JP2015114639A - 電子楽器、プログラム及び楽音信号生成方法 - Google Patents

電子楽器、プログラム及び楽音信号生成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 複数の発音指示に応じてそれらに対応する楽音信号を3以上の音色で生成できるようにしつつ、使用する音色の数や種類を発音指示操作に応じて容易に選択できるようにする。
【解決手段】 操作状態検出部32が、それぞれ音高と対応する複数の操作部が受け付けた発音指示を検出し、基準音高決定部33が、その発音指示の音高に基づき基準音高を決定し、分割点設定部34が、その基準音高から所定音高離れた位置に、上記各操作部と対応する音域を分割するための分割点を複数設定し、音色設定部37が、分割により生成される部分音域毎に音色を設定し、音域判定部38が、上記受け付けた発音指示の音高の楽音信号を、その音高が属する部分音域に設定された音色で楽音生成部39に生成させるようにした。
【選択図】 図2

Description

この発明は、それぞれ音高と対応した複数の操作部が受け付けた発音指示に基づき楽音信号を生成する電子楽器、コンピュータにこのような楽音信号生成機能を実現させるためのプログラム、および、それぞれ音高と対応した複数の操作部が受け付けた発音指示に基づき楽音信号を生成する楽音信号生成方法に関する。
従来から、電子楽器において、鍵盤の操作に応じて複数の音色の楽音信号を生成できるようにすることが知られている。
例えば、特許文献1には、鍵盤の押鍵状態に基づいて基準となる押鍵情報を検出し、その基準となる押鍵情報から所定音程範囲内に属する押鍵情報とそれ以外の押鍵情報とを弁別し、前者の押鍵情報に対応する楽音をメロディ音として楽音形成し、後者の押鍵情報に対応する楽音を伴奏音として楽音形成することが記載されている。
特許文献2には、押鍵されたノートに、押鍵数に応じた規則で所定数のパートを割り当て、各ノートを、そのノートに割り当てたパートの音色で発音させることが記載されている。
これらの技術を利用することにより、伴奏とメロディを異なる音色で発音させる演奏を、1つの鍵盤により行うことができ、変化に富んだ演奏が可能になる。また、伴奏とメロディの境界となる音高が演奏中に移動する場合でも、特段の切替操作を行うことなく、演奏に追随して伴奏とメロディの楽音を出力することができる。
特開昭57−13489号公報 特開2010−79178号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、2種類の音色の楽音しか生成することができなかった。このため、アンサンブルで伴奏又はメロディを演奏したいという要求には応えることができなかった。
また、特許文献2に記載の技術は、押鍵数によらず常に一定数のパート(例えば4パート)の楽音を生成するものである。1つのパートで複数音発音する場合もある。このため、楽曲の特定の部分で特定のパートの演奏を一旦休止するといった、柔軟なパート切り替えができないという問題があった。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、それぞれ音高と対応した複数の操作部が受け付けた発音指示の音高に基づき楽音信号を生成する場合において、複数の発音指示に応じてそれらに対応する楽音信号を3以上の音色で生成できるようにしつつ、使用する音色の数や種類を発音指示操作に応じて容易に選択できるようにすることを目的とする。なお、演奏に使用する操作部は鍵盤には限られない。
上記の目的を達成するため、この発明の電子楽器は、それぞれ音高と対応しその音高の発音指示を受け付けるための複数の操作部が受け付けた発音指示の音高に基づき、基準音高を決定する基準音高決定手段と、上記基準音高から所定音高離れた位置に、上記各操作部と対応する音域を分割するための分割点を複数設定する分割点設定手段と、上記分割により生成される部分音域毎に音色を設定する音色設定手段と、上記受け付けた発音指示の音高の楽音信号を、その音高が属する部分音域に設定された音色で生成する楽音信号生成手段とを設けたものである。
このような電子楽器において、固定モードのオンオフの切替操作を受け付ける第1受付手段と、上記固定モードがオンされている間は、上記分割点をそのオン時点の位置に固定する固定手段とを設けるとよい。
さらに、上記基準音高決定手段が、発音指示又はその解除をいずれかの操作部が受け付ける度に上記基準音高の決定を行い、上記分割点設定手段が、上記基準音高が変化する度に上記分割点の設定を行い、上記楽音信号生成手段が、上記分割点の設定に伴い、発音指示又はその解除に応じて楽音信号を生成中の音高が属する部分音域が変化した場合に、その音高について生成する楽音信号の音色を、その変化後の部分音域に設定された音色に変更するようにするとよい。
さらに、ユニゾンモードのオンオフの切替操作を受け付ける第2受付手段を設け、上記楽音信号生成手段が、上記ユニゾンモードがオンされている間は、上記受け付けた発音指示の音高のうち所定の基準で選択した1つの音高の楽音信号を、各部分音域に設定された音色でそれぞれ生成するようにするとよい。
さらに、上記音色設定手段が、上記部分音域毎に設定する音色として、複数音高の同時発音を許可しない音色であって、第1の音色と、その第1の音色と異なる第2の音色とを含むモノ音色を設定可能とし、上記楽音信号生成手段が、モノ音色が設定された部分音域に属するある音高の発音指示がなされた時にその部分音域に属する他の音高の発音指示がなされていなければ、そのある音高の楽音信号を、その音高が属する部分音域に設定されたモノ音色に含まれる第1の音色で生成し、モノ音色が設定された部分音域に属するある音高の発音指示が解除される前にその部分音域に属する他の音高の発音指示がなされたことを検出した場合に、その他の音高の楽音信号を、その音高が属する部分音域に設定されたモノ音色に含まれる第2の音色で生成するようにするとよい。
この発明は、装置として実現する他、プログラム、方法、システム、その他任意の形態で実現することができる。
以上のようなこの発明の電子楽器、プログラム及び楽音信号生成方法によれば、それぞれ音高と対応した複数の操作部が受け付けた発音指示の音高に基づき楽音信号を生成する場合において、複数の発音指示に応じてそれらに対応する楽音信号を3以上の音色で生成できるようにしつつ、使用する音色の数や種類を発音指示操作に応じて容易に選択できるようにするようにすることができる。
