1つ以上の特定の実施形態について以下に説明する。これらの例示的な実施形態を簡潔に説明するために、実際の実現例の全ての特徴が明細書において説明されてはいない。そのようないかなる実際の実現例の開発時にも、どのようなエンジニアリング又は設計プロジェクトとも同様に、実現例毎に異なるシステム関連又はビジネス関連の制約に準拠すること等の開発者の特定の目的を達成するために実現例固有の多くの決定がされる必要があることが理解されるべきである。更にそのような開発努力は、複雑であり且つ時間がかかるが、本発明の利益を有する当業者には設計、組立及び製造の日常的な業務であることが理解されるべきである。
次に、図面を参照すると、図1は、電子デバイス10を示す。電子デバイス10は、例えばメディアプレーヤ、携帯電話及びパーソナルデータオーガナイザ等の1つ以上のポータブルデバイスの機能性を内蔵するハンドヘルドデバイスであってもよい。当然、電子デバイス10により提供された機能性に依存して、ユーザは、デバイス10と共に自由に移動しつつ、音楽を聴いたり、ゲームをしたり、ビデオを録画したり、写真を撮影したり、電話をかけたりすることができる。更に電子デバイス10により、ユーザは、インターネット、あるいはローカルエリアネットワーク又はワイドエリアネットワーク等の他のネットワークに接続し、それを介して通信を行うことができる。例えば電子デバイス10により、ユーザは、電子メール、テキストメッセージング、インスタントメッセージング、又は他の形態の電子通信、を使用して通信することができる。更に電子デバイス10は、Bluetooth及び近距離無線通信等の狭域接続を使用して他のデバイスと通信することができる。例として、電子デバイス10は、Cupertino,CaliforniaのApple Inc.から市販されているiPhone(登録商標)とすることができる。
本実施形態において、デバイス10は、物理的損傷から内側の構成要素を保護し且つ電磁妨害からそれらを保護するケース12を含む。ケース12は、プラスチック、金属又は複合材料等のあらゆる適切な材料から形成され、無線通信をしやすくするためにある特定の周波数の電磁放射をデバイス10内の無線通信回路まで通過させるようにしてもよい。
ケース12により、ユーザがデバイスとインタフェースできるユーザ入力構造14、16、18、20及び22にアクセスできる。ユーザ入力構造14、16、18、20及び22の各々は、起動された場合にデバイス機能を制御するように構成されている。例えば入力構造14は、押下された場合にデバイス上に「ホーム」画面又はメニューを表示させるボタンを含む。また、入力構造16は、スリープモードと起動モードとの間でデバイス10を切り替えるボタンを含む。入力構造18は、携帯電話アプリケーションの呼び出し音を無音にする2位置スライダを含む。入力構造20及び22は、デバイス10の音量出力を上下させるボタンを含む。一般に、電子デバイス10には、ボタン、スイッチ、制御パッド、キー、ノブ、スクロールホイール又は他の適切な形態を含む種々の形態の、既存のあらゆるユーザ入力構造を適用できる。
デバイス10は、デバイスにより生成された種々の画像を表示するディスプレイ24を更に含む。例えばディスプレイ24は、特に写真、映画、アルバムアート並びに/あるいはテキスト文書、スプレッドシート、テキストメッセージ及び電子メール等のデータを表示することができる。ディスプレイ24は、電力状態、信号強度、通話状態及び外部デバイス接続等のフィードバックをユーザに提供するシステム標識26を更に表示する。ディスプレイ24には、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ又は他の適切なディスプレイ等のあらゆる種類のディスプレイを用いることができる。更にディスプレイ24は、タッチスクリーン等のタッチセンシティブ要素を含んでもよい。
