JP2015118025A - キャピラリーナノファイバー、検出システム及び検出方法 - Google Patents
キャピラリーナノファイバー、検出システム及び検出方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2015118025A JP2015118025A JP2013262060A JP2013262060A JP2015118025A JP 2015118025 A JP2015118025 A JP 2015118025A JP 2013262060 A JP2013262060 A JP 2013262060A JP 2013262060 A JP2013262060 A JP 2013262060A JP 2015118025 A JP2015118025 A JP 2015118025A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- light
- tube portion
- capillary
- nano
- resonator
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Investigating, Analyzing Materials By Fluorescence Or Luminescence (AREA)
- Investigating Or Analysing Materials By Optical Means (AREA)
Abstract
【課題】 キャピラリーを用いた極微量物質の検出技術において、より一層微量のサンプルで極微量物質を検出する。【解決手段】 本発明のキャピラリーナノファイバー1は、ナノキャピラリー2と、第1ナノ光ファイバー4とを備える。ナノキャピラリー2は、内部に光透過性液体を流通させる貫通孔2aが形成された光透過性を有する第1管部11を含み、第1管部11の外径が、第1管部11を伝搬する光の波長以下のサイズである。また、第1ナノ光ファイバー4は、外径が第1管部11を伝搬する光の波長以下のサイズである第1光導波路を有し、第1光導波路の一部が第1管部11の一方の端部側のナノキャピラリー2内の所定位置に接続され、第1光導波路の一部を介してナノキャピラリー2を伝搬する光の一部を取り込む。【選択図】 図1
Description
本発明は、液体中の極微量物質を検出するためのキャピラリーナノファイバー、それを備える検出システム、及び、該検出システムを用いた極微量物質の検出方法に関する。
近年、医療検査技術やバイオ技術などの進展に伴い、水溶液中に存在する様々なバイオ分子の種別を極微量及び/又は高感度の条件で検出可能にする技術のニーズが高まっている。
一般的なバイオ定量技術としては、抗原抗体反応を用いるエンザイムイムノアッセイ法が知られている。この手法は、オフラインでバイオ分子を色素等で修飾し(ラベリングし)、色素の蛍光を測定してバイオ分子を検出する手法であり、この手法(ラベリング法)によれば、単一分子も高感度で検出することができる。
また、従来、分子等の極微量物質にラベリングを施さない手法(ラベリングフリー法)により、水溶液中の極微量物質を検出する技術も種々提案されている。ラベリングフリー法の中でも有望な手法としては、極微量物質固有の屈折率を計測し、その計測結果に基づいて水溶液中の極微量物質を検出する屈折率計測法が挙げられる。そして、この屈折率計測法としては、光共鳴を用いる手法(例えば、表面プラズモン共鳴法、リング共振器法、ファブリーペロー共振器法等)、マイクロ/ナノ流路を用いる手法(例えば、ナノメンブレン法、ナノ多孔質シリコンセンサーを用いる手法等)、又は、これらの2つの手法を組み合わせた手法(例えば、フォトニック結晶法、多ナノ流路ファブリーペロー法等)が提案されている(例えば、特許文献1及び2、並びに、非特許文献1参照)。
X. Fan, I. M. White,"Optofluidic microsystems for chemical and biological analysis.",Nature Photonics,Vol.5,第591-597頁,2011年
上述のように、従来、医療検査技術やバイオ技術などの分野では、水溶液中のバイオ分子等の極微量物質を検出するための手法が種々提案されている。しかしながら、この技術分野では、さらに、より一層微量のサンプルで、水溶液中の極微量物質を検出する技術の開発が求められている。
本発明は、上記要望に応えるためになされたものであり、本発明の目的は、より一層微量のサンプルで、極微量物質(単一分子レベルの極微量分子等)を検出可能とする技術を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明のキャピラリーナノファイバーは、ナノキャピラリーと、第1ナノ光ファイバーとを備える。ナノキャピラリーは、内部に光透過性液体を流通させる貫通孔が形成された光透過性を有する第1管部を含み、第1管部の外径が、第1管部の貫通孔に光透過性液体が流通した状態で第1管部を伝搬する光の波長以下のサイズである。また、第1ナノ光ファイバーは、外径が第1管部を伝搬する光の波長以下のサイズである第1光導波路を有し、第1光導波路の一部が第1管部の一方の端部側のナノキャピラリー内の所定位置に接続され、第1光導波路の一部を介してナノキャピラリーを伝搬する光の一部を取り込む。
また、本発明の検出システムは、上記本発明のキャピラリーナノファイバーを備える検出システムであり、上記本発明のナノキャピラリーと、上記本発明の第1ナノ光ファイバーと、第1ナノ光ファイバーで取り込まれた光の一部を検出する光検出部と、を備え、光検出部の検出結果に基づいて、光透過性液体に含まれる所定の極微量物質を検出する。
さらに、本発明の検出方法は、上記本発明の検出システムを用いた極微量物質の検出方法であり、次の手順で行われる。まず、光ファイバーが、光導波路の一部を介してキャピラリーを伝搬する光の一部を取り込む。次いで、光検出部が、光ファイバーにより取り込まれた光の一部を検出する。そして、光検出部の検出結果に基づいて、光透過性液体に含まれる所定の極微量物質が検出される。
上述のように、本発明のナノキャピラリーナノファイバーでは、ナノキャピラリーの第1管部の外径は、第1管部を伝搬する光の波長以下のサイズであり、ナノキャピラリーを伝搬する光の一部を取り込む第1ナノ光ファイバーの第1光導波路の外径は、伝搬光の波長以下のサイズである。すなわち、本発明では、極微小領域(後述のようにフェムトリットルオーダーの領域)に、極微量物質を含む光透過性液体及び伝搬光(後述のプローブ光又は蛍光)が局在した状態を生成することができる。
それゆえ、本発明によれば、より一層微量のサンプルで、極微量物質(単一分子レベルの極微量分子等)を検出することができる。
以下に、本発明の各種実施形態に係るキャピラリーナノファイバー及びそれを備える検出システムの構成例を、図面を参照しながら説明する。
<第1の実施形態>
第1の実施形態では、ラベリングフリー法の一つである屈折率計測法により水溶液(サンプル)中の極微量物質(単一分子レベルの極微量分子、ナノ粒子等)を検出するためのキャピラリーナノファイバー及びそれを備える検出システムについて説明する。
第1の実施形態では、ラベリングフリー法の一つである屈折率計測法により水溶液(サンプル)中の極微量物質(単一分子レベルの極微量分子、ナノ粒子等)を検出するためのキャピラリーナノファイバー及びそれを備える検出システムについて説明する。
[キャピラリーナノファイバーの構成]
まず、本発明の第1の実施形態に係るキャピラリーナノファイバーの構成を、図1を参照しながら説明する。なお、図1は、第1の実施形態のキャピラリーナノファイバーの概略構成図である。
まず、本発明の第1の実施形態に係るキャピラリーナノファイバーの構成を、図1を参照しながら説明する。なお、図1は、第1の実施形態のキャピラリーナノファイバーの概略構成図である。
キャピラリーナノファイバー1は、図1に示すように、ナノキャピラリー2と、光入力用ナノ光ファイバー3(第2ナノ光ファイバー)と、光出力用ナノ光ファイバー4(第1ナノ光ファイバー)とを備える。
本実施形態のキャピラリーナノファイバー1では、光入力用ナノ光ファイバー3の一部が、ナノキャピラリー2の後述する一方(液体流入側)の接続部12の外周面に接続され、光出力用ナノ光ファイバー4の一部が、ナノキャピラリー2の後述する他方(液体流出側)の接続部12の外周面に接続される。なお、各ナノ光ファイバーは、後述するように、対応する接続部に例えば加熱融着等の手法により接続される。これにより、各ナノ光ファイバーとナノキャピラリー2との接続領域には、マイクロファイバーカプラが構成される。
[ナノキャピラリーの構成]
次に、本実施形態のナノキャピラリー2の構成を、図1及び図2を参照しながら説明する。なお、図2は、本実施形態のナノキャピラリー2に設けられた共振器の一構成例を示すSEM写真である。
次に、本実施形態のナノキャピラリー2の構成を、図1及び図2を参照しながら説明する。なお、図2は、本実施形態のナノキャピラリー2に設けられた共振器の一構成例を示すSEM写真である。
ナノキャピラリー2は、図1に示すように、ナノ流路部11(第1管部)と、ナノ流路部11の各端部に接続された接続部12(第4,第5管部)と、各接続部12のナノ流路部11側とは反対側の端部に設けられたキャピラリー本体部13(第2,第3管部)とを備える。
ナノキャピラリー2は、例えばシリカ等の光透過性材料で形成された円筒状部材であり、その内部には、ナノキャピラリー2の延在方向に沿って貫通孔2aが設けられる。極微量物質(被検出物質)の計測時には、ナノキャピラリー2の貫通孔2aに検査対象となるサンプルの水溶液(光透過性液体)が流動される。それゆえ、ナノキャピラリー2の貫通孔2aは検査対象となるサンプル(水溶液)の流路になる。
また、ナノキャピラリー2は、後述のように、従来、一般的に使用されているキャピラリー管の一部(ナノ流路部11に対応する領域)を加熱延伸して作製される。それゆえ、貫通孔2aの径(ナノキャピラリー2の内径)は、ナノキャピラリー2の延在方向に沿って一定ではなく、接続部12では、キャピラリー本体部13からナノ流路部11に向かって連続的に小さくなり、ナノ流路部11において最小となる。なお、詳細な説明は省略するが、ナノ流路部11における外径と内径との比は、キャピラリー本体部13における外径と内径との比とほぼ同じ値であり、このことは、本発明者の検証実験により確認されている。
ナノ流路部11は、その外径がナノ流路部11を伝搬する光(後述のプローブ光)の波長程度以下のサイズに設定された円筒状部材である。具体的には、ナノ流路部11の外径は、サブミクロンオーダー(数百ナノオーダー)のサイズに設定される。なお、ナノ流路部11の外径は、例えばナノ流路部11を伝搬する光の強度分布(光の閉じ込め量)などの特性を考慮して適宜設定され、好ましくは、伝搬光の波長の1/2程度、より好ましくは、伝搬光の波長の2/3程度のサイズに設定される。
また、本実施形態では、後述するように、貫通孔2aに水溶液を流動させた状態で、光入力用ナノ光ファイバー3からナノ流路部11に、屈折率変化計測用の光(以下、プローブ光という)が入射される(後述の図5参照)。この際、水溶液の屈折率はナノ流路部11の形成材料であるシリカの屈折率に近い値であるので、ナノ流路部11は光導波路(ナノ光ファイバー)として作用し、入射されたプローブ光がナノ流路部11を伝搬する。
すなわち、本実施形態では、極微量物質の屈折率計測時には、ナノ流路部11内の貫通孔2aは、水溶液(サンプル)のナノサイズの微小流路として作用するだけでなく、プローブ光の光導波路としても作用する。なお、ナノ流路部11の外径は上述のように伝搬光(プローブ光)の波長程度以下のサイズであるので、ナノ流路部11において、プローブ光は、近接場光として伝搬し、該プローブ光の一部がナノ流路部11の周囲の領域(自由空間)にしみ出した状態で伝搬する。
さらに、本実施形態では、ナノ流路部11の中央部の外周面に共振器14が設けられる。具体的には、図2に示すように、ナノ流路部11の外周面に、ナノ流路部11の延在方向に沿って一列に配列された複数の微小凹部15(凹凸パターン)により構成された共振器14が設けられる。
各微小凹部15は、お椀状の凹部であり、その開口形状は円形である。また、各微小凹部15の深さは、各微小凹部15の底部がナノ流路部11の貫通孔2aに到達しないような深さに設定される。また、各微小凹部15の開口サイズ及び隣り合う2つの微小凹部15間の配置間隔(以下、微小凹部15のピッチという)は、略均一である。なお、各微小凹部15の開口サイズ及び微小凹部15のピッチは、ナノ流路部11を伝搬するプローブ光の波長に応じて適宜設定される。例えば、プローブ光の波長と、共振器14の共鳴波長とが略同一になるように、各微小凹部15の開口サイズ及び微小凹部15のピッチが設定される。
なお、本実施形態では、図2に示すように、各微小凹部15の開口サイズ及び微小凹部15間のピッチは、サブミクロンオーダーのサイズで非常に精度良く均一に形成される。また、各微小凹部15の深さも、サブミクロンオーダーのサイズとなる。このような複数の微小凹部15からなる共振器14の作製手法については、後で詳述する。
接続部12は、その外径がナノ流路部11からキャピラリー本体部13に向かって連続的に大きくなる円筒状部材である。すなわち、接続部12は、その外径がナノ流路部11からキャピラリー本体部13に向かってテーパー状に広がった円筒状部材である。なお、接続部12の内部に形成された貫通孔2aもまた、その直径がナノ流路部11からキャピラリー本体部13に向かってテーパー状に広がった孔(流路)となる。
また、本実施形態では、従来のキャピラリー管の一部(ナノ流路部11に対応する領域)を加熱延伸してナノキャピラリー2を作製するので、キャピラリー本体部13は、従来のキャピラリー管と同様の構成を有する。すなわち、キャピラリー本体部13の外径及び内径(貫通孔2aの直径)のサイズは、従来、一般的に使用されているキャピラリー管のそれらと同様のサイズになる。
なお、ナノキャピラリー2の構成は、図1及び図2に示す例に限定されず、例えば、外径が数ミクロンオーダーからサブミクロンオーダーの範囲のサイズであり、該外径が延在方向に沿って均一であるようなキャピラリー管を用いてもよい。
[各ナノ光ファイバーの構成]
光入力用ナノ光ファイバー3は、断面形状が円形であるコア及びクラッドを有する光ファイバーで構成される。なお、本実施形態では、光入力用ナノ光ファイバー3は、従来、一般的に使用されている通信用光ファイバーの一部(ナノキャピラリー2の接続部12との接続部分及びその近傍領域)を加熱延伸して作製される。それゆえ、光入力用ナノ光ファイバー3は、図1に示すナノキャピラリー2の外形とほぼ同じ外形を有する。
光入力用ナノ光ファイバー3は、断面形状が円形であるコア及びクラッドを有する光ファイバーで構成される。なお、本実施形態では、光入力用ナノ光ファイバー3は、従来、一般的に使用されている通信用光ファイバーの一部(ナノキャピラリー2の接続部12との接続部分及びその近傍領域)を加熱延伸して作製される。それゆえ、光入力用ナノ光ファイバー3は、図1に示すナノキャピラリー2の外形とほぼ同じ外形を有する。
すなわち、光入力用ナノ光ファイバー3は、直径が、光入力用ナノ光ファイバー3を伝搬する光(プローブ光)の波長程度以下のサイズ(コアの直径が、数ミクロンオーダーからサブミクロンオーダーの範囲のサイズ)であるナノ光導波路部(第1光導波路)と、その両端にそれぞれ設けられたテーパー形状の接続部と、各接続部のナノ光導波路部側とは反対側の端部に設けられたファイバー本体部とを備える。
