき多くの手引書に記載される。かかるベクターは、典型的に、複数のクローニング部位と連結したプロモーター、ポリアデニル化シグナルなど、ならびに複製起点、選択マーカー遺伝子(例えば、LEU2、URA3、TRP1、HIS3、GFP)、動原体配列などのごときさらなるエレメントを含む。
哺乳動物細胞の発現においては、pSV2、pBC12BI、およびp91023、ならびに溶菌性ウイルスベクター(例えば、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、バキュロウイルス)、エピソームウイルスベクター(例えば、ウシパピローマウイルス)、およびレトロウイルスベクター(例えば、マウスレトロウイルス)のごとき多くのベクターのいずれかが用いられ得る。
本明細書で用いられるように、用語「疾患」は、病気、不健康、臨床状態、または病的状態を意味する。
本明細書で用いられるように、用語「医薬上許容される担体」は、有効成分の生物学的活性の効果を妨げることなく、投与される患者に対して化学的に不活性であり、毒性ではない担体媒介物を意味する。
本明細書で用いられるように、用語「医薬上許容される誘導体」は、例えば、対象に対して相対的に毒性ではない本発明のスクリーニング方法を用いて同定されたホモログ、アナログ、または物質のフラグメントのいずれかを意味する。
用語「治療剤」は、疾患または疾患の合併症の予防または治療を補助する分子、化合物、または治療のいずれかを意味する。
適合する医薬担体に製剤化されるかかる薬剤を含む組成物は、治療のために、調製され、パッケージされ、標識されてもよい。
複合物が水溶性である場合、適切な緩衝液、例えば、リン酸緩衝食塩水またはその他の生理的に適合性のある溶液中で製剤化されてもよい。
代替的に、生じる複合物が水性溶媒中で低い溶解性を示す場合、Tween、またはポリエチレングリコールのごとき非イオン性界面活性剤と一緒に製剤化されてもよい。それゆえ、化合物およびそれらの生理的に許容される溶媒和物は、(口または鼻のいずれかを介した)吸入もしくは吹送による投与、または経口、口腔、非経口、直腸投与のために製剤化されてもよく、あるいは、腫瘍の場合、固形腫瘍に直接注入されてもよい。
経口投与においては、医薬調製物は、液体形態、例えば、溶液、シロップまたは懸濁物であってもよく、あるいは、使用前に水またはその他の適するビヒクルを用いて再構成するための製剤として供されてもよい。かかる液体調製物は、懸濁剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体または硬化食用油脂);乳化剤(例えば、レシチンまたはアラビアゴム);非水性ビヒクル(例えば、アーモンドオイル、エステル油、または分画された植物油);および保存剤(例えば、メチルもしくはプロピル−p−安息香酸またはソルビン酸)のごとき医薬上許容される添加剤と一緒に従来法により調製されてもよい。医薬組成物は、例えば、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えば、ラクトース、微結晶性セルロースまたはリン酸水素カルシウム);潤滑剤(例えば、ステアリン酸カルシウム、タルクまたはシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム);または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)のごとき医薬上許容される賦形剤と一緒に従来法により調製される錠剤またはカプセルの形態であってもよい。錠剤は、当該技術分野で周知な方法により被覆されてもよい。
経口投与のための調製物は、活性化合物の制御された放出を与えるように適当に製剤化されてもよい。
口腔投与においては、組成物は、従来法で製剤化された錠剤またはトローチ剤の形態であってもよい。
吸入による投与においては、本発明による使用のための化合物は、適する推進剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロメタン、二酸化炭素またはその他の適切なガスの使用とともに、加圧型パックまたはネブライザーからのエアロゾルスプレー提示の形態で利便的に送達されてもよい。加圧型エアロゾルの場合、用量単位は、定量を送達するためのバルブを供することにより測定されてもよい。例えば、インへラーまたは吸入器に使用するためのゼラチンのカプセルおよびカートリッジは、化合物の粉末混合物およびラクトースもしくはデンプンのごとき適する原料粉末を含んで製剤化されてもよい。
化合物は、注入、例えば、ボーラス注入または持続注入による非経口投与のために製剤化されてもよい。注入のための製剤は、例えば、添加された保存剤と一緒に、アンプルまたは複数投与器で単位用量の形態により供されてもよい。
