JP2015089477A - 眼科疾患判定用の画像解析装置および画像解析方法 - Google Patents

眼科疾患判定用の画像解析装置および画像解析方法 Download PDF

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Abstract

【課題】鮮明度や解像度にかかわらず、眼球の断層画像から形態異常判定に用いるパラメータを抽出する。
【解決手段】頭部の二次元MRI画像から眼球を含む部分をトリミングして、断層画像280としてディスプレイ画面上に表示し、その上に8角形の外形をもった判定用多角形291を併せて表示する(図(a) )。専門の眼科医が、当該画像を見ながら、判定用多角形291を眼球領域281の上に移動し(図(b) )、8頂点が眼球領域281の輪郭線C上にくるように形状の修正作業を行う(図(c) )。修正作業後の判定用多角形292に基づき、種々のパラメータを抽出する。8頂点のうち、眼軸Aの上下両端点は眼球領域281の前極点および後極点に配置され、左右2頂点は眼軸に直交する線分Vの両端に配置される。残りの4頂点は、眼軸Aに対して所定角度をなす参照線と輪郭Cとの交点位置に配置され、後極部の対称性や形状に関する情報抽出に利用される。
【選択図】図27

Description

本発明は、眼科疾患判定用の画像解析装置および画像解析方法に関し、特に、頭部の断層画像に基づいて眼球の形態異常判定に用いる情報を抽出する技術に関する。
近視は、もっとも典型的な眼科疾患の1つであるが、その原因が眼球の形態異常にある場合は慎重な診断が必要になる。特に、眼球の後極部の組織が変性して眼軸が伸びると、強度な近視の症状を呈することになり、失明に至る可能性もある「強度近視」という重篤な疾患になる。
眼軸長の測定には、古くから様々な方法が採り入れられている。たとえば、下記の特許文献1には、光学的な方法により眼軸長を測定し、近視矯正用眼鏡の度数を決定するシステムが開示されている。また、特許文献2には、超音波を利用して眼軸長を測定する装置が開示されており、特許文献3には、コヒーレント光の干渉を利用して眼軸長を測定する装置が開示されている。
一方、被験者の眼球を撮影することにより得られた画像データを解析して、眼科疾患の判定に用いる情報を抽出する装置も提案されている。たとえば、特許文献4には、被験者の眼底画像データを解析して視神経線維束の分布パターンを抽出する解析装置が開示されている。また、MRIやCTなどの技術を用いれば、頭部の断層画像を撮影することができるので、この頭部断層画像から眼球部分を抽出して解析することにより、眼球の形態異常の判定に有用な情報を抽出する装置も提案されている。たとえば、特許文献5には、眼球を含む頭部の三次元ボクセル画像に基づいて二次元投影画像を作成し、これを所定のアルゴリズムに基づいて解析することにより、眼球の形態異常判定に用いる様々な情報を自動的に抽出する解析装置が開示されている。
特許第4014438号公報 特公平3−58726公報 特許第2723967号公報 特許第3479788号公報 国際公開第WO2013/031536号
眼軸長は、近視の程度を示す情報として古くから用いられてきたパラメータであり、上述したように様々な測定方法が知られている。しかしながら、眼軸長を測定しただけでは、眼球の形態異常を認識することができないため、「強度近視」の診断を行うことはできない。眼球の形態異常を定量的に評価して、「強度近視」の診断に役立てるには、頭部断層画像から眼球部分を抽出して解析する必要がある。
一方、前掲の特許文献5には、MRIやCTなどの技術を利用して頭部の三次元画像を取得し、その眼球領域を抽出してボリュームレンダリングの手法により二次元投影画像を作成した上で、眼球形状を示す様々なパラメータを自動的に抽出する技術が開示されている。この技術を利用すれば、頭部の三次元画像を用意するだけで、眼球の形態異常判定に用いるパラメータが自動的に抽出され、「強度近視」の診断に必要な情報を得ることができる。
しかしながら、眼球領域を自動抽出するためには、高精細な頭部三次元ボクセル画像を用意する必要があり、しかも、MRIを利用したT2強調モードで撮影を行った三次元画像を用いないと、正確なパラメータを得ることはできない。一般的なMRI撮影では、T2強調モードによる撮影よりもT1強調モードによる撮影が行われることが多いが、後者を用いた場合、実用上、正確なパラメータを自動抽出することはできない。また、三次元画像の撮影を行うには、精細なピッチで多数の断層面を連続撮影する必要があるため、撮影時間が非常に長くなる。このため、一般的には、三次元撮影よりも二次元撮影が行われることが多いが、二次元撮影像から眼球領域を正確に自動抽出することは困難である。更に、頭頚部疾患の診断には、通常、MRI撮影画像よりもCT撮影画像が利用されるが、CT撮影画像から眼球領域を自動認識することは、MRI撮影画像に基づく自動認識に比べて困難である。
最近は、MRIの技術が進歩し、解像度を落として二次元撮影を行えば、動画の撮影も可能になってきている。これにより、被験者に眼球を上下左右に動かしてもらいながら撮影を行えば、ダイナミックな眼球の変化も観察できる。しかしながら、このような動画の各フレームを構成する二次元画像の解像度は低く、当然ながら、眼球領域を自動認識することは非常に困難である。
そこで本発明は、眼球を含む頭部の二次元断層画像に基づいて、その鮮明度や解像度にかかわらず、眼球の形態異常判定に用いる正確な情報を抽出することができる眼科疾患判定用の画像解析装置および画像解析方法を提供することを目的とする。
(1) 本発明の第1の態様は、頭部の断層画像に基づいて眼球の形態異常判定に用いる情報を抽出する眼科疾患判定用の画像解析装置において、
オペレータからの指示を入力する指示入力部と、
オペレータに対して情報提示を行うディスプレイ装置と、
被験者頭部の眼球を含む二次元断層画像を入力する断層画像入力部と、
オペレータからの表示指示に基づいて、ディスプレイ装置の画面に断層画像を表示する断層画像表示部と、
所定形状をもった判定用多角形を定義し、これをディスプレイ装置の画面に断層画像に重ねて表示する処理を行い、オペレータからの修正指示に基づいて、判定用多角形の位置および形状を修正する多角形定義部と、
オペレータからの判定指示があったときに、その時点で定義されている判定用多角形に基づいて、眼球の形態異常判定に用いる情報を抽出し、これをオペレータに提示する判定情報抽出部と、
を設けたものである。
(2) 本発明の第2の態様は、上述した第1の態様に係る眼科疾患判定用の画像解析装置において、
多角形定義部が、眼球の前極に配置すべき前極点Pfと、眼球の後極に配置すべき後極点Pbと、眼球の後部輪郭線上の後極を挟んだ両側に配置すべき一対の参照点と、の少なくとも4点を頂点とする多角形を定義するようにしたものである。
(3) 本発明の第3の態様は、上述した第2の態様に係る眼科疾患判定用の画像解析装置において、
多角形定義部が、前極点Pfと後極点Pbとを結ぶ眼軸Aを定義し、この眼軸A上において後極点Pbから前極点Pfに向けて予め設定された所定の標準距離Dsだけ隔たった位置に計測原点Poを定義し、この計測原点Poを通り、眼軸Aに対して所定の参照角+θをなす第1参照線Lr1および−θをなす第2参照線Lr2を定義し(但し、0°<θ<90°)、第1参照線Lr1と眼球の後部輪郭線との交点位置に配置すべき点として第1参照点Pr1を定義し、第2参照線Lr2と眼球の後部輪郭線との交点位置に配置すべき点として第2参照点Pr2を定義し、少なくとも、Pf,Pb,Pr1,Pr2の4点を頂点として含むK角形(K≧4)を定義するようにしたものである。
(4) 本発明の第4の態様は、上述した第3の態様に係る眼科疾患判定用の画像解析装置において、
指示入力部が、現在定義されている判定用多角形の任意の1頂点を修正対象として指定するとともに、当該修正対象の位置修正に利用する修正指示点の位置を指定するオペレータからの指示を入力し、
多角形定義部が、
前極点Pfが修正対象として指定された場合には、修正指示点の位置を前極点Pfの新位置とする位置修正を行い、後極点Pbの位置を固定した状態で、眼軸A、計測原点Po、第1参照点Pr1、第2参照点Pr2の位置修正を行って、新たな判定用多角形を定義する処理を行い、
後極点Pbが修正対象として指定された場合には、修正指示点の位置を後極点Pbの新位置とする位置修正を行い、前極点Pfの位置を固定した状態で、眼軸A、計測原点Po、第1参照点Pr1、第2参照点Pr2の位置修正を行って、新たな判定用多角形を定義する処理を行い、
第1参照点Pr1が修正対象として指定された場合には、修正指示点の位置に応じた移動方向に、修正指示点の位置に応じた距離だけ、第1参照点Pr1を第1参照線Lr1に沿って移動させた位置を第1参照点Pr1の新位置とする位置修正を行って、新たな判定用多角形を定義する処理を行い、
第2参照点Pr2が修正対象として指定された場合には、修正指示点の位置に応じた移動方向に、修正指示点の位置に応じた距離だけ、第2参照点Pr2を第2参照線Lr2に沿って移動させた位置を第2参照点Pr2の新位置とする位置修正を行って、新たな判定用多角形を定義する処理を行うようにしたものである。
(5) 本発明の第5の態様は、上述した第3または第4の態様に係る眼科疾患判定用の画像解析装置において、
判定情報抽出部が、計測原点Po、後極点Pb、第1参照点Pr1を頂点とする第1参照三角形Tr1と、計測原点Po、後極点Pb、第2参照点Pr2を頂点とする第2参照三角形Tr2との面積比を非対称度Rとして算出し、この非対称度Rを眼球の形態異常判定に用いる情報として提示するようにしたものである。
(6) 本発明の第6の態様は、上述した第5の態様に係る眼科疾患判定用の画像解析装置において、
断層画像入力部が、断層画像としてアキシャル像を入力する際には耳側/鼻側を区別する情報を、サジタル像を入力する際には上側/下側を区別する情報を入力する機能を更に有し、
判定情報抽出部が、アキシャル像については、耳側の参照三角形の面積をSe、鼻側の参照三角形の面積をSnとしたときに、非対称度RをR=Se/SnもしくはR=Sn/Seなる式に基づいて算出し、サジタル像については、上側の参照三角形の面積をSt、下側の参照三角形の面積をSbとしたときに、非対称度RをR=St/SbもしくはR=Sb/Stなる式に基づいて算出するようにしたものである。
(7) 本発明の第7の態様は、上述した第3〜第6の態様に係る眼科疾患判定用の画像解析装置において、
判定情報抽出部が、第1参照点Pr1、後極点Pb、第2参照点Pr2の3点によって定義される内角Pr1-Pb-Pr2を後極先鋭度φとして算出し、この後極先鋭度φを眼球の形態異常判定に用いる情報として提示するようにしたものである。
(8) 本発明の第8の態様は、上述した第3〜第7の態様に係る眼科疾患判定用の画像解析装置において、
多角形定義部が、眼軸Aの中心点Pgにおいて眼軸Aに直交する中心軸Vを定義し、この中心軸Vと眼球の輪郭線との交点位置に配置すべき点として、第1端点Pv1および第2端点Pv2を定義し、Pf,Pb,Pr1,Pr2,Pv1,Pv2の6点を頂点として含む6角形を定義し、
判定情報抽出部が、第1端点Pv1と第2端点Pv2との距離を中心軸長Dvとして算出し、この中心軸長Dvを眼球の形態異常判定に用いる情報として提示するようにしたものである。
(9) 本発明の第9の態様は、上述した第8の態様に係る眼科疾患判定用の画像解析装置において、
指示入力部が、現在定義されている判定用多角形の任意の1頂点を修正対象として指定するとともに、当該修正対象の位置修正に利用する修正指示点の位置を指定するオペレータからの指示を入力し、
多角形定義部が、
第1端点Pv1が修正対象として指定された場合には、修正指示点の位置に応じた移動方向に、修正指示点の位置に応じた距離だけ、第1端点Pv1を中心軸Vに沿って眼軸Aを越えない範囲で移動させた位置を第1端点Pv1の新位置とする位置修正を行って、新たな判定用多角形を定義する処理を行い、
第2端点Pv2が修正対象として指定された場合には、修正指示点の位置に応じた移動方向に、修正指示点の位置に応じた距離だけ、第2端点Pv2を中心軸Vに沿って眼軸Aを越えない範囲で移動させた位置を第2端点Pv2の新位置とする位置修正を行って、新たな判定用多角形を定義する処理を行うようにしたものである。
(10) 本発明の第10の態様は、上述した第9の態様に係る眼科疾患判定用の画像解析装置において、
多角形定義部が、第1端点Pv1および第2端点Pv2のいずれか一方が修正対象として指定された場合に、当該一方の新位置について眼軸Aに関して線対称となる位置に他方の位置を自動修正する処理を行い、第1端点Pv1および第2端点Pv2が眼軸Aに関して常に線対称となるように連動した位置修正が行われるようにしたものである。
(11) 本発明の第11の態様は、上述した第2の態様に係る眼科疾患判定用の画像解析装置において、
多角形定義部が、
前極点Pfと後極点Pbとを結ぶ眼軸Aを定義し、この眼軸A上において後極点Pbから前極点Pfに向けて予め設定された所定の標準距離Dsだけ隔たった位置に計測原点Poを定義し、
計測原点Poを通り、眼軸Aに対して所定の狭域参照角+θnをなす第1狭域参照線Ln1および−θnをなす第2狭域参照線Ln2を定義し(但し、0°<θn<90°)、第1狭域参照線Ln1と眼球の後部輪郭線との交点位置に配置すべき点として第1狭域参照点Pn1を定義し、第2狭域参照線Ln2と眼球の後部輪郭線との交点位置に配置すべき点として第2狭域参照点Pn2を定義し、
計測原点Poを通り、眼軸Aに対して所定の広域参照角+θwをなす第1広域参照線Lw1および−θwをなす第2広域参照線Lw2を定義し(但し、θn<θw<90°)、第1広域参照線Lw1と眼球の後部輪郭線との交点位置に配置すべき点として第1広域参照点Pw1を定義し、第2広域参照線Lw2と眼球の後部輪郭線との交点位置に配置すべき点として第2広域参照点Pw2を定義し、
少なくとも、Pf,Pb,Pn1,Pn2,Pw1,Pw2の6点を頂点として含むK角形(K≧6)を定義するようにしたものである。
(12) 本発明の第12の態様は、上述した第11の態様に係る眼科疾患判定用の画像解析装置において、
指示入力部が、現在定義されている判定用多角形の任意の1頂点を修正対象として指定するとともに、当該修正対象の位置修正に利用する修正指示点の位置を指定するオペレータからの指示を入力し、
多角形定義部が、
前極点Pfが修正対象として指定された場合には、修正指示点の位置を前極点Pfの新位置とする位置修正を行い、後極点Pbの位置を固定した状態で、眼軸A、計測原点Po、第1狭域参照点Pn1、第2狭域参照点Pn2、第1広域参照点Pw1、第2広域参照点Pw2の位置修正を行って、新たな判定用多角形を定義する処理を行い、
