JP2015094310A - 過給装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポンプ性能を維持するに好適な耐久性の高い過給装置を提供する。【解決手段】噛合歯3のケーシング4内面と摺接する歯先3A及び軸方向端面3Bには、コーティング材の材質、硬度、膜厚のいずれか一つ若しくはこれらの組合せにより、耐摩耗性を確保すると共に低フリクション化するコーティング膜7A,7Bを形成する。また、噛合歯3同士を噛合わせる歯面3Cには、コーティング材の材質、硬度、膜厚のいずれか一つ若しくはこれらの組合せにより、馴染み性を向上させると共にクリアランスの最適化を図るコーティング膜7Cを形成した。【選択図】図5
Description
本発明は、内燃機関に空気を供給するスクリュー形の過給装置に関し、特に、ロータやケーシング等の部品間の隙間を減少させてポンプ性能を向上させるに好適な過給装置に関するものである。
従来からロータやケーシング等の部品間の隙間を減少させてポンプ性能を向上させるスクリュー形の過給装置が提案されている(特許文献1参照)。これは、過給装置を構成する雄ロータ及び雌ロータの長手方向の端面・歯先面及び歯面にコーティング膜を施し、これらをケーシングに組み込んだ後、回転駆動することにより余分なコーティング材を削り取るようにしている。
ところで、この種のスクリュー形の過給装置では、内燃機関に要求される空気量を供給するために、最高回転数が、例えば、20000rpm程度と高速で回転される。このため、過給装置を構成する一対のロータの歯先及び軸方向端面のケーシングに対する相対すべり速度は、ロータの回転速度に比例して上昇する。そして、ロータのケーシングに対する相対すべり速度は、ロータの歯面同士の噛合いによる相対すべり速度に比較して高速となる。
しかしながら、上記従来例では、ロータの歯先・歯面・軸方向端面に対して同一のコーティング膜を施すものであり、相対すべり速度に合わせた適切なコーティング膜を形成していない。このため、相対すべり速度の比較的高いロータ端面及び歯先のコーティング膜が先に磨耗し、シール性能を悪化させポンプ性能が低下するという、耐久性の点で課題が残るものであった。
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、ポンプ性能を維持するに好適な耐久性の高い過給装置を提供することを目的とする。
本発明は、周面に複数の螺旋状の噛合歯を有する一対のロータを互いに噛合わせてケーシング内に収容し、一対のロータを回転駆動することによって、軸心方向一端側から空気を吸込み、両ロータ間で圧縮して他端側から吐出し得るよう構成したスクリュー形の過給装置を対象とする。そして、噛合歯のケーシング内面と摺接する歯先及び軸方向端面には、コーティング材の材質、硬度、膜厚のいずれか一つ若しくはこれらの組合せにより、耐摩耗性を確保すると共に低フリクション化するコーティング膜を形成する。また、噛合歯同士を噛合わせる歯面には、コーティング材の材質、硬度、膜厚のいずれか一つ若しくはこれらの組合せにより、馴染み性を向上させると共にクリアランスの最適化を図るコーティング膜を形成した。
したがって、本発明では、噛合歯の歯先及び軸方向端面と歯面とに、当該部位の相対すべり速度に応じて施すコーティング状態を変化させてコーティング膜を形成するため、相対すべり速度の比較的高いロータの軸方向端面及び歯先のコーティング膜が先に磨耗することを抑制できる。結果として、シール性能を維持してポンプ性能を向上でき、耐久性の高い圧縮機とできる。
以下、本発明の過給装置を各実施形態に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1〜図4は、本発明を適用した過給装置の第1実施形態を示す端面図、一対のロータの平面図、側面図及び斜視図である。図1〜図4において、過給装置1は、周面に複数(図では4つ)の螺旋状をなす噛合歯3を備えると共に当該噛合歯3同士を噛合わせた一対のロータ2と、噛合歯3同士を噛合せた状態の一対のロータ2を回転可能に収容するケーシング4と、を備えている。
