JP2015101804A - 炭素繊維前駆体アクリル繊維束及びその製造方法 - Google Patents

炭素繊維前駆体アクリル繊維束及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2015101804A
JP2015101804A JP2013242488A JP2013242488A JP2015101804A JP 2015101804 A JP2015101804 A JP 2015101804A JP 2013242488 A JP2013242488 A JP 2013242488A JP 2013242488 A JP2013242488 A JP 2013242488A JP 2015101804 A JP2015101804 A JP 2015101804A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber bundle
acrylic fiber
carbon fiber
oil
rave
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013242488A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015101804A5 (ja
Inventor
益豊 濱田
Masutoyo Hamada
益豊 濱田
宏実 麻生
Hiromi Aso
宏実 麻生
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Rayon Co Ltd filed Critical Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority to JP2013242488A priority Critical patent/JP2015101804A/ja
Publication of JP2015101804A publication Critical patent/JP2015101804A/ja
Publication of JP2015101804A5 publication Critical patent/JP2015101804A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
  • Artificial Filaments (AREA)

Abstract

【課題】本発明の目的は、油剤が安定に付着し、高生産性、高品質な炭素繊維束を製造し得るアクリル繊維束の提供と、耐炎化工程などの焼成工程における単繊維間の融着を抑制でき、かつ、焼成工程での油剤付着斑による操業性低下を抑制し、機械的特性が安定に維持された炭素繊維束を得ることのできる、アクリル繊維束を連続的に製造できる方法の提供することにある。【解決手段】炭素繊維前駆体アクリル繊維束の電気抵抗値R(Ω)とその平均値Rave(Ω)から算出されるR/Raveが、式(1)の範囲から外れる繊維長方向の範囲が0.5m以下であり、前記外れる範囲が繊維長方向100m当たり3か所以下である炭素繊維前駆体アクリル繊維束。0.5<R/Rave<2.0 ・・・(1)【選択図】なし

