(第1実施形態)
以下、図1〜図5を参照して、この発明を腕時計に適用した第1実施形態について説明する。
この腕時計は、図1に示すように、腕時計ケース1を備えている。この場合、図1は、腕時計ケース1を上下反転させた状態を示した断面図である。
この腕時計ケース1の表面側に位置する下部開口部には、図1に示すように、ガラス2がパッキン2aを介して取り付けられている。この腕時計ケース1の裏面側に位置する上部には、裏蓋3が防水リング3aを介して取り付けられている。また、この腕時計ケース1の内部には、時計モジュール4が設けられている。
この時計モジュール4は、図1に示すように、ハウジング5を備えている。このハウジング5は、中枠6によって腕時計ケース1内に組み込まれるように構成されている。このハウジング5の表面である下面には、文字板7が取り付けられている。また、このハウジング5の内部には、時計ムーブメント(図示せず)が設けられている。
この時計ムーブメントは、図1に示すように、文字板7の貫通孔7aから表面側の下側に突出する指針軸8と、この指針軸8の先端である下端部に取り付けられた指針9と、を備えている。これにより、時計ムーブメントは、指針軸8を回転させて、指針9を文字板7の表面側である下側で運針させることにより、時刻を指示表示するように構成されている。
また、ハウジング5の裏面である上面には、図1に示すように、回路基板10が押え板11によって取り付けられている。この場合、回路基板10には、時計機能に必要な各種の電子部品が搭載されている。また、裏蓋3の内面(図1では下面)には、圧電素子12が設けられている。この圧電素子12は、電圧が印加された際に振動し、この振動によってアラーム音を発生するように構成されている。
ところで、圧電素子12と回路基板10とを電気的に接続する接続構造は、図1および図2に示すように、導電性を有するコイルばね13を備えている。このコイルばね13は、回路基板10と裏蓋3の圧電素子12との間に配置され、一端部(図2では上端部)が圧電素子12の電極端子12aに弾接し、他端部(図2では下端部)が回路基板10の接続電極10aに弾接するように構成されている。
すなわち、このコイルばね13は、図2〜図4に示すように、一端部(図2では上端部)が圧電素子12の電極端子12aに弾接する本体部14と、この本体部14の他端部(図2では下端部)に設けられて回路基板10の接続電極10aに弾接する保持部15と、を備えている。本体部14は、導電性を有する金属線をコイル状に巻いた円筒状のコイル部に形成されている。
図4(a)はそのコイルばね13を裏蓋3側から見た拡大平面図であり、図4(b)はそのコイルばね13を回路基板10側から見た拡大底面図である。保持部15は、図4(a)および図4(b)に示すように、長方形の両端部を半円形状に形成したものであり、その両端部に本体部14の外周よりも側方に突出する半円形状の各突起部15aがそれぞれ形成された構成になっている。すなわち、この保持部15は、その長手方向に対して直交する方向の長さが本体部14の外径のほぼ半分程度の長さに形成されている。
また、この保持部15は、図4(a)および図4(b)に示すように、本体部14の外周よりも側方に突出する半円形状の各突起部15aが、本体部14の外周に対称な状態で形成されている。すなわち、この保持部15は、本体部14の中心軸を通る直線に対して、線対称に形成されている。これにより、保持部15の各突起部15aは、その各外端部が本体部14の中心軸を中心とする同一円上に位置するように形成されている。
さらに、この保持部15は、図4(a)および図4(b)に示すように、本体部14の金属線を本体部14の下端部から延出させ、この延出した金属線をクリップ形状に折り曲げて連続形成した構成になっている。これにより、コイルばね13は、1本の金属線をコイル状に巻いて本体部14を形成し、この本体部14の下端部から連続して延びる1本の金属線をクリップ形状に折り曲げて保持部15を形成するように構成されている。
また、この接続構造は、図2に示すように、回路基板10の裏面側に位置する上面に、押え板11によって押え付けられるスペーサ部材16を備えている。このスペーサ部材16は、第1シート17と第2シート18とを重ね合わせた構成になっている。第1シート17には、図5に示すように、本体部14が挿入する第1挿入部20aと、保持部15の各突起部15aが通過する第2挿入部20bと、を有する第1孔20が設けられている。
この第1孔20の第1挿入部20aは、図2、図3および図5に示すように、本体部14の外形と同じ円形状に形成されている。第2挿入部20bは、それぞれ保持部15の各突起部15aの外形と同じ半円形状に形成されている。これにより、第1孔20は、円形状の第1挿入部20aの外周に半円形状の第2挿入部20bが連続して形成された構成になっている。
この場合、第1孔20は、コイルばね13と同様、第2挿入部20bが第1挿入部20aの外周に対称な状態、つまり第1挿入部20aの中心軸を通る直線に対して、線対称に形成されている。このため、第1孔20は、保持部15の各突起部15aを第2挿入部20bに対応させた状態で、コイルばね13が挿入するように構成されている。
