JP2015124390A - 熱交換器の表面処理方法 - Google Patents

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圭吾 高橋
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Abstract

【課題】臭気成分の吸着を十分に抑制できる熱交換器の表面処理方法を提供すること。【解決手段】アルミニウム材からなる非腐食性フラックスブレージング製熱交換器に、ジルコニウム系化成処理剤を接触させた後乾燥させる化成処理工程(1)と、前記化成処理工程後の前記熱交換器に、耐臭気処理剤を接触させた後乾燥させて、耐臭気層を形成させる耐臭気処理工程(2)と、前記耐臭気処理工程後の前記熱交換器に親水処理剤を接触させた後乾燥させる親水処理工程(3)と、を有する熱交換器の表面処理方法【選択図】なし

Description

本発明は、熱交換器の表面処理方法に関する。より詳しくは、本発明は、アルミニウム材からなる非腐食性フラックスブレージング製熱交換器の表面処理方法に関する。
アルミニウム製熱交換器は、熱交換効率向上の観点から、通常、その表面積を可能な限り大きくすべく複数のフィンが狭い間隔で配置されるとともに、これらのフィンに冷媒供給用のチューブが入り組んで配置される。このような複雑な構造の熱交換器では、大気中の水分がフィンやチューブ(以下、「フィン等」という。)の表面に凝縮水として付着すると、この凝縮水がフィン等の表面に長時間滞留する場合がある。この場合には、局部的に酸素濃淡電池が形成されて腐食反応が進行する結果、錆が発生してしまう。
アルミニウム製熱交換器の表面での錆の発生に伴って、無機成分が増加してしまうと、無機成分自体が臭気を発生したり、臭気を吸着したりする。
このような熱交換器からの臭気の発生の問題に対して、従来、アルミニウム製熱交換器の表面に表面処理剤を接触させて化成皮膜を形成することで、その防錆性を向上させて、臭気の発生を防止する技術が知られている。具体的には、ジルコニウム化合物と、バナジウム化合物と、アルミニウム化合物と、フッ素化合物と、アクリル重合体と、を含有する表面処理剤によってアルミニウム製熱交換器の表面を処理する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この技術によれば、アルミニウム製熱交換器の表面に表面処理剤を塗布することで、その防錆性を向上し、臭気の発生を防止できるとされている。なお、表面処理剤によって化成皮膜を形成したアルミニウム製熱交換器の表面は、必要に応じて親水処理剤によって処理する。
また、熱交換器用のアルミニウム製のフィン等の表面に、ジルコニウム化合物、リン酸、クロム酸等を含有する表面処理剤を接触させて化成皮膜(下地処理皮膜)を形成して、その化成皮膜上に第1親水性樹脂層及び第2親水性処理層を形成する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。この技術によれば、長期の運転においても熱交換器の防臭効果を維持することができるとされている。
特開2013−76150号公報 特開2012−215347号公報
熱交換器のフィン等は、アルミニウム合金をろう付けによって組み立てられたものであることが多い。ろう付けの方法としては、フラックスを用いる方法と用いない方法に分けることができる。フラックスを用いない方法としては真空ろう付け法(VB法)、フラックスを用いる方法としては、フッ化物系フラックスを使用する非腐食性フラックスブレージング法(NB法)を挙げることができる。一般的に、カーエアコン用エバポレータはNB法を用いて製造される。NB法を用いて製造した熱交換器(非腐食性フラックスブレージング製熱交換器)は、耐食性に優れる。
ところで、カーエアコンは狭い空間の温度の調整に用いられることから、カーエアコン用エバポレータは、熱交換器の中でも特に臭気の発生を抑制する必要がある。カーエアコン用エバポレータは、人間の身体から発せられる酢酸やアルデヒド類を主成分とする臭気を吸着した場合、これらの臭気成分を、カーエアコンの起動時等に一気に排出する。臭気成分が狭い空間に一気に排出されることによって、空間内の臭気成分の濃度が急激に上昇すると、人間はその臭気を特に不快に感じる。
このような不快な臭気を抑制するためには、臭気成分である酢酸やアルデヒド類を熱交換器にできる限り吸着させないようにする必要がある。
しかしながら、特許文献1に記載された技術は、主に、劣化したアルミニウム製熱交換器の表面から発生する臭気を抑制することを課題にしており、人間の身体から発せられる酢酸やアルデヒド類を熱交換器にできる限り吸着させないようにすることについては記載されていない。
一方、特許文献2には、熱交換器用フィン材の表面に特定の複層塗膜を形成することで、アンモニアや酢酸等の臭気の吸着を抑制できることが記載されている。しかし、特許文献2に記載された熱交換器は、狭い空間の温度の調整に用いられることは記載されておらず、カーエアコン用エバポレータに適用することが可能な程度に臭気成分の吸着を抑制できるものとは認められない。
このように、臭気成分の吸着を十分に抑制できる熱交換器の表面処理方法については見出されていないのが現状である。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、臭気成分の吸着を十分に抑制できる熱交換器の表面処理方法を提供することにある。
