JP2015122131A - 回折素子およびそれを備えた光ピックアップ装置 - Google Patents

回折素子およびそれを備えた光ピックアップ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】部品点数を削減できるとともに、支持機構の大型化を抑制可能な回折素子およびそれを備えた光ピックアップ装置を提供する。【解決手段】光ピックアップ装置1は、BD光を4分割センサS1に導くDOE200と、光学系を収容するハウジングHに設けられ、DOE200を支持する支持部300と、支持部300にDOE200を押し付けるバネ部材400と、を備える。DOE200は、一方向に延びた回転軸201と、片面に回折構造203を備えた板部202とが一体成形された構成を備える。支持部300は、回転軸201が回転可能で、且つ、長手方向に移動可能に載置される溝部304a、304bを備える。バネ部材400は、溝部304a、304bに載置された回転軸201の上面を押さえる押さえ部404a、404bを備える。【選択図】図6

Description

本発明は、回折素子およびそれを備えた光ピックアップ装置に関し、特に、複数波長のレーザ光を光ディスクに照射する場合に用いて好適なものである。
従来、複数の記録媒体に対応した互換型の光ピックアップ装置が開発されている。かかる光ピックアップ装置では、異なる波長のレーザ光を用いて情報の読み書きが行われる。この種の光ピックアップ装置で用いられる半導体レーザとして、異なる波長の2つのレーザ光を出射する2波長レーザが知られている(たとえば、特許文献1)。さらに、近年では、異なる波長の3つのレーザ光を出射する3波長レーザが用いられることもある。
このように異なる波長のレーザ光を出射する半導体レーザを用いることにより、部品点数の削減を図ることができる。さらに、異なる波長のレーザ光の光軸を光検出器上において一致させることにより、光検出器のセンサレイアウトを簡素化することができる。ここで、2つのレーザ光の光軸を一致させるための光学素子として、たとえば、回折素子が用いられる(たとえば、特許文献2)。
特開2001−230501号公報 特開2006−99941号公報
上記のように回折素子によって光軸調整を行う場合、レーザ光の光軸に平行な直線方向と、レーザ光の光軸を中心とする回転方向に、回折素子を位置調整する必要がある。このため、光ピックアップ装置には、回折素子を直線方法と回転方向に変位可能とするための機構が必要となる。かかる機構は、一般に、回折素子を保持するホルダと、ホルダを直線方向および回転方向に変位させるための支持機構とを備える。しかしながら、かかる構成では、回折素子の調整のために、部品点数が増大し、且つ、ホルダを含む支持機構が大型化するとの問題が生じる。
本発明は、かかる課題を解消するためになされたものであり、部品点数を削減できるとともに、支持機構の大型化を抑制可能な回折素子およびそれを備えた光ピックアップ装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様は、回折素子に関する。この態様に係る回折素子は、一方向に延びた回転軸と、前記回転軸に垂直な方向に延び片面に回折構造を備えた板部と、が一体成形されている。そして、前記板部の前記回転軸に対する連結位置によって、前記回転軸が長手方向に第1の軸部と第2の軸部に区分される。
本発明の第2の態様は、光ピックアップ装置に関する。この態様に係る光ピックアップ装置は、第1のレーザ光を出射する第1の発光部および前記第1のレーザ光と波長が異なる第2のレーザ光を出射する第2の発光部が同一パッケージ内に設置されたレーザ光源と、ディスクによって反射された前記第1のレーザ光を受光するセンサを備える光検出器と、ディスクによって反射された前記第2のレーザ光の少なくとも一部を前記センサに導く
回折素子と、光学系を収容するハウジングに設けられ、前記回折素子を支持する支持部と、前記支持部に前記回折素子を押し付けるバネ部材と、を備える。ここで、前記回折素子は、一方向に延びた回転軸と、前記回転軸に垂直な方向に延び片面に回折構造を備えた板部と、が一体成形され、前記板部の前記回転軸に対する連結位置によって、前記回転軸が長手方向に第1の軸部と第2の軸部に区分される。また、前記支持部は、前記第1の軸部と前記第2軸部が、それぞれ、前記回転軸を中心に回転可能、且つ、前記回転軸の長手方向に移動可能に載置される第1の溝部と第2の溝部を備える。さらに、前記バネ部材は、前記第1の溝部に載置された前記第1の軸部の上面と、前記第2の溝部に載置された前記第2の軸部の上面をそれぞれ押さえる第1および第2の押さえ部を備える。
本発明によれば、部品点数を削減できるとともに、支持機構の大型化を抑制可能な回折素子およびそれを備えた光ピックアップ装置を提供することができる。
本発明の特徴は、以下に示す実施の形態により更に明らかとなろう。ただし、以下の実施の形態は、あくまでも本発明の一つの実施形態であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以下の実施の形態により何ら制限されるものではない。
実施の形態に係る光ピックアップ装置の光学系を示す図である。 実施の形態に係る受光面上における照射位置を説明する図および受光面上に配される4分割センサを示す図である。 実施の形態に係るDOEが支持部に設置された状態を示す図である。 実施の形態に係るDOEの構成を示す図である。 実施の形態に係る支持部とバネ部材の構成を示す図である。 実施の形態に係るDOEの設置工程を説明する図である。 実施の形態に係るDOEの調整工程を説明する図である。 実施の形態に係るDOEの調整工程を説明する図である。 変更例に係るDOEの構成を示す図である。 変更例に係るDOEに対する接着剤の塗布作業を説明する図である。
本実施の形態は、BD(Blu-ray Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)およびCD(Compact Disc)にレーザ光を照射する光ピックアップ装置に本発明を適用したものである。
