最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本発明の実施の形態に係る上位管理装置は、電力需要施設における電力消費を抑制可能な複数の下位管理装置を介して前記電力消費を管理する上位管理装置であって、複数の電力供給側から電力消費に関する電力管理情報を取得可能な管理情報取得部と、前記電力需要施設における電力消費の抑制能力と前記電力需要施設に電力を供給する前記電力供給側との対応関係である第1対応関係について、前記下位管理装置ごとの前記第1対応関係を示す抑制可能量情報を取得する抑制可能量取得部と、前記電力管理情報および前記抑制可能量情報に基づいて、対応の前記電力需要施設の電力消費の内容を指示するための指示情報を前記下位管理装置に通知する指示部とを備える。
このような構成により、上位管理装置が、各電力需要施設における電力消費の節電能力と、電力供給側から送信される電力管理情報との双方を集中して管理することができるため、各電力需要施設の電力消費について適切な内容を指示することができる。
また、第1対応関係には、電力需要施設における電力消費の抑制能力と当該電力需要施設に電力を供給する電力供給側とが対応づけられていることにより、複数の電力供給側からそれぞれ電力管理情報が送信された場合であっても、上位管理装置が、各電力供給側に対する電力消費の抑制能力を把握することができる。従って、電力会社側と電力需要施設との間に階層化された複数の管理装置が設けられている場合であって、各電力需要施設において契約している電力会社が異なる場合であっても、各電力需要施設における電力消費の制御を適切に行うことができる。
また、上位管理装置が各電力需要施設における電力消費に関する情報を保持する必要が無いため、各電力需要施設における設備または住環境等が変化した場合であっても柔軟かつ迅速に対応し、各電力需要施設における電力消費の制御を適切に行うことができる。
(2)好ましくは、前記抑制可能量取得部は、前記管理情報取得部により前記電力管理情報が取得されたことに応答して前記抑制可能量情報を取得し、前記指示部は、前記抑制可能量取得部により前記抑制可能量情報が取得されたことに応答して前記指示情報の通知を行う。
このような構成により、電力管理情報が取得された時点の電力需要施設における電力消費の最新の抑制能力を指示情報に反映することができるため、電力需要施設における設備または住環境などの変化により適切に対応することできる。
(3)より好ましくは、前記抑制可能量取得部は、前記管理情報取得部により前記電力管理情報が取得されたことに応答して前記第1対応関係を前記下位管理装置から取得し、取得した前記第1対応関係に基づいて前記抑制可能量情報を作成する。
このように、抑制可能量取得部が抑制可能量情報を作成する構成により、たとえば下位管理装置が各電力供給側に対する抑制可能量を算出するなどの複雑な演算処理を行う必要がなく、抑制可能量情報を容易に取得することができる。
(4)好ましくは、前記上位管理装置は、さらに、前記電力需要施設における電力消費の抑制実績と、前記電力需要施設に電力を供給する前記電力供給側との対応関係である第2対応関係について、前記下位管理装置ごとの前記第2対応関係を示す抑制実績量情報を取得する抑制実績量取得部を備える。
このような構成により、上位管理装置は、電力管理情報に応じた電力消費の内容が下位管理装置において実現できたか否かを確認することができる。また、抑制実績量情報を取得することにより、たとえば電力供給側から電力消費の抑制を行うことのインセンティブとして対価等が付与された場合、当該対価等を各下位管理装置の抑制実績量に応じて各下位管理装置に適切に分配することができる。
(5)好ましくは、前記抑制実績量取得部は、各前記下位管理装置の電力消費の基準値と、各前記下位管理装置の電力消費の実績値とに基づいて前記抑制実績量情報を作成する。
このように、電力消費の基準となる情報と電力需要施設における実際の消費電力量とに基づいて抑制実績量情報を作成することにより、より適切な抑制実績量を算出することができる。
また、このように、上位管理装置が抑制実績量情報を作成する構成により、たとえば下位管理装置が各電力供給側に対する抑制実績量を算出するなどの複雑な演算処理を行う必要がなく、抑制実績量情報を容易に取得することができる。
(6)本発明の実施の形態に係る下位管理装置は、上位管理装置と通信可能であり、電力需要施設における電力消費を抑制可能な下位管理装置であって、前記電力需要施設における電力消費の抑制能力を取得する抑制可能量取得部と、前記抑制可能量取得部により取得された前記抑制能力と前記電力需要施設に電力を供給する電力供給側との対応関係である第1対応関係を示す情報を送信する送信部とを備える。
このような構成により、各下位管理装置の第1対応関係を取得した上位管理装置が、各電力需要施設における電力消費の節電能力を集中して管理することができるため、各電力需要施設の電力消費について適切な内容を指示することができる。
また、第1対応関係には、電力需要施設における電力消費の抑制能力と当該電力需要施設に電力を供給する電力供給側とが対応づけられていることにより、複数の電力供給側からそれぞれ電力管理情報が送信された場合であっても、上位管理装置が、各電力供給側に対する電力消費の抑制能力を把握することができる。従って、電力会社側と電力需要施設との間に階層化された複数の管理装置が設けられている場合であって、各電力需要施設において契約している電力会社が異なる場合であっても、各電力需要施設における電力消費の制御を適切に行うことができる。
また、上位管理装置が各電力需要施設における電力消費に関する情報を保持する必要が無いため、各電力需要施設における設備または住環境等が変化した場合であっても柔軟かつ迅速に対応し、各電力需要施設における電力消費の制御を適切に行うことができる。
(7)好ましくは、前記下位管理装置は、さらに、前記電力需要施設の電力消費の内容を指示するための前記上位管理装置からの指示情報を取得し、前記指示情報に基づいて前記電力需要施設における電力消費を抑制するための電気機器の制御内容を決定する制御内容決定部を備える。
このような構成により、電力需要施設において、上位管理装置からの指示情報に従った電力消費を容易に実現することができる。
(8)好ましくは、前記下位管理装置は、さらに、前記電力需要施設における電力消費の抑制実績を取得し、前記抑制実績と前記電力需要施設に電力を供給する前記電力供給側との対応関係である第2対応関係を示す情報を取得する抑制実績量処理部を備える。
このような構成により、たとえば電力供給側から電力消費の抑制を行うことのインセンティブとして対価等が付与された場合、当該電力供給側に対応する抑制実績に基づいて、当該対価等を各電力需要施設における電力消費の抑制実績に応じて各電力需要施設に適切に分配することができる。
(9)本発明の実施の形態に係る電力消費管理システムは、電力需要施設における電力消費を抑制可能な複数の下位管理装置と、前記下位管理装置を介して前記電力消費を管理する上位管理装置とを備え、前記上位管理装置は、複数の電力供給側から電力消費に関する電力管理情報を取得可能であり、前記下位管理装置は、前記電力需要施設における電力消費の抑制能力と前記電力需要施設に電力を供給する前記電力供給側との対応関係である第1対応関係を示す情報を前記上位管理装置へ送信し、前記上位管理装置は、前記下位管理装置から受信した情報の示す前記第1対応関係に基づいて、前記下位管理装置ごとの前記第1対応関係を示す抑制可能量情報を作成し、作成した前記抑制可能量情報、および前記電力管理情報に基づいて、対応の前記電力需要施設の電力消費の内容を指示するための指示情報を前記下位管理装置に通知する。
このような構成により、上位管理装置が、各電力需要施設における電力消費の節電能力と、電力供給側から送信される電力管理情報との双方を集中して管理することができるため、各電力需要施設の電力消費について適切な内容を指示することができる。
また、第1対応関係には、電力需要施設における電力消費の抑制能力と当該電力需要施設に電力を供給する電力供給側とが対応づけられていることにより、複数の電力供給側からそれぞれ電力管理情報が送信された場合であっても、上位管理装置が、各電力供給側に対する電力消費の抑制能力を把握することができる。従って、電力会社側と電力需要施設との間に階層化された複数の管理装置が設けられている場合であって、各電力需要施設において契約している電力会社が異なる場合であっても、各電力需要施設における電力消費の制御を適切に行うことができる。
また、上位管理装置が各電力需要施設における電力消費に関する情報を保持する必要が無いため、各電力需要施設における設備または住環境等が変化した場合であっても柔軟かつ迅速に対応し、各電力需要施設における電力消費の制御を適切に行うことができる。
また、このように、上位管理装置が抑制可能量情報を作成する構成により、たとえば下位管理装置が各電力供給側に対する抑制可能量を算出するなどの複雑な演算処理を行う必要がなく、抑制可能量情報を容易に取得することができる。
(10)好ましくは、前記上位管理装置は、前記電力供給側から前記電力管理情報を取得したことに応答して前記電力管理情報に基づく情報を前記下位管理装置に通知し、前記下位管理装置は、前記電力管理情報に基づく情報が通知されたことに応答して前記電力需要施設における電力消費の前記抑制能力を取得する。
このような構成により、電力管理情報が取得された時点の電力需要施設における電力消費の最新の抑制能力を指示情報に反映することができるため、電力需要施設における設備または住環境などの変化により適切に対応することできる。
(11)好ましくは、前記下位管理装置は、前記上位管理装置から前記指示情報を受信すると、前記指示情報に基づいて前記電力需要施設における電力消費を抑制するための電気機器の制御内容を決定し、決定した前記制御内容を前記電力需要施設に通知する。
このような構成により、電力需要施設において、上位管理装置からの指示情報に従った電力消費を容易に実現することができる。
(12)好ましくは、前記下位管理装置は、前記電力需要施設における電力消費の抑制実績を取得し、前記抑制実績と前記電力需要施設に電力を供給する前記電力供給側との対応関係である第2対応関係を示す情報を前記上位管理装置へ送信し、前記上位管理装置は、前記下位管理装置から受信した情報の示す前記第2対応関係に基づいて、前記下位管理装置ごとの前記第2対応関係を示す抑制実績量情報を作成し、作成した前記抑制実績量情報を前記電力供給側へ送信する。
このような構成により、上位管理装置は、電力管理情報に応じた電力消費の内容が下位管理装置において実現できたか否かを確認することができる。また、抑制実績量情報を取得することにより、たとえば電力供給側から電力消費の抑制を行うことのインセンティブとして対価等が付与された場合、当該対価等を各下位管理装置の抑制実績量に応じて各下位管理装置に適切に分配することができる。
また、このように、上位管理装置が抑制実績量情報を作成する構成により、たとえば下位管理装置が各電力供給側に対する抑制実績量を算出するなどの複雑な演算処理を行う必要がなく、抑制実績量情報を容易に取得することができる。
(13)本発明の実施の形態に係る電力消費管理方法は、電力需要施設における電力消費を抑制可能な複数の下位管理装置を介して前記電力消費を管理する上位管理装置における電力消費管理方法であって、前記上位管理装置は、複数の電力供給側から電力消費に関する電力管理情報を取得可能であり、前記電力需要施設における電力消費の抑制能力と前記電力需要施設に電力を供給する前記電力供給側との対応関係である第1対応関係について、前記下位管理装置ごとの前記第1対応関係を示す抑制可能量情報を取得するステップと、前記電力管理情報および前記抑制可能量情報に基づいて、対応の前記電力需要施設の電力消費の内容を指示するための指示情報を前記下位管理装置に通知するステップとを含む。