ディスプレイ24は、ユーザがデバイスと対話できるようにするグラフィカルユーザインタフェース(GUI)28を表示するために使用される。GUI28は、ディスプレイ24の全て又は一部で表示され得る種々のレイヤ、ウィンドウ、画面、テンプレート、要素又は他の構成要素を含み得る。一般に、GUI28は、デバイス10のアプリケーション及び機能を示すグラフィカル要素を含む。グラフィカル要素は、アイコンや、ボタン、スライダ、メニューバー等を示す他の画像を含んでもよい。ある特定の実施形態において、ユーザ入力構造14は、GUI28のホーム画面を表示するために使用される。例えば、入力構造14の起動に応答して、デバイスは、本明細書でアイコン30として示されたGUI28のグラフィカル要素を表示する。また、アイコン30は、デバイス10の種々のアプリケーションに対応しており、アイコン30を選択すると対応するアプリケーションが開く。また、アイコン30は、ディスプレイ24に含まれたタッチスクリーンを介して選択されてもよいし、ホイール又はボタン等のユーザ入力構造により選択されてもよい。
アイコン30は、ユーザの選択によりディスプレイ24の領域の一部又は全てで表示される種々のレイヤ、ウィンドウ、画面、テンプレート、要素又は他の構成要素を表し得る。また、アイコン30を選択することにより、1つ以上の更なるアイコン又は他のGUI要素を含む画面が得られるように、階層ナビゲーション処理に進むようにしてもよい。テキスト標識32は、ユーザが各アイコン30を解釈しやすいように、アイコン30上に又はアイコン30に近接して表示される。なお、GUI30は、階層構造及び/又は非階層構造で配置された種々の構成要素を含んでもよいことが理解されるべきである。
デバイス10は、アイコン30が選択されると、そのアイコンと関連付けられたアプリケーションを開き、対応する画面を表示するように構成される。例えば、天気アイコン30が選択されると、デバイス10は、現在の天候状態をユーザに提供するユーザインタフェースで天気アプリケーションを開くように構成されている。実際には、アイコン30毎に、種々のGUI要素を含み得る対応するアプリケーションがディスプレイ24上で開かれ、表示される。
電子デバイス10は、デバイス10が外部デバイスに接続できるようにする種々の入出力(I/O)ポート34、36及び38を更に含む。例えばI/Oポート34は、メディアファイル等のデータファイルを送受信する接続ポートとすることができる。更にI/Oポート34は、Apple Inc.の自社開発のポートとすることができる。I/Oポート36は、加入者識別モジュール(SIM)カードを受け入れる接続スロットである。I/Oポート38は、オーディオヘッドホンを接続するヘッドホンジャックである。他の実施形態において、デバイス10は、電源、プリンタ及びコンピュータを含む種々の外部デバイス(上記に限定されない)に接続するように構成されたあらゆるI/Oポートを含むことができる。また、他の実施形態において、多数のポートがデバイスに含まれてもよい。更にポートには、USB(Universal Serial Bus)ポート、シリアル接続ポート、FireWireポート、IEEE−1394ポート又はAC/DC電源接続ポート等のあらゆる種類のインタフェースを用いることができる。
電子デバイス10は、種々のオーディオ入力構造40及びオーディオ出力構造42を更に含む。例えばオーディオ入力構造40は、ユーザから音声データを受信する1つ以上のマイクを含み得る。オーディオ出力構造42は、セルラネットワークを介してデバイス10により受信されたデータ等のオーディオデータを出力する1つ以上のスピーカを含み得る。オーディオ入力構造40及びオーディオ出力構造42は、電話機能性を提供するように共に動作し得る。また、いくつかの実施形態において、オーディオ入力構造40は、デバイス10上に格納されたオーディオデータに対するオーディオ出力構造として動作する1つ以上の一体型スピーカを含む。例えば一体型スピーカは、デバイス10上に格納された音楽を再生するために使用され得る。一実施形態に従ってデバイス10の種々の構成要素及び特徴を示すブロック図である図2を参照することにより、例示的なデバイス10の更なる詳細がより適切に理解されるだろう。
図2は、各種動作のために電子デバイス10により利用され得る構成要素を示すブロック図である。図示されている実施形態において、デバイス10は、図1を参照して説明されたディスプレイ24等の要素を含む。また、以下に更に詳細に説明されるように、電子デバイス10は、中央処理装置(CPU)44と、電源46と、通信インタフェース48と、内部構成要素50と、長期記憶装置52と、短期記憶装置54と、信号調整回路56と、ビデオコントローラ58とを含む。
