JP2015094861A - 光学フィルタ - Google Patents

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Abstract

【課題】入射角依存性の小さな光学フィルタを実現すること。
【解決手段】光学フィルタは、SiO2 からなる基板10と、基板10上に位置する周期構造体11と、周期構造体11上に位置するキャップ層12によって構成されている。周期構造体11は、Siからなる複数のドット11aが、基板10上に正方格子状に配列された構造である。ドット11aは正四角柱であり、平面視での形状は正方形である。キャップ層12はSiO2 からなり、周期構造体11上に位置するとともにドット11a間の領域11bを埋めるように形成されている。設計波長をλ、設計入射角をθ、基板10の屈折率をn1、ドット11aの屈折率をn2として、周期構造体11の周期長Lはλ/n1、ドット11aの幅Wは周期長Lの1/2、ドット11aの高さhは(λ/n2)・cosθである。
【選択図】図1

Description

本発明は、所定波長の光を透過させる光学フィルタに関する。特に、波長透過特性の入射角依存性が小さなものに関する。
近年、赤外線センサがさまざまな用途で用いられている。その赤外線センサのSN比を向上させて高精度にする目的で、赤外線センサに入射する光のうち外乱光をカットする光学フィルタが使用されている。
そのような光学フィルタ、すなわち、所望の波長帯域を透過させ、他の波長帯域は透過させないバンドパスフィルタとして動作する光学フィルタとして、以下の4つのものが挙げられる。
1つは、色素系材料を用いた光学フィルタである(特許文献1参照)。色素系のレジストをカラーCCDなどの画素上に塗布してカラーフィルタとする方法が、液晶ディスプレイに広く用いられている。このような光学フィルタは、主として可視光領域を透過させるものである。
他の1つは、誘電体多層膜を用いた光学フィルタである(特許文献2〜4参照)。誘電体多層膜は、屈折率の異なる2つの誘電体を交互に複数回繰り返し積層させた構造であり、各層の厚さを所定の値とすることで、所望の波長の光を反射あるいは透過させることができる。特許文献3、4には、一方の誘電体としてSiを用いることが記載されており、これにより透過領域が赤外線領域である光学フィルタを実現している。
他の1つは、表面プラズモン共鳴を利用した光学フィルタである(特許文献5〜10参照)。この光学フィルタは、周期的構造を有する金属層を有した構造であり、金属と誘電体との界面で生じる表面プラズモン共鳴を利用する。周期的構造の周期長を調整したり、ホールやドットの形状を工夫することによって、所望の透過域を得たり、プラズモン増強による透過率の向上が試みられている。
他の1つは、SiO2 などの基板上にSiからなるドットを2次元周期的に配列した光学フィルタである(特許文献11〜13参照)。この光学フィルタは、ドットの大きさや周期長に依存する特定波長のみがドット部分を導波路として透過できるので、バンドパスフィルタとして動作する。
特開2010−134353 特開2008−5383 特開2013−54368 特開2010−186145 特開2008−270061 特開2006−509358 特開2000−111851 特開2007−258657 特開2010−160212 特開2011−171519 特開2011−13330 特開2007−41555 特開2010−286706
しかし、特許文献1のような色素系材料を用いた光学フィルタは、紫外線により特性が劣化してしまうなど耐環境性が悪いという欠点がある。また、赤外線領域において特性のよい材料がない。
また、特許文献2〜4のような誘電体多層膜を用いた光学フィルタは、透過スペクトルの入射角依存性が大きく、入射角が大きくなると透過波長のピークが短波長側にシフトしてしまう問題がある。また、透過帯域を狭くするためには10層以上積層させる必要があり、作製が容易でなく高コストである。
また、特許文献5〜10のような表面プラズモン共鳴を利用した光学フィルタは、透過率を高くしたり透過帯域を狭くしたりすることが難しい。また、入射角度によって透過波長が変化する問題もある。
また、特許文献11〜13のような周期構造を用いた光学フィルタは、光を垂直入射させる場合を前提としており、斜めに入射させる場合が考慮されていない。そのため、入射角依存性が特許文献11〜13の記載からは不明である。また、特許文献11、12では光の波長として可視光領域のみが考慮されており、赤外領域での動作が不明である。また、特許文献13では近赤外領域での動作が不明である。
このように従来の光学フィルタでは、透過スペクトルの入射角依存性が小さく、耐環境性に優れ、安価に製造できるものを実現することが困難であった。
