JP2015117637A - オイルポンプのリリーフ装置 - Google Patents
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Abstract
【目的】オイルの温度高低に係わらず、圧力上昇でのリリーフを実行可能とし、構成を簡単としたオイルポンプのリリーフ装置とすること。【構成】小径弁室31と大径弁室32とリリーフ排出部35とを有する弁ハウジング3とからなるリリーフバルブAと、感温バルブBと、オイルポンプ9と、主流路61と、リリーフ流路62と、補助流路63と、オリフィス37とからなる。リリーフ流路62は、小径弁室31と大径弁室32の何れか一方側と、オイルポンプ9とを常時連通させると共にリリーフ排出部35からオイル排出可能とし、補助流路63は、小径弁室31と大径弁室32の他方側と、オイルポンプ9とを連通可能にさせると共に補助流路63には感温バルブBが具備される。感温バルブBは、補助流路63をオイル低温時では連通状態とすると共にオリフィス37を介してオイルを排出し、オイル高温時では感温バルブBは補助流路63を非連通状態としてなること。【選択図】 図1
Description
本発明は、リリーフバルブと感温弁とを具備し、オイルの温度の高低にかかわらず、圧力上昇でのリリーフ(オイル排出)の実行を可能とし、且つその構成を簡単なものにできるオイルポンプのリリーフ装置に関する。
従来、エンジンに潤滑のためのオイルを供給するためのポンプで、吐出圧が所定値を超えた場合にリリーフを行うリリーフ弁を具備したものが種々存在している。さらに、圧力変化と共に、オイルの温度変化にも対応してリリーフを実行するかしないかを判断するタイプのオイルポンプのリリーフ装置も多く存在する。
この種の代表例として、特許文献1が存在する。特許文献1に開示された複数の実施形態の中で第二制御弁7を備えた実施形態〔第3の実施形態〕を概説する。なお符号は特許文献1に使用されているものを、そのまま使用する。オイルポンプXは、ポンプ本体1からの作動オイルが単一の吐出ポート31からのみ吐出され、第一制御弁4は、吐出油路5の作動オイルの吐出圧が高い場合のリリーフ弁としてのみ機能する構成となっている。第二制御弁7は、作動オイルの温度に応じて動作して第一制御弁4に対する制御、具体的には第一制御弁4の第二弁室44に流入する作動オイルの油圧を制御するための弁である。
オイルポンプXは、作動オイルの温度が約110℃より低い常用温度域であるとき第二制御弁7は常用状態に維持されており、第一制御弁4は吐出油路5に吐出される作動オイルの吐出圧に応じて動作し、作動オイルの吐出圧が上昇した場合には、第一弁室43と帰還ポート41dとを連通させ、吐出油路5の作動オイルの一部を帰還油路6へ供給することにより吐出圧のリリーフを行う。
作動オイルの温度が高い場合には、第一制御弁4はリリーフ弁として作動しない制御となる。したがって、高油温時の作動オイルの必要吐出圧を確保しつつ、通常の使用条件での作動オイルの温度領域である約110℃より低い常用温度域において最適な吐出圧の特性となるようにオイルポンプXを設計することができる。
前述したように、特許文献1では、作動オイルの温度の違いによりリリーフを実行するか、実行しないかを判断することができるものである。しかし、特に作動オイルが高温では、リリーフは行われない構造となっている。このことは、エネルギーを無駄にロスする恐れがある。
そこで、本発明の目的(解決しようとする技術的課題)は、極めて簡単な構成で、オイル温度の高低に係らず、リリーフの必要な状態でリリーフ動作が行われ、且つ安価で信頼性の高いオイルポンプのリリーフ装置を提供することにある。
そこで、発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、小径部と大径部とからなる弁体と、小径弁室と大径弁室と前記小径弁室と前記大径弁室との何れか一方側に設けられるリリーフ排出部とを有する弁ハウジングとからなるリリーフバルブと、感温バルブと、オイルポンプと、該オイルポンプの下流の主流路と、該主流路から分岐するリリーフ流路と補助流路と、前記弁ハウジングに設けられたオリフィスとからなり、前記リリーフ流路は、前記小径弁室と前記大径弁室の何れか一方側と、前記オイルポンプとを常時連通させると共に前記リリーフ排出部からオイル排出可能とし、前記補助流路は、前記小径弁室と前記大径弁室の他方側と、前記オイルポンプとを連通可能にさせると共に前記補助流路には前記感温バルブが具備され、該感温バルブは、前記補助流路をオイル低温時では連通状態とすると共に前記オリフィスを介してオイルを排出し、オイル高温時では前記感温バルブは前記補助流路を非連通状態としてなるオイルポンプのリリーフ装置としたことにより上記課題を解決した。