このような方法により、上位管理装置が、各電力需要施設における電力消費の節電能力と、電力供給側から送信される電力管理情報との双方を集中して管理することができるため、各電力需要施設の電力消費について適切な内容を指示することができる。
また、第1対応関係には、電力需要施設における電力消費の抑制能力と当該電力需要施設に電力を供給する電力供給側とが対応づけられていることにより、複数の電力供給側からそれぞれ電力管理情報が送信された場合であっても、上位管理装置が、各電力供給側に対する電力消費の抑制能力を把握することができる。従って、電力会社側と電力需要施設との間に階層化された複数の管理装置が設けられている場合であって、各電力需要施設において契約している電力会社が異なる場合であっても、各電力需要施設における電力消費の制御を適切に行うことができる。
また、上位管理装置が各電力需要施設における電力消費に関する情報を保持する必要が無いため、各電力需要施設における設備または住環境等が変化した場合であっても柔軟かつ迅速に対応し、各電力需要施設における電力消費の制御を適切に行うことができる。
(14)本発明の実施の形態に係る電力消費管理方法は、上位管理装置と通信可能であり、電力需要施設における電力消費を抑制可能な下位管理装置における電力消費管理方法であって、前記電力需要施設における電力消費の抑制能力を取得するステップと、取得した前記抑制能力と前記電力需要施設に電力を供給する電力供給側との対応関係である第1対応関係を示す情報を送信するステップとを含む。
このような方法により、各下位管理装置の第1対応関係を取得した上位管理装置が、各電力需要施設における電力消費の節電能力を集中して管理することができるため、各電力需要施設の電力消費について適切な内容を指示することができる。
また、第1対応関係には、電力需要施設における電力消費の抑制能力と当該電力需要施設に電力を供給する電力供給側とが対応づけられていることにより、複数の電力供給側からそれぞれ電力管理情報が送信された場合であっても、上位管理装置が、各電力供給側に対する電力消費の抑制能力を把握することができる。従って、電力会社側と電力需要施設との間に階層化された複数の管理装置が設けられている場合であって、各電力需要施設において契約している電力会社が異なる場合であっても、各電力需要施設における電力消費の制御を適切に行うことができる。
また、上位管理装置が各電力需要施設における電力消費に関する情報を保持する必要が無いため、各電力需要施設における設備または住環境等が変化した場合であっても柔軟かつ迅速に対応し、各電力需要施設における電力消費の制御を適切に行うことができる。
(15)本発明の実施の形態に係る電力消費管理方法は、電力需要施設における電力消費を抑制可能な複数の下位管理装置と、前記下位管理装置を介して前記電力消費を管理する上位管理装置とを備える電力消費管理システムにおける電力消費管理方法であって、前記上位管理装置は、複数の電力供給側から電力消費に関する電力管理情報を取得可能であり、前記下位管理装置が、前記電力需要施設における電力消費の抑制能力と前記電力需要施設に電力を供給する前記電力供給側との対応関係である第1対応関係を示す情報を前記上位管理装置へ送信するステップと、前記上位管理装置が、前記下位管理装置から受信した情報の示す前記第1対応関係に基づいて、前記下位管理装置ごとの前記第1対応関係を示す抑制可能量情報を作成するステップと、前記上位管理装置が、作成した前記抑制可能量情報、および前記電力管理情報に基づいて、対応の前記電力需要施設の電力消費の内容を指示するための指示情報を前記下位管理装置に通知するステップとを含む。
このような方法により、上位管理装置が、各電力需要施設における電力消費の節電能力と、電力供給側から送信される電力管理情報との双方を集中して管理することができるため、各電力需要施設の電力消費について適切な内容を指示することができる。
また、第1対応関係には、電力需要施設における電力消費の抑制能力と当該電力需要施設に電力を供給する電力供給側とが対応づけられていることにより、複数の電力供給側からそれぞれ電力管理情報が送信された場合であっても、上位管理装置が、各電力供給側に対する電力消費の抑制能力を把握することができる。従って、電力会社側と電力需要施設との間に階層化された複数の管理装置が設けられている場合であって、各電力需要施設において契約している電力会社が異なる場合であっても、各電力需要施設における電力消費の制御を適切に行うことができる。
また、上位管理装置が各電力需要施設における電力消費に関する情報を保持する必要が無いため、各電力需要施設における設備または住環境等が変化した場合であっても柔軟かつ迅速に対応し、各電力需要施設における電力消費の制御を適切に行うことができる。
また、このように、上位管理装置が抑制可能量情報を作成することにより、たとえば下位管理装置が各電力供給側に対する抑制可能量を算出するなどの複雑な演算処理を行う必要がなく、抑制可能量情報を容易に取得することができる。
(16)本発明の実施の形態に係る電力消費管理プログラムは、電力需要施設における電力消費を抑制可能な複数の下位管理装置を介して前記電力消費を管理する上位管理装置において用いられる電力消費管理プログラムであって、前記上位管理装置は、複数の電力供給側から電力消費に関する電力管理情報を取得可能であり、コンピュータに、前記電力需要施設における電力消費の抑制能力と前記電力需要施設に電力を供給する前記電力供給側との対応関係である第1対応関係について、前記下位管理装置ごとの前記第1対応関係を示す抑制可能量情報を取得するステップと、前記電力管理情報および前記抑制可能量情報に基づいて、対応の前記電力需要施設の電力消費の内容を指示するための指示情報を前記下位管理装置に通知するステップとを実行させるためのプログラムである。
このようなプログラムにより、上位管理装置が、各電力需要施設における電力消費の節電能力と、電力供給側から送信される電力管理情報との双方を集中して管理することができるため、各電力需要施設の電力消費について適切な内容を指示することができる。
また、第1対応関係には、電力需要施設における電力消費の抑制能力と当該電力需要施設に電力を供給する電力供給側とが対応づけられていることにより、複数の電力供給側からそれぞれ電力管理情報が送信された場合であっても、上位管理装置が、各電力供給側に対する電力消費の抑制能力を把握することができる。従って、電力会社側と電力需要施設との間に階層化された複数の管理装置が設けられている場合であって、各電力需要施設において契約している電力会社が異なる場合であっても、各電力需要施設における電力消費の制御を適切に行うことができる。
また、上位管理装置が各電力需要施設における電力消費に関する情報を保持する必要が無いため、各電力需要施設における設備または住環境等が変化した場合であっても柔軟かつ迅速に対応し、各電力需要施設における電力消費の制御を適切に行うことができる。
(17)本発明の実施の形態に係る電力消費管理プログラムは、上位管理装置と通信可能であり、電力需要施設における電力消費を抑制可能な下位管理装置において用いられる電力消費管理プログラムであって、コンピュータに、前記電力需要施設における電力消費の抑制能力を取得するステップと、取得した前記抑制能力と前記電力需要施設に電力を供給する電力供給側との対応関係である第1対応関係を示す情報を送信するステップとを実行させるためのプログラムである。
このようなプログラムにより、各下位管理装置の第1対応関係を取得した上位管理装置が、各電力需要施設における電力消費の節電能力を集中して管理することができるため、各電力需要施設の電力消費について適切な内容を指示することができる。
また、第1対応関係には、電力需要施設における電力消費の抑制能力と当該電力需要施設に電力を供給する電力供給側とが対応づけられていることにより、複数の電力供給側からそれぞれ電力管理情報が送信された場合であっても、上位管理装置が、各電力供給側に対する電力消費の抑制能力を把握することができる。従って、電力会社側と電力需要施設との間に階層化された複数の管理装置が設けられている場合であって、各電力需要施設において契約している電力会社が異なる場合であっても、各電力需要施設における電力消費の制御を適切に行うことができる。
また、上位管理装置が各電力需要施設における電力消費に関する情報を保持する必要が無いため、各電力需要施設における設備または住環境等が変化した場合であっても柔軟かつ迅速に対応し、各電力需要施設における電力消費の制御を適切に行うことができる。
(18)本発明の実施の形態に係る電力消費管理プログラムは、電力需要施設における電力消費を抑制可能な複数の下位管理装置と、前記下位管理装置を介して前記電力消費を管理する上位管理装置とを備える電力消費管理システムにおいて用いられる電力消費管理プログラムであって、前記上位管理装置は、複数の電力供給側から電力消費に関する電力管理情報を取得可能であり、コンピュータに、前記下位管理装置が、前記電力需要施設における電力消費の抑制能力と前記電力需要施設に電力を供給する前記電力供給側との対応関係である第1対応関係を示す情報を前記上位管理装置へ送信するステップと、前記上位管理装置が、前記下位管理装置から受信した情報の示す前記第1対応関係に基づいて、前記下位管理装置ごとの前記第1対応関係を示す抑制可能量情報を作成するステップと、前記上位管理装置が、作成した前記抑制可能量情報、および前記電力管理情報に基づいて、対応の前記電力需要施設の電力消費の内容を指示するための指示情報を前記下位管理装置に通知するステップとを実行させるためのプログラムである。
このようなプログラムにより、上位管理装置が、各電力需要施設における電力消費の節電能力と、電力供給側から送信される電力管理情報との双方を集中して管理することができるため、各電力需要施設の電力消費について適切な内容を指示することができる。
また、第1対応関係には、電力需要施設における電力消費の抑制能力と当該電力需要施設に電力を供給する電力供給側とが対応づけられていることにより、複数の電力供給側からそれぞれ電力管理情報が送信された場合であっても、上位管理装置が、各電力供給側に対する電力消費の抑制能力を把握することができる。従って、電力会社側と電力需要施設との間に階層化された複数の管理装置が設けられている場合であって、各電力需要施設において契約している電力会社が異なる場合であっても、各電力需要施設における電力消費の制御を適切に行うことができる。
また、上位管理装置が各電力需要施設における電力消費に関する情報を保持する必要が無いため、各電力需要施設における設備または住環境等が変化した場合であっても柔軟かつ迅速に対応し、各電力需要施設における電力消費の制御を適切に行うことができる。
また、このように、上位管理装置が抑制可能量情報を作成することにより、たとえば下位管理装置が各電力供給側に対する抑制可能量をそれぞれ算出するなどの複雑な演算処理を行う必要がなく、抑制可能量情報を容易に取得することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
[構成および基本動作]
(システム全体の構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システムの構成を示す図である。
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システム201は、複数の電力会社サーバ101と、上位管理装置102と、複数の下位管理装置103と、複数の需要家装置151とを備える。
電力会社サーバ101は、電力需要施設に電力を供給する電力供給側である電力会社等により運用され、電力消費に関する電力管理情報を上位管理装置102へ送信する。この電力管理情報は、電力需給の逼迫が予測される期間を示す情報、日別もしくは時間帯別の電気料金情報、または、電力の節電要請を示す情報などである。
