JP2015100755A - 光触媒材料及びその作製方法 - Google Patents

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哲也 加古
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Abstract

【課題】本発明は、可視光応答型光触媒として利用でき、光照射時の光触媒活性の低下を抑制し、光触媒活性をより長期化させ、光触媒活性を向上させる光触媒材料及びその作製方法を提供することを課題とする。
【解決手段】径0.1mm未満の金属酸化物粉体と、前記金属酸化物粉体の表面の一部または全部を被覆する固体塩基被膜とからなり、前記金属酸化物粉体が、バンドギャップが1.4eV以上3.1eV以下であり、かつ、伝導帯のボトムのエネルギー準位から換算した酸化還元電位が0V以上+1.2V以下(vs.SHE)の半導体である光触媒材料を用いることにより、前記課題を解決できる。
【選択図】図6

Description

本発明は、光触媒材料及びその製造方法に関する。特に、伝導帯のボトムのエネルギー準位から換算した酸化還元電位が0V(vs.標準水素電極、SHE)より大きい可視光応答型光触媒の光触媒特性維持の長期化、その高活性化材料となる光触媒材料及びその作製方法に関する。
半導体光触媒にそのバンドギャップ以上のエネルギーを持つ光が照射されると、価電子帯の電子が伝導帯へと励起し、電子とホールが生成する。そして、そのホールが様々な有機物質を酸化し、また、電子は還元反応を起こす。
特に、実用的に広く利用されているアナターゼ型酸化チタン光触媒では、電子は(O2+e-=・O2-:Eo(標準酸化還元電位)=−0.284V)や(O2+e-+H+=・OOH:Eo=−0.046V)などの1電子還元反応によって素早く消費され、その結果、ホールが効率よく有機物質を分解することができる。
可視光照射下で有機物を分解できる光触媒は、可視光応答型光触媒と言われている。
可視光とは400nmから800nmの波長の光を指し、可視光応答型光触媒のバンドギャップは3.1eV以下である。
窒素ドープ型酸化チタンも、可視光応答型光触媒の1つである(特許文献1)。
未ドープのアナターゼ型酸化チタンは可視光に応答しないが、窒素をドープすることで伝導帯と価電子帯の間に窒素による新しい準位を作り、その結果可視光に応答するようになる。
しかし、酸化チタンにとってヘテロな窒素イオンをドープすることになるので、欠陥などを作ってしまい、活性が低下してしまう。
また、これ以外にも様々な理由から、可視光照射下での活性が不十分となる。
窒素ドープ酸化チタン以外にも、塩化白金化合物を酸化チタンに担持した材料も、可視光で光触媒特性を示す(特許文献2)。
しかし、資源的に少量しか存在しない白金化合物を利用していることや塩化白金化合物の1種が光耐久性に劣る可能性があるなど、様々な課題が存在する。
上記2種の可視光応答型光触媒以外にも、酸化タングステン(WO3)が可視光照射下で光触媒特性を示すことが知られている。
しかし、この酸化タングステンを助触媒や犠牲剤なしの単独で光触媒として利用すると、短時間でその光触媒活性を急激に低下させてしまう(非特許文献1)。
それは酸化タングステンの伝導帯のボトムのエネルギー準位から換算した酸化還元電位が約+0.4V(vs.SHE)と標準水素生成電位の0V(vs.SHE)より大きいため、光触媒反応で生じた電子が酸素の2電子還元反応(O2+2H++2e-=H2O2:Eo=+0.695V)でしか消費されないことによる。
すなわち、この2電子還元反応の反応速度は1電子還元反応の反応速度よりも著しく遅く、有効に電子が消費されて行かないため、電子とホールの再結合が起こりやすくなり、活性が急激に低下していくことになる。
そこで、電子消費反応の反応速度を上昇させるために、PtやPdなどの貴金属を助触媒として、酸化タングステンなどの可視光応答型光触媒に担持する方法が提案されている(特許文献3)。
この場合、貴金属助触媒の効果により光触媒から助触媒へと電子が流れ、電荷分離が促進し、電子がうまく消費されるが、貴金属を用いる必要があるため、資源的に価格的に課題がある。
そのため、酸化タングステンを始めとする、伝導帯のボトムのエネルギー準位から換算した酸化還元電位が0V(vs.SHE)より大きい可視光応答型光触媒を、単独で、すなわち、助触媒や犠牲剤なしで利用すると、光照射時に生成する電子の消費速度が遅く、光触媒活性が短時間で低下するという問題は依然として残っている。
特開2005−047786号公報 特開2006−142209号公報 特開2011−104592号公報
Ryu Abe,Hitoshi Takami,Naoya Murakami,Bunsho Ohtani,Journal of American Chemical Society,Vol.130(2008)7780―7781.
