JP2015099917A - 基板接合方法及び基板接合体 - Google Patents

基板接合方法及び基板接合体 Download PDF

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Abstract

【課題】本願発明は、効率的に、清浄かつ良好な電気的又は機械的特性を有する接合界面を形成する基板接合方法を提供することを課題とする。
【解決手段】金属領域の表面に対して加熱還元処理を行って、金属領域の表面に金属微粒子を形成させ、金属微粒子が形成された金属領域の表面同士を接触させて加熱して、基板を接合させる。
【選択図】図2

Description

本願発明は、金属領域を表面に有する基板の接合方法、及びこの接合により形成された基板接合体に関する。
近年、半導体デバイスや電気配線を有するチップや基板の実装技術において、電極同士を接合する方法が開発されてきている。
この種のチップ等の電極同士を接合する技術として、接合前に、接合表面をエネルギー粒子の照射により清浄化した後に、当該清浄表面に対して水分子などを噴射して水酸基を形成する親水化処理をすることが提唱されている。この方法を用いることで、金属表面を終端化する水酸基が、雰囲気との接触による酸化や、雰囲気に存在する不純物による金属の汚染を制限するとともに、接触後に比較的低い温度で水酸基を接合界面から除去することができるといわれている。
また、電極同士を接合する技術として、電極の金属表面上に同じ金属のナノ粒子(ナノ粒子)を塗布して、ナノ粒子を有する金属表面同士を接触加熱することで、金属接合界面を形成する技術が知られている。(特許文献1、2)
また、ギ酸ガスなどの有機酸ガスを直接、電極の金属表面に照射して効率よく還元することが知られている。
特開2010−189681 特開2013−159830
しかし、接合前に接合表面に対して清浄化処理と親水化処理とを行う接合方法では、接合界面に取り込まれた水酸基や水分子などが、加熱によっても接合界面近傍から十分に除去されずに残留して、酸化物や水酸化物を形成して、十分な接合界面の電気伝導度又は機械的強度が得られない原因となっていた。
また、接合前に接合表面にナノ粒子を塗布する接合方法では、ナノ粒子が隣接する粒子同士の凝着により大きな塊となる性質があるため、これらのナノ粒子を分散状態で保存するために、液体や樹脂などの分散用の溶媒が必要であった。そして、ナノペーストを塗布する工程が入るため全体の接合工程が増えること、ナノペーストは液体を含むために、接合前にナノペーストを乾燥させることが必要であったこと、分散媒体中での微粒子の酸化防止に問題があったこと、そして液体に含まれる不純物が乾燥過程で析出などして接合表面に汚染物質として残ること、などの問題があった。これらの問題によって、さらに湿式(ウェット)プロセスを行う必要が生じるという問題もあった。
さらにまた、ギ酸ガスなどの有機酸ガスを用いて金属表面を還元する方法では、接合時の温度を摂氏280度以上という高い温度で行わなければならなかった。
そこで、本願発明が解決しようとする課題は、乾式(ドライ)プロセスによって、効率的に、清浄かつ良好な電気的又は機械的特性を有する接合界面を形成する基板接合方法を提供することである。
上記の技術的課題を解決するために、本願発明に係る、金属領域を有する一対の基板を接合する方法は、少なくとも一方の基板の金属領域の表面に対して加熱還元処理を行って、金属領域の表面に金属微粒子を形成させ、金属微粒子が形成された金属領域の表面同士を接触させて加熱して、基板を接合させるようにしたものである。本願発明によれば、接合される金属領域の表面上に、効率よく、かつ接合に適した金属の微粒子を形成することができ、その結果、低い温度で、電気的及び機械的特性の優れた接合界面を形成することができる。
本願発明に係る基板接合方法は、金属領域の表面に金属微粒子を形成させることが、有機酸ガスを金属領域の表面に対して放射して、金属領域の表面を還元すること、を含むようにしてもよい。これにより、触媒を用いて生成された有機酸ガスの分解ガスは、金属表面に存在する酸化物と反応して、これを還元し、金属表面上に、接合に適した大きさの金属微粒子を適切な密度で形成することができる。
また、本願発明に係る基板接合方法は、金属領域の表面に金属微粒子を形成させることが、触媒を用いて有機酸ガスを分解して分解ガスを生成し、分解ガスを金属領域の表面に対して放射して、金属領域の表面を還元することを含むようにしてもよい。
本願発明に係る基板接合方法は、少なくとも一方の基板の金属領域の表面に、運動エネルギーを有する粒子を照射し、その後、加熱還元処理を行うようにしてもよい。これにより、金属領域の表面に形成された酸化物層を効率的に除去することができるため、エネルギー粒子の照射後に、加熱還元処理を行うことで、より効率的に金属微粒子を形成することができる。
本願発明に係る基板接合方法は、金属領域が銅で形成され、有機酸がギ酸を含み、触媒が白金(Pt)からなる、ようにしてもよい。これにより、ギ酸を白金触媒で分解することにより生成した分解ガスを用いることで、比較的低温で、例えば摂氏250度以下で、接合に適したサイズの微粒子を金属表面上に形成することができる。
本願発明に係る基板接合方法は、接合における加熱温度が摂氏250度以下であるようにしてもよい。これにより、従来では困難であった摂氏250度以下で接合を行い、高温プロセスによる、基板特性や基板に組み込まれた電子回路等の特性への悪影響を抑えることができる。
本願発明に係る基板接合方法は、接合における加熱温度が摂氏220度以下であるようにしてもよい。これにより、高温プロセスによる、基板特性や基板に組み込まれた電子回路等の特性への悪影響を効率的に抑えることができる。
本願発明に係る基板接合方法は、接合における加熱温度が摂氏200度以下であるようにしてもよい。これにより、高温プロセスによる、基板特性や基板に組み込まれた電子回路等の特性への悪影響を最小限にすることができる。
