JP2015115683A - 伝送線路 - Google Patents
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Abstract
【課題】付加的な回路を設けず、簡易な構成で複数周波数帯域の信号波を選択することができる伝送線路を提供する。【解決手段】誘電体基板8上に形成され、第1の直列接続回路111と第1の短絡接続回路112を含む第1の微小線路11と、第1の微小線路11と異なる電気特性を備え、第2の直列接続回路121と第2の短絡接続回路122を含む第2の微小線路12とを縦続接続してなる単位回路1が、複数個縦続接続されて形成される。【選択図】図3
Description
本発明は、周波数選択型の伝送線路に関し、特に、移動通信、衛星通信、固定マイクロ波通信その他の通信技術分野において信号の送受信および選択に利用される周波数選択型の伝送線路に関する。
昨今、各種非共振型の右手/左手系複合型伝送線路(composite right- and left-handed transmission line; CRLH-TL)が提案されている(例えば特許文献1)。本伝送線路は、理想的な左手系線路に対して右手系の影響を考慮した構造を備える。伝送線路が備える直列ブランチは周波数が低い場合には容量的、周波数が高い場合には誘導的となる。一方、伝送線路が備える並列ブランチは周波数が低い場合に誘導的、周波数が高い場合には容量的となる。従ってこのような伝送線路の場合、低周波数領域に左手系伝送帯域が生じ、高周波数領域に右手系伝送帯域が生じる。更に、左手系伝送帯域と右手系伝送帯域の間で直列及び並列ブランチが共に誘導的あるいは容量的となる場合に、バンドギャップが生じる。これら左手系伝送帯域および右手系伝送帯域およびバンドギャップを組み合わせることで、2帯域もしくは広帯域の伝送線路やフィルタを構築することができる。
以下、図1、2を参照して、典型的な素子値に対する右手/左手系複合型伝送線路の一般的な分散関係について説明する。図1、2は右手/左手系複合型伝送線路の分散関係を説明する図であって、図1はUnbalancedの例、図2はbalancedの例を示す図である。図1、図2の縦軸は角周波数ω、横軸は伝搬定数βである。図1に示すように、左手系の伝搬領域と右手系の伝搬領域の間(ωΓLとωΓRの間)に阻止帯域が現れる。阻止帯域では伝搬定数が純実数となり、信号波は伝搬しない。また、ωΓL=ωΓRとなる特別な場合には、図2に示すように阻止帯域はなくなり、伝搬領域はひとつの帯域となる。従って、従来の右手/左手系複合型伝送線路では、伝搬可能な周波数帯域としては1または2、すなわち阻止帯域は0または1である。すなわち3以上の複数周波数帯域信号波の選択あるいは2以上の複数周波数帯域信号波の阻止を行うためには、異なる周波数帯域を選択あるいは阻止する右手/左手系複合型伝送線路が必要となるばかりでなく、更に付加回路として、分配および合成回路が必要であった。
そこで本発明では、付加的な回路を設けずに、簡易な構成で複数周波数帯域の信号波を選択することができる伝送線路を提供することを目的とする。
本発明の伝送線路は、誘電体基板上に形成され、第1の直列接続回路と第1の短絡接続回路を含む第1の微小線路と、第1の微小線路と異なる電気特性を備え、第2の直列接続回路と第2の短絡接続回路を含む第2の微小線路とを縦続接続してなる単位回路が、複数個縦続接続されて形成されている。
本発明の伝送線路によれば、付加的な回路を設けずに、簡易な構成で複数周波数帯域の信号波を選択することができる。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
以下、図3を参照して本発明の実施例1の伝送線路を構成する単位回路について説明する。図3は本発明の実施例1の伝送線路の単位回路の回路構成を示す図である。図3に示すように、本実施例の伝送線路を構成する単位回路1は、第1の直列接続回路111と第1の短絡接続回路112を含む第1の微小線路11を含む。また、単位回路1は、第1の微小線路11と異なる電気特性を備え、第2の直列接続回路121と第2の短絡接続回路122を含む第2の微小線路12を含む。単位回路1は、微小線路11と微小線路12を縦続接続してなる。本実施例の伝送線路は、この単位回路1を複数個縦続接続されて形成される。図3に示すように、第1の直列接続回路111は、インダクタンスLR1、容量CL1の直列回路で構成される。第1の短絡接続回路112は、インダクタンスLL1、容量CR1の並列回路で構成される。第2の直列接続回路121は、インダクタンスLR2、容量CL2の直列回路で構成される。第2の短絡接続回路122は、インダクタンスLL2、容量CR2の並列回路で構成される。本実施例の伝送線路10の単位回路1は少なくともその微小線路11と微小線路12の電気的特性が異なるように構成されることが必要であるが、より好適な回路構成例として、CL1とCL2、LR1とLR2、CR1とCR2、LL1とLL2のいずれもが互いに異なる電気特性となるように形成してもよい。