上述したように、電子デバイス10はCPU44を含む。CPU44は、単一のプロセッサ又は複数のプロセッサを含む。例えばCPU44は、1つ以上の「汎用」マイクロプロセッサ、汎用マイクロプロセッサと専用マイクロプロセッサとの組合せ及び/又はASICS、並びに1つ以上の縮小命令セット(RISC)プロセッサ、グラフィックスプロセッサ、ビデオプロセッサ及び/又は関連チップセットを更に含む。CPU44は、オペレーティングシステム、プログラム、GUI28、及びデバイス10のその他のあらゆる機能を実行するための処理機能を提供する。
電子デバイス10は電源46を更に含んでいる。電源46は、例えばユーザにより取り外し可能であるか又はケース12に固定され、充電式とすることができるリチウムイオンバッテリ等の1つ以上のバッテリを介して電子デバイス10に電力を供給するために使用される。更に電源46は、電源46がコンセント又は自動車のシガレットライタ機構等の外部のAC電源又はDC電源から受電できるようにするI/Oポートに接続可能としてもよい。
電子デバイス10は通信インタフェース48を更に含む。通信インタフェース48は、デバイス10と例えば外部ネットワークとの間で情報を送受信する1つ以上の接続チャネルを含む。例えばデバイス10は、メディアファイル等のデータファイルを送受信するために通信インタフェースを介してパーソナルコンピュータに接続する。通信インタフェース48は、例えば1つ以上のネットワークインタフェースカード(NIC)及び/又はネットワークコントローラ、並びに関連付けられた通信プロトコルを表している。通信インタフェース48は、例えば有線イーサネットネットワーク又はIEEE802.11x無線ネットワーク等の無線ローカルエリアネットワーク(LAN)に接続するためのLANインタフェース、例えばGSM進化型高速データレート(EDGE)ネットワーク又は3Gネットワーク等のセルラデータネットワークに接続するためのワイドエリアネットワーク(WAN)インタフェース、並びに/あるいは、例えばBluetooth(登録商標)ネットワークに接続するためのパーソナルエリアネットワーク(PAN)インタフェースを含む。また、通信インタフェース48は、がそれらに限定されないいくつかの種類のインタフェースを更に含んでもよい。これらのインタフェースを使用することにより、デバイス10は、例えば発呼及び着呼、インターネットへのアクセス、並びに/又はリアルタイムのテキストメッセージの送受信ができる。
電子デバイス10は内部構成要素50を更に含む。内部構成要素50は、電子デバイス10の専用機能を実行するサブ回路を含む。これらの内部構成要素50は、電話回路、カメラ回路、ビデオ回路及びオーディオ回路を含む。電話回路により、ユーザは、オーディオ入力構造40及びオーディオ出力構造42とユーザとの連携を介して着呼又は発呼を行うことができる。カメラ回路により、ユーザはデジタル写真を撮ることができる。また、ビデオ回路及びオーディオ回路は、それぞれ、圧縮された音楽ファイル等のオーディオファイルを再生するばかりでなく、カメラ回路と組み合わせてユーザにより取得されたビデオサンプル、或いはインターネット等の外部ソースからダウンロードされたビデオサンプルを符号化及び復号化するために使用される。
電子デバイス10は長期記憶装置52を更に含む。電子デバイス10の長期記憶装置52は、CPU44の動作のために利用されるデータ、並びに通信インタフェース48及び/又は内部構成要素50等のデバイス10の他の構成要素の動作のために利用されるデータを格納するために使用される。例えば長期記憶装置52は、オペレーティングシステム等のCPU44により使用可能な電子デバイス10に対するファームウェアの他、電子デバイス10の種々の機能、ユーザインタフェース機能及び/又はプロセッサ機能を使用可能にするプログラム等を格納する。更に長期記憶装置52は、メディア(例えば、音楽ファイル及びビデオファイル)、画像データ、ソフトウェア、ユーザ設定情報(例えば、メディア再生ユーザ設定)、無線接続情報(例えば、デバイス10が電話接続等の無線接続を確立できるようにする情報)、加入情報(例えば、ユーザが購入するポッドキャスト、テレビ番組又は他のメディアの記録を保持する情報)、電話情報(例えば、電話番号)、並びに他のあらゆる適切なデータ等のデータファイルを格納する。長期記憶装置52には、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ハードドライブ、あるいは他のあらゆる適切な光学記憶媒体、磁気記憶媒体又は固体記憶媒体及びそれらの組合せ等の不揮発性メモリを用いることができる。