組成物は、油性または水性ビヒクル中で懸濁液、溶液または乳濁液のごとき形態であってもよく、懸濁剤、安定化剤および/または分散剤のごとき製剤化(formulatory)剤を含んでもよい。代替的に、有効成分は、使用前には、適するビヒクル、例えば、滅菌発熱性物質除去水を含有させるための粉末形態であってもよい。
化合物はまた、例えば、ココアバターまたはその他のグリセリドのごとき従来の座剤の基剤を含む座剤または停留かん腸のごとき直腸組成物で製剤化されてもよい。
化合物はまた、クレームまたはローションのごとき局所適用として製剤化されてもよい。
上記の製剤に加えて、化合物はまた、持続性調製物として製剤化されてもよい。かかる長期作用調製物は、(例えば、皮下または筋肉内への)注入により、または筋肉内注入により投与されてもよい。
それゆえ、例えば、化合物は、(例えば、許容される油中の乳化剤として)適する高分子材料もしくは疎水性材料またはイオン交換樹脂、あるいは難溶性誘導体として、例えば、難溶性塩として一緒に製剤化されてもよい。リポソームおよび乳化剤は、親水性薬物のための送達ビヒクルまたは担体の周知な例である。
所望であれば、組成物は、有効成分を含有する1つまたはそれ以上の単位用量形態を含みうる充填またはディスペンサー装置で提示されてもよい。充填装置は、例えば、ブリスターパックのごとき金属またはプラスティック箔を含んでもよい。充填またはディスペンサー装置は、投与のための説明書が添付されてもよい。
本発明はまた、本発明の治療方法を行うためのキットを提供する。かかるキットは、治療上または予防医学上有効な量の組成物を医薬上許容される形態にて1つまたはそれ以上の容器に含む。
キットのバイアル中の組成物は、例えば、滅菌生理食塩水、ブトウ糖液、または緩衝水溶液、あるいはその他の医薬上許容される滅菌液体と組み合わせて、医薬上許容される水溶液の形態であってもよい。あるいは、複合物は、凍結乾燥または乾燥されてもよく、例えば、キットは、さらに、複合物が再構成されて注入のための溶液が生成されるために、医薬上許容される水溶液(例えば、生理食塩水、ブトウ糖液など)、好ましくは、滅菌された水溶液を容器中に含んでもよい。
別の具体例において、キットは、さらに、複合物の注入のために、好ましくは、滅菌された形態で包装されたニードルまたはシリンジ、ならびに/あるいは包装されたアルコールパッドを含んでもよい。説明書は、医師または患者による組成物の投与のために含まれてもよい。
1の具体例において、古細菌に由来する過分極光依存性イオンチャネルもしくはポンプ遺伝子、あるいは前記遺伝子の光活性化フラグメントをコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子は、最終的に、ON−双極細胞のみでチャネルロドプシン、例えば、チャネルロドプシン−2(ChR2)と一緒に発現される一方で、陽イオン伝達チャネルロドプシン、例えば、緑藻類ボルボックスに由来するvChR1(Zhang et al., Red-shifted optogenetic excitation: a tool for fast neural control derived from Volvox carteri, Nat Neurosci. 2008 Apr 23; doi:10.1038/nn.2120)は、OFF双極細胞のみで発現される。理論に拘束されることはないが、3つの神経調節物質のこの標的とされる発現は、青色の光によるON経路の励起(ChR2構成成分)、および赤色の光によるON経路の阻害(NpHR構成成分)を生じる一方で、OFF経路は、赤色の光により励起される(vChR1構成成分)であろうと理解される。それゆえ、青色の光は、光ONを模倣しており、赤色の光は、光OFFを模倣するであろう。このシステムの有利な点は、OFF双極細胞がvChR1により直接的に励起されるであろう(すなわち、脱分極されることを意味する)と考えられる。理論に拘束されることはないが、例えば、ChR2、NpHRおよびvChR1のこの組み合わされたおよび標的とされた発現は、光受容体喪失後の人工的な光受容体のスペクトラムを量において改善し(より多くの異なる双極細胞、ONおよびOFF)、二色視力(bichromatic vision)を確立しうる(青色=白および赤色=黒)と考えられる。
さらに、ON双極細胞におけるChR2/NpHRの組み合わせは、赤色の光がオンである時にONシグナルを止めることができ、OFF経路が開かれるため、これら2種類の人工的な光受容体間の的確な境界線を確立するのに役に立つであろうと考えられる。本明細書で説明されるように、Grm6プロモーター(Masu, M. et al. Specific deficit of the ON response in visual transmission by targeted disruption of the mGluR6 gene. Cell 80, 757-765 (1995))は、ON双極細胞におけるChR2/NpHRの発現を促進するのに用いられ得る典型的なプロモーターである。
