JP2015120430A - 車両用操舵装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ステアリングホイールの操舵角と車輪の転舵角との間の位相ずれを解消して、良好な操舵性を確保すること。【解決手段】クラッチ30を構成するクラッチ上段31及びクラッチ下段32のいずれか一方側に位相調整部材33を設けるとともに、他方側に位相調整部材33と対向して設けられ、この位相調整部材33との接近又は離間を検出する検出センサ35を備えた車両用操舵装置1を構成した。クラッチ上段31側(ステアリングホイール側)とクラッチ下段32側(転舵装置側)との間に何らかの原因により位相のずれが生じたとしても、検出センサ35の検出結果に基づいてクラッチ上段31側又はクラッチ下段32側を軸周りに回転して、両者の位相を合わせることができるため、良好な操舵性が確保できる。【選択図】図2

Description

この発明は、ステアリングホイールの回転軸と転舵装置の転舵軸とが、正常時には機械的に直結していないステアバイワイヤ方式の車両用操舵装置に関し、特に、異常時に前記回転軸と前記転舵軸とをクラッチを介して機械的に連結して転舵を行い得るようにしたものに関する。
車両用操舵装置として、ステアリングホイールの回転軸と、車輪(特に前輪)を転舵する転舵装置の転舵軸とが、正常時には機械的に直結していないステアバイワイヤ方式のものが知られている。このステアバイワイヤ方式の車両用操舵装置においては、ステアリングホイールを操舵した際に、このステアリングホイールに操舵反力を与える反力付与部(反力アクチュエータ)と、転舵装置とから構成され、自動車の挙動(車速や操舵角)に応じてステアリングホイールに操舵反力を与えるとともに、転舵装置内のアクチュエータを制御して車輪を転舵する。ステアバイワイヤ方式は、車速に応じた車輪転舵の自動制御ができることから、車両の安定走行や運動性能の向上を可能とするものとして期待されている。
この反力付与部等の装置に異常が生じた場合でも操舵が可能なように、特許文献1に示すように、ステアリングシャフトとピニオンシャフトとを機械的に締結するクラッチを備えた操舵装置が知られている。この操舵装置においては、正常時にはクラッチを締結解除し、操舵反力モータ及び転舵モータを作動制御してステアバイワイヤ制御を行う一方で、異常時にはクラッチを締結し、運転者がステアリングホイールを操作して転舵軸を直接操舵する、あるいはステアリングホイールの操作に伴って転舵モータを作動制御して、運転者による操舵の操舵補助制御(EPS制御)を行う。
また、特許文献2に示すように、クラッチに代えて、ステアリングホイールの操作に応じて回転する入力シャフトと、舵角の変化により回転するように車輪に機械的に連結される出力シャフトとの間に介在する回転規制機構を設けた構成とすることもできる。この回転規制機構は、操舵用アクチュエータの動きによる舵角変化量の目標値からの誤差の増大時に、出力シャフトの回転を規制するものであって、この規制によって、出力シャフトの入力シャフトに対する相対回転を阻止している。
これらのステアバイワイヤ方式の操舵装置では、ステアリングホイールの操舵角と、車輪を転舵する転舵軸の位置(又は転舵角)を検出することによってその制御が行われる。操舵角の検出には、ステアリングホイールの回転軸に装着した操舵角センサを用い、また、転舵軸の位置(又は転舵角)の検出には、転舵軸を作動するモータ軸に固定した転舵角センサを用いる。
特許第5321043号公報 特許第3869981号公報
特許文献1、2等に示す操舵装置においては、ステアリングホイールの回転角と、車輪の転舵角の割合を車速に応じてギア比を変更することで可変制御とすることが多い。具体的には、低速時においては、前記回転角に対して前記転舵角を大きくし、高速時においては、前記回転角に対して前記転舵角を小さくする。このようにすることで、低速時における車両の取り回しを容易にするとともに、高速時における急ハンドル操作に起因して車両の挙動が不安定になるのを防止している。この場合、例えばステアリングホイールを左右いずれかに操舵した状態のまま車両を停止し、イグニッションキーをオフとした場合、ステアリングホイールの操舵角と車輪の転舵角との間(クラッチの入力側と出力側との間)に位相ずれが生じていることがある。この位相ずれが生じた状態のまま、イグニッションキーをオンとし、車両を走行しようとした場合、ステアリングホイールの直進方向と、車輪の直進方向がずれている場合があり、操舵性が損なわれる問題がある。