本願発明に係る基板接合方法は、接合における加熱温度が摂氏150度以下であるようにしてもよい。これにより、高温プロセスによる、基板特性や基板に組み込まれた電子回路等の特性への悪影響をほぼ回避することができる。
本願発明に係る基板接合方法は、加熱還元処理における金属領域の温度が、接合での金属領域の加熱の温度よりも低いようにしてもよい。これにより、還元処理における温度を接合工程よりも低く抑えることで、接合前により小さい微粒子を形成することができる。小さい微粒子は、接合により生じた接合界面において、より高い温度で加熱することにより、金属の拡散を促進させて焼結などで大きくなる。その結果、金属の拡散により粒子間に存在した隙間を埋めて、電気特性や機械的特性の高い接合界面を形成することが可能になる。
本願発明に係る基板接合方法は、微粒子を形成する前に、金属領域の表面に酸化膜を形成するようにしてもよい。これにより、微粒子を形成する加熱還元処理の前に、意図的に酸化膜を形成することで、微粒子の形成前の酸化膜の状態を制御することができるので、微粒子の量を適切に制御し、微粒子形成を効率よく、均一にすることができる。
本願発明に係る基板接合方法は、酸化膜を形成することが、金属領域表面に対して、酸素又は酸素を含む物質のプラズマを放射すること、酸素又は酸素を含むガスのエネルギー粒子を放射すること、水ガスを放射すること、及び熱酸化処理を行うこと、の少なくとも一つを含むことを含むようにしてもよい。これにより、酸化膜の性質、量、均一性などをより適切に制御することができる。
本願発明に係る基板接合方法は、微粒子の直径又は最大幅の平均が100nm以下であるようにしてもよい。これにより、基板の接合の際に、接合されていなければ微粒子の成長に寄与した、加熱によって、隙間などの少ない密な接合界面、すなわち電気的特性及び機械的特性のすぐれた接合界面を形成することができる。
本願発明に係る基板接合方法は、金属微粒子が形成された金属領域の表面の高さを、基板の表面より高く形成することを含んでもよい。
本願発明に係る基板接合方法は、金属領域の表面同士を接触させるとき、金属領域以外の基板表面同士を接触させることを含んでもよい。
また、本願発明に係る基板接合体は、金属からなる金属領域を表面に有する一対の基板の接合体において、金属領域間の接合界面が、直径又は最大幅の平均が100nm以下の粒径の多結晶を含むようにしたものである。
本願発明に係る基板接合体は、金属が銅であるようにしてもよい。
本願発明に係る基板接合体は、金属領域間の接合界面の接合強度が、金属領域を形成する材料のバルク破壊強度とほぼ同一であるようにしてもよい。
本願発明に係る基板接合体は、金属領域間の接合界面の接触抵抗が、一対の金属領域の表面に対して有機酸ガスを触媒を介さずに適用して還元処理を行った後に一対の金属領域の表面を接合することで形成された接合界面の接触抵抗と比較して、小さいようにしてもよい。
本願発明に係る基板接合体は、金属領域間の接合界面の接触抵抗が、900μmの接合界面において0.2mΩ未満であるようにしてもよい。
本願発明によれば、金属領域を表面に有する基板同士を接合するに際し、効率的に、清浄かつ良好な電気的又は機械的特性を有する接合界面を形成することが可能になる。
接合対象となる基板の構造を説明する断面概略図である。 本発明の表面処理及び接合方法を実施するための基板表面処理及び接合装置の一例を示す正面概略図である。 本発明の表面処理及び接合方法を実施するためガス照射源の一例を示す正面断面の概略図である。 本発明の表面処理及び接合方法を説明する、基板の断面概略図である。 銅表面の形態を示す走査型電子顕微鏡写真である。 銅表面の形態を示す走査型電子顕微鏡写真である。 銅表面の形態を示す走査型電子顕微鏡写真である。 銅表面の化学状態を示すXPSスペクトルである。 銅表面の化学状態を示すXPSスペクトルである。 銅接合界面の微細構造を示す透過型電子顕微鏡写真である。 銅接合界面の微細構造を示す透過型電子顕微鏡写真である。 銅接合界面の接触抵抗を示すグラフである。 銅接合界面のせん断強度を示すグラフである。 本発明の表面処理方法によって処理された銅表面の電子顕微鏡写真である。 本発明の表面処理方法によって処理された銅表面の解析結果を示す図である。
以下、添付の図面を参照して本願発明に係る実施形態を説明する。
<接合対象>
まず、本発明による方法を適用して接合をする接合対象について説明する。図1は、接合対象となる基板の構成の一例を示す概略断面図を示す。この例においては、基板1は、シリコン(Si)からなる母材2の表面上に、銅(Cu)からなる金属領域4と、酸化シリコン(SiO)からなる非金属領域5を有して構成されている。この接合対象である一対の基板1を、接合面3を対向させて、接合することになる。
本願において、基板は、その母材に板状又はフィルム状の半導体、ガラス、セラミックス、金属、有機材料、プラスチックなどの材料、又はこれらの複合材料が用いられて形成されていてもよく、円形、長方形等の種々の形状に形成されてもよい。
<基板接合装置>
図2は、本発明の一実施形態を実施するための基板接合装置の概略構成を示す正面図である。
図2に示すように、基板接合装置10は、真空チャンバである筐体20と、筐体20内に設けられた、接合対象である基板1,1をそれぞれ支持する上側基板支持板31及び下側基板支持板32と、基板表面の酸化物を還元するガスを基板表面に向けて放射するガス照射源40とを有して構成される。
筐体20は、外観直方体形状に形成されたものであって、上部壁21、下部壁22及び側部壁23を備えている。筐体20の下部壁22には、開口24が設けられており、この開口24は通気弁25を介して、雰囲気制御装置(図示なし)と連結されている。雰囲気制御装置は、真空ポンプ(図示なし)を有し、この真空ポンプを稼働することにより、真空チャンバである筐体20内を排気して、所望の真空度の雰囲気を作ることができる。また、雰囲気制御装置は、不活性ガス源(図示なし)を有し、この不活性ガス源から不活性ガスを筐体20内に導入して所望の非酸化雰囲気を作ることができる。さらにまた、雰囲気制御装置は、大気弁(図示なし)を有し、この大気弁を開放することにより、筐体20内に筐体20外部の大気を導入することができる。
