JP2015121238A - 二軸ヒンジ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】スライドストッパーにより動作軸を切り替える二軸ヒンジ装置において、部品点数を減らして製造コストを低減する。
【解決手段】周面12に第1案内溝13を有した第1軸部材10と、周面22に第2案内溝23を有した第2軸部材20と、両軸部材10,20の間で動作軸を切り替えるためのスライドストッパー30を備えた二軸ヒンジ装置1である。スライドストッパー30は、第1案内溝13に嵌合して摺動する第1突起部31と、第2案内溝23に嵌合して摺動する第2突起部32を有する。
【効果】スライドストッパーの付勢方向を切り替えるための機構がなくても、第1軸部材10と第2軸部材20の間で、動作軸の切り替えを複数回行うことが可能となる。また、開成角度が180°のときに段差が生じず、フラットな面を形成できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末、電子手帳、携帯型ゲーム機、携帯電話機などの折り畳み式の電子機器において使用される二軸ヒンジ装置に関するものである。
例えばノート型のパーソナルコンピュータは、液晶ディスプレイ等を備えたカバー部の筐体が、CPU、磁気ディスク、メモリ、キーボード等を備えた本体の筐体に対し、開閉自在に取り付けられている。
このような折り畳み式の電子機器において、カバー部を180°を超えて360°まで開閉可能とする場合、カバー部の筐体に第1軸部材を、本体の筐体に第2軸部材をそれぞれ取り付け、両軸部材を平行に配置する二軸ヒンジ装置が利用されている。例えば、特許文献1及び2の平行二軸ヒンジモジュールは、第1のヒンジ軸と第2のヒンジ軸を同期回転させるための手段として歯車を使用したものである。
しかし、歯車を使用した二軸ヒンジ装置は、バックラッシュを考慮した設計が必要で、使用中にガタが生じ易いという問題があった。そこで、歯車を使用せず、ガタが生じにくい二軸ヒンジ装置として、図8に示すように、カバー部の筐体201に設けた第1軸部材101と、本体の筐体202に設けた第2軸部材102の間で、スライドストッパー103を使用して動作軸を切り替える二軸ヒンジ装置100が利用されている。
第1軸部材101及び第2軸部材102のシャフトの長手方向に対する横断面(カム部材の位置における横断面)を示した図9を参照し、従来の二軸ヒンジ装置100の構成を説明する。第1軸部材101は、カバー部の開閉範囲が0°〜180°のときに回動するシャフトであり、周面に凹部101aを有したカム部材が取り付けられている。一方、第2軸部材102は、カバー部の開閉範囲が180°〜360°のときに回動するシャフトであり、周面に凹部102aを有したカム部材が取り付けられている。また、スライドストッパー103には、第1軸部材101の凹部101aと嵌合する凸部103aと、第2軸部材102の凹部102aと嵌合する凸部103bが設けられている。
次に、スライドストッパー103により、第1軸部材101と第2軸部材102の間で動作軸を切り替える仕組みを説明する。図9中、矢印Aはカバー部の筐体が取り付けられる方向を、矢印Bは本体の筐体が取り付けられる方向を示している。
二軸ヒンジ装置100には、カバー部を開き始めた時点で、スライドストッパー103を第2軸部材102側(図9中、矢印Cが示す方向)に押圧するための機構(図9では図示せず)が設けられている。よって、0°の位置にあるカバー部を90°の位置まで開く間は、図9(a)〜(b)に示すように、スライドストッパー103の凸部103bは、第2軸部材102の凹部102aと嵌合している。そのため、0°〜90°の間は、第2軸部材102とスライドストッパー103の間は係止状態となっているので、第1軸部材101のみがその軸心101bを中心に回転する。
また、90°の位置にあるカバー部を180°まで開く間についても、図9(b)〜(c)に示すように、第2軸部材102とスライドストッパー103の間は係止状態を続けているので、第1軸部材101のみが軸心101bを中心に回転する。
もっとも、二軸ヒンジ装置100には、本体に対するカバー部の開成角度が180°となった時点で、図9(c)に示すように、スライドストッパー103を、第1軸部材101側(図9中、矢印Dが示す方向)に押圧するように押圧方向を切り替えるための機構(図9では図示せず)が設けられている。よって、180°の状態では、スライドストッパー103の凸部103aと第1軸部材101の凹部101aが嵌合すると共に、第2軸部材102は凸部103bとの係止状態が解除されるので、このタイミングで動作軸が第1軸部材101から第2軸部材102に切り替えられる。
