JP2015107084A - 鉄イオン溶出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】鉄イオンの溶出の効率化を図ることができる鉄イオン溶出装置を提供すること。【解決手段】炭素粒群を含有するか又は含有しない鉄材1及び炭素材2を相互に接触させる状態で収容する収容槽3と、前記収容槽3内に水または液を供給する供給手段4と、前記収容槽3を振動させる振動手段5とを具備することを特徴とする鉄イオン溶出装置とし、前記炭素材2は粒塊状を呈し、前記鉄材1は前記炭素材2よりも体積の大きい板状を呈するようにする。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、水中に鉄イオンを溶出させるための鉄イオン溶出装置に関する。
図4に示すように、気泡コンクリート製のブロック51の中空部52に、鉄53と鉄53に比べ電位の高い金属(例えば、グラファイト、活性炭)54との混合物を充填してなる漁礁構造物を海水に浸漬することにより、鉄53から海中に鉄イオンを溶出させる技術が公知である(例えば、特許文献1参照)。
特開平6−206804号公報
斯かる漁礁構造物にあっては、鉄53と金属54との混合物をブロック51の中空部52内に単に充填しているだけであり、鉄イオンの溶出効率が低いという問題がある。すなわち、上記漁礁構造物を海水に浸漬した後、しばらくの間は、金属54に接触する鉄53から鉄イオンが溶出する。しかし、鉄53は鉄イオンの溶出により次第に小さくなり、金属54に接触しなくなった鉄53の表面には、不純物及びスライムが付着する、あるいは硬質の酸化被膜が形成される、といったことが起こる上、海流等の外力を受けた鉄53がブロック51の中空部52から完全に離脱すると、もはや金属54への接触は望むべくもない状態となる。
本発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、鉄イオンの溶出の効率化を図ることができる鉄イオン溶出装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る鉄イオン溶出装置は、炭素粒群を含有するか又は含有しない鉄材及び炭素材を相互に接触させる状態で収容する収容槽と、前記収容槽内に水または液を供給する供給手段と、前記収容槽を振動させる振動手段とを具備する(請求項1)。
上記鉄イオン溶出装置において、前記炭素材は粒塊状を呈し、前記鉄材は前記炭素材よりも体積の大きい板状を呈するとしてもよい(請求項2)。
上記鉄イオン溶出装置において、前記鉄材はスリット又は穴を有していてもよい(請求項3)。
本願発明では、鉄イオンの溶出の効率化を図ることができる鉄イオン溶出装置が得られる。
すなわち、本願の各請求項に係る発明の鉄イオン溶出装置では、振動手段によって収容槽全体が振動することにより、収容槽内において接触する鉄材と炭素材とが互いに擦れ合い、研磨し合って、双方ともに新しい面の形成と相互接触の摺動とを繰り返すことになる。その結果、鉄材中の鉄(Fe)から炭素材中の炭(C)に電子が流れる局部電池が形成されるのに伴い、鉄材から水中に鉄イオンが溶出するという作用が大いに促進され、鉄イオンの溶出効率が飛躍的に高まることになる。
請求項2に係る発明の鉄イオン溶出装置では、鉄材の外面全体に占める炭素材の接触を受ける面積の割合を大きくすることができ、鉄イオンの溶出効率をより高めることができる。
請求項3に係る発明の鉄イオン溶出装置では、鉄材に設けるスリットあるいは穴の幅を、炭素材の平均粒径よりも大きくすることにより、鉄材の外面に対する炭素材の接触可能な面積が広がり、鉄イオンの溶出効率が高まることになる。
(A)及び(B)は、本発明の一実施の形態に係る鉄イオン溶出装置の構成を概略的に示す部分切断正面図及び平面図である。 前記鉄イオン溶出装置の収容槽内の鉄材の状態を示す横断面図である。 変形例に係る前記鉄イオン溶出装置の収容槽内の鉄材の状態を示す横断面図である。 従来例に係る漁礁構造物の構成を概略的に示す斜視図である。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら以下に説明する。
本実施の形態に係る鉄イオン溶出装置は、図1(A)に示すように、炭素粒群を含有する鉄材1及び炭素材2を収容する収容槽3と、収容槽3内に水または液を供給するための水中ポンプ(供給手段の一例)4と、収容槽3を振動させるためのバイブレータ(振動手段の一例)5とを具備している。
すなわち、水中ポンプ4は、収容槽3の下面に設置され、例えば海水中に配置された状態で、収容槽3の導入部6に接続された供給管7を介して収容槽3内に水(海水)を連続供給する。
収容槽3内では、水の存在下で、鉄材1中の鉄(Fe)と炭素材2中の炭(C)とが接触し、両者の電気陰性度又は電位の差により、鉄から炭に電子が流れる局部電池が形成されるのに伴い、鉄材1から水中に鉄イオンが溶出する。そして、鉄イオンが溶出した水は、収容槽3の導出部8から排出管9を介して外部水中(海中)に導出される。
海中に放出された鉄イオンは植物プランクトンに必須ミネラルとして吸収され、光合成によって二酸化炭素を消費する植物プランクトンの増加は、二酸化炭素を減少させると同時に、水中生物の増殖と活性に寄与し、赤潮発生の原因となる富栄養化物質と化学結合したり底層の微生物を活性化したりしてヘドロを浄化する働きもする。