一方、第2シート18には、図3および図5に示すように、保持部15が第2シート18の面方向に沿って回転可能に配置される第2孔21が、第1孔20に対応して設けられている。この第2孔21は、保持部15の両側に位置する各突起部15aの外端部が本体部14の中心軸を中心として、第2シート18の面方向に沿って回転する大きさの円形状に形成されている。
この場合、第2孔21は、図3および図5に示すように、その円形状の中心が第1シート17の第1孔20の中心と一致するように形成されている。また、この第2孔21は、その円形状の内周面が第1孔20における第2挿入部20bの先端部に位置する内端面と一致するように形成されている。このため、第2孔21は、その内部にコイルばね13の保持部15が配置された際に、図2および図3に示すように、保持部15の各突起部15aの外端が第2孔21の内周面に接近または接触するように形成されている。
これにより、コイルばね13は、図2および図3に示すように、本体部14が第1シート17の第1孔20内に挿入され、保持部15が第2シート18の第2孔21内に配置されるように構成されている。また、このコイルばね13は、保持部15が第2孔21内に配置された状態で、第2シート18の面方向に沿って回転すると、第1シート17に設けられた第1孔20の第2挿入部20bに対する保持部15の各突起部15aの位置がずれるように構成されている。
このため、このコイルばね13は、図2および図3に示すように、第1孔20の第2挿入部20bに対する保持部15の各突起部15aの位置がずれた際に、各突起部15aが第1孔20の縁部に位置する第1シート17と回路基板10との間に挟まるように構成されている。これにより、コイルばね13は、その本体部14が回路基板10に対してほぼ垂直に起立した状態で、安定して保持されるように構成されている。
この場合、回路基板10をハウジング5に押え付ける押え板(地板)11はステンレスなどの金属を含むため、押え板11には、図2に示すように、コイルばね13の本体部14が接触することなく挿入する挿入孔11aが上下に貫通して設けられている。すなわち、この挿入孔11aは、第1シート17の第1孔20における第1挿入部20aの内径よりも大きく、かつ第2シート18の第2孔21の内径よりも小さい円形状に形成されている。
また、この押え板11は、図2に示すように、スペーサ部材16を介して回路基板10をハウジング5に押え付けた状態で、図1に示すように、押え板11の外周縁に設けられたフック部11bが、ハウジング5の外周面に設けられた係止突起部5aに係止されることにより、ハウジング5に取り付けられるように構成されている。
次に、このような腕時計の作用について説明する。
この腕時計の接続構造を腕時計ケース1に組み付ける場合には、予め、回路基板10にスペーサ部材16を取り付ける。このときには、まず、第1孔20が形成された第1シート17と、第2孔21が形成された第2シート18と、を重ねて貼り合わせて、スペーサ部材16を形成する。
この場合、第1シート17と第2シート18とを重ねて貼り合わす際には、図2、図3および図5に示すように、第1シート17の第1孔20の中心と第2シート18の第2孔21の中心とを一致させて、第1孔20における第2挿入部20bの先端部に位置する内端面と第2孔21の円形状の内周面とを一致させ、この状態で第1シート17と第2シート18とを重ねて貼り合わせる。これにより、スペーサ部材16が形成される。
そして、このスペーサ部材16を回路基板10の裏面側である上面に貼り付ける。このときには、第1シート17の第1孔20と第2シート18の第2孔21とを回路基板10の接続電極10aに対応させ、この状態でスペーサ部材16の第2シート18を回路基板10の上面に貼り付ける。これにより、回路基板10の上面に第2シート18の第2孔21が位置し、この第2孔21の上側に第1シート17の第1孔20が位置する。
この状態で、コイルばね13をスペーサ部材16に取り付ける。このときには、コイルばね13における保持部15の両端に位置する各突起部15aを第1シート17の第1孔20の第2挿入部20bに対応させ、この状態で第1シート17の上方から保持部15を第1孔20に挿入して通過させる。すると、保持部15が第2シート18の第2孔21内に配置されて、回路基板10の接続電極10aに接触し、コイルばね13の本体部14の下部が第1孔20の第1挿入部20a内に配置される。
この状態で、コイルばね13を90度回転させる。すると、保持部15が第2シート18の第2孔21内において第2シート18の面方向に90度回転し、第1シート17の第1孔20の第2挿入部20bに対して保持部15の各突起部15aが90度ずれた位置に移動する。このときには、保持部15の各突起部15aが回路基板10と第1シート17との間に挟まれる。このため、保持部15がコイルばね13を回路基板10上に起立させた状態で安定して保持する。