そこで本発明の目的は、透過スペクトルの入射角依存性が小さい光学フィルタおよびその製造方法を提供することである。
本発明は、主面に対して設計入射角θで入射する光のうち、設計波長λの光を透過させる光学フィルタにおいて、設計波長λに対して透光性を有した材料からなる透過層と、透過層よりも屈折率が高く、設計波長λ近傍のある波長よりも短波長側、あるいは長波長側は吸収する材料からなり、透過層上にドットを2次元周期的に配列した周期構造体と、を有し、周期構造体の周期長Lは、m1・(λ/n1)、ここでn1は透過層の屈折率、m1は1以上の整数、ドットの高さhは、m2・(λ/n2)、ここでn2はドットの屈折率、m2は1以上の整数、ドットの幅Wは、周期長Lの1/2、であることを特徴とする光学フィルタである。
本発明における屈折率は、設計波長λにおける複素屈折率の実部の値を意味する。また、設計入射角θは、光学フィルタの主面に対する角度であり、入射面に対して垂直方向に入射する角度を0°として定義する。
基板は、設計波長λにおいて透光性を有し、ドットよりも屈折率の低い任意の材料を用いることができる。たとえば、SiO2 、Al2 3 、ZrO2 、MgF2 、CaF2 、LiF、ZnSなどを用いることができる。基板の屈折率とドットの屈折率の差は、2以上とすることが望ましい。屈折率差が大きいほど光学フィルタの特性が向上するためである。
周期構造体における2次元周期的なドットの配列とは、平面を周期的に単位構造で充填する場合に各単位構造中にドットを配置した構成である。たとえば、三角格子状、正方格子状、あるいは六方格子などである。また、周期構造体の周期長Lとは、あるドットから隣接する最も距離の近いドットへ向かう方向における周期長を意味する。
ドットの平面視での形状は任意の形状でよいが、対称性の高い形状とすることが光学フィルタの特性向上のため望ましい。たとえば、正三角形、正方形、正六角形、円などである。それらの角の一部ないし全部が丸まった図形であってもよいし、それらの辺の一部ないし全部がゆるやかに湾曲している図形であってもよい。また、ドットの立体形状は、角柱、角錐、角錐台、円柱、円錐、円錐台などの形状であってもよい。
ドットの材料は、設計波長λ近傍のある波長よりも短波長側、あるいは長波長側は吸収する材料であれば任意の材料を用いることができる。設計波長λ近傍のある波長とは、たとえば0.75λから1.25λの範囲の波長である。具体的には半導体材料を用いることができ、Si、Ge、CdS、Sb2 3 、ZnSe、CdTeなどを用いることができる。半導体には不純物をドープとして吸収端を制御してもよい。
周期長Lは、λ/n1の整数倍とする。特に周期長Lをλ/n1とすることが簡易で光学フィルタの特性上も望ましい。ドットの幅Wは、周期長Lの1/2とする。このようにすることで設計波長λの設定が容易となる。ドットの高さhは、λ/n2の整数倍とする。特にλ/n2とすることが簡易で光学フィルタの特性上も望ましい。ドットの高さhは、設計入射角θに応じて設定してもよく、(λ/n2)・cosθの整数倍とすることができる。これにより、設計入射角θにおける設計波長λの光の透過率を向上させることができる。特に(λ/n2)・cosθとするのが簡易で望ましい。
なお、周期長L、ドットの幅W、高さhは、上記の値に限るものではなく、本発明の光学フィルタの特性を発揮させることができる範囲で上記値からずれた値であってよい。たとえば10%程度の誤差は許容される。
設計波長λは、可視光から赤外領域までの任意の波長でよいが、0.7〜2μmの範囲内とするのが望ましく、設計入射角θは40〜60°の範囲内とすることが望ましい。このような範囲では、簡易かつ入射角度依存性の小さな光学フィルタが従来実現されていなかったためである。また、本発明では、設計波長λ0.7〜2μmにおいて、入射角度を40°〜60°に変化させたときに透過ピークのシフトが10nm以下の非常に入射角依存性が小さな光学フィルタを実現することができる。
本発明の光学フィルタは、基板裏面側と周期構造体表面側のどちら側から光を入射させても動作させることができる。
周期構造体を覆うようにして基板と同一の屈折率からなるキャップ層を設けることが望ましい。周期構造体を物理的・化学的なダメージなどから保護して耐環境性を高めることができる。また、周期構造体とキャップ層との間の伝搬モードが効率的に結合して透過率を向上させることができる。特にキャップ層の材料を基板と同一とすることが簡便で望ましい。
本発明によれば、簡単な構成により入射角依存性の小さなバンドパスフィルタを構成することができる。本発明は特に近赤外光のバンドパスフィルタとして有用であり、赤外線センサーの窓に本発明の光学フィルタを用いることでセンサのSN比を向上させることができる。また、本発明の光学フィルタはドットの高さで設計入射角θを容易に設定することができ、設計入射角θにおける透過率を最適化することができる。