Description

本発明は、炭素繊維束の前駆体として用いられるアクリル繊維束と、その製造方法に関する。
従来、炭素繊維束の製造方法として、アクリル繊維などからなる前駆体繊維束を200〜400℃の酸素存在雰囲気下で加熱処理して耐炎化繊維束に転換し(耐炎化工程)、引き続いて1000℃以上の不活性雰囲気下で炭素化して(炭素化工程)、炭素繊維束を得る方法が知られている。この方法で得られた炭素繊維束は、優れた機械的特性により、特に複合材料用の強化繊維として工業的に広く利用されている。
しかし、このような炭素繊維束の製造方法において、前駆体繊維束を耐炎化繊維束に転換する耐炎化工程で、単繊維間に融着が発生し、耐炎化工程およびそれに続く炭素化工程(以下、耐炎化工程と炭素化工程を総合して焼成工程と表記する場合もある。)において、毛羽や束切れといった工程障害が発生する場合がある。この融着を回避するためには、前駆体繊維束に付着させる油剤の選択が重要であることが知られており、多くの油剤組成物が検討されてきた。
その中で、耐炎化工程における融着を防止する効果が良好であるため、シリコーン系化合物を含有するシリコーン系油剤が最も一般的に用いられている(例えば、特許文献1,2参照)。しかしながら、シリコーン系油剤は、加熱により架橋反応が進行して高粘度化し、粘着物を生成しやすい。粘着物が生成すると、前駆体繊維束の製造工程や耐炎化工程における繊維搬送ローラーやガイドなどの表面に堆積して、繊維束が粘着物に巻き付いたり引っかかったりして、断糸するなどの操業性低下を引き起こすことがある。また、シリコーン系化合物を含有する油剤組成物は、焼成工程において分解するなどして、酸化ケイ素や炭化ケイ素、窒化ケイ素などのケイ素化合物を生成し、これらが飛散、堆積してスケールとなり、工程安定性、製品の品質を低下させるという問題をも有している。
このため、油剤組成物中のシリコーン化合物、ひいてはケイ素含有量を低減して、このような問題を回避しようとする油剤技術が提案されている。例えば、分子内に3個以上のエステル基を有するエステル化合物とシリコーン系化合物とを必須成分とした油剤組成物が提案されている(特許文献3参照)。該油剤組成物によれば、エステル化合物によってシリコーン含有量を低減させ、上述の粘着物やケイ素化合物の生成を抑制して、安定した操業性を得るとともに、炭素繊維製造における単繊維間の融着を防止することもできるとされている。
また、油剤が過剰に付着しないように付着量を調整する技術として、油剤を付着させ乾燥した後の前駆体繊維束を界面活性剤が含まれる洗浄液に通すことで、付着した油剤の一部を除去する方法が提案されている(特許文献4参照)。
また、シリコーン系化合物を含有しない非シリコーン系油剤も用いられている。例えば、非シリコーン成分であるヒドロキシ安息香酸エステルと非イオン系界面活性剤を含有する油剤処理剤を付与した炭素繊維前駆体アクリル繊維束は、炭素繊維製造における単繊維間の融着が発生せず、操業性の面も問題ない上に、得られる炭素繊維の品質もシリコーン系油剤と同等のものが得られるとされている。(特許文献5参照)
一方、機械的特性の安定した炭素繊維束を得るためには、長期の製造工程において、前駆体繊維束に油剤を均一に付着させることも重要である。油剤を均一に付着させることを目的とした装置としては、例えば、油剤付与ノズル(特許文献6参照)、油剤付与ガイド(特許文献7参照)、油剤付与ローラー(特許文献8参照)などが提案されている。
また、シリコーン系化合物を含有する油剤成分のアクリル繊維束への付着量の監視、及び適正化を目的として、蛍光X線分析装置を用いてアクリル繊維束のケイ素含有量をオンライン測定し、その情報を油剤付与工程にフィードバックする方法(特許文献9)が提案されている。
特開2006−183159号公報 特開2006−188795号公報 国際公開第07/066517号パンフレット 特開2007−113141号公報 特開2013−91867号公報 特開平10−280224号公報 特開2004−300582号公報 特開2001−98410号公報 特開2010−242376号公報
しかしながら、特許文献3に記載のように、シリコーン含有量を低減した油剤組成物を付与した前駆体繊維束は、集束性が悪く、高い生産効率で製造するには適していない上、機械的特性に優れた炭素繊維束が得られないという問題があった。このように油剤組成物の組成を調整するだけでは、安定した操業性、高い生産効率のもとで、機械的特性に優れた炭素繊維束を得ることは困難であった。
また、特許文献4に記載の方法では、全体的に油剤付着量が低下するのみで、定着した余分な油剤成分のみを除去することはできず、均一に油剤が付着した前駆体繊維束を得ることはできなかった。
また、特許文献6〜8に記載の各装置は、繊維束中に油剤処理液を行き渡らせ、繊維束半径方向の斑を低減することはできたとしても、数日から数ヶ月に渡る長期の製造工程において、常に一定量の油剤を繊維束に安定に付与して、経時的な油剤付与の安定性を可能にするものではなかった。
また、特許文献9に記載の方法は、走行する繊維束の油剤付着斑を連続的に測定し、経時的な油剤付着状態の監視を可能としているが、測定精度を保持するためには一定の積算時間を必要とする。即ち、前述の方法で得られるのは、繊維束の繊維方向数十〜数百cm程度の平均ケイ素含有量であり、それよりも局所的な油剤付着斑を検出することは困難であった。加えて、前述の方法はケイ素含有量で油剤付着斑を監視するものであり、油剤中にシリコーン等のケイ素化合物が含まれていることが前提であるため、特許文献5に記載のケイ素化合物を含まない非シリコーン油剤の場合には、その付着斑を測定することはできなかった。
つまり、焼成工程での油剤付着斑に端を発する操業性低下の問題を可能な限り低減し、かつ、得られる炭素繊維の機械的特性を安定に維持するためには、前駆体繊維束に対して、長期的にみて、必要最低限量(適正量)の油剤成分を均一に安定に付着させることが重要である。しかしながら、前駆体繊維束に対して必要最低限量の油剤成分を均一に安定に付着させる技術は見出されていなかった。
また、製造工程において、何らかの理由で局所的に油剤成分の付着異常が生じたとしても、それを検知できる技術も無かった。
また、従来、前駆体繊維束を製品として採取するためには、例えば前駆体繊維束をオフラインで複数回検査するなどして、前駆体繊維束の油剤成分の付着量が定常的に適正値の範囲内に入っているかどうか確認が必要であり、非常に手間がかかった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、耐炎化工程などの焼成工程における単繊維間の融着を抑制でき、かつ、焼成工程での油剤付着斑による操業性低下を抑制し、機械的特性が安定に維持された炭素繊維束を得ることのできる、炭素繊維前駆体アクリル繊維束(以下、単に「アクリル繊維束」という場合がある。)を連続的に製造できる方法の提供を課題とする。また、このような方法により製造され、油剤が安定に付着し、高生産性、高品質な炭素繊維束を製造し得るアクリル繊維束の提供を課題とする。
本発明者は鋭意検討した結果、前駆体繊維束アクリル繊維束の繊維長方向における電気抵抗をオンライン測定することにより得られる電気抵抗の変動係数、即ち油剤成分の付着斑の極めて少ない前記アクリル繊維束、及びその前記電気抵抗のオンライン測定を行う監視工程含む前記アクリル繊維束の製造方法を提供することにより、後の焼成工程で油剤の付着斑に端を発する操業性低下を抑制し、機械的特性が安定に維持された炭素繊維束を製造可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の炭素繊維前駆体アクリル繊維束は、炭素繊維前駆体アクリル繊維束の長さ方向の電気抵抗値R(Ω)とその平均値Rave(Ω)から算出されるR/Raveが、式(1)の範囲から外れる繊維束の長さ方向の範囲が0.5m以下であり、前記外れる範囲が繊維長方向100m当たり3か所以下である炭素繊維前駆体アクリル繊維束である。
0.5<R/Rave<2.0 ・・・(1)
本発明の炭素繊維前駆体アクリル繊維束は、前記電気抵抗値Rが、炭素繊維前駆体アクリル繊維束を走行させて連続して測定する該電気抵抗値Rであることが好ましい。
本発明の炭素繊維前駆体アクリル繊維束は、前記アクリル繊維束の電気抵抗値Rの変動係数が10%以下であることが好ましい。
本発明の炭素繊維前駆体アクリル繊維束は、シリコン成分が付着していることが好ましい。
本発明の炭素繊維前駆体アクリル繊維束の製造方法は、炭素繊維前駆体アクリル繊維束の電気抵抗値R(Ω)とその平均値Rave(Ω)を、乾燥緻密化工程と二次延伸工程又は巻取り工程との間の工程間で連続して測定し、R/Raveが、式(2)の範囲から外れる繊維長方向の範囲が0.5m以下であり、前記外れる範囲が繊維長方向100m当たり4か所以上になった時に、油浴への油剤供給量を変更し、式(2)の範囲に入るように制御する炭素繊維前駆体アクリル繊維束の製造方法である。
0.5<R/Rave<2.0 ・・・(2)
本発明の炭素繊維前駆体アクリル繊維束の製造方法は、前記アクリル繊維束製造工程で、消泡成分を一つ以上含有する油剤処理液を前記アクリル繊維束に付着させることが好ましい。
本発明の炭素繊維前駆体アクリル繊維束の製造方法は、前記消泡成分がシリコーン系であることが好ましい。
本発明によれば、耐炎化工程などの焼成工程で、油剤の付着斑に端を発する操業性の低下を抑制し、機械的特性が安定に維持された炭素繊維束を製造可能な、炭素繊維前駆体アクリル繊維束の製造方法を提供できる。また、このような方法によれば、油剤成分が安定に付着し、高生産性、高品質な炭素繊維束を製造し得る炭素繊維前駆体アクリル繊維束を提供できる。
以下、本発明の炭素繊維前駆体アクリル繊維束およびその製造方法について、一実施形態を挙げて詳細に説明する。
[アクリル繊維束の製造方法]
アクリル繊維束として炭素繊維前駆体アクリル繊維束を例示し、その製造方法の一例について、以下に詳細に説明する。
(紡糸工程)
本実施形態例の炭素繊維前駆体アクリル繊維束の製造方法では、公知の紡糸技術によりアクリル繊維束(前駆体繊維束)を得る紡糸工程を行う。
具体的には、アクリロニトリル系重合体を溶剤に溶解して、紡糸原液とし、この紡糸原液を凝固浴中に吐出して繊維化し、凝固糸を製造する方法が挙げられる。アクリロニトリル系重合体は、アクリロニトリルを主な単量体とし、これを重合して得られる重合体であり、アクリロニトリルのみから得られるホモポリマーでも、主成分であるアクリロニトリルに加えて他の単量体を併用したアクリロニトリル系共重合体であってもよい。
