JP2015115624A - エコー消去装置、エコー消去方法及びプログラム - Google Patents
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Abstract
Description
第一実施形態では、波数領域において受話信号から拡散残留エコーへの伝達特性を高精度かつ低演算量で推定する手段と、波数領域において誤差信号から拡散残留エコーを差し引く手段とを備える。波数領域の受話信号から波数領域の誤差信号への伝達特性を行列として推定することで拡散残留エコーの推定を高精度化する。さらに、この波数領域の受話信号を圧縮してから推定に使用することで演算量を大幅に圧縮する。この圧縮した受話信号と誤差信号の相関を利用することで残留エコー以外の信号による推定揺らぎを抑える。
図1はマルチチャネル通信会議システムにおけるエコー消去装置100の配置例を、図2はエコー消去装置100の機能ブロック図を、図3はその処理フローを示す。
エコー消去装置100を含むマルチチャネル通信会議システムはPチャネルの再生系とPチャネルの収音系からなる。ただし、P≧2である。このマルチチャネル通信会議システムにおいて、P個のスピーカ2pとP個のマイクロホン3pとが共通の音場に配置される。Pチャネルの受話信号x(p,n)は、スピーカ2pで音響信号として再生され、音響エコー経路を経てP個のマイクロホン3pにそれぞれ回り込む。この回り込む信号成分が前述のエコーである。ただし、p=1,2,…,Pであり、nは時刻を表すインデックスである。
さらに、エコー消去装置100は、波数領域で受話信号と誤差信号とから残留エコーを推定し、誤差信号から残留エコーを差し引く残留エコー消去部120を含む。以下、各部の詳細を説明する。
周波数領域変換部11は、Pチャネルの時間領域の受話信号x(p,n)を受け取り、チャネルp毎に周波数領域の受話信号Xf(p,i)に変換し(s1)、P×2F個の周波数領域の受話信号Xf(p,i)を波数変換部12に出力する。ただし、iはフレーム番号を、2Fは1フレーム内に含まれるサンプル数を、fは周波数のインデックスを表し、f=0,1,…,2F−1である。信号のサンプリング周波数をfSとすると、Xf(p,i)はフレームiにおけるチャネルpの受話信号の周波数fSf/2F[Hz]の成分を表す。なお、周波数領域変換の方法としては、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform;以下「FFT」と略す)等が考えられる。
x(p,i)=[x(p,(iF/D)-2F+1),x(p,(iF/D)-2F+2),…,x(p,iF/D)]T (1)
である。ただし、Tは転置を表す。以下、各信号を1フレーム=2Fサンプル、シフト量F/Dサンプルでブロック化する。FFT計算を簡略化・高速化するために、Fを2のべき乗にとることが多い。以下ではD≧2の場合を示す。
X(p,i)=FFT(x(p,i))=[X0(p,i) … Xf(p,i) … X2F-1(p,i)] (2)
なお、受話信号X(p,i)を含め、周波数領域の各信号は短時間スペクトルにより表される。
波数変換部12は、P×2F個の周波数領域の受話信号Xf(p,i)を受け取り、以下の式(3)や(4)により、周波数f毎に波数領域の受話信号X(W) f(k,i)に変換し(s3)、P×2F個の波数領域の受話信号X(W) f(k,i)を波数領域エコーレプリカ生成部21及び残留エコー消去部120に出力する。ただし、kは波数のインデックスであり、Kを自然数とし、チャネル数Pが偶数でP=2Kのときk=−K+1,−K+2,…,−1,0,1,…,Kであり、チャネル数Pが奇数でP=2K+1のときk=−K,−K+1,…,−1,0,1,…,Kである。
X(W) f(i)=FFT([Xf(1,i) Xf(2,i) … Xf(P,i)])
=[X(W) f(0,i) … X(W) f(k,i) … X(W) f(K,i) X(W) f(-K+1,i) … X(W) f(-1,i)]
(3)
である。
(2)チャネル数Pが奇数でP=2K+1のとき、
X(W) f(i)=FFT([Xf(1,i) Xf(2,i) … Xf(P,i)])
=[X(W) f(0,i) … X(W) f(k,i) … X(W) f(K,i) X(W) f(-K,i) … X(W) f(-1,i)] (4)
である。波数領域への変換は、2のべき乗の点数を持つFFTで高速に行うため、以下、チャネル数Pが偶数の場合(P=2K)について説明を進める。なお、受話信号X(W) f(k,i)を含め、波数領域の各信号は短時間スペクトルにより表される。
波数領域エコーレプリカ生成部21は、P×2F個の波数領域の受話信号X(W) f(k,i)とP×2F個の波数領域の誤差信号E(W) f(k,i)(詳細は後述する)とを受け取り、これらの値を用いて、f≦Fにおいて、P×(F+1)個の波数領域のエコーレプリカY^(W) f(k,i)を生成し、逆波数変換部31に出力する。なお、エコーレプリカとは、収音信号に含まれるエコーを模したものであり、エコーの推定値である。
波数領域エコーレプリカ生成部21の乗算部215は、P×2F個の波数領域の受話信号X(W) f(k,i)を受け取る。また、後述するフィルタ係数部213からP×(F+1)×(2δ+1)個の波数領域のフィルタ係数H(W) f(k,k+dk,i)(ただしf≦F)を受け取る。ただし、dk=−δ,−δ+1,…,−1,0,1,…,δ−1,δである。δとして、非特許文献2では1もしくは2が推奨されている。乗算部215は、f≦Fにおいて、次式のように、受話信号X(W) f(k,i)にフィルタ係数H(W) f(k,k+dk,i)を乗じて、波数領域のエコーレプリカY^(W) f(k,i)を生成し(s5)、逆波数変換部31に出力する。