図1〜図4は、本発明を適用した過給装置の第1実施形態を示す端面図、一対のロータの平面図、側面図及び斜視図である。図1〜図4において、過給装置1は、周面に複数(図では4つ)の螺旋状をなす噛合歯3を備えると共に当該噛合歯3同士を噛合わせた一対のロータ2と、噛合歯3同士を噛合せた状態の一対のロータ2を回転可能に収容するケーシング4と、を備えている。
一対のロータ2は、その噛合歯3の軸方向端面3Bをケーシング4の側部内面に接触させ、その外周端である噛合歯3の歯先3Aをケーシング4内面に接触させた状態で、ケーシング4に収容される。そして、一対のロータ2は、夫々軸心方向の両端部に突設したロータ軸部2Aを図示しない軸受を介してケーシング4側部に支持されている。各ロータ軸部2Aは、夫々図示しないタイミングギヤを備え、タイミングギヤ同士を噛合わせることにより、同期して互いに逆方向に回転可能となっている。そして、いずれか一方のロータ軸部2Aを図示しないエンジン動力により回転させることにより、タイミングギヤを介してロータ軸部2A及びロータ2を同期して互いに逆回転させる。一対のロータ2は、噛合歯3の歯先3Aをケーシング4内面に摺接させつつ噛合歯3の歯面3C同士を噛合わせて互いに逆回転する。
ケーシング4の軸方向一方には吸込み口5が、また、ケーシング4の軸方向他方には吐出口6が、夫々設けられている。噛合歯3の歯先3Aはケーシング4内面に対して摺接する。また、噛合歯3同士の噛合いは螺旋状をなしているため、歯底3Dから歯面3Cを経由して歯先3Aに至る連続した線状をなす噛合い面を形成し、一対のロータ2間にはこの噛合い面により仕切りが1個以上形成される。この一対のロータ2の噛合い面による仕切りにより、ケーシング4内面は吸込み口5に連通する領域と吐出口6に連通する領域とに分離される。そして、一対のロータ2が互いに逆回転することにより、噛合い面(による仕切り)が吸込み口5から吐出口6に向かって順次移動し、空気を吸込み口5から吐出口6に向かって移動させ、空気を吸込み口5から吸引して吐出口6から吐出するよう作動する。
上記作動において、各ロータ2の噛合歯3の歯面3C同士は、ピッチ円8同士を接触させて互いに転動する。即ち、噛合歯3の歯面3C同士は、ピッチ円8上では転動し、ピッチ円8から歯元側及び歯先3A側に移るに連れて相対すべり速度を増加させつつ転動する。また、噛合歯3の歯先3A及び軸方向端面3Bは、常にケーシング4内面に対して摺接し、その相対滑り速度は、ロータ2の回転速度に比例して増加する。そして、噛合歯3同士の噛合いによる相対すべり速度は、転動成分を含んでいるため、転動成分を含まない噛合歯3の歯先3A及び軸方向端面3Bとケーシング4との相対滑り速度に対して大幅に低くなる。
このため、ケーシング4内面に対する隙間を塞ぐように、噛合歯3の歯先3A、軸方向端面3B及び歯面3Cに同一のコーティング膜を施す場合には、相対すべり速度の大きい噛合歯3の歯先3A、次いで、軸方向端面3Bのコーティング膜が、先ず摩耗する。このため、噛合歯3の歯面3Cに施したコーティング膜はシール性能が確保されているものの、噛合歯3の歯先3A、軸方向端面3Bのコーティング膜の摩耗により、シール性能を悪化させポンプ性能が低下するという、耐久性の点で課題を残すものであった。
本実施形態においては、施すコーティング状態を相対すべり速度に応じて変化させることにより、シール性能の悪化を抑制してポンプ性能の低下を抑制するものである。具体的には、相対すべり速度の高い噛合歯3の歯先3A及び軸方向端面3Bに対しては、コーティング膜7A,7Bの材質、硬度、膜厚のいずれか一つ若しくはこれらの組合せにより、耐摩耗性を確保すると共に低フリクション化するよう設定する。また、相対すべり速度の比較的低い噛合歯3の歯面3Cに対しては、コーティング膜7Cの材質、硬度、膜厚のいずれか一つ若しくはこれらの組合せにより、馴染み性を向上すると共にクリアランスの最適化を図るように設定する。