後極点Pbが修正対象として指定された場合には、修正指示点の位置を後極点Pbの新位置とする位置修正を行い、前極点Pfの位置を固定した状態で、眼軸A、計測原点Po、第1狭域参照点Pn1、第2狭域参照点Pn2、第1広域参照点Pw1、第2広域参照点Pw2の位置修正を行って、新たな判定用多角形を定義する処理を行い、
第1狭域参照点Pn1が修正対象として指定された場合には、修正指示点の位置に応じた移動方向に、修正指示点の位置に応じた距離だけ、第1狭域参照点Pn1を第1狭域参照線Ln1に沿って移動させた位置を第1狭域参照点Pn1の新位置とする位置修正を行って、新たな判定用多角形を定義する処理を行い、
第2狭域参照点Pn2が修正対象として指定された場合には、修正指示点の位置に応じた移動方向に、修正指示点の位置に応じた距離だけ、第2狭域参照点Pn2を第2狭域参照線Ln2に沿って移動させた位置を第2狭域参照点Pn2の新位置とする位置修正を行って、新たな判定用多角形を定義する処理を行い、
第1広域参照点Pw1が修正対象として指定された場合には、修正指示点の位置に応じた移動方向に、修正指示点の位置に応じた距離だけ、第1広域参照点Pw1を第1広域参照線Lw1に沿って移動させた位置を第1広域参照点Pw1の新位置とする位置修正を行って、新たな判定用多角形を定義する処理を行い、
第2広域参照点Pw2が修正対象として指定された場合には、修正指示点の位置に応じた移動方向に、修正指示点の位置に応じた距離だけ、第2広域参照点Pw2を第2広域参照線Lw2に沿って移動させた位置を第2広域参照点Pw2の新位置とする位置修正を行って、新たな判定用多角形を定義する処理を行うようにしたものである。
(13) 本発明の第13の態様は、上述した第11または第12の態様に係る眼科疾患判定用の画像解析装置において、
判定情報抽出部が、
計測原点Po、後極点Pb、第1狭域参照点Pn1を頂点とする第1狭域参照三角形Tn1と、計測原点Po、後極点Pb、第2狭域参照点Pn2を頂点とする第2狭域参照三角形Tn2との面積比を狭域非対称度Rnとして算出し、
計測原点Po、後極点Pb、第1広域参照点Pw1を頂点とする第1広域参照三角形Tw1と、計測原点Po、後極点Pb、第2広域参照点Pw2を頂点とする第2広域参照三角形Tw2との面積比を広域非対称度Rwとして算出し、
狭域非対称度Rnおよび広域非対称度Rwのいずれか一方もしくは双方またはその平均を眼球の形態異常判定に用いる情報として提示するようにしたものである。
(14) 本発明の第14の態様は、上述した第13の態様に係る眼科疾患判定用の画像解析装置において、
判定情報抽出部が、狭域非対称度Rnおよび広域非対称度Rwのうち、値1との差の絶対値が大きい方を非対称度Rとして眼球の形態異常判定に用いる情報として提示するようにしたものである。
(15) 本発明の第15の態様は、上述した第13または第14の態様に係る眼科疾患判定用の画像解析装置において、
断層画像入力部が、断層画像としてアキシャル像を入力する際には耳側/鼻側を区別する情報を、サジタル像を入力する際には上側/下側を区別する情報を入力する機能を更に有し、
判定情報抽出部が、アキシャル像については、耳側の参照三角形の面積をSe、鼻側の参照三角形の面積をSnとしたときに、非対称度RをR=Se/SnもしくはR=Sn/Seなる式に基づいて算出し、サジタル像については、上側の参照三角形の面積をSt、下側の参照三角形の面積をSbとしたときに、非対称度RをR=St/SbもしくはR=Sb/Stなる式に基づいて算出するようにしたものである。
(16) 本発明の第16の態様は、上述した第11〜第15の態様に係る眼科疾患判定用の画像解析装置において、
判定情報抽出部が、第1狭域参照点Pn1、後極点Pb、第2狭域参照点Pn2の3点によって定義される内角Pn1-Pb-Pn2を後極先鋭度φとして算出し、この後極先鋭度φを眼球の形態異常判定に用いる情報として提示するようにしたものである。
(17) 本発明の第17の態様は、上述した第11〜第16の態様に係る眼科疾患判定用の画像解析装置において、
多角形定義部が、眼軸Aの中心点Pgにおいて眼軸Aに直交する中心軸Vを定義し、この中心軸Vと眼球の輪郭線との交点位置に配置すべき点として、第1端点Pv1および第2端点Pv2を定義し、Pf,Pb,Pn1,Pn2,Pw1,Pw2,Pv1,Pv2の8点を頂点として含む8角形を定義し、
判定情報抽出部が、第1端点Pv1と第2端点Pv2との距離を中心軸長Dvとして算出し、この中心軸長Dvを眼球の形態異常判定に用いる情報として提示するようにしたものである。
(18) 本発明の第18の態様は、上述した第17の態様に係る眼科疾患判定用の画像解析装置において、
多角形定義部が、判定用多角形を構成する各辺とともに、眼軸A,中心軸V,第1狭域参照線Ln1,第2狭域参照線Ln2,第1広域参照線Lw1,第2広域参照線Lw2をディスプレイ装置の画面上に表示するようにしたものである。
(19) 本発明の第19の態様は、上述した第17または第18の態様に係る眼科疾患判定用の画像解析装置において、
指示入力部が、現在定義されている判定用多角形の任意の1頂点を修正対象として指定するとともに、当該修正対象の位置修正に利用する修正指示点の位置を指定するオペレータからの指示を入力し、
多角形定義部が、
第1端点Pv1が修正対象として指定された場合には、修正指示点の位置に応じた移動方向に、修正指示点の位置に応じた距離だけ、第1端点Pv1を中心軸Vに沿って眼軸Aを越えない範囲で移動させた位置を第1端点Pv1の新位置とする位置修正を行って、新たな判定用多角形を定義する処理を行い、
第2端点Pv2が修正対象として指定された場合には、修正指示点の位置に応じた移動方向に、修正指示点の位置に応じた距離だけ、第2端点Pv2を中心軸Vに沿って眼軸Aを越えない範囲で移動させた位置を第2端点Pv2の新位置とする位置修正を行って、新たな判定用多角形を定義する処理を行うようにしたものである。
(20) 本発明の第20の態様は、上述した第19の態様に係る眼科疾患判定用の画像解析装置において、
多角形定義部が、第1端点Pv1および第2端点Pv2のいずれか一方が修正対象として指定された場合に、当該一方の新位置について眼軸Aに関して線対称となる位置に他方の位置を自動修正する処理を行い、第1端点Pv1および第2端点Pv2が眼軸Aに関して常に線対称となるように連動した位置修正が行われるようにしたものである。
(21) 本発明の第21の態様は、上述した第11〜第20の態様に係る眼科疾患判定用の画像解析装置において、
狭域参照角θnを22.5°に設定し、広域参照角θwを45°に設定するようにしたものである。
(22) 本発明の第22の態様は、上述した第2〜第21の態様に係る眼科疾患判定用の画像解析装置において、
判定情報抽出部が、前極点Pfと後極点Pbとの距離を眼軸長Daとして算出し、この眼軸長Daを眼球の形態異常判定に用いる情報として提示するようにしたものである。
(23) 本発明の第23の態様は、上述した第2〜第22の態様に係る眼科疾患判定用の画像解析装置において、
断層画像を解析することにより眼球の境界位置を認識する機能を有し、多角形定義部が定義した判定用多角形を構成する全頂点もしくは一部の頂点の位置を境界位置に補正する処理を行う頂点位置補正部を更に設けるようにしたものである。
(24) 本発明の第24の態様は、上述した第23の態様に係る眼科疾患判定用の画像解析装置において、
頂点位置補正部が、
補正対象頂点が前極点Pfもしくは後極点Pbである場合には、眼軸Aを補正軸と定め、補正対象頂点が参照点Pr1,Pr2,Pn1,Pn2,Pw1,Pw2である場合には、それぞれ参照線Lr1,Lr2,Ln1,Ln2,Lw1,Lw2を補正軸と定め、補正対象頂点が第1端点Pv1もしくは第2端点Pv2である場合には、中心軸Vを補正軸と定める補正軸決定部と、
補正対象頂点からの距離が所定の探索対象距離以下である補正軸上の区間として探索対象区間を設定する探索対象区間設定部と、
断層画像を構成する画素のうち探索対象区間上に位置する画素を探索対象画素として抽出し、個々の探索対象画素について補正軸に沿って隣接する画素との画素値の差を求める差分演算部と、
探索対象画素のうち最も大きな差が得られた画素の位置を補正対象頂点の新位置に決定する新位置決定部と、
を有するようにしたものである。
(25) 本発明の第25の態様は、上述した第7,8,16,17,22の態様に係る眼科疾患判定用の画像解析装置において、
断層画像入力部が、同一の被験者頭部について同時撮影することにより得られた同一の眼球についての、互いに直交する断面に関する第1の断層画像および第2の断層画像を、鉛直軸および水平軸を示す情報とともに入力し、
各断層画像について、それぞれ前極点Pfと後極点Pbとを結ぶ眼軸Aと鉛直軸とのなす角度および眼軸Aと水平軸とのなす角度のうちのいずれか小さい方の角度を眼軸傾斜角として求め、第1の断層画像についての眼軸傾斜角をα、第2の断層画像についての眼軸傾斜角をβとしたときに、第1の断層画像に基づいて抽出された後極先鋭度φ、中心軸長Dv、眼軸長Daに対しては、1/cosβを乗ずる補正を行い、第2の断層画像に基づいて抽出された後極先鋭度φ、中心軸長Dv、眼軸長Daに対しては、1/cosαを乗ずる補正を行う傾斜補正部を更に設け、
判定情報抽出部が、眼球の形態異常判定に用いる情報として、傾斜補正部による補正が行われた後の第1の断層画像から得られた値と第2の断層画像から得られた値との平均値を提示するようにしたものである。
(26) 本発明の第26の態様は、上述した第1〜第25の態様に係る眼科疾患判定用の画像解析装置において、
断層画像入力部が、断層画像撮影装置によって撮影された撮影画像のデータを取り込む画像取込部と、撮影画像の解像度を調整する解像度調整部と、撮影画像をトリミングするトリミング処理部と、を有し、解像度調整およびトリミングが施された撮影画像が断層画像として表示されるようにしたものである。
(27) 本発明の第27の態様は、上述した第1〜第26の態様に係る眼科疾患判定用の画像解析装置をコンピュータにプログラムを組み込むことにより構成したものである。
(28) 本発明の第28の態様は、頭部の断層画像に基づいて眼球の形態異常判定に用いる情報を抽出する眼科疾患判定用の画像解析方法において、
コンピュータが、被験者頭部の眼球を含む二次元断層画像を入力し、この断層画像をディスプレイ画面に表示する断層画像表示段階と、
コンピュータが、所定形状をもった判定用多角形を定義し、これを断層画像に重ねて表示する判定用多角形定義段階と、
コンピュータが、オペレータからの修正指示に基づいて、判定用多角形の位置および形状を断層画像に重ねて表示した状態で修正する判定用多角形修正段階と、
コンピュータが、修正完了後の判定用多角形に基づいて、眼球の形態異常判定に用いる情報を抽出し、これをオペレータに提示する判定情報提示段階と、
を行うようにしたものである。
(29) 本発明の第29の態様は、上述した第28の態様に係る眼科疾患判定用の画像解析方法において、
判定用多角形として、眼球の前極に配置すべき前極点Pfと、眼球の後極に配置すべき後極点Pbと、眼球の後部輪郭線上の後極を挟んだ両側に配置すべき一対の参照点と、の少なくとも4点を頂点とする多角形を定義するようにしたものである。
(30) 本発明の第30の態様は、上述した第29の態様に係る眼科疾患判定用の画像解析方法において、
判定用多角形定義段階で、前極点Pfと後極点Pbとを結ぶ眼軸Aを定義し、この眼軸A上において後極点Pbから前極点Pfに向けて予め設定された所定の標準距離Dsだけ隔たった位置に計測原点Poを定義し、この計測原点Poを通り、眼軸Aに対して所定の参照角+θをなす第1参照線Lr1および−θをなす第2参照線Lr2を定義し(但し、0°<θ<90°)、第1参照線Lr1と眼球の後部輪郭線との交点位置に配置すべき点として第1参照点Pr1を定義し、第2参照線Lr2と眼球の後部輪郭線との交点位置に配置すべき点として第2参照点Pr2を定義し、眼軸Aの中心点Pgにおいて眼軸Aに直交する中心軸Vを定義し、この中心軸Vと眼球の輪郭線との交点位置に配置すべき点として、第1端点Pv1および第2端点Pv2を定義し、少なくとも、Pf,Pb,Pr1,Pr2,Pv1,Pv2の6点を頂点として含むK角形(K≧6)を定義し、
判定用多角形修正段階で、
前極点Pfもしくは後極点Pbに対する修正指示があった場合には、前極点Pfもしくは後極点Pbを、修正指示に応じた任意の位置に修正する修正処理を行い、修正処理後の前極点Pfおよび後極点Pbを用いて、眼軸A、計測原点Po、第1参照線Lr1、第2参照線Lr2、中心点Pg、中心軸Vを新たに定義し、第1参照点Pr1、第2参照点Pr2、第1端点Pv1、第2端点Pv2の位置を新たに定義する修正処理を行い、
第1参照点Pr1もしくは第2参照点Pr2に対する修正指示があった場合には、第1参照点Pr1もしくは第2参照点Pr2を、第1参照線Lr1もしくは第2参照線Lr2上の修正指示に応じた位置に修正する修正処理を行い、
第1端点Pv1もしくは第2端点Pv2に対する修正指示があった場合には、第1端点Pv1もしくは第2端点Pv2を、中心軸V上の修正指示に応じた位置に修正する修正処理を行うようにしたものである。
(31) 本発明の第31の態様は、上述した第30の態様に係る眼科疾患判定用の画像解析方法において、
判定情報提示段階で、前極点Pfと後極点Pbとの距離を眼軸長Daとして算出し、第1端点Pv1と第2端点Pv2との距離を中心軸長Dvとして算出し、計測原点Po、後極点Pb、第1参照点Pr1を頂点とする第1参照三角形Tr1と、計測原点Po、後極点Pb、第2参照点Pr2を頂点とする第2参照三角形Tr2との面積比を非対称度Rとして算出し、第1参照点Pr1、後極点Pb、第2参照点Pr2の3点によって定義される角Pr1-Pb-Pr2を後極先鋭度φとして算出し、眼軸長Da、中心軸長Dv、非対称度R、後極先鋭度φを眼球の形態異常判定に用いる情報として提示するようにしたものである。
(32) 本発明の第32の態様は、上述した第29の態様に係る眼科疾患判定用の画像解析方法において、