請求項2の発明では、請求項1において、前記小径弁室に前記リリーフ排出部が設けられ、前記大径弁室に前記オリフィスが設けられ、前記リリーフ流路は、前記小径弁室と前記オイルポンプとを常時連通させ、前記補助流路は前記大径弁室と前記オイルポンプと連通可能にしてなるオイルポンプのリリーフ装置としたことにより上記課題を解決した。
請求項3の発明では、請求項1において、前記大径弁室に前記リリーフ排出部が設けられ、前記小径弁室に前記オリフィスが設けられ、前記リリーフ流路は、前記大径弁室と前記オイルポンプとを常時連通させ、前記補助流路は前記小径弁室と前記オイルポンプとを連通可能にしてなるオイルポンプのリリーフ装置としたことにより上記課題を解決した。
請求項4の発明では、請求項1,2又は3の何れか1項の記載において、前記大径弁室の上端箇所と、前記大径部頂部との少なくとも何れか一方に前記オリフィスと連通する空隙を形成する突出部が設けられてなるオイルポンプのリリーフ装置としたことにより上記課題を解決した。
請求項5の発明では、請求項1,2,3又は4の何れか1項の記載において、前記感温バルブは、感温弁体と、感温ハウジングとからなり、前記感温弁体は感温弁部と、感温センサを備えた感温駆動部とからなり、前記感温弁部は前記感温駆動部により、感温ハウジング内を摺動することによって、前記補助流路を連通又は非連通に制御してなるオイルポンプのリリーフ装置としたことにより上記課題を解決した。
請求項6の発明では、請求項5において、前記感温センサには、非電子制御部品が使用されてなるオイルポンプのリリーフ装置としたことにより上記課題を解決した。請求項7の発明では、請求項6において、前記感温センサはサーモワックスが使用されてなるオイルポンプのリリーフ装置としたことにより、上記課題を解決した。
請求項1の発明では、リリーフ流路は、小径弁室と大径弁室の何れか一方側と、オイルポンプとを常時連通させると共にリリーフ排出部からオイル排出可能とし、補助流路は、その他方側と、前記オイルポンプとを連通させると共に補助流路には感温バルブが具備されている。該感温バルブは、前記補助流路をオイル低温時では連通状態とし、オイル高温時では非連通状態に制御する構成とした。
したがって、感温バルブによって、補助流路はオイル低温時では連通状態となり、リリーフ流路からの圧力が弁体の小径部と大径部の何れか一方側にかかり、補助流路からの補助的な圧力が、小径部と大径部の残った他方側にかかる。そのために、エンジン始動直後の早い段階で、弁体が移動を開始し、リリーフ排出部が開き、オイルのリリーフを開始することができる。
したがって、エンジン始動直後における低油温の状態で、高回転数域になっても低い圧力でリリーフ動作することにより、高回転時の圧力を適切に保てる。このように、低油温時において、粘性が高くなり、そのために油圧も高くなるような場合で、エンジンの高回転となっても、リリーフが可能となり、圧力を下げることができ、必要油圧以上の無駄仕事を削減することができ、燃費を向上させることができる。
また、高油温時では、感温バルブは、補助流路を非連通とし、リリーフバルブは、リリーフ流路のみからのオイルの圧力を受けることとなる。これによって、通常通りのリリーフ動作を行うことができるものである。このように、本発明におけるリリーフ装置は、油温の高低にかかわらず、吐出圧の変化に伴い、適正なリリーフ動作を行うことができるものである。
さらに、弁ハウジングにはオリフィスが設けられており、前記補助流路をオイル低温時では連通状態とすると共に前記オリフィスを介してオイルを少しずつ排出する構成とした。これによって、弁体の初期位置状態から、弁体がオイルの圧力を受けて移動を開始し、弁体がリリーフ排出部を開いてオイルのリリーフが開始するまでの間、オリフィスから少量のオイルがリリーフされ続けることになる。このオリフィスからのオイルのリリーフによって、低油温における低回転数域の初期から中回転数域に亘って、オイルポンプがエンジンに供給するオイル油圧は、僅かに低くなり、その結果として、潤滑の無駄仕事を防ぐことができる。
このように、粘性が高くなり、そのために油圧も高くなる低油温時において、オリフィスにより僅かなリリーフが可能となることで、必要油圧以上の無駄仕事を削減することができ、燃費を向上させることができる。また、高油温時では、感温バルブは、補助流路を非連通とすることで、前記オリフィスからオイルがリリーフされなくなり、リリーフバルブは、弁体の小径部のみがオイルの圧力を受けることができ、通常通りのリリーフ動作を行うことができるものである。このように、本発明におけるリリーフ装置は、油温の高低に係らず、吐出圧の変化に伴い、適正なリリーフ圧力での動作を行うことができるものである。