上部基板支持板31及び下部基板支持板32は、一対の基板1,1を真空チャック又は静電チャックにより吸着固定する。図2では、上部基板支持板31は、筐体20の上部壁21に固定され、下部基板支持板32は、下部壁22に形成された孔22aを通して上下動可能なロッド33の上端に固定されている。当該ロッド33は、筐体20の下側に配置された基板昇降機構34に固定され、基板昇降機構34の駆動によって下部基板支持板32を昇降させ、基板1,1を近接、接触、押圧及び離間させる。これらのロッド33及び基板昇降機構34は、接合手段を構成する。
上部基板支持板31及び下部基板支持板32には、それぞれ加熱ヒータ61,62が埋設されており、これらの発熱により、基板1,1を加熱することができる。図2に示す加熱ヒータ61,62は、筐体20外部に配置された電源63にリード線64,65を介して接続され、電源63のオンオフ又は出力を制御することによって、加熱ヒータ61,62の発熱量、もって基板1,1の温度を制御することができる。基板支持板31,32は、基板の温度を測定する温度センサ(図示せず)を有して構成され、この測定温度を加熱ヒータ61,62の発熱量の制御に用いるようにしてもよい。
ガス照射源40は、有機酸ガスを供給するガス管41に結合され、ガス管41は、筐体20の側壁23に形成された孔23aを通って外部に向かって水平方向移動可能に延在している。ガス管41は、筐体20の外部にあって、ガス照射源40を水平方向(図において左右方向)に往復移動させるガス照射源移動機構80に接続されている。これにより、基板1,1に対してガス照射を行う際には、ガス照射源40を基板1,1の間に位置決めし、これらを接合させる際には、ガス照射源40を基板1,1の間から側方へ退避させてから、基板昇降機構34の駆動により下方の基板1を上方の基板1に向かって近接させることができる。ガス管41のガス照射源40の反対側の一端は、有機酸ガスを供給する有機酸ガス源90に接続されている。有機酸ガス源90は、液体の有機酸を保持する液槽91と、液槽91に接続されアルゴンや窒素などのキャリアガスを送るキャリアガス源92とを有する。キャリアガス源92から送られたキャリアガスを液槽91内の液体の有機酸内でバブリングさせる。このバブリングにより生成された有機酸の気体とキャリアガスとからなる入力ガスは、ガス管41を通って、ガス照射源40内に送られる。液体有機酸として、例えば、98%から99%ギ酸と水2%から1%の溶液を液槽91内に入れてもよい。
なお、筐体20には、開閉自在な扉(図示せず)が設けられており、この扉を開口して、接合対象である基板1,1を上下基板支持板31,32に取り付け、また接合により形成された基板1,1からなる基板接合体を筐体20から取り出すことが可能になっている。
<ガス照射源>
次に、図3を参照して、ガス照射源40の構造及び動作について説明する。図3は、図2に示す、ガス照射源40、基板1,1、上下基板支持板31,32及びガス管41を拡大した断面の正面概略図である。
図3に示すガス照射源40は、外観が扁平な直方体形状に形成され、その内部が空間部とされたガス照射源本体42を備えている。ガス照射源40は、上壁43、下壁44及び側壁44,45(図3において紙面の前後方向に位置する壁)と、これら各壁により形成される空間部の水平方向両端を閉塞する端壁46,47とを備えている。端壁47には貫通孔48が形成されており、この貫通孔48には、上記ガス管41が気密状態に嵌着されている。ガス照射源40の内部空間はガス通路50を構成し、このガス通路50には、ガス管41を通して有機酸ガス100が導入されるようになっている。
ガス通路50内には、触媒55として白金(Pt)からなる多数の薄膜小片が配置されるとともに、触媒55を所望の温度に加熱する触媒ヒータ56が配置されている。キャリアガスと混合された有機酸ガス100は、所望の温度にある触媒55に接触することによって、比較的高い還元作用を有する反応ガス101に分解又は変換される。
なお、触媒55は白金(Pt)以外でも、使用される有機酸ガスを分解して処理対象の金属表面の酸化物を還元する作用を有する反応ガスを生成する触媒機能を有する触媒であれば、これを使用することができる。
有機酸ガスの分解のメカニズムや反応ガス101の性質等について、科学的な知見は定まっていないが、限定されない一つの考え方として、以下の反応が考えられている。例えば、有機酸であるギ酸(HCOOH)が、摂氏200度程度に加熱された白金(Pt)触媒55に接触することで、水素ラジカルと、ギ酸基とに分解されると考えられている。後述のように、触媒55を用いないでギ酸ガスをそのまま銅の酸化物と接触させても、この酸化物を還元するためには金属領域の温度を摂氏250度以上で加熱するこことが必要である。しかし、本発明の発明者らは、上記白金(Pt)の触媒55を用いた反応ガスを用いることで、金属領域の温度が摂氏250度未満であっても、例えば摂氏150度以下であっても、十分な還元作用を奏しめることが可能であることを発見した。
ガス照射源40の上壁43,下壁44の先端部(端壁46側の端部)には、それぞれ、複数のガス放射口57,58が設けられている。ガス通路内50で生成された反応ガス101は、ガス照射源40から、このガス放射口57,58を通って、基板1,1に向かって放射される。
<表面処理及び接合>
次に、図4を参照して、図2及び図3に示す基板接合装置を用いた、図1に示す基板の表面処理及び基板の接合方法について説明する。図4では、図1に示した金属領域4の表面近傍のみが拡大して示されており、したがって、非金属領域5は示されていない。また、図4A及び図4Bには、簡便のため、一方の基板1の金属領域4(201)のみが示されているが、他方の基板1の金属領域4(金属領域204)についても同様の処理が行われる。