長期記憶装置52に加え、デバイス10は短期記憶装置54を含む。短期記憶装置54は、ランダムアクセスメモリ(RAN)等の揮発性メモリを含み、種々の情報を格納するために使用される。例えばCPU44は、デバイス10の動作中にデータをバッファリングするか又はキャッシュするために短期記憶装置54を使用することができる。更に短期記憶装置54は、ディスプレイ24上に表示される画像データを格納するために使用される。この画像データは、例えば電子デバイス10のCPU44及び/又は信号調整回路56により取得される。
上述したように、電子デバイス10の信号調整回路56は、短期記憶装置54から画像データを取得するために利用され得る。この画像データは、ディスプレイ24上に画像を生成するために使用される電圧に変換するための、ビデオコントローラ58に送出される画素強度レベルを含む。信号調整回路56は、画像データの1つ以上の画素強度レベルが、ディスプレイ24が単一のフレーム期間内で実現できる機能を上回る電圧に対応しているかを判定する。画素強度レベルのうちのいずれかがディスプレイ24により実現不可能な電圧レベルに対応する場合、信号調整回路は、ビデオコントローラ58に送信される画素強度レベルをより高いレベルに調整する。ディスプレイ24は調整された画素レベルには到達できないが、元の画素強度レベル或いはほぼ元の画素強度レベルには到達することができる。
上述の処理を実行する際に利用される信号調整回路56は、ビデオコントローラ58に送出される画像データを調整するように構成された特定用途向け集積回路(ASIC)又は他のあらゆる回路とすることができる。また、上述の処理が画像データを能動的に取得する信号調整回路56を含むのでCPU44は自由に種々の他のタスクを実行することができる。ただし、別の実施形態において、信号調整回路56はCPU44から直接画像データを受信するものであってもよい。また、ビデオカード等の画像データを処理できる他のあらゆるデバイスは、画像データを信号調整回路56に直接送信するようにしてもよいし、あるいは短期記憶装置54に送信するようにしてもよい。更に、あらゆる画素強度レベルに調整できるように画像データを信号調整回路56に送信する前に、画像データを処理できるデバイス、並びに通信インタフェース48、内部構成要素50のうちの1つ以上、及び/又は長期記憶装置52からCPU44が画像データを代わりに取得するようにしてもよい。
また、上述したように、電子デバイス10は、電子デバイス10のディスプレイ24上に画像を生成するように動作するビデオコントローラ58を含む。ビデオコントローラ58は、信号調整回路56から画素強度レベルを受信するデバイスであり、これらの画素強度レベルに対応する電圧信号をディスプレイ24に送信する。画素強度レベルは、例えばディスプレイ24上に示される各画素強度に対応する数値レベルである。従って、ディスプレイ24は、入力信号としてビデオコントローラ58から電圧信号を受信し、受信した電圧信号に対応する画像を生成する。例えば、ディスプレイ24は、基板上あるいは基板内に電極が備わっている2つの基板の間に配置された液晶物質を使用する液晶ディスプレイ(LCD)である。ビデオコントローラ58からの電圧信号が電極に印加されることによって、液晶上にわたって電界が発生する。液晶は、電界に応答して配向変化するため、液晶物質を介して伝達され、特定の画素において観察される光の量を変動させる。このよう方法で、また、着色されたサブ画素を作成するための種々の色フィルタの使用により、カラー画像は、画素化されたLCDの個々の画像にわたって表示される。
動作中、信号調整回路56は、図3のフローチャートにより示されるように、ディスプレイ24をオーバドライブする方法60を実行する。方法60は、ディスプレイ24が画像を生成又はリフレッシュする定期的な間隔である単一のフレーム内で発生する。例えば、ディスプレイ24が60Hzで画像を生成するように設定される場合、各フレームは1/60秒毎に発生する。しかし、本発明の方法はこの速度に設定された表示に限定されず、画像を表示するのに適した他のあらゆる速度が更に考慮される。