アクリロニトリル系共重合体におけるアクリロニトリル単位の含有量は、96.0〜98.5質量%であることが焼成工程での繊維の熱融着防止、共重合体の耐熱性、紡糸原液の安定性、および炭素繊維にした際の品質の観点でより好ましい。アクリロニトリル単位が96質量%以上の場合は、炭素繊維に転換する際の焼成工程で繊維の熱融着を招くことなく、炭素繊維束の優れた品質および性能を維持できるので好ましい。また、共重合体自体の耐熱性が低くなることもなく、アクリル繊維束の後述の乾燥緻密化工程や、例えば加熱ローラーや加圧水蒸気による後述の延伸処理工程、二次延伸処理工程などにおいて、単繊維間の接着を回避できる。一方、アクリロニトリル単位が98.5質量%以下の場合には、溶剤への溶解性が低下することもなく、紡糸原液の安定性を維持できると共に共重合
体の析出凝固性が高くならず、アクリル繊維束の安定した製造が可能となる。
アクリロニトリル共重合体を用いる場合のアクリロニトリル以外の単量体としては、アクリロニトリルと共重合可能なビニル系単量体から適宣選択することができる。例えば、耐炎化反応を促進する作用を有するアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸などのカルボキシル基含有ビニル系単量体、または、これらのアルカリ金属塩もしくはアンモニウム塩、アクリルアミド等の単量体から選択することが好ましい。より好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有ビニル系単量体である。
アクリロニトリル系共重合体におけるカルボキシル基含有ビニル系単量体単位の含有量は0.5〜2.0質量%が好ましい。
これらビニル系単量体は、1種単独で用いても良く、2種以上を併用してもよい。
紡糸の際には、アクリロニトリル系重合体を溶剤に溶解し紡糸原液とする。このときの溶剤には、ジメチルアセトアミドあるいはジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の有機溶剤、または塩化亜鉛やチオシアン酸ナトリウム等の無機化合物水溶液等、公知のものから適宜選択して使用することができる。これらの中でも、生産性向上の観点から、凝固速度が早いジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドおよびジメチルホルムアミドが好ましく、ジメチルアセトアミドがより好ましい。
また、緻密な凝固糸を得るためには、紡糸原液の重合体濃度がある程度以上になるように紡糸原液を調製することが好ましい。具体的には、紡糸原液中の重合体濃度が17質量%以上になるように調製することが好ましく、より好ましくは19質量%以上である。
なお、紡糸原液は適正な粘度・流動性を必要とするため、重合体濃度は25質量%を超えない範囲が好ましい。
具体的な紡糸方法としては、上述した紡糸原液を直接凝固浴中に紡出する湿式紡糸法、空気中で凝固する乾式紡糸法、および一旦空気中に紡出した後に浴中凝固させる乾湿式紡糸法など公知の紡糸方法を適宜採用できるが、より高い性能を有する炭素繊維束を得るには湿式紡糸法または乾湿式紡糸法が好ましい。
湿式紡糸法または乾湿式紡糸法による紡糸賦形は、紡糸原液を円形断面の孔を有するノズルより凝固浴中に紡出することで行える。凝固浴としては、紡糸原液に用いられる溶剤を含む水溶液を用いるのが溶剤回収の容易さの観点から好ましい。
凝固浴として溶剤を含む水溶液を用いる場合、水溶液中の溶剤濃度は、ボイドがなく緻密な構造を形成させ高性能な炭素繊維束を得られ、かつ延伸性が確保でき生産性に優れる等の理由から、50〜85質量%が好ましく、凝固浴の温度は10〜60℃が好ましい。
(延伸処理工程)
紡糸工程において、紡糸原液を凝固浴中に吐出して繊維化し、得られた凝固糸には、延伸処理工程により延伸し、アクリル繊維束とすることができる。具体的な延伸方法としては、凝固浴中または延伸浴中で延伸する浴中延伸や、一部空中延伸した後に、浴中延伸する方法が挙げられる。そして、延伸の前後あるいは延伸と同時に適宜水洗を行うことにより、水膨潤状態のアクリル繊維束を得ることができる。
浴中延伸は、通常50〜98℃の水浴中で1回あるいは2回以上の多段に分割するなどして行い、空中延伸と浴中延伸を行う場合には、合計倍率が2〜10倍になるように凝固糸を延伸するのが、得られる炭素繊維束の性能の点から好ましい。
(油剤処理工程)
ついで、油剤成分が水中に分散した油剤処理液に、水膨潤状態のアクリル繊維束を連続的に接触させ、油剤成分をアクリル繊維束に付着させる油剤処理工程を行う。ここでの油剤成分は、好ましくはシリコーン成分を含有することが望ましいが、耐熱性樹脂や芳香族エステルなどの非シリコーン成分であっても良い。
ここで油剤処理液としては、油剤成分を水中に分散させて、平均粒子径が0.01〜0.50μmのミセルを形成させた水系の乳化溶液(エマルション)を用いる。ミセルの平均粒子径が上記範囲内であれば、アクリル繊維束の表面に油剤成分を均一に付与できる。
なお、油剤処理液中のミセルの平均粒子径は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製、商品名:LA−910)を用いて測定することができる。
水系乳化溶液は、例えば以下のようにして調製できる。すなわち、シリコーン系化合物、或いは非シリコーン成分と乳化剤とを攪拌しながら、そこに水を加えることで油剤成分が水中に分散した水系乳化溶液が得られる。
油剤成分には、帯電防止剤や酸化防止剤、抗菌剤、浸透剤などの添加物を任意成分として含有させてもよい。これらは、アクリル繊維束に油剤成分を付着させるための装置の種類、使用環境などに応じて、操業性向上の目的や、水系乳化溶液の安定性や付着特性の向上を目的として使用される。
酸化防止を含有させる場合は、酸化防止剤を予めシリコーン系化合物に溶かしておくことが好ましい。また、帯電防止剤および/または抗菌剤を含有させる場合は、水を加えて水系乳化溶液とした後に添加攪拌することが好ましい。
各成分の混合または水中分散は、プロペラ攪拌、ホモミキサー、ホモジナイザー等を使って行うことができる。特に、150MPa以上に加圧可能な超高圧ホモジナイザーを用いることが好ましい。
油剤成分としては、導電性を有する成分が添加されていれば、その他は特に制限なく使用できる。例えばシリコーン系化合物としては、アクリル繊維束に対する油剤成分の親和性が良好となることから、シリコーンが好ましい。アミノ変性シリコーンは、アミノ変性基の位置が側鎖型、片末端型、両末端型、側鎖両末端型など、いずれの構造のものでも差し支えない。より好ましくは側鎖型のアミノ変性シリコーンである。アミノ基の含有量は、アクリル繊維束への馴染みやすさと、耐熱性の点から、アミノ当量が2000〜6000g/molが好ましい。
シリコーン系化合物の粘度は25℃において50〜300mm2/sが水系乳化溶液の調製の容易さ、耐熱性保持の観点から好ましい。
シリコーン系化合物は1種単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。変性基が異なる、あるいは変性基を有しないシリコーン系化合物を混合して用いても差し支えない。
非シリコーン系化合物としては、公知の様々な物質を用いることができる。ポリブテン、ポリオキシエチレン高級脂肪族アルキルエーテル、ネオペンチルアルコール誘導体、アルキル又はアルケニルチオ脂肪酸エステル、高分子アミド化合物、脂肪酸エステル、フッ素系界面活性剤、芳香族複合エステルなどが挙げられるが、その限りではない。これら非シリコーン系化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
乳化剤としては、アクリル繊維束を焼成して得られる炭素繊維束の機械的強度発現性に優れることから、非イオン系乳化剤を用いることが好ましい。非イオン系乳化剤としては公知の様々な物質を用いることができる。例えば高級アルコ−ルエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノ−ルエチレンオキサイド付加物、脂肪族エチレンオキサイド付加物、多価アルコ−ル脂肪族エステルエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪族アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコ−ルエチレンオキサイド付加物などのポリエチレングリコ−ル型非イオン性界面活性剤;グリセロ−ルの脂肪族エステル、ペンタエリスト−ルの脂肪族エステル、ソルビト−ルの脂肪族エステル、ソルビタンの脂肪族エステル、ショ糖の脂肪族エステル、多価アルコ−ルのアルキルエ−テル、アルカノ−ルアミン類の脂肪酸アミドなどの多価アルコ−ル型非イオン性界面活性剤等が挙げられる。これら乳化剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
導電剤を有する成分としては、例えば、黒鉛、非晶質炭素、易黒鉛化炭素、カーボンブラック、活性炭、炭素繊維、カーボンナノチューブ、界面活性剤、静電剤など公知の材料を用いることができるが、導電性を付与でき、後に工程障害を引き起こさないような成分であれば、特に限定するものではない。導電性を有する成分としては、公知の様々な物質を用いることができ、それらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、乳化剤成分やその他添加剤成分に導電性を有する成分が含まれている場合は、更に別の導電性を有する成分を添加してもよいし、添加しなくてもよい。
ここでの導電性の定義は、前記アクリル繊維束の油剤付着斑を監視する工程で使用する電気抵抗測定装置で電気抵抗が測定できる程度の電気通電性であることを意味する。
上述の方法で調製される水系乳化溶液中の油剤成分(すなわち、シリコーン系化合物、或いは非シリコーン系化合物と乳化剤と、必要に応じて添加される任意成分)の含有量は、2〜40質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましく、20〜30質量%が特に好ましい。油剤成分の濃度が2質量%未満であると、必要な量の油剤成分を水膨潤状態のアクリル繊維束に付与することが困難となる。一方、油剤成分の濃度が40質量%を超えると、水系乳化溶液が不安定となり乳化の破壊が起こりやすくなる。
油剤処理工程では、このような水系乳化溶液にさらにイオン交換水を加えて所定の濃度に希釈したものを油剤処理液として用い、これに上述した水膨潤状態のアクリル繊維束を連続的に接触させることが好ましい。
なお、「所定の濃度」は、油剤処理時のアクリル繊維束の状態によって調整される。
前述の通り、油剤処理液をアクリル繊維束に連続的に接触させるが、その状態が長時間続くことで前記油剤処理工程の油剤処理液が泡立つことがある。その泡を前記繊維束が油剤処理工程から持ち出すことにより、油剤付着斑となる。このような現象は油剤処理液に消泡剤を添加することにより回避できる。