次に、コーティング膜7の材質、硬度、膜厚の設定方法について、具体的に説明する。先ず、ロータ2に対して施すコーティング膜7の材質を、相対すべり速度の高い噛合歯3の歯先3A及び軸方向端面3Bと相対すべり速度の低い歯面3Cとで異ならせる方法について説明する。即ち、ロータ2に対して施すコーティング膜7の材質を異ならせることにより、前者に対しては耐摩耗性を確保と低フリクション化を図り、後者に対しては馴染み性の向上とクリアランスの最適化を図るようにした方法である。
即ち、相対すべり速度の高い噛合歯3の歯先3A及び軸方向端面3Bに対しては、耐磨耗性に優れ、低フレクションのコーティング膜7A,7Bを施し、相対すべり速度の比較的低い噛合歯3の歯面3Cに対しては、馴染み性に優れ、弾力性の高いコーティング膜7Cを施すようにする。具体的には、噛合歯3の歯先3A及び軸方向端面3Bに対して実施する耐磨耗性に優れ、低フルクションのコーティング材としては、例えば、二硫化モリブデン系のコーティング材を施すようにする。
また、相対すべり速度の比較的低い噛合歯3の歯面3Cに対しては、馴染み性に優れ、弾力性の高いコーティング材を施すようにする。具体的には、噛合歯3の歯面3Cに対して実施する馴染み性に優れ、弾力性の高いコーティング材としては、例えば、エポキシベース基材に固体潤滑剤としてグラファイトを添加したコーティング材を施すようにする。このエポキシベース基材に固体潤滑剤としてグラファイトを添加したコーティング材は、自己磨耗型のクリアランス制御用コーティングである。
このように相対すべり速度に対応して、相対すべり速度の大きい部位には、耐磨耗性が高く低フリクションのコーティング材を、また、相対すべり速度の小さい部位は、馴染み性に優れ、弾力性のあるコーティング材を、コーティングする。これにより、シール性の耐久性を確保でき、内燃機関の燃費向上と出力向上が期待できる。
次に、ロータ2に対して施すコーティング膜7の硬度を、相対すべり速度の高い噛合歯3の歯先3A及び軸方向端面3Bと相対すべり速度の低い歯面3Cとで異ならせる方法について説明する。即ち、ロータ2に対して施すコーティング膜7の硬度を異ならせることにより、前者に対しては耐摩耗性を確保と低フリクション化を図り、後者に対しては馴染み性の向上とクリアランスの最適化を図るようにした方法である。
即ち、相対すべり速度の高い噛合歯3の歯先3A及び軸方向端面3Bに対しては、耐磨耗性に優れると共に低フレクションとなる硬度の高いコーティング膜7A,7Bを施す。また、相対すべり速度の比較的低い噛合歯3の歯面3Cに対しては、馴染み性に優れると共に弾力性の高い軟質のコーティング膜7Cを施すようにする。
具体的には、噛合歯3の歯先3A及び軸方向端面3Bに対して実施する耐磨耗性に優れ、低フルクションの硬度の高いコーティング膜7A,7Bとして、例えば、鉛筆硬度H〜8H程度のコーティングを施すようにする。また、相対すべり速度の比較的低い噛合歯3の歯面3Cに対しては、馴染み性に優れ、弾力性の高い軟質なコーティング膜7Cとして、例えば、鉛筆硬度4B〜5B程度のコーティングを実施するようにする。
このように相対すべり速度に対応して、相対すべり速度の大きい部位には、耐磨耗性が高く低フリクションの硬度の高いコーティング膜7A,7Bを、また、相対すべり速度の小さい部位は、馴染み性に優れ、弾力性のある軟質なコーティング膜7Cを、施す。これにより、シール性の耐久性を確保でき、内燃機関の燃費向上と出力向上が期待できる。
次に、ロータ2に対して施すコーティング膜7の膜厚を、相対すべり速度の高い噛合歯3の歯先3A及び軸方向端面3Bと相対すべり速度の低い歯面3Cとで異ならせる方法について説明する。即ち、ロータ2に対して施すコーティング膜7の膜厚を異ならせることにより、前者に対しては耐摩耗性を確保と低フリクション化を図り、後者に対しては馴染み性の向上とクリアランスの最適化を図るようにした方法である。