なお、図1には、説明を簡略化するため、光入力用ナノ光ファイバー3のナノ光導波路部のみを示す。そして、この光入力用ナノ光ファイバー3のナノ光導波路部を伝搬するプローブ光は、近接場光として伝搬し、該プローブ光の一部が光入力用ナノ光ファイバー3の周囲の領域(自由空間)にしみ出した状態で伝搬する。
また、光出力用ナノ光ファイバー4は、光入力用ナノ光ファイバー3と同様の構成を有する。それゆえ、ここでは、光出力用ナノ光ファイバー4の構成の説明は省略する。
なお、各ナノ光ファイバーの構成は、上記構成に限定されず、例えば、クラッドの周囲に、加工性に優れた例えばポリマー等の材料からなるコーティング層を形成してもよい。また、本実施形態では、延在方向に沿って外径が連続的に変化するナノ光ファイバーを用いる例を説明したが、本発明はこれに限定されず、数ミクロンオーダーからサブミクロンオーダーの外径を有し、該外径が延在方向に沿って均一であるナノ光ファイバーを用いてもよい。
[キャピラリーナノファイバーの作製手法]
次に、キャピラリーナノファイバー1の作製手法について説明する。
次に、キャピラリーナノファイバー1の作製手法について説明する。
(1)ナノキャピラリーの作製手法
まず、従来、一般的に使用されているシリカ製のキャピラリー管を用意する。次いで、キャピラリー管の一部(ナノ流路部11に対応する領域)を加熱延伸する。これにより、ナノキャピラリー2の2つの接続部12及び2つのキャピラリー本体部13が形成される。また、この加熱延伸処理により、2つの接続部12間の加熱延伸された領域には、外径が数ミクロンオーダーからサブミクロンオーダーの範囲のサイズである管状部材領域が形成され、その内部には、微小な貫通孔2a(微小流路)が形成される。
まず、従来、一般的に使用されているシリカ製のキャピラリー管を用意する。次いで、キャピラリー管の一部(ナノ流路部11に対応する領域)を加熱延伸する。これにより、ナノキャピラリー2の2つの接続部12及び2つのキャピラリー本体部13が形成される。また、この加熱延伸処理により、2つの接続部12間の加熱延伸された領域には、外径が数ミクロンオーダーからサブミクロンオーダーの範囲のサイズである管状部材領域が形成され、その内部には、微小な貫通孔2a(微小流路)が形成される。
次いで、加熱延伸された領域(ナノ流路部11に対応する領域)の外周面に、上述した複数の微小凹部15からなる共振器14(ナノ構造体)を形成する。ここで、図3を参照しながら、共振器14を形成手法について説明する。なお、図3は、本実施形態で用いた共振器14の製造装置の概略構成及び共振器14の形成時の様子を示す図である。
共振器14の製造装置200は、図3に示すように、光源部211と、集光レンズ部212と、回折分光部213と、第1光学系214と、第2光学系215と、0次光遮蔽板216(遮蔽板)とを備える。各部の構成及び機能、並びに、各部間の配置関係は、次の通りである。
光源部211は、レーザー光源211aと、該レーザー光源211aの位置調整のために設けられたマイクロメータ211bとを有する。レーザー光源211aは、例えばフェムト秒パルスレーザーで構成される。なお、レーザー光源211aの波長は、例えば、必要とする微小凹部15のピッチ等の条件を考慮して適宜選択される。
集光レンズ部212は、集光レンズ212aと、該集光レンズ212aをその光入射面内(光出射面内)において回転可能に保持する回転マウント212bとを有する。集光レンズ212aは、レーザー光源211aの光射出側の位置に設けられ、レーザー光源211aから射出されたパルスレーザー光を集光する。なお、本実施形態では、集光レンズ212aとして、シリンドリカルレンズを用いる。そして、集光レンズ212aでは、入射されたパルスレーザー光は、後述の位相マスク213aの凹凸パターン(グレーティング)の周期方向と直交する方向の光幅が狭くなるように集光される。
回折分光部213は、位相マスク213aと、該位相マスク213aを保持する保持ブロック部213bとを有する。位相マスク213aは、集光レンズ212aの光出射側の位置に設けられ、集光レンズ212aを介して入射された光L(パルスレーザー光)を回折して、光Lを、主に、0次の回折光L0、+1次の回折光L1、及び、−1次の回折光L2に分光する。なお、位相マスク213aの光出射面には、所定ピッチの凹凸パターン(グレーティング)が形成されており、この凹凸パターンにより、入射された光Lが回折され、0次の回折光L0、+1次の回折光L1、及び、−1次の回折光L2に分光される。また、位相マスク213aの凹凸パターン(グレーティング)のピッチdは、ナノ流路部11に形成する微小凹部15のピッチ(d/2:干渉縞Iのピッチ)に応じて適宜設定される。
第1光学系214は、第1反射ミラー214aと、該第1反射ミラー214aを保持する第1ミラー保持部材214bとを有する。また、第1光学系214は、第1ミラー保持部材214bに取り付けられた、第1反射ミラー214aの位置及び角度を調整するためのマイクロメータ214c及びピコモーター214dを有する。第1光学系214は、位相マスク213aとナノキャピラリー2との間の領域に設けられ、且つ、位相マスク213aから射出された+1次の回折光L1の光路上に設けられる。
第2光学系215は、第2反射ミラー215aと、該第2反射ミラー215aを保持する第2ミラー保持部材215bとを有する。また、第2光学系215は、第2ミラー保持部材215bに取り付けられた、第2反射ミラー215aの位置及び角度を調整するためのマイクロメータ215c及びピコモーター215dを有する。第2光学系215は、位相マスク213aとナノキャピラリー2との間の領域に設けられ、且つ、位相マスク213aから射出された−1次の回折光L2の光路上に設けられる。
0次光遮蔽板216は、位相マスク213aとナノキャピラリー2との間の領域に設けられ、且つ、位相マスク213aから射出された0次の回折光L0の光路上に設けられる。これにより、0次の回折光L0がナノ流路部11の所定領域に照射されることを防止する。
なお、本実施形態では、レーザー光源211aから射出されたパルスレーザー光が、該装置内にセットされたナノキャピラリー2のナノ流路部11の所定領域(本実施形態では中央領域)に焦点が合うように、製造装置200の各部の光学パラメータ、配置位置等が適宜設定される。
上述した製造装置200を用いて、ナノ流路部11に複数の微小凹部15からなる共振器14を形成する手法の手順は次の通りである。
まず、ナノ流路部11に対応する領域が加熱延伸されたキャピラリー管を製造装置200にセットする。この際、図3に示すように、ナノキャピラリー2の延在方向が、位相マスク213aの凹凸パターン(グレーティング)の周期方向と一致するように、ナノキャピラリー2を製造装置200にセットする。また、この際、パルスレーザー光の焦点位置に、ナノ流路部11の中央部が位置するように、ナノキャピラリー2を製造装置200にセットする。次いで、ナノキャピラリー2の貫通孔2aに例えば水等の透明液体を充填する。
そして、レーザー光源211aから所定の波長、パルス幅及び照射エネルギーを有するパルスレーザー光を射出し、パルスレーザー光の+1次の回折光L1及び−1次の回折光L2を、貫通孔2aに透明液体が充填されたナノキャピラリー2のナノ流路部11の所定領域に集光させる。その結果、両方の回折光が互いに重なり合い、ナノ流路部11の所定領域には、ナノ流路部11の延在方向に沿って干渉縞Iが発生する。
なお、この際、ナノ流路部11に照射される集光ビームの直径(約30μm程度)は、通常、ナノ流路部11の外径に対して十分大きい。また、ナノ流路部11の貫通孔2aには、例えば水等の透明液体が充填されている。それゆえ、ナノ流路部11は、入射光(干渉縞I)に対して円柱レンズとして作用する。その結果、ナノ流路部11に入射された光(干渉縞I)は、ナノ流路部11の裏面(ナノ流路部11の光入射面とは反対側の面)にさらに強く集光される。
この場合、ナノ流路部11の裏面のスポット領域(干渉縞I中の光の照射強度が高くなる領域)では、パルスレーザー光の強度が非常に高くなり、多光子吸収が発生する。そして、この多光子吸収作用により、ナノ流路部11の裏面のスポット領域にはアブレーションが発生し、微小凹部15が形成される(図2参照)。すなわち、本実施形態では、透明液体が内部に充填されたナノキャピラリー2のレンズ効果による多光子吸収作用を増強することにより、複数の微小凹部15が、ナノ流路部11の延在方向に沿って、干渉縞Iのピッチに対応する間隔(等間隔)でナノ流路部11の裏面に同時に形成される。なお、形成される微小凹部15の開口サイズ及び深さは、照射されるパルスレーザー光の強度により調整することができる。
本実施形態では、上述のようにして、ナノ流路部11の延在方向に沿って等間隔で配列された複数の微小凹部15からなる共振器14を形成し、ナノキャピラリー2の作製が完了する。
(2)ナノ光ファイバーの作製手法
次に、光入力用ナノ光ファイバー3及び光出力用ナノ光ファイバー4の作製手法について説明する。なお、光出力用ナノ光ファイバー4の作製手法は、光入力用ナノ光ファイバー3のそれと同様であるので、ここでは、光入力用ナノ光ファイバー3の作製手法についてのみ説明する。
次に、光入力用ナノ光ファイバー3及び光出力用ナノ光ファイバー4の作製手法について説明する。なお、光出力用ナノ光ファイバー4の作製手法は、光入力用ナノ光ファイバー3のそれと同様であるので、ここでは、光入力用ナノ光ファイバー3の作製手法についてのみ説明する。
まず、従来の通信システムで用いられるコア及びクラッドを有する通信用光ファイバーを用意する。次いで、用意した通信用光ファイバーの一部を加熱延伸する。
これにより、図1に示すナノキャピラリー2の外形とほぼ同じ外形を有する光入力用ナノ光ファイバー3が形成される。具体的には、直径が、光入力用ナノ光ファイバー3を伝搬するプローブ光の波長程度以下のサイズ(コアの直径が、数ミクロンオーダーからサブミクロンオーダーの範囲のサイズ)であるナノ光導波路部と、その両端にそれぞれ設けられたテーパー形状の接続部と、各接続部のナノ光導波路部側とは反対側の端部に設けられたファイバー本体部とを備えた光入力用ナノ光ファイバー3が作製される。
(3)マイクロファイバーカプラ構造の作製手法
上述のようにして、ナノキャピラリー2、並びに、光入力用ナノ光ファイバー3及び光出力用ナノ光ファイバー4を作製した後、例えば加熱融着等の手法を用いて、光入力用ナノ光ファイバー3のナノ光導波路部の一部をナノキャピラリー2の一方(水溶液の流入側)の接続部12の一部の表面に接続する。また、同様にして、光出力用ナノ光ファイバー4のナノ光導波路部の一部をナノキャピラリー2の他方(水溶液の流出側)の接続部12の一部の表面に接続する。これにより、ナノキャピラリー2と、各ナノ光ファイバーとの接続領域には、マイクロファイバーカプラが作製される。
上述のようにして、ナノキャピラリー2、並びに、光入力用ナノ光ファイバー3及び光出力用ナノ光ファイバー4を作製した後、例えば加熱融着等の手法を用いて、光入力用ナノ光ファイバー3のナノ光導波路部の一部をナノキャピラリー2の一方(水溶液の流入側)の接続部12の一部の表面に接続する。また、同様にして、光出力用ナノ光ファイバー4のナノ光導波路部の一部をナノキャピラリー2の他方(水溶液の流出側)の接続部12の一部の表面に接続する。これにより、ナノキャピラリー2と、各ナノ光ファイバーとの接続領域には、マイクロファイバーカプラが作製される。
本実施形態では、上述のようにして、キャピラリーナノファイバー1が作製される。なお、本実施形態では、各ナノ光ファイバーは、ナノキャピラリー2の接続部12内の領域において、伝搬光(プローブ光)の一部が周囲の領域(自由空間)にしみ出しているような位置に接続されることが好ましい。また、本実施形態では、ナノキャピラリー2と各ナノ光ファイバーとの間のプローブ光(近接場光)の結合性能をより高くするため、各ナノ光ファイバーを、ナノ流路部11により近い位置に接続することが好ましい。
[キャピラリーナノファイバーの動作及び極微量物質の検出原理]
次に、本実施形態のキャピラリーナノファイバー1の動作及び極微量物質の検出原理について説明する。
次に、本実施形態のキャピラリーナノファイバー1の動作及び極微量物質の検出原理について説明する。
まず、ナノキャピラリー2の貫通孔2aに所定の水溶液(例えば、水、導電性液体等)を流す。この際、本実施形態では、光入力用ナノ光ファイバー3側の貫通孔2aの開口部から光出力用ナノ光ファイバー4側の貫通孔2aの開口部に向かって水溶液(サンプル)を流通させる。なお、水溶液の流動手法としては、ポンプにより水溶液を流動させる手法を用いてもよいし、電気泳動により水溶液を流動させる手法を用いてもよい。
次いで、ナノキャピラリー2内部に水溶液(サンプル)が流通した状態で、光入力用ナノ光ファイバー3にプローブ光を伝搬させる。そして、プローブ光が光入力用ナノ光ファイバー3とナノキャピラリー2(接続部12)との接続領域に到達すると、その接続領域に形成されたマイクロファイバーカプラの作用により、プローブ光の一部が分岐して、ナノキャピラリー2の内部に入射される。
ナノキャピラリー2の内部に入射されたプローブ光の一部は、その後、光入力用ナノ光ファイバー3が接続された接続部12から、ナノ流路部11を介して、光出力用ナノ光ファイバー4が接続された接続部12に向かって伝搬する。そして、ナノ流路部11を通過した光が、光出力用ナノ光ファイバー4とナノキャピラリー2(接続部12)との接続領域に到達すると、その接続領域に形成されたマイクロファイバーカプラの作用により、ナノ流路部11を通過した光の一部が分岐して、光出力用ナノ光ファイバー4の内部に入射される。その後、この光出力用ナノ光ファイバー4の内部に入射された光を、フォトダイオードで検出する。
このようなナノキャピラリー2内部のプローブ光の伝搬過程において、プローブ光(近接場光)は、ナノ流路部11に形成された共振器14により共振作用の影響を受ける。具体的には、共振器14の共振条件を満たす光成分(以下、共振モード成分という)、すなわち、プローブ光の波長成分が増幅される。この結果、ナノキャピラリー2から光出力用ナノ光ファイバー4に射出される光のスペクトル分布では、共振器14で発生する共振モード成分の波長(共鳴波長)において、ピークが発生する。
ここで、図4に、ナノキャピラリー2から光出力用ナノ光ファイバー4に射出される光のスペクトル分布の一例を示す。図4に示すスペクトル分布図の横軸は波長であり、縦軸は透過率Tである。
なお、図4に示すスペクトル分布が得られたナノキャピラリー2の具体的な構成は、次の通りである。ナノキャピラリー2の形成材料は、屈折率が1.45のシリカとした。ナノキャピラリー2のナノ流路部11の外径は600nmであり、内径は250nmであった。なお、このようなサイズを有するナノ流路部11を備えたナノキャピラリー2は、例えば、外径が120μmであり且つ内径が50μmである、従来、一般的に使用されているシリカ製キャピラリー管の一部を加熱延伸することにより作製することができる。また、共振器14は、開口サイズが約200nmであり且つ深さが約120nmである微小凹部15を複数、等間隔で配置して構成した(共振器長は約1mm程度)。さらに、ナノ流路部11の貫通孔2a内には、屈折率ncが約1.33の水溶液を流動させた。
図4に示す例では、共鳴波長は、約802.41nmであり、この共鳴波長において非常に急峻なピークが発生していることが分かる。また、図4に示す例では、共鳴波長におけるピークスペクトルの半値全幅FWHMは約0.5pmとなり、Q値は約1.5×106となった。すなわち、本実施形態のキャピラリーナノファイバー1では、非常に大きなQ値が得られることが分かる。なお、本明細書では、共鳴波長をλresとし、半値全幅FWHMをΔλresとした場合、該共鳴波長のQ値は、λres/Δλresで定義される。