本発明は、可視光応答型光触媒として利用でき、光照射時の光触媒活性の低下を抑制し、光触媒活性をより長期化させ、活性を向上させる光触媒材料及びその作製方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記事情を鑑みて、可視光応答型光触媒について、鋭意研究を重ねた。そして、光触媒となる金属酸化物粉体の表面の一部または全体を、固体塩基被膜の金属酸化物粉体に対する質量比0.00001wt%から500wt%の固体塩基で被膜することで、固体塩基で被覆された光触媒となる金属酸化物粉体の表面部分にバルクとは異なる新たな光吸収バンドを形成でき、それにより生成した電子がより素早く消費される結果、光触媒活性(光触媒酸化活性)がより長期安定化し、光触媒活性が向上することを見出し、本研究を完成させた。
本発明は、以下の構成を有する。
(1) 径0.1mm未満の金属酸化物粉体と、前記金属酸化物粉体の表面の一部または全部を被覆する固体塩基被膜とからなり、前記金属酸化物粉体が、バンドギャップが1.4eV以上3.1eV以下であり、かつ、伝導帯のボトムのエネルギー準位から換算した酸化還元電位が0V以上+1.2V以下(vs.SHE)の半導体であることを特徴とする光触媒材料。
(2) 前記金属酸化物粉体が、酸化タングステン、酸化ビスマス、ビスマス酸タングステン、酸化鉄、酸化インジウム、酸化バナジウム、ビスマス酸バナジウムのいずれか1又は2以上の金属の酸化物粉体であることを特徴とする(1)に記載の光触媒材料。
(3) 前記固体塩基被膜がアルカリ金属の水酸化物、酸化物もしくは炭酸塩、アルカリ土類金属の水酸化物、酸化物もしくは炭酸塩、ランタンの水酸化物、酸化物もしくは炭酸塩の群から選択されるいずれか1の化合物又は2以上の化合物からなることを特徴とする(1)又は(2)に記載の光触媒材料。
(4) 前記固体塩基被膜の前記金属酸化物粉体に対する質量比が0.00001質量%以上500質量%以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の光触媒材料。
(5) バンドギャップが1.4eV以上3.1eV以下であり、かつ、伝導帯のボトムのエネルギー準位から換算した酸化還元電位が0V以上+1.2V以下(vs.SHE)である半導体からなり、径0.1mm未満の金属酸化物粉体を、固体塩基と混合して、(固体塩基被膜の質量)/(金属酸化物粉体の質量)が0.00001質量%以上500質量%以下であり、固体塩基で表面の一部または全部が被覆された金属酸化物粉体からなる光触媒材料を作製することを特徴とする光触媒材料の作製方法。
(6) 更に、60℃以上120℃未満の温度で乾燥させることを特徴とする(5)に記載の光触媒材料の作製方法。
本発明の光触媒材料は、径0.1mm未満の金属酸化物粉体と、前記金属酸化物粉体の表面の一部または全部を被覆する固体塩基被膜とからなり、前記金属酸化物粉体が、バンドギャップが1.4eV以上3.1eV以下であり、かつ、伝導帯のボトムのエネルギー準位から換算した酸化還元電位が0V以上+1.2V以下(vs.SHE)の半導体である構成なので、光触媒表面にバルクとは異なる新たな光吸収バンドを形成でき、光照射時の光触媒活性の初期の反応活性の低下を抑制し、光触媒活性をより長期間安定化させて、光触媒活性を向上させることができ、可視光応答型光触媒として利用することにより、有機物や非金属の無機物を効率よく酸化あるいは還元することができる。
本発明の光触媒材料の作製方法は、バンドギャップが1.4eV以上3.1eV以下であり、かつ、伝導帯のボトムのエネルギー準位から換算した酸化還元電位が0V以上+1.2V以下(vs.SHE)である半導体からなり、径0.1mm未満の金属酸化物粉体を、固体塩基と混合して、(固体塩基被膜の質量)/(金属酸化物粉体の質量)が0.00001質量%以上500質量%以下であり、固体塩基で表面の一部または全部が被覆された金属酸化物粉体からなる光触媒材料を作製する構成なので、光照射時の光触媒活性の低下を抑制し、光触媒活性をより長期化させて、光触媒活性を向上させた光触媒材料を容易に作製することができる。
本発明の実施形態である光触媒材料の一例を示す図であって、平面図(a)と、(a)のA−A’線における断面図(b)である。 固体塩基被膜21が金属酸化物粉体22の表面の一部のみを被覆する態様の例を示す模式図である。 酸化タングステン(WO3)単独のバンド構造である。 水酸化ナトリウムで固体塩基被覆した酸化タングステンのバンド構造である。 実施例1試料のアセトン生成量と可視光照射時間との関係を示すグラフである。なお、比較例1試料の結果も示している。 実施例1試料のアセトン濃度及びCO2濃度と可視光照射時間との関係を示すグラフである。なお、比較例1試料の結果も示している。 実施例1試料および比較例1試料(WO3単独)の吸収スペクトルである 実施例1試料および比較例1試料(WO3単独)の価電子状態のトップおよびその近傍を、X線光電子分光法を用いて測定した図(VB−XPS)である 実施例1試料および比較例1試料(WO3単独)のバンド構造である。
(本発明の実施形態)
<光触媒材料>
まず、本発明の実施形態である光触媒材料について説明する。