実施例1の光学フィルタの構成を示した断面図。 実施例1の光学フィルタを情報から見た平面図。 実施例1の光学フィルタの製造工程を示した図。 シミュレーションにより算出した透過スペクトルを示したグラフ。 光学フィルタ中の電界分布を示した図。 実施例1の光学フィルタの透過スペクトルを示したグラフ。 シミュレーションにより算出した透過スペクトルを示したグラフ。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
図1は、実施例1の光学フィルタの構成を示した断面図であり、図2はその平面図である。図1のように、実施例1の光学フィルタは、基板10と、基板10上に位置する周期構造体11と、周期構造体11上に位置し、前記周期構造体11を封止するキャップ層12と、を有している。実施例1の光学フィルタは、設計入射角θ(=40°)で入射する光のうち設計波長λ(=900nm)の波長成分を透過させ、他の波長帯は透過させないバンドパスフィルタとして動作する。なお、入射角度は、基板10主面に垂直な方向と光の入射方向との成す角であり、入射面に対して垂直方向に入射する角度を0°として定義する。
基板10は、厚さ2μmのSiO2 からなる。他にも光学フィルタの設計波長λにおいて透光性(たとえば80%以上の透過率)を有した任意の材料を用いることができる。たとえば、Al2 3 、ZrO2 、MgF2 、CaF2 、LiF、ZnSなどを設計波長λに応じて用いることができる。
周期構造体11は、Siからなる複数のドット11aが、基板10上に正方格子状に配列された構造である。ドット11a間の領域11bは、キャップ層12によって埋められている。キャップ層12に替えて、ドット11aよりも屈折率の低い材料によって埋めてもよい。
ドット11aは、アモルファスのSiからなる。Si以外にも、基板10よりも屈折率が高く、かつ、設計波長λ近傍のある波長より短波長側あるいは長波長側において吸収(望ましくは透過率が20%以下、さらに望ましくは10%以下)する材料であれば任意の材料を用いることができる。吸収する帯域以外の帯域ではなるべく透過率が高い材料が好ましい。設計波長λ近傍とは、たとえば0.75λから1.25λの範囲である。Siは1.1μm以下の波長帯域の光を吸収し透過率0%であるから、確かに設計波長λ(=900nm)の近傍の1.1μmより短波長側を吸収する材料であり、この条件を満たしている。Si以外の具体的な材料を挙げると、Ge、CdS、Sb2 3 、ZnSe、CdTe、CdS、などの半導体材料であり、設計波長λに応じて用いることができる。不純物をドープすることにより吸収端を制御してもよい。
ドット11aは、アモルファスに限らず、多結晶あるいは結晶の材料であってもよい。また、基板10とドット11aの屈折率差はなるべく大きいことが望ましく、たとえば2以上の屈折率差が望ましい。屈折率差が大きいほど光学フィルタの透過スペクトルの入射角依存性が低減されるためである。
ドット11aは正四角柱であり、平面視での形状は正方形である。その正方形の一辺の長さ(ドット11aの幅、正方格子の一辺の長さ)は310nmである。また、隣接するドット11aの中心間の距離(周期長L)は620nmであり、λ/n1、ここでn1は基板10の屈折率(n1=1.45)、となっている。また、ドット11aの幅Wは周期長Lの1/2である。また、ドット11aの高さhは170nmであり、およそ(λ/n2)・cosθ、ここでn2はドット11aの屈折率(n2=3.45)、となっている。周期長Lはλ/n1の整数倍でもよく、ドット11aの高さhは(λ/n2)・cosθの整数倍でもよい。
なお、実施例1ではドット11aの平面視での形状は正方形であるが、それ以外にも正三角形、正六角形、円などの図形であってよく、それらの角の一部、または全部が丸まった図形であってもよい。また、実施例1ではドット11aの立体形状は正四角柱であるが、角柱、角錐、角錐台、円柱、円錐、円錐台などの形状であってもよい。
また、実施例1では、ドット11aは正方格子状に配列されているが、他の2次元周期的な配列であってもよい。ただし、偏光依存性を低減するためには三角格子、正方格子、六方格子などの回転対称性の高い配列とすることが望ましい。