そのため、180°の位置にあるカバー部を270°まで開く間は、第1軸部材101はスライドストッパー103により係止状態となっているので、軸心101bを中心に回転することはなく、図9(c)〜(d)に示すように、第2軸部材102に対し、第1軸部材101及びスライドストッパー103が一体となって回転する。また、270°の位置にあるカバー部を360°まで開く間についても、図9(d)〜(e)に示すように、第1軸部材101自体は係止状態を続けているので回転せず、第2軸部材102に対し、第1軸部材101及びスライドストッパー103が一体に回転する。従来の二軸ヒンジ装置100は、以上の構成により、カバー部を180°を超えて360°まで開閉可能としている。
ところが、従来の二軸ヒンジ装置100は、上述のとおり、本体に対するカバー部の開成角度が180°となった時点で、スライドストッパー103の付勢方向を、第2軸部材102側(図9中、矢印Cが示す方向)から第1軸部材101側(図9中、矢印Dが示す方向)に切り替える機構が別途必要となるため、装置構成が複雑となり、製造コストが高くなるという問題があった。
また、昨今、キーボードを有さず、液晶ディスプレイからタッチパネル方式で入力操作する電子機器が普及している。また、カバー部だけでなく、本体側にも液晶ディスプレイを有する折り畳み式の電子機器も存在する。かかる電子機器において、カバー部を180°開いた状態のときに、カバー部の筐体と本体の筐体の間に生じる段差をなくすことができれば、平坦なひと繋がりの大画面を実現することができる。
しかしながら、スライドストッパー103により動作軸を切り替える従来の二軸ヒンジ装置100は、図9(c)から理解されるとおり、カバー部を180°開いた状態のときに、第1軸部材101と第2軸部材102の間に段差Hが生じるものであった。
そのため、従来の二軸ヒンジ装置100を、例えば、携帯情報端末200に適用した場合は、図10(a)に示すように、カバー部の筐体201を180°開いた状態のときに、本体の筐体202との間に必然的に段差が生じていた。そして、この段差が生じるという制約が、平坦なひと繋がりの大画面の実現を困難にする原因の1つとなっていた。
特開2008−95935号公報 特開2008−275139号公報
本発明が解決しようとする課題は、スライドストッパーにより動作軸を切り替える二軸ヒンジ装置において、従来は、カバー部の筐体を180°開いた状態のときに、スライドストッパー103の付勢方向を切り替える機構が別途必要であった点である。また、本発明が解決しようとする更なる課題は、従来のヒンジ装置は、カバー部の筐体を180°開いたときに、第1軸部材101と第2軸部材102の間に段差が生じていた点である。
本発明は、上記した従来の課題に鑑みてなされたものであり、ガタを生じにくくするため、スライドストッパーにより動作軸を切り替える構成を採用した場合でも、スライドストッパーの付勢方向を切り替える機構を不要とした二軸ヒンジ装置を提供することを目的としている。加えて、本発明は、カバー部の筐体を180°開いた状態のときに本体の筐体との間に段差を生じない二軸ヒンジ装置を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するため、本発明の二軸ヒンジ装置は、
第1の筐体に取り付けられ、周面に第1案内溝を有した第1軸部材と、
第2の筐体に取り付けられ、周面に第2案内溝を有した第2軸部材と、
前記第1案内溝に嵌合して摺動する第1突起部と、前記第2案内溝に嵌合して摺動する第2突起部を有し、前記第1の筐体と前記第2の筐体の開閉動作に伴い所要の位置にスライド移動し、前記第1軸部材と前記第2軸部材の間で動作軸を切り替えるためのスライドストッパーと、を備えた二軸ヒンジ装置であって、
前記第1案内溝は、前記第1軸部材の周方向に前記第1突起部が摺動可能な溝が刻設された周方向案内溝部と、前記第1軸部材の軸線方向に前記第1突起部が摺動可能な溝が刻設された軸方向案内溝部を有すると共に、
前記第2案内溝は、前記第2軸部材の軸線方向に対し斜め向きに前記第2突起部が摺動可能な溝が刻設された斜め方向案内溝部を少なくとも有し、
