JP2015100572A - 計測装置 - Google Patents

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【課題】生体の管腔において、管腔を流れる流体の内圧を計測できる小型かつ細経の装置を提供する。
【解決手段】計測装置10は、先端側が管腔に挿入可能なガイドワイヤ11と、ガイドワイヤ11の先端側に設けられた熱線流速計23と、ガイドワイヤ11の先端側に設けられたカンチレバー32と、カンチレバー32の変位量を計測するピエゾ素子37と、カンチレバー32の先端に設けられた接触センサ31と、を具備する。熱線流速計23によって得られた流速に基づいて、管腔の内圧を演算することができる。カンチレバー32の変位量に基づいて、管腔の内径を計測することができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、長尺部材の第1端側を生体の管腔に挿入して計測を行う計測装置に関する。
冠動脈における狭窄病変の治療方針を決定するための指標の一つとして冠血流予備量比(FFR)がある。冠血流予備量比は、狭窄病変に対して上流の内圧(Pa)と、下流の内圧(Pd)との比である(FFR=Pd÷Pa)。冠血流予備量比は、狭窄病変によって阻害されている血流量を示すものであり、例えば、冠血流予備量比が0.6であれば、狭窄病変によって最大血流量の60%しか血流がないと判断される。一般に、冠血流予備量比が0.75以下であれば経皮的冠動脈インタベーション(PCI)が適応され、0.8以上であれば薬物療法が適応される。
冠動脈における内圧を測定するための装置として、ガイドワイヤに圧力センサが設けられたものが知られている(特許文献1,2)。ガイドワイヤの先端側に、2個の圧力センサが間隔を空けて配置されており、ガイドワイヤを冠動脈へ挿入して、2個の圧力センサを狭窄病変の近位部と遠位部とにそれぞれ位置させることによって、内圧が測定できる。また、圧力センサの他に、血流センサや温度センサが設けられたものが公知である(特許文献3〜5)。
特表2001−517993号公報 特表平10−525269号公報 特表2001−504249号公報 特開2001−25461号公報 特表2008−514308号公報
前述されたような圧力センサを有するガイドワイヤは、小径な冠動脈にも挿入できるように小型化ないし細経化の要請がある。しかしながら、圧力センサなどのダイアフラムを有するセンサは、構造上、小型化や細経化には限界がある。また、小型化するには、半導体を用いた構造にする必要があり、高価なものになる。
また、PCIを施すには、狭窄が生じている冠動脈の内径を知る必要がある。現行では、外部より照射したX線による画像分析によって冠動脈の内径を計測しているが、X線の照射方向などによって得られた画像の内径が変化するので、迅速かつ正確な内径の計測が難しい。
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、生体の管腔において、管腔を流れる流体の内圧を計測できる小型かつ細経の装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、冠動脈の内径を迅速勝つ正確に計測できる装置を提供することにある。
本発明に係る計測装置は、第1端及び第2端を有しており、当該第1端側が管腔に挿入可能な長尺部材と、上記長尺部材の第1端側に設けられた熱線流速計と、を具備する。
長尺部材は、第1端側から管腔に挿入される。管腔の任意の位置において、熱線流速計によって管腔を流れる流体の流速が計測される。
本計測装置は、上記長尺部材の第1端側に、上記長尺部材から離れる向きへ移動可能な線材が、上記長尺部材の軸線周りに間隔を空けて複数が配置されたものであってもよい。
長尺部材から離れる向きへ移動された線材は管腔の内壁に当接する。線材が長尺部材の軸線周りに間隔を空けて複数が配置されているので、長尺部材の第1端側が管腔の中心付近に固定される。これにより、熱線流速計を管腔の中心付近に配置することができる。
