JP2015123417A - 糖類処理剤及び水処理方法 - Google Patents

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Akihiro Fujii
昭宏 藤井
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孝博 川勝
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Abstract

【課題】 被処理水の糖類を効率よく凝集させるための新たな糖類処理剤及び水処理方法を提供すること。
【解決手段】 有機ボロン酸化合物と、水処理凝集剤とから構成される水処理系の糖類処理剤;ボロン酸基を有する有機化合物を含有する、被処理水中の糖類を水処理用凝集剤にて処理するための糖類処理剤;糖類を含有する被処理水に、ボロン酸基を有する有機化合物と、水処理用凝集剤とを添加し、固液分離を行う、水処理方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、糖類処理剤及び水処理方法に関する。
糖類は、排水の生物処理水に多量に存在し、環境水でも、特に湖沼や池等の藻類発生のある水に多く存在する。この糖類には、10〜1000万前後の非常に大きい分子量をもつ多糖類があり、水溶性・不水溶性、粘稠性を有する多糖類が存在する。
従来、被処理水中の糖類の処理方法としては、無機凝集剤の添加による凝集・固液分離が広く行われている。また、糖類が被処理水中に含まれると膜分離処理の膜に悪影響を与えることがあるため、糖類の処理方法は、膜分離処理の前処理方法としても行われている。
しかしながら、無機凝集剤を用いても被処理水中の糖類を除去しきれない場合があり、除去しきれなかった糖類は、RO膜等の膜分離処理に導入される水(膜供給水)に存在することになる。膜供給水に糖類が微量でも存在すると、拡散せずに膜面に濃縮、滞留し、さらに膜に付着してこれを汚染し、膜ろ過機能を阻害することがある。このように、被処理水に存在する糖類は、膜分離に付着し透過水量の低下(ファウリング)を引き起こす原因となる。
なお、糖類には、カルボキシル基等を有する酸性糖類と、中性糖類とが存在する。酸性糖類は無機凝集剤の金属カチオンと反応するため、凝集、除去を行い易いが、一方で、中性糖類は、金属カチオンとほとんど反応せず、凝集、除去し難く、被処理水中に残留する。
このため、被処理水から効率よく糖類(特に中性糖類)を凝集させ除去することが望まれている。
無機凝集剤に代わる糖類用の凝集剤としては、例えば、特許文献1には、フェノール類とアルデヒド類とを酸触媒の存在下に反応させて得られたノボラック型フェノール系樹脂のアルカリ溶液に、アルデヒド類を添加してレゾール型の2次反応を行なって得られるフェノール系樹脂のアルカリ溶液よりなる水処理凝集剤であって、該フェノール類がメチルフェノール類を含むことを特徴とする水処理凝集剤が開示されている。
特開2012−166118号公報
従来、多糖類を含む被処理水を、凝集・固液分離処理したときに、残存した多糖類は、逆浸透膜(以下、「RO膜」ともいう)の非可逆性のファウリングを引き起こす原因物質となっている。このため、凝集・固液分離膜処理の後段にRO膜処理を行う処理方法において、凝集処理による多糖類の除去率向上は重要視されている。よって、効率のよい水処理方法で、被処理水中の糖類の除去率を数%でも向上させることが望ましい。
また、単糖類、オリゴ糖類の分離はNF膜やRO膜処理によって可能であるが、これらの分離性は高圧に必要なエネルギーを必要とするうえ、分離対象の分子量に依存するものであり、混合物から糖類のみの選択的な除去はかなり困難である。カラムを用いた分離方法もあるが、これでは効率よく大量処理することができない。
また、後記比較例3、4に示すように、カチオン性の水処理用凝集剤では被処理水中の糖類を効率よく除去させることができない。
そこで、本発明は、被処理水の糖類を効率よく凝集させるための新たな糖類処理剤及び水処理方法を提供しようとするものである。
本発明者は、新規な糖類処理剤及び水処理方法を提供するため、鋭意検討を行なった結果、水処理用の凝集剤と、ボロン酸基を有する有機化合物とを併用することで、被処理水に含まれる糖類を効率よく除去することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、ボロン酸基を有する有機化合物と、水処理用凝集剤とから構成される水処理系の糖類処理剤を提供するものである。
また、本発明は、ボロン酸基を有する有機化合物を含有する、被処理水中の糖類を水処理用凝集剤にて処理するための糖類処理剤を提供するものである。
また、本発明は、糖類を含有する被処理水に、ボロン酸基を有する有機化合物と、水処理用凝集剤とを添加し、固液分離を行う、水処理方法を提供するものである。
本発明によれば、被処理水の糖類を効率よく凝集させるための新たな糖類処理剤及び水処理方法を提供することができる。
本願の実施例1〜2及び比較例1〜3の実験結果を示す写真である。
本発明の水処理系の糖類処理剤は、(A)ボロン酸基を有する有機化合物(以下、「有機ボロン酸化合物」ともいう)と、(B)水処理用凝集剤とから構成されるものである。
前記(B)の水処理用凝集剤として、高分子凝集剤及び/又は無機凝集剤が好適である。