本発明の一実施形態である電子楽器のハードウェア構成を示すブロック図である。 図1に示した電子楽器における、分割点の設定及び、部分音域を用いた発音音高及び発音音色の決定に関連する機能の機能ブロック図である。 分割点による音域分割の例を示す図である。 部分音域と対応する音色の設定例を示す図である。 図1に示した電子楽器においてCPUが実行する処理を示すフローチャートである。 図5の続きの処理のフローチャートである。 図6の続きの処理のフローチャートである。 図5乃至図7の処理に従った発音の具体例を示す図である。 その別の例を示す図である。 そのさらに別の例を示す図である。 そのさらに別の例を示す図である。 そのさらに別の例を示す図である。 そのさらに別の例を示す図である。 分割点による音域分割の別の例を示す図である。 分割点による音域分割のさらに別の例を示す図である。
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
〔実施形態:図1乃至図13〕
図1は、本発明の一実施形態である電子楽器のハードウェア構成を示すブロック図である。
図1に示すように、電子楽器10は、CPU11、ROM12、RAM13、記憶装置14、通信インタフェース(I/F)15、検出回路16、表示回路17、音源回路18を備え、これらをシステムバス19により接続している。また、電子楽器10は、CPU11に接続するタイマ21、検出回路16に接続する演奏操作子22及び設定操作子23、表示回路17に接続するディスプレイ24、音源回路18に接続するDAC(デジタルアナログ変換回路)25及びサウンドシステム26も備える。
そして、CPU11が、RAM13をワークエリアとしてROM12又は記憶装置14に記憶された所要のプログラムを実行することにより、電子楽器10全体を制御し、演奏操作の検出、演奏操作子の操作状態に応じた分割点の設定、その設定に従った楽音信号生成の制御等の各種機能を実現する。CPU11に接続されるタイマ21は、基本クロック信号、割り込み処理タイミング等をCPU11に供給する。
なお、ROM12には、上記のプログラムの他、音色に対応する波形データや自動演奏データ、自動伴奏データ(伴奏スタイルデータ)などの各種データファイル、各種パラメータ及び各種テーブル等も記憶する。
RAM13は、フラグ、レジスタ、各種パラメータ等を記憶するCPU11のワークエリアの他、再生バッファ等のバッファ領域としても用いる。
記憶装置14は、ハードディスク、半導体メモリ等の記録媒体とその駆動装置の組み合わせの少なくとも1つで構成される。
通信I/F15は、サーバ、音響機器、外部コントローラ等の外部装置と通信を行うためのインタフェースであり、有線、無線を問わず、任意の規格の通信手段を用いて構成することができる。例えば、USB(Universal Serial Bus)やMIDI(Musical Instrument Digital Interface)_I/Fを用いることが考えられる。
検出回路16は、演奏操作子22及び設定操作子23をシステムバス19に接続するためのインタフェースである。
演奏操作子22は、検出回路16に接続され、ユーザの演奏操作に従い、演奏情報(演奏データ)を供給する。演奏操作子22は、ユーザの演奏操作を受け付けるための、それぞれ音高と対応する複数の操作部を備える。そして、該ユーザの操作部に対する操作開始タイミング及び終了タイミングを、それぞれユーザが操作した操作部に対応する音高の情報を含むキーオンデータ及びキーオフデータとして、検出回路16を通じてCPU11に供給する。また、演奏操作子22は、ユーザの演奏操作に応じてベロシティ値等の各種パラメータを供給することも可能である。
また、設定操作子23は、例えば、ボタン、スライダ、ロータリーエンコーダ、文字入力用キーボード、マウス等、ユーザの入力に応じた信号を出力できるものならどのようなものでもよい。また、設定操作子23は、ディスプレイ24上に表示されるGUI(Graphical User Interface)に対する操作を行うためのポインティングデバイスや、ディスプレイ24に積層したタッチパネルでもよい。
いずれにせよ、ユーザは、設定操作子23を用いて、各種入力及び設定、選択をすることができる。
また、この設定操作子23には、後述するモードを選択するための操作子も含む。このモード選択のための操作子としては、上述したボタン等の他、ペダル、ブレスコントローラなどを用いることもできる。演奏操作子22の一部を、モード選択用の設定操作子23として用いることができるようにしてもよい。
表示回路17は、ディスプレイ24をシステムバス19に接続するためのインタフェースである。
ディスプレイ24は、電子楽器10の設定のための各種情報や、電子楽器10の動作状態等を表示するための表示手段であり、例えば液晶表示装置や発光ダイオード(LED)等により構成することができる。
音源回路18は、CPU11からの楽音信号生成指示に応じて、複数の発音ch(チャンネル)でそれぞれ楽音信号(デジタル波形データ)を生成する機能を備える。CPU11からの楽音信号生成指示には、音色、音高、音量等の指定が含まれる。CPU11は、演奏操作子22の演奏操作を検出した場合に、その演奏操作に応じて発音又は発音停止させるべき音高及び音色を選択し、その選択に従った発音又は発音停止を音源回路18に指示する。その詳細については後述する。
なお、音源回路18は、記憶装置14、ROM12又はRAM13等に記録された波形データ、オーディオデータ、自動伴奏データ、自動演奏データ又は、通信I/F15に接続された外部機器等から供給される演奏信号、MIDI信号、フレーズ波形データ等に応じて楽音信号を生成することも可能である。また、音源回路18は、生成した楽音信号に各種音楽的効果を付加する機能も備える。
そして、音源回路18は、生成した楽音信号をDAC25に出力する。DAC25はこの楽音信号をアナログ音響信号に変換し、DAC25に接続されているサウンドシステム26に供給する。サウンドシステム26は、アンプ、スピーカを含む発音手段であり、DAC25から供給されるアナログ音響信号を、発音出力する。DAC25及びサウンドシステム26は、電子楽器10の外部にあってもよい。
以上の電子楽器10において、特徴的な点は、発音指示の可能な音域を分割する分割点(スプリットポイント)の設定と、その分割点による分割で生成される部分音域を用いた発音音高及び発音音色の決定に関する点である。そこで、次にこれらの動作についてより具体的に説明する。
図2に、電子楽器10における、分割点の設定及び、部分音域を用いた発音音高及び発音音色の決定に関連する機能の機能ブロック図を示す。
