JP2015102749A - 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、それを用いたレジスト膜及びパターン形成方法、電子デバイスの製造方法、並びに、電子デバイス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記一般式(I)で表される光酸発生剤(A)と、酸の作用により分解し、極性基を生じる基を有する樹脂(B)とを含有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
2. 後述する一般式(I)中のR15が、置換又は無置換のアダマンチル基である、上記1に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
3. 後述する一般式(I)中のR11〜R14のうち少なくとも1つが、置換又は無置換のアルキル基である、上記1又は2に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
4. 後述する一般式(I)中のR11〜R14のうち少なくとも1つが、置換又は無置換の環状アルキル基である、上記1〜3のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
5. 上記光酸発生剤(A)が、後述する一般式(ZI−4)で表される化合物である、上記1〜4のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
6. 上記光酸発生剤(A)が、後述する一般式(ZI−3)で表される化合物である、上記1〜5のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
7. 2種以上の光酸発生剤を含有し、上記光酸発生剤の少なくとも1種が上記光酸発生剤(A)である、上記1〜6のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
8. 上記一般式(I)中のA+が互いに異なる2種以上の上記光酸発生剤(A)を含有する、上記1〜7のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
9. 有機溶剤現像用のネガ型レジスト組成物である、上記1〜8のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
10. 上記1〜9のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて形成されたレジスト膜。
11.
(1)上記1〜9のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて膜を形成する工程、
(2)上記膜を露光する工程、及び、
(3)上記露光された膜を現像する工程、
を含むパターン形成方法。
12. 上記露光が液浸露光である、上記11に記載のパターン形成方法。
13. 上記工程(3)が、上記露光された膜を、有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程である、上記11又は12に記載のパターン形成方法。
14. 上記11〜13のいずれかに記載のパターン形成方法を含む電子デバイスの製造方法。
15. 上記14に記載の電子デバイスの製造方法により製造された電子デバイス。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書における「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線(EB)等を意味する。また、本発明において光とは、活性光線又は放射線を意味する。
また、本明細書における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線、X線、EUV光などによる露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線による描画も露光に含める。
また、本明細書において、(メタ)アクリレートはアクリレート及びメタクリレートを表し、(メタ)アクリルはアクリル及びメタクリルを表す。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(以下、単に本発明の組成物とも言う)の特徴点としては、特定のアニオンを含む光酸発生剤を含有する点が挙げられる。
後述する一般式(I)に示されるとおり、本発明の組成物に含有される光酸発生剤中のアニオンは電子吸引性基であるフッ素原子が結合した炭素原子とヘテロ原子を有してもよい脂環基とが単結合又は炭素原子により繋がった構造を有し、上記炭素原子と上記脂環基との間の主鎖骨格中にエーテル結合(−O−)のような酸素原子のみによる結合を有さない。そのため、光吸収により発生する酸の安定性が高く、結果として、露光ラチチュード及び焦点深度ラチチュードが大きくなり、また、形成されるパターンのLWRが小さくなるものと考えられる。このことは後述する比較例が示すように、上記炭素原子と上記脂環基との間の主鎖骨格中に酸素原子のみによる結合を有する場合(比較例1〜4)には、露光ラチチュード及び焦点深度ラチチュードが小さくなり、また、形成されるパターンのLWRが大きくなることからも推測される。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、ArF露光用であることが好ましく、ArF液浸露光用であることがより好ましい。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、有機溶剤現像用のネガ型レジスト組成物であってもアルカリ現像用のポジ型レジスト組成物であってもよいが、有機溶剤現像用のネガ型レジスト組成物であることが好ましい。また本発明に係る組成物は、典型的には化学増幅型のレジスト組成物である。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、下記一般式(I)で表される光酸発生剤(A)を含有する。
一般式(I)中、R11〜R14は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。
露光ラチチュードがより大きくなる理由から、R11〜R14のうち少なくとも1つは置換基であることが好ましい。
上記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
上記ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基のヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子などが挙げられる。
上記ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基の炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、又はこれらを組み合わせた基などが挙げられる。
上記脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、環状、これらを組み合わせた基のいずれであってもよい。上記脂肪族炭化水素基の具体例としては、直鎖状又は分岐状のアルキル基(特に、炭素数1〜20)、直鎖状又は分岐状のアルケニル基(特に、炭素数2〜20)、直鎖状又は分岐状のアルキニル基(特に、炭素数2〜20)などが挙げられる。
上記芳香族炭化水素基としては、例えば、アリール基、ナフチル基などが挙げられる。上記アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基などの炭素数6〜18のアリール基などが挙げられる。
ヘテロ原子の具体例は上述のとおりである。なかでも、酸素原子であることが好ましい。
ヘテロ原子を有してもよい脂環基は特に制限されず、単環(単環型脂環基)であっても、多環(多環型脂環基)であってもよい。
ヘテロ原子を有してもよい脂環基の炭素数は特に制限されないが、3〜20が好ましい。
上記脂環基の環の部分の構造の具体例を以下に示す。
ヘテロ原子を有してもよい脂環基は、多環(多環型脂環基)であることが好ましく、なかでも、置換又は無置換のアダマンチル基であることがより好ましい。
ヘテロ原子を有してもよい脂環基が置換基を有する場合の置換基としては特に制限されないが、その具体例は、上述したR11〜R14と同じである。
一般式(I)中、n3は、0又は1を表す。なかでも、焦点深度ラチチュードがより大きくなる理由から、0であることが好ましい。
なお、n1が2以上の整数である場合、複数あるR11及び複数あるR12は、それぞれ同一であっても異なってもよい。また、n2が2以上の整数である場合、複数あるR13及び複数あるR14は、それぞれ同一であっても異なってもよい。
一般式(I)中、A+は、1価のカチオンを表す。
A+は、1価のカチオンであれば特に制限されないが、好適な態様としては、例えば、後述する一般式(ZI)、(ZII)又は(ZIII)中のカチオン(Z-以外の部分)が挙げられる。
光酸発生剤(A)の好適な態様としては、例えば、下記一般式(ZI)、(ZII)又は(ZIII)で表される化合物が挙げられる。
R201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。
R201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
R201、R202及びR203のうち、少なくとも1つがアリール基であることが好ましく、3つ全てがアリール基であることがより好ましい。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基などの他に、インドール残基、ピロール残基などのヘテロアリール基も可能である。
R201、R202及びR203のうち少なくとも1つがアリール基でない場合の好ましい構造としては、特開2004−233661号公報の段落0046,0047、特開2003−35948号公報の段落0040〜0046、米国特許出願公開第2003/0224288A1号明細書に式(I−1)〜(I−70)として例示されている化合物、米国特許出願公開第2003/0077540A1号明細書に式(IA−1)〜(IA−54)、式(IB−1)〜(IB−24)として例示されている化合物等のカチオン構造を挙げることができる。
R1は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、又は、アルケニル基を表す。
R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、又は、アリール基を表す。
R1とR2、R2とR3は、それぞれ互いに連結して環を形成してもよい。
RX及びRyは、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、2−オキソアルキル基、2−オキソシクロアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、又は、アルコキシカルボニルシクロアルキル基を表す。
RXとRyは、互いに連結して環を形成してもよい。形成される環は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケトン基、エーテル結合、エステル結合、又は、アミド結合を有してもよい。
Z-は、一般式(I)中のアニオンを表し、具体的には上述のとおりである。
上記(ZI−3a−1)〜(ZI−3a−4)において、*は一般式(ZI−3a)で表される化合物中のYとしての窒素原子に接続する結合手を表す。
R13は、水素原子、フッ素原子、又は、置換基を有してもよい、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、若しくは、シクロアルキル基を表す。
R14は、水酸基、又は、置換基を有してもよい、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルキルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、若しくは、シクロアルキル基を表す。