そして、このコイルばね13が取り付けられた回路基板10をハウジング5に押え板11によって取り付ける。この場合には、予め、ハウジング5内に時計ムーブメントを組み付けて、ハウジング5の下面に文字板7を取り付ける。この状態で、押え板11を回路基板10上のスペーサ部材16の上面に配置する。このときには、スペーサ部材16の上方に突出したコイルばね13の本体部14を押え板11の挿入孔11aに挿入させて、押え板11をスペーサ部材16上に配置する。
この状態で、スペーサ部材16を介して回路基板10を押え板11によってハウジング5に押え付け、ハウジング5の側面を介して押え板11の外周縁に設けられたフック部11bを、ハウジング5の外周面に設けられた係止突起部5aに係止する。これにより、コイルばね13が取り付けられた回路基板10がハウジング5に取り付けられる。
この場合には、押え板11によってスペーサ部材16の第1シート17と第2シート18とが回路基板10に押え付けられる。このため、コイルばね13の保持部15の各突起部15aが回路基板10と第1シート17との間に強固に挟み付けられるので、コイルばね13が回路基板10上に起立して、より一層、安定した状態で確実に保持される。
そして、時計ムーブメントの指針軸8に指針9を取り付けた後、ハウジング5を中枠6に取り付け、この中枠6を介してハウジング5を腕時計ケース1内に組み付ける。この状態で、腕時計ケース1に裏蓋3を取り付ける。すると、裏蓋3の内面に設けられた圧電素子12の電極端子12aにコイルばね13の上端部が弾接する。
すなわち、腕時計ケース1に裏蓋3が取り付けられると、この裏蓋3と回路基板10との間にコイルばね13が圧縮された状態で配置される。これにより、コイルばね13の本体部14の上端部が裏蓋3の圧電素子12の電極端子12aに弾接し、コイルばね13の保持部15が回路基板10の接続電極10aに弾接する。このため、圧電素子12と回路基板10とがコイルばね13によって電気的に接続される。
このように、この腕時計の接続構造によれば、回路基板10と圧電素子12との間に配置され、上端部が圧電素子12の電極端子12aに弾接する本体部14、およびこの本体部14の下端部に本体部14の外周よりも側方に突出する突起部15aが形成されて回路基板10の接続電極10aに弾接する保持部15を有するコイルばね13と、回路基板10に配置されて本体部14が挿入する第1挿入部20a、保持部15の突起部15aが通過する第2挿入部20bを有する第1孔20、および保持部15が回路基板10の面方向に回転可能に配置される第2孔21を有するスペーサ部材16と、を備えているので、簡単な構造で、腕時計全体の薄型化を図ることができる。
すなわち、この腕時計の接続構造では、コイルばね13の本体部14をスペーサ部材16の第1孔20内に挿入し、コイルばね13の保持部15をスペーサ部材16の第2孔21内に配置し、この状態でコイルばね13を回路基板10の面方向に回転させることにより、スペーサ部材16の第1孔20の第2挿入部20bに対する保持部15の各突起部15aの位置をずらすことができるので、コイルばね13の保持部15における両端の各突起部15aを回路基板10とスペーサ部材16の第1孔20の縁部との間に挟み付けることができる。
これにより、この接続構造では、コイルばね13を回路基板10上に安定した状態で起立させることができ、このコイルばね13によって回路基板10の接続電極10aと圧電素子12の電極端子12aとを確実にかつ良好に電気的に接続することができる。このため、コイルばね13を別部品の保持部材などで保持する必要がないので、構造が簡単になり、部品点数を削減することができると共に、別部品の保持部材などを回路基板10と圧電素子12との間に設置する必要がないので、接続構造の厚みを薄くすることができ、これにより腕時計全体の薄型化を図ることができる。
この場合、スペーサ部材16は、第1孔20が設けられた第1シート17と、第2孔21が設けられた第2シート18と、を有し、第1孔20と第2孔21とを対応させた状態で、第1シート17と第2シート18とを重ね合わせた構成であるから、スペーサ部材16の構造が簡単で、スペーサ部材16を容易に製作することができると共に、スペーサ部材16の薄型化をも図ることができる。すなわち、スペーサ部材16を合成樹脂製の1枚のパネルで形成する場合には、第1孔20と第2孔21との形状が異なるため、金型の製作が面倒で、金型費用が高くなるばかりか、厚みも厚くなる。
これに対して、この実施形態のスペーサ部材16では、第1シート17に第1孔20を打ち抜き加工によって簡単に製作することができ、また第2シート18に第2孔21を打ち抜き加工によって簡単に製作することができ、これら第1シート17と第2シート18とを重ね合わせて貼り合わせるだけで良いので、第1孔20と第2孔21との形状が異なっていても、スペーサ部材16を容易に製作することができると共に、スペーサ部材16の厚みを薄くすることができる。