前記油剤処理液に添加する消泡剤としては、消泡機能を発現する成分であり後に工程障害を引き起こさないような剤であれば、特に限定するものではない。消泡剤としては、公知の様々な物質を用いることができる。例えば、疎水性シリカ系、金属石鹸系、アマイド系、シリコン系、ポリエーテル系、鉱物油系、ワックス系、アクリル系、アセチレンジオール系等の消泡剤などが挙げられるが、前記アクリル繊維束の油剤処理液の消泡剤としては、消泡能力の観点から特にシリコン系消泡剤が好ましい。これら消泡剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。消泡剤の濃度としては、前記油剤処理液に対して0.005〜5質量%であることが望ましい。消泡剤の濃度が0.005質量%未満であると、消泡機能の効果がなく、5質量%を超えると、経済性、環境面の観点から好ましくない。
具体的に、所定の濃度に調整された油剤処理液に水膨潤状態のアクリル繊維束を接触させる方法としては、ローラーの下部を油剤処理槽内の油剤処理液に浸漬させ、そのローラーの上部にアクリル繊維束を接触させるローラー付着法、油剤処理槽内から油剤処理液をポンプで一定量ガイドから吐出し、そのガイド表面にアクリル繊維束を接触させるガイド付着法、油剤処理槽と通じたノズルから一定量の油剤処理液をアクリル繊維束に噴射するスプレー付着法、油剤処理槽内の油剤処理液の中にアクリル繊維束を導いて連続的に浸漬し、その後、ローラー等で絞って余分な油剤処理液を除去するディップ付着法等の公知の方法を用いることができる。
これらの方法の中でも、均一付着の観点から、アクリル繊維束に十分に油剤処理液を浸透させ、その後余分な油剤処理液を除去するディップ付着法が好ましい。より均一に付着させるためには、油剤処理工程を2つ以上の多段にし、繰り返し付着させることも有効である。
(乾燥緻密化工程)
ついで、油剤処理工程で油剤成分が付着したアクリル繊維束を乾燥して、緻密化する乾燥緻密化工程を行う。乾燥緻密化工程の温度は、繊維のガラス転移温度を超えた温度とすることが必要である。例えば温度が100〜200℃程度の加熱ローラーによる方法にて乾燥緻密化するのが好ましい。このとき加熱ローラーの個数は、1個でもよく、複数個でもよい。
(監視工程)
ついで、本実施形態例では、このような乾燥緻密化工程後に、導電性のある油剤成分が付着したアクリル繊維束の電気抵抗を大気(常圧)中でオンライン測定して、アクリル繊維束への油剤の付着斑を監視する監視工程を行う。具体的には、乾燥緻密化工程から後述の二次延伸処理工程へと、油剤成分が付着したアクリル繊維束を搬送する途中に電気抵抗測定装置を設置して、アクリル繊維束を測定しその油剤付着斑を連続して監視する。
使用する電気抵抗測定装置には特に制限は無いが、アクリル繊維束の製造工程中で測定するため、大気中で測定できるものが好ましい。具体的には、例えば、インテック株式会社製のオンライン油分測定装置(商品名:OE−3)を用いることができる。
オンライン測定は、乾燥緻密化工程から後述の二次延伸処理工程へと、油剤成分が付着したアクリル繊維束を搬送する途中のアクリル繊維束に対して行えばよく、例えば、搬送ローラー上のアクリル繊維束、ローラー間を空走するアクリル繊維束、繊維束の糸道を制御するガイド上のアクリル繊維束などに対して特に制限なく行える。測定精度の観点からは、アクリル繊維束の幅は一定であることが好ましいため、測定部の前後に溝ローラーやガイドを使用することが好適である。また、測定時のアクリル繊維束の張力は特に限定されるものではないが、測定精度の観点からは、300〜3000gf/mm2であることが好ましいが、さらに好ましくは500〜2000gf/mm2であることが良い。さらに、測定部のアクリル繊維束への押し当て圧は特に限定するものではないが、繊維へのダメージを軽減するために、好ましくは100〜1000gf/mm2、さらに好ましくは100〜500gf/mm2であることが良い。
このような監視工程を行うことによって、アクリル繊維束の油剤成分の付着斑、即ち電気抵抗値の変動係数が所定の管理値であるかどうかを連続的にリアルタイムで監視して、品質管理を常時行うことができる。そして、油剤処理工程において、何らかの理由で局所的に油剤の付着異常が生じた場合には、それを検知することができる。また、このように監視することにより、得られたアクリル繊維束を製品として採取するにあたって、例えばアクリル繊維束をオフラインで複数回検査するなどして、油剤成分の付与量が定常的に適正値の範囲に入っているか否かを確認するなどの作業が不要となる。すなわち、従来の品質検査が代表検査で、かつ繊維束を一部切断して行う破壊検査であったのに対し、本手法によれば全製品検査を非破壊で行うことができる。
(制御工程)
ついで、監視工程で測定されたオンライン測定の測定値(電気抵抗値)、すなわち、導電性を有する油剤成分の付着斑に応じて、油剤処理工程の処理条件を制御して、アクリル繊維束への油剤成分の付着斑を所定の管理値にコントロールする制御工程を有する。具体的には、電気抵抗の平均値Raveと実測値Rとした場合、局所的にはアクリル繊維束100m中における電気抵抗値の測定結果が0.5<R/Rave<2.0の範囲から外れる繊維長方向の範囲が0.5m以下であり、前記外れる範囲が繊維長方向100m当たり3か所以下であれば油剤成分の付着斑はないものとみなし、4か所より多かった場合には、例えば油剤処理槽の循環流量を上げる、油剤処理液中に消泡剤の添加量を増やすなど、油剤処理工程の処理条件を制御する。また長期的にはRの変動係数(標準偏差の平均値に対する百分率)から10%の範囲内であれば、管理値に等しいものとみなし、この範囲から外れた場合には、例えば油剤処理槽の油剤成分の濃度を変更するなど、油剤処理工程の処理条件を制御する。
本発明は、油剤成分の付着異常があった場合にはそれを検出把握することができ、さらには、油剤成分の付着量を速やかに適正値に制御する、すなわち必要最低限量の油剤成分を精度良く均一にアクリル繊維束に付着させることも可能となる。必要最低限量の油剤の付着、すなわち、余分な油剤成分の低減、あるいは油剤成分の付着不足は、紡糸工程、焼成工程の工程通過性を向上させる。また、油剤成分の均一な付着は、均質で高品位な炭素繊維を連続生産可能なアクリル繊維束の製造を可能とする。
上述したように、油剤処理工程において、水膨潤状態のアクリル繊維束を油剤処理液と長期にわたって連続的に接触させると、アクリル繊維束に付随して油剤処理槽に持ち込まれる水分や、アクリル繊維束によって油剤処理槽から持ち出される油剤処理液により、油剤処理槽中の油剤処理液の油剤成分の濃度は経時的に変化する。そこで、通常は、油剤成分を分散させた水系乳化溶液を油剤処理液に定量的に追加し、油剤処理槽に持ち込まれる水とバランスさせることで、油剤処理液の濃度を一定に保つようにしている。しかし、油剤処理液自体の経時変化や外気温などにより、アクリル繊維束への油剤の定着量が変化するなどして、数日〜数ヶ月にわたる連続した長期製造においては、追加する水系乳化溶液の量を単に一定に保つだけでは、アクリル繊維束への油剤成分の付着量は一定にはならない。
そのため、監視工程により測定された導電性を有する油剤成分の含有量が低下した場合には、油剤処理槽に追加する水系乳化溶液の量を増加させ、導電性を有する油剤成分の含有量が上昇した場合には、追加する水系乳化溶液の量を減少させるなどして、監視工程の結果をフィードバックして、油剤処理工程の処理条件を制御して、アクリル繊維束への油剤成分の付着量を所定の管理値にコントロールすることが、均質なアクリル繊維束を長期連続して製造するために重要である。
油剤処理工程の処理条件を制御する具体的方法としては、アクリル繊維束への油剤成分の付着量を制御できる方法であるかぎり、油剤処理槽に追加する水系乳化溶液の量を制御する方法に限定されず、油剤処理工程で採用した装置(アクリル繊維束と油剤処理液とを接触させる装置。)の形態などに応じて、適宜選択できる。例えば、装置の都合などから油剤処理槽への水系乳化溶液の追加量を制御できない場合には、アクリル繊維束から油剤処理槽に持ち込まれる水の量を制御する方法、油剤処理槽に入る前のアクリル繊維束の開繊の程度を制御する方法、油剤処理槽でのアクリル繊維束と油剤処理液との接触時間を制御する方法、アクリル繊維束の張力を制御する方法、スプレー付着法においてアクリル繊維束に対して噴射される油剤処理液の量を制御する方法、油剤処理槽からアクリル繊維束
によって持ち出される油剤処理液の量を制御する方法なども有効である。
(二次延伸処理工程)
乾燥緻密化したアクリル繊維束には、二次延伸処理工程により、更に延伸処理を施すことが好ましい。延伸方法としては、加圧あるいは常圧水蒸気による水蒸気延伸、熱盤延伸、加熱ローラーによる延伸等、公知の延伸技術を用いることができる。これらの中でも、安定した均一延伸が可能な加熱ローラーによる延伸処理が好ましい。このような延伸処理により、得られる炭素繊維前駆体アクリル繊維束の緻密性や配向度をさらに高めることができる。特に、加熱ローラーにより乾燥緻密化したアクリル繊維束を搬送させながら、ローラー速度を変えることで、1.1〜4.0倍に延伸すると、得られる炭素繊維前駆体アクリル繊維束の緻密性や配向度をより向上できる。
加熱ローラーの温度としては150〜200℃程度が好ましい。温度が150℃未満であると、可塑化が不完全となり、延伸をかけた際に毛羽等が発生し、得られたアクリル繊維束を炭素繊維束にするための炭素化工程で繊維束が搬送ローラー等に巻き付いて、工程障害を招き操業性が低下することがある。一方、温度が200℃を超えると、酸化反応や分解反応などが開始され、炭素繊維前駆体アクリル繊維束を焼成して得られる炭素繊維束の品質を低下させる場合がある。
以上のようにして得られた炭素繊維前駆体アクリル繊維束は、室温のロールを通し、常温の状態まで冷却した後にワインダーでボビンに巻き取られる、あるいはケンスに振込まれて収納される。
炭素繊維前駆体アクリル繊維束は、この状態で、炭素繊維束とするための焼成工程に移される。
[アクリル繊維束]
このようにして得られる本発明のアクリル繊維束は、このアクリル繊維束の質量を100質量%とした場合、付着した油剤成分を100質量%中、0.1〜2.5質量%含むことが好ましく、より好ましくは0.3〜2.0質量%含むことが好ましい。油剤成分の付着量が0.1質量%未満であると、油剤成分本来の機能を十分に発現することが困難となる場合がある。一方、油剤成分の付着量が2.5質量%を越えると、油剤成分が過剰となりやすく、アクリル繊維束の製造過程において、アクリル繊維束を搬送しながら乾燥したり延伸したりする際などに用いられる加熱ローラー上に析出、堆積し、アクリル繊維束が巻き付くなどの操業性を低下させる場合がある。