図1は、本発明の実施形態である光触媒材料の一例を示す図であって、平面図(a)と、(a)のA−A’線における断面図(b)である。
図1に示すように、本発明の実施形態である光触媒材料11は、略球状体であり、略球状体の金属酸化物粉体22と、金属酸化物粉体22の表面全体を完全に覆う固体塩基被膜21とから構成されている。
略球状体の金属酸化物粉体22の径dは0.1mm未満とされている。
固体塩基被膜21は、均一に覆っているので、金属酸化物粉体22の立体形状が光触媒材料11の立体形状を決定している。
しかし、金属酸化物粉体22の形状及び光触媒材料11の形状は略球状に限られるものではなく、立方体状、円柱状等様々な立体形状とすることができる。
また、光触媒材料11を光触媒として用いるときには、膜状、立方体状等の焼結体又は凝集体としてもよい。
なお、固体塩基被膜は、金属酸化物粉体22の表面全体を完全に覆う態様だけでなく、一部のみを被覆する態様であってもよい。
図2(a)〜(c)は、固体塩基被膜21が金属酸化物粉体22の表面の一部のみを被覆する態様の例を示す模式図である。
図2(a)では、略球状体の金属酸化物粉体22の表面の約3/4を固体塩基被膜21が覆っており、表面の残りの部分は露出されている。
図2(b)では、略球状体の金属酸化物粉体22の表面の約1/2を固体塩基被膜21が覆っており、表面の残りの部分は露出されている。
図2(c)では、略球状体の金属酸化物粉体22の表面の約1/4を固体塩基被膜21が複数のアイランド部分で離散的に覆っており、表面の残りの部分は露出されている。
金属酸化物粉体22は、バンドギャップが1.4eV以上3.1eV以下である半導体であることを要する。これにより、可視光で光触媒活性を生じさせることができる。
バンドギャップが3.1eV超では、400nm以上の波長をもつ光が吸収できなくなり、すなわち、400nm以上の波長の可視光線を吸収できないこととなる。
逆に、バンドギャップが1.4eV未満では、固体塩基被覆後、安定な光触媒活性を生じさせることができなくなる。標準水素生成電位と標準酸素生成電位の差は1.23Vであり、過電圧も考慮に入れると、固体塩基被覆前の光触媒のバンドギャップが1.4eV以上必要となるためである。
金属酸化物粉体22は、伝導帯のボトムのエネルギー準位から換算した酸化還元電位が0V以上+1.2V以下(vs.SHE)である半導体であることも要する。固体塩基被覆前の光触媒である金属酸化物粉体の伝導帯のボトムのエネルギー準位から換算した酸化還元電位は0V(vs.SHE)より大きくすることにより、固体塩基被覆による光触媒である金属酸化物粉体に光安定性効果を付与することができる。
伝導帯のボトムのエネルギー準位から換算した酸化還元電位が0V(vs.SHE)より小さくなると、酸素の1電子還元反応や水からの水素生成反応が起き、固体塩基を被覆しないでも可視光応答型光触媒から生じた電子が素早く消費されてしまう可能性がある。
逆に、伝導帯のボトムのエネルギー準位から換算した酸化還元電位が+1.2V(vs.SHE)より大きくなると、4電子酸素還元反応も起こりづらくなる。
金属酸化物粉体22としては、酸化タングステン、酸化ビスマス、ビスマス酸タングステン、酸化鉄、酸化インジウム、酸化バナジウム、ビスマス酸バナジウムのいずれか1又は2以上の金属の酸化物粉体を挙げることができる。これらの金属の酸化物粉体は、上記条件を満たす半導体であるので、可視光応答型光触媒として用いることができる。
一方、酸化ジルコニウムはバンドギャップが5.0eVと大きく、波長約250nm以下の紫外光しか吸収できない。この点が可視光も吸収できる酸化タングステン、酸化ビスマスとの違いであり、そのため、本特許の用途には利用できない。
金属酸化物粉体22としては、結晶性がよいことが望ましい。これにより、光を有効に利用できる。
また、比表面積は0.1m2g−1以上であることがよく、好ましくは1m2g−1以上であり、より好ましくは10m2g−1以上である。これにより、光を有効に利用できる。
固体塩基被膜21は、アルカリ金属の水酸化物、酸化物もしくは炭酸塩、アルカリ土類金属の水酸化物、酸化物もしくは炭酸塩、ランタンの水酸化物、酸化物もしくは炭酸塩の群から選択されるいずれか1の化合物又は2以上の化合物からなることが好ましい。具体的には、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ストロンチウム、酸化ランタンを挙げることができる。これらの材料を用いることにより、金属酸化物粉体22表面を保護して、金属酸化物粉体22の光触媒活性の低下を抑制でき、また、光触媒活性を長期化できる。
固体塩基被膜21には、これらの材料を単独で利用するだけでなく、他の電子の消費速度を上昇させる助触媒として、Pt、Pdといった貴金属や、塩化銅、塩化鉄など塩化金属化合物の1種以上と組み合わせて利用してもよい。
固体塩基被膜21の金属酸化物粉体22に対する質量比は、0.00001質量%以上500質量%以下であることが好ましく、0.001%以上から100%以下がより好ましい。
質量比が0.00001%より小さい場合には、光触媒となる金属酸化物粉体22の表面での固体塩基被膜21の被覆率が少なすぎ、十分にその機能が発揮できなくなる。