また、この接続構造では、コイルばね13の本体部14の外周から突出する保持部15の各突起部15aが、本体部14の外周に対称な状態、つまり本体部14の中心軸を通る直線に対して線対称に形成されているので、保持部15をスペーサ部材16の第2孔21内で回転させて、スペーサ部材16の第1孔20の第2挿入部20bに対する保持部15の各突起部15aの位置をずらした際に、各突起部15aを第1孔20の外周に対称な状態で配置することができる。
このため、この接続構造では、スペーサ部材16の第1孔20の第2挿入部20bに対する保持部15の各突起部15aの位置がずれた際に、保持部15の各突起部15aが本体部14の外周に対称な状態で、回路基板10とスペーサ部材16の第1シート17との間に挟み付けられるので、保持部15の両側に位置する各突起部15aによって、コイルばね13を回路基板10上に、より一層、安定した状態で、バランス良く確実にかつ良好に起立させることができる。
さらに、この接続構造では、回路基板10の接続電極10aと圧電素子12の電極端子12aとに弾接して電気的に接続する弾性部材として、コイルばね13を用い、このコイルばね13が本体部14と保持部15を有する構成であっても、導電性を有する1本の金属線で容易にコイルばね13を形成することができる。すなわち、本体部14を一本の金属線コイル状に巻き、この金属線の一端部をクリップ形状に折り曲げて保持部15を形成することができるので、コイルばね13を1本の金属線で簡単に形成することができる。
(第2実施形態)
次に、図6〜図8を参照して、この発明を腕時計に適用した第2実施形態について説明する。なお、図1〜図5に示された第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明する。
この腕時計は、図6〜図8に示すように、スペーサ部材16の第2孔30にコイルばね13の保持部15の回転位置を規制する位置規制部31を設けた構成であり、これ以外は第1実施形態とほぼ同じ構成になっている。
すなわち、スペーサ部材16の第2シート18には、図6〜図8に示すように、コイルばね13の保持部15が第2シート18の面方向に回転可能に配置される第2孔30が、第1シート17の第1孔20に対応して設けられている。この場合、第1孔20は、第1実施形態と同様、本体部14の外形と同じ円形状に形成された第1挿入部20aと、保持部15の両側に位置する各突起部15aの外形と同じ半円形状にそれぞれ形成された各第2挿入部20bとを有している。
第2孔30は、図8に示すように、第1シート17の第1孔20の第2挿入部20bに対応する個所の内周面が、第2挿入部20bの先端部に位置する内端面と一致する大きさの円形の一部の円弧で形成され、各第2挿入部20bに対応する個所から離れるに従って次第に円形が小さくなるように形成されている。すなわち、第2孔30は、第1孔20の第2挿入部20bに対応する個所の内周面の曲率半径が最も大きく形成され、第1孔20の第2挿入部20bに対応する個所から離れに従って次第に曲率半径が小さくなるように形成されている。
これにより、コイルばね13の保持部15は、図6に示すように、第1孔20の第2挿入部20bから第2孔30内に配置された状態で、第2シート18の面方向に回転して、保持部15の各突起部15aの先端が第2孔30の内周面に沿って移動する際に、第1孔20の第2挿入部20bに対応する個所から各突起部15aが離れるに従って、第2孔30の内周面によって徐々に押されて、保持部15が第2シート18の面方向に徐々に圧縮されることにより、保持部15の回転力が徐々に重くなるように構成されている。
また、この第2孔30の内周面には、図6〜図8に示すように、保持部15の回転位置を規制する位置規制部31が設けられている。この位置規制部31は、第1孔20の第2挿入部20bに対して保持部15が90度回転した際に、保持部15の各突起部15aが係合する半円形状の凹部に形成されている。すなわち、この位置規制部31は、第1孔20の第2挿入部20bに対して90度ずれた第2孔30の内周面の個所に、保持部15の各突起部15aとほぼ同じ大きさの半円形状に食い込んで形成されている。
この場合、位置規制部31は、図6〜図8に示すように、第2孔30の内周面から第2シート18の面方向に食い込む深さが、第1孔20の第2挿入部20bの先端部に位置する内端面と一致する大きさの円形上に位置するように形成されている。これにより、コイルばね13の保持部15は、第2孔21内で回転して、各突起部15aが位置規制部31に対応した際に、クリック感をもって各突起部15aが位置規制部31に係合して位置規制されるように構成されている。
すなわち、このコイルばね13の保持部15は、図6および図7に示すように、その各突起部15aの先端が第1孔20の第2挿入部20bに対応する個所から離れるに従って第2孔30の内周面によって徐々に押された状態で、各突起部15aが位置規制部31に対応して係合する際に、圧縮された状態の保持部15が元の形状に弾性復帰することにより、コイルばね13にクリック感を付与するように構成されている。
次に、このような腕時計の接続構造の作用について説明する。