図1(a)、(b)は、実施の形態に係る光ピックアップ装置1の光学系を示す図である。図1(a)は光学系を光ピックアップ装置1の表側から(y軸正方向に)見た場合の平面図、図1(b)は対物レンズアクチュエータ122周辺部分を側面側から見た内部透視図、図1(c)は半導体レーザ101における発光部の配置状態を示す図である。なお、図1(a)〜(c)には、それぞれ、互いに直交する3次元座標軸が付記されている。これら座標軸のうち、x軸は、レーザ光源101の出射方向に平行であり、y軸は、対物レンズ108の光軸に平行であり、z軸は、コリメータレンズ105の光軸に平行である。
図1(a)を参照して、光ピックアップ装置1は、半導体レーザ101と、回折格子102と、PBSミラー103と、1/4波長板104と、コリメータレンズ105と、レンズアクチュエータ106と、立ち上げミラー107と、対物レンズ108と、回折光学素子(DOE)200と、非点収差板109と、光検出器110を備える。これら光学系の各部は、光ピックアップ装置1のハウジングH(図3参照)に設置されている。
半導体レーザ101は、波長400nm程度のレーザ光(以下、「BD光」という)と、波長650nm程度のレーザ光(以下、「DVD光」という)と、波長780nm程度のレーザ光(以下、「CD光」という)を同一方向に出射する。
図1(c)に示すように、半導体レーザ101は、一つのパッケージに、BD光、DVD光、CD光をそれぞれ出射する発光部101a、101b、101cを備える。発光部101b、101cは、基板101e上に間隔がw2となるように一体的に形成されている。発光部101aは、基板101eとは異なる基板101d上に、発光部101a、101bの間隔がw1(w1=w2)となるように形成されている。基板101d、101eは、サブマウント101f上に設置されている。発光部101a〜101cは、一直線上に並ぶように形成されている。半導体レーザ101以降の光学系は、その光軸がDVD光の光軸に整合するように調整されている。また、本実施の形態では、w1、w2は何れも90μmに設計されている。
ここで、発光部101aと、発光部101b、101cは、それぞれ、半導体製造プロセスによって、基板101d、101e上に形成される。このため、基板101dにおける発光部101aの位置精度と、基板101eにおける発光部101b、101cの位置精度は、十分に高められたものとなる。しかしながら、発光部が形成された基板101d、101eは、電極、接合層等を介して、サブマウント101f上に接合される。このため、サブマウント101fにおける基板101d、101eの位置精度は低くなる。以上のような理由により、w2には、−1〜+1μm程度の誤差しか含まれないが、w1には、−10〜+10μm程度の誤差が生じてしまう。
回折格子102は、半導体レーザ101から出射されたBD光、DVD光、CD光のうち主としてBD光をメインビームと2つのサブビームに分割する。回折格子102には、BD光の3つのビームがディスクのトラックに沿うよう回折溝が形成されている。なお、DVD光とCD光も回折格子102による回折作用を受けるが、これら光のサブビームの強度は、極めて小さくなっている。回折格子102は、1/2波長板と回折格子の複合素子である。
PBSミラー103は、回折格子102側から入射されたレーザ光を反射する。PBSミラー103は、入射面と出射面が正方形の輪郭を有する薄板状の平行平板となっており、その入射面に、偏光膜が形成されている。回折格子102は、BD光、DVD光、CD光の偏光方向がPBSミラー103に対してS偏光となるように配置されている。
1/4波長板104は、PBSミラー103によって反射されたレーザ光を円偏光に変換するとともに、ディスクからの反射光を、ディスクへ向かうときの偏光方向に直交する直線偏光に変換する。これにより、ディスクによって反射されたレーザ光はPBSミラー103を透過して光検出器110へと導かれる。
コリメータレンズ105は、PBSミラー103によって反射されたレーザ光を平行光に変換する。レンズアクチュエータ106は、1/4波長板104とコリメータレンズ105を、コリメータレンズ105の光軸方向に駆動する。コリメータレンズ105が移動されることにより、レーザ光に生じる収差が補正される。
立ち上げミラー107は、コリメータレンズ105側から入射されたレーザ光を対物レンズ108に向かう方向(y軸負方向)に反射する。対物レンズ108は、ホルダ121に保持され、ホルダ121は、対物レンズアクチュエータ122によって、フォーカス方向(y軸方向)およびトラッキング方向(ディスクのラジアル方向)に駆動される。この
ようにホルダ121が駆動されることにより、対物レンズ108が、フォーカス方向およびトラッキング方向に駆動される。
なお、コリメータレンズ105側から立ち上げミラー107に入射するレーザ光の光軸は、ディスクのタンジェンシャル方向に対して67.5度傾いている。また、立ち上げミラー107からディスクに向かうBD光のメインビームと2つのサブビームの並び方向は、ディスクのタンジェンシャル方向と一致している。
ディスクからの反射光は、1/4波長板104によりPBSミラー103に対してP偏光となる直線偏光に変換される。これにより、ディスクからの反射光は、PBSミラー103を透過する。
DOE200は、BD光、DVD光、CD光を回折させる。DOE200は、BD光に対しては+1次の回折効率が高くなるよう設計されている。すなわち、DOE200は、回折作用により、BD光の進行方向を変化させる波長選択性の回折格子である。BD光の+1次回折光は、DOE200によってDVD光の光軸に近づく方向(x軸正方向)に曲げられる。これにより、BD光のメインビームの光軸は、光検出器110の受光面上において、DVD光の光軸と一致することになる。DVD光、CD光は、一部がDOE200によって回折され、残りはDOE200を透過する。DOE200を透過したDVD光、CD光は、光検出器110上の対応するセンサへと導かれる。
非点収差板109は、平行平板であり、BD光、DVD光、CD光の光軸に対して45度傾くように配置されている。これにより、非点収差板109に収束状態で入射するBD光、DVD光、CD光に対して、非点収差が導入される。なお、PBSミラー103は、平行平板であり、且つ、BD光、DVD光、CD光の光軸に対して傾いて配置されているため、各光には、PBSミラー103によっても非点収差が導入される。非点収差板109は、自身が導入する非点収差とPBSミラー103によって導入される非点収差とによって、各光に適正な非点収差が導入されるよう、厚み、屈折率、傾き方向が調整されている。