需要家装置151は、電力会社から電力の供給を受けるビル、工場または家庭などの電力需要施設に設けられている。需要家装置151は、電力需要施設における電気機器の動作を制御することによって消費電力量の削減を図るためのBEMS(Building Energy Management System)またはHEMS(Home Energy Management System)等のシステムにおいて用いられる装置である。需要家装置151は、たとえばBEMSにおいて用いられる場合、前述のようなBEMSアグリゲータと呼ばれる事業者等により導入される。
上位管理装置102は、複数の下位管理装置103と通信することにより、これら複数の下位管理装置103を集中して管理する。具体的には、上位管理装置102は、電力会社サーバ101から電力管理情報を受信すると、受信した電力管理情報に基づいて、電力需要施設における電力消費の内容を指示するための指示情報X1を、当該電力需要施設に対応する下位管理装置103、すなわち当該電力需要施設に設けられた需要家装置151を管理する下位管理装置103に通知する。
たとえば、上位管理装置102は、受信した電力管理情報に基づいて、電力消費を抑制すべき抑制期間および抑制すべき電力量(以下、「抑制依頼量」と称する)を設定し、設定した抑制期間および抑制依頼量を示す指示情報X1を1または複数の下位管理装置103に通知する。
下位管理装置103は、1または複数の需要家装置151を含む需要家装置群161と通信することにより、1または複数の電力需要施設における電力消費を管理する。具体的には、下位管理装置103は、上位管理装置102から指示情報X1が通知されると、当該指示情報X1に従い、電力消費の内容を指示するための指示情報X2を需要家装置群161に含まれる1または複数の需要家装置151に通知することにより、電力需要施設における電力消費を制御する。
すなわち、下位管理装置103は、上位管理装置102から通知された指示情報X1に基づいて、自己の管理対象である需要家装置151ごとの抑制依頼量を設定する。そして、下位管理装置103は、設定した抑制依頼量および抑制期間を示す指示情報X2を各需要家装置151に通知する。
需要家装置151は、下位管理装置103から通知された指示情報X2に従い、自己が設けられている電力需要施設の電気機器の動作を制御する。たとえば、需要家装置151は、空調の設定温度を上げるなどの制御を行うことにより消費電力量の削減を図る。
また、電力会社サーバ101は、電力消費の抑制を行うことのインセンティブとして、たとえば抑制した電力量に応じて、サービスまたは商品と交換可能なポイントなどの対価の額を示す情報を上位管理装置102へ送信する。
上位管理装置102は、需要家装置群161において抑制期間に抑制することのできた電力量(以下、「抑制実績量」と称する)を示す情報を各下位管理装置103から受信する。そして、上位管理装置102は、電力会社サーバ101から受信した情報の示す対価の額を各需要家装置群161の抑制実績量に応じて各需要家装置群161に分配し、分配した対価の額を示す情報を、それぞれ需要家装置群161を管理する下位管理装置103へ送信する。
下位管理装置103は、上位管理装置102から受信した情報の示す対価の額を、需要家装置群161に含まれる各需要家装置151の抑制実績量に応じて各需要家装置151に分配し、分配した対価の額を示す情報をそれぞれ需要家装置151へ送信する。
なお、電力消費管理システム201は、上位管理装置102と下位管理装置103との通信を中継する1または複数の中継装置を備えていても良い。また、上位管理装置102および下位管理装置103は、たとえばクラウドサーバのような仮想的なサーバ上で実現されるものであっても良い。
(上位管理装置の構成)
図2は、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システムにおける上位管理装置の構成を示す図である。
図2を参照して、上位管理装置102は、管理情報取得部11と、指示部12と、抑制可能量処理部(抑制可能量取得部)13と、抑制実績量処理部(抑制実績量取得部)14と、分配部15とを含む。
管理情報取得部11は、電力会社サーバ101から送信される電力管理情報を受信し、受信した電力管理情報を指示部12へ出力する。
指示部12は、管理情報取得部11から受けた電力管理情報に基づいて抑制期間および抑制依頼量を設定する。また、指示部12は、設定した抑制期間を、自己の管理対象である下位管理装置103へ通知する。
抑制可能量処理部13は、管理情報取得部11が電力管理情報を受信したことの通知を受ける。そして、抑制可能量処理部13は、管理情報取得部11が電力管理情報を受信したことに応答して、電力需要施設における電力消費の抑制能力を示す情報を取得する。
すなわち、抑制可能量処理部13は、各需要家装置151において抑制期間に抑制することができると推定される電力量(以下、「抑制可能量」と称する)を示す抑制可能量テーブルT1を、自己の上位管理装置102の管理対象である下位管理装置103からそれぞれ受信する。
そして、抑制可能量処理部13は、受信した1または複数の抑制可能量テーブルT1に基づいて、各下位管理装置103の管理対象である需要家装置群161における抑制可能量を示す下位管理装置別抑制可能量テーブル(抑制可能量情報)T2を作成する。
図3は、抑制可能量テーブルT1の一例を示す図である。また、図4は、下位管理装置別抑制可能量テーブルT2の一例を示す図である。
たとえば、抑制可能量処理部13は、図3に示すような、各需要家装置151の抑制可能量を示す抑制可能量テーブルT1を、1または複数の下位管理装置103から受信する。そして、抑制可能量処理部13は、1または複数の抑制可能量テーブルT1に基づいて、図4に示すような、各下位管理装置103の抑制可能量を示す下位管理装置別抑制可能量テーブルT2を作成する。
再び図2を参照して、抑制可能量処理部13は、作成した下位管理装置別抑制可能量テーブルT2を指示部12へ出力する。
なお、抑制可能量処理部13は、下位管理装置別抑制可能量テーブルT2を作成する構成に限らず、たとえば他の装置により作成された下位管理装置別抑制可能量テーブルT2を取得する構成であっても良い。
指示部12は、抑制可能量処理部13から下位管理装置別抑制可能量テーブルT2を受けたことに応答して、電力管理情報に基づいて設定した抑制依頼量を、下位管理装置別抑制可能量テーブルT2に示される下位管理装置103ごとの抑制可能量に応じて分割する。そして、指示部12は、分割した抑制依頼量を最終抑制依頼量として各下位管理装置103に割り当てる。そして、指示部12は、下位管理装置103ごとに、割り当てた最終抑制依頼量および抑制期間を示す指示情報X1を、当該下位管理装置103に通知する。
抑制実績量処理部14は、抑制期間における各需要家装置151の消費電力量を示す消費電力量テーブルT3を、自己の上位管理装置102の管理対象である1または複数の下位管理装置103から受信する。そして、抑制実績量処理部14は、受信した消費電力量テーブルT3に基づいて、抑制期間における下位管理装置103ごとの消費電力量を示す下位管理装置別消費電力量テーブルT4を作成する。
図5は、消費電力量テーブルT3の一例を示す図である。また、図6は、下位管理装置別消費電力量テーブルT4の一例を示す図である。
たとえば、抑制実績量処理部14は、図5に示すような、抑制期間における各需要家装置151の消費電力量を示す消費電力量テーブルT3を、1または複数の下位管理装置103から受信する。そして、抑制実績量処理部14は、1または複数の消費電力量テーブルT3に基づいて、図6に示すような、抑制期間における各下位管理装置103の管理対象である需要家装置群161の消費電力量を示す下位管理装置別消費電力量テーブルT4を作成する。
また、抑制実績量処理部14は、たとえば需要家装置群161ごとの、消費電力量の基準となる基準電力消費情報Y1を電力会社サーバ101から受信する。この基準電力消費情報Y1は、たとえば、電力会社サーバ101により過去のデータに基づいて算出される、需要家装置群161における消費電力量の基準となるベースライン(以下、単に「需要家装置群161の基準値」と称する)を示す。
そして、抑制実績量処理部14は、需要家装置群161ごとに、需要家装置群161の基準値と、下位管理装置別消費電力量テーブルT4に示される当該需要家装置群161の消費電力量との差を算出することにより、各需要家装置群161における抑制実績量を取得する。そして、抑制実績量処理部14は、各需要家装置群161における抑制実績量を示す下位管理装置別抑制実績量テーブル(抑制実績量情報)T5を作成する。
図7は、下位管理装置別抑制実績量テーブルT5の一例を示す図である。
たとえば、抑制実績量処理部14は、図7に示すような、各下位管理装置103の管理対象である需要家装置群161における抑制実績量を示す下位管理装置別抑制実績量テーブルT5を作成する。そして、抑制実績量処理部14は、作成した下位管理装置別抑制実績量テーブルT5を電力会社サーバ101へ送信する。
なお、抑制実績量処理部14は、下位管理装置別消費電力量テーブルT4および下位管理装置別抑制実績量テーブルT5を作成する構成に限らず、たとえば他の装置により作成された下位管理装置別消費電力量テーブルT4および下位管理装置別抑制実績量テーブルT5を取得する構成であっても良い。
再び図2を参照して、分配部15は、インセンティブとして、抑制期間における抑制実績量に応じた対価の額を示す情報を電力会社サーバ101から受信する。そして、分配部15は、受信した情報の示す対価の額を、各需要家装置群161の抑制実績量に応じて各需要家装置群161に分配し、分配した対価の額を示す情報を、それぞれ需要家装置群161を管理する下位管理装置103へ送信する。
(下位管理装置の構成)
図8は、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システムにおける下位管理装置の構成を示す図である。
図8を参照して、下位管理装置103は、記憶部21と、抑制可能量処理部(抑制可能量取得部および送信部)22と、制御内容決定部23と、指示部24と、抑制実績量処理部25と、分配部26とを含む。
記憶部21は、過去の抑制期間における各需要家装置151の消費電力量を示す過去消費電力量テーブルT6を記憶する。
抑制可能量処理部22は、電力消費の抑制期間を示す通知を上位管理装置102から受信する。
また、抑制可能量処理部22は、各電力需要施設における消費電力量の基準となる基準電力消費情報Y2を、上位管理装置102経由で電力会社サーバ101から受信する。この基準電力消費情報Y2は、たとえば、電力会社サーバ101により過去のデータに基づいて算出される、需要家装置151における消費電力量の基準となるベースライン(以下、単に「需要家装置151の基準値」と称する)を示す。
なお、抑制可能量処理部22は、需要家装置151の基準値を示す基準電力消費情報Y2を受信すると、当該基準電力消費情報Y2を記憶部21に記憶させる。
また、抑制可能量処理部22は、上位管理装置102から抑制期間を示す通知を受信すると、需要家装置151ごとに、需要家装置151の基準値と、過去消費電力量テーブルT6に示される過去の抑制期間における当該需要家装置151の消費電力量とに基づいて、新たに通知された抑制期間における各需要家装置151の抑制可能量を取得する。
図9は、過去消費電力量テーブルT6の一例を示す図である。
たとえば、抑制可能量処理部22は、図9に示すような過去消費電力量テーブルT6を参照して、当該過去消費電力量テーブルT6に含まれる過去の抑制期間における各需要家装置151の消費電力量と、需要家装置151の基準値とに基づいて、新たに通知された抑制期間における各需要家装置151の抑制可能量を取得する。