方法60は、目標ピクチャフレームが格納された場合にステップ62において開始する。目標ピクチャフレームは、表示されるピクチャ画像又はビデオ画像に対応する画素レベル等の画像データを含む。記憶装置には、長期記憶装置52又は短期記憶装置54等の画像データを格納できるあらゆるデバイスを用いることができる。一実施形態において、目標ピクチャフレームは、電子デバイス10におけるビデオ回路等の内部構成要素50のうちの1つ以上により生成され、ディスプレイ24上にその目標ピクチャフレームを表示する前に短期記憶装置54等の記憶装置に送信される。
ステップ64において、目標ピクチャフレームは信号調整回路56に送信される。一実施形態において、ビデオ処理デバイスは、目標ピクチャフレームを取得し、目標ピクチャフレームを信号調整回路56に送信するために利用される。例えばビデオ処理デバイスは、CPU44であってもよく、あるいはビデオプロセッサ又はDMAコントローラ等の画像又はビデオデータを処理できる他のあらゆるデバイスであってもよい。別の実施形態において、ビデオ処理デバイスにより実行される機能が、信号調整回路56によって代わりに完全に実行されてもよい。例えば信号調整回路56は、短期記憶装置54又は目標ピクチャフレームを生成及び/又は格納できる他のあらゆるデバイスから目標ピクチャフレームを能動的に取得するように構成されてもよい。更に別の実施形態において、ビデオ処理デバイスは信号調整回路56を認識しなくてもよい。この場合、例えばビデオ処理デバイスは、パスに沿って目標ピクチャフレームをビデオコントローラ58に送信する。この送信中に、信号調整回路56は、目標ピクチャを阻止し、その目標ピクチャフレームをビデオコントローラ58に転送する前に必要に応じて変形する。
ステップ66において、信号調整回路56は、目標ピクチャフレームにおいて各画素強度レベルを調査し、あらゆる画素強度レベルについて調整が必要かどうかを判定する。例えば、ディスプレイ24が1つのフレーム内で目標ピクチャフレームの現在の画素強度レベルから目標画素強度レベルに正常に遷移できない場合、調整することが必要になる。例えば、ディスプレイ24における画素は25msで黒色から白色に遷移できるが、その画素において一方の階調から他方の階調への遷移が完了するには数百ミリ秒かかる場合がある。従って、ディスプレイ24は60Hzでリフレッシュされるが、例えば一方の階調から他方の階調への遷移は25〜30Hzでのみ達成されるため、ディスプレイ24上の画像を汚すことになる。従って、信号調整回路56は各画素をオーバドライブし、それにより、一方の画素強度レベルから他方の画素強度レベルにより迅速に遷移できるようにする。画素をオーバドライブすることは、規定された時間、すなわち1つのフレームの期間内において目標画素強度レベル又はそれに近接する実際の画素強度レベルを実現するために、画素が目標画素強度レベルを越えて駆動される処理である。従って、オーバドライブされた画素は規定された時間でオーバドライブされた画素強度レベルには到達できないであろうが、画素がオーバドライブされて到達した実際の画素強度レベルは元の目標画素強度レベルと等しくなり得る。このように、オーバドライビング技術を介して、信号調整回路56は、受信したピクチャフレームにおいて規定された元の目標画素強度レベルを実現する。従って、信号調整回路56は、1つのフレーム等の所定の時間制約内で実際の画素強度レベルを実現するために、特定の画素をいつ、どれくらいオーバドライブすべきかを判定する。また、画素をいつ、どれくらいオーバドライブすべきかは、調整された画素レベルを提供するルックアップテーブルを使用して決定されてもよいし、あるいは他のあらゆる適切なアルゴリズム又は方法を取り入れることにより決定されてもよい。