判定用多角形定義段階で、前極点Pfと後極点Pbとを結ぶ眼軸Aを定義し、この眼軸A上において後極点Pbから前極点Pfに向けて予め設定された所定の標準距離Dsだけ隔たった位置に計測原点Poを定義し、計測原点Poを通り、眼軸Aに対して所定の狭域参照角+θnをなす第1狭域参照線Ln1および−θnをなす第2狭域参照線Ln2を定義し(但し、0°<θn<90°)、第1狭域参照線Ln1と眼球の後部輪郭線との交点位置に配置すべき点として第1狭域参照点Pn1を定義し、第2狭域参照線Ln2と眼球の後部輪郭線との交点位置に配置すべき点として第2狭域参照点Pn2を定義し、計測原点Poを通り、眼軸Aに対して所定の広域参照角+θwをなす第1広域参照線Lw1および−θwをなす第2広域参照線Lw2を定義し(但し、θn<θw<90°)、第1広域参照線Lw1と眼球の後部輪郭線との交点位置に配置すべき点として第1広域参照点Pw1を定義し、第2広域参照線Lw2と眼球の後部輪郭線との交点位置に配置すべき点として第2広域参照点Pw2を定義し、眼軸Aの中心点Pgにおいて眼軸Aに直交する中心軸Vを定義し、この中心軸Vと眼球の輪郭線との交点位置に配置すべき点として、第1端点Pv1および第2端点Pv2を定義し、少なくとも、Pf,Pb,Pn1,Pn2,Pw1,Pw2,Pv1,Pv2の8点を頂点として含むK角形(K≧8)を定義し、
判定用多角形修正段階で、
前極点Pfもしくは後極点Pbに対する修正指示があった場合には、前極点Pfもしくは後極点Pbを、修正指示に応じた任意の位置に修正する修正処理を行い、修正処理後の前極点Pfおよび後極点Pbを用いて、眼軸A、計測原点Po、第1狭域参照線Ln1、第2狭域参照線Ln2、第1広域参照線Lw1、第2広域参照線Lw2、中心点Pg、中心軸Vを新たに定義し、第1狭域参照点Pn1、第2狭域参照点Pn2、第1広域参照点Pw1、第2広域参照点Pw2、第1端点Pv1、第2端点Pv2の位置を新たに定義する修正処理を行い、
第1狭域参照点Pn1もしくは第2狭域参照点Pn2に対する修正指示があった場合には、第1狭域参照点Pn1もしくは第2狭域参照点Pn2を、第1狭域参照線Ln1もしくは第2狭域参照線Ln2上の修正指示に応じた位置に修正する修正処理を行い、
第1広域参照点Pw1もしくは第2広域参照点Pw2に対する修正指示があった場合には、第1広域参照点Pw1もしくは第2広域参照点Pw2を、第1広域参照線Lw1もしくは第2広域参照線Lw2上の修正指示に応じた位置に修正する修正処理を行い、
第1端点Pv1もしくは第2端点Pv2に対する修正指示があった場合には、第1端点Pv1もしくは第2端点Pv2を、中心軸V上の修正指示に応じた位置に修正する修正処理を行うようにしたものである。
(33) 本発明の第33の態様は、上述した第32の態様に係る眼科疾患判定用の画像解析方法において、
判定情報提示段階で、前極点Pfと後極点Pbとの距離を眼軸長Daとして算出し、第1端点Pv1と第2端点Pv2との距離を中心軸長Dvとして算出し、計測原点Po、後極点Pb、第1狭域参照点Pn1を頂点とする第1狭域参照三角形Tn1と、計測原点Po、後極点Pb、第2狭域参照点Pn2を頂点とする第2狭域参照三角形Tn2との面積比を狭域非対称度Rnとして算出し、計測原点Po、後極点Pb、第1広域参照点Pw1を頂点とする第1広域参照三角形Tw1と、計測原点Po、後極点Pb、第2広域参照点Pw2を頂点とする第2広域参照三角形Tw2との面積比を広域非対称度Rwとして算出し、第1狭域参照点Pn1、後極点Pb、第2狭域参照点Pn2の3点によって定義される角Pn1-Pb-Pn2を後極先鋭度φとして算出し、眼軸長Da、中心軸長Dv、後極先鋭度φ、そして狭域非対称度Rnおよび広域非対称度Rwのいずれか一方もしくは双方またはその平均を、眼球の形態異常判定に用いる情報として提示するようにしたものである。
(34) 本発明の第34の態様は、上述した第31または第33の態様に係る眼科疾患判定用の画像解析方法において、
断層画像表示段階で、同一の被験者頭部について同時撮影することにより得られた同一の眼球についての、互いに直交する断面に関する第1の断層画像および第2の断層画像を、鉛直軸および水平軸を示す情報とともに入力し、
判定情報提示段階で、各断層画像について、それぞれ前極点Pfと後極点Pbとを結ぶ眼軸Aと鉛直軸とのなす角度および眼軸Aと水平軸とのなす角度のうちのいずれか小さい方の角度を眼軸傾斜角として求め、第1の断層画像についての眼軸傾斜角をα、第2の断層画像についての眼軸傾斜角をβとしたときに、第1の断層画像に基づいて抽出された後極先鋭度φ、中心軸長Dv、眼軸長Daに対しては、1/cosβを乗ずる補正を行い、第2の断層画像に基づいて抽出された後極先鋭度φ、中心軸長Dv、眼軸長Daに対しては、1/cosαを乗ずる補正を行うようにしたものである。
(35) 本発明の第35の態様は、上述した第28〜第34の態様に係る眼科疾患判定用の画像解析方法において、
コンピュータが、断層画像を解析することにより眼球の境界位置を認識し、判定用多角形修正段階で修正した判定用多角形を構成する全頂点もしくは一部の頂点の位置を境界位置に補正する処理を行う頂点位置補正段階を更に行い、
判定情報提示段階で、補正完了後の判定用多角形に基づいて、眼球の形態異常判定に用いる情報を抽出し、これをオペレータに提示するようにしたものである。
(36) 本発明の第36の態様は、上述した第28〜第35の態様に係る眼科疾患判定用の画像解析方法を構成する各段階を、専用のプログラムが組み込まれたコンピュータに実行させるようにしたものである。
本発明に係る画像解析装置および画像解析方法では、ディスプレイの画面上に、眼球を含む二次元断層画像に重ねて、所定形状をもった判定用多角形(グラフィック・ゲージ)が表示される。オペレータは、画面を目視確認しながら、判定用多角形の位置や形状を手作業で修正し、眼球の輪郭にフィットさせる修正処理を行う。オペレータから修正完了の指示があると、その時点で定義されている判定用多角形に基づいて、眼球の形態異常判定に用いる様々な情報が抽出され、オペレータに提示される。
専門知識を有する眼科医自身がオペレータとして修正作業を行えば、二次元断層画像の解像度が低くても、不鮮明であっても、眼球の輪郭位置を的確に認識して判定用多角形をフィットさせる作業が可能になる。ここで、眼球の形態異常判定に用いる様々なパラメータは、二次元断層画像自体を直接解析することによって得られるのではなく、オペレータがフィットさせた判定用多角形に基づいて得られるので、断層画像の鮮明度や解像度にかかわらず、眼球の形態異常判定に用いる正確な情報を抽出することができる。
頭部をMRIで撮影したサジタル像(T2強調モードで撮影)の一例を示す図である。 頭部をMRIで撮影したアキシャル像(T2強調モードで撮影)の一例を示す図である。 一般的な健常者の眼球構造を示す平断面図である。 強度の近視を呈する眼科疾患に罹患している患者の眼球構造の一例を示す平断面図である。 図3に示す健常者の眼球領域の輪郭を示す平面図である。 図4に示す罹患者の眼球領域の輪郭を示す平面図である。 断層撮影の位置を複数通りに変化させることにより得られた頭部MRIのアキシャル像およびサジタル像の一例を示す一覧図である。 MRI三次元撮影画像に基くボリュームレンダリングの手法により得られた眼球部の6方向投影像の一例を示す図である。 低解像度の断層画像の眼球近傍領域の拡大図である。 T1強調モードで撮影された頭部MRIのアキシャル像の一例を示す図である。 MRI動画撮影によって得られたアキシャル像の代表フレームを示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る画像解析装置100の基本構成を示すブロック図である。 図12に示す断層画像入力部110によって入力された断層画像210およびそのトリミング画像を示す図である。 図12に示す画像解析装置100の断層画像表示部130によって表示された断層画像上に、多角形定義部140によって定義された判定用多角形を重畳表示した状態を示す図である。 本発明において、判定用多角形として4角形を定義した実施例を示す平面図である。 本発明において、判定用多角形として4角形を定義した、より好ましい実施例を示す平面図である。 図16に示す実施例において、眼球の形態異常判定に用いる具体的なパラメータの抽出方法を示す平面図である。 図16に示す実施例において、眼球の形態異常判定に用いる具体的なパラメータの一覧を示す表である。 本発明において、判定用多角形として6角形を定義した実施例を示す平面図である。 図19に示す実施例において、眼球の形態異常判定に用いる具体的なパラメータの抽出方法を示す平面図である。 図19に示す実施例において、眼球の形態異常判定に用いる具体的なパラメータの一覧を示す表である。 本発明において、判定用多角形として6角形を定義した別な実施例を示す平面図である。 図22に示す実施例において、眼球の形態異常判定に用いる具体的なパラメータの抽出方法を示す平面図である。 図22に示す実施例において、2通りの非対称度の取扱方法を示す表である。 本発明において、判定用多角形として8角形を定義した実施例を示す平面図である。 図25に示す実施例において、眼球の形態異常判定に用いる具体的なパラメータの抽出方法を示す平面図である。 図25に示す8角形の判定用多角形を用いた位置および形状の修正作業の一例を示す図である。 図25に示す8角形の判定用多角形を用いた位置および形状の修正作業の実例を示すディスプレイ画面図である。 図25に示す8角形の判定用多角形を用いて各頂点位置を修正する際の修正条件を示す平面図である。 図29に示す修正条件に基づいて、前極点Pfの位置修正を行う方法の一例を示す平面図である。 図29に示す修正条件に基づいて、第1端点Pv1の位置修正を行う方法の一例を示す平面図である。 図29に示す修正条件に基づいて、第1広域参照点Pw1の位置修正を行う方法の一例を示す平面図である。 図29に示す修正条件に基づいて、第2狭域参照点Pn2の位置修正を行う方法の一例を示す平面図である。 本発明の第2の実施形態に係る画像解析装置100Aの基本構成を示すブロック図である。 図34に示す頂点位置補正部170の詳細構成を示すブロック図である。 図34に示す頂点位置補正部170によって実施される頂点位置補正処理の具体例を示す平面図である。 図34に示す頂点位置補正部170によって実施される頂点位置補正処理の基本原理を示す平面図である。 図37に示す基本原理に基づいて頂点位置Pξが補正された状態を示す平面図である。 一般的なMRI撮影装置における理想的な撮影態様を示す斜視図である。 一般的なMRI撮影装置における特異な撮影態様を示す斜視図である。 本発明の第3の実施形態に係る画像解析装置100Bの基本構成を示すブロック図である。 図41に示す傾斜補正部180によって実施される傾斜補正処理の基本原理を示す平面図である。 本発明に係る画像解析方法の手順を示す流れ図である。 高解像度サジタル像(図(a) )および低解像度サジタル像(図(b) )上に、本発明に係る判定用多角形(8角形)を定義した実例を示すディスプレイ画面図である。 高解像度アキシャル像(図(a) )および低解像度アキシャル像(図(b) )上に、本発明に係る判定用多角形(8角形)を定義した実例を示すディスプレイ画面図である。 視線を上下方向に変化させる動作を行いながら撮影された動画について、左眼についての代表フレームを構成するサジタル像上に本発明に係る判定用多角形(8角形)を定義した実例を示すディスプレイ画面図である。 視線を上下方向に変化させる動作を行いながら撮影された動画について、右眼についての代表フレームを構成するサジタル像上に本発明に係る判定用多角形(8角形)を定義した実例を示すディスプレイ画面図である。 視線を左右方向に変化させる動作を行いながら撮影された動画について、両眼についての代表フレームを構成するアキシャル像上に本発明に係る判定用多角形(8角形)を左右それぞれ別個に定義した実例を示すディスプレイ画面図である。
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。
<<< §1. 頭部断層画像の一般的特性と従来技術 >>>
はじめに、説明の便宜上、眼球を含む頭部断層画像の一般的特性を述べるとともに、従来技術の具体的な問題点を指摘しておく。
図1および図2は、頭部を撮影して得られる一般的なMRI断層画像を示す。図1の断層画像は、被験者の矢状断面画像に相当し、一般にサジタル像と呼ばれており、図2の断層画像は、被験者の体軸断面画像に相当し、一般にアキシャル像と呼ばれている。いずれも眼球のほぼ中心点を含む断面で切断した画像になっている。この他、被験者の冠状断面画像(一般にコロナル像と呼ばれている)を撮影することも可能であるが、眼軸に直交する断面についての画像になるため、本発明では用いられない。
図1および図2は、いずれもMRI撮影装置を用いてT2強調モード(水分を白く映して出血や病変を強調するモード)で撮影した画像であり、眼球部分は白い領域として観察される。眼科医は、このような頭部断層画像の眼球部分に注目することにより、眼科疾患の有無を診断することができる。
図3は、一般的な健常者の眼球10の構造を示す平断面図である。図示のとおり、健常者の眼球10は、眼球本体部11、角膜12、虹彩13、水晶体14を有するほぼ球形の構造体である。ここで、角膜12の頂点は前極F、その対極に位置する点は後極Bと呼ばれており、前極Fと後極Bとを結ぶ直線は眼軸A、前極Fと後極Bとの距離Daは眼軸長と呼ばれている。この眼軸Aは、水晶体14をレンズと考えたときの光学系の光軸に近いものであるが、病理学上、正確な眼軸Aの位置は、眼球10内の個々の組織の配置に基づいて決定される。
本願では、説明の便宜上、この眼軸Aの中心位置(2点F,Bの中心位置)に中心点Pgを定義し、この中心点Pgを通り眼軸Aに直交する軸を中心軸Vと呼ぶことにする。健常者の眼球10は、ほぼ球形をしており、中心点Pgは、この球のほぼ中心点に位置する。別言すれば、中心点Pgは、眼球10のほぼ重心位置を占めることになる。図において、中心軸Vより下方の半球部分の内面は眼底と呼ばれ、網膜や視神経が配置されている(図示省略)。
一方、図4は、強度の近視を呈する眼科疾患(強度近視)に罹患している患者の眼球20の構造を示す平断面図である。この罹患者の眼球20も、眼球本体部21、角膜22、虹彩23、水晶体24を有する点については、健常者の眼球10と同じであるが、後極部の組織が変性しているため、全体形状は球ではなく楕円体になっている。しかも、組織の変性が左右で非対称となっており、後極部の右側ほど外方に突き出した形状をしている。その結果、眼軸Aは伸び、強度な近視の症状を呈することになる。眼軸Aの中心点Pgの位置は、眼軸Aの伸びとともに下方に移動し、中心軸Vも下方に移動する。
このような罹患者の場合、水晶体24による結像面は、網膜のはるか前方(図の上方)に位置するため、視野内の物体像を網膜上に結像させるためには、眼鏡やコンタクトレンズによる矯正が不可欠になる。一般に、眼球組織の変性は、後極部に見られ、そのまま放置すると後極部の肥大化が進行し、最終的には失明に至る可能性もある。したがって、眼球の形状を定量的に評価し、形態異常が生じているか否かの判断を的確に行い、眼科疾患の早期発見、早期治療を行うことは非常に重要である。