光検出器110の受光面は、xy平面に平行であり、かかる受光面上には、BD光、DVD光、CD光が照射される位置に、4分割センサが配置されている。光検出器110の受光面上に配置される4分割センサについては、追って図2(b)を参照して説明する。
図2(a)は、光検出器110の受光面上におけるBD光、DVD光、CD光の照射位置を説明する図である。なお、図2(a)では、DOE200と光検出器110の受光面との間に配される非点収差板109の図示が、便宜上、省略されており、DOE200の入射面と出射面の輪郭は、便宜上、正方形となっている。
BD光、DVD光、CD光は、この順に、x軸正方向に並んだ状態でDOE200に入射する。DOE200に入射するBD光は、回折格子102によってメインビームとサブビームに分割されている。これら3つのビームの並び方向は、ディスクのタンジェンシャル方向に対応する方向となっており、DOE200の回折方向(x軸方向)に垂直な方向に対して僅かに傾いた状態となっている。
DOE200に入射するBD光の3つのビームは、DOE200の回折作用によりx軸正方向に曲げられる。なお、図2(a)では、BD光の+1次以外の回折光と、DVD光とCD光の0次以外の回折光は、便宜上、図示されていない。
DOE200の回折作用により生じるBD光の3つのビームの+1次回折光は、z軸正
方向にx軸正方向の成分が加えられた方向に進む。また、DVD光とCD光の0次回折光はz軸正方向に進む。このように、DOE200の回折作用により、光検出器110の受光面上において、BD光のメインビームの光軸と、DVD光の光軸が一致する。
図2(b)は、光検出器110の受光面上に配される4分割センサS1〜S4を示す図である。なお、図2(b)は、光検出器110を裏面から(z軸負方向に)見た場合の4分割センサS1〜S4を示している。
4分割センサS1は、BD光のメインビームとDVD光を受光し、4分割センサS2、S3は、BD光の2つのサブビームを受光し、4分割センサS4は、CD光を受光する。4分割センサS1〜S3は、これら3つの4分割センサの並び方向が、図2(a)に示すBD光の3つのビームの並び方向に一致するよう傾いて配されている。4分割センサS4は、発光部101a〜101cの並び方向と同じ方向(x軸方向)に、4分割センサS1と隣り合うように配される。
また、4分割センサS1〜S4は、それぞれ、センサS11〜S14と、センサS21〜S24と、センサS31〜S34と、センサS41〜S44からなる。ここで、図2(b)において、4分割センサS1〜S3の並び方向をY軸方向とし、Y軸方向に垂直な方向をX軸方向とすると、X軸方向とY軸方向は、それぞれ、ディスクのラジアル方向とタンジェンシャル方向に対応する方向となる。4分割センサS1〜S4の分割線は、X軸方向とY軸方向に一致するよう構成される。4分割センサS1〜S4を構成する各センサからの出力により、再生RF信号、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号が生成される。
ここで、上述したように、間隔w1には大きな誤差が生じ易い。このため、光ピックアップ装置1の光学系が設計位置に適正に配置されたとしても、光検出器110の受光面上において、BD光の3つのビームの照射位置が、4分割センサS1〜S3の中心からずれてしまう惧れがある。このように、BD光の照射位置がずれると、4分割センサS1〜S3から出力されるBD光の検出信号の精度が低下してしまう。
そこで、本実施の形態では、まず、DVD光とCD光を用いて、光検出器110の位置調整が行われる。この調整では、光検出器110の受光面上において、DVD光の照射位置が4分割センサS1の中心に位置付けられ、且つ、CD光の照射位置が4分割センサS4の中心に位置付けられるよう、xy平面内における光検出器110の位置が調整される。この場合、図1(c)に示した間隔w2のバラつきが小さいため、かかる調整により、DVD光とCD光は、それぞれ、4分割センサS1、S2の中心に位置付けられる。
しかしながら、このようにDVD光とCD光を用いて光検出器110の位置調整が行われても、図1(c)に示した間隔w1のバラつきが大きいため、光検出器110の受光面上におけるBD光のメインビームとサブビームの照射位置は、しばしば、4分割センサS1〜S3から外れてしまう。このため、4分割センサS1〜S3から出力されるBD光の検出信号の精度が低下する。
かかる問題を解消するために、本実施の形態では、上述の調整の後、DOE200のz軸方向の位置を調整することにより、光検出器110の受光面上において、BD光のx軸方向の照射位置を調整する。また、DOE200のxy平面内における回転方向の位置を調整して、DOE200の回折方向を調整することにより、光検出器110の受光面上において、BD光の回転方向の照射位置を調整する。こうして、光検出器110の受光面上において、BD光と、DVD光と、CD光の照射位置が、適正な位置に位置付けられることとなる。
DOE200の位置調整を行う場合、BD光のみを光検出器110に照射させる。このとき、センサS11〜S14の検出信号を、それぞれS11〜S14と表すとする。BD光のメインビームが4分割センサS1に対してX軸正方向にどの程度ずれているかを示す信号PosXと、BD光のメインビームが4分割センサS1に対してY軸正方向にどの程度ずれているかを示す信号PosYは、以下の式(1)、(2)の演算により取得することができる。
PosX={(S11+S12)−(S13+S14)}
/(S11+S12+S13+S14) …(1)
PosY={(S11+S14)−(S12+S13)}
/(S11+S12+S13+S14) …(2)
本実施の形態では、DOE200を、z軸方向とxy平面平行な回転方向に移動させて、信号PosX、PosYが0となるようDOE200の位置を調整する。これにより、BD光の3つのビームの照射位置が、4分割センサS1〜S3上に位置付けられるようになる。
かかる調整を行うため、本実施の形態では、DOE200を、z軸方向とxy平面に平行な回転方向に移動可能に支持する支持機構が設けられている。以下、かかる支持機構について、図3以降を参照して説明する。