R15は、置換基を有してもよい、アルキル基、シクロアルキル基、又は、ナフチル基を表す。2個のR15は同一であっても異なってもよい。2個のR15は互いに結合して環を形成してもよい。形成される環は、ヘテロ原子を有してもよい。
lは、0〜2の整数を表す。
rは、0〜8の整数を表す。rが2以上の整数である場合、複数あるR14は同一であっても異なってもよい。
Z-は、一般式(I)中のアニオンを表し、具体的には上述のとおりである。
R13、R14及びR15のシクロアルキル基としては、単環若しくは多環のシクロアルキル基が挙げられる。
R13及びR14のアルコキシ基としては、直鎖状若しくは分岐状であり、炭素原子数1〜10のものが好ましい。
R13及びR14のアルコキシカルボニル基としては、直鎖状若しくは分岐状であり、炭素原子数2〜11のものが好ましい。
R13及びR14のシクロアルキル基を有する基としては、単環若しくは多環のシクロアルキル基を有する基が挙げられる。これら基は、置換基を更に有していてもよい。
R14のアルキルカルボニル基のアルキル基としては、上述したR13〜R15としてのアルキル基と同様の具体例が挙げられる。
R14のアルキルスルホニル基及びシクロアルキルスルホニル基としては、直鎖状、分岐状、環状であり、炭素原子数1〜10のものが好ましい。
lとしては、0又は1が好ましく、1がより好ましい。
rとしては、0〜2が好ましい。
R204及びR205は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
R204及びR205のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基としては、前述の一般式(ZI)におけるR201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基と同様である。
R204及びR205のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。この置換基としても、前述の一般式(ZI)におけるR201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基が有していてもよいものが挙げられる。
Z-は、一般式(I)中のアニオンを表し、具体的には上述のとおりである。
一般式(ZII)で表されるカチオンの具体例を示す。
本発明の組成物は、形成されるパターンのLWRがより小さくなる理由から、上記一般式(I)中のA+が互いに異なる2種以上の光酸発生剤(A)を含有するのが好ましい。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、ポジ型及びネガ型の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の態様をとることができる。本発明の組成物に含まれる樹脂(B)は、酸の作用により分解し極性基を生じる基を有する樹脂(以下、「酸分解性樹脂」ということもある)である。この場合、樹脂(B)は、主鎖又は側鎖、あるいは、主鎖及び側鎖の両方に、酸の作用により分解し、極性基を生じる基(以下、「酸分解性基」ともいう)を有する。樹脂(B)は、酸分解性基を有する繰り返し単位を含むことが好ましい。
酸分解性基は、極性基を酸の作用により分解し脱離する基で保護された構造を有することが好ましい。
上記極性基としては、カルボキシ基、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール)、スルホン酸基などが好ましく挙げられる。
酸分解性基として好ましい基は、これらのアルカリ可溶性基の水素原子を酸で脱離する基で置換した基である。
酸で脱離する基としては、例えば、−C(R36)(R37)(R38)、−C(R36)(R37)(OR39)、−C(R01)(R02)(OR39)等を挙げることができる。
式中、R36〜R39は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基表す。R36とR37とは、互いに結合して環を形成してもよい。
R01〜R02は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。
酸分解性基としては好ましくは、クミルエステル基、エノールエステル基、アセタールエステル基、第3級のアルキルエステル基等である。更に好ましくは、第3級アルキルエステル基である。
Xa1は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基又は−CH2−R9で表される基を表す。R9は、水酸基又は1価の有機基を表す。1価の有機基としては、例えば、炭素数5以下のアルキル基、アシル基が挙げられ、好ましくは炭素数3以下のアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基である。Xa1は好ましくは水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基を表す。
Tは、単結合又は2価の連結基を表す。
Rx1〜Rx3は、それぞれ独立に、アルキル基(直鎖若しくは分岐)又はシクロアルキル基(単環若しくは多環)を表す。
Rx1〜Rx3の少なくとも2つが結合して、シクロアルキル基(単環若しくは多環)を形成してもよい。
Tは、単結合又は−COO−Rt−基が好ましい。Rtは、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましく、−CH2−基、−(CH2)3−基がより好ましい。
Rx1〜Rx3のアルキル基としては、炭素数1〜4の直鎖又は分岐状のものが好ましい。
Rx1〜Rx3のシクロアルキル基としては、炭素数3〜8の単環のシクロアルキル基、炭素数7〜20の多環のシクロアルキル基が好ましい。
Rx1〜Rx3の少なくとも2つが結合して形成されるシクロアルキル基としては、炭素数3〜8の単環のシクロアルキル基、炭素数7〜20の多環のシクロアルキル基が好ましい。炭素数5〜6の単環のシクロアルキル基が特に好ましい。
Rx1がメチル基又はエチル基であり、Rx2とRx3とが結合して上述のシクロアルキル基を形成している態様が好ましい。
R31は、水素原子、アルキル基又はフッ素化アルキル基を表し、
R32は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基又はsec−ブチル基を表し、
R33は、R32が結合する炭素原子とともに単環の脂環式炭化水素構造を形成するのに必要な原子団を表す。
上記脂環式炭化水素構造は、環を構成する炭素原子の一部が、ヘテロ原子又はヘテロ原子を有する基で置換されていてもよい。
R31は、好ましくは水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基を表す。
R32は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、又は、イソプロピル基であることが好ましく、メチル基、又は、エチル基であることがより好ましい。
R33が炭素原子とともに形成する単環の脂環炭化水素構造は、3〜8員環であることが好ましく、5又は6員環であることがより好ましい。
R33が炭素原子とともに形成する単環の脂環炭化水素構造において、環を構成する炭素原子の一部を置換できるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子等が挙げられ、ヘテロ原子を有する基としては、カルボニル基等が挙げられる。ただし、ヘテロ原子を有する基は、エステル基(エステル結合)ではないことが好ましい。
R33が炭素原子とともに形成する単環の脂環炭化水素構造は、炭素原子と水素原子とのみから形成されることが好ましい。
樹脂(B)は、更に、ラクトン基、水酸基、シアノ基及びアルカリ可溶性基から選ばれる少なくとも1種類の基を有する繰り返し単位を有することが好ましい。
ラクトン基としては、ラクトン構造を有していればいずれでも用いることができるが、好ましくは5〜7員環ラクトン構造であり、5〜7員環ラクトン構造にビシクロ構造、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているものが好ましい。下記一般式(LC1−1)〜(LC1−17)のいずれかで表されるラクトン構造を有する繰り返し単位を有することがより好ましい。また、ラクトン構造が主鎖に直接結合していてもよい。好ましいラクトン構造としては(LC1−1)、(LC1−4)、(LC1−5)、(LC1−6)、(LC1−13)、(LC1−14)、(LC1−17)であり、特定のラクトン構造を用いることで現像欠陥が良好になる。
Rb0は、水素原子、ハロゲン原子又は置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。Rb0のアルキル基が有していてもよい好ましい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子が挙げられる。Rb0のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。Rb0はとして好ましくは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基であり、水素原子、メチル基が特に好ましい。
Abは、単結合、アルキレン基、単環又は多環の脂環炭化水素構造を有する2価の連結基、エーテル基、エステル基、カルボニル基、又はこれらを組み合わせた2価の連結基を表す。好ましくは、単結合、−Ab1−CO2−で表される2価の連結基である。
Ab1は、直鎖、分岐アルキレン基、単環又は多環のシクロアルキレン基であり、好ましくはメチレン基、エチレン基、シクロヘキシレン基、アダマンチレン基、ノルボルニレン基である。
Vは、一般式(LC1−1)〜(LC1−17)の内のいずれかで示される構造を有する基を表す。
R1cは、水素原子、メチル基、トリフロロメチル基又はヒドロキメチル基を表す。
R2c〜R4cは、各々独立に、水素原子、水酸基又はシアノ基を表す。ただし、R2c〜R4cの内の少なくとも1つは、水酸基又はシアノ基を表す。好ましくは、R2c〜R4cの内の1つ又は2つが水酸基で、残りが水素原子である。より好ましくは、R2c〜R4cの内の2つが水酸基で、残りが水素原子である。
樹脂(B)は、更に、脂環炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位を有してもよい。これにより液浸露光時にレジスト膜から液浸液への低分子成分の溶出が低減できる。このような繰り返し単位として、例えば1−アダマンチル(メタ)アクリレート、ジアマンチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートによる繰り返し単位などが挙げられる。
本発明の樹脂(B)は、更に、水酸基及びシアノ基のいずれも有さない、一般式(III)で表される繰り返し単位を含有していることが好ましい。
Raは水素原子、アルキル基又は−CH2−O−Ra2基を表す。式中、Ra2は、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。
好ましい架橋環式炭化水素環として、ノルボルニル基、アダマンチル基、ビシクロオクタニル基、トリシクロ[5、2、1、02,6]デカニル基、などが挙げられる。より好ましい架橋環式炭化水素環としてノルボニル基、アダマンチル基が挙げられる。
一般式(III)で表される繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。式中、Raは、H、CH3、CH2OH、又はCF3を表す。
R13’〜R16’は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、ラクトン構造を有する基、又は酸分解性基を有する基を表す。
X1及びX2は、それぞれ独立に、メチレン基、エチレン基、酸素原子又は硫黄原子を表す。
nは、0〜2の整数を表す。
