JP2015097483A - 生物生息場形成用構造体、生物生息場形成方法、並びに植栽工法 - Google Patents

生物生息場形成用構造体、生物生息場形成方法、並びに植栽工法 Download PDF

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Abstract

【課題】簡易、低廉かつ有効に水生生物の生息場を形成・維持できる手段の提供。【解決手段】網状部材11によって全面が略閉塞された籠体1内に、石礫又は石礫様の中詰材2及び複数の筒状部材3、3が充填された生物生息場形成用構造体A。この生物生息場形成用構造体Aを水域又は陸域に設置した場合、生物は、筒状部材3の内空部分31を棲み処などとして有効に利用できる。また、籠体1内における空間の割合を大幅に向上でき、籠体1内の中心部R1や底部R2などに配置された中詰材2間にも空気・水流が到達しやすくなる。【選択図】図1

Description

本発明は、網状部材によって全面が略閉塞された籠体内に、石礫などの中詰材及び複数の筒状部材が充填された生物生息場形成用構造体、その生物生息場形成用構造体を水域又は陸域に設置する生物生息場形成方法、その生物生息場形成用構造体を用いた植栽工法などに関連する。
河川・湖沼・海岸などの水域では、流水による砕岩・浸食・運搬・堆積や生物による掘穴・分泌形成などにより、森林・高原・平野などの陸域では、植物の成長、植生の多様性や遷移、動物による掘穴・摂食・排糞などにより、長い年月の間に、複雑で多様な環境が形成される。元来、各種生物は、それらの環境に適応し、環境中に形成された物陰や窪みなどを棲み処・隠れ処などとして利用しつつ、多様な生態系を形成してきた。
しかし、近年、河畔・海岸などの護岸整備・埋立・浚渫や、開発・森林伐採などによって環境が改変され、生物の棲み処・隠れ処が消失しつつある。そして、多数の生物種において、生息場の消失による個体数の減少が実際に顕在化している。
それに対し、生物の生息場を修復・創出する試みが提案されている。例えば、特許文献1には、海底に沈設し、魚介類の生息場を形成する魚礁用ブロックが開示されている。
また、土木工事などにおいても、当初の施工目的の達成を図るだけでなく、生態系の保全にも配慮した施工が求められるようになってきており、施工区域における生物の生息・定着を促す技術が提案されている。例えば、特許文献2には、水域沿岸に設けられた盛土と護岸壁との間に水生生物用構造体が設けられ、護岸壁と水生生物生息用構造体とを連通する通路が形成された水生生物生息用護岸構造物が、特許文献3には、粗朶パネルを金網籠マットに固定した粗朶付金網籠マットが、それぞれ開示されている。その他、特許文献4には、植生マットが重ねられた石詰籠構造体を法面に沿って一段以上敷設することにより形成された法面保護兼緑化用擁壁が記載されている。
特開2013-13357号公報 特開2000-212936号公報 特開2001-55716号公報 特開2011-122403号公報
生物の生息場を修復・創出するためには、対象とする生物の生態に適した環境を再現する必要がある。その際、簡易かつ低廉に生物生息場を形成でき、実際に対象生物が生息場として有効に定着・利用でき、生育環境が悪化しないように生物生息場形成後も簡易かつ低廉に維持・管理できることが望ましい。
また、例えば、土木工事などにおいて生態系の保全にも配慮した施工が行われ、その施工区域における多様な生物の定着などに成功した場合であっても、対象とする生物がその場所において有効に個体数を増加させるとは限らない。その他、環境が悪化しないように生息場として利用された後にその場所を簡易かつ低廉に維持・管理することも難しい。
そこで、本発明では、簡易、低廉かつ有効に生物の生息場を形成・維持できる手段を提供することなどを目的とする。