そして、抑制可能量処理部22は、抑制期間における各需要家装置151の抑制可能量を示す抑制可能量テーブルT1を作成し、作成した抑制可能量テーブルT1を上位管理装置102へ送信する。
なお、抑制可能量処理部22は、抑制可能量テーブルT1を作成する構成に限らず、たとえば、需要家装置151などの他の装置により作成された抑制可能量テーブルT1を取得する構成であっても良い。
再び図8を参照して、制御内容決定部23は、自己の下位管理装置103に割り当てられた最終抑制依頼量および抑制期間を示す指示情報X1を上位管理装置102から受信する。そして、制御内容決定部23は、上位管理装置102から当該指示情報X1を受信すると、各需要家装置151に対して指示する指示情報X2の内容を決定する。
たとえば、記憶部21に記憶されている過去消費電力量テーブルT6には、図9に示すように、過去の抑制期間における需要家装置151の消費電力量に加えて、さらに、過去の抑制期間における需要家装置151による電気機器の制御内容が含まれている。そして、制御内容決定部23は、過去消費電力量テーブルT6を参照して、自己の下位管理装置103の管理対象である需要家装置群161における消費電力量が、受信した指示情報X1に示される最終抑制依頼量の分だけ削減されるように、需要家装置151ごとに、電気機器の制御内容を決定する。
そして、制御内容決定部23は、決定した需要家装置151ごとの制御内容および抑制期間を示す情報を指示部24へ出力する。
なお、抑制期間における電気機器の制御内容は他の装置が決定しても良い。たとえば、需要家装置151が、過去消費電力量テーブルT6を記憶して、当該過去消費電力量テーブルT6と、下位管理装置103から通知される最終抑制依頼量とに基づいて抑制期間における電気機器の制御内容を決定しても良い。
再び図8を参照して、指示部24は、制御内容決定部23から受けた情報に示される抑制期間および需要家装置151ごとの制御内容に基づいて、当該抑制期間に当該制御内容で電気機器を制御することを指示するための指示情報X2を、当該需要家装置151に通知する。
抑制実績量処理部25は、抑制期間における各需要家装置151の消費電力量を、たとえば1時間ごとに監視する。そして、抑制実績量処理部25は、各需要家装置151における消費電力量を示す消費電力量テーブルT3を作成する。そして、抑制実績量処理部25は、作成した消費電力量テーブルT3を上位管理装置102へ送信する。
また、抑制実績量処理部25は、記憶部21に記憶されている基準電力消費情報Y2に示される需要家装置151の基準値と、消費電力量テーブルT3に示される抑制期間における各需要家装置151の消費電力量との差を算出することにより、各需要家装置151における抑制実績量を取得する。そして、抑制実績量処理部25は、各需要家装置151における抑制実績量を示す抑制実績量テーブルT7を作成する。
図10は、抑制実績量テーブルT7の一例を示す図である。
たとえば、抑制実績量処理部25は、図10に示すような、各需要家装置151における抑制実績量を示す抑制実績量テーブルT7を作成する。そして、抑制実績量処理部25は、作成した抑制実績量テーブルT7を分配部26に出力する。
なお、抑制実績量処理部25は、消費電力量テーブルT3および抑制実績量テーブルT7を作成する構成に限らず、たとえば他の装置により作成された消費電力量テーブルT3および抑制実績量テーブルT7を取得する構成であっても良い。
再び図8を参照して、分配部26は、インセンティブとしての対価の額を示す情報を上位管理装置102から受信する。そして、分配部26は、抑制実績量処理部25から受けた抑制実績量テーブルT7を参照して、受信した情報の示す対価の額を各需要家装置151の抑制実績量に応じて各需要家装置151に分配し、分配した対価の額を示す情報を、それぞれ需要家装置151へ送信する。
(下位管理装置別抑制可能量テーブルT2の作成)
次に、下位管理装置別抑制可能量テーブルT2の作成について、具体的な数値を用いて説明する。
抑制可能量テーブルT1には、たとえば図3に示すように、需要家装置151が設けられている電力需要施設が契約している電力会社(以下、「契約電力会社」とも称する)と、抑制期間における需要家装置151の抑制可能量との対応関係である第1対応関係が示されている。上位管理装置102は、このような抑制可能量テーブルT1を、自己の管理対象である複数の下位管理装置103、たとえば下位管理装置103A,103Bからそれぞれ受信する。
そして、上位管理装置102は、下位管理装置103A,103Bからそれぞれ受信した抑制可能量テーブルT1に含まれる抑制可能量を電力会社ごとに集約し、電力会社ごとの抑制可能量の合計を算出する。
たとえば、下位管理装置103Aから受信した抑制可能量テーブルT1に含まれる抑制可能量のうち、電力会社Aに対応づけられている抑制可能量の合計が「100kWh」であり、電力会社Bに対応づけられている抑制可能量の合計が「200kWh」であるとする。また、下位管理装置103Bから受信した抑制可能量テーブルT1に含まれる抑制可能量のうち、電力会社Aに対応づけられている抑制可能量の合計が「10kWh」であり、電力会社Bに対応づけられている抑制可能量の合計が「150kWh」であるとする。
この場合、上位管理装置102は、たとえば図4に示すように、電力会社A,Bについて算出したこれらの値と、下位管理装置103A,103Bとをそれぞれ対応づけた下位管理装置別抑制可能量テーブルT2を作成する。
(最終抑制依頼量の決定)
次に、各下位管理装置103に割り当てられる最終抑制依頼量の決定について、具体的な数値を用いて説明する。
上位管理装置102は、下位管理装置別抑制可能量テーブルT2に基づいて、抑制期間における抑制依頼量を、下位管理装置103ごとの最終抑制依頼量に分割する。
ここでは、電力消費管理システム201は、電力会社サーバ101として、電力会社Aに設けられている電力会社サーバ101Aと、電力会社Bに設けられている電力会社サーバ101Bとを備えることとする。また、電力会社サーバ101Aから送信された電力管理情報に基づいて設定された抑制依頼量が抑制依頼量Raであり、電力会社サーバ101Bから送信された電力管理情報に基づいて設定された抑制依頼量が抑制依頼量Rbであるとする。
また、上位管理装置102により作成された下位管理装置別抑制可能量テーブルT2が、図4に示す下位管理装置別抑制可能量テーブルT2であるとする。
この場合、上位管理装置102は、下位管理装置別抑制可能量テーブルT2に含まれる抑制可能量のうち、電力会社Aに対応づけられている抑制可能量の合計と、電力会社Bに対応づけられている抑制可能量の合計とをそれぞれ算出する。
たとえば、上位管理装置102は、下位管理装置103Aの抑制可能量であって電力会社Aに対応づけられている抑制可能量「100kWh」と、下位管理装置103Bの抑制可能量であって電力会社Aに対応づけられている抑制可能量「10kWh」との合計(=110kWh)を算出する。
また、上位管理装置102は、下位管理装置103Aの抑制可能量であって電力会社Bに対応づけられている抑制可能量「200kWh」と、下位管理装置103Bの抑制可能量であって電力会社Bに対応づけられている抑制可能量「150kWh」との合計(=350kWh)を算出する。
そして、上位管理装置102は、電力会社Aに対応づけられている抑制可能量の合計(=110kWh)が抑制依頼量Raより大きい場合、下位管理装置103Aの抑制可能量「100kWh」と下位管理装置103Bの抑制可能量「10kWh」との比に応じて抑制依頼量Raを分割し、最終抑制依頼量として下位管理装置103A,103Bにそれぞれ割り当てる。
また、上位管理装置102は、電力会社Aに対応づけられている抑制可能量の合計(=110kWh)が抑制依頼量Raと等しい場合、下位管理装置103Aの抑制可能量「100kWh」を下位管理装置103Aに割り当てる最終抑制依頼量とし、下位管理装置103Bの抑制可能量「10kWh」を下位管理装置103Bに割り当てる最終抑制依頼量とする。
また、上位管理装置102は、電力会社Aに対応づけられている抑制可能量の合計(=110kWh)が抑制依頼量Raより小さい場合、下位管理装置103A,103Bに指示情報X1の通知を行わないことを決定する。
なお、上位管理装置102は、電力会社Aに対応づけられている抑制可能量の合計(=110kWh)が抑制依頼量Raより小さい場合、下位管理装置103A,103Bに指示情報X1の通知を行わないことを決定する構成に限らず、たとえば、下位管理装置103A,103Bのそれぞれの抑制可能量の分だけ消費電力量を抑制することを指示するための指示情報X1の通知を行う構成であっても良い。具体的には、上位管理装置102は、下位管理装置103Aの抑制可能量「100kWh」を下位管理装置103Aに割り当てる最終抑制依頼量とし、下位管理装置103Bの抑制可能量「10kWh」を下位管理装置103Bに割り当てる最終抑制依頼量としても良い。
また、上位管理装置102は、電力会社Bに対応づけられている抑制可能量の合計(=350kWh)が抑制依頼量Rbより大きい場合、下位管理装置103Aの抑制可能量「200kWh」と下位管理装置103Bの抑制可能量「150kWh」との比に応じて抑制依頼量Rbを分割し、最終抑制依頼量として下位管理装置103A,103Bにそれぞれ割り当てる。
また、上位管理装置102は、電力会社Bに対応づけられている抑制可能量の合計(=350kWh)が抑制依頼量Rbと等しい場合、下位管理装置103Aの抑制可能量「200kWh」を下位管理装置103Aに割り当てる最終抑制依頼量とし、下位管理装置103Bの抑制可能量「150kWh」を下位管理装置103Bに割り当てる最終抑制依頼量とする。
また、上位管理装置102は、電力会社Bに対応づけられている抑制可能量の合計(=350kWh)が抑制依頼量Rbより小さい場合、下位管理装置103A,103Bに指示情報X1の通知を行わないことを決定する。
なお、上位管理装置102は、電力会社Bに対応づけられている抑制可能量の合計(=350kWh)が抑制依頼量Rbより小さい場合、下位管理装置103A,103Bに指示情報X1の通知を行わないことを決定する構成に限らず、たとえば、下位管理装置103A,103Bのそれぞれの抑制可能量の分だけ消費電力量を抑制することを指示するための指示情報X1の通知を行う構成であっても良い。具体的には、上位管理装置102は、下位管理装置103Aの抑制可能量「200kWh」を下位管理装置103Aに割り当てる最終抑制依頼量とし、下位管理装置103Bの抑制可能量「150kWh」を下位管理装置103Bに割り当てる最終抑制依頼量としても良い。
(下位管理装置別消費電力量テーブルT4の作成および下位管理装置別抑制実績量テーブルT5の作成)
次に、下位管理装置別消費電力量テーブルT4の作成、および下位管理装置別抑制実績量テーブルT5の作成について、具体的な数値を用いて説明する。
消費電力量テーブルT3には、たとえば図5に示すように、需要家装置151が設けられている電力需要施設の契約電力会社と、抑制期間における需要家装置151の消費電力量とが対応づけて登録されている。上位管理装置102は、このような消費電力量テーブルT3を、自己の管理対象である複数の下位管理装置103、たとえば下位管理装置103A,103Bからそれぞれ受信する。
そして、上位管理装置102は、下位管理装置103A,103Bからそれぞれ受信した消費電力量テーブルT3に含まれる消費電力量を電力会社ごとに集約し、電力会社ごとの消費電力量の合計を算出する。