特に定義されない限り、本明細書で用いられる全ての技術および科学用語は、本発明が属する当業者により一般的に理解される意味と同一の意味を有する。本明細書に記載される方法および材料と類似または同等であるものが本発明の実施または試験において用いることができるが、適当な方法および材料は以下に記載される。矛盾する場合、定義を含む本明細書が適用される。さらに、材料、方法、および実施例は例示に過ぎず、限定するものとされるものではない。
遺伝学的アプローチ:
本発明者らは、遺伝子導入を介して、アデノ随伴ウイルスベクター、AAV2/7(Allocca et al., Novel AAV serotypes efficiently transduce murine photoreceptors, J Virol. (2007))を用いて、C57BL/6マウスの光受容体において赤色光感受性塩化物ポンプNpHR(Zhang et al., Multimodal fast optical interrogation of neural circuitry, Nature Vol466 (2007))を発現させた。NpHRをヒトロドプシンプロモーターから駆動させた。
本発明者らは、遺伝子導入を介して、アデノ随伴ウイルスベクター、AAV2/7(Allocca et al., Novel AAV serotypes efficiently transduce murine photoreceptors, J Virol. (2007))を用いて、C57BL/6マウスの光受容体において赤色光感受性塩化物ポンプNpHR(Zhang et al., Multimodal fast optical interrogation of neural circuitry, Nature Vol466 (2007))を発現させた。NpHRをヒトロドプシンプロモーターから駆動させた。
感染した網膜におけるNpHRの検出:
AAV2/7−Rho−NpHR−EYFP(5.35E+12粒子/ml)を、成体C57BL/6マウスの網膜下に注入した。感染した動物の網膜を、注入後の異なる時点において調製した。これらの網膜を、NpHR発現細胞を標識するEYFPで抗体染色し、DAPIを用いて外核層(ONL)にて全ての細胞を視覚化した。共焦点顕微鏡による読み取りを行い、これらをBitplane’s Imaris(5.7.2)ソフトウェアを用いて解析した。
AAV2/7−Rho−NpHR−EYFP(5.35E+12粒子/ml)を、成体C57BL/6マウスの網膜下に注入した。感染した動物の網膜を、注入後の異なる時点において調製した。これらの網膜を、NpHR発現細胞を標識するEYFPで抗体染色し、DAPIを用いて外核層(ONL)にて全ての細胞を視覚化した。共焦点顕微鏡による読み取りを行い、これらをBitplane’s Imaris(5.7.2)ソフトウェアを用いて解析した。
感染した光受容体の定量化を、共焦点用スライスにおいて、DAPI標識細胞に対するNpHR発現細胞を数えることにより行った。
AAV感染網膜の多電極アレイによる読み取り:
AAV感染網膜の光受容体を、規定の波長および強度の光を用いることにより刺激した。神経節細胞のスパイク出力をMEAにより記録した。AAV感染網膜のスペクトル同調曲線は、対照の処置していない網膜と比較して、より長い波長において顕著により高い光感受性を示した(図2)。
AAV感染網膜の光受容体を、規定の波長および強度の光を用いることにより刺激した。神経節細胞のスパイク出力をMEAにより記録した。AAV感染網膜のスペクトル同調曲線は、対照の処置していない網膜と比較して、より長い波長において顕著により高い光感受性を示した(図2)。
結果:
これらの実験により、本発明者は、ヒトロドプシンプロモーターと組み合わせたAAV2/7がNpHRの光受容体への送達のための優れたツールであることを示すことができた。NpHR発現の開始は非常に早く(注入6日後)、長期にわたり安定であった。以前に報告されたように、AAV2/7粒子は、注入部位とONLの深さに関わらず、外核膜全体に浸透する(Li et al., Cone-specific expression using a human red opsin promoter in recombinant AAV, Vision Research 48 (2008))。P0におけるAAV感染は効果が低く、桿体が制限されるようであった。赤色光感受性塩化物ポンプNpHRは、網膜移植片において機能することが見出された。得られた結果は、NpHRがより高い波長に対して光受容体活性を調節できることを示す(Jacobs et al., Emergence of novel color vision in mice engineered to express a human cone photopigment, Science,VOL 315 (2007))。