本発明は、網状部材によって全面が略閉塞された籠体内に、石礫又は石礫様の中詰材及び複数の筒状部材が充填された生物生息場形成用構造体、その生物生息場形成用構造体を水域又は陸域に設置する工程を含む生物生息場形成方法、並びにその生物生息場形成用構造体を水域又は陸域に設置する工程と、前記生物生息場形成用構造体に充填された前記筒状部材のうちの一又は複数に植物を挿し込む工程と、を含む植栽工法を提供する。
この生物生息場形成用構造体は、網状部材によって形成された籠体、中詰材、及び、筒状部材で構成することができ、その構造体を水域又は陸域に設置することで生物の生息場を形成する。従って、水域又は陸域に簡易かつ低廉に生物生息場を形成できる。
この生物生息場形成用構造体では、網状部材によって形成された籠体内に、中詰材に加えて複数の筒状部材が充填されている。そのため、例えば、この生物生息場形成用構造体を水域又は陸域に設置した場合、生物は、筒状部材の内空部分を棲み処などとして有効に利用できる。また、例えば、鳥類などの天敵による襲撃に対し、筒状部材の内空部分を隠れ処などとして有効に利用できる。従って、対象となる生物が定着・利用しうる生息場として有効に機能する。
この生物生息場形成用構造体では、中詰材に加えて筒状部材を籠体内に充填する。これにより、籠体内における空間の割合を大幅に向上でき、籠体内の中心部や底部などに配置された中詰材間にも空気・水流を到達しやすくできるため、籠体内の全体に亘って、中詰材間における空気の流通を確保でき、若しくは水流の停滞を抑制できる。従って、籠体内の換気を促進でき、汚濁化・貧酸素化を抑制できるため、環境の悪化を抑止でき、適切な生育環境を形成・維持することができる。また、この生物生息場形成用構造体は、持ち上げ、充填部材の一部移動や一部撤去、再設置などを比較的簡易に行うことができるため、環境が悪化しないように生物生息場形成後も簡易かつ低廉に維持・管理できる。
その他、例えば、生物生息場形成用構造体に充填された筒状部材のうちの一又は複数に植物を挿し込むことにより、対象とする生物の生息場を形成・維持することに加え、植物の定着・成長を促進し、複雑かつ多様な生態系を再生・創出できる。
本発明により、簡易、低廉かつ有効に水生生物の生息場を形成・維持できる。
<本発明に係る生物生息場形成用構造体について>
本発明に係る生物生息場形成用構造体は、網状部材によって全面が略閉塞された籠体内に、石礫又は石礫様の中詰材及び複数の筒状部材が充填された構成を少なくとも有するものを全て包含する。
以下、本発明に係る生物生息場形成用構造体の例を、図1を用いて説明する。なお、本発明は、この実施形態のみに狭く限定されない。
図1は本発明に係る生物生息場形成用構造体の例を示す断面模式図である。なお、図1では、籠体1を形成する網状部材11について、その一部を併せて模式的に示した。
図1の生物生息場形成用構造体Aは、水W中の設置面W1上に設置されており、網状部材11によって全面が略閉塞された籠体1内に、石礫又は石礫様の中詰材2及び複数の筒状部材3、3が充填され、籠体1下に可撓性敷材4が敷設された構成を備えている。その他、籠体1には、籠体1の持ち上げ・移動などに用いる被掛止部5が取り付けられている。なお、本発明は、図1のように水W中に設置される場合のみに狭く限定されず、水域又は陸域に設置されるものを全て包含する。
籠体1は、中詰材2、筒状部材3などを充填するための籠状の部位であり、網状部材11によって形成され全面が略閉塞されている。
籠体1の組み立て手順については、特に限定されないが、例えば、底面、各側面、上面を構成する複数のパネル状の網状部材11をそのまま又は撓ませながら紐状部材などで締結していくことにより、形成することができる。