図3は、DOE200が支持部300に設置された状態を示す図である。なお、図3には、便宜上、図1(a)、(b)に示す光学系が設置されるハウジングHのうち、DOE200を支持する支持部300の近傍のみが示されている。図1(a)に示す各光学部材は、ハウジングHの裏面側に形成された凹部内に設置される。したがって、図3に示す支持部300は、ハウジングHの裏面側に形成された凹部内に一体的に形成されている。図1(b)に示す対物レンズ108、ホルダ121および対物レンズアクチュエータ122は、ハウジングHの表面側に設置される。したがって、図1(b)に示す立ち上げミラー107と対物レンズ108との間のハウジングHの部分には、BD光、DVD光およびCD光を立ち上げミラー107から対物レンズ108へ通すための開口(図示せず)が設けられている。ハウジングHは、たとえば、PPS(ポリフェニレンスルファイド)により形成される。
図3に示すように、DOE200を支持する支持機構は、ハウジングHに形成された支持部300と、DOE200を支持部300に押し付けるためのバネ部材400からなっている。
図4(a)、(b)は、DOE200の構成を示す図である。図4(a)は、DOE200をZ軸正側から見た斜視図、図4(b)は、DOE200をZ軸負側から見た斜視図である。
図4(a)、(b)を参照して、DOE200は、回転軸201と、回転軸201のz軸方向の中央付近からy軸負方向に延びる板部202とを備える。DOE200は、たとえば、COP(シクロオレフィンポリマー)等の樹脂材料を用いて、射出成型によって一体形成されている。回転軸201は、z軸方向に平行に延びており、板部202の連結位置によって、z軸方向に2つの部分に区分される。
板部202は、z軸方向に所定の厚みを有する。板部202のz軸正側の面には、BD光、DVD光、CD光に対し上述の回折作用を付与するブレーズ型の回折構造203が形
成されている。回折構造203には、所定の回折角でBD光を一方向に回折するよう、所定のピッチで回折パターンが形成されている。回折構造203のピッチ方向は、図4(a)、(b)において、x軸方向である。よって、回折構造203は、BD光、DVD光、CD光をx軸方向に回折する。なお、回折構造203は、ブレーズ型に限らず、ステップ型であっても良い。
また、板部202のz軸負側の面の、回折構造203が形成された領域に対応する領域(光透過領域204)は、他の領域に比べて面精度が高められている。すなわち、射出成形の際に用いられる金型において、光透過領域204に対応する領域が鏡面加工されている。
また、板部202のy軸負側の端部には、その中央に、突部205が、y軸負方向に延びるように形成されている。この突部205は、後述のように、DOE200を位置調整する際に、ジグによって把持される。さらに、板部202には、z軸正側に当接面206aが形成され、また、z軸負側に当接面206bが形成されている。これら、当接面206a、206bは、z軸に垂直な平面である。
回転軸201には、z軸正側の端部とz軸負側の端部に、それぞれ、円形の周面を有する円柱部207a、207bが形成されている。円柱部207a、207bの中心軸は、回転軸201の中心軸に一致している。また、円柱部207a、207bの径は、互いに同じである。さらに、円柱部207a、207bの上面には、それぞれ、傾斜部208a、208bが形成されている。傾斜部208a、208bは、回転軸201のz軸方向の中央に向かうほど径が大きくなる円弧状の周面となっている。また、傾斜部208a、208bは、z軸方向の、当接面206a、206bに対応する位置において、回転軸201の円弧状の天面に繋がっている。円柱部207a、207bの下面には傾斜部208aは形成されておらず、端部と同じ径の円柱面となっている。
傾斜部208a、208bは、射出成形の際に、樹脂が円柱部207a、207bの端部まで行き渡り易くするために形成されている。また、傾斜部208a、208bの上面が円弧状であることにより、後述のように、DOE200の位置調整時にDOE200がz軸方向に移動され、バネ部材400の押さえ部404a(図5(c)参照)が傾斜部208a、208bの上面に乗り上げるような状態となっても、DOE200をスムーズに回転させることができる。なお、円柱部207a、207bのz軸方向の長さは、傾斜部208a、208bのz軸方向の長さよりもやや大きくなっている。
上記構成を有するDOE200が射出成形により一体形成された後、回折構造203の表面と、光透過領域204に、反射防止膜が形成される。
図5(a)、(b)は、支持部300の構成を示す図である。図5(a)は、支持部300をZ軸正側から見た斜視図、図5(b)は、支持部300をZ軸負側から見た斜視図である。
図5(a)、(b)を参照して、支持部300は、直方体形状を有している。支持部300のx軸方向の幅はW1である。支持部300の中央には、DOE200を収容するための開口301が形成されている。また、支持部300の上面302には、x軸方向に並ぶ2つの突部303a、303bが形成されている。突部303a、303bのy軸方向の高さは同じである。突部303a、303bは、それぞれ、傾斜面D1a、D1bを介して、支持部300の側面に繋がっている。
また、支持部300の上面302には、x軸方向の中央位置に、V字状の溝部304a
、304bが形成されている。V字状の溝部304aは、支持部300の上面から45度y軸負方向に傾いた2つの平面を有している。同様に、V字状の溝部304bは、支持部300の上面から45度y軸負方向に傾いた2つの平面を有している。溝部304a、304bの一方の平面は同一平面上にあり、溝部304a、304bの他方の平面は同一平面上にある。溝部304a、304bの底にある稜線は、z軸方向に平行な同一の直線上に含まれる。
さらに、溝部304aの開口301側には、溝部304aへと続く当接面305aが形成され、溝部304bの開口301側にも、溝部304bへと続く当接面305bが形成されている。これら当接面305a、305bは、z軸方向に垂直な平面であり、DOE200の板部202が開口301に収容されたときに、板部202の当接面206a、206bと対向する。したがって、DOE200は、当接面206aが支持部300側の当接面305aに当接するまでz軸正方向に移動可能であり、また、当接面206bが支持部300側の当接面305bに当接するまでz軸負方向に移動可能である。