たとえば、下位管理装置103Aから受信した消費電力量テーブルT3に含まれる消費電力量のうち、電力会社Aに対応づけられている消費電力量の合計が「1000kWh」であり、電力会社Bに対応づけられている消費電力量の合計が「2000kWh」であるとする。また、下位管理装置103Bから受信した消費電力量テーブルT3に含まれる消費電力量のうち、電力会社Aに対応づけられている消費電力量の合計が「100kWh」であり、電力会社Bに対応づけられている消費電力量の合計が「1500kWh」であるとする。
この場合、上位管理装置102は、たとえば図6に示すように、電力会社A,Bについて算出したこれらの値と、下位管理装置103A,103Bとをそれぞれ対応づけた下位管理装置別消費電力量テーブルT4を作成する。
また、上位管理装置102は、たとえば、下位管理装置103Aの管理対象である需要家装置群161における消費電力量の基準値、および、下位管理装置103Bの管理対象である需要家装置群161における消費電力量の基準値を示す基準電力消費情報Y1を、電力会社Aに設けられている電力会社サーバ101Aから受信する。
そして、上位管理装置102は、受信した基準電力消費情報Y1および作成した下位管理装置別消費電力量テーブルT4に基づいて、電力会社Aから供給された電力量に関する、下位管理装置103A,103Bにおける抑制実績量をそれぞれ算出する。
たとえば、下位管理装置103Aの管理対象である需要家装置群161における消費電力量の基準値が「1100kWh」であり、下位管理装置103Bの管理対象である需要家装置群161における消費電力量の基準値が「150kWh」であるとする。この場合、図7に示す下位管理装置別抑制実績量テーブルT5のように、電力会社Aから供給される電力量について、下位管理装置103Aにおける抑制実績量は「100kWh(=1100kWh−1000kWh)」となり、下位管理装置103Bにおける抑制実績量は「50kWh(=150kWh−100kWh)」となる。
また、上位管理装置102は、たとえば、下位管理装置103Aの管理対象である需要家装置群161における消費電力量の基準値、および、下位管理装置103Bの管理対象である需要家装置群161における消費電力量の基準値を示す基準電力消費情報Y1を、電力会社Bに設けられている電力会社サーバ101Bから受信する。
そして、上位管理装置102は、受信した基準電力消費情報Y1および作成した下位管理装置別消費電力量テーブルT4に基づいて、電力会社Bから供給された電力量に関する、下位管理装置103A,103Bにおける抑制実績量をそれぞれ算出する。
たとえば、下位管理装置103Aの管理対象である需要家装置群161における消費電力量の基準値が「2200kWh」であり、下位管理装置103Bの管理対象である需要家装置群161における消費電力量の基準値が「1650kWh」であるとする。この場合、図7に示す下位管理装置別抑制実績量テーブルT5のように、電力会社Bから供給される電力量について、下位管理装置103Aにおける抑制実績量は「200kWh(=2200kWh−2000kWh)」となり、下位管理装置103Bにおける抑制実績量は「150kWh(=1650kWh−1500kWh)」となる。
そして、上位管理装置102は、下位管理装置別抑制実績量テーブルT5に示される抑制実績量のうち、電力会社Aに対応する抑制実績量の合計を示す情報を、電力会社サーバ101Aへ送信する。また、上位管理装置102は、下位管理装置別抑制実績量テーブルT5に示される抑制実績量のうち、電力会社Bに対応する抑制実績量の合計を示す情報を、電力会社サーバ101Bへ送信する。
(抑制実績量テーブルT7の作成)
次に、抑制実績量テーブルT7の作成について、具体例な数値を用いて説明する。
下位管理装置103は、抑制期間における各需要家装置151の消費電力量を監視することにより、たとえば図5に示す消費電力量テーブルT3を作成する。また、下位管理装置103は、需要家装置151の基準値を示す基準電力消費情報Y2を、上位管理装置102経由で電力会社サーバ101から受信する。
そして、下位管理装置103は、受信した基準電力消費情報Y2と、消費電力量テーブルT3とに基づいて、需要家装置151が設けられている電力需要施設の契約電力会社と、抑制期間における需要家装置151の抑制実績量との対応関係である第2対応関係を示す抑制実績量テーブルT7を作成する。
たとえば、需要家装置151の基準値が「70kWh」である場合、図10に示すように、需要家装置151Aにおける抑制実績量が「30kWh」となり、需要家装置151Bにおける抑制実績量が「5kWh」となる。
なお、下位管理装置103は、上記のように作成した抑制実績量テーブルT7を、上位管理装置102へ送信しても良い。
この場合、たとえば、上位管理装置102は、下位管理装置103A,103Bからそれぞれ受信した抑制実績量テーブルT7に含まれる抑制実績量を電力会社ごとに集約して、下位管理装置103A,103Bごとの抑制実績量と、電力会社との対応関係を示す下位管理装置別抑制実績量テーブルT5を作成することが可能である。
(抑制可能量テーブルT1の作成)
次に、抑制可能量テーブルT1の作成について、具体例な数値を用いて説明する。
ここでは、下位管理装置103は、過去消費電力量テーブルT6に加えて、さらに、各電力需要施設において行われる予定のイベントを示すイベント情報テーブルT8、および、各需要家装置151が設けられている電力需要施設の契約電力会社を示す契約電力会社情報テーブルT9を記憶する。
過去消費電力量テーブルT6には、たとえば図9に示すように、自己の下位管理装置103が過去に指示情報X2を通知した需要家装置151A,151Bと、当該指示情報X2に示される抑制期間と、当該抑制期間の需要家装置151A,151Bにおける消費電力量と、当該抑制期間における需要家装置151A,151Bによる電気機器の制御内容と、当該抑制期間の気象情報と、当該抑制期間のイベント情報とを対応づけた複数のエントリが含まれている。
図11は、イベント情報テーブルT8の一例を示す図である。
また、イベント情報テーブルT8には、たとえば図11に示すように、需要家装置151Aが設けられている電力需要施設において行われる予定のイベント、および、需要家装置151Bが設けられている電力需要施設において行われる予定のイベントが含まれている。
図12は、契約電力会社情報テーブルT9の一例を示す図である。
また、契約電力会社情報テーブルT9には、たとえば図12に示すように、需要家装置151A,151Bが設けられている電力需要施設の契約電力会社を示す情報が含まれている。
下位管理装置103は、これら過去消費電力量テーブルT6、イベント情報テーブルT8および契約電力会社情報テーブルT9に基づいて、抑制可能量テーブルT1を作成する。
具体的には、2013年10月11日の13時〜14時が抑制期間である場合、下位管理装置103は、イベント情報テーブルT8を参照して、2013年10月11日の13時〜14時において需要家装置151Aが設けられている電力需要施設ではイベント「無し」であり、需要家装置151Bが設けられている電力需要施設ではイベント「全体会合」が行われる予定であることを確認する。
また、下位管理装置103は、インターネット等を介して当該抑制期間である2013年10月11日の13時〜14時の気象情報、たとえば、気温「32℃」、湿度「80%」、天気「晴れ」を示す情報を取得する。
また、下位管理装置103は、過去消費電力量テーブルT6を参照して、需要家装置151A,151Bのそれぞれについて、過去消費電力量テーブルT6に含まれる複数のエントリの中から、抑制期間の気象およびイベントと同一または近似している気象およびイベントを含むエントリを1つ以上選択する。
たとえば、下位管理装置103は、需要家装置151Aについて、過去消費電力量テーブルT6に含まれるエントリ「A1」,「A2」,「A3」の中から、エントリ「A1」およびエントリ「A2」を選択する。また、たとえば、下位管理装置103は、需要家装置151Bについて、過去消費電力量テーブルT6に含まれるエントリ「B1」,「B2」,「B3」の中から、エントリ「B1」およびエントリ「B2」を選択する。
そして、下位管理装置103は、需要家装置151ごとに、選択したエントリの中から気象およびイベントが抑制期間における気象およびイベントと最も近似している1つのエントリ(以下、「最適エントリ」と称する)を選択する。
すなわち、下位管理装置103は、抑制期間における気温を「Tpredict」とし、選択したエントリに含まれる気温を「Tpast」とし、抑制期間における湿度を「Hpredict」とし、選択したエントリに含まれる湿度を「Hpast」とすると、以下の式で表される差Dが最も小さくなるエントリを最適エントリとして選択する。
D=|Tpredict−Tpast|×W1+|Hpredict−Hpast|×W2+Event×W3
なお、上記の式において、「Event」は、抑制期間のイベントと、選択したエントリに含まれるイベントとが一致する場合にゼロとなり、抑制期間のイベントと、選択したエントリに含まれるイベントとが一致しない場合に正の値となる。さらに、「W1」、「W2」および「W3」は、重み付けのために用いられる定数である。
たとえば、下位管理装置103は、エントリ「A2」を最適エントリとして選択した場合、2013年10月11日の13時〜14時に需要家装置151Aが指示情報X2の通知を受けると、需要家装置151Aは空調の設定温度を1℃上昇させる制御を行う可能性が高いと推測することができる。そして、下位管理装置103は、需要家装置151Aがこのような制御を行うことにより、需要家装置151Aが設けられている電力需要施設の消費電力が「100kWh」となる可能性が高いことを推測することができる。
また、たとえば、下位管理装置103は、エントリ「B2」を最適エントリとして選択した場合、2013年10月11日の13時〜14時において需要家装置151Bが指示情報X2の通知を受けると、需要家装置151Bは空調の設定温度を2℃上昇させる制御を行う可能性が高いと推測することができる。そして、下位管理装置103は、需要家装置151Bがこのような制御を行うことにより、需要家装置151Bが設けられている電力需要施設の消費電力は「50kWh」となる可能性が高いことを推測することができる。
そして、下位管理装置103は、需要家装置151の基準値を示す基準電力消費情報Y2を上位管理装置102経由で電力会社サーバ101から受信する。そして、下位管理装置103は、需要家装置151A,151Bについて、受信した基準電力消費情報Y2に示される需要家装置151の基準値と、最適エントリに含まれる消費電力との差を抑制可能量としてそれぞれ算出する。
そして、下位管理装置103は、契約電力会社情報テーブルT9を参照して、需要家装置151A,151Bのそれぞれの抑制可能量と、契約電力会社との対応関係を示す抑制可能量テーブルT1を作成する。
このように、下位管理装置103が、抑制期間における気象情報およびイベント情報などの外部環境と、過去の抑制期間における需要家装置151の抑制実績量とに基づいて抑制可能量を算出することにより、抑制可能量を適切に把握することができ、抑制依頼量の分だけ消費電力量を削減することができるか否かを、事前に、かつ的確に判断することができる。
なお、下位管理装置103は、ニュートラルネットワークまたは自己回帰分析などの技術を用いて、各電力需要施設における抑制期間の消費電力量を予測する構成であっても良い。そして、この場合、下位管理装置103は、予測した消費電力量(以下、「予測値」と称する)と、最適エントリに含まれる消費電力量との差を、抑制可能量として算出することができる。