籠体1を形成する網状部材11は、中詰材2、筒状部材3などを脱出させずに保持でき、かつ対象生物の通行可能な大きさの目合いが形成されたものであればよく、例えば、網目が略菱形状のもの、略六角形状のものなど、公知のものを広く採用できる。網状部材11の目合い(網目幅)については、対象水生生物・目的・用途などにより適宜設定できるが、例えば、魚類、天然ウナギの生息場の形成を主目的とする場合は、4.5〜10.0cmが好適であり、5.0〜8.0cmがより好適であり、5.0〜7.0cmが最も好適である。目合いをこの範囲に設定することにより、魚類や天然ウナギの自由な通行を妨げず、かつカワウ・サギ・ササゴイなどの天敵鳥類の侵入を阻止できるため、魚類・天然ウナギなどの棲み処・隠れ処として有効に機能する。また、例えば、ウサギ・ネズミなどの小動物の生息場の形成を主目的とする場合は、7.5〜20.0cmが好適であり、8.0〜18.0cmがより好適であり、10.0〜15.0cmが最も好適である。目合いをこの範囲に設定することにより、小動物の自由な通行を妨げず、かつワシタカ類などの天敵鳥類の侵入を阻止できるため、小動物の棲み処・隠れ処として有効に機能する。
網状部材11の太さ・材質などについても、公知のものを広く採用でき、狭く限定されない。網状部材11の材質として、例えば、鉄線・銅線・ステンレス鋼線・亜鉛めっき鉄線、若しくはそれらをビニルなどのプラスチックで被覆した線材、プラスチック線などを広く採用できる。
本発明では、網状部材11が高耐久性素材により形成された構成にすることができる。
高耐久性素材としては、例えば、プラスチック線、プラスチックで被覆した線材などが好適であり、例えば、プラスチック線の一つであるポリエステルモノフィラメントがより好適である。
ポリエステルモノフィラメントは、ジカルボン酸とジオールを主原料として製造される熱可塑性エンジニアリングプラスチックである。ポリエステルのジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられ、ジオール成分としては、エチレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。これらのジカルボン酸成分とジオール成分とを適宜組み合わせて合成されたポリエステルモノフィラメントを適宜使用することができる。この中で、ジカルボン酸成分の90モル%以上がテレフタル酸からなり、ジオール成分の90モル%がエチレングリコールからなるポリエチレンテレフタレートのポリエステルモノフィラメントが最も好適である。
ポリエステルモノフィラメントなどの高耐久性素材を採用することには、(1)耐久性が高く、水域又は陸域に長期間設置しても劣化しない、(2)高い形状保持性及び耐摩耗性を備え、落石・水流などによっても全体形状の変化を少なくできる他、例えば、中詰材12を充填した状態での持ち上げ、充填部材の一部移動や一部撤去、再設置などを行った場合でも形状を保持できる、(3)中詰材12の重量が負荷されてもせん断されない、(4)網目状に形成することにより、適度に撓むため、例えば、設置面が平らでない場合でも、設置面の変化に対応して設置できる、などの有利性がある。
中詰材2は、籠体1内に充填される部材である。中詰材12としては、石礫又は石礫様で、網状部材11の目合いよりも大きく、少なくとも水に沈む程度の重量を有し、籠状体1の籠内に充填できるものであればよく、特に限定されない。例えば、丸石・玉石・巨礫・大礫や、コンクリートがらなどの石材などを単独で又は混合して用いることができる。
筒状部材3は、原則として、中空で両端が開口した略筒状・略管状の部材であり、その内空部分31が生物の棲み処・隠れ処・生育場所・定着場所などとなる他、空気や水の流通路として、生物生息場形成用構造体Aの全体に酸素や水流を行き亘らせる機能を有する。
筒状部材3の大きさは、網状部材11の目合いよりも大きければよく、対象生物・目的・用途などにより適宜設定できるが、筒状部材3の内径d1が、対象生物の通行可能な大きさであることが好ましい。例えば、魚類や天然ウナギ、ウサギ・ネズミなどの小動物の生息場の形成を主目的とする場合は、筒状部材3の内径d1が、10.0〜30.0cmが好適であり、12.0〜27.0cmがより好適であり、15.0〜25.0cmが最も好適である。