上記線材がカンチレバーであり、本計測装置は、上記カンチレバーの変位量を計測する計測手段と、上記カンチレバーの先端に設けられており、上記管腔の内壁との接触を検知する接触センサと、を更に具備するものであってもよい。
カンチレバーの変位量に基づいて、管腔の内径が演算できる。
本計測装置は、上記長尺部材及び上記カンチレバーが挿入される外筒を更に具備しており、上記カンチレバーは、上記外筒に覆われることによって先端が上記長尺部材に近い位置に保持され、上記外筒から露出されることによって先端が上記長尺部材から離れる向きへ移動するものであってもよい。
外筒がカンチレバーに対して操作されることによって、カンチレバーの先端の移動量が変位する。
上記長尺部材は、ガイドワイヤであってもよい。
上記長尺部材は、マイクロカテーテルであってもよい。
本発明によれば、管腔を流れる流体の流速を計測する小型かつ細経の計測装置が実現できる。得られた流速に基づいて、管腔の内圧を演算することができる。また、カンチレバーの変位量に基づいて、管腔の内径を計測することができる。これにより、管腔の内圧を計測すると同時に、管腔の内径を計測することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る計測装置10を示す図である。 図2は、接触センサ31がガイドワイヤ11の外周面に当接又は近接された状態の、計測装置10のII−II断面を示す部分断面図である。 図3は、接触センサ31がガイドワイヤ11の外周面から離れた状態の、計測装置10のII−II断面を示す部分断面図である。 図4は、熱線流速計23の動作原理を示す図である。
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。なお、本実施形態は本発明の一実施態様にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施態様を変更できることは言うまでもない。
図1に示されるように、計測装置10は、ガイドワイヤ11と、演算装置12とを有する。ガイドワイヤ11は、例えばヒトの冠動脈に挿入可能な外径及び長さを有するものである。ガイドワイヤ11の先端は、ステンレス綱のコアワイヤの周囲に、別のステンレス綱が螺旋形状に巻かれて円筒形状にされたものであり、血管の湾曲に応じて撓むことが可能である。また、ガイドワイヤ11の内部空間には、後述される各センサの検知信号を伝達するためのハーネス13が挿通可能である。ガイドワイヤ11の先端(図1における右端)が第1端に相当し、基端(図1における左端)が第2端に相当する。
演算装置12は、後述される各センサの検知信号を受信して、血液の流速、圧力、血管の内径を演算するものであり、例えば、CPU、ROM、RAMなどのハードウェアを有しており、演算を実現するためのプログラムが格納されている。
ガイドワイヤ11の先端には、熱線流速計23が設けられている。熱線流速計23の原理は次の通りである。電流を流すことによって加熱された細い金属線(熱線)を流体中に置くと、流れの冷却作用によって、熱線の温度が下がるとともに電気抵抗値も変化する。この冷却効果は速い流速ほど大きくなる。熱線流速計23は、この性質を利用して流速を測定するものである。
図4に示されるように、熱線流速計23を構成する熱線24は、ホイートストーンブリッジにおける抵抗の一つを構成する。なお、参照符号25は補償増幅器であり、参照符号26は電圧計である。
熱線24を流れる電流Iと、熱線24に対して垂直にあたる流体の流速Uとの関係は次式で表される。
R/(R−R)=A+BU
ここで、Rは熱線24が流体と同温度のときの抵抗、A,Bは熱線24が一定温度の流体中にあるときの定数であり、流速Uを変化させた測定により決定できる。nは一般に0.5である。
流速の変化に伴う熱線24の温度・抵抗変化によりBD間に生じる非平衡電圧が、補償増幅器25を通してブリッジの電源端子に戻されて、熱線24の温度・抵抗が一定となる。このブリッジ電圧Vが電圧計26で測定され、この測定値に基づいて演算装置12が流速を演算する。