即ち、相対すべり速度の高い噛合歯3の歯先3A及び軸方向端面3Bに対しては、耐磨耗性に優れる吐共に低フレクションとなる膜厚の薄いコーティング膜7A,7Bを施す。また、相対すべり速度の比較的低い噛合歯3の歯面3Cに対しては、馴染み性に優れると共に弾力性の高い膜厚の厚いコーティング膜7Cを施すようにする。
具体的には、噛合歯3の歯先3A及び軸方向端面3Bに対して実施する耐磨耗性に優れ、低フルクションの膜厚の薄いコーティング膜7A,7Bとして、例えば、膜厚10〜20μm程度のコーティングを施すようにする。また、相対すべり速度の比較的低い噛合歯3の歯面3Cに対しては、馴染み性に優れ、弾力性の高い膜厚の厚いコーティング膜7Cとして、例えば、膜厚100〜200μm程度のコーティングを実施するようにする。
このように相対すべり速度に対応して、相対すべり速度の大きい部位には、耐磨耗性が高く低フリクションの膜厚の薄いコーティング膜7A,7Bを、また、相対すべり速度の小さい部位は、馴染み性に優れ、弾力性のある膜厚の厚いコーティング膜7Cを、施す。これにより、シール性の耐久性を確保でき、内燃機関の燃費向上と出力向上が期待できる。
以上に説明した各方法は、いずれか一つの方法を選択して実施するものであるが、いずれか2つの方法を選択して実施してもよく、また、全ての方法を合わせて実施するものであってもよい。例えば、相対すべり速度の大きい部位には、耐磨耗性が高く低フリクションのコーティング材を高い硬度により、また、相対すべり速度の小さい部位は、馴染み性に優れ、弾力性のあるコーティング材を低い硬度により、夫々コーティングするようにしてもよい。また、相対すべり速度の大きい部位には、耐磨耗性が高く低フリクションのコーティング材を薄い膜厚により、また、相対すべり速度の小さい部位は、馴染み性に優れ、弾力性のあるコーティング材を厚い膜厚により、夫々コーティングするようにしてもよい。また、相対すべり速度の大きい部位には、高い硬度で且つ薄い膜厚により、また、相対すべり速度の小さい部位は、低い硬度で且つ厚い膜厚により、夫々コーティングするようにしてもよい。また、相対すべり速度の大きい部位には、耐磨耗性が高く低フリクションのコーティング材を高い硬度で且つ薄い膜厚により、また、相対すべり速度の小さい部位は、馴染み性に優れ、弾力性のあるコーティング材を低い硬度で且つ厚い膜厚により、夫々コーティングするようにしてもよい。
本実施形態においては、以下に記載する効果を奏することができる。
(ア)周面に複数の螺旋状の噛合歯3を有する一対のロータ2を互いに噛合わせてケーシング4内に収容し、一対のロータ2を回転駆動することによって、軸心方向一端側から空気を吸込み、両ロータ2間で圧縮して他端側から吐出し得るよう構成したスクリュー形の過給装置1を対象とする。そして、噛合歯3のケーシング4内面と摺接する歯先3A及び軸方向端面3Bには、コーティング材の材質、硬度、膜厚のいずれか一つ若しくはこれらの組合せにより、耐摩耗性を確保すると共に低フリクション化するコーティング膜7A,7Bを形成する。また、噛合歯3同士を噛合わせる歯面3Cには、コーティング材の材質、硬度、膜厚のいずれか一つ若しくはこれらの組合せにより、馴染み性を向上させると共にクリアランスの最適化を図るコーティング膜7Cを形成した。即ち、噛合歯3の歯先3A及び軸方向端面3Bと歯面3Cとに、当該部位の相対すべり速度に応じて施すコーティング状態を変化させてコーティング膜7を形成するため、相対すべり速度の比較的高いロータ2の軸方向端面3B及び歯先3Aのコーティング膜7が先に磨耗することを抑制できる。結果として、シール性能を維持してポンプ性能を向上でき、耐久性の高い圧縮機とできる。
(イ)耐摩耗性を確保すると共に低フリクション化するコーティング膜7A,7Bと、馴染み性を向上させると共にクリアランスの最適化を図るコーティング膜7Cとは、施すコーティング材の材質を異ならせて形成することを特徴とする。即ち、相対すべり速度に対応して、相対すべり速度の大きい部位には、耐磨耗性が高く低フリクションのコーティング材として、例えば、二硫化モリブデン系のコーティング材を用いることができる。また、相対すべり速度の小さい部位は、馴染み性に優れ、弾力性のあるコーティング材として、例えば、エポキシベース基材に固体潤滑剤としてグラファイトを添加したコーティング材を用いることができる。結果として、シール性能を維持してポンプ性能を向上でき、耐久性の高い圧縮機とできる。