図4Aに示すように、金属領域4では、バルクの金属領域201の表面にその金属(銅)の酸化物(酸化銅)からなる層(酸化物層202)が存在しているのが通常である。この酸化物層202は、通常、金属領域201の生成後に大気中の酸素や水分子などとの接触により形成されるものである。
この酸化物層202は、例えば、金属領域4の表面に水蒸気が接触する状態で加熱をすることにより形成してもよい(以下、熱処理と称する)。一般的に、金属領域である銅の表面において、酸化物層は、再外層に形成されたCuOを主に含む層と、その下に形成されたCuOを主に含む層とから構成されると考えられる。熱処理により、酸化物層の厚さは増加するが、CuOを主に含む層の厚さが増加することが主な要因であると考えられている。このような現象は、上記の熱処理で特に顕著である。CuOを主に含む層の厚さが、熱処理によって増加することにより、後述する金属微粒子203が好ましく形成される。
→削除しました。
ガス照射源40を作動する前に、真空ポンプにより筐体20の雰囲気を10−1Paに減圧する。真空排気により、筐体20内の大気を排気し、酸化の原因となる酸素を少なくする雰囲気を形成することができる。
この真空(減圧)状態をバックグラウンド雰囲気として、ガス照射源40を作動させて、反応ガスを基板1,1に放射する。真空ポンプによる真空排気は、次に行う還元処理から接合工程に亘って、継続させることが好ましい。これにより、良好な接合界面が形成されるまで、基板周囲の真空(減圧)雰囲気を保ち、不純物等の基板表面や接合界面への酸化及び再酸化を低減することができる。
なお、上記実施形態では、以下、真空状態でガス照射源40を作動しているが、バックグラウンド雰囲気は上記圧力より低い10−5Paまでの真空度でもよく、また大気圧と同じ圧力もよく、大気圧より高い圧力でもよい。
また、筐体20内の雰囲気に、アルゴンや窒素などの不活性なガスを導入してもよい。これらによって、基板表面や接合界面への酸化を低減することができる。
つぎに、加熱ヒータ61,62を用いて、基板1,1、すなわちその金属領域201及び204を加熱する。金属領域201,204が銅である場合には、本願発明を用いることで、金属領域201,204の温度を、従来より低い、摂氏250度以下として還元処理を行う。還元処理中の温度は、より好ましくは摂氏220度以下、より好ましくは摂氏200度以下、さらには摂氏150度としてもよい。
上記温度に維持された金属領域201,204に対して、ガス照射源40から反応ガス101を放射する。これにより金属領域表面の酸化物層202を照射(図4A)することで、この反応ガス101が当該酸化物層202を還元する。この還元作用により、酸化物層202内の酸素を金属から分解して、酸化物層202から除去すると、酸化物層202中にあった金属が、金属201の表面に析出して、あるいは凝集や拡散(焼結)して、金属微粒子203となって出現する(図4B)。
今日の科学的知見では仮説になるが、金属微粒子は、還元後又は還元中に酸素から分解された金属原子が、凝集や拡散(焼結)したものと考えられている。したがって、その大きさは、凝集や拡散(焼結)という化学反応に基づくものなので、温度と時間に応じて決定されると考えられる。この仮説に基づけば、金属微粒子203の大きさは、温度の変化に大きく影響されうる。金属微粒子203の大きさについては、後述する。
金属微粒子の形成を、有機酸としてギ酸(HCOOH)、処理対象の金属として銅を例にとり説明する。ギ酸ガスは、触媒反応により水素ラジカルとギ酸基とに分解され、これらを含む反応ガスが、その還元作用により、銅酸化物を効率よく分解して酸素を除去すると考えられている。
金属微粒子の形成は、次のような理由によるものと考えられる。例えば、Pt触媒を作用させたギ酸から生成した反応ガスを利用して銅の表面に形成された酸化物層を還元する場合、ギ酸はPt触媒によって分解され、水素ラジカルが発生する。銅の表面において、酸化物層は、再外層に形成されたCuOを主に含む層と、その下に形成されたCuOを主に含む層とから構成されるが、水素ラジカルによってCuOが減少する。そして、ギ酸基がCuOと反応して、銅のギ酸塩を形成する。この銅のギ酸塩が分解することにより、銅の微粒子が凝集(あるいは析出)する。なお、ギ酸がPt触媒によって分解されない場合には、水素ラジカルが発生せず、このような酸化物層における反応は進行しにくいと考えられる。これは、水素ラジカルによるCuOの除去が効率的に行われないためであると考えられる。この結果、金属微粒子が十分に形成されず、好ましい接合が得られなくなる。
表層のCuO膜が障害となり、ギ酸基とCuOが反応できないためだと考えられる。
これらのことから、ギ酸により還元される金属微粒子を効率よく形成するためには、CuOの表層にあるCuO膜を除去することが効果的である。Pt触媒により発生した水素ラジカルが、ギ酸基による還元反応に先立ち、このCuO膜を除去することにより、ギ酸による効率的な金属微粒子の形成が可能となる。
次に、ギ酸にPt触媒を作用させることで、金属領域である銅の表面に金属微粒子が効率的に形成される実験例を示す。図14(A)は、Pt触媒を作用させないギ酸ガスによって表面処理をした銅の表面の形態を示す電子顕微鏡による観察例である。一方、図14(B)は、Pt触媒を作用させたギ酸ガスから得た反応ガスによって表面処理をした銅の表面の形態を示す観察例である。図14(B)では、銅の金属微粒子が均一に形成されていることがわかる。このような表面形態を有する金属領域は、良好に接合させることができる。しかしながら、図14(A)では、このような金属微粒子は観察されていない。
これは、Pt触媒により分解したギ酸から発生した水素ラジカルが、ギ酸基による還元反応に先立ち、CuO膜を除去し、ギ酸による効率的な金属微粒子の形成が可能となったためであると考えられる。