筒状部材3の長さについては、対象生物・目的・用途などにより適宜設定できる。また、複数の長さのものを籠体1内に充填してもよい。例えば、筒状部材3の両端が、それぞれ籠体1の一つの面の近傍及びその面から最も離れた面の近傍に位置させることができる長尺の筒状部材と、籠体1の寸法よりも小さい短尺の筒状部材とを併せて籠体1内に充填してもよい。
筒状部材3の材質についても、公知のものを広く採用でき、特に限定されないが、高耐久性・高耐重量性の部材が好ましく、例えば、塩化ビニル管などを採用できる。なお、水域に設置した場合において塩化ビニル管を筒状部材3に採用した場合は、浮力による塩化ビニル管の浮上を防ぐため、筒状部材3の上に中詰材2を載せて充填するなど、筒状部材3を固定できるように工夫する。
籠体1内に設置する筒状部材3の数は、目的・用途などに応じ適宜設計でき、特に限定されない。例えば、籠体1内に中詰材2を複数積層し、各層の中詰材2の間に筒状部材3を配置するようにしてもよい。
筒状部材3を設置する際の方向・向きについては、特に限定されないが、例えば、内空部分31が略水平方向になるように設置した方が、生物が生息場として利用しやすく、かつ水域に設置した場合には水流を籠体内の全体に亘って取り込みやすい。また、水域に設置した場合、筒状部材3の向きについても、水流の向きに沿って配置した方が、水流を籠体1内に取り込みやすいため、好適である。なお、潮間帯などのように、時間帯によって水流の向きが変わる場所に設置する場合、例えば、積層した第一層を満潮時の水の流れに沿うようにし、第二層を干潮時の水の流れに沿うようにすることにより、満潮時と干潮時で籠体1内の水流が反対方向になるようにすることができるため、より効率的に籠体1内で環流させることができる。
本発明では、例えば、図2に示す通り、全部又は一部の筒状部材3の壁面に複数の流通孔32が形成された構成にしてもよい。筒状部材3の壁面に複数の流通孔32を形成することにより、籠体1内の中心部R1や底部R2などに配置された中詰材2間にも空気や水流がより到達しやすくなり、籠体1内の全体に亘って、中詰材2間における空気や水流の停滞をより抑制できる。従って、籠体1内の換気を促進でき、若しくは汚濁化・貧酸素化を抑制できるため、環境の悪化を抑止でき、適切な生育環境を形成・維持することができる。
流通孔32の大きさ及び間隔については、適宜設定でき、特に限定されないが、例えば、好適には、流通孔32の孔径d2を筒状部材3の内径d1の1/5〜1/25とし、流通孔32間の間隔を10〜30cmとすることにより、より好適には、流通孔32の孔径d2を筒状部材3の内径d1の1/10〜1/20とし、流通孔32間の間隔を15〜25cmとすることにより、筒状部材の耐重量性を保持しつつ、効率よく籠体1の全体に亘って換気を行うことができ、若しくは水流を到達させることができる。
筒状部材3の壁面に複数の流通孔32が形成された構成にした場合において、例えば、上記の長尺の筒状部材と短尺の筒状部材とを併せて籠体1内に充填した場合、主に長尺の筒状部材3が籠体1内の全体に空気や水流を到達させる機能を果たし、主に短尺の筒状部材3が天敵による襲撃に対する隠れ処を形成する機能を果たす。従って、この構成にすることにより、対象となる生物が定着・利用でき、適切な生育環境を形成・維持できる生物生息場を、より効率的に形成することができる。
なお、本発明は、籠体1内に中詰材2及び筒状部材3のみを充填した場合のみに狭く限定されない。例えば、粗朶などの生物の好む部材を併せて充填した場合などについても、本発明に広く包含される。
可橈性部材4は、籠体1下に敷設されるシート状の部材であり、籠体1と設置面W1との間に挟まれた状態で設置される。
籠体1と設置面W1との間に可橈性部材4を敷設することにより、設置面W1の凹凸を緩和できるため、設置時の生物生息場形成用構造体Aの安定性を向上できる。また、設置面W1の浸食を防止できるため、長期間安定的に生物生息場形成用構造体Aを水域又は陸域に設置することが可能になる。