コイルばね13を回路基板10に設けられたスペーサ部材16に取り付ける場合には、第1実施形態と同様、コイルばね13の保持部15をスペーサ部材16の第1シート17に設けられた第1孔20に対応させ、この状態で保持部15の各突起部15aを第1孔20の第2挿入部20bに挿入する。
これにより、コイルばね13の保持部15が第2シート18の第2孔30内に挿入され、コイルばね13の本体部14が第1シート17の第1孔20の第1挿入部20a内に配置される。この状態で、コイルばね13をその中心軸を中心に回転させると、第1実施形態と同様、保持部15が第2シート18の第2孔30内において第2シート18の面方向に回転する。
このときには、第1孔20の第2挿入部20bに対応する個所の第2孔30の内周面の曲率半径が最も大きく、第1孔20の第2挿入部20bに対応する個所から離れに従って次第に第2孔30の内周面の曲率半径が小さくなるように、第2孔30が形成されていることにより、保持部15の回転力が徐々に重くなる。
すなわち、コイルばね13の保持部15は、第1孔20の第2挿入部20bから第2孔30内に配置された状態で、第2シート18の面方向に回転して、保持部15の各突起部15aの先端が第2孔30の内周面に沿って移動する際に、第1孔20の第2挿入部20bに対応する個所から各突起部15aの先端が離れるに従って、第2孔30の内周面によって徐々に押される。
このため、保持部15は、第2シート18の面方向に徐々に圧縮されるので、保持部15の回転力が徐々に重くなる。そして、コイルばね13が90度回転すると、保持部15の各突起部15aが位置規制部31に対応して係合する。このときには、第2シート18の面方向に徐々に圧縮されていた保持部15が元の形状に弾性復帰するので、コイルばね13にクリック感が付与される。
このクリック感によって保持部15が、第1孔20の第2挿入部20bに対応する個所から90度の角度離れた状態で、第2孔30の位置規制部31によって位置規制されたことが確認される。これにより、コイルばね13の保持部15の両側に位置する各突起部15aが回路基板10と第1シート17との間に挟み付けられた状態で、コイルばね13が回路基板10に設けられたスペーサ部材16に取り付けられる。
このように、この腕時計の接続構造によれば、第1実施形態と同様の作用効果があるほか、スペーサ部材16の第2孔30に、コイルばね13の保持部15を回路基板10の面方向に回転させた際に、保持部15を位置規制する位置規制部31が設けられているので、第1孔20の第2挿入部20bに対する保持部15の各突起部15bの位置がずれた状態で、位置規制部31によって保持部15を確実にかつ良好に位置規制することができる。
これにより、この腕時計の接続構造においても、コイルばね13の保持部15の両側に位置する各突起部15aを回路基板10と第1シート17との間に挟み付けることができるので、コイルばね13を回路基板10上に安定した状態で確実にかつ良好に起立させることができ、このコイルばね13によって回路基板10の接続電極10aと圧電素子12の電極端子12aとを確実にかつ良好に電気的に接続することができる。
この場合、第2孔30は、第1孔20の第2挿入部20bに対応する個所の内周面の曲率半径が最も大きく形成され、第1孔20の第2挿入部20bに対応する個所から離れに従って次第に曲率半径が小さくなるように形成されているので、コイルばね13の保持部15を第1孔20の第2挿入部20bから第2孔30内に配置した状態で、第2シート18の面方向に回転させる際に、保持部15の各突起部15aが第1孔20の第2挿入部20bに対応する個所から離れるに従って、第2孔30の内周面によって保持部15を徐々に押圧することができる。
このため、この接続構造では、保持部15を第2孔30内で回転させる際に、保持部15を第2シート18の面方向に徐々に圧縮させて、保持部15の回転力を徐々に重くすることができ、この状態でコイルばね13が90度回転して、保持部15の各突起部15aが位置規制部31に対応した際に、第2シート18の面方向に圧縮された保持部15が元の形状に弾性復帰することにより、保持部15の各突起部15aを位置規制部31に確実にかつ良好に係合させることができる。
これにより、この接続構造では、保持部15の各突起部15aが位置規制部31に係合する際に、圧縮された保持部15が元の形状に弾性復帰することにより、コイルばね13にクリック感を付与することができるので、このクリック感によって保持部15が、第1孔20の第2挿入部20bに対応する個所から90度の角度離れた状態で、第2孔30の位置規制部31によって位置規制されたことを確実に確認することができる。
(第3実施形態)
次に、図9および図10を参照して、この発明を腕時計に適用した第3実施形態について説明する。この場合にも、図1〜図5に示された第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明する。
