JP2015104729A - レーザ溶接方法及び装置、構造物 - Google Patents

レーザ溶接方法及び装置、構造物 Download PDF

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剛久 奥田
Takehisa Okuda
剛久 奥田
藤谷 泰之
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泰之 藤谷
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Abstract

【課題】レーザ溶接方法及び装置、構造物において、溶接品質と作業性を向上する。
【解決手段】レーザ光の焦点位置を目標溶込み溶接部Wの最深位置D1よりレーザ光の照射方向の前方側に設定し、溶接対象物Tと溶接ヘッド9とを相対的に移動しながら、真空状態で溶接対象物Tにレーザ光を照射して溶接を行うことで、目標溶込み溶接部に高エネルギ密集地点であるレーザ光の焦点位置がなくなり、部材の高温化による溶込み溶接部での欠陥の発生が抑制され、溶接品質を工場することができると共に、作業性を向上することができる。
【選択図】図6

Description

本発明は、溶接対象物と溶接ヘッドとを相対的に移動しながらレーザ溶接を行うレーザ溶接方法及び装置、そして、構造物に関するものである。
レーザ溶接は、熱源としてレーザ光を使用し、集光した状態で接合部に照射し、この接合部を溶融、凝固させることにより部材を接合するものである。
従来のレーザ溶接方法としては、例えば、下記特許文献に記載されたものがある。特許文献1に記載されたレーザ溶接方法は、1層目は完全溶込溶接とし、2層目以上は焦点位置を前層ビード上より焦点距離の1/20以上離してビームを照射するものである。また、特許文献2に記載されたレーザ溶接方法は、レーザ溶接装置内の圧力雰囲気を低真空雰囲気にし、シールドガス筒にシールドガスを導入してレーザを被溶接材に照射し、シールドガスの導入量をシールドガスが溶接時に溶接部に直接吹き付けられることがない量に制御するものである。
特開平07−323386号公報 国際公開第2011/145514号
ところで、上述したように、レーザ光を用いて部材を接合するとき、接合する部材の厚さが厚いとき、所定の溶込み深さが必要となる。しかし、所定の溶込み深さを確保するために、溶接速度を低下して高出力のレーザ光を接合部に照射すると、溶込み溶接時に欠陥が発生しやすい。上述した従来のレーザ溶接方法では、多層溶接したり、シールドガスの導入量を規制することで対応していたが、作業性がよくない。
本発明は上述した課題を解決するものであり、溶接品質と作業性を向上するレーザ溶接方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための本発明のレーザ溶接方法は、レーザ光の焦点位置を目標溶込み溶接部の最深位置よりレーザ光の照射方向の前方側に設定し、溶接部にレーザ光を照射して溶接を行うことを特徴とするものである。
従って、レーザ光の焦点位置が目標溶込み溶接部の最深位置よりレーザ光の照射方向の前方側にあることから、目標溶込み溶接部にレーザ光の焦点位置、つまり、レーザ光による高エネルギ密集地点がなくなり、部材の高温化による溶込み溶接部での欠陥の発生が抑制され、溶接品質を向上することができると共に、作業性を向上することができる。
本発明のレーザ溶接方法では、溶接対象物と溶接ヘッドとを相対的に移動しながら、真空状態で溶接を行うことを特徴としている。
従って、十分な溶込み深さを確保することができると共に、高精度な接合を行うことができる。
本発明のレーザ溶接方法では、前記溶接対象物に応じて目標溶込み深さを設定し、目標溶込み深さに基づいてレーザ光の焦点位置を設定すると共に、レーザ光の出力と溶接速度を設定することを特徴としている。
従って、目標溶込み深さに基づいてレーザ光の焦点位置を設定すると共に、レーザ光の出力と溶接速度を設定するため、レーザ光の焦点位置を溶込み溶接部より照射方向の前方側に容易に設定することで、溶込み溶接部での欠陥の発生を抑制することができる。