本発明は、アルミニウム材からなる非腐食性フラックスブレージング製熱交換器に、ジルコニウム系化成処理剤を接触させた後乾燥させる化成処理工程(1)と、前記化成処理工程後の前記熱交換器に、耐臭気処理剤を接触させた後乾燥させて、耐臭気層を形成させる耐臭気処理工程(2)と、前記耐臭気処理工程後の前記熱交換器に親水処理剤を接触させた後乾燥させる親水処理工程(3)と、を有する熱交換器の表面処理方法であって、前記ジルコニウム系化成処理剤は、ジルコニウムフッ素錯体化合物をジルコニウム金属として300〜700質量ppmと、硫酸バナジル、硝酸バナジル及びリン酸バナジルからなる群より選択される少なくとも一種のバナジウム化合物をバナジウム金属として50〜150質量ppmと、アルミニウム化合物と、リチウム化合物と、アクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも一種と、を含む単量体を重合して得られるアクリル重合体を300〜900質量ppmと、を含むものであり、前記耐臭気処理剤は、耐臭気層形成成分がポリビニルアルコールであり、前記親水処理剤は、ビニルアルコール系重合体により被覆されたシリカ粒子、及び、ポリアリルアミン樹脂を含有するものであり、前記シリカ粒子及び前記ビニルアルコール系重合体の合計含有量が0.2〜25質量%であり、前記シリカ粒子と前記ビニルアルコール系重合体との質量比が30:70〜70:30であることを特徴とする熱交換器の表面処理方法を提供する。
本発明によれば、臭気成分の吸着を十分に抑制できる熱交換器の表面処理方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
本実施形態に係る熱交換器の表面処理方法は、化成処理工程(1)と、耐臭気処理工程(2)と、親水処理工程(3)と、を有する。
<熱交換器>
本実施形態に係る熱交換器の表面処理方法で処理される熱交換器は、アルミニウム材からなる非腐食性フラックスブレージング製熱交換器であり、自動車エアコン用途に好ましく用いられる。ここで、「アルミニウム材」とは、アルミニウム又はアルミニウム合金(以下、単に「アルミニウム」という。)を意味する。熱交換器は、熱交換効率向上の観点から、その表面積を可能な限り大きくすべく複数のフィンが狭い間隔で配置されるとともに、これらのフィンに冷媒供給用のチューブが入り組んで配置される。
<化成処理工程(1)>
化成処理工程(1)では、アルミニウム材からなる非腐食性フラックスブレージング製熱交換器に、ジルコニウム系化成処理剤を接触させた後乾燥させる。
化成処理工程(1)で用いられるジルコニウム系化成処理剤は、ジルコニウムフッ素錯体化合物と、バナジウム化合物と、アルミニウム化合物と、リチウム化合物と、アクリル重合体と、を含む塗布型の化成処理剤である。塗布型の化成処理剤は、金属表面に表面処理剤を接触させた後、これを水洗せずに乾燥する方法で使用される。従来、防錆性を付与させるためにアルミニウム熱交換器の表面に化成処理剤を接触させる前に、表面の酸化膜等を除去する酸洗工程、この酸洗工程後に水洗工程が必要とされている。しかし、本発明の表面処理剤を用いれば、表面処理剤をアルミニウム熱交換器の表面に接触させることで、表面の酸化膜等を除去できる。このため酸洗工程やその後の水洗工程を設ける必要がない。
ジルコニウム系化成処理剤は、ジルコニウムフッ素錯体化合物と、バナジウム化合物と、アルミニウム化合物と、リチウム化合物と、アクリル重合体と、を水に溶解することで得られる。ジルコニウム系化成処理剤において、ジルコニウムフッ素錯体化合物の濃度は、化成処理剤中のジルコニウム金属含有量(金属元素換算濃度)を表し、バナジウム化合物の濃度は、化成処理剤中のバナジウム金属含有量(金属元素換算濃度)を表し、アルミニウム化合物の濃度は、化成処理剤中のアルミニウム金属含有量(金属元素換算濃度)を表し、リチウム化合物の濃度は、化成処理剤中のリチウム金属含有量(元素換算濃度)を表す。
ジルコニウムフッ素錯体化合物から供給されるジルコニウムイオンは、熱交換器の表面に形成される化成皮膜に対して防錆性を付与する。特に本実施形態の表面処理剤によれば、防錆性に優れた化成皮膜を形成できる。
ジルコニウムフッ素錯体化合物の例としてはフルオロジルコニウム酸、フルオロジルコニウム酸のリチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム塩、フッ化ジルコニウム、フッ化水素酸ジルコニウムを挙げることができ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。フッ素を含有するジルコニウム化合物を使用することにより、フッ素イオンが供給されるため、別途フッ素元素を用いなくてもよい。
ジルコニウム系化成処理剤におけるジルコニウムフッ素錯体化合物の含有量は、ジルコニウム金属元素換算で300〜700質量ppmであり、好ましくは400〜600質量ppmである。ジルコニウム系化成処理剤中におけるジルコニウムフッ素錯体化合物の含有量が300質量ppm未満の場合、化成皮膜の防錆性、親水性皮膜への密着性が低下し、700質量ppmよりも多い場合、表面処理剤の安定性が低下する。
バナジウム化合物から供給されるバナジウムイオンは、ジルコニウムイオンとともに化成皮膜の防錆性を向上させる成分である。また、バナジウム元素は、アルミニウム製熱交換器の表面のエッチングを促進する成分である。エッチング力は表面処理剤のpHが0.5〜3の場合に強力であり、ジルコニウム系化成処理剤がこのpHの範囲であれば熱交換器の表面形成されている酸化膜を除去することができる。より具体的には、このエッチングは、バナジウム元素を含まない表面処理剤のエッチングと比較して、溶かすアルミニウム量が非常に多く、熱交換器の表面を均一にするため、化成皮膜を均一に形成させることが可能であり、防錆性が良好となる。また、ジルコニウム系化成処理剤に熱交換器を浸漬する方法で表面に化成皮膜を形成する場合、ジルコニウム系化成処理剤を用いて、製熱交換器の化成処理を繰り返し行うと、ジルコニウム系化成処理剤中のアルミニウムイオン濃度が高くなり、エッチング力が弱くなる。しかし、バナジウム元素により促進されたエッチング力は、このアルミニウムイオンの濃度上昇の影響を受けず、性能を持続することができる。
バナジウム化合物としては、硫酸バナジル、硝酸バナジル及びリン酸バナジルからなる群より選択される少なくとも一種が使用される。これらのバナジウム化合物を使用することで、ジルコニウム系化成処理剤のpHを0.5〜3の範囲に調整することが可能であり、熱交換器表面を良好にエッチングすることができる。また、硫酸バナジル、硝酸バナジル及びリン酸バナジル以外のバナジウム化合物を用いた場合、ジルコニウム系化成処理剤のpHによっては、安定に存在できずに凝集する等の問題が生じる。また、硫酸バナジル、硝酸バナジル及びリン酸バナジル以外のバナジウム化合物を用いた場合に、ジルコニウム系化成処理剤のpHを凝集が起こらないpHに設定すると、酸化膜等が除去できないことから、防錆性が低下し、さらには臭気が発生する場合がある。本実施形態のジルコニウム系化成処理剤では、硫酸バナジルが好ましく用いられる。