ステップ68において、信号調整回路56は、調整されたピクチャフレーム及び達成可能なピクチャフレームを生成する。調整されたピクチャフレームは、ディスプレイ24において画素をオーバドライブするためにビデオコントローラ58に送信される調整された画素レベルを含む。しかし、ディスプレイ24の画素をオーバドライブする場合、画素は設定時間内で目標ピクチャフレームを実現できない場合がある。例えば、ある画素位置では、目標画素強度レベルに到達する前に2つ以上のフレームに対してオーバドライブされる。信号調整回路は、調整されたピクチャフレームを適用した後の1つのフレームにおいてディスプレイ24により実際に生成される達成可能な画素強度レベルを把握している。従って、ディスプレイ24により達成可能なピクチャフレームは、信号調整回路56により判定される。そのようなシナリオにおいて、目標ピクチャフレーム、調整されたピクチャ及び達成可能なピクチャは、種々の画素レベルを含む種々のピクチャフレームである。
しかし、目標ピクチャフレームと、調整されたピクチャフレームと、達成可能なピクチャフレームとの間で、これらのピクチャフレームのうちのいくつか又は全てが同等となる、ある特定の場合がある。例えば、フレーム間で画像が不変である場合、調整の必要はなく且つ上述のピクチャフレームは全て同等となるであろう。ディスプレイ24が1つのフレーム内で目標ピクチャフレームに正常に遷移できる場合も同様である。更に例として、ディスプレイ24が調整されたピクチャフレームを適用することによってのみ1つのフレーム内で目標ピクチャフレームに正常に遷移できる場合、目標ピクチャフレーム及び達成可能なピクチャフレームは互いに同等であるが、調整されたピクチャフレームとは異なるだろう。
ステップ70において、調整されたピクチャフレームを生成する際に目標ピクチャフレームに対してあらゆる調整を施した後、信号調整回路56は調整されたピクチャフレームをビデオコントローラ58に送出する。更に信号調整回路56は、次のフレームに対応する次の目標ピクチャフレームと比較するために、達成可能なピクチャフレームを格納する。最後に、ステップ72において、ビデオコントローラ58は、画像を生成するために、調整されたピクチャフレームに含まれたデータに対応する電圧信号をディスプレイ24に送出する。
信号調整回路56のある特定の構成要素の簡略ブロック図を示す図4を参照することにより、信号調整回路56の更なる詳細がより適切に理解されるだろう。信号調整回路56は、ディスプレイ24上に表示するために画像データを処理するLCDドライバ回路である。信号調整回路56は、短期記憶装置54に更に接続され、短期記憶装置54から画像データを取得する。更に、信号調整回路56は、ディスプレイ24上に表示されるピクチャフレームを送信するためにビデオコントローラ58に接続される。信号調整回路56は、ビデオコントローラ58とは別個のものとして図4において示されたが、いくつかの実施形態において、信号調整回路56及びビデオコントローラ58は、例えばASICの一部であってもよい。示された実施形態において、信号調整回路56は、バッファ74と、ルックアップテーブル76と、調整回路78とを更に含んでおり、これらは単一のASICの一部とすることができる。
信号調整回路のバッファ74は、特定のフレームからのピクチャフレーム等のデータを一時的に格納するために使用される。例えばバッファ74は、先行フレームからの先行ピクチャフレームを格納し、現在のフレームからの達成可能なピクチャフレームで更新可能である。一実施形態において、バッファ74は、1つのピクチャフレームを格納するための容量を有する。更にバッファ74は、短期記憶装置54、あるいはピクチャフレーム又は画像データを一時的に格納できる他のあらゆる領域又はデバイスに配置されてもよい。
信号調整回路56はルックアップテーブル76を更に含む。ルックアップテーブル76は、現在の画素強度レベル、目標画素強度レベル、及び、目標ピクチャフレームの目標画素強度レベルが1つ以上のフレームの期間で到達され得るようにするためのオーバドライブ画素強度レベルを保持する。ルックアップテーブルに格納されたこれらのレベルは、1つのフレームにおいて、現在のピクチャフレームの先の画素強度から表示されるべき目標ピクチャフレームの目標画素強度へ遷移する際のディスプレイ24の機能に依存する。一実施形態において、ルックアップテーブル76は、デバイス10と互換性のある汎用ディスプレイ14に対する現在の画素強度レベル、目標画素強度レベル及びオーバドライブ画素強度レベルを含む。