なお、「乾燥質量」とは、乾燥緻密化工程で処理された後のアクリル繊維束の乾燥繊維質量のことである。
以上説明したように、本発明のアクリル繊維束は、耐炎化工程などの焼成工程における単繊維間の融着が抑制され、かつ、焼成工程での束切れに端を発する操業性低下が抑制され、機械的特性が安定に維持された炭素繊維束を製造可能となる。また、このような炭素繊維束は、様々な構造材料に用いられる繊維強化樹脂複合材料の強化繊維として好適である。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
本実施例に用いた各種測定方法、および評価方法は以下の通りである。
<油剤成分の付着量>
炭素繊維前駆体アクリル繊維束を105℃で1時間乾燥させた後、メチルエチルケトンによるソックスレー抽出法に準拠し、90℃のメチルエチルケトンに8時間浸漬して付着した油剤成分を溶媒抽出した。抽出前の炭素繊維前駆体アクリル繊維束の質量W1、および抽出後の炭素繊維前駆体アクリル繊維束の質量W2をそれぞれ測定し、下記式(I)により油剤成分の付着量を求めた。なお、測定回数は各ボビンあるいは各ケンスにつき10回とし、全ボビンあるいは全ケンスの平均値を油剤付着量とした。
油剤成分の付着量(質量%)=((W1−W2))/W2×100 ・・・(I)
<付着斑 評価1>
連続して製造された炭素繊維前駆体アクリル繊維束について、各ボビンあるいは各ケンスにつき上記の油剤成分の付着量の測定を行った。ついで、各ボビンあるいは各ケンスについてアクリル繊維束100m中の電気抵抗値を測定する。抵抗の平均値をRave、実測値をRとして、一連の製品における油剤付着斑を評価した。評価基準は以下の通りとした。
○:0.5<R/Rave<2.0の範囲から外れる繊維長方向の0.5m以下の範囲が3か所以下。
×:0.5<R/Rave<2.0の範囲から外れる繊維長方向の0.5m以下の範囲が3か所より多い。
<付着斑 評価2>
Raveを用いて全ボビンあるいは全ケンスにおけるRの変動係数(標準偏差の平均値に対する百分率)を算出して、一連の製品における油剤付着斑を評価した。評価基準は以下の通りとした。
○:Rの変動係数が10%以下。
×:Rの変動係数が10%より大きい。
<操業性の評価>
炭素繊維前駆体アクリル繊維束を用いて、焼成工程で炭素繊維束を5日間連続して製造した時に、焼成工程での束切れ発生頻度により、操業性の評価をした。評価基準は1日当たりの平均除去回数とし、次の通りとした。
○:束切れ発生回数(回/日)≦1
△:束切れ発生回数(回/日)2〜5
×:束切れ発生回数(回/日)>5
<ストランド強度の測定>
連続して製造された炭素繊維前駆体アクリル繊維束を焼成し、JIS−R−7608に規定されているエポキシ樹脂含浸ストランド法に準じて測定した。なお、測定回数はアクリル繊維束の各ボビンあるいは各ケンスにつき10回とし、それらの平均値をストランド強度として評価した。
<物性の安定発現評価>
上記の測定において、各ボビンあるいは各ケンスの10回の測定の平均値を用い、測定した各ボビン各ケンス間でのストランド強度の振れを変動係数として評価した。下記評価基準にて機械的特性の発現安定性を評価した。
○:変動係数が5%以下。
×:変動係数が5%より大きい。
[実施例1]
<油剤成分の調製>
下記の組成で油剤成分の水系乳化溶液を調製した。
・1、2級側鎖タイプのアミノ変性シリコーン 90質量%
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、商品名:XF−42−B5377)
・ポリオキシエチレンラウリルエーテル(非イオン系乳化剤) 10質量%
(日光ケミカルズ株式会社、商品名:NIKKOL BL−9EX)
ここでは、後者のポリオキシエチレンラウリルエーテルが導電剤としても作用している。
調製手順は、上記の油剤成分を混合し、さらに上記油剤成分の濃度が30質量%になるようにイオン交換水を加え、ホモミキサーで乳化した。この状態でのミセルの平均粒子径をレーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製、装置名:LA−910)を用いて測定したところ、10μm程度であった。
その後、さらに高圧ホモジナイザーにより、ミセルの平均粒子径が0.3μm以下になるまで分散し、油剤成分の水系乳化溶液を得た。
<炭素繊維前駆体アクリル繊維束の製造>
油剤成分を付着させるアクリル繊維束は、次の方法で調製した。
アクリロニトリル系共重合体(組成比:アクリロニトリル/アクリルアミド/メタクリル酸=97/2/1(質量比))をジメチルアセトアミドに溶解し、重合体濃度21質量%の紡糸原液を調製し、濃度60質量%、温度35℃のジメチルアセトアミド水溶液を満たした凝固浴中に孔径(直径)45μm、孔数60000の紡糸ノズルより吐出し凝固糸とした。凝固糸は水洗槽中で脱溶媒するとともに4.6倍に延伸して水膨潤状態のアクリル繊維束とした(紡糸工程および延伸処理工程)。
先に得られた油剤成分の水系乳化溶液をイオン交換水で希釈して、油剤成分の初期濃度が0.8質量%になるように調整し、前記油剤処理液に対して0.05質量%になるようシリコン系消泡剤(松本油脂製薬株式会社製、商品名:S−5)を添加して調製した油剤処理液を満たした油剤処理槽に、水膨潤状態のアクリル繊維束を導き、水系乳化溶液を連続的に付着させた。油剤処理槽を通過したアクリル繊維束は油剤の斑付き抑制や、必要以上の処理液を後工程に持ち出さないためにガイドバーで絞られる。ガイドバーは工程中の糸道を制御する円柱状のバーであり、繊維束をローラーで搬送するためには一定の張力が発生するため、その張力によってバーで扱かれて余分な油剤処理液が除去される。製品である前駆体アクリル繊維束への付着量0.6質量%を目標値とし、電磁定量ポンプを用いて、油剤成分が30質量%濃度の水系乳化溶液を油剤処理槽に定量的、連続的に追加した。
(油剤処理工程)。
その後、油剤処理液が付着したアクリル繊維束を表面温度180℃のロールにて乾燥緻密化(乾燥緻密化工程)した後に、表面温度190℃のロールを用い1.5倍延伸を施し(二次延伸処理工程)、炭素繊維前駆体アクリル繊維束を得た。得られた炭素繊維前駆体アクリル繊維束をケンスに振り込んで後述の焼成工程に移した。
この際、乾燥緻密化工程から後述の二次延伸処理工程へと、油剤成分が付着したアクリル繊維束を搬送する途中の搬送ローラー間のアクリル繊維束について、このアクリル繊維束の近傍に設置された電気抵抗測定装置により、アクリル繊維束の電気抵抗値Rを測定した。電気抵抗測定装置にはインテック株式会社製のインライン油分測定装置(商品名:OE−3)を用いた。測定した電気抵抗の平均値Raveと実測値Rとした場合、局所的にはアクリル繊維束100m中における電気抵抗値の測定結果が0.5<R/Rave<2.0の範囲から外れる繊維長方向の0.5m以下の範囲が3か所以下だった場合は、油剤成分の付着斑はないものとみなす。また長期的にはRの変動係数(標準偏差の平均値に対する百分率)が10%の範囲内であれば、問題ないものとみなす。
また、このように監視すると共に、アクリル繊維束100m中における電気抵抗の測定結果が0.5<R/Rave<2.0の範囲から外れる繊維長方向の0.5m以下の範囲が3か所より多かった場合には、これに連動して前記定量ポンプのストローク数を変化させて、油剤処理液の循環流量を調整することによって、アクリル繊維束に付着させる油剤付着斑を低減するようコントロールした。また、前記測定の結果得られたRの変動係数(標準偏差の平均値に対する百分率)が10%より大きい場合には、これに連動して前記電磁定量ポンプのストローク数を変化させて、油剤処理槽に供給する水系乳化溶液の量を調整することによって、油剤処理槽中の油剤処理液の濃度(油剤成分の濃度)を変化させ、アクリル繊維束に付着させる油剤成分の付着量をコントロールした(制御工程)。この時、電磁定量ポンプのストローク数を変えてから、繊維への付着量が変化するのにはタイムラグがあるため、一度ストローク数を変更した後には、その後10分間はストローク数を変更せず、10分間経過してから、さらに必要がある場合には再度ストローク数を変更するようにした。
以上の方法により、炭素繊維前駆体アクリル繊維束を得た。得られた炭素繊維前駆体アクリル繊維束の油剤成分の付着量、付着斑の測定結果を表1に示す。
<炭素繊維束の製造>
得られた炭素繊維前駆体アクリル繊維束を、220〜260℃の温度勾配を有する耐炎化炉に通して耐炎化し、耐炎化繊維束とした(耐炎化工程)。
その後、該耐炎化繊維束を窒素雰囲気中で400〜1400℃の温度勾配を有する炭素化炉に入れて、炭素繊維束とした(炭素化工程)。得られた炭素繊維束の束切れ発生頻度からみた操業性、ストランド強度の測定とその安定発現性を評価した。結果を表1に示す。
[実施例2]
<油剤成分の調製>
実施例1と同様の手法で水系乳化溶液を調製した。
<炭素繊維前駆体アクリル繊維束の製造>
油剤成分の初期濃度が1.4質量%になるように調整し、製品である前駆体アクリル繊維束への付着量0.8質量%を目標値とした以外は、実施例1と同様にして炭素繊維前駆体アクリル繊維束を製造した。各評価結果を表1に示した。
<炭素繊維束の製造>
実施例1と同様にして炭素繊維束を製造した。各評価結果を表1に示した。
[実施例3]
<油剤成分の調製>
実施例1と同様の手法で水系乳化溶液を調製した。
<炭素繊維前駆体アクリル繊維束の製造>
油剤処理液に消泡剤を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして炭素繊維前駆体アクリル繊維束を製造した。各評価結果を表1に示した。
<炭素繊維束の製造>
実施例1と同様にして炭素繊維束を製造した。各評価結果を表1に示した。
[実施例4]
<油剤成分の調製>
実施例1と同様の手法で水系乳化溶液を調製した。
<炭素繊維前駆体アクリル繊維束の製造>
制御工程を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にして炭素繊維前駆体アクリル繊維束を製造した。各評価結果を表1に示した。なお、電磁定量ポンプにより、油剤成分が30質量%濃度の水系乳化溶液を油剤処理槽に定量的、連続的に追加することは行った。
<炭素繊維束の製造>
実施例1と同様にして炭素繊維束を製造した。各評価結果を表1に示した。
[比較例1〜2]
<油剤成分の調製>
実施例1と同様の手法で水系乳化溶液を調製した。
<炭素繊維前駆体アクリル繊維束の製造>
油剤処理液に消泡剤を添加しなかったこと、制御工程を使用しなかったこと以外は実施例1〜2と同様にして、それぞれ比較例1〜2を行った。各評価結果を合わせて表1に示した。なお、電磁定量ポンプにより、油剤成分が30質量%濃度の水系乳化溶液を油剤処理槽に定量的、連続的に追加することは行った。