式中、R0としては、t−ブチル基、t−アミル基等の3級アルキル基、イソボロニル基、1−エトキシエチル基、1−ブトキシエチル基、1−イソブトキシエチル基、1−シクロヘキシロキシエチル基等の1−アルコキシエチル基、1−メトキシメチル基、1−エトキシメチル基等のアルコキシメチル基、3−オキソアルキル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、トリアルキルシリルエステル基、3−オキソシクロヘキシルエステル基、2−メチル−2−アダマンチル基、メバロニックラクトン残基等を挙げることができる。
R13’〜R16’のうち、少なくとも一つは酸分解性基を有する基であることが好ましい。
R13’〜R16’におけるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。
R13’〜R16’のアルキル基としてより好ましくは下記一般式(F1)で表される基である。
R50〜R55は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又はアルキル基を表す。但し、R50〜R55の内、少なくとも1つは、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。
Rxは、水素原子又は有機基(好ましくは酸分解性保護基、アルキル基、シクロアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基)し、好ましくは水素原子である。
R50〜R55は、すべてフッ素原子であることが好ましい。
(1)塗布溶剤に対する溶解性、
(2)製膜性(ガラス転移点)、
(3)アルカリ現像性、
(4)膜べり(親疎水性、アルカリ可溶性基選択)、
(5)未露光部の基板への密着性、
(6)ドライエッチング耐性、
等の微調整が可能となる。
重合反応は窒素やアルゴンなど不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。重合開始剤としては市販のラジカル開始剤(アゾ系開始剤、パーオキサイドなど)を用いて重合を開始させる。ラジカル開始剤としてはアゾ系開始剤が好ましく、エステル基、シアノ基、カルボキシル基を有するアゾ系開始剤が好ましい。好ましい開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などが挙げられる。所望により開始剤を追加、あるいは分割で添加し、反応終了後、溶剤に投入して粉体あるいは固形回収等の方法で所望のポリマーを回収する。反応の濃度は5〜50質量%であり、好ましくは10〜30質量%である。反応温度は、通常10℃〜150℃であり、好ましくは30℃〜120℃、さらに好ましくは60〜100℃である。
また、本発明において、樹脂(B)は、1種で使用してもよいし、複数併用してもよい。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、特に液浸露光に適用する際、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する疎水性樹脂(以下、「疎水性樹脂(HR)」ともいう)を含有してもよい。これにより、膜表層に疎水性樹脂(HR)が偏在化し、液浸媒体が水の場合、水に対するレジスト膜表面の静的/動的な接触角を向上させ、液浸液追随性を向上させることができる。
疎水性樹脂(HR)は前述のように界面に偏在するものであるが、界面活性剤とは異なり、必ずしも分子内に親水基を有する必要はなく、極性/非極性物質を均一に混合することに寄与しなくてもよい。
フッ素原子を有するアルキル基は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖又は分岐アルキル基であり、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜4であり、更に他の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するシクロアルキル基は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された単環又は多環のシクロアルキル基であり、更に他の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するアリール基としては、フェニル基、ナフチル基などのアリール基の少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたものが挙げられ、更に他の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有するシクロアルキル基、又は、フッ素原子を有するアリール基として、好ましくは、下記一般式(F2)〜(F4)のいずれかで表される基を挙げることができるが、本発明は、これに限定されるものではない。
R57〜R68は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はアルキル基(直鎖若しくは分岐)を表す。但し、R57〜R61の少なくとも1つ、R62〜R64の少なくとも1つ及びR65〜R68の少なくとも1つは、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基(好ましくは炭素数1〜4)を表す。
R57〜R61及びR65〜R67は、全てがフッ素原子であることが好ましい。R62、R63及びR68は、フルオロアルキル基(好ましくは炭素数1〜4)が好ましく、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基であることが更に好ましい。R62及びR63がパーフルオロアルキル基であるとき、R64は水素原子であることが好ましい。R62とR63は、互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(F2)で表される基の具体例としては、例えば、p−フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル基等が挙げられる。
一般式(F3)で表される基の具体例としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロプロピル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロブチル基、ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ヘキサフルオロ(2−メチル)イソプロピル基、ノナフルオロブチル基、オクタフルオロイソブチル基、ノナフルオロヘキシル基、ノナフルオロ−t−ブチル基、パーフルオロイソペンチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロ(トリメチル)ヘキシル基、2,2,3,3−テトラフルオロシクロブチル基、パーフルオロシクロヘキシル基などが挙げられる。ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ヘキサフルオロ(2−メチル)イソプロピル基、オクタフルオロイソブチル基、ノナフルオロ−t−ブチル基、パーフルオロイソペンチル基が好ましく、ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基が更に好ましい。
一般式(F4)で表される基の具体例としては、例えば、−C(CF3)2OH、−C(C2F5)2OH、−C(CF3)(CH3)OH、−CH(CF3)OH等が挙げられ、−C(CF3)2OHが好ましい。
フッ素原子を含む部分構造は、主鎖に直接結合しても良く、更に、アルキレン基、フェニレン基、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル基、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合及びウレイレン結合よりなる群から選択される基、あるいはこれらの2つ以上を組み合わせた基を介して主鎖に結合してもよい。
フッ素原子を有する好適な繰り返し単位としては、以下に示すものが挙げられる。
W3〜W6は、各々独立に、少なくとも1つ以上のフッ素原子を含有する有機基を表す。具体的には上記(F2)〜(F4)の原子団が挙げられる。
また、疎水性樹脂は、これら以外にも、フッ素原子を有する繰り返し単位として下記に示すような単位を有していてもよい。
ただし、R4〜R7の少なくとも1つはフッ素原子を表す。R4とR5若しくはR6とR7は環を形成していてもよい。
W2は、少なくとも1つのフッ素原子を含有する有機基を表す。具体的には上記(F2)〜(F4)の原子団が挙げられる。
L2は、単結合、あるいは2価の連結基を示す。2価の連結基としては、置換又は無置換のアリーレン基、置換又は無置換のアルキレン基、置換又は無置換のシクロアルキレン基、−O−、−SO2−、−CO−、−N(R)−(式中、Rは水素原子又はアルキル基を表す)、−NHSO2−又はこれらの複数を組み合わせた2価の連結基を示す。
Qは脂環式構造を表す。脂環式構造は置換基を有していてもよく、単環型でもよく、多環型でもよく、多環型の場合は有橋式であってもよい。単環型としては、炭素数3〜8のシクロアルカン構造が好ましく、例えば、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、シクロブタン構造、シクロオクタン構造等を挙げることができる。多環型としては、炭素数5以上のビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができ、炭素数6〜20のシクロアルカン構造が好ましく、例えば、アダマンタン構造、ノルボルネン構造、ジシクロペンタン構造、トリシクロデカン構造、テトシクロドデカン構造等を挙げることができる。なお、シクロアルカン構造中の少なくとも1つの炭素原子が、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。Qとして特に好ましくはノルボルネン構造、トリシクロデカン構造、テトシクロドデカン構造等を挙げることができる。
疎水性樹脂は、珪素原子を含有してもよい。
珪素原子を有する部分構造として、アルキルシリル構造(好ましくはトリアルキルシリル基)、又は環状シロキサン構造を有することが好ましい。
アルキルシリル構造、又は環状シロキサン構造としては、具体的には、下記一般式(CS−1)〜(CS−3)で表される基などが挙げられる。
R12〜R26は、各々独立に、直鎖若しくは分岐アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)又はシクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)を表す。
L3〜L5は、単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、アルキレン基、フェニレン基、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル基、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、又はウレイレン結合よりなる群から選択される単独あるいは2つ以上の基の組み合わせを挙げられる。
nは、1〜5の整数を表す。nは、好ましくは、2〜4の整数である。
フッ素原子又は珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位は(メタ)アクリレート系繰り返し単位であることが好ましい。
以下、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位の具体例を挙げるが、本発明は、これに限定されるものではない。なお、具体例中、X1は、水素原子、−CH3、−F又は−CF3を表し、X2は、−F又は−CF3を表す。
(x)アルカリ可溶基
(y)アルカリ現像液の作用により分解してアルカリ現像液に対する溶解度が増大する基(以下、極性変換基ともいう)
(z)酸の作用により分解してアルカリ現像液に対する溶解度が増大する基
