JP2015101548A - 薄膜状高分子構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】十分な量の薬物などの材料を担持した薄膜状高分子構造体を含む医薬製剤などが求められていた。【解決手段】 少なくとも1層からなる第1の高分子薄膜と、第1の高分子薄膜の上に担持した固体状材料と、固体状材料の上に被覆した少なくとも1層からなる第2の高分子薄膜とを有する、薄膜状高分子構造体を含む医薬製剤。【選択図】図1

Description

本発明は、薬物の放出速度を制御可能な医薬製剤などに用いられる薄膜状高分子構造体に関する。
自己支持可能な高分子薄膜及びその調製方法が知られている(特許文献1及び特許文献2)。この自己支持可能な高分子薄膜を、生体組織に粘着剤なしに貼付可能な創傷被覆材として、あるいは、さらに抗生物質などの薬物を担持させて医薬製剤として用いる試みが行われている(非特許文献1)。
このうち、高分子薄膜を医薬製剤として用いる場合には、薬物担持量と薬物放出時間の制御が医薬製剤にとって重要な問題である。高分子薄膜への薬物担持量を増やし、かつ、担持した薬物の放出時間を延ばすことができれば、医薬製剤による薬物作用の持続時間をより長くすることができる。
しかしながら、高分子薄膜への固体状薬物の担持量を増やすと、高分子薄膜が硬く脆くなり医薬製剤の生体組織への貼付性や強度が著しく低下すると考えられていた。
また、特許文献3には、ポリカチオンとポリアニオンの交互積層膜に油状の薬物を担持することで薬物作用の持続時間を延長する効果があることが記載されている。しかしながら、ポリアニオンとポリカチオンの交互積層膜は水分含量が多く、油状薬物の放出時間はせいぜい数時間である。
WO2006/025592 WO2012/137610 WO2012/137610
Biomaterials 31(2010) 6269-6278 Advanced Drug Delivery Reviews 31 (1998) 223-246 Pharmaceutical Research 27 (2010) 1597-1609
本発明は、十分な量の薬物などの材料を担持した薄膜状高分子構造体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、2枚の高分子薄膜の間に固体状材料を挟み込み、固体状材料が、第1の高分子薄膜と第2の高分子薄膜が互いに接する部分を有するように配置されるように調製した薄膜状高分子構造体を用いることで、高分子薄膜の密着力や強度などの物性を大きく変化させることなく固体状材料の担持量を増やすことができることなどに想到し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本願発明は以下に示す薄膜状高分子構造体、医薬製剤、薄膜状高分子構造体の調製方法などを提供する。
[1] 少なくとも1層からなる第1の高分子薄膜と、
第1の高分子薄膜の上に担持した固体状材料と、
固体状材料の上に被覆した少なくとも1層からなる第2の高分子薄膜と
を有し、固体状材料が、第1の高分子薄膜と第2の高分子薄膜が互いに接する部分を有するように配置される、薄膜状高分子構造体。
[2] 固体状材料が固体状薬物である、上記[1]に記載の薄膜状高分子構造体。
[3] 上記[2]に記載の薄膜状高分子構造体を含む医薬製剤。
[4] 固体状薬物が、5nm〜100μmのサイズの結晶状薬物、担体と複合体を形成した薬物、及び高分子に担持された薬物のいずれかである、上記[3]に記載の医薬製剤。
[5] 固体状薬物が、1μg/cm2〜100μg/cm2の量で薄膜状高分子構造体に担持される、上記[3]又は[4]に記載の医薬製剤。
[6] 固体状薬物が、スルファジアジン銀の微結晶、又は塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)と負電荷の高分子の複合体である、上記[4]又は[5]に記載の医薬製剤。
[7] 負電荷の高分子が、アルギン酸塩である、上記[6]に記載の医薬製剤。
[8] 固体状薬物が、レボフロキサシン又はラタノプロストと高分子とを混合し、シート状、ディスク状又は粒子状とした混合体である、上記[4]又は[5]に記載の医薬製剤。
[9] 混合体が、レボフロキサシンとポリカプロラクトンをアセトン中で溶解し、その溶液を水中に混和して攪拌することで生成された、レボフロキサシンとポリカプロラクトンの粒子状混合体である、上記[8]に記載の医薬製剤。
[10] 第1の高分子薄膜及び第2の高分子薄膜の一方が、他方と同じ薬物放出速度を有する、又は他方より遅い薬物放出速度を有する、上記[3]〜[9]のいずれか1項に記載の医薬製剤。
[11] 第1の高分子薄膜及び第2の高分子薄膜を構成する高分子が、ポリ-DL-乳酸、ポリ-L-乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、及びそれらの任意の組み合わせの共重合体からなる群からそれぞれ独立して選択される、上記[3]〜[10]のいずれか1項に記載の医薬製剤。
[12] 薄膜状高分子構造体の膜厚が、固体状薬物を担持しない状態で、10nm〜1000nmである、上記[3]〜[11]のいずれか1項に記載の医薬製剤。
[13] 薄膜状高分子構造体の一方の表面に、さらに、支持膜を積層した、上記[3]〜[12]のいずれか1項に記載の医薬製剤。
[14] 支持膜が、可溶性高分子膜、メッシュ及び不織布からなる群から選択される、上記[13]に記載の医薬製剤。
[15] 薄膜状高分子構造体の支持膜側の表面とは反対側の表面を、薬物を供給する生体組織に接触させ、その後、支持膜を除去することにより薄膜状高分子構造体を生体組織に貼付する、上記[13]又は[14]に記載の医薬製剤。
[16] 薄膜状高分子構造体の調製方法であって、以下の工程:
(a) 少なくとも1層からなる第1の高分子薄膜を形成する工程と、
(b) 第1の高分子薄膜の上に固体状材料を担持する工程と、
(c) 固体状材料を、少なくとも1層からなる第2の高分子薄膜で被覆する工程と
を含み、固体状材料が、第1の高分子薄膜と第2の高分子薄膜が互いに接する部分を有するように配置される、前記方法。
本発明によれば、固体状材料を担持した薄膜状高分子構造体が提供される。好ましい態様の薄膜状高分子構造体は、高分子薄膜の物性を大きく変化させることなく固体状材料の担持量を増やすことができる。本発明のより好ましい態様の高分子薄膜構造体は、当該高分子薄膜構造体を含む医薬製剤からの薬物の放出時間を長くすることができる。本発明のさらに好ましい態様の高分子構造体は、当該高分子構造体を含む医薬製剤における一回の投与での薬物作用の持続時間をより長くすることができる。