キャップ層12はSiO2 からなり、周期構造体11上に位置するとともにドット11a間の領域11bを埋めるように形成されている。各ドット11aは、キャップ層12によって封止された格好となっている。キャップ層12の厚さ(周期構造体11上の領域)は、2.5μmである。このようにキャップ層12によって周期構造体11を封止することで、周期構造体11に対する物理的、化学的な影響を低減して耐環境性を高めている。また、キャップ層12を基板10と同一材料とすることで、設計波長λにおいてドット11aとキャップ層12との間の伝搬モードが効率的に結合するため、実施例1の光学フィルタの透過率を向上させることができる。
なお、キャップ層12はなくてもよいが、ドット11aが物理的、化学的にダメージを受ける可能性があるなど耐環境性が悪くなり、光学フィルタとしての特性が経時的に劣化してしまう可能性がある。また、キャップ層12を設けないと周期構造体11と空間との屈折率の違いによって光が反射してしまい透過率が悪化してしまう。それらの問題のため、基板10と同一材料のキャップ層12を設けることが望ましい。また、キャップ層12がドット11a間の領域11bを埋めないようにし、領域11bに透光性でドット11aよりも屈折率の低い他の材料で埋めるようにしてもよい。あるいは、領域11bを空間領域としてもよい。
次に、実施例1の光学フィルタの製造方法について、図3を参照に説明する。
まず、基板10上にスパッタによってアモルファスシリコンからなるSi膜13を形成する(図3(a)参照)。次に、Si膜13上にポジ型のレジスト14を塗布し、EB描画によってドットが正方格子状に配列されたパターンのマスクパターンを形成する(図3( b))。レジスト14のパターニングは、ナノインプリントなどの方法を用いることもできる。次に、レジスト14をマスクとしてSi膜13をICPエッチングし、その後レジスト14を除去することでSi膜13のパターニングを行う。これにより、基板10上にSiからなるドット11aが正方格子状に配列された周期構造体11が形成される(図3(c))。Si膜13はウェットエッチングなどによってもパターニングすることができる。次に、周期構造体11を覆うようにしてスパッタによりキャップ層12を形成する。以上によって図1に示す実施例1の光学フィルタが作製される。なお、Si膜13やキャップ層12の成膜はスパッタ法に限らず、真空蒸着法、CVD法など、従来SiやSiO2 の成膜方法として知られている任意の方法によって成膜してよい。
このように、実施例1の光学フィルタは半導体プロセスをそのまま流用して作製することができるため、容易かつ低コストに製造することができる。
次に、実施例1の光学フィルタの動作原理および効果について説明する。
実施例1の光学フィルタは、設計波長λに透過ピークを有するバンドパスフィルタ、すなわち設計波長帯では光を透過し、他の帯域では光を透過しないフィルタとして動作する。これは、設計波長λにおいて基板10と周期構造体11との間で伝搬モードが効率的に結合し、他の波長帯域では結合しないためである。設計波長λは、周期構造体11の周期長Lと、ドット11aの幅Wの値によって決定することができる。実施例1の光学フィルタでは、ドット11aの幅Wを周期長Lの1/2としているため、周期長Lをλ/n1に設定するのみで簡易に設計波長を設計することができる。なお、実施例1の光学フィルタは、光を基板10裏面側から入射させてもよいし、キャップ層12表面側から光を入射させてもよい。どちらから入射させた場合も同様の特性のバンドパスフィルタとして動作する。
また、実施例1の光学フィルタは入射角依存性が小さい。これは、ドット11aの材料として、波長1.1μm以下では吸収し、それより大きな波長では透過する材料であるSiを用いているためである。Siによる光の吸収には入射角依存性がなく、入射角度の増加に伴う透過ピークの短波長側へのシフトが、Siによる波長1.1μm以下の光の吸収によって抑制されるため、結果的に入射角依存性が低減される。
また、実施例1の光学フィルタは、設計入射角θにおいて他の入射角度よりも透過率が高くなるように、ドット11aの高さhを(λ/n2)・cosθに設定している。つまり、ドット11a中の光学的距離が設計波長λcosθとなるように設定している。実施例1の光学フィルタの入射角依存性が小さいのは、Siによる短波長側の吸収によって入射角依存性を低減するものであるため、入射角度が大きくなるほど透過ピークにおける透過率が減少する。そこで上記のように設計入射角θに応じてドット11aの高さhを設定することで、このような透過率の減少を抑制している。
なお、周期長Lをλ/n1の整数倍、ドット11aの高さhを(λ/n2)・cosθの整数倍としても、上記と同様の効果を得ることができる。
また、実施例1の光学フィルタは、入射角依存性が小さいため、使用する入射角度に応じた設計をする必要性は従来の光学フィルタに比べて小さい。そこで、設計入射角θを0°、ドット11aの高さhをλ/n2の整数倍、特にλ/n2として設定してもよい。
