以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。また、図面においては、実施形態を説明するため、一部分を大きくまたは強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現している。
<第1実施形態>
図1(a)は、第1実施形態に係る撮像素子100の回路構成を示す図である。図1(b)は、画素PXのレイアウトを示す図である。図1(b)では、縦2画素×横2画素分の領域を示している。図1(b)における網掛け部分は、各トランジスタのゲートを示し、×印を付けた矩形は、コンタクト領域を示している。なお、図1(b)では、図を見やすくするために、電源VDDに接続される配線の記載を省略している。図1(a)に示すように、撮像素子100は、CMOS型の撮像素子であり、画素アレイ10、垂直走査回路20、水平走査回路30、定電流源IS及び垂直信号線VLを有している。
画素アレイ10は、n行m列の2次元マトリクス状に配置された複数の画素PXを有している。例えば、各画素PXは、入射光の光量に応じた電気信号を生成する。列方向に配置された複数の画素PXは、列毎に設けられた垂直信号線VLに接続されている。また、各垂直信号線VLは、各画素PXからの信号を読み出すために、定電流源ISに接続されている。
画素PXは、光電変換部PD、電荷電圧変換部FD、転送部MTR、増幅部MAM、選択部MSE、及びリセット部MRSを有している。画素PX内に形成される転送部MTR、増幅部MAM、選択部MSE、及びリセット部MRSは、例えば、全てnMOSトランジスタが用いられる。以下の説明では、転送部MTR、増幅部MAM、選択部MSE、及びリセット部MRSとしてトランジスタが用いられた一例を示している。転送部MTRは、例えば転送トランジスタと呼んでもよい。増幅部MAMは、例えば増幅トランジスタと呼んでもよい。選択部MSEは、例えば選択トランジスタと呼んでもよい。リセット部MRSは、例えばリセットトランジスタと呼んでもよい。
光電変換部PDは、入射光の光量に応じて信号電荷を生成する。光電変換部PDは、例えば、フォトダイオードが用いられる。例えば、画素PXにおいて、光電変換部PDは、アノードが接地され、カソードが転送部MTRのソースに接続されている。光電変換部PDにより生成された信号電荷は、転送部MTRを介して、電荷電圧変換部FDに転送される。
電荷電圧変換部FDは、例えばフローティングディフュージョンとも呼ばれる。電荷電圧変換部FDは、光電変換部PDから転送される電荷を蓄積する容量FCを有している。容量FCは、転送部MTRのドレイン領域に形成されている。光電変換部PDから電荷電圧変換部FDに転送された信号電荷は、容量FCに蓄積され、電圧に変換される。このように、電荷電圧変換部FDは、光電変換部PDから転送される電荷を電圧に変換する電荷電圧変換部として機能する。なお、電荷電圧変換部FDは、容量FCに加えて、配線CLと他の配線とのカップリング容量、リセット部MRSのソースに形成される容量等を有している。
転送部MTRは、光電変換部PDに蓄積されている信号電荷を電荷電圧変換部FDに転送する。転送部MTRのゲート(図2等に示す転送ゲート部G)は、転送信号線TXに接続されている。転送部MTRのソースは、上記のように光電変換部PD(アノード)に接続されている。転送部MTRのドレインは、増幅部MAMのゲート及びリセット部MRSのソースに接続されている。したがって、転送部MTRのドレイン、増幅部MAMのゲート及びリセット部MRSのソースは、互いに接続されている。
増幅部MAMは、電荷電圧変換部FDに転送された信号電荷に基づく画素信号を生成する。増幅部MAMのゲートは、上記のように転送部MTR(ドレイン)に接続されている。増幅部MAMのソースは、選択部MSEのドレインに接続されている。増幅部MAMのドレインは、電源VDDに接続されている。
選択部MSEは、増幅部MAMからの画素信号を出力するか否かを選択する。選択部MSEのゲートは、選択信号線SETに接続されている。選択部MSEのソースは、垂直信号線VLに接続されている。選択部MSEのドレインは、上記のように増幅部MAM(ソース)に接続されている。この構成において、選択部MSEのゲートがオンになっている期間には、増幅部MAMと、選択部MSEと、垂直信号線VLに接続された定電流源ISとにより、ソースフォロア回路が構成される。この場合、垂直信号線VLには、選択部MSEにより選択された画素PXの信号が出力される。
リセット部MRSは、電荷電圧変換部FDの電圧をリセットする。リセット部MRSのゲートは、リセット信号線RSTに接続されている。リセット部MRSのソースは、上記のように転送部MTR(ドレイン)及び増幅部MAM(ゲート)に接続されている。リセット部MRSのドレインは、電源VDDに接続されている。この構成において、リセット部MRSのゲートをオンにすることにより、電荷電圧変換部FDの電荷(容量FCに蓄積されている電荷)がリセットされる。
垂直走査回路20は、選択信号線SEL、リセット信号線RST及び転送信号線TXにそれぞれ接続されている。垂直走査回路20は、選択信号線SELに対して選択信号を入力し、リセット信号線RSTに対してリセット信号を入力し、転送信号線TXに対して転送信号を入力する。垂直走査回路20は、これら選択信号、リセット信号及び転送信号により、画素アレイ10の画素PXを行毎に制御する。図1(a)において、n行目の画素PXの選択信号線SEL、リセット信号線RST及び転送信号線TXは、それぞれ選択信号線SEL(n)、リセット信号線RST(n)、及び転送信号線VX(n)を示している。
水平走査回路30は、垂直走査回路20により選択された行の画素PXの信号OUTS、OUTNを蓄積し、蓄積した信号OUTS、OUTNを列毎に順次出力する。信号OUTNは、例えば、画素PXのリセットノイズ成分等を含む固定ノイズ成分を示すノイズ信号である。また、信号OUTSは、画素PXのリセットノイズ成分等の固定ノイズ成分と、画素PX内の光電変換部PDで生成された電荷に応じた信号成分とを含む画素信号である。
転送部MTRは、図1(b)に示すように、光電変換部PDに隣接して配置されている。転送部MTRのソース及び光電変換部PDのカソードは、拡散領域を互いに共有し、互いに接続されている。
選択部MSE、増幅部MAM、及びリセット部MRSは、例えば画素PXの一辺(図1(b)の下側の辺)に沿って配置されている。選択部MSEのドレイン及び増幅部MAMのソースは、拡散領域(トランジスタMSE、MAMのゲート間の領域)を互いに共有し、互いに接続されている。また、増幅部MAMのドレイン及びリセット部MRSのドレインは、拡散領域(トランジスタMAM、MRSのゲート間の領域)を互いに共有し、互いに接続されている。なお、増幅部MAMのドレイン及びリセット部MRSのドレインは、コンタクト領域22を介して、電源VDDの配線(図1(b)では図示せず)に接続される。
