JP2015102329A - 列車情報の推定方法および橋梁の健全度評価方法 - Google Patents

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光一 杉崎
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Abstract

【課題】橋梁を列車が通過する際に得られる橋梁の応答のみに基づいて、橋梁を通過した列車に関する情報を推定する手法を提供する。
【解決手段】橋梁に、列車が通過したことによる橋梁の応答を検出する検知器を取り付け、検出した応答のスペクトルから卓越振動数を特定し、橋梁を列車が通過することにより得られる応答の卓越振動数と、その列車の通過速度との相関関係に基づいて、特定した卓越振動数に対応する通過速度を求めることにより、列車が、橋梁を、求めた通過速度で通過したものと推定する。
【選択図】図3

Description

本発明は、橋梁を通過する列車に関する情報を推定する方法、および推定結果に基づいて橋梁の健全度を評価する方法に関する。
橋梁の健全度を評価する方法の中には、橋梁が荷重を受けた際の応答を利用したものがある。具体的には、橋梁に設置されたセンサ等からの信号を長期間に亘って監視し続け、その間に応答に変化が生じれば、その橋梁に何らかの変化があったと推定する、という手法である。
橋梁の応答を得る方法としては、従来、重錘や起振機等を現地に持込み、橋梁に人工的に振動を加えるという方法が採用されてきたが、大型の機材を持って何度も現地に足を運ぶのは大変手間がかかる。
そこで、橋梁に敷設された軌道上を列車が通過する際の橋梁の応答を利用する方法が研究されている。列車は定期的に橋梁を通過するので、その応答を利用することができれば、長期間に亘る橋梁の監視を容易に行うことが可能となる(特許文献1参照)。
特開2012−242362号公報
ところで、線区によっては、様々な編成(車輌の種類、連結されている車輌数)の列車が通行する場合があり、列車の種類が異なれば、通行する速度も異なる場合が考えられる。また、その線区が単線であれば、進行方向の異なる列車が同じ軌道上を通行することになる。列車の通過の仕方によって得られる応答は異なるし、同じような応答が得られても、異なる種類の列車によるものであれば、その応答が示す橋梁の状態は異なってくる。このため、橋梁を通過する列車に関する情報を識別できるようにする必要がある。
通過列車の編成は、応答が得られた時刻と、予め決められているダイヤとを照らし合わせれば調べることが可能だが、悪天候や事故等によって予定通りに列車が運行されない場合も考えられる。一方、レールにひずみゲージを取り付けたり、橋梁の付近にカメラやスピードガン等を設置したりする方法も考えられるが、何れにせよ橋梁の応答を得る必要があるので、応答を得るための手段とは別にこれらの手段を設置することとなり、コストや手間が増えてしまう。このような理由から、通過した列車に関する情報を、橋梁の応答のみに基づいて識別することができる手法が望まれているが、そのような手法は未だ確立されていない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、橋梁を列車が通過する際に得られる橋梁の応答のみに基づいて、橋梁を通過した列車に関する情報を推定する手法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、橋梁に敷設された軌道上を通過する列車に関する情報を推定する列車情報推定方法において、前記橋梁に、前記列車が通過したことによる前記橋梁の応答を検出する検知器を取り付け、検出した応答のスペクトルから卓越振動数を特定し橋梁を列車が通過することにより得られる応答の卓越振動数と、その列車の通過速度との相関関係に基づいて、特定した卓越振動数に対応する通過速度を求めることにより、前記列車が、前記橋梁を、求めた通過速度で通過したものと推定することを特徴とする。