別の実施形態において、ルックアップテーブル76は、各モデルが調整された画素レベル及び達成可能な画素レベルの独自のセットを有するように、ディスプレイ24の種々のモデル及び製造業者のそれぞれに対する画素レベルを含む。更に別の実施形態において、ルックアップテーブル76は、デバイス10における現在の実際のディスプレイ24に特有の画素レベルを含んでもよい。尚、本発明の別の実施形態では、ディスプレイ24のモデル及び製造業者に依然として更に依存する調整された画素レベル及び達成可能な画素レベルを取得するために、ルックアップテーブルではなくアルゴリズム、カーブ又は他のあらゆる定則を使用する。また、一実施形態において、ルックアップテーブル76は、図4に示されたように信号調整回路56内に配置され、また別の実施形態において、ルックアップテーブル76は、短期記憶装置54等のデータを格納できる他のあらゆるデバイス、あるいはピクチャフレーム又は画像データを一時的に格納できる他のあらゆる領域又はデバイスに配置される。
信号調整回路56は調整回路78を更に含む。調整回路78は、目標ピクチャフレームを受信し、バッファ74に格納された現在のピクチャフレームを取得する。調整回路78は、これら2つのピクチャフレームに基づいて、ルックアップテーブル76にアクセスし、あらゆる画素強度レベルに対して調整が必要かどうかを判定し且つ目標画素強度レベルに到達できるようにするオーバドライブレベルを判定する。例えば、ディスプレイ24が現在の画素強度レベルから目標ピクチャフレームの目標画素強度レベルに1つのフレーム内では正常に遷移できない場合、調整することが必要となる。調整回路78は、ルックアップテーブル76からのオーバドライブレベルに基づいて、規定された時間、すなわち1つのフレーム内での目標画素強度レベル又はそれに近接した実際の画素強度レベルへの到達を実現するために、調整された画素強度レベルをビデオコントローラ58に送信する。調整回路78は、ビデオコントローラ58に送信された調整された画素強度レベルに基づいて、実現されるであろう実際の画素強度レベルに対応するピクチャフレームでバッファ74におけるピクチャフレームを更に上書きする。
尚、特定のピクチャフレームが目標ピクチャフレームに遷移するために、画素強度レベルのうちのいくつか又は全てが調整されてもよいしあるいは調整されなくてもよい。従って、ある特定の場合において、いくつかの画素強度レベルは同一のままであってもよく(すなわち、目標画素強度レベルが現在の画素強度レベルと同等である場合)、いくつかの画素は全く調整されずに目標画素強度レベルに遷移でき(すなわち、目標画素強度レベルに等しい画素強度レベルを送信することにより、単一のフレーム内で画素を目標画素強度レベルに駆動する)、いくつかの画素は、1つのフレームにおいて目標画素強度レベル強度に正常に遷移するために調整された画素強度レベルを使用する(すなわち、目標画素強度レベルを上回る画素強度レベルで画素をオーバドライブすることにより、単一のフレーム内で画素を目標画素強度レベルに駆動する)。
更に、達成可能な画素強度レベルが現在の画素強度レベルから目標画素強度レベルへの遷移の絶対範囲に依存しないため、オーバドライブされた場合でもいくつかの画素は単一のフレームにおいて目標画素強度レベルに到達しない場合がある。これは、第2の画素強度から遷移するよりある1つの画素強度から遷移する方がより困難である可能性があるためである。従って、画素が単一のフレームにおいて目標画素強度レベルに到達できない場合、調整回路78は、第1のフレームにおいて目標画素強度レベルを上回る画素強度レベルで画素をオーバドライブし、次に1つ以上の後続フレームにおいて画素を目標画素強度レベルに駆動するか又はオーバドライブすることにより、画素を目標画素強度レベルに駆動する。これは、目標画素強度レベルに到達するまであるいはその後受信された目標ピクチャフレームにおいて新しい目標画素強度が設定されるまで行なわれる。
特定の実施形態が、図において例として示され且つ本明細書で詳細に説明された。しかし、本発明で示した技術は、開示された特定の形態に限定されることを意図しないことが理解されるべきである。本発明は、以下の添付の請求の範囲により規定されるような本発明の趣旨の範囲内に入る全ての変形例、均等物及び代替例を範囲に含む。