本発明の水処理系の糖類処理剤は、さらに(C)アルカリ剤を構成として含むものが好適であり、前記(A)化合物と、前記(B)凝集剤と、前記(C)アルカリ剤とから構成されるものが好適である。また、前記(A)化合物、前記(B)凝集剤、及び前記(C)アルカリ剤の各剤は、固体のままで、又は水等の溶剤にて溶液で、水処理系に添加してもよい。
本発明の水処理系の糖類処理剤の使用形態には、特に制限がない。例えば、前記(A)有機ボロン酸化合物と(B)水処理用凝集剤とを含有する1剤型とすることができ、又は前記(A)有機ボロン酸化合物を第1剤として及び前記(B)水処理用凝集剤を第2剤として別々の剤として多剤型(例えば、キット型)として使用することができる。
また、これらの剤は、1剤型は1剤型であるので水処理系において取り扱いが容易であり、多剤型は別々に添加することができるので被処理水に応じて用法(添加時期や添加量等)の調整が容易である。
本発明の水処理系の糖類処理剤に、さらに前記(C)アルカリ剤を含む構成の場合には、前記(A)化合物と、前記(B)凝集剤と、前記(C)アルカリ剤とを含有する1剤型とすることができ、又は前記(A)化合物、前記(B)凝集剤及び前記(C)アルカリ剤を、2種混合剤とそれ以外の剤の2剤型又は別々の剤の3剤型として使用することができる。前記(A)化合物と前記(C)アルカリ剤とを混合させることが好適であり、これにより使用する有機ボロン酸化合物のpKa以上に調整でき、被処理水中の糖類の処理がより効率的行うことができる。
本発明の水処理系の糖類処理剤は、好適には以下の(1)及び(2)が挙げられる。より好適には、以下の(1)又は(2)に、さらにアルカリ剤を構成とする糖類処理剤である。
(1)有機ボロン酸化合物と、高分子凝集剤及び/又は無機凝集剤とを含む1剤型の糖類処理剤。
(2)前記有機ボロン酸化合物が第1剤であり、前記高分子凝集剤及び/又は無機凝集剤が第2剤又は第3剤である2剤型又は3剤型の糖類処理剤。
本発明において使用する前記(A)の有機ボロン酸化合物は、特に限定されないが、例えば、アリールボロン酸、アルキル・アルケニルボロン酸及びヘテロアリールボロン酸から選ばれる1種又は2種以上のものである。
前記アルキルボロン酸及びアルケニルボロン酸として、特に限定されないが、このアルキル基及びアルケニル基は、直鎖、分岐鎖又は環状の何れでもよい。このうち、低級アルキル基及び低級アルケニル基が好適である。
前記アルキルボロン酸として、例えば、メチルボロン酸、エチルボロン酸、プロピルボロン酸、イソプロピルボロン酸、イソブチルボロン酸、シクロペンチルボロン酸、シクロヘキシルボロン酸、フェロセンボロン酸、1,1’−フェロセンジボロン酸等が挙げられる。
前記アルケニルボロン酸として、例えば、ビニルボロン酸、2−ビニルボロン酸等が挙げられる。
これらから1種又は2種以上を選択して使用してもよい。
前記アリールボロン酸として、特に限定されないが、置換又は無置換のアリールの何れでもよい。前記アリール基の炭素数は、好適には6〜18である。
前記アリールボロン酸として、例えば、フェニルボロン酸、メチルフェニルボロン酸、ジメチルフェニルボロン酸、メトキシフェニルボロン酸、ジメトキシフェニルボロン酸、ジプトキシフェニルボロン酸、1−ナフチルボロン酸、キノリルフェニルボロン酸、アセトアミドフェニルボロン酸、アセチルフェニルボロン酸、アミノフェニルボロン酸、ベンジルオキシフェニルボロン酸、シアノフェニルボロン酸、カルボキシフェニルボロン酸、ニトロフェニルボロン酸、ブロモフェニルボロン酸、ジクロロフェニルボロン酸(例えば2,3−ジクロロ、3,5−ジクロロ等)、フルオロフェニルボロン酸、ジフルオロフェニルボロン酸等が挙げられる。
これらから1種又は2種以上を選択して使用してもよい。
前記ヘテロアリールボロン酸として、特に限定されないが、置換又は無置換のヘテロアリールの何れでもよい。前記ヘテロアリール基の炭素数は、好適には4〜18である。
前記ヘテロアリールボロン酸として、例えば、チオフェンボロン酸、ベンゾフランボロン酸、ピロールボロン酸、ピリジンボロン酸、ジベンゾチオフェンボロン酸、フリルボロン酸、ピリミジルボロン酸、キノリンボロン酸、チエノ[3,2−b]チオフェン−2−ボロン酸等が挙げられ、これらは置換基を有していてもよい。
これらから1種又は2種以上を選択して使用してもよい。
本発明の前記(A)の有機ボロン酸化合物のうち、アリールボロン酸、ヘテロアリールボロン酸が好ましく、よりアリールボロン酸が好ましい。
なお、本発明における「置換基を有してもよい」の「置換基」とは、例えば、ハロゲン原子(例えばF、Cl、Br等)、低級アルキル基、低級アルキルオキシ基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、低級シクロアルキル基、アリール基、複素環基、アシル基(例えばアセトアミド基、アセチル基、ホルミル基、ベンゾイル基等)、アミノ基、アリールアルキルオキシ基(例えばベンジルオキシ基等)、シアノ基、カルボキシ基、ニトロ基、オキソ基、アリールオキシ基等が挙げられ、これらから選択される1又は複数個の置換基を有してもよい。
また、本発明における「低級」とは、炭素数1〜8であることが好適である。
本発明において使用する前記(B)水処理用凝集剤は、特に限定されないが、水処理系で使用することが可能な凝集剤であり、好ましくは高分子凝集剤及び/又は無機凝集剤である。