選択信号線SEL、リセット信号線RST、及び転送信号線TXは、画素PXの行方向(図1(b)の横方向)に沿って形成されている。選択信号線SELは、コンタクト領域13を介して選択部MSEのゲートに接続されている。リセット信号線RSTは、コンタクト領域14を介してリセット部MRSのゲートに接続されている。転送信号線TXは、列方向(図1(b)の縦方向)に伸びる分岐配線TXm及びコンタクト領域15を介して、転送部MTRのゲートに接続されている。
転送部MTRのドレイン(電荷電圧変換部FD)には、コンタクト領域16を介して、配線CLが接続されている。この配線CLは、コンタクト領域17を介して、増幅部MAMのゲートに接続されている。また、配線CLは、コンタクト領域18を介して、選択部MSEのソースに接続されている。
垂直信号線VLは、列方向(図1(b)の縦方向)に沿って形成されている。垂直信号線VLは、コンタクト領域19を介して、選択部MSEのソースに接続されている。また、接地電圧線GNDは、垂直信号線VLに平行に配置されている。接地電圧線GNDは、コンタクト領域21を介して各画素PXに接続されている。また、図示を省略するが、電源VDDからの配線は、コンタクト領域22を介して、増幅部MAMのドレイン及びリセット部MRSのドレインに接続されている。
図2(a)は、画素PXの一部の構成を示す平面図である。図2(b)は、図2(a)におけるA−A断面に沿った構成を示す図である。図2(a)及び(b)に示すように、画素PXには、素子分離部23が形成されている。素子分離部23は、例えば、選択酸化分離(LOCOS)や浅溝分離(STI)などの手法によって形成される。素子分離部23は、平面視において3つの矩形の領域(第1部分23a、第2部分23b、第3部分23c)を有している。第1部分23a、第2部分23b及び第3部分23cは、一方向(例えば、図2(a)の左右方向)に並んで配置されている。
第1部分23aは、光電変換部PDを囲むように形成されている。第2部分23bは、第1部分23aに接続されている。転送部MTRは、光電変換部PDで光電変換された電荷を光電変換部PDから電荷電圧変換部FDへ転送する転送ゲート部Gを含む。転送ゲート部Gは、第1部分23aと第2部分23bとの接続部分を跨ぐ位置に配置されている。第3部分23cは、第2部分23bに接続されている。素子分離部23は、第1部分23aから第3部分23cにかけて、段階的に面積が小さくなっている。
図2(b)に示すように、画素PXは、N型基板SUBに形成されたPウェル領域23pに作成される。Pウェル領域23pにおいて、N型拡散領域の光電変換部PD、転送部MTRのソースS、及びドレインD(電荷電圧変換部FD)が形成されている。光電変換部PDは、電荷電圧変換部FDよりも下層側に配置されている。Pウェル領域23pの上層にはゲート絶縁膜23gが配置されている。このゲート絶縁膜23g上には、転送部MTRのソースSとドレインDとの間のチャネル領域と重なるように転送ゲート部Gが配置されている。
図3は、図2(a)のうち転送部MTR及び電荷電圧変換部FDを拡大して示す図である。図3に示すように、電荷電圧変換部FDは、8つの直線部(41〜48)によって囲まれた形状を有している。直線部41は、転送ゲート部GのうちドレインD側の一辺に接続している。直線部41は、転送ゲート部Gのゲート幅方向(図3の縦方向)に平行に配置されている。直線部41は、ゲート幅方向において、転送ゲート部Gの中央部に配置されている。直線部41の長さは、転送ゲート部Gのゲート幅W1に比べて短くなっている。このため、電荷電圧変換部FDの幅(ゲート幅方向の寸法)W2は、ゲート幅W1よりも小さくなっている。電荷電圧変換部FDの幅W2は、素子分離部23によって設定される。
直線部42は、直線部41の一端部41a(例えば、図3の上側端部)に接続されている。直線部43は、直線部41の他端部41b(例えば、図3の下側端部)に接続されている。直線部42、43は、互いに平行に配置されており、同一の長さを有している。直線部42、43は、転送ゲート部Gのゲート長の方向(図3の横方向)に平行に配置されており、直線部41の方向に対して垂直に配置されている。直線部42、43は、転送ゲート部Gから離れる方向(図3の左方向)へ向けて形成されている。ただし、直線部42、43は、互いに平行でなくてもよく、また異なる長さに設定されてもよい。
直線部44は、直線部42の端部42aに接続されている。端部42aは、直線部42の2つの端部のうち、直線部41に接続された端部とは異なる端部である。直線部44は、直線部41に平行である。直線部44は、端部42aから直線部45(後述する)へ向けた方向(図3の下方向)に形成されている。ゲート幅方向において、直線部44は、直線部41よりも短い。
直線部45は、直線部43の端部43aに接続されている。端部43aは、直線部43の2つの端部のうち、直線部41に接続された端部とは異なる端部である。直線部45は、直線部41及び直線部44に平行である。直線部45は、端部43aから直線部44へ向けた方向(図3の上方向)に形成されている。ゲート幅方向において、直線部45は、直線部44に等しい長さを有しており、直線部41よりも短い。直線部45は、直線部44と同一の長さに設定される。ただし、直線部44、45は、直線部41と平行でなくてもよく、また、異なる長さに設定されてもよい。
直線部46は、直線部44の端部44aに接続されている。端部44aは、直線部44の2つの端部のうち、直線部42に接続された端部とは異なる端部である。直線部46は、直線部42に平行である。直線部46は、端部44aを始点として転送ゲート部Gから離れる方向(図3の左方向)に形成されている。直線部46の長さは、直線部42の長さよりも長くなっている。
直線部47は、直線部45の端部45aに接続されている。端部45aは、直線部45の2つの端部のうち、直線部43に接続された端部とは異なる端部である。直線部47は、直線部43、46に平行である。直線部47は、端部45aを始点として転送ゲート部Gから離れる方向(図3の左方向)に形成されている。直線部47の長さは、直線部46の長さと等しい。したがって、直線部47の長さは、直線部43(又は直線部42)の長さよりも長くなっている。ただし、直線部46、47は、互いに平行でなくてもよく、また、異なる長さに設定されてもよい。