この腕時計は、図9に示すように、コイルばね13の保持部35と、スペーサ部材16の第1孔36および第2孔37と、が第1実施形態と異なる構成であり、これ以外は第1実施形態とほぼ同じ構成になっている。
コイルばね13は、図9および図10に示すように、コイル状に巻かれた本体部14と、この本体部14の下端部に設けた保持部35とを備えている。この保持部35は、本体部14の下端部の片側から本体部14の側方に突出する半円形状に形成されている。この場合、保持部35は、本体部14の外周から本体部14の側方に突出した部分が半円形状の1つの突起部35aに形成されている。
スペーサ部材16の第1シート17には、図9および図10に示すように、第1孔36が上下に貫通して設けられている。この第1孔36は、本体部14が挿入する第1挿入部36aと、保持部35の1つの突起部35aが通過する第2挿入部36bと、を有している。第1挿入部36aは、第1実施形態と同様、本体部14の外形と同じ円形状に形成されている。
第2挿入部36bは、図10(a)および図10(b)に示すように、保持部35の突起部35aの外形と同じ1つの半円形状に形成されている。これにより、第1孔36は、円形状の第1挿入部36aの外周に1つの半円形状の第2挿入部36bが連続して形成された構成になっている。このため、第1孔36は、保持部35の1つの突起部35aを1つの第2挿入部36bに対応させた状態で、コイルばね13が挿入するように構成されている。
一方、第2シート18には、図10(a)および図10(b)に示すように、保持部35が第2シート18の面方向に沿って回転可能に配置される第2孔37が、第1孔36に対応して設けられている。この第2孔37は、保持部35の1つの突起部35aの外端部が本体部14の中心軸を中心として、第2シート18の面方向に沿ってほぼ90度回転する大きさのほぼ扇形状に形成されている。
すなわち、この第2孔37は、図10(a)および図10(b)に示すように、第1孔36の第1挿入部36aに対応する円形の一部の第1円弧部37aと、第1孔36における第2挿入部36bの先端部に位置する内端面に対応する円形の一部で、保持部35の1つの突起部35aが90度回転する範囲内に位置する第2円弧部37bとを有している。
この場合、第2孔37は、図10(a)および図10(b)に示すように、保持部35の突起部35aの一方の側部が当接して、突起部35aを第1孔36の第1挿入部36bに対応させる第1位置規制部37cと、保持部35の突起部35aの他方の側部が当接して、突起部35aが第1孔36の第2挿入部36bから離れた位置で、突起部35aを第1シート17の下面に対応させる第2位置規制部37dと、を有している。
また、この第2孔37は、図10(a)および図10(b)に示すように、その第1円弧部37aが第1シート17の第1孔36の第1挿入部36aの一部に対応し、第2円弧部37bが第1孔36の第2挿入部36bの先端部に位置する内端面に対応する円形の一部に対応することにより、コイルばね13の保持部35における1つの突起部35aの外端が、第2円弧部37bの内周面に接近または接触する状態で、保持部35が第2孔37内で回転するように形成されている。
これにより、コイルばね13は、図9および図10に示すように、本体部14が第1シート17の第1孔36内に挿入され、保持部35が第2シート18の第2孔37内に配置されるように構成されている。また、このコイルばね13は、保持部35が第2孔37内に配置された状態で、第2シート18の面方向に沿って90度回転すると、第1孔36の第2挿入部36bに対する保持部35の突起部35aの位置がずれるように構成されている。
このため、このコイルばね13は、図9および図10に示すように、第1孔36の第2挿入部36bに対する保持部35の突起部35aの位置がずれた際に、保持部35の1つの突起部35aが第1シート17と回路基板10との間に挟まれるように構成されている。これにより、コイルばね13は、その本体部14が回路基板10に対してほぼ垂直に起立した状態で、安定して保持されるように構成されている。
この場合にも、回路基板10をハウジング5に押え付ける押え板11には、図9に示すように、コイルばね13の本体部14が接触することなく挿入する挿入孔11aが上下に貫通して設けられている。この押え板11は、スペーサ部材16を介して回路基板10をハウジング5に押え付けた状態で、第1実施形態と同様、押え板11の外周縁に設けられたフック部11bが、ハウジング5の外周面に設けられた係止突起部5aに係止されることにより、ハウジング5に取り付けられるように構成されている。
次に、このような腕時計の接続構造の作用について説明する。
コイルばね13を回路基板10に設けられたスペーサ部材16に取り付ける場合には、第1実施形態と同様、コイルばね13の保持部35をスペーサ部材16の第1シート17に設けられた第1孔36に対応させ、この状態で保持部35の突起部35aを第1孔36の第2挿入部36bに挿入して通過させる。
