JP2015100801A - 銅材被覆アルミニウム線材の製造方法 - Google Patents

銅材被覆アルミニウム線材の製造方法 Download PDF

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茂隆 森田
紀尋 芦塚
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紀尋 芦塚
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Abstract

【課題】空隙の発生を抑制し、銅材の占積率を高くすることもできる銅材被覆アルミニウム線材の製造方法を提供する。【解決手段】管状銅材31は、銅材11を管状に連続鋳造して得ることが好ましい。管状銅材31を連続鋳造すると共に、アルミニウム材12を管状銅材31の内径部に供給するために、一方端に形成した溶融銅材導入口と、他方端に形成したリング状の銅材出口とが連通した銅材用キャビティと、一方端に形成した溶融アルミニウム材導入口と、他方端にあって前記銅材出口の内側に形成した溶融アルミニウム材出口とが連通した前記アルミニウム材用湯道と、を有する連続鋳造用モールド2を用いることができる。【選択図】図2

Description

本発明は、純アルミニウムもしくはアルミニウム合金(以下、アルミニウム材ともいう)が純銅もしくは銅合金(以下、銅材ともいう)に被覆された銅材被覆アルミニウム線材を得るための製造方法に関するものである。
従来より、建物、車両、電子機器等に用いられる配線材料として、高い導電率から銅もしくは銅合金の線材が用いられてきた。しかし、このような銅材は高価であり、また比重が大きいという側面を有している。
一方、銅に変わる配線材料としてアルミニウムもしくはアルミニウム合金の線材も使用されている。しかし、このようなアルミニウム材は、銅材に比べて比重が軽いという特性を持つ反面、導電率は%IACSで60程度しかなく、銅と同じ抵抗を得ようとすると1.6倍の大きな断面積が必要になってしまうという問題がある。
また、アルミニウム材は表面酸化層が形成されやすく、そのままだとかしめや半田付け等の接続が難しいという問題もある。
この様な問題を解決する材料として、アルミニウム材に銅材を被覆した銅材被覆アルミニウム線材が提案されている(たとえば特開平9−17237号(特許文献1)参照)。
銅材被覆アルミニウム線材は、銅材とアルミニウム線材とのほぼ中間の特性を持っており、上述したそれぞれの欠点を補うものとして有効である。
特開平9−17237号公報
特許文献1にも記載されるように、従来の銅材被覆アルミニウム線材は、たとえば以下の工程で製造される。まず、洗浄及び研磨といった前処理を施した銅テープに、同様な前処理を施したアルミニウム線を縦添えする。そして、アルミニウム線を覆うように、銅テープをロールフォーミングにより連続的に管状に成形し、銅テープの突合わせ部を連続的に溶接した後に、所定径まで伸線加工する。
本発明者が検討したところ、アルミニウム線と銅テープを用いる手法では、アルミニウム線と銅テープとの間は機械的に圧接されるだけであり空隙が残存しやすいという問題があった。このような空隙があると、伸線加工等の塑性加工工程でアルミニウムと銅が均一に変形しなかったり、塑性加工後も空隙として残存する場合があり、電気的特性上あるいは機械的特性上好ましくない。
また、ロールフォーミング可能な銅テープ厚は、機械的な柔軟性が必要であり、適用可能な銅テープ厚さに限界がある。また、銅テープの連続的溶接時間は銅テープ厚と比例することから、銅テープを厚くすると生産性が低下するという欠点がある。銅材の占積率を高めることは、特に導電率を重視する場合に重要であり、新しい製造技術の開発が必要である。
本発明の目的は、上記課題に鑑み、空隙の発生を抑制し、銅材の占積率を高くすることもできる銅材被覆アルミニウム線材の製造方法を提供することである。
本発明者は、鋳造技術を適用して銅材とアルミニウム材とを複合化できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、アルミニウム材を管状銅材の内径部に鋳造して銅材被覆アルミニウム素材を得た後、伸線加工を行なう銅材被覆アルミニウム線材の製造方法である。