本発明の薄膜状高分子構造体の例を示す模式図である。 本発明で提供される薄膜状高分子構造体の貼付工程を示す模式図である。 スルファジアジン銀(AgSD)担持ナノシートの作製方法を示す模式図である。 AgSD担持ナノシートを原子間力顕微鏡(AFM)((a))及び走査型電子顕微鏡(SEM)((b)〜(d))にて観察した画像である。 AgSD担持ナノシートの薬剤担持量を検討した結果を示す観察画像である。 AgSD担持ナノシートの放出挙動を測定した結果を示すグラフである。 ディスク拡散法にてAgSD担持ナノシートをの抗菌持続能を評価したグラフである。 実施例6及び7での実験で評価した試料群を示す表である。 マウス後背部の熱傷部位への菌の播種及びAgSDナノシート貼付3日後の菌数を測定した結果を示すグラフである。 マウス後背部の熱傷部位への菌の播種及びAgSDナノシート貼付3日後の皮膚の組織切片を観察した画像である。 マウス後背部の熱傷部位の面積減少率を測定した結果を示すグラフである。 塩基性繊維芽細胞増殖因子担持(bFGF)ナノシートの放出挙動を評価した結果を示すグラフである。 マイクロスクラッチ試験によりCytochrome C担持ナノシートの密着力を評価した結果を示すグラフである。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し実施し得る。なお、本明細書に記載した全ての文献及び刊行物は、その目的にかかわらず参照によりその全体を本明細書に組み込むものとする。
本明細書では、高分子薄膜を「ナノシート」という場合がある。
1.本発明の概要
本発明の薄膜状高分子構造体は、少なくとも1層からなる第1の高分子薄膜と、第1の高分子薄膜の上に担持した固体状材料と、固体状材料の上に被覆した少なくとも1層からなる第2の高分子薄膜とを有し、固体状材料が、第1の高分子薄膜と第2の高分子薄膜が互いに接する部分を有するように配置されるものである。すなわち、本発明の薄膜状高分子構造体は、固体状材料をナノシートで挟み込んだ構造を有する。本発明の好ましい態様の薄膜状高分子構造体を含む医薬製剤は、高分子薄膜への固体状薬物の担持量を増やすことができる。本発明のより好ましい態様の薄膜状高分子構造体を含む医薬製剤は、医薬製剤からの薬物の放出時間を長くすることができる。本発明のさらに好ましい態様の薄膜状高分子構造体を含む医薬製剤は、一回の投与での薬物作用の持続時間をより長くすることができる。
ナノシートは、例えば、スピンコーティング法(図3)の他、浸漬法、スプレーコーティング法、グラビアコーティング法などにより形成することができる。固体状薬物は、例えば、結晶状薬物、担体と複合体を形成した薬物などである。
後述の実施例では、結晶状スルファジアジン銀(AgSD)をポリ-DL-乳酸(PDLLA)ナノシートで挟み込んだ構造を有する薄膜状高分子からなる医薬製剤を調製した。また、アルギン酸塩(Alg)に混合した塩基性線維芽増殖因子(bFGF)をポリ-L-乳酸(PLLA)ナノシートで挟み込んだ構造を有する薄膜状高分子からなる医薬製剤も調製した。これらの医薬製剤は、薬物の十分な担持量を確保することができ(図4及び5)、また、ナノシートの膜厚を調整することにより医薬製剤からの薬物の放出時間を長くすることができ(図6及び12)、これらにより、薬物作用の持続時間を長くすることができた(図7〜11)。また、これらの医薬製剤は、薬物を担持していない薄膜状高分子構造体と密着力がほとんど変わらないことが示された(図13)。
2.薄膜状高分子構造体
図1に、本発明の医薬製剤を構成する薄膜状高分子構造体の例を示す。図1の薄膜状高分子構造体は、第1の高分子薄膜と、第1の高分子薄膜の上に担持した固体状材料と、固体状材料の上に被覆した第2の高分子薄膜とを有し、固体状材料は、第1の高分子薄膜と第2の高分子薄膜が互いに接する部分を有するように配置される。このとき、第2の高分子薄膜は、固体状材料の表面に沿って貼り付くように被覆し、第1の高分子薄膜と第2の高分子薄膜とでぴったりと密着するようにして固体状材料を挟み込む。図1の薄膜状高分子構造体は、第1の高分子薄膜側の表面にさらに積層された支持膜を有する。
薄膜状高分子構造体を構成する固体状材料における「材料」は、例えば、薬物、化粧料、塗料、消毒剤、金属粒子などである。材料は、好ましくは、薬物である。
「薬物」としては、抗菌剤(例えば、キノロン系、より具体的には、レボフロキサシン、オフロキサシン、ノルフロキサシン、トスフロキサシン、シプフロキサシン、スパルフロキサシン、ロメフロキサシン、フレロキサシン、エノキサシン等、テトラサイクリン系、より具体的には、テトラサイクリン、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、デメチルクロルテトラサイクリン等)、緑内障治療薬(例えば、プロスタグランジン類、より具体的には、ラタノプロスト、ビマトプロスト、イソプロピルウノプロストン、トラボプロスト、タフルプロスト、ザラカム(R)、デュオトラバ(R)等)、創傷治療剤(例えば、塩基性線維芽増殖因子(bFGF)、ソルコセリル、塩化リゾチーム、トレチノイントコフェリル、ブクラデシンナトリウム、アルプロスタジル等) 、抗炎症剤(例えば、アズレンスルホン酸ナトリウム、プラノプロフェン、ジクロフェナクナトリウム、ブロムフェナクナトリウム)、抗アレルギー剤(例えば、メキタジン、マレイン酸クロルフェニラミン、フマル酸クレマスチン、塩酸ホモクロルシクリジン、塩酸ヒドロキシジン、塩酸シプロヘプタジン、塩酸アゼラスチン、エバスチン、フマル酸エメダスチン、塩酸オロパタジン、フマル酸ケトチフェン、オキサトミド、セチリジン、塩酸エピナスチン、ベポタスチン、フェキソフェナジン、ロラタジン)、抗癌剤(例えば、ゲムシタビン、フルオロウラシル、イリノテカン、オキサリプラチン、テガフール、ウラシル、サイメリン、ニドラン、シスプラチン、カルボプラチン、ドセタキセル等)、チトクロームc、スルファジアジン銀、硝酸銀、酢酸銀、尿素等が挙げられる。
本発明の薄膜状高分子構造体では、これらの材料を、同一薄膜状高分子構造体中に、単独で、あるいは2種類以上(例えば、2種類、3種類、4種類、または5種類、好ましくは、2種類)を適宜組み合わせて用いることができる。好ましくは、これらの材料を、同一医薬製剤中に、単独で用いる。
固体状材料における「固体状」とは、材料自体が固体状態であることの他、担体と材料の複合体が固体状態であること、材料を担持した高分子薄膜が固体状態であることなどが含まれる。