前記第1突起部が、前記軸線方向案内溝部をスライド移動するときに、前記第2突起部が、少なくとも前記斜め方向案内溝部をスライド移動するように構成されていることを最も主要な特徴としている。
本発明の二軸ヒンジ装置の優れた効果は、従来の二軸ヒンジ装置100と比較すると、次のとおりである。すなわち、従来の二軸ヒンジ装置100は、スライドストッパー103の付勢方向を切り替える機構が別途必要であった。これに対し、本発明の二軸ヒンジ装置は、第1軸部材及び第2軸部材に、上記のような形状の第1案内溝及び第2案内溝を刻設したので、スライドストッパーの付勢方向を切り替えるための機構がなくても動作軸を任意の角度で切り替えることが可能となる。そのため、本発明の二軸ヒンジ装置は、部品点数を減らして製造コストを低減できるという効果がある。
加えて、図10(b)に示すように、従来の二軸ヒンジ装置100の場合は、カバー部の開成角度が180°のときにワンポイントで動作軸の切り替えが行われるので、0°〜180°の間は、第2軸部材102は全く回動せずロックされた状態となっていた。そのため、図10(a)に示すように、カバー部の筐体201を180°開いたときに、本体の筐体202との間に段差が生じていた。
これに対し、本発明の二軸ヒンジ装置は、カバー部を開いたときに最初に動作する初動軸(第1軸部材)の回転は、180°よりも小さい任意の角度で一旦停止させ、動作軸を他方の軸(第2軸部材)に切り替えた後、180°よりも大きい任意の角度で動作軸を再び初動軸(第1軸部材)側に切り替えて、その後は初動軸(第1軸部材)を同方向に回転させることが可能となる。そのため、本発明によれば、カバー部の開成角度が180°となるまでの間に、第2軸部材を必要なだけ回転させることができるので、開成角度が180°となったときに、第1軸部材と第2軸部材の間に段差を生じないようにすることができる。
よって、本発明の二軸ヒンジ装置を、カバー部と本体の双方に液晶ディスプイを有する折り畳み式の携帯情報端末に適用した場合は、カバー部を180°開いた状態のときに、第1の筐体と第2の筐体の間に段差が生じないので、平坦なひと繋がりの大画面を実現できる。
本発明の第1実施例の二軸ヒンジ装置の主要部の構成を示した図である。 第1案内溝及び第2案内溝の部分を拡大した図である。 スライドストッパーの形状を説明する図で、(a)は側面図、(b)は第2突起部側から見た斜視図である。 カバー部の開成角度に応じてスライドストッパーの第1突起部が第1案内溝内を、第2突起部が第2案内溝内を夫々スライド移動し、動作軸を切り替える仕組みを説明する図で、本体に対するカバー部の開成角度が(a)は0°、(b)は90°、(c)は125°、(d)は180°の各状態を示した図である。 カバー部の開成角度に応じてスライドストッパーの第1突起部が第1案内溝内を、第2突起部が第2案内溝内を夫々スライド移動し、動作軸を切り替える仕組みを説明する図で、本体に対するカバー部の開成角度が(a)は235°、(b)は270°、(c)は360°の各状態を示した図である。 本発明の第1実施例の二軸ヒンジ装置を適用した携帯情報端末において、(a)は動作軸が切り替わるタイミングを説明する図、(b)はカバー部を180°開いた状態を示す図である。 本発明の第2実施例の二軸ヒンジ装置において、カバー部の開成角度に応じてスライドストッパーの第1突起部が第1案内溝内を、第2突起部が第2案内溝内を、夫々スライド移動し、動作軸を切り替える仕組みを説明する図で、本体に対するカバー部の開成角度が(a)は0°、(b)は180°、(c)は360°の各状態を示した図である。 従来の二軸ヒンジ装置を使用した電子機器の外観を示す図である。 従来の二軸ヒンジ装置のシャフトの長手方向に対する横断面(カム部材の位置における横断面)を示した図で、本体に対するカバー部の開成角度が(a)は0°、(b)は90°、(c)は180°、(d)は270°、(e)は360°の各状態を示した図である。 (a)は従来の二軸ヒンジ装置を適用した携帯情報端末において、カバー部を180°開いた状態を示す図、(b)は従来の二軸ヒンジ装置において、動作軸が切り替わるタイミングを説明する図である。
以下、本発明の最良の実施形態を、図1〜図7を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施例の二軸ヒンジ装置1の主要部の構成を示した図である。10は第1軸部材を、20は第2軸部材を示している。また、30は、第1軸部材10と第2軸部材20の間で動作軸を切り替えるためのスライドストッパーを、41は、スライドストッパー30を図1の紙面左右方向(図1中、矢印Eで示した方向)にスライド可能とするためのガイド軸を示している。