表中「油剤付着量」とは油剤成分の付着量である。
表1から、各実施例では付着斑評価1、評価2の両方において良好な結果が得られた。また、各実施例で得られた炭素繊維前駆体アクリル繊維束を焼成して得られた炭素繊維束には、実質的に束切れは発生しなかった。加えて、炭素繊維束の機械的強度の発現も良好で、長期連続生産においてもその値は変動が少なく、品質安定性に優れていた。
一方、表1から、各比較例では油剤の付着斑が検出された。また、各比較例で得られた炭素繊維前駆体アクリル繊維束を焼成して得られた炭素繊維束は束切れが多発した。加えて、それらのCF強度は安定して発現しなかった。
以上より、各実施例と比較して、全ての面で劣る結果となった。油剤成分の付着が不均一であるために、焼成工程での操業性低下を引き起こし、結果として品質安定性を損なったものと考えられる。
本発明のアクリル繊維束の製造方法によれば、炭素繊維の高品質化および高性能化と操業安定性、延いては生産性を共に向上させることができるアクリル繊維束を得ることができる。
このようにして製造されたアクリル繊維束から得られた炭素繊維束は、例えばプリプレグ化したのち複合材料に成形することもできる。この炭素繊維束を用いた複合材料は、ゴルフシャフトや釣り竿などのスポーツ用途、さらには構造材料として自動車や航空宇宙用途、また各種ガス貯蔵タンク用途などに好適に用いることができ、有用である。

