JP2015124610A - 浮体式風力発電装置 - Google Patents
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Abstract
Description
風力発電装置としては、経済性等の観点から、海底に設置される着床式ではなく、海面上に浮かべた状態で設置される浮体式が検討されており、実証実験も行われている。
浮体式の風力発電装置としては、例えば海面上に立設された基体部と、基体部に浮力を作用させる浮体と、基体部に取り付けられた風車とを有する装置がある(特許文献1を参照)。
基体部は、支柱と、支柱に対し回動可能なナセル部とを有し、前記風車はナセル部に取り付けられる。風車は、風の方向に応じてナセル部が回動することで、風力を効率よく受けられる方向に向く。
浮体式の風力発電装置は、通常、基体部の複数箇所に接続された係留索を介して海底のアンカーに安定に接続される。複数箇所で係留する方式を多点係留方式という。
基体部に回動機構がない簡略構造を採用した場合、風の方向に応じて風車が向きを変えるには、装置全体が基体部の軸回りに変位可能であることが必要になる。このため、基体部は一箇所のみで係留される。この係留方式を一点係留方式という。この方式で係留された基体部は、一箇所のみで係留されるため軸回りに変位可能である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、風車が確実に最適方向を向くように動作し、高い発電効率を得ることができる浮体式風力発電装置を提供することを目的とする。
本発明の浮体式風力発電装置は、前記基体部に、前記基体部から外方に延出する延出部が設けられ、前記係留索は、前記延出部を介して前記基体部に接続され、前記延出部に対する係留索の接続位置は、平面視において前記装置の重心から前記風車の回転軸方向に離れた位置であることが好ましい。
前記延出部は、前記基体部の下端より高い位置で前記基体部に取り付けられていることが好ましい。
本発明の浮体式風力発電装置は、前記風車が、前記回転軸方向の前方を風の方向と同じ向きにした姿勢を基本姿勢とするダウンウィンド式であり、前記係留索が前記基体部に接続される位置は、平面視において前記装置の重心から前記風車の回転軸方向の後方に離れた位置であってよい。
本発明の浮体式風力発電装置は、前記風車が、前記回転軸方向の前方を風の方向と反対の向きにした姿勢を基本姿勢とするアップウィンド式であり、前記係留索が前記基体部に接続される位置は、平面視において前記装置の重心から前記風車の回転軸方向の前方に離れた位置であってよい。
前記基体部は、少なくとも一部が前記水面上に立設された支柱と、前記支柱に設けられて前記風車を支持する支持部とを有し、前記支持部は、前記支柱に一体に形成されているか、または前記支柱に固定された構造であることが好ましい。
従って、風車は風の力を効率よく受けて回転し、高い発電効率が得られる。
この風力発電装置1は、基体部2と、基体部2に浮力を作用させる浮体3と、基体部2の上端部に取り付けられた風車4と、基体部2の下端部から延出する延出部5と、を備えている。
風力発電装置1は、海面10上に浮かんだ状態で設置される、いわゆる浮体式の風力発電装置である。
図示例の支柱8は、上部が海面10(水面)上に立設され、下部が海面10下に延出している。なお、支柱8は、全体が海面10上に立設されていてもよい。
この図において、中心軸A3は海面10に対し垂直である。なお、平面視とは、支柱8の中心軸A3方向から見ることをいう。
図1(a)に示すように、基体部2は、延出部5を介して、係留索6によって海底7に係留されている。
浮体3は、その一部が海面10上に出る程度の浮力を有するもの(浮上型)(図1(a)参照)であってもよいし、全体が海面10下に没する程度の浮力を有するもの(潜水型)(図2参照)であってもよい。
浮上型は、安定した高い浮力が得られ、基体部2が傾きにくくなるという利点がある。潜水型は、海面10上に出ないため、波浪による動揺を抑制できるという利点がある。
なお、浮体3は、基体部2に浮力を作用させることができればよく、その構造は図示例に限定されない。浮体3の形状は直方体、球体などとしてもよい。また、浮体3は基体部2と別体としてもよい。
風車4は、翼体12が風22を受けて、回転軸24とともに回転軸24回りに回転することにより、支持部9に内蔵された発電機20を駆動する。
風車4の軸部11の回転軸方向の前方(回転軸24が支持部9から延出する方向)をA1といい、後方(A1の反対方向)をA2という。この例では、A1、A2は中心軸A3に対して垂直である。