前記高分子凝集剤として、特に限定されないが、例えば、カチオン性高分子凝集剤、両性界面活性剤、ノニオン性高分子凝集剤、アニオン性高分子凝集剤等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。これらは市販品を購入して使用すればよい。
このうち、カチオン性の基を有する凝集剤が好ましく、よりカチオン性高分子凝集剤、両性界面活性剤が好ましく、さらにカチオン性高分子凝集剤が好ましい。
さらに疎水基を有したカチオン性高分子凝集剤が、フェニル基を有する有機ボロン酸化合物を選択した場合、静電気的相互作用に加えて疎水性相互作用も利用することができ、糖類の凝集をより促進させることができるため、好適である。
前記カチオン性高分子凝集剤として、特に限定されないが、例えば、カチオン性アミンポリマーが挙げられる。前記ポリマーの平均分子量は、好ましくは2万〜2000万であり、この平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフィ及び静的光散乱により測定することが可能である。
具体的には、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン及び第4級アンモニウム塩化合物(好適にはカチオン性不飽和第4級アンモニウム塩化合物)から選ばれる1種又は2種以上、並びに、必要に応じてその他モノマー(好適にはエチレン性不飽和モノマー)から得られる単独重合体又は共重合体等が挙げられる。
例えば、第1級アミン系及び/又は第2級アミン系の単独重合体又は共重合体;第3級アミン系の単独重合体又は共重合体;第4級アンモニウム塩化合物系及びそれにその他モノマー(例えば、(メタ)アクリル等の不飽和モノマー等)の単独重合体又は共重合体が挙げられる。
カチオン性アミンポリマーは、同一又は異なる原料モノマー又はそれらの塩類(例えば、塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩、p−トルエンスルホネート、メチルサルフェート、エチルサルフェート等)から得られる単独重合体及び共重合体の何れでもよい。
カチオン性アミノポリマーとして、例えば、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリジビニルピリジン、ポリ(2−ビニル−1−メチルピリジニウム)等の塩基性ビニルポリマー;ポリエチレンイミン;ポリ(メタクリル酸2−ジメチルアミノエチル);ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム)、ポリ(2−メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム)等の第4級アンモニウム塩を使用するポリマー;キトサン、アミノ化セルロース等の塩基性多糖類;ポリリジン、ポリアルギニン等の塩基性アミノ酸の単独重合体及び共重合体等が挙げられる。
このうち第4級アンモニウム塩のポリマーが好適であり、さらにこのうちでカチオン性不飽和第4級アンモニウム塩化合物のポリマーが好適である。
前記カチオン性不飽和第4級アンモニウム塩化合物のポリマーとして、例えば、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム)、ポリ(2−メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム)、ポリ(メタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウム)、ポリ(メタクリロイルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウム)、ポリ(メタクリロイルアミノプロピルジメチルエチルアンモニウム)、ポリ(メタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンンモニウム)、ポリ(メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム)、ポリ(メタクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウム)等が挙げられる。
前記カチオン性不飽和第4級アンモニウム塩化合物のポリマーは、下記式(A)で表されるカチオン性モノマーを使用し、単独重合又は共重合して得られるカチオン性ポリマーが好適である。使用する前記カチオン性モノマーとして、より好ましくは、下記式(1)で表されるモノマー及び/又は下記式(2)で表されるモノマーである。
前記式(A)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、R及びRは炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はベンジル基を表し、これらは同一又は異なってもよい。Yは、−O−又は−NH−を表す。mは1〜3の整数であり、Xはアニオン性対イオンを表す。
前記炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖、分岐鎖又は環状の何れでもよいが、直鎖のアルキル基が好ましい。当該アルキル基として、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
前記アニオン性対イオンとして、例えば、ハロゲンアニオン、モノアルキル硫酸アニオン又は鉱酸に由来するアニオン等が挙げられる。