また、水素ラジカルの作用によって、銅の酸化物層の表層部に存在するCuOが除去されることは、次の実験結果からもわかる。図15は、XPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy)解析による、銅の表面状態の測定結果である。図15(A)は、表面処理を行う前の銅表面の解析結果である。図15(B)は、Pt触媒を作用させたギ酸ガスから得た反応ガスによって表面処理を行った銅表面の解析結果である。この結果を見ると、反応ガスによる表面処理を行った図15(B)では、CuOが減少していることがわかる。
また、接合する他方の基板1の金属領域204に対しても、同様の還元処理を行う。両基板1,1の金属領域201,204に対する還元処理を、ほぼ同時に行ってもよい。
接合対象である両基板1,1の金属領域201,204に対する還元処理が完了した後、ガス照射源移動機構80を駆動させて、ガス照射手段40を基板1,1の間の空間から側方へ退避させる。これに続き、上記基板昇降機構34を用いて、基板1,1同士を近づけ、金属微粒子203を表面に有する金属領域204を、金属領域201に接触させ、必要に応じて押圧する(図4C)。
図4の例では、金属領域201の表面に金属微粒子03を析出させてから金属領域(201,204)同士を接合する手法を説明している。一方、接合と金属微粒子の析出とを同時に行うようにしてもよい。
先述のように、Pt触媒によって分解されたギ酸の還元作用によって、銅の表面において、銅のギ酸塩が形成される。この状態で金属領域の表面を接触させ、さらに金属領域の接合時に冷却段階を経ることにより、金属領域が接触した状態で金属微粒子の析出が起こる。金属領域の表面は完全な平面ではなく、表面同士を接触させた場合に空隙が生じると考えられるが、この空隙に銅の微粒子が析出すると考えられる。このような作用により、金属領域動詞が接合される。
基板1,1の金属領域201,204同士を所定の精度で接合するために、接合前あるいは接合中に、これらの位置決め動作を行ってもよい。金属領域201,204間の位置決めには、基板1,1上に設けられた所定の特徴を同時に光学的に測定してその位置関係を計算して、基板1,1間の位置関係を所定の位置関係にするように、上部及び下部基板支持板31,32を相対的に移動させるようにしてもよい。
このように、金属領域201,204を接触させ、更に必要に応じて加圧することにより、金属微粒子203を挟んで金属領域201,204が接合された構造を得ることができる(図4D)。この状態では、加圧しても、微粒子間にある隙間は十分には消滅せず、所望の接合界面の電気的特性(電気伝導度、電気抵抗など)あるいは機械的特性(引張接合強度、せん断接合強度など)を得ることは困難であると考えられている。
そこで、接合された状態で更に加熱することにより、金属原子の拡散を促進させて、金属微粒子203を焼結させることができる。この焼結現象により、金属微粒子203間の隙間は埋り、微結晶からなる多結晶体となる(図4E)。このようにして得られた金属領域201,204の接合界面は、十分な電気的特性と機械的特性とを有する。
なお、この接合状態での加熱の際に、基板昇降機構34を駆動させて、基板1,1を押圧してもよい。これにより、金属微粒子203の隙間をより効率的に埋めることができる。
本発明に係る接合方法により得られた基板接合体210は、金属領域201,204の接合界面に微結晶205を有するものである(図4E)。当該微結晶は、後述のように、直径又は最大寸法が100nm以下であり、数十nm以下であっても良く、50nmであることが好ましい。接合前の微粒子203の大きさに応じて、接合時の加熱温度、時間、加圧などを設定してもよい。例えば、接合前の微粒子203の粒径が小さい程、接合時の加熱温度を低く設定することができる。
上記実施形態の説明及び後述の実施例では、接合する両基板の表面に対して還元処理を行っているが、これに限られない。たとえば、接合する基板の片方のみに還元処理を行い、その金属表面に金属微粒子を形成させてもよい。一方の基板のみに金属微粒子が形成され、他方の基板に金属微粒子が形成されていない場合でも、接合工程での加熱を適切に行うことにより金属原子を拡散、凝集させ、焼結等により金属微粒子を成長させて、緊密な接合界面を形成することができる。
また、基板同士の接合面の形態として、次の形態も考えられる。金属微粒子が形成された金属領域の表面の高さを、基板の表面より高く形成することを含んでもよく、金属領域の表面同士を接触させるとき、金属領域以外の基板表面同士を接触させることを含んでもよい。ここで、金属領域以外の基板表面とは、非金属領域の表面を含む基板表面を意味する。
このような構成とすることにより、金属微粒子が加圧、焼結されることに伴い、収縮するため、金属領域の全面が確実に接合され、より確実に電極の接合ができる。
<実施例>
以下、上記のように行った、銅の表面還元処理、銅同士の接合過程、及び接合界面の特性について、詳細に説明する。
<表面の顕微鏡観察>
図5は、本実施例で用いた銅の還元処理前の状態を示す走査型電子顕微鏡写真であり、この表面は平坦である。
図6は、有機酸ガスとしてギ酸ガスを用い、これを触媒を全く用いることなく、摂氏200度に維持された銅表面に照射した後の、当該銅表面の状態を示す走査型電子顕微鏡写真である。銅表面には、銅の微粒子が確認されたが、その密度は極めて低かった。