Y^(W) f(k,i)=H(W) f(k,k,i)X(W) f(k,i) (6)
なお、修正量算出部211及びフィルタ係数部213の処理については後述する。
逆波数変換部31は、P×(F+1)個の波数領域のエコーレプリカY^(W) f(k,i)を受け取り(ただしf≦F)、次式のように周波数f毎に周波数領域のエコーレプリカY^f(p,i)に変換する(s9)。
[Y^f(1,i) Y^f(2,i) … Y^f(P,i)]
=IFFT([Y^(W) f(0,i)…Y^(W) f(k,i)…Y^(W) f(K,i) Y^(W) f(-K+1,i)…Y^(W) f(-1,i)])
(7)
なお、周波数f>Fについては、実数信号のFFT結果に関する対称性から、次式で周波数領域のエコーレプリカY^f(p,i)を求める。
Y^f(p,i)=conj(Y^2F-f(p,i)) (8)
ここで、conj(・)は、・の複素共役をとることを意味する。このようにして求めた合計P×2F個の周波数領域のエコーレプリカY^f(p,i)を時間領域変換部32に出力する。なお、逆波数変換方法としては、波数変換部12における波数領域変換方法に対応するものを用いればよい。
時間領域変換部32は、P×2F個の周波数領域のエコーレプリカY^f(p,i)を受け取り、次式のように、チャネルp毎に周波数領域のエコーレプリカY^f(p,i)を逆FFTし、時間領域のエコーレプリカ信号ベクトルy^(p,i)(要素数はF個)に変換する(s9)。
y^(p,i)=[IF 0F]IFFT([Y^0(p,i)…Y^f(p,i)…Y^2F-1(p,i)]) (9)
ここで0FはF×Fの零行列、IFはF×Fの単位行列である。P個の時間領域のエコーレプリカ信号ベクトルy^(p,i)をフレーム合成部34に出力する。時間領域変換方法としては、周波数領域変換部11における周波数領域変換方法に対応するものを用いればよい。
フレーム合成部34は、P個の時間領域のエコーレプリカ信号ベクトルy^(p,i)を受け取る。周波数領域変換部11において受話信号x(p,n)をD≧2でフレーム化した場合には、フレーム合成部34は、フレームiで求めたエコーレプリカ信号ベクトルy^(p,i)と一つ前のフレームi−1で求めたエコーレプリカ信号ベクトルy^(p,i−1)とに対して窓かけ処理を行った上で、合成し(s13)、合成後のP個の時間領域のエコーレプリカ信号ベクトルy^’(p,i)をそれぞれP個の減算部33pに出力する。
y^'(p,i-1)=[0F/DIF/D]diag(WH)y^(p,i-1)+[IF/D 0F/D]diag(WH)y^(p,i) (10)
ただし、0F/Dは(F/D)×(F/D)のゼロ行列、IF/Dは(F/D)×(F/D)の単位行列、diag(・)は・を対角成分とし、それ以外が零であるような行列である。
減算部33pは、時間領域のエコーレプリカ信号ベクトルy^’(p,i−1)とマイクロホン3pで収音された収音信号y(p,n)とを受け取る。エコーレプリカ信号はフレーム合成のためにF/D遅延している。これを考慮して収音信号y(p,n)を1フレーム=Fサンプル、シフト量F/Dサンプルで
y(p,i-1)=[y(p,((i-1)F/D)-F+1),y(p,((i-1)F/D)-F+2),…,y(p,(i-1)F/D)]T
のようにブロック化し、収音信号ベクトルy(p,i−1)とする。減算部33pは、次式のように時間領域の収音信号ベクトルy(p,i−1)から時間領域のエコーレプリカ信号ベクトルy^’(p,i−1)を差し引き(s11)、時間領域の誤差信号ベクトルe(p,i)(要素数はF個)を求め、残留エコー消去部120及び誤差周波数領域変換部41に出力する。
e(p,i)=y(p,i-1)-y^'(p,i-1) (11)
このような構成により、エコー消去装置100は、エコー消去を図る。
誤差周波数領域変換部41は、P個の時間領域の誤差信号ベクトルe(p,i)を受け取り、次式のように、チャネルp毎に時間領域の誤差信号ベクトルe(p,i)に0詰めをしたものを周波数領域に変換し(s15)、P×2F個の周波数領域の誤差信号Ef(p,i)を誤差波数変換部42に出力する。
誤差波数変換部42は、P×2F個の周波数領域の誤差信号Ef(p,i)を受け取り、次式により、周波数f毎に波数領域の誤差信号E(W) f(k,i)に変換し(s17)、P×2F個の波数領域の誤差信号E(W) f(k,i)を波数領域エコーレプリカ生成部21に出力する。
E(W) f(p,i)=FFT([Ef(1,i) … Ef(P,i)]
=[E(W) f(0,i) … E(W) f(k,i) … E(W) f(K,i) E(W) f(-K+1,i) … E(W) f(-1,i)]
(13)
波数領域エコーレプリカ生成部21内の修正量算出部211は、P×2F個の波数領域の受話信号X(W) f(k,i)とP×2F個の波数領域の誤差信号E(W) f(k,i)とを受け取り(図2及び図4参照)、f(f≦F)において、−K+1≦k≦Kの範囲で、次式のように波数領域の適応フィルタのフィルタ係数の修正量dH(W) f(k,k+dk,i)(ただし−δ≦dk≦δ)を算出し(s19)、P×(F+1)×(2δ+1)個の修正量dH(W) f(k,k+dk,i)をフィルタ係数部213に出力する。
により計算される。B(W) f(k,i)は受話信号X(W) f(k−δ,i)〜X(W) f(k+δ,i)のパワーの総和であり、βはパワー計算で短時間平均をとるための平滑化定数であり、0〜1の値をとる。