本発明におけるリリーフ装置は、油温の高低に係らず、適切なオイルの圧力でのリリーフを行うことができると共に、低油温時の低回転数域から、リリーフ排出部から通常のリリーフが行われるまでの間でもオリフィスを介して少量のリリーフを行い続けることができるものである。このように、本発明のリリーフ装置は、広いエンジン回転数域に亘って、オイルのリリーフを行うことができ、発電機にてモータ駆動する電気自動車の発電用のエンジンのみならず、通常のエンジン駆動の自動車に対して用いても極めて好適である。
請求項2の発明では、小径弁室にリリーフ排出部が設けられ、リリーフ流路は、小径弁室とオイルポンプとを常時連通させ、補助流路は大径弁室とオイルポンプと連通させたものであり、その他の構成は請求項1と同等である。よって、請求項1と同等の効果を奏する。請求項3の発明では、大径弁室にリリーフ排出部が設けられ、リリーフ流路は、大径弁室とオイルポンプとを常時連通させ、補助流路は小径弁室とオイルポンプとを連通させたものであり、その他の構成は請求項1と同等である。よって、請求項1と同等の効果を奏する。
請求項4の発明では、大径弁室の上端箇所と、大径部頂部との少なくとも何れか一方に前記オリフィスと連通する空隙を形成する突出部が設けられる構成としたことにより、弁体の大径部にオイルの圧力がかかっていない初期位置状態であっても、弁体における大径部の頂部(第2受圧面)と、大径弁室の上端との間には、空隙が形成される。したがって、補助流路から大径弁室内にオイルが流入したときには、大径部の頂部(第2受圧面)の全体にオイルが瞬時に行きわたり、均一な圧力をかけることができる。よって、リリーフ流路から小径弁室内に流入するオイルと共に、弁体は円滑かつ迅速に移動し、リリーフ動作を行うことができる。弁体の大径部頂部(第2受圧面)にオイルの圧力をかける構造を極めて簡単にすることができる。
請求項5の発明では、感温バルブは、感温弁体と、感温ハウジングとからなり、感温弁体は感温弁部と、感温センサを備えた感温駆動部とからなり、感温弁部は感温駆動部により、感温ハウジング内を摺動することによって、補助流路を連通又は非連通に制御する構成とした。これによって、前記補助流路を連通又は非連通に制御してなる構成としたことにより、最も簡単な構成にて、オイルの温度を検知し、補助流路を連通及び非連通とすることができる。
請求項6の発明では、前記感温バルブにおける感温センサは、非電子制御部品が使用されてなる構成としたことにより、電子制御系の部品を使用しないので、電気系統の不具合からくる影響を受けることなく、安定した作動にすることができる。請求項7の発明では、感温センサはサーモワックスが使用される構成としたものであり、これは、安価であり且つサーモワックスの膨張,収縮により感温弁体が作動することにより、より一層円滑に動作することができる。
本発明には、二つ実施形態が存在し、まず、第1実施形態について図1乃至図3に基づいて説明する。第1実施形態の構成は、主にリリーフバルブAと、感温バルブBと、主流路61と、リリーフ流路62と、補助流路63と、オイルポンプ9とからなる(図1参照)。リリーフバルブAは、弁体1と、弾性部材2と、弁ハウジング3とから構成される(図1参照)。
弁体1は、円筒形状の小径部11と、円筒形状の大径部12とから構成される。小径部11と大径部12とは、軸方向に沿って軸芯を一致させて一体形成される。小径部11の直径は、大径部12の直径よりも小さく形成されている。そして、小径部11は、略円柱状となるように軸方向に長く形成され、大径部12は扁平円筒形状に形成される。
小径部11の軸方向一端の端面〔図1において弁体1の上端面〕は、第1受圧面11aである。また、小径部11の軸方向他端と大径部12の軸方向一端との境となる段差面は、第2受圧面12aとなる。該第2受圧面12aは、大径部12の頂部から小径部11の断面積を除いた部分で略環状の面となる。
大径部12の軸方向他端〔図1において弁体1の下端面〕には、円筒形状の突起部14が形成されている。該突起部14は、コイルバネ等の弾性部材2を支持する役目をなすものであり、突起部14は、コイルバネとした弾性部材2内に挿入される構造となる。
弁ハウジング3は、小径弁室31と大径弁室32とから構成される。小径弁室31は、弁体1の小径部11が摺動する弁室であり、大径弁室32は、大径部12が摺動する弁室である。なお、小径弁室31では、小径部11のみが摺動するが、大径弁室32では、大径部12と共に小径部11も入り込む。弁ハウジング3の小径弁室31には、第1流入口部33が形成される。具体的には、該第1流入口部33は、図1に示すように、小径弁室31の上端箇所付近に形成される。