以上が本実施形態の概略であり、詳細について以下に述べる。
本実施形態では、図1(A)に示すように、収容槽3の底に粒塊状(粒塊混合状)の複数の炭素材2を敷き詰めた後、形成された炭素材2の層の上に板状の2枚の鉄材1を横に並べて置き(図2も参照)、2枚の鉄材1を覆うように炭素材2を敷き詰める、という作業を繰り返し、収容槽3内に鉄材1と炭素材2とを収容する。尚、この作業を容易に行えるように、鉄材1及び炭素材2を収容する前の収容槽3の上方は開放されており、鉄材1及び炭素材2の収容後に、蓋3a(図1(A)参照)を適宜の手段(例えば溶接やねじ止め等)により収容槽3の上部に取り付けるようにしている。
図1(A)及び(B)に示すように、蓋3aの上面(収容槽3の上面)にはバイブレータ5が設置され、このバイブレータ5によって収容槽3全体が振動することにより、収容槽3内において圧接密着する鉄材1と炭素材2とが互いに擦れ合い、研磨し合って、双方ともに新しい面の形成と相互接触の摺動とを繰り返すことになる。その結果、新しい面どうしの間で鉄から炭に電子が流れ、鉄材1から水中に鉄イオンが溶出するという作用が大きく促進され、鉄イオンの溶出効率が飛躍的に高まることになる。
さらに、本実施形態では、鉄材1の外面全体に占める炭素材2の接触を受ける面積の割合を増やすために、図1(A)に示すように、炭素材2を粒塊状とし、鉄材1を炭素材2よりも体積の大きい板状としてある。また、鉄材1の外面に対する炭素材2の接触可能な面積を広げるために、図2に示すように、鉄材1に、炭素材2の平均粒径よりも幅の大きいスリット1aを複数設けてある。これらの構成によっても、鉄イオンの溶出効率が高まることになる。
その上、本実施形態では、収容槽3を、鉄に炭素粒群を分散させた材料によって構成してあるので、炭素材2の接触を受ける鉄材1からのみではなく、同じく炭素材2の接触を受ける収容槽3の内面からも鉄イオンが水中に溶出する。そして、図1(A)に示すように、収容槽3の底壁上面と天壁(蓋3a)下面とに、収容槽3内側に向かって突出する凸部10を複数設け、収容槽3の内面と炭素材2との接触面積の拡大を図っているので、バイブレータ5によって収容槽3に加えられる振動による作用と相俟って、収容槽3内面からの鉄イオンの溶出効率も極めて高いものとなる。尚、凸部10の配置には規則性を持たせる必要はなく、ランダムに配置することができる。
本実施形態では、図1(A)及び(B)に示す排出管9をフレキシブルホース(可撓管)によって構成してあり、この排出管9を水中(海中)に垂らして拘束しない状態としておくことにより、排出管9の先からの放水に伴って排出管9が不規則に動き回り、鉄イオンが溶出した水を広範囲に行き届かせることができる。
また、本実施形態では、図外の例えばFRP(繊維強化プラスチック)製のフロートが、収容槽3を水没状態に保持するように構成してある。
また、図1(B)に示すように、収容槽3は、導入部6及び導出部8とは別に、収容槽3の内部を外部に連通させる複数の連通部(スリット)11を蓋3aに有し、図示していないが、収容槽3の底部にも複数の連通部11が設けられている。これらの連通部11は、排出管9が不用の折、水中で収容槽3内の水を上下に放出可能とするためのものであり、排出管9を用いる場合には、連通部11を設けなくてもよい。
水中ポンプ4及びバイブレータ5の電源は、例えば商用電源、電池、発電装置等の何れでもよい。
ここで、鉄材1及び収容槽3には、例えば、FC(片状黒鉛鋳鉄)、FCD(球状黒鉛鋳鉄)、普通鋼や汎用鉄板等の単体に炭素粒群を分散させてあるものを用いることができ、炭素材2には、カルサインコークス、草木質材の乾留炭(活性炭)等を用いることができる。
鉄材1、炭素材2、収容槽3の各寸法は、使用環境等に応じて適宜設定すればよく、一例を挙げると以下の通りである。鉄材1は、厚み5mm、縦100mm、横240mmの板状をしており、縦10mm、横220mmのスリット1aが計四つ設けられている(図2参照)。炭素材2の平均直径はおよそ5mm(好ましくは5mm以上)である。直方体形状(箱状)をした収容槽3の各壁の肉厚は5mmであり、高さ60mm、縦210mm、横250mmの内部空間を有している。
なお、本発明は、上記の実施の形態に何ら限定されず、種々に変形して実施し得ることは勿論である。例えば、以下のような変形例を挙げることができる。
本実施形態の鉄イオン溶出装置を用いる場所は、海に限らず、例えば湖沼、河川、池、堀であってもよい。また、供給手段によって収容槽3内に供給する水または液としては、海水に限らず、例えば、淡水(真水)、産業排水、生活排水等、鉄イオンの溶出が可能な水または液であればよい。
上記実施形態には、鉄イオン溶出装置をフロート式(水面に浮かべる)とした例を示したが、これに限らず、例えば、沿岸等の陸上に設置するようにしてもよいし、水中に完全に沈めた状態で固定あるいは浮遊させながら用いるようにしてもよい。このような変更に伴って、例えば水中ポンプ4に替えて陸上ポンプを用いるようにしてもよい。