(ウ)耐摩耗性を確保すると共に低フリクション化するコーティング膜7A,7Bと、馴染み性を向上させると共にクリアランスの最適化を図るコーティング膜7Cとは、施すコーティング材の硬度を異ならせて形成することを特徴とする。即ち、相対すべり速度の高い噛合歯3の歯先3A及び軸方向端面3Bに対しては、耐磨耗性に優れると共に低フレクションとなる硬度の高い、例えば、鉛筆硬度H〜8H程度のコーティングを施す。また、相対すべり速度の比較的低い噛合歯3の歯面3Cに対しては、馴染み性に優れると共に弾力性の高い軟質の、例えば、鉛筆硬度4B〜5B程度のコーティング材を施すようにする。結果として、シール性能を維持してポンプ性能を向上でき、耐久性の高い圧縮機とできる。
(エ)耐摩耗性を確保すると共に低フリクション化するコーティング膜7A,7Bと、馴染み性を向上させると共にクリアランスの最適化を図るコーティング膜7Cとは、施すコーティング材の膜厚を異ならせて形成することを特徴とする。即ち、相対すべり速度の高い噛合歯3の歯先3A及び軸方向端面3Bに対しては、耐磨耗性に優れる吐共に低フレクションとなる膜厚の薄い、例えば、膜厚10〜20μm程度のコーティングを施す。また、相対すべり速度の比較的低い噛合歯3の歯面3Cに対しては、馴染み性に優れると共に弾力性の高い膜厚の厚い、例えば、膜厚100〜200μm程度のコーティングを施すようにする。結果として、シール性能を維持してポンプ性能を向上でき、耐久性の高い圧縮機とできる。
(第2実施形態)
図6は、本発明を適用した過給装置の第2実施形態を示すロータ2の噛合歯の相対すべり速度を説明する特性図(A)及び施すコーティング膜の厚さを示す説明図(B),(C)である。本実施形態においては、ロータの噛合歯の歯面に施すコーティング膜の膜厚を歯面の噛合い部位に応じて異なるようにした構成を第1実施形態に追加したものである。なお、第1実施形態と同一部材には同一符号を付してその説明を省略ないし簡略化する。
図6は、本発明を適用した過給装置の第2実施形態を示すロータ2の噛合歯の相対すべり速度を説明する特性図(A)及び施すコーティング膜の厚さを示す説明図(B),(C)である。本実施形態においては、ロータの噛合歯の歯面に施すコーティング膜の膜厚を歯面の噛合い部位に応じて異なるようにした構成を第1実施形態に追加したものである。なお、第1実施形態と同一部材には同一符号を付してその説明を省略ないし簡略化する。
ロータ2の噛合歯3同士の噛合いは、ピッチ円8同士を接触させて互いに転動する。図6(A)は、噛合歯3の歯底3Dから歯先3Aまでの歯面3Cの相対すべり速度の変化を示す特性図である。即ち、噛合歯3同士は、ピッチ円8上では転動し、ピッチ円8から歯元側及び歯先3A側に移るに連れて相対すべり速度を増加させつつ転動する。このため、噛合歯3の歯底3Dから歯先3Aまでの歯面3Cの全領域に同一のコーティング膜7Cを施す場合においては、ピッチ円8近傍から相対すべり速度の比較的高い歯底3D領域及び歯先3A領域に近づくに連れてコーティング膜7Cの摩耗が進行することとなる。
このため、本実施形態においては、図6(B)に示すように、噛合歯3の歯面3Cに施すコーティング膜7Cの膜厚dを、ピッチ円8近傍で薄く形成する一方、ピッチ円8から歯底3D領域及び歯先3A領域に近づくに連れてコーティング膜7Cの膜厚dを増加させるように設定したものである。膜厚dの設定として、ピッチ円8近傍では、例えば、100μm程度とし、歯先3A側及び歯底3D側で、例えば、200μm程度と設定する。なお、ピッチ円8から歯底3D領域及び歯先3A領域に近づくに連れてコーティング膜7Cの膜厚dを増加させる場合に、図6(B)に示すように、連続的に増加させるものでなくてもよく、例えば、図6(C)に示すように、段階的に増加させるものであってもよい。その他の構成は、第1実施形態と同様に構成している。