本発明のレーザ溶接方法では、レーザ光の焦点位置を前記目標溶込み溶接部の最深位置よりレーザ光の照射方向の前方側で、且つ、前記目標溶込み溶接部の最深位置から前記目標溶込み深さだけレーザ光の照射方向の前方側の位置よりレーザ光の照射方向の後方側に設定することを特徴としている。
従って、レーザ光の焦点位置を目標溶込み溶接部の最深位置から目標溶込み深さだけレーザ光の照射方向の前方側の位置よりレーザ光の照射方向の後方側に設定することで、溶接速度の低下を防止して所定の生産性を確保することができる。
本発明のレーザ溶接方法では、前記目標溶込み溶接部の最深位置からレーザ光の焦点位置までの距離を前記目標溶込み深さの50%から60%の範囲に設定することを特徴としている。
従って、目標溶込み溶接部における欠陥の発生の抑制と高い生産性の確保を両立することができる。
本発明のレーザ溶接方法では、前記目標溶込み溶接部が逆台形形状となるように溶接を行うことを特徴としている。
従って、適正な溶接部を確保することができる。
本発明のレーザ溶接方法では、前記溶接対象物の表面との間で真空空間を画成する真空チャンバを設けると共に、前記真空チャンバの下端部に全周にわたってシール部を設け、前記シール部を溶込み溶接部に押圧して変形させた状態で、前記溶接対象物と前記溶接ヘッド及び前記真空チャンバとを相対的に移動しながら溶接を行うことを特徴としている。
従って、溶接時にシール部からの漏れを防止して真空チャンバ内の真空状態を適正に維持することができる。
本発明のレーザ溶接方法では、一パスでレーザ溶接を行うことを特徴としている。
従って、作業性を向上することができる。
本発明のレーザ溶接方法では、レーザ溶接は、減圧レーザ溶接であることを特徴としている。
従って、作業性を向上することができる。
また、本発明のレーザ溶接装置は、溶接ヘッド、アクチュエータ、真空チャンバ、真空ポンプを用いてレーザ溶接方法を実施するものである。
従って、溶接品質を向上することができると共に、作業性を向上することができる。
また、本発明の構造物は、前記レーザ溶接方法で溶接されたことを特徴とするものである。
従って、溶接品質を向上することで構造物の品質を向上することができる。
本発明のレーザ溶接方法及び装置、構造物によれば、レーザ光の焦点位置を目標溶込み溶接部の最深位置よりレーザ光の照射方向の前方側に設定するので、部材の高温化による溶込み溶接部での欠陥の発生が抑制され、溶接品質を向上することができると共に、作業性を向上することができる。
図1は、本実施形態のレーザ溶接方法を実施するための移動式真空溶接装置を表す概略構成図である。 図2は、真空式レーザ溶接装置を表す縦断面図である。 図3は、真空式レーザ溶接装置の下面図である。 図4は、真空式レーザ溶接装置におけるホルダと第2シール部材を表す斜視図である。 図5は、ホルダと第2シール部材を表す正面図である。 図6は、複数のレーザ焦点位置に応じた溶接状態を表す概略図である。 図7は、複数のレーザ焦点位置に応じた溶接部位の品質評価表である。 図8は、溶込み形状を表す概略図である。 図9は、レーザ焦点位置に対する品質と施工能率を表すグラフである。
以下に添付図面を参照して、本発明に係るレーザ溶接方法及び装置、構造物の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
図1は、本実施形態のレーザ溶接方法を実施するための移動式真空溶接装置を表す概略構成図、図2は、真空式レーザ溶接装置を表す縦断面図、図3は、真空式レーザ溶接装置の下面図、図4は、真空式レーザ溶接装置におけるホルダと第2シール部材を表す斜視図、図5は、ホルダと第2シール部材を表す正面図である。
本実施形態にて、図1に示すように、移動型真空溶接装置1は、平板状の溶接対象物Tを移動させるラインコンベア2と、真空式レーザ装置(減圧レーザ装置)3とを有している。溶接対象物Tは、ラインコンベア2のライン4上を移動するパレット5上に載置されている。これにより溶接対象物Tは、真空式レーザ装置3との間で相対的に移動可能となっている。即ち、真空式レーザ装置3に対して、ラインコンベア2により溶接対象物Tが移動方向Xに沿って移動する。なお、溶接対象物Tを固定し、真空式レーザ装置3を移動してもよい。