以上のように、実施例1の光学フィルタによれば、設計波長λに透過ピークを有し、設計入射角θにおける透過率が高く、入射角度依存性の小さなバンドパスフィルタを簡易に実現することができる。また、ドット11aの高さh、幅W、周期長Lによって容易に設計することができ、半導体プロセスを流用して容易に作製することができる。
次に、各種シミュレーション結果、実験結果を説明する。
図4は、シミュレーションによって実施例1の光学フィルタの透過スペクトルを算出した結果を示したグラフである。光は基板10裏面側から入射させ、周期長Lは600nm、ドット11aの幅Wは300nm、高さhは180nmとした。また、入射角度は0°、40°、50°、60°とした。設計波長λは870nm、設計入射角θは44°である。
図4のように、実施例1の光学フィルタは、設計波長λである870nm付近に透過ピークを有したバンドパスフィルタとして動作していることがわかる。すなわち、870nmにおいては基板10とドット11aとの間、およびドット11aとキャップ層12との間で伝搬モードが効率的に結合していて光を透過するのに対し、他の波長帯域では結合が生じず、光が反射・吸収されて透過しないため、870nm付近に透過ピークを有し、半値幅が20〜60nm程度のバンドパスフィルタとして動作している。
また、図4から、入射角度を40°から60°に変化させた場合に、透過ピークは短波長側へシフトし、そのシフト量はおよそ10nmであった。入射角依存性が非常に小さいことがわかる。また、透過ピークの半値幅も入射角度が大きくなるにつれて60nmから20nmに減少していることがわかる。また、透過ピークにおける透過率も、入射角度が大きくなるにつれて減少することがわかる。
図5は、実施例1の光学フィルタに光が入射している場合における電界分布を示した図である。この電界分布は、入射角度が0°、50°で波長が780nm、900nmの場合であって、周期長L、ドット11aの幅W、高さhは図4の場合と同様の場合をシミュレーションによって算出した。図5中、z軸方向は基板10主面に垂直な方向、x軸方向はドット11aの平面形状である正方形の一辺に平行な方向である。また、図中では周期構造体11の単位構造部分のみを示している。
図5(a)のように、波長780nm、入射角度0°の場合、ドット11a中の電界強度は低く、基板10とドット11aとの間で電界強度が連続しておらず、基板10からドット11aへ伝搬モードの結合が生じていないことがわかる。そのため、波長780nmの光は反射・吸収され、ほとんど透過しない。
また、図5(c)のように、波長780nm、入射角度40°の場合も、伝搬モードの結合が生じておらず、780nmの光は実施例1の光学フィルタをほとんど透過しない。
一方、図5(b)のように、波長900nm、入射角度0°の場合、基板10とドット11aとの間で電界強度が連続して分布し、ドット11aとキャップ層12との間でも電界強度が連続して分布していることがわかる。つまり、基板10とドット11aとの間、およびドット11aとキャップ層12との間で伝搬モードが効率的に結合していることがわかる。その結果、波長900nmの光は実施例1の光学フィルタをほとんど透過することができる。
また、図5(d)のように、波長900nm、入射角度40°の場合も、基板10とドット11aとの間、およびドット11aとキャップ層12との間で伝搬モードが効率的に結合しており、900nmの光は実施例1の光学フィルタをおよそ透過することができている。
このように、図5(a)〜(d)から、実施例1の光学フィルタは、所定の周期長L、ドット11aの幅W、高さhにおいて、基板10と周期構造体11との間の伝搬モードが効率的に結合することで、バンドパスフィルタとして動作していることがわかる。
図6は、ドット11aの数が10×10の実施例1の光学フィルタを実際に作製し、透過率を測定した場合の透過スペクトルを示したグラフである。周期長L、ドット11aの幅W、高さh、入射角度は図4と同様である。
図6のように、測定結果は図4のシミュレーションとおよそ一致していることがわかる。すなわち、設計波長λである870nm付近に透過ピークを有したバンドパスフィルタとして動作していることがわかる。透過ピークの半値幅は、40°で100nm、50°で90nm、60°で70nmである。また、図4と同様に、入射角度を40°から60°に変化させた場合に、透過ピークは短波長側へシフトしていた。そのシフト量はおよそ5nmであった。入射角依存性が非常に小さいことがわかる。また、透過ピークの半値幅も入射角度が大きくなるにつれて100nmから60nmに減少していることがわかる。また、透過ピークにおける透過率も、入射角度が大きくなるにつれて減少していることがわかる。