また、小径弁室31と大径弁室32との境界付近には第2流入口部34が形成される。具体的には、該第2流入口部34は、大径弁室32の頂部箇所に形成される。また、第2流入口部34の一部は小径弁室31と交わる構造とすることもある。第1流入口部33は、後述するリリーフ流路62が接続され、第1流入口部33から小径弁室31内にオイルを流入させ、小径部11の第1受圧面11aにオイルの圧力をかけ、弁体1を小径弁室31から大径弁室32に向かう方向に移動させようとするものである。ここで、弁体1の大径部12が、オイルの圧力を受けていない状態で、弾性部材2によって、大径部12の頂部つまり第2受圧面12aと、大径弁室32の頂部とが最も近接したときの状態を弁体1の初期位置とする。
また、前記第2流入口部34は、補助流路63が接続され、第2流入口部34から大径弁室32内に流入したオイルは、大径部12の第2受圧面12aにオイルの圧力をかける。小径弁室31には、リリーフ排出部35が形成される。該リリーフ排出部35は、弁体1の小径部11の往復摺動によって開閉されるものであり、開かれたときにはオイルをリリーフバルブAから外部に排出し、オイルポンプ9又はオイルパン101に戻す役目をなすものである。リリーフ排出部35は、第1流入口部33と第2流入口部34との間に位置しており、初期位置では、小径部11によって閉鎖された状態である。
次に、リリーフバルブAには、前記大径弁室32の上端箇所と、前記大径部12の頂部との何れか一方側又は両方に空隙を形成するための突出部13又は突出部36が設けられている。つまり、弁体1の初期位置状態において、突出部13又は突出部36は、補助流路63から第2流入口部34を介して大径弁室32内にオイルを流入させるときに、流入したオイルが第2受圧面12aを、瞬時且つ均一に押圧し易い環境を確保する役目をなすものである。
この突出部13又は突出部36によって、弁体1が最大限、大径弁室32側から小径弁室31側に移動したとき、すなわち、弁体1の初期位置状態、つまり図1において大径部12が大径弁室32の上端位置に到達した状態のときに、大径弁室32の上端と、大径部12の第2受圧面12aとの間に空隙Sが形成される。
該空隙Sによって、補助流路63から第2流入口部34を介して大径弁室32にオイルが流入し易くなり、弁体1の初期位置状態において、第2受圧面12aに対して瞬間的且つ効率的に圧力をかけることができる。突出部13は、弁体1側に形成されるものであって、大径部12の第2受圧面12aと小径部11との境界箇所に円周状に形成される。
具体的には、弁体1側に形成される突出部13は、第2受圧面12a上において、小径部11の外周に沿って略環状に形成される。また、大径弁室32側に形成される突出部36は、小径弁室31と同一内径となる環状部位が大径弁室32の頂部に形成される。
このような突出部13及び突出部36によって、弁体1の大径部12が大径弁室32の頂部に到達しても、第2受圧面12aが大径弁室32の頂部に全面的に当接することがなく、第2受圧面12a上には空隙Sを存在させることができる。そして、第2流入口部34から流入したオイルの圧力を第2受圧面12aが略全面的に受けることができる。
さらに、小径弁室31と大径弁室32との境界付近にはオリフィス37が形成される。該オリフィス37は、大径弁室32内のオイルを極めて少量ずつ弁ハウジングの外部に排出する役目をなす部位である。オリフィス37は、具体的には、内径が極めて小さい管状部材又は排出口形状である。
オリフィス37は、オイルポンプ9の吐出側から主流路61及び補助流路63を介してリリーフバルブAの第2流入口部34から大径弁室32内に流入したオイルを少量ずつ排出し続けるようにするものである。つまり、少量のオイルのリリーフ動作を行うものである。
該オリフィス37は、前記突出部13又は突出部36によって形成される空隙部Sと補助流路63に連通する構成となっている。そして、弁体1の初期位置状態、つまり大径部12の第2受圧面12aが大径弁室32の頂部側に最も接近している状態で、前記空隙部S内のオイルがオリフィス37から弁ハウジング3の外部に少しずつ常時排出されるようになっている。
感温バルブBは、感温弁体4と感温ハウジング5とから構成される。感温弁体4は、感温弁部41と感温駆動部42とから構成され、感温駆動部42がオイルの温度を検知して、感温弁部41を感温ハウジング5内で摺動させる。感温ハウジング5には、第1補助口部51と第2補助口部52が形成されている。
感温駆動部42は、感温センサとしての役目も具備し、具体的には、シリンダタイプの部材で、シリンダ42aとピストン42bとから構成される。シリンダ42aには、感温センサ42cが設けられている。感温センサ42cは、サーモワックスが使用されている。具体的には、シリンダ42aにサーモワックスが充填された部分が設けられ(図1参照)、該サーモワックスが検知する温度の高低により膨張及び熱収縮を行い、前記ピストン42bがシリンダ42aに対して伸縮動作を行うものである。