そして、ナノキャピラリー2内の水溶液に該水溶液と異なる極微量物質(単一分子レベルの極微量分子)が含まれる場合には、水溶液の屈折率が変化するので、光出力用ナノ光ファイバー4の出力側で測定されたスペクトル分布において共鳴波長がシフトする。本実施形態では、この共鳴波長の変化に基づいて、水溶液(サンプル)中に極微量物質が含まれるか否かを判定する。
この際、共鳴波長の変化(例えばシフト方向及びシフト量)を、従来の光共鳴計測法と同様に、波長を掃引して計測し、その計測結果に基づいて水溶液中の極微量物質の有無を判定することもできるが、本実施形態では、屈折率計測のダイナミックレンジを拡大させるために別の手法を用いる。具体的には、水溶液(サンプル)の屈折率変化により発生する共鳴波長の変化を補償するため(零にするため)に必要な共振器14の実効共振器長の調整量(伸縮量及び伸縮方向)を求め、その実効共振器長の調整量に基づいて、水溶液中に極微量物質が含まれるか否かを判定する。
[極微量物質の検出システム]
(1)検出システムの構成
次に、図5を参照しながら、上述した極微量物質の検出動作を実現するための検出システムの一構成例について説明する。なお、図5は、本実施形態のキャピラリーナノファイバー1を備える極微量物質の検出システムの概略ブロック構成図である。
(1)検出システムの構成
次に、図5を参照しながら、上述した極微量物質の検出動作を実現するための検出システムの一構成例について説明する。なお、図5は、本実施形態のキャピラリーナノファイバー1を備える極微量物質の検出システムの概略ブロック構成図である。
検出システム20は、キャピラリーナノファイバー1と、キャピラリー保持装置21と、直流電源回路22と、電圧表示装置23と、レーザー光源24(光源)と、光学系25と、フォトダイオード26(光検出部)と、高周波変調器27と、ロックイン回路28(制御部)とを備える。
なお、図5には示さないが、本実施形態の検出システム20の外部には、キャピラリーナノファイバー1の内部に水溶液(サンプル)を流動させるための流動装置が設けられる。具体的には、水溶液の流動手法としてポンプを用いる場合には、ポンプが流動装置として設けられる。また、水溶液の流動手法として電気泳動法を用いる場合には、キャピラリーナノファイバー1内部の水溶液に対して、キャピラリーナノファイバー1の延在方向に沿って電界を印加するための高圧電源装置(電界印加装置)が流動装置として設けられる。なお、これらの流動装置が検出システム20に含まれていてもよい。
キャピラリー保持装置21は、第1保持部21aと、第2保持部21bと、アクチュエータ21c(共振器長調整部)とを有する。
第1保持部21aは、ナノキャピラリー2の一方(水溶液の流入側)のキャピラリー本体部13を固定して保持する。一方、第2保持部21bは、ナノキャピラリー2の他方(透明液体の流出側)のキャピラリー本体部13を固定して保持する。
アクチュエータ21cは、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)アクチュエータで構成される。具体的には、アクチュエータ21cは、現在、一般的に用いられているPZTアクチュエータ、例えば、最大印加電圧150Vで長さが20μm増大するようなPZTアクチュエータで構成することができる。
アクチュエータ21cは、直流電源回路22から供給される駆動電圧に基づいて伸縮し、第1保持部21a及び第2保持部21b間の距離、すなわち、ナノキャピラリー2(共振器14)の実効共振器長を微調整する。また、アクチュエータ21cは、第1保持部21a及び第2保持部21b間の距離を微調整可能となるように、キャピラリー保持装置21内部に適宜取り付けられる。
なお、本実施形態では、アクチュエータ21cとして、PZTアクチュエータを用いる例を説明したが、本発明はこれに限定されない。PZTアクチュエータと同様の精度で且つ同様のダイナミックレンジで共振器14の実効共振器長を調整することができるアクチュエータであれば任意のアクチュエータをアクチュエータ21cとして用いることができる。
直流電源回路22は、アクチュエータ21cに電気的に接続され、アクチュエータ21cに直流電圧を供給して、アクチュエータ21cを駆動制御する。この際、直流電源回路22は、ロックイン回路28から入力されるフィードバック信号(後述の補償信号)に基づいて、共振器14の共鳴波長が一定となるように、所定の直流電圧をアクチュエータ21cに供給する。すなわち、本実施形態の検出システム20では、ロックイン回路28から入力されるフィードバック信号に基づいて、アクチュエータ21cをフィードバック制御して(共振器14の実効共振器長を調整して)、ナノキャピラリー2の共振器14の共鳴波長の変化を補償する。
なお、共振器14の実効共振器長のフィードバック制御では、直流電源回路22は、予め所定のバイアス電圧をアクチュエータ21cに供給した状態から、フィードバック信号に基づいてアクチュエータ21cに供給する直流電圧を増減させる。この際、アクチュエータ21cに予め印加される所定のバイアス電圧の値は、例えば、検出すべき極微量物質の種別、必要とする検出精度等を考慮して適宜設定される。
例えば、最大電圧150Vで駆動可能なアクチュエータ21cを備える検出システム20において、水溶液の屈折率が変化した際(極微量物質が検出された際)に、アクチュエータ21cの駆動電圧を下げる制御が主流となる場合には、アクチュエータ21cのバイアス電圧は例えば約130V程度の高めの電圧に設定してもよい。また、最大電圧150Vで駆動可能なアクチュエータ21cを備えた検出システム20において、アクチュエータ21cのバイアス電圧を、単純に、最大電圧150Vの中間電圧(例えば約70〜80V程度)に設定してもよい。
また、直流電源回路22は、電圧表示装置23に電気的に接続され、アクチュエータ21cに出力する直流電圧値を示すモニター信号を電圧表示装置23に出力する。そして、本実施形態では、電圧表示装置23に表示される直流電圧値が所定方向(プラス方向又はマイナス方向)に所定値以上、変化した場合に、水溶液中に極微量物質が存在すると判定する。なお、この際の判定の閾値となるアクチュエータ21cの駆動電圧の変化量は、例えば、極微量物質の種別や、計測環境に起因して発生する駆動電圧の変化量などを考慮して適宜設定される。
電圧表示装置23は、直流電源回路22から入力されたモニター信号に基づいて、アクチュエータ21cに出力されている駆動電圧の値を所定の態様で表示する。なお、図5に示す例では、電圧表示装置23において、駆動電圧の値をアナログ表示する例を示すが、本発明はこれに限定されず、電圧表示装置23において、駆動電圧の値をデジタル表示してもよい。
また、本実施形態では、電圧表示装置23は、直流電源回路22から入力されたモニター信号に基づいて、水溶液(サンプル)中に極微量物質が含まれるか否かを判別する極微量物質の検出機能を備えていてもよい。また、電圧表示装置23は、駆動電圧の時間変化データを記憶する機能を備えていてもよいし、該駆動電圧の時間変化データを画像表示する及び/又は印刷する出力機能を備えていてもよい。
さらに、電圧表示装置23は、駆動電圧の変化量が所定値以上になり、極微量物質の存在が認められた場合に、その旨の情報を、文字で表示する機能、音声で知らせる機能、光の点消滅で知らせる機能等の各種報知機能を備えていてもよい。また、本実施形態では、これらの極微量物質の判別結果の表示機能、記憶機能及び報知機能が、それぞれ、電圧表示装置23とは別個の装置として設けられていてもよい。
レーザー光源24は、例えば波長固定(安定化)レーザーで構成される。なお、レーザー光源24としては、出力波長の安定性に優れたレーザーを用いることが好ましく、例えばセシウム原子の共鳴を利用したレーザー(出力波長=852nm)を用いることが好ましい。
レーザー光源24は、高周波変調器27から入力される変調信号に基づいて周波数変調された所定波長(所定周波数ν0)のプローブ光Lpを射出する。この際、キャピラリーナノファイバー1内に極微量物質が存在しない場合における共振器14の共鳴波長と略同じ波長のプローブ光Lpがレーザー光源24から射出される。
光学系25は、レーザー光源24から射出されたプローブ光Lpを、キャピラリーナノファイバー1の光入力用ナノ光ファイバー3に導くための光学系であり、各種光学素子で構成される。なお、図5には、説明を簡略化するため、光学系25を一枚の反射ミラーで構成する例を示すが、本発明はこれに限定されず、レーザー光源24及び光入力用ナノ光ファイバー3の配置関係等に応じて、光学系25の構成は適宜変更される。
フォトダイオード26は、キャピラリーナノファイバー1の光出力用ナノ光ファイバー4から射出された光(出射光Lo)を検出する。
高周波変調器27は、レーザー光源24に電気的に接続され、所定の変調信号をレーザー光源24に出力する。また、高周波変調器27は、ロックイン回路28に電気的に接続され、レーザー光源24に出力した変調信号に対応する参照信号をロックイン回路28に供給する。
ロックイン回路28は、フォトダイオード26から入力された出射光Loの検出信号、及び、高周波変調器27から入力された参照信号に基づいて、ナノキャピラリー2の共振器14の共鳴波長が一定となるようにするための制御信号(補償信号)を生成するための回路である。
具体的には、ロックイン回路28は、フォトダイオード26に電気的に接続され、まず、フォトダイオード26に入力された出射光Loの検出信号を取得する。また、ロックイン回路28は、高周波変調器27に電気的に接続され、高周波変調器27で生成された参照信号を取得する。次いで、ロックイン回路28は、出射光Loの検出信号に含まれる変調信号成分を、参照信号を用いて抽出する(復調する)。
次いで、ロックイン回路28は、参照信号と復調された変調信号成分とを比較し、両者間の位相差等に基づいて、入力光(プローブ光)に対する出力光の共鳴波長(共振周波数)の変化、すなわち、ナノキャピラリー2の共振器14における共鳴波長のシフト方向及びシフト量を算出する。次いで、ロックイン回路28は、共鳴波長の変化の算出結果に基づいて、共振器14の共鳴波長を所定波長に固定する(共鳴波長の変化を零にする)ために必要な共振器14の実効共振器長の調整量に対応する制御信号(補償信号)を生成する。そして、ロックイン回路28は、生成した補償信号をフィードバック信号として直流電源回路22に出力する。
(2)検出処理
次に、図6を参照しながら、本実施形態の検出システム20による極微量物質の検出処理を説明する。なお、図6は、検出システム20による極微量物質の検出処理の手順を示すフローチャートである。
次に、図6を参照しながら、本実施形態の検出システム20による極微量物質の検出処理を説明する。なお、図6は、検出システム20による極微量物質の検出処理の手順を示すフローチャートである。
まず、ポンプ又は電気泳動により、水溶液(サンプル)をナノキャピラリー2内に流動させる(ステップS1)。この際、光入力用ナノ光ファイバー3の接続側のキャピラリー本体部13の貫通孔2aの開口から水溶液を流入し、光出力用ナノ光ファイバー4の接続側のキャピラリー本体部13の貫通孔2aの開口から水溶液を流出させる。
次いで、レーザー光源24は、所定周波数ν0のプローブ光Lpを、光学系25、光入力用ナノ光ファイバー3及びナノキャピラリー2の接続部12を介して、ナノキャピラリー2のナノ流路部11に入射する(ステップS2)。
次いで、光出力用ナノ光ファイバー4は、ナノ流路部11(共振器14)を伝搬する光の一部を、マイクロファイバーカプラ作用により取り込む(ステップS3)。次いで、フォトダイオード26は、光出力用ナノ光ファイバー4から射出された光(出射光Lo)を検出する(ステップS4)。
次いで、ロックイン回路28は、フォトダイオード26で検出された出射光Loの検出信号と、高周波変調器27から入力された参照信号とに基づいて、共振器14の共鳴波長の変化(検出信号と参照信号との位相差)を検出する(ステップS5)。すなわち、ステップS5では、ロックイン回路28は、共振器14の共鳴波長のシフト方向及びシフト量を検出する。
次いで、ロックイン回路28は、検出した共振器14の共鳴波長の変化に基づいて、共振器14の共鳴波長の変化を補償するための補償信号をフィードバック信号として直流電源回路22に出力する(ステップS6)。より詳細には、ロックイン回路28は、検出した共振器14の共鳴波長の変化を零にするために必要な共振器14の実効共振器長の調整量(伸縮量及び伸縮方向)に対応する補償信号を直流電源回路22に出力する。
次いで、直流電源回路22は、ロックイン回路28からフィードバックされた共鳴波長の補償信号(実効共振器長の制御信号)に基づいて、アクチュエータ21cに供給する駆動電圧を変化させ、キャピラリーナノファイバー1の共振器14の共鳴波長が所定波長に固定されるように、共振器14の実効共振器長を調整する(ステップS7)。
次いで、電圧表示装置23は、直流電源回路22からアクチュエータ21cの駆動電圧の情報(実効共振器長の調整量に関する情報)を取得するとともに駆動電圧を表示する。そして、例えば検査員等は、電圧表示装置23に表示される駆動電圧の変化態様(変化方向及び変化量)に基づいて、水溶液(サンプル)中の極微量物質の有無を判別する(ステップS8)。なお、電圧表示装置23が、水溶液(サンプル)中に極微量物質が含まれるか否かを判別する極微量物質の検出機能を備える場合には、ステップS8の判別処理は、電圧表示装置23により行われる。
本実施形態の検出システム20では、上述のように、ロックイン回路28からフィードバックされた補償信号に基づいて、キャピラリーナノファイバー1の共振器14の共鳴波長の変化が零になるように(共鳴波長が所定波長に固定されるように)、アクチュエータ21cを駆動して共振器14の実効共振器長をフィードバック制御する。
この制御手法では、水溶液(サンプル)中に極微量物質が存在しない場合には、共鳴波長の変化量は小さい(ほぼゼロ)ので、共振器14の実効共振器長の調整量は小さくなり、アクチュエータ21cの駆動電圧の変化量も小さくなる。しかしながら、水溶液中に極微量物質が存在すると、ナノキャピラリー2内部の屈折率が変化して共鳴波長の変化量が大きくなるので、共振器14の実効共振器長の調整量も大きくなり、アクチュエータ21cの駆動電圧の変化量も大きくなる。それゆえ、本実施形態の検出システム20では、上記ステップS8において、電圧表示装置23を用いてアクチュエータ21cの駆動電圧の変化量を計測(観測)することにより、水溶液中に極微量物質が存在するか否かを判別することができる。
なお、本実施形態のキャピラリーナノファイバー1を備える検出システム20において、ナノキャピラリー2内の水溶液(サンプル)の流動を、電気泳動を利用して行う場合には、水溶液中に複数種の極微量物質が存在しても各極微量物質を分離して計測することができる。具体的には、電気泳動により極微量物質を流動させる場合、通常、極微量物質の種別により、ナノキャピラリー2内での極微量物質の移動速度が異なるので、時間軸上における各極微量物質の検出タイミングが互いに異なる。それゆえ、本実施形態の検出システム20では、水溶液中に複数種の極微量物質が存在しても、各極微量物質を、時間軸上における検出時間の差により分離して検出することができる。
[検出性能の評価]