直線部48は、直線部46の端部46aと直線部47の端部47aとを接続している。端部46aは、直線部46の2つの端部のうち、直線部44に接続された端部とは異なる端部である。端部47aは、直線部47の2つの端部のうち、直線部45に接続された端部とは異なる端部である。直線部48は直線部41、44、45に平行に配置されている。ただし、直線部48は、直線部41等と平行でなくてもよい。
直線部42、43、44、45は、素子分離部23のうち第2部分23bの輪郭線に沿って配置されている。また、直線部46、47、48は、素子分離部23のうち第3部分23cの輪郭線に沿って配置されている。電荷電圧変換部FDは、素子分離部23の第2部分23bの一部、及び第3部分23cの輪郭線に囲まれた領域に形成される。電荷電圧変換部FDは、素子分離部23の内側に形成されている。
上記の8つの直線部41〜48により、電荷電圧変換部FDには、ゲート幅方向の寸法が異なる2つの領域(第1領域FDs及び第2領域FDt)が形成されている。このうち第1領域FDsは、転送ゲート部Gに接続している領域を含む。この第1領域FDsは、転送部MTRに接続される。第1領域FDsの幅(ゲート幅方向の寸法)W2は、転送ゲート部Gのゲート幅W1よりも小さくなっている。第1領域FDsの幅W2は、光電変換部PDからの信号電荷の転送速度を十分確保できる程度に設定される。図3に示す、電荷電圧変換部FDは、平面視でT型に形成される。
また、第2領域FDtは、第1領域FDsに接続されている。第2領域FDtには、コンタクト領域16が配置されている。コンタクト領域16は、信号線等の配線に対して電気的な接続に必要な領域を有する。コンタクト領域16の幅(ゲート幅方向の寸法)は、第2領域FDtの幅(ゲート幅方向の寸法)W3より小さく設定されている。なお、コンタクト領域16の幅は、第2領域FDtの幅W3と同一であってもよい。また、第2領域FDtの幅W3が、図3に示すコンタクト領域16の幅より小さくなるように設定されてもよい。
第2領域FDtの幅W3は、第1領域FDsの幅(ゲート幅方向の寸法)W2よりも小さくなっている。したがって、電荷電圧変換部FDは、転送ゲート部Gから離れた部分の幅が小さくなっている。第2領域FDtの幅W3は、例えば第1領域FDsの幅W2の1/2となるように設定されている。ただし、幅W3は、幅W2より小さく設定されるものであれば、W3/W2が1/2より大きくまたは小さくてもよい。
第2領域FDtの長さ(ゲート長の方向の寸法)L2は、第1領域FDsの長さ(ゲート長の方向の寸法)L1よりも大きくなっている。長さL1とL2との比は任意に設定可能である。従って、長さL1とL2とが等しくてもよく、長さL1がL2より大きくてもよい。長さL1は、転送ゲート部Gを介して転送される電荷を受け入れるのに必要な長さに設定される。
次に、撮像素子100の動作を説明する。まず、撮影画像を構成する全ての画素PXの光電変換部PDの電荷を初期値にリセットさせておく。次に、メカニカルシャッタを開き、光電変換部PDを露光する。この動作では、全ての行のリセット信号、転送信号及び選択信号が低レベルに維持され、全ての画素PXのリセット部MRS、転送部MTR及び選択部MSEをオフにしておく。各光電変換部PDでは、露光量に応じた電荷量の信号電荷が生成され、蓄積される。
次に、各光電変換部PDに蓄積された信号電荷を電荷電圧変換部FDに転送する。この動作において、垂直走査回路20は、転送信号線TX毎に転送信号を高レベルに一定期間維持する。これにより、転送部MTRが一定期間オンになる。各画素PXでは、光電変換部PDにより生成された信号電荷が、転送部MTRを介して、電荷電圧変換部FDの第1領域FDsに転送される。本実施形態では、第1領域FDsの幅W2は、信号電荷の転送速度を十分確保できる程度に形成されているため、信号電荷の転送が短時間で完了する。信号電荷の転送により、電荷電圧変換部FDの電圧は、例えば、転送された信号電荷の量に応じて降下する。
増幅部MAMのゲートには、電荷電圧変換部FDで降下された電圧が入力される。増幅部MAMには、電荷電圧変換部FDの電圧から増幅部MAMの閾値電圧分降下した電圧(図1(a)に示した信号OUTSに対応する電圧)を垂直信号線VLに出力する。これにより、垂直信号線VLには、画素PX群の光電変換部PDで生成された信号電荷に応じた信号が出力される。なお、垂直走査回路20は、転送信号を入力する転送信号線TXを切り替える毎に、リセット信号線RSTにリセット信号を入力する。これにより、画素信号を読み出し済みの画素PXについては、電荷電圧変換部FDの電圧がリセットされる。
上記のように本実施形態の撮像素子100においては、第1領域FDsにおいて電荷の転送速度を十分確保することができる。また、電荷電圧変換部FDの第2領域FDtの幅W3が第1領域FDsの幅W2に対して小さいため、電荷電圧変換部FDの容量を小さくすることができる。これにより、電荷電圧変換部FDの容量を増大させずに光電変換部PDから電荷電圧変換部FDへの電荷転送時間を短縮することができる。また、電荷電圧変換部FDの容量を小さくするため、S/Nの高い画像を得ることができる。また、転送ゲート部Gからできるだけ離した位置でコンタクトを形成できるので、第1領域FDsと第2領域FDtとで幅が変化しない(段を設けていない)電荷電圧変換部に比べて少なくとも転送ゲート部Gのゲート長方向(図3の左右方向)においてコンタクト形成位置に自由度がある。従って、コンタクト形成時にマスクずれが生じても転送ゲート部Gにコンタクト領域16が重なることを防止できる。また、電荷電圧変換部FD領域周辺は配線等が密に形成されるので、電荷電圧変換部FDとして第1領域FDsより幅の狭い第2領域FDtが設けられることにより配線レイアウト上、余裕を持たせることができる。なお、コンタクト形成位置に自由度がある点や、配線レイアウトに余裕がある点は、以下の変形例及び他の実施形態についても同様である。
なお、上記した実施形態では、図3に示すように、転送ゲート部Gの幅方向のほぼ中央を紙面の左右に延びる線に対して、電荷電圧変換部FDが対称に形成されているが、これに限定されない。例えば、第2領域FDtが第1領域FDsの端部の一方に偏って配置されてもよく、さらには第2領域FDtが第1領域FDsの端部に接続されて、平面視でL型に形成されてもよい。
<変形例>
電荷電圧変換部FDの変形例について図面を参酌して説明する。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。また、以下に説明する変形例では要部について図示しており、他の構成については上記した第1実施形態と同様である。