材料自体が固体状態である場合の固体状材料は、例えば、微結晶状材料、好ましくは、微結晶状薬物である。材料を微結晶化することで、微結晶化しない場合と比較して、薄膜状高分子構造体により多くの量の材料を担持することができる。微結晶状薬物のサイズは、例えば、1000μm以下であり、好ましくは1000μm以下であり、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。ここで、微結晶状薬物の「サイズ」は、結晶の最長部分の長さである。微結晶化することが可能な薬物としては、例えば、スルファジアジン銀(AgSD)、レボフロキサシン、オフロキサシン、ドセタキセル等が挙げられ、好ましくは、AgSD、レボフロキサシン等が挙げられる。微結晶状薬物は、好ましくは、AgSDの微結晶である。微結晶化は公知の方法で行うことができる。例えば、AgSDを30%アンモニア水とエタノールの混合溶媒に溶解し、第1の高分子薄膜上に滴下して溶媒を揮発させ微結晶を生成する。この場合、薬物の種類により適宜溶媒を選択できる。これ以外にも、微結晶の調製方法として、薬物を良溶媒に溶解した溶液を貧溶媒中に攪拌しながら加える再沈法や、薬物の溶液を噴霧して乾燥することで微結晶化するスプレードライ法、薬物を高温で溶融し、低温で結晶化するゾル-ゲル法、還元剤滴下やUV照射などにより薬物塩を還元する還元法、薬物を含むガスを高温下で基板に蒸着する気相蒸着法、貧溶媒中の薬物個体に高出力パルスレーザーを照射することで表面から粒子を生成するレーザーアブレーション法、薬物を加熱分解する熱分解法、界面活性剤の臨界ミセル濃度を超えることによる凝集を利用したミセル法、逆ミセル法などが挙げられる。
担体と材料の複合体が固体状態である場合の固体状材料は、例えば、正反対の電荷をもつ高分子電解質同士の相互作用によって形成するポリイオンコンプレックスや、任意の相互作用(例えば、水素結合、ファンデルワールス力、抗原-抗体、アビジン-ビオチン等)により形成するコンプレックスである。水溶性の高分子電解質はポリイオンコンプレックスを形成すると不溶化して沈殿する。従って、微結晶化することが難しい材料であっても、担体と複合体を形成させることで容易に固体状薬物を得ることができる。材料が薬物である場合のポリイオンコンプレックスのサイズは、例えば1000μm以下であり、好ましくは1nm〜1000μmであり、より好ましくは5nm〜100μm、さらに好ましくは5nm〜10μmである。ここで、ポリイオンコンプレックスの「サイズ」は、ポリイオンコンプレックスの最長部分の長さである。ポリイオンコンプレックスは、具体的には、負電荷の高分子と正電荷の薬物の複合体、又は正電荷の高分子と負電荷の薬物の複合体である。負電荷の高分子(ポリアニオン)としては、例えば、アルギン酸、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ポリグルタミン酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、及びそれらのアルカリ金属塩(例えば、アルギン酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、及びポリグルタミン酸ナトリウム)が挙げられる。また、正電荷の薬物としては、例えば、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、ワルファリン、ジアパゼム、ジギトキシン等が挙げられる。一方、正電荷の高分子としては、例えば、キトサン、ポリリシン、ポリアルギニン、ポリヒスチジン、アイオネン、ポリ(4級化ピリジン)、ジアリルジアルキルアンモニウム塩の重合体等が挙げられる。負電荷の薬物としては、例えば、アセチルサリチル酸、レチノイン酸、トラネキサム酸、核酸(DNA、RNA)等が挙げられる。本発明のいくつかの態様では、ポリイオンコンプレックスは、例えば、bFGFと負電荷の高分子の複合体、より好ましくはbFGFとアルギン酸塩(例えば、アルギン酸ナトリウム)の複合体である。ポリイオンコンプレックスの調製は、例えば、非特許文献2に記載の方法に準じて行うことができる。具体的なポリイオンコンプレックスの調製方法は次の通りである。例えば、Tris緩衝液にbFGFを溶解した溶液とアルギン酸ナトリウム水溶液を混和してポリイオンコンプレックスを生成する。
担体と材料の複合体が固体状態である場合の固体状材料の別の例は、材料と高分子とを混合し、シート状、ディスク状又は粒子状とした混合体である。油状の材料など、材料単体では十分な量を担持させることが困難なものも、油状の材料に対して親和性の高い高分子との混合体を調製することにより、十分な量の材料を薄膜状高分子構造体に担持させることが可能となる。材料が薬物である場合の好ましい態様の混合体は、高分子中に油状の薬物が混合されるようにすることで、薬物の動態形状が安定化して薄膜状高分子構造体中に局在化するために、また、薬物と水との接触面積が減少するため、より長期的な薬物放出が可能となる。
このような混合体の形成に用いる高分子としては、例えば、ヒアルロン酸、コラーゲン、ゼラチン、デキストリン、プルラン、アルギン酸、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸等が挙げられ、好ましくは、ゼラチン、アルギン酸、ポリ乳酸等が挙げられる。
混合体の形成に用いることができる薬物としては、例えば、レボフロキサシン、ラタノプロスト等が挙げられ、好ましくは、ラタノプロスト等が挙げられる。
混合体がシート状である場合、シートは、例えば、膜厚が5nm〜1000nmで、面積は第1及び第2の高分子薄膜の面積以下である。好ましくは、膜厚が30nm〜400nmである。本発明のいくつかの態様では、シートの面積は、第1及び第2の高分子薄膜の面積と実質的に同じ面積である。
混合体がディスク状である場合、ディスクは、例えば、膜厚が5nm〜1000nmで、面積が0.1μm2〜107μm2であり、好ましくは、膜厚が30nm〜400nmで、面積が0.5μm2〜105μm2である。
混合体が粒子状である場合の混合体は、サイズが、例えば、1000μm以下であり、好ましくは1000μm以下であり、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。ここで、粒子の「サイズ」は、粒子の最長部分の長さである。
材料と高分子との混合体の調製は、例えば、非特許文献3に記載の方法に準じて行うことができる。具体的な混合体の調製方法は次の通りである。レボフロキサシンとポリカプロラクトンをアセトン中に溶解し、その溶液を水中に混和して攪拌することでレボフロキサシンとポリカプロラクトンの混合粒子が生成する。