真空式レーザ装置3は、図2に示すように、溶接対象物Tの表面に対向する面が開口された直方体形状をなして開口部にシール部8が設けられた真空チャンバ7と、真空チャンバ7の開口部とは反対側の面である上面7aに設けられた溶接ヘッド9と、シール部8に予圧を与えるアクチュエータ10とを有している。
真空チャンバ7は、溶接対象物Tの表面との間で真空空間を画成する容器であり、上述したように、溶接対象物Tに対向する面が開口された直方体形状とされている。真空チャンバ7の開口部には、Oリングなどの第一密封部材13を介して枠形状のホルダ12(縁部)が取り付けられている。シール部8は、ホルダ12の溶接対象物Tに対向する四辺に全周にわたって設けられている。また、真空チャンバ7は、ホルダ12の対向する一方の二辺の長手方向が移動方向Xに沿い、対向する他方の二辺が溶接箇所(溶込み溶接部)を跨ぐように配置されている。
溶接ヘッド9は、真空空間内で溶接対象物Tの表面に溶接を施す装置であり、板形状のベース部15と、ベース部15を貫通するように取り付けられたノズル部16と、ノズル部16の先端側とは反対側の基端部(図2の上方)に取り付けられたレーザヘッド17とを有している。
レーザヘッド17は、レーザの出射光学部であり、ノズル部16は、レーザ光の軌道に合わせた円錐形状とされている。ベース部15は、ノズル部16をチャンバ本体に固定するための部材であり、第二密封部材25を介して真空チャンバ7の上面7aに取り付けられている。ノズル部16は、基端側にレンズ22が取り付けられている。
また、ノズル部16は、内部にこのノズル部16の側部に設けられたガス導入管23を介してレンズシールドガスGが導入されている。ノズル部16は、溶接部分から発生する金属蒸気がレンズ22などに付着するのを防止するためのノズルである。
真空チャンバ7は、一側部に排気孔18が設けられており、排気孔18に排気管19を介して真空ポンプ20が接続されている。また、真空チャンバ7は、上面7aにノズル部16が挿入されるノズル挿通孔21が形成されている。
ホルダ12は、四角枠形状をなし、溶接対象物Tに面する下面12aにシール部8が嵌め込まれる凹条溝26が形成されている。アクチュエータ10は、油圧シリンダであり、ロッド11が真空チャンバ7の上面7aを押圧することによりシール部8に対してシールに必要な予圧を与える予圧部として機能する。即ち、シール部8は、アクチュエータ10によって予め荷重が加えられている。なお、アクチュエータ10は、油圧シリンダに限ることはなく、シール部8に必要な予圧を与えることができれば、空気圧シリンダや電動シリンダ、回転ねじ機構等を採用することができる。
シール部8は、図3に示すように、ホルダ12の全周にわたってホルダ12と溶接対象物Tとの間に介在される封止材であって、弾性材料からなり、ホルダ12の四辺に沿って延びる第一シール部材27と、ホルダ12の四辺のうち、溶接箇所を通過する二辺に設けられた第二シール部材28とを有している。換言すれば、第一シール部材27は、真空チャンバ7の溶接対象物Tの表面と対向する四辺のうち、移動方向Xに沿う二辺に設けられており、第二シール部材28は、移動方向Xに直交する二辺に設けられている。なお、第二シール部材28は、移動方向Xに直交する二辺両方に設ける必要はなく、少なくとも溶接によって形成された溶込み溶接部Wが通過する移動方向Xの後方側のみに設ける構成としてもよい。
第一シール部材27は、非金属タイプスクィーズパッキン(ゴムガスケット)であり、具体的に、本実施形態の第一シール部材27は、シリコンゴムによって形成されたOリングである。また、第一シール部材27は、溶接対象物Tとの摩擦抵抗を低減するために、溶接対象物Tとの当接部に真空グリースが塗布されている。なお、第一シール部材27としては、Oリングに限ることはなく、Xリング、Dリング、Tリングなどの非金属タイプスクィーズパッキンを採用することができる。