また、下位管理装置103は、需要家装置151A,151Bのそれぞれについて、過去消費電力量テーブルT6に含まれる複数のエントリの中から、上述の式で表される差Dが閾値以下となる1つ以上のエントリを選択する構成であっても良い。そして、下位管理装置103は、差Dが閾値以下となるエントリが1つである場合、当該エントリを最適エントリとして選択することができる。また、下位管理装置103は、差Dが閾値以下となるエントリが2つ以上である場合、これら2つ以上のエントリの中から、算出する抑制可能量が最大となるエントリ、すなわち消費電力量が最小であるエントリを最適エントリとして選択することができる。
(電気機器の制御内容の決定)
次に、抑制期間における電気機器の制御内容の決定の具体例について説明する。
ここでは、下位管理装置103は、図9に示す過去消費電力量テーブルT6を記憶していることとする。
下位管理装置103は、たとえば、抑制期間である2013年10月11日の13時〜14時の気象情報、具体的には、気温「32℃」、湿度「80%」、天気「晴れ」を示す情報を取得する。また、下位管理装置103は、過去消費電力量テーブルT6を参照して、この過去消費電力量テーブルT6に含まれる複数のエントリの中から、需要家装置151ごとに、抑制期間の気象情報およびイベント情報と同一または近似している気象情報およびイベント情報を含むエントリを1つ以上選択する。
また、下位管理装置103は、たとえば、需要家装置151ごとに、抑制期間における消費電力量の予測値を取得する。
そして、下位管理装置103は、各需要家装置151について、取得した予測値と、選択した1または複数の各エントリに含まれる消費電力量との差を算出する。この差は、各エントリに含まれる電気機器の制御内容を実行した場合に抑制することが可能であると推定される電力量に相当する。
そして、下位管理装置103は、各エントリについて算出した差と、上位管理装置102から受信した指示情報X1に示される最終抑制依頼量とに基づいて、需要家装置151ごとに、最適なエントリを選択する。そして、下位管理装置103は、各需要家装置151について選択したエントリに含まれる電気機器の制御内容、たとえば「空調の設定温度を1℃上昇させる」という電気機器の制御内容を、当該需要家装置151に通知する指示情報X2の内容として決定する。
(需要家装置の基準値の算出)
次に、需要家装置151の基準値の算出の具体例について説明する。
図13は、基準値算出用テーブルT10の一例を示す図である。
図13を参照して、電力会社サーバ101は、電力消費管理システム201に含まれる複数の需要家装置151における過去の消費電力量をたとえば1時間ごとに計測し、計測した値を基準値算出用テーブルT10に登録する。
たとえば、基準値算出用テーブルT10には、2013年の10月6日、10月7日、10月8日、10月9日、10月10日のそれぞれにおいて、13時〜14時における需要家装置151の消費電力量が、100kWh、90kWh、95kWh、120kWh、100kWhであることが登録されている。
また、基準値算出用テーブルT10には、2013年の10月6日、10月7日、10月8日、10月9日、10月10日のそれぞれにおいて、需要家装置151の消費電力量の1日の合計が、1200kWh、950kWh、1100kWh、1500kWh、1100kWhであることが登録されている。
電力会社サーバ101は、たとえば、電力需給の逼迫が予測される対象日の直前5日間のデータに基づいて、当該対象日における需要家装置151の基準値を算出する。すなわち、電力会社サーバ101は、2013年10月11日の13時〜14時に電力需給が逼迫することが予測されているとすると、2013年の10月6日から10月10日までの5日間のデータに基づいて、2013年10月11日の13時〜14時における需要家装置151の基準値を算出する。
具体的には、電力会社サーバ101は、2013年の10月6日から10月10日までのそれぞれの日について、13時〜14時における需要家装置151の消費電力量、すなわち10月6日の「100kWh」、10月7日の「90kWh」、10月8日の「95kWh」、10月9日の「120kWh」および10月10日の「100kWh」を抽出し、抽出したこれらの値の平均(=(100+90+95+120+100)/5=101kWh)を算出する。そして、電力会社サーバ101は、算出したこの値を、2013年10月11日の13時〜14時における需要家装置151の基準値とする。
このように、電力会社サーバ101は、過去のデータに基づいて、抑制期間における需要家装置151の消費電力量の基準値を算出し、算出した需要家装置151の基準値を示す基準電力消費情報Y1を上位管理装置102へ送信する。
なお、電力会社サーバ101は、電力消費管理システム201に含まれる全ての需要家装置151における消費電力量に基づいて需要家装置151の基準値を算出しても良いし、電力消費管理システム201に含まれる需要家装置151のうちの一部の需要家装置151における消費電力量に基づいて需要家装置151の基準値を算出しても良い。
また、電力会社サーバ101は、上記のような算出方法に限らず、他の算出方法を用いて需要家装置151の基準値を算出しても良い。
たとえば、電力会社サーバ101は、電力需給の逼迫が予測される対象日の直前5日間のうち、需要家装置151の消費電力量の1日の合計が最も大きい日を特定する。そして、電力需給の逼迫が予測される時間帯が13時〜14時であるとすると、電力会社サーバ101は、特定した日の13時〜14時における需要家装置151の消費電力量を、対象日の13時〜14時における需要家装置151の基準値とすることができる。
また、他の算出方法として、たとえば、電力会社サーバ101は、電力需給の逼迫が予測される対象日の直前5日間のうち、時間毎の電力消費量の分散が最も大きい1日を除外する。そして、電力需給の逼迫が予測される時間帯が13時〜14時であるとすると、電力会社サーバ101は、残りの4日間を対象として、13時〜14時における需要家装置151の電力消費量の平均を算出する。そして、電力会社サーバ101は、算出した値を対象日の13時〜14時における需要家装置151の基準値とすることができる。
また、電力会社サーバ101が需要家装置151の基準値を算出する構成に限らず、たとえば上位管理装置102または下位管理装置103が上記のような各種算出方法を用いて需要家装置151の基準値を算出する構成であっても良い。
(需要家装置群の基準値の算出)
次に、需要家装置群161の基準値の算出の具体例について説明する。
電力会社サーバ101は、需要家装置群161の消費電力量をたとえば1時間ごとに計測して記憶する。そして、電力会社サーバ101は、たとえば上述した需要家装置151の基準値の算出と同様の方法を用いて、抑制期間における需要家装置群161の基準値を算出し、算出した需要家装置群161の基準値を示す基準電力消費情報Y1上位管理装置102へ送信する。
なお、電力会社サーバ101が需要家装置群161の基準値を算出する構成に限らず、たとえば上位管理装置102または下位管理装置103が上記のような各種算出方法を用いて需要家装置群161の基準値を算出する構成であっても良い。
[動作の流れ]
次に、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システム201の動作の流れについて説明する。
電力消費管理システム201における各装置は、コンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のシーケンス図の各ステップの一部または全部を含むプログラムを図示しないメモリからそれぞれ読み出して実行する。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、外部からインストールすることができる。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、記録媒体に格納された状態で流通する。
(指示情報X1および指示情報X2の通知処理)
図14は、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システムによる指示情報X1および指示情報X2の通知処理における動作手順(その1)を示すシーケンス図である。図15は、図14に示すシーケンス図のつづきである電力消費管理システムによる指示情報X1および指示情報X2の通知処理における動作手順(その2)を示すシーケンス図である。
ここでは、電力会社Aに設けられている電力会社サーバ101Aが、電力管理情報を送信する場合について説明する。また、下位管理装置103Aおよび下位管理装置103Bが、上位管理装置102の管理対象であるとする。また、需要家装置151Aおよび需要家装置151Bが、下位管理装置103Aの管理対象であり、需要家装置151Cおよび需要家装置151Dが、下位管理装置103Bの管理対象であるとする。
図14および図15を参照して、まず、電力会社サーバ101Aは、たとえば電力需給の逼迫が予測される期間を示す電力管理情報を上位管理装置102へ送信する(ステップS11)。
次に、上位管理装置102は、電力管理情報に基づいて、電力需給の逼迫が予測される期間である抑制期間および抑制依頼量Raを設定する(ステップS12)。そして、上位管理装置102は、設定した抑制期間を示す情報を下位管理装置103Aおよび下位管理装置103Bにそれぞれ送信する(ステップS13およびステップS14)。
次に、下位管理装置103Aは、上位管理装置102から抑制期間を示す情報を受信すると、需要家装置151Aおよび需要家装置151Bについて、それぞれ抑制可能量を算出する。
そして、下位管理装置103Aは、需要家装置151Aについて算出した抑制可能量と、需要家装置151Aが設けられている電力需要施設の契約電力会社とを対応づけ、かつ、需要家装置151Bについて算出した抑制可能量と、需要家装置151Bが設けられている電力需要施設の契約電力会社とを対応づけた抑制可能量テーブルT1を作成する(ステップS15)。そして、下位管理装置103Aは、作成した抑制可能量テーブルT1を上位管理装置102へ送信する(ステップS16)。
また、下位管理装置103Bは、上位管理装置102から抑制期間を示す情報を受信すると、需要家装置151Cおよび需要家装置151Dについて、それぞれ抑制可能量を算出する。
そして、下位管理装置103Bは、需要家装置151Cについて算出した抑制可能量と、需要家装置151Cが設けられている電力需要施設の契約電力会社とを対応づけ、かつ、需要家装置151Dについて算出した抑制可能量と、需要家装置151Dが設けられている電力需要施設の契約電力会社とを対応づけた抑制可能量テーブルT1を作成する(ステップS17)。そして、下位管理装置103Bは、作成した抑制可能量テーブルT1を上位管理装置102へ送信する(ステップS18)。
次に、上位管理装置102は、下位管理装置103Aおよび下位管理装置103Bからそれぞれ受信した抑制可能量テーブルT1に基づいて、下位管理装置103Aの管理対象である需要家装置群161における抑制可能量と、下位管理装置103Bの管理対象である需要家装置群161における抑制可能量と、電力会社との対応関係を示す下位管理装置別抑制可能量テーブルT2を作成する(ステップS19)。
次に、上位管理装置102は、作成した下位管理装置別抑制可能量テーブルT2に基づいて、下位管理装置103A,103Bに対して指示情報X1の通知を行うか否かを決定する(ステップS20)。
たとえば、上位管理装置102は、下位管理装置別抑制可能量テーブルT2に含まれる抑制可能量のうち、電力会社Aに対応づけられている抑制可能量の合計が抑制依頼量Raより小さい場合、下位管理装置103A,103Bに対して指示情報X1の通知を行わないことを決定する。そして、上位管理装置102は、指示情報X1の通知を行わないことを決定した場合(ステップS20において「No」)、指示情報X1の通知を行わないことを示す情報を電力会社サーバ101Aへ送信する(ステップS21)。