眼球の形態異常は、その輪郭形状を正確に把握した上で、眼軸Aを定め、眼軸長Daをはじめとする種々のパラメータ値を求めることにより定量的に評価することができる。図5は、図3に示す健常者の眼球10の輪郭Cを示す平面図であり、図6は、図4に示す罹患者の眼球20の輪郭Cを示す平面図である。図示のように、輪郭Cおよび眼軸A(前極Fと後極Bの位置)が決定できれば、中心点Pgおよび中心軸Vを求めることができ、これらに基づいて、眼球の形態異常判定に利用可能な様々なパラメータ値を求めることができる。
そこで、前掲の特許文献5には、頭部の三次元ボクセル画像から眼球領域を抽出し、ボリュームレンダリングの手法により二次元投影画像を作成した上で、眼球形状を示す様々なパラメータを自動的に抽出する技術が開示されている。
図7は、断層撮影の位置を複数通りに変化させることにより得られた頭部MRIのアキシャル像およびサジタル像の一例を示す一覧図である。この図7には、粗いピッチで撮影されたいくつかの断層面のみが示されているが、一般的なMRIの三次元撮影では、高精細なピッチで多数の断層面が連続撮影される。実際には、これらの断層画像群は、たとえば、DICOM形式の三次元断層画像データとして与えられ、それらの集合体として三次元ボクセル画像が形成される。こうして得られた三次元ボクセル画像から眼球領域をトリミングして抽出し、ボリュームレンダリングの処理を施せば、図8に例示するような眼球部の6方向投影画像(上下左右前後への投影画像)を得ることができる。
前掲の特許文献5に開示された画像解析装置は、こうして得られた図8に示すような投影画像を解析対象として、所定のアルゴリズムに基づく解析を行うことにより、眼球形状を示す様々なパラメータを自動抽出する機能を有している。したがって、当該画像解析装置を利用すれば、頭部の三次元ボクセル画像を用意するだけで、眼球の形態異常判定に用いるパラメータが自動的に抽出され、「強度近視」の診断に必要な情報を得ることができる。
しかしながら、既に述べたとおり、この従来提案されている画像解析装置により正確な解析を行うためには、高精細な頭部三次元ボクセル画像を用意する必要があり、撮影に必要な時間が非常に長くなる。また、ボリュームレンダリング処理は非常に複雑な画像処理であるため、装置の演算負担も重くなる。このような事情から、通常、三次元撮影(三次元ボクセル画像を生成するために必要な高精細なピッチで多数の断層画像を得る撮影)よりも、二次元撮影(粗いピッチで必要枚数の断層画像を得る撮影)が行われることが多いが、たった1枚の二次元撮影画像に基づいて眼球の輪郭Cおよび眼軸Aを自動的に決定することは困難である。
図9は、図7に示されている多数の断層画像の中の1枚のみを用い、眼球近傍部分をトリミングして取り出した拡大図であるが、一般の素人が肉眼で観察しても正確な輪郭を決定することが困難なことがわかる。図8に示す6方向の投影像は、図7に示されている多数の断層画像を用いたボリュームレンダリング処理によって得られる画像であり、十分な情報量を有しているのに対して、図9に示す拡大像は、単一の断層画像のみから得られた画像であるため、情報量は極めて少なくなる。したがって、図9に示す拡大像のみを解析対象として、特許文献5に開示された画像解析方法を適用しても、輪郭Cおよび眼軸Aを正確に決定することは非常に困難であり、眼球形状を示す正確なパラメータを自動抽出することはできない。
また、図1および図2に示す断層画像は、前述したように、MRI撮影装置のT2強調モード(水分を白く映して出血や病変を強調するモード)で撮影した画像であるため、眼球部分は白い領域として表現され、眼球の輪郭は比較的認識しやすいが、別なモードで撮影された断層画像の場合、必ずしも眼球領域が明瞭に識別できるものではない。たとえば、図10は、T1強調モード(水分を黒く映して臓器の形態を強調するモード)で撮影された頭部MRIのアキシャル像の一例を示す図である。図2に示すT2強調モードの撮影画像と比べて、眼球の輪郭が認識しにくくなっていることがわかるであろう。同様に、頭頚部疾患の診断に多く利用されているCT撮影画像も、眼球の輪郭が認識しにくい画像である。
更に、最近では、被験者の眼球の変化をダイナミックに観察することができるように、解像度を落としたMRI二次元撮影を連続的に行い、眼球の動きを動画として撮影する試みも行われている。たとえば、図11は、このようなMRI動画撮影によって得られたアキシャル像の代表フレームを示す図である。図11(a) は被験者が視線を左方に向けた状態、図11(b) は正面を向けた状態、図11(c) は右方に向けた状態のアキシャル像である。このような動画画像の各フレームを解析対象画像とする場合、もともとの解像度が低いため、特許文献5に開示された画像解析方法を適用しても、輪郭Cおよび眼軸Aを正確に決定することはできない。
このように、特許文献5には、頭部断層画像を解析することにより、眼球の形態異常の判定に有用な情報を自動的に抽出する画像解析技術が開示されているものの、MRI撮影装置のT2強調モードを用いた三次元撮影を行い、得られた三次元ボクセル画像を用いたボリュームレンダリング処理によって生成される画像を解析対象としなければ、実用上、正確な解析結果を得ることはできない。
本発明は、このような問題を解決するための新たな画像解析手法を提案するものであり、眼球を含む頭部の二次元断層画像に基づいて、その鮮明度や解像度にかかわらず、眼球の形態異常判定に用いる正確な情報(パラメータ値)を抽出することを目的とする。本発明によれば、図7に示されている多数の断層画像の中の1枚のみを解析対象として、正確な解析結果を得ることができる。また、解析対象となる断層画像は、どのようなモードで撮影された画像であってもよいし、MRIやCTなど、どのような装置で撮影された画像であってもよい。比較的低解像度の画像を解析対象として利用することができるため、動画撮影画像の1フレームを構成する画像を利用することもできる。
<<< §2. 本発明の第1の実施形態の基本構成 >>>
図12は、本発明の第1の実施形態に係る画像解析装置100の基本構成を示すブロック図である。この画像解析装置100は、頭部の断層画像に基づいて眼球の形態異常判定に用いる情報を抽出する眼科疾患判定用の画像解析装置であり、図示のとおり、断層画像入力部110、指示入力部120、断層画像表示部130、多角形定義部140、判定情報抽出部150、ディスプレイ装置160を備えている。
なお、図12では、説明の便宜上、画像解析装置100を個々の機能要素の集合体として示しているが、実際には、この画像解析装置100は、汎用のコンピュータに専用のプログラムを組み込むことによって具現化することができ、個々の構成要素の機能は、コンピュータのハードウエア資源とプログラムとの協働動作によって実現できる。以下、個々の構成要素の具体的な機能を説明する。
断層画像入力部110は、オペレータからの指示200に基づいて、被験者頭部の眼球を含む二次元断層画像210を入力する構成要素であり、図示の実施例の場合、画像取込部111、解像度調整部112、トリミング処理部113を有しており、必要に応じて解像度調整およびトリミングが施された撮影画像が断層画像として表示されるようにする機能を果たす。
画像取込部111は、MRIやCTなどの断層画像撮影装置によって撮影された撮影画像のデータを二次元断層画像210として取り込む構成要素である。断層画像210は、眼球のほぼ中心位置で切断した断面を示す画像であれば、アキシャル像でもサジタル像でもかまわないし、そのデータ形式は、JPEG形式、BMP形式など任意でかまわない。
もちろん、取り込む断層画像210は、どのようなモードで撮影された画像であってもよい。図11に例示したように、動画撮影画像の1フレームを構成する低解像度の画像であってもかまわない。また、図7に示すようなDICOM形式の三次元断層画像を構成する多数の二次元断層画像の中から、オペレータからの指示200によって選択された任意の1枚の画像を断層画像210として取り込むようにしてもよい。
解像度調整部112は、必要に応じて、オペレータからの指示200に基づいて、画像取込部111が取り込んだ二次元撮影画像210の解像度を調整する処理を行う。この解像度調整処理は、本発明を実施する上で必須の処理ではないが、ここに示す実施例の場合、多数の被験者についての断層画像をできるだけ同じ基準で比較することができるように、基準より低い解像度の断層画像については画素の補間処理を行い、基準より高い解像度の断層画像については画素の間引処理を行うことにより、いずれの画像も基準解像度になるような調整を行っている。
トリミング処理部113は、必要に応じて、オペレータからの指示200に基づいて、画像取込部111が取り込んだ二次元撮影画像210をトリミングし、眼球近傍部分のみを抽出する処理を行う。このトリミング処理も、本発明を実施する上で必須の処理ではないが、ここに示す実施例の場合、後述する多角形定義処理を容易にするため、頭部断層画像から不要な部分を除外し、眼球近傍部分のみを残す処理を行っている。
図13は、図12に示す断層画像入力部110によって入力された断層画像210およびそのトリミング画像を示す図である。図13(a) に示す断層画像210は、MRIによって撮影された頭部アキシャル像であり、画像取込部111によって、このような断層画像210が取り込まれると、必要に応じて、解像度調整部112によって解像度の調整が行われ、更に、トリミング処理部113によって、眼球近傍部分のみが抽出される。図13(b) は、このようなトリミング処理が行われた後の断層画像220を示している。トリミング処理は、オペレータの指示(たとえば、図13(a) の場合、眼球部分を囲む矩形を指定する指示)に基づいて、個々の断層画像ごとに行うようにしてもよいし、特定のMRI撮影装置から得られる頭部断層画像上での眼球部分のおおよその位置が定まっている場合は、眼球部分が含まれていると予想される領域を自動的に抽出するようにしてもよい。
以下の解析処理は、このトリミング済の断層画像220を解析対象として行われる。なお、本願では、図13(b) に示すような断層画像220をそのまま図に用いると、図が繁雑になり、説明に支障が生じる場合がある。そのような場合は、適宜、図13(b) に示す本来の断層画像220を、図13(c) に示すような簡略化した説明用の断層画像230に置き換えて示すことにする。図示のとおり、この説明用の断層画像230では、眼球領域231の内部がハッチング領域として示され、外部は白地領域として示される。
指示入力部120は、オペレータからの指示200のうち、断層画像230に対する解析を行うために必要な指示を入力する構成要素であり、具体的には、マウスなどのポインティングデバイスとそのインタフェイスプログラムとによって構成することが可能である。指示入力部120によって入力された表示指示は断層画像表示部130に与えられ、修正指示は多角形定義部140に与えられ、判定指示は判定情報抽出部150に与えられる。このように、オペレータが、指示入力部120に対して所定の指示を与えると、当該指示に応じた所定の処理が実行され、その結果がディスプレイ装置160の画面上に反映されることになる。要するに、オペレータは、この画像解析装置100に向かい合って対話形式で解析に必要な作業を進めることになる。
断層画像表示部130は、オペレータからの表示指示に基づいて、ディスプレイ装置160の画面に断層画像入力部110によって用意された断層画像を表示する処理を行う。たとえば、図13に示す例の場合、断層画像入力部110によるトリミング処理が完了した断層画像220(図13(b) )が画面上に表示されることになる。断層画像表示部130に、表示倍率や表示向きを調整する機能を設けておけば、オペレータは、後述する作業に適した倍率および向きに断層画像220を表示させることができる。
一方、多角形定義部140は、所定形状をもった判定用多角形を定義し、これをディスプレイ装置160の画面に表示されている断層画像220に重ねて表示する処理を行うとともに、オペレータからの修正指示に基づいて、この画面上で、判定用多角形の位置および形状を修正する処理を行う。図14は、断層画像表示部130によって表示された断層画像230上に、多角形定義部140によって定義された判定用多角形(説明の便宜上、太線で示す)を重畳表示した状態を示す図である。ここでは、説明の便宜上、断層画像230が、眼球領域231を右側部分に含む横長の画像である場合を例にとって、以下の説明を行うことにする(もちろん、実際には、断層画像230は、図13(c) に示すように、眼球領域231を中央に含む画像であってかまわない)。
図14(a) は、ディスプレイ画面上で、判定用多角形241を断層画像230に重ねて表示した状態を示す平面図である。図示の判定用多角形241は、初期状態の多角形であり、多角形定義部140は、まず、この初期状態の判定用多角形241を画面上の所定位置に表示する。図示のとおり、この判定用多角形241は、4頂点Pf,Pb,P1,P2を有する四角形をなす。この例の場合、初期状態の判定用多角形241は、左右対称の形状をしているが、オペレータからの修正指示に応じて、任意の形状に修正される。また、初期状態の判定用多角形241は、図14(a) の形態に固定化されたものではなく、オペレータの操作により修正された図14(c) のような形態を次回使用時における初期状態の判定用多角形241として設定させることができる。特に、アキシャル像を用いて、左右両眼に対して解析を行う際、右眼に対して判定用多角形を配置する際、既に左眼に配置された修正後の判定用多角形を初期状態の判定用多角形として使用する方が、図14(a) の形態の初期状態の判定用多角形を使用するよりも効果的に操作できる。
ここで、頂点Pfは、眼球の前極Fの位置に配置すべき点であり、本願では「前極点Pf」と呼ぶ。同様に、頂点Pbは、眼球の後極Bの位置に配置すべき点であり、本願では「後極点Pb」と呼ぶ。前極点Pfと後極点Pbとを結ぶ線分が眼軸Aに相当し、この眼軸Aの中心が中心点Pgになる。一方、頂点P1,P2は、眼軸Aの両側に配置すべき一対の点であり、本願では「参照点」と呼ぶことにする。中心点Pgの位置に対して、参照点P1,P2の位置が下方にずれているのは、これら2つの参照点P1,P2が、眼球の後部輪郭線上の後極Bを挟んだ両側に配置すべき一対の点を構成するためである。別言すれば、参照点P1,P2は、眼球の後部輪郭線の位置を示す指標として利用される。
オペレータは、この初期状態の判定用多角形241について、その位置および形状を修正するための修正指示を与える。図14(b) は、オペレータからの位置修正指示に基づいて、初期状態の判定用多角形241の位置が修正された状態を示し、図14(c) は、更に、オペレータからの形状修正指示に基づいて、初期状態の判定用多角形241の形状が修正された状態を示す。このような形状修正により、判定用多角形241は修正後の判定用多角形242に変貌する。もちろん、形状修正によりその大きさ(面積)も変更される。