ここで用いる「応答」には、加速度センサにより得られる加速度応答や、変位センサにより得られる変位応答を微分したもの等が含まれる。
橋梁を列車が通過することにより得られる応答の卓越振動数と、その列車の通過速度との間には相関関係があるので、このようにすれば、橋梁を列車が通過する際に橋梁から得られる応答のみによって、橋梁を通過する列車の通過速度を推定することができる。
なお、好ましくは、上記発明において、求めた通過速度と、列車を構成する車輌一両の長さとに基づいて、前記橋梁を通過した列車を構成する車輌数を求め、求めた車輌数に基づいて、前記橋梁を通過した列車の編成を推定するようにするとよい。
ここで、「車輌一両の長さ」は、監視対象の線区で運用されている車輌の長さを予め調べておいたものを用いる。一編成の中に長さの異なる車輌が連結されている場合には、編成中で最も多く連結されている車輌の長さを代表して用いる。
旅客列車と貨物列車の編成を比較すると、貨物列車の方が連結された車輌数が多くなっているのが一般的である。このように車輌数の違いを用いれば、通過した列車が貨物列車であるか旅客列車であるかを容易に推定することができる。そして、得られた応答を列車の種類毎に更に分類することによって、データの信頼性を更に高めることができる。
特に、郊外の路線では、都心部に比べて旅客列車の編成が短い場合が多く、貨物列車との差は更に大きくなるので、更に精度の高い推定が可能となる。
このように、列車の速度が推定できれば、そこから派生する様々な情報を推定することもできる。
また、好ましくは、上記発明において、前記検出器が検出した前記橋梁の変位量の経時的変化に基づいて、前記橋梁を通過する列車の進行方向を推定するようにするとよい。
列車が通過する際、橋梁は、初めに列車の進行方向と同じ方向に変位し、その後反対方向に変位するので、このようにすれば、応答が得られた最初の段階でどちらに変位しているかを見るだけで、列車の進行方向を容易に推定することができる。得られた応答を列車の進行方向毎に更に分類することによって、データの信頼性を更に高めることができる。
また、好ましくは、上記発明において、前記検知器として、加速度センサを用いるようにするとよい。
加速度センサは、小型の簡素な装置なので、このようにすれば、低コストで容易に応答を得ることができる。
また、本発明は、橋梁の健全度評価方法において、上記の列車情報推定方法において得られた応答を、その応答に基づいて推定した列車に関する情報毎に分類し、前記橋梁を列車が通過したことにより得られた応答特性と、同じ分類の過去の応答特性とを比較することにより、前記橋梁の健全度を評価することを特徴とする。
通過する列車の編成や速度、進行方向が同じであれば、橋梁の状態に変化がない限り、ほぼ同じような応答が検出されるはずである。このため、応答が得られる度にその応答を列車に関する情報(速度、編成、進行方向等)毎に分類し、過去の応答と比較した結果、応答に変化が生じていれば、その応答が得られる前に橋梁に何らかの変化が生じたものと推定することができる。この方法を用いれば、応答に変化が見られた橋梁のみ現地での詳細な調査をすればよいので、各地に数多く存在する橋梁の長期に亘る維持管理を効率的に行うことができる。
また、橋梁を定期的に通過する列車そのものを起振機の代わりとすることができるので、従来のように大掛かりな機材を持ち込み、手間をかけて応答を調べる必要がなくなり、長期的な構造ヘルスモニタリングを容易に行うことができる。
本発明によれば、橋梁を列車が通過する際に得られる橋梁の応答のみに基づいて、橋梁を通過した列車に関する情報を推定することができる。