これによって、感温弁部41が感温ハウジング5内を往復移動し、前記第1補助口部51と前記第2補助口部52とは、前記感温弁部41の摺動によって、同時に開閉する(図1参照)。前記感温駆動部42には、感温センサ42cとしてサーモワックスを用いたが、感温駆動部42は、これに限定されることなく、たとえば形状記憶合金,バイメタル等が使用されることもある。
前記感温駆動部42に使用するサーモワックス,形状記憶合金,バイメタル等は、電気系統を一切使用しないもので、本発明ではこれを非電子制御部品と称する。前記感温バルブBにおける感温駆動部42に、非電子制御部品を使用することにより、電子制御系の部品を使用しないので、電気系統の不具合からくる影響を受けることなく、安定した作動にすることができる。また、感温弁部41は、第1補助口部51と第2補助口部52を常時連通状態にする方向に、感温駆動部42の荷重と逆方向に荷重を加えるコイルバネ等の補助弾性部材43が具備されている。
オイルポンプ9は、内接歯車式ポンプであって、ポンプハウジング91内のロータ室92は、吸入ポート93と吐出ポート94とが形成されている。前記ロータ室92には、インナーロータ95とアウターロータ96とが配置されている。インナーロータ95には、外歯が形成され、アウターロータ96には内歯が形成されており、アウターロータ96内にインナーロータ95が配置され、インナーロータ95が駆動して、アウターロータ96と共に回転し、吸入ポート93から吸入したオイルを吐出ポート94から吐出する。
次に、本発明の第1実施形態におけるリリーフバルブA,感温バルブB,オイルポンプ9とのオイル回路の構成を説明する。オイルポンプ9の吐出ポート94とエンジン100とは、主流路61にて連通されている。該主流路61の分岐流路61aから、分岐するリリーフ流路62がリリーフバルブAの小径弁室31の第1流入口部33と連通する。
また、オイル回路には、前記主流路61の分岐流路61aから分岐する補助流路63が設けられている。該補助流路63は、第1補助流路63aと第2補助流路63bとからなる。そして、補助流路63の中間箇所には感温バルブBが備わっている。具体的には、第1補助流路63aと第2補助流路63bとが感温バルブBによって連通又は非連通にされている。
第1補助流路63aがオイルポンプ9と感温バルブBの第1補助口部51と連通し、第2補助流路63bが感温バルブBの第2補助口部52とリリーフバルブAの第2流入口部34と連通する。そして、リリーフバルブAのリリーフ排出部35と、オイルパン101との間にはリリーフ排出流路64が設けられる。
次に、本発明の第1実施形態における、循環回路におけるリリーフ動作を説明する。本発明では、上述した構成からも明らかなように、オイル回路において、オイルポンプ9の下流側にエンジン100,リリーフバルブA,感温バルブB等が配置される(図1参照)。また、本発明において、リリーフバルブAは、1段階の階段状の油圧でのリリーフを行う。
まず、オイルの循環回路におけるオイルの基本的な流れを説明する。オイルポンプ9から吐出されたオイルは、主流路61を介して、まずエンジン100に供給される。そして、同時に主流路61から分岐されるリリーフ流路62にもオイルが流れ、リリーフバルブAの第1流入口部33から小径弁室31内にもオイルが送られ、弁体1の小径部11の第1受圧面11aには、常時、油圧がかかることになる。
また、リリーフ流路62から分岐する補助流路63の第1補助流路63aにもオイルが流れ、このオイルは感温バルブBの第1補助口部51に到達する。そして、該第1補助口部51に到達したオイルの温度の高低を、前記感温バルブBが検知して、第1補助流路63aと第2補助流路63bを連通又は非連通とし、連通されるときには、オイルがリリーフバルブAの第2流入口部34に到達し、大径部12の第2受圧面12aに油圧をかけることができる。
次に、油温が低い場合の動作について、図に基づいて説明する。油温が低いときには、感温バルブBは、感温駆動部42の温度センサがオイルの温度を低いと判断して、感温弁部41を第1補助口部51と、第2補助口部52とが連通する位置に摺動により移動させる〔図2(A)参照〕。第1補助流路63aと第2補助流路63bとが連通し、両流路をオイルが流れ、オイルは第2流入口部34から大径弁室32内に送り込まれ、大径部12の第2受圧面12aに油圧をかけることになる。