図7は、本発明に一実施形態に係る還元処理を行った後の銅表面の状態を示す走査型電子顕微鏡写真である。この場合、有機酸ガスとしてギ酸ガスを用い、摂氏200度に維持された白金(Pt)触媒を通して反応ガスを生成し、これの反応ガスで、摂氏200度に維持された銅表面を照射した。図7が示すように、当該還元処理後の銅表面には、直径、又は最大寸法が100nm程度又はそれ以下の微粒子が、多数、高い密度で存在していることが観察された。また、図7は、最大寸法が100nm以上の大きい銅の微粒子も確認された。これらの大きい銅の微粒子は、最大寸法が200から300nm程度であり、鎖状に並んで形成され、一部は繋がって形成されている。大きい銅粒子の存在その近傍で銅原子の拡散が促進され、銅粒子の成長速度を高めたことを示唆していると考えられる。そして、これらが連結されていることは、銅粒子が互いに接触する程度に成長し、接触した後は焼結が生じたことを示唆していると考えられる。さらに、大きい銅粒子が鎖状に並んで形成されたことは、銅結晶の粒界に沿って原子(表面)拡散が生じ、より微粒子の成長速度が促進されたことを示唆していると考えられる。
<表面の化学状態>
上記図5、図6及び図7に示す銅表面の化学状態を、XPS(X−ray photoelectron spectroscopy, X線光電子分光)により調べた結果を、図8及び図9に示す。図8及び図9は、それぞれ、O1sレベル近傍の結合エネルギーでのスペクトル及びCuLMMレベル近傍の結合エネルギーでのスペクトルを示している。また、図8及び図9においては、図5、図6及び図7に示す銅表面から得られたデータを、それぞれ、「未処理」、「触媒無し」及び「白金触媒有り」として示している。
図8及び図9のXPS分析から、「未処理」の銅表面に対して、「触媒無し」でギ酸ガスを直接照射した銅表面では、酸化銅が減っていることが認められるが、一部で酸化銅の存在が観察された。しかし、「触媒有」の銅表面では、この「触媒無し」銅表面に対しても、酸化銅の量が極めて減少し、当初「未処理」の銅表面に存在した酸化銅が、効率良く還元されていることが、確認された。このように、本発明に係る表面処理方法を適用することで、銅表面の酸化物を効率よく還元して、すなわち酸素を除去し、清浄な銅の表面を形成することができる。
本実施例では、金属として銅を、有機酸としてギ酸を用いているが、これに限られない。他の金属に対してもギ酸を適用し、若しくは他の有機酸を銅又はその他の金属に対して適用しても、所望の表面状態と接合界面を形成することはできる。
<接合界面の微細構造>
上記銅表面の還元処理を行った一対の銅表面を接触、加熱加圧して、接合を行った。接合界面の透過型電子顕微鏡写真による微細構造を示すのが図10と図11である。
図10は、図6に示す、触媒を用いずにギ酸ガスを直接、摂氏200度に加熱した銅表面に放射して還元処理を行った銅表面を、一対準備し、これらを接触させ、摂氏200度、1500N(330MPaに相当)で120分維持することで、形成した接合界面301の透過型電子顕微鏡写真を示す。この接合界面301には、多くの空隙が存在していることが分かる。空隙は、銅表面の表面粗さに起因するものであるが、図8においては、この空隙が、上記の摂氏200度、1500N(330MPaに相当)で120分間、加熱加圧した接合条件でも、消滅していない。このように空隙が多く存在する接合界面は、電気伝導度が小さく(電気抵抗が大きく)、接合強度が小さく、望ましくない。
なお、図10に示す接合界面近傍には、銅の微結晶粒の存在は確認されなかった。
図11は、図7と同様に、摂氏200度に加熱した銅表面に放射して還元処理を行った銅表面を、一対準備し、この一対の銅表面を接触させ、摂氏200度、1500N(330MPaに相当)で120分維持することで、形成した接合界面301の透過型電子顕微鏡写真を示す。
図11に示す透過電子顕微鏡写真から明らかなように、接合界面の位置はおおよそ特定することができるものの、図10のようにその位置を正確に特定することはできなかった。そして、その接合界面近傍の領域には、多数の微細な微結晶の存在が観察された。これらの大多数の微結晶の粒径又は最大寸法は100nm以下であった。観察された微結晶のうち、多くの微結晶の粒径又は最大寸法は50nm以下であった。
上記図7で見たように、銅微粒子の寸法は、温度に大きく依存し、原子の拡散速度と時間に比例して大きくなると考えられる。そして、銅の原子の拡散は、温度と時間の長さにも比例するが、主に温度によって大きく影響される。図11の接合界面が、摂氏200度での接合過程を経た状態であることを考慮すれば、接合前、すなわち還元処理後の銅表面に存在していた銅粒子は、図11に見られた銅の結晶粒の寸法より小さかったはずである。
次に、図12及び図13を参照して、図10に示す接合界面(左側)と、本発明の一実施例に係る接合方法により形成された、図11に示す接合界面(右側)とについて、測定された接触抵抗(図12)と、せん断強度(図13)について、説明する。
<接合界面の電気的特性>
図12に示す接触抵抗は、900μm(30μm×30μm)の接合界面について測定された接触抵抗である。図12に示すように、触媒を用いずにギ酸ガスを直接照射して還元処理した表面を接合して形成された接合界面(図10の接合界面)は、比較的高い接触抵抗を示したのに対して、本発明の一実施例に係る接合方法により形成された接合界面(図11の接合界面)は、0.2mΩ以下であって、比較的小さい接触抵抗を示した。
このように、本発明の一実施例に係る接合方法によれば、電気的抵抗の比較的小さい接合界面を形成することができる。
<接合界面の機械的特性>
図13に示すせん断強度は、図12と同様の900μm(30μm×30μm)の接合界面について測定されたせん断強度ある。図13に示すように、触媒を用いずにギ酸ガスを直接照射して還元処理した表面を接合して形成された接合界面(図10の接合界面)は、比較的小さいせん断強度を示したのに対して、本発明の一実施例に係る接合方法により形成された接合界面(図11の接合界面)は、比較的大きいせん断強度を示した。破壊後の破面を観察すると(図示せず)、破壊が接合界面に沿って起きたのではなく、むしろ、銅のバルク内で破壊していることから、本接合界面は、バルクの破壊強度より高い接合強度を有しているといえる。
このように、本発明の一実施例に係る接合方法によれば、接合強度の比較的大きい接合界面を形成することができる。