図2に示すように、電子楽器10は、発音指示受付部31、操作状態検出部32、基準音高決定部33、分割点設定部34、モード設定指示受付部35、モード設定部36、音色設定部37、音域判定部38、楽音生成部39、出力部40を備える。これらのうち、発音指示受付部31の機能は演奏操作子22及び検出回路16により実現され、モード設定指示受付部35の機能は設定操作子23及び検出回路16により実現され、楽音生成部39の機能は音源回路18により実現され、出力部40の機能はサウンドシステム26により実現される。他の各部の機能はCPU11により実現される。
そして、発音指示受付部31は、ユーザによる発音指示操作を受け付ける機能を備える。例えば、演奏操作子22である鍵盤がいずれかの鍵の押鍵操作(発音開始操作)を受け付けると、発音指示受付部31はこれを検出し、操作状態検出部32に対し、押鍵操作があったこと及び押鍵された鍵の音高であるノートナンバを示す操作信号であるキーオンデータを送信する。離鍵操作(発音停止操作)を受け付けた場合には、同様に離鍵操作があったこと及びその鍵のノートナンバを示すキーオフデータを送信する。
なお、以下の説明において、押鍵のように発音開始を指示するための操作を「キーオン操作」、離鍵のように発音停止を指示するための操作を「キーオフ操作」と呼ぶことにする。また、キーオン操作からキーオフ操作までの状態を、「操作中」と呼ぶことにする。鍵盤の鍵で言えば、「押鍵中」がこれに該当する。ただし、発音開始の指示があった場合でも、必ずしも実際に発音が開始されるとは限らない。一定の音高について発音を行わない設定を可能としたり、同時発音数に制限を設けたりすることがあり得るためである。
操作状態検出部32は、発音指示受付部31から送信される操作信号に基づき、現在の演奏操作子22の操作状態(鍵盤であれば押鍵状態)を検出する。より具体的には、操作中の(鍵の)音高を求める。この押鍵状態は、例えば、キーオンデータに含まれるノートナンバを操作中の音高のリストに追加し、キーオフデータに含まれるノートナンバを操作中の音高のリストから削除することにより求めることができる。また、この操作中の音高のリストは、現に発音指示がなされている音高を示す。ある鍵が押鍵されてリストに登録されると、その鍵の音高について発音指示がなされたことになる。ある鍵が離鍵されてリストから削除されると、その鍵の音高について発音指示が解除されたことになる。
そして、操作状態検出部32は、キーオンデータ又はキーオフデータを受信した場合には、検出した操作状態の情報を、基準音高決定部33及び音域判定部38に供給する。基準音高決定部33へは、キーオンデータ及びキーオフデータ自体も供給するとよい。
なお、人が演奏を行う場合には、同時に複数の鍵の操作を行ったつもりでも、寸分違わず同じタイミングでその操作を行うことは困難である。そこで、複数の操作のタイミング差が同時操作とみなせる程度の所定閾値(例えば15〜30ミリ秒程度)以内であれば、それらの操作は同時に行われたものとみなして取り扱うことが望ましい。ここではこの取り扱いをするとして説明する。ある鍵のキーオン操作と別の鍵のキーオフ操作が同時に行われることもあり得る。
また、操作状態検出部32は、必要に応じて演奏操作子22の過去の操作状態の情報を履歴として保持しておき、現在の操作状態の情報と合わせて基準音高決定部33や音域判定部38に供給してもよい。
次に、基準音高決定部33は、操作状態検出部32から供給される演奏操作子22の操作状態の情報に基づき、分割点設定の基準となる基準音高を決定する機能を備える基準音高決定手段である。
基準音高は、現在操作中の演奏操作子の音高に基づき、任意のアルゴリズムに従って決定する。例えば、操作中の音高のうち最高音、最低音、下からn番目の音、上からn番目の音等である。また、操作中の最高音よりn半音下、最低音よりn半音上など、操作された音高そのものでなくてもよい。過去の操作状態の情報を加味したアルゴリズムとすることも妨げられない。ここでは、現在操作中の演奏操作子の音高のうち最低音を基準音高に決定するとする。
基準音高決定部33は、演奏操作子22の操作状態が変化する度に、この基準音高の決定を行うとよい。そして、基準音高決定部33は、決定した基準音高の情報を分割点設定部34に供給する。ただし、後述する分割固定モードにおいては、基準音高決定部33は基準音高の決定を新たに行わない。従って、演奏操作子22の操作状態が変化しても分割点設定部34における分割点の設定は変更されず、固定される。
次に、分割点設定部34は、基準音高決定部33から供給される基準音高の情報に基づき、該基準音高から所定音高離れた位置に分割点を複数設定する機能を備える分割点設定手段である。この分割点は、演奏操作子22により発音指示の可能な音域、すなわち演奏操作に従って楽音信号を生成可能な音域を、複数の部分音域に分割するための境界である。
図3に、分割点による音域分割の例を示す。
この例では、N1〜N4の4つの鍵が押鍵中であり、そのうち黒丸で示す最低音のN1の音高を基準音高として、そこから3半音上、6半音上及び9半音上に、それぞれ分割点SP1〜SP3を設定している。3半音毎に3つの分割点を設定したということができる。なお、基準音高はいずれかの鍵と対応する音高であるが、分割点は、音高と音高の間に設定する。従って正確には、例えば分割点SP1は、基準音高の2半音上と3半音上の間に設定した、ということになる。
そして、最も低音側の分割点SP1より低音の音域が第1部分音域、分割点SP1とそのすぐ高音側の分割点SP2との間の音域が第2部分音域、分割点SP2とそのすぐ高音側の分割点SP3との間の音域が第3部分音域、最も高音側の分割点SP3よりも高音側音域が第4部分音域、というように、音域の分割を行う。
そして、後述のように、この部分音域毎に音色を予め設定しておき、発音指示と対応する楽音生成を、その操作に係る音高が属する部分音域に設定された音色で行う。
なお、どの音高がどの部分音域に属するかは、分割点の設定に応じて随時変化する。従って、ある鍵の音高が、押鍵開始時には第2部分音域に属していたが、押鍵中にその音高が第3部分音域に変わる、といったこともあり得る。
また、各分割点の間隔は等間隔である必要はないし、ユーザが演奏中に随時変更できるようにしてもよい。この点については後に変形例として述べる。
いずれにせよ、分割点設定部34は、基準音高が変化する度に分割点の設定を行い、設定した分割点の情報を音域判定部38に供給する。
次に、モード設定指示受付部35は、ユーザによるモード設定指示操作を受け付ける機能を備える第1受付手段及び第2受付手段である。この受け付けに用いる操作子は、設定操作子23の一部であり、ここでは図3に示した分割固定モード設定ボタン41及びユニゾンモード設定ボタン42である。上述のようにこれらの操作子はボタンでなくても構わないが、ここではボタンであるとして説明する。