第二シール部材28は、第一シール部材27よりも可撓性の高いシール部材とされており、本実施形態の第二シール部材28は、耐熱性を有するグランドパッキンである。グランドパッキンは、例えば、グラファイトファイバを編組した構造(編組パッキン)や、グラファイトファイバを積層させたり、ロール巻き形とした構造(重ね形パッキン)を採用させたりすることができる。本実施形態のグランドパッキンは、これらのパッキンを特殊潤滑剤で処理したものである。
グランドパッキンは、例えば、高さ3mmの溶込み溶接部Wのうねりに対する追従性を有しており、グランドパッキンの耐熱温度は、200℃〜600℃である。また、グランドパッキンを構成する材料は、グラファイトファイバのみならず炭素繊維(カーボンファイバ)を採用することもできる。図4に示すように、第二シール部材28は、断面四角形状をなしており、凹条溝26は、第二シール部材28に対応した形状とされている。
ここで、本実施形態の移動型真空溶接装置1の作用について説明する。
まず、図1及び図2に示すように、アクチュエータ10によってシール部8に予圧が加えられている状態で、レーザ光の焦点が溶接対象物Tの溶接部となるように焦点合わせを行う。次に、この溶接位置での溶接対象物Tの溶接部に対して、真空チャンバ7を当接させるように予圧が加えられた後、真空ポンプ20により真空引きすることで、真空チャンバ7内の溶接位置の周囲を真空環境とする。
そして、レーザヘッド17よりレーザ光を出射し、溶接対象物Tの溶接を実施する。ここで、所定の駆動装置によりラインコンベア2を作動させ、溶接対象物Tを真空式レーザ装置3に対して相対的に移動させる。このとき、図4及び図5に示すように、第二シール部材28は、溶込み溶接部Wのうねり(形状)に追従して変形する。
従って、第二シール部材28が溶込み溶接部Wのうねりに追従して変形するため、シール部8からの漏れを防止し、真空チャンバ7内の真空を確保することができる。
ところで、真空式レーザ装置3を用いて溶接対象物Tのレーザ溶接を行う場合、レーザ光の焦点をどの位置にするかが重要であり、レーザ光の焦点の位置によっては、溶込み溶接部Wに欠陥が発生するおそれがある。そこで、異なるレーザ焦点位置での溶込み溶接部の溶接状態を調べてみた。
図6は、複数のレーザ焦点位置に応じた溶接状態を表す概略図、図7は、複数のレーザ焦点位置に応じた溶接部位の評価表、図8は、溶込み形状を表す概略図、図9は、レーザ焦点位置に対する品質と生産性を表すグラフである。
図6は、異なるレーザ焦点位置での溶込み溶接部の溶接状態を表している。ここで、D0は、溶接対象物Tの表面位置、Dは、溶込み深さ、D1は、溶込み溶接部Wの最深位置、F(F1,F2,F3,F4,F5,F6,F7,F8)は、レーザ焦点位置、A(A1,A2,A3,A4,A5,A6,A7,A8)は、溶込み溶接部Wの最深位置D1からレーザ焦点位置F(F1,F2,F3,F4,F5,F6,F7,F8)までの距離(以下、レーザ焦点距離と称する。)である。
ここで、レーザ焦点位置F1は、溶込み溶接部W1の最深位置D1からレーザ光の照射方向における後方側に溶込み深さDの130%(レーザ焦点距離A1)だけ移動した位置である。レーザ焦点位置F2は、溶込み溶接部W2の最深位置D1からレーザ光の照射方向における後方側に溶込み深さDの80%(レーザ焦点距離A2)だけ移動した位置である。レーザ焦点位置F3は、溶込み溶接部W3の最深位置D1からレーザ光の照射方向における後方側に溶込み深さDの50%(レーザ焦点距離A3)だけ移動した位置である。レーザ焦点位置F4は、溶込み溶接部W4の最深位置D1からレーザ光の照射方向における後方側に溶込み深さDの30%(レーザ焦点距離A4)だけ移動した位置である。レーザ焦点位置F5は、溶込み溶接部W5の最深位置D1からレーザ光の照射方向における後方側に溶込み深さDの5%(レーザ焦点距離A5)だけ移動した位置である。レーザ焦点位置F6は、溶込み溶接部W6の最深位置D1からレーザ光の照射方向における前方側に溶込み深さDの5%(レーザ焦点距離A6)だけ移動した位置である。レーザ焦点位置F7は、溶込み溶接部W7の最深位置D1からレーザ光の照射方向における前方側に溶込み深さDの60%(レーザ焦点距離A7)だけ移動した位置である。レーザ焦点位置F8は、溶込み溶接部W8の最深位置D1からレーザ光の照射方向における前方側に溶込み深さDの100%(レーザ焦点距離A8)だけ移動した位置である。