ジルコニウム系化成処理剤におけるバナジウム化合物の含有量は、バナジウム金属元素換算で50〜150質量ppmであり、好ましくは70〜130質量ppmである。ジルコニウム系化成処理剤におけるバナジウム化合物の含有量が上記の範囲内であれば、化成皮膜の防錆性が高い。
ジルコニウム系化成処理剤における、バナジウム金属元素換算でのバナジウム化合物の含有量に対する、ジルコニウム金属元素換算でのジルコニウムフッ素錯体化合物の含有量の比(Zr/V)は、2/1〜15/1であることが好ましい。比(Zr/V)が2/1未満であると、熱交換器の防錆性及び臭気性が低下する傾向にあり、比(Zr/V)が14/1を超えると、ジルコニウム系化成処理剤のエッチング力が低下する傾向にある。比(Zr/V)は3/1〜10/1であることがより好ましい。
アルミニウム化合物から供給されるアルミニウムイオンは、熱交換器の表面におけるジルコニウム系化成処理剤により化成皮膜を形成する際の架橋反応を促進する成分である。また、アルミニウムイオンは遊離状態にあるフッ素イオンと結合してフルオロアルミニウムになり、フッ素イオンが化成皮膜を溶解して防錆性が低下することを抑制する。ジルコニウム系化成処理剤のように、塗布型の化成処理剤の場合には、化成処理剤をアルミニウム製熱交換器の表面に接触させた後、水洗工程を行わないため、化成皮膜中にフッ素イオンが残り、化成皮膜の防錆性を低下させるが、上記のアルミニウムイオンの存在によりこの問題は抑えられる。
アルミニウム化合物としては、例えば、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、フッ化アルミニウム、酸化アルミニウム、ミョウバン、珪酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム等のアルミン酸塩、フルオロアルミニウム酸ナトリウム等のフルオロアルミニウム塩を挙げることができる。本実施形態のジルコニウム系化成処理剤では、硫酸アルミニウム、が好ましく用いられる。
ジルコニウム系化成処理剤におけるアルミニウム化合物の含有量は、アルミニウム金属元素換算で2〜500質量ppmであることが好ましく、3〜450質量ppmであることがより好ましい。ジルコニウム系化成処理剤におけるアルミニウム化合物の含有量が、2量ppm未満の場合、化成皮膜の防錆性が低下する傾向にあり、500質量ppmを超える場合、逆に処理液中にスラッジを発生させることがある。
ジルコニウム系化成処理剤におけるアルミニウム金属元素換算でのアルミニウム化合物の含有量に対する、ジルコニウム金属元素換算でのジルコニウムフッ素錯体化合物の含有量の比(Zr/Al)は、1/2〜400/1であることが好ましい。比(Zr/Al)が1/2未満であれば熱交換器の防錆性が低下する傾向にあり、比(Zr/Al)が400/1を超えるとジルコニウム系化成処理剤の安定性が低下する傾向にある。比(Zr/Al)は、1/1〜100/1であることがより好ましい。
ジルコニウム系化成処理剤におけるアルミニウム金属元素換算でのアルミニウム化合物の含有量に対する、バナジウム金属元素換算でのバナジウム化合物の含有量の比(V/Al)は、1/10〜75/1であることが好ましい。比(V/Al)が1/10未満であれば熱交換器の防錆性が低下する傾向にあり、比(V/Al)が75/1を超えるとジルコニウム系化成処理剤の安定性が低下する傾向にある。比(V/Al)は、1/3〜50/1であることがより好ましい。
リチウム化合物から供給されるリチウムイオンは、熱交換器の防錆性を高める成分である。
リチウム化合物としては、例えば、水酸化リチウム、硫酸リチウム、炭酸リチウム、硝酸リチウム、酢酸リチウム、クエン酸リチウム、乳酸リチウム、リン酸リチウム、シュウ酸リチウム、珪酸リチウム、メタ珪酸リチウム等が挙げられる。本実施形態のジルコニウム系化成処理剤では、硫酸リチウムが好ましく用いられる。
ジルコニウム系化成処理剤におけるリチウム化合物の含有量は、リチウム金属元素換算で300〜700質量ppmであることが好ましく、400〜600質量ppmであることがより好ましい。ジルコニウム系化成処理剤におけるリチウム化合物の含有量が、300量ppm未満の場合、化成皮膜の防錆性が低下する傾向にあり、700質量ppmを超える場合、逆に処理液中にスラッジを発生させることがある。
ジルコニウム系化成処理剤におけるリチウム金属元素換算でのリチウム化合物の含有量に対する、ジルコニウム金属元素換算でのジルコニウムフッ素錯体化合物の含有量の比(Zr/Li)は、3/7〜7/3であることが好ましい。比(Zr/Li)が3/7未満であれば熱交換器の防錆性が低下する傾向にあり、比(Zr/Li)が7/3を超えるとジルコニウム系化成処理剤の安定性が低下する傾向にある。比(Zr/Li)は、2/3〜3/2であることがより好ましい。
ジルコニウム系化成処理剤におけるリチウム金属元素換算でのリチウム化合物の含有量に対する、バナジウム金属元素換算でのバナジウム化合物の含有量の比(V/Li)は、1/15〜1/2であることが好ましい。比(V/Li)が1/15未満であれば熱交換器の防錆性が低下する傾向にあり、比(V/Li)が1/2を超えるとジルコニウム系化成処理剤の安定性が低下する傾向にある。比(V/Li)は、1/10〜3/10であることがより好ましい。