支持部300の側面には、突部303a、303bの下方の位置に、それぞれ、突状の係止部306a、306bが形成されている。係止部306a、306bのy軸方向の高さは、互いに同じである。また、係止部306a、306bの上部には、支持部300の側面へと続く傾斜面D2a、D2bが形成されている。
支持部300のz軸正側の側面とz軸負側の側面には、それぞれ、開口301へと続く孔307a、307bが形成されている。孔307a、307bは、長方形の2つの角が丸められた同じ形状を有する。z軸方向に見たとき、孔307a、307bは、完全に重なる。
なお、開口301は、ハウジングH(図3参照)の表面側から外部に開放されている。すなわち、支持部300の内部は、側壁によって囲まれた空間であり、この空間は、ハウジングHが切り欠かれた孔308によって、表面側から外部に開放されている。したがって、DOE200の板部202が支持部300の開口301に収容されたとき、板部202のy軸負側の端部に形成された突部205(図4参照)が、孔308を介して、ハウジングHの表面側から外部に露出する。
図5(c)は、バネ部材400の構成を示す斜視図である。
図5(c)に示すように、バネ部材400は、可撓性を有する薄板状の金属部材を折り曲げて形成されている。すなわち、バネ部材400は、y軸負方向に延びる2つの腕部401a、401bを上板部401cで連結した形状を有している。上板部401cは、x−z平面に平行である。腕部401aは、y−z平面に平行な状態からややx軸負方向に傾いており、腕部401bは、y−z平面に平行な状態からややx軸正方向に傾いている。
腕部401a、401bには、x軸方向に互いに向き合う領域に孔402a、402bが形成されている。孔402a、402bは、長方形の角を丸めた輪郭を有し、支持部300側の係止部306a、306b(図5a)、(b)参照)の輪郭よりもやや大きく形成されている。
腕部401a、401bのy軸負側の端部には、それぞれ、鍔部403a、403bが延設されている。鍔部403aは、y−z平面に平行な状態からややx軸正方向に傾いており、鍔部403bは、y−z平面に平行な状態からややx軸負方向に傾いている。したがって、鍔部403a、403b間の距離は、y軸負方向に進むにつれて次第に広がって
いる。鍔部403a、403bの上縁間の距離W2は、図5(a)に示す支持部300のx軸方向の幅W1よりもやや狭い。
上板部401cのx軸方向の中央位置には、z軸正方向およびx軸負方向に延びる押さえ部404a、404bが形成されている。押さえ部404a、404bは、x軸方向に見ると緩やかなV字形状を有している。押さえ部404a、404bの裏側の面の最下点は、それぞれ、上板部401cの裏側の面よりも、所定の距離だけ低くなっている。
さらに、上板部401cの側縁には、y軸方向に延びる2つの突片405a、405bが形成されている。これら突片405a、405bは、バネ部材400を支持部300に装着する際に、ピンセット等のジグによって把持される。
図6は、DOE200を支持部300に装着する工程を説明する斜視図である。
図6を参照して、DOE200の装着時には、板部202が開口301に収容されよう、2つの円柱部207a、207bが、それぞれ、溝部304a、304b上に載置される。さらに、腕部401a、401bが支持部300の中央をx軸方向に挟むようにして、上側(y軸負側)からバネ部材400が支持部300に嵌め込まれる。このとき、鍔部403a、403bが支持部300側の突部303a、303bの傾斜面D1a、D1bに乗り上げ、腕部401a、401bが押し広げられる。さらにバネ部材400がy軸負方向に押し込まれると、鍔部403a、403bが支持部300側の係止部306a、306bの傾斜面D2a、D2b(図5(b)参照)に乗り上げ、腕部401a、401bがさらに押し広げられる。
その後、さらにバネ部材400がy軸負方向に押し込まれると、腕部401a、401bに形成された孔402a、402bが支持部300の係止部306a、306b(図5(b)参照)の位置に位置付けられ、腕部401a、401bの弾性復帰力によって、孔402a、402bが支持部300の係止部306a、306bに嵌まり込む。こうして、バネ部材400が支持部300に装着される。このとき、バネ部材400の押さえ部404a、404bの下面が、DOE200の円柱部207a、207bの上面、または、傾斜部208a、208bの上面に押し付けられ、押さえ部404a、404bがy軸正方向に撓む。これにより、押さえ部404a、404bに弾性復帰力が生じ、この力によって、DOE200が溝部304a、304bに押し付けられる。こうして、図3に示すように、DOE200が支持部300に仮止めされる。
図3の状態では、未だ、DOE200が支持部300に固着されていないため、DOE200は、z軸方向に移動可能であり、且つ、x−y平面に平行な方向に回転可能である。
図7(a)、(b)は、DOE200が支持部300に仮止めされた状態を示す図である。図7(a)は、支持部300をz軸負方向に見たときの側面図、図7(b)は支持部300をy軸負方向に見たときの平面図である。
図7(a)、(b)を参照して、DOE200は、回転軸201が押さえ部404a、404bによって溝部304a、304bに押さえ付けられることにより、支持部300に支持されている。ここで、押さえ部404a、404bには、円形の周面を有する円柱部207a、207bまたは円弧状の周面を有する傾斜部208a、208bが当接し、溝部304a、304bには、円形の周面を有する円柱部207a、207bが当接している。また、円柱部207a、207bの中心軸は一致している。このため、回転軸201は、各面間に働く静止摩擦力以上の力が中心軸周りに付与されると、滑らかに回転する
。また、溝部304a、304bは、z軸方向に直線状に並んでいる。このため、回転軸201は、各面間に働く静止摩擦力以上の力がz軸方向に付与されると、z軸方向に滑らかに移動する。
DOE200の位置調整時には、突部205が、ジグによって把持され、図7(a)のA1方向または図7(b)のB方向(z軸方向)に移動される。図7(a)に示すように、突部205は、孔308(図5(a)参照)を介して、ハウジングHの表面側から外部に突出しており、この突出部分がジグによって把持される。突部205がA1方向に移動されると、これに伴い、回転軸201を軸として、DOE200が回転する。これにより、回折構造203によってBD光に付与される回折作用の方向がx軸方向から傾き、BD光の回折方向が調整される。また、突部205がB方向(z軸方向)に移動されると、これに伴い、回転軸201に沿って、DOE200が移動する。これにより、DOE200によって回折されたBD光の照射位置が、光検出器110の受光面上において、DOE200の回折方向に平行に移動する。