また、風車4はプロペラ型に限らず、サボニウス型などを用いてもよい。
延出部5の延出方向は軸方向後方A2であるため、係留部14は、平面視において支柱8の中心軸A3(装置1の重心線)から軸方向後方A2に離れた位置にある(図1(b)参照)。
なお、図示例では延出部5は軸方向後方A2に延出しているが、係留部14が中心軸A3から軸方向後方A2に離れた位置にあれば、延出部5の延出方向は、軸方向後方A2に対し交差する方向であってもよい。
ユニバーサルジョイントの使用により、風力発電装置1が風22の力を受けて姿勢(支柱8の軸回り方向の姿勢)を変える場合においても、係留索6の絡まりを回避できる。
基体部2は、1箇所(係留部14)のみで(すなわち一点係留方式で)係留索6によって海底7に係留されている。
一点係留方式は、1箇所(係留部14)のみで係留される方式であるため、図1(a)に仮想線で示すように、1箇所(係留部14)に対し、複数の係留索6が接続されている場合も一点係留方式に含まれる。この場合の係留索6の本数は、例えば2〜4である。
また、1箇所(係留部14)に対し、1本の係留索6が接続され、この係留索6が長さ方向中間位置で分岐し、分岐した複数の係留索がそれぞれ異なるアンカー13に接続されている場合も一点係留方式に含まれる。
風力発電装置1は、一点係留方式で係留されているため、所定の領域内で海面10上を移動可能である。
風力発電装置1は、風22を受けると、係留索6が係留部14に加える引張力S1が、風22によって風車4が受ける力S2と等しくなるまで海面10上で風下側に移動する。
具体的には、係留索6による引張力S1と、風車4が受ける力S2によって、中心軸A3(装置1の重心線)を中心とする回転モーメントが装置1に作用する。前記回転モーメントによって、風力発電装置1は、風車4が風下側に位置し、係留部14が風上側に位置するような姿勢をとる。
このため、風車4は、軸方向前方A1が風22と同じ方向を向く姿勢となる。この状態では、係留索6による引張力S1の方向は、風車4が受ける力S2の方向と反対の方向となる。
従って、風車4は、風22の力を効率よく受けて回転し、発電機20において高い発電効率を安定して得ることができる。
風力発電装置1では、係留部14は延出部5の延出端5aに設けられているため、力S1と力S2との作用線の離間距離が大きくなりやすいことから、前記回転モーメントを大きくできる。
従って、風力発電装置1の軸回り方向の変位を促して風車4の姿勢を最適化し、発電機20における発電を高効率化することができる。
風力発電装置1の適用先としては、消費電力が比較的低い施設、例えば養殖場などが挙げられる。
図2(a)に示す第2の実施形態の風力発電装置21は、延出部5に代えて延出部15を有する点で、図1の風力発電装置1と異なる。
延出部15の基端15bは支柱8の上部に取り付けられている。基端15bの取付け位置は、支柱8の下端8a(基体部2の下端)より高い位置(上端寄りの位置)である。基端15bの位置は、海面10より高い位置であってよい。
図2(b)に示すように、平面視における延出部15の延出方向は、図1の延出部5と同様に、軸方向後方A2である。このため、係留部14は、平面視において支柱8の中心軸A3(装置1の重心線)から軸方向後方A2に離れた位置にある。
この場合、延出部15は、弾性的に伸縮可能なバネ(コイルスプリングなど)等の付勢体である連結体17を介して支柱8に連結することが好ましい。図示例の連結体17は、一端が、延出部15の長さ方向の中間位置(先端15aと基端15bとの間の位置)に接続され、他端が支柱8の長さ方向の中間位置に接続されている。
このため、風22の強さに応じて、支柱8の傾き(鉛直方向に対する傾き)を小さくするように、支柱8に対する延出部15の傾斜角度を調整することができる。
例えば、風22が強い場合には、風車4が受ける力S2が大きくなるため支柱8が傾きやすくなるが、延出部15の傾斜角度の調整により、引張力S1を支柱8上部に効率よく作用させ、支柱8の傾きを小さく保つのが容易となる。
風22が弱い場合には、延出部15の傾斜角度を小さくすることで、係留索6により引張力S1が作用する位置を支柱8に近づけることができるため、基体部2の安定性を高めることができる。
このため、図1に示す風力発電装置1と同様に、風車4は、風22の力を効率よく受けて回転し、発電機20における発電を高効率化することができる。
このため、最適な風車4の向きを維持し、さらなる発電の効率化を図ることができる。