材料を担持した高分子薄膜が固体状態である場合の固体状材料は、例えば、WO2012/137610A1に記載の「薬物を担持した交互積層薄膜」である。「薬物を担持した交互積層薄膜」の説明は、WO2012/137610A1の段落[0019]〜[0040]に記載の通りである。
固体状材料は薄膜状高分子構造体に担持される。本明細書中、「担持」とは、固体状材料が、第1と第2の高分子薄膜の間に挟み込まれた状態を意味する。材料が薬物である場合、薬物は、好ましくは1μg/cm2〜100μg/cm2の量、より好ましくは1μg/cm2〜50μg/cm2の量、さらに好ましくは1μg/cm2〜20μg/cm2の量で薄膜状高分子構造体に担持される。ここで、薬物の担持量は、薬物の有効成分の担持量のことを意味する。
本発明の薄膜状高分子構造体において、固体状材料はそのままでは高分子薄膜を透過できないので、第1の高分子薄膜及び/又は第2の高分子薄膜を透過してきた体液由来の水によって固体状材料が溶かされ、溶けた材料(例えば、薬物)の分子やイオンが第1の高分子薄膜及び/又は第2の高分子薄膜を透過することによって放出される。このとき、第1の高分子薄膜及び第2の高分子薄膜の一方が、他方と同じ薬物放出速度を有する、又は他方より遅い薬物放出速度を有する。本発明のいくつかの態様では、第1の高分子薄膜及び第2の高分子薄膜の一方が薬物放出制御膜であり、他方が薬物放出制御膜より薬物の放出速度が遅い薬物漏出防止膜である。このように、第1の高分子薄膜と第2の高分子薄膜とで薬物の放出速度が異なるようにすること、すなわち、物質透過能が異なるようにすることで、薬物の放出方向を制御することができる。高分子薄膜の物質透過能が高いことは、薬物の放出速度が速いことを意味し、高分子薄膜の物質透過能が低いことは、薬物の放出速度が遅いことを意味する。薬物は、物質透過能がより高い高分子薄膜からより多くの量の薬物が放出される。
高分子薄膜の物質透過能は、膜厚、高分子の種類、材料(例えば、薬物)の分子量などのパラメーターを調整することで、制御することができる。例えば、高分子薄膜の膜厚を厚くすることで物質透過能は低くなり、一方、高分子薄膜の膜厚を厚くすることで物質透過能は高くなる。また、高分子の種類については、主鎖または側鎖が疎水的である高分子では水ならびに水溶性物質の透過能は低く、一方、主鎖または側鎖が親水的である高分子では物質透過能は高い。さらに、分子量の大きい薬物の透過能は低く、一方、分子量の小さい薬物の透過能は高くなる。これらのパラメーターの1つ以上を調節することにより、第1の高分子薄膜及び/又は第2の高分子薄膜からの薬物の放出速度を調節することができる。
第1の高分子薄膜及び第2の高分子薄膜は、それぞれ、少なくとも1層(例えば、1層、2層、3層、4層、5層、6層、7層、8層、9層又は10層、好ましくは、1層、2層、3層、4層又は5層、より好ましくは、1層)からなる。第1の高分子薄膜及び第2の高分子薄膜は、好ましくは、生体適合性高分子、より好ましくは、生体適合性で、かつ生分解性の高分子である。第1及び第2の高分子薄膜の高分子は、同じ高分子であってもよく、あるいは、互いに異なる高分子であってもよい。第1の高分子薄膜及び/又は第2の高分子薄膜が2層以上からなる場合、各層は、同じ高分子であってもよく、あるいは、互いに異なる高分子であってもよい。第1及び第2の高分子薄膜を構成する高分子は、例えば、生体適合性で、かつ生分解性のポリエステルである。そのようなポリエステルとしては、例えば、ポリ-DL-乳酸(PDLLA)、ポリ-L-乳酸(PLLA)、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、及びそれらの共重合体が挙げられる。
薄膜状高分子構造体のうち第1の高分子薄膜と第2の高分子薄膜の部分の膜厚は、固体状材料(例えば、固体状薬物)を担持しない状態で、それぞれ、好ましくは10nm〜1000nmであり、より好ましくは10nm〜500nmであり、さらに好ましくは、10nm〜200nmであり、特に好ましくは15nm〜100nmである。ここで、第1の高分子薄膜及び/又は第2の高分子薄膜が2層以上からなる場合、膜厚は、それぞれの高分子薄膜の膜厚を合計した膜厚である。
本発明のいくつかの態様の薄膜状高分子構造体は、少なくとも一方の表面(すなわち、両面又は片面)、好ましくは一方の表面(すなわち、片面)に、さらに、支持膜を積層したものである。支持膜を設けることにより、本発明の薄膜状高分子構造体の取扱を容易にできる。好ましくは、支持膜は、可溶性高分子膜、メッシュ及び不織布からなる群から選択される。
可溶性高分子膜としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、スターチ、高分子電解質などの水溶性高分子膜が挙げられる。
メッシュとしては、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、テフロン(商品名)、シルクなどからなるメッシュ状膜が挙げられる。
ここで言う不織布は、繊維を織らずに絡み合わせたシート状のものをいう。一般にシート状のものとして代表的な布は、繊維を撚って糸にしたものを織っているが、不織布は繊維を熱・機械的または化学的な作用によって接着または絡み合わせる事で布にしたものを指す。不織布の原料には繊維に加工できるほとんどの物質を使用することができる。また、複数の原料を組み合わせて不織布の原料として使用することができる。また、複数の原料を組み合わせたり、繊維長や太さなどの形状を調整することで目的・用途に応じた機能を持たせることもできる。不織布は強度や耐久性、用途によって、アラミド繊維、ガラス繊、セルロース繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、レーヨン繊維などが用いられる。
水溶性フィルムは薄膜状高分子構造体を生体組織に貼付後に、例えば、生理食塩水などで溶解させることができる。また、メッシュ状膜及び不織布は、薄膜状高分子構造体を生体組織に貼付後にピンセットなどで剥離することができる。
支持膜の膜厚は、例えば、1μm〜100μmであり、好ましくは10μm〜30μmである。
本発明の薄膜状高分子構造体は、他にも、保護フィルムとして、少なくとも一方の表面(好ましくは両方の表面)に、高分子(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、セロファン)、紙、布などの層を含んでよい。保護フィルムを設けることにより、本発明の固体状材料担持ナノシートを、摩耗、衝撃、折り曲げなどから物理的に保護することができる。
保護フィルムの膜厚は、例えば、1μm〜1000μmであり、さらに好ましくは、50μm〜500μmである。