逆に、質量比が500%より大きい場合には、固体塩基被覆の厚さが厚くなりすぎ、光触媒本体となる金属酸化物粉体22に光が届きづらくなり、光触媒活性の低下をもたらす。
固体塩基被膜21は金属酸化物粉体22の表面の全部又は一部を被覆していればよい。これにより、金属酸化物粉体22の表面にバルクとは異なる新たな光吸収バンドを形成することができ、金属酸化物粉体22の光触媒活性の低下を抑制するだけでなく、光触媒活性を向上させることができる。
次に、まず、金属酸化物粉体22として酸化タングステンを一例として、バンド構造を説明する。
図3は、酸化タングステン単独のバンド構造である。
図3に示すように、酸化タングステン単独は、価電子帯のO2pのエネルギーバンドと、伝導帯のW5dのエネルギーバンドを有する。W5dとO2p間のバンド間遷移により、酸化タングステンは可視光を吸収できる。
次に、金属酸化物粉体22として酸化タングステンを用い、水酸化ナトリウムで固体塩基被覆した一例について、バンド構造を説明する。
図4は、水酸化ナトリウムで固体塩基被覆した酸化タングステンのバンド構造である。
水酸化ナトリウムで固体塩基被覆した酸化タングステンのバルク部分は、価電子帯のO2pのエネルギーバンドと、伝導帯のW5dのエネルギーバンドを有する。
また、表面部分では、価電子帯には、酸化タングステンのO2p軌道、又は、酸化タングステンのO2p軌道と固体塩基のs軌道との混成軌道が形成され、伝導帯には、酸化タングステンのW5d軌道、又は、酸化タングステンのW5d軌道と固体塩基のs軌道との混成軌道が形成される。
これにより、W5dと価電子帯の混成軌道間のバンド間遷移又はW5dとO2p間のバンド間遷移または伝導帯、価電子帯の両混成軌道間のバンド間遷移により、固体塩基被覆した酸化タングステンは可視光を吸収できる。
固体塩基被覆した酸化タングステンでは、伝導帯のボトムのエネルギー準位から換算した酸化還元電位が、酸化タングステン単独より小さくなる。これにより、固体塩基被覆した酸化タングステンでは、酸素の1電子還元反応が起こりうるようになったり、2電子還元反応もより起こりやすくなったり、生成した電子がより素早く消費されるようになる。 その結果、固体塩基被覆した酸化タングステンでは、電荷分離効率が改善し、光触媒酸化活性がより長期安定化し、光触媒活性が向上する。
<光触媒材料の作製方法>
次に、本発明の実施形態である光触媒材料11の作製方法について説明する。
本発明の実施形態である光触媒材料11の作製方法では、バンドギャップが1.4eV以上3.1eV以下であり、かつ、伝導帯のボトムのエネルギー準位から換算した酸化還元電位が0V以上+1.2V以下(vs.SHE)である半導体からなり、径0.1mm未満の金属酸化物粉体を、固体塩基と混合して、(固体塩基被膜の質量)/(金属酸化物粉体の質量)が0.00001質量%以上500質量%以下であり、固体塩基で表面の一部または全部が被覆された金属酸化物粉体からなる光触媒材料を作製する。
まず、金属酸化物粉体を用意する。
金属酸化物粉体は、バンドギャップが1.4eV以上3.1eV以下であり、かつ、伝導帯のボトムのエネルギー準位から換算した酸化還元電位が0V以上+1.2V以下(vs.SHE)である半導体からなり、径0.1mm未満の粉体である。
金属酸化物粉体としては、酸化タングステン、酸化ビスマス、ビスマス酸タングステン、酸化鉄、酸化インジウムのいずれか1又は2以上の金属の酸化物粉体を挙げることができる。1の金属の酸化物は単純酸化物と、2以上の金属の酸化物は複合酸化物とも呼ばれる。
これらの金属の酸化物粉体は、市販品をそのまま利用してもよく、加工して用いてもよい。
加工して用いる場合としては、例えば、これらの金属の酸化物粉体に、窒素やクロムイオン等の非金属イオン又は金属イオンを添加して、イオンドープ型にして、金属酸化物粉体22として利用してもよい。
また、これらの金属の酸化物粉体を酸素欠損型にして、金属酸化物粉体として利用してもよい。酸素欠損型のWO3系としては、W19O49を挙げることができる。
また、金属酸化物粉体は、金属アルコキシドや金属塩を原料として、ゾルゲル法、共沈法、スパッタリング法、化学蒸着法、又は水熱合成法のいずれかの方法によって調製することができる。これにより、金属酸化物粉体の光触媒材活性をより高く、粒径を小さくでき、ナノ材料の作製もできる。
更にまた、これらの金属の酸化物粉体に熱処理を行い、これらの金属の酸化物粉体を還元又は酸化したものを、金属酸化物粉体として利用してもよい。
例えば、先に記載のいずれかの方法で調整した原料を焼成して利用することもできる。このときの焼成温度は、原料物質が分解して酸化物に転換され、酸化物からなる焼結体が得られる温度であればよく、具体的には100℃以上1200℃以下の温度範囲がよく、より好ましくは300℃以上900℃以下である。
次に、固体塩基を用意する。固体塩基としては、アルカリ金属の水酸化物、酸化物もしくは炭酸塩、アルカリ土類金属の水酸化物、酸化物もしくは炭酸塩、ランタンの水酸化物、酸化物もしくは炭酸塩の群から選択されるいずれか1の化合物又は2以上の化合物からなる固体塩基を挙げることができる。具体的には、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ストロンチウム、酸化ランタンを挙げることができる。