Claims (7)

  1. 炭素繊維前駆体アクリル繊維束の長さ方向の電気抵抗値R(Ω)とその平均値Rave(Ω)から算出されるR/Raveが、式(1)の範囲から外れる繊維束の長さ方向の範囲が0.5m以下であり、前記外れる範囲が繊維長方向100m当たり3か所以下である炭素繊維前駆体アクリル繊維束。
    0.5<R/Rave<2.0 ・・・(1)
  2. 前記電気抵抗値Rが、炭素繊維前駆体アクリル繊維束を走行させて連続して測定する該電気抵抗値Rである請求項1に記載の炭素繊維前駆体アクリル繊維束。
  3. 前記アクリル繊維束の電気抵抗値Rの変動係数が10%以下である請求項1または2に記載の炭素繊維前駆体アクリル繊維束。
  4. シリコン成分が付着した請求項1〜3のいずれか一項に記載の炭素繊維前駆体アクリル繊維束。
  5. 炭素繊維前駆体アクリル繊維束の電気抵抗値R(Ω)とその平均値Rave(Ω)を、乾燥緻密化工程と二次延伸工程又は巻取り工程との間の工程間で連続して測定し、R/Raveが、式(2)の範囲から外れる繊維長方向の範囲が0.5m以下であり、前記外れる範囲が繊維長方向100m当たり4か所以上になった時に、油浴への油剤供給量を変更し、式(2)の範囲に入るように制御する炭素繊維前駆体アクリル繊維束の製造方法。
    0.5<R/Rave<2.0 ・・・(2)
  6. 前記アクリル繊維束製造工程で、消泡成分を一つ以上含有する油剤処理液を前記アクリル繊維束に付着させる請求項5に記載の炭素繊維前駆体アクリル繊維束の製造方法。
  7. 前記消泡成分がシリコーン系である、請求項6に記載の炭素繊維前駆体アクリル繊維束の製造方法。
JP2013242488A 2013-11-25 2013-11-25 炭素繊維前駆体アクリル繊維束及びその製造方法 Pending JP2015101804A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013242488A JP2015101804A (ja) 2013-11-25 2013-11-25 炭素繊維前駆体アクリル繊維束及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013242488A JP2015101804A (ja) 2013-11-25 2013-11-25 炭素繊維前駆体アクリル繊維束及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015101804A true JP2015101804A (ja) 2015-06-04
JP2015101804A5 JP2015101804A5 (ja) 2017-01-05