オペレータの修正作業は、判定用多角形の全頂点が眼球領域231の輪郭Cの上に載るようにすることを目標として行われる。しかも、前極点Pfは、断層画像230上の前極Fの位置に配置され、後極点Pbは、断層画像230上の後極Bの位置に配置されるようにする。また、参照点P1,P2は、眼球の後部輪郭線上の後極Bを挟んだ両側の所定位置(パラメータ抽出のために定められた所定の条件を満足する固有の位置:詳細は、§3で述べる)に配置されるようにする。オペレータは、ディスプレイ画面上に表示されている断層画像230を目視確認しながら、上記条件が満たされるように、4頂点Pf,Pb,P1,P2が所定位置にくるように修正作業を行えばよい。
オペレータによる修正指示の形式は、作業効率を考慮して、できるだけ直感的な操作で行えるように配慮するのが好ましい。たとえば、図14(a) に示す初期状態において、判定用多角形241を眼球領域231の上まで移動させる位置修正指示は、マウスなどのポインティングデバイスを利用して、中心点Pgの近傍をドラッグする操作により行うことができる。具体的には、オペレータがマウスを用いて中心点Pgの近傍を押圧し、マウスをそのまま右方へと移動させる操作を行うと、判定用多角形241全体がそのまま右方へと平行移動し、図14(b) に示す状態になる。
一方、図14(b) に示す判定用多角形241の形状を修正して、図14(c) に示す判定用多角形242を新たに定義するためには、オペレータは、個々の頂点のそれぞれについて、新しい位置を指定する形状修正指示を与えればよい。具体的には、判定用多角形の任意の1頂点を修正対象として指定し、当該修正対象についての新たな位置を指定する指示を行えばよい。たとえば、マウスなどのポインティングデバイスを利用して、修正対象となる1頂点をクリックし、そのままドラッグ操作により、当該頂点を新しい位置まで移動させる操作を行うようにすればよい。
もっとも、参照点P1,P2については、パラメータ抽出のために定められた所定の条件を満足する固有の位置に移動させる必要があるので、実用上は、当該条件を考慮した専用の指示入力用インタフェースを用意するのが好ましい。このような指示入力用インタフェースの詳細については、§4で述べることにする。
このように、多角形定義部140は、眼球の前極Fに配置すべき前極点Pfと、眼球の後極Bに配置すべき後極点Pbと、眼球の後部輪郭線上の後極Bを挟んだ両側に配置すべき一対の参照点P1,P2と、の少なくとも4点を頂点とする判定用多角形を定義する処理を行うことになる。初期状態で定義される判定用多角形241は、通常、図14(a) に示すように、上記配置条件を満たすものではないが、オペレータから与えられる位置および形状(向きも含む)の修正指示に基づく修正処理により、最終的には、図14(c) に示すように、上記配置条件を満たす判定用多角形242が定義されることになる。
オペレータは、画面を目視確認しながら、判定用多角形の位置や形状を手作業で修正し、眼球の輪郭にフィットさせる修正処理を行い、図14(c) に示すように、修正作業が完了した状態になったと判断した場合には、指示入力部120に対して判定指示を与える。この判定指示は、現在、ディスプレイ画面上に定義されている判定用多角形242に基づいて、断層画像230内の眼球の形態異常判定を行う旨の指示である。判定情報抽出部150は、オペレータからの判定指示があったときに、その時点で定義されている判定用多角形242に基づいて、眼球の形態異常判定に用いる情報を抽出し、これをディスプレイ装置160の画面上に表示してオペレータに提示する処理を行う。
たとえば、図14(c) に示す状態で判定指示が与えられた場合、判定情報抽出部150は、図14(d) に示すように、その時点で定義されている判定用多角形242の情報(4頂点Pf,Pb,P1,P2の位置情報)に基づいて、眼球の形態異常判定に用いる情報を抽出し、これをディスプレイ装置160の画面上に表示することになる(あるいは、プリンタ等に出力してもよい)。前極点Pfおよび後極点Pbがそれぞれ前極Fおよび後極Bの位置に正しく配置されていれば、2点Pf,Pbを結ぶ線は眼軸Aになるので、2点Pf,Pb間の距離を眼軸長Daを示すパラメータとして提示することができる。この他、最終的に定義された判定用多角形242に基づいて、眼球の形態異常判定に用いることが可能な様々なパラメータを抽出することが可能である。具体的なパラメータの例については、§3で詳述する。
要するに、図12に示す画像解析装置100は、解析対象となる断層画像230と判定用多角形241とを画面上に重ねて表示し、オペレータからの修正指示を受けて、この判定用多角形241の位置および形状を修正する処理を行うことになる。そして、オペレータから判定指示が与えられたときに、その時点で画面上に表示されていた判定用多角形242から眼球の形態異常判定に用いるパラメータを抽出して提示する処理を行う。
結局、画像解析装置100は、断層画像230に対する解析処理を自ら実行するわけではなく、断層画像230から各パラメータを直接抽出するわけでもない。画像解析装置100は、あくまでもオペレータの修正作業によって、判定用多角形(グラフィック・ゲージ)が正しく配置される(各頂点が予め設定されている特定の位置に配置される)のを待ち、最終的に正しく配置された判定用多角形から、眼球の形態異常判定に用いる各パラメータを抽出する処理を行うことになる。
別言すれば、本発明に係る画像解析装置は、断層画像を直接解析してパラメータを自動抽出する処理を行うわけではない。この画像解析装置は、あくまでもオペレータの認識能力の助けを借りながら、オペレータが判定用多角形の位置および形状の修正を正しく行ったことを前提として、断層画像からではなく判定用多角形から、形態異常判定に用いるパラメータを抽出する処理を行うことになる。
したがって、当然ながら、オペレータが行った修正作業が不正確であると、正確なパラメータを得ることはできないが、専門知識を有する眼科医自身がオペレータとして修正作業を行えば、正確な修正作業が期待できる。専門知識を有する眼科医は、数多くの症例について様々な断層画像を観察した経験があり、眼球内の生体構造にも豊富な知識をもっている。したがって、解析対象となる断層画像の解像度が低くても、不鮮明であっても、眼球の輪郭位置を的確に認識して判定用多角形をフィットさせる作業が可能であり、本発明に係る画像解析装置を利用すれば、実用上、十分な精度をもったパラメータを抽出することが可能である。
<<< §3. 判定用多角形と抽出されるパラメータ >>>
§2では、図12のブロック図を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る画像解析装置100の基本構成を説明し、判定用多角形として4角形を定義した単純な例について動作原理を説明した。ここでは、判定用多角形のバリエーションを示すとともに、個々のバリエーションに基づいて抽出されるパラメータについて詳述する。
<3−1. 4角形を定義した実施例(その1)>
はじめに、判定用多角形として4角形を定義した実施例を説明する。§2では、図14を参照しながら、4角形からなる判定用多角形241の位置および形状を修正し、眼球領域231の輪郭Cにフィットした判定用多角形242を定義する例を述べた。この判定用多角形242は、前極点Pf、後極点Pb、一対の参照点P1,P2を頂点とする4角形である。
ここで、前極点Pfは眼球の前極Fに配置すべき点であり、後極点Pbは眼球の後極Bに配置すべき点であることを述べた。一方、一対の参照点P1,P2については、パラメータ抽出のために定められた所定の条件を満足する固有の位置に配置すべき点、という説明を行ったが、ここでは、この一対の参照点P1,P2を配置すべき具体的な位置を、パラメータ抽出原理を踏まえて説明する。
いま、図15(a) に示すような輪郭Cをもった健常者の眼球領域251(図3に示す眼球10に対応)と、図15(b) に示すような輪郭Cをもった眼科疾患の罹患者の眼球領域252(図4に示す眼球20に対応)について、眼球の形態異常判定に用いるパラメータを設定することを考えてみる。図15(a) には、眼球領域251の輪郭Cにフィットさせた状態の判定用多角形261が太線で示されており、図15(b) には、眼球領域252の輪郭Cにフィットさせた状態の判定用多角形262が太線で示されている。いずれの場合も、4頂点はすべて輪郭C上に配置されている。
ここで、前極点Pfは眼球の前極Fの位置に配置され、後極点Pbは眼球の後極Bの位置に配置されることは、既に述べたとおりである。したがって、前極点Pfおよび後極点Pbが正しく配置されているという前提では、2点Pf,Pbを結ぶ線分は眼軸Aを構成することになり、その中心位置に中心点Pgを定義することができる。2点Pf,Pb間の距離Daは眼軸長を示し、眼球の形態異常判定に用いる重要なパラメータになる。すなわち、図15(a) に示す健常者の眼球領域251についての眼軸長に比べて、図15(b) に示す罹患者の眼球領域252についての眼軸長は、かなり長くなっており、近視の症状が現れていることがわかる。この眼軸長Daというパラメータの値は、判定用多角形261,262の最終形状が定義されれば、2点Pf,Pb間の距離として容易に抽出することができる。
このように、判定用多角形の2頂点を構成する前極点Pfおよび後極点Pbは、眼軸Aおよび中心点Pgの位置を定義するとともに、眼軸長Daを決定する重要な役割を果たす。一方、一対の参照点P1,P2の役割は、眼球の後部輪郭線の位置を把握することにある。より具体的には、これら参照点P1,P2の位置に基づいて、眼球の後部輪郭線の形状異常を示すパラメータを抽出することが可能になる。これを、図15に示す具体例に基づいて説明しよう。
いま、図15(a) に示すように、中心点Pgから、眼球の後部輪郭線に向けて、一対の参照線L1,L2を引き、眼球の輪郭Cとの交点をP1,P2とする。このとき、参照線L1は眼軸Aに対して所定の参照角+θをなす線になるようにし、参照線L2は眼軸Aに対して所定の参照角−θをなす線になるようにする。なお、本願では、便宜上、眼軸Aに対して反時計まわり方向の角度を正、時計まわり方向の角度を負で表す。結局、一対の参照線L1,L2は、いずれも眼軸Aに対して角度θで交差し、眼軸Aに関して線対称をなす線ということになる。ここで、角度θは、0°<θ<90°の所定値に設定する(図示の例では、θ=22.5°に設定している)。角度θが上記範囲内であれば、参照点P1,P2は、眼球の後部輪郭線上の点になる。
このような固有の条件を満足する点として、一対の参照点P1,P2を定義すれば、その位置に基づいて、次のようなパラメータを定義することができる。
まず、第1に、3点Pg,Pb,P1を頂点とする三角形T1と、3点Pg,Pb,P2を頂点とする三角形T2とを定義すれば、両三角形の面積比は、眼球後部の対称性の程度を示すパラメータとして定義できる。前述したとおり、健常者の眼球はほぼ球形をしており、眼軸Aについて対称形状をなす。図15(a) の例は、健常者の眼球領域251を示す例であるので、一対の参照点P1,P2は、眼軸Aについて線対称となる位置に配置されており、三角形T1とT2とは幾何学的に対称な図形になる。したがって、両三角形の面積比は1になる。
これに対して、図15(b) の例は、罹患者の眼球領域252を示す例であり、眼球形状は眼軸Aについて線対称にはなっていない。具体的には、眼球後部の右側部分の膨らみが、左側部分の膨らみに比べて顕著になっている。そのため、一対の参照点P1,P2の配置は、眼軸Aについて線対称にはならず、三角形T1とT2とは幾何学的に非対称な図形になる。この場合、両三角形の面積比は1から外れることになる。たとえば、図15(b) に示す例において、面積比として「三角形T1の面積/三角形T2の面積」を求めると、値は1より大きくなる。結局、上述した固有の条件を満足する点として一対の参照点P1,P2を定義すれば、三角形T1とT2との面積比として、眼球後部の対称性の程度を示すパラメータを得ることができる。
一般に、「強度近視」という重篤な眼科疾患は、眼球の後極部の生体組織が何らかの原因で変性することにより生じるが、そのような生体組織の変性は、通常、眼軸に対して非対称な形態で進行することが多い。したがって、上述したような眼球後部の対称性の程度を示すパラメータは、重篤な眼科疾患につながる眼球の形態異常を判定する上で貴重な情報になる。このような対称性の程度を示すパラメータは、眼球後部の生体組織の変性を早期発見する手がかりになり、病状が重篤な状態に陥る前に早期治療を行うことができるようになる。
一対の参照点P1,P2に基づいて得られる第2のパラメータは、3点P1-Pb-P2によって定義される判定用多角形の内角ωである。この内角ωは、判定用多角形を構成する辺P1-Pbと辺P2-Pbとのなす角度であり、眼球の後部形状を示すパラメータになる。たとえば、図15(a) に示すような健常者の眼球領域251の場合、後部形状はほぼ球面をなし、内角ωは比較的大きな値になるが、後極部が眼軸Aの方向に突き出すような変性が生じている罹患者の眼球の場合、内角ωの値は健常者の値に比べて小さくなる。別言すれば、3点P1-Pb-P2によって定義される判定用多角形の内角ωは、後極部の後方への突出異常を判定するパラメータとして機能することになる。
このように、上述した固有の条件を満足する点として、一対の参照点P1,P2を定義すれば、三角形T1とT2との面積比として、眼球後部の対称性の程度を示すパラメータを得ることができ、3点P1-Pb-P2によって定義される判定用多角形の内角ωとして、眼球後極部の形態異常を示すパラメータを得ることができる。
もちろん、これらのパラメータの値は、参照点P1,P2を定義する際に用いる角度θの値に応じて変化してしまうので、実用上は、角度θの値を予め所定値に固定し、解析対象となるすべての断層画像に対して同一の角度θを用いて参照点P1,P2を定義し、上記パラメータを普遍的な値として求めるようにするのが好ましい。
<3−2. 4角形を定義した実施例(その2)>
前述した§3−1では、図15に示すように、眼軸Aに対してそれぞれ所定の参照角+θおよび−θをなす一対の参照線L1,L2を、眼軸Aの中心点Pgから眼球の後部輪郭線へ向かって引き、眼球の輪郭Cとの交点を参照点P1,P2とする例を述べた。もちろん、このような方法で参照点P1,P2を定義し、上述したように、三角形T1とT2との面積比(眼球後部の対称性の程度を示すパラメータ)や、判定用多角形の内角ω(眼球後極部の形態異常を示すパラメータ)を求めれば、これらのパラメータは、眼球の形態異常判定を行う上で十分に意味のあるパラメータとして利用できる。