次に、固体塩基を水に溶かして、固体塩基の水溶液を作製する。
水以外のアルコールなどの有機溶媒を用いてもよい。
次に、金属酸化物粉体を固体塩基の水溶液と混合する。これにより、固体塩基被膜で表面の一部または全部が被覆された金属酸化物粉体からなる光触媒材料11を作製できる。
具体的には、例えば、金属酸化物粉体と固体塩基の水溶液を乳鉢に入れ、十分に混ぜ、分散させて、これらを混合する。このとき、(固体塩基被膜の質量)/(金属酸化物粉体の質量)が0.00001質量%以上500質量%以下となるようにそれぞれの材料の量を調製する。
乳鉢の代わりにビーズミルやボールミルを利用して、材料を分散させることもできる。また、固体塩基を水溶液に分散させず、固体のまま、金属酸化物粉体と混ぜ合わせてもよい。
以上の工程により、金属酸化物粉体の表面の一部または全部を固体塩基被膜21で被覆でき、本発明の実施形態である光触媒材料11を作製できる。
なお、光触媒材料は作製後、乾燥させることが好ましい。例えば、乾燥機等を用い、60℃以上120℃未満の温度で乾燥する。これにより、残存した溶媒を気化して、溶媒とともに溶媒中の不純物等を取り除くことができる。
また、120℃以上1000℃以下での高温で光触媒材料を加熱して、焼成してもよい。これにより、光触媒材料中の不純物を取り除くことができるとともに、結晶性を向上させることができる。
本発明の実施形態である光触媒材料は、径0.1mm未満の金属酸化物粉体22と、金属酸化物粉体22の表面の一部または全部を被覆する固体塩基被膜21とからなり、金属酸化物粉体22が、バンドギャップが1.4eV以上3.1eV以下であり、かつ、伝導帯のボトムのエネルギー準位から換算した酸化還元電位が0V以上+1.2V以下(vs.SHE)の半導体である構成なので、光触媒表面にバルクとは異なる新たな光吸収バンドを形成でき、光照射時の光触媒活性の初期の反応活性の低下を抑制し、光触媒活性をより長期間安定化させて、光触媒活性を向上させることができ、可視光応答型光触媒として利用することにより、有機物や非金属の無機物を効率よく酸化あるいは還元することができる。
つまり、本発明によれば、光照射すると短時間で活性を急速に低下させてしまう酸化タングステンを始めとする伝導帯のボトムのエネルギー準位から換算した酸化還元電位が0V(vs.SHE)より大きな可視光応答型光触媒の光触媒活性を、固体塩基で光触媒表面に一部または全体に被覆させることで、光触媒活性の低下をより抑制し、活性をより長期間安定化させ、その結果、光触媒活性を向上させることができる。
なお、本発明の実施形態である光触媒材料11は、プラスチックや塗装用ペンキ、金属製の製品など様々な材料に混ぜ込んだり、材料表面にコーティングしたりすることが可能である。
また、本発明の実施形態である光触媒材料11の光触媒特性に基づく分解反応、酸化反応、または還元反応により除去できる有害物質としては、環境ホルモン、農薬、殺虫剤、カビ、細菌、ウィルス、藻類、環境汚染物質、フロンガス、炭化水素、アルコール、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、一酸化炭素、アミン、油、芳香族化合物、有機ハロゲン化合物、窒素化合物、硫黄化合物、有機リン化合物、タンパク質などが挙げることができる。さらに身の回りの汚れの原因となる石鹸や油、手垢、茶渋、台所のシンクのぬめりなども、この固体塩基を被覆した可視光応答型光触媒の光触媒反応により分解することができる。
本発明の実施形態である光触媒材料11は、金属酸化物粉体22が、酸化タングステン、酸化ビスマス、ビスマス酸タングステン、酸化鉄、酸化インジウムのいずれか1又は2以上の金属の酸化物粉体である構成なので、光照射時の光触媒活性の低下を抑制し、光触媒活性をより長期化させて、光触媒活性を向上させることができる。
本発明の実施形態である光触媒材料11は、固体塩基被膜21がアルカリ金属の水酸化物、酸化物もしくは炭酸塩、アルカリ土類金属の水酸化物、酸化物もしくは炭酸塩、ランタンの水酸化物、酸化物もしくは炭酸塩の群から選択されるいずれか1の化合物又は2以上の化合物からなる構成なので、光照射時の光触媒活性の低下を抑制し、光触媒活性をより長期化させて、光触媒活性を向上させることができる。
本発明の実施形態である光触媒材料11は、固体塩基被膜21の金属酸化物粉体22に対する質量比が0.00001質量%以上500質量%以下である構成なので、光照射時の光触媒活性の低下を抑制し、光触媒活性をより長期化させて、光触媒活性を向上させることができる。
本発明の実施形態である光触媒材料11の作製方法は、バンドギャップが1.4eV以上3.1eV以下であり、かつ、伝導帯のボトムのエネルギー準位から換算した酸化還元電位が0V以上+1.2V以下(vs.SHE)である半導体からなり、径0.1mm未満の金属酸化物粉体を、固体塩基と混合して、(固体塩基被膜の質量)/(金属酸化物粉体の質量)が0.00001質量%以上500質量%以下であり、固体塩基で表面の一部または全部が被覆された金属酸化物粉体からなる光触媒材料を作製する構成なので、光照射時の光触媒活性の低下を抑制し、光触媒活性をより長期化させて、光触媒活性を向上させた光触媒材料を容易に作製することができる。