次に、本実施形態の検出システム20において得られる極微量物質の検出性能について説明する。なお、ここでは、検出性能として、極微量物質の検出感度に対応する屈折率変化の計測限界、及び、極微量物質の検出ダイナミックレンジに対応する屈折率変化の検出ダイナミックレンジについて検証を行う。
次に、本実施形態の検出システム20において得られる極微量物質の検出性能について説明する。なお、ここでは、検出性能として、極微量物質の検出感度に対応する屈折率変化の計測限界、及び、極微量物質の検出ダイナミックレンジに対応する屈折率変化の検出ダイナミックレンジについて検証を行う。
(1)屈折率変化の計測限界
まず、本実施形態の検出システム20における、水溶液(サンプル)の屈折率ncの変化量の計測限界について説明する。
まず、本実施形態の検出システム20における、水溶液(サンプル)の屈折率ncの変化量の計測限界について説明する。
ナノキャピラリー2内に水溶液(サンプル)が流動している際のナノキャピラリー2の実効的屈折率を「neff」とし、共振器14の共振器長を「l」とし、共振器14の共鳴波長を「λres」とすると、共振器14における共振条件は、下記式(1)で表される。なお、下記式(1)中の「A」は共振器14の構成により決まる定数である。
また、ナノキャピラリー2の実効的屈折率neffと、ナノ流路部11内の水溶液の屈折率ncとの関係は、下記式(2)で表される。なお、下記式(2)中の「α」及び「a」は、定数である。
共振器14の共振器長lが一定の条件では、上記式(1)及び(2)から、下記式(3)が導出される。
上記式(3)から明らかなように、水溶液の屈折率ncの微小変化Δncの検出限界値Δncdは、共振器14の共鳴波長λresの変化量Δλの測定限界値Δλdで決定される。この共鳴波長λresの変化量Δλの測定限界値Δλdは、共振器14の共振の鋭さ、すなわち、Q値で決まる。具体的には、Q値が高いほど測定限界値Δλdが小さくなる。
そこで、いま、共振器14の共鳴波長λresの変化量Δλの計測限界を半値全幅FWHMの10%とすると、共鳴波長λresの変化量Δλの測定限界値Δλdと、Q値との関係は、上記式(3)から、下記式(4)で表される。また、上記式(3)から、屈折率ncの微小変化Δncの検出限界値Δncdと、Q値との関係は、下記式(5)で表される。なお、下記式(4)及び(5)中の「β」の値は約0.1であり、半値全幅FWHMの10%を示す定数である。また、下記式(5)中の「RIU」は屈折率単位である。
ここで、上記式(5)において、実効的屈折率neff及び定数αに、数値実験で見積もられた1.2及び0.25をそれぞれ代入し、Q値に、図4で示した実験値1.5×106を代入すると、屈折率ncの微小変化Δncの検出限界値Δncdは、約3.2×10−7[RIU]となる。この屈折率の検出限界値Δncdは、非常に小さな値であり、現在、開発されている種々の計測技術の中でもトップクラスの値である。すなわち、本実施形態の検出システム20では、現在、開発されている種々の計測技術の中でもトップクラスの極微量物質の検出感度が得られる。
(2)屈折率変化の検出ダイナミックレンジ
次に、本実施形態の検出システム20における、水溶液(サンプル)の屈折率ncの変化量の検出ダイナミックレンジについて説明する。
次に、本実施形態の検出システム20における、水溶液(サンプル)の屈折率ncの変化量の検出ダイナミックレンジについて説明する。
いま、最大印加電圧150Vで長さが20μm増大するアクチュエータ(PZT)を、アクチュエータ21cとして用いる場合を考える。なお、このようなアクチュエータ(PZT)の特性は、従来、市販されている典型的なアクチュエータにより得られる特性である。また、本発明者の検証実験によれば、本実施形態のナノキャピラリー2は、20μm程度の長さ変化に対して、十分に可逆な弾性変形特性を有することが確認されている。
上記特性を有するアクチュエータ21cを用いて、共振器14の共振器長lを電気的に制御した場合、共振器長lの調整量Δlは、下記式(6)で表される。なお、下記式(6)中の「kPZT」の値は約0.133[μm/V](=20μm/150V)である。
通常、アクチュエータ21cのフィードバック制御では、1mV程度の電圧変化を計測することができるので、上記式(6)から、上記特性を有するアクチュエータ21cでは、少なくとも調整量Δl=0.133nm程度の単位で共振器14の共振器長lを精密制御することができる。
また、共振器14の共鳴波長λresの変化量Δλと、共振器長lの調整量Δlとの関係は、上記式(1)から、下記式(7)で表される。なお、下記式(7)中の「A′」の値は約10000であり、この値は、典型的な構成の共振器14において実験的に見積もられた値である。
上記式(7)において、共振器長lの調整量Δlを0.133nmとすると、フィードバック制御で調整可能な共鳴波長λresの変化量Δλは、0.0133pmとなり、この値が共鳴波長λresの最小調整量となる。この共鳴波長λresの最小調整量は、図4に示す共振スペクトルの半値全幅FWHMの10%の値(0.05pm)より十分小さい値であり、フィードバック制御が十分可能な値である。
また、通常、上述した特性を有するアクチュエータ(PZT)では、100V程度のアクチュエータへの帰還電圧変化(供給電圧が約50〜150Vの範囲)は、容易に計測することができる。それゆえ、上記式(6)及び(7)から、本実施形態では、約1.33nm程度までの共鳴波長λresの変化量Δλに対して、アクチュエータのフィードバック制御をダイナミックに追随させることができる。
この共鳴波長λresの変化量Δλの追随可能な範囲(ダイナミックレンジ)は、10−7〜10−2[RIU]の屈折率変化の範囲に対応する。すなわち、本実施形態の検出システム20における、水溶液(サンプル)の屈折率変化の検出ダイナミックレンジは、10−7〜10−2[RIU]となる。このダイナミックレンジは、後述するように、従来の光共鳴法による計測技術と比較して、非常に大きな範囲となる。それゆえ、本実施形態の検出システム20では、従来の光共鳴法による計測技術に比べて非常に大きな極微量物質の検出ダイナミックレンジを得ることができる。
[各種効果]
上述した本実施形態のキャピラリーナノファイバー1及びそれを備える検出システム20では、極微量物質の検出時に、ナノキャピラリー2の共振器14の形成領域、すなわち、極微小領域に水溶液(サンプル)及びプローブ光Lpが局在した状態となる。具体的には、例えば、図4のスペクトル分布が得られるキャピラリーナノファイバー1の構成では、上述のように、ナノ流路部11の内径が250nmであり、共振器長が1mm程度であるので、フェムトリットルオーダーの極微小領域に水溶液(サンプル)及びプローブ光Lpが局在した状態となる。
上述した本実施形態のキャピラリーナノファイバー1及びそれを備える検出システム20では、極微量物質の検出時に、ナノキャピラリー2の共振器14の形成領域、すなわち、極微小領域に水溶液(サンプル)及びプローブ光Lpが局在した状態となる。具体的には、例えば、図4のスペクトル分布が得られるキャピラリーナノファイバー1の構成では、上述のように、ナノ流路部11の内径が250nmであり、共振器長が1mm程度であるので、フェムトリットルオーダーの極微小領域に水溶液(サンプル)及びプローブ光Lpが局在した状態となる。
それゆえ、本実施形態では、検査に必要なサンプルの計測量は、フェムトリットルオーダーの極微小量で足りることになる。すなわち、本実施形態のキャピラリーナノファイバー1及びそれを備える検出システム20では、極微小量のサンプルで極微量物質の有無を検出することができる。
また、本実施形態では、キャピラリーナノファイバー1の共振器14において106以上のQ値が得られ、水溶液(サンプル)の屈折率変化を超高感度(10−7[RIU])で検出することができる。それゆえ、本実施形態では、単一のキャピラリーナノファイバー1により、極微量物質(単一分子レベルの極微量分子)をより高感度で検出することができる。
また、本実施形態では、上述のように、水溶液(サンプル)の屈折率変化の検出ダイナミックレンジは、10−7〜10−2[RIU]となり、非常に広いダイナミックレンジを確保することができる。
また、本実施形態では、キャピラリーナノファイバー1のナノ流路部11を、従来のシリカ製キャピラリー管の一部を加熱延伸して作製することができるので、高光透過率を有するナノ流路部11を備えたキャピラリーナノファイバー1を再現性良く作製することができる。
また、本実施形態では、ナノキャピラリー2は、従来のシリカ製キャピラリー管の一部を加熱延伸して構成され、且つ、各ナノ光ファイバーはナノキャピラリー2に加熱融着等の手法により接続される。それゆえ、本実施形態のキャピラリーナノファイバー1の構成は、より簡易な構成となる。
また、本実施形態のキャピラリーナノファイバー1を備える検出システム20は、コンパクトに構成することができ、その操作等も簡便である。それゆえ、本実施形態では、検出システム20を、例えば、従来のバイオ/ケミカル検出システムに容易に組み込むことができ、その場計測を実現することができる。また、本実施形態のキャピラリーナノファイバー1を備える検出システム20は、水溶液(サンプル)中に複数種の極微量物質が存在しても各極微量物質を分離して計測することが可能である。それゆえ、本実施形態の検出システム20は、液体クロマトグラフィにおいて、試料を分離するためのカラムから溶出した成分を高感度で分析するための検出装置としても用いることができる。
さらに、ここで、本実施形態における極微量物質の検出技術と、上述した従来のラベリングフリー法による極微量物質の各種検出技術とを比較して、本実施形態の検出性能の優位性をより具体的に説明する。
マイクロ/ナノ流路法の典型例としては、例えばナノメンブレン法、ナノ多孔質シリコンセンサーを用いる手法等が挙げられるが、これらの手法は検出システムへの組み込みが難しく、インライン計測の観点で問題がある。それに対して、本実施形態の検出技術では、図5に示す検出システム20の説明から明らかなように、インライン計測で極微量物質を検出することができる。
また、光共鳴計測法では、インライン計測が可能であるが、この検出技術に対しては、検出感度の向上、計測サンプルの微量化等が求められている。これに対して、本実施形態では、上述のように、10−7[RIU]オーダーの超高感度で屈折率変化を検出することができ、必要とするサンプル量もフェムトリットルオーダーの極微小量となる。さらに、光共鳴計測法では、通常、水溶液の屈折率変化に伴う共鳴ピークシフトをレーザー光(プローブ光)の波長を掃引して計測するが、この手法では、屈折率測定のダイナミックレンジは、レーザー光の波長の掃引ダイナミックレンジで決まり、通常、約50pm以下である。それに対して、本実施形態の検出技術では、上述のように、約1.33nm程度までの共鳴波長λresの変化量Δλに対してダイナミックに追随することができる。すなわち、本実施形態の検出技術では、光共鳴計測法の数十倍のダイナミックレンジを確保することができる。
以上のことから、本実施形態の極微量物質の検出技術は、従来のラベリングフリー法による各種検出技術に比べて、感度、サンプル量、ダイナミックレンジ、インライン計測等の観点で総合的に非常に優れた技術であることが分かる。
<第2の実施形態>
第2の実施形態では、ラベリング法により水溶液(サンプル)中の極微量物質(単一分子レベルの極微量分子等)を検出するためのキャピラリーナノファイバー及びそれを備える検出システムについて説明する。
第2の実施形態では、ラベリング法により水溶液(サンプル)中の極微量物質(単一分子レベルの極微量分子等)を検出するためのキャピラリーナノファイバー及びそれを備える検出システムについて説明する。
[キャピラリーナノファイバーの構成]
まず、本発明の第2の実施形態に係るキャピラリーナノファイバーの構成を、図7を参照しながら説明する。なお、図7は、第2の実施形態のキャピラリーナノファイバーの概略構成図である。
まず、本発明の第2の実施形態に係るキャピラリーナノファイバーの構成を、図7を参照しながら説明する。なお、図7は、第2の実施形態のキャピラリーナノファイバーの概略構成図である。
キャピラリーナノファイバー31は、図7に示すように、ナノキャピラリー32と、光出力用ナノ光ファイバー34(第1ナノ光ファイバー)とを備える。
本実施形態のキャピラリーナノファイバー31では、光出力用ナノ光ファイバー34の一部が、ナノキャピラリー32の液体流出側の接続部42の外周面に接続される。この際、光出力用ナノ光ファイバー34は、上記第1の実施形態と同様に、例えば加熱融着等の手法により対応する接続部42に接続される。これにより、ナノキャピラリー32と光出力用ナノ光ファイバー34との接続領域には、マイクロファイバーカプラが構成される。なお、本実施形態の光出力用ナノ光ファイバー34の構成は、上記第1の実施形態の光出力用ナノ光ファイバー4と同様の構成であるので、ここでは、光出力用ナノ光ファイバー34の構成の説明を省略する。
[ナノキャピラリーの構成]
次に、本実施形態のナノキャピラリー32の構成を、図7及び図8を参照しながら説明する。なお、図8は、本実施形態のナノキャピラリー32に設けられた反射器の一構成例を示す図である。
次に、本実施形態のナノキャピラリー32の構成を、図7及び図8を参照しながら説明する。なお、図8は、本実施形態のナノキャピラリー32に設けられた反射器の一構成例を示す図である。
ナノキャピラリー32は、図7に示すように、ナノ流路部41(第1管部)と、ナノ流路部41の各端部に接続された接続部42(第4,第5管部)と、各接続部42のナノ流路部41側とは反対側の端部に設けられたキャピラリー本体部43(第2,第3管部)とを備える。
ナノキャピラリー32は、上記第1の実施形態と同様に、例えばシリカ等の光透過性材料で形成された円筒状部材であり、その内部には、ナノキャピラリー32の延在方向に沿って貫通孔32aが設けられる。極微量物質の計測時には、ナノキャピラリー32の貫通孔32aに検査対象となるサンプルの水溶液(光透過性液体)が流動される。それゆえ、ナノキャピラリー32の貫通孔32aは検査対象となるサンプル(水溶液)の流路になる。
本実施形態の接続部42及びキャピラリー本体部43、並びに、各部における貫通孔32aのサイズ等の構成は、上記第1の実施形態の対応する構成と同様であるので、ここでは、これらの構成の説明を省略する。
ナノ流路部41は、上記第1の実施形態と同様に、その外径がナノ流路部41を伝搬する光(後述の蛍光)の波長程度以下に設定された円筒状部材である。具体的には、ナノ流路部41の外径は、サブミクロンオーダー(数百ナノオーダー)のサイズに設定される。なお、ナノ流路部41の外径は、例えばナノ流路部41を伝搬する光の強度分布(光の閉じ込め量)などの特性を考慮して適宜設定され、好ましくは、伝搬光の波長の1/2程度、より好ましくは、伝搬光の波長の2/3程度のサイズに設定される。
また、本実施形態では、後述するように、貫通孔32aに水溶液を流動させた状態で、外部から励起光をナノ流路部41に照射し、ラベリングされた極微量物質から蛍光を発生させる。この際、ナノ流路部41内の貫通孔32aに水溶液が充填された状態では、ナノ流路部41はその蛍光の光導波路(ナノ光ファイバー)として作用し、蛍光がナノ流路部41を伝搬する。
すなわち、本実施形態では、極微量物質の計測時には、ナノ流路部41内の貫通孔32aは、水溶液(サンプル)のナノサイズの微小流路として作用するだけでなく、蛍光の光導波路としても作用する。なお、ナノ流路部41の外径は、上述のように、伝搬光の波長程度以下のサイズであるので、本実施形態においても、ナノ流路部41では、蛍光は、近接場光として伝搬し、該蛍光の一部が周囲の領域(自由空間)にしみ出した状態で伝搬する。