そして、レーザ焦点位置F1,F2,F3で溶接を行うと、溶込み溶接部W1,W2,W3にくびれ欠陥H1,H2,H3が形成されると共に、空洞欠陥C1,C2,C3が形成され、スパイキングも形成された。レーザ焦点位置F4で溶接を行うと、溶込み溶接部W4にくびれ欠陥H4が形成されるが、空洞欠陥は形成されず、但し、スパイキングが形成された。レーザ焦点位置F5で溶接を行うと、溶込み溶接部W5にくびれ欠陥と空洞欠陥は形成されないが、スパイキングが形成された。そして、レーザ焦点位置F6,F7,F8で溶接を行うと、溶込み溶接部W6,W7,W8にくびれ欠陥、空洞欠陥、スパイキングの全てが形成されなかった。
図7は、このときの異なるレーザ焦点位置に応じた溶接部位の品質評価表の一例である。この品質評価表から、レーザ焦点位置F6を、溶込み溶接部W6の最深位置D1からレーザ光の照射方向における前方側に溶込み深さDの5%(レーザ焦点距離A6)以上移動した位置に設定したとき、品質が合格となる。即ち、レーザ焦点位置Fを、溶込み溶接部Wの最深位置D1よりレーザ光の照射方向における前方側に移動した位置に設定すると、溶接部位に欠陥が発生せず、品質は合格となる。また、レーザ焦点位置Fを込み溶接部Wの最深位置D1よりレーザ光の照射方向における前方側に移動するほど、溶接部位の品質は向上する。
以上の結果から、本実施形態のレーザ溶接方法は、レーザ光の焦点位置を目標溶込み溶接部の最深位置よりレーザ光の照射方向の前方側に設定し、溶接対象物Tと溶接ヘッド9とを相対的に移動しながら、真空状態で溶接対象物Tにレーザ光を照射して溶接を行うものである。
この場合、本実施形態のレーザ溶接方法は、溶接対象物Tに応じて目標溶込み深さを設定し、目標溶込み深さに基づいてレーザ光の焦点位置を設定すると共に、レーザ光の出力と溶接速度を設定する。
また、本実施形態のレーザ溶接方法は、レーザ光の焦点位置を目標溶込み溶接部の最深位置よりレーザ光の照射方向の前方側で、且つ、目標溶込み溶接部の最深位置から目標溶込み深さだけレーザ光の照射方向の前方側の位置よりレーザ光の照射方向の後方側に設定する。この場合、目標溶込み溶接部の最深位置からレーザ光の焦点位置までの距離を目標溶込み深さの50%から60%の範囲に設定することが望ましい。
即ち、レーザ光の焦点位置は、レーザ光による高エネルギ密集地点であり、レーザ光のエネルギが熱エネルギに変換されて高温化する。そのため、レーザ光の焦点位置が目標溶込み溶接部Wの範囲にあると、目標溶込み溶接部Wの一部が高温化して欠陥が発生しやすい。具体的に説明すると、例えば、図6に示すように、レーザ焦点位置F1,F2,F3,F4で溶接を行ったとき、溶込み溶接部W1,W2,W3,W4にくびれ欠陥H1,H2,H3,H4が形成された。これは、レーザ焦点位置F1,F2,F3,F4の近傍では、レーザ光のエネルギが大きいことから、部材が早期に高温となって溶融した後に凝固する。しかし、レーザ焦点位置F1,F2,F3,F4の前方では、レーザ光のエネルギが大きくないことから、部材が遅れて高温となって溶融した後に凝固する。そのため、くびれ欠陥H1,H2,H3,H4が形成されてしまう。
また、レーザ焦点位置F1,F2,F3で溶接を行ったとき、溶込み溶接部W1,W2,W3に空洞欠陥C1,C2,C3が形成された。これは、レーザ焦点位置F1,F2,F3の近傍では、レーザ光のエネルギが大きいことから、部材が早期に高温となって溶融した後に凝固する。しかし、レーザ焦点位置F1,F2,F3,F4の前方では、レーザ光のエネルギが大きくないことから、部材が遅れて高温となって溶融した後に凝固する。このとき、発生した金属蒸気の逃げ場がなくなり、空洞欠陥C1,C2,C3が形成されてしまう。