波数領域エコーレプリカ生成部21内のフィルタ係数部213は、P×(F+1)×(2δ+1)個の修正量dH(W) f(k,k+dk,i)を受け取り(ただしf≦F)、次式でフィルタ係数H(W) f(k,k+dk,i)を更新し(s21)、P×(F+1)×(2δ+1)個の更新後の波数領域のフィルタ係数H(W) f(k,k+dk,i+1)を乗算部215に出力する。
H(W) f(k,k+dk,i+1)=H(W) f(k,k+dk,i)+μdH(W) f(k,k+dk,i) (16)
ただし、μは0〜1の値をとるステップサイズである。乗算部215における処理は前述の通りである。
残留エコー消去部120は、P×2F個の波数領域の受話信号X(W) f(k,i)と、P個の時間領域の誤差信号ベクトルe(p,i)とを受け取り、波数領域の誤差信号に含まれる残留エコーを推定し、波数領域の誤差信号から推定した残留エコーを消去し(s23)、P個の時間領域の送話信号e(3)(p,n)を出力する。
周波数領域変換部121は、P個の時間領域の誤差信号ベクトルe(p,i)を受け取り、次式のように、チャネルp毎にフレームiにおける誤差信号ベクトルe(p,i)と一つ前のフレームi−1における誤差信号ベクトルe(p,i−1)とを用いて、周波数領域の誤差信号E(1) f(p,i)に変換し(s231)、P×2F個の周波数領域の誤差信号E(1) f(p,i)を波数変換部122に出力する。例えば、周波数領域変換部11と同様の方法により周波数領域に変換する。
E(1)(p,i)=FFT([eT(p,i-1),eT(p,i)])=[E(1) 0(p,i) … E(1) f(p,i) … E(1) 2F-1(p,i)]
(17)
波数変換部12は、P×2F個の周波数領域の誤差信号E(1) f(p,i)を受け取り、次式により、周波数f毎に波数領域の誤差信号E(W1) f(k,i)に変換し(s232)、P×2F個の波数領域の誤差信号E(W1) f(k,i)を波数領域残留エコー推定消去部1231に出力する。
E(W1) f(i)=FFT([E(1) f(1,i) E(1) f(2,i) … E(1) f(P,i)])
=[E(W1) f(0,i) … E(W1) f(k,i) … E(W1) f(K,i) E(W1) f(-K+1,i) … E(W1) f(-1,i)]
(18)
波数領域残留エコー推定消去部1231は、P×2F個の波数領域の受話信号X(W) f(k,i−1)と、P×2F個の波数領域の誤差信号E(W1) f(k,i)とを受け取り、これらの値を用いて、f≦Fにおいて、誤差信号E(W1) f(k,i)に含まれる直接波による残留エコーを推定し、波数領域の収音信号から推定した直接波による残留エコーを消去し(s2331)、直接波による残留エコーを消去した、P×(F+1)個の波数領域の誤差信号E(W2) f(p,i)を求める。なお周波数領域の受話信号として、X(W) f(k,i)ではなく、1つ前のX(W) f(k,i−1)を用いるのは、エコーレプリカ信号をフレーム合成する際に生じる遅延を考慮に入れているためである。
図8は波数領域残留エコー推定消去部1231の機能ブロック図を、図9はその処理フローを示す。
波数領域残留エコー推定消去部1231は、入出力相関係数算出部12311と、入出力伝達特性推定部12312と、残留エコー推定部12313と、残留エコー補正部12314と減算部12315とを含む。
入出力相関係数算出部12311は、P×2F個の波数領域の受話信号X(W) f(k,i−1)とP×2F個の波数領域の誤差信号E(W1) f(k,i)とを受け取り、f≦Fにおいて、波数領域の残留エコー信号を出力とする系の伝達特性を推定するために、時刻n=iF/Dにおける波数領域の受話信号X(W) f(k,i−1)と波数領域の誤差信号E(W1) f(k,i)とから
Pf(k,i)=E[X(W)* f(k,i-1)X(W) f(k,i-1)]
Qf(k,i)=E[X(W)* f(k,i-1)E(W1) f(k,i)] (19)
により、受話信号のパワースペクトルPf(k,i)と、受話信号と誤差信号との間のクロススペクトルQf(k,i)とを算出し(s2331a)、入出力伝達特性推定部12312に出力する。ただし、iはフレーム番号であり、時刻nとはn=iF/Dの関係があり、*は複素共役を、E[・]は・の平均をとることを表す。平均処理の一例としては、
E[X(W)* f(k,i-1)X(W) f(k,i-1)]=βE[X(W)* f(k,i-2)X(W) f(k,i-2)]+(1-β)X(W)* f(k,i-1)X(W) f(k,i-1)
のように、1フレーム前の処理結果と0〜1の値をとる平滑化定数βを用いる方法や過去の数〜数十フレームの統計的平均値として求める方法等が考えられる。
入出力伝達特性推定部12312は、P×(F+1)個のパワースペクトルPf(k,i)とP×(F+1)個のクロススペクトルQf(k,i)とを受け取り、f(f≦F)において、パワースペクトルPf(k,i)及びクロススペクトルQf(k,i)から
残留エコー推定部12313は、P×(F+1)個の波数領域の受話信号X(W) f(k,i−1)と、P×(F+1)個の推定値Gf(k,i)とを受け取り、f(f≦F)において、次式のように、受話信号X(W) f(k,i−1)に推定値Gf(k,i)を乗じて、残留エコーを推定し(s2331c)、推定値ΔE(W1) f(k,i)を残留エコー補正部12314に出力する。
ΔE(W1) f(k,i)=Gf(k,i)X(W) f(k,i-1) (21)