このように、本実施形態では、噛合歯3の歯面3Cに施すコーティング膜7Cの膜厚dを、ピッチ円8近傍で薄く形成する一方、ピッチ円8から歯底3D領域及び歯先3A領域に近づくに連れてコーティング膜7Cの膜厚dを増加させるものである。このため、本実施形態では、相対すべり速度が部位毎に異なる噛合歯3の歯面3Cにおいても、歯面3Cに施したコーティング膜7Cの摩耗状態を均一とでき、噛合歯3の歯面3C同士で形成する噛合い面におけるシール性を向上させることができる。結果として、ポンプ性能を向上させることができ、内燃機関の燃費向上と出力向上が期待できる。
本実施形態においては、第1実施形態における効果(ア)〜(エ)に加えて以下に記載した効果を奏することができる。
(オ)噛合歯3の歯面3Cのコーティング膜7Cは、噛合歯3のピッチ円8近傍で薄く形成されると共にピッチ円8から歯底3D領域及び歯先3A領域に近づくに連れてその膜厚を増加させて形成されることを特徴とする。このため、相対すべり速度が部位毎に異なる噛合歯3の歯面3Cにおいても、歯面3Cに施したコーティング膜7Cの摩耗状態を均一とでき、噛合歯3の歯面3C同士で形成する噛合い面におけるシール性を向上させることができる。結果として、ポンプ性能を向上させることができる。
1 過給装置
2 ロータ
3 噛合歯
3A 歯先
3B 軸方向端面
3C 歯面
3D 歯底
4 ケーシング
5 吸込み口
6 吐出口
7,7A〜7C コーティング膜
8 ピッチ円
2 ロータ
3 噛合歯
3A 歯先
3B 軸方向端面
3C 歯面
3D 歯底
4 ケーシング
5 吸込み口
6 吐出口
7,7A〜7C コーティング膜
8 ピッチ円
Claims (5)
- 周面に複数の螺旋状の噛合歯を有する一対のロータを互いに噛合わせてケーシング内に収容し、前記一対のロータを回転駆動することによって、軸心方向一端側から空気を吸込み、両ロータ間で圧縮して他端側から吐出し得るよう構成したスクリュー形の過給装置であって、
前記噛合歯のケーシング内面と摺接する歯先及び軸方向端面には、コーティング材の材質、硬度、膜厚のいずれか一つ若しくはこれらの組合せにより、耐摩耗性を確保すると共に低フリクション化するコーティング膜を形成し、
前記噛合歯同士を噛合わせる歯面には、コーティング材の材質、硬度、膜厚のいずれか一つ若しくはこれらの組合せにより、馴染み性を向上させると共にクリアランスの最適化を図るコーティング膜を形成したことを特徴とする過給装置。 - 前記耐摩耗性を確保すると共に低フリクション化するコーティング膜と、馴染み性を向上させると共にクリアランスの最適化を図るコーティング膜とは、施すコーティング材の材質を異ならせて形成することを特徴とする請求項1に記載の過給装置。
- 前記耐摩耗性を確保すると共に低フリクション化するコーティング膜と、馴染み性を向上させると共にクリアランスの最適化を図るコーティング膜とは、施すコーティング材の硬度を異ならせて形成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の過給装置。
- 前記耐摩耗性を確保すると共に低フリクション化するコーティング膜と、馴染み性を向上させると共にクリアランスの最適化を図るコーティング膜とは、施すコーティング材の膜厚を異ならせて形成することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の過給装置。
- 前記噛合歯のコーティング膜は、噛合歯のピッチ円近傍で薄く形成されると共にピッチ円から歯底領域及び歯先領域に近づくに連れてその膜厚を増加させて形成されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の過給装置。
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