図3に示す単位回路1を繰り返し単位とした無限周期構造に対して、Bloch-Floquetの周期境界条件および回路の可逆性を考慮して整理すると、以下の分散特性の式が導出できる。
以下、図4を参照して本発明の実施例1の伝送線路の回路パターンの例を説明する。図4は、本発明の実施例1の伝送線路の回路パターンを例示する図である。なお、図4において白抜き部分が導体を示し、この導体に囲まれている黒塗り部分が導体下面の誘電体基板が露出している部分を示している。図4の伝送線路10は、誘電体基板8上に形成されている。伝送線路10の両端には、入出力部15、16が設けられており、入出力部15、16から信号が入力、出力される。伝送線路10は、前述の単位回路1と異なるパターンを有する端部回路13、14を含む。端部回路13、14の間には、単位回路1が複数個(図4の例では3つ)縦続接続されている。図4に示すように単位回路1は、第1櫛歯パターン51、第1直列導線52、第1直線パターン53、第1短絡導線54、第2櫛歯パターン61、第2直列導線62、第2直線パターン63、第2短絡導線64の縦続接続で形成できる。櫛歯パターンは、二つの櫛歯線路が噛み合うように対向配置されてなるパターンである。直線パターンは前述の櫛歯線路の歯の配列方向と平行に複数の導線が配列されてなるパターンである。第1櫛歯パターン51は、第1の直列接続回路111のコンデンサ(CL1)として機能する。第1直列導線52は、第1の直列接続回路111のインダクタ(LR1)として機能する。第1直線パターン53は、第1の短絡接続回路112のコンデンサ(CR1)として機能する。第1短絡導線54は、第1の短絡接続回路112のインダクタ(LL1)として機能する。同様に、第2櫛歯パターン61は、第2の直列接続回路121のコンデンサ(CL2)として機能する。第2直列導線62は、第2の直列接続回路121のインダクタ(LR2)として機能する。第2直線パターン63は、第2の短絡接続回路122のコンデンサ(CR2)として機能する。第2短絡導線64は、第2の短絡接続回路122のインダクタ(LL2)として機能する。このように、伝送線路10は、単独で周波数選択機能を有するため、他に周波数選択回路等の付加的回路を含まない構成となっている。伝送線路10の各素子値(CL1,LR1,CR1,LL1,CL2,LR2,CR2,LL2、以下素子パラメータともいう)に対応して各パターンの寸法(導体の幅など)を調整することにより、通過域及び阻止域を調整することができる。
以下、図5を参照して、伝送線路10の各素子値(素子パラメータ)を調整して得た周波数特性の例を説明する。図5は本実施例の伝送線路10のS11、S21パラメータを示す図である。図5の縦軸(右)はS11パラメータ(dB)、図5の縦軸(左)はS21パラメータ(dB)である。図5の横軸は周波数(GHz)である。実線で示す曲線はS11パラメータ、破線で示す曲線はS11パラメータである。図5に示すように、本実施例の伝送線路10は、4GHz付近に狭帯域の通過帯域を持つ。具体的には、本実施例の伝送線路10は、4GHz付近においてS11パラメータ(反射損失)が大きくなり(5〜25dB)、S21パラメータ(挿入損失)が小さくなる(0〜2dB)ため、4GHz付近の信号を良好に通過させる。一方、本実施例の伝送線路10は、4.5GHz付近に狭帯域の阻止帯域を持つ。具体的には、本実施例の伝送線路10は、4.5GHz付近においてS11パラメータ(反射損失)が小さくなり(≒0dB、全反射に近づく)、S21パラメータ(挿入損失)が大きくなる(22dB程度)ため、4.5GHz付近の信号を良好に阻止する。同様に、本実施例の伝送線路10は、5〜6.5GHz帯、9〜10.5GHz帯、11〜12GHz帯において通過特性を有し、6.5〜9GHz帯、10.5〜11GHz帯において阻止特性を有する。従って、本実施例の伝送線路10は、4周波数選択型の伝送線路として機能する。