さらに、本実施形態では、ナノ流路部41の液体流入側の端部付近の領域の外周面に反射器44が設けられる。具体的には、図8に示すように、ナノ流路部41の外周面に、ナノ流路部41の延在方向に沿って一列に配列された複数の微小凹部45(凹凸パターン)により構成された反射器44が設けられる。
各微小凹部45は、お椀状の凹部であり、その開口形状は円形である。また、各微小凹部45の深さは、各微小凹部45の底部がナノ流路部41の貫通孔32aに達しないような深さに設定される。また、各微小凹部45の開口サイズ及び微小凹部45のピッチは、略均一である。なお、各微小凹部45の開口サイズ及び微小凹部45のピッチは、ナノ流路部41を伝搬する光(蛍光)の波長に応じて適宜設定される。具体的には、微小凹部45のピッチは、伝搬光(蛍光)に対してブラッグの反射条件が満たされるように設定される。なお、本実施形態では、各微小凹部45は、上記第1の実施形態の微小凹部15と同様にして形成されるので、各微小凹部45の開口サイズ及び微小凹部45のピッチは、サブミクロンオーダーのサイズで非常に精度良く均一に形成される。また、各微小凹部45の深さも、サブミクロンオーダーのサイズとなる。
後述するように、本実施形態では、ナノ流路部41の中央付近で蛍光を発生させ、その蛍光を検出して極微量物質の有無を判別するが、この際、蛍光の一部は、液体流入側に伝搬する。反射器44は、この液体流入側に伝搬した蛍光成分を液体流出側に反射する。なお、本実施形態では、反射器44を設けなくてもよいが、反射器44を設けることにより、より高強度の蛍光を、光出力用ナノ光ファイバー34を介して、検出することができる。
なお、ナノキャピラリー32の構成は、図7及び図8に示す例に限定されず、例えば、外径が数ミクロンオーダーからサブミクロンオーダーの範囲のサイズであり、該外径が延在方向に沿って均一であるようなキャピラリー管を用いてもよい。
[キャピラリーナノファイバーの作製手法]
次に、本実施形態のキャピラリーナノファイバー31の作製手法について説明する。
次に、本実施形態のキャピラリーナノファイバー31の作製手法について説明する。
まず、上記第1の実施形態と同様に、従来、一般的に使用されているシリカ製のキャピラリー管を用意し、そのキャピラリー管の一部(ナノ流路部41に対応する領域)を加熱延伸する。これにより、ナノキャピラリー32の2つの接続部42及び2つのキャピラリー本体部43が形成される。また、この加熱延伸処理により、2つの接続部42間の加熱延伸された領域には、外径が数ミクロンオーダーからサブミクロンオーダーの範囲のサイズである管状部材領域が形成され、その内部には、微小な貫通孔32a(微小流路)が形成される。
次いで、加熱延伸されたキャピラリー管の一部(ナノ流路部41に対応する領域)に、上述した複数の微小凹部45からなる反射器44(ナノ構造体)を形成する。この際、ナノ流路部41の液体流入側の端部領域に、反射器44が形成される。なお、複数の微小凹部45からなる反射器44は、上記第1の実施形態で説明した図3の製造装置200を用いて形成され、その反射器44の作製手法は、上記第1の実施形態の共振器14の作製手法と同様である。
次いで、上記第1の実施形態と同様にして(加熱延伸の手法を用いて)、光出力用ナノ光ファイバー34が形成される。
そして、光出力用ナノ光ファイバー34のナノ光導波路部の一部を、例えば加熱融着等の手法を用いて、ナノキャピラリー32の液体流出側(反射器44が形成されていない側)の接続部42の一部の表面に接続する。これにより、本実施形態では、ナノキャピラリー32と、光出力用ナノ光ファイバー34との接続領域には、マイクロファイバーカプラが作製される。
なお、この際、光出力用ナノ光ファイバー34は、ナノキャピラリー32の接続部42内の領域において、伝搬光(蛍光)の一部が周囲の領域(自由空間)にしみ出しているような位置に接続されることが好ましい。また、ナノキャピラリー32と光出力用ナノ光ファイバー34との間の伝搬光(蛍光)の結合性能をより高くするため、光出力用ナノ光ファイバー34を、ナノ流路部41により近い位置に接続することが好ましい。本実施形態では、上述のようにして、キャピラリーナノファイバー31が作製される。
[キャピラリーナノファイバーの動作及び極微量物質の検出原理]
次に、本実施形態のキャピラリーナノファイバー31の動作及び極微量物質の検出原理について説明する。
次に、本実施形態のキャピラリーナノファイバー31の動作及び極微量物質の検出原理について説明する。
まず、本実施形態では、ナノキャピラリー32内に流通させる極微量物質に対して、予め、例えば量子ドット、色素等により修飾処理(ラベリング処理)を施す。次いで、ナノキャピラリー32の貫通孔32aに所定の水溶液(例えば、水、導電性液体等)を流す。この際、本実施形態では、ナノキャピラリー32の反射器44が形成されている側の貫通孔32aの開口部から光出力用ナノ光ファイバー34側の貫通孔32aの開口部に向かって水溶液(サンプル)を流通させる。なお、水溶液の流通手法としては、ポンプにより水溶液を流通させる手法を用いてもよいし、電気泳動により水溶液を流通させる手法を用いてもよい。
次いで、ナノキャピラリー32の貫通孔32aに水溶液(サンプル)が流通した状態で、ナノ流路部41に外部から所定の励起光(例えば、紫外光等)を照射する。この際、ナノ流路部41内に流通している水溶液中にラベリングされた極微量物質が存在する場合には、極微量物質から蛍光が発生し、水溶液中にラベリングされた極微量物質が存在しない場合には、蛍光は発生しない。
そして、ナノ流路部41において蛍光が発生した場合、該蛍光は、水溶液の流出側及び流入側に向かって伝搬する。そして、水溶液の流入側に向かって伝搬する蛍光は、反射器44で反射され、該反射された蛍光は、水溶液の流出側に向かって伝搬する。
次いで、ナノ流路部41を通過した蛍光(伝搬光)が、光出力用ナノ光ファイバー34とナノキャピラリー32(接続部42)との接続領域に到達すると、その接続領域に形成されたマイクロファイバーカプラの作用により、蛍光の一部が分岐して、光出力用ナノ光ファイバー34の内部に入射される。その後、この光出力用ナノ光ファイバー34の内部に入射された光を、フォトダイオードで検出し、該検出した光信号に基づいて、極微量物質の有無を判別する。この際、例えば、検出された蛍光成分の光強度等に基づいて、極微量物質の有無を判別することができる。
[極微量物質の検出システム]
(1)検出システムの構成
次に、図9を参照しながら、上述した極微量物質の検出動作を実現するための検出システムの一構成例について説明する。なお、図9は、本実施形態のキャピラリーナノファイバー31を備える極微量物質の検出システムの概略ブロック構成図である。
(1)検出システムの構成
次に、図9を参照しながら、上述した極微量物質の検出動作を実現するための検出システムの一構成例について説明する。なお、図9は、本実施形態のキャピラリーナノファイバー31を備える極微量物質の検出システムの概略ブロック構成図である。
検出システム50は、キャピラリーナノファイバー31と、キャピラリー保持装置51と、励起光源52と、フォトダイオード53(光検出部)と、フィルタ54と、判別回路55とを備える。
なお、図9には示さないが、本実施形態の検出システム50の外部には、上記第1の実施形態と同様に、キャピラリーナノファイバー31の内部に水溶液(サンプル)を流動させるための流動装置が設けられる。具体的には、水溶液の流動手法としてポンプを用いる場合には、ポンプが流動装置として設けられる。一方、水溶液の流動手法として電気泳動法を用いる場合には、キャピラリーナノファイバー31内部の水溶液に対して、キャピラリーナノファイバー31の延在方向に沿って電界を印加するための高圧電源装置(電界印加装置)が流動装置として設けられる。なお、これらの流動装置が検出システム50に含まれていてもよい。
キャピラリー保持装置51は、第1保持部51aと、第2保持部51bとを有する。しかしながら、本実施形態では、キャピラリー保持装置51は、アクチュエータを備えない。なお、本実施形態における第1保持部51a及び第2保持部51bは、上記第1の実施形態の第1保持部21a及び第2保持部21bとそれぞれ同じ構成であるので、ここでは、これらの構成の説明を省略する。
励起光源52は、所定の励起光Le(例えば、赤色光等)を、ナノキャピラリー32のナノ流路部41に射出する。この際、励起光源52から射出される励起光Leの種類は、極微量物質のラベリング態様に応じて適宜変更される。なお、図9に示す例では、励起光源52から射出された励起光Leが直接、ナノ流路部41に照射される構成例を示すが、本発明はこれに限定されない。励起光源52から射出された励起光Leが、光学系を介して間接的に、ナノ流路部41に照射されるような構成にしてもよい。
フォトダイオード53は、キャピラリーナノファイバー31の光出力用ナノ光ファイバー34か射出された光(出射光Lo)を検出する。
フィルタ54は、フォトダイオード53に電気的に接続され、フォトダイオード53で検出された信号のうち、蛍光成分の検出信号を通過させる。
判別回路55は、フィルタ54に電気的に接続され、フィルタ54を通過した蛍光成分の検出信号を取得する。そして、判別回路55は、取得した蛍光成分の検出信号に基づいて、水溶液(サンプル)中に極微量物質が存在するか否かを判別する。この際、判別回路55は、例えば、検出された蛍光成分の強度(検出信号の振幅)等に基づいて、極微量物質の有無を判別する。
なお、判別回路55は、判別結果を表示する機能を備えていてもよいし、判別結果を記憶する機能を備えていてもよい。さらに、判別回路55は、判別結果を音声や光等により報知する機能を備えていてもよい。また、本実施形態では、これらの極微量物質の判別結果の表示機能、記憶機能及び報知機能が、それぞれ、判別回路55とは別個の装置として設けられていてもよい。
(2)検出処理
次に、図10を参照しながら、本実施形態の検出システム50による極微量物質の検出処理を説明する。なお、図10は、検出システム50による極微量物質の検出処理の手順を示すフローチャートである。
次に、図10を参照しながら、本実施形態の検出システム50による極微量物質の検出処理を説明する。なお、図10は、検出システム50による極微量物質の検出処理の手順を示すフローチャートである。
まず、ポンプ又は電気泳動により、水溶液(サンプル)をナノキャピラリー32内に流動させる(ステップS11)。この際、光出力用ナノ光ファイバー34の接続側とは反対側のキャピラリー本体部43の貫通孔32aの開口から水溶液を流入し、光出力用ナノ光ファイバー34の接続側のキャピラリー本体部43の貫通孔32aの開口から水溶液を流出させる。
次いで、励起光源52は、所定の励起光をナノキャピラリー32のナノ流路部41に照射する(ステップS12)。
次いで、光出力用ナノ光ファイバー34は、ナノ流路部41を伝搬する光(蛍光)の一部を、マイクロファイバーカプラ作用により取り込む(ステップS13)。次いで、フォトダイオード53は、光出力用ナノ光ファイバー34から射出された光(出射光Lo)を検出する(ステップS14)。
次いで、判別回路55は、フォトダイオード53及びフィルタ54を介して取得した蛍光成分の検出信号に基づいて、極微量物質が水溶液(サンプル)中に含まれるか否かを判別する(ステップS15)。この際、例えば、判別回路55は、蛍光成分の検出信号の振幅(強度)が所定値以上であれば、水溶液中に極微量物質が存在すると判定する。なお、この判定処理で用いる蛍光成分の検出信号の閾値は、例えば極微量物質のラベリング態様(種別)等に応じて適宜設定される。
[各種効果]
上述した本実施形態のキャピラリーナノファイバー31及びそれを備える検出システム50では、上記第1の実施形態と同様に、極微量物質の検出時に、ナノキャピラリー32内のフェムトリットルオーダーの極微小領域に水溶液(サンプル)及び蛍光が局在した状態となる。それゆえ、本実施形態では、検査に必要なサンプルの計測量は、フェムトリットルオーダーの極微小量で足りることになる。すなわち、本実施形態のキャピラリーナノファイバー31及びそれを備える検出システム20では、上記第1の実施形態と同様に、極微小量のサンプルで極微量物質の有無を検出することができる。
上述した本実施形態のキャピラリーナノファイバー31及びそれを備える検出システム50では、上記第1の実施形態と同様に、極微量物質の検出時に、ナノキャピラリー32内のフェムトリットルオーダーの極微小領域に水溶液(サンプル)及び蛍光が局在した状態となる。それゆえ、本実施形態では、検査に必要なサンプルの計測量は、フェムトリットルオーダーの極微小量で足りることになる。すなわち、本実施形態のキャピラリーナノファイバー31及びそれを備える検出システム20では、上記第1の実施形態と同様に、極微小量のサンプルで極微量物質の有無を検出することができる。
また、本実施形態の検出システム50では、ラベリング法により水溶液(サンプル)中の極微量物質(単一分子レベルの極微量分子)を検出する。それゆえ、本実施形態では、従来同様、簡易な構成で且つ高感度(10−5[RIU]以下)で極微量物質を検出することができる。また、本実施形態では、ナノキャピラリー32のナノ流路部41に設けられた反射器44により、より高強度の蛍光を検出することができる。それゆえ、本実施形態では、単一のキャピラリーナノファイバー31により、極微量物質を、より高感度で検出することができる。
また、本実施形態では、キャピラリーナノファイバー31のナノ流路部41を、従来のシリカ製キャピラリー管の一部を加熱延伸して作製することができるので、高光透過率を有するナノ流路部41を備えたキャピラリーナノファイバー31を再現性良く作製することができる。
また、本実施形態では、ナノキャピラリー32は、従来のシリカ製キャピラリー管の一部を加熱延伸して構成され、且つ、光出力用ナノ光ファイバー34はナノキャピラリー32に加熱融着等の手法により接続される。それゆえ、本実施形態のキャピラリーナノファイバー31の構成は、より簡易な構成となる。
また、本実施形態のキャピラリーナノファイバー31を備える検出システム50もまた、上記第1の実施形態と同様に、コンパクトに構成することができ、その操作等も簡便である。それゆえ、本実施形態では、検出システム50を、例えば、従来のバイオ/ケミカル検出システムに容易に組み込むことができ、その場計測を実現することができる。
また、本実施形態の検出技術は、ラベリング法による極微量物質の検出技術であるので、オフラインでラベリング処理を行う必要がある。それゆえ、インライン計測の観点では、本実施形態の検出技術より上記第1の実施形態の検出技術(ラベリングフリー法)の方が優位である。しかしながら、ラベリング法はラベリングフリー法に比べて、検出原理上、極微量物質の検出が容易である。また、図9と図5との比較から明らかなように、本実施形態の検出システム50の構成は、上記第1の実施形態の検出システム20の構成に比べてより簡易となる。すなわち、極微量物質の検出容易性及び検出システムの簡易性という観点では、上記第1の実施形態の検出技術より本実施形態の検出技術の方が優位である。
<各種変形例>
本発明に係るキャピラリーナノファイバー、それを備える検出システム、及び、該検出システムを用いた極微量物質の検出方法は、上記各種実施形態で説明した例に限定されない。特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限り、その他種々の変形例も本発明に含まれる。例えば、次のような各種変形例も本発明に含まれる。