これによって、主流路61から分岐したリリーフ流路62と第1補助流路63a,第2補助流路63bによって、弁体1の第1受圧面11a及び第2受圧面12aの両方に油圧がかかる。そして、低回転数域及び中回転数域では、第1受圧面11a及び第2受圧面12aの両方にオイルの圧力による力がかかっても、弾性部材2の弾性力よりも小さいので、リリーフ動作は行われない〔図2(A)参照〕。
しかし、補助流路63とオリフィス37とは連通する状態となるので、低回転数域及び中回転数域であっても、オリフィス37からの少量のオイルのリリーフが行われ、吐出圧を僅かに下げることができる〔図2(A)参照〕。そして、高回転数域では、第1受圧面11a及び第2受圧面12aの両方にかかるオイルの圧力による力が、弾性部材2の弾性力よりも大きくなり、弁体1が摺動してリリーフ排出部35が開かれて、リリーフが行われる〔図2(B)参照〕。
このように、低油温の場合では、感温バルブBが補助流路63を連通する状態にして、弁体1の大径部12の第2受圧面12aにオイルを送ることで、リリーフ動作が行われ易く、高回転数域でリリーフ動作が行われ、必要油圧以上の無駄仕事を削減することが可能となり、その結果、燃費を向上させることができる。
また、大径弁室32内に流入したオイルは、前記突出部13又は突出部36等によって形成された空隙部Sを介してオリフィス37から弁ハウジング3の外部に少量ずつ排出され続ける。つまり、弁体1の初期位置状態から、弁体1の第1受圧面11aと第2受圧面12aにオイルの圧力を受けて弁体1が移動を開始し、小径部11がリリーフ排出部35を開いて、オイルのリリーフが開始されるまでの間、オリフィス37から少量のオイルがリリーフされ続けることになる。このオリフィス37からのオイルのリリーフによって、低油温における低回転数域の初期からオイルポンプ9がエンジン100に供給するオイル油圧は、僅かに低くなり、その結果として、潤滑の無駄仕事を防ぐことができる。
次に、油温が高い場合の動作について、図3に基づいて説明する。油温が高いときには、感温バルブBは、感温駆動部42の感温センサ42cが、感温弁部41を第1補助口部51と、第2補助口部52とを非連通となる位置に摺動により移動させる〔図3(A)参照〕。これによって、第1補助流路63aと第2補助流路63bとは非連通となり、大径部12の第2受圧面12aに油圧がかからない。
そのために、リリーフ流路62のみにオイルが流れ、弁体1の小径部11の第1受圧面11aのみが圧力を受けることになり、オイル高油温でエンジンの低回転数域及び中回転数域では、リリーフバルブAの弁体1は移動することはなく、リリーフ排出部35は開かず、リリーフは行われない。
そして、さらにエンジン回転数が上昇し、高回転数域に達すると、弁体1の小径部11の第1受圧面11aのみに油圧がかかるものであっても、第1受圧面11aが受ける圧力による力が増加することによって、弁体1が移動し、リリーフ排出部35が開いて、リリーフバルブAとして、通常のリリーフ動作が行われる〔図3(B)参照〕。
本発明では、油温の高低に係らず、オイルポンプ9からの吐出圧の変化に応じて、適正にリリーフを行うことができるものである。これについて、図8の本発明の特性を示すグラフに基づいて説明すると、従来技術では、エンジンの回転数の増加と共に、吐出圧力は、無駄仕事が発生する領域まで必要以上に増加している。
低油温及び高油温の何れにおいても、オイルのリリーフが適正に行われ、オイルポンプ9からの吐出圧力が無駄仕事となる領域に達しないように抑えることが示されている。特に、低油温において、リリーフが行われるときには、リリーフ排出部35から通常のリリーフが行われるまでの間に、オリフィス36からの少量のオイルのリリーフが行われるので、吐出圧の上昇に対する抑えの時期も早めることができる。
一般的に、オイルポンプ9及びリリーフバルブA等は、エンジン100の性能に応じて、要求される性質も種々存在することになる。その中で、エンジンの所定の回転数において、要求されるオイルの吐出圧力も種々存在する。これを、エンジン100の要求油圧と称する。本発明では、このような要求油圧に基づいてリリーフ動作を行うことができるものである。
次に、本発明の第2実施形態について図5乃至図7に基づいて説明する。第2実施形態は、前述した第1実施形態と同様に、主にリリーフバルブAと、感温バルブBと、主流路61と、リリーフ流路62と、補助流路63と、オイルポンプ9とからなる(図5参照)。第2実施形態における感温バルブB、オイルポンプ9の構成は、第1実施形態と略同等である。また、リリーフバルブAのリリーフ排出部35及びオリフィス36は、大径弁室32側に設けられている。