図7は、実施例1の光学フィルタについて、入射角度を40°に固定してドット11aの高さhを変化させた場合の透過スペクトルをシミュレーションにより算出した結果を示した図である。高さhは150nmから210nmまで10nm刻みで変化させた。他の条件は図4の場合と同様である。
図7のように、高さhが小さくなるにつれて透過スペクトルのピークは短波長側へとシフトしていることがわかる。また、透過ピークでの透過率は高さhが180nmのときが最も高かった。高さhが150nmから180nmまでは、その透過ピークでの透過率は、52%から79%まで単調に増加し、180nmから210nmまでは79%から53%まで単調に減少していた。
この図7の結果から、ドット11aの高さhを制御することによって、透過ピークでの透過率が最も高くなるように透過スペクトルを最適化することが可能であるとわかった。すなわち、設計入射角度θを決めた場合に、その設計入射角度θにおいて透過ピークでの透過率が最大となるように設計するには、ドット11aの高さhの設計により可能であることがわかった。
なお、実施例1では、基板10上に1つの周期構造体11を設けているが、基板上の別々の領域に、互いにドットの幅W、高さhや周期長Lの異なる2つの周期構造体11を設けてもよい。これにより、異なる設計波長λ、設計入射角θのバンドパスフィルタが同一面上に形成された光学フィルタを実現することができる。もちろん、基板上の3以上の領域に、異なる構造の3以上の周期構造体11をそれぞれ設けてもよい。
また、実施例1では基板10の一方の表面に周期構造体11を設けているが、両面に周期構造体11を設けてもよい。
本発明の光学フィルタは、光学センサのSN比向上などに利用することができる。
10:基板
11:周期構造体
11a:ドット
12:キャップ層

Claims (11)

  1. 主面に対して設計入射角θで入射する光のうち、設計波長λの光を透過させる光学フィルタにおいて、
    前記設計波長λに対して透光性を有した材料からなる透過層と、
    前記透過層よりも屈折率が高く、前記設計波長λ近傍のある波長よりも短波長側、あるいは長波長側は吸収する材料からなり、前記透過層上にドットを2次元周期的に配列した周期構造体と、を有し、
    前記周期構造体の周期長Lは、m1・(λ/n1)、ここでn1は透過層の屈折率、m1は1以上の整数、
    前記ドットの高さhは、m2・(λ/n2)、ここでn2はドットの屈折率、m2は1以上の整数、
    前記ドットの幅Wは、前記周期長Lの1/2、である、
    ことを特徴とする光学フィルタ。
  2. 前記ドットの高さhは、m2・(λ/n2)・cosθ、であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルタ。
  3. m1=1であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光学フィルタ。
  4. m2=1であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  5. 前記設計波長λは、0.7〜2μmの範囲内であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  6. 前記設計入射角θは、40〜60°の範囲内であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  7. 前記設計波長λは0.7〜2μmであり、入射角度を40°から60°まで変化させたときの透過ピークのシフトが10nm以下である、ことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  8. 前記ドットは、正方格子状に配列されている、ことを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  9. 前記ドットは、平面視が正方形の正四角柱である、ことを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  10. 前記基板の材料は、SiO2 、Al2 3 、ZrO2 、MgF2 、CaF2 、LiF、またはZnSのいずれかであることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  11. 前記ドットの材料はSi、Ge、CdS、Sb2 3 、ZnSe、またはCdTeのいずれかであることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
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