本実施形態の列車情報の推定方法を示すフローチャートである。 本実施形態における車輌の長さの定義を説明する図である。 橋梁を通過する際に得られる応答のフーリエスペクトルの一例である。 単線橋梁における列車の進行を示した図である。 (a)は図4(a)に示した列車の変位応答を示した波形図であり、(b)は図4(b)に示した列車の変位応答を示した波形図である。 応答を得るために用いた橋梁を示した図である。 橋梁の応答を示すパワースペクトルの一例である。 推定通過速度と実測通過速度の関係を示した図である。 図6(a)に示した橋梁における応答と推定結果を示した図である。 図6(b)に示した橋梁における応答と推定結果を示した図である。 監視対象の橋脚の橋軸方向の変位の最大値を時系列で示したグラフである。 列車の通過速度と、橋脚の橋軸と水平に直交する方向(以下、橋直方向)の変位との関係を示した図である。 (a)は橋脚の変位量とその頻度を示すヒストグラムであり、(b)は列車の通過速度とその頻度を示すヒストグラムである。 図13(b)のヒストグラムに基づいて、図13(a)を補正した後のヒストグラムである。 監視対象の橋脚の橋軸方向の最大変位の日平均値を時系列で示したグラフである。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
〔列車情報推定方法〕
まず、本実施形態の列車情報の推定方法について説明する。図1は、列車情報の推定方法の流れを示すフローチャートである。
(前準備)
まず、橋脚の天端(上端)に加速度センサを取り付ける。加速度センサは、一方向の加速度しか検出できないので、橋脚一基につき、橋軸方向に作用する加速度を検出するものと、橋直方向に作用する加速度を検出するものをそれぞれ取り付ける。一度取り付けた後は、後述するヘルスモニタリングを行うために使用し続けるので、長期間使用可能なものを、監視対象となる橋脚全てに取り付ける。この加速度センサが検出した橋脚の応答は、有線または無線により、橋梁から離れた箇所にある図示しない解析手段に送信されるようにする。
(加速度応答の取得S1〜フーリエスペクトルへの変換S2)
加速度センサ等の設置が済んだら、橋梁を通過する列車の加速度応答を取得する。加速度センサは、橋脚に作用した加速度を全て検出するので、橋梁上を列車が通過し、橋梁が振動する毎に橋脚の加速度応答が得られる。つまり、列車が起振機の代わりとなり、応答が自動的に長期間に亘って得られることになる。
加速度センサから解析手段に応答が送信されたら、送られてきた各応答を解析手段でフーリエ解析して、フーリエスペクトルA(ω)に変換する。
(卓越振動数の特定S3〜列車速度の推定S4)
フーリエスペクトルA(ω)が得られたら、そのスペクトルに基づいて列車の通過速度を推定する。本実施形態では、所定の計算式から推定通過速度を算出することにより、求めた推定通過速度で列車が通過したものと推定することとする。
算出方法の説明に先立ち、推定通過速度を算出するための計算式について説明する。橋梁に連行荷重が載荷される際、その載荷が繰り返される時間間隔に応じて、フーリエスペクトルA(ω)のピーク位置(卓越振動数ω)が決まる。例えば、図2に示すような、車輌の前部および後部に2軸ボギー台車を備えた車輌Cを複数連結した列車Tの連行荷重を考えるとき、卓越振動数ω、車輌一両の長さ(以下車輌長さ)Bおよび列車の通過速度vの間には、以下の数式1が成り立つ。車輌長さBの値は、予め対象の線区で運用されている車輌の実際の長さを把握しておくことにより定数として扱う。なお、編成の中に長さの異なる車輌が含まれる可能性がある場合には、車輌を車輌長さ毎に分けた中で最も多く連結されている車輌の車輌長さBを代表して用いる。
Figure 2015102329
ところで、加速度センサにより応答を計測する場合は、ノイズが大きくなる振動数帯での応答は計測することが困難である。また、橋梁の特性による卓越する固有振動数帯では、共振の影響により連行荷重が繰り返し載荷されることによるピークを同定し難い。しかしながら、q=1のピーク、すなわち複数ある卓越振動数ωのうち最も小さいものが最も特定しやすいことが分かっている。図3は、シミュレーションを利用して得た、10両編成の列車が橋梁を通過する際に得られるフーリエスペクトルA(ω)を示したもので、通過速度vの異なる5パターン(40,60,80,100,120km/h)を重ねて示してある。図3に示すように、列車の通過速度vが高速になるほど、q=1のピーク位置が高振動数帯へと移動している(卓越振動数ωが大きくなっている)のが分かる。このように、q=1として考えると、通過速度vと卓越振動数ωの関係は明瞭になる。また、上記数式1から、下記の数式2が導かれる。