その他、籠体1と設置面W1との間に可橈性部材4を敷設することには、生物生息場形成後の維持・管理をより簡易化・低廉化できるという利点もある。例えば、網状部材11が高耐久性素材によって形成され、籠体1下に可撓性敷材4が敷設された構成にした場合、籠体1を持ち上げてもその形状は保持されるため、被掛止部5を用いて生物生息場形成用構造体Aを重機などで少し持ち上げ、形成された籠体1と可橈性部材4との間に複数の棒状部材を順次挟みこむことで、生物生息場形成用構造体Aを設置面W1から少し浮かせた状態にすることができる。陸域に設置した場合には、例えば、その隙間に水流を供給することにより、水域など水流のある場所に設置した場合には、一定時間この状態にしておくことにより、籠体1の底部R2付近に蓄積した汚濁物などを水流で落下・除去させることができるため、生物生息場形成用構造体Aの設置後も、より簡易かつ低廉に、生物生息場内の水環境が悪化しないように維持・管理できる。
なお、例えば、水域に設置した場合は、籠体1下に可橈性敷材4を敷設しておくことにより、生物生息場形成用構造体Aを浮かせた状態にすることにより形成される渦流で設置箇所の水底W1が洗掘されることを防止できるため、引き続き、同じ場所に生物生息場形成用構造体Aを設置できる。そのため、長期間、対象となる水生生物が定着・利用しうる生息場として有効に機能させることが可能である。
被掛止部5は、例えば、クレーン車などの重機で生物生息場形成用構造体Aの設置・引き上げ・回収・再設置などを行う際に、ロープなどの引上げ手段を掛止する部位である。籠体1に被掛止部5を形成することにより、生物生息場形成用構造体Aの設置などの際の労力を低減できる。
<本発明に係る生物生息場形成方法について>
本発明に係る生物生息場形成方法は、本発明に係る生物生息場形成用構造体を水域又は陸域に設置する工程を少なくとも含むものを全て包含する。
本発明に係る生物生息場形成用構造体を水域又は陸域に設置することにより、簡易、低廉かつ有効に生物の生息場を形成することができ、かつその簡易、低廉かつ低労力に、その生息場を長期間維持できる。
対象となる生物については、特に限定されないが、例えば、天然ウナギ、アユなどの魚類、エビ、カニ、ウサギ・ネズミなどの小動物など、水域又は陸域の物陰や窪みを棲み処・隠れ処などとして利用する生物に有用である。本発明により、カワウ・サギ・ササゴイ、ワシタカ類など、それらの生物を捕食する鳥類などによる食害を有効に予防できる。
設置場所については、水域・陸域のいずれにも設置可能で、対象生物・目的・用途などにより適宜定めることができ、特に限定されない。また、水域には、水中及びその周辺領域が広く包含され、例えば、陸水域・沿岸域・汽水域や浅瀬域・水深の深い場所など、多様な場所に設置することが可能である。
<本発明に係る植栽工法について>
本発明に係る植栽工法は、本発明に係る生物生息場形成用構造体を水域又は陸域に設置する工程と、前記生物生息場形成用構造体に充填された前記筒状部材のうちの一又は複数に植物を挿し込む工程と、を少なくとも含むものを全て包含する。
例えば、生物生息場形成用構造体に充填された筒状部材のうちの一又は複数に植物を挿し込むことにより、対象とする生物の生息場を形成・維持することに加え、植物の定着・成長を促進し、複雑かつ多様な生態系を再生・創出できる。
以下、本発明に係る植栽工法の例を、図3を用いて説明する。なお、本発明は、この実施形態のみに狭く限定されない。
図3は本発明に係る植栽工法の例を示す断面模式図である。
図3では、籠体1内に中詰材2及び筒状部材3、3’、3”が充填され、籠体1下に可撓性敷材4が敷設された生物生息場形成用構造体A’が、一部が水W中に浸った状態で土手S近傍の水底W1に設置されている。なお、本発明は、水域又は陸域に設置する場合を全て包含し、生物生息場形成用構造体A’の全部又は一部が水W中に浸っているかどうかにより、狭く限定されない。
図3において、筒状部材3は、水W中に配置されており、主に、水生生物の生息場及び籠体1内への水の流通路として機能している。