次に、本発明の第2実施形態におけるリリーフバルブA,感温バルブB,オイルポンプ9とのオイル回路の構成を説明する。第2実施形態においても、リリーフ流路62と補助流路63とが存在し、まず、前記主流路61の分岐流路61aから、分岐するリリーフ流路62がリリーフバルブAの大径弁室32の第2流入口部34と連通する。
また、オイル回路には、前記主流路61の分岐流路61aから分岐する補助流路63が設けられ、第1補助流路63aと第2補助流路63bとからなり、第1実施形態と同様に、第1補助流路63aと第2補助流路63bとが感温バルブBによって連通又は非連通にされている。
第1補助流路63aは、オイルポンプ9と感温バルブBの第1補助口部51と連通し、第2補助流路63bが感温バルブBの第2補助口部52とリリーフバルブAの第1流入口部33と連通する。そして、リリーフバルブAのリリーフ排出部35及びオリフィス36と、オイルパン101との間にはリリーフ排出流路64が設けられる。
次に、本発明の第2実施形態における、循環回路におけるリリーフ動作を説明する。本発明では、上述した構成からも明らかなように、オイル回路において、オイルポンプ9の下流側にエンジン100,リリーフバルブA,感温バルブB等が配置される(図5参照)。オイルポンプ9から吐出されたオイルは、主流路61から分岐されるリリーフ流路62に流れ、リリーフバルブAの第2流入口部34から大径弁室32内にオイルが送られ、弁体1の大径部12の第2受圧面12aに常時、油圧がかけられる。
また、リリーフ流路62から分岐する補助流路63の第1補助流路63aにもオイルが流れ、このオイルは感温バルブBの第1補助口部51に到達し、油温の高低を、前記感温バルブBが検知して、第1補助流路63aと第2補助流路63bを連通又は非連通とし、連通されるときには、オイルがリリーフバルブAの第1流入口部33に到達し、小径部11の第1受圧面11aに油圧をかけることができる。また、小径弁室31に流入したオイルは、オリフィス36から少しずつリリーフされる。
次に、油温が低い場合の動作について、図6に基づいて説明する。油温が低いときには、感温バルブBは、感温駆動部42の感温センサ42cがオイルの温度を低いと判断して、感温弁部41を第1補助口部51と、第2補助口部52とが連通する位置に摺動により移動させる〔図6(A)参照〕。第1補助流路63aと第2補助流路63bとが連通し、両流路をオイルが流れ、オイルは第1流入口部33から小径弁室31内に送り込まれ、小径部11の第1受圧面11aに油圧をかけることになる。
これによって、主流路61から分岐したリリーフ流路62と第1補助流路63a,第2補助流路63bによって、弁体1の第1受圧面11a及び第2受圧面12aの両方に油圧がかかる。そして、低回転数域及び中回転数域では、第1受圧面11a及び第2受圧面12aの両方にオイルの圧力による力がかかっても、弾性部材2の弾性力よりも小さいので、リリーフ動作は行われない〔図6(A)参照〕。
しかし、補助流路63とオリフィス37とは連通する状態となるので、オリフィス37から弁ハウジング3の外部に少量ずつ排出され続ける。つまり、弁体1の初期位置状態から、弁体1の第1受圧面11aと第2受圧面12aにオイルの圧力を受けて弁体1が移動を開始し、小径部11がリリーフ排出部35を開いて、オイルのリリーフが開始されるまでの間、オリフィス37から少量のオイルがリリーフされ続けることになる。したがって、低回転数域及び中回転数域であっても、オリフィス37からの少量のオイルのリリーフが行われ、吐出圧を僅かに下げることができる〔図6(A)参照〕。
そして、高回転数域では、第1受圧面11a及び第2受圧面12aの両方にかかるオイルの圧力による力が、弾性部材2の弾性力よりも大きくなり、弁体1が摺動してリリーフ排出部35が開かれて、リリーフが行われる〔図6(B)参照〕。このように低油温の場合では、感温バルブBが補助流路63を連通する状態にして、弁体1の小径部11の第1受圧面11aにオイルを送ることで、リリーフ動作が行われ易く、高回転数域でリリーフ動作が行われ、必要油圧以上の無駄仕事を削減することが可能となり、その結果、燃費を向上させることができる。
次に、油温が高い場合の動作について、図7に基づいて説明する。油温が高いときには、感温バルブBは、感温駆動部42の感温センサ42cが、感温弁部41を第1補助口部51と、第2補助口部52とを非連通となる位置に摺動により移動させる〔図7(A)参照〕。これによって、第1補助流路63aと第2補助流路63bとは非連通となり、小径部11の第1受圧面11aに油圧がかからない。
そのために、リリーフ流路62のみにオイルが流れ、弁体1の大径部12の第2受圧面12aのみが圧力を受けることになり、オイル高油温でエンジンの低回転数域及び中回転数域では、リリーフバルブAの弁体1は移動することはなく、リリーフ排出部35は開かず、リリーフは行われない。