鉄材1及び収容槽3の各素材には、上記のように鉄イオンの溶出を効率良く行えるものを選択すればよく、特に鉄製の鋳物(FCやFCD)に炭素純度が高い(ハイカーボンの)炭素粒群が沢山鋳込まれた鋳包み材を用いるのが好ましいが、これに限らず、例えば、FC、FCD、普通鋼や汎用鉄板等の単体を、これらに炭素粒群を分散させることなく用いてもよい。また、収容槽3の素材を、例えばステンレスやプラスチック、ゴム、布等としたり、炭素を含有する材としてもよい。
上記実施形態では、収容槽3内に複数枚の鉄材1を上下にいわば積層した状態で炭素材2と共に収容しているが、鉄材1を重ねる段数は目標等に応じて適宜設定可能であり、例えば鉄材1の積み重ね枚数を減らす場合には、炭素材2を増量する等の処置をとればよい。また、収容槽3内に、鉄材1、炭素材2の他に、例えば鉄材1の破片、鉄鋳物または鉄材の切削屑や切断小粒片等を混在させてもよい。
上記実施形態では、図2に示すように、収容槽3内の各段において鉄材1を2枚横に並べるようにしているが、これに限らず、鉄材1を大きくして各段に鉄材1を1枚のみ配するようにしたり、鉄材1を小さくして各段に鉄材1を3枚以上配するようにしたりしてもよい。また、鉄材1の大きさを統一してもよいし、不揃いとしてもよい。
上記実施形態では、鉄材1にスリット1aを設けているが、スリット1aを設けなくてもよい。また、スリット1aに替えて、あるいはスリット1aに加えて、鉄材1の外面に凹凸を設けてもよい。
各炭素材2の大きさは、不揃いであっても統一してあってもよい。また、炭素材2どうしを紐で結ぶ等して連結してもよく、炭素材2を板状に成形し、外面に凹凸を設けてもよい。
上記実施形態では、収容槽3の天壁(蓋3a)下面及び底壁上面のみに凸部10を設けているが、これに限らず、例えば収容槽3の側壁内面にも凸部10を設けたり、凸部10を完全に無くしたりしてもよい。
収容槽3を直方体形状としているが、これに限らず、例えば円柱形状としたり、直方体以外の多角柱形状としたりしてもよい。
波や海流(水流)の影響によって収容槽3が十分に振動する場合には、バイブレータ5を省略してもよい。
収容槽3に設けた連通部11によって収容槽3内への水の供給及び収容槽3からの水の排出が十分に行われる場合には、水中ポンプ4、導入部6、供給管7、導出部8、排出管9を省略してもよい。
上記実施形態では、収容槽3の天壁(蓋3a)下面及び底壁上面のみに凸部10を設けているが(図1(A)参照)、これに限らず、例えば収容槽3の側壁内面にも凸部10を設けたり、凸部10を完全に無くしたりしてもよい。
上記実施形態では、収容槽3の底壁及び天壁(蓋3a)のみに連通部11を設けているが(図1(B)参照)、これに限らず、例えば収容槽3の側面にも連通部11を設けたり、連通部11を完全に無くしたりしてもよい。
上記実施形態では、鉄材1に複数のスリット1aを設けているが、これに限らず、鉄材1に、例えば図3に示すように複数の穴12を格子状に配するようにしてもよい。スリット1a、穴12の配置の仕方は、例えば千鳥状等、種々に変更可能であり、また、各々の形状も矩形状に限らず、設ける数も任意とすることができる。そして、スリット1aを設けた鉄材1と穴12を設けた鉄材1とを併用するようにしてもよいし、一枚の鉄材1に、スリット1aと穴12とを設けたものを用いるようにしてもよい。さらに、鉄材1自体を棒状等、他の形状とすることもできる。
なお、上記変形例どうしを適宜組み合わせてもよいことはいうまでもない。また、上述したように、収容槽3内に鉄材1、炭素材2以外のものを収容してもよく、収容槽3に対する鉄材1、炭素材2の充填量を任意としてもよい。
1 鉄材
1a スリット
2 炭素材
3 収容槽
3a 蓋
4 水中ポンプ(供給手段)
5 バイブレータ(振動手段)
6 導入部
7 供給管
8 導出部
9 排出管
10 凸部
11 連通部
12 穴
51 ブロック
52 中空部
53 鉄
54 金属
本発明は、例えば、水中に鉄イオンを溶出させるための鉄イオン溶出装置に関する。
図4に示すように、気泡コンクリート製のブロック51の中空部52に、鉄53と鉄53に比べ電位の高い金属(例えば、グラファイト、活性炭)54との混合物を充填してなる漁礁構造物を海水に浸漬することにより、鉄53から海中に鉄イオンを溶出させる技術が公知である(例えば、特許文献1参照)。
特開平6−206804号公報
斯かる漁礁構造物にあっては、鉄53と金属54との混合物をブロック51の中空部52内に単に充填しているだけであり、鉄イオンの溶出効率が低いという問題がある。すなわち、上記漁礁構造物を海水に浸漬した後、しばらくの間は、金属54に接触する鉄53から鉄イオンが溶出する。しかし、鉄53は鉄イオンの溶出により次第に小さくなり、金属54に接触しなくなった鉄53の表面には、不純物及びスライムが付着する、あるいは硬質の酸化被膜が形成される、といったことが起こる上、海流等の外力を受けた鉄53がブロック51の中空部52から完全に離脱すると、もはや金属54への接触は望むべくもない状態となる。
本発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、鉄イオンの溶出の効率化を図ることができる鉄イオン溶出装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る鉄イオン溶出装置は、炭素粒群を含有するか又は含有しない鉄材及び炭素材を相互に接触させる状態で収容する収容槽と、前記収容槽を振動させる振動手段とを具備し、前記炭素材は粒塊状を呈し、前記鉄材は前記炭素材よりも体積の大きい板状を呈し、前記収容槽内において複数の前記炭素材と横に寝かせた状態の前記鉄材とが上下方向に交互に積層され、前記収容槽は、炭素粒群を含有するか又は含有しない鉄によって形成されている(請求項1)。