一方、筒状部材3’は、その両端が、それぞれ籠体1の一つの面の近傍及びその面から最も離れた面の近傍に位置させることができる長尺の筒状部材であり、その内空部分に植物体Pが挿し込まれ、土手Sに根P1が根付いている。このように、筒状部材3を支柱として用いることで、植物を根付かせることが可能であり、複雑かつ多様な生態系の再生・創出に有効である。
その他、例えば、籠体1の寸法よりも小さい短尺の筒状部材3”に植物体Pを挿し込んだ場合についても、同様に筒状部材3が支柱として機能するため、植物の定着・成長が可能であり、複雑かつ多様な生態系の再生・創出に有効である。
植物の定着・成長の支柱として機能させるための筒状部材の長さ、籠体1内の配置、向きなどについては、目的・用途などにより適宜設定でき、特に限定されない。図3に示す通り、目的・用途に応じて、長尺及び短尺のいずれの筒状部材も用いることが可能であり、一つ又は複数の筒状部材を目的・用途に応じて適宜配置することも可能である。筒状部材の向きについても、略水平方向、略鉛直方向、斜め方向のいずれも採用可能である。
実施例1では、水中に設置した蛇籠内に中詰材と併せて筒状部材を充填した場合に、中詰材の間の溶存酸素が変化するか、検討した。
神奈川県逗子市田越川の水中に幅50cm×高さ40cm、目合い7×5cmの鋼製の籠体を設置し、その中に、砕石を充填し、一部の箇所には、内径15cm、長さ50cmで、壁面に約15cm間隔で直径1cmの流通孔が形成された塩化ビニル管を併せて充填した。
溶存酸素計(株式会社堀場製作所製)を用いて、塩化ビニル管が充填されていない箇所における砕石の隙間の水、及び、塩化ビニル管が充填された箇所の近傍の水について、溶存酸素量を測定した。測定は、9時〜18時までの間、1時間毎に行い、その平均値を算出した。水温は24〜25.5℃であった。なお、対照として、籠体の外部の水の溶存酸素量は5.2〜5.6mg/Lであった。
その結果、塩化ビニル管が充填されていない箇所における砕石の隙間の水の平均溶存酸素量は3.0 mg/Lであったのに対し、塩化ビニル管が充填された箇所の近傍の水の平均溶存酸素量は5.0 mg/Lであり、籠体の外部の水の溶存酸素量とほぼ同等であった。
この結果は、網状部材によって形成された籠体内に、中詰材に加えて筒状部材を充填することにより、水環境の悪化を抑止でき、適切な生育環境を形成・維持することができることを示す。
本発明に係る生物生息場形成用構造体の例を示す断面模式図。 本発明に係る筒状部材の例を示す外観斜視模式図。 本発明に係る植栽工法の例を示す断面模式図。
1 籠体
11 網状部材
2 中詰材
3 筒状部材
32 流通孔
4 可撓性敷材
A 生物生息場形成用構造体
P 植物体
S 土手
W 水中
W1 設置面、水底

Claims (6)

  1. 網状部材によって全面が略閉塞された籠体内に、石礫又は石礫様の中詰材及び複数の筒状部材が充填された生物生息場形成用構造体。
  2. 全部又は一部の前記筒状部材の壁面に複数の流通孔が形成された請求項1記載の生物生息場形成用構造体。
  3. 前記筒状部材の内径が、対象生物の通行可能な大きさである請求項1又は請求項2記載の生物生息場形成用構造体。
  4. 前記網状部材が高耐久性素材によって形成され、
    前記籠体下に可撓性敷材が敷設された請求項1〜3のいずれか一項記載の生物生息場形成用構造体。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項記載の生物生息場形成用構造体を水域又は陸域に設置する工程を含む生物生息場形成方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項記載の生物生息場形成用構造体を水域又は陸域に設置する工程と、
    前記生物生息場形成用構造体に充填された前記筒状部材のうちの一又は複数に植物を挿し込む工程と、を含む植栽工法。
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