演算装置12は、流速に基づいてFFRを演算する。FFRの演算の一例として、ベルヌーイの定理に基づく演算が挙げられる。ここで、冠動脈の狭窄部位の上流側の流速をU、圧力をPとする。冠動脈の狭窄部位の流速をU、圧力をPとする。冠動脈の狭窄部位の下流側の流速をU、圧力をPとする。これらについて次式が成立する。
1/2・U +P/ρ=1/2・U +P/ρ=1/2・U +P/ρ=C(定数)
ただし、ρは流体の密度。
上記式より、以下の3式が得られる。
=ρ(C−1/2・U
=ρ(C−1/2・U
=ρ(C−1/2・U
そうすると、FFR、すなわちP/Pは以下の式で表される。
/P=(C−1/2・U )/(C−1/2・U
なお、ベルヌーイの定理は非粘性流体に関するものなので、内径が160mm以下の血管においては粘性を考慮する必要があるが、層流であればハーゲンポアズイユの法則が成り立つ。したがって、血液が、流動抵抗Rfの細動脈を通り、ΔPだけ圧力が変化するときに、次式が成り立つ。
ΔP=RfQ (ただし、Qは体積。)
したがって、予め換算テーブルを演算装置12に格納しておくことによって内径が160mm以下の血管についても対応可能である。
図1〜図3に示されるように、ガイドワイヤ11の外側には外筒部材33が設けられている。外筒部材33は、ガイドワイヤ11の外径より若干大きな内径を有するものであり、ガイドワイヤ11と同様に血管に沿って湾曲可能である。外筒部材33は、ガイドワイヤ11の先端の熱線流速計23を外部へ露出させた状態において、ガイドワイヤ11の基端まで延出されている。外筒部材33はガイドワイヤ11に対して軸方向51へ相対的にスライド可能である。
移動機構34は、外筒部材33の基端側に接続されており、ラックピニオン機構やボールネジなどを利用して、外筒部材33を軸線方向51へ移動させるものである。移動機構34の駆動量は、例えばエンコーダなどによって把握できる。エンコーダの出力に基づいて、移動機構34の駆動が制御される。なお、移動機構34は必須ではなく、例えば、施術者が直接外筒部材33を操作してもよい。
ガイドワイヤ11の先端側であって外筒部材33との隙間には、軸線方向51に沿って延びるカンチレバー32が設けられている。カンチレバー32は、その基端側がガイドワイヤ11の外周面に固定されており、その先端側がガイドワイヤ11の先端へ向かって延出され、かつ外側へ開くように湾曲した形状である。なお、各図には現れていないが、カンチレバー32及び接触センサ31は、ガイドワイヤ11の軸線周りに3個が等間隔を空けて、すなわち120°間隔で配置されている。カンチレバー32が線材に相当する。
図2に示されるように、カンチレバー32は、外筒部材33に覆われることによって、湾曲形状が弾性的に変形してガイドワイヤ11の外周面に当接ないし近接する。図3に示されるように、外筒部材33が基端側へスライドされてカンチレバー32の先端側が外部へ露出されると、カンチレバー32が湾曲形状に弾性復帰して、その先端側がガイドワイヤ11の外周面から離れる。
カンチレバー32の内面側、すなわちガイドワイヤ11側には軸線方向51に沿ってピエゾ素子37が設けられており、カンチレバー32が湾曲すると、ピエゾ素子も湾曲して、その湾曲形状に応じた電圧をハーネス13を介して演算装置12へ出力する。ピエゾ素子37の出力は、カンチレバー32の先端がガイドワイヤ11の外周面から離れた距離に比例する。したがって、ピエゾ素子37の出力に基づいて、演算装置12がカンチレバー32の先端がガイドワイヤ11の外周面から離れた距離を演算する。ピエゾ素子37が計測手段に相当する。
カンチレバー32の先端には接触センサ31が設けられている。接触センサ31は、カンチレバー32の弾性変形に伴って、ガイドワイヤ11の外周面に対して接離する方向へ移動する。接触センサ31は、カンチレバー32と同様に、ハーネス13を通じて検知信号を演算装置12へ出力する。