薄膜状高分子構造体の形状としては、四角形、多角形(例えば、五角形、六角形、七角形又は八角形)、円形、楕円形、リボン形、ひも形、ドーナッツ形、リング形などが挙げられる。好ましくは、四角形、多角形(例えば、五角形、六角形、七角形又は八角形)、円形、楕円形、ドーナッツ形、リング形などが挙げられる。より好ましくは、一片の長さが1cm〜15cm(好ましくは、2cm〜4cm)の四角形、直径が1cm〜15cm(好ましくは、2cm〜4cm)の円形、長辺の長さが1cm〜15cm(好ましくは、2cm〜4cm)、短辺の長さが0.5cm〜10cm(好ましくは、1cm〜2cm)の楕円形などである。
本発明の薄膜状高分子構造体において「固体状材料が、第1の高分子薄膜と第2の高分子薄膜が互いに接する部分を有するように配置される」とは、固体状材料が、第1の高分子薄膜と第2の高分子薄膜との間に層を形成するように配置されるのではなく、各固体状材料間で、第1の高分子薄膜と第2の高分子薄膜が互いに直接接する部分を有するように配置されることを意味する。
本発明の薄膜状高分子構造体において、固体状材料を、薄膜の面全体に渡って分散するように配置しても、あるいは、薄膜の面の一部(例えば、中心部)に集中するように配置してもよい。
本発明の好ましい態様の薄膜状高分子構造体は、厚さが非常に薄く、また伸展性、及び変形性に優れる。このため、装用者に異物感などの装用上の問題をきたしにくい。
3.薄膜状高分子構造体の調製方法
図3に、本発明の薄膜状高分子構造体の調製方法の一例を示す。ここでは、第1の高分子薄膜及び第2の高分子薄膜としてPDLLA薄膜を用い、固体状材料としてAgSDを用い、また、支持膜としてPVAを用いる場合の調製方法を主に説明するが、本発明の調製方法はこれらに限定されない。
図3に示すように、本発明の薄膜状高分子は、例えば、次の工程を含む方法により形成する。
(a) 少なくとも1層からなる第1の高分子薄膜を形成する工程(図3(a)〜(c))
(b) 第1の高分子薄膜の上に固体状材料を担持する工程(図3(e))
(c) 固体状材料を、少なくとも1層からなる第2の高分子薄膜で被覆する工程(図3(f)〜(g))
ここで、固体状材料は、第1の高分子薄膜と第2の高分子薄膜が互いに接する部分を有するように配置される。
工程(a)では、図3(a)〜(c)に示すように、第1の高分子薄膜を、適当な基体上に形成するようにしてよい。基体としては、シリコン基板、プラスチック基板、ガラス基板などを挙げることができ、好ましくはシリコン基板を挙げることができる。
図3(a)では、基板上に、第1の高分子薄膜を、スピンコーティング法により形成する。しかしながら、本発明はこれに限定されず、スピンコーティング法の他、浸漬法、スプレーコーティング法、バーコーティング法、グラビアコーティング法などの公知の膜形成方法を用いることができる。
スピンコーティング法を用いた場合は、例えば、基体上に、所定濃度(例えば、0.1〜200mg/mL、好ましくは、0.5〜100mg/mL、より好ましくは、1〜50mg/mL)の高分子溶液(図3(a)ではPDLLA)を塗布した後、スピンコーターにより100〜1000rpmで1〜60秒(図3(a)では4000rpmで20秒)、基体を回転させることにより乾燥させて、第1の高分子薄膜を形成する(図3(a))。
スピンコーティング法を用いた場合、薄膜の厚さは高分子の濃度、スピンコーターの回転速度、温度などを変えることにより制御することができる。具体的には、高分子の濃度を薄くすること、スピンコーターの回転速度を上げること、スピンコーターの回転時間を上げること、温度を下げることなどにより層の厚さを薄くすることができる。
グラビアコーティング法を用いた場合、薄膜の厚さは、高分子の濃度、バーの線数や回転速度を変えることにより制御することができる。具体的には、高分子の濃度を薄くすること、バーの線数を下げること、回転速度を下げることにより層の厚さを薄くすることができる。
浸漬法を用いた場合、基板を高分子の溶液に所定の時間浸漬してこれを基板表面に付着させた後、基板を洗浄液に浸漬して過剰な高分子を除去する。薄膜の厚さは、高分子溶液の濃度、粘度、浸漬時間、浸漬温度などを変えることにより制御できる。濃度や粘度を下げること、浸漬時間を短くすること、浸漬温度を低くすることなどにより薄膜の厚さを下げることができる。
スプレーコーティング法を用いた場合、基板に高分子溶液を所定の噴霧条件で所定時間噴霧してこれを基板表面に付着させた後、基板に洗浄液を所定時間噴霧して過剰な高分子を除去する。薄膜の厚さは、高分子溶液の濃度、粘度、噴霧時間、洗浄時間などを変えることにより制御できる。濃度や粘度を下げること、噴霧の液滴を小さくすること、噴霧時間を短くすること、洗浄時間を長くすることなどにより薄膜の厚さを薄くすることができる。
また、図3(c)に示すように、支持膜(図3ではPVA)を、第1の高分子薄膜の上に形成するようにしてよい。支持膜がPVAのような可溶性高分子膜である場合、可溶性高分子膜は、可溶性高分子の溶液を第1の高分子薄膜上に滴下した後にスピンコーティングなどにより乾燥することで形成することができる。可溶性高分子膜の形成方法は、これに限定されず、例えば、バーコーティング後に乾燥すること、浸漬後乾燥することなどにより形成することができる。
さらに、図3(d)に示すように、固体状材料を形成する前に、第1の高分子薄膜及び支持膜を基板から剥離させ、第1の高分子薄膜及び支持膜を反転させるようにして別の基板表面に移す。
次に、工程(b)では、図3(e)に示すように、第1の高分子薄膜の上に固体状材料を担持する。
図3(e)では、薬物溶液(図3ではAgSD溶液)を、第1の高分子薄膜の上に滴下し、乾燥させることにより薬物を微結晶化させる。固体状材料の担持方法は、これに限定されない。固体状材料は、材料溶液を滴化後に乾燥させる方法の他、材料溶液をスピンコーティング後に乾燥させる方法、材料溶液をスプレーコーティング後に乾燥させる方法、材料溶液をバーコーティング後に乾燥させる方法などによって、第1の高分子薄膜上に形成することができる。
さらに、工程(c)では、図3(f)に示すように、固体状材料を、第2の高分子薄膜で被覆するようにしてよい。
図3(f)では、固体状材料を、支持体に転写した第2の高分子薄膜で被覆する。
第2の高分子薄膜を、第1の高分子薄膜とは別に調製したものを用いてよい。第2の高分子薄膜は、上記第1の高分子薄膜の形成方法に準じて調製することができる。調製した第2の高分子薄膜を、基板から剥離後、支持体(例えば、ポリビニルアルコール、メッシュ状フィルム、ワイヤーループ)に転写する。そして、支持体に転写した第2の高分子薄膜を、第1の高分子薄膜の上の固体状材料に重ねることで、固体状材料を、第1の高分子薄膜と第2の高分子薄膜とで挟み込むことができる。