一方、上位管理装置102は、たとえば、下位管理装置別抑制可能量テーブルT2に含まれる抑制可能量のうち、電力会社Aに対応づけられている抑制可能量の合計が抑制依頼量Ra以上である場合、下位管理装置103A,103Bに対して指示情報X1の通知を行うことを決定する。そして、上位管理装置102は、指示情報X1の通知を行うことを決定した場合(ステップS20において「Yes」)、作成した下位管理装置別抑制可能量テーブルT2に基づいて、下位管理装置103A,103Bごとに、指示情報X1に含める最終抑制依頼量を決定する(ステップS22)。
なお、上位管理装置102は、電力会社サーバ101Aに加えて、さらに、電力会社Bに設けられている電力会社サーバ101Bから電力管理情報を受信した場合、電力会社サーバ101Bから受信した電力管理情報に基づいて抑制依頼量Rbを設定する。
この場合、上位管理装置102は、下位管理装置別抑制可能量テーブルT2に含まれる抑制可能量のうち電力会社Bに対応づけられている抑制可能量の合計と、抑制依頼量Rbとに基づいて、下位管理装置103A,103Bに対して指示情報X1の通知を行うか否かを決定する。また、上位管理装置102は、指示情報X1の通知を行うと決定した場合、下位管理装置別抑制可能量テーブルT2に含まれる抑制可能量のうち電力会社Bに対応づけられている抑制可能量の合計と、抑制依頼量Rbとに基づいて、下位管理装置103A,103Bごとに、指示情報X1に含める最終抑制依頼量を決定する。
次に、上位管理装置102は、下位管理装置103Aに対して決定した最終抑制依頼量と抑制期間とを示す指示情報X1を下位管理装置103Aへ送信する(ステップS23)。また、上位管理装置102は、下位管理装置103Bに対して決定した最終抑制依頼量と抑制期間とを示す指示情報X1を下位管理装置103Bへ送信する(ステップS24)。
次に、下位管理装置103Aは、上位管理装置102から指示情報X1を受信すると、過去消費電力量テーブルT6を参照して、需要家装置151Aおよび需要家装置151Bについて、それぞれ、過去消費電力量テーブルT6に含まれる複数のエントリの中から最適なエントリを選択する。
そして、下位管理装置103Aは、需要家装置151Aについて選択したエントリに含まれる電気機器の制御内容を、需要家装置151Aに通知する指示情報X2の内容として決定する。また、下位管理装置103Aは、需要家装置151Bについて選択したエントリに含まれる電気機器の制御内容を、需要家装置151Bに通知する指示情報X2の内容として決定する(ステップS25)。
次に、下位管理装置103Aは、需要家装置151Aに対して決定した電気機器の制御内容を示す指示情報X2を需要家装置151Aへ通知する(ステップS26)。また、下位管理装置103Aは、需要家装置151Bに対して決定した電気機器の制御内容を示す指示情報X2を需要家装置151Bへ通知する(ステップS27)。
また、下位管理装置103Bは、上位管理装置102から指示情報X1を受信すると、過去消費電力量テーブルT6を参照して、需要家装置151Cおよび需要家装置151Dについて、それぞれ、過去消費電力量テーブルT6に含まれる複数のエントリの中から最適なエントリを選択する。
そして、下位管理装置103Bは、需要家装置151Cについて選択したエントリに含まれる電気機器の制御内容を、需要家装置151Cに通知する指示情報X2の内容として決定する。また、下位管理装置103Bは、需要家装置151Dについて選択したエントリに含まれる電気機器の制御内容を、需要家装置151Dに通知する指示情報X2の内容として決定する(ステップS28)。
次に、下位管理装置103Bは、需要家装置151Cに対して決定した電気機器の制御内容を示す指示情報X2を需要家装置151Cへ通知する(ステップS29)。また、下位管理装置103Bは、需要家装置151Dに対して決定した電気機器の制御内容を示す指示情報X2を需要家装置151Dへ通知する(ステップS30)。
次に、需要家装置151A,151B,151C,151Dは、それぞれ、通知された指示情報X2に示される制御内容に従って、自己が設けられている電力需要施設における電気機器の動作を制御する(ステップS31)。
(抑制実績量の通知処理)
図16は、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システムによる抑制実績量の通知処理における動作手順を示すシーケンス図である。
図16を参照して、まず、下位管理装置103Aは、抑制期間における消費電力量を示す情報を、需要家装置151A,151Bからそれぞれ受信する(ステップS41およびステップS42)。
次に、下位管理装置103Aは、需要家装置151Aから受信した消費電力量を示す情報と、需要家装置151Aが設けられている電力需要施設の契約電力会社とを対応づけ、かつ、需要家装置151Bから受信した消費電力量を示す情報と、需要家装置151Bが設けられている電力需要施設の契約電力会社とを対応づけた消費電力量テーブルT3を作成する(ステップS43)。
次に、下位管理装置103Aは、基準消費電力情報Y2に示される需要家装置151の基準値と、消費電力量テーブルT3に示される需要家装置151Aの消費電力量との差を、需要家装置151Aの抑制実績量として算出する。また、下位管理装置103Aは、基準消費電力情報Y2に示される需要家装置151の基準値と、消費電力量テーブルT3に示される需要家装置151Bの消費電力量との差を、需要家装置151Bの抑制実績量として算出する。
そして、下位管理装置103Aは、需要家装置151Aの抑制実績量と、需要家装置151Bの抑制実績量と、電力会社とを対応づけた抑制実績量テーブルT7を作成する(ステップS44)。
次に、下位管理装置103Aは、作成した消費電力量テーブルT3を上位管理装置102へ送信する(ステップS45)。
また、下位管理装置103Bは、抑制期間における消費電力量を示す情報を、需要家装置151C,151Dからそれぞれ受信する(ステップS46およびステップS47)。
次に、下位管理装置103Bは、需要家装置151Cから受信した消費電力量を示す情報と、需要家装置151Cが設けられている電力需要施設の契約電力会社とを対応づけ、かつ、需要家装置151Dから受信した消費電力量を示す情報と、需要家装置151Dが設けられている電力需要施設の契約電力会社とを対応づけた消費電力量テーブルT3を作成する(ステップS48)。
次に、下位管理装置103Bは、基準消費電力情報Y2に示される需要家装置151の基準値と、消費電力量テーブルT3に示される需要家装置151Cの消費電力量との差を、需要家装置151Cの抑制実績量として算出する。また、下位管理装置103Bは、基準消費電力情報Y2に示される需要家装置151の基準値と、消費電力量テーブルT3に示される需要家装置151Dの消費電力量との差を、需要家装置151Dの抑制実績量として算出する。
そして、下位管理装置103Bは、需要家装置151Cの抑制実績量と、需要家装置151Dの抑制実績量と、電力会社とを対応づけた抑制実績量テーブルT7を作成する(ステップS49)。
次に、下位管理装置103Bは、作成した消費電力量テーブルT3を上位管理装置102へ送信する(ステップS50)。
次に、上位管理装置102は、下位管理装置103Aおよび下位管理装置103Bからそれぞれ受信した消費電力量テーブルT3に基づいて、下位管理装置103Aの管理対象である需要家装置群161における消費電力量と、下位管理装置103Bの管理対象である需要家装置群161における消費電力量と、電力会社との対応関係を示す下位管理装置別消費電力量テーブルT4を作成する(ステップS51)。
次に、上位管理装置102は、各需要家装置群161について、基準電力消費情報Y1に示される需要家装置群161の基準値と、下位管理装置別消費電力量テーブルT4に示される当該需要家装置群161における消費電力量との差を、当該需要家装置群161における抑制実績量として算出する。そして、上位管理装置102は、各需要家装置群161の抑制実績量と、電力会社との対応関係を示す下位管理装置別抑制実績量テーブルT5を作成する(ステップS52)。
次に、上位管理装置102は、作成した下位管理装置別抑制実績量テーブルT5に含まれる抑制実績量のうち電力会社101Aに対応づけられている抑制実績量の合計を算出する。そして、上位管理装置102は、算出した抑制実績量の合計を電力会社サーバ101Aに通知する(ステップS53)。
なお、電力会社サーバ101Aに加えて、さらに電力会社サーバ101Bから電力管理情報を受信した場合、上位管理装置102は、下位管理装置別抑制実績量テーブルT5に含まれる抑制実績量のうち電力会社101Bに対応づけられている抑制実績量の合計を電力会社サーバ101Bに通知する。
(対価の額の分配処理)
図17は、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システムによる対価の額の分配処理における動作手順を示すシーケンス図である。
図17を参照して、まず、電力会社サーバ101Aは、上位管理装置102から通知された抑制実績量の合計に応じて、インセンティブとしての対価の額を示す情報を上位管理装置102へ送信する(ステップS61)。
次に、上位管理装置102は、下位管理装置別抑制実績量テーブルT5に基づいて、電力会社サーバ101Aから受信した情報の示す対価の額を、たとえば、各需要家装置群161における抑制実績量の比に応じて下位管理装置103A,103Bに分配する(ステップS62)。
次に、上位管理装置102は、下位管理装置103Aに分配する対価の額を示す情報を下位管理装置103Aに送信する(ステップS63)。次に、上位管理装置102は、下位管理装置103Bに分配する対価の額を示す情報を下位管理装置103Bに送信する(ステップS64)。
次に、下位管理装置103Aは、抑制実績量テーブルT7に基づいて、上位管理装置102から受信した情報の示す対価の額を、たとえば、電力会社Aに対応づけられている需要家装置151A,151Bにおける抑制実績量の比に応じて需要家装置151A,151Bに分配する(ステップS65)。
次に、下位管理装置103Aは、需要家装置151Aに分配する対価の額を示す情報を需要家装置151Aに送信する(ステップS66)。次に、下位管理装置103Aは、需要家装置151Bに分配する対価の額を示す情報を需要家装置151Bに送信する(ステップS67)。
次に、下位管理装置103Bは、抑制実績量テーブルT7に基づいて、上位管理装置102から受信した情報の示す対価の額を、たとえば、電力会社Aに対応づけられている需要家装置151C,151Dにおける抑制実績量の比に応じて需要家装置151C,151Dに分配する(ステップS68)。
次に、下位管理装置103Bは、需要家装置151Cに分配する対価の額を示す情報を需要家装置151Cに送信する(ステップS69)。次に、下位管理装置103Bは、需要家装置151Dに分配する対価の額を示す情報を需要家装置151Dに送信する(ステップS70)。
ところで、節電を目的として、BEMSアグリゲータと呼ばれる事業者等によりビル等へのBEMSの導入が行われている。BEMSアグリゲータは、集中管理システムを設置し、BEMSを導入したビル等に対してエネルギー管理支援サービスを行う。
電力会社は、多くのビル等にBEMSが導入されることにより、電力需要の調整を行わせることが容易となる。たとえば、電力会社は、電力需給の逼迫が予測される場合に、BEMSアグリゲータに対して予め節電要請を行う。そして、BEMSアグリゲータは、各ビルの需要家に対して節電要請を行うとともに、たとえば、各ビルの空調および照明等を制御して電力の消費を抑制する。
しかしながら、BEMSアグリゲータにより管理される各電力需要施設において契約している電力会社が異なることがあり、複数の異なる電力会社がそれぞれ節電要請を行う場合、電力需要の調整が複雑になり各電力需要施設における電力消費の適切な制御が困難になることがある。