本発明の実施形態である光触媒材料11の作製方法は、更に、60℃以上120℃未満の温度で乾燥させる構成なので、光触媒材料中の不純物を除去でき、光照射時の光触媒活性の低下をより抑制し、光触媒活性をより長期化させて、光触媒活性をより向上させた光触媒材料を容易に作製することができる。
本発明の実施形態である光触媒材料及びその作製方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で、種々変更して実施することができる。本実施形態の具体例を以下の実施例で示す。しかし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
固体塩基で被覆した酸化タングステン可視光応答型光触媒は、以下に述べる方法で合成した。
まず、固体塩基の1つである水酸化ナトリウムを水に溶かし、10mLとした。
次に、酸化タングステン粉末(和光純薬)4gを秤量し、その粉末と水酸化ナトリウム水溶液を乳鉢に入れ、混合した。
次に、この混合物を、70℃で4〜5時間乾燥させて、光触媒材料(実施例1試料)を得た。
固体塩基である水酸化ナトリウムは仕込み時の質量比で5wt%酸化タングステンに被覆された。すなわち、水酸化ナトリウムと酸化タングステンの質量比は5:100である。
この光触媒材料(実施例1試料)0.4gを用いて、2−プロパノール(IPA)の分解試験を、次の工程により実施した。
まず、500mLの反応容器に、約8cm2になるように光触媒材料(実施例1試料)を置いた。
次に、反応容器内の2−プロパノールガスの濃度が約800ppmになるようにガスを注入した。
次に、光源には300WのXeランプを用い、カットオフフィルター、水フィルターを用いて、400nm〜520nmの可視光線を約1mWcm−2で反応容器の光触媒材料(実施例1試料)に室温で照射した。
2−プロパノールは、反応初期には光触媒材料(実施例1試料)の光触媒反応によって、まず、反応中間体のアセトンへと酸化された。
図5は、実施例1試料のアセトン生成量と可視光照射時間との関係を示すグラフである。なお、比較例1試料の結果も示している。
図5に示すように、光照射後2時間で生成したアセトンの量は約50ppmであった。
図5の結果から、初期反応速度の低下率を(初期反応速度の低下率)=100−(反応時間80分から120分の平均0次反応アセトン生成速度)/(反応時間0分から40分の平均0次反応アセトン生成速度)×100(%)と定義すると、低下率はわずか10%であった。これにより、生成した電子が有効に消費され、光触媒酸化反応が効率よく進んでいる事が示唆された。
さらに長時間光照射すると、アセトンが酸化分解されて、二酸化炭素が生成した。
図6は、実施例1試料のアセトン濃度及びCO2濃度と可視光照射時間との関係を示すグラフである。なお、比較例1試料の結果も示している。
図6に示すように、約160時間の光照射で約2100ppm以上の二酸化炭素が生成した。
図7は、実施例1試料の吸収スペクトルである。比較例1試料(WO3単独)の結果も示している。図7に示すように、実施例1試料の吸収スペクトルでは、吸収端の立ち上がりは約460nmで、この立ち上がりからバンドギャップを概算すると、約2.7eVと見積もられた。
図8は、実施例1試料の価電子状態のトップおよびその近傍を、X線光電子分光法を用いて測定した図(VB−XPS)である。比較例1試料(WO3単独)の結果も示している。
図8に示すように、Binding energyが1eV以下でほぼIntensityがゼロを示しており、このことはこの試料が金属ではなく、半導体であることを示唆している。
図9は、実施例1試料のバンド構造である。比較例1試料(WO3単独)の結果も示している。図7の結果に基づいて、実施例1試料のバンドギャップは2.7eVとした。
(実施例2)
実施例1と同様の方法で、固体塩基である水酸化ナトリウムが酸化タングステンに対して仕込み時の質量比で0.0001wt%被覆した光触媒材料(実施例2試料)を作製した。
この光触媒材料(実施例2試料)の光触媒反応の評価も実施例1と同様の方法で行った。
この光触媒材料(実施例2試料)を利用した場合でも、可視光照射によりIPAがアセトンへと酸化され、アセトンの生成量から計算した初期反応速度の低下率は60%であった。
さらに長時間光照射すると、アセトンは二酸化炭素にまで酸化され、約160時間の光照射で約710ppm以上の二酸化炭素が生成した。
つまり、長時間可視光活性を維持し、高い光触媒活性を保持している事が明らかとなった。
(実施例3)
実施例1と同様の方法で固体塩基の1つである炭酸ナトリウムが酸化タングステンに対して仕込み時の質量比で1wt%被覆した光触媒材料(実施例3試料)を作製した。
光触媒材料(実施例3試料)の光触媒反応の評価も実施例1と同様の方法で行った。
この光触媒材料(実施例3試料)を利用した場合でもIPAがアセトンへと酸化され、その初期反応速度の低下率は50%であった。
さらに長時間光照射すると、アセトンは二酸化炭素にまで酸化され、約160時間の光照射で約750ppm以上の二酸化炭素が生成した。