前記式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、R及びRは炭素数1〜3のアルキル基を表し、Rはベンジル基を表し、これらは同一又は異なってもよい。Yは、−O−又は−NH−を表す。mは1〜3の整数であり、Xはアニオン性対イオンを表す。
式(1)中のアルキル基、アニオン性対イオンは、前記式(A)と同義である。
前記式(2)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、R10、R11及びR12は炭素数1〜3のアルキル基を表し、これらは同一又は異なってもよい。Yは、−O−又は−NH−を表す。mは1〜3の整数であり、Xはアニオン性対イオンを表す。
式(2)中のアルキル基、アニオン性対イオンは、前記式(A)と同義である。
さらに、前記式(A)で表されるモノマーを使用する単独重合体又は共重合体において、疎水基を有したカチオン性ポリマーが好適であり、さらにポリ(メタクリロイルオキシエチル)−N−ベンジル−N,N−ジメチルアンモニウム等のアリール四級アンモニウム若しくはその誘導体が好適である。さらに、前記式(1)で表されるモノマーを使用するポリマーが好適である。これにより、糖類にベンゼン環由来の疎水基が付与されるので、疎水性相互作用による凝集の促進が期待できる。
なお、本発明における「(メタ)アクリル」は、「アクリル」及び「メタクリル」の両方を意味する。
前記無機凝集剤として、例えば、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム等のアルミニウム塩系;硫酸第一鉄、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、鉄一シリカ無機高分子等の鉄塩系(例えば、第一鉄塩、第二鉄塩、ポリシリカ鉄等)が挙げられる。これらから1種又は2種以上を選択して使用してもよい。
このうち、アルカリ領域で凝集性が高い無機塩が好ましく、より好ましくは第一鉄塩(好適には硫酸第一鉄)である。この第一鉄塩の凝集効果の高まるpHはアルカリ領域であり、一方前記(A)有機ボロン酸化合物の多くが酸解離定数7以上であるので、被処理水をアルカリ領域に調整した方が糖類との結合作用が良好となるためである。
本発明の、前記(A)化合物及び前記(B)凝集剤の使用割合(質量部)は、好ましくは(A)0.5〜50:(B)1〜300であり、より好ましくは(A)2.5〜25:(B)20.5〜205である。
また、前記(B)凝集剤が、高分子凝集剤の場合、前記(A)化合物及び(B1)前記高分子凝集剤の使用割合(質量部)は、好ましくは(A)0.5〜50:(B1)0.1〜5であり、より好ましくは(A)2.5〜25:(B1)0.5〜5である。
また、前記(B)凝集剤が、無機凝集剤の場合、前記(A)化合物及び(B2)前記無機凝集剤の使用割合(質量部)は、好ましくは(A)0.5〜50:(B2)1〜250であり、より好ましくは(A)2.5〜25:(B2)20〜200である。
また、前記(B)凝集剤が、高分子凝集剤及び無機凝集剤の場合、前記(A)化合物:(B1)前記高分子凝集剤:(B2)前記無機凝集剤の使用割合(質量部)は、(A)0.1〜20:(B1)0.05〜10:(B2)1〜100であり、より好ましくは(A)1〜10:(B1)0.1〜5:(B2)10〜70である。
本発明において使用する前記(C)アルカリ剤は、特に限定されないが、例えば、塩基性無機塩、塩基性有機塩等が挙げられる。例えば、酸化物(酸化カルシウム等)、塩水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等)、炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム等)等が挙げられる。塩として、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩等が挙げられる。
これにより、使用する有機ボロン酸化合物のpKa以上のpHになるように被処理水を調整することができる。これによって、被処理水中の糖類に、有機ボロン酸化合物のボロン酸基が結合すると共に、ボロン酸基由来の負電荷を付与することができので、被処理水中の糖類の処理がより効率的行うことができる。
これらから1種又は2種以上を選択して使用してもよい。
前記有機ボロン酸化合物は、被処理水中の糖類を前記水処理用凝集剤にて処理するため、当該有機ボロン酸化合物を含有させて有効成分とする糖類処理剤として使用することが可能である。
前記有機ボロン酸化合物は、被処理水中の糖類を前記水処理用凝集剤にて処理するため、使用してもよく、また糖類処理剤の上述のような使用を目的とした各製剤に使用することができ、これら各製剤を製造するための使用することができる。また、前記有機ボロン酸化合物は、前記水処理用凝集剤と併用して被処理水中の糖類の処理を図るための方法に使用することができる。また、前記有機ボロン酸化合物含有の糖類処理剤に、さらに前記アルカリ剤を含有させることが好ましい。
上述した本発明の水処理系の糖類処理剤又は当該糖類処理剤に使用する各成分を、同時期に又は別々の時期に、水処理水系において有効に適用する。これにより、被処理水に含まれる糖類を処理することができる。
本発明によれば、上述した本発明の水処理系の糖類処理剤又は当該糖類処理剤に使用する各成分を、水処理水系に添加し、混合することによって、被処理水中の糖類を凝集させることができるので、これにより糖類を被処理水中から除去することができる。