図8(a)、(b)を参照して、DOE200の調整は、DOE200によって回折されたBD光のメインビームが4分割センサS1の中心に位置付けられるよう行われる。すなわち、BD光のメインビームと2つのサブビームが、受光面上において図8(a)に示す状態にあるとき、DOE200が、図7(a)のA1方向または図7(b)のB方向(z軸方向)に移動され、メインビームの位置が調整される。具体的には、上記式(1)、(2)の信号PosX、PosYがゼロになる位置にDOE200が移動される。これにより、図7(b)のように、BD光のメインビームが4分割センサS1の中央に位置付けられ、これに伴い、BD光の2つのサブビームが、それぞれ、4分割センサS2、S3の中央に位置付けられる。
こうして、位置調整が行われた後、DOE200は支持部300に接着固定される。この場合、接着剤は、たとえば、凹部301の内壁面と板部202の側面との間の隙間(図7(a)のPの位置)に塗布される。接着剤の塗布は、ハウジングHの表面側から行われる。
<実施の形態の効果>
本実施の形態によれば、以下の効果が奏され得る。
DOE200は、樹脂成型により一体形成されるため、別途、DOEを保持するホルダを用いる必要がない。よって、部品点数の削減と支持機構の小型化を図ることができる。
DOE200は、回転軸201により吊られるようにして、支持部300に支持されるため、コンパクトな形状でもって、z軸方向におけるDOE200の移動を安定して行うことができる。z軸方向にDOE200を安定的に移動させるためには、DOE200の被支持部をz軸方向に長くする必要がある。この長さを確保するため、たとえば、z軸方向に長い筒状のホルダにDOEを装着する方法が考えられるが、この場合、筒状のホルダ自身が大型化し、結果、支持機構も全体的に大型化する。また、筒状のホルダにDOEを装着する必要があるため、部品点数が増加し、且つ、煩雑な作業が必要となる。これに対し、本実施の形態によれば、回転軸201によって被支持部のz軸方向の長さが確保されるため、DOE200を安定的に移動させることができる。また、回転軸201のみが長い形状であるため、筒状のホルダを設ける場合に比べ、被移動部の形状を小型化することができ、結果、支持機構も全体的に小型化することができる。さらに、DOEをホルダに装着するといった煩雑な作業も不要となる。
DOE200は、V字状の溝部304a、304bに円柱部207a、207bが載置
されることにより支持部300に支持されるため、回転軸201を軸として滑らかに回転する。よって、回転方向におけるDOE200の位置調整を円滑に行うことができる。
また、円柱部207a、207bまたは傾斜部208a、208bが押さえ部404a、404bによって押さえられるため、DOE200を円滑に回転させることができる。また、図5(c)に示すように、押さえ部404a、404bは、x軸方向に見て緩やかなV字形状となっているため、V字の底の部分が円柱部207a、207bまたは傾斜部208a、208bに当接することとなり、円柱部207a、207bおよび傾斜部208a、208bに対する押さえ部404a、404bの接触面積が抑制される。これにより、DOE200に働く静止摩擦力が抑制され、DOE200をさらに円滑に回転させることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も上記以外に種々の変更が可能である。
図9(a)ないし(c)は、変更例に係るDOE200の構成を示す図である。図9(a)は、DOE200をz軸正側から見た斜視図、図9(b)、(c)は、それぞれ、DOE200をz軸正側およびz軸負側から見た側面図である。
本変更例に係るDOE200は、y−z平面について対称な形状を有する。また、板部202のz軸正側の面に、鍔部209a、209bが一体的に形成され、z軸負側の面にも、鍔部210a、210bが一体的に形成されている。DOE200のその他の構成は、上記実施の形態に係るDOE200と同様である。
鍔部209a、209bは、板部202のz軸正側の面の下側の2つの角に沿うように設けられている。鍔部209aの外側面は、板部202の外側面に、段差なく繋がっており、鍔部209bの外側面も、板部202の外側面に、段差なく繋がっている。
同様に、鍔部210a、210bは、板部202のz軸負側の面の下側の2つの角に沿うように設けられている。鍔部210aの外側面は、板部202の外側面に、段差なく繋がっており、鍔部210bの外側面も、板部202の外側面に、段差なく繋がっている。
このように鍔部209a、209b、210a、210bを設けることにより、上記実施の形態に係る図4(a)、(b)のDOE200に比べ、板部202のx軸正側およびx軸負側の側面の下端の幅がz軸方向に広げられる。なお、鍔部209a、209b、210a、210bのz軸方向の高さは、互いに同じである。
本変更例によれば、以下のように、DOE200に対する接着剤の塗布作業を、簡易かつ円滑に行えるとの効果がさらに奏され得る。
図10(a)、(b)は、接着剤の塗布作業を説明する図である。図10(a)は、接着剤が塗布される前の状態を、ハウジングHの表面側から見た斜視図、図10(b)は、接着剤が塗布された後の状態を、ハウジングHの表面側から見た斜視図である。なお、図10(a)、(b)には、ハウジングHのうち、支持部300近傍の領域のみが切りだされた状態で示されている。
図10(a)を参照して、支持部300には、DOE200の側面と対向する位置に、傾斜面309a、309bが形成されている。傾斜面309a、309bは、x−z平面に対して略45度の角度を持つ平面である。傾斜面309aのz軸方向の長さは、鍔部209a、210aを含めたDOE200のz軸方向の長さdよりも、所定長さだけ長くな
っている。同様に、傾斜面309bのz軸方向の長さは、鍔部209b、210bを含めたDOE200のz軸方向の長さdよりも、所定長さだけ長くなっている。傾斜面309a、309bが設けられることにより、傾斜面309a、309とDOE200の側面との間に空間が生じ、この空間に接着剤が溜まり易くなる。これにより、接着剤の塗布作業を円滑に行うことができる。