ジルコニウム系化成処理剤の含有するアクリル重合体は、アクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも一種を含む単量体を重合して得られる。ジルコニウム系化成処理剤の含有するアクリル重合体は、加熱乾燥されることでジルコニウム、バナジウム、アルミニウム等の金属と架橋し、化成皮膜を強固にするとともに、化成皮膜内にジルコニウム、バナジウム、アルミニウム等を固定し、化成皮膜の防錆性を高める。また、後述する通り、このアクリル重合体がジルコニウム等の金属が原因となる臭気を抑える。ジルコニウム系化成処理剤はpHが低いため、単量体としてアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも一種を用いる必要がある。分子中に少なくとも一つのカルボキシル基を有するアクリルモノマーで構成されるアクリル重合体は、後述する耐臭気層との密着性が付与され、防錆性が良好となる。
アクリル重合体はホモポリマーであってもよいし、コポリマーであってもよい。本実施形態の表面処理剤においては、上記アクリル重合体として、ポリアクリル酸を使用することが好ましい。ポリアクリル酸はポリビニルアルコール等と比べてpHが低いため、pHが低いジルコニウム系化成処理剤であっても凝集することがない。また、ジルコニウム系化成処理剤の粘度を調整する等の目的で、複数のアクリル重合体を使用したり、同種のアクリル重合体であって分子量の異なるものを併用したりすることができる。
ジルコニウム系化成処理剤におけるアクリル重合体の含有量は、300〜900質量ppmであり、400〜800質量ppmであることが好ましい。ジルコニウム系化成処理剤におけるアクリル重合体の含有量が、300質量ppm未満だと化成皮膜と耐臭気層との密着性が低下する傾向にあり、900質量ppmを超えると、ジルコニウム系化成処理剤の粘度が高くなることから作業性が低下する傾向にある。
ジルコニウム系化成処理剤におけるアクリル重合体の含有量に対する、ジルコニウム金属元素換算でのジルコニウムフッ素錯体化合物及びバナジウム金属元素換算でのバナジウム化合物の含有量の合計の比((Zr+V)/アクリル重合体)は、2/5〜3/1であることが好ましい。比((Zr+V)/アクリル重合体)が2/5未満だと、熱交換器の防錆性及び臭気性が低下する傾向にあり、比((Zr+V)/アクリル重合体)が3/1を超えると、化成皮膜と耐臭気層との密着性が低下する傾向にある。比((Zr+V)/アクリル重合体)は、1/2〜2/1であることがより好ましい。
ジルコニウム系化成処理剤のpHは0.5〜3であることが好ましい。このように、表面処理剤のpHを低く設定することで、上記の通り、バナジウム元素が熱交換器の表面をエッチングする効果が高まる。また、上記のpHに設定することで、熱交換器の表面界面にジルコニウムが効率よく析出し、均一な皮膜となり、防錆性が良好となる。pHのより好ましい範囲は1〜2.5である。なお、ジルコニウム系化成処理剤として反応型の化成処理剤を用いると、pHを0.5〜3に調整した場合、エッチングが過剰になり、化成皮膜の形成が困難になる。ジルコニウム系化成処理剤のpHはアンモニア水溶液又は硝酸を用いて調整することができる。
また、上述の通り、本実施形態のジルコニウム系化成処理剤は塗布型の化成処理剤である。塗布型の化成処理剤以外の化成処理剤としては反応型の化成処理剤があるが、反応型の化成処理剤の場合、化成処理剤のpHを、ジルコニウムイオン等が金属として沈殿するpH近傍に設定することが求められる。ジルコニウムが金属として沈殿するpHはおよそ4であるため、反応型の化成処理剤では、pHを0.5〜3に調整してバナジウム元素によるエッチングの効果を高めることが困難である。
ジルコニウム系化成処理剤は、熱交換器の防錆性を向上させる目的で、亜鉛、マグネシウム、マンガン、セリウム、カルシウム、銅、鉄及び珪素等の元素を供給する化合物、ホスホン酸、リン酸及び縮合リン酸等のリン化合物、並びに、密着性向上のためのポリアリルアミン、アミノシラン及びエポキシシラン等の各種シランカップリング剤等を含んでいてもよい。
本実施形態に係る熱交換器の表面処理方法では、化成処理工程(1)を行う前に、熱交換器に付着する汚れ等を除去する目的で、熱交換器の表面を洗う湯洗工程、熱交換器の表面を脱脂する脱脂工程を設けてもよい。湯洗工程を行う場合、40〜90℃の温水を用いることが好ましい。
なお、本実施形態に係る熱交換器の表面処理方法では、熱交換器の表面の酸化膜を除去する酸洗工程や酸洗工程後の水洗工程は必須でない。
化成処理工程(1)においてジルコニウム系化成処理剤を熱交換器に接触させる方法は特に限定されない。ジルコニウム系化成処理剤を熱交換器に接触させる方法は、スプレー法や浸漬法等のいずれの方法でもよいが、熱交換器は複雑な形状をしているため、浸漬法が好ましい。また、化成処理工程(1)におけるジルコニウム系化成処理剤の温度は、好ましくは5〜40℃である。また、ジルコニウム系化成処理剤を熱交換器に接触させる時間は、好ましくは5〜600秒であり、より好ましくは10〜300秒である。これらを満たす条件で行われる化成処理工程(1)で形成された化成皮膜であれば、優れた防錆性及び耐湿性を有する。
化成処理工程(1)において用いられるジルコニウム系化成処理剤はバナジウム化合物を含有しているので、熱交換器の表面のエッチングが促進される。このため、化成処理工程(1)の前には酸洗工程を設ける必要が無く、さらに、酸洗工程後の水洗工程も設ける必要が無いため廃水量を低減できる。また、バナジウム元素によるエッチング促進効果により溶け出たアルミニウムは、熱交換器の表面付近のpHを上昇させる。その結果、熱交換器の表面付近におけるpHがジルコニウムイオン等の金属イオンが沈殿するpHに近づき、ジルコニウム等の金属が熱交換器の表面側に偏って存在しやすくなる。ジルコニウム等の金属が熱交換器の表面側に偏って存在することで、ジルコニウム等の金属は硬化したアクリル重合体で覆われることになり、ジルコニウム等の金属が原因となる臭気の発生が抑えられる。
また、化成処理工程(1)におけるジルコニウム系化成処理剤の付着量を調整することで、後述する乾燥後に熱交換器の表面に形成される化成皮膜中の、ジルコニウム金属元素の含有量、バナジウム金属元素の含有量等を調整できる。本実施形態の表面処理方法においては、化成皮膜中のジルコニウム金属元素の含有量が0.5〜100mg/mになり、バナジウム元素の含有量が0.5〜100mg/mになるように、アルミニウム製熱交換器に本実施形態の表面処理剤を接触させることが好ましい。化成皮膜におけるジルコニウム金属元素の含有量、バナジウム金属元素の含有量が上記の範囲にあれば、上記ジルコニウム金属元素による効果、上記バナジウム金属元素による効果が十分に高いといえる。また、化成皮膜中の、上記ジルコニウム元素の含有量のより好ましい範囲は1〜50mg/mであり、上記バナジウム金属元素の含有量のより好ましい範囲は1〜50mg/mである。