そして、分割固定モード設定ボタン41又はユニゾンモード設定ボタン42がオン操作(押下)又はオフ操作(押下解除)されると、モード設定指示受付部35はこれを検出し、モード設定部36に対し、操作されたボタンの種類及びオン/オフの区別を示す操作データを供給する。
モード設定部36は、モード設定指示受付部35から供給される操作データに基づき、電子楽器10の動作モードを設定する。ここでは、分割固定モード設定ボタン41がオンされている間は分割固定モードを設定し、ユニゾンモード設定ボタン42がオンされている間はユニゾンモードを設定する。これらのモードは互いに独立に設定及び解除を行うことができる。
分割固定モードは、分割点の設定を変更せずに固定するモードである。分割固定モードが設定されている間は、分割点の設定は、演奏操作子22の操作状態によらず、分割固定モードがオンになった時点の位置に固定される。モード設定部36は、固定手段として機能し、この分割固定モードの設定及び解除の情報を基準音高決定部33に供給する。
ユニゾンモードは、発音指示がなされている音高の1つについて、各部分音域に設定された音色でそれぞれ発音させるユニゾン演奏を行うモードである。この場合、該当の音高がどの部分音域に属しているかは考慮しない。また、複数の発音指示がなされている場合にそのうちのどの音高について発音を行うかは、適当なアルゴリズムに従い定めればよい。後着優先、高音優先、低音優先等を用いることが考えられる。モード設定部36は、このユニゾンモードの設定及び解除の情報を音域判定部38に供給する。
次に、音色設定部37は、上述の部分音域毎に楽音信号の生成に用いる音色を設定する機能を備える音色設定手段である。この設定は、ユーザの操作に従い、又は楽曲や演奏環境のデータに従って自動的に行うことができる。また、実際に部分音域が存在しているか否かに関わらず、該当の部分音域が生じた場合に使用する音色、として設定を行うことができる。
図4に、この音色の設定例を示す。
図4において、「音域ID」は、部分音域を特定するための識別情報である。ここでは、1〜4がそれぞれ図3を用いて説明した第1〜第4部分音域を示す。
「音色ID」は、該当部分音域に設定する音色を特定するための識別情報である。音色の具体的な内容(波形など)を示す音色データは、別途ROM12に記憶させる。逆に言えば、ROM12に記憶されている音色から1つを選択してここに登録する。
なお、各音色には、通常発音用の波形データ(第1の音色:通常音色)と、レガート発音用の波形データ(第2の音色:レガート音色)とが含まれていることが望ましいが、これに限られることはない。レガート音色は、レガート奏法による発音間の滑らかなつながりを表現するための音色であり、例えば通常発音よりもアタックの弱い音色である。しかし、通常音色とレガート音色で共通の波形データを用い、アタックレートのみ変化させる他、波形データ自体別のものを用意することも考えられる。なお、レガート音色を用意すること自体必須ではなく、そもそもレガート音色が用意されていなくてもよい。
「ポリ/モノ」は、該当部分音域に設定する音色を、複数音高の同時発音を許可するポリ音色とするか、同時に1音高のみの発音を許可するモノ音色とするかを設定する情報である。ただし、このポリ/モノを示す情報が、音色IDにより特定される音色データに含まれている場合には、音色設定部37がそれと別に設定する必要はない。
「記号」は、図8乃至図13において、該当の音色と対応する発音を示す記号を参考用に記載したものであり、この情報は、電子楽器10が用いる情報ではない。
音色設定部37は、以上の音色の設定に係る情報を、音域判定部38に供給する。
次に、音域判定部38は、操作状態検出部32から供給される演奏操作子22の操作の情報と、分割点設定部34から供給される分割点の情報と、音色設定部37から供給される音色の設定の情報と、モード設定部36から供給されるユニゾンモードの情報とに基づき、演奏操作子22の操作に従って発音開始又は発音停止すべき音高及びその音色を決定する機能を備える。また、音域判定部38は、楽音生成部39に対し、その決定に従った発音開始又は発音停止を指示する機能も備える。この決定を行うために、必要に応じて、現在発音中の楽音の音高及び音色の情報を保持しておくとよい。
上記の決定は、概略としては、キーオン操作があった場合に、その音高の楽音信号を、その音高が属する部分音域に設定された音色で生成開始(発音開始)し、キーオフ操作があった場合に、その音高の楽音信号の生成を停止(発音停止)するものである。しかし、設定されているモードや分割点の移動に応じて種々の変更が加わるため、その詳細については図5乃至図7の説明において後述する。
楽音生成部39は、m個の発音chTC1〜TCmを備える(発音chの個体を特定する必要がない場合は符号「TC」を用いる)。そして、音域判定部38から発音開始の指示を受けると、発音中でない発音chを検索し、発見した発音chにて、発音開始要求で指定された音高及び音色の楽音信号を生成(発音)させる。
また、楽音生成部39は、音域判定部38から特定の音高の発音を停止するよう指示された場合に、発音chTCの中からその音高の発音を行っているものを検索し、その発音chに発音を停止させる機能も備える。この停止には、リリース状態への移行も含まれる。
そして、楽音生成部39は、各発音chTCが生成した音響信号をミキシングして出力部40に供給し、楽音の出力を行わせる。
以上の音域判定部38及び楽音生成部39が、楽音信号生成手段に該当する。
次に、図2に示した機能のうち、CPU11が担う機能を実現するためにCPU11が実行する処理について説明する。
図5乃至図7は、そのうちキーオンデータ及び/又はキーオフデータ受信時の処理のフローチャートである。
CPU11は、検出回路16からキーオンデータ及び/又はキーオフデータを受信した場合に、所要のプログラムを実行することにより図5のフローチャートに示す処理を開始する。なお、所定閾値以内のタイミング差で行われた操作を同時操作とみなすことは上述の通りである。
図5の処理において、CPU11はまず、受信したデータに従い、演奏操作子22において現在押鍵中の鍵を示す押鍵リスト及びその履歴である押鍵履歴を更新する(S11)。
次に、CPU11は、分割固定モードが設定されているか否か判断し(S12)、設定されていない場合、今回検出した操作に応じて分割点の設定を行うべく、ステップS13以下の処理に進む。
ここではまず、CPU11は、押鍵リストに登録されている押鍵中の鍵の音高から、基準音高を決定する(S13)。決定手法は、基準音高決定部33の説明で述べた通りである。この処理が、基準音高決定手順の処理であり、基準音高決定手段の機能と対応する。