そこで、この発明は、ステアリングホイールの操舵角と車輪の転舵角との間の位相ずれを解消して、良好な操舵性を確保することを課題とする。
上記の課題を解決するために、この発明において、ステアリングホイールと、前記ステアリングホイールに操舵反力を与える反力付与部と、前記反力付与部に接続される第一連結軸と、左右の車輪を転舵する転舵装置の転舵軸に接続される第二連結軸と、前記第一連結軸側に設けられたクラッチ上段と、前記第二連結軸側に設けられ前記クラッチ上段に係合自在としたクラッチ下段と、を有するクラッチと、前記クラッチ上段側又は前記クラッチ下段側のうちいずれか一方側に設けられる位相調整部材と、前記クラッチ上段側又は前記クラッチ下段側のうち前記一方側とは異なる他方側に前記位相調整部材と対向して設けられ、前記位相調整部材との接近又は離間を検出する検出センサと、を有する位置調整部と、前記クラッチ上段及び前記クラッチ下段を互いに離間して、前記反力付与部又は前記転舵装置の一方を前記第一連結軸又は前記第二連結軸の一方を軸周りに回転し、前記位相調整部材と前記検出センサが所定の相対位相範囲内となった際に前記第一連結軸又は前記第二連結軸の軸周りの回転を停止して、前記第一連結軸と前記第二連結軸との位相合わせを行う制御ユニットと、を備えた車両用操舵装置を構成した。
このように、クラッチ上段とクラッチ下段を一旦離間した上で、第一連結軸と第二連結軸を所定の相対位相範囲内に位相合わせすることにより、ステアリングホイールの操舵方向と車輪の転舵方向がずれることなく対応し、良好な操舵性を確保することができる。
前記構成においては、前記第一連結軸の基準角度からの回転角度を検出する絶対角度検出器と、前記第一連結軸及び第二連結軸を所定の相対位相範囲内に位相合わせした状態で、前記絶対角度検出器によって検出された操舵角を受け、その操舵角から前記車輪の転舵角を推定する転舵角推定部と、をさらに備えた構成とすることもできる。
このように、転舵角推定部により車輪の転舵角を推定することによって、車輪を転舵する転舵軸の基準位置からの移動量を検出するために、この転舵軸に通常設けられる絶対位置検出器の設置が不要となる。このため、この車両用操舵装置の製造コストの低減を図ることができる。この転舵角推定部には、第一連結軸(ステアリングホイール)の基準角度からの回転角度、車両の走行速度をパラメータとして含む計算式が予め保存されている。
あるいは、前記転舵軸の基準位置からの移動量を検出する絶対位置検出器と、前記第一連結軸及び第二連結軸を所定の相対位相範囲内に位相合わせした状態で、前記絶対位置検出器によって検出された移動量を受け、その移動量から前記ステアリングホイールの操舵角を推定する操舵角推定部と、をさらに備えた構成とすることもできる。
このように、操転舵角推定部によりステアリングホイールの操舵角を推定することによって、第一連結軸(ステアリングホイール)の基準角度からの回転角を検出するために、この第一連結軸に通常設けられる絶対角度検出器の設置が不要となる。このため、この車両用操舵装置の製造コストの低減を図ることができる。この操舵角推定部には、転舵軸の基準位置からの移動量、車両の走行速度をパラメータとして含む計算式が予め保存されている。
あるいは、前記第一連結軸の基準角度からの回転角度を検出する絶対角度検出器と、前記第一連結軸及び第二連結軸を所定の相対位相範囲内に位相合わせした状態で、前記絶対角度検出器によって検出された操舵角を受け、その操舵角から前記車輪の転舵角を推定する転舵角推定部と、前記転舵軸の基準位置からの移動量を検出する絶対位置検出器と、前記第一連結軸及び第二連結軸を所定の相対位相範囲内に位相合わせした状態で、前記絶対位置検出器によって検出された移動量を受け、その移動量から前記ステアリングホイールの操舵角を推定する操舵角推定部と、前記絶対角度検出器によって検出された操舵角と前記操舵角推定部によって推定された操舵角、及び、前記転舵角推定部によって推定された転舵角と前記移動量から算出された転舵角をそれぞれ比較して、両操舵角の間、又は両転舵角の間に差異が生じた際に異常が発生したと判断する異常監視部と、をさらに備えた構成とすることもできる。
このように、絶対角度検出器によって検出された操舵角と推定された操舵角同士、及び転舵角推定部によって推定された転舵角と前記絶対位置検出器によって検出された移動量から算出された転舵角同士をそれぞれ比較し、異常監視部によって異常発生を判断するように構成することにより、各検出器の異常を知ることができる。このため、異常が検知された際に、このままステアバイワイヤ方式の転舵を継続するか、あるいはクラッチを連結するか速やかに判断することができ、車両の走行安全性を維持することができる。