化成処理工程(1)では、熱交換器の表面に接触させたジルコニウム系化成処理剤を乾燥させる。化成処理工程(1)では、ジルコニウム系化成処理剤の含有するアクリル重合体を加熱乾燥することで、ジルコニウム、バナジウム、アルミニウム等の金属を覆い、ジルコニウム等の金属を化成皮膜中に固定する。
化成処理工程(1)における乾燥の温度や時間は特に限定されない。化成処理工程(1)における乾燥温度は100〜220℃であることが好ましく、より好ましくは150〜200℃である。化成処理工程(1)における乾燥時間は10〜60分間であることが好ましい。化成処理工程(1)における、乾燥温度が100℃未満、あるいは乾燥時間が10分未満の場合には造膜性が不十分となりやすい。また、化成処理工程(1)における、乾燥温度が220℃を超える、あるいは乾燥時間が60分を超えると親水持続性が低下する傾向にある。
化成処理工程(1)における乾燥中、化成処理膜内でジルコニウム、バナジウム等の金属は比重が重いため、アルミニウム製熱交換器の表面に沈む傾向にある。これも、熱交換器の表面にジルコニウム、バナジウム等の金属が偏って存在する原因の一つである。このように化成皮膜中でジルコニウムやバナジウム等の金属が偏って存在し、この偏って存在する金属をアクリル重合体が覆うことで、上記の通り、ジルコニウム等の金属が原因となる臭気の発生を抑制できる。
<耐臭気処理工程(2)>
耐臭気処理工程(2)では、化成処理工程(1)後の熱交換器に、耐臭気処理剤を接触させた後乾燥させて、耐臭気層を形成させる。
耐臭気処理工程(2)で用いられる耐臭気処理剤に含まれる耐臭気層形成成分はポリビニルアルコール(PVA)である。つまり、耐臭気処理工程(2)で用いられる耐臭気処理剤はPVA以外に、ポリアクリル酸やポリアリルアミン等のポリマーやジルコニウム化合物等のPVA分子同士を化学的に架橋させる成分(架橋成分)を含有しないことを特徴とする。耐臭気処理剤が架橋成分を含有しないことにより、耐臭気層を形成したポリビニルアルコールが高い結晶性を発揮し、その結果として、臭気成分の耐臭気層への吸着や耐臭気層の透過が抑制されると推測される。このように、耐臭気層形成成分がPVAのみである耐臭気処理剤を用いることで、酢酸やアルデヒド類等の臭気成分が化成処理工程(1)において形成された化成皮膜に吸着するのを防ぐことができる。
耐臭気処理剤の含有するPVAの重合度は、200〜1700であることが好ましい。PVAの重合度が200未満であると、耐臭気層の膜形成性が低下し、耐臭気性も低下する傾向にあり、1700を超えると、耐臭気処理剤の粘性が高くなることで、取り扱い性が低下する傾向にある。
耐臭気処理剤の含有するPVAは、酢酸ビニル重合体をけん化して得られるが、このPVAのけん化度((PVA中の水酸基の数/PVA中の水酸基及びアセチル基の数の合計)×100)は、80モル%以上であることが好ましく、85〜99.8モル%であることがより好ましい。PVAのけん化度が80モル%未満であると、耐臭気層の耐臭気性が低下する傾向にある。
耐臭気処理剤は、水を溶媒として、PVAが溶解されて使用される。
耐臭気処理剤には、必要に応じて各種添加剤を使用することができる。各種添加剤とは、例えば、抗菌剤、潤滑剤、界面活性剤、顔料、染料、防錆性付与のためのインヒビターを挙げることができる。
耐臭気処理工程(2)において、熱交換器の化成皮膜上に耐臭気処理剤を接触させる方法は特に限定されない。耐臭気処理剤を化成皮膜上に接触させる方法は、スプレー法や浸漬法等のいずれの方法でもよいが、熱交換器は複雑な形状をしているため、浸漬法が好ましい。また、耐臭気処理工程(2)における耐臭気処理剤の温度は、好ましくは5〜40℃である。また、耐臭気処理剤を熱交換器に接触させる時間は、好ましくは5〜600秒であり、より好ましくは10〜300秒である。これらを満たす条件で行われる臭気処理工程(2)で形成された耐臭気層であれば、優れた耐臭気性を有する。
また、耐臭気処理工程(2)における耐臭気処理剤の付着量は、後述する乾燥後に熱交換器の表面に形成される耐臭気層の単位面積当たりの質量(耐臭気処理皮膜量)が0.3〜1.5mg/mとなるように調整するのが好ましい。耐臭気層が上記範囲となるように調整することで、耐臭気層が優れた耐臭気性を発揮する。
耐臭気処理工程(2)における、熱交換器の表面に接触させた耐臭気処理剤を乾燥させる温度や時間は特に限定されない。耐臭気処理工程(2)における乾燥温度は100〜220℃であることが好ましく、より好ましくは140〜200℃である。耐臭気処理工程(2)における乾燥時間は10〜60分間であることが好ましい。耐臭気処理工程(2)における、乾燥温度が100℃未満、あるいは乾燥時間が10分未満の場合には造膜性が不十分となりやすい。また、耐臭気処理工程(2)における、乾燥温度が220℃を超える、あるいは乾燥時間が60分を超えると親水持続性が低下する傾向にある。
<親水処理工程(3)>
親水処理工程(3)では、耐臭気処理工程(2)後の熱交換器に親水処理剤を接触させた後乾燥させる。
親水処理工程(3)で用いられる親水処理剤は、ビニルアルコール系重合体により被覆されたシリカ粒子、及び、ポリアリルアミン樹脂を含有する。親水処理剤は、水媒体中にビニルアルコール系重合体で被覆されたシリカ粒子が分散されているものである。親水処理工程(3)により、耐臭気層上に親水化皮膜が形成される。