また、レーザ焦点位置F1,F2,F3,F4,F5で溶接を行ったとき、溶込み溶接部W1,W2,W3,W4,W5にスパイキングが形成された。これも空洞欠陥C1,C2,C3と同様に、発生した金属蒸気の逃げ場がなくなって形成されてしまうものである。
一方、本実施形態のレーザ溶接方法は、レーザ光の焦点位置が目標溶込み溶接部の最深位置よりレーザ光の照射方向の前方側にある。そのため、溶込み溶接部Wにレーザ焦点位置Fがなく、溶込み溶接部Wにレーザ光による高エネルギ密集地点がなくなり、部材の高温化による溶込み溶接部Wでの欠陥の発生が抑制される。
また、図8に示すように、溶込み溶接部(目標溶込み溶接部)Wが逆台形形状(先細形状)となるように溶接を行う。溶込み溶接部Wは、溶込み深さD、上部幅B1、下部幅B2とするとき、上部幅B1が下部幅B2より大きくなるようにする。そして、目標溶込み溶接部の溶込み深さD、上部幅B1、下部幅B2を、接合に必要な深さd、上部幅b1、下部幅b2より1mmから2mmだけ大きく設定することが望ましい。これは、溶接精度を考慮する必要からである。
なお、図9は、レーザ焦点位置に対する溶接品質と施工能率を表すグラフである。レーザ焦点位置に対する溶接品質(欠陥の有無)は、前述したように、目標溶込み溶接部の最深位置からレーザ光の焦点位置までの距離を目標溶込み深さの0%より大きい範囲に設定すると、十分確保される、つまり、品質が合格となる。一方、レーザ焦点位置に対する施工能率(溶接作業の迅速性)は、レーザ光の焦点位置が目標溶込み溶接部の最深位置からレーザ方向の後方−50%より大きくなると低下していく。これは、レーザ焦点距離を大きくすると、溶接対象物Tに対するレーザ光のエネルギが低下することから、溶接速度を低下させなければならず、生産性が低下するものである。その結果、溶接品質と施工能率をともに考慮すると、目標溶込み溶接部の最深位置からレーザ光の焦点位置までの距離を、目標溶込み深さの50%から60%の範囲に設定すると最適となる。
このように本実施形態のレーザ溶接方法にあっては、レーザ光の焦点位置を目標溶込み溶接部の最深位置よりレーザ光の照射方向の前方側に設定し、溶接対象物Tにレーザ光を照射して溶接を行うようにしている。従って、レーザ光の焦点位置が目標溶込み溶接部の最深位置よりレーザ光の照射方向の前方側にあることから、溶込み溶接部Wにレーザ光の焦点位置、つまり、レーザ光による高エネルギ密集地点がなくなり、溶接対象物Tの高温化による溶込み溶接部での欠陥の発生が抑制され、溶接品質を向上することができると共に、作業性を向上することができる。
本実施形態のレーザ溶接方法では、溶接対象物Tと溶接ヘッド9とを相対的に移動しながら、真空状態で溶接を行うようにしている。従って、十分な溶込み深さを確保することができると共に、高精度な接合を行うことができる。
本実施形態のレーザ溶接方法では、溶接対象物Tに応じて目標溶込み深さを設定し、目標溶込み深さに基づいてレーザ光の焦点位置を設定すると共に、レーザ光の出力と溶接速度を設定するようにしている。従って、レーザ光の焦点位置を溶込み溶接部より前方側に容易に設定することで、溶込み溶接部Wでの欠陥の発生を抑制することができる。
本実施形態のレーザ溶接方法では、溶接対象物Tの表面との間で真空空間を画成する真空チャンバ7を設けると共に、真空チャンバ7の下端部に全周にわたってシール部8を設け、シール部8を溶込み溶接部Wに押圧して変形させた状態で、溶接対象物Tと溶接ヘッド9及び真空チャンバ7とを相対的に移動しながら溶接を行うようにしている。従って、溶接時にシール部8からの漏れを防止して真空チャンバ7内の真空状態を適正に維持することができる。
本実施形態のレーザ溶接方法では、一パスでレーザ溶接を行うことで、作業性を向上することができる。
本実施形態のレーザ溶接方法では、レーザ溶接は、減圧レーザ溶接であることで、作業性を向上することができる。
また、本実施形態のレーザ溶接装置は、溶接ヘッド、アクチュエータ、真空チャンバ、真空ポンプを用いてレーザ溶接方法を実施することで、溶接品質を向上することができると共に、作業性を向上することができる。