前記各構成においては、イグニッションキーをオンにした時点で前記位相合わせを実行することができる。
イグニッションキーは車両の運転を開始する際に必ず操作するものなので、このようにイグニッションキーがオンされた時点で位相合わせを行うようにすれば、位相合わせを確実に行うことができる。
この発明では、クラッチを構成するクラッチ上段及びクラッチ下段のいずれか一方側に位相調整部材を設けるとともに、他方側に前記位相調整部材と対向して設けられ、この位相調整部材との接近又は離間を検出する検出センサを備えた車両用操舵装置を構成した。このように構成することにより、クラッチ上段側(ステアリングホイール側)とクラッチ下段側(転舵装置側)との間に何らかの原因により位相のずれが生じたとしても、前記検出センサによる位相調整部材の検出結果に基づいてクラッチ上段側又はクラッチ下段側を軸周りに回転して、両者の位相を合わせることができる。このように位相を合わせることによって、ステアリングホイールの操舵方向と車輪の転舵方向がずれることなく対応し、良好な操舵性を確保することができる。
この発明に係る車両用操舵装置の第一実施形態の概略を示す構成図 図1に示すクラッチの要部を示す側面図 図2中のA−A線に沿う横断面を示し、(a)は基準位置検出センサの非検出の状態、(b)は(a)の状態から回転して検出した状態、(c)は基準位置検出センサの検出状態、(d)は(c)の状態から回転して非検出となった状態 この発明に係る車両用操舵装置の第二実施形態の概略を示す構成図 この発明に係る車両用操舵装置の第三実施形態の概略を示す構成図 制御ユニットに設けた異常監視部のブロック図
図1に、この発明に係る車両用操舵装置1の第一実施形態の概略構成図を示す。この車両用操舵装置1は、通常時にはステアバイワイヤ方式で一対の車輪2、3(転舵輪)を転舵する一方で、異常時にはステアリングホイール4側と転舵装置10側とを機械的に接続して、ステアリングホイール4を操舵することにより、車輪2、3の転舵を直接行うバックアップ機能を備えている。この車両用操舵装置1は、運転者が操舵するステアリングホイール4と、ステアリングホイール4に操舵反力を与える反力付与部20と、一対の車輪2、3を転舵させる転舵装置10と、異常時にステアリングホイール4の回転力を転舵装置10に機械的に伝達するクラッチ30と、それらを制御する制御ユニット40から構成される。
反力付与部20は、前記操舵反力を発生する反力用モータ21と、ステアリングホイール4の操舵角を検出する絶対角度検出器22と、ステアリングホイール4の回転軸5に接続された第一連結軸6(入力軸)の回転角を検出する回転角検出器23とを備えている。この回転角検出器23として、例えばレゾルバが用いられる。
転舵装置10は、車輪2、3を転舵する転舵軸11(転舵シャフト)と、この転舵軸11に動力を伝達する第二連結軸12(出力軸)と、転舵軸11を左右に移動させる転舵用モータ13と、転舵用モータ13の回転角を検出する回転角検出器14とを備えている。
クラッチ30は、図2に示すように、第一連結軸6側(ステアリングホイール4側)に設けられるクラッチ上段31と、第二連結軸12側(転舵装置10側)に設けられ、クラッチ上段31と係合するクラッチ下段32と、クラッチ下段32に取り付けた位相調整部材33と、クラッチ上段31に取付金具34によって位相調整部材33と対向するように取り付けられた基準位置検出センサ35(検出センサ)と、を備えている。クラッチ上段31には第一連結軸6が、クラッチ下段32には第二連結軸12がそれぞれ連結されており、基準位置検出センサ35は第一連結軸6とともに、位相調整部材33は第二連結軸12とともに、それぞれ軸周りに回転する。
なお、位相調整部材33をクラッチ上段31に設け、これに対向するように取付金具34(基準位置検出センサ35)をクラッチ下段32に取付けても良い。また、位相調整部材33は、第二連結軸12又は第一連結軸6に直接設けても良い。取付金具34(基準位置検出センサ35)は、第一連結軸6又は第二連結軸12に直接設けても良い。この基準位置検出センサ35と位相調整部材33とで位置調整部36が構成される。
この位相調整部材33は、半月状に形成されている。第一連結軸6と第二連結軸12が軸周りに相対回転して、位相調整部材33と基準位置検出センサ35が所定距離以内に近接すると、この基準位置検出センサ35が位相調整部材33を検出する。この検出結果から、両連結軸6、12の位相のずれの有無を知ることができる。