Family

ID=53377764

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013242488A Pending JP2015101804A (ja) 2013-11-25 2013-11-25 炭素繊維前駆体アクリル繊維束及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2015101804A (ja)

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60262050A (ja) * 1984-06-11 1985-12-25 Teijin Ltd 糸条の油剤管理方法
JP2001148508A (ja) * 1999-11-19 2001-05-29 Nichia Chem Ind Ltd 窒化物半導体素子及びその製造方法
JP2004043995A (ja) * 2002-07-09 2004-02-12 Sanyo Chem Ind Ltd 抄紙用合成繊維油剤
US20070183960A1 (en) * 2004-02-13 2007-08-09 Katsuhiko Ikeda Carbon fiber precursor fiber bundle, production method and production device therefor, and carbon fiber and production method therefor
JP2010007216A (ja) * 2008-06-30 2010-01-14 Mitsubishi Rayon Co Ltd 炭素繊維前駆体アクリル系繊維用油剤組成物、並びに炭素繊維前駆体アクリル系繊維束及びその製造方法
JP2013087153A (ja) * 2011-10-14 2013-05-13 Toray Ind Inc 共重合ポリエステル及びそれからなる吸湿性に優れたポリエステル繊維

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60262050A (ja) * 1984-06-11 1985-12-25 Teijin Ltd 糸条の油剤管理方法
JP2001148508A (ja) * 1999-11-19 2001-05-29 Nichia Chem Ind Ltd 窒化物半導体素子及びその製造方法
JP2004043995A (ja) * 2002-07-09 2004-02-12 Sanyo Chem Ind Ltd 抄紙用合成繊維油剤
US20070183960A1 (en) * 2004-02-13 2007-08-09 Katsuhiko Ikeda Carbon fiber precursor fiber bundle, production method and production device therefor, and carbon fiber and production method therefor
JP2010007216A (ja) * 2008-06-30 2010-01-14 Mitsubishi Rayon Co Ltd 炭素繊維前駆体アクリル系繊維用油剤組成物、並びに炭素繊維前駆体アクリル系繊維束及びその製造方法
JP2013087153A (ja) * 2011-10-14 2013-05-13 Toray Ind Inc 共重合ポリエステル及びそれからなる吸湿性に優れたポリエステル繊維

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6017109B2 (ja) 炭素繊維前駆体アクリル繊維束とその製造方法
KR101210081B1 (ko) 탄소 섬유 전구체 아크릴 섬유용 유제 조성물, 탄소 섬유 전구체 아크릴 섬유속 및 그 제조방법
JP5659597B2 (ja) 炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤組成物、および炭素繊維前駆体アクリル繊維束とその製造方法
JP5585579B2 (ja) 油剤組成物が付着した炭素繊維前駆体アクリル繊維束とその製造方法、および炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤組成物と炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤組成物分散液
KR101653160B1 (ko) 탄소섬유 제조용 아크릴섬유 유제, 탄소섬유 제조용 아크릴섬유 및 탄소섬유의 제조방법
JP5707690B2 (ja) 炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤組成物、および炭素繊維前駆体アクリル繊維束とその製造方法
JP5712480B2 (ja) 炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤組成物、および炭素繊維前駆体アクリル繊維束とその製造方法
WO2016039478A1 (ja) 炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤、炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤組成物、炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤処理液、および炭素繊維前駆体アクリル繊維束
JP2015221957A (ja) 炭素繊維前駆体アクリル繊維束とその製造方法
JP5112973B2 (ja) 炭素繊維前駆体アクリル系繊維用油剤組成物、並びに炭素繊維前駆体アクリル系繊維束及びその製造方法
JP4917991B2 (ja) 炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤組成物
JP5870526B2 (ja) サイジング剤液含浸炭素繊維束の製造方法
CN110725025B (zh) 一种碳纤维原丝用油剂
JP2018159138A (ja) 炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤組成物、炭素繊維前駆体アクリル繊維束、炭素繊維、及び、炭素繊維前駆体アクリル繊維束と炭素繊維の製造方法
JP2016017231A (ja) 炭素繊維前駆体アクリル繊維束の製造方法及び炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤処理液
JP6510299B2 (ja) 耐炎化繊維束、炭素繊維前駆体繊維束、およびそれからなる炭素繊維の製造方法
JP5741840B2 (ja) 炭素繊維前駆体アクリル繊維束
JP2015101804A (ja) 炭素繊維前駆体アクリル繊維束及びその製造方法
JP5017211B2 (ja) 炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤組成物、並びにそれを用いた炭素繊維前駆体アクリル繊維束及びその製造方法
JP2012251267A (ja) 炭素繊維前駆体アクリル繊維束
JP2011184842A (ja) 炭素繊維製造用アクリル繊維油剤、炭素繊維製造用アクリル繊維および炭素繊維の製造方法
JP5866752B2 (ja) アクリル繊維束およびその製造方法
JP6167735B2 (ja) 炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤組成物と炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤組成物分散液、および炭素繊維前駆体アクリル繊維束の製造方法
JP4995754B2 (ja) 炭素繊維前駆体アクリル繊維束およびその製造方法
JP2013209771A (ja) 炭素繊維前駆体アクリル繊維束

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161118

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20161118

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170829

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170831

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20180320