このようにして、図3(g)に示すような、基板上に、第1の高分子薄膜と、第1の高分子薄膜の上に担持した固体状材料と、固体状材料の上に被覆した第2の高分子薄膜とを有する薄膜状高分子構造体を形成する。このとき、固体状材料が、第1の高分子薄膜と第2の高分子薄膜が互いに接する部分を有するように配置される。図3(h)に示すように、薄膜状高分子構造体は、基板から剥離してもよい。
薄膜状構造体に保護フィルムを設ける場合、保護フィルムは、例えば、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、バーコーティング法にて本発明の薄膜状高分子構造体に設けることができる。
支持膜及び保護フィルムは、予め作製したフィルムを本発明の薄膜状高分子構造体に圧着させることで設けるようにしてもよい。また、保護フィルムは、薄膜状高分子構造体にただ重ねるだけで設けるようにしてもよい。例えば、成人(体重60kg)の緑内障治療に用いる場合は、薄膜1cm2あたりプロスタグランジン類を、0.45μg〜5μg(0.45μg/cm2〜5μg/cm2)、好ましくは、0.95μg〜5μg(0.95μg/cm2〜5μg/cm2)担持する医薬製剤を、例えば、2日〜30日に一度、好ましくは、3日〜20日に一度、より好ましくは、7日〜20日に一度、眼に貼付する。
4.医薬製剤
本発明の医薬製剤は、本発明の好ましい態様の薄膜状高分子構造体を含む。本発明の医薬製剤は、外用薬であり、生体組織に貼付するため、例えば、薬物を皮膚表面に投与するため、薬物を眼表面に投与するため、薬物を癌組織に直接投与するため、薬物を創傷部に投与するため、などに用いられる。
本発明においては、薬物の投与は、薄膜状の医薬製剤を、例えば皮膚、内臓組織、眼、癌組織などに貼付することにより行う。本発明の医薬製剤が薬物を皮膚に投与するために用いるものである場合、薬物として、抗菌剤、抗炎症剤等が挙げられる。また眼に投与するために用いるものである場合、薬物として、緑内障治療薬、抗菌剤、抗炎症剤、抗アレルギー剤等が挙げられる。本発明の医薬製剤が薬物を癌組織に投与するために用いるものである場合、薬物として、抗癌剤が挙げられる。
これらの薬物は、有効成分の他に、医薬的に許容される担体や添加物を含むものであってよい。このような担体及び添加物として、水、医薬的に許容される有機溶剤、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸メチル、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、エチルセルロース、キサンタンガム、アラビアゴム、カゼイン、寒天、ポリエチレングリコール、ジグリセリン、グリセリン、プロピレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン、マンにトール、ソルビトール、ラクトース、医薬添加物として許容される界面活性剤等が挙げられる。
本発明の好ましい態様の医薬製剤は、細胞毒性が少なく、一回投与での作用の持続時間が長い。
本発明の好ましい態様の医薬製剤は、一回投与での作用の持続時間が長いので、例えば、本発明の医薬製剤の投与を医者が患者の通院のたびに病院で行い、患者自身では投与しないこととすることもできる。
また、本発明は、本発明の医薬製剤を、疾患の治療を必要とする対象に投与することを含む、疾患の治療方法を含む。対象は、ヒト、非ヒト哺乳動物(マウス、ラット、ウサギ、犬、猫等)等であり、好ましくは、ヒトである。疾患は、例えば、皮膚疾患、眼疾患(例、緑内障、角膜炎、ぶどう膜炎等)、結膜炎、癌等である。
2種以上の薬物を患者に投与するためには、2種以上の薬物を含む1種の医薬製剤を対象に投与するようにしてもよいし、あるいは、1種の薬物を含む2種以上の医薬製剤を対象に投与するようにしてもよい。
本発明の医薬製剤の投与量は、年齢、性別、体重、疾患の種類、症状、投与回数等によって異なる。例えば、成人(体重60kg)の褥瘡の治療に用いる場合は、薄膜1cm2あたりAgSDを、1μg〜100μg、好ましくは、10μg〜20μg担持する医薬製剤を、例えば、2日〜30日に一度、好ましくは、3日〜20日に一度、より好ましくは、7日〜20日に一度、患部の生体組織に貼付する。
本発明のいくつかの態様の医薬製剤は、支持膜を、薄膜状高分子構造体の一方の高分子薄膜側にのみ含む。この場合、前記医薬製剤の投与を、図2に示すように、支持膜側とは反対側の表面を、薬物を供給する生体組織に接触させ、その後、支持フィルムを除去することにより薄膜状高分子構造体を生体組織に貼付して、行うようにしてもよい。支持膜が水溶性高分子膜である場合、支持膜の除去は、生理塩水などにより洗浄することなどにより行うことができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
尚、以下の実施例では、第1の高分子薄膜を「薄膜A」といい、第2の高分子薄膜を「薄膜B」という。
実施例1:AgSDを担持したナノシートの調製方法
全ての操作はクリーンルーム(クラス10,000)内にスピンコーター(Opticoat MS-A 150、MIKASA)を設置して行った。シリコン基板(KST World社製)を2cm x 2cm、あるいは4cm x 4cmに切り、硫酸/過酸化水素水(3/1、v/v)に10分間浸漬した後、脱イオン水(抵抗率 18Ωcm)にて洗浄した。
この基板(2cm x 2cm)をスピンコーターに設置して、ポリ-DL-乳酸(PDLLA)( Polyscience社)を150μL滴下してスピンコート(4000rpm、20秒)し、ナノシート(薄膜A)を調製した(図3(a))。
薄膜A上にポリビニルアルコール(PVA)水溶液(Mw:22,000、関東化学社、100mg/mL)を0.5mL滴下し、加熱(60oC、15分)し乾燥させてPVAフィルムを形成させた(図3(c))。
シリコン基板から薄膜AをPVAフィルムごと剥がし、別のシリコン基板(2cm x 2cm)上にPVAフィルム側を下にして貼付した(図3(d))。上面の薄膜A上にAgSD溶液(8mg/mL、30%アンモニア水/エタノール(3/7、v/v))を10μL滴下して乾燥し(図3(e))、AgSDを20μg/cm2担持した。