繰り返し単位(b)としては、以下の類型が挙げられる。
・1つの側鎖上に、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかと、上記(x)〜(z)からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有する繰り返し単位(b’)
・上記(x)〜(z)からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有し、かつ、フッ素原子及び珪素原子を有さない繰り返し単位(b*)
・1つの側鎖上に上記(x)〜(z)からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有し、かつ、同一繰り返し単位内の上記側鎖と異なる側鎖上に、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位(b”)
疎水性樹脂は、繰り返し単位(b)として繰り返し単位(b’)を有することがより好ましい。すなわち、上記(x)〜(z)からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有する繰り返し単位(b)が、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有することがより好ましい。
なお、疎水性樹脂が、繰り返し単位(b*)を有する場合、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位(上記繰り返し単位(b’)、(b”)とは異なる繰り返し単位)とのコポリマーであることが好ましい。また、繰り返し単位(b”)における、上記(x)〜(z)からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有する側鎖とフッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する側鎖とは、主鎖中の同一の炭素原子に結合している、すなわち下記式(K1)のような位置関係にあることが好ましい。
式中、B1は上記(x)〜(z)からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有する部分構造、B2はフッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する部分構造を表す。
アルカリ可溶性基(x)としては、フェノール性水酸基、カルボン酸基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、トリス(アルキルスルホニル)メチレン基等が挙げられる。
好ましいアルカリ可溶性基としては、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール)、スルホンイミド基、ビス(カルボニル)メチレン基が挙げられる。
アルカリ可溶性基(x)を有する繰り返し単位(bx)としては、アクリル酸、メタクリル酸による繰り返し単位のような樹脂の主鎖に直接アルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位、あるいは連結基を介して樹脂の主鎖にアルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位などが挙げられ、更にはアルカリ可溶性基を有する重合開始剤や連鎖移動剤を重合時に用いてポリマー鎖の末端に導入することもでき、いずれの場合も好ましい。
繰り返し単位(bx)が、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位である場合(すなわち、上記繰り返し単位(b’)又は(b”)に相当する場合)、繰り返し単位(bx)におけるフッ素原子を有する部分構造としては、上記フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位において挙げたものと同様のものが挙げられ、好ましくは、上記一般式(F2)〜(F4)で表される基を挙げることができる。またこの場合、繰り返し単位(bx)における珪素原子を有する部分構造は、上記フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位において挙げたものと同様のものが挙げられ、好ましくは上記一般式(CS−1)〜(CS−3)で表される基を挙げることができる。
アルカリ可溶性基(x)を有する繰り返し単位(bx)の含有量は、疎水性樹脂中の全繰り返し単位に対し、1〜50mol%が好ましく、より好ましくは3〜35mol%、更に好ましくは5〜20mol%である。
アルカリ可溶性基(x)を有する繰り返し単位(bx)の具体例を以下に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。なお、具体例中、X1は、水素原子、−CH3、−F又は−CF3を表す。
極性変換基(y)は、例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルによる繰り返し単位中に含まれることにより、樹脂の側鎖に導入される形態、あるいは極性変換基(y)を有する重合開始剤や連鎖移動剤を重合時に用いてポリマー鎖の末端に導入される形態のいずれも好ましい。
極性変換基(y)を有する繰り返し単位(by)の具体例としては、後述の式(KA−1−1)〜(KA−1−17)で表されるラクトン構造を有する繰り返し単位を挙げることができる。
更に、極性変換基(y)を有する繰り返し単位(by)は、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位である(すなわち、上記繰り返し単位(b’)、(b”)に相当する)ことが好ましい。該繰り返し単位(by)を有する樹脂は疎水性を有するものであるが、特に現像欠陥の低減の点で好ましい。
繰り返し単位(by)として、例えば、式(K0)で示される繰り返し単位を挙げることができる。
Rk2はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は極性変換基を含む基を表す。
但し、Rk1、Rk2の少なくとも一方は、極性変換基を含む基を表す。
極性変換基とは、上述したようにアルカリ現像液の作用により分解しアルカリ現像液中での溶解度が増大する基を表す。極性変換基としては、一般式(KA−1)又は(KB−1)で表される部分構造におけるXで表される基であることが好ましい。
Y1及びY2は、それぞれ同一でも異なっても良く、電子求引性基を表す。
なお、繰り返し単位(by)は、一般式(KA−1)又は(KB−1)で表される部分構造を有する基を有することで、好ましいアルカリ現像液中での溶解度が増大する基を有するが、一般式(KA−1)で表される部分構造、Y1及びY2が1価である場合の(KB−1)で表される部分構造の場合のように、該部分構造が結合手を有しない場合は、該部分構造を有する基とは、該部分構造における任意の水素原子を少なくとも1つ除いた1価以上の基を有する基である。
一般式(KA−1)又は(KB−1)で表される部分構造は、任意の位置で置換基を介して疎水性樹脂の主鎖に連結している。
一般式(KA−1)で表される部分構造は、Xとしての基とともに環構造を形成する構造である。
一般式(KA−1)におけるXとして好ましくは、カルボン酸エステル基(即ち、KA−1としてラクトン環構造を形成する場合)、及び酸無水物基、炭酸エステル基である。より好ましくはカルボン酸エステル基である。
一般式(KA−1)で表される環構造は、置換基を有していてもよく、例えば、置換基Zka1をnka個有していてもよい。
Zka1は、複数ある場合はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、エーテル基、ヒドロキシル基、アミド基、アリール基、ラクトン環基、又は電子求引性基を表す。
Zka1同士が連結して環を形成してもよい。Zka1同士が連結して形成する環としては、例えば、シクロアルキル環、ヘテロ環(環状エーテル環、ラクトン環など)が挙げられる。
nkaは0〜10の整数を表す。好ましくは0〜8の整数、より好ましくは0〜5の整数、更に好ましくは1〜4の整数、最も好ましくは1〜3の整数である。
Zka1としての電子求引性基は、上述したY1及びY2としての電子求引性基と同様である。なお、上記電子求引性基は、別の電子求引性基で置換されていてもよい。
Zka1は好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、エーテル基、ヒドロキシル基、又は電子求引性基であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基又は電子求引性基である。なお、エーテル基としては、アルキル基又はシクロアルキル基等で置換されたもの、すなわち、アルキルエーテル基等が好ましい。
疎水性樹脂は、各種市販品を利用することもできるし、常法に従って(例えばラジカル重合)合成することができる。例えば、一般的合成方法としては、モノマー種及び開始剤を溶剤に溶解させ、加熱することにより重合を行う一括重合法、加熱溶剤にモノマー種と開始剤の溶液を1〜10時間かけて滴下して加える滴下重合法などが挙げられ、滴下重合法が好ましい。
反応溶媒、重合開始剤、反応条件(温度、濃度等)、及び、反応後の精製方法は、上述した樹脂(B)で説明した内容と同様である。
以下に疎水性樹脂(HR)の具体例を示す。また、下記の表1に、各樹脂における繰り返し単位のモル比(具体例に示した各樹脂における各繰り返し単位の位置関係と、表1における組成比の数字の位置関係は対応する)、重量平均分子量、分散度を示す。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物からなる塗膜をベークした後で且つ露光前の膜の後退接触角は露光時の温度、通常室温23±3℃、湿度45±5%において60°〜90°が好ましく、より好ましくは65°以上、更に好ましくは70°以上、特に好ましくは75°以上である。
疎水性樹脂は前述のように界面に偏在するものであるが、界面活性剤とは異なり、必ずしも分子内に親水基を有する必要はなく、極性/非極性物質を均一に混合することに寄与しなくてもよい。
液浸露光工程に於いては、露光ヘッドが高速でウェハ上をスキャンし露光パターンを形成していく動きに追随して、液浸液がウェハ上を動く必要があるので、動的な状態に於けるレジスト膜に対する液浸液の接触角が重要になり、液滴が残存することなく、露光ヘッドの高速なスキャンに追随する性能がレジストには求められる。
疎水性樹脂は、疎水的であるためアルカリ現像後に現像残渣(スカム)、BLOB欠陥が悪化しやすいが、少なくとも1つの分岐部を介してポリマー鎖を3つ以上有することで直鎖型樹脂に比べ、アルカリ溶解速度が向上するため現像残渣(スカム)、BLO欠陥性能が改善される。
疎水性樹脂がフッ素原子を有する場合、フッ素原子の含有量は、疎水性樹脂の分子量に対し、5〜80質量%であることが好ましく、10〜80質量%であることがより好ましい。また、フッ素原子を含む繰り返し単位が、疎水性樹脂中の全繰り返し単位に対し、10〜100モル%であることが好ましく、30〜100モル%であることがより好ましい。
疎水性樹脂が珪素原子を有する場合、珪素原子の含有量は、疎水性樹脂の分子量に対し、2〜50質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましい。また、珪素原子を含む繰り返し単位は、疎水性樹脂の全繰り返し単位に対し、10〜90モル%であることが好ましく、20〜80モル%であることがより好ましい。
疎水性樹脂の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜100,000、より好ましくは2,000〜50,000、更に好ましくは3,000〜35,000である。ここで、樹脂の重量平均分子量は、GPC(キャリア:テトラヒドロフラン(THF))によって測定したポリスチレン換算分子量を示す。