本実施例の二軸ヒンジ装置1は、例えば折り畳み式の携帯情報端末などに適用されるものである。一般に、折り畳み式の携帯情報端末では、液晶ディスプレイ等を備えたカバー部の筐体(以下、「第1の筐体」という。)が、CPU、磁気ディスク、メモリ等を備えた本体の筐体(以下、「第2の筐体」という。)に対し、開閉自在に取り付けられているが、本実施例の二軸ヒンジ装置1が適用される携帯情報端末は、第1の筐体のみならず、第2の筐体側にも液晶ディスプレイを有している。また、本実施例の二軸ヒンジ装置1が適用される携帯情報端末は、カバー部が180°を超えて360°まで開閉可能な構造のものである。
第1軸部材10の先端は、プレート部11aを有したブラケット11となっている。プレート部11aには、複数の取付け孔11bが設けられている。第1軸部材10は、この取付け孔11bを使用して、第1の筐体に対し、螺子などの固定手段で取り付けられる。
一方、第2軸部材20の先端にも、複数の取付け孔21bが設けられたプレート部21aを備えたブラケット21が取り付けられている。第2軸部材20は、取付け孔21bを使用して、第2の筐体に対し、螺子などの固定手段で取り付けられる。
図2は、図1からスライドストッパー30を取り除いて、第1案内溝13及び第2案内溝23の部分を拡大した図である。本発明の二軸ヒンジ装置1の軸部材は、第1軸部材10と第2軸部材20により構成されるが、第1軸部材10の周面12には、図2に示すような第1案内溝13が設けられている。他方、第2軸部材20の周面22には、図2に示すような第2案内溝23が設けられている。
図3は、スライドストッパー30の形状を説明する図である。スライドストッパー30は、図2に示した第1案内溝13に嵌合して摺動する第1突起部31と、第2案内溝23に嵌合して摺動する第2突起部32を有している。
凹状の側面33は、スライドストッパー30が第1軸部材10の周面12に沿って軸方向に円滑にスライドできるように、周面12と整合した形状となっている。また、反対側の凹状の側面34は、スライドストッパー30が第2軸部材20の周面22にも沿って軸方向に円滑にスライドできるように、周面22と整合した形状となっている。35は、ガイド軸41が挿通されることにより、第1軸部材10及び第2軸部材20の軸方向のスライド移動を安定させるガイド孔を示している。
スライドストッパー30は、第1の筐体と第2の筐体の開閉動作に伴い、第1突起部31が第1案内溝13の、第2突起部32が第2案内溝23の、夫々所要の位置にスライド移動することにより、第1軸部材10と第2軸部材20の間で、動作軸を何れか一方の軸部材に切り替えるための部材である。
次に、図4〜図5を参照し、第1案内溝13と第2案内溝23の構造を説明する。図4〜図5において、各図の上方に示した角度はカバー部の開成角度を、各図の下方の左側に示した角度は第1軸部材10のみの回転角度を、各図の下方の右側に示した角度は第2軸部材20のみの回転角度を示している。
先ず、第1軸部材10は、カバー部の開閉範囲が0°〜90°のときと270°〜360°のときに回動するシャフトであり、その周面12には第1案内溝13が設けられている。第1案内溝13は、第1軸部材10の周方向に第1突起部31が摺動可能な溝が刻設された周方向第1案内溝部14と、同じく周方向に刻設された周方向第2案内溝部15を有している。さらに、周方向第1案内溝部14と周方向第2案内溝部15の間には、第1軸部材10の軸線方向に第1突起部31が摺動可能な溝が刻設された軸方向案内溝部16を有している。
一方、第2軸部材20は、カバー部の開閉範囲が90°〜270°のときに回動するシャフトであり、その周面22には第2案内溝23が設けられている。第2案内溝23は、 第2軸部材20の軸線方向に対し斜め向きに第2突起部32が摺動可能な溝が刻設された斜め方向第1案内溝部24を少なくとも有している。第2案内溝23の刻設方向は、第2軸部材20の軸線方向に対し例えば45°傾斜させた方向としている。また、第2案内溝23は、第2軸部材20の軸線方向に対し例えば45°傾斜させた斜め方向に第2突起部32が摺動可能な溝が刻設された斜め方向第2案内溝部25を更に有し、斜め方向第1案内溝部24と斜め方向第2案内溝部25の間に、第2軸部材20の周方向に第2突起部32が摺動可能な溝が刻設された周方向案内溝部26を有している。