図4(a)は、変形例に係る電荷電圧変換部FDAの一例を示す平面図である。図4(a)に示すように、電荷電圧変換部FDAは、第1領域FDAs及び第2領域FDAtを有している。第1領域FDAsは、転送部MTRのドレインD(図2(b)参照)に接続されている。
本変形例では、第1領域FDAsの幅(転送ゲート部Gのゲート幅方向の寸法)W4は、転送ゲート部Gのゲート幅W1と等しくなっている。なお、第2領域FDAtは、上記した第1実施形態の第2領域FDtと同一構成である。第1領域FDAsの幅W4は、図4(a)に示すように、素子分離部23Aの直線部23A1、23A2によって設定される。直線部23A1、23A1は、転送ゲート部Gの両側の端部に沿って配置されている。
この変形例によれば、第1実施形態の構成に比べて、信号電荷を転送可能な領域が広くなっているため、信号電荷の転送速度を向上できる。しかも、第1領域FDAsの幅W4がゲート幅W1と等しいため、チャネル幅いっぱいに電荷電圧変換部FDAを接続させることができ、効率的に信号電荷を転送することができる。なお、第1領域FDAs及び第2領域FDAtの幅や長さ、これらの比については、第1実施形態と同様に設定される。
図4(b)は、変形例に係る電荷電圧変換部FDBの一例を示す平面図である。図4(b)に示すように、電荷電圧変換部FDBは、第1領域FDBs及び第2領域FDBtを有している。第1領域FDBsは、転送部MTRのドレインDに接続されている。本変形例では、第1領域FDBsの幅(転送ゲート部Gのゲート幅方向の寸法)W5は、転送ゲート部Gのゲート幅W1よりも大きくなっている。なお、第2領域FDBtは、上記した第1実施形態の第2領域FDtと同一構成である。第1領域FDBsの幅W5は、図4(b)に示すように、素子分離部23Bの直線部23B1、23B2によって設定される。直線部23B1、23B2は、転送ゲート部Gの幅方向の端部から離れて配置されている。
この構成によれば、図4(a)に示す変形例に比べて信号電荷を転送可能な領域が更に広くなっている。従って、転送ゲート部Gの直下を外れた電荷を含めて電荷電圧変換部FDBに転送することができ、信号電荷をより効率的に転送することができる。なお、転送ゲート部Gの幅W1に対する幅W5の寸法は任意に設定可能である。ただし、幅W5が大きいと電荷電圧変換部FDBの容量増加を招くため、例えば、幅W1に対して110%の幅W5に設定される。なお、第1領域FDBs及び第2領域FDBtの幅や長さ、これらの比については、第1実施形態と同様に設定される。
図5(a)〜(f)は、変形例に係る電荷電圧変換部FDCa〜FDCfの構成を示す平面図である。図5(a)〜(f)に示すように、電荷電圧変換部の形状を変更することが可能である。
図5(a)に示す電荷電圧変換部FDCaは、転送ゲート部Gに接続する第1領域から転送ゲート部Gに対して離れる方向に2つの段部51a、51bによって段階的に幅が小さくなった第2領域を有している。この電荷電圧変換部FDCaの第2領域は、2段階で幅の縮小率を等しくしているが、これに限定されない。例えば、3つ以上の段部を用いて3段階以上で幅を縮小させてもよく、また、各段階での縮小率を変化させてもよい。電荷電圧変換部FDCaでは、各段階でのゲート長方向の長さが等しいが、異なってもよい。
図5(b)及び(c)に示す電荷電圧変換部FDCb、FDCcは、転送ゲート部Gに接続する第1領域から、転送ゲート部Gに対して離れる方向にわたって湾曲させつつ幅が小さくなった第2領域を有している。図5(b)に示す電荷電圧変換部FDCbは、2つの湾曲部52のそれぞれが、ゲート幅方向(図5(b)の縦方向)の中央部側が凹んだ形状を有している。図5(c)に示す電荷電圧変換部FDCcは、2つの湾曲部53のそれぞれが、ゲート幅方向(図5(c)の縦方向)の中央部側が外側に膨らんだ形状を有している。なお、電荷電圧変換部FDCb、FDCcにおいて、湾曲した部分の曲率は任意に設定可能であり、また、複数の曲率を組み合わせて設定されてもよい。
図5(d)に示す電荷電圧変換部FDCdは、転送ゲート部Gに接続する第1領域から転送ゲート部Gに対して離れる方向に、ゲート長の方向に対して傾斜した2つの傾斜部54により直線的に幅が小さくなった第2領域を有している。この電荷電圧変換部FDCdは、平面視で台形の形状となる。なお、傾斜部54は、ゲート長の方向に対する傾斜角度を任意に設定可能である。
図5(e)に示す電荷電圧変換部FDCeは、転送ゲート部Gに接続する第1領域と、第1領域よりも転送ゲート部Gから離れた第2領域とを有し、第2領域のうち第1領域側の部分がゲート長の方向に対して傾斜した2つの傾斜部55によって直線的に幅が小さくなっている。従って、傾斜部55を除く第1領域及び第2領域は、それぞれ幅が等しくなっている。なお、傾斜部55は、ゲート長の方向に対する傾斜角度を任意に設定可能である。
図5(f)に示す電荷電圧変換部FDCfは、転送ゲート部Gに接続する第1領域と、第1領域よりも転送ゲート部Gから離れた第2領域とを有し、第2領域のうち第1領域側に対向位置にそれぞれ凹部56が形成されている。この凹部56が形成されることで、第1領域から第2領域への接続部分がくびれた状態となる。なお、くびれた部分の幅は任意に設定可能である。また、凹部56は矩形状であることに限定されず、湾曲した形状であってもよい。
上記した電荷電圧変換部FDCa〜FDCfの形状は、例えば、素子分離部23によって設定される。また、電荷電圧変換部FDの形状については、図5(a)〜(f)に示した構成に限るものではなく、転送ゲート部Gに接続する第1領域の幅に対して、第1領域よりも転送ゲート部Gから離れた第2領域の幅を小さくするものであれば、他の形状であってもよい。例えば、上記した図5(a)〜(f)に示した構成を組み合わせたものでもよい。また、電荷電圧変換部FDの第2領域には、コンタクト領域16を配置するスペースを確保できる形状が適用されてもよい。また、図5(a)〜(f)に示すものでは、第1領域が転送ゲート部Gの幅より小さいが、これに代えて、図4に示すように転送ゲート部Gの幅と等しくするものや、転送ゲート部Gの幅より大きく設定してもよい。
<第2実施形態>
図6は、第2実施形態に係る撮像素子に用いられる画素PXDの一例を示す図である。図6では、画素PXDを示しており、撮像素子の他の構成については、図1(b)に示す撮像素子100と同様である。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。
図6に示すように、画素PXDには、素子分離部23Dが形成されている。素子分離部23Dは、平面視において2つの矩形の領域(第1部分23Da、第2部分23Db)を有している。第1部分23Da及び第2部分23Dbは、一方向(例えば、図6の左右方向)に並んで配置されている。第1部分23Daは、光電変換部PDを囲むように配置されている。第2部分23Dbは、第1部分23Daより小さく、第1部分23Daの一辺に接続されている。