図1に示す制御ユニット40は、車両全体を制御する図示しないメイン制御ユニットからの指令を基に転舵角の制御を行う。この制御ユニット40には、転舵角推定部41が設けられており、この転舵角推定部41には、第一連結軸6(ステアリングホイール4)の基準角度からの回転角度、車両の走行速度をパラメータとして含む計算式が予め保存されている。
図3(a)〜(d)を用いて位相合わせ方法を説明する。なお、図3(a)〜(d)は、図2中のA−A線に沿う矢視図である。
まず、イグニッションキーをオンとし、その時点におけるステアリングホイール4の操舵角(絶対角度)を絶対角度検出器22を用いて検出する。次いで、クラッチ上段31とクラッチ下段32を分離状態とする。
位相調整部材33が、基準位置検出センサ35の検出範囲外(半月状部分以外)の位置にある場合は(図3(a)参照)、制御ユニット40からの指令に基づいて、この位相調整部材33が回転しないようにしつつ、第一連結軸6(クラッチ上段31)を反時計回りに回転させる。そして、基準位置検出センサ35が位相調整部材33を検出した時点でその回転を停止する(図3(b)参照)。この第一連結軸6の回転は、反力用モータ21を作動させることによって行う。
その一方で、位相調整部材33が、基準位置検出センサ35の検出範囲内(半月状部分内)の位置にある場合は(図3(c)参照)、制御ユニット40からの指令に基づいて、この位相調節部材33が回転しないようにしつつ、第一連結軸6(クラッチ上段31)を時計回りに回転させる。そして、基準位置検出センサ35が位相調整部材33を検出しなくなった時点でその回転を停止する(図3(d)参照)。このときも、第一連結軸6の回転は、反力用モータ21を作動させることによって行う。
このように、位相調整部材33と基準位置検出センサ35を相対回転することにより、第一連結軸6と第二連結軸12の位相を容易に合わせることができる。なお、イグニッションキーをオンとした時点で、絶対角度検出器22により検出された角度が可動範囲限界位置(ステアリングホイール4を一杯まで転舵した位置)の場合は、ギヤレシオや機械的リミットの関係で、これ以上その可動範囲限界に向かう方向に第一連結軸6を回転することはできない。そこで、第一連結軸6を回転する代わりに第二連結軸12を回転させて、両連結軸6、12の位相を合わせる。
この位相合わせ方法では、第一連結軸6と第二連結軸12の間に位相ずれがあったとしても、その位相ずれを数度未満に抑えるように調整を行うことができる。
図3(a)〜(d)に示す例では、第一連結軸6を回転させて位相合わせを行ったが、第一連結軸6(基準位置検出センサ35)側を固定する一方で、第二連結軸12(位相調整部材33)側を回転して位相合わせを行ってもよい。この第二連結軸12の回転は、転舵用モータ13を作動させることによって行う。
また、図3(c)に示したように、第一連結軸6を時計回りに回転させ、基準位置検出センサ35が位相調整部材33を一旦検出しない状態とした後に、図3(a)と同様に反時計回りに回転させることにより、再び基準位置検出センサ35が位相調整部材33を検知した状態となる。この検出状態となった時点で、第一連結軸6の回転を停止する。このように、当初の検出・非検出状態のいかんに関わらず、センサ検出時の回転方向を同一とすることにより、同一の回転停止条件で回転を停止する(基準位置検出センサ35が位相調整部材33を検出した時点で停止する)ことになり、位相合わせの精度を一層向上することができる。
位相調整時において、反力用モータ21の回転方向が明確に判るように、位相調整部材33の形状を半月状とするのが好ましいが、基準位置検出センサ35の位置を正確に検知できる限りにおいてその形状は適宜変更することもできる。
このように、クラッチ30に連結される第一連結軸6と第二連結軸12との位相を合わせることにより、絶対角度検出器22で検出された操舵角を転舵角推定部41に当てはめて、車輪2、3の転舵角を推定することができる。転舵角を推定できるようにしたことにより、転舵装置10内に、転舵軸11の絶対位置(転舵角)を検出するために通常搭載される絶対位置検出器(図4の符号15参照)を搭載しない構成とすることができる。このため、車両用操舵装置1の製造コストの低減を図ることができる。