次に、CPU11は、この決定により基準音高が変化していれば(S14のYes)、変化後の基準音高を基準に複数の分割点を設定する(S15)。設定手法は、分割点設定部34の説明で述べた通りである。この処理が、分割点設定手順の処理であり、分割点設定手段の機能と対応する。
なお、ステップS14の判断は、図5のフローを起動するトリガーとなった操作が、すでに押鍵がある状態での追加キーオン操作又はキーオフ操作の場合、直前の押鍵状態における基準音高と、現在の基準音高とが異なればYes、同じならNoとなる。また、何も押鍵がない状態からの最初のキーオン操作であった場合は、ステップS14の判断は必ずYesとしてもよいし、最後に設定された基準音高を記憶しておいて、それと異なるか否かによってYes/Noを判定してもよい。
次に、CPU11は、押鍵中の音高に、ステップS15での分割点の移動に伴いそれまでと異なる部分音域に属することになった音高、すなわち属する部分音域が変化した音高があるか否か判断する(S16)。もしあれば、該当の音高について生成する楽音信号の音色を、変化後の部分音域に設定された音色に変更すべく、該当音高の発音を一旦停止させ、該当音高が変化後に属する部分音域に設定された音色で該当音高の発音を開始することを決定する(S17,S18)。ステップS16で複数の音高が該当する場合には、そのそれぞれについてステップS17及びS18の処理を行う。
この処理により、ある音高の押鍵中に分割点の位置が移動した場合でも、常に最新の分割点に従って押鍵と対応する発音を行うことができる。以上で分割点の設定に係る処理を終了し、ステップS19以下に進む。
ステップS12で分割固定モードである場合、分割点の設定は行わないため、ステップS18までの処理をスキップしてステップS19に進む。この処理が、固定手段の機能と対応する処理である。
ステップS14で基準音高が変化していない場合も、分割点の設定は行わないため、ステップS18までの処理をスキップしてステップS19に進む。ステップS16でNoの場合、分割点の変更に伴う発音の変更は不要であるので、ステップS17及びS18をスキップしてステップS19に進む。
次に、CPU11は、検出した操作にキーオフが含まれているか否か判断し(S19)、含まれている場合、そのキーオフ操作に係る音高が発音中であればその発音停止を決定する(S20)。これは、キーオフ操作に応じて発音を停止するための処理であるが、既に後着優先処理等の何らかの理由でキーオフ前に発音が停止されている場合には、改めて停止を行う必要はないため、ステップS20で発音中か否かを確認するようにしている。
ステップS19でNoの場合、ステップS20をスキップしてステップS21に進む。
次に、処理は図6に示す部分に進み、CPU11は、検出した操作にキーオンが含まれているか否か判断する(S21)。そして、ここで含まれていれば、キーオン操作に応じた発音の制御に係る処理であるステップS22乃至S32の処理に進む。
ここでは、CPU11はまずユニゾンモードが設定されているか否か判断する(S22)。設定されていなければ、通常の発音制御に係るステップS23乃至S30の処理に進む。そして、各部分音域を順次処理対象としつつ(S23,S30)、ステップS24乃至S29の処理を繰り返す。
すなわち、CPU11はまず、処理対象の部分音域にキーオン操作があったか否か判断する(S24)。そして、あった場合、次に処理対象の部分音域に設定されている音色がモノ音色であるか否か判断する(S25)。
そして、モノ音色である場合、CPU11は、処理対象の部分音域に、今回キーオン操作された音高のほかにも押鍵中の音高があるか否かを判断する(S26)。モノ音色は同時に1つの音高しか発音できないため、ステップS26でYesである場合、CPU11は、該当の他の音高の発音を停止させると共に、処理対象の部分音域において検出したキーオン操作に係る音高の発音開始を行うことを決定する(S27,S28)。発音開始は、もちろん、処理対象の部分音域に設定された音色で行う。また、キーオン操作を複数の音高について検出していた場合、そのうち1つの音高を適当なアルゴリズムに従って選択し、その音高について発音開始を行うようにする。
一方、ステップS26でNoである場合、発音停止は不要であるので、ステップS27をスキップしてステップS28に進む。
ステップS25でNoである場合には、同時発音数の制約はないため、単に、処理対象の部分音域において検出したキーオン操作に係る音高の、処理対象の部分音域に設定された音色での発音開始を行うことを決定する(S29)。ここでは、キーオン操作を複数の音高について検出していた場合でも、その各音高について発音開始を行うことを決定する。
そして、ステップS28又はS29の後、ステップS30に進み、未処理の部分音域がなくなるまでステップS23に戻って処理を繰り返す。ステップS24でNoの場合、処理対象の部分音域についてこれ以上の処理は不要であるので、ステップS25乃至S29をスキップしてステップS30に進む。そして、ステップS30でNoとなると、処理は図7に示すステップS33以下に進む。
また、ステップS22でユニゾンモードである場合、CPU11は、発音中の全音高の発音を停止させると共に、検出したキーオン操作に係る音高について、各部分音域に設定された音色それぞれでの発音開始を行うことを決定する(S31,S32)。キーオン操作を複数の音高について検出していた場合、そのうち1つの音高を適当なアルゴリズムに従って選択し、その音高について発音開始を行うようにする。
ユニゾンモードの場合、全音域中で1つの音高のみ発音させるため、ステップS31の処理を行い、キーオン操作時点で発音中の楽音を全て停止させるようにしたものである。従って、発音中の楽音がない場合には停止を行う必要はない。また、ステップS31及びS32の処理は発音音高を押鍵順の後着優先で決定する場合の処理であり、他のアルゴリズムを用いる場合、それまでの発音を継続し、今回のキーオン操作と対応する発音開始を行わないこともあり得る。
ステップS32の後、処理は図7に示すステップS33以下に進む。
次のステップS33乃至S37は、発音開始する音色を通常音色とするかレガート音色とするかを決定するための処理であり、CPU11は、ここまでに行った発音開始の決定を順次処理対象としつつ(S33,S37)、ステップS34乃至S36の処理を繰り返す。
すなわち、CPU11は、ここまでの処理において、処理対象の発音開始決定と同じ音色の発音について発音停止を決定したか否かを判断する(S34)。そして、これがYesであれば、処理対象の発音開始決定に係る発音をレガート音色で行うことを決定する(S35)。Noであれば、その発音を通常音色で行うことを決定する(S36)。レガート音色のない音色で発音を行う場合には、ステップS34の判断結果によらず通常音色で発音を行えばよい。