転送部MTRDの転送ゲート部GDは、直線部GDaと、突出部GDb及びGDcとを有している。直線部GDaは、ゲート幅方向(図6の上下方向)に沿って形成されている。直線部GDaは、素子分離部23Dの内側に配置されている。直線部GDaは、第1部分23Daと第2部分23Dbとの接続部分に重ならないように、例えばこの接続部分よりも光電変換部PD側に配置されている。転送ゲート部Gの幅方向の寸法(直線部GDaの幅方向の寸法)は、第2部分23Dbの寸法よりも大きくなっている。したがって、直線部GDaは、転送ゲート部Gの幅方向の両端が第2部分23Dbからはみ出すように配置されている。
突出部GDbは、直線部GDaのゲート幅方向の一端(例えば、図6の上側端部)に配置されている。突出部GDbは、直線部GDaに対して転送ゲート部GDから離れる方向に突出するように形成されている。突出部GDbは、素子分離部23Dの内側から外側に跨るように形成されている。
突出部GDcは、直線部GDaのゲート幅方向の他端(例えば、図6の下側端部)に配置されている。突出部GDcは、直線部GDaに対して転送ゲート部GDから離れる方向に突出している。突出部GDcは、素子分離部23Dの内側から外側に跨っている。直線部GDaと突出部GDb及びGDcとにより、転送ゲート部GDのうちドレインDD側(光電変換部PDと反対側)に平面視で凹部GDdが形成されている。
電荷電圧変換部FDDは、転送ゲート部GDと、第1部分23Daの一部と、第2部分23Dbとで囲まれた領域に形成されている。本実施形態では、電荷電圧変換部FDDのうち、転送部MTRDに接続される第1領域FDDsの幅(ゲート幅方向の寸法)は、凹部GDdの幅(突出部GDbとGDcとの間隔)によって設定される。第2領域FDDtは、第2部分23Dによって設定される。凹部GDdの幅は、第2部分23Dの幅より大きく設定される。従って、電荷電圧変換部FDDは、第1領域FDDsより幅が小さい第2領域FDDtを有している。
このように、本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、電荷電圧変換部FDDの容量を増大させずに光電変換部PDから電荷電圧変換部FDDへの電荷転送時間を短縮することができる。また、電荷電圧変換部FDDの容量を小さくするため、S/Nの高い画像を得ることができる。また、転送ゲート部GDをマスクとして素子分離部23Dに不純物を打ち込むことにより、幅が大きな第1領域FDDsと、幅が小さな第2領域FDDtを持つ電荷電圧変換部FDDを容易に形成できる。また、本実施形態では、素子分離部23Dが2つの第1部分23Da及び第2部分23Dbでよいので、第1実施形態と比較して素子分離部23Dの形状を簡略化できる。
<第3実施形態>
第3実施形態について図面を参酌して説明する。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。上記した第1及び第2実施形態においては、画素PX毎に増幅部MAM、選択部MSE、リセット部MREが設けられた構成を例に挙げて説明したが、これに限定するものではなく、この3つのトランジスタを複数の画素PXで共有する構成であってもよい。
図7は、第3実施形態に係る撮像素子200の画素レイアウトの一例を示す図である。図7では、縦2画素×横2画素分の領域を示している。また、図7では、図を見やすくするために、増幅部MAM、リセット部MRSのドレインに接続される電源VDDの配線の記載を省略している。
図7に示すように、撮像素子200の画素領域210には、画素PXa、PXbが形成されている。画素PXa、PXbは、増幅部MAM、選択部MSE及びリセット部MREを互いに共有する。画素PXaと画素PXbとは、例えば列方向(図7の縦方向)に隣接して配置されている。選択部MSE、増幅部MAMおよびリセット部MRSは、例えば、画素PXaの光電変換部PDaと画素PXbの光電変換部PDbとの間に配置されている。また、選択部MSE、増幅部MAMおよびリセット部MRSは、行方向(図7の横方向)に並んでいる。なお、第3実施形態では、選択部MSE、増幅部MAM及びリセット部MRSは、図1(b)に示した選択部MSE、増幅部MAM及びリセット部MRSと逆の順序で行方向に並んでいる。
画素PXaの転送部MTRaのドレインは、コンタクト領域16aを介して配線CLaに接続されている。画素PXbの転送部MTRbのドレインは、コンタクト領域16bを介して配線CLbに接続されている。配線CLa及び配線CLbは、同一のコンタクト領域18cを介して選択部MSEのソースに接続されている。また、配線CLaは、配線CLc及びコンタクト領域17cを介して増幅部MAMのゲートに接続されている。したがって、配線CLa、CLb、CLcにより、転送部MTRaのドレイン、転送部MTRbのドレイン、増幅部MAMのゲート、及びリセット部MRSのソースが互いに接続されている。これにより、2つの電荷電圧変換部FDは、画素PXa、PXbで共用される。
選択信号線SELは、コンタクト領域13cを介して選択部MSEのゲートに接続されている。リセット信号線RSTは、コンタクト領域14cを介してリセット部MRSのゲートに接続されている。画素PXa、PXbに対応する転送信号線TXは、列方向に伸びる分岐配線TXm及びコンタクト領域15a、15bを介して、転送部MTRa、MTRbのそれぞれのゲートに接続されている。
垂直信号線VLは、コンタクト領域19cを介して、選択部MSEのソースに接続されている。また、接地電圧線GNDは、コンタクト領域21a、21bを介して画素PXa、PXbに接続されている。また、図示を省略するが、電源VDDからの配線は、コンタクト領域22cを介して、増幅部MAMのドレイン及びリセット部MRSのドレインに接続されている。
このように、第3実施形態では、2つの画素PXa、PXbによって3つのトランジスタを共有する構成であるため、1画素あたりのトランジスタ数は2.5個となる。したがって、第1実施形態に比べて撮像素子200全体のトランジスタ数を低減させることが可能となる。また、この構成では、電荷電圧変換部FDが2つの画素PXa、PXbによって共有されることになる。これにより、各電荷電圧変換部FDの容量(平面視での面積)を小さくできるため、1画素あたりに占める電荷電圧変換部FDの面積を小さくできる。例えば、1つの電荷電圧変換部FDは、第1実施形態の電荷電圧変換部FDの容量に対して1/2の容量に設定することが可能である。