次に、スライドストッパー30により、第1軸部材10と第2軸部材20の間で動作軸を切り替える仕組みを説明する。なお、図4〜図5は、理解を容易にするために、スライドストッパー30を第1軸部材10側と第2軸部材20側に分割し、第1突起部31と第2突起部32が表われるように図示したものである。
まず、0°の位置にあるカバー部を90°の位置まで開く間は、図4(a)〜(b)に示すように、スライドストッパー30の第1突起部31が、第1軸部材10の回転方向に刻設された周方向第1案内溝部14内を、図4の紙面左方向にスライド移動可能な状態となっている。そのため、0°〜90°の間は、第2軸部20が回転することはなく、第1軸部材10のみが図4の紙面右方向に回転する。
カバー部の開成角度が90°となった時点では、図4(b)に示すように、スライドストッパー30の第1突起部31は、周方向第1案内溝部14の終端の壁面に突き当たる。よって、第1軸部材10はこれ以上回転せず、代わって、スライドストッパー30の第2突起部32が、第2軸部材20の軸方向に対して斜めに刻設された斜め方向第1案内溝部24内をスライド移動し始める。よって、動作軸は、カバー部の開成角度が90°となったタイミングで、第1軸部材10から第2軸部材20に切り替えられる。
90°の位置にあるカバー部を125°まで開く間は、図4(b)〜(c)に示すように、スライドストッパー30の第2突起部32が、斜め方向第1案内溝部24内をスライド移動可能な状態となっている。このとき、スライドストッパー30の第1突起部31は軸方向案内溝部16内を、図4の紙面下方向にスライド移動するが、これは第1軸部材10の軸方向と平行な向きのスライド移動であるため、その間に第1軸部材10が回転することはない。よって、90°〜125°の間は、第1軸部10が回転することはなく、第2軸部材20のみが図4の紙面左方向に回転する。
125°の位置にあるカバー部を180°まで開く間は、図4(c)〜(d)に示すように、スライドストッパー30の第2突起部32が、周方向案内溝部26内を、図4の紙面右方向にスライド移動可能な状態となっている。このとき、スライドストッパー30の第1突起部31は、軸方向案内溝部16の中間の位置で停止しているため、その間に第1軸部材10が回動することはない。よって、125°〜180°の間は、第1軸部10が回転することはなく、第2軸部材20のみが図4の紙面左方向に回転する。
180°の位置にあるカバー部を235°まで開く間は、図4(d)〜図5(a)に示すように、スライドストッパー30の第2突起部32が、周方向案内溝部26内を、図4の紙面右方向にスライド移動可能な状態となっている。このとき、スライドストッパー30の第1突起部31は、軸方向案内溝部16の中間の位置で停止しているため、その間に第1軸部材10が回動することはない。よって、180°〜235°の間は、第1軸部10が回転することはなく、第2軸部材20のみが各図の紙面左方向に回転する。
235°の位置にあるカバー部を270°まで開く間は、図5(a)〜(b)に示すように、スライドストッパー30の第2突起部32が、斜め方向第2案内溝部25内をスライド移動可能な状態となっている。このとき、スライドストッパー30の第1突起部31は、軸方向案内溝部16内を、図5の紙面下方向にスライド移動するが、これは第1軸部材10の軸方向と平行な向きのスライド移動であるため、その間に第1軸部材10が回転することはない。よって、235°〜270°の間は、第1軸部10が回転することはなく、第2軸部材20のみが図5の紙面左方向に回転する。
カバー部を270°開いた時点では、図5(b)に示すように、スライドストッパー30の第2突起部32は、斜め方向第2案内溝部25の終端の壁面に突き当たる。よって、第2軸部材20はこれ以上回転せず、代わって、スライドストッパー30の第1突起部31が、第1軸部材10の周方向に刻設された周方向第2案内溝部15内をスライド移動し始める。よって、動作軸は、カバー部の開成角度が270°となったタイミングで、第2軸部材20から第1軸部材10に切り替えられる。
270°の位置にあるカバー部を360°まで開く間は、図5(b)〜(c)に示すように、スライドストッパー30の第1突起部31が、周方向第2案内溝部15内を、図5の紙面左方向にスライド移動可能な状態となっている。そのため、270°〜360°の間は、第2軸部20が回転することはなく、第1軸部材10のみが図5の紙面右方向に回転する。