また、本実施形態の構造物は、上述したレーザ溶接方法で溶接されたことで、溶接品質を向上することで構造物の品質を向上することができる。ここで、構造物の一例としては、圧力容器、車室、風車の柱などである。
なお、上述した実施形態では、本発明のレーザ溶接方法を真空式レーザ溶接方法に適用して説明したが、通常のレーザ溶接方法にも適用することができる。
1 移動型真空溶接装置
2 ラインコンベア
3 真空式レーザ装置
7 真空チャンバ
8 シール部
9 溶接ヘッド
10 アクチュエータ
12 ホルダ
17 レーザヘッド
27 第一シール部材
28 第二シール部材
T 溶接対象物
H くびれ欠陥
C 空洞欠陥
A レーザ焦点距離
F レーザ焦点位置
D 溶込み深さ
W 溶込み溶接部

Claims (11)

  1. レーザ光の焦点位置を目標溶込み溶接部の最深位置よりレーザ光の照射方向の前方側に設定し、溶接部にレーザ光を照射して溶接を行うことを特徴とするレーザ溶接方法。
  2. 溶接対象物と溶接ヘッドとを相対的に移動しながら、真空状態で溶接を行うことを特徴とする請求項1に記載のレーザ溶接方法。
  3. 前記溶接対象物に応じて目標溶込み深さを設定し、目標溶込み深さに基づいてレーザ光の焦点位置を設定すると共に、レーザ光の出力と溶接速度を設定することを特徴とする請求項2に記載のレーザ溶接方法。
  4. レーザ光の焦点位置を前記目標溶込み溶接部の最深位置よりレーザ光の照射方向の前方側で、且つ、前記目標溶込み溶接部の最深位置から前記目標溶込み深さだけレーザ光の照射方向の前方側の位置よりレーザ光の照射方向の後方側に設定することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のレーザ溶接方法。
  5. 前記目標溶込み溶接部の最深位置からレーザ光の焦点位置までの距離を前記目標溶込み深さの50%から60%の範囲に設定することを特徴とする請求項4に記載のレーザ溶接方法。
  6. 前記目標溶込み溶接部が逆台形形状となるように溶接を行うことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のレーザ溶接方法。
  7. 前記溶接対象物の表面との間で真空空間を画成する真空チャンバを設けると共に、前記真空チャンバの下端部に全周にわたってシール部を設け、前記シール部を溶込み溶接部に押圧して変形させた状態で、前記溶接対象物と前記溶接ヘッド及び前記真空チャンバとを相対的に移動しながら溶接を行うことを特徴とする請求項2から請求項6のいずれか一項に記載のレーザ溶接方法。
  8. 一パスでレーザ溶接を行うことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のレーザ溶接方法。
  9. レーザ溶接は、減圧レーザ溶接であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のレーザ溶接方法。
  10. 溶接ヘッド、アクチュエータ、真空チャンバ、真空ポンプを用いて請求項1から請求項9のいずれか一項のレーザ溶接方法を実施することを特徴とする真空溶接装置。
  11. 請求項1から9のいずれか一項に記載のレーザ溶接方法で溶接されたことを特徴とする構造物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN111185666A (zh) * 2020-04-13 2020-05-22 中国航空制造技术研究院 一种扫描激光-tig电弧复合深熔焊接方法
JP2020082159A (ja) * 2018-11-28 2020-06-04 株式会社ナ・デックス レーザ溶接方法及びレーザ溶接用フラックス
CN114473199A (zh) * 2022-02-28 2022-05-13 哈尔滨工大焊接科技有限公司 一种大厚度异质材料高质量真空激光焊接方法及系统

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