また、この第3実施形態では、2つの画素PXa、PXbについて、電荷電圧変換部FDを接続しているが、3つ以上の画素について、電荷電圧変換部FDを接続してもよい。例えば、3つ以上の画素について、電荷電圧変換部FDを接続する場合、1画素あたりのトランジスタ数は1.75個となる。また、この第3実施形態では、列方向の2つの画素PXa、PXbについて、電荷電圧変換部FDを接続しているが、行方向の2つの画素について、電荷電圧変換部FDを接続してもよい。
<第4実施形態>
第4実施形態について図面を参酌して説明する。図8(a)は、第4実施形態に係る撮像素子に用いられる画素PXEa、PXEbの一例を示す図である。図8(b)は、図8(a)におけるB−B断面に沿った構成を示す図である。以下の説明において、第3実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。なお、図8(a)では、画素PXEa、PXEbを示し、他の構成については、図7に示す撮像素子200と同様の構成が用いられる。
図8(a)に示すように、2つの画素PXEa、PXEbは、1つの電荷電圧変換部FDEを共用している。これら、画素PXEaの光電変換部PDaと、電荷電圧変換部FDEと、画素PXbの光電変換部PDbとが1つの素子分離部223によって形成されている。この構成では、画素PXEaの転送部MTRaと、画素PXEbの転送部MTRbとが、電荷電圧変換部FDEを挟んで対向するように配置される。転送部MTRa、MTRbの転送ゲート部Ga、Gbは、それぞれ転送信号線TX(図7参照)に接続される。
電荷電圧変換部FDEは、第一基端部(第1領域)FDEa、第二基端部(第1領域)FDEb及び接続部(第2領域)FDEcを有している。第一基端部FDEaは、転送部MTRaに接続される。第二基端部FDEbは、転送部MTRbに接続される。接続部FDEcは、この第一基端部FDEaと第二基端部FDEbとの間に配置される。第一基端部FDEaの幅(ゲート幅方向の寸法:図8の横方向)及び第二基端部FDEbの幅は、互いに等しくなっている。また、接続部FDEcの幅は、第一基端部FDEa及び第二基端部FDEbの幅よりも小さくなっている。
電荷電圧変換部FDEは、転送部MTRa、MTRbに接続する第一基端部FDEa、第二基端部FDEbの幅よりも、転送ゲート部Ga、Gbから離れた接続部FDEcの幅が小さい。このように、本実施形態は、2つの画素PXEa、PXEbにおいて、電荷電圧変換部の第2領域(図3のFDs)に相当する部分が共有された構成となっている。
電荷電圧変換部FDEの接続部FDEcにはコンタクト領域16cが配置されている。コンタクト領域16cは、例えば配線CLd等を介して、コンタクト領域17c(増幅部MAMのゲート)及びコンタクト領域18c(リセット部MREのソース)に接続されている。
転送部MTRa、MTRbは、ドレイン側が向き合った状態で配置されている。転送部MTRaの転送ゲート部Ga及び転送部MTRbの転送ゲート部Gbは、互いに平行に配置されている。また、図8(b)に示すように、電荷電圧変換部FDEは、転送ゲート部Gaの直下と転送ゲート部Gbの直下との間に形成される。光電変換部PDa、PDbは、電荷電圧変換部FDEを挟んで対称に形成されている。光電変換部PDa、PDbは、それぞれ転送部MTRa、MTRbのソースSa、Sbに接続されている。
このように、第4実施形態によれば、各画素PXEa、PXEbにおいて、電荷電圧変換部FDEのうち転送部MTRa、MTRbに接続する第一基端部FDEa、第二基端部FDEbの幅よりも、転送ゲート部Ga、Gbから離れた接続部FDEcの幅が小さいので、第1実施形態等と同様に、電荷電圧変換部FDEの容量を増大させずに光電変換部PDから電荷電圧変換部FDEへの電荷転送時間を短縮することができる。また、電荷電圧変換部FDEの容量を小さくするため、S/Nの高い画像を得ることができる。
また、2つの画素PXEa、PXEbが1つの電荷電圧変換部FDEを共用するため、画素ごとに電荷電圧変換部を形成する必要がない。これにより、第3実施形態と同様に、1画素あたりに占める電荷電圧変換部FDの容量を小さくできる。また、1つの電荷電圧変換部FDEを共有するため、第3実施形態のように電荷電圧変換部同士を接続する配線を省略することができる。なお、第4実施形態では、2つの画素PXEa、PXEbで1つの電荷電圧変換部FDEを共用するが、これに限定されない。例えば、3つ以上の画素で1つの電荷電圧変換部FDEを共用してもよい。
<変形例>
撮像素子に用いられる画素の変形例について図面を参酌して説明する。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。また、以下に説明する変形例では、第4実施形態と同様に、画素について示し、他の構成については、図7に示す撮像素子200と同様の構成が用いられる。
図9(a)は、変形例に係る画素PXFa、PXFbのレイアウトの一例を示す図である。図9(a)に示すように、2つの画素PXFa、PXFbは1つの電荷電圧変換部FDFを共用している。この電荷電圧変換部FDFは、第一基端部(第1領域)FDFaの幅(ゲート幅方向の寸法:図9(a)の横方向)が転送部MTRa側から転送部MTRb側へ向けて徐々に小さくなっている。また、電荷電圧変換部FDFは、第二基端部(第1領域)FDFbの幅が転送とトランジスタMTRb側から転送部MTRa側へ向けて徐々に小さくなっている。これら、画素PXFaの光電変換部PDaと、電荷電圧変換部FDFと、画素PXFbの光電変換部PDbとが1つの素子分離部223Fによって形成されている。
電荷電圧変換部FDFは、第一基端部FDFaの先端(転送ゲート部Gaから離れる方向の端部)と第二基端部FDFbの先端(転送ゲート部Gbから離れる方向の端部)とが接続部(第2領域)FDFcにおいて接続されている。接続部FDFcの幅は、第一基端部FDFa及び第二基端部FDFbの幅よりも小さくなっている。
このように、電荷電圧変換部FDFは、転送部MTRa、MTRbに接続される第一基端部FDFa、FDFbの幅よりも、転送ゲート部Ga、Gbから離れた接続部FDFcの幅が小さくなるように形成されている。このような構成であっても、第4実施形態と同様の効果を得ることができる。
図9(b)は、変形例に係る画素PXGa、PXGbのレイアウトの一例を示す図である。図9(b)に示すように、2つの画素PXGa、PXGbは1つの電荷電圧変換部FDGを共用している。また、2つの画素PXGa、PXGbに用いられる転送部MTRGa、MTRGbとしては、図6に示す転送部MTRDの転送ゲート部GDと同様の構成が適用される。従って、画素PXGaは、転送ゲート部GGaを持つ転送部MTRGaが用いられ、画素PXGbは、転送ゲート部GGbを持つ転送部MTRGbが用いられる。