図10(a)の状態において、上記のように、DOE200の位置調整が行われる。かかる位置調整の際に、DOE200は、図10(a)の破線矢印の方向(z軸方向)に移動される。調整後のDOE200の位置は、全てのDOE200について一律ではなく、DOE200毎に異なる。このため、接着剤を塗布する際、z軸方向のDOE200の位置は、DOE200毎にずれることになる。かかるDOE200の位置ずれは、接着剤の塗布を手作業で行う場合には問題となりにくい。
しかしながら、接着剤の塗布が装置によって自動化されている場合、接着剤の塗布位置は、たとえば、図10(a)の位置Pに固定される。この場合、上記実施の形態のDOE200のように板部202に厚みが比較的薄いと、調整後のDOE200位置によっては、板部200の側面の位置が、接着剤の塗布位置Pからz軸方向にずれる場合が起こり得る。こうなると、接着剤が、板部202の側面と傾斜面309a、309bとの間に適正に架からないこともあり、また、塗布された接着剤が、板部202の側面から回折構造203または光透過領域204(図9(c)参照)に流れ込む惧れもある。
これに対し、本変更例では、上記のように鍔部209a、209b、210a、210bが設けられているため、傾斜面309a、309bに対向する位置において、DOE200の幅が広げられている。すなわち、鍔部209a、209b、210a、210bによって、接着剤の塗布領域が拡張されている。したがって、調整後のDOE200の位置に拘わらず、接着剤の塗布位置PにDOE200の側面(板部200または鍔部209a、209b、210a、210bの外側面)が位置付けられるようになる。このため、接着剤を、DOE200の側面(塗布領域)と傾斜面309a、309bとの間に適正に塗布することができる。また、鍔部209a、209b、210a、210bが障壁となって、塗布された接着剤が、DOE200の側面から回折構造203または光透過領域204(図9(c)参照)に流れ込むことを抑制することができる。
こうして、図10(b)に示すように、接着剤500aが、傾斜面309aとDOE200の側面(板部200または鍔部209a、210aの外側面)との間に塗布され、同様に、接着剤500bが、傾斜面309bとDOE200の側面(板部200または鍔部209b、210bの外側面)との間に塗布される。
このように、本変更例によれば、DOE200に対する接着剤の塗布作業を、簡易かつ円滑に行うことができる。
なお、本変更例では、板部202のz軸正側の面とz軸負側の面の両方に鍔部209a、209b、210a、210bを設けたが、何れか一方の面のみに鍔部を設ける構成も想定され得る。たとえば、接着剤の塗布位置Pが板部202の厚みの中央からz軸正方向にずれている場合、z軸負側の鍔部209b、210bが省略されることもあり得る。また、本変更例では、鍔部209a、209b、210a、210bの高さが互いに同じであったが、鍔部209a、209b、210a、210bの高さは適宜変更され得る。たとえば、接着剤の塗布位置Pが板部202の厚みの中央からz軸正方向にずれている場合、z軸負側の鍔部209b、210bの高さよりも、z軸正側の鍔部209a、210aの高さが高く設定され得る。
すなわち、鍔部は、位置調整によりDOE200が最もz軸正方向またはz軸負方向に変位した位置に位置付けられても、自動化された装置における接着剤の塗布位置に、板部202または鍔部の外側面が位置付けられ、且つ、塗布された接着剤が回折構造203または光透過領域204へ流れ込むことが抑制されるように形成されれば良い。なお、本変更例では、接着剤500a、500bが塗布されたが、接着剤500aのみが塗布される場合には、鍔部209b、210bは省略され得る。接着剤500bのみが塗布される場合も同様である。また、接着剤を適正に塗布できれば、鍔部209a、209b、210a、210bの外側面と板部202の外側面との間に段差があっても良い。
また、本変更例における鍔部209a、209b、210a、210bと同様の機能を実現できれば、鍔部209a、209b、210a、210bに替えて、突部など、他の構造が設けられても良い。すなわち、DOE200における接着剤の塗布領域をz軸方向に広げることができれば、鍔部209a、209b、210a、210b以外の他の構造がDOE200に一体的に形成されていても良い。また、接着剤の塗布位置は、上記変更例に示した位置に限られない。接着剤の塗布位置が変更されるのに応じて、鍔部や他の構造の配置位置も変更される。
また、上記実施の形態では、光検出器110の受光面上において、BD光がDVD光の光軸に一致するようDOE200が構成されたが、BD光がCD光の光軸に一致するようDOE200が構成されても良い。この場合、この変更に伴って、センサレイアウトも変更される。
また、上記実施の形態では、BD光がDVD光の光軸に一致するようDOE200が構成されたが、DVD光またはCD光がBD光の光軸に一致するようDOE200が構成されても良い。この場合も、この変更に伴って、センサレイアウトも変更される。
また、上記実施の形態では、3波長互換型の光ピックアップ装置が例示されたが、2波長互換タイプの光ピックアップ装置に本発明を適用することも可能である。たとえば、DVD光とCD光を対応する光ディスクに照射する2波長互換タイプの光ピックアップ装置に本発明を適用する場合、光検出器の受光面上において、DVD光とCD光の何れか一方を他方の光軸に一致させるよう、DOEが構成される。
さらに、DOE200や支持部300、バネ部材400の構成も、上記実施の形態のものに限らず、適宜変更可能である。たとえば、上記実施の形態では、溝部304a、304bの傾斜面が平面であったが、これら傾斜面が膨らんだ曲面またはやや凹んだ曲面であっても良い。また、円柱部207a、207bや傾斜部208a、208bのz軸方向の長さや、押さえ部404a、404bの押さえ位置も、適宜、変更可能である。さらには、円柱部207a、207bは同軸であれば径は異なっていても良い。円柱部207a、207bの径が異なる場合、回転軸201がz軸に平行となる状態でDOE200が支持されるよう、溝部304a、304bのy軸方向の高さが調整される。