シリカ粒子としてはヒュームドシリカやコロイダルシリカが挙げられる。このうちヒュームドシリカは、例えばトリクロロシラン、テトラクロロシランのようなハロシランを気相中で高温加水分解して製造したものであり、表面積の大きな粒子である。また、コロイダルシリカは、酸又はアルカリ安定型のシリカゾルを水分散させたものである。シリカ粒子の体積平均粒径は5〜100nmであることが好ましく、より好ましくは7〜60nmである。シリカ粒子の体積平均粒径が、5nm未満の場合には処理皮膜の凹凸が不足して親水性が低下し、100nmを超える場合には処理剤にした際に大粒径の凝集物が発生し作業性が悪くなる傾向にある。なお、体積平均粒径は、親水処理剤の一部を脱イオン水で希釈し、動的光散乱測定器(ELS−800、大塚電子株式会社製)により測定した値である。
ビニルアルコール系重合体として典型的なものは、酢酸ビニル重合体をけん化して得られるポリビニルアルコール(PVA)である。PVAはけん化度の高いものが好ましく、特にけん化度98モル%以上のものが好ましい。またPVAの変性物、例えば水酸基の一部をプロピル基、ブチル基等のアルキル基で置換したもの等も、ビニルアルコール重合体として使用することが可能である。さらに、必要に応じて他の親水性ポリマー、例えば水酸基含有アクリル樹脂、ポリアクリル酸、ポリビニルスルホン酸、ポリビニルイミダゾール、ポリエチレンオキサイド、ポリアミド、水溶性ナイロン等を、PVAに対して50質量%未満の量で併用させるようにすることもできる。
親水処理剤を製造するには、まずビニルアルコール系重合体(及び、必要に応じて他の親水性ポリマー。以下、単にビニルアルコール系重合体という)を、親水処理剤に対して0.3〜17.5質量%、好ましくは0.5〜5質量%となるように溶解又は分散させる。そして、ここへシリカ粒子を、親水処理剤に対して0.3〜17.5質量%、好ましくは0.5〜5質量%添加する。
また他の調製方法として、シリカ微粒子を、このシリカ微粒子の5〜50質量%固形分濃度のビニルアルコール系重合体水溶液中で分散することにより、予めシリカ微粒子をビニルアルコール系重合体で被覆し、その後にビニルアルコール系重合体水溶液を加えて濃度調整を行ってもよい。
ビニルアルコール系重合体とシリカ粒子とを混合すると、両者の相互作用により凝集が起きる。そこで、この凝集物を超音波分散機、微小媒体分散機等により強制的に分散させる。分散機は、ミキサーのような単なる攪拌分散用では凝集物を分散させることはできず、ミルのようなすり潰し機能、あるいは超音波のような、微小部分において激しい攪拌効果を有するものを使用する必要がある。このような分散機の例としては、株式会社日本精機製作所製の超音波ホモジナイザー(USシリーズ)や、株式会社井上製作所製のスーパーミル(HM−15)がある。こうして強制的に分散された凝集物は、シリカ微粒子の表面にビニルアルコール系重合体がコーティングされた平均粒径5〜1,000nmの被覆粒子となり、水媒体中で分散体として安定する。この平均粒径が5nm未満では親水性が発現できず、1,000nmを超えると塗装作業性が悪くなる。
親水処理剤における、シリカ粒子とビニルアルコール系重合体の合計含有量は0.2〜25質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜5質量%である。また、シリカ粒子とビニルアルコール系重合体との質量比は30:70〜70:30であり、好ましくは40:60〜60:40である。親水処理剤における、ビニルアルコール重合体及びシリカ粒子の合計量が0.2質量%未満の場合には親水持続性及び防臭性の効果が出ず、一方、25質量%を超える場合には、親水処理剤の粘度が高くなって塗装作業性が悪くなる。また、シリカ粒子とビニルアルコール系重合体との質量比が30:70〜70:30の範囲外では、シリカ粒子の比率が高い場合、親水化皮膜の造膜が不十分となり膜の剥離でシリカや素地から埃臭が発生し、ビニルアルコール系重合体の比率が高い場合、親水化皮膜親水性が低下する。
親水処理剤の含有するポリアリルアミン樹脂は、下記式(1)で表される構成単位を有するものであれば特に限定されない。ポリアリルアミン樹脂の密着性によって、親水性皮膜が長期に亘って劣化することがなく、熱交換器上の残留フラックスを隠蔽し、フラックスに特有の悪臭の発生を抑制することができる。
ポリアリルアミン樹脂はビニルアルコール系重合体との相溶性に優れる等の特性を有するため、表面処理剤にポリアリルアミン樹脂を添加することによって、アミノ基等を有する類似の構造や特性を有する他の重合体や化合物を添加する場合と比べても、親水性を有する皮膜の密着性を長期に亘って維持させることができ、フラックスに特有の臭気の発生を効率的に抑制することができる。
Figure 2015124390
ポリアリルアミン樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法によって製造することができる。上記ポリアリルアミン樹脂としては特に限定されず、例えば、「PAA−05」(ポリアリルアミン、重量平均分子量5000、日東紡株式会社製)、「PAA−15C」(ポリアリルアミン、重量平均分子量15000、日東紡株式会社製)、「PAA−D11−HCl」(アリルアミン塩酸塩−ジアリルアミン塩酸塩共重合体、重量平均分子量10000、日東紡株式会社製)等の市販のポリアリルアミン樹脂を使用することができる。ポリアリルアミン樹脂は、本発明の目的を損なわない範囲で、そのアミノ基の一部をアセチル化する等の方法によって修飾したもの、アミノ基の一部又は全部が酸により中和されたもの、溶解性に影響を与えない範囲で架橋剤によって架橋したもの等も使用することができる。
親水処理剤におけるポリアリルアミン樹脂の含有量は、固形分で100〜5000質量ppmであることが好ましい。親水処理剤におけるポリアリルアミン樹脂の含有量が、100ppm未満であると、十分な防臭効果が得られない傾向にあり、5000ppmを超えると、表面処理剤の粘性を増大させ、親水性皮膜の形成を阻害するおそれがあるとともに、ポリアリルアミン樹脂特有の臭気が問題となるおそれがある。親水処理剤におけるポリアリルアミン樹脂の含有量は、固形分で300〜1000ppmであることがより好ましい。
親水処理剤には、必要に応じて各種添加剤を使用することができる。各種添加剤とは、例えば、抗菌剤、潤滑剤、界面活性剤、顔料、染料、防錆性付与のためのインヒビターを挙げることができる。