電荷電圧変換部FDGは、第一基端部(第1領域)FDGaと、第二基端部FDGb(第1領域)と、接続部(第2領域)FDGcとを有している。第一基端部FDGaは、転送ゲート部GGaによって幅(ゲート幅方向の寸法:図9(b)の横方向)が設定されている。第二基端部FDGbは、転送ゲート部GGbによって幅が設定されている。第一基端部FDGaの幅と第二基端部FDGbの幅とは、等しくなっている。接続部FDGcは、第一基端部FDGaから第二基端部FDGbにかけて均一な幅となるように形成されている。接続部FDGcの幅は、第一基端部FDGa及び第二基端部FDGbの幅よりも小さくなっている。これら、画素PXGaの光電変換部PDaと、電荷電圧変換部FDGと、画素PXGbの光電変換部PDbとが1つの素子分離部223Gによって形成されている。
このように、電荷電圧変換部FDGは、転送部MTRGa、MTRGbに接続される第一基端部FDGa、FDGbの幅よりも、転送ゲート部GGa、GGbから離れた接続部FDGcの幅が小さくなるように形成されている。このような構成であっても、第4実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、図9(a)及び(b)に示す変形例では、2つの画素PXFa、PXFb等で1つの電荷電圧変換部FDF等を共用しているが、これに限定されない。例えば、3つ以上の画素で1つの電荷電圧変換部FDF、FDGを共用してもよい。
<第5実施形態>
第5実施形態について図面を参酌して説明する。図10は、第5実施形態に係る撮像素子に用いられる画素PXHの一例を示す図である。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。なお、図10では、画素PXHの断面を示しており、第1実施形態を説明した図2(b)に相当する。また、図10では、画素PXHの断面を示し、他の構成については、上記した撮像素子100、200と同様の構成が用いられる。
上記した電荷電圧変換部FD等では、転送部MTR等から離れた第2領域の幅が、転送部MTR等に接続する部分を含む第1領域に対して小さくなっている構成を例に挙げて説明したが、これに限定するものではない。図10に示す電荷電圧変換部FDHのように、転送部MTRから離れた第2領域FDHtの深さDtが、転送部MTRに接続する第1領域FDHsの深さDsに対して小さい構成であってもよい。このような構成は、例えば、第1領域FDHsにおいてN型不純物のイオン注入を行う際にイオンの加速電圧を上げて、表面近くにイオン注入を行う場合に比べて大きなエネルギーでイオン注入を行うことにより、深い部分までN型拡散層を形成することが可能である。なお、図示しないが、平面視において、電荷電圧変換部FDHの第1領域FDHsの幅は、第2領域FDHtの幅と同一となっている。
このように、第5実施形態によれば、第1領域FDHsが転送ゲート部Gの下に形成されたチャネルに対して広い面積で接続するので、電荷の転送速度を向上できる。また、第2領域FDHtは、第1領域FDHsに対して浅いため、電荷電圧変換部FDH全体としての容量を小さくすることができる。これにより、電荷電圧変換部FDHの容量を増大させずに光電変換部PDから電荷電圧変換部FDHへの電荷転送時間を短縮することができる。また、電荷電圧変換部FDHの容量を小さくするため、S/Nの高い画像を得ることができる。
なお、第1領域FDHsの深さDsや、深さDsとDtとの比は任意に設定可能である。例えば、深さDsは、深さDtの2倍以上に設定されてもよい。また、第1領域FDHsの深さDsは、図10に示すように、光電変換部PDの底面と同一に設定されてもよい。また、図10に示す電荷電圧変換部FDHでは、第1領域FDHsの深さDsが幅方向(ゲート幅方向の寸法:図10の紙面奥行き方向)にわたって同一に設定されているが、これに代えて、第1領域FDHsの一部を深さDsに設定したものでもよい。
<撮像素子の製造方法>
次に、実施形態に係る撮像素子の製造方法の一例について説明する。以下は、上記した撮像素子100の製造方法について説明する。本実施形態では、N型の半導体基板にPウェル領域を形成するPwellプロセスについて説明する。なお、説明を省略するが、P型の半導体基板にNウェル領域を形成するNwellプロセスにおいても、同様である。図11では、転送部MTR、増幅部MAM、選択部MSE、及びリセット部MRSとしてトランジスタが形成される一例を示している。
まず、N型基板SUBを準備する。このN型基板SUBとしては、例えばN型シリコン基板などを用いることができる。次に、このN型基板SUB上に素子分離部23を形成する(ステップS01)。素子分離部23を形成する場合、LOCOS法やSTI法などのプロセスを用いることができる。以下、STI法によって素子分離部23を形成する場合を例に挙げて説明するが、LOCOS法を用いてもよい。
例えば、N型基板SUB上にSi2N4/SiO2薄膜を形成し、素子分離部23の平面形状に応じてパターニングする。このとき、Si2N4/SiO2薄膜が図2(a)に示した第1部分23a〜第3部分23cに対応する形状となるようにパターニングする。その後、N型基板SUB上に残ったSi2N4/SiO2薄膜をマスクとしてN型基板SUBの表面をドライエッチングする。このドライエッチングにより、N型基板SUBの表面に溝が形成される。次に、Si2N4/SiO2薄膜及び溝を覆うようにSiO2薄膜を形成してCMP法によって平坦化した後、Si2N4/SiO2薄膜をエッチングする。これにより、N型基板SUBの表面の溝内にSiO2薄膜(フィールド酸化膜:FOX)が形成される。この結果、フィールド酸化膜FOXで囲まれるように素子分離部23が形成される。この素子分離部23は、上記のように第1部分23aから第3部分23cにかけて段階的に寸法が小さくなるように形成される。
次に、素子分離部23内にPウェル領域23pを形成する(ステップS02)。この場合、素子分離部23のうちPウェル領域23pを形成しようとする領域以外をフォトレジストでマスクし、マスクされていない領域にP型不純物(例えばボロンなど)をイオン注入する。イオン注入の後、フォトレジストを除去し、1000℃程度の温度で加熱する。この加熱により、P型不純物がN型基板SUBの内部に拡散され、Pウェル領域23pが形成される。
次に、転送部MTRのゲート絶縁膜23g及び転送ゲート部Gが形成される(ステップS03)。この場合、N型基板SUBを酸素雰囲気下で加熱し、シリコンの表面にSiO2膜を成長させて、ゲート絶縁膜23gを形成する。その後、ゲート絶縁膜23g上にポリシリコン薄膜を堆積させた後にパターニングして転送ゲート部Gを形成する。転送ゲート部Gは、第1部分23aと第2部分23bとの境界部分を跨ぐ位置に形成される。なお、画素PXに設けられる他のトランジスタ(増幅部MAM、選択部MSE、リセット部MRE)についても同一プロセスで形成される。