以下、本発明の伝送線路10と比較するため、図6、図7、図8を参照して従来の伝送線路について説明する。図6は、従来例の伝送線路の単位回路の回路構成を示す図である。図7は従来例の伝送線路の回路パターンを例示する図である。図8は従来例の伝送線路のS11、S21パラメータを示す図である。図6に示すように、従来例の伝送線路の単位回路9は、第3の直列接続回路91と第3の短絡接続回路92を含む。従来例の伝送線路は、この単位回路9を複数個縦続接続されて形成される。図6に示すように、第3の直列接続回路91は、インダクタンスLR、容量CLの直列回路で構成される。第3の短絡接続回路92は、インダクタンスLL、容量CRの並列回路で構成される。図7の回路パターンの例に示すように、伝送線路90は、誘電体基板8上に形成されており、伝送線路90の両端には、入出力部15、16が設けられ、入出力部15、16から信号が入力、出力される。伝送線路90は、単位回路9と異なるパターンを有する端部回路93、94を含む。端部回路93、94の間には、単位回路9が複数個縦続接続されている。図7に示すように単位回路9は、第3櫛歯パターン71、第3直列導線72、第3直線パターン73、第3短絡導線74の縦続接続で形成される。実施例1では、8つの回路パターンの接続によって単位回路1を構成したが、従来例では、4つの回路パターンの接続によって単位回路9を構成している。第3櫛歯パターン71は、第3の直列接続回路91のコンデンサ(CL)として機能する。第3直列導線72は、第3の直列接続回路91のインダクタ(LR)として機能する。第3直線パターン73は、第3の短絡接続回路92のコンデンサ(CR)として機能する。第3短絡導線74は、第3の短絡接続回路92のインダクタ(LL)として機能する。このように構成された従来例の伝送線路90は、図8のような周波数特性を示す。図8に示すように、従来例の伝送線路90は、4〜7GHz帯、9.5〜12.5GHz帯において通過特性を有し、7〜9.5GHz帯において阻止特性を有する。従って、本従来例の伝送線路90は、2周波数選択型の伝送線路として機能する。
実施例1の伝送線路10と従来例の伝送線路90を比較すれば明らかなように、本実施例では、従来例よりも多くの周波数の信号を選択・阻止することができる。これは、伝送線路10が第1の微小線路11と、第1の微小線路11と異なる電気特性を備える第2の微小線路12とを従属接続した単位回路1を複数従属接続して構成したために得られた効果である。さらに前述のCL1とCL2、LR1とLR2、CR1とCR2、LL1とLL2のいずれもが互いに異なる電気特性となるように、これらの素子パラメータを調整すればさらに好適である。
このように、本発明の伝送線路10によれば、複数の周波数帯域の信号波を、複数の周波数選択回路や分配回路、合成回路等の付加的回路を必要とすることなく、簡易な周期繰り返し構造の伝送線路にて、選択・阻止あるいは分岐することが可能である。
Claims (2)
- 誘電体基板上に形成され、
第1の直列接続回路と第1の短絡接続回路を含む第1の微小線路と、
前記第1の微小線路と異なる電気特性を備え、第2の直列接続回路と第2の短絡接続回路を含む第2の微小線路とを、
縦続接続してなる単位回路が、複数個縦続接続されて形成された伝送線路。 - 請求項1に記載の伝送線路であって、
前記第1の直列接続回路がインダクタンスLR1、容量CL1の直列回路で構成され、
前記第1の短絡接続回路がインダクタンスLL1、容量CR1の並列回路で構成され、
前記第2の直列接続回路がインダクタンスLR2、容量CL2の直列回路で構成され、
前記第2の短絡接続回路がインダクタンスLL2、容量CR2の並列回路で構成され、
前記CL1と前記CL2、前記LR1と前記LR2、前記CR1と前記CR2、前記LL1と前記LL2のいずれもが互いに異なる電気特性となるように形成された伝送線路。
Priority Applications (1)
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JP2013254785A JP2015115683A (ja) | 2013-12-10 | 2013-12-10 | 伝送線路 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2013254785A JP2015115683A (ja) | 2013-12-10 | 2013-12-10 | 伝送線路 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2015115683A true JP2015115683A (ja) | 2015-06-22 |
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2013
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