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物中の疎水性樹脂の含有量は、感活性光線又は感放射線樹脂膜の後退接触角が上記範囲になるよう適宜調整して使用できるが、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の全固形分を基準として、0.01〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜15質量%、更に好ましくは0.1〜10質量%であり、特に好ましくは0.2〜8質量%である。
疎水性樹脂は1種類単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の組成物は、酸拡散制御剤を含有することが好ましい。酸拡散制御剤は、露光時に光酸発生剤等から発生する酸をトラップし、余分な発生酸による、未露光部における酸分解性樹脂(樹脂(B))の反応を抑制するクエンチャーとして作用するものである。酸拡散制御剤としては、塩基性化合物、窒素原子を有し、酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物、活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下又は消失する塩基性化合物、又は、光酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩を使用することができる。
R200、R201及びR202は、同一でも異なってもよく、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)又はアリール基(炭素数6〜20)を表し、ここで、R201とR202は、互いに結合して環を形成してもよい。
R203、R204、R205及びR206は、同一でも異なってもよく、炭素数1〜20個のアルキル基を表す。
これら一般式(A)及び(E)中のアルキル基は、無置換であることがより好ましい。
好ましい化合物の具体例としては、US2012/0219913A1 [0379]に例示された化合物を挙げることができる。
好ましい塩基性化合物として、更に、フェノキシ基を有するアミン化合物、フェノキシ基を有するアンモニウム塩化合物、スルホン酸エステル基を有するアミン化合物及びスルホン酸エステル基を有するアンモニウム塩化合物を挙げることができる。
また、下記化合物も塩基性化合物として好ましい。
これらの塩基性化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
光酸発生剤(光酸発生剤(A’)を含む)と塩基性化合物の組成物中の使用割合は、光酸発生剤/塩基性化合物(モル比)=2.5〜300であることが好ましい。即ち、感度、解像度の点からモル比は2.5以上が好ましく、露光後加熱処理までの経時によるレジストパターンの太りによる解像度の低下抑制の点から300以下が好ましい。光酸発生剤/塩基性化合物(モル比)は、より好ましくは5.0〜200、更に好ましくは7.0〜150である。
酸の作用により脱離する基として、アセタール基、カルボネート基、カルバメート基、3級エステル基、3級水酸基、ヘミアミナールエーテル基が好ましく、カルバメート基、ヘミアミナールエーテル基であることが特に好ましい。
化合物(C)の分子量は、100〜1000が好ましく、100〜700がより好ましく、100〜500が特に好ましい。
化合物(C)は、窒素原子上に保護基を有するカルバメート基を有してもよい。カルバメート基を構成する保護基としては、下記一般式(d−1)で表すことができる。
Rbは、各々独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜30)、アリール基(好ましくは炭素数3〜30)、アラルキル基(好ましくは炭素数1〜10)、又はアルコキシアルキル基(好ましくは炭素数1〜10)を表す。Rbは相互に連結して環を形成していてもよい。
Rbが示すアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基は、ヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、オキソ基等の官能基、アルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよい。Rbが示すアルコキシアルキル基についても同様である。
2つのRbが相互に連結して形成する環としては、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環式炭化水素基若しくはその誘導体等が挙げられる。
一般式(d−1)で表される基の具体的な構造としては、US2012/0135348 A1 [0466]に開示された構造を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
Rbは、上記一般式(d−1)におけるRbと同義であり、好ましい例も同様である。
lは0〜2の整数を表し、mは1〜3の整数を表し、l+m=3を満たす。
一般式(6)において、Raとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基は、Rbとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基が置換されていてもよい基として前述した基と同様な基で置換されていてもよい。
本発明における特に好ましい化合物(C)を具体的に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。
本発明において、化合物(C)は、一種単独でも又は2種以上を混合しても使用することができる。
本発明の組成物における化合物(C)の含有量は、組成物の全固形分を基準として、0.001〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは0.001〜10質量%、更に好ましくは0.01〜5質量%である。
プロトンアクセプター性は、pH測定を行うことによって確認することができる。
Qは、−SO3H、−CO2H、又は−W1NHW2Rfを表す。ここで、Rfは、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)又はアリール基(好ましくは炭素数6〜30)を表し、W1及びW2は、各々独立に、−SO2−又は−CO−を表す。
Aは、単結合又は2価の連結基を表す。
Xは、−SO2−又は−CO−を表す。
nは、0又は1を表す。
Bは、単結合、酸素原子、又は−N(Rx)Ry−を表す。ここで、Rxは水素原子又は1価の有機基を表し、Ryは単結合又は2価の有機基を表す。Rxは、Ryと結合して環を形成していてもよく、Rと結合して環を形成していてもよい。
Rは、プロトンアクセプター性官能基を有する1価の有機基を表す。
Aにおける2価の連結基としては、好ましくは炭素数2〜12の2価の連結基であり、例えば、アルキレン基、フェニレン基等が挙げられる。より好ましくは少なくとも1つのフッ素原子を有するアルキレン基であり、好ましい炭素数は2〜6、より好ましくは炭素数2〜4である。アルキレン鎖中に酸素原子、硫黄原子などの連結基を有していてもよい。アルキレン基は、特に水素原子数の30〜100%がフッ素原子で置換されたアルキレン基が好ましく、Q部位と結合した炭素原子がフッ素原子を有することがより好ましい。更にはパーフルオロアルキレン基が好ましく、パーフロロエチレン基、パーフロロプロピレン基、パーフロロブチレン基がより好ましい。
Rxにおけるアルキル基としては、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数1〜20の直鎖及び分岐アルキル基であり、アルキル鎖中に酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有していてもよい。
Rxにおけるシクロアルキル基としては、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数3〜20の単環シクロアルキル基又は多環シクロアルキル基であり、環内に酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有していてもよい。
Rxにおけるアリール基としては、置換基を有してもよく、好ましくは炭素数6〜14のものが挙げられ、例えば、フェニル基及びナフチル基等が挙げられる。
Rxにおけるアラルキル基としては、置換基を有してもよく、好ましくは炭素数7〜20のものが挙げられ、例えば、ベンジル基及びフェネチル基等が挙げられる。
Rxにおけるアルケニル基は、置換基を有してもよく、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このアルケニル基の炭素数は、3〜20であることが好ましい。このようなアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基及びスチリル基等が挙げられる。
RxとRyが互いに結合して形成してもよい環構造としては、窒素原子を含む5〜10員の環、特に好ましくは6員の環が挙げられる。
このような構造を有する有機基として、好ましい炭素数は4〜30の有機基であり、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基などを挙げることができる。
単環式構造としては、窒素原子を含む4員環、5員環、6員環、7員環、8員環等を挙げることができる。多環式構造としては、2又は3以上の単環式構造の組み合わせから成る構造を挙げることができる。
Qは、酸基の親水性の観点から、−SO3H又は−CO2Hであることが特に好ましい。
一般式(PA−1)で表される化合物の内、Q部位がスルホン酸である化合物は、一般的なスルホンアミド化反応を用いることで合成できる。例えば、ビススルホニルハライド化合物の一方のスルホニルハライド部を選択的にアミン化合物と反応させて、スルホンアミド結合を形成した後、もう一方のスルホニルハライド部分を加水分解する方法、あるいは環状スルホン酸無水物をアミン化合物と反応させ開環させる方法により得ることができる。
化合物(PA)として、好ましくは下記一般式(4)〜(6)で表される化合物が挙げられる。
C+はカウンターカチオンを示す。
カウンターカチオンとしては、オニウムカチオンが好ましい。より詳しくは、上述した一般式(ZI)におけるS+(R201)(R202)(R203)として説明されているスルホニウムカチオン、一般式(ZII)におけるI+(R204)(R205)として説明されているヨードニウムカチオンが好ましい例として挙げられる。
化合物(PA)の具体例としては、US2011/0269072A1 [0280]に例示された化合物を挙げることが出来る。
mは1又は2を表し、nは1又は2を表す。但し、Aが硫黄原子の時、m+n=3、Aがヨウ素原子の時、m+n=2である。
Rは、アリール基を表す。
RNは、プロトンアクセプター性官能基で置換されたアリール基を表す。X-は、対アニオンを表す。
X-の具体例としては、前述した光酸発生剤(A)のアニオンと同様のものを挙げることができる。
R及びRNのアリール基の具体例としては、フェニル基が好ましく挙げられる。
以下に、カチオン部にプロトンアクセプター部位を有するイオン性化合物の具体例としては、US2011/0269072A1 [0291]に例示された化合物を挙げることが出来る。
なお、このような化合物は、例えば、特開2007―230913号公報及び特開2009―122623号公報などに記載の方法を参考にして合成できる。
化合物(PA)の含有量は、組成物の全固形分を基準として、0.1〜10質量%が好ましく、1〜8質量%がより好ましい。
光酸発生剤と、光酸発生剤から生じた酸に対して相対的に弱酸である酸を発生するオニウム塩を混合して用いた場合、活性光線性又は放射線の照射により光酸発生剤から生じた酸が未反応の弱酸アニオンを有するオニウム塩と衝突すると、塩交換により弱酸を放出して強酸アニオンを有するオニウム塩を生じる。この過程で強酸がより触媒能の低い弱酸に交換されるため、見かけ上、酸が失活して酸拡散の制御を行うことができる。