なお、ステップS34でYesになるのは、典型的には、モノ音色を用いる部分音域内でレガート奏法の(前の鍵を離す前に次の鍵を押鍵する)演奏が行われた場合である。この場合、ステップS27及びS28で同じ音色の発音停止と発音開始が決定される。キーオフとキーオンを同時に検出した場合には、ステップS20で発音停止が決定される場合もあるが、この場合にはレガート奏法とみなさず通常音色を用いることも考えられる。
また、分割点の移動に伴い、ある部分音域に、それまでと別の押鍵に係る音高が属することになった場合も考えられる。この場合、ステップS17及びS18で同じ音色の発音開始と発音停止が決定される。これらの具体例については、図8乃至図11を用いて後述する。
いずれの場合も、ステップS37で未処理の発音開始決定がなくなるまでステップS33に戻って処理を繰り返し、なくなった場合に処理はステップS38に進む。
そして、CPU11は、ここまでに決定した発音停止及び発音開始を楽音生成部39に指示して(S38)、処理を終了する。
以上の処理において、ステップS21乃至S38の処理が、楽音信号生成手段の機能(の一部)と対応する処理である。
電子楽器10においては、CPU11が以上の処理を実行することにより、演奏操作子22により受け付けた発音指示の音高の楽音信号を、その音高が属する部分音域に設定された音色で生成し、発音を行うことができる。
この場合において、最大で分割点の数+1だけの音色で同時に発音を行うことができる一方、部分音域内で押鍵がなければ、(ユニゾンモードの場合を除き)その部分音域と対応する音色での発音は行われない。従って、演奏者は、いくつの部分音域あるいはどの部分音域で押鍵を行うかによって、発音させる音色の数や種類を、容易に選択することができる。音色は演奏のパートとも考えることができる。
また、押鍵された鍵のうち、最低音、最高音など特定の1つの音高を基準音高として分割点を設定すれば、演奏者は、演奏の各時点で適切な部分音域を容易に設定することができる。このとき、よく用いられる和音(メジャー、マイナー、セブンス、マイナーセブンス等)の各音高がそれぞれ異なる部分音域に属するように基準音高の選択アルゴリズム及び分割点の間隔を定めれば、演奏者は、和音の演奏操作を続けて行うだけで、各音が複数パートに分散した演奏を行うことができる。これは、和音の各音が各パートに対応したアンサンブルの演奏に該当するものである。図3に示したように最低音を基準音高として3半音間隔で分割点を設定すれば、概ね上記のアンサンブル演奏が可能である。また、このために特段複雑な処理を行う必要もない。
次に、図5乃至図7の処理に従った発音の具体例について、図8乃至図13を用いて説明する。図8乃至図13において、横軸が時間、縦軸が音高を示す。時間は、左から右に進むに従って経過し、音高は、上側ほど高い音であるとする。鍵操作の欄に示した帯が、各音高の鍵を押鍵している期間を示す。発音の欄に示した矢印が、これと対応する発音を示す。また、分割点は、図3に示したように最低音を基準音高として3半音間隔で分割点を設定するものとする。音色の設定は、図4に示したものであるとする。各発音の音色も、図4に示したように、矢印の根元の記号で示す。また、特に断らない限り、分割固定モード及びユニゾンモードは設定されていないとする。
図8に示すのは、C3、E3、G3、およびC4の鍵を、前の鍵を離さずに順次押鍵するアルペジオ演奏を行う場合の例である。
この場合、初めのC3が押鍵された後、押鍵の最低音は常にC3であるので、分割点の位置は、図3に示した状態から変化しない。そして、C3、E3、G3、およびC4は、それぞれ第1〜第4部分音域に属することから、押鍵中、電子楽器10は、それぞれの部分音域に設定された音色で発音が継続する。従って、押鍵数が増えるにつれて順次音色(パート)が増えるような演奏を行うことができる。
図9に示すのは、E3の押鍵が途中でレガート奏法によりF3の押鍵に移行する点が図8と異なる例である。F3とE3は、共に第2部分音域に属する。
この場合、第2部分音域の音色はモノ音色であり、F3の押鍵時点では、同じ部分音域のE3が発音中であるので、第2部分音域についてステップS26がYesとなり、電子楽器10は、E3の発音停止とF3の発音開始を決定する。そして、F3の発音開始についてステップS34がYesとなり、電子楽器10は、F3をレガート音色で発音開始する。図9でE3とF3の音高の矢印を続けて記載したのは、レガート音色を用いることを示したものである。
図10に示すのは、C3の押鍵を途中で離す点が図8と異なる例である。
この場合、C3の離鍵までは図8と同じであるが、C3の離鍵に伴い、最低音がE3となるため、電子楽器10は、E3を基準に分割点を再設定する。これに伴い、E3、G3、およびC4は、それぞれ第1〜第3部分音域に属することになるため、これらの音高は、それまでと違う音色で発音を継続することになる。
このとき、たとえばE3について見ると、C3の離鍵に伴う分割点の移動によって第2部分音域から第1部分音域へと変わるため、ステップS16でYesとなり、ステップS17で第2部分音域の音色(A.Sax)で発音していたE3の発音停止が決定され、ステップS18で第1部分音域の音色(Trumpet)でのE3の発音開始が決定される。ステップS20では第1部分音域で発音していたC3の発音停止が決定されるため、ステップS34がYesとなり、電子楽器10はE3をレガート音色で発音開始する。G3及びC4についても概ね同様である。
このため、図10の例では、最低音を離鍵操作する簡単な演奏操作で、3つのパートについて音高をシフトさせる演奏が可能となる。
図11に示すのは、C3の離鍵時に分割固定モード設定ボタン41をオンして分割固定モードを設定している点が図10と異なる例である。
この場合、電子楽器10は、C3の離鍵に伴い、最低音がE3となっても分割点の再設定は行わない。従って、押鍵が継続されるE3、G3、およびC4の各音は、そのまま発音を継続する。
従って、分割固定モードを設定することにより、基準音高を変化させるような鍵操作を行った場合でもそれまでと同じ音色での発音を継続することができる。図示は省略するが、1音ずつばらばらにアルペジオ演奏を行った場合でも、各音高の音を異なる音色で発音させることができる。
図12に示すのは、C4、G3、E3、およびC3の鍵を、前の鍵を離さずに順次押鍵するアルペジオ演奏を行う場合の例である。