本発明に係るキャピラリーナノファイバー、それを備える検出システム、及び、該検出システムを用いた極微量物質の検出方法は、上記各種実施形態で説明した例に限定されない。特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限り、その他種々の変形例も本発明に含まれる。例えば、次のような各種変形例も本発明に含まれる。
[変形例1]
上記第1の実施形態では、ナノキャピラリー2にプローブ光Lpを入射するための光入力用ナノ光ファイバー3と、ナノ流路部11の共振器14を通過したプローブ光Lpの一部を取り出すための光出力用ナノ光ファイバー4とを別個に設ける例を説明したが、本発明はこれに限定されない。
上記第1の実施形態では、ナノキャピラリー2にプローブ光Lpを入射するための光入力用ナノ光ファイバー3と、ナノ流路部11の共振器14を通過したプローブ光Lpの一部を取り出すための光出力用ナノ光ファイバー4とを別個に設ける例を説明したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、光入力用ナノ光ファイバーを光出力用ナノ光ファイバーとしても用いてもよい。すなわち、一つのナノ光ファイバーで、光入力用ナノ光ファイバー及び光出力用ナノ光ファイバーの両方を兼用するような構成にしてもよい。この場合、ナノ流路部11の共振器14から反射したプローブ光Lpの一部を取り出して、極微量物質を検出する。変形例1では、その一構成例を説明する。
(1)キャピラリーナノファイバーの構成
図11は、変形例1のキャピラリーナノファイバーの概略構成図である。なお、図11に示す変形例1のキャピラリーナノファイバー60において、図1に示す上記第1の実施形態のキャピラリーナノファイバー1と同様の構成には、同じ符号を付して示す。
図11は、変形例1のキャピラリーナノファイバーの概略構成図である。なお、図11に示す変形例1のキャピラリーナノファイバー60において、図1に示す上記第1の実施形態のキャピラリーナノファイバー1と同様の構成には、同じ符号を付して示す。
この例のキャピラリーナノファイバー60は、ナノキャピラリー2と、ナノ光ファイバー61とを備える。なお、この例のナノキャピラリー2の構成は、上記第1の実施形態のそれと同様の構成であり、この例のナノ光ファイバー61の構成は、上記第1の実施形態の光入力用ナノ光ファイバー3と同様の構成である。
また、この例のキャピラリーナノファイバー60では、ナノ光ファイバー61の一部が、ナノキャピラリー2の一方(液体流入側)の接続部12の外周面に接続される。なお、ナノ光ファイバー61は、例えば加熱融着等の手法により対応する接続部12に接続される。これにより、ナノ光ファイバー61とナノキャピラリー2との接続領域には、マイクロファイバーカプラが構成される。
すなわち、この例のキャピラリーナノファイバー60の構成は、上記第1の実施形態のキャピラリーナノファイバー1において、光出力用ナノ光ファイバー4を設けない構成である。
この例のキャピラリーナノファイバー60では、ナノ光ファイバー61により、プローブ光Lpがナノキャピラリー2に入力されるとともに、ナノ流路部11の共振器14で反射された伝搬光(プローブ光Lp)の一部を出射光Loとして取り出す。そして、ナノ光ファイバー61により取り出された出射光Loをフォトダイオードで検出する。その後は、上記第1の実施形態と同様にして、フォトダイオードの検出結果に基づき、ナノキャピラリー2の共振器14の実効共振器長をフィードバック制御するとともに、極微量物質を検出する。
(2)検出システムの構成
次に、図12を参照しながら、上述した変形例1のキャピラリーナノファイバー60を備えた極微量物質の検出システムの一構成例について説明する。図12は、この例のキャピラリーナノファイバー60を備えた極微量物質の検出システムの概略ブロック構成図である。なお、図12に示す変形例1の検出システム70において、図5に示す上記第1の実施形態の検出システム20と同様の構成には、同じ符号を付して示す。
次に、図12を参照しながら、上述した変形例1のキャピラリーナノファイバー60を備えた極微量物質の検出システムの一構成例について説明する。図12は、この例のキャピラリーナノファイバー60を備えた極微量物質の検出システムの概略ブロック構成図である。なお、図12に示す変形例1の検出システム70において、図5に示す上記第1の実施形態の検出システム20と同様の構成には、同じ符号を付して示す。
この例の検出システム70は、キャピラリーナノファイバー60と、キャピラリー保持装置21と、直流電源回路22と、電圧表示装置23と、レーザー光源24と、光学系25と、ビームスプリッタ72と、フォトダイオード26と、高周波変調器27と、ロックイン回路28とを備える。なお、この例の検出システム70に含まれる、キャピラリー保持装置21、直流電源回路22、電圧表示装置23、レーザー光源24、光学系25、フォトダイオード26、高周波変調器27及びロックイン回路28の構成は、上記第1の実施形態の対応する構成と同様である。それゆえ、ここでは、これらの構成の説明は省略する。
図12と図5との比較から明らかなように、この例の検出システム70の構成は、上記第1の実施形態の検出システム20において、キャピラリーナノファイバー1の代わりにこの例のキャピラリーナノファイバー60を用い、さらに、構成要素としてビームスプリッタ72を追加した構成である。
ビームスプリッタ72は、ナノ光ファイバー61に入射するプローブ光Lpと、ナノ光ファイバー61からの出射光Lo(共振器14からの反射光の一部)とを分離する光学部材であり、例えば、ハーフミラー等の光学部材で構成することができる。そして、ビームスプリッタ72は、ナノ光ファイバー61からの出射光Loの一部をフォトダイオード26に向かって反射する。
この例の検出システム70においても、上記第1の実施形態と同様に、共振器14の実効共振器長をフィードバック制御することができ、その際に参照される実効共振器長の調整量に基づいて、極微量物質の有無を検出することができる。それゆえ、この例の検出システム70においても、上記第1の実施形態と同様の効果が得られる。
なお、図11及び図12に示す例では、ビームスプリッタ72を用いて、プローブ光Lp(入射光)と出射光Loとを分離する例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ナノ光ファイバーの一部においてファイバーが分岐した構造を有するナノ光ファイバー、すなわち、光ファイバーカプラ機能を備えたナノ光ファイバーを用いて、プローブ光Lpと出射光Loとを分離する構成にしてもよい。
[変形例2]
上記第1の実施形態では、ナノキャピラリー2のナノ流路部11に、同一形状の複数の微小凹部15を等間隔で一列に配列して共振器14を構成する例を説明したが、本発明はこれに限定されず、伝搬光(プローブ光Lp)に対して同様の共振作用を及ぼす共振器であれば、任意の構成の共振器を用いることができる。ここでは、図面を参照しながら、共振器の各種変形例(変形例2−1〜2−4)について説明する。
上記第1の実施形態では、ナノキャピラリー2のナノ流路部11に、同一形状の複数の微小凹部15を等間隔で一列に配列して共振器14を構成する例を説明したが、本発明はこれに限定されず、伝搬光(プローブ光Lp)に対して同様の共振作用を及ぼす共振器であれば、任意の構成の共振器を用いることができる。ここでは、図面を参照しながら、共振器の各種変形例(変形例2−1〜2−4)について説明する。
(1)変形例2−1
変形例2−1では、2つの反射器を互いに所定距離、離して配置して構成した共振器の例を説明する。図13A及び13Bは、変形例2−1のキャピラリーナノファイバーにおける共振器の概略構成図である。なお、図13A及び13Bでは、説明を簡略化するため、ナノキャピラリーに設けられた共振器の形成領域付近(ナノキャピラリーの中央部付近)の構成のみを示し、キャピラリーナノファイバーのその他の構成部分の図示を省略する。
変形例2−1では、2つの反射器を互いに所定距離、離して配置して構成した共振器の例を説明する。図13A及び13Bは、変形例2−1のキャピラリーナノファイバーにおける共振器の概略構成図である。なお、図13A及び13Bでは、説明を簡略化するため、ナノキャピラリーに設けられた共振器の形成領域付近(ナノキャピラリーの中央部付近)の構成のみを示し、キャピラリーナノファイバーのその他の構成部分の図示を省略する。
図13Aに示すキャピラリーナノファイバー80では、共振器82は、ナノキャピラリーのナノ流路部81の外周面に形成された、第1反射器83と、第2反射器84とにより構成され、第2反射器84は、ナノ流路部81の延在方向において、第1反射器83から所定距離、離れて配置される。
第1反射器83は、ナノ流路部81の延在方向に沿って一列に配列された複数の微小凹部83aで構成され、第2反射器84は、ナノ流路部81の延在方向に沿って一列に配列された複数の微小凹部84aで構成される。図13Aに示す例では、各微小凹部83aの開口形状は円形であり、各微小凹部83aの開口サイズ及び微小凹部83aのピッチは均一とする。なお、微小凹部83aのピッチは、伝搬光(プローブ光Lp)に対してブラッグの反射条件が満たされるように設定される。また、この例では、第2反射器84の構成は、第1反射器83の構成と同じにする。それゆえ、ここでは、第2反射器84の構成の説明は省略する。
このような構成の共振器82は、例えば、上記第1の実施形態で説明した図3の製造装置200を用いて形成することができる。なお、この場合、例えばレーザー光源211a(フェムト秒パルスレーザー)から射出された光の光路の中央に所定幅(例えば、100μm程度等)の不透明物体(例えば、銅ワイヤやタングステンワイヤ等)を配置し、その状態で、レーザー光をナノ流路部81に射出する。具体的には、不透明物体は、例えば、図3の製造装置200内の集光レンズ212aの直前の光路上、+1次の回折光L1の光路上、又は、−1次の回折光L2の光路上などに配置される。
これにより、ナノ流路部81には回折光の干渉縞が発生し、複数の微小凹部83aからなる第1反射器83、及び、複数の微小凹部84aからなる第2反射器84が形成される。また、この際、ナノ流路部81内の干渉縞の発生領域の中央には不透明物体の影響により光が照射されない領域が発生し、これにより、第1反射器83及び第2反射器84間の微小凹部が形成されない領域が形成される。
図13Aに示す構成の共振器82においても、第1反射器83及び第2反射器84間の距離を適宜設定することにより、上記第1の実施形態の共振器14と同様の共振作用が得られる。また、図13Aに示す共振器82のように、一対の反射器で共振器を構成した場合、Q値をより高くすることが可能になる。
なお、図13Aに示す例では、第1反射器83の構成が、第2反射器84の構成と同じ(反射率が互いに同じ)である例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、伝搬光(プローブ光Lp)の出射側に設けられる反射器の反射率が伝搬光の入射側に設けられる反射器の反射率より低くなるように構成してもよい。
また、図13Aに示す構成の共振器82を備えるキャピラリーナノファイバー80は、上記第1の実施形態(図1参照)と同様に、光入力用ナノ光ファイバー及び光出力用ナノ光ファイバーの2つのナノ光ファイバーを備える構成であってもよい。さらに、図13Aに示す構成の共振器82を備えるキャピラリーナノファイバー80では、上記変形例1(図11参照)と同様に、ナノ光ファイバーが1つだけ設けられ、一つのナノ光ファイバーで、光入力用ナノ光ファイバー及び光出力用ナノ光ファイバーの両方を兼用するような構成にしてもよい。
図13Bに示すキャピラリーナノファイバー85では、共振器87は、ナノキャピラリーのナノ流路部86の中央部の外周面に形成された、第1反射器88と、第2反射器89とにより構成され、第2反射器89は、ナノ流路部86の延在方向において、第1反射器88から所定距離、離れて配置される。
第1反射器88は、ナノ流路部86の延在方向に沿って一列に配列された複数の微小凹部88aで構成され、第2反射器89は、ナノ流路部86の延在方向に沿って一列に配列された複数の微小凹部89aで構成される。なお、図13Bに示す例では、微小凹部のピッチは、均一とし、伝搬光(プローブ光Lp)に対してブラッグの反射条件が満たされるように設定される。
しかしながら、図13Bに示す例では、各微小凹部の開口形状は円形であるが、その開口サイズは、不均一とする。具体的には、一方の反射器に形成された複数の微小凹部の開口サイズが、他方の反射器から離れる方向に向かって徐々に小さくなるように形成される。それゆえ、一方の反射器において、対向する他方の反射器に最も近い位置に形成された微小凹部の開口サイズが最も大きくなる。
このような構成の共振器87もまた、例えば、上記第1の実施形態で説明した図3の製造装置200を用いて形成することができる。具体的には、例えばレーザー光源211a(フェムト秒パルスレーザー)から射出された光の光路の中央に所定幅(例えば、100μm程度等)の不透明物体(例えば、銅ワイヤやタングステンワイヤ等)を配置し、その状態で、光をナノ流路部86に照射する。なお、この際、図3に示す光照射形態から、ナノ流路部86を光の入射方向に対して所定角度、傾けた状態で光をナノ流路部86に照射する。この場合、ナノ流路部86に発生する干渉縞の明部又は暗部の幅が、ナノ流路部86の延在方向に沿って変化し、その結果、微小凹部の開口サイズもナノ流路部86の延在方向に沿って変化する。このような作製手法により、図13Bに示す構成の共振器87を形成することができる。なお、上記作製手法において、不透明物体は、例えば、図3の製造装置200内の集光レンズ212aの直前の光路上、+1次の回折光L1の光路上、又は、−1次の回折光L2の光路上などに配置される。
図13Bに示す構成の共振器87においても、各反射器の構成、並びに、第1反射器88及び第2反射器89間の距離を適宜設定することにより、図13Aに示す共振器82と同様の共振作用が得られる。
なお、図13Bに示す例では、第1反射器88の構成が、第2反射器89の構成と同じ(反射率が互いに同じ)である例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、伝搬光(プローブ光Lp)の出射側に設けられる反射器の反射率が伝搬光の入射側に設けられる反射器の反射率より低くなるように構成してもよい。
また、図13Bに示す第1反射器88及び第2反射器89の一方を、上記第2の実施形態の反射器44(図8参照)の代わりに用いてもよい。なお、この場合、開口サイズが最も大きい微小凹部が、液体流出側に位置するように反射器を配置することが好ましい。
また、図13Bに示す構成の共振器87を備えるキャピラリーナノファイバー85は、上記第1の実施形態(図1参照)と同様に、光入力用ナノ光ファイバー及び光出力用ナノ光ファイバーの2つのナノ光ファイバーを備える構成であってもよい。さらに、図13Bに示す構成の共振器87を備えるキャピラリーナノファイバー85では、上記変形例1(図11参照)と同様に、ナノ光ファイバーが1つだけ設けられ、一つのナノ光ファイバーで、光入力用ナノ光ファイバー及び光出力用ナノ光ファイバーの両方を兼用するような構成にしてもよい。
(2)変形例2−2
上記第1の実施形態及び変形例2−1では、ナノキャピラリー2のナノ流路部11に、開口形状が円形である複数の微小凹部を形成して共振器を構成する例を説明したが、変形例2−2では、円筒状のナノ流路部の外周面において、その周回方向に沿って形成された複数の微小溝により共振器を形成する例を説明する。