上記の実施形態のように、イグニッションキーがオンされた時点で位相合わせを行うようにすれば、イグニッションキーは車両の運転を開始する際に必ず操作するものなので位相合わせすることを忘れないので好ましいが、位相合わせをイグニッションキーとは別に設けたスイッチを操作することにより開始するように構成することもできる。
図4に、この発明に係る車両用操舵装置1の第二実施形態の概略構成図を示す。この第二実施形態に係る車両操舵装置1は、第一実施形態に係る車両操舵装置1と基本構成は共通するが、反力付与部20に搭載していた絶対角度検出器22、制御ユニット40に搭載していた転舵角推定部41を省略する一方で(図1参照)、転舵装置10に絶対位置検出器15を、制御ユニット40に操舵角推定部42をそれぞれ設けた点において異なっている。この操舵角推定部42には、転舵軸11の基準位置からの移動量、車両の走行速度をパラメータとして含む計算式が予め保存されている。なお、位相合わせ方法は、第一実施形態と同じなので説明を省略する。
クラッチ30に連結される第一連結軸6と第二連結軸12との位相を合わせることにより、絶対位置検出器15によって検出された移動量を操舵角推定部42に当てはめることによって、ステアリングホイール4の操舵角を推定することができる。操舵角を推定できるようにしたことにより、反力付与部20内に、ステアリングホイール4の基準角度からの回転角を検出するために通常搭載される絶対角度検出器(図1の符号22参照)を搭載しない構成とすることができる。このため、車両用操舵装置1の製造コストの低減を図ることができる。
図5に、この発明に係る車両用操舵装置1の第三実施形態の概略構成図を示す。この第三実施形態に係る車両操舵装置1は、第一実施形態に係る車両操舵装置1と基本構成は共通するが、制御ユニット40に操舵角推定部42と異常監視部43を、転舵装置10に絶対位置検出器15を設けた点において異なっている。この異常監視部43は、この車両用操舵装置1に設けた各検出器の異常の有無を監視するためのものである。なお、位相合わせ方法は、第一実施形態と同じなので説明を省略する。
図6に制御ユニット40に設けた異常監視部43の構成を示す。絶対角度検出器22によって検出された操舵角を転舵角推定部41に当てはめることによって推定した車輪2、3の推定転舵角と、絶対位置検出器15によって検出された移動量から算出した車輪2、3の転舵角とを転舵角異常判定部51で比較することで、絶対位置検出器15の異常の有無を判定する。
その一方で、絶対位置検出部15によって検出された移動量を操舵角推定部42に当てはめることによって推定したステアリングホイール4の推定操舵角と、絶対角度検出器22によって検出されたステアリングホイール4の操舵角とを操舵角異常判定部52で比較することで、絶対角度検出器22の異常の有無を判定する。
絶対角度検出器22又は絶対位置検出器15の少なくとも一方について異常と判定された場合は、異常診断モード53に移行する。この異常診断モード53においては、次の診断が行われる。
絶対角度検出器22の異常が疑われる場合は、反力用モータ21を作動させ、回転角検出器23と絶対角度検出器22のそれぞれの相対回転角度を比較する(図1及び図5参照)。この相対回転角度がほぼ同じであれば絶対角度検出器22は正常であると判断される一方で、そうでない場合は絶対角度検出器22に異常が生じたと確定判断される。
絶対位置検出器15の異常が疑われる場合は、転舵用モータ13を作動させ回転角検出器14の相対回転角度と絶対位置検出器15の相対移動量から算出される相対回転角度とを比較する(図1及び図5参照)。この相対回転角度がほぼ同じであれば絶対位置検出器15は正常であると判断される一方で、そうでない場合は絶対位置検出器15に異常が生じたと確定判断される。
上記のように判断する代わりに、反力用モータ21又は転舵用モータ13を作動させ、図示しない機械的なリミット等を利用して検出器の確認動作を行うことも可能である。
上記の判断によって、絶対角度検出器22又は絶対位置検出器15のいずれか一方にのみ異常が確認された場合には、異常判定された検出器に代わり、推定結果を使ってステアバイワイヤ方式による操舵制御を維持することができる。その一方で、いずれの検出器についても異常と判定された場合には、クラッチ30を連結してステアリングホイール4の操作によって車輪2、3を直接転舵する。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、この実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は上記した説明のみではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