つまり、長時間可視光活性を維持し、高い光触媒活性を保持している事が明らかとなった。
(実施例4:1%−Sr(OH)2/WO3)
実施例1と同様の方法で、固体塩基の1つである水酸化ストロンチウムが酸化タングステンに対して仕込み時の質量比で1wt%被覆した光触媒材料(実施例4試料)を作製した。具体的には、Sr(OH)2の出発源として、Sr(OH)2・8H2O(和光純薬製)を利用し、それを水中に撹拌し、懸濁液を作り、それを実施例4試料作製に利用した。
光触媒材料(実施例4試料)の光触媒反応の評価も実施例1と同様の方法で行った。
この光触媒材料(実施例4試料)を利用した場合でも、IPAがアセトンへと酸化され、その初期反応速度の低下率は20%であった。
さらに長時間光照射すると、アセトンは二酸化炭素にまで酸化され、約160時間の光照射で約1000ppm以上の二酸化炭素が生成した。
つまり、長時間可視光活性を維持し、高い光触媒活性を保持している事が明らかとなった。
(実施例5:25%−NaOH/WO3)
実施例1と同様の方法で、固体塩基の1つである水酸化ナトリウムが酸化タングステンに対して仕込み時の質量比で25wt%被覆した光触媒材料(実施例5試料)を作製した。
光触媒材料(実施例5試料)の光触媒反応の評価も実施例1と同様の方法で行った。
この光触媒材料(実施例5試料)を利用した場合でも、IPAがアセトンへと酸化され、その初期反応速度の低下率は約20%であった。
さらに長時間光照射すると、アセトンは二酸化炭素にまで酸化され、約70時間の光照射で約1000ppm以上の二酸化炭素が生成した。
つまり、長時間可視光活性を維持し、高い光触媒活性を保持している事が明らかとなった。
(実施例6:1%−La2O3/WO3)
実施例1と同様の方法で、固体塩基の1つであり、水酸化ナトリウムより単位物質量(モル)当り約8倍重い質量をもつ酸化ランタンが酸化タングステンに対して仕込み時の質量比で1wt%被覆した光触媒材料(実施例6試料)を作製した。具体的にはLa2O3(和光純薬製)を利用し、それを水中に撹拌し、懸濁液を作り、それを実施例6試料作製に利用した。
光触媒材料(実施例6試料)の光触媒反応の評価も実施例1と同様の方法で行った。
この光触媒材料(実施例6試料)を利用した場合でもIPAがアセトンへと酸化され、その初期反応速度の低下率は約20%であった。
さらに長時間光照射すると、アセトンは二酸化炭素にまで酸化され、約160時間の光照射で約750ppm以上の二酸化炭素が生成した。
つまり、長時間可視光活性を維持し、高い光触媒活性を保持している事が明らかとなった。
(実施例7)
次に、酸化タングステンの代わりに酸化ビスマス(Bi2O3、和光純薬)を利用して、光触媒材料(実施例7試料)を作製した。
光触媒材料(実施例7試料)は、実施例1と同様の方法で、固体塩基である水酸化ナトリウムが仕込み時の質量比で0.008wt%酸化ビスマスに被覆されるようにして作製した。
光触媒材料(実施例7試料)の光触媒反応の評価は実施例1と同様の方法で行った。
この光触媒材料(実施例7試料)を利用した場合でもIPAがアセトンへと酸化され、その初期反応速度の低下率は10%であった。
(比較例1)
酸化タングステン(比較例1試料)を単独で用いた。
まず、酸化タングステン(比較例1試料:WO3単独)の吸収スペクトルを測定した。
図7に示すように、酸化タングステン単独の吸収スペクトルは、実施例1よりもレッドシフトしていた。そして、吸収端の立ち上がりは約470nmであり、その値からバンドギャップは約2.6eVと見積もられた。
次に、価電子帯の状態をXPSで測定した。
図8に示すように、比較例1の試料のピークの立ち上がりの値は0.5eVだけ実施例1の試料よりもシフトしていた。
すなわち、比較例1の酸化タングステンの価電子帯のトップのエネルギー準位から換算した酸化還元電位が+3.0Vであるので、図9に示したように、実施例1の伝導帯のボトムのエネルギー準位から換算した酸化還元電位は+2.5Vであると見積もられた。
さらに、比較例1の酸化タングステンの伝導帯のボトムのエネルギー準位から換算した酸化還元電位が約+0.4V(vs.SHE)であるので、図9に示したように、実施例1の伝導帯のボトムのエネルギー準位から換算した酸化還元電位はバンドギャップの差も考慮に入れると約―0.2V(vs.SHE)であると見積もられた。
それゆえ、実施例1の光照射時に生成する電子は比較例1より容易に酸素還元反応で消費されていくものと考えられた。
酸化タングステン(比較例1試料)の光触媒活性の評価方法は実施例1と同じとした。
図5に示すように、アセトンの生成速度は光照射時間の増加とともに急激に低下し、初期反応速度の低下率は80%であった。この低下率は実施例1試料の低下率に比べて、非常に大きく、固体塩基を一部あるいは全体に被覆することで酸化タングステン可視光応答型光触媒の活性低下を抑制できることを示した。実施例2〜6も実施例1と同様の低下率であった。
さらに長時間光照射すると、アセトンがさらに酸化されて二酸化炭素にまで酸化することができたが、図6に示すように、その二酸化炭素の生成速度は非常に遅く160時間光照射しても、二酸化炭素の生成量はわずか17ppm以下であった。つまり、酸化タングステン(比較例1試料)の光触媒活性は、実施例1試料に比べて非常に低かった。実施例2〜6も実施例1と同様に高濃度で高活性であった。