上記第1の実施形態及び変形例2−1では、ナノキャピラリー2のナノ流路部11に、開口形状が円形である複数の微小凹部を形成して共振器を構成する例を説明したが、変形例2−2では、円筒状のナノ流路部の外周面において、その周回方向に沿って形成された複数の微小溝により共振器を形成する例を説明する。
図14は、変形例2−2のキャピラリーナノファイバーを構成するナノキャピラリーの概略構成図である。なお、図14では、説明を簡略化するため、ナノキャピラリーに設けられた共振器の形成領域付近(ナノキャピラリーの中央部付近)の構成のみを示し、キャピラリーナノファイバーのその他の構成部分の図示を省略する。また、図14には、上記変形例2−1と同様に、互いに所定距離、離して配置された2つの反射器により構成された共振器の例を示す。
この例のキャピラリーナノファイバー90では、共振器92は、ナノ流路部91の外周面に形成された、第1反射器93と、第2反射器94とにより構成され、第2反射器94は、ナノ流路部91の延在方向において、第1反射器93から所定距離、離れて配置される。なお、この例では、第1反射器93の構成は、第2反射器94の構成と同じにする。
各反射器は、ナノ流路部91の外周面において、その周回方向に延在した複数の微小溝95(凹凸パターン)で構成され、該複数の微小溝95は、ナノ流路部91の延在方向に沿って一列に等間隔で配置される。なお、各微小溝95の例えば、溝の幅、深さ、ピッチ等は、伝搬光(プローブ光Lp)に対してブラッグの反射条件が満たされるように設定される。また、各反射器は、例えば、集束イオンビーム(FIB)加工法等の手法を用いて形成することができる。
この例の共振器92においても、各反射器の構成、並びに、第1反射器93及び第2反射器94間の距離を適宜設定することにより、上記第1の実施形態の共振器14及び変形例2−1の共振器82と同様の共振作用が得られる。
なお、この例では、第1反射器93の構成が、第2反射器94の構成と同じ(反射率が互いに同じ)である例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、伝搬光(プローブ光Lp)の出射側に設けられる反射器の反射率が伝搬光の入射側に設けられる反射器の反射率より低くなるように構成してもよい。
また、この例の複数の微小溝95を、上記第1の実施形態と同様に、共振器92の形成領域全体に渡って、等間隔に形成して共振器を構成してもよい。さらに、この例の第1反射器93及び第2反射器94の一方を、上記第2の実施形態の反射器44(図8参照)の代わりに用いてもよい。
また、この例の共振器92を備えるキャピラリーナノファイバー90は、上記第1の実施形態(図1参照)と同様に、光入力用ナノ光ファイバー及び光出力用ナノ光ファイバーの2つのナノ光ファイバーを備える構成であってもよい。さらに、この例の共振器92を備えるキャピラリーナノファイバー90では、上記変形例1(図11参照)と同様に、ナノ光ファイバーが1つだけ設けられ、一つのナノ光ファイバーで、光入力用ナノ光ファイバー及び光出力用ナノ光ファイバーの両方を兼用するような構成にしてもよい。
(3)変形例2−3
上記第1の実施形態及び上記各種変形例では、ナノ流路部の外周面に凹凸パターンを形成して共振器を作製する例を説明したが、変形例2−3では、ナノキャピラリーの外周面に凹凸パターンを形成せず、ナノキャピラリーの延在方向に沿って、屈折率が互いに異なる2つの領域を交互に形成して共振器を作製する例を説明する。
上記第1の実施形態及び上記各種変形例では、ナノ流路部の外周面に凹凸パターンを形成して共振器を作製する例を説明したが、変形例2−3では、ナノキャピラリーの外周面に凹凸パターンを形成せず、ナノキャピラリーの延在方向に沿って、屈折率が互いに異なる2つの領域を交互に形成して共振器を作製する例を説明する。
図15は、変形例2−3のキャピラリーナノファイバーを構成するナノキャピラリーの概略構成図である。なお、図15では、説明を簡略化するため、ナノキャピラリーに設けられた共振器の形成領域付近(ナノキャピラリーの中央部付近)の構成のみを示し、キャピラリーナノファイバーのその他の構成部分の図示を省略する。また、図15には、上記変形例2−1と同様に、互いに所定距離、離して配置された2つの反射器により構成された共振器の例を示す。
この例のキャピラリーナノファイバー100では、共振器102は、ナノ流路部101に形成された、第1反射器103と、第2反射器104とにより構成され、第2反射器104は、ナノ流路部101の延在方向において、第1反射器103から所定距離、離れて配置される。なお、この例では、第1反射器103の構成は、第2反射器104の構成と同じにする。
各反射器は、第1の屈折率を有する複数の領域105(第1領域)と、第1の屈折率とは異なる第2の屈折率を有する複数の領域106(第2領域)とを有する。そして、ナノ流路部101の延在方向に沿って、領域105及び領域106を所定間隔で交互に配置することにより、各反射器を構成する。
また、各反射器は、例えばフェーズマスクを用いた手法により形成することができる。具体的には、例えば紫外レーザーやフェムト秒パルスレーザー等の光を、フェーズマスクを介して、ナノ流路部101に照射する。この際、ナノ流路部101の領域に所定ピッチの干渉縞が形成され、光の照射強度が所定ピッチで変化する。これにより、ナノ流路部101に、変質度合いが互いに異なる2つの領域(領域105及び領域106)が所定ピッチで交互に形成される。すなわち、ナノ流路部101に、屈折率の互いに異なる2つの領域(領域105及び領域106)が所定ピッチで交互に形成される。なお、各反射器の領域105又は領域106のピッチは、例えば、伝搬光(プローブ光Lp)に対してブラッグの反射条件が満たされるように設定される。
この例の共振器102においても、各反射器の構成、並びに、第1反射器103及び第2反射器104間の距離を適宜設定することにより、上記第1の実施形態の共振器14及び変形例2−1の共振器82と同様の共振作用が得られる。
なお、この例では、第1反射器103の構成が、第2反射器104の構成と同じ(反射率が互いに同じ)である例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、伝搬光(プローブ光Lp)の出射側に設けられる反射器の反射率が伝搬光の入射側に設けられる反射器の反射率より低くなるように構成してもよい。
また、この例の屈折率が互いに異なる2つの領域(領域105及び領域106)を、上記第1の実施形態と同様に、共振器102の形成領域全体に渡って、所定間隔で交互に配置して共振器を構成してもよい。さらに、この例の第1反射器103及び第2反射器104の一方を、上記第2の実施形態の反射器44(図8参照)の代わりに用いてもよい。
また、この例の共振器102を備えるキャピラリーナノファイバー100は、上記第1の実施形態(図1参照)と同様に、光入力用ナノ光ファイバー及び光出力用ナノ光ファイバーの2つのナノ光ファイバーを備える構成であってもよい。さらに、この例の共振器102を備えるキャピラリーナノファイバー100では、上記変形例1(図11参照)と同様に、ナノ光ファイバーが1つだけ設けられ、一つのナノ光ファイバーで、光入力用ナノ光ファイバー及び光出力用ナノ光ファイバーの両方を兼用するような構成にしてもよい。
(4)変形例2−4
上記第1の実施形態及び上記各種変形例では、ナノキャピラリーに直接、共振器を形成する例を説明したが、変形例2−4では、共振器をナノキャピラリーとは別部材で作製する例を説明する。
上記第1の実施形態及び上記各種変形例では、ナノキャピラリーに直接、共振器を形成する例を説明したが、変形例2−4では、共振器をナノキャピラリーとは別部材で作製する例を説明する。
図16は、変形例2−4のキャピラリーナノファイバーの概略構成図である。なお、図16には、説明を簡略化するため、ナノキャピラリーのナノ流路部及び接続部の領域付近の構成のみを示し、その他の構成部分の図示を省略する。また、図16には、上記変形例2−1と同様に、互いに所定距離、離して配置された2つの反射器(グレーティング)により構成された共振器の例を示す。
この例のキャピラリーナノファイバー110は、ナノキャピラリー111と、光入力用ナノ光ファイバー112と、光出力用ナノ光ファイバー113と、光学的機能部材114とを備える。なお、光入力用ナノ光ファイバー112及び光出力用ナノ光ファイバー113の構成は、上記第1の実施形態の対応する構成と同様であるので、ここでは、これらの構成の説明を省略する。
ナノキャピラリー111は、従来のシリカ製のキャピラリー管を加熱延伸して作製される。それゆえ、ナノキャピラリー111は、外径が伝搬光(プローブ光Lp)の波長程度以下のサイズ(数ミクロンオーダーからサブミクロンオーダーのサイズ)であるナノ流路部111aと、ナノ流路部111aの各端部に接続された接続部111bと、各接続部111bのナノ流路部111a側とは反対側の端部に設けられたキャピラリー本体部(不図示)とを備える。
ナノ流路部111aの外径はプローブ光Lpの波長程度以下のサイズに設定されているので、光入力用ナノ光ファイバー112からナノキャピラリー111に入力されたプローブ光Lpは、ナノ流路部111aにおいて、近接場光として伝搬し、該プローブ光Lpの一部が周囲の領域(自由空間)にしみ出した状態で伝搬する。すなわち、ナノ流路部111aにプローブ光Lpが伝搬した際には、ナノ流路部111a及びその周囲の表面付近には、近接場nf(図16中の破線)が生成される。
光学的機能部材114は、例えば、石英、ポリマー等の光透過性材料で形成された板状部材である。そして、光学的機能部材114の一方の表面には、図16に示すように、第1グレーティング部115及び第2グレーティング部116(凹凸構造体)からなる共振器117が形成される。
なお、この例では、第1グレーティング部115及び第2グレーティング部116間の対向方向に沿って、第1グレーティング部115及び第2グレーティング部116を1次元的に配置し、且つ、両者を所定距離、離して配置する。また、この際、各グレーティング部を構成する複数の凸部の周期方向(凸部の延在方向と直交する方向)が、ナノ流路部111aの延在方向(プローブ光Lpの伝搬方向)と一致するように、各グレーティング部を配置する。なお、凸部のピッチは、均一であり、ナノ流路部111aを伝搬するプローブ光Lpに対してブラッグの反射条件が満たされるように設定される。
各グレーティング部は、光学的機能部材114の一方の表面に一体的に形成され、例えば、FIB加工法、フォトエッチング法、ナノインプリント法等の従来の半導体加工技術で用いられる手法により形成することができる。
この例のキャピラリーナノファイバー110では、図16に示すように、光学的機能部材114は、第1グレーティング部115及び第2グレーティング部16の形成面がナノ流路部111aと対向するように配置される。この際、ナノ流路部111aにプローブ光Lpを伝搬させたときにナノ流路部111a及びその周囲に生成される近接場nfが、第1グレーティング部115及び第2グレーティング部116の凸部の上端を含む一部と重なるように、ナノ流路部111a及び光学的機能部材114間の距離が設定される。なお、ナノ流路部111aは、第1グレーティング部115及び第2グレーティング部116に接触していてもよいし、離れていてもよい。
このように、ナノ流路部111aと光学的機能部材114とを配置すると、ナノ流路部111aを伝搬するプローブ光Lpが、共振器117の形成領域において、所定間隔で交互に配置された凸部領域及び凸部間領域の影響、すなわち、所定間隔で交互に配置された屈折率が互いに異なる2つの領域の影響を受ける。それゆえ、この例の共振器117においても、各グレーティング部の構成、並びに、第1グレーティング部115及び第2グレーティング部116間の距離を適宜設定することにより、上記第1の実施形態の共振器14及び変形例2−1の共振器82と同様の共振作用が得られる。
また、この例のキャピラリーナノファイバー110では、上述のように、共振器117が設けられた光学的機能部材114が、ナノキャピラリー111とは別部材として設けられる。それゆえ、例えば極微量物質の検出状況などが変化しても、例えば、ナノキャピラリー111と光学的機能部材114との配置関係を適宜調整することにより、最適な検出感度で極微量物質を検出することができる。すなわち、この例のキャピラリーナノファイバー110では、様々な検出状況に対して、柔軟に対応することができる。
なお、この例では、第1グレーティング部115の構成が、第2グレーティング部116の構成と同じ(反射率が互いに同じ)である例を説明するが、本発明はこれに限定されない。例えば、プローブ光Lpの出射側に位置する第2グレーティング部116の反射率がプローブ光Lpの入射側に位置する第1グレーティング部115の反射率より低くなるように構成してもよい。
また、この例では、上記第1の実施形態と同様に、共振器117の形成領域全体に渡って、凸部領域及び凸部間領域を所定間隔で交互に配置して共振器を構成してもよい。すなわち、図16に示す第1グレーティング部115及び第2グレーティング部116の一方を、共振器117の形成領域全体に渡って形成して共振器を構成してもよい。さらに、図16に示す第1グレーティング部115及び第2グレーティング部116の一方を、上記第2の実施形態の反射器44(図8参照)の代わりに用いてもよい。
また、この例では、キャピラリーナノファイバー110が、光入力用ナノ光ファイバー112及び光出力用ナノ光ファイバー113の2つのナノ光ファイバーを備える例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、この例のキャピラリーナノファイバー110においても、上記変形例1(図11参照)と同様に、ナノ光ファイバーを1つだけ設け、一つのナノ光ファイバーで、光入力用ナノ光ファイバー及び光出力用ナノ光ファイバーの両方を兼用するような構成にしてもよい。
[変形例3]
上記第1実施形態(図1参照)及び変形例2−4(図16参照)の各キャピラリーナノファイバーでは、水溶液(サンプル)の流入側に光入力用ナノ光ファイバーを設け、水溶液の流出側に光出力用ナノ光ファイバーを設ける例を説明したが、本発明はこれに限定されない。上記第1実施形態及び変形例2−4の各キャピラリーナノファイバーにおいて、例えば、水溶液の流入側に光出力用ナノ光ファイバーを設け、水溶液の流出側に光入力用ナノ光ファイバーを設ける構成にしてもよい。
上記第1実施形態(図1参照)及び変形例2−4(図16参照)の各キャピラリーナノファイバーでは、水溶液(サンプル)の流入側に光入力用ナノ光ファイバーを設け、水溶液の流出側に光出力用ナノ光ファイバーを設ける例を説明したが、本発明はこれに限定されない。上記第1実施形態及び変形例2−4の各キャピラリーナノファイバーにおいて、例えば、水溶液の流入側に光出力用ナノ光ファイバーを設け、水溶液の流出側に光入力用ナノ光ファイバーを設ける構成にしてもよい。
また、上記第2の実施形態(図7参照)のキャピラリーナノファイバー31では、水溶液(サンプル)の流入側に反射器44を設け、水溶液の流出側に光出力用ナノ光ファイバー34を設ける例を説明したが、本発明はこれに限定されない。上記第2の実施形態のキャピラリーナノファイバー31において、例えば、水溶液の流入側に光出力用ナノ光ファイバー34を設け、水溶液の流出側に反射器44を設ける構成にしてもよい。
さらに、上記変形例1(図11参照)のキャピラリーナノファイバー60では、光入力用ナノ光ファイバー及び光出力用ナノ光ファイバーを兼用するナノ光ファイバー61を水溶液(サンプル)の流入側に設ける例を説明したが、本発明はこれに限定されない。上記変形例1のキャピラリーナノファイバー60において、例えば、水溶液の流出側に光入力用ナノ光ファイバー及び光出力用ナノ光ファイバーを兼用するナノ光ファイバー61を設ける構成にしてもよい。