次に、光電変換部PDを形成する(ステップS04)。光電変換部PDとして、例えばフォトダイオードが形成される。この場合、Pウェル領域23pのうち光電変換部PDを形成しようとする領域以外をフォトレジストでマスクし、マスクされていない領域にN型不純物(例えばリンや砒素など)をイオン注入する。このとき、イオン注入のエネルギーを大きくすることにより、Pウェル領域23pの深い部分にN型拡散領域を形成することができる。これにより、Pウェル領域23pの内部に光電変換部PDが形成される。
次に、転送部MTRのソースS及びドレインDと、電荷電圧変換部FDが形成される(ステップS05)。この場合、転送ゲート部Gのゲート長方向の両側にN型不純物(例えばリンや砒素など)をイオン注入する。このとき、イオン注入のエネルギーは、光電変換部PDを形成する場合に比べて小さくし、Pウェル領域23pの表面近くにN型拡散領域を形成する。これにより、転送部MTRのソースS及びドレインDが形成されるとともに、ドレインDに接続される電荷電圧変換部FDが形成される。電荷電圧変換部FDは、転送ゲート部Gの一部をマスクとして、素子分離部23内に形成される。素子分離部23の外側にはN型拡散層が形成されないため、フォトレジスト等のマスクを設けることなく電荷電圧変換部FDを形成できる。このように、素子分離部23を用いて電荷電圧変換部FDが形成される。
本実施形態では、素子分離部23は、第1部分23a〜第3部分23cを含むように形成されているため、電荷電圧変換部FDは、第1部分23a〜第3部分23cの輪郭線に沿った形状に形成される。この結果、転送ゲート部Gから離れた部分の幅がドレインDに接続される部分の幅よりも小さい形状の電荷電圧変換部FDが形成される。なお、本実施形態では、転送ゲート部GをマスクとしてN型不純物のイオン注入を行う態様を説明したが、これに限定するものではなく、フォトレジスト等のマスクを形成してイオン注入を行ってもよい。
ステップS05に続いて、各トランジスタや電荷電圧変換部FDに配線が形成され撮像素子100が完成する。なお、上記した撮像素子200または変形例の製造方法についても、ほぼ同様である。また、上記した第2実施形態において、転送部MTRD及び電荷電圧変換部FDD(図6参照)を形成する場合、電荷電圧変換部FDDの第1領域FDDaの幅が転送ゲート部GDによって設定される。このため、素子分離部23Dの形状を簡略化することができる。
<電子機器>
次に、実施形態に係る電子機器の一例について説明する。図12は、上記した撮像素子100(又は撮像素子200やこれらの変形例)を用いて構成された撮像装置300の一例を示している。撮像装置300は、例えば、デジタルカメラであり、撮像素子100、撮影レンズ110、メモリ120、制御部130、記憶媒体140、モニタ150及び操作部160を有している。
撮影レンズ110は、被写体の像を撮像素子100の受光面に結像する。メモリ(記録部)120は、例えば、DRAM(Dynamic RAM)やSRAM(Static RAM)等で形成された内蔵メモリであり、撮像素子100により撮影された画像(静止画または動画)の画像データ等を一時的に記録する。制御部130は、例えばCPU(Central Processing Unit)を含んで構成され、メモリ120等に格納されたプログラムに基づいて、撮像素子100や撮影レンズ110等の動作を制御する。制御部130は、例えば、オートフォーカス制御、絞り制御、撮像素子100への露光制御及び画像データの記録等を指示する。なお、撮像素子100への露光制御には、例えば、メカニカルシャッタ(図示せず)の開閉の制御等も含まれる。
制御部130は、タイミングジェネレータを備える。タイミングジェネレータは、例えば図1に示した垂直走査回路20及び水平走査回路30に対して駆動クロック等を供給する。なお、タイミングジェネレータは、撮像素子100内に設けられてもよい。記憶媒体(記録部)140は、例えば電子機器300から取り外し可能なSDカード等が用いられ、撮影された画像の画像データ等を保存する。なお、記録部は、上記したメモリ120や記憶媒体140以外を含んで構成されてもよい。
モニタ150は、例えば、液晶ディスプレイであり、撮影された画像、メモリ120に記憶された画像、記憶媒体140に記憶された画像及びメニュー画面等を表示する。操作部160は、レリーズボタンやモニタ150に形成されたタッチパネルが用いられ、撮像装置300を動作させるために、ユーザにより操作される。
このように、電子機器300によれば、上記した撮像素子100を備えるため、画像信号の読み取り時間を短縮化しつつ、S/N比の高い画像を取得することができる。なお、電子機器300は、他の携帯端末等との通信装置を備えてもよい。この場合、画像データを他の携帯端末に送信し、この携帯端末において画像を表示させてもよい。従って、電子機器300は、モニタ150を備えなくてもよい。
以上、実施形態及び変形例について説明したが、本発明の技術範囲は上記説明に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。上記した実施形態及び変形例を組み合わせたものでもよい。例えば、第1実施形態に示すように電荷電圧変換部FDの第1領域FDsの幅が第2領域FDtより大きい構成に加えて、第5実施形態に示すように第1領域FDHsの深さDsが第2領域FDtの深さDtより深くなるように構成してもよい。
また、上記した各電荷電圧変換部において、転送部のドレインに接続する第1領域の不純物濃度を、第2領域の不純物濃度よりも高くしてもよい。これにより、電荷の転送速度を向上できる。また、第1領域の不純物濃度を高くすることにより、不純物がゲートの下方まで拡散する。これにより、チャネル長を短くすることができ、電荷を効率よく転送できる。
また、上記した電子機器300では、メカニカルシャッタにより光電変換部PDの露光が制御される例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、光電変換部PDの露光は、グローバル電子シャッター等により制御されてもよい。この場合にも、上記した電子機器300と同様の効果を得ることができる。
また、上記した実施形態及び変形例では、撮像素子として裏面照射型が適用されてもよい。さらに、一部又は全部のトランジスタや配線が、光電変換部PDが形成された基板と異なる基板に形成され、これら基板が積層された積層型の撮像素子であってもよい。