これらの結果により、固体塩基を加えることによって、光触媒反応で生成した電子が有効に消費され、ホールと電子による再結合が減少して、電荷分離効率が上昇し、その結果、活性低下が抑制され、より多くの二酸化炭素を生成できたと考えることができる。
(比較例2)
比較実験としてバンドギャップが5.0eVと可視光照射下で光触媒活性を示さない酸化ジルコニウム(ZrO2、純正化学社製)を利用して、それを実施例1と同じ方法で固体塩基の1つである水酸化ナトリウムを仕込み時の質量比で5%、ZrO2に担持した複合体(比較例2試料)を作製した。
光照射により生成したアセトンの量は2時間で1ppm未満であり、活性は実施例1〜6に比べて著しく低かった。
このことから、実施例1〜6の活性は可視光応答型光触媒、固体塩基、可視光の作用によって生じている反応であり、固体塩基と可視光で生じている反応ではないことが明らかとなった。
(比較例3)
比較実験として、実施例1試料で作製したサンプルを暗所に保持し、IPAの分解活性を評価した。3時間暗所で保持しても生成したアセトンの量は1ppm未満であり、実施 例1試料の可視光照射下での活性との差は顕著であった。
このことから、実施例1試料の優れた光触媒活性は固体塩基と可視光応答型光触媒との相互作用によるのではなく、固体塩基である水酸化ナトリウム存在下での可視光応答型光触媒反応によることが明らかとなった。
すなわち、実施例1試料、比較例1〜3試料の結果から、可視光応答型光触媒、固体塩基、可視光の作用によって、有機物であるIPAが効率よく分解されている事が示された。
(比較例4)
比較実験として、酸化ビスマス(伝導帯のボトムのエネルギー準位から換算した酸化還元電位が約+0.1〜0.3V(vs.SHE))の光触媒活性も実施例1の活性評価と同じ方法で併せて評価した。
初期反応速度の低下率は30%であり、実施例7の固体塩基である水酸化ナトリウムを被覆した酸化ビスマスに比べて、活性の低下が著しかった。
すなわち、酸化ビスマスの場合でも固体塩基を被覆することは活性の低下を抑えて、光触媒自身を高活性化できることが明らかとなった。
表1に、以上の条件及び結果をまとめた。
なお、ここで、初期反応速度の低下率=100−(反応時間80分から120分の平均0次反応アセトン生成速度)/(反応時間0分から40分の平均0次反応アセトン生成速度)×100(%)である。
本発明は、径0.1mm未満の金属酸化物粉体と、前記金属酸化物粉体の表面の一部または全部を被覆する固体塩基被膜とからなり、前記金属酸化物粉体が、バンドギャップが1.4eV以上3.1eV以下であり、かつ、伝導帯のボトムのエネルギー準位から換算した酸化還元電位が0V以上+1.2V以下(vs.SHE)の半導体である光触媒材料及びその作製方法に関するものであり、この光触媒材料は、可視光を照射することにより、アルコールを効率よくアセトン、更には二酸化炭素にまで分解でき、光触媒の材料産業及び装置産業等において利用可能性がある。
11…光触媒材料、21…被覆材料、22…金属酸化物粉体。

Claims (6)

  1. 径0.1mm未満の金属酸化物粉体と、前記金属酸化物粉体の表面の一部または全部を被覆する固体塩基被膜とからなり、
    前記金属酸化物粉体が、バンドギャップが1.4eV以上3.1eV以下であり、かつ、伝導帯のボトムのエネルギー準位から換算した酸化還元電位が0V以上+1.2V以下(vs.SHE)の半導体であることを特徴とする光触媒材料。
  2. 前記金属酸化物粉体が、酸化タングステン、酸化ビスマス、ビスマス酸タングステン、酸化鉄、酸化インジウム、酸化バナジウム、ビスマス酸バナジウムのいずれか1又は2以上の金属の酸化物粉体であることを特徴とする請求項1に記載の光触媒材料。
  3. 前記固体塩基被膜がアルカリ金属の水酸化物、酸化物もしくは炭酸塩、アルカリ土類金属の水酸化物、酸化物もしくは炭酸塩、ランタンの水酸化物、酸化物もしくは炭酸塩の群から選択されるいずれか1の化合物又は2以上の化合物からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の光触媒材料。
  4. 前記固体塩基被膜の前記金属酸化物粉体に対する質量比が0.00001質量%以上500質量%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光触媒材料。
  5. バンドギャップが1.4eV以上3.1eV以下であり、かつ、伝導帯のボトムのエネルギー準位から換算した酸化還元電位が0V以上+1.2V以下(vs.SHE)である半導体からなり、径0.1mm未満の金属酸化物粉体を、固体塩基と混合して、(固体塩基被膜の質量)/(金属酸化物粉体の質量)が0.00001質量%以上500質量%以下であり、固体塩基で表面の一部または全部が被覆された金属酸化物粉体からなる光触媒材料を作製することを特徴とする光触媒材料の作製方法。
  6. 更に、60℃以上120℃未満の温度で乾燥させることを特徴とする請求項5に記載の光触媒材料の作製方法。
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