本発明においては、前記管状銅材は、銅材を管状に連続鋳造して得ることが好ましい。
また、本発明においては、管状銅材を連続鋳造すると共に、アルミニウム材を管状銅材の内径部に供給するために、一方端に形成した溶融銅材導入口と、他方端に形成したリング状の銅材出口とが連通した銅材用キャビティと、一方端に形成した溶融アルミニウム材導入口と、他方端にあって前記銅材出口の内側に形成した溶融アルミニウム材出口とが連通した前記アルミニウム材用湯道と、を有する連続鋳造用モールドを用いることができる。
また、本発明は、断面に占める銅材の面積率が30〜70%である銅材被覆アルミニウム線材の製造に適用することが好ましい。
本発明によれば、銅材被覆アルミニウム線材のアルミニウム材部分を鋳造により形成することで、銅材の厚みに係らず銅材とアルミニウム材との間の空隙の発生を抑制できるものとなる。また、本発明は特に従来困難であった、断面に占める銅材の面積率が30%以上の銅材被覆アルミニウム線材の製造に好適である。
本発明により得られた銅材被覆アルミニウム線材の断面の一例を示す組織写真である。 本発明を実施するための連続鋳造装置の一例を示す概略図である。 本発明に適用する連続鋳造用モールドの一例を示す概略図である。 本発明に適用する連続鋳造装置の蓋部材の一例を示す概略図である。 本発明を実施するための連続鋳造装置の別の例を示す概略図である。
本発明は、上述した通り、鋳造技術を適用して銅材とアルミニウム材とを複合化するものであり、具体的には、アルミニウム材を管状銅材の内径部に鋳造して銅材被覆アルミニウム素材を得ることを一つの特徴としている。
従来のように、アルミニウム線と銅テープとを用いる手法では、固体同士の接合であり、空隙部分へのアルミニウム材の充填が容易ではない。また、アルミニウム線を覆うように銅テープを突合せて管状とする場合には、端面の突合せ部は真円度が低下しやすく空隙が発生しやすい。
一方、本発明によれば、アルミニウム材は鋳造されるものであり、管状銅材の内径部の形状に係らず、容易に充填できる。また、管状銅材の肉厚が大きくても、アルミニウム材の充填性はほとんど劣化しないという利点がある。
本発明においては、このようにして得られた銅材被覆アルミニウム素材に伸線加工を行なう。
伸線加工は、所定径の銅材被覆アルミニウム線材を得るための加工であって、短尺太寸な素材から長尺な製品を得る手段である。伸線加工は、種々の手法が適用できるが、連続での加工ができること、銅材とアルミニウム材とを圧接しながら縮径することで銅材とアルミニウム材との接合をより強固なものとすることができるという点で、圧延やダイスによる引抜加工による伸線加工が好ましい。また、圧延や引抜加工の前にスエージング加工を適用して荒引線を得ることもできる。
また、本発明において適用する前記管状銅材は、銅帯材を管状に溶接成形したものを用いても良いが、銅材を押出成形等の塑性変形法によって管状に成形して得るか、あるいは銅材を管状に連続鋳造して得ることで、長尺かつ継ぎ目のない管状銅材となり、空隙の発生をより抑制することができる。
また、銅材を管状に連続鋳造しつつ、アルミニウム材を得られた管状銅材の内径部に鋳造することで、連続して銅材被覆アルミニウム素材を得ることができる。さらに、連続して銅材被覆アルミニウム素材を得つつ、伸線加工を行なえば、連続的に製品である銅材被覆アルミニウム線材を得ることもできる。
上述した連続して銅材被覆アルミニウム素材を得る方法を適用する場合においては、銅材とアルミニウム材とを同時に鋳造できるモールドを適用することが好ましい。
このようなモールドとしては、たとえば、一方端に形成した溶融銅材導入口と、他方端に形成したリング状の銅材出口とが連通した銅材用キャビティと、一方端に形成した溶融アルミニウム材導入口と、他方端にあって前記銅材出口の内側に形成したアルミニウム材出口とが連通した前記アルミニウム材用湯道と、を有する連続鋳造用モールドが適用できる。