しかしながら、本願発明者が、様々な眼科疾患をもった多数の罹患者の断層画像について解析を行ったところ、参照点P1,P2の決定に用いる起点は、眼軸Aの中心点Pgの位置に設定するよりも、後極点Pbから前極点Pfに向けて予め設定された所定の標準距離Dsだけ隔たった計測原点Poの位置に設定する方が好ましいことが判明した。そこで、ここでは、この好ましい実施例について、以下に説明を行う。
図16は、判定用多角形として4角形を定義した、より好ましい実施例を示す平面図である。この図16においても、上段の図(a) に示す眼球領域251は健常者のものであり、下段の図(b) に示す眼球領域252は罹患者のものである。図15に示す実施例と図16に示す実施例との相違は、一対の参照点の定義方法だけである。すなわち、図15に示す実施例では、中心点Pg(眼軸Aの中心)を起点として参照線L1,L2を引き、参照点P1,P2を定義していたのに対して、図16に示す実施例では、計測原点Poを起点として参照線Lr1,Lr2を引き、参照点Pr1,Pr2を定義している。前極点Pfや後極点Pbの位置や参照角θの大きさ(この例の場合、θ=22.5°)については、両者に全く違いはない。
中心点Pgを起点として引いた参照線L1,L2およびこれらに基づいて定義される参照点P1,P2(図15)と、計測原点Poを起点として引いた参照線Lr1,Lr2およびこれらに基づいて定義される参照点Pr1,Pr2(図16)とは、通常、位置が若干異なるため、ここでは互いに異なる符号を用いて示してある(後者には文字rを追加)。もちろん、図15(a) ,(b) に示す判定用多角形261,262と、図16(a) ,(b) に示す判定用多角形271,272とは、通常、形状が若干異なることになる。
図16に示す実施例においても、3点Po,Pb,Pr1を頂点とする三角形Tr1と、3点Po,Pb,Pr2を頂点とする三角形Tr2とを定義し、両三角形の面積比を、眼球後部の対称性の程度を示すパラメータとして利用する。また、3点Pr1-Pb-Pr2によって定義される判定用多角形の内角φを、後極部の後方への突出異常を判定するパラメータとして利用する。結局、図15に示す実施例で定義された判定用多角形261,262から抽出されるパラメータと、図16に示す実施例で定義された判定用多角形271,272から抽出されるパラメータとを比較すると、眼軸長Daは同一になるが、三角形T1,T2の面積比と三角形Tr1,Tr2の面積比とは若干異なり、内角ωとφとは若干異なることになる(後述するように、図16(a) については、たまたま計測原点Poが中心点Pgに一致するため、三角形T1,T2の面積比と三角形Tr1,Tr2の面積比とは一致し、内角ωとφとは等しくなる)。
ここで、図16に示す実施例で参照線Lr1,Lr2の起点として利用される計測原点Poは、眼軸A上において後極点Pbから前極点Pfに向けて予め設定された所定の標準距離Dsだけ隔たった点であり、ここに示す実施例の場合、標準距離Ds=13.5mmに設定している。この値は、標準的な健常者の眼軸長Daの半分の値として定めた値である。前述したとおり、一般的な健常者の眼球はほぼ球形をしており、眼軸長Daはこの球の直径に対応する値である。したがって、標準距離Dsを、標準的な健常者の眼軸長Daの半分の値に定めれば、一般的な健常者の場合、標準距離Dsは眼球のほぼ半径に対応する値になり、計測原点Poは中心点Pgにほぼ一致する。
図16(a) に示す実施例は、上記標準的な健常者の眼球領域251を示すものであり、計測原点Poは中心点Pgに一致している。したがって、実際には、図16(a) は図15(a) と全く同じ図になり、図16(a) のLr1,Lr2,Pr1,Pr2,Tr1,Tr2は、それぞれ図15(a) のL1,L2,P1,P2,T1,T2に一致し、判定用多角形271は、判定用多角形261に一致する。
本願発明者が、健常者多数の眼球断層画像のサンプルについて眼軸長Daを測定した結果、多少の個人差は生じているものの、ほぼ27mm程度であることが判明した。そこで、ここで述べる実施例の場合、標準距離Dsをその半分の値、すなわち、13.5mmに設定している。このような設定に基づいて計測原点Poを定義すれば、一般的な健常者の場合、図16(a) に示す例のように、計測原点Poは眼軸Aの中心点Pgにほぼ一致する。
これに対して、眼科疾患の罹患者の眼球の場合、図16(b) に示す実施例のように、眼球の後極部が変性して眼軸長Daが伸びているため、計測原点Poは眼軸Aの中心点Pgから図の下方に外れてしまう(逆に、眼軸長Daが縮む疾患の場合、計測原点Poは眼軸Aの中心点Pgから図の上方に外れることになる)。その結果、図16(b) のLr1,Lr2,Pr1,Pr2,Tr1,Tr2は、それぞれ図15(b) のL1,L2,P1,P2,T1,T2に一致しなくなり、図16(b) に示す判定用多角形272は、図15(b) に示す判定用多角形262に一致しない。当然ながら、判定用多角形272に基づいて抽出された三角形Tr1,Tr2の面積比および内角φは、判定用多角形262に基づいて抽出された三角形T1,T2の面積比および内角ωとは若干異なったものになる。
このように、一般的な健常者に関しては、図15(a) に示す方法で判定用多角形261を定義しても、図16(a) に示す方法で判定用多角形271を定義しても、両多角形の形状にほとんど差は生じず、ほぼ同じ値のパラメータが抽出されることになるが、眼科疾患の罹患者に関しては、図15(b) に示す方法で判定用多角形262を定義した場合と、図16(b) に示す方法で判定用多角形272を定義した場合とで、抽出されるパラメータ値に差が生じることになる。しかも、多数の罹患者の断層画像について解析を行ったところ、眼科疾患判定用のパラメータとしては、後者の方法で抽出したパラメータの方が好ましいことが判明した。
その理由は、前者の定義方法(図15)では、参照線L1,L2の起点となる中心点Pgが、眼軸長Daに応じて変動してしまうため、参照点P1,P2の位置が眼軸長Daに応じて変動し、抽出されたパラメータが後極部の特定位置の変性を示す普遍的なパラメータとしての機能を果たさないためである。これに対して、後者の定義方法(図16)では、参照線Lr1,Lr2の起点となる計測原点Poが、眼軸長Daとは無関係に、「後極点Pbから標準距離Ds(この例の場合、13.5mm)だけ隔たった眼軸A上の点」として定義されるため、後極部がどのように変性していても、抽出されたパラメータは後極部の特定位置の変性を示す普遍的なパラメータとして利用することができる。
このような観点から、本発明を実施する上では、§3−1で述べた定義方法(図15に示すように、中心点Pgを起点として参照線L1,L2を引いて参照点P1,P2を定義する方法)よりも、ここで述べた定義方法(図16に示すように、計測原点Poを起点として参照線Lr1,Lr2を引いて参照点Pr1,Pr2を定義する方法)を採用するのが好ましい。そこで、以下に述べる各実施例では、すべて後者の定義方法を採用している。
本願では、図16に示すように、計測原点Poを起点とする方法で定義された判定用多角形について得られた三角形Tr1,Tr2の面積比を「非対称度R」と呼び、内角φを「後極先鋭度」と呼ぶことにする。非対称度Rは、眼球後部の対称性の程度を示すパラメータであり、値1から離れるほど非対称であることを示すことになる。後極先鋭度φは、後極近傍の後方への突出変性の程度を示すパラメータであり、値が小さくなるほど突出変性の程度が大きいことを示すことになる。
ここで述べた実施例の場合、標準距離Dsの最適値として、Ds=13.5mmなる値を採用しているが、人種や年齢に応じて眼軸長Daに顕著な差が生じる場合には、それぞれについて適切な標準距離Dsを設定することも可能である。ただ、抽出されたパラメータに、人種や年齢に依存しない普遍量としての意味をもたせる上では、標準距離Dsとして何らかの固定値を定めた運用を行うのが好ましい。本願発明者は、Ds=13.5mmなる固定値を用いることを推奨する。
なお、多角形定義部140は、判定用多角形を定義する際に、上記標準距離Dsを用いて計測原点Poの位置を決定する処理を行うことになる。この場合、断層画像は多数の画素の集合体データとして取り扱われるので、実用上は、標準距離Dsの単位は、実寸を示す「mm」ではなく、断層画像の解像度を考慮した画素数によって表現される。たとえば、断層画像が、6.44画素/mmの解像度をもった画像として用意されていた場合、標準距離Dsは、約87画素(6.44×13.5)に設定される。
以上、多角形定義部140が、4頂点Pf,Pb,Pr1,Pr2をもった4角形を判定用多角形として定義する実施例を述べたが、実用上は、更にいくつかの頂点を追加して、たとえば、6角形や8角形の判定用多角形を定義するようにするのが好ましい(詳細は、§3−3〜§3−5で述べる)。
要するに、多角形定義部140は、前極点Pfと後極点Pbとを結ぶ眼軸Aを定義し、この眼軸A上において後極点Pbから前極点Pfに向けて予め設定された所定の標準距離Dsだけ隔たった位置に計測原点Poを定義し、この計測原点Poを通り、眼軸Aに対して所定の参照角+θをなす第1参照線Lr1および−θをなす第2参照線Lr2を定義し(但し、0°<θ<90°)、第1参照線Lr1上の1点として第1参照点Pr1を定義し、第1参照線Lr1と眼球の後部輪郭線との交点位置に配置すべき点として第1参照点Pr1を定義し、第2参照線Lr2と眼球の後部輪郭線との交点位置に配置すべき点として第2参照点Pr2を定義し、少なくとも、Pf,Pb,Pr1,Pr2の4点を頂点として含むK角形(K≧4)を定義すればよい。
このような方法で判定用多角形を定義すれば、判定情報抽出部150は、当該判定用多角形から、次のような各パラメータを眼球の形態異常判定に用いる情報として抽出することができ、これをオペレータに提示することができる。図17は、図16に示す実施例において、眼球の形態異常判定に用いる具体的なパラメータの抽出方法を示す平面図である。図17(a) は、図16(a) から判定用多角形271のみを抽出して示したものであり、健常者の眼球領域251にフィットさせた多角形を示すものになる。これに対して、図17(b) は、図16(b) から判定用多角形272のみを抽出して示したものであり、眼球疾患の罹患者の眼球領域252にフィットさせた多角形を示すものになる。
判定情報抽出部150は、まず第1に、前極点Pfと後極点Pbとの距離を眼軸長Daとして算出し、この眼軸長Daを眼球の形態異常判定に用いるパラメータとして提示することができる。眼軸長Daは、眼球後極部の後方への変性を示す重要なパラメータになる。
第2に、判定情報抽出部150は、計測原点Po、後極点Pb、第1参照点Pr1を頂点とする第1参照三角形Tr1と、計測原点Po、後極点Pb、第2参照点Pr2を頂点とする第2参照三角形Tr2との面積比(図17(a) ,(b) において、それぞれ異なるハッチングを施して示す領域の面積比)を非対称度Rとして算出し、この非対称度Rを眼球の形態異常判定に用いるパラメータとして提示することができる。この非対称度Rは、眼球後部の対称性の程度を示すパラメータであり、図17(a) に示すような健常者の場合、Rの値はほぼ1に近くなるが、図17(b) に示すような罹患者の場合、Rの値は1から外れた値になる。
そして第3に、判定情報抽出部150は、第1参照点Pr1、後極点Pb、第2参照点Pr2の3点によって定義される内角Pr1-Pb-Pr2を後極先鋭度φとして算出し、この後極先鋭度φを眼球の形態異常判定に用いるパラメータとして提示することができる。この後極先鋭度φは、眼球後極部の後方への突出異常を判定するパラメータになる。図17(b) に示す罹患者の例の場合は、後極先鋭度φは図17(a) に示す健常者の後極先鋭度φと大差はないが、後極部が後方へ突出する変性が生じている罹患者の場合、後極先鋭度φが小さくなり、後極部の形態異常が認識できる。
図18(a) は、上述した3種類のパラメータDa,R,φの一覧を示す表である。上述したとおり、いずれのパラメータも眼球の形態異常判定に有用な情報になる。
なお、非対称度Rは、「第1参照三角形Tr1と第2参照三角形Tr2との面積比」として定義されるパラメータであり、実際には、R=「三角形Tr1の面積」/「三角形Tr2の面積」なる定義を行ってもよいし、R=「三角形Tr2の面積」/「三角形Tr1の面積」なる定義を行ってもよい。図17(b) の例の場合、前者の定義を行うとR>1になり、後者の定義を行うとR<1になる。いずれの定義方法を採用しても、Rは1から外れた値になるため、非対称の程度を示すパラメータとして支障は生じない。
ただ、様々な眼科疾患の診断を行う上では、「どちら側の三角形の面積の方が大きいのか?」という付加的な情報まで得られた方が好ましい。たとえば、断層画像として、図2に示すようなアキシャル像を用いた場合、眼軸Aの両脇に位置する一対の参照三角形の一方は耳側、他方は鼻側に位置する三角形になるため、たとえば、図16(b) の眼球領域252が、図2に示すアキシャル像の右眼についてのものであったとすると、第1参照三角形Tr1は眼軸Aの耳側、第2参照三角形Tr2は眼軸Aの鼻側に配置された三角形になる。したがって、非対称度R=「三角形Tr1の面積」/「三角形Tr2の面積」なる定義を行うと、R>1の場合は耳側が膨れていることを示し、R<1の場合は鼻側が膨れていることを示すことになる。
同様に、断層画像として、図1に示すようなサジタル像を用いた場合、眼軸Aの両脇に位置する一対の参照三角形の一方は上側、他方は下側(被験者が直立した状態での上下をいう)に位置する三角形になるため、たとえば、図16(b) の眼球領域252が、図1に示すアキシャル像についてのものであったとすると、第1参照三角形Tr1は眼軸Aの上側、第2参照三角形Tr2は眼軸Aの下側に配置された三角形になる。したがって、非対称度R=「三角形Tr1の面積」/「三角形Tr2の面積」なる定義を行うと、R>1の場合は上側が膨れていることを示し、R<1の場合は下側が膨れていることを示すことになる。
一方、眼球後極部の耳側が膨れている場合と鼻側が膨れている場合とでは、それぞれ異なる眼科疾患が疑われることが多い。眼球後極部の上側が膨れている場合と下側が膨れている場合とについても同様である。そこで、ここで述べる実施例の場合、断層画像入力部110に、断層画像210としてアキシャル像を入力する際には耳側/鼻側を区別する情報を、サジタル像を入力する際には上側/下側を区別する情報を入力する機能をもたせている。