2、3 車輪
4 ステアリングホイール
6 第一連結軸
10 転舵装置
12 第二連結軸
15 絶対位置検出器
20 反力付与部
22 絶対角度検出器
30 クラッチ
31 クラッチ上段
32 クラッチ下段
33 位相調整部材
35 検出センサ(基準位置検出センサ)
36 位置調整部
40 制御ユニット
41 転舵角推定部
42 操舵角推定部
43 異常監視部

Claims (5)

  1. ステアリングホイール(4)と、
    前記ステアリングホイール(4)に操舵反力を与える反力付与部(20)と、
    前記反力付与部(20)に接続される第一連結軸(6)と、
    左右の車輪(2、3)を転舵する転舵装置(10)の転舵軸(11)に接続される第二連結軸(12)と、
    前記第一連結軸(6)側に設けられたクラッチ上段(31)と、前記第二連結軸(12)側に設けられ前記クラッチ上段(31)に係合自在としたクラッチ下段(32)と、を有するクラッチ(30)と、
    前記クラッチ上段(31)側又は前記クラッチ下段(32)側のうちいずれか一方側に設けられる位相調整部材(33)と、前記クラッチ上段(31)側又は前記クラッチ下段(32)側のうち前記一方側とは異なる他方側に前記位相調整部材(33)と対向して設けられ、前記位相調整部材(33)との接近又は離間を検出する検出センサ(35)と、を有する位置調整部(36)と、
    前記クラッチ上段(31)及び前記クラッチ下段(32)を互いに離間して、前記反力付与部(20)又は前記転舵装置(10)の一方を前記第一連結軸(6)又は前記第二連結軸(12)の一方を軸周りに回転し、前記位相調整部材(33)と前記検出センサ(35)が所定の相対位相範囲内となった際に前記第一連結軸(6)又は前記第二連結軸(12)の軸周りの回転を停止して、前記第一連結軸(6)と前記第二連結軸(12)との位相合わせを行う制御ユニット(40)と、
    を備えた車両用操舵装置。
  2. 前記第一連結軸(6)の基準角度からの回転角度を検出する絶対角度検出器(22)と、
    前記第一連結軸(6)及び第二連結軸(12)を所定の相対位相範囲内に位相合わせした状態で、前記絶対角度検出器(22)によって検出された操舵角を受け、その操舵角から前記車輪(2、3)の転舵角を推定する転舵角推定部(41)と、
    をさらに備えた請求項1に記載の車両用操舵装置。
  3. 前記転舵軸(11)の基準位置からの移動量を検出する絶対位置検出器(15)と、
    前記第一連結軸(6)及び第二連結軸(12)を所定の相対位相範囲内に位相合わせした状態で、前記絶対位置検出器(15)によって検出された移動量を受け、その移動量から前記ステアリングホイール(4)の操舵角を推定する操舵角推定部(42)と、
    をさらに備えた請求項1に記載の車両用操舵装置。
  4. 前記第一連結軸(6)の基準角度からの回転角度を検出する絶対角度検出器(22)と、
    前記第一連結軸(6)及び第二連結軸(12)を所定の相対位相範囲内に位相合わせした状態で、前記絶対角度検出器(22)によって検出された操舵角を受け、その操舵角から前記車輪(2、3)の転舵角を推定する転舵角推定部(41)と、
    前記転舵軸(11)の基準位置からの移動量を検出する絶対位置検出器(15)と、
    前記第一連結軸(6)及び第二連結軸(12)を所定の相対位相範囲内に位相合わせした状態で、前記絶対位置検出器(15)によって検出された移動量を受け、その移動量から前記ステアリングホイール(4)の操舵角を推定する操舵角推定部(42)と、
    前記絶対角度検出器(22)によって検出された操舵角と前記操舵角推定部(42)によって推定された操舵角、及び、前記転舵角推定部(41)によって推定された転舵角と前記移動量から算出された転舵角をそれぞれ比較して、両操舵角の間、又は両転舵角の間に差異が生じた際に異常が発生したと判断する異常監視部(43)と、
    をさらに備えた請求項1に記載の車両用操舵装置。
  5. イグニッションキーをオンにした時点で前記位相合わせを実行する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両用操舵装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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