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
1 … 光ピックアップ装置
101 … 半導体レーザ(レーザ光源)
101a … 発光部(第2の発光部)
101b … 発光部(第1の発光部)
110 … 光検出器
200 … DOE(回折素子)
201 … 回転軸
202 … 板部
203 … 回折構造
204 … 光透過領域
205 … 突部
207a、207b … 円柱部(第1、第2の軸部、第1、第2の円柱部)
208a、208b … 傾斜部(第1、第2の軸部)
300 … 支持部
304a、304b … 溝部(第1、第2の溝部)
308 … 孔(開口)
400 … バネ部材
404a、404b … 押さえ部(第1、第2の押さえ部)
S1 … 4分割センサ(センサ)
209a、209b、210a、210b … 鍔部(隆起部、鍔部)
309a、309b … 傾斜面

Claims (15)

  1. 一方向に延びた回転軸と、
    前記回転軸に垂直な方向に延び片面に回折構造を備えた板部と、が一体成形され、
    前記板部の前記回転軸に対する連結位置によって、前記回転軸が長手方向に第1の軸部と第2の軸部に区分される、
    ことを特徴とする回折素子。
  2. 請求項1に記載の回折素子において、
    前記回折素子は、樹脂材料からなっている、
    ことを特徴とする回折素子。
  3. 請求項1または2に記載の回折素子において、
    前記第1の軸部と前記第2の軸部には、それぞれ、円形の周面を有する第1の円柱部と第2の円柱部が形成されている、
    ことを特徴とする回折素子。
  4. 請求項1ないし3の何れか一項に記載の回折素子において、
    前記板部は、前記回転軸から一方向に延びるように、前記回転軸に延設され、
    前記板部の、前記回転軸から離れる離間方向の端部に、当該離間方向に突出した突部が形成されている、
    ことを特徴とする回折素子。
  5. 請求項1ないし4の何れか一項に記載の回折素子において、
    前記板部の、前記回折構造が形成された面と反対側の面の光透過領域が、当該光透過領域の周囲の領域よりも、面精度が高められている、
    ことを特徴とする回折素子。
  6. 請求項1ないし5の何れか一項に記載の回折素子において、
    前記板部の接着剤が塗布される塗布領域を前記回転軸に平行な方向に拡張する構造が、前記板部に一体的に形成されている、
    ことを特徴とする回折素子。
  7. 請求項6に記載の回折素子において、
    前記回転軸に交差する前記板部の2つの面の少なくとも一方に、前記塗布領域を前記回転軸に平行な方向に拡張するための隆起部が一体的に形成されている、
    ことを特徴とする回折素子。
  8. 請求項7に記載の回折素子において、
    前記隆起部は、前記板部の側面に沿うように形成された鍔部である、
    ことを特徴とする回折素子。
  9. 第1のレーザ光を出射する第1の発光部および前記第1のレーザ光と波長が異なる第2のレーザ光を出射する第2の発光部が同一パッケージ内に設置されたレーザ光源と、
    ディスクによって反射された前記第1のレーザ光を受光するセンサを備える光検出器と、
    ディスクによって反射された前記第2のレーザ光の少なくとも一部を前記センサに導く回折素子と、
    光学系を収容するハウジングに設けられ、前記回折素子を支持する支持部と、
    前記支持部に前記回折素子を押し付けるバネ部材と、を備え、
    前記回折素子は、一方向に延びた回転軸と、前記回転軸に垂直な方向に延び片面に回折構造を備えた板部と、が一体成形され、前記板部の前記回転軸に対する連結位置によって、前記回転軸が長手方向に第1の軸部と第2の軸部に区分され、
    前記支持部は、前記第1の軸部と前記第2軸部が、それぞれ、前記回転軸を中心に回転可能、且つ、前記回転軸の長手方向に移動可能に載置される第1の溝部と第2の溝部を備え、
    前記バネ部材は、前記第1の溝部に載置された前記第1の軸部の上面と、前記第2の溝部に載置された前記第2の軸部の上面をそれぞれ押さえる第1および第2の押さえ部を備える、
    ことを特徴とする光ピックアップ装置。
  10. 請求項9に記載の光ピックアップにおいて、
    前記第1の軸部と前記第2の軸部には、それぞれ、円形の周面を有する第1の円柱部と第2の円柱部が形成され、
    前記第1の溝部と前記第2の溝部には、それぞれ、前記第1の円柱部と前記第2の円柱部が載置される、
    ことを特徴とする光ピックアップ装置。
  11. 請求項9または10に記載の光ピックアップ装置において、
    前記板部は、前記回転軸から一方向に延びるように、前記回転軸に延設され、
    前記板部の、前記回転軸から離れる離間方向の端部に、当該離間方向に突出した突部が形成され、
    前記支持部は、前記第1および第2の溝部の間に、前記板部を収容し、且つ、上部か開口した収容部を備え、前記開口部の底に、前記突部を外部に露出させる開口が形成されている、
    ことを特徴とする光ピックアップ装置。
  12. 請求項9ないし11の何れか一項に記載の光ピックアップ装置において、
    前記板部の接着剤が塗布される塗布領域を前記回転軸に平行な方向に拡張する構造が、前記板部に一体的に形成され、
    前記塗布領域と前記支持部との間に接着剤が塗布される、
    ことを特徴とする光ピックアップ装置。
  13. 請求項12に記載の光ピックアップ装置において、
    前記回転軸に交差する前記板部の2つの面の少なくとも一方に、前記塗布領域を前記回転軸に平行な方向に拡張するための隆起部が一体的に形成されている、
    ことを特徴とする光ピックアップ装置。
  14. 請求項13に記載の光ピックアップ装置において、
    前記隆起部は、前記板部の側面に沿うように形成された鍔部である、
    ことを特徴とする光ピックアップ装置。
  15. 請求項12ないし14の何れか一項に記載の光ピックアップ装置において、
    前記支持部の前記塗布領域に対向する位置に傾斜面が設けられ、当該傾斜面と前記塗布領域との間に接着剤が塗布される、
    ことを特徴とする光ピックアップ装置。
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