このような区別のための情報は、必ずしも個々の断層画像ごとに何らかのデータの形で入力する必要はない。たとえば、アキシャル像については「必ず耳側が右、鼻側が左になるような向きに入力する」という条件を設定しておけば、当該条件設定が耳側/鼻側を区別する情報として機能することになる。同様に、サジタル像については「必ず上側が上、下側が下になるような向きに入力する」という条件を設定しておけば、当該条件設定が上側/下側を区別する情報として機能することになる。
こうして、耳側/鼻側もしくは上側/下側を区別する情報が存在すれば、判定情報抽出部150は、アキシャル像については、耳側の参照三角形の面積をSe、鼻側の参照三角形の面積をSnとしたときに、非対称度RをR=Se/SnもしくはR=Sn/Seなる式に基づいて算出し(実用上は、いずれか一方の式のみを用いるように決めておくのが好ましい)、サジタル像については、上側の参照三角形の面積をSt、下側の参照三角形の面積をSbとしたときに、非対称度RをR=St/SbもしくはR=Sb/Stなる式に基づいて算出する(実用上は、いずれか一方の式のみを用いるように決めておくのが好ましい)ことができる。
図18(b) は、アキシャル像については非対称度RをR=Se/Snなる式で定義し、サジタル像については非対称度RをR=St/Sbなる式で定義した例を示す表である。このような定義を行えば、アキシャル像については、R>1であれば耳側が膨れていることを示し、R<1であれば鼻側が膨れていることを示すことになる。同様に、サジタル像については、R>1であれば上側が膨れていることを示し、R<1であれば下側が膨れていることを示すことになる。したがって、パラメータRにより、眼科疾患の診断に役立つ更に詳しい情報を得ることができる。
<3−3. 6角形を定義した実施例(その1)>
ここでは、§3−2で述べた4角形からなる判定用多角形に、更に2頂点を加えることにより、6角形からなる判定用多角形を定義した例を、図19を参照しながら説明する。この図19においても、上段の図(a) に示す眼球領域251は健常者のものであり、下段の図(b) に示す眼球領域252は罹患者のものである。
図16に示す実施例と図19に示す実施例との相違は、前者では、4頂点Pf,Pb,Pr1,Pr2によって4角形からなる判定用多角形271,272が定義されていたのに対して、後者では、更に2頂点Pv1,Pv2を加えた6頂点を用いて、6角形からなる判定用多角形273,274が定義されている点だけである。各参照線Lr1,Lr2の起点として、中心点Pgではなく計測原点Po(後極点Pbから標準距離Dsだけ隔たった点)が用いられている点は、図16に示す実施例と同様であり、参照角θ=22.5°に設定した点も図16に示す実施例と同様である。結局、図19(a) もしくは図19(b) に示す4頂点Pf,Pb,Pr1,Pr2の位置は、図16(a) もしくは図16(b) に示す4頂点Pf,Pb,Pr1,Pr2の位置と全く同じになる。
この図19に示す実施例では、眼軸Aの中心点Pg(図19(a) の場合は、計測原点Poに一致する)において眼軸Aに直交する中心軸Vが定義される。そして、この中心軸Vと眼球の輪郭Cとの交点位置に配置すべき点として、第1端点Pv1および第2端点Pv2が定義され、Pf,Pb,Pr1,Pr2,Pv1,Pv2の6点を頂点として含む6角形が判定用多角形273,274として定義される。
このような方法で6角形からなる判定用多角形273,274を定義すれば、判定情報抽出部150は、当該判定用多角形から、各パラメータを眼球の形態異常判定に用いる情報として抽出することができ、これをオペレータに提示することができる。図20は、図19(b) から判定用多角形274のみを抽出して示したものであり、眼球疾患の罹患者の眼球領域252にフィットさせた多角形を示すものになる。この図20に示すような6角形からなる判定用多角形274を定義すれば、判定情報抽出部150は、次の4種類のパラメータを抽出することができる。
まず第1に、前極点Pfと後極点Pbとの距離を眼軸長Daとして算出し、この眼軸長Daを眼球の形態異常判定に用いるパラメータとして提示することができる。
第2に、計測原点Po、後極点Pb、第1参照点Pr1を頂点とする第1参照三角形Tr1と、計測原点Po、後極点Pb、第2参照点Pr2を頂点とする第2参照三角形Tr2との面積比(図20において、それぞれ異なるハッチングを施して示す領域の面積比)を非対称度Rとして算出し、この非対称度Rを眼球の形態異常判定に用いるパラメータとして提示することができる。実用上は、図18(b) に例示したとおり、耳側/鼻側もしくは上側/下側を区別可能な方法で非対称度Rを定義するのが好ましい。
第3に、第1参照点Pr1、後極点Pb、第2参照点Pr2の3点によって定義される内角Pr1-Pb-Pr2を後極先鋭度φとして算出し、この後極先鋭度φを眼球の形態異常判定に用いるパラメータとして提示することができる。
以上述べた3通りのパラメータは、図17(b) に示す4角形からなる判定用多角形272から抽出可能なパラメータと全く同様であるが、図20に示す6角形からなる判定用多角形274からは、更に第4のパラメータを抽出することが可能である。すなわち、判定情報抽出部150は、第1端点Pv1と第2端点Pv2との距離を中心軸長Dvとして算出し、この中心軸長Dvを眼球の形態異常判定に用いる第4のパラメータとして提示することができる。中心軸長Dvは、眼球の中心軸V方向の寸法を示すパラメータであり、眼軸長Daとともに、眼球全体の形態異常を判定する上で有用な情報を示すことになる。
図21は、上述した4種類のパラメータDa,R,φ,Dvの一覧を示す表である。いずれのパラメータも眼球の形態異常判定に有用な情報になる。このように、第1端点Pv1および第2端点Pv2を頂点として加え、6角形からなる判定用多角形を定義する実施例のメリットは、中心軸長Dvなる第4のパラメータが抽出できる点である。
<3−4. 6角形を定義した実施例(その2)>
ここで述べる実施例も、§3−2で述べた4角形からなる判定用多角形(図16)に、更に2頂点を加えることにより、6角形からなる判定用多角形を定義した例である。ただ、§3−3で述べた6角形からなる判定用多角形(図19)は、中心軸V上に位置する第1端点Pv1および第2端点Pv2を新たな2頂点として加えたものであるが、ここで述べる判定用多角形は、いわば図16に示す実施例における一対の参照点Pr1,Pr2をそれぞれ2つの参照点に分割したものということができる。以下、そのような実施例を図22を参照しながら説明する。
図22においても、図16と同様に、上段の図(a) に示す眼球領域251は健常者のものであり、下段の図(b) に示す眼球領域252は罹患者のものである。図16に示す実施例と図19に示す実施例との相違は、前者では、4頂点Pf,Pb,Pr1,Pr2によって4角形からなる判定用多角形271,272が定義されていたのに対して、後者では、6頂点Pf,Pb,Pn1,Pn2,Pw1,Pw2によって6角形からなる判定用多角形275,276が定義されている点である。
ここで、前極点Pfおよび後極点Pbは、これまで述べたいくつかの実施例と全く同じであり、それぞれ眼球の前極Fに配置すべき点および後極Bに配置すべき点である。
一方、4頂点Pn1,Pn2,Pw1,Pw2は、いずれも眼球の後部輪郭線上に配置されるべき参照点であり、その役割は、図16に示す参照点Pr1,Pr2と同様である。ただ、この図22に示す実施例の場合、図16に示す第1参照点Pr1の代わりに、2つの第1参照点Pn1,Pw1が定義され、図16に示す第2参照点Pr2の代わりに、2つの第2参照点Pn2,Pw2が定義されている(参照点符号の”n”,”w”は、後述するように、狭域(narrow),広域(wide)の頭文字をとったものである)。
ここで述べる実施例の場合も、前極点Pfと後極点Pbとを結ぶ眼軸Aを定義し、この眼軸A上において後極点Pbから前極点Pfに向けて予め設定された所定の標準距離Dsだけ隔たった位置に計測原点Poを定義し(図22(a) の場合、計測原点Poは中心点Pgに等しくなる)、この計測原点Poを起点として各参照線を引き、眼球の後部輪郭線との交点位置に配置すべき点として各参照点を定義する点は、これまでの実施例と同じである。
ただ、参照線としては、図22に示されているとおり、4本の線が定義される。ここで、参照線Ln1,Ln2は、眼軸Aに対して、それぞれ参照角+θn,−θnをなす線であり、参照線Lw1,Lw2は、眼軸Aに対して、それぞれ参照角+θw,−θwをなす線である。本願では、角度θnを狭域参照角、角度θwを広域参照角と呼ぶことにする。狭域参照角θnおよび広域参照角θwは、0°<θn<θw<90°なる条件の範囲内の任意の角度に設定することができる。図22に示す例の場合、狭域参照角θnをθn=22.5°に設定し、広域参照角θwをθw=45°に設定している。
結局、図22に示す例の場合、計測原点Poを通り、眼軸Aに対して所定の狭域参照角+θnをなす第1狭域参照線Ln1および−θnをなす第2狭域参照線Ln2を定義し(但し、0°<θn<90°)、第1狭域参照線Ln1と眼球の後部輪郭線との交点位置に配置すべき点として第1狭域参照点Pn1を定義し、第2狭域参照線Ln2と眼球の後部輪郭線との交点位置に配置すべき点として第2狭域参照点Pn2を定義している。また、計測原点Poを通り、眼軸Aに対して所定の広域参照角+θwをなす第1広域参照線Lw1および−θwをなす第2広域参照線Lw2を定義し(但し、θn<θw<90°)、第1広域参照線Lw1と眼球の後部輪郭線との交点位置に配置すべき点として第1広域参照点Pw1を定義し、第2広域参照線Lw2と眼球の後部輪郭線との交点位置に配置すべき点として第2広域参照点Pw2を定義している。
そして、これら4個の参照点Pn1,Pn2,Pw1,Pw2に前極点Pfと後極点Pbとを加えた合計6点を頂点とする判定用多角形275,276が定義されている。必要に応じて、更にいくつかの頂点を追加して、たとえば、8角形の判定用多角形を定義することもできる(§3−5参照)。要するに、少なくとも、Pf,Pb,Pn1,Pn2,Pw1,Pw2の6点を頂点として含むK角形(K≧6)からなる判定用多角形が定義できればよい。
図22に示すような6角形からなる判定用多角形275,276を定義すると、眼球の後極部の形態異常を判定するための更に詳細な情報を抽出することが可能になる。すなわち、第1狭域参照点Pn1および第2狭域参照点Pn2の位置は、後極点Pbの直近内側領域の形態異常を示す情報を有しており、第1広域参照点Pw1および第2広域参照点Pw2の位置は、後極点Pbのやや外側の領域の形態異常を示す情報を有している。そこで、ここに示す実施例の場合、これら4つの参照点の位置を組み合わせて利用することにより、眼球の後極部の非対称性に関するより詳細な情報を抽出することができる。
図23は、図22に示す実施例において、眼球の形態異常判定に用いる具体的なパラメータの抽出方法を示す平面図である。図23(a) ,(b) は、いずれも図22(b) から判定用多角形276のみを抽出して示したものであり、眼球疾患の罹患者の眼球領域252にフィットさせた多角形を示すものになる。これまでの実施例と同様に、判定情報抽出部150は、第1のパラメータとして、前極点Pfと後極点Pbとの距離を眼軸長Daとして算出し、この眼軸長Daを眼球後極部の後方への変性を示す情報として提示することができる。
もちろん、判定情報抽出部150は、これまでの実施例と同様に、第2のパラメータとして、一対の三角形の面積比を非対称度Rとして算出し、眼球後部の対称性の程度を示す情報として提示することができる。ただ、ここに示す実施例の場合、4つの参照点Pn1,Pn2,Pw1,Pw2が定義されるため、2通りの面積比を算出することが可能である。この面積比の算出方法については、後に詳述する。
更に、判定情報抽出部150は、これまでの実施例と同様に、第3のパラメータとして、後極先鋭度φを算出し、眼球後極部の後方への突出異常を判定する情報として提示することができる。この場合、後極先鋭度φとしては、図23に示すとおり、第1狭域参照点Pn1、後極点Pb、第2狭域参照点Pn2の3点によって定義される内角Pn1-Pb-Pn2として定義すればよい。もちろん、第1広域参照点Pw1、後極点Pb、第2広域参照点Pw2の3点によって定義される角度Pw1-Pb-Pw2を何らかのパラメータとして提示することも可能であるが、眼球後極部の後方への突出異常を判定するためのパラメータとしては、内角Pn1-Pb-Pn2として定義される後極先鋭度φを用いるのが適切である。
続いて、図23に示す例について、2通りの面積比を算出する具体的な方法を説明する。まず、第1の面積比は、図23(a) に示すように、計測原点Po、後極点Pb、第1狭域参照点Pn1を頂点とする第1狭域参照三角形Tn1と、計測原点Po、後極点Pb、第2狭域参照点Pn2を頂点とする第2狭域参照三角形Tn2との面積比(図23(a) にそれぞれ異なるハッチングを施して示す領域の面積比)であり、ここでは当該面積比を狭域非対称度Rnと呼ぶことにする。
これに対して、第2の面積比は、図23(b) に示すように、計測原点Po、後極点Pb、第1広域参照点Pw1を頂点とする第1広域参照三角形Tw1と、計測原点Po、後極点Pb、第2広域参照点Pw2を頂点とする第2広域参照三角形Tw2との面積比(図23(b) にそれぞれ異なるハッチングを施して示す領域の面積比)であり、ここでは当該面積比を広域非対称度Rwと呼ぶことにする。
このように、図23に示す判定用多角形276からは、狭域非対称度Rnと広域非対称度Rwという2通りの非対称度を取得することができる。この2通りの非対称度は、いずれも眼球後部の対称性の程度を示すパラメータであるが、その具体的な取扱方法のいくつかを図24の表に示す。
この図24の表に示されている第1の方法は、狭域非対称度Rnと広域非対称度Rwとを、それぞれ別個独立したパラメータとして取り扱う方法である。狭域非対称度Rnは、図23(a) に示すとおり、第1狭域参照三角形Tn1と第2狭域参照三角形Tn2との面積比として算出される値であり、後極点Pbの直近部分に関する対称性の程度を示すパラメータになる。一方、広域非対称度Rwは、図23(b) に示すとおり、第1広域参照三角形Tw1と第2広域参照三角形Tw2との面積比として算出される値であり、後極点Pbの周辺のより広い部分に関する対称性の程度を示すパラメータになる。
このように、狭域非対称度Rnと広域非対称度Rwとは、いずれも眼球後部の対称性の程度を示すパラメータという点では共通するが、両者は対象範囲が若干異なるため、これら双方を別個独立したパラメータとしてオペレータに提示するようにすれば、オペレータ(通常は、専門の眼科医)は、眼球の後極部の非対称性に関するより詳細な情報を得ることができ、より的確な診断を行うことができる。もちろん、狭域非対称度Rnと広域非対称度Rwとの双方を提示する必要がない場合には、いずれか一方のみを提示すればよい。