親水処理剤を用いることで、シリカ微粒子の凹凸によって親水性皮膜の親水性を確保できるだけでなく、長期間使用後に親水性皮膜が多少劣化しても、被覆されているシリカ粒子は、直接露出したり凝縮水によって流出したりする可能性が少ない。そのため親水性皮膜の親水持続性が高い。また、シリカ粒子が被覆されていることで、シリカ特有の埃臭や、シリカの吸着によるバクテリア等の臭いも発生しにくい。
親水処理工程(3)において、親水処理剤を耐臭気層上に接触させる方法は特に限定されない。親水処理剤を耐臭気層上に接触させる方法は、浸漬法やスプレー法等のいずれの方法でもよいが、熱交換器は複雑な形状を有するため、浸漬法が好ましい。親水処理工程(3)における、親水処理剤の温度は10〜50℃が好ましく、処理時間は3秒〜5分が好ましい。また、親水処理剤の耐臭気層上への付着量を調整することで、親水性皮膜の皮膜量を調整することができる。親水処理工程(3)では、親水性皮膜の皮膜量が1〜3000mg/mとなるように化成皮膜上に親水処理剤膜を形成することが好ましい。親水性皮膜の皮膜量が、1mg/m未満では親水化性能が発現し難く、一方、3000mg/mを超えると生産性が低下してしまう傾向にある。親水性皮膜の皮膜量は、2〜1000mg/mであることがより好ましい。
親水処理工程(3)においては、熱交換器に接触させた親水化処理剤を乾燥させて、化成皮膜上に親水性皮膜を形成する。
親水処理工程(3)において、熱交換器に接触させた親水化処理剤を乾燥させる温度や時間は特に限定されない。親水処理工程(3)における乾燥温度は、100〜220℃であることが好ましく、より好ましくは150〜200℃である。親水処理工程(3)における乾燥時間は、10〜60分間であることが好ましい。親水処理工程(3)における乾燥温度が100℃未満、あるいは乾燥時間が10分未満では、造膜性が不十分となりやすい。一方、親水処理工程(3)における乾燥温度が220℃を超える、あるいは乾燥時間が60分を超えると、親水性皮膜の親水持続性が低下する傾向にある。
このように、上述した特定のジルコニウム系化成処理剤によって形成される化成皮膜と、上述した特定の親水処理剤によって形成される親水化皮膜との間に、ポリビニルアルコールを耐臭気層形成性分とする耐臭気層を存在させることで、酢酸やアルデヒド類等の臭気成分が、熱交換器に吸着されるのを防ぐことができる。
以下本発明について実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また実施例中、「%」、「部」、「ppm」は特に断りのない限り「質量%」、「質量部」、「質量ppm」を意味する。
[化成処理剤の調製]
純水、フッ化ジルコンアンモニウム、硝酸バナジル、硫酸アルミニウム、ポリアクリル酸(日本触媒社製、「アクアリックDL453」)、硫酸リチウム、を、化成処理剤中のジルコニウム金属元素の濃度が500ppm、バナジウム金属元素の濃度が100ppm、アルミニウム金属元素の濃度が50ppm、リチウム金属元素の濃度が500ppm、ポリアクリル酸の濃度が600ppmとなるように配合して化成処理剤を調製した。化成処理剤のpHは2.3となる。
[耐臭気処理剤の調製]
実施例1〜5及び比較例2〜5の耐臭気処理剤を、それぞれ表1に記載の配合で固形分濃度が4%になるように純水で希釈することで調製した。
なお、ポリビニルアルコールとして、以下のものを用いた。
PVA105(株式会社クラレ製、けん化度:98〜99モル%、重合度:500)
PVA117(株式会社クラレ製、けん化度:98〜99モル%、重合度:1700)
PVA102(株式会社クラレ製、けん化度:98〜99モル%、重合度:200)
PVA205(株式会社クラレ製、けん化度:86.5〜89モル%、重合度:500)
また、ポリアクリル酸としては、株式会社日本触媒製のアクアリックDL453を、ポリアクリルアミンとしては、日東紡株式会社製のPAA−15Cを、フッ化ジルコンアンモニウムとしては森田化学工業株式会社製のジルコンフッ化アンモニウムを、それぞれ用いた。
[評価用熱交換器の作製]
水道水を40℃に温めた浴中に、非腐食性フラックスブレージング製熱交換器を100秒間浸漬して引き上げた。
湯洗された上記熱交換器を、化成処理剤中に室温で15秒間浸漬した。浸漬後、エアブローによりウェット皮膜量を、化成皮膜中のジルコニウム金属元素の含有量が15mg/mとなるように調整した。次いで、乾燥炉にて、熱交換器自体の温度が170℃となる焼き付け温度で20分間焼付け処理を実施することで、化成処理皮膜が形成された。
この化成処理皮膜が形成された熱交換器を室温にて30分間空冷した後、この化成皮膜が形成された熱交換器を実施例1〜5及び比較例2〜5の耐臭気処理剤中に室温で15秒間浸漬した。浸漬後、エアブローにより、耐臭気処理皮膜量が表1に示した値になるように、ウェット皮膜量を調整した。次いで、乾燥炉にて、熱交換器自体の温度が170℃となる焼き付け温度で20分間焼付け処理を実施することで、化成皮膜上に耐臭気処理皮膜(耐臭気層)が形成された。
この耐臭気処理皮膜が形成された熱交換器を室温にて30分間空冷した後、室温で親水処理剤(ポリビニルアルコール・シリカ系親水処理剤、日本ペイント株式会社製、「サーフアルコート1100」、シリカ粒子とビニルアルコール系重合体との合計含有量が13質量%、シリカ粒子とビニルアルコール系重合体との質量比が46:54、ポリアリルアミンの含有量は500質量ppm)に30秒間浸漬した。浸漬後、エアブローにより、親水性皮膜の皮膜量が500mg/mとなるように、ウェット皮膜量を調整した。次いで、乾燥炉にて、熱交換器自体の温度が170℃となる焼き付け温度で20分間焼付け処理を実施することで、耐臭気皮膜上に親水性皮膜を形成した。このようにして評価用熱交換器が得られた。
なお、比較例1については、化成皮膜上に耐臭気処理皮膜を形成させなかった。つまり、比較例1では、化成皮膜上に親水性皮膜を形成させた。
[耐食性の評価]
各実施例及び比較例で作製した評価用熱交換器について、JIS Z 2371に基づいた耐食性の評価を実施した。具体的には、各実施例及び比較例で作製した評価用熱交換器に対して、5%食塩水を35℃にて噴霧した後、480時間経過後の錆発生部の面積を、下記の評価基準に従って目視で評価した。評価者は2人とし、2人の評価の平均値に基づいて、耐食性を評価した。耐食性が6以上であれば耐食性が良好であると判断される。結果を表1に示した。