この連続鋳造用モールドにおいては、まず、一方端に形成した溶融銅材導入口と、他方端に形成したリング状の銅材出口とが連通した銅材用キャビティによって、管状銅材を連続的に形成することができる。そして、一方端に形成した溶融アルミニウム材導入口と、他方端にあって前記銅材出口の内側に形成したアルミニウム材出口とが連通した前記アルミニウム材用湯道によって、管状銅材の内径部にアルミニウム材を連続的に鋳造して銅材被覆アルミニウム素材を得ることができる。
本発明において使用するモールドの材質に制限はなく、セラミックスモールド、カーボンモールド、金属製モールド、あるいはこれらの複合材料等が適用できる。中でも、耐熱性が高く安価であるという点からカーボンモールドを使用するのが好ましい。
また、本発明は、銅材被覆アルミニウム線材の断面に占める銅材の面積率は30〜70%とすることが好ましい。これは、銅材の面積率は30未満では、導電率がアルミニウム材に近づくため、複合化効果メリットが少なく、一方、70%を超えると重くなって、複合化のメリットが少なくなるためである。当該面積率は、より好ましくは、40%〜60%である。
本発明に適用する銅材としては、純銅の他、チタン銅、ベリリウム銅、銀入り銅、クロム銅、銅鉄合金などの高銅合金が適用できる。また、アルミニウム材としては、純アルミニウムの他、アルミニウム・銅系、アルミニウム・マグネシウム系、アルミ二ウム・シリコン系などのアルミニウム合金が適用できる。
以下、銅材被覆アルミニウム線材の製造実験を行なった結果を示す。
まず、管状銅材となる外径φ30mm、内径21mm、長さ500mmの純銅管を準備し、これを傾斜させて内径部に溶融した純アルミニウムを鋳込んだ。なお、底部はアルミナ製の耐火材で塞いでいる。
得られた銅材被覆アルミニウム素材にスエージング加工を施しφ8mmの荒引線を得た。その後、16段の引抜ダイスを通過させることにより伸線して、φ1mmの銅材被覆アルミニウム線材を得た。
得られた銅材被覆アルミニウム線材の断面組織を顕微鏡により組織観察した結果を図1に示す。ここで、図1(a)は断面の全体を示す低倍率の写真であり、図1(b)は銅材とアルミニウム材の接合界面を示す高倍率の写真である。なお、写真による黒色部は観察用のレジンである。図1に示す通り、得られた銅材被覆アルミニウム線材は、空隙無く接合されていた。また、銅材の占積率は60%(断面積比 銅/アルミニウム=6:4)であった。
また、得られた銅材被覆アルミニウム線材の電気電導度を測定したところ4.9×107(S/m)(20℃)であり、理論値とほぼ一致した。
次に、本発明の実施に好適な連続鋳造装置について、図面を用いて説明する。
(形態1)
図2は本発明を実施するための連続鋳造装置の一例を示す概略図であり、図3は本発明に適用する連続鋳造用モールドの一例を示す概略図である。
銅保持炉1は、図示しない溶解炉で溶解した銅材11を溶融状態で保持するものであり、炉底部に連続鋳造用モールド2が設置されている。
アルミニウム保持炉3は図示しない溶解炉で溶解したアルミニウム材12を溶融状態で保持するものであり、連続鋳造用モールド2にアルミニウム材12を供給するためのノズル4が配置されている。なお、ノズル4は、銅保持炉1の内部を通る溶融アルミニウム材12が過熱されないように断熱されている。
図3に示す連続鋳造用モールド2は、銅保持炉1側の一方端に形成した溶融銅材導入口21a,21b,21c,21dを有しており、他方端に形成したリング状の銅材出口22に連通して銅材を凝固成形する銅材用キャビティ23を構成している。なお、図3ではモールドの外周に設置する水冷ジャケットは図示していない。
また、連続鋳造用モールド2の一方端の中央には、ノズル4が接続される溶融アルミニウム材導入口24を有しており、他方端に形成した溶融アルミニウム材出口25に連通して前記アルミニウム材用湯道26を形成している。なお、図3に示す銅材用キャビティ23は断面においてストレート形状であるが、抜き勾配を形成しても良い。
この連続鋳造用モールド2により、銅材11が管状に連続鋳造され、管状銅材31を形成すると共に溶融アルミニウム材12が管状銅材31の内径部に連続的に供給される。このときアルミニウムの凝固を促進するために、図示しない水冷装置で銅材被覆アルミニウム素材を冷却することが望ましい。これにより形成された銅材被覆アルミニウム素材32は、図2に示すように引出装置5によって引き出される。連続処理する場合は、スエージング加工やその後の圧延や引抜加工といった塑性加工を行なう装置を後段に設置する。また、連続処理しない場合は、切断装置6で所定の長さに切断して、後工程に供給する。