これらの実験により、本発明者は、ヒトロドプシンプロモーターと組み合わせたAAV2/7がNpHRの光受容体への送達のための優れたツールであることを示すことができた。NpHR発現の開始は非常に早く(注入6日後)、長期にわたり安定であった。以前に報告されたように、AAV2/7粒子は、注入部位とONLの深さに関わらず、外核膜全体に浸透する(Li et al., Cone-specific expression using a human red opsin promoter in recombinant AAV, Vision Research 48 (2008))。P0におけるAAV感染は効果が低く、桿体が制限されるようであった。赤色光感受性塩化物ポンプNpHRは、網膜移植片において機能することが見出された。得られた結果は、NpHRがより高い波長に対して光受容体活性を調節できることを示す(Jacobs et al., Emergence of novel color vision in mice engineered to express a human cone photopigment, Science,VOL 315 (2007))。
Claims (15)
- 失明の治療または軽減における使用のための単離された核酸分子であって、古細菌に由来する過分極光依存性イオンチャネルもしくはポンプ遺伝子または該遺伝子の光活性化フラグメントをコードするヌクレオチド配列、あるいは該ヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含む、核酸分子。
- 該光依存性イオンチャネルもしくはポンプ遺伝子が、ハロロドプシン遺伝子である、請求項1記載の単離された核酸分子。
- 該過分極光依存性イオンチャネルもしくはポンプ遺伝子が、Natronomas pharaonisに由来するハロロドプシン(NpHR)遺伝子である、請求項1または2のいずれか記載の単離された核酸分子。
- 該単離された核酸分子が、錐体、桿体、水平細胞、桿体双極細胞、ON−錐体双極細胞、OFF−錐体双極細胞、アマクリン細胞、神経節細胞のうちの少なくとも1つにおける投与および発現による使用のためのものである、請求項1〜3のいずれか記載の単離された核酸分子。
- 細胞特異的プロモーター、例えば、光依存性イオンチャネルもしくはポンプ遺伝子の発現を制御するヒトロドプシンプロモーター、ヒト赤オプシンプロモーター、Grm6プロモーターを含む、請求項1〜4のいずれか記載の単離された核酸分子。
- 該過分極光依存性イオンチャネルもしくはポンプ遺伝子が、脱分極光依存性イオンチャネル遺伝子と一緒に、同時にまたは連続して用いられる、請求項1〜5のいずれか記載の単離された核酸分子。
- 脱分極光依存性イオンチャネル遺伝子が、チャネルロドプシン、例えば、チャネルロドプシン−2である、請求項6記載の単離された核酸分子。
- 該脱分極光依存性イオンチャネル遺伝子の発現が、ヒトロドプシンプロモーター、ヒト赤オプシンプロモーターおよびGrm6プロモーターの制御下である、請求項6または7のいずれか記載の単離された核酸分子。
- 失明を治療するのに有用な単離された核酸分子であって、過分極光依存性イオンチャネルもしくはポンプ遺伝子をコードする核酸配列、および脱分極光依存性イオンチャネルもしくはポンプ遺伝子をコードする核酸配列を含む、核酸分子。
- 該過分極光依存性イオンチャネルもしくはポンプ遺伝子が、ハロロドプシン、例えば、Natronomas pharaonisに由来するハロロドプシン(NpHR)遺伝子であり、該脱分極光依存性イオンチャネル遺伝子が、チャネルロドプシン、例えば、チャネルロドプシン−2である、請求項9記載の単離された核酸分子。
- 過分極光依存性イオンチャネルもしくはポンプおよび脱分極光依存性イオンチャネルが、融合タンパク質が発現に際して形成されるようにコードされている、請求項9または10のいずれか記載の単離された核酸分子。
- 過分極光依存性イオンチャネルおよび脱分極光依存性イオンチャネルもしくはポンプをコードする遺伝子の発現が、同時にまたは独立してのいずれかで、ヒトロドプシンプロモーター、ヒト赤オプシンプロモーターおよびGrm6プロモーターの群から選択されるプロモーターの制御下である、請求項9、10または11のいずれか記載の単離された核酸分子。
- 請求項1から12のいずれか記載の核酸を含む、組み換えベクター。
- 請求項13記載のベクターを含む、宿主細胞。
- 請求項1から12のいずれか記載の単離された核酸、請求項13記載の組み換えベクターまたは請求項14記載の宿主細胞を含む、キット。
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