上記鉄イオン溶出装置において、前記収容槽の内面に凸部を設けてあってもよい(請求項2)。
上記鉄イオン溶出装置において、前記鉄材はスリット又は穴を有していてもよい(請求項3)。
本願発明では、鉄イオンの溶出の効率化を図ることができる鉄イオン溶出装置が得られる。
すなわち、本願の各請求項に係る発明の鉄イオン溶出装置では、振動手段によって収容槽全体が振動することにより、収容槽内において接触する鉄材と炭素材とが互いに擦れ合い、研磨し合って、双方ともに新しい面の形成と相互接触の摺動とを繰り返すことになる。その結果、鉄材中の鉄(Fe)から炭素材中の炭(C)に電子が流れる局部電池が形成されるのに伴い、鉄材から水中に鉄イオンが溶出するという作用が大いに促進され、鉄イオンの溶出効率が飛躍的に高まることになる。
請求項に係る発明の鉄イオン溶出装置では、鉄材の外面全体に占める炭素材の接触を受ける面積の割合を大きくすることができ、鉄イオンの溶出効率をより高めることができる。
請求項3に係る発明の鉄イオン溶出装置では、鉄材に設けるスリットあるいは穴の幅を、炭素材の平均粒径よりも大きくすることにより、鉄材の外面に対する炭素材の接触可能な面積が広がり、鉄イオンの溶出効率が高まることになる。
(A)及び(B)は、本発明の一実施の形態に係る鉄イオン溶出装置の構成を概略的に示す部分切断正面図及び平面図である。 前記鉄イオン溶出装置の収容槽内の鉄材の状態を示す横断面図である。 変形例に係る前記鉄イオン溶出装置の収容槽内の鉄材の状態を示す横断面図である。 従来例に係る漁礁構造物の構成を概略的に示す斜視図である。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら以下に説明する。
本実施の形態に係る鉄イオン溶出装置は、図1(A)に示すように、炭素粒群を含有する鉄材1及び炭素材2を収容する収容槽3と、収容槽3内に水または液を供給するための水中ポンプ(供給手段の一例)4と、収容槽3を振動させるためのバイブレータ(振動手段の一例)5とを具備している。
すなわち、水中ポンプ4は、収容槽3の下面に設置され、例えば海水中に配置された状態で、収容槽3の導入部6に接続された供給管7を介して収容槽3内に水(海水)を連続供給する。
収容槽3内では、水の存在下で、鉄材1中の鉄(Fe)と炭素材2中の炭(C)とが接触し、両者の電気陰性度又は電位の差により、鉄から炭に電子が流れる局部電池が形成されるのに伴い、鉄材1から水中に鉄イオンが溶出する。そして、鉄イオンが溶出した水は、収容槽3の導出部8から排出管9を介して外部水中(海中)に導出される。
海中に放出された鉄イオンは植物プランクトンに必須ミネラルとして吸収され、光合成によって二酸化炭素を消費する植物プランクトンの増加は、二酸化炭素を減少させると同時に、水中生物の増殖と活性に寄与し、赤潮発生の原因となる富栄養化物質と化学結合したり底層の微生物を活性化したりしてヘドロを浄化する働きもする。
以上が本実施形態の概略であり、詳細について以下に述べる。
本実施形態では、図1(A)に示すように、収容槽3の底に粒塊状(粒塊混合状)の複数の炭素材2を敷き詰めた後、形成された炭素材2の層の上に板状の2枚の鉄材1を横に並べて置き(図2も参照)、2枚の鉄材1を覆うように炭素材2を敷き詰める、という作業を繰り返し、収容槽3内に鉄材1と炭素材2とを収容する。尚、この作業を容易に行えるように、鉄材1及び炭素材2を収容する前の収容槽3の上方は開放されており、鉄材1及び炭素材2の収容後に、蓋3a(図1(A)参照)を適宜の手段(例えば溶接やねじ止め等)により収容槽3の上部に取り付けるようにしている。
図1(A)及び(B)に示すように、蓋3aの上面(収容槽3の上面)にはバイブレータ5が設置され、このバイブレータ5によって収容槽3全体が振動することにより、収容槽3内において圧接密着する鉄材1と炭素材2とが互いに擦れ合い、研磨し合って、双方ともに新しい面の形成と相互接触の摺動とを繰り返すことになる。その結果、新しい面どうしの間で鉄から炭に電子が流れ、鉄材1から水中に鉄イオンが溶出するという作用が大きく促進され、鉄イオンの溶出効率が飛躍的に高まることになる。
さらに、本実施形態では、鉄材1の外面全体に占める炭素材2の接触を受ける面積の割合を増やすために、図1(A)に示すように、炭素材2を粒塊状とし、鉄材1を炭素材2よりも体積の大きい板状としてある。また、鉄材1の外面に対する炭素材2の接触可能な面積を広げるために、図2に示すように、鉄材1に、炭素材2の平均粒径よりも幅の大きいスリット1aを複数設けてある。これらの構成によっても、鉄イオンの溶出効率が高まることになる。
その上、本実施形態では、収容槽3を、鉄に炭素粒群を分散させた材料によって構成してあるので、炭素材2の接触を受ける鉄材1からのみではなく、同じく炭素材2の接触を受ける収容槽3の内面からも鉄イオンが水中に溶出する。そして、図1(A)に示すように、収容槽3の底壁上面と天壁(蓋3a)下面とに、収容槽3内側に向かって突出する凸部10を複数設け、収容槽3の内面と炭素材2との接触面積の拡大を図っているので、バイブレータ5によって収容槽3に加えられる振動による作用と相俟って、収容槽3内面からの鉄イオンの溶出効率も極めて高いものとなる。尚、凸部10の配置には規則性を持たせる必要はなく、ランダムに配置することができる。