演算装置12は、接触センサ31が血管の内壁に接触したことを示す検知信号を出力したときのカンチレバー32の変位量をピエゾ素子37の出力に基づいて演算する。このカンチレバー32の変位量は、ガイドワイヤ11の外周面から血管の内壁までの距離に比例する。ガイドワイヤの外径は既知なので、演算装置12は、3個のカンチレバー32に対して、各々の先端に設けられた接触センサ31が血管の内壁に接触したことを示す検知信号を出力したタイミングで、3個のカンチレバー32の変位量、すなわちガイドワイヤ11の外周面から血管の内壁までの距離を算出し、得られた3点の距離から、例えば3点測定法により血管の内径を演算する。
また、3個のカンチレバー32の各先端がガイドワイヤ11の外周面から離れて血管の内壁に当接することによって、熱線流速計23が血管の中央付近に支持される。
[本実施形態の作用効果]
本実施形態に係る計測装置10によれば、ガイドワイヤ11の先端側が冠動脈へ挿入されて、予め位置が確認されている狭窄病変に対して、狭窄部位、並びに狭窄部位の上流及び下流の流速が熱線流速計23によって計測可能である。演算装置12は、得られた流速に基づいて、FFRを演算できる。
また、演算装置12は、カンチレバー32の変位量に基づいて血管の内径を測定する。これにより、冠動脈などの生体の管腔において、管腔を流れる流体の流速及び内圧、並びに血管の内径を計測することができる。
[変形例]
なお、前述された実施形態では、ガイドワイヤ11により長尺部材が実現されているが、ガイドワイヤ11に代えて、マイクロカテーテルが用いられてもよい。マイクロカテーテルが用いられることによって、血管にガイドワイヤを留置したまま、マイクロカテーテルを挿入及び抜き出すことができ、そのガイドワイヤを用いてバルーンカテーテルなどを血管に挿入することができる。
また、前述された実施形態では、ガイドワイヤ11の先端側に3個のカンチレバー32及び接触センサ31が設けられているが、カンチレバー32及び接触センサ31は、3個以上であれば、4個であっても5個であってもよい。例えば、4個のカンチレバー32及び接触センサ31が、ガイドワイヤ11の軸線周りに等間隔で、すなわち90°間隔で配置されていてもよい。
また、前述された実施形態では、ピエゾ素子37の出力に基づいてカンチレバー32の先端の変位量が測定されているが、ピエゾ素子37に代えて、カンチレバー32に光を照射して、カンチレバー32が反射する反射光の位置、すなわち屈曲角度を検出する光検出手段をガイドワイヤ11に設け、この光検出手段によってカンチレバー32の変位量が測定されてもよい。
また、前述された実施形態では、ガイドワイヤ11にカンチレバー32が設けられているが、血管の内径を測定する必要がないときには、カンチレバー32に代えて、ガイドワイヤ11の外側へ湾曲して膨らむことができるワイヤなどが線材として設けられてもよい。
10 計測装置
11 ガイドワイヤ(長尺部材)
12 演算装置
23 熱線流速計
31 接触センサ
32 カンチレバー
33 外筒部材
37 ピエゾ素子(計測手段)

Claims (6)

  1. 第1端及び第2端を有しており、当該第1端側が管腔に挿入可能な長尺部材と、
    上記長尺部材の第1端側に設けられた熱線流速計と、を具備する計測装置。
  2. 上記長尺部材の第1端側に、上記長尺部材から離れる向きへ移動可能な線材が、上記長尺部材の軸線周りに間隔を空けて複数が配置されたものである請求項1に記載の計測装置。
  3. 上記線材がカンチレバーであり、
    上記カンチレバーの変位量を計測する計測手段と、
    上記カンチレバーの先端に設けられており、上記管腔の内壁との接触を検知する接触センサと、を更に具備する請求項2に記載の計測装置。
  4. 上記長尺部材及び上記カンチレバーが挿入される外筒を更に具備しており、
    上記カンチレバーは、上記外筒に覆われることによって先端が上記長尺部材に近い位置に保持され、上記外筒から露出されることによって先端が上記長尺部材から離れる向きへ移動するものである請求項3に記載の計測装置。
  5. 上記長尺部材は、ガイドワイヤである請求項1から4のいずれかに記載の計測装置。
  6. 上記長尺部材は、マイクロカテーテルである請求項1から4のいずれかに記載の計測装置。
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