そして、さらにエンジン回転数が上昇し、高回転数域に達すると、弁体1の大径部12の第2受圧面12aのみに油圧がかかるものであっても、該第2受圧面12aが受ける圧力による力が増加することによって、弁体1が移動し、リリーフ排出部35が開いて、リリーフバルブAとして、通常のリリーフ動作が行われる〔図7(B)参照〕。
本発明の第2実施形態は、第1実施形態と同様に、オイルのリリーフが適正に行われ、オイルポンプ9からの吐出圧力が無駄仕事となる領域に達しないように抑えることができる。
A…リリーフバルブ、1…弁体、11…小径部、12…大径部、13…突出部、
3…弁ハウジング、31…小径弁室、32…大径弁室、33…第1流入口部、
34…第2流入口部、35…リリーフ排出部、36…突出部、37…オリフィス、
B…感温バルブ、4…感温弁体、41…感温弁部、42…感温駆動部、
5…感温ハウジング、51…第1補助口部、52…第2補助口部、61…主流路、
62…リリーフ流路、63…補助流路、9…オイルポンプ、100…エンジン、
S…空隙。
3…弁ハウジング、31…小径弁室、32…大径弁室、33…第1流入口部、
34…第2流入口部、35…リリーフ排出部、36…突出部、37…オリフィス、
B…感温バルブ、4…感温弁体、41…感温弁部、42…感温駆動部、
5…感温ハウジング、51…第1補助口部、52…第2補助口部、61…主流路、
62…リリーフ流路、63…補助流路、9…オイルポンプ、100…エンジン、
S…空隙。
Claims (7)
- 小径部と大径部とからなる弁体と、小径弁室と大径弁室と前記小径弁室と前記大径弁室との何れか一方側に設けられるリリーフ排出部とを有する弁ハウジングとからなるリリーフバルブと、感温バルブと、オイルポンプと、該オイルポンプの下流の主流路と、該主流路から分岐するリリーフ流路と補助流路と、前記弁ハウジングに設けられたオリフィスとからなり、前記リリーフ流路は、前記小径弁室と前記大径弁室の何れか一方側と、前記オイルポンプとを常時連通させると共に前記リリーフ排出部からオイル排出可能とし、前記補助流路は、前記小径弁室と前記大径弁室の他方側と、前記オイルポンプとを連通可能にさせると共に前記補助流路には前記感温バルブが具備され、該感温バルブは、前記補助流路をオイル低温時では連通状態とすると共に前記オリフィスを介してオイルを排出し、オイル高温時では前記感温バルブは前記補助流路を非連通状態としてなることを特徴とするオイルポンプのリリーフ装置。
- 請求項1において、前記小径弁室に前記リリーフ排出部が設けられ、前記大径弁室に前記オリフィスが設けられ、前記リリーフ流路は、前記小径弁室と前記オイルポンプとを常時連通させ、前記補助流路は前記大径弁室と前記オイルポンプと連通可能にしてなることを特徴とするオイルポンプのリリーフ装置。
- 請求項1において、前記大径弁室に前記リリーフ排出部が設けられ、前記小径弁室に前記オリフィスが設けられ、前記リリーフ流路は、前記大径弁室と前記オイルポンプとを常時連通させ、前記補助流路は前記小径弁室と前記オイルポンプとを連通可能にしてなることを特徴とするオイルポンプのリリーフ装置。
- 請求項1,2又は3の何れか1項の記載において、前記大径弁室の上端箇所と、前記大径部頂部との少なくとも何れか一方に前記オリフィスと連通する空隙を形成する突出部が設けられてなることを特徴とするオイルポンプのリリーフ装置。
- 請求項1,2,3又は4の何れか1項の記載において、前記感温バルブは、感温弁体と、感温ハウジングとからなり、前記感温弁体は感温弁部と、感温センサを備えた感温駆動部とからなり、前記感温弁部は前記感温駆動部により、感温ハウジング内を摺動することによって、前記補助流路を連通又は非連通に制御してなることを特徴とするオイルポンプのリリーフ装置。
- 請求項5において、前記感温センサには、非電子制御部品が使用されてなることを特徴とするオイルポンプのリリーフ装置。
- 請求項6において、前記感温センサはサーモワックスが使用されてなることを特徴とするオイルポンプのリリーフ装置。
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JP2013261776A JP2015117637A (ja) | 2013-12-18 | 2013-12-18 | オイルポンプのリリーフ装置 |
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- 2013-12-18 JP JP2013261776A patent/JP2015117637A/ja active Pending
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