特に、被処理水中から糖類を除去することによって、RO膜分離処理等の膜分離処理に用いられる膜の劣化を抑制することができ、長期にわたり安定かつ効率的な膜分離処理を行うことができる。このため、本発明は、凝集処理工程として、又は膜分離処理工程の前工程として行うことが好ましい。
本発明の水処理方法は、被処理水に含まれる糖類を凝集処理する方法である。
本発明の被処理水に含まれる糖類は、特に限定されないが、カチオン系凝集剤で除去が困難な糖類が好適であり、アニオン性を持たない又は殆ど持たない中性糖類がより好適である。
本発明の対象となる糖類の種類として、例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ラムノース、リボース、アラビノース、キシロース等又はこれら誘導体の単糖類、並びにこれら糖残基を主体として含んで構成される少糖類及び多糖類が挙げられる。
少糖類及び多糖類において、水溶性、粘稠性、アニオン性を持たない若しくはほとんどない等の性質を有するものが望ましい。
少糖類として、例えば、マルトース、マルチトール等又はこれら誘導体が挙げられる。
多糖類として、例えば、グアガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、アラビノガラクタン、マンナン等又はこれら誘導体が挙げられる。ちなみに、これらは、水溶性及び/又は粘稠性の植物性・微生物性の多糖類である。
糖類は、工場等で生じた廃水に含まれるものでもよく、被処理水中に存在する微生物又は藻類が代謝生産したものでもよく、その由来は特に限定されない。
対象となる糖類含有の被処理水における糖類濃度は、好ましくは0.01〜500mg/Lであり、より好ましくは0.1〜100mg/Lである。
また、対象となる被処理水のpHは、好ましくは4〜12であり、より好ましくは5〜11である。必要に応じて、前記アルカリ剤を添加して、このpH範囲になるように調整することが望ましい。有機ボロン酸化合物のpKa+1のpHがあれば糖類処理効果を発揮しやすいのでこれからpHの下限値を設定すればよく、また無機凝集剤のpH適用範囲からpHの上限値を設定すればよい。
本発明の対象となる糖類を処理する工程又は場所は、水処理水系の何れでもよい。本発明により、糖類を凝集させ除去させることができる。
好ましくは、RO膜、限外ろ過膜、精密ろ過膜RO膜等を用いる膜分離処理の前の工程又は場所がよい。この膜分離処理する前の工程又は場所として、凝集工程又は場所、固液分離の工程又は場所等が挙げられる。
被処理水中に存在する糖類が、膜分離処理のときに使用する分離膜(特にRO膜)に付着すると、透過水量の低下(ファウリング)を引き起こす原因となる。このため、膜分離処理の前に、本発明の糖類処理を行うことが好ましい。
本発明の水処理方法において、分離膜処理の前工程として、固液分離(例えば、沈殿処理、加工浮上処理、膜分離処理、遠心分離処理等)を行うことが好ましい。さらに、このうち、沈殿処理、加工浮上処理、遠心分離処理が好ましく、より沈殿処理が好ましい。なお、これら沈殿処理等は単独で又は2種以上を適宜組み合わせて行うことが可能である。
本発明の水処理方法において、被処理水1Lに対する前記(A)化合物の添加量は、好ましくは0.5〜50mg/Lであり、より好ましくは2.5〜25mg/Lである。
また、本発明の方法において、前記(B)凝集剤の添加量は、好ましくは1〜300mg/Lであり、より好ましくは20.5〜205mg/Lである。
また、本発明の方法において、被処理水1Lに対する前記(B1)高分子凝集剤の添加量は、好ましくは0.1〜5mg/Lであり、より好ましくは0.5〜5mg/Lである。
また、本発明の方法において、被処理水1Lに対する前記(B2)無機凝集剤の添加量は、好ましくは1〜250mg/Lであり、より好ましくは20〜200mg/Lである。
また、本発明の方法において、被処理水1Lに対する前記(A)化合物:前記(B1)前記高分子凝集剤:前記(B2)前記無機凝集剤の使用割合(質量部)は、好ましくは(A)0.1〜20:(B1)0.05〜10:(B2)1〜100であり、より好ましくは(A)1〜10:(B1)0.1〜5:(B2)10〜70である。
ところで、一般的に、ボロン酸基を有する化合物は、以下に示すように、特定のpH以上にてシスジオール基と共有結合することが知られている。環境中のpHに応じてボロン酸基は中性型とアニオン型とをとり、アニオン型がシスジオール基と反応する。このボロン酸基の平衡状態は酸解離定数(pKa)を指標として表される。従って、pKa以上のpHにおいてシスジオール基との反応が進行する。
有機ボロン酸化合物等のボロン酸誘導体は、様々なものが合成されており、pKaも異なることが知られている。例えば、参考文献1には、pkaが4〜10.4までのものが記載されている。
また、参考文献2には、ビニル芳香族化合物を有するホウ酸基含有ポリマーの製造方法が記載されており、参考文献3には、フェニルボロン酸基を有するビニル単量体を含む単量体混合物を共重合させてなる高分子を構成成分とする細胞凝集活性剤が記載されている。
〔参考文献1〕Dennis G.Hall, Boronic Acids:Preparation, Applications in Organic Synthesis and Medicine, Wiley-VCH.