本実施形態では、図1(A)及び(B)に示す排出管9をフレキシブルホース(可撓管)によって構成してあり、この排出管9を水中(海中)に垂らして拘束しない状態としておくことにより、排出管9の先からの放水に伴って排出管9が不規則に動き回り、鉄イオンが溶出した水を広範囲に行き届かせることができる。
また、本実施形態では、図外の例えばFRP(繊維強化プラスチック)製のフロートが、収容槽3を水没状態に保持するように構成してある。
また、図1(B)に示すように、収容槽3は、導入部6及び導出部8とは別に、収容槽3の内部を外部に連通させる複数の連通部(スリット)11を蓋3aに有し、図示していないが、収容槽3の底部にも複数の連通部11が設けられている。これらの連通部11は、排出管9が不用の折、水中で収容槽3内の水を上下に放出可能とするためのものであり、排出管9を用いる場合には、連通部11を設けなくてもよい。
水中ポンプ4及びバイブレータ5の電源は、例えば商用電源、電池、発電装置等の何れでもよい。
ここで、鉄材1及び収容槽3には、例えば、FC(片状黒鉛鋳鉄)、FCD(球状黒鉛鋳鉄)、普通鋼や汎用鉄板等の単体に炭素粒群を分散させてあるものを用いることができ、炭素材2には、カルサインコークス、草木質材の乾留炭(活性炭)等を用いることができる。
鉄材1、炭素材2、収容槽3の各寸法は、使用環境等に応じて適宜設定すればよく、一例を挙げると以下の通りである。鉄材1は、厚み5mm、縦100mm、横240mmの板状をしており、縦10mm、横220mmのスリット1aが計四つ設けられている(図2参照)。炭素材2の平均直径はおよそ5mm(好ましくは5mm以上)である。直方体形状(箱状)をした収容槽3の各壁の肉厚は5mmであり、高さ60mm、縦210mm、横250mmの内部空間を有している。
なお、本発明は、上記の実施の形態に何ら限定されず、種々に変形して実施し得ることは勿論である。例えば、以下のような変形例を挙げることができる。
本実施形態の鉄イオン溶出装置を用いる場所は、海に限らず、例えば湖沼、河川、池、堀であってもよい。また、供給手段によって収容槽3内に供給する水または液としては、海水に限らず、例えば、淡水(真水)、産業排水、生活排水等、鉄イオンの溶出が可能な水または液であればよい。
上記実施形態には、鉄イオン溶出装置をフロート式(水面に浮かべる)とした例を示したが、これに限らず、例えば、沿岸等の陸上に設置するようにしてもよいし、水中に完全に沈めた状態で固定あるいは浮遊させながら用いるようにしてもよい。このような変更に伴って、例えば水中ポンプ4に替えて陸上ポンプを用いるようにしてもよい。
鉄材1及び収容槽3の各素材には、上記のように鉄イオンの溶出を効率良く行えるものを選択すればよく、特に鉄製の鋳物(FCやFCD)に炭素純度が高い(ハイカーボンの)炭素粒群が沢山鋳込まれた鋳包み材を用いるのが好ましいが、これに限らず、例えば、FC、FCD、普通鋼や汎用鉄板等の単体を、これらに炭素粒群を分散させることなく用いてもよい。また、収容槽3の素材を、例えばステンレスやプラスチック、ゴム、布等としたり、炭素を含有する材としてもよい。
上記実施形態では、収容槽3内に複数枚の鉄材1を上下にいわば積層した状態で炭素材2と共に収容しているが、鉄材1を重ねる段数は目標等に応じて適宜設定可能であり、例えば鉄材1の積み重ね枚数を減らす場合には、炭素材2を増量する等の処置をとればよい。また、収容槽3内に、鉄材1、炭素材2の他に、例えば鉄材1の破片、鉄鋳物または鉄材の切削屑や切断小粒片等を混在させてもよい。
上記実施形態では、図2に示すように、収容槽3内の各段において鉄材1を2枚横に並べるようにしているが、これに限らず、鉄材1を大きくして各段に鉄材1を1枚のみ配するようにしたり、鉄材1を小さくして各段に鉄材1を3枚以上配するようにしたりしてもよい。また、鉄材1の大きさを統一してもよいし、不揃いとしてもよい。
上記実施形態では、鉄材1にスリット1aを設けているが、スリット1aを設けなくてもよい。また、スリット1aに替えて、あるいはスリット1aに加えて、鉄材1の外面に凹凸を設けてもよい。
各炭素材2の大きさは、不揃いであっても統一してあってもよい。また、炭素材2どうしを紐で結ぶ等して連結してもよく、炭素材2を板状に成形し、外面に凹凸を設けてもよい。
上記実施形態では、収容槽3の天壁(蓋3a)下面及び底壁上面のみに凸部10を設けているが、これに限らず、例えば収容槽3の側壁内面にも凸部10を設けたり、凸部10を完全に無くしたりしてもよい。
収容槽3を直方体形状としているが、これに限らず、例えば円柱形状としたり、直方体以外の多角柱形状としたりしてもよい。
波や海流(水流)の影響によって収容槽3が十分に振動する場合には、バイブレータ5を省略してもよい。
収容槽3に設けた連通部11によって収容槽3内への水の供給及び収容槽3からの水の排出が十分に行われる場合には、水中ポンプ4、導入部6、供給管7、導出部8、排出管9を省略してもよい。