一般式(d1‐2)で表される化合物のアニオン部の好ましい例としては、特開2012−242799号公報の段落〔0201〕に例示された構造を挙げることが出来る。
一般式(d1‐3)で表される化合物のアニオン部の好ましい例としては、特開2012−242799号公報の段落〔0209〕及び〔0210〕に例示された構造を挙げることが出来る。
オニウム塩(C)としては、下記一般式(C−1)〜(C−3)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。
R1、R2、R3は、炭素数1以上の置換基を表す。
L1は、カチオン部位とアニオン部位を連結する2価の連結基又は単結合を表す。
−X-は、−COO-、−SO3 -、−SO2 -、−N-−R4から選択されるアニオン部位を表す。R4は、隣接するN原子との連結部位に、カルボニル基:−C(=O)−、スルホニル基:−S(=O)2−、スルフィニル基:−S(=O)−を有する1価の置換基を表す。
R1、R2、R3、R4、L1は互いに結合して環構造を形成してもよい。また、(C−3)において、R1〜R3のうち2つを合わせて、N原子と2重結合を形成してもよい。
一般式(C−1)で表される化合物の好ましい例としては、特開2013−6827号公報の段落〔0037〕〜〔0039〕及び特開2013−8020号公報の段落〔0027〕〜〔0029〕に例示された化合物を挙げることが出来る。
一般式(C−2)で表される化合物の好ましい例としては、特開2012−189977号公報の段落〔0012〕〜〔0013〕に例示された化合物を挙げることが出来る。
一般式(C−3)で表される化合物の好ましい例としては、特開2012−252124号公報の段落〔0029〕〜〔0031〕に例示された化合物を挙げることが出来る。
上記各成分を溶解させて本発明の組成物を調製する際に使用することができる溶剤としては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル、アルコキシプロピオン酸アルキル、環状ラクトン(好ましくは炭素数4〜10)、環を含有してもよいモノケトン化合物(好ましくは炭素数4〜10)、アルキレンカーボネート、アルコキシ酢酸アルキル、ピルビン酸アルキル等の有機溶剤を挙げることができる。
アルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルを好ましく挙げられる。
アルコキシプロピオン酸アルキルとしては、例えば、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチルを好ましく挙げられる。
アルコキシ酢酸アルキルとしては、例えば、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル、酢酸−2−(2−エトキシエトキシ)エチル、酢酸−3−メトキシ−3−メチルブチル、酢酸−1−メトキシ−2−プロピルが好ましく挙げられる。
ピルビン酸アルキルとしては、例えば、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピルが好ましく挙げられる。
好ましく使用できる溶剤としては、常温常圧下で、沸点130℃以上の溶剤が挙げられる。具体的には、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、乳酸エチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸−2−エトキシエチル、酢酸−2−(2−エトキシエトキシ)エチル、プロピレンカーボネートが挙げられる。
本発明に於いては、上記溶剤を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
水酸基を含有する溶剤、水酸基を含有しない溶剤としては前述の例示化合物が適宜選択可能であるが、水酸基を含有する溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキル等が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチルがより好ましい。また、水酸基を含有しない溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、アルキルアルコキシプロピオネート、環を含有してもよいモノケトン化合物、環状ラクトン、酢酸アルキルなどが好ましく、これらの内でもプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、酢酸ブチルが特に好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノンが最も好ましい。
水酸基を含有する溶剤と水酸基を含有しない溶剤との混合比(質量)は、1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜60/40である。水酸基を含有しない溶剤を50質量%以上含有する混合溶剤が塗布均一性の点で特に好ましい。
少なくともプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン及びγ−ブチロラクトンの3種を含む混合溶剤が特に好ましい。
本発明の組成物は、更に界面活性剤を含有してもよい。含有する場合、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤(フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、フッ素原子と珪素原子の両方を有する界面活性剤)のいずれか、あるいは2種以上を含有することが好ましい。
フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤として、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の[0276]に記載の界面活性剤が挙げられ、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431、4430(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、F113、F110、F177、F120、R08(DIC(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)、GF−300、GF−150(東亜合成化学(株)製)、サーフロンS−393(セイミケミカル(株)製)、エフトップEF121、EF122A、EF122B、RF122C、EF125M、EF135M、EF351、EF352、EF801、EF802、EF601((株)ジェムコ製)、PF636、PF656、PF6320、PF6520(OMNOVA社製)、FTX−204G、208G、218G、230G、204D、208D、212D、218D、222D((株)ネオス製)等である。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
フルオロ脂肪族基を有する重合体としては、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート及び/又は(ポリ(オキシアルキレン))メタクリレートとの共重合体が好ましく、不規則に分布しているものでも、ブロック共重合していてもよい。また、ポリ(オキシアルキレン)基としては、ポリ(オキシエチレン)基、ポリ(オキシプロピレン)基、ポリ(オキシブチレン)基などが挙げられ、また、ポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとオキシエチレンとのブロック連結体)やポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック連結体)など同じ鎖長内に異なる鎖長のアルキレンを有するようなユニットでもよい。さらに、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体は2元共重合体ばかりでなく、異なる2種以上のフルオロ脂肪族基を有するモノマーや、異なる2種以上の(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)などを同時に共重合した3元系以上の共重合体でもよい。
界面活性剤の使用量は、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の全固形分量(溶剤を除く全量)に対して、好ましくは0〜2質量%、さらに好ましくは0.0001〜2質量%、特に好ましくは0.0005〜1質量%である。
酸の作用により分解してアルカリ現像液中での溶解度が増大する、分子量3000以下の溶解阻止化合物(以下、「溶解阻止化合物」ともいう)としては、220nm以下の透過性を低下させないため、Proceeding of SPIE, 2724,355 (1996)に記載されている酸分解性基を含むコール酸誘導体の様な、酸分解性基を含有する脂環族又は脂肪族化合物が好ましい。酸分解性基、脂環式構造としては、樹脂(B)で説明したものと同様のものが挙げられる。
本発明の組成物には、必要に応じてさらに染料、可塑剤、光増感剤、光吸収剤、及び現像液に対する溶解性を促進させる化合物(例えば、分子量1000以下のフェノール化合物、カルボキシル基を有する脂環族、又は脂肪族化合物)等を含有させることができる。
カルボキシル基を有する脂環族、又は脂肪族化合物の具体例としてはコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸などのステロイド構造を有するカルボン酸誘導体、アダマンタンカルボン酸誘導体、アダマンタンジカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
次に、本発明のパターン形成方法について説明する。
本発明のパターン形成方法は、
(1)感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて膜を形成する工程、
(2)上記膜を露光する工程、及び、
(3)上記露光された膜を現像する工程、
を少なくとも含む。
本発明のパターン形成方法は、(2)露光工程の後に、(4)加熱工程を含むことが好ましい。
本発明のパターン形成方法は、(2)露光工程を、複数回含んでいてもよい。
本発明のパターン形成方法は、(4)加熱工程を、複数回含んでいてもよい。
また、露光工程の後かつ現像工程の前に、露光後加熱工程(PEB;Post Exposure Bake)を含むことも好ましい。
加熱温度はPB、PEB共に70〜130℃で行うことが好ましく、80〜120℃で行うことがより好ましい。
加熱時間は30〜300秒が好ましく、30〜180秒がより好ましく、30〜90秒が更に好ましい。
加熱は通常の露光・現像機に備わっている手段で行うことができ、ホットプレート等を用いて行ってもよい。
ベークにより露光部の反応が促進され、感度やパターンプロファイルが改善する。
液浸液は、露光波長に対して透明であり、かつ膜上に投影される光学像の歪みを最小限に留めるよう、屈折率の温度係数ができる限り小さい液体が好ましいが、特に露光光源がArFエキシマレーザー(波長;193nm)である場合には、上述の観点に加えて、入手の容易さ、取り扱いのし易さといった点から水を用いるのが好ましい。
水を用いる場合、水の表面張力を減少させるとともに、界面活性力を増大させる添加剤(液体)を僅かな割合で添加してもよい。この添加剤はウェハ上のレジスト層を溶解させず、かつレンズ素子の下面の光学コートに対する影響が無視できるものが好ましい。
このような添加剤としては、例えば、水とほぼ等しい屈折率を有する脂肪族系のアルコールが好ましく、具体的にはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。水とほぼ等しい屈折率を有するアルコールを添加することにより、水中のアルコール成分が蒸発して含有濃度が変化しても、液体全体としての屈折率変化を極めて小さくできるといった利点が得られる。