なお、上記実施例では、基板の温度を、還元工程は摂氏200度に、接合工程では摂氏200度に設定されて、良好な接合界面を形成することができた。そこで以下、還元工程と接合工程での加熱温度の役割について述べる。
もし上記実施例において還元工程の温度を摂氏200度では、図7に示すような数十nmから数百nm程度の寸法の金属微粒子が、接合前の金属表面に出現するが、摂氏150度では、金属微粒子の寸法が小さくなることが発明者らにより観察されている。このように、還元工程での温度を低くすると、接合前の金属表面の金属微粒子の寸法が小さくなり、還元工程での温度を高くすると、接合前の金属表面の金属微粒子の寸法が大きくなる。接合前の金属微粒子が大きい場合、加熱又は加圧がないと、接触時に金属表面同士が密着しないことが考えられる。また、接触時に生じる界面での金属微粒子間の空隙が大きくなり、大きい空隙を埋めるために、加熱により加える熱エネルギーを増加する必要、すなわち、接合温度を大きくする必要がある。その一方で、上述のとおり、温度を大きくすることで、金属表面での原子拡散が促進され、金属微粒子の焼結を容易にする。これらのことに鑑みれば、還元工程においては、すなわち、接触時又は接触前においては、金属表面に存在する金属微粒子の大きさは小さくすることが好ましく、接合工程においては、金属微粒子の焼結を促進させることが好ましい。このことから、還元工程での基板温度は、還元が十分にされていることを条件に、比較的低くし、接合工程での基板温度は比較的高くすることが好ましい。言い換えれば、還元工程での基板温度を接合工程での基板温度より低く、又は接合工程での基板温度を還元工程での基板温度より高くすることが好ましい。
また、上述のとおり、本発明の接合方法によれば、接合工程での基板の温度(接合温度)を摂氏200度において、優れた界面特性を有する接合界面を形成することができる。この実験から明らかなように、本発明の接合方法によれば、接合工程に、従来ギ酸ガスを熱分解させるのに必要だった摂氏280度という高温度は必要ない。摂氏250度又はそれ以下でも十分な接合界面を得ることで、接合工程での加熱温度を低くすることができる。
例えば、接合温度は、摂氏220度又はそれ以下に設定されてもよい。これにより、たとえば、電極等に用いられるスズ(Sn、融点摂氏232度)のような比較的低い融点の金属材料においても、融解させずに還元処理を行うことができる。
また、接合温度は、摂氏200度又はそれ以下に設定されてもよい。半導体の熱疲労温度は、技術の進歩に伴い、摂氏200度又はそれ以下になると考えられている。したがって、摂氏200度以下の基板温度で処理することにより、半導体の熱疲労を低く抑えることができる。
さらに、本発明を適用することにより、還元処理及び接合を、基板温度を摂氏150度以下で行うことができる。近い将来、上記半導体の熱疲労温度は、摂氏175度になると考えられている。したがって、熱疲労温度を含め、将来低くなる熱処理温度によるプロセスへの制限にも対応することができる。
このように、本発明により、良好な接合界面を効率的に形成しつつも、接合工程での低温化を推し進めることができる。
<変形例>
なお、還元工程で、微粒子を形成する前に、金属領域の表面に酸化膜を形成するようにしてもよい。これにより、微粒子を形成する加熱還元処理の前に、意図的に酸化膜を形成することで、微粒子の形成前の酸化膜の状態を制御することができるので、微粒子の量を適切に制御し、微粒子形成を効率よく、均一にすることができる。
上記酸化膜の形成方法として、金属領域表面に対して、酸素又は酸素を含む物質のプラズマを放射し、又は酸素又は酸素を含むガスのエネルギー粒子を放射することを行ってもよい。このような熱及び/又は運動エネルギーを有する粒子で金属領域表面を照射することにより、自然酸化膜や汚染物質を除去することができ、除去により現れた金属の新生表面上に酸素等の粒子の衝突により酸化膜を均一に形成させることができる。また別の酸化膜の形成方法として、熱酸化処理を行ってもよい。酸化膜形成の方法として上記の方法を適用することで、形成される酸化膜の性質、量、均一性などをより適切に制御することができる。しかし、後で行われる還元工程及び接合工程により、最終的に所望の接合界面を得られるのであれば、その他の酸化性質の形成方法を用いてもよい。
また、高速原子ビーム源(FAB)を用いて、金属領域表面にエネルギー粒子を照射することにより、例えば、銅の表面に形成された酸化物層のCuOを効率的に除去することができる。このため、高速原子ビーム源(FAB)を作用させたのちに、ギ酸による還元処理を行うことで、より効率的に金属微粒子を形成することができる。
また、高速原子ビーム源(FAB)に代えて、IG(イオンガン)を使用してもよい。
また、金属領域表面の酸化物層は、例えば、金属領域の表面に水ガスを含む水蒸気が接触する状態で加熱をすることにより形成してもよい(以下、熱処理と称する)。金属領域を銅とすると、一般的に、金属領域の表面において、酸化物層は、再外層に形成されたCuOを主に含む層と、その下に形成されたCuOを主に含む層とから構成されると考えられる。熱処理により、酸化物層の厚さは増加するが、CuOを主に含む層の厚さが増加することが主な要因であると考えられている。このような現象は、上記の熱処理で特に顕著である。CuOを主に含む層の厚さが、熱処理によって増加することにより、金属微粒子が好ましく形成される。
また、エネルギー粒子を照射した後に、水ガスを放射することで、CuOを主に含む層の厚さを増加させることができるという利点がある。再外層に形成されたCuOを主に含む層が効率的にCuOに変換されることで、その下のCuOを主に含む層と併せて、CuO層の厚さが増加すると考えられる。これにより、CuOに起因する金属微粒子が好ましく形成される。