残留エコー補正部12314は、P×(F+1)個の推定値ΔE(W1) f(k,i)と、P×2F個の波数領域の誤差信号E(W1) f(k,i)とを受け取り、f(f≦F)において、次式で補正し(s2331d)、補正後の残留エコーの推定値ΔEII(W1) f(k,i)を減算部12315に出力する。
ただし、式中のS(W) f(k,i)は、送話信号の推定値であり、次式により算出される。
S(W) f(k,i)=E(W1) f(k,i)-ΔE(W1) f(k,i) (23)
また、Tは各スペクトルの推定の自由度の数であり、入出力相関係数算出部12311においてパワースペクトルPf(k,i)及びクロススペクトルQf(k,i)を算出するときのフレーム数が、これにあたる。Mは入力変数の数であり、式(20)の場合にはM=1になる。またF2M,T−2M,alphaは、自由度n1=2M、n2=T−2MのF分布の100×alpha百分比点である。
減算部12315は、P×2F個の波数領域の誤差信号E(W1) f(k,i)と、P×(F+1)個の波数領域の補正後の残留エコーの推定値ΔEII(W1) f(k,i)とを受け取り、f(f≦F)において、次式のように波数領域で誤差信号E(W1) f(k,i)から残留エコーの推定値ΔEII(W1) f(k,i)を差し引いて(s2331e)、差分E(W2) f(k,i)を求め、波数領域拡散残留エコー推定消去部1232に出力する。
E(W2) f(k,i)=E(W1) f(k,i)-ΔEII(W1) f(k,i) (25)
なお、差分E(W2) f(k,i)は、誤差信号E(W1) f(k,i)から直接波による残留エコーを消去した信号であり、誤差信号E(W2) f(k,i)ともいう。
波数領域拡散残留エコー推定消去部1232は、P×2F個の波数領域の受話信号X(W) f(k,i−2)と、P×(F+1)個の波数領域の誤差信号E(W2) f(k,i)とを受け取り、これらの値を用いて、f≦Fにおいて、誤差信号E(W2) f(k,i)に含まれる拡散残留エコーを推定し、波数領域の誤差信号E(W2) f(k,i)から推定した拡散残留エコーを消去し、P×(F+1)個の波数領域の送話信号E(W3) f(p,i)を求め(s2332)、逆波数変換部124に出力する。
X(W) f(i-2)=[X(W) f(0,i-2) … X(W) f(k,i-2) … X(W) f(K,i-2) X(W) f(-K+1,i-2) … X(W) f(-1,i-2)]
とする)として扱うこと、で壁面等で反射して拡散した拡散残留エコーを推定対象としている。以下、処理の詳細を説明する。
入力次元圧縮部12320は、後述する次元圧縮行列更新部12326で更新された、(F+1)個のP’×Pの圧縮行列Wf(i−1)と、P×2F個の波数領域の受話信号X(W) f(k,i−2)とを受け取る。なお、P×2F個の波数領域の受話信号X(W) f(k,i−2)を2F個の波数領域受話信号ベクトルX(W) f(i−2)として扱う。入力次元圧縮部12320は、圧縮行列Wf(i−1)をもちいて、f≦Fにおいて、波数領域受話信号ベクトルX(W) f(i−2)を、P’次元の波数領域圧縮ベクトルZ(W) f(i−2)に圧縮し(s2332a)、圧縮入出力相関係数算出部12321及び次元圧縮行列更新部12326に出力する。
なお、P’<Pであり、P’の大きさは、Pの大きさは、環境(例えば部屋の広さや反響の程度)により適宜設定すればよく、例えば、Pの1/5〜1/10程度に設定することができる。
次元圧縮行列更新部12326は、(F+1)個の波数領域圧縮ベクトルZ(W) f(i−2)とP×2F個の波数領域の受話信号X(W) f(k,i−2)とを受け取る。なお、P×2F個の波数領域の受話信号X(W) f(k,i−2)を2F個の波数領域受話信号ベクトルX(W) f(i−2)として扱う。次元圧縮行列更新部12326は、f≦Fにおいて、波数領域圧縮ベクトルZ(W) f(i−2)を圧縮行列Wf(i−1)の複素共役転置行列WH f(i−1)で伸長し、波数領域受話信号ベクトルX(W) f(i−2)との差dX(W) f(i−2)を求める。・Hは・の複素共役かつ転置を表わす
dX(W) f(i-2)= X(W) f(i-2) - WH f(i-1) Z(W) f(i-2)
= X(W) f(i-2) - WH f(i-1) Wf(i-1) X(W) f(i-2)
そして、差dX(W) f(i−2)の大きさが最小になるように圧縮行列Wf(i−1)を更新し(s2332g)、更新した圧縮行列Wf(i)を入力次元圧縮部12320に出力する。
k(i) = R-1 ZZ(i-3)Z(W)(i-2)/{λ+Z(W)H(i-3) R-1 ZZ(i-3) Z(W) (i-2)}
R-1 ZZ(i-2) = (1/λ){ R-1 ZZ(i-3)-k(i) Z(W)H(i-2) R-1 ZZ(i-3)}
V(i) = dX(W) f (i-2) - 0.5||dX(W) f (i-2)||2 WH f(i-1)k(i)
Wf(i) = Wf(i-1) + k(i)VH(i)/{1+0.25||dX(W) f (i-2)||2||k(i)||2}
(参考文献2)S.C. Douglas and X. Sun, "Designing orthonormal subspace tracking algorithms", the Thirty-Fourth Asilomar Conference on Signals, Systems and Computers 2000, 2000, vol. 2, pp. 1441--1445.