上記実施形態では、収容槽3の天壁(蓋3a)下面及び底壁上面のみに凸部10を設けているが(図1(A)参照)、これに限らず、例えば収容槽3の側壁内面にも凸部10を設けたり、凸部10を完全に無くしたりしてもよい。
上記実施形態では、収容槽3の底壁及び天壁(蓋3a)のみに連通部11を設けているが(図1(B)参照)、これに限らず、例えば収容槽3の側面にも連通部11を設けたり、連通部11を完全に無くしたりしてもよい。
上記実施形態では、鉄材1に複数のスリット1aを設けているが、これに限らず、鉄材1に、例えば図3に示すように複数の穴12を格子状に配するようにしてもよい。スリット1a、穴12の配置の仕方は、例えば千鳥状等、種々に変更可能であり、また、各々の形状も矩形状に限らず、設ける数も任意とすることができる。そして、スリット1aを設けた鉄材1と穴12を設けた鉄材1とを併用するようにしてもよいし、一枚の鉄材1に、スリット1aと穴12とを設けたものを用いるようにしてもよい。さらに、鉄材1自体を棒状等、他の形状とすることもできる。
なお、上記変形例どうしを適宜組み合わせてもよいことはいうまでもない。また、上述したように、収容槽3内に鉄材1、炭素材2以外のものを収容してもよく、収容槽3に対する鉄材1、炭素材2の充填量を任意としてもよい。
1 鉄材
1a スリット
2 炭素材
3 収容槽
3a 蓋
4 水中ポンプ(供給手段)
5 バイブレータ(振動手段)
6 導入部
7 供給管
8 導出部
9 排出管
10 凸部
11 連通部
12 穴
51 ブロック
52 中空部
53 鉄
54 金属
本発明は、例えば、水中に鉄イオンを溶出させるための鉄イオン溶出装置に関する。
図4に示すように、気泡コンクリート製のブロック51の中空部52に、鉄53と鉄53に比べ電位の高い金属(例えば、グラファイト、活性炭)54との混合物を充填してなる漁礁構造物を海水に浸漬することにより、鉄53から海中に鉄イオンを溶出させる技術が公知である(例えば、特許文献1参照)。
特開平6−206804号公報
斯かる漁礁構造物にあっては、鉄53と金属54との混合物をブロック51の中空部52内に単に充填しているだけであり、鉄イオンの溶出効率が低いという問題がある。すなわち、上記漁礁構造物を海水に浸漬した後、しばらくの間は、金属54に接触する鉄53から鉄イオンが溶出する。しかし、鉄53は鉄イオンの溶出により次第に小さくなり、金属54に接触しなくなった鉄53の表面には、不純物及びスライムが付着する、あるいは硬質の酸化被膜が形成される、といったことが起こる上、海流等の外力を受けた鉄53がブロック51の中空部52から完全に離脱すると、もはや金属54への接触は望むべくもない状態となる。
本発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、鉄イオンの溶出の効率化を図ることができる鉄イオン溶出装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る鉄イオン溶出装置は、炭素粒群を含有するか又は含有しない鉄材及び炭素材を相互に接触させる状態で収容する収容槽と、前記収容槽を振動させる振動手段とを具備し、前記炭素材は粒塊状を呈し、前記鉄材は前記炭素材よりも体積の大きい板状を呈し、前記収容槽の底に複数の前記炭素材を敷き詰めた後、形成された該炭素材の層の上に前記鉄材を置き、該鉄材を覆うように前記炭素材を敷き詰める、という作業を繰り返すことにより、前記収容槽内に前記炭素材と前記鉄材とが収容され、前記収容槽は、炭素粒群を含有するか又は含有しない鉄によって形成され、内面に凸部を有している(請求項1)。
上記鉄イオン溶出装置において、前記鉄材はスリット又は穴を有していてもよい(請求項)。
本願発明では、鉄イオンの溶出の効率化を図ることができる鉄イオン溶出装置が得られる。
すなわち、本願の各請求項に係る発明の鉄イオン溶出装置では、振動手段によって収容槽全体が振動することにより、収容槽内において接触する鉄材と炭素材とが互いに擦れ合い、研磨し合って、双方ともに新しい面の形成と相互接触の摺動とを繰り返すことになる。その結果、鉄材中の鉄(Fe)から炭素材中の炭(C)に電子が流れる局部電池が形成されるのに伴い、鉄材から水中に鉄イオンが溶出するという作用が大いに促進され、鉄イオンの溶出効率が飛躍的に高まることになる。
請求項1に係る発明の鉄イオン溶出装置では、鉄材の外面全体に占める炭素材の接触を受ける面積の割合を大きくすることができ、鉄イオンの溶出効率をより高めることができる。
請求項に係る発明の鉄イオン溶出装置では、鉄材に設けるスリットあるいは穴の幅を、炭素材の平均粒径よりも大きくすることにより、鉄材の外面に対する炭素材の接触可能な面積が広がり、鉄イオンの溶出効率が高まることになる。
(A)及び(B)は、本発明の一実施の形態に係る鉄イオン溶出装置の構成を概略的に示す部分切断正面図及び平面図である。 前記鉄イオン溶出装置の収容槽内の鉄材の状態を示す横断面図である。 変形例に係る前記鉄イオン溶出装置の収容槽内の鉄材の状態を示す横断面図である。 従来例に係る漁礁構造物の構成を概略的に示す斜視図である。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら以下に説明する。