Figure 2015102329
算出方法の説明に戻る。得られた応答のフーリエスペクトルA(ω)からq=1のピークの頂点の横軸座標(卓越振動数ω)を特定したら、既知の車輌長さBと、特定した卓越振動数ωを数式2に代入する。すると、列車の推定通過速度vが算出される。例えば、車輌長さBが20mであることが分かっており、特定した卓越振動数ωが1.0Hzであった場合、その推定通過速度vは、数式2から20m/s=72km/hと算出される。
(車輌数の推定S5)
列車の推定通過速度vを算出した後は、通過した列車の編成を推定する。本実施形態では、所定の計算式から列車一編成中の推定車輌数を算出することにより、通過した列車には求めた推定車輌数だけ車輌が連結されているものと推定することとする。
まず、q=1までの応答を利用するために、得られたフーリエスペクトルA(ω)に、2πωαを遮断周波数としたローパスフィルタをかけて、波形の立ち上がりと収束点を決定する。なお、波形の立ち上がりと収束点は、ばらつく可能性があるため、1つ目のピークまでのパワースペクトルを累積したものを併用するようにしてもよい。次に、応答が得られ始めてから応答が得られなくなるまでの計測時間Tを長さτ秒の複数の区間に区切り、各区間で得られた橋直加速度RMSから、各区間の橋直加速度の標準偏差(RMSτ)を算出し、区間中最大となった橋直加速度β×max(RMSt)よりも大きくなる区間数nを求める。なお、βは橋梁毎に定められる列車判別係数(定数)である。
ここで、推定車輌数を算出するための計算式について説明する。一編成の車輌数u、車輌長さB、列車の通過速度v、区間数n、時間τ、橋梁の支間Lの間には、以下の数式3が成り立つ。支間Lの値は、予め設計図等に記載された実際の支間を把握しておくことにより定数として扱う。
Figure 2015102329
(編成の推定S6)
区間数nを求めたら、既知の車輌長さBと、既知の支間L、区間数nを数式3に代入する。すると、列車の車輌数uが算出される。そして、求めたuの値を整数値に丸め込んだものを推定車輌数Uとする。そして、その推定車輌数Uに基づいて列車の種類を推定する。例えば、Uが20を超えるような大きな値になった場合、旅客列車ではこの車輌数は通常あり得ないので、貨物列車であると推定することができる。
なお、算出した推定車輌数Uの値がばらつく等して列車編成の推定が困難である場合には、推定通過速度vと加速度応答検出の継続時間Tから簡略的に算出して、数式3から算出した結果を確認してみる。すなわち、加速度センサが検出する振動の継続時間Tに、算出した推定通過速度vを乗じることにより、列車のおおよその全長を算出し、それを車輌長さBで除し、整数に丸め込んだものを推定車輌数Uとする。
また、算出した推定車輌数Uが旅客列車とも貨物列車とも推定できるような値となった場合には、列車の種類によって異なる特徴から推定する。例えば、貨物列車は、先頭の機関車と後に続く貨車とで構成される動力集中式の列車となっている。機関車は貨車や電車に比べて荷重が大きいため、列車通過時の最大変位が電車の場合に比べて大きくなり、機関車の通過後は変位応答が小さくなる。一方、旅客列車は、編成を構成する車輌毎の重量の差が小さいので、通過中に同程度の変位応答が繰り返される。このような、変位応答の経時的変化を調べることにより、列車の種類を推定することが出来る。
なお、新幹線車輌と在来線車輌の両方が通行可能な路線を対象とした場合、どちらの応答も旅客列車のものを示すが、新幹線車輌は在来線車輌に比べて荷重が大きく、通過時の変位応答が大きくなることが想定されるので、その差を利用する。
(進行方向の推定S8)
単線の路線を対象とした場合には、通過した列車の進行方向も推定する。本実施形態では、橋脚の橋軸方向の変位の経時的変化(応答波形)から推定する。単線の場合、図4に示すように、一の軌道上を上り列車T1と下り列車T2の両方が通過することになるが、同じ速度、同じ編成の列車であっても、進行方向によって橋桁1に載荷される荷重が異なり、それによって応答も変化する。例えば、橋脚1の天端に加速度センサを取り付け、橋脚1の橋軸方向の変位応答を、橋台2から橋脚1へと向かう方向の変位を+として計測すると図5に示したような波形が得られる。