圧縮入出力相関係数算出部12321は、(F+1)個の波数領域圧縮ベクトルZ(W) f(i−2)とP×(F+1)個の波数領域の誤差信号E(W2) f(k,i)とを受け取る。なお、P×(F+1)個の波数領域の誤差信号E(W2) f(k,i)を(F+1)個の波数領域誤差信号ベクトルE(W2) f(k,i)(ただし、E(W2) f(i)=[E(W2) f(0,i) … E(W2) f(k,i) … E(W2) f(K,i) E(W2) f(-K+1,i) … E(W2) f(-1,i)])として扱う(ただしf≦F)。圧縮入出力相関係数算出部12321は、f≦Fにおいて、(F+1)個の波数領域圧縮ベクトルZ(W) f(i−2)と(F+1)個の波数領域誤差信号ベクトルE(W2) f(i)とから圧縮された受話信号のパワースペクトル行列P(2) f(i)と、圧縮された受話信号と誤差信号との間のクロススペクトル行列Q(2) f(i)とを次式により算出し(s2332b)、圧縮入出力伝達特性推定部12322に出力する。
P(2) f(i)=E[Z(W) f(i-2)Z(W)H f(i-2)]
Q(2) f(i)=E[E(W2) f(i) Z(W)H f(i-2)]
圧縮入出力伝達特性推定部12322は、P’×P’行列であるパワースペクトル行列P(2) f(i)とP×P’行列であるクロススペクトル行列Q(2) f(i)とを受け取る。なお、各行列は(F+1)個である。圧縮入出力伝達特性推定部12322は、f(f≦F)において、パワースペクトル行列P(2) f(i)及びクロススペクトル行列Q(2) f(i)から、次式により、入出力伝達特性行列G’f(i)を求め(s2332c)、拡散残留エコー推定部12323に出力する。
拡散残留エコー推定部12323は、(F+1)個の波数領域圧縮ベクトルZ(W) f(i−2)と、(F+1)個の入出力伝達特性行列Gf(i)とを受け取り、f(f≦F)において、次式のように、圧縮ベクトルZ(W) f(k,i−2)に入出力伝達特性行列Gf(i)を乗じて、拡散残留エコーベクトルΔE(W2) f(i)を求め(s2332d)、拡散残留エコー補正部12324に出力する。
ΔE(W2) f(i)=Gf(i)Z(W) f(i-2)
なお、拡散残留エコーベクトルΔE(W2) f(i)は、波数毎の拡散残留エコーの推定値を要素とするP次元のベクトルである。
拡散残留エコー補正部12324は、(F+1)個の拡散残留エコーベクトルΔE(W2) f(i)と、P×(F+1)個の波数領域の誤差信号E(W2) f(k,i)とを受け取り、f(f≦F)において、拡散残留エコーベクトルΔE(W2) f(i)の各要素ΔE(W2) f(k,i)を次式で補正し(s2332e)、補正後の拡散残留エコーの推定値ΔEII(W2) f(k,i)を減算部12325に出力する。
S(W2) f(k,i)=E(W2) f(k,i)-ΔE(W2) f(k,i)
また、Tは各スペクトルの推定の自由度の数であり、圧縮入出力相関係数算出部12321においてパワースペクトル行列P(2) f(i)及びクロススペクトル行列Q(2) f(i)を算出するときのフレーム数が、これにあたる。Mは入力変数の数であり、式(30)の場合にはM=1になる。またF2M,T−2M,alphaは、自由度n1=2M、n2=T−2MのF分布の100×alpha百分比点である。
減算部12325は、P×(F+1)個の波数領域の誤差信号E(W2) f(k,i)と、P×(F+1)個の波数領域の補正後の拡散残留エコーの推定値ΔEII(W2) f(k,i)とを受け取り、f(f≦F)において、次式のように波数領域で誤差信号E(W2) f(k,i)から拡散残留エコーの推定値ΔEII(W2) f(k,i)を差し引いて(s2332f)、差分を波数領域の送話信号E(W3) f(k,i)として求め、逆波数変換部124に出力する。
E(W3) f(k,i)=E(W2) f(k,i)-ΔEII(W2) f(k,i)
逆波数変換部124は、P×(F+1)個の波数領域の送話信号E(W3) f(k,i)を受け取り(図6参照)、f(f≦F)において、次式のように周波数f毎に周波数領域の送話信号E(3) f(p,i)に変換する(s234)。
[E(3) f(1,i) E(3) f(2,i) … E(3) f(P,i)]
=IFFT([E(W3) f(0,i)…E(W3) f(k,i)…E(W3) f(K,i) E(W3) f(-K+1,i)…E(W3) f(-1,i)])
なお、周波数f>Fについては、実数信号のFFT結果に関する対称性から、次式で周波数領域の送話信号E(3) f(p,i)を求める。
E(3) f(p,i)=conj(E(3) 2F-f(p,i))
このようにして求めた合計P×2F個の周波数領域の送話信号E(3) f(p,i)を時間領域変換部125に出力する。なお、逆波数変換方法としては、波数変換部122における波数領域変換方法に対応するものを用いればよい。