図6(a)は、ヒンジ装置1における動作軸の切り替えのタイミングを図示したものである。第1実施例の二軸ヒンジ装置1は、カバー部を開いたときに最初に回動する初動軸(第1軸部材10)の回転は90°で一旦停止させ、動作軸を他方の軸(第2軸部材20)に切り替えた後、270°で動作軸を再び初動軸(第1軸部材10)の方に切り替えて、以後は初動軸(第1軸部材10)を同方向に回転させることができる。つまり、第1実施例の二軸ヒンジ装置は、第1の筐体に対する第2の筐体の開成角度が0°〜360°の範囲において、第1軸部材10と第2軸部材20の間で、動作軸の切り替えが複数回行われる。
すなわち、本発明は、第1突起部31が、軸線方向案内溝部16をスライド移動するときに、第2突起部32が、少なくとも斜め方向第1案内溝部24をスライド移動するように構成されているので、カバー部の開成角度が180°となるまでの間に、第2軸部材20を必要なだけ回転させることができる。具体的には、例えば上記で説明した第1実施例のように、開成角度90°で動作軸を切り替える場合は、開成角度が180°となるまでの間に第2軸部材20を90°回転させておくことができるので、開成角度が180°となったときに、第1軸部材10と第2軸部材20の間に段差を生じないようにすることも容易となる。
よって、第1実施例の二軸ヒンジ装置1を、カバー部2と本体3の双方に液晶ディスプイを有する折り畳み式の携帯情報端末4に適用した場合は、図6(b)に示すように、カバー部2を180°開いた状態のときに、カバー部2の筐体(第1の筐体)と本体3の筐体(第2の筐体)の間に段差は生じず、両筐体の連結部分は面一にフラットな状態となる。よって、この両筐体の上面の連続したフラットな面を利用すれば、ひと繋がりの大画面を実現することができる。
次に、本発明の第2実施例の二軸ヒンジ装置の構成を、第1実施例とは異なる点を中心に説明する。
図7は、第2実施例の二軸ヒンジ装置の主要部の構成を示した図で、50は、第1の筐体(例えば液晶画面を有したノートパソコンなどのカバー部の筐体)に対し、螺子などの固定手段で取り付けられる第1軸部材を、60は、第2の筐体(例えばCPU、磁気ディスク、メモリ、キーボード等を有したノートパソコンなどの本体の筐体)に対し、螺子などの固定手段で取り付けられる第2軸部材を示している。
第2実施例の二軸ヒンジ装置においても、第1突起部71と第2突起部72を備えたスライドストッパーが設けられており、第1の筐体と第2の筐体の開閉動作に伴い所要の位置にスライド移動し、第1軸部材50と第2軸部材60の間で、動作軸が何れか一方の軸部材に切り替えられる。このスライドストッパーの機能は、第1実施例の二軸ヒンジ装置と同じである。なお、図7は、理解を容易にするために、スライドストッパーを、第1軸部材50側と第2軸部材60側に分割し、第1突起部71と第2突起部72が表われるように図示したものである。
第2実施例の二軸ヒンジ装置が、第1実施例と異なる点は、以下に説明するとおり、第1案内溝53及び第2案内溝63の形状と、第1軸部材50と第2軸部材60の間で、動作軸を切り替えるタイミングである。
先ず、第1軸部材50は、カバー部の開閉範囲が0°〜180°のときに回動するシャフトであり、その周面52には第1案内溝53が設けられている。第1案内溝53は、第1軸部材50の周方向に第1突起部71が摺動可能な溝が刻設された周方向案内溝部54を有している。また、第1案内溝53は、周方向案内溝部54と連続し、第1軸部材50の軸線方向に第1突起部71が摺動可能な溝が刻設された軸方向案内溝部56を更に有している。
一方、第2軸部材60は、カバー部の開閉範囲が180°〜360°のときに回動するシャフトであり、その周面62には、第2案内溝63が設けられている。第2案内溝63は、第2軸部材60の軸線方向に対し斜め向きに第2突起部72が摺動可能な溝が刻設された斜め方向案内溝部64を少なくとも有している。また、第2案内溝63は、斜め方向案内溝部64と連続し、第2軸部材60の周方向に第2突起部72が摺動可能な溝が刻設された周方向案内溝部66を有している。
次に、スライドストッパーにより、第1軸部材50と第2軸部材60の間で動作軸を切り替える仕組みを説明する。図7において、各図の上方に示した角度はカバー部の開成角度を、各図の下方の左側に示した角度は第1軸部材50のみの回転角度を、各図の下方の右側に示した角度は第2軸部材60のみの回転角度を示している。