この場合、例えば、高速原子ビーム源(FAB)によるエネルギー粒子の照射の後に、熱処理を行い、その後、高速原子ビーム源(FAB)によるエネルギー粒子の照射、又はPt触媒を作用させたギ酸から生成した反応ガスを利用した還元処理を工程に含む方法を採用することが好ましい。
以上、本願発明の幾つかの実施形態及び実施例について説明したが、これらの実施形態及び実施例は、本願発明を例示的に説明するものである。
上記実施形態及び実施例では、金属領域表面上に金属微粒子を形成する一手法として、主に白金触媒を通したギ酸ガスを適用したが、その他の有機酸ガスと触媒を用いてもよい。また、ガスは有機酸に限らない。さらにまた、上記実施形態及び実施例では、金属領域表面上に金属微粒子を形成する一手法として、ガスを基板表面に適用する、いわゆるドライ(乾式)プロセスを用いて説明したが、ウェット(湿式)プロセスであってもよい。還元性の液体又は分散媒体の中に金属領域を有する基板を含浸させることで、金属領域表面に金属微粒子を形成させてもよい。
また、特許請求の範囲は、本願発明の技術的思想から逸脱することのない範囲で、実施の形態に対する多数の変形形態を包括するものである。したがって、本明細書に開示された実施形態及び実施例は、例示のために示されたものであり、本願発明の範囲を限定するものと考えるべきではない。また、各実施形態で説明した態様は、実施形態間で矛盾がない限り、他の実施形態に適用することができる。
1 基板
4 金属領域
5 非金属領域
10 基板接合装置
20 筐体
24 開口
25 通気弁
31 上部基板支持板
32 上部基板支持板
34 基板昇降機構
40 ガス照射源
41 ガス管
48 貫通孔
50 ガス通路
55 触媒
56 触媒ヒータ
57,58 ガス放射口
61,62 加熱ヒータ
80 ガス照射源移動機構
90 有機酸ガス源
201,204 金属領域
202 酸化物層
203 金属微粒子
205 微結晶
220 基板接合体

Claims (20)

  1. 金属領域を有する一対の基板を接合する方法であって、
    少なくとも一方の前記基板の前記金属領域の表面に対して加熱還元処理を行って、前記金属領域の表面に金属微粒子を形成させ、
    前記金属微粒子が形成された金属領域の表面同士を接触させて加熱して、基板を接合させる、
    基板接合方法。
  2. 前記金属領域の表面に金属微粒子を形成させることは、
    有機酸ガスを前記金属領域の表面に対して放射して、金属領域の表面を還元することを含む、請求項1に記載の基板接合方法。
  3. 前記金属領域の表面に金属微粒子を形成させることは、
    触媒を用いて有機酸ガスを分解して分解ガスを生成し、
    前記分解ガスを前記金属領域の表面に対して放射して、金属領域の表面を還元することを含む、請求項2に記載の基板接合方法。
  4. 少なくとも一方の前記基板の前記金属領域の表面に、運動エネルギーを有する粒子を照射し、その後、前記加熱還元処理を行う、請求項1から3の何れかに記載の基板接合方法。
  5. 前記金属領域は銅で形成され、
    前記有機酸ガスはギ酸を含み、
    前記触媒は白金(Pt)からなる、
    ことを特徴とする、請求項3又は4に記載の基板接合方法。
  6. 前記接合における加熱温度は摂氏250度以下である、請求項1から5のいずれか一項に記載の基板接合方法。
  7. 前記接合における加熱温度は摂氏220度以下である、請求項1から5のいずれか一項に記載の基板接合方法。
  8. 前記接合における加熱温度は摂氏200度以下である、請求項1から5のいずれか一項に記載の基板接合方法。
  9. 前記接合における加熱温度は摂氏150度以下である、請求項1から5のいずれか一項に記載の基板接合方法。
  10. 前記加熱還元処理における金属領域の温度は、前記接合での金属領域の加熱の温度よりも低い、請求項1から9のいずれか一項に記載の基板接合方法。
  11. 前記微粒子を形成する前に、前記金属領域の表面に酸化膜を形成する、請求項1から10のいずれか一項に記載の基板接合方法。
  12. 前記酸化膜を形成することは、
    前記金属領域表面に対して、
    酸素又は酸素を含む物質のプラズマを放射すること、
    酸素又は酸素を含むガスのエネルギー粒子を放射すること、
    水ガスを放射すること、及び
    熱酸化処理を行うこと、
    の少なくとも一つを含むことを含む、請求項11に記載の基板接合方法。
  13. 前記微粒子の直径又は最大幅の平均が、100nm以下である、請求項1から12のいずれか一項に記載の基板接合方法。
  14. 前記金属微粒子が形成された金属領域の表面の高さを、前記基板の表面より高く形成することを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の基板接合方法。
  15. 前記金属領域の表面同士を接触させるとき、前記金属領域以外の基板表面同士を接触させることを含む、請求項14に記載の基板接合方法。
  16. 金属からなる金属領域を表面に有する一対の基板の接合体において、
    前記金属領域間の接合界面は、直径又は最大幅の平均が100nm以下の多結晶を含む、基板接合体。
  17. 前記金属は銅である、請求項16に記載の基板接合体。
  18. 前記金属領域間の接合界面の接合強度は、金属領域を形成する材料のバルク破壊強度とほぼ同一である、請求項16又は17に記載の基板接合体。
  19. 前記金属領域間の接合界面の接触抵抗は、一対の前記金属領域の表面に対して有機酸ガスを触媒を介さずに適用して還元処理を行った後に前記一対の金属領域の表面を接合することで形成された接合界面の接触抵抗と比較して、小さい、請求項16から18のいずれか一項に記載の基板接合体。
  20. 前記金属領域間の接合界面の接触抵抗は、900μmの接合界面において0.2mΩ未満である、請求項16から19のいずれか一項に記載の基板接合体。
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