時間領域変換部125は、P×2F個の周波数領域の送話信号E(3) f(p,i)を受け取り、次式のように、チャネルp毎に周波数領域の送話信号E(3) f(p,i)を逆FFTし、時間領域の送話信号ベクトルe(3)(p,i)(要素数は2F個)に変換し(s235)、フレーム合成部126に出力する。
e(3)(p,i)=IFFT([E(3) 0(p,i)…E(3) f(p,i)…E(3) 2F-1(p,i)])
時間領域変換方法としては、周波数領域変換部121における周波数領域変換方法に対応するものを用いればよい。
フレーム合成部126は、P個の時間領域の送話信号ベクトルe(3)(p,i)を受け取る。周波数領域変換部121において、受話信号x(p,n)をD≧2でフレーム化した場合には、フレーム合成部126は、フレームiで求めた送話信号e(3)(p,i)と一つ前のフレームi−1で求めた送話信号e(3)(p,i−1)とに対して窓かけ処理を行った上で、合成し(s236)、合成後の送話信号ベクトルe(3)’(p,i)(要素数はF/D個)の要素e(3)(p,n−F/D+1),e(3)(p,n−F/D+2),…,e(3)(p,n)を逐次、エコー消去装置100の出力値として出力する。ただし、n=iF/Dの関係にある。なお、その処理内容は、フレーム合成部34の処理と同等である。
残留エコー消去部120は、単体でもエコー消去装置として使用することができる。すなわち図2において周波数領域変換部11、波数変換部12、波数領域エコーレプリカ生成部21、逆波数変換部31、時間領域変換部32、フレーム合成部34、P個の減算部33p、誤差周波数領域変換部41、誤差波数変換部42から構成される適応フィルタ部分(エコー消去部ともいう)をはずした構成でも使用することができる。その場合、残留エコー消去部120は、誤差信号ベクトルe(p,i)に代えて、収音信号y(p,n)を受け取り、ベクトル化した上で同様の処理を行う。
P(2) f(i)=E[X(W) f(i-2)X(W)H f(i-2)]
Q(2) f(i)=E[E(W2) f(i) X(W)H f(i-2)]
この場合、入力次元圧縮部12320及び次元圧縮行列更新部12326をはずしてもよい。また、次元圧縮行列更新部12326の処理をはずし、入力次元圧縮部12320において、圧縮行列Wf(i−1)に代えて、P×P単位行列を用いる構成としてもよい。このような構成であっても壁面等の反射を考慮に入れて残留エコーを従来法以上に低減することができる。
従来法では波数領域の受話信号X(W) f(i)から波数領域の誤差信号E(W1) f(i)への伝達特性を対角行列として推定して、残留エコー消去をはかる。これは波面の直接伝搬のみを考慮して残留エコーを推定することに対応する。
残留エコー消去の効果を検証するために、変形例の構成についてシミュレーションを行った。
エコー消去装置100の構成として、残留エコー消去部120のみを使用した。さらに、内部の波数領域残留エコー推定消去部1231をはずし、さらに波数領域拡散残留エコー推定消去部1232において、拡散残留エコー補正部12324をはずした。また波数領域拡散残留エコー消去部1232では、受話信号を1/4に圧縮する設定とした。相関算出の平滑化定数としてβ=0.98を、圧縮ベクトルの相関行列の逆行列算出の忘却定数としてλ=0.1を、推定した入出力伝達特性の推定にβ2=0.1をもちいた。
本発明は上記の実施形態及び変形例に限定されるものではない。例えば、上述の各種の処理は、記載に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
また、上記の実施形態及び変形例で説明した各装置における各種の処理機能をコンピュータによって実現してもよい。その場合、各装置が有すべき機能の処理内容はプログラムによって記述される。そして、このプログラムをコンピュータで実行することにより、上記各装置における各種の処理機能がコンピュータ上で実現される。
Claims (9)
- Pを2以上の整数とし、P個のスピーカとP個のマイクロホンとが共通の音場に配置され、前記スピーカから受話信号を再生した際にエコー経路を経て前記マイクロホンに回り込むエコーを消去するエコー消去装置であって、
前記マイクロホンで収音される収音信号を波数領域に変換した信号と波数領域の前記受話信号とを用いて、波数領域の前記収音信号に含まれる拡散残留エコーを推定し、波数領域の前記収音信号から推定した拡散残留エコーを消去する波数領域拡散残留エコー推定消去部を含み、
前記波数領域拡散残留エコー推定消去部は、
波数毎の前記受話信号を要素とするP次元のベクトルである受話信号ベクトルXとその複素共役かつ転置とを用いてP×P行列であるパワースペクトル行列を算出し、波数毎の前記収音信号を要素とするP次元のベクトルである収音信号ベクトルと前記受話信号ベクトルXの複素共役かつ転置とを用いてP×P行列であるクロススペクトル行列を算出する圧縮入出力相関係数算出部と、
前記パワースペクトル行列と前記クロススペクトル行列とを用いて、前記受話信号と前記収音信号との入出力伝達特性の推定値を要素とするP×P行列である入出力伝達特性行列を求める圧縮入出力伝達特性推定部と、