液浸液として用いる水の電気抵抗は、18.3MΩcm以上であることが望ましく、TOC(有機物濃度)は20ppb以下であることが望ましく、脱気処理をしていることが望ましい。
トップコートは、具体的には、炭化水素ポリマー、アクリル酸エステルポリマー、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、ポリビニルエーテル、シリコン含有ポリマー、フッ素含有ポリマーなどが挙げられる。トップコートから液浸液へ不純物が溶出すると光学レンズを汚染するという観点からは、トップコートに含まれるポリマーの残留モノマー成分は少ない方が好ましい。
トップコートと液浸液との間には屈折率の差がない方が、解像力が向上する。液浸液として水を用いる場合には、トップコートは、液浸液の屈折率に近いことが好ましい。屈折率を液浸液に近くするという観点からは、トップコート中にフッ素原子を有することが好ましい。また、透明性及び屈折率の観点から薄膜の方が好ましい。
トップコートは、膜と混合せず、さらに液浸液とも混合しないことが好ましい。この観点から、液浸液が水の場合には、トップコートに使用される溶剤は、本発明の組成物に使用される溶剤に難溶で、かつ非水溶性の媒体であることが好ましい。さらに、液浸液が有機溶剤である場合には、トップコートは水溶性であっても非水溶性であってもよい。以下、トップコート層の形成に用いられるトップコート組成物について説明する。
溶剤が有機溶剤である場合、レジスト膜を溶解しない溶剤であることが好ましい。使用しうる溶剤としては、アルコール系溶剤、フッ素系溶剤、炭化水素系溶剤を用いることが好ましく、非フッ素系のアルコール系溶剤を用いることが更に好ましい。アルコール系溶剤としては、塗布性の観点からは1級のアルコールが好ましく、更に好ましくは炭素数4〜8の1級アルコールである。炭素数4〜8の1級アルコールとしては、直鎖状、分岐状、環状のアルコールを用いることができるが、好ましくは、例えば1−ブタノール、1−ヘキサノール、1−ペンタノール及び3−メチル−1−ブタノール、2−エチルブタノール及びパーフルオロブチルテトラヒドロフラン等が挙げられる。
また、トップコート組成物用の樹脂としては、特開2009−134177、特開2009−91798記載の酸性基を有する樹脂も、好ましく用いることができる。
水溶性樹脂の重量平均分子量は、特に制限はないが、2000から100万が好ましく、更に好ましくは5000から50万、特に好ましくは1万から10万である。ここで、樹脂の重量平均分子量は、GPC(キャリア:THFあるいはN−メチル−2−ピロリドン(NMP))によって測定したポリスチレン換算分子量を示す。
トップコート材料には樹脂以外の成分を含んでもよいが、トップコート組成物の固形分に占める樹脂の割合は、好ましくは80から100質量%であり、更に好ましくは90から100質量%、特に好ましくは95から100質量%である。
本発明におけるトップコート組成物の固形分濃度は、0.1〜10であることが好ましく、0.2〜6質量%であることがより好ましく、0.3〜5質量%であることが更に好ましい。固形分濃度を上記範囲とすることで、トップコート組成物をレジスト膜上に均一に塗布することができる。
基板上に感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を塗布する方法としては、スピン塗布が好ましく、その回転数は1000〜3000rpmが好ましい。
例えば、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を精密集積回路素子の製造に使用されるような基板(例:シリコン/二酸化シリコン被覆)上にスピナー、コーター等の適当な塗布方法により塗布、乾燥し、レジスト膜を形成する。なお、予め公知の反射防止膜を塗設することもできる。また、トップコート層の形成前にレジスト膜を乾燥することが好ましい。
次いで、得られたレジスト膜上に、上記レジスト膜の形成方法と同様の手段によりトップコート組成物を塗布、乾燥し、トップコート層を形成することができる。
トップコート層を上層に有するレジスト膜に、通常はマスクを通して、活性光線又は放射線を照射し、好ましくはベーク(加熱)を行い、現像する。これにより良好なパターンを得ることができる。
アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常0.1〜20質量%である。
アルカリ現像液のpHは、通常10.0〜15.0である。
アルカリ現像の後に行うリンス処理におけるリンス液としては、純水を使用し、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
上記の他、アルカリ現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドドキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラペンチルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラオクチルアンモニウムヒドロキシド、エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリアミルアンモニウムヒドロキシド、ジブチルジペンチルアンモニウムヒドロキシド等のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピヘリジン等の環状アミン類等のアルカリ性水溶液を使用することができる。
上記の溶剤は、複数混合してもよいし、上記以外の溶剤や水と混合し使用してもよい。但し、本発明の効果を十二分に奏するためには、現像液全体としての含水率が10質量%未満であることが好ましく、実質的に水分を含有しないことがより好ましい。
すなわち、有機系現像液に対する有機溶剤の使用量は、現像液の全量に対して、90質量%以上100質量%以下であることが好ましく、95質量%以上100質量%以下であることが好ましい。
界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、イオン性や非イオン性のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤等を用いることができる。これらのフッ素及び/又はシリコン系界面活性剤として、例えば特開昭62−36663号公報、特開昭61−226746号公報、特開昭61−226745号公報、特開昭62−170950号公報、特開昭63−34540号公報、特開平7−230165号公報、特開平8−62834号公報、特開平9−54432号公報、特開平9−5988号公報、米国特許第5405720号明細書、同5360692号明細書、同5529881号明細書、同5296330号明細書、同5436098号明細書、同5576143号明細書、同5294511号明細書、同5824451号明細書記載の界面活性剤を挙げることができ、好ましくは、非イオン性の界面活性剤である。非イオン性の界面活性剤としては特に限定されないが、フッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を用いることが更に好ましい。
本発明において、有機溶剤現像工程によって露光強度の弱い部分が除去されるが、更にアルカリ現像工程を行うことによって露光強度の強い部分も除去される。このように現像を複数回行う多重現像プロセスにより、中間的な露光強度の領域のみを溶解させずにパターン形成が行えるので、通常より微細なパターンを形成できる(特開2008−292975号公報 [0077]と同様のメカニズム)。
本発明のパターン形成方法においては、アルカリ現像工程及び有機溶剤現像工程の順序は特に限定されないが、アルカリ現像を、有機溶剤現像工程の前に行うことがより好ましい。
有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程の後のリンス工程に用いるリンス液としては、レジストパターンを溶解しなければ特に制限はなく、一般的な有機溶剤を含む溶液を使用することができる。上記リンス液としては、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含有するリンス液を用いることが好ましい。
炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤の具体例としては、有機溶剤を含む現像液において説明したものと同様のものを挙げることができる。
リンス液中の含水率は、10質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以下、特に好ましくは3質量%以下である。含水率を10質量%以下にすることで、良好な現像特性を得ることができる。
リンス工程においては、有機溶剤を含む現像液を用いる現像を行ったウェハを上記の有機溶剤を含むリンス液を用いて洗浄処理する。洗浄処理の方法は特に限定されないが、たとえば、一定速度で回転している基板上にリンス液を吐出しつづける方法(回転塗布法)、リンス液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)、などを適用することができ、この中でも回転塗布方法で洗浄処理を行い、洗浄後に基板を2000rpm〜4000rpmの回転数で回転させ、リンス液を基板上から除去することが好ましい。また、リンス工程の後に加熱工程(Post Bake)を含むことも好ましい。ベークによりパターン間及びパターン内部に残留した現像液及びリンス液が除去される。リンス工程の後の加熱工程は、通常40〜160℃、好ましくは70〜95℃で、通常10秒〜3分、好ましくは30秒から90秒間行う。
また、本発明は、上記した本発明のパターン形成方法(好ましくはネガ型)を含む、電子デバイスの製造方法、及び、この製造方法により製造された電子デバイスにも関する。
本発明の電子デバイスは、電気電子機器(家電、OA・メディア関連機器、光学用機器及び通信機器等)に、好適に、搭載されるものである。
下記化合物1〜14及び比較例化合物1〜4の光酸発生剤を合成した。以下に化合物1、2及び9について具体的な合成方法を示す。他の光酸発生剤の合成方法も同様に合成した。
4−ブロモ−1,1,2−トリフルオロ−1−ブテン51.0g(270mmol)、金属マグネシウム7.13g(297mmol)、脱水テトラヒドロフラン500mLを混合し、50℃で1時間撹拌し、Grignard試薬を調製した。1−[(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)エチル]アダマンタン84.3g(270mmol)、臭化銅(I)7.75g(54mmol)、脱水テトラヒドロフラン500mLを混合し、調製したGrignard試薬を−40℃で添加した後、−40℃で2時間撹拌した。反応液をヘキサン500mL/塩化アンモニウム水溶液1Lに注ぎ、有機層を抽出した後、有機層を塩水で洗浄した。有機層を減圧濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)にて精製することで、オイル状の合成中間体1を38.3g得た(収率52%)。
・1H NMR(400MHz、CDCl3);δ=7.80−7.67(m、15H)、5.14−4.92(m、1H)、2.25−2.04(m、1H)、1.91−1.81(m、4H)、1.70−1.19(m、16H)、1.06−1.00(m、2H)ppm.
・19F NMR(376MHz、CDCl3);δ=−114.0(d、1F)、−119.2(d、1F)、−201.4〜−201.8(m、1F)ppm.
トリフェニルスルホニウムブロマイドを合成中間体3に代える以外は化合物1と同様にして、化合物2を合成した。
・1H NMR(400MHz、CDCl3);δ=8.31(s、2H)、7.06(d、2H)、6.32(s、1H)、5.18−4.97(m、1H)、4.42−4.27(m、2H)、4.02(t、1H)、3.91−3.79(m、7H)、3.17(d、1H)、2.24−1.86(m、5H)、1.70−1.25(m、25H)、1.09−1.03(m、2H)ppm.
・19F NMR(376MHz、CDCl3);δ=−115.3(d、1F)、−117.8(d、1F)、−200.8〜−201.1ppm.