具体的には、図4(a)に示した橋台2から橋脚1の方向へ向かって進行する列車T1の変位波形は、図5(a)に示すように、初めに+方向に変位し、その後大きく−方向に変位する。一方、図4(b)に示した橋脚1から橋台2の方向へ向かって進行する列車の変位波形は、図5(b)に示すように、初めに−方向に大きく変位し、その後+方向に変位する。つまり、+方向への変位の最大値と−方向への最大値をそれぞれmax[x]、min[x]とし、それらの値が記録された時間をtmax、tminとしたときに、tmax<tminであれば図4(a)に示した上り列車T1、tmax>tminであれば図5(b)に示した下り列車T2ということになる。このように、得られた変位応答の経時的変化(応答波形)を見ることで、列車の進行方向を推定することができる。そして、橋梁の監視中に得られた応答を、列車の編成毎に分類し、それらを更に列車の進行方向毎に分類すれば、蓄積データの信頼性を更に向上することができる。
〔具体例〕
次に、上記推定方法を実際に用いた実験の結果について示す。
(計測の概要)
実験に用いた橋梁の概要を図6に示す。ここでは、A,B2本の上路プレートガーダー(DG)形式の橋梁を対象とした。図6(a)に示したA橋Baは1967年に架設された支間22.3mのリベット構造で、図の1Pで示した橋脚の天端に加速度センサSaを取り付けた。図6(b)に示したB橋Bbは、支間19.2mの橋桁からなり、図の2Pで示した橋脚に加速度センサSaを取り付けた。各橋脚に設置した加速度センサSaの性能は下記の表1に示した通りである。また、A橋Baでは、加速度センサSaによる推定結果の精度を評価するため、変位センサSdによる計測も同時に行った。
Figure 2015102329
(通過速度の推定結果)
まず、対象の線区を走行する列車の、予め分かっている大凡の走行速度から、下限振動数と上限振動数を設定した。在来線の走行速度は概ね40〜130km/hの範囲内である。この走行速度の上限値および下限値をそれぞれ上述した数式2に当てはめると、それぞれ1.81Hz、0.56Hzという数値が得られるので、ピークの探索範囲を0.56〜1.81Hzに限定することができる。例えば、列車が通過する度に、図7に示したようなパワースペクトル((a)は列車が43.8km/h(低速)で通過したときのもの、(b)は72km/h(高速)で通過したときのもの)が得られるが、図7(b)の2.8〜2.9付近のピークは無視して良いことになる。そして、列車が通過する毎に得られるパワースペクトルのピークのうち、上記探索範囲内で卓越する複数の卓越振動数のうち最も小さい卓越振動数ωを数式2に当てはめることにより、その列車の推定通過速度vを算出した。
また、ここでは、算出した推定通過速度vの正確さを評価するため、スピードガンを利用して列車の通過速度を実測した。図8のグラフは、A橋Baにおける個々の測定結果を、横軸を実測通過速度、縦軸を推定通過速度としてプロットしたものである。スピードガンは、列車の進行方向に対して斜めに計測したため、実際の通過速度より遅く計測された。このため、プロットしたドット群は全体的に左方向へと寄ったものとなっているが、算出した推定通過速度vと実測通過速度との間には高い正の相関があり、推定通過速度vの信頼性は高いものであることが分かった。
(車輌数・編成の推定結果)
図9(a)は、A橋について、横軸を実際に通過した列車の実車輌数(運行ダイヤから既知のもの)、縦軸を推定通過速度vと振動の継続時間とから算出した推定車輌数としてプロットしたものである。推定車輌数Uは10以下か16以上の何れかに大きく分かれたので、推定車輌数Uが10以下となった列車を旅客列車、16以上となった列車を貨物列車と推定した。推定車輌数Uが10以下の列車は何れも1,2,4,6両編成の普通列車で、16以上の列車は21両の貨物列車であり、実際の種別とも一致した。