10:錆発生無し。
9:錆発生部の面積が10%未満。
8:錆発生部の面積が10%以上20%未満。
7:錆発生部の面積が20%以上30%未満。
6:錆発生部の面積が30%以上40%未満。
5:錆発生部の面積が40%以上50%未満。
4:錆発生部の面積が50%以上60%未満。
3:錆発生部の面積が60%以上70%未満。
2:錆発生部の面積が70%以上80%未満。
1:錆発生部の面積が80%以上90%未満。
0:錆発生部の面積が90%以上。
[親水性の評価]
各実施例及び比較例で作製した評価用熱交換器を、室温で純水に168時間浸漬した後、接触角を測定した。接触角の測定は、自動接触角計「CA−Z」(協和界面化学株式会社製)を用いて行った。結果を表1に示した。接触角が30°以下であれば親水性が良好であると判断される。
[臭気性の評価]
各実施例及び比較例で作製した評価用熱交換器を、水道水の流水に168時間接触させた後、その臭気を下記の評価基準で評価した。評価者は2人とし、2人の評価の平均値に基づいて、臭気を評価した。臭気が2以下であれば、臭気性が良好である、つまり臭気をほとんど感じないものと評価される。結果を表1に示した。
0:無臭
1:非常に弱い臭いを感じる
2:弱い臭いを感じる
3:臭いを感じる
4:強い臭いを感じる
5:非常に強い臭いを感じる
[酢酸吸着性の評価]
各実施例及び比較例で作製した評価用熱交換器を、室温で純水に168時間浸漬した。その評価用熱交換器から裁断したフィン2.5gをカラムに充填した。裁断したフィンを充填したカラムの一端側から酢酸を0.1mlずつ注入し、カラムの他端側から排出されるガスをガスクロマトグラフィーで分析し、酢酸が検出されない最大注入量を酢酸吸着量とする。酢酸吸着量が3ml以下であれば酢酸吸着性は良好である、つまり、酢酸吸着性は十分に低いと判断される。結果を表1に示した。
[アルデヒド吸着性の評価]
各実施例及び比較例で作製した評価用熱交換器を、室温で純水に168時間浸漬した。その評価用熱交換器から裁断したフィン2.5gをサンプリングバックにいれ、窒素充填後、オクタナール又はノナナール100ppmを注入する。65℃で1時間加温後、サンプリングバック中の気相分をポンプで引き抜きながらアルデヒドを捕集カートリッジに捕集した。捕集カートリッジを溶媒抽出した後、高速液体クロマトグラフィーでオクタナール又はノナナールの濃度を測定した。サンプリングバックに注入したアルデヒド類のうち、捕集カートリッジで回収されたアルデヒド類の量を回収率として求めた。オクタナール回収率が40%以上、ノナナール回収率が15%以上であればアルデヒド吸着性は良好である、つまり、アルデヒド吸着性は十分に低いと判断される。結果を表1に示した。
Figure 2015124390
表1から、実施例1〜5の評価用熱交換器の方が、比較例1の評価用熱交換器に比べて、酢酸吸着性及びアルデヒド吸着性が低いことが分かった。この結果から、熱交換器の表面において、特定の化成皮膜と特定の親水性皮膜との間に、ポリビニルアルコールを耐臭気層形成性分とする耐臭気層を形成させた場合、酢酸やアルデヒド類等の臭気性分の吸着が十分に抑制できることが確認された。
表1から、実施例1〜5の評価用熱交換器の方が、比較例2〜5の評価用熱交換器に比べて、酢酸吸着性及びアルデヒド吸着性が低いことが分かった。この結果から、熱交換器の表面において、化成皮膜と親水性皮膜との間の耐臭気層が、ポリビニルアルコールのみを耐臭気層形成性分とする場合に、酢酸やアルデヒド類等の臭気性分の吸着が十分に抑制できることが確認された。
本発明の熱交換器の表面処理方法によれば、化成皮膜に優れた防錆性を付与でき、さらに、酢酸やアルデヒド類等の臭気成分が、熱交換器に吸着されるのを防ぐことができる。本発明の熱交換器の表面処理方法は、カーエアコン用エバポレータに用いられる非腐食性フラックスブレージング製熱交換器に好ましく適用される。

Claims (1)

  1. アルミニウム材からなる非腐食性フラックスブレージング製熱交換器に、ジルコニウム系化成処理剤を接触させた後乾燥させる化成処理工程(1)と、前記化成処理工程後の前記熱交換器に、耐臭気処理剤を接触させた後乾燥させて、耐臭気層を形成させる耐臭気処理工程(2)と、前記耐臭気処理工程後の前記熱交換器に親水処理剤を接触させた後乾燥させる親水処理工程(3)と、を有する熱交換器の表面処理方法であって、
    前記ジルコニウム系化成処理剤は、
    ジルコニウムフッ素錯体化合物をジルコニウム金属として300〜700質量ppmと、
    硫酸バナジル、硝酸バナジル及びリン酸バナジルからなる群より選択される少なくとも一種のバナジウム化合物をバナジウム金属として50〜150質量ppmと、
    アルミニウム化合物と、
    リチウム化合物と、
    アクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも一種と、を含む単量体を重合して得られるアクリル重合体を300〜900質量ppmと、を含むものであり、
    前記耐臭気処理剤は、耐臭気層形成成分がポリビニルアルコールであり、
    前記親水処理剤は、ビニルアルコール系重合体により被覆されたシリカ粒子、及び、ポリアリルアミン樹脂を含有するものであり、前記シリカ粒子及び前記ビニルアルコール系重合体の合計含有量が0.2〜25質量%であり、前記シリカ粒子と前記ビニルアルコール系重合体との質量比が30:70〜70:30であることを特徴とする熱交換器の表面処理方法。
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JP2017179587A (ja) * 2016-03-29 2017-10-05 株式会社神戸製鋼所 アルミニウム材の表面処理方法および表面処理アルミニウム材
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