4−ブロモ−1,1,2−トリフルオロ−1−ブテン56.7g(300mmol)、金属マグネシウム7.92g(330mmol)、脱水テトラヒドロフラン500mLを混合し、50℃で1時間撹拌し、Grignard試薬を調製した。1−アダマンタンカルボニルクロリド63.8g(300mmol)、塩化アルミニウム2.40g(18mmol)、塩化銅(I)3.56g(36mmol)、脱水テトラヒドロフラン500mLを0℃で添加した後、0℃で2時間撹拌した。反応液をヘキサン500mL/塩化アンモニウム水溶液1Lに注ぎ、有機層を抽出した後、有機層を塩水で洗浄した。有機層を減圧濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=100:1)にて精製することで、オイル状の合成中間体4を45.5g得た(収率53%)。
・1H NMR(400MHz、CDCl3);δ=7.78−7.67(m、15H)、5.18−4.97(m、1H)、2.79−2.60(m、2H)、2.49−2.33(m、1H)、2.23−2.09(m、1H)、2.02(s、3H)、1.78−1.65(m、12H)ppm.
・19F NMR(376MHz、CDCl3);δ=−114.3(d、1F)、−118.6(d、1F)、−201.7(s、1F)ppm.
下記表2に示される成分を下記表2に示される溶剤に溶解させ、固形分濃度4質量%の溶液を調製し、これを0.05μmのポアサイズを有するポリエチレンフィルターで濾過して感活性光線性又は感放射性樹脂組成物(以下、レジスト組成物ともいう)を調製した。得られたレジスト組成物(実施例の組成物および比較例の組成物)について、以下の評価を行い、結果を下記表2に示した。
また、実施例19において、樹脂(B)の配合量はP−1およびP−2それぞれ5gであり、実施例19以外の全ての実施例及び比較例において、樹脂(B)の配合量は10gである。また、実施例18において、疎水性樹脂(HR)の配合量はB−14が10mgであり、B−16が25mgであり、実施例18以外の全ての実施例及び比較例において、疎水性樹脂(HR)の配合量は35mgである。また、全ての実施例及び比較例において、界面活性剤の配合量は10mgである(ただし、実施例7、8および18は界面活性剤を含有しない)。
(パターン形成)
12インチのシリコンウェハ上に有機反射防止膜ARC29SR(日産化学社製)を塗布し、205℃で、60秒間ベークを行い、膜厚98nmの反射防止膜を形成した。その上に、上記で調製した感活性光線性又は感放射性樹脂組成物を塗布し、95℃で、60秒間ベークを行い、膜厚120nmのレジスト膜を形成した。これに対し、ArFエキシマレーザー液浸スキャナー(ASML社製 XT1700i、NA1.20、C−Quad、アウターシグマ0.981、インナーシグマ0.895、XY偏向)を用い、線幅48nmの1:1ラインアンドスペースパターンの6%ハーフトーンマスクを通して露光した。液浸液としては、超純水を使用した。その後、90℃で60秒間加熱した後、酢酸ブチルで30秒間パドルして現像した後、スピン乾燥してパターンを形成した。
上記で得られたライン/スペース=1/1のラインパターン(ArF液浸露光:線幅48nm)について、走査型顕微鏡(日立社製S9380)で観察した。ラインパターンの長手方向のエッジ2μmの範囲について、線幅を50ポイント測定し、その測定ばらつきについて標準偏差を求め、3σを算出した。値が小さいほど良好な性能であることを示す。実用上、6.0nm以下であることが好ましい。
線幅48nmの1:1ラインアンドスペースのパターンを再現する露光量を最適露光量とし、露光量を変化させた際にパターンサイズが48nm±10%を許容する露光量幅(露光ラチチュード)を求め、この値を最適露光量で割って百分率表示した。値が大きいほど露光量変化による性能変化が小さく望ましい。
線幅48nmの1:1ラインアンドスペースパターンのレジストパターンを再現する露光量及び焦点深度をそれぞれ最適露光量及び最適焦点深度とし、露光量を最適露光量としたまま、焦点深度を、最適焦点深度から変化(デフォーカス)させた際に、上記線幅の±10%(すなわち48nm±10%)の線幅を許容する焦点深度幅を観測した。この値が大きいほうが、焦点ズレの許容度が大きく望ましい。
・DIA:2,6−ジイソプロピルアニリン
・TEA:トリエタノールアミン
・DBA:N,N−ジブチルアニリン
・PBI:2−フェニルベンズイミダゾール
・PEA:N−フェニルジエタノールアミン
・Q1(下記構造)
・Q3(下記構造)
・A1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
・A2:シクロヘキサノン
・A3:γ―ブチロラクトン
・B1:プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)
・B2:乳酸エチル
・W−1:メガファックF176(DIC(株)製)(フッ素系)
・W−2:メガファックR08(DIC(株)製)(フッ素及びシリコン系)
・W−3:PF6320(OMNOVA Solutions Inc.製)(フッ素系)
・W−4:トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)
実施例1〜20の対比から、一般式(I)中のn3が0である実施例1〜15は焦点深度ラチチュードがより大きかった。
また、実施例1と2との対比、および、実施例7と8との対比から、酸拡散制御剤として「光酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩」を使用する実施例2および8は焦点深度ラチチュードがより大きく、かつ、形成されるパターンのLWRがより小さかった。
また、実施例9と10との対比から、酸拡散制御剤として「窒素原子を有し、酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物」を使用する実施例10は形成されるパターンのLWRがより小さかった。
また、実施例12と13との対比から、溶剤として少なくともプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン及びγ−ブチロラクトンの3種を含む混合溶剤を使用する実施例13は形成されるパターンのLWRがより小さかった。
Claims (15)
- 下記一般式(I)で表される光酸発生剤(A)と、酸の作用により分解し、極性基を生じる基を有する樹脂(B)とを含有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
R11〜R14は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。R15は、置換又は無置換のヘテロ原子を有してもよい脂環基を表す。
n1及びn2は、それぞれ独立に、0〜5の整数を表す。n3は、0又は1を表す。
n1が2以上の整数である場合、複数あるR11及び複数あるR12は、それぞれ同一であっても異なってもよい。n2が2以上の整数である場合、複数あるR13及び複数あるR14は、それぞれ同一であっても異なってもよい。
R11〜R14は、それぞれ互いに結合して環を形成してもよい。n1が2以上の整数である場合、複数あるR11同士及び複数あるR12同士は、それぞれ互いに結合して環を形成してもよい。n2が2以上の整数である場合、複数あるR13同士及び複数あるR14同士は、それぞれ互いに結合して環を形成してもよい。) - 前記一般式(I)中のR15が、置換又は無置換のアダマンチル基である、請求項1に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
- 前記一般式(I)中のR11〜R14のうち少なくとも1つが、置換又は無置換のアルキル基である、請求項1又は2に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
- 前記一般式(I)中のR11〜R14のうち少なくとも1つが、置換又は無置換の環状アルキル基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
- 前記光酸発生剤(A)が、下記一般式(ZI−4)で表される化合物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
R13は、水素原子、フッ素原子、又は、置換基を有してもよい、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、若しくは、シクロアルキル基を表す。
R14は、水酸基、又は、置換基を有してもよい、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルキルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、若しくは、シクロアルキル基を表す。
R15は、置換基を有してもよい、アルキル基、シクロアルキル基、又は、ナフチル基を表す。2個のR15は同一であっても異なってもよい。2個のR15は互いに結合して環を形成してもよい。形成される環は、ヘテロ原子を有してもよい。
lは、0〜2の整数を表す。
rは、0〜8の整数を表す。rが2以上の整数である場合、複数あるR14は同一であっても異なってもよい。
Z-は、前記一般式(I)中のアニオンを表す。) - 前記光酸発生剤(A)が、下記一般式(ZI−3)で表される化合物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
R1は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、又は、アルケニル基を表す。
R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、又は、アリール基を表す。
R1とR2、R2とR3は、それぞれ互いに結合して環を形成してもよい。
RX及びRyは、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、2−オキソアルキル基、2−オキソシクロアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、又は、アルコキシカルボニルシクロアルキル基を表す。
RXとRyは、互いに結合して環を形成してもよい。形成される環は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケトン基、エーテル結合、エステル結合、又は、アミド結合を有してもよい。
Z-は、前記一般式(I)中のアニオンを表す。) - 2種以上の光酸発生剤を含有し、前記光酸発生剤の少なくとも1種が前記光酸発生剤(A)である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
- 前記一般式(I)中のA+が互いに異なる2種以上の前記光酸発生剤(A)を含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
- 有機溶剤現像用のネガ型レジスト組成物である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて形成されたレジスト膜。
- (1)請求項1〜9のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて膜を形成する工程、
(2)前記膜を露光する工程、及び、
(3)前記露光された膜を現像する工程、
を含むパターン形成方法。 - 前記露光が液浸露光である、請求項11に記載のパターン形成方法。
- 前記工程(3)が、前記露光された膜を、有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程である、請求項11又は12に記載のパターン形成方法。
- 請求項11〜13のいずれか1項に記載のパターン形成方法を含む電子デバイスの製造方法。
- 請求項14に記載の電子デバイスの製造方法により製造された電子デバイス。
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