この場合、押鍵が加わる毎に最低音が変化し、それに従って分割点の設定も変化する。C4の押鍵時点では、C4は第1分割点SP1よりも低音側にあり、第1部分音域に属する。しかし、G3が押鍵されると、C4は第1分割点SP1と第2分割点SP2の間の第2部分音域に属し、G3が第1部分音域に属することになる。
同様に、C4は、E3が押鍵された後では第3部分音域に、C3が押鍵された後では第4部分音域に属する。従って、押鍵が加わる度にC4の発音を行う音色が変わることになる。音色に注目してみると、例えば第1部分音域の音色は、C4→G3→E3→C3と、各時点での最低音の押鍵に係る音高の発音を行うことになる。音高変化時には、図10の場合と同様、レガート音色での発音となる。
このように、図12の例においても、低音の押鍵を順次追加する簡単な演奏操作で、各パートについて音高をシフトさせつつパート数を順次増加させる演奏が可能となる。
図13に示すのは、ユニゾンモード設定ボタン42をオンしてユニゾンモードを設定した状態でC3の鍵を押鍵し、その後、ユニゾンモードを解除してE3、G3、およびC4の鍵を同時に押鍵する場合の例である。
この場合、C3の押鍵時には、ユニゾンモードであるので、電子楽器10は、第1〜第4部分音域に設定された各音色でそれぞれ発音を開始する。すなわち、1つの音高で4パートの発音が行われる。この時点でC3を基準音高とする分割点の設定は行われているが、発音には反映されない。
その後、ユニゾンモードを解除した時点では、押鍵操作に変化がないのでそのまま発音を継続する。ただし、この時点で、発音をC3が属する第1部分音域の音色のみとしてもよい。
その後、E3、G3、およびC4が押鍵されると、電子楽器10は、これらの音高が属する部分音域に設定された音色で、これらの音高の発音を開始する。このとき、第2〜第4部分音域の音色については、同時にC3の発音を停止させていることから、ステップS34がYesとなり、レガート音色での発音となる。
このように、ユニゾンモードを用いることにより、全パートのユニゾン演奏とアンサンブル演奏とを適宜切り換えた演奏を、簡単な演奏操作で行うことができる。
〔変形例:図14,図15〕
以上で実施形態の説明を終了するが、装置の構成、演奏操作子を始めとする操作子の構成、処理に用いるデータの構成、具体的な処理の手順及びアルゴリズム等が上述の実施形態で説明したものに限られないことはもちろんである。
例えば、基準音高の決定及び分割点の設定のアルゴリズムを複数用意しておき、ユーザの操作に従って又は自動的に、それらの中から1つを選択して使用できるようにしてもよい。この場合において、左手(低音側)で複数パートの伴奏の演奏を行い、右手(高音側)で1パートのメロディの演奏を行うのに適したアルゴリズムと、左手で1パートの伴奏の演奏を行い、右手で複数パートのメロディの演奏を行うのに適したアルゴリズムを用意するとよい。各部分音域の音色も、アルゴリズムに合わせて、各パートの役割に合ったものを自動的に設定できるようにするとよい。
前者のアルゴリズムとしては、例えば、図14に示すように、押鍵中の最低音を基準音高とし、基準音高の3半音上、そのさらに3半音上、そのさらに7半音上に分割点を設定することが考えられる。
この場合、最も高音側の分割点SP3は、最低音から1オクターブ上となり、左手で第4部分音域の鍵を押鍵するのは難しい状態となる。従って、第4部分音域の音色は、実質的に、右手による押鍵と対応する発音にのみ用いられるようにすることができる。
逆に言えば、片手で同時に演奏できる範囲は1オクターブ程度に限られるため、この範囲を2〜3箇所の分割点で部分音域に分割すれば、自然に押鍵できる範囲の音を複数のパートに自然に振り分けた演奏が可能となると言える。また、最も高音側の部分音域とそれ以外の部分音域とをメロディと伴奏に振り分けた演奏も容易に行うことができる。
また、左手で概ね常時3音を押鍵しているのであれば、押鍵中の下から3番目の音高を左手の最高音と考え、そこから低音側へ向かって分割点を設定していくことも考えられる。
また、後者のアルゴリズムとしては、例えば、図15に示すように、押鍵中の下から2番目の音高を右手の最低音と考えてこれを基準音高とし、基準音高の1半音下、基準音高の3半音上、そのさらに3半音上に分割点を設定することが考えられる。このようにすれば、右手の最低音より低音側の第1部分音域の音色を、実質的に、左手による押鍵と対応する発音にのみ用いられるようにすることができる。また、右手の最低音より高音側については、図3等に示した例と同様に、自然に押鍵できる範囲の音を複数のパートに自然に振り分けた演奏が可能となる。また、押鍵中の最高音を基準音高として、低音側へ向かって分割点を設定していってもよい。
これらの場合にも、1オクターブ程度の範囲を2〜3箇所の分割点で部分音域に分割するとよいことは、左手側の場合と同様である。
なお、上述した実施形態においては、分割点の数を3としたが、分割点の数は任意でよい。ただし、演奏の多様性の観点から複数が好ましい。
また、各部分音域に設定する音色が、全ての部分音域について異なっている必要はない。部分音域と音色が対応付けられていれば、同じ音色を複数の部分音域に設定することも妨げられない。2つの部分音域に共通のモノ音色を設定し、モノ音色を用いて実質的に2音の同時発音を可能とする、といったことも考えられる。
また、音色につき、ポリ/モノの区別をすること、レガート音色と通常音色を含む音色とすることも必須ではない。
また、上述の実施形態においては、分割固定モード及びユニゾンモードの設定が可能な電子楽器について説明したが、これらのモードを備えることは必須ではない。一方又は両方のモードを利用できなくてもよい。
また、上述した実施形態では、演奏操作子が鍵盤であり、発音開始指示を押鍵操作により、発音停止指示を離鍵操作により行う例について説明した。しかし、演奏操作子の形態はこれに限られない。他の楽器の形状はもちろん、マトリクス状に操作部を配置したパッドなど、伝統的な楽器と全く異なる形状のユーザインタフェースを備える装置にもこの発明は適用可能である。この場合、発音開始指示及び発音停止指示は、そのユーザインタフェースの特性に応じた操作方法で受け付けることになる。
また、電子楽器10が演奏操作子を内蔵している必要もない。通信I/F15に接続された外部のコントローラから、演奏操作子の操作内容を示す演奏データを取得し、その演奏データに基づいて電子楽器10が各操作部の操作状態を把握することも考えられる。
また、汎用コンピュータのキーボードや、タッチパネルに表示したGUI(グラフィカルユーザインタフェース)を、演奏操作子として用いることも考えられる。この場合において、汎用コンピュータに図2等に示した各部の機能を実現させることにより、電子楽器として機能させることができる。また、いずれの場合でも、図2等に示した各部の機能を、複数の装置に分散して設け、それらを協働させて電子楽器10の機能を実現させることもできる。