別のシリコン基板上(4cm x 4cm)にPVA水溶液(10mg/mL)を150μL滴下しスピンコート(4000rpm、20秒)し、PVA薄膜を形成した。PVA薄膜上にポリ乳酸溶液(酢酸エチル)を150μL滴下しスピンコート(4000rpm、20秒)し、薄膜Bを形成した。PVA薄膜と薄膜Bを基板ごと脱イオン水中に浸漬させてPVA薄膜を溶解させ、薄膜Bを水中に浮かせ、ワイヤーループ(3cm 3cm)で掬い、乾燥させた。AgSD溶液を滴下した薄膜A上にエタノールを10μL滴下し、薄膜Bを上から貼付し、乾燥させることでAgSD担持ナノシートを調製した(図3(f)〜(g))。AgSD担持ナノシートはシリコン基板からPVAフィルムごと剥離して(図3(h))、以下の実施例に供した。
実施例2:AgSD担持ナノシートの表面解析
調製したAgSD担持ナノシート(AgSD 20μg/cm2)の膜厚を原子間力顕微鏡(AFM)(NanoScale Hybrid Microscope Keyence社、タッピングモード)にて測定したところ、PDLLAナノシート領域(図4(a)茶色領域)の膜厚は74.6+3.9nmであった。AgSDの領域(図4(b)白色領域)のサイズは5.6+1.8μmであった。また走査型電子顕微鏡にてAgSD担持ナノシートを観察したところ、PDLLAナノシートがAgSD粒子を被覆している様子が確認された(図4(b))。AgSD担持ナノシート製膜直後は粒子状が観察されたのに対し(図4(c))、7日間PBS(37℃)中に浸漬した後にSEMにて観察したところ粒子が放出した跡が確認された(図4(d))。
実施例3:AgSD担持ナノシートの担持量の検討
実施例1と同様の工程にてAgSDを1, 10, 100μg/cm2担持したナノシートを調製したところ、PDLLAナノシート内部に安定に担持可能であり、また水中にて安定に自己支持可能であった(図5(a)〜(c))。
実施例4:AgSD担持ナノシートの放出挙動の評価
実施例1の薄膜A、Bの調製においてPDLLA溶液の濃度を10mg/mL、15mg/mLとし、実施例1の工程にてAgSD担持ナノシートを調製した。調製したAgSD担持ナノシートを脱イオン水中に浮かせてPVAフィルムを溶解させ、シリコン基板(2cm x 2cm)上に再貼付した。AgSD担持ナノシートを貼付したシリコン基板を20mLの生理食塩水中に浸漬させ、30分後に生理食塩水を全回収し、別の生理食塩水20mLを加えて再浸漬させた。最初の浸漬開始時間から1時間、3時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間後にこの回収操作を同様に行った。回収した試料中の銀イオン濃度をICP発光分析法により定量した。ナノシートでAgSDを挟み込まない場合、AgSDは24時間でほぼ全量が放出した(図6)。ナノシートでAgSDを挟み込んだAgSD担持ナノシートの場合にはAgSDの放出速度は遅くなり、72時間以上かけてAgSDが放出された(図6)。その放出速度は、ナノシートの厚さが厚くなるほど遅くなった(図6)。
実施例5:AgSD担持ナノシートの抗菌持続能の評価
ポリ-DL-乳酸溶液の濃度を10mg/mLとし、実施例1の工程にて調製したAgSD担持ナノシートを直径22mmの円形ガラス基板に貼付した。AgSD担持ナノシートを貼付したガラス基板を20mLの生理食塩水に24時間浸漬させた。直径15cmのディッシュに調製したBrain-Heart Infusion(BHI)寒天培地上にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を105cfu播種して全面に広げ、その上に24時間生食塩水に浸漬したAgSD担持ナノシートをガラス基板ごと固定した。12時間培養後(37oC)、ガラス基板の周囲に形成された阻止円の大きさを測定した。48時間及び72時間生理食塩水に浸漬したAgSD担持ナノシートも同様の操作を行い、阻止円の大きさを測定した。対照群として、ナノシートでAgSDを挟まず、ガラス基板上に直接AgSDを担持した試料を調製し、同様の操作を行った。その結果を図7に示す。対照群の場合、生理食塩水に48時間以上浸漬した試料は阻止円が形成されなかったが、AgSD担持ナノシートの場合、72時間浸漬した試料においても阻止円が形成され、抗菌能の作用時間が長くなっていることが示された。
実施例6:熱傷モデルマウスによるAgSD担持ナノシートの抗菌能評価
この評価は図8に示す4つの試料について行った。マウスの背部を脱毛後、70oCの湯に4秒間つけることで直径15mmの熱傷を作製した。1日後に創傷部にMRSAを105cfu播種し、AgSD担持ナノシート(2cm x 2cm)を貼付後メッシュフィルムとオプサイトを巻いて保護した。熱傷作製3日後に創傷部を含む皮膚を切り出し(15mm x 15mm)、生理食塩水1mL中でホモジナイザーにより破砕した。その懸濁液をBHI寒天培地上に播種して培養後(37oC)、形成されたコロニー数を計測することで皮膚に残存するMRSAの数を算出した。その結果を図9に示す。MRSA未播種群(1群)の菌数は10cfu程度であったが、MRSAを播種した2群の皮膚中の菌数は106cfu程度に増加した(2群)。AgSD未担持のナノシートを貼付した群(3群)その菌数はほぼ変わらなかったのに対し、AgSD担持ナノシートを貼付した群(4群)の場合、菌数は10cfu程度にまで減少した。
組織切片を作製して観察したところ、2群(Entry 2)及び3群(Entry 3)では炎症性細胞が確認されたのに対し、4群(Entry 4)では、1群(Entry 1)と同様に炎症が確認されなかった(図10)。
実施例7:AgSD担持ナノシートの創傷治癒能の評価
この評価は図8に示す4つの試料について行った。実施例6と同様の工程により熱傷を作製した4群のマウスについて、熱傷作製1日、3日、5日、7日後の創傷部の面積を測定し、その減少率を算出した。その結果を図11に示す。2群、3群は1群、つまり自然治癒よりも治癒が有意に遅延したが、4群ではその遅延が抑制され、1群と同程度の速さで創傷が治癒した。
実施例8:塩基性繊維芽細胞増殖因子担持(bFGF)ナノシートの作製方法
実施例1に記述した工程でシリコン基板を洗浄し、その基板をスピンコーターに設置してポリ-L-乳酸溶液(10mg/mL、ジクロロメタン)を150μL滴下してスピンコート(4000rpm、20秒)してナノシート(薄膜A)を調製した。
生理食塩水中にbFGFを溶解させ、50μg/mLに調製した。アルギン酸ナトリウムを生理食塩水に溶解した後、bFGF溶液と1/1(v/v)で混合し、ポリイオンコンプレックスを形成させることでbFGFの担体を調製した。動的光散乱法にてbFGF担体の粒子径を測定したところ、直径は26.4+9.3nmであった。このbFGF担体溶液を薄膜A上に50μL滴下して乾燥させた。