また、図9(b)は、横軸を実際に通過した列車の実車輌数、縦軸を累積パワースペクトルとしてプロットしたものである。こちらの場合は、累積パワースペクトルが0.2未満の範囲で密集したプロット群と、そうでないプロット群とに分けられるので、累積パワースペクトルを用いても、推定車輌数を求めた場合と同様の結果を得ることができた。
図10(a)は、B橋Bbについて、横軸をセンサが検出した橋直加速度RMS、縦軸を得られた橋直加速度RMSに基づいて算出した推定車輌数Uとしてプロットしたものである。こちらは、推定車輌数Uが5未満のドット群P1と、14以上のドット群P2、4〜10のドット群P3に分かれた。推定車輌数Uの開きから、プロット群P1を普通列車、プロット群P2を貨物列車と推定したところ、実際の種類と一致した。プロット群P3は、普通列車と貨物列車のどちらであるか推定することができなかったが、運行ダイヤと照らし合わせてみたところ特殊列車であることが分かった。
また、図10(b)は、横軸をセンサが検出した橋直加速度RMS、縦軸を累積パワースペクトルとしてプロットしたものであるが、図12に示したものとほぼ同様のプロットの分布が得られた。
(進行方向の推定結果)
測定結果の図示は省略するが、A橋,B橋共に、応答波形から全ての列車の進行方向を正確に推定することができた。
〔推定結果の活用方法〕
次に、上述した列車情報の推定方法によって得られた推定結果の具体的な活用方法について説明する。ここでは、推定結果を活用した橋梁の性能評価方法と健全度評価方法について説明する。
(橋梁の性能評価方法)
鉄道構造物等維持管理標準(以下、維持管理標準)には、橋梁に作用する負荷の状態を把握するための列車の軸重等の荷重測定を行うことが示されている。この荷重測定の測定結果は、耐疲労性の評価や、衝撃係数の実測値を求めるなど耐荷性能の評価に利用することができる。ここで、通過速度をv(m/s)、橋桁の支間をL(m)、橋桁の横揺れの振動数をn(Hz)、水平横方向に車軸に働く加速度をC(m/s)、横揺れの半振幅をa(m)とすると、以下の数式4が成り立つ。
Figure 2015102329
この数式4に、上述した方法で算出した推定通過速度vを代入することで、推定結果に基づく半振幅aを逆算することができる。この半振幅aを、維持管理標準において定められた判定基準に照らし合わせることにより、例えば、列車の通過速度を上げたり、新幹線車輌等の重い車輌を通行させたりすることとなった場合に、橋梁を補強或いは建て替えする必要があるか否かを判断することができる。
また、荷重特性と実測応答値との関係を整理しておけば、その結果を新たに設計する橋梁へとフィードバックすることもできる。
(橋梁の健全度評価方法)
列車通過時の変位応答は、橋梁により相違するのと合わせて、同じ橋梁でも荷重の特性(線別、列車形式、乗車率、速度等)により変化する。そこで、対象の橋梁を所定期間に亘って監視し、その間に列車の通過により得られた各種情報(加速度応答や変位応答)を収集する。そして、上述の列車情報推定方法を用いて、収集した各加速度応答に基づいて列車の通過速度をそれぞれ求め、更に求めた各通過速度に基づいて列車編成をそれぞれ推定する。そして、収集した変位応答を、推定した列車編成毎に分類する。図11には、監視期間中に、ある特定の編成の列車が通過した時の橋軸方向の最大変位応答をまとめたものを示した。同じ編成の列車のデータのみを示したにもかかわらず、図11に示したように最大変位応答に大きな差が出るのは、通過時間帯(乗車率)と関係があると考えられる。このように、時間毎にばらつくデータを統計的に評価する場合には、例えば、1日の中で列車変位が最大となるものを指標とするとよい。なお、日平均等をとってより安定した指標を算出するようにしてもよい。
また、図12には、推定橋直最大変位と列車速度との関係を示した。橋直方向の変位は列車速度と相関が見られる。また、図13(a)は列車通過時の橋直方向の推定最大変位を月別に示したヒストグラムである。これを見ると、分布の形状は月ごとに類似しているが、正規分布になっていない。従って、このまま平均化などの統計処理を行えば統計値にバイアスが生じてしまう。