前記受話信号ベクトルXに前記入出力伝達特性行列を乗じて、波数毎の前記拡散残留エコーの推定値を要素とするP次元のベクトルである拡散残留エコーベクトルを求める拡散残留エコー推定部と、
波数領域の前記収音信号と波数領域の前記拡散残留エコーの推定値との差分を求める減算部とを含む、
エコー消去装置。 - Pを2以上の整数とし、P個のスピーカとP個のマイクロホンとが共通の音場に配置され、前記スピーカから受話信号を再生した際にエコー経路を経て前記マイクロホンに回り込むエコーを消去するエコー消去装置であって、
前記マイクロホンで収音される収音信号を波数領域に変換した信号と波数領域の前記受話信号とを用いて、波数領域の前記収音信号に含まれる拡散残留エコーを推定し、波数領域の前記収音信号から推定した拡散残留エコーを消去する波数領域拡散残留エコー推定消去部を含み、
前記波数領域拡散残留エコー推定消去部は、
P’<Pとし、P’×P行列である圧縮行列Wを用いて、波数毎の前記受話信号を要素とするP次元のベクトルである受話信号ベクトルXを、P’次元の圧縮ベクトルZに圧縮する入力次元圧縮部と、
前記圧縮ベクトルZを前記圧縮行列Wの複素共役転置行列で伸長したP次元のベクトルと、前記受話信号ベクトルXとの差が最小になるように、前記圧縮行列Wを更新する次元圧縮行列更新部と、
前記圧縮ベクトルZとその複素共役かつ転置とを用いてP’×P’行列であるパワースペクトル行列を算出し、波数毎の前記収音信号を要素とするP次元のベクトルである収音信号ベクトルと前記圧縮ベクトルZの複素共役かつ転置とを用いてP×P’行列であるクロススペクトル行列を算出する圧縮入出力相関係数算出部と、
前記パワースペクトル行列と前記クロススペクトル行列とを用いて、前記受話信号と前記収音信号との入出力伝達特性の推定値を要素とするP×P’行列である入出力伝達特性行列を求める圧縮入出力伝達特性推定部と、
前記圧縮ベクトルZに前記入出力伝達特性行列を乗じて、波数毎の前記拡散残留エコーの推定値を要素とするP次元のベクトルである拡散残留エコーベクトルを求める拡散残留エコー推定部と、
波数領域の前記収音信号と波数領域の前記拡散残留エコーの推定値との差分を求める減算部とを含む、
エコー消去装置。 - 請求項2のエコー消去装置であって、
P(2) fをパワースペクトル行列とし、Q(2) fをクロススペクトル行列とし、Z(W) fを圧縮ベクトルZ、E(W2) fを収音信号ベクトルとし、・Hは・の複素共役かつ転置を、E[・]は・の平均を表し、前記圧縮入出力相関係数算出部は、次式により、前記パワースペクトル行列を算出し、
P(2) f=E[Z(W) fZ(W)H f]
次式により、前記クロススペクトル行列を算出し、
Q(2) f=E[E(W2) fZ(W)H f]
β2を入出力伝達特性の推定値を平滑化するための定数とし、前記圧縮入出力伝達特性推定部は、次式、または、次々式により、前記入出力伝達特性行列を求める、
エコー消去装置。 - 請求項1〜3の何れかのエコー消去装置であって、
波数領域の前記受話信号と波数領域の前記収音信号とを用いて、波数領域の前記収音信号に含まれる直接波による残留エコーを推定し、波数領域の前記収音信号から推定した直接波による残留エコーを消去する波数領域残留エコー推定消去部を、さらに含み、
波数領域残留エコー推定消去部は、
波数領域の前記受話信号と波数領域の前記収音信号とを用いて、前記受話信号のパワースペクトルと、前記受話信号と前記収音信号との間のクロススペクトルとを算出する入出力相関係数算出部と、
前記パワースペクトルと前記クロススペクトルとを用いて、前記受話信号と前記収音信号との入出力伝達特性を推定する入出力伝達特性推定部と、
波数領域の前記受話信号に前記入出力伝達特性の推定値を乗じて、波数領域の前記残留エコーを推定する残留エコー推定部と、
波数領域の前記収音信号と波数領域の前記残留エコーの推定値との差分を求める第二減算部とを含み、
前記波数領域拡散残留エコー推定消去部において用いる前記収音信号は、前記波数領域残留エコー推定消去部における処理を施されたものであり、
前記波数領域拡散残留エコー推定消去部において用いる波数領域の前記受話信号は、前記波数領域残留エコー推定消去部において用いる波数領域の前記受話信号よりも1フレーム分前のものである、
エコー消去装置。 - 請求項1〜4の何れかのエコー消去装置であって、
時間領域の前記受話信号と時間領域の前記収音信号とを用いて、時間領域の前記収音信号に含まれるエコーの成分を推定し、消去するエコー消去部を、さらに含み、
前記エコー消去部は、
時間領域の前記受話信号を周波数領域の信号に変換する第一周波数領域変換部と、
周波数領域の前記受話信号を波数領域の信号に変換する第一波数領域変換部と、
波数領域の前記受話信号に波数領域のフィルタ係数を乗じて、波数領域のエコーレプリカを生成する乗算部と、
波数領域の前記エコーレプリカを周波数領域の前記エコーレプリカに変換する逆波数変換部と、
周波数領域の前記エコーレプリカを時間領域の前記エコーレプリカに変換する時間領域変換部と、