図3(a)に示す風力発電装置31は、は、延出部5に代えて延出部18を有する点で、図1の風力発電装置1と異なる。
延出部18は、支柱8の下端から軸方向後方A2に延出する下延在部18aと、下延在部18aの延出端18bから支柱8に沿って上方に延出する側延在部18cと、側延在部18cの延出端18dから軸方向前方A1に延出して支柱8に達する上延在部18eとを有する枠状に形成されている。
図3(b)に示すように、平面視における延出部18の延出方向は軸方向後方A2であるため、係留部14は、平面視において支柱8の中心軸A3(装置1の重心線)から軸方向後方A2に離れた位置にある。
風力発電装置31では、延出部18の上延在部18eが支柱8の下端より高い位置に取り付けられるため、図2の風力発電装置21と同様に、係留索6が係留部14に加える引張力S1が、支柱8の下端より高い位置に作用することから、風22による支柱8の傾斜を抑制できる。
このため、最適な風車4の向きを維持し、さらなる発電の効率化を図ることができる。
図4(a)に示す風力発電装置41は、延出部5を備えておらず、係留索6は、支柱8の外面に設けられた係留部14に接続されている点で、図1の風力発電装置1と異なる。
図4(b)に示すように、係留部14は、支柱8の中心軸A3(装置1の重心線)から軸方向後方A2に離れた位置に設置される。
図4(a)に示すように、この風力発電装置41においても、風車4の軸方向前方A1が風22と同じ方向を向くため、風車4は、風22の力を効率よく受けて回転し、発電機20における発電を高効率化することができる。
風力発電装置41では、延出部がないため構造が簡略となるという利点がある。
図5(a)に示す風力発電装置51は、風車4がアップウィンド式である点、および、延出部5に代えて延出部23が設けられている点で、図1の風力発電装置1と異なる。
風車4は、アップウィンド式であるため、軸方向前方A1が風22と反対の方向(風上方向)を向く姿勢が風車4の基本姿勢となる。
従って、風車4は、風22の力を効率よく受けて回転し、発電機20における発電を高効率化することができる。
Claims (6)
- 水面上に浮かんだ状態で設置される浮体式風力発電装置であって、
少なくとも一部が前記水面上に立設された基体部と、前記基体部に浮力を作用させる浮体と、前記基体部に設けられた風車と、を備え、
前記風車は、回転軸を有する軸部と、前記軸部から延出し、前記回転軸回りに回転する翼体とを備え、
前記基体部は、係留索を介して水底に係留され、
前記係留索は、前記基体部に、平面視において前記装置の重心から前記風車の回転軸方向に離れた位置に一点係留方式で接続されていることを特徴とする浮体式風力発電装置。 - 前記基体部に、前記基体部から外方に延出する延出部が設けられ、
前記係留索は、前記延出部を介して前記基体部に接続され、
前記延出部に対する係留索の接続位置は、平面視において前記装置の重心から前記風車の回転軸方向に離れた位置であることを特徴とする請求項1に記載の浮体式風力発電装置。 - 前記延出部は、前記基体部の下端より高い位置で前記基体部に取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載の浮体式風力発電装置。
- 前記風車は、前記回転軸方向の前方を風の方向と同じ向きにした姿勢を基本姿勢とするダウンウィンド式であり、
前記係留索が前記基体部に接続される位置は、平面視において前記装置の重心から前記風車の回転軸方向の後方に離れた位置であることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の浮体式風力発電装置。 - 前記風車は、前記回転軸方向の前方を風の方向と反対の向きにした姿勢を基本姿勢とするアップウィンド式であり、
前記係留索が前記基体部に接続される位置は、平面視において前記装置の重心から前記風車の回転軸方向の前方に離れた位置であることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の浮体式風力発電装置。 - 前記基体部は、少なくとも一部が前記水面上に立設された支柱と、前記支柱に設けられて前記風車を支持する支持部とを有し、
前記支持部は、前記支柱に一体に形成されているか、または前記支柱に固定された構造であることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の浮体式風力発電装置。
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