別のシリコン基板上(4cm x 4cm)にPVA水溶液(10mg/mL)を150μL滴下しスピンコート(4000rpm、20秒)し、PVA薄膜を形成した。PVA薄膜上にポリ乳酸溶液(10mg/mL、ジクロロメタン)を150μL滴下しスピンコート(4000rpm、20秒)し、薄膜Bを形成した。PVA薄膜と薄膜Bを基板ごと脱イオン水中に浸漬させてPVA薄膜を溶解させ、薄膜Bを水中に浮かせ、ワイヤーループ(3cm x 3cm)で掬い、乾燥させた。bFGF担体溶液を滴下した薄膜A上に薄膜Bを上から貼付してbFGF担持ナノシートを調製した。
実施例9:bFGF担持ナノシートの放出挙動の評価
bFGF担持ナノシートを調製したシリコン基板を10mLの5%ヒト血清に浸漬させ、1時間、6時間、12時間、24時間後に溶液を1mL回収した。回収した溶液中のbFGFGの濃度をELISA-Kitにより測定した。その結果を図12に示す。ナノシートでbFGFを挟み込まない場合(挟み込み(-))、bFGFは6時間でほぼ全量が放出した。ナノシートでbFGFを挟み込んだbFGF担持ナノシートの場合(挟み込み(+))にはbFGFの放出速度は遅くなり、24時間以上かけてbFGFが放出された。
実施例10:Cytochrome C担持ナノシートの作製方法
実施例1に記述した工程でシリコン基板を洗浄し、その基板をスピンコーターに設置してポリ-L-乳酸溶液(10mg/mL、ジクロロメタン)を150μL滴下してスピンコート(4000rpm、20秒)してナノシート(薄膜A)を調製した。
生理食塩水中にCytochrome Cを溶解させ、20μg/mLに調製した。アルギン酸ナトリウムを生理食塩水に溶解した後、Cytochrome C溶液と1/1(v/v)で混合し、ポリイオンコンプレックスを形成させることでCytochrome Cの担体を調製した。動的光散乱法にてCytochrome C担体の粒子径を測定したところ、直径は25.1+7.6 nmであった。このCytochrome C担体溶液を薄膜A上に50μL滴下して乾燥させた。
別のシリコン基板上(4cm x 4cm)にPVA水溶液(10mg/mL)を150μL滴下しスピンコート(4000rpm、20秒)し、PVA薄膜を形成した。PVA薄膜上にポリ乳酸溶液(10mg/mL、ジクロロメタン)を150μL滴下しスピンコート(4000rpm、20秒)し、薄膜Bを形成した。PVA薄膜と薄膜Bを基板ごと脱イオン水中に浸漬させてPVA薄膜を溶解させ、薄膜Bを水中に浮かせ、ワイヤーループ(3cm x 3cm)で掬い、乾燥させた。bFGF担体溶液を滴下した薄膜A上に薄膜Bを上から貼付してCytochrome C担持ナノシートを調製した。
実施例11:Chytochrome C担持ナノシートの密着力評価
実施例10においてシリコン基板上に調製したCytochrome C担持ナノシートの、シリコン基板に対する密着力をマイクロスクラッチ試験機により測定した。その結果を図13に示す。Cytochrome C担持ナノシートのシリコン基板に対する密着力は、Cytochrome C未担持のナノシートと同程度の値であり、Cytochrome Cなどの薬物担持によるナノシートの密着力への影響は少ないことが示された。

Claims (16)

  1. 少なくとも1層からなる第1の高分子薄膜と、
    第1の高分子薄膜の上に担持した、固体状材料と、
    固体状材料の上に被覆した少なくとも1層からなる第2の高分子薄膜と
    を有し、固体状材料が、第1の高分子薄膜と第2の高分子薄膜が互いに接する部分を有するように配置される、薄膜状高分子構造体。
  2. 固体状材料が固体状薬物である、請求項1に記載の薄膜状高分子構造体。
  3. 請求項2に記載の薄膜状高分子構造体を含む医薬製剤。
  4. 固体状薬物が、5nm〜100μmのサイズの結晶状薬物、担体と複合体を形成した薬物、及び高分子に担持された薬物のいずれかである、請求項3に記載の医薬製剤。
  5. 固体状薬物が、1μg/cm2〜100μg/cm2の量で薄膜状高分子構造体に担持される、請求項3又は4に記載の医薬製剤。
  6. 固体状薬物が、スルファジアジン銀の微結晶、又は塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)と負電荷の高分子の複合体である、請求項4又は5に記載の医薬製剤。
  7. 負電荷の高分子が、アルギン酸塩である、請求項6に記載の医薬製剤。
  8. 固体状薬物が、レボフロキサシン又はラタノプロストと高分子とを混合し、シート状、ディスク状又は粒子状とした混合体である、請求項4又は5に記載の医薬製剤。
  9. 混合体が、レボフロキサシンとポリカプロラクトンをアセトン中で溶解し、その溶液を水中に混和して攪拌することで生成された、レボフロキサシンとポリカプロラクトンの粒子状混合体である、請求項8に記載の医薬製剤。
  10. 第1の高分子薄膜及び第2の高分子薄膜の一方が、他方と同じ薬物放出速度を有する、又は他方より遅い薬物放出速度を有する、請求項3〜9のいずれか1項に記載の医薬製剤。
  11. 第1の高分子薄膜及び第2の高分子薄膜を構成する高分子が、ポリ-DL-乳酸、ポリ-L-乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、及びそれらの任意の組み合わせの共重合体からなる群からそれぞれ独立して選択される、請求項3〜10のいずれか1項に記載の医薬製剤。
  12. 薄膜状高分子構造体の膜厚が、固体状薬物を担持しない状態で、10nm〜1000nmである、請求項3〜11のいずれか1項に記載の医薬製剤。
  13. 薄膜状高分子構造体の一方の表面に、さらに、支持膜を積層した、請求項3〜12のいずれか1項に記載の医薬製剤。
  14. 支持膜が、可溶性高分子膜、メッシュ及び不織布からなる群から選択される、請求項13に記載の医薬製剤。
  15. 薄膜状高分子構造体の支持膜側の表面とは反対側の表面を、薬物を供給する生体組織に接触させ、その後、支持膜を除去することにより薄膜状高分子構造体を生体組織に貼付する、請求項13又は14に記載の医薬製剤。
  16. 薄膜状高分子構造体の調製方法であって、以下の工程:
    (a) 少なくとも1層からなる第1の高分子薄膜を形成する工程と、
    (b) 第1の高分子薄膜の上に固体状材料を担持する工程と、
    (c) 固体状材料を、少なくとも1層からなる第2の高分子薄膜で被覆する工程と
    を含み、固体状材料が、第1の高分子薄膜と第2の高分子薄膜が互いに接する部分を有するように配置される、前記方法。
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