この発明の実施形態であるプログラムは、1のコンピュータに、または複数のコンピュータを協働させて、図2等に示した各部の機能を実現させるためのプログラムである。
そして、このようなプログラムをコンピュータに実行させることにより、上述したような効果を得ることができる。
このようなプログラムは、はじめからコンピュータに備えるROMや他の不揮発性記憶媒体(フラッシュメモリ,EEPROM等)などに格納しておいてもよい。しかし、メモリカード、CD、DVD、ブルーレイディスク等の任意の不揮発性記録媒体に記録して提供することもできる。それらの記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータにインストールして実行させることにより、上述した各手順を実行させることができる。
さらに、ネットワークに接続され、プログラムを記録した記録媒体を備える外部装置あるいはプログラムを記憶手段に記憶した外部装置からダウンロードし、コンピュータにインストールして実行させることも可能である。
また、以上説明してきた実施形態及び変形例の構成は、相互に矛盾しない限り任意に組み合わせて実施可能であることは勿論である。
以上の説明から明らかなように、この発明によれば、それぞれ音高と対応した複数の操作部が受け付けた発音指示の音高に基づき楽音信号を生成する場合において、複数の発音指示に応じてそれらに対応する楽音信号を3以上の音色で生成できるようにしつつ、使用する音色の数や種類を発音指示操作に応じて容易に選択できるようにすることができる。
従って、この発明を適用することにより、電子楽器の利便性を向上させることができる。
10:電子楽器、11:CPU、12:ROM、13:RAM、14:記憶装置、15:通信I/F、16:検出回路、17:表示回路、18:音源回路、19:システムバス、21:タイマ、22:演奏操作子、23:設定操作子、24:ディスプレイ、25:DAC、26:サウンドシステム、31:発音指示受付部、32:操作状態検出部、33:基準音高決定部、34:分割点設定部、35:モード設定指示受付部、36:モード設定部、37:音色設定部、38:音域判定部、39:楽音生成部、40:出力部、41:分割固定モード設定ボタン、42:ユニゾンモード設定ボタン、SP1〜SP3:分割点、TC:発音ch

Claims (7)

  1. それぞれ音高と対応し該音高の発音指示を受け付けるための複数の操作部が受け付けた発音指示の音高に基づき、基準音高を決定する基準音高決定手段と、
    前記基準音高から所定音高離れた位置に、前記各操作部と対応する音域を分割するための分割点を複数設定する分割点設定手段と、
    前記分割により生成される部分音域毎に音色を設定する音色設定手段と、
    前記受け付けた発音指示の音高の楽音信号を、該音高が属する部分音域に設定された音色で生成する楽音信号生成手段とを備えることを特徴とする電子楽器。
  2. 請求項1に記載の電子楽器であって、
    固定モードのオンオフの切替操作を受け付ける第1受付手段と、
    前記固定モードがオンされている間は、前記分割点を該オン時点の位置に固定する固定手段とを備えることを特徴とする電子楽器。
  3. 請求項1又は2に記載の電子楽器であって、
    前記基準音高決定手段は、発音指示又はその解除をいずれかの操作部が受け付ける度に前記基準音高の決定を行い、
    前記分割点設定手段は、前記基準音高が変化する度に前記分割点の設定を行い、
    前記楽音信号生成手段は、前記分割点の設定に伴い、発音指示又はその解除に応じて楽音信号を生成中の音高が属する部分音域が変化した場合に、該音高について生成する楽音信号の音色を、該変化後の部分音域に設定された音色に変更することを特徴とする電子楽器。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子楽器であって、
    ユニゾンモードのオンオフの切替操作を受け付ける第2受付手段を備え、
    前記楽音信号生成手段は、前記ユニゾンモードがオンされている間は、前記受け付けた発音指示の音高のうち所定の基準で選択した1つの音高の楽音信号を、各部分音域に設定された音色でそれぞれ生成することを特徴とする電子楽器。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電子楽器であって、
    前記音色設定手段は、前記部分音域毎に設定する音色として、複数音高の同時発音を許可しない音色であって、第1の音色と、該第1の音色と異なる第2の音色とを含むモノ音色を設定可能であり、
    前記楽音信号生成手段は、モノ音色が設定された部分音域に属するある音高の発音指示がなされた時に該部分音域に属する他の音高の発音指示がなされていなければ、該ある音高の楽音信号を、該音高が属する部分音域に設定されたモノ音色に含まれる第1の音色で生成し、モノ音色が設定された部分音域に属するある音高の発音指示が解除される前にその部分音域に属する他の音高の発音指示がなされたことを検出した場合に、該他の音高の楽音信号を、該音高が属する部分音域に設定されたモノ音色に含まれる第2の音色で生成することを特徴とする電子楽器。
  6. コンピュータを、
    それぞれ音高と対応し該音高の発音指示を受け付けるための複数の操作部が受け付けた発音指示の音高に基づき、基準音高を決定する基準音高決定手段と、
    前記基準音高から所定音高離れた位置に、前記各操作部と対応する音域を分割するための分割点を複数設定する分割点設定手段と、
    前記分割により生成される部分音域毎に音色を設定する音色設定手段と、
    前記受け付けた発音指示の音高の楽音信号を、該音高が属する部分音域に設定された音色で生成する楽音信号生成手段として機能させるためのプログラム。
  7. それぞれ音高と対応し該音高の発音指示を受け付けるための複数の操作部が受け付けた発音指示の音高に基づき、基準音高を決定する基準音高決定手順と、
    前記基準音高から所定音高離れた位置に、前記各操作部と対応する音域を分割するための分割点を複数設定する分割点設定手順と、
    前記分割により生成される部分音域毎に音色を設定する音色設定手順と、
    前記受け付けた発音指示の音高の楽音信号を、該音高が属する部分音域に設定された音色で生成する楽音信号生成手順とを備えることを特徴とする楽音信号生成方法。
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