まず、0°の位置にあるカバー部を180°の位置まで開く間は、図7(a)〜(b)に示すように、スライドストッパーの第1突起部71が、第1軸部材50の回転方向に刻設された周方向案内溝部54内を、図7の紙面右方向にスライド移動可能な状態となっている。そのため、0°〜180°の間は、第2軸部60が回転することはなく、第1軸部材50のみが図7の紙面左方向に回転する。
カバー部の開成角度が180°となった時点では、図7(b)に示すように、スライドストッパーの第1突起部71は周方向案内溝部54の終端の壁面に突き当たる。よって、第1軸部材50はこれ以上回転せず、代わって、スライドストッパーの第2突起部72が第2軸部材60の軸方向に対して斜め方向に刻設された斜め方向案内溝部64内をスライド移動し始める。よって、動作軸は、カバー部の開成角度が180°となったタイミングで、第1軸部材50から第2軸部材60に切り替えられる。
180°の位置にあるカバー部を360°まで開く間は、図7(b)〜(c)に示すように、スライドストッパーの第2突起部72が、斜め方向案内溝部64内を、スライド移動可能な状態となっている。このとき、スライドストッパーの第1突起部71は軸方向案内溝部56内を、図7の紙面上方向にスライド移動するが、これは第1軸部材50の軸方向と平行な向きのスライド移動であるため、その間に第1軸部材50が回転することはない。
また、スライドストッパーの第1突起部71が、軸方向案内溝部56の終端の壁面に突き当たった後も、図7(c)に示すように、スライドストッパーの第2突起部72は、第2軸部材60の回転方向に刻設された周方向案内溝部66内を、図7の紙面左方向にスライド移動する。よって、180°〜360°の間は、第1軸部50は回転せず、第2軸部材60のみが図7の紙面右方向に回転する。
このように、第2実施例の二軸ヒンジ装置は、第1軸部材50及び第2軸部材60に、上記のような形状の第1案内溝53及び第2案内溝63を夫々設けたので、スライドストッパーの付勢方向を切り替えるための機構がなくても、初動軸(第1軸部材50)の回転を例えば180°で停止させ、動作軸を他方の軸(第2軸部材60)に切り替えて、以後180°〜360°までの間は他方の軸(第2軸部材60)のみを回転させることができる。そのため、本発明の二軸ヒンジ装置は、スライドストッパーの付勢方向を切り替えるための機構が不要となり、部品点数を減らして製造コストを低減することができる。
本発明は、前記の実施例に限るものではなく、各請求項に記載の技術的思想の範疇であれば適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。
例えば、第1実施例では、第2軸部材20に設ける第2案内溝23は、第2軸部材20の軸線方向に対し斜め方向に第2突起部32が摺動可能な溝が刻設された斜め方向第2案内溝部25を更に有し、斜め方向第1案内溝部24と斜め方向第2案内溝部25の間に、第2軸部材20の周方向に第2突起部32が摺動可能な溝が刻設された周方向案内溝部26を有している例を示したが、本発明においては、第2案内溝23は、必ずしも斜め方向第2案内溝部25と周方向案内溝部26を備えた形状である必要はない。第2案内溝23は、例えば、斜め方向第1案内溝部24のみとしても良い。
もっとも、開閉動作の安定性の点では、第2突起部32を斜め方向に摺動させる区間はできるだけ短くする方が有利である。よって、本発明において、第2軸部材20に設ける第2案内溝23は、斜め方向第1案内溝部24のみとしても良いが、本実施例に開示したように、斜め方向第1案内溝部24、斜め方向第2案内溝部25の間に、周方向案内溝部26を設けた構成とする方がより望ましい。
また、第1実施例では、カバー部の開成角度が90°と270°のときに動作軸が切り替わる例を開示したが、動作軸を切り替えるタイミングはこれに限らない。例えば、カバー部の開成角度が45°以上135°以下の間に、第1軸部材10から第2軸部材20へ動作軸の切り替えが行われると共に、カバー部の開成角度が225°以上315°以下の間に、第2軸部材20から第1軸部材10へ動作軸の切り替えが行われるように構成しても良い。この点は第2実施例についても同様であり、カバー部の開成角度が180°のときに動作軸が切り替わる例を開示したが、動作軸を切り替えるタイミングはこれに限らない。