本実施の形態に係る鉄イオン溶出装置は、図1(A)に示すように、炭素粒群を含有する鉄材1及び炭素材2を収容する収容槽3と、収容槽3内に水または液を供給するための水中ポンプ(供給手段の一例)4と、収容槽3を振動させるためのバイブレータ(振動手段の一例)5とを具備している。
すなわち、水中ポンプ4は、収容槽3の下面に設置され、例えば海水中に配置された状態で、収容槽3の導入部6に接続された供給管7を介して収容槽3内に水(海水)を連続供給する。
収容槽3内では、水の存在下で、鉄材1中の鉄(Fe)と炭素材2中の炭(C)とが接触し、両者の電気陰性度又は電位の差により、鉄から炭に電子が流れる局部電池が形成されるのに伴い、鉄材1から水中に鉄イオンが溶出する。そして、鉄イオンが溶出した水は、収容槽3の導出部8から排出管9を介して外部水中(海中)に導出される。
海中に放出された鉄イオンは植物プランクトンに必須ミネラルとして吸収され、光合成によって二酸化炭素を消費する植物プランクトンの増加は、二酸化炭素を減少させると同時に、水中生物の増殖と活性に寄与し、赤潮発生の原因となる富栄養化物質と化学結合したり底層の微生物を活性化したりしてヘドロを浄化する働きもする。
以上が本実施形態の概略であり、詳細について以下に述べる。
本実施形態では、図1(A)に示すように、収容槽3の底に粒塊状(粒塊混合状)の複数の炭素材2を敷き詰めた後、形成された炭素材2の層の上に板状の2枚の鉄材1を横に並べて置き(図2も参照)、2枚の鉄材1を覆うように炭素材2を敷き詰める、という作業を繰り返し、収容槽3内に鉄材1と炭素材2とを収容する。尚、この作業を容易に行えるように、鉄材1及び炭素材2を収容する前の収容槽3の上方は開放されており、鉄材1及び炭素材2の収容後に、蓋3a(図1(A)参照)を適宜の手段(例えば溶接やねじ止め等)により収容槽3の上部に取り付けるようにしている。
図1(A)及び(B)に示すように、蓋3aの上面(収容槽3の上面)にはバイブレータ5が設置され、このバイブレータ5によって収容槽3全体が振動することにより、収容槽3内において圧接密着する鉄材1と炭素材2とが互いに擦れ合い、研磨し合って、双方ともに新しい面の形成と相互接触の摺動とを繰り返すことになる。その結果、新しい面どうしの間で鉄から炭に電子が流れ、鉄材1から水中に鉄イオンが溶出するという作用が大きく促進され、鉄イオンの溶出効率が飛躍的に高まることになる。
さらに、本実施形態では、鉄材1の外面全体に占める炭素材2の接触を受ける面積の割合を増やすために、図1(A)に示すように、炭素材2を粒塊状とし、鉄材1を炭素材2よりも体積の大きい板状としてある。また、鉄材1の外面に対する炭素材2の接触可能な面積を広げるために、図2に示すように、鉄材1に、炭素材2の平均粒径よりも幅の大きいスリット1aを複数設けてある。これらの構成によっても、鉄イオンの溶出効率が高まることになる。
その上、本実施形態では、収容槽3を、鉄に炭素粒群を分散させた材料によって構成してあるので、炭素材2の接触を受ける鉄材1からのみではなく、同じく炭素材2の接触を受ける収容槽3の内面からも鉄イオンが水中に溶出する。そして、図1(A)に示すように、収容槽3の底壁上面と天壁(蓋3a)下面とに、収容槽3内側に向かって突出する凸部10を複数設け、収容槽3の内面と炭素材2との接触面積の拡大を図っているので、バイブレータ5によって収容槽3に加えられる振動による作用と相俟って、収容槽3内面からの鉄イオンの溶出効率も極めて高いものとなる。尚、凸部10の配置には規則性を持たせる必要はなく、ランダムに配置することができる。
本実施形態では、図1(A)及び(B)に示す排出管9をフレキシブルホース(可撓管)によって構成してあり、この排出管9を水中(海中)に垂らして拘束しない状態としておくことにより、排出管9の先からの放水に伴って排出管9が不規則に動き回り、鉄イオンが溶出した水を広範囲に行き届かせることができる。
また、本実施形態では、図外の例えばFRP(繊維強化プラスチック)製のフロートが、収容槽3を水没状態に保持するように構成してある。
また、図1(B)に示すように、収容槽3は、導入部6及び導出部8とは別に、収容槽3の内部を外部に連通させる複数の連通部(スリット)11を蓋3aに有し、図示していないが、収容槽3の底部にも複数の連通部11が設けられている。これらの連通部11は、排出管9が不用の折、水中で収容槽3内の水を上下に放出可能とするためのものであり、排出管9を用いる場合には、連通部11を設けなくてもよい。
水中ポンプ4及びバイブレータ5の電源は、例えば商用電源、電池、発電装置等の何れでもよい。
ここで、鉄材1及び収容槽3には、例えば、FC(片状黒鉛鋳鉄)、FCD(球状黒鉛鋳鉄)、普通鋼や汎用鉄板等の単体に炭素粒群を分散させてあるものを用いることができ、炭素材2には、カルサインコークス、草木質材の乾留炭(活性炭)等を用いることができる。
鉄材1、炭素材2、収容槽3の各寸法は、使用環境等に応じて適宜設定すればよく、一例を挙げると以下の通りである。鉄材1は、厚み5mm、縦100mm、横240mmの板状をしており、縦10mm、横220mmのスリット1aが計四つ設けられている(図2参照)。炭素材2の平均直径はおよそ5mm(好ましくは5mm以上)である。直方体形状(箱状)をした収容槽3の各壁の肉厚は5mmであり、高さ60mm、縦210mm、横250mmの内部空間を有している。
なお、本発明は、上記の実施の形態に何ら限定されず、種々に変形して実施し得ることは勿論である。例えば、以下のような変形例を挙げることができる。