〔参考文献2〕特開昭59−223706号公報
〔参考文献3〕特開平5−124970号公報
しかしながら、水処理水系の水処理(特に用排水処理やRO等の膜処理の前処理)に際して有機ボロン酸化合物を凝集剤として利用できることは全く知られておらず、有機ボロン酸化合物が水処理用凝集剤としてどのように機能するかも全く理解されていなかった。
現に、後記比較例に示すように、ボロン基を有する有機化合物を単独で使用し、被処理水中の糖類を処理しても、糖類の凝集剤成分としては役立たなかった。
また、通常水処理用凝集剤として使用している凝集剤を単独で使用し、被処理水中の糖類を処理しても、糖類の凝集剤としては役立たなかった。
しかしながら、(A)有機ボロン酸化合物と、(B)水処理用凝集剤とを併用することによって、全く意外にも初めて被処理水に存在する糖類を凝集させることができることを見出した。
そして、その結果より、本発明者は、本発明による作用機序を以下のように考えた。
有機ボロン酸化合物にあるアニオン型のボロン基が、被処理水中の糖類が持つシスジオール基に共有結合することで、被処理水中において糖類が負電荷を持つ。そして、被処理水中において、水処理用凝集剤(好適には、カチオン性高分子凝集剤及び/又は無機凝集剤)との静電気的相互作用が生じやすくなる。これにより、本発明に使用する水処理用凝集剤が、被処理水中の糖類と凝集しやすくなり、凝集させることで被処理水中から効率よく糖類を除去等の処理でき、容易に固液分離処理できる。そして後段の膜分離処理で糖類によって生じる弊害も低減することが可能となる。
これに加え、有機ボロン酸化合物のうちでも、疎水性相互作用によるより一層の凝集促進が期待されるので、被処理水中の糖類に疎水性が付与できる有機ボロン酸化合物が望ましい。より具体的には、ボロン酸基を有する化合物のうち、置換又は非置換のフェニルボロン酸をはじめとした前記アリールボロン酸を用いることで、被処理水中に存在する糖類にベンゼン環由来の疎水性が付与されるようになるので、疎水性相互作用によるより一層の凝集促進が期待される。
なお、本発明は、通常の水処理水系又は水処理システム(例えば、工場廃水処理場、下水処理場等)にて行うことが可能である。本発明であれば、糖類が存在又は発生した廃水を処理することができ、有機性廃水及び無機性廃水の何れもよいが、有機性廃水が好適である。有機性廃水系又は有機性廃水システムは、基本的に、原水(被処理水)を固液分離及び生物学的処理して、廃水基準以下にした処理水を系外に放流している。このとき、凝集・沈殿処理手段、吸着処理手段、膜分離・濾過処理手段等の手段が用いられている。
本技術は、以下の構成を採用することも可能である。
〔1〕 有機ボロン酸化合物と、水処理用凝集剤とから構成される水処理系の糖類処理剤。好適には、前記水処理用凝集剤がカチオン性凝集剤である。
〔2〕 前記水処理用凝集剤が高分子凝集剤及び/又は無機凝集剤であり、以下の(1)又は(2)である前記〔1〕記載の糖類処理剤。
(1)有機ボロン酸化合物と、高分子凝集剤及び/又は無機凝集剤とを含む1剤型の糖類処理剤
(2)前記ボロン酸基を有する有機化合物が第1剤であり、前記高分子凝集剤及び/又は無機凝集剤が第2剤又は第3剤である2剤型又は3剤型の糖類処理剤
〔3〕 前記ボロン酸基を有する化合物が、アリールボロン酸、アルキル・アルケニルボロン酸、及びヘテロアリールボロン酸から選ばれる1種又は2種以上である前記〔1〕又は〔2〕記載の糖類処理剤。
好適には、フェニル基を有する有機ボロン酸である。
〔4〕 前記高分子凝集剤が、カチオン性高分子である前記〔2〕又は〔3〕項記載の糖類処理剤。
好適には、カチオン性不飽和第4級アンモニウム塩化合物ポリマーである。
〔5〕 前記無機凝集剤が、第1鉄塩である前記〔2〕〜〔4〕の何れか1項記載の糖類処理剤。
〔6〕 さらに、アルカリ剤を含む前記〔1〕〜〔5〕の何れか1項記載の糖類処理剤。
〔7〕 ボロン酸基を有する有機化合物を含有する、被処理水中の糖類を水処理用凝集剤にて処理するための糖類処理剤。
好適には、前記ボロン酸基を有する化合物が、アリールボロン酸、アルキル・アルケニルボロン酸、及びヘテロアリールボロン酸から選ばれる1種又は2種以上である。
好適には、前記ボロン酸基を有する化合物が、フェニル基を有する有機ボロン酸である。
好適には、前記高分子凝集剤が、カチオン性高分子であり、より好適には、カチオン性不飽和第4級アンモニウム塩化合物ポリマーである。
〔8〕 糖類を含有する被処理水に、ボロン酸基を有する有機化合物と、水処理用凝集剤とを添加し、固液分離を行う、水処理方法。
〔9〕 糖類を含有する被処理水に、前記〔1〕〜〔8〕の何れか1項記載の糖類処理剤を添加し、固液分離を行う、水処理方法。
〔10〕前記ボロン酸基を有する化合物が、アリールボロン酸、アルキル・アルケニルボロン酸及びヘテロアリールボロン酸から選ばれる1種又は2種以上である前記〔8〕又は〔9〕記載の水処理方法。
好適には、フェニル基を有する有機ボロン酸である。
〔11〕 前記水処理凝集剤が、カチオン性高分子である前記〔8〕〜〔10〕の何れか1項記載の水処理方法。