なお、上記変形例2−1〜2−3(図13〜図15参照)で説明した各種キャピラリーナノファイバーに対しても、上述した変形例3の各種ナノ光ファイバーの配置形態を適宜適用することができる。
1,31…キャピラリーナノファイバー、2,32…ナノキャピラリー、2a,32a…貫通孔、3…光入力用ナノ光ファイバー、4,34…光出力用ナノ光ファイバー、11,41…ナノ流路部、12,42…接続部、13,43…キャピラリー本体部、14…共振器、15,45…微小凹部、20,50…検出システム、21,51…キャピラリー保持装置、21a,51a…第1保持部、21b,51b…第2保持部、21c…アクチュエータ、22…直流電源回路、23…電圧表示装置、24…レーザー光源、25…光学系、26,53…フォトダイオード、27…高周波変調器、28…ロックイン回路、44…反射器、52…励起光源、54…フィルタ、55…判別回路
Claims (14)
- 内部に光透過性液体を流通させる貫通孔が形成された光透過性を有する第1管部を含み、該第1管部の外径が、該第1管部の貫通孔に該光透過性液体が流通した状態で該第1管部を伝搬する光の波長以下のサイズであるナノキャピラリーと、
外径が前記第1管部を伝搬する前記光の波長以下のサイズである第1光導波路を有し、該第1光導波路の一部が前記第1管部の一方の端部側の前記ナノキャピラリー内の所定位置に接続され、該第1光導波路の一部を介して前記ナノキャピラリーを伝搬する前記光の一部を取り込む第1ナノ光ファイバーと、を備える
キャピラリーナノファイバー。 - 前記第1管部の貫通孔に該光透過性液体が流通した状態で前記第1管部を伝搬する光に対して所定の共振条件で共振作用を与える共振器を、さらに備える
請求項1に記載のキャピラリーナノファイバー。 - 外径が前記第1管部を伝搬する前記光の波長以下のサイズである第2光導波路を有し、該第2光導波路の一部が前記第1管部の他方の端部側の前記ナノキャピラリー内の所定位置に接続され、該第2光導波路の一部を介して前記ナノキャピラリーに前記光を入射する第2ナノ光ファイバーを、さらに備える
請求項2に記載のキャピラリーナノファイバー。 - 前記共振器が、前記第1管部の表面に形成された所定周期の凹凸パターンにより構成される
請求項2又は3に記載のキャピラリーナノファイバー。 - 前記共振器が、前記第1管部の表面に所定周期で交互に形成された第1の屈折率を有する第1領域と、該第1の屈折率とは異なる第2の屈折率を有する第2領域とにより構成される
請求項2又は3に記載のキャピラリーナノファイバー。 - 光透過性を有する凹凸構造体で構成された前記共振器が表面に形成された光学的機能部材を、さらに備え、
前記光学的機能部材が、前記ナノキャピラリーに対して、前記第1管部に前記光が伝搬した際に生成される近接場と前記凹凸構造体の一部とが重なるような位置に配置されている
請求項2又は3に記載のキャピラリーナノファイバー。 - 前記第1管部の他方の端部側の前記第1管部内の所定位置に設けられ、前記第1管部の貫通孔に前記光透過性液体が流通した状態で前記第1管部を伝搬する光のうち、前記第1管部の他方の端部側に向かって伝搬する光成分の一部を反対方向に反射させる反射器を、さらに備え、
前記第1管部を伝搬する光が、前記光透過性液体に含まれる、ラベリングされた所定の極微量物質から発生した蛍光である
請求項1に記載のキャピラリーナノファイバー。 - 前記ナノキャピラリーは、さらに、
前記第1管部の前記光透過性液体の流出側に配置され、前記第1管部に形成された貫通孔の直径より大きな直径を有する貫通孔が内部に形成された光透過性を有する第2管部と、
前記第1管部の前記光透過性液体の流入側に配置され、前記第1管部に形成された貫通孔の直径より大きな直径を有する貫通孔が内部に形成された光透過性を有する第3管部と、
前記第1管部の前記光透過性液体の流出側端部と前記第2管部との間を接続し、前記第1管部の貫通孔と前記第2管部の貫通孔とを連通させる貫通孔が内部に形成され、且つ、外径が前記第1管部の前記光透過性液体の流出側端部から前記第2管部に向かって連続的に大きくなる第4管部と、
前記第1管部の前記光透過性液体の流入側端部と前記第3管部との間を接続し、前記第1管部の貫通孔と前記第3管部の貫通孔とを連通させる貫通孔が内部に形成され、且つ、外径が前記第1管部の前記光透過性液体の流入側端部から前記第3管部に向かって連続的に大きくなる第5管部と、を有し、
前記第1ナノ光ファイバーの前記第1光導波路の一部が、前記第4管部又は前記第5管部に接続されている
請求項1〜7のいずれか一項に記載のキャピラリーナノファイバー。 - 内部に光透過性液体を流通させる貫通孔が形成された光透過性を有する第1管部を含み、該第1管部の外径が、該第1管部の貫通孔に該光透過性液体が流通した状態で該第1管部を伝搬する光の波長以下のサイズであるナノキャピラリーと、
外径が前記第1管部を伝搬する前記光の波長以下のサイズである第1光導波路を有し、該第1光導波路の一部が前記第1管部の一方の端部側の前記ナノキャピラリー内の所定位置に接続され、該第1光導波路の一部を介して前記ナノキャピラリーを伝搬する前記光の一部を取り込む第1ナノ光ファイバーと、
前記第1ナノ光ファイバーで取り込まれた前記光の一部を検出する光検出部と、を備え、
前記光検出部の検出結果に基づいて、前記光透過性液体に含まれる所定の極微量物質を検出する
検出システム。 - 前記第1管部の貫通孔に該光透過性液体が流通した状態で前記第1管部を伝搬する光に対して所定の共振条件で共振作用を与える共振器と、
外径が前記第1管部を伝搬する前記光の波長以下のサイズである第2光導波路を有し、該第2光導波路の一部が前記第1管部の他方の端部側の前記ナノキャピラリー内の所定位置に接続され、該第2光導波路の一部を介して前記ナノキャピラリーに前記光を入射する第2ナノ光ファイバーと、
前記第2ナノ光ファイバーに前記光を入射する光源と、
前記光検出部の検出結果に基づいて、前記共振器の共鳴波長を一定に制御するための制御信号を出力する制御部と、
前記制御部から出力された制御信号に基づいて、前記共振器の共鳴波長が一定になるように、前記共振器の実効共振器長を調整する共振器長調整部と、をさらに備え、
前記共振器の実効共振器長の調整量に関する情報に基づいて、前記光透過性液体に含まれる前記所定の極微量物質を検出する
請求項9に記載の検出システム。 - 前記共振器長調整部が、PZTアクチュエータである
請求項10に記載の検出システム。 - 前記光透過性液体に含まれる前記所定の極微量物質がラベリングされた極微量物質であり、前記所定の極微量物質から蛍光を発生させるための所定の励起光を射出する励起光源と、
前記第1管部の他方の端部側の前記第1管部内の所定位置に設けられ、前記第1管部の貫通孔に前記光透過性液体が流通した状態で前記第1管部を伝搬する蛍光のうち、前記第1管部の他方の端部側に向かって伝搬する蛍光成分の一部を反対方向に反射させる反射器
と、をさらに備える
請求項9に記載の検出システム。 - 前記ナノキャピラリーの内部の前記光透過性液体に電界を印加して、電気泳動により前記光透過性液体を流動させる電界印加装置をさらに備える
請求項9〜12のいずれか一項に記載の検出システム。 - 内部に光透過性液体が流通されるキャピラリーと、前記キャピラリーの内部に前記光透過性液体が流通した状態で前記キャピラリーを伝搬する光の一部を取り出す光ファイバーと、前記光ファイバーからの出射光を検出する光検出部とを備える検出システムを用いた極微量物質の検出方法であって、
前記キャピラリーは、内部に前記光透過性液体を流通させる貫通孔が形成された光透過性を有する管部を含み、該管部の外径が、該管部の内部に前記光透過性液体が流通した状態で該管部を伝搬する光の波長以下のサイズであり、
前記光ファイバーは、外径が前記管部を伝搬する前記光の波長以下のサイズである光導波路を有し、該光導波路の一部が前記管部の一方の端部側の前記キャピラリー内の所定位置に接続され、
前記光ファイバーが、前記光導波路の一部を介して前記キャピラリーを伝搬する前記光の一部を取り込むことと、
前記光検出部が、前記光ファイバーにより取り込まれた前記光の一部を検出することと、を含み、
前記光検出部の検出結果に基づいて、前記光透過性液体に含まれる所定の極微量物質が検出される
検出方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013262060A JP2015118025A (ja) | 2013-12-19 | 2013-12-19 | キャピラリーナノファイバー、検出システム及び検出方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013262060A JP2015118025A (ja) | 2013-12-19 | 2013-12-19 | キャピラリーナノファイバー、検出システム及び検出方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015118025A true JP2015118025A (ja) | 2015-06-25 |
Family
ID=53530870
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013262060A Pending JP2015118025A (ja) | 2013-12-19 | 2013-12-19 | キャピラリーナノファイバー、検出システム及び検出方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2015118025A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110333170A (zh) * | 2019-07-17 | 2019-10-15 | 山西大学 | 一种无损测量微球直径均匀度的测量装置及方法 |
-
2013
- 2013-12-19 JP JP2013262060A patent/JP2015118025A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110333170A (zh) * | 2019-07-17 | 2019-10-15 | 山西大学 | 一种无损测量微球直径均匀度的测量装置及方法 |
CN110333170B (zh) * | 2019-07-17 | 2020-06-12 | 山西大学 | 一种无损测量微球直径均匀度的测量装置及方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Zhang et al. | Side-channel photonic crystal fiber for surface enhanced Raman scattering sensing | |
WO2015019341A1 (en) | Optical sensor based on multilayered plasmonic structure comprising a nanoporous metallic layer | |
US9625389B2 (en) | Light measuring device and light measuring method | |
JP2010533849A (ja) | バイモーダル光学導波路に基づく干渉計及びセンサと検出方法 | |
US10416384B2 (en) | Scanning electromagnetic waves in photonic band gap multilayers | |
US10184888B2 (en) | Device and method for determining a refractive index | |
Yang et al. | Surface plasmon cavities on optical fiber end-facets for biomolecule and ultrasound detection | |
KR20080100369A (ko) | 플라스몬 단층촬영 | |
EP0415838B1 (fr) | Procédé de microscopie et microscope en champ proche en réflexion | |
Gomes et al. | Temperature independent refractive index measurement using a fiber Bragg grating on abrupt tapered tip | |
US9417262B2 (en) | Scanning probe microscope and sample observation method using same | |
US20120019907A1 (en) | High-resolution surface plasmon microscope that includes a heterodyne fiber interferometer | |
Theodosiou | Adaptive Refractive Index Measurements via Polymer Optical Fiber Speckle Pattern Analysis | |
JP7532515B2 (ja) | Tirf顕微鏡検査法のためのメタ表面を含む回折光学素子 | |
Liu et al. | Fiber-optic SERS microfluidic chip based on light-induced gold nano-particle aggregation | |
JP2015118025A (ja) | キャピラリーナノファイバー、検出システム及び検出方法 | |
Tai et al. | Escherichia coli fiber sensors using concentrated dielectrophoretic force with optical defocusing method | |
JP6462251B2 (ja) | 機能性デバイス、分析システムおよび分析方法 | |
WO2012086198A1 (ja) | 光電場増強デバイスおよび光検出装置 | |
Jiao et al. | Surface third-harmonic generation at a two-photon-polymerized micro-interferometer for real-time on-chip refractive index monitoring | |
JP2014081321A (ja) | 流路デバイス及び分析方法 | |
Yin et al. | Planar single-molecule sensors based on hollow-core ARROW waveguides | |
Pudiš et al. | 3D Photonic Technologies for Applications on a Chip and Optical Fiber | |
Ghaffari et al. | A nanophotonic interferometer for small particle detection | |
WO2009054576A1 (en) | Scanning optical measurement apparatus having super resolution |