一方、列車速度のヒストグラムは図13(b)に示したようになる。ここで、列車速度と橋直方向の推定最大変位について単純な線形関係を仮定し、回帰係数をαとして以下の数式5で基準速度における速度換算変位を算出する。ここで、v:推定速度、x:推定最大変位である。
Figure 2015102329
なお、回帰において、速度ゼロの時に変位は生じないと考えられるので、切片をゼロとする。こうすることで、図14に示したように、ヒストグラムが正規分布に近づき、統計処理のバイアスを減らすことができる。
ヒストグラムを補正した後は、日平均等の統計値で健全度評価を行う。図15には一例として、列車通過時の橋直方向の変位応答の日平均を時系列で並べたものを示した。まず、最初の10日間の日平均の平均を母平均μとする。それ以降のデータについては、下記のt検定を行うために、下記の数式6を用いてt値をそれぞれ求める。ここで、Xはi日の最大変位日平均、nはi日の列車本数、sはi日の標本標準偏差である。
Figure 2015102329
そして、求めた各t値に対して帰無仮説を棄却できるか評価する。下記表2は、一例として、図15の時系列データについて行った検定の結果を示したものである。この例の場合は、6/11〜13のt値については棄却できない、すなわち、健全度は変化していないと判定された。一方、6/14,15のt値については棄却できる、すなわち、健全度が変化した可能性があると判定された。このことから、6/13から14にかけて橋梁に何らかの変化が起こったものと考えることができる。このような場合、現地に赴いて調査する等、何らかのアクションをとるようにする。
Figure 2015102329
以上、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、本実施形態では、橋梁の場合について説明したが、他の鉄道構造物に適用しても良い。
また、対象の線区が単線の場合に行う進行方向の推定は、必ずしも編成の推定の後に行う必要は無く、変位応答の波形が得られた後であればいつでもよい。
Ba,Bb 橋梁
T 列車
Sa 加速度センサ(検出器)
Sd 変位センサ(検出器)

Claims (5)

  1. 橋梁に敷設された軌道上を通過する列車に関する情報を推定する列車情報推定方法において、
    前記橋梁に、前記列車が通過したことによる前記橋梁の応答を検出する検知器を取り付け、
    検出した応答のスペクトルから卓越振動数を特定し
    橋梁を列車が通過することにより得られる応答の卓越振動数と、その列車の通過速度との相関関係に基づいて、特定した卓越振動数に対応する通過速度を求めることにより、前記列車が、前記橋梁を、求めた通過速度で通過したものと推定することを特徴とする列車情報推定方法。
  2. 求めた通過速度と、列車を構成する車輌一両の長さとに基づいて、前記橋梁を通過した列車を構成する車輌数を求め、
    求めた車輌数に基づいて、前記橋梁を通過した列車の編成を推定することを特徴とする請求項1に記載の列車情報推定方法。
  3. 前記検出器が検出した前記橋梁の変位応答の経時的変化に基づいて、前記橋梁を通過する列車の進行方向を推定することを特徴とする請求項1または2に記載の列車情報推定方法。
  4. 前記検知器として、加速度センサを用いることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の列車情報推定方法。
  5. 請求項1から4の何れか一項に記載の列車情報推定方法において得られた応答を、その応答に基づいて推定した列車に関する情報毎に分類し、
    前記橋梁を列車が通過したことにより得られた応答特性と、同じ分類の過去の応答特性とを比較することにより、前記橋梁の健全度を評価することを特徴とする橋梁の健全度評価方法。
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