好適には、前記高分子凝集剤が、カチオン性高分子であり、より好適には、カチオン性不飽和第4級アンモニウム塩化合物ポリマーである。
〔12〕 前記被処理水のpHを、前記ボロン酸基を有する有機化合物の酸解離定数(pKa)以上に調整する前記〔8〕〜〔11〕の何れか1項記載の水処理方法。
〔13〕 前記固液分離処理が、沈殿処理、加工浮上処理又は膜分離処理である前記〔8〕〜〔12〕の何れか1項記載の水処理方法。
〔14〕 前記固液分離処理の後段に、逆浸透膜処理を行う前記〔8〕〜〔13〕の何れか1項記載の水処理方法。
〔15〕 被処理水中の糖類を除去するための前記〔8〕〜〔14〕の何れか1項記載の水処理方法。
〔16〕 前記〔8〕〜〔15〕の何れか1項記載の方法を用いる水処理システム。
以下に、具体的な実施例等を説明するが、本発明(本技術)はこれに限定されるものではない。
<実験1:実施例1〜2及び比較例1〜3>
被処理水:50mg/Lグアガム多糖類水溶液を使用した。
試薬:ボロン酸基を有する化合物水溶液:フェニルボロン酸(和光純薬、pKa=8.9)を使用した(10mg/mL水溶液)。
試薬:高分子凝集剤(1a):下記式(1a:具体的にはポリ(2−メタクリロイルオキシエチル)トリメチルアンモニウム塩))で表されるカチオン性モノマーを重合することで得られたカチオン性ポリマーを使用した(1mg/mL水溶液)。
試薬:高分子凝集剤(2a):下記式(2a:具体的にはポリ(2−メタクリロイルオキシエチル)−N−ベンジル−N,N−ジメチルアンモニウム塩)で表されるカチオン性モノマーを重合することで得られたカチオン性ポリマーを使用した(1mg/mL水溶液)。
試薬:アルカリ剤:水酸化ナトリウムを使用した。
前記式(1a)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、R及びRは炭素数1〜3のアルキル基を表し、Rはベンジル基を表し、これらは同一又は異なってもよい。Yは、−O−又は−NH−を表す。mは1〜3の整数であり、Xはハロゲンアニオン、モノアルキル硫酸アニオン又は鉱酸に由来するアニオンを表す。
前記式(2a)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、R10、R11及びR12は炭素数1〜3のアルキル基を表し、これらは同一又は異なってもよい。Yは、−O−又は−NH−を表す。mは1〜3の整数であり、Xはハロゲンアニオン、モノアルキル硫酸アニオン又は鉱酸に由来するアニオンを表す。
〔実施例1〕
25℃の被処理水10mLをサンプル瓶に取り、フェニルボロン酸水溶液0.1mLを添加した後、水酸化ナトリウムを用いてpH10に調整した。その後、高分子凝集剤水溶液を0.2mLを添加し、振盪撹拌を行なった。なお、高分子凝集剤として、高分子凝集剤(1a)を使用した。
〔実施例2〕
実施例1の「高分子凝集剤(1a)」を、「高分子凝集剤(2a)」に代えた以外は、実施例1と同様にした。なお、高分子凝集剤として、高分子凝集剤(2a:具体的にはポリ(2−メタクリロイルオキシエチル)−N−ベンジル−N,N−ジメチルアンモニウム塩)を使用した。
〔比較例1〕
「フェニルボロン酸水溶液0.1mL及び高分子凝集剤(1a)水溶液0.2mLを添加しなかった」以外は、実施例1と同様にした。具体的には、25℃の被処理水10mLをサンプル瓶に取り、水酸化ナトリウムを用いてpH10に調整し、振盪撹拌を行なった。
〔比較例2〕
「高分子凝集剤(1a)水溶液0.2mLを添加しなかった」以外は、実施例1と同様にした。具体的には、25℃の被処理水10mLをサンプル瓶に取り、フェニルボロン酸水溶液0.1mLを添加した後、水酸化ナトリウムを用いてpH10に調整し、振盪撹拌を行なった。
〔比較例3〕
「フェニルボロン酸水溶液0.1mLを添加しなかった」以外は、実施例1と同様にした。具体的には、25℃の被処理水10mLをサンプル瓶に取り、水酸化ナトリウムを用いてpH10に調整した。その後、高分子凝集剤(1a)水溶液0.2mLを添加し、振盪撹拌を行なった。
実験1の結果を図1に示す。有機ボロン酸化合物及び高分子凝集剤を併用した実施例1及び2でのみ凝集物が観察された。一方で、有機ボロン酸化合物を添加しなかった比較例1及び3、高分子凝集剤を添加しなかった比較例2では、凝集物が観察されなかった。
よって、有機ボロン酸化合物及び高分子凝集剤を併用することで、高い粘稠性を有する中性多糖類のグアガムを凝集させることができた。実施例1で生じた凝集物は、実施例2で生じた凝集物よりも大きいことから、カチオン性ポリマーのベンジル基が、有機ボロン酸化合物のフェニル基との疎水性相互作用を有することで、凝集を促進させたものと考えられる。
<実験2:実施例3〜4及び比較例4〜5>
被処理水:RO膜装置ブライン水(生物処理水)
試薬:ボロン酸基を有する化合物水溶液:フェニルボロン酸(和光純薬、pKa=8.9)を使用した(10mg/mL水溶液)。
試薬:高分子凝集剤(1a):下記式(1a)で表されるカチオン性モノマーを重合することで得られたカチオン性ポリマーを使用した(1mg/mL水溶液)。
試薬:無機凝集剤:硫酸第一鉄七水和物を使用した(100mg/mL水溶液)。