なお、図2に示す連続鋳造装置で鋳造する場合、鋳造開始時は、アルミニウム材12は凝固していないため、鋳造部先端から溶融アルミニウム材11の流出を防止する蓋部材が必要である。蓋部材としては耐火材の平板であっても良いが、密封性が高いと鋳造時に空気が追い出されず空隙が残留する恐れがある。そのため、通気性のある蓋部材の適用が有効である。具体的には、たとえば図4に示すような表面張力で溶融アルミニウム材12の漏れを防ぎ、空気のみ排出できるメッシュ孔によるベントホール42を有する蓋部材41を使用することができる。
(形態2)
図5は、本発明を実施するための連続鋳造装置の別の例を示す概略図である。図2に示す連続鋳造装置とは、水平に鋳造する点が基本的な相違点であり、図5に示す通り、銅保持炉1の側面部に設けた連続鋳造用モールド2が設置され、アルミニウム材12を供給するためのノズル4が銅保持炉内で湾曲配置されている。その他の構成要素は形態1に示す連続鋳造装置と同様である。
上述した形態1と形態2において、垂直型と水平型の連続鋳造装置の特徴について説明する。形態1に示す図2の垂直型では、連続鋳造用モールド2にアルミニウム材12を供給するためのノズル4の構成が単純化できるため、設計上有利である。
一方、形態2に示す図5の水平型では、銅材被覆アルミニウム素材32が水平に引き出せるため、スエージング加工やその後の圧延や引抜加工といった塑性加工を行なう装置を後段に配置しやすく、連続処理に有利である。
なお、本発明は、上記の形態に限定されるものではなく、たとえば形態1と形態2の中間の構成としてモールドからの鋳造方向に斜度を設けたものとすることも可能である。
また、上記形態では、アルミニウム材を供給するノズル4が銅保持炉1内を通る形態としたが、銅保持炉1外からノズル4を連続鋳造用モールド2に接続する形態とすることも可能である。この場合には、アルミニウム材12が銅材用キャビティ23の内側に誘導されるようにアルミニウム材用湯道26を形成することとなる。
このようなノズル4が銅保持炉1内を通らない構成は、ノズル4の損傷やアルミニウム材の過熱防止に有効である。
また、本発明における管状銅材の断面形状は円形に限るものではなく、たとえば長円や矩形であっても良い。また、管状銅材の断面における肉厚を変えてもよい。こうすることで、様々な断面形状を持つ銅材被覆アルミニウム線材を製造することができる。
1 銅保持炉、2
連続鋳造用モールド、3 アルミニウム保持炉
4 ノズル、5 引出装置、6 切断装置
11 銅材、12 アルミニウム材
21a,21b,21c,21d 溶融銅材導入口
22 銅材出口、23 銅材用キャビティ
24 溶融アルミニウム材導入口、25 溶融アルミニウム材出口
26 アルミニウム材用湯道
31 管状銅材、32 銅材被覆アルミニウム素材
41 蓋部材、42 ベントホール

Claims (4)

  1. アルミニウム材を管状銅材の内径部に鋳造して銅材被覆アルミニウム素材を得た後、伸線加工を行なうことを特徴とする銅材被覆アルミニウム線材の製造方法。
  2. 管状銅材は銅材を管状に連続鋳造して得ることを特徴とする請求項1に記載の銅材被覆アルミニウム線材の製造方法。
  3. 一方端に形成した溶融銅材導入口と、他方端に形成したリング状の銅材出口とが連通した銅材用キャビティと、
    一方端に形成した溶融アルミニウム材導入口と、他方端にあって前記銅材出口の内側に形成した溶融アルミニウム材出口とが連通した前記アルミニウム材用湯道と、
    を有する連続鋳造用モールドを用いて、銅材とアルミニウム材とを連続鋳造して銅材被覆アルミニウム素材を得ることを特徴とする請求項2に記載の銅材被覆アルミニウム線材の製造方法。
  4. 銅材被覆アルミニウム線材の断面に占める銅材の面積率は30〜70%であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の銅材被覆アルミニウム線材の製造方法。


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