これにより、コイルばね13の保持部35が第2シート18の第2孔37内に挿入され、コイルばね13の本体部14が第1シート17の第1孔36の第1挿入部36a内に配置される。この状態で、コイルばね13をその中心軸を中心に回転させると、第1実施形態と同様、保持部35が第2シート18の第2孔37内で図10(a)において反時計回りに回転する。
そして、コイルばね13の保持部35が第2シート18の第2孔37内で図10(a)において反時計回りに90度回転すると、保持部35の1つの突起部35aの側部が第2孔37の第2位置規制部37dに当接し、保持部35が位置規制される。これにより、保持部35が、第1孔36の第2挿入部36bに対応する個所から90度の角度離れた状態であることが確認される。この状態で、保持部35の突起部35aが回路基板10と第1シート17との間に挟まれた状態で、コイルばね13が回路基板10に設けられたスペーサ部材16に取り付けられる。
そして、回路基板10をハウジング5に押え板11によって取り付ける。このときには、スペーサ部材16の上方に突出したコイルばね13の本体部14を押え板11の挿入孔11aに挿入させて、押え板11をスペーサ部材16上に配置する。この状態で、第1実施形態と同様、スペーサ部材16を介して回路基板10を押え板11によってハウジング5に押え付けて、押え板11の外周縁に設けられたフック部11bを、ハウジング5の外周面に設けられた係止突起部5aに係止する。
これにより、コイルばね13が取り付けられた回路基板10がハウジング5に取り付けられる。この場合には、第1実施形態と同様、押え板11によってスペーサ部材16の第1シート17と第2シート18とが回路基板10に押え付けられる。このため、コイルばね13の保持部35における1つの突起部15aが回路基板10と第1シート17との間に強固に挟み付けられるので、コイルばね13が回路基板10上に起立して、より一層、安定した状態で確実に保持される。
一方、コイルばね13を取り外す場合には、予め、押え板11をハウジング5から取り外して、スペーサ部材16から取り外す。この状態で、コイルばね13を図10(a)において時計回りに90度回転させると、保持部35の突起部35aの側部が第2孔37の第1位置規制部37cに当接する。これにより、保持部35の突起部35aが第1孔36の第2挿入部36bに対応した状態で、保持部35が位置規制される。このため、保持部35を第2孔37内から第1孔36を通して容易に取り出すことができる。
このように、この腕時計の接続構造によれば、コイルばね13の本体部14をスペーサ部材16の第1孔36内に挿入し、コイルばね13の保持部35をスペーサ部材16の第2孔37内に配置し、この状態でコイルばね13を回路基板10の面方向に回転させることにより、第1実施形態と同様、スペーサ部材16の第1孔36の第2挿入部36bに対する保持部35の1つの突起部35aの位置をずらすことができるので、保持部35の1つの突起部35aを回路基板10とスペーサ部材16の第1孔36の縁部との間に挟み付けることができる。
このため、この接続構造においても、第1実施形態と同様、コイルばね13を回路基板10上に安定した状態で確実に起立させることができ、このコイルばね13によって回路基板10の接続電極10aと圧電素子12の電極端子12aとを確実にかつ良好に電気的に接続することができる。これにより、第1実施形態と同様、コイルばね13を別部品の保持部材などで保持する必要がないので、構造が簡単で、部品点数を削減できると共に、別部品の保持部材などを回路基板10と圧電素子12との間に設置する必要がないので、接続構造の厚みを薄くでき、腕時計全体の薄型化を図ることができる。
また、この接続構造では、コイルばね13の本体部14の外周から突出する保持部35の1つの突起部35aが、本体部14の中心軸を中心として、非対称に形成されているが、この場合にも、保持部35をスペーサ部材16の第2孔37内に配置した状態で、コイルばね13を回転させて、保持部35の突起部35aをスペーサ部材16の第1孔36の第2挿入部36bから離すことができる。
このため、この接続構造においても、スペーサ部材16の第1孔36の第2挿入部36bに対する保持部35の1つの突起部35aの位置をずらすことができるので、保持部35の1つの突起部35aを回路基板10とスペーサ部材16の第1シート17との間に確実に挟むことができ、これにより第1実施形態と同様、コイルばね13を回路基板10上に安定した状態で確実に起立させることができる。
この場合、第2シート18の第2孔37は、保持部35の1つの突起部35aの外端部が本体部14の中心軸を中心として、第2シート18の面方向に沿ってほぼ90度回転する大きさのほぼ扇形状に形成されているので、保持部35を第1シート17の第1孔36に対応させて第2シート18の第2孔37内に配置し、この状態でコイルばね13を回転させることにより、保持部35を第2孔37内で良好に回転させることができる。
これにより、この接続構造では、保持部35を90度回転させた際に、突起部35aを第2孔37の第2位置規制部37dに当接させて位置規制することができ、これにより保持部35の突起部35aが、第1孔36の第2挿入部36bから離れた位置で、回路基板10とスペーサ部材16の第1シート17との間に挟み込まれていることを確認することができる。