試薬:アルカリ剤:水酸化ナトリウムを使用した。
〔実施例3〕
25℃の被処理水500mLをビーカーに取り、フェニルボロン酸水溶液0.5mLを添加した後、水酸化ナトリウムを用いてpH10に調整した。その後、150rpmで5分間撹拌している最中に高分子凝集剤水溶液を1mLを添加し、さらに50rpmで10分間撹拌することで凝集処理を行なった。
凝集処理後の水は、孔径0.45μmの親水性PTFE信じフィルターで濾過し、固液分離を行なった。このろ過水をサイズ排除クロマトグラフィーカラムに通り、分子量1万以上の画分を採取した。分子量マーカーとしてデキストランを使用した。採取した画分を全有機炭素(TOC)計で測定し、TOC値を記録した。有機物の除去率は下記式で算出される。
除去率(%)=(1−凝集処理水TOC値/未凝集処理水TOC値)×100
〔比較例4〕
被処理水に「フェニルボロン酸水溶液を添加する代わりに同量の純水を添加した」以外は、実施例3と同様にして行なった。
〔実施例4〕
実施例3の「高分子凝集剤水溶液1mLを添加し」を、「無機凝集剤0.2mL及び高分子凝集剤水溶液1mLを添加し」に代えた以外は、実施例3と同様にした。
具体的には、25℃の被処理水10mLをサンプル瓶に取り、フェニルボロン酸水溶液0.5mLを添加した後、水酸化ナトリウムを用いてpH10に調整した。その後、150rpmで5分間撹拌している最中に無機凝集剤0.2mL及び高分子凝集剤水溶液1mLを添加し、さらに50rpmで10分間撹拌することで凝集処理を行なった。
〔比較例5〕
被処理水に「フェニルボロン酸水溶液を添加する代わりに同量の純水を添加した」以外は、実施例4と同様にして行なった。
実験2の結果を表2に示す。実施例3及び比較例4より、有機ボロン酸化合物を添加することで、糖類の凝集が3倍促進された。実施例4に示すように、さらに凝集剤として、高分子凝集剤及び無機凝集剤を併用することで、実施例3と比較して2倍以上、さらに糖類の凝集が促進された。また、実施例4が、ボロン酸を添加しなかった比較例5と比較し、糖類の凝集が更に促進され、これはボロン酸の有効性を示す重要な実験結果と言える。
以上の実験結果から、被処理水に含まれる糖類と、有機ボロン酸化合物とカチオン性高分子凝集剤との組み合わせた糖類処理剤とで、静電気相互作用が生じ、糖類が凝集しやすくなった。このとき、被処理水をアルカリにすることによって、凝集しやすくなった。
さらに、フェニルボロン酸をはじめとしたアリールボロン酸誘導体を用いることによって、有機ボロン酸とカチオン性高分子凝集剤との静電気相互作用がより生じるようになり、被処理水中の糖類が凝集しやすくなった。また、無機凝集剤においても、有機ボロン酸化合物によって糖類との静電気相互作用が生じるようになり、凝集しやすくなる。
また、凝集剤としてカチオン性高分子凝集剤と無機凝集剤とを併用することで、さらに糖類が凝集しやすくなった。

Claims (14)

  1. ボロン酸基を有する有機化合物と、水処理用凝集剤とから構成される水処理系の糖類処理剤。
  2. 前記水処理用凝集剤が高分子凝集剤及び/又は無機凝集剤であり、以下の(1)又は(2)である請求項1記載の糖類処理剤。
    (1)前記ボロン酸基を有する有機化合物と、高分子凝集剤及び/又は無機凝集剤とを含む1剤型の糖類処理剤
    (2)前記ボロン酸基を有する有機化合物が第1剤であり、前記高分子凝集剤及び/又は無機凝集剤が第2剤又は第3剤である2剤型又は3剤型の糖類処理剤
  3. 前記ボロン酸基を有する有機化合物が、アリールボロン酸、アルキル・アルケニルボロン酸及びヘテロアリールボロン酸から選ばれる1種又は2種以上である請求項1又は2記載の糖類処理剤。
  4. 前記高分子凝集剤が、カチオン性高分子である請求項2又は3項記載の糖類処理剤。
  5. 前記無機凝集剤が、第1鉄塩である請求項2〜4の何れか1項記載の糖類処理剤。
  6. さらに、アルカリ剤を含む請求項1〜5の何れか1項記載の糖類処理剤。
  7. ボロン酸基を有する有機化合物を含有する、被処理水中の糖類を水処理用凝集剤にて処理するための糖類処理剤。
  8. 糖類を含有する被処理水に、ボロン酸基を有する有機化合物と、水処理用凝集剤とを添加し、固液分離を行う、水処理方法。
  9. 糖類を含有する被処理水に、請求項1〜8の何れか1項記載の糖類処理剤を添加し、固液分離を行う、水処理方法。
  10. 前記水処理凝集剤が、カチオン性高分子である請求項8又は9記載の水処理方法。
  11. 前記被処理水のpHを、前記ボロン酸基を有する有機化合物の酸解離定数(pKa)以上に調整する請求項8〜10の何れか1項記載の水処理方法。
  12. 前記固液分離処理が、沈殿処理、加工浮上処理又は膜分離処理である請求項8〜11の何れか1項記載の水処理方法。
  13. 前記固液分離処理の後段に、逆浸透膜処理を行う請求項8〜12の何れか1項記載の水処理方法。
  14. 被処理水中の糖類を除去するための請求項8〜13の何れか1項記載の水処理方法。
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