また、上記実施例では、本発明を携帯情報端末に適用する場合の一例を開示したが、本発明が適用できる電子機器の種類はこれに限定されるものではない。本発明の二軸ヒンジ装置は、例えばその下面に表示部を設けた第1の筐体と、その上面に例えば操作部を設けた第2の筐体を回動可能に連結する手段として汎用性を有している。そして、第2の筐体の操作部は、タッチパネル式のディスプレイであっても良い。
また、上記実施例では、液晶ディスプレイ等を備えたカバー部の筐体を「第1の筐体」と、CPU、磁気ディスク、メモリ等を備えた本体の筐体を「第2の筐体」と称して、各部の構成を説明したが、この「第1の筐体」と「第2の筐体」の関係は、本実施例で説明したものと逆であっても良いことはいうまでもない。つまり、本発明は、CPU、磁気ディスク、メモリ等を備え一般に本体と認識される筐体の方を「第1の筐体」、液晶ディスプレイ等を備え一般にカバー部と認識される筐体の方を「第2の筐体」と捉えても良く、要するに、「第1の筐体」と「第2の筐体」の中身は問わない。
1 二軸ヒンジ装置
2 第1の筐体
3 第2の筐体
10,50 第1軸部材
12,52 周面
13,53 第1案内溝
54 周方向案内溝部
14 周方向第1案内溝部
15 周方向第2案内溝部
16,56 軸方向案内溝部
20,60 第2軸部材
22,62 周面
23,63 第2案内溝
64 斜め方向案内溝部
24 斜め方向第1案内溝部
25 斜め方向第2案内溝部
26,66 周方向案内溝部
30 スライドストッパー
31,71 第1突起部
32,72 第2突起部

Claims (4)

  1. 第1の筐体に取り付けられ、周面に第1案内溝を有した第1軸部材と、
    第2の筐体に取り付けられ、周面に第2案内溝を有した第2軸部材と、
    前記第1案内溝に嵌合して摺動する第1突起部と、前記第2案内溝に嵌合して摺動する第2突起部を有し、前記第1の筐体と前記第2の筐体の開閉動作に伴い所要の位置にスライド移動し、前記第1軸部材と前記第2軸部材の間で動作軸を切り替えるためのスライドストッパーと、を備えた二軸ヒンジ装置であって、
    前記第1案内溝は、前記第1軸部材の周方向に前記第1突起部が摺動可能な溝が刻設された周方向案内溝部と、前記第1軸部材の軸線方向に前記第1突起部が摺動可能な溝が刻設された軸方向案内溝部を有すると共に、
    前記第2案内溝は、前記第2軸部材の軸線方向に対し斜め向きに前記第2突起部が摺動可能な溝が刻設された斜め方向案内溝部を少なくとも有し、
    前記第1突起部が、前記軸線方向案内溝部をスライド移動するときに、前記第2突起部が、少なくとも前記斜め方向案内溝部をスライド移動するように構成されていることを特徴とする二軸ヒンジ装置。
  2. 第1の筐体に取り付けられ、周面に第1案内溝を有した第1軸部材と、
    第2の筐体に取り付けられ、周面に第2案内溝を有した第2軸部材と、
    前記第1案内溝に嵌合して摺動する第1突起部と、前記第2案内溝に嵌合して摺動する第2突起部を有し、前記第1の筐体と前記第2の筐体の開閉動作に伴い所要の位置にスライド移動し、前記第1軸部材と前記第2軸部材の間で動作軸を切り替えるためのスライドストッパーと、を備えた二軸ヒンジ装置であって、
    前記第1案内溝は、前記第1軸部材の周方向に前記第1突起部が摺動可能な溝が刻設された、周方向第1案内溝部と周方向第2案内溝部の間に、前記第1軸部材の軸線方向に前記第1突起部が摺動可能な溝が刻設された軸方向案内溝部を有すると共に、
    前記第2案内溝は、前記第2軸部材の軸線方向に対し斜め向きに前記第2突起部が摺動可能な溝が刻設された斜め方向第1案内溝部を少なくとも有し、
    前記第1突起部が、前記軸線方向案内溝部をスライド移動するときに、前記第2突起部が、少なくとも前記斜め方向第1案内溝部をスライド移動するように構成されていることを特徴とする二軸ヒンジ装置。
  3. 前記第2案内溝は、前記第2軸部材の軸線方向に対し斜め方向に前記第2突起部が摺動可能な溝が刻設された斜め方向第2案内溝部を更に有し、前記斜め方向第1案内溝部と前記斜め方向第2案内溝部の間に、前記第2軸部材の周方向に前記第2突起部が摺動可能な溝が刻設された周方向案内溝部を有していることを特徴とする請求項2に記載の二軸ヒンジ装置。
  4. 第1の筐体に対する第2の筐体の開成角度が0°〜360°の範囲において、前記第1軸部材と前記第2軸部材の間で、動作軸の切り替えが複数回行われることを特徴とする請求項2又は3に記載の二軸ヒンジ装置。
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