本実施形態の鉄イオン溶出装置を用いる場所は、海に限らず、例えば湖沼、河川、池、堀であってもよい。また、供給手段によって収容槽3内に供給する水または液としては、海水に限らず、例えば、淡水(真水)、産業排水、生活排水等、鉄イオンの溶出が可能な水または液であればよい。
上記実施形態には、鉄イオン溶出装置をフロート式(水面に浮かべる)とした例を示したが、これに限らず、例えば、沿岸等の陸上に設置するようにしてもよいし、水中に完全に沈めた状態で固定あるいは浮遊させながら用いるようにしてもよい。このような変更に伴って、例えば水中ポンプ4に替えて陸上ポンプを用いるようにしてもよい。
鉄材1及び収容槽3の各素材には、上記のように鉄イオンの溶出を効率良く行えるものを選択すればよく、特に鉄製の鋳物(FCやFCD)に炭素純度が高い(ハイカーボンの)炭素粒群が沢山鋳込まれた鋳包み材を用いるのが好ましいが、これに限らず、例えば、FC、FCD、普通鋼や汎用鉄板等の単体を、これらに炭素粒群を分散させることなく用いてもよい。また、収容槽3の素材を、例えばステンレスやプラスチック、ゴム、布等としたり、炭素を含有する材としてもよい。
上記実施形態では、収容槽3内に複数枚の鉄材1を上下にいわば積層した状態で炭素材2と共に収容しているが、鉄材1を重ねる段数は目標等に応じて適宜設定可能であり、例えば鉄材1の積み重ね枚数を減らす場合には、炭素材2を増量する等の処置をとればよい。また、収容槽3内に、鉄材1、炭素材2の他に、例えば鉄材1の破片、鉄鋳物または鉄材の切削屑や切断小粒片等を混在させてもよい。
上記実施形態では、図2に示すように、収容槽3内の各段において鉄材1を2枚横に並べるようにしているが、これに限らず、鉄材1を大きくして各段に鉄材1を1枚のみ配するようにしたり、鉄材1を小さくして各段に鉄材1を3枚以上配するようにしたりしてもよい。また、鉄材1の大きさを統一してもよいし、不揃いとしてもよい。
上記実施形態では、鉄材1にスリット1aを設けているが、スリット1aを設けなくてもよい。また、スリット1aに替えて、あるいはスリット1aに加えて、鉄材1の外面に凹凸を設けてもよい。
各炭素材2の大きさは、不揃いであっても統一してあってもよい。また、炭素材2どうしを紐で結ぶ等して連結してもよく、炭素材2を板状に成形し、外面に凹凸を設けてもよい。
上記実施形態では、収容槽3の天壁(蓋3a)下面及び底壁上面のみに凸部10を設けているが、これに限らず、例えば収容槽3の側壁内面にも凸部10を設けたり、凸部10を完全に無くしたりしてもよい。
収容槽3を直方体形状としているが、これに限らず、例えば円柱形状としたり、直方体以外の多角柱形状としたりしてもよい。
波や海流(水流)の影響によって収容槽3が十分に振動する場合には、バイブレータ5を省略してもよい。
収容槽3に設けた連通部11によって収容槽3内への水の供給及び収容槽3からの水の排出が十分に行われる場合には、水中ポンプ4、導入部6、供給管7、導出部8、排出管9を省略してもよい。
上記実施形態では、収容槽3の天壁(蓋3a)下面及び底壁上面のみに凸部10を設けているが(図1(A)参照)、これに限らず、例えば収容槽3の側壁内面にも凸部10を設けたり、凸部10を完全に無くしたりしてもよい。
上記実施形態では、収容槽3の底壁及び天壁(蓋3a)のみに連通部11を設けているが(図1(B)参照)、これに限らず、例えば収容槽3の側面にも連通部11を設けたり、連通部11を完全に無くしたりしてもよい。
上記実施形態では、鉄材1に複数のスリット1aを設けているが、これに限らず、鉄材1に、例えば図3に示すように複数の穴12を格子状に配するようにしてもよい。スリット1a、穴12の配置の仕方は、例えば千鳥状等、種々に変更可能であり、また、各々の形状も矩形状に限らず、設ける数も任意とすることができる。そして、スリット1aを設けた鉄材1と穴12を設けた鉄材1とを併用するようにしてもよいし、一枚の鉄材1に、スリット1aと穴12とを設けたものを用いるようにしてもよい。さらに、鉄材1自体を棒状等、他の形状とすることもできる。
なお、上記変形例どうしを適宜組み合わせてもよいことはいうまでもない。また、上述したように、収容槽3内に鉄材1、炭素材2以外のものを収容してもよく、収容槽3に対する鉄材1、炭素材2の充填量を任意としてもよい。
1 鉄材
1a スリット
2 炭素材
3 収容槽
3a 蓋
4 水中ポンプ(供給手段)
5 バイブレータ(振動手段)
6 導入部
7 供給管
8 導出部
9 排出管
10 凸部
11 連通部
12 穴
51 ブロック
52 中空部
53 鉄
54 金属

Claims (3)

  1. 炭素粒群を含有するか又は含有しない鉄材及び炭素材を相互に接触させる状態で収容する収容槽と、
    前記収容槽内に水または液を供給する供給手段と、
    前記収容槽を振動させる振動手段とを具備することを特徴とする鉄イオン溶出装置。
  2. 前記炭素材は粒塊状を呈し、前記鉄材は前記炭素材よりも体積の大きい板状を呈する請求項1に記載の鉄イオン溶出装置。
  3. 前記鉄材はスリット又は穴を有する請求項1または2に記載の鉄イオン溶出装置。
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