また、この接続構造では、保持部35の突起部35aが第2孔37の第2位置規制部37dに当接して位置規制された状態で、保持部35を反対方向に90度回転させると、突起部35aを第2孔37の第1位置規制部37cに当接させて位置規制することができるので、保持部35の突起部35aを第1孔36の第2挿入部36bに確実に対応させることができ、これによりコイルばね13をスペーサ部材16の第2孔37から第1孔36を通して容易に取り外すことができる。
なお、上述した第1〜第3の各実施形態では、スペーサ部材16を第1シート17と第2シート18とを重ね合わせた構成である場合について述べたが、これに限らず、例えば合成樹脂製の1枚のパネルでスペーサ部材を形成した構成であっても良い。
また、上述した第1〜第3の各実施形態では、回路基板10の接続電極10aと圧電素子12の電極端子12aとを導電性のコイルばね13で電気的に接続した場合について述べたが、これに限らず、例えば導電性を有するゴムやエラストマなどの弾性部材を用いても良い。
この場合にも、弾性部材は、一端部がスペーサ部材16の第1孔20、36の第1挿入部20a、36aに挿入して圧電素子12の電極端子12aに弾接する本体部と、この本体部の他端部に本体部の外周よりも側方に突出する突起部が形成され、この突起部がスペーサ部材16の第2孔21、30、37内に回転可能に配置されて回路基板10の接続電極10aに弾接する保持部を有する構成であれば良い。
また、上述した第1〜第3の各実施形態では、導電性を有するコイルばね13によって回路基板10の接続電極10aと圧電素子12の電極端子12aとを電気的に接続した場合について述べたが、必ずしも圧電素子12である必要はなく、例えば温度センサや気圧センサなどの他の電子部品であっても良く、またこの接続構造を複数組み合わせることにより、例えばメモリ部などの回路を保護する保護スイッチなどにも適用することができる。
さらに、上述した第1〜第3の各実施形態およびその各変形例では、腕時計に適用した場合について述べたが、必ずしも腕時計である必要はなく、例えばトラベルウオッチ、目覚まし時計、置き時計、掛け時計などの各種の時計に適用することができ、また必ずしも時計に限らず、例えば携帯電話機や携帯情報機器などの各種の電子機器にも広く適用することができる。
以上、この発明のいくつかの実施形態について説明したが、この発明は、これらに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記)
請求項1に記載の発明は、接続電極を有する基板と、前記基板の前記接続電極に対向する電極端子を有する接続部材と、前記基板と前記接続部材との間に配置され、一端部が前記接続部材の前記電極端子に接する本体部と、前記本体部の他端部に前記本体部の外周よりも外側に突出する突起部が形成され、前記基板の前記接続電極に接する保持部と、を有する導電性の弾性部材と、前記基板に配置され、前記保持部が通過され、前記本体部が挿入される第1孔と、前記保持部が前記基板の面方向に回転可能に配置される第2孔と、を有するスペーサ部材と、を備えていることを特徴とする接続構造である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の接続構造において、前記第1孔は、前記本体部が挿入される第1挿入部と、前記保持部の前記突起部が通過される第2挿入部と、を含み、前記スペーサ部材は、前記第1孔が設けられた第1シートと、前記第2孔が設けられた第2シートと、を有し、前記第1孔と前記第2孔とを対応させた状態で、前記第1シートと前記第2シートとを重ね合わせたことを特徴する接続構造である。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の接続構造において、前記弾性部材の前記保持部は、前記本体部の外周から突出する前記突起部が、前記本体部の外周に対称に形成されていることを特徴する接続構造である。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の接続構造において、前記スペーサ部材の前記第2孔は、前記弾性部材の前記保持部が前記基板の面方向に回転し、前記第1孔の前記第2挿入部に対する前記突起部の位置がずれた際に、前記保持部を位置規制する位置規制部を備えていることを特徴する接続構造である。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の接続構造において、前記弾性部材は、導電性を有するコイルばねであることを特徴する接続構造である。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載された接続構造と、ケースと、前記ケースに取り付けられた裏蓋と、を備え、前記裏蓋の内面に設けられた前記接続部材の前記電極端子に前記弾性部材の端部が接していることを特徴する時計である。