時間領域の前記収音信号から時間領域の前記エコーレプリカを差し引き、時間領域の誤差信号を求める第三減算部と、
時間領域の前記誤差信号を周波数領域の信号に変換する第二周波数領域変換部と、
周波数領域の前記誤差信号を波数領域の信号に変換する第二波数領域変換部と、
波数領域の前記受話信号と波数領域の前記誤差信号とを用いて波数領域の前記フィルタ係数の修正量を算出する修正量算出部と、
前記修正量を用いて前記フィルタ係数を更新するフィルタ係数部と、を含み、
前記波数領域拡散残留エコー推定消去部または前記波数領域残留エコー推定消去部において用いる前記収音信号は、前記エコー消去部における処理を施されたものであり、前記誤差信号に対応する、
エコー消去装置。 - 請求項1〜5の何れかのエコー消去装置であって、
前記波数領域拡散残留エコー推定消去部は、
前記拡散残留エコーベクトルの各要素に、前記入出力伝達特性の前記推定値の信頼区間の下端の値に基づく値を乗じることにより、前記拡散残留エコーベクトルの各要素を補正する残留エコー補正部をさらに含み、
前記減算部において用いる、前記拡散残留エコーの前記推定値は、前記残留エコー補正部における処理を施されたものである、
エコー消去装置。 - Pを2以上の整数とし、P個のスピーカとP個のマイクロホンとが共通の音場に配置され、前記スピーカから受話信号を再生した際にエコー経路を経て前記マイクロホンに回り込むエコーを消去するエコー消去方法であって、
前記マイクロホンで収音される収音信号を波数領域に変換した信号と波数領域の前記受話信号とを用いて、波数領域の前記収音信号に含まれる拡散残留エコーを推定し、波数領域の前記収音信号から推定した拡散残留エコーを消去する波数領域拡散残留エコー推定消去ステップを含み、
前記波数領域拡散残留エコー推定消去ステップは、
波数毎の前記受話信号を要素とするP次元のベクトルである受話信号ベクトルXとその複素共役かつ転置とを用いてP×P行列であるパワースペクトル行列を算出し、波数毎の前記収音信号を要素とするP次元のベクトルである収音信号ベクトルと前記受話信号ベクトルXの複素共役かつ転置とを用いてP×P行列であるクロススペクトル行列を算出する圧縮入出力相関係数算出ステップと、
前記パワースペクトル行列と前記クロススペクトル行列とを用いて、前記受話信号と前記収音信号との入出力伝達特性の推定値を要素とするP×P行列である入出力伝達特性行列を求める圧縮入出力伝達特性推定ステップと、
前記受話信号ベクトルXに前記入出力伝達特性行列を乗じて、波数毎の前記拡散残留エコーの推定値を要素とするP次元のベクトルである拡散残留エコーベクトルを求める拡散残留エコー推定ステップと、
波数領域の前記収音信号と波数領域の前記拡散残留エコーの推定値との差分を求める減算ステップとを含む、
エコー消去方法。 - Pを2以上の整数とし、P個のスピーカとP個のマイクロホンとが共通の音場に配置され、前記スピーカから受話信号を再生した際にエコー経路を経て前記マイクロホンに回り込むエコーを消去するエコー消去方法であって、
前記マイクロホンで収音される収音信号を波数領域に変換した信号と波数領域の前記受話信号とを用いて、波数領域の前記収音信号に含まれる拡散残留エコーを推定し、波数領域の前記収音信号から推定した拡散残留エコーを消去する波数領域拡散残留エコー推定消去ステップを含み、
前記波数領域拡散残留エコー推定消去ステップは、
P’<Pとし、P’×P行列である圧縮行列Wを用いて、波数毎の前記受話信号を要素とするP次元のベクトルである受話信号ベクトルXを、P’次元の圧縮ベクトルZに圧縮する入力次元圧縮ステップと、
前記圧縮ベクトルZを前記圧縮行列Wの複素共役転置行列で伸長したP次元のベクトルと、前記受話信号ベクトルXとの差が最小になるように、前記圧縮行列Wを更新する次元圧縮行列更新ステップと、
前記圧縮ベクトルZとその複素共役かつ転置とを用いてP’×P’行列であるパワースペクトル行列を算出し、波数毎の前記収音信号を要素とするP次元のベクトルである収音信号ベクトルと前記圧縮ベクトルZの複素共役かつ転置とを用いてP×P’行列であるクロススペクトル行列を算出する圧縮入出力相関係数算出ステップと、
前記パワースペクトル行列と前記クロススペクトル行列とを用いて、前記受話信号と前記収音信号との入出力伝達特性の推定値を要素とするP×P’行列である入出力伝達特性行列を求める圧縮入出力伝達特性推定ステップと、
前記圧縮ベクトルZに前記入出力伝達特性行列を乗じて、波数毎の前記拡散残留エコーの推定値を要素とするP次元のベクトルである拡散残留エコーベクトルを求める拡散残留エコー推定ステップと、
波数領域の前記収音信号と波数領域の前記拡散残留エコーの推定値との差分を求める減算ステップとを含む、
エコー消去方法。 - 請求項1〜6の何れかのエコー消去装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
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