これに対して、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システム201における上位管理装置102は、電力需要施設における電力消費を抑制可能な複数の下位管理装置103を介して電力消費を管理する。また、上位管理装置102では、管理情報取得部11が、複数の電力供給側から電力消費に関する電力管理情報を取得可能である。また、抑制可能量処理部13が、電力需要施設における電力消費の抑制能力と電力需要施設に電力を供給する電力供給側との対応関係である第1対応関係について、下位管理装置103ごとの第1対応関係を示す下位管理装置別抑制可能量テーブルT2を取得する。また、指示部12が、電力管理情報および下位管理装置別抑制可能量テーブルT2に基づいて、対応の電力需要施設の電力消費の内容を指示するための指示情報X1を下位管理装置103に通知する。
このような構成により、上位管理装置102が、各電力需要施設における電力消費の節電能力と、電力供給側から送信される電力管理情報との双方を集中して管理することができるため、各電力需要施設の電力消費について適切な内容を指示することができる。
また、第1対応関係には、電力需要施設における電力消費の抑制能力と当該電力需要施設に電力を供給する電力供給側とが対応づけられていることにより、複数の電力供給側からそれぞれ電力管理情報が送信された場合であっても、上位管理装置102が、各電力供給側に対する電力消費の抑制能力を把握することができる。従って、電力会社側と電力需要施設との間に階層化された複数の管理装置が設けられている場合であって、各電力需要施設において契約している電力会社が異なる場合であっても、各電力需要施設における電力消費の制御を適切に行うことができる。
また、上位管理装置102が各電力需要施設における電力消費に関する情報を保持する必要が無いため、各電力需要施設における設備または住環境等が変化した場合であっても柔軟かつ迅速に対応し、各電力需要施設における電力消費の制御を適切に行うことができる。
また、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システム201における上位管理装置102では、抑制可能量処理部13が、管理情報取得部11により電力管理情報が取得されたことに応答して下位管理装置別抑制可能量テーブルT2を取得する。また、指示部12は、抑制可能量処理部13により下位管理装置別抑制可能量テーブルT2が取得されたことに応答して指示情報X1の通知を行う。
このような構成により、電力管理情報が取得された時点の電力需要施設における電力消費の最新の抑制能力を指示情報X1に反映することができるため、電力需要施設における設備または住環境などの変化により適切に対応することできる。
また、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システム201における上位管理装置102では、抑制可能量処理部13が、管理情報取得部11により電力管理情報が取得されたことに応答して第1対応関係を示す抑制可能量テーブルT1を下位管理装置103から取得し、取得した抑制可能量テーブルT1の示す第1対応関係に基づいて下位管理装置別抑制可能量テーブルT2を作成する。
このように、抑制可能量処理部13が下位管理装置別抑制可能量テーブルT2を作成する構成により、たとえば下位管理装置103が各電力供給側に対する抑制可能量を算出するなどの複雑な演算処理を行う必要がなく、下位管理装置別抑制可能量テーブルT2を容易に取得することができる。
また、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システム201における上位管理装置102では、抑制実績量処理部14が、電力需要施設における電力消費の抑制実績と、電力需要施設に電力を供給する電力供給側との対応関係である第2対応関係について、下位管理装置103ごとの第2対応関係を示す下位管理装置別抑制実績量テーブルT5を取得する。
このような構成により、上位管理装置102は、電力管理情報に応じた電力消費の内容が下位管理装置103において実現できたか否かを確認することができる。また、下位管理装置別抑制実績量テーブルT5を取得することにより、たとえば電力供給側から電力消費の抑制を行うことのインセンティブとして対価等が付与された場合、当該対価等を各下位管理装置103の抑制実績量に応じて各下位管理装置103に適切に分配することができる。
また、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システム201における上位管理装置102では、抑制実績量処理部14が、各下位管理装置103の電力消費の基準値と、各下位管理装置103の電力消費の実績値とに基づいて下位管理装置別抑制実績量テーブルT5を作成する。
このように、電力消費の基準となる情報と電力需要施設における実際の消費電力量とに基づいて下位管理装置別抑制実績量テーブルT5を作成することにより、より適切な抑制実績量を算出することができる。
また、このように、上位管理装置102が下位管理装置別抑制実績量テーブルT5を作成する構成により、たとえば下位管理装置103が各電力供給側に対する抑制実績量を算出するなどの複雑な演算処理を行う必要がなく、下位管理装置別抑制実績量テーブルT5を容易に取得することができる。
また、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システム201における下位管理装置103は、上位管理装置102と通信可能であり、電力需要施設における電力消費を抑制可能である。また、下位管理装置103では、抑制可能量処理部22が、電力需要施設における電力消費の抑制能力を取得する。また、抑制可能量処理部22が、取得した抑制能力と電力需要施設に電力を供給する電力供給側との対応関係である第1対応関係を示す情報を送信する。
このような構成により、各下位管理装置103の第1対応関係を取得した上位管理装置102が、各電力需要施設における電力消費の節電能力を集中して管理することができるため、各電力需要施設の電力消費について適切な内容を指示することができる。
また、第1対応関係には、電力需要施設における電力消費の抑制能力と当該電力需要施設に電力を供給する電力供給側とが対応づけられていることにより、複数の電力供給側からそれぞれ電力管理情報が送信された場合であっても、上位管理装置102が、各電力供給側に対する電力消費の抑制能力を把握することができる。従って、電力会社側と電力需要施設との間に階層化された複数の管理装置が設けられている場合であって、各電力需要施設において契約している電力会社が異なる場合であっても、各電力需要施設における電力消費の制御を適切に行うことができる。
また、上位管理装置102が各電力需要施設における電力消費に関する情報を保持する必要が無いため、各電力需要施設における設備または住環境等が変化した場合であっても柔軟かつ迅速に対応し、各電力需要施設における電力消費の制御を適切に行うことができる。
また、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システム201における下位管理装置103では、制御内容決定部23が、電力需要施設の電力消費の内容を指示するための上位管理装置102からの指示情報X1を取得し、指示情報X1に基づいて電力需要施設における電力消費を抑制するための電気機器の制御内容を決定する。
このような構成により、電力需要施設において、上位管理装置102からの指示情報X1に従った電力消費を容易に実現することができる。
また、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システム201における下位管理装置103では、抑制実績量処理部25が、電力需要施設における電力消費の抑制実績を取得し、抑制実績と電力需要施設に電力を供給する電力供給側との対応関係である第2対応関係を示す情報を取得する。
このような構成により、たとえば電力供給側から電力消費の抑制を行うことのインセンティブとして対価等が付与された場合、当該電力供給側に対応する抑制実績に基づいて、当該対価等を各電力需要施設における電力消費の抑制実績に応じて各電力需要施設に適切に分配することができる。
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
電力需要施設における電力消費を抑制可能な複数の下位管理装置を介して前記電力消費を管理する上位管理装置であって、
複数の電力供給側から電力消費に関する電力管理情報を取得可能な管理情報取得部と、
前記電力需要施設における電力消費の抑制能力と前記電力需要施設に電力を供給する前記電力供給側との対応関係である第1対応関係について、前記下位管理装置ごとの前記第1対応関係を示す抑制可能量情報を取得する抑制可能量取得部と、
前記電力管理情報および前記抑制可能量情報に基づいて、対応の前記電力需要施設の電力消費の内容を指示するための指示情報を前記下位管理装置に通知する指示部とを備え、
前記電力管理情報は、電力需給の逼迫が予想される期間を示す情報、日別もしくは時間帯別の電気料金情報、または、電力の節電要請を示す情報であり、
前記下位管理装置は、前記電力需要施設に設けられたBEMS(Building Energy Management System)またはHEMS(Home Energy Management System)における需要家装置に、前記指示情報に基づく情報を通知する、上位管理装置。
[付記2]
上位管理装置と通信可能であり、電力需要施設における電力消費を抑制可能な下位管理装置であって、
前記電力需要施設における電力消費の抑制能力を取得する抑制可能量取得部と、
前記抑制可能量取得部により取得された前記抑制能力と前記電力需要施設に電力を供給する電力供給側との対応関係である第1対応関係を示す情報を送信する送信部とを備え、
前記電力管理情報は、電力需給の逼迫が予想される期間を示す情報、日別もしくは時間帯別の電気料金情報、または、電力の節電要請を示す情報であり、
前記下位管理装置は、さらに、
前記電力需要施設に設けられたBEMS(Building Energy Management System)またはHEMS(Home Energy Management System)における需要家装置に、前記指示情報に基づく情報を通知する指示部を備える、下位管理装置。
[付記3]
電力需要施設における電力消費を抑制可能な複数の下位管理装置と、
前記下位管理装置を介して前記電力消費を管理する上位管理装置とを備え、
前記上位管理装置は、複数の電力供給側から電力消費に関する電力管理情報を取得可能であり、
前記下位管理装置は、前記電力需要施設における電力消費の抑制能力と前記電力需要施設に電力を供給する前記電力供給側との対応関係である第1対応関係を示す情報を前記上位管理装置へ送信し、
前記上位管理装置は、前記下位管理装置から受信した情報の示す前記第1対応関係に基づいて、前記下位管理装置ごとの前記第1対応関係を示す抑制可能量情報を作成し、作成した前記抑制可能量情報、および前記電力管理情報に基づいて、対応の前記電力需要施設の電力消費の内容を指示するための指示情報を前記下位管理装置に通知し、
前記電力管理情報は、電力需給の逼迫が予想される期間を示す情報、日別もしくは時間帯別の電気料金情報、または、電力の節電要請を示す情報であり、
前記下位管理装置は、前記電力需要施設に設けられたBEMS(Building Energy Management System)またはHEMS(Home Energy Management System)における需要家装置に、前記指示情報に基づく情報を通知する、電力消費管理システム。