図24の表に示されている第2の方法は、狭域非対称度Rnと広域非対称度Rwとの平均値を非対称度Rとして定義し(R=(Rn+Rw)/2)、この非対称度Rを眼球後部の対称性の程度を示すパラメータとして提示する方法である。§3−1〜§3−3に示す実施例を採用した場合、パラメータとして得られる非対称度Rは1通りだけである。そこで、もし、これらの実施例で得られた結果との整合性を確保するために、非対称度Rとして単一の値を定める必要がある場合には、両者の平均値を非対称度Rとする運用を行えばよい。
図24の表に示されている第3の方法は、やはり非対称度Rとして単一の値を定める必要がある場合に有効な方法であり、狭域非対称度Rnおよび広域非対称度Rwのうち、値1との差の絶対値が大きい方を非対称度Rと定義し、これを眼球後部の対称性の程度を示すパラメータとして提示する方法である。すなわち、この方法では、|Rn−1|>|Rw−1|の場合は、R=Rnと定義され、|Rn−1|<|Rw−1|の場合は、R=Rwと定義される。このような定義を行えば、非対称度Rとして単一の値を定めることができ、しかも、狭域非対称度Rnと広域非対称度Rwとのうち、非対称の程度がより高い方を非対称度Rと定義することができるので、より的確な診断が期待できる。
なお、この§3−4で述べる実施例においても、実用上は、図18(b) に例示したように、耳側/鼻側もしくは上側/下側を区別可能な方法で、狭域非対称度Rnおよび広域非対称度Rwを定義するのが好ましい。すなわち、狭域非対称度Rnおよび広域非対称度Rwのいずれを算出する場合でも、アキシャル像については、耳側の参照三角形の面積をSe、鼻側の参照三角形の面積をSnとしたときに、非対称度RをR=Se/Sn(もしくはR=Sn/Se)なる式に基づいて算出し、サジタル像については、上側の参照三角形の面積をSt、下側の参照三角形の面積をSbとしたときに、非対称度RをR=St/Sb(もしくはR=Sb/St)なる式に基づいて算出するように定めておけばよい。
前述したとおり、この§3−4で述べる実施例を実施する場合、狭域参照角θnおよび広域参照角θwは、0°<θn<θw<90°なる条件の範囲内の任意の角度に設定することができる。ただ、本願発明者が試行した結果では、図22に示す例のように、狭域参照角θnをθn=22.5°に設定し、広域参照角θwをθw=45°に設定した場合に、最も適切なパラメータ値が得られた。したがって、実用上は、θn=22.5°、θw=45°に設定するのが好ましい。
<3−5. 8角形を定義した実施例>
ここでは、§3−4で述べた6角形からなる判定用多角形に、更に2頂点を加えることにより、8角形からなる判定用多角形を定義した例を、図25を参照しながら説明する。この図25においても、上段の図(a) に示す眼球領域251は健常者のものであり、下段の図(b) に示す眼球領域252は罹患者のものである。
図22に示す実施例と図25に示す実施例との相違は、前者では、6頂点Pf,Pb,Pn1,Pn2,Pw1,Pw2によって6角形からなる判定用多角形275,276が定義されていたのに対して、後者では、更に2頂点Pv1,Pv2を加えた8頂点を用いて、8角形からなる判定用多角形277,278が定義されている点だけである。計測原点Po(後極点Pbから標準距離Dsだけ隔たった点)を起点として、合計4本の参照線Ln1,Ln2,Lw1,Lw2が用いられている点は、図22に示す実施例と同様である。
結局、図25(a) もしくは図25(b) に示す6頂点Pf,Pb,Pn1,Pn2,Pw1,Pw2の位置は、図22(a) もしくは図22(b) に示す6頂点Pf,Pb,Pn1,Pn2,Pw1,Pw2の位置と全く同じになる。この図25に示す実施例においても、狭域参照角θnおよび広域参照角θwは、0°<θn<θw<90°なる条件の範囲内の任意の角度に設定することができるが、本願発明者が試行した結果では、狭域参照角θnをθn=22.5°に設定し、広域参照角θwをθw=45°に設定した場合に、最も適切なパラメータ値が得られた。したがって、実用上は、θn=22.5°、θw=45°に設定するのが好ましい。
この図25に示す実施例では、眼軸Aの中心点Pg(図25(a) の場合は、計測原点Poに一致する)において眼軸Aに直交する中心軸Vが定義される。そして、この中心軸Vと眼球の輪郭Cとの交点位置に配置すべき点として、第1端点Pv1および第2端点Pv2が定義され、Pf,Pb,Pn1,Pn2,Pw1,Pw2,Pv1,Pv2の8点を頂点として含む8角形が判定用多角形277,278として定義される。
このような方法で8角形からなる判定用多角形277,278を定義すれば、判定情報抽出部150は、当該判定用多角形から、各パラメータを眼球の形態異常判定に用いる情報として抽出することができ、これをオペレータに提示することができる。
図26は、図25に示す実施例において、眼球の形態異常判定に用いる具体的なパラメータの抽出方法を示す平面図である。図26(a) ,(b) は、いずれも図25(b) から判定用多角形278のみを抽出して示したものであり、眼球疾患の罹患者の眼球領域252にフィットさせた多角形を示すものになる。
判定情報抽出部150は、§3−4で述べた実施例と同様に、第1のパラメータとして、前極点Pfと後極点Pbとの距離を眼軸長Daとして算出し、この眼軸長Daを眼球後極部の後方への変性を示す情報として提示することができる。
また、判定情報抽出部150は、§3−4で述べた実施例と同様に、第2のパラメータとして、狭域非対称度Rnと広域非対称度Rwとを、それぞれ別個独立したパラメータとして算出することができる。ここで、狭域非対称度Rnは、図26(a) に示すように、計測原点Po、後極点Pb、第1狭域参照点Pn1を頂点とする第1狭域参照三角形Tn1と、計測原点Po、後極点Pb、第2狭域参照点Pn2を頂点とする第2狭域参照三角形Tn2との面積比(図26(a) にそれぞれ異なるハッチングを施して示す領域の面積比)として算出されるパラメータである。一方、広域非対称度Rwは、図26(b) に示すように、計測原点Po、後極点Pb、第1広域参照点Pw1を頂点とする第1広域参照三角形Tw1と、計測原点Po、後極点Pb、第2広域参照点Pw2を頂点とする第2広域参照三角形Tw2との面積比(図26(b) にそれぞれ異なるハッチングを施して示す領域の面積比)として算出されるパラメータである。
ここで、狭域非対称度Rnと広域非対称度Rwという2通りの非対称度は、いずれも眼球後部の対称性の程度を示すパラメータであるが、その具体的な取扱方法については、図24の表に示したとおりである。なお、この実施例の場合も、実用上は、図18(b) に例示したように、耳側/鼻側もしくは上側/下側を区別可能な方法で、狭域非対称度Rnおよび広域非対称度Rwを定義するのが好ましい。
更に、判定情報抽出部150は、§3−4で述べた実施例と同様に、第3のパラメータとして、後極先鋭度φを算出し、眼球後極部の後方への突出異常を判定する情報として提示することができる。この場合、後極先鋭度φとしては、図26に示すとおり、第1狭域参照点Pn1、後極点Pb、第2狭域参照点Pn2の3点によって定義される内角Pn1-Pb-Pn2として定義すればよい。§3−4でも述べたとおり、第1広域参照点Pw1、後極点Pb、第2広域参照点Pw2の3点によって定義される角度Pw1-Pb-Pw2を何らかのパラメータとして提示することも可能であるが、眼球後極部の後方への突出異常を判定するためのパラメータとしては、内角Pn1-Pb-Pn2として定義される後極先鋭度φを用いるのが適切である。
以上述べた3通りのパラメータは、図22(b) に示す6角形からなる判定用多角形276から抽出可能なパラメータと全く同様であるが、図26に示す8角形からなる判定用多角形278からは、更に第4のパラメータを抽出することが可能である。すなわち、判定情報抽出部150は、第1端点Pv1と第2端点Pv2との距離を中心軸長Dvとして算出し、この中心軸長Dvを眼球の形態異常判定に用いる第4のパラメータとして提示することができる。中心軸長Dvは、眼球の中心軸V方向の寸法を示すパラメータであり、眼軸長Daとともに、眼球全体の形態異常を判定する上で有用な情報を示すことになる。
結局、ここで述べた実施例では、§3−3で述べた実施例と同様に、図21に示すような4種類のパラメータDa,R,φ,Dvを眼球の形態異常判定に有用な情報として得ることができる。ここで、非対称度Rは、図24の表に示した様々な方法で定義することができる(第1の方法を採る場合は、狭域非対称度Rnと広域非対称度Rwという2通りの非対称度が定義されることになる)。このように、第1端点Pv1および第2端点Pv2を頂点として加え、8角形からなる判定用多角形を定義する実施例のメリットは、中心軸長Dvなる第4のパラメータが抽出できる点である。
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前述した§3では、判定用多角形について、4角形から8角形に至るまで様々なバリエーションを用いた実施例を説明した。本願発明者は、これらのバリエーションのうち、§3−5で述べた8角形の判定用多角形を用いる実施例が、実用上最適な実施例であると考えている。これは、8角形の判定用多角形を用いれば、図21に示すような4種類のパラメータDa,R,φ,Dvを抽出することができ、しかも非対称度Rに関しては、図24の表に示す様々な方法で定義することができるためである。
また、8角形の判定用多角形は、基本的に円形をしている眼球領域にフィットさせやすい形状をしており、オペレータが位置や形状の修正作業を違和感なく行うことができるというメリットも有している。そこで、以下、§3−5で述べた8角形の判定用多角形を用いた実施例に基づいて、本発明に係る画像解析装置における判定用多角形の位置および形状の修正処理の詳細を述べることにする。
<4−1. 修正処理の基本手順>
図27は、断層画像表示部130によって表示された断層画像280上に、多角形定義部140によって定義された判定用多角形291(説明の便宜上、太線で示す)を重畳表示した状態を示す図である。ここでは、図14に示した例と同様に、断層画像280が、眼球領域281を右側部分に含む横長の画像である場合を例にとって、以下の説明を行うことにする。
図27(a) は、ディスプレイ画面上で、判定用多角形291を断層画像280に重ねて表示した状態を示す平面図である。図示の判定用多角形291は、初期状態の多角形であり、多角形定義部140は、まず、この初期状態の判定用多角形291を画面上の所定位置に表示する。図示のとおり、この判定用多角形291は、図25に示した8角形からなる多角形である。この例の場合、初期状態の判定用多角形291は、左右対称の形状をしているが、オペレータからの修正指示に応じて、任意の形状に修正される。
なお、実用上は、図27(a) に例示されているように、多角形定義部140が、判定用多角形291を構成する各辺(この例の場合は8角形を構成する8つの辺)とともに、眼軸A,中心軸V,第1狭域参照線Ln1,第2狭域参照線Ln2,第1広域参照線Lw1,第2広域参照線Lw2をディスプレイ装置の画面上に表示するようにするのが好ましい。このように、多角形の辺だけでなく内部の骨組みを併せて表示することにより、オペレータは、判定用多角形291をひとつのまとまりあるグラフィック・ゲージとして認識することができ、視認性が向上する。また、中心軸Vや各参照線Ln1,Ln2,Lw1,Lw2を骨組みとして表示することにより、オペレータが後述する形状の変更作業を行う際に、各頂点の移動可能方向を容易に認識することができるようになる。
オペレータは、この初期状態の判定用多角形291について、その位置および形状を修正するための修正指示を与える。図27(b) は、オペレータからの位置修正指示に基づいて、初期状態の判定用多角形291の位置が修正された状態を示し、図27(c) は、更に、オペレータからの形状修正指示に基づいて、初期状態の判定用多角形291の形状が修正され、判定用多角形292が得られた状態を示す。
オペレータは、この初期状態の判定用多角形291の全頂点が眼球領域281の輪郭Cの上の所定位置に載るように、その位置および形状の修正作業を行うことになる。そのためには、ディスプレイ画面上に表示されている断層画像280を目視確認しながら、個々の頂点の位置を輪郭C上に移動させる修正指示を与えればよい。具体的な指示方法としては、§2でも述べたとおり、たとえば、マウスなどのポインティングデバイスを利用して、クリック操作やドラッグ操作を行う方式を採用すればよい。
たとえば、図27(a) に示す初期状態において、判定用多角形291を眼球領域281の上まで移動させて図27(b) に示す状態までもってゆくための位置修正指示は、判定用多角形291の中心近傍を眼球領域281の上までドラッグする操作により行うことができる。必要に応じて、判定用多角形291全体を回転させる指示を与えることができるようにしておくとよい。一方、図27(b) に示す判定用多角形291の形状を修正して、図27(c) に示す判定用多角形292を新たに定義するための形状修正指示は、個々の頂点のそれぞれを新しい位置までドラッグする操作により行うことができる。
オペレータは、判定用多角形291に対する位置および形状の修正作業が完了し、図27(c) に示すように、適切な形状をもち、適切な位置に配置された判定用多角形292が得られたと判断したら、指示入力部120に対して判定指示を与える操作(たとえば、コマンドメニューから判定コマンドを選択する操作)を行う。すると、判定情報抽出部150が、その時点で定義されている判定用多角形292に基づいて、種々のパラメータを抽出し、これを提示する処理を実行する。具体的な提示内容は、既に述べたとおりである。
なお、図27には、極めて明瞭な断層画像280が示されており、眼球領域281にはハッチングが施され、その輪郭Cも明確な線で描かれているが、これは説明の便宜のためであり、実際の断層画像はこれほど鮮明なものではない。
図28は、図25に示す8角形の判定用多角形を用いた位置および形状の修正作業の実例を示すディスプレイ画面図である。図28(a) は、サジタル像から眼球を含む一部をトリミングして切り出し、これを画面上に表示した状態を示し、図28(b) は、当該画像の上に、初期状態の判定用多角形を初期位置に重ねて表示した状態を示す。オペレータは、この初期状態の判定用多角形を眼球領域の上まで移動し、必要に応じて回転させる修正指示を与え、更に、8頂点が眼球領域の輪郭上の所定位置に載るように、形状修正指示(個々の頂点の位置を修正する指示)を与える。
図示のとおり、実際の断層画像の場合、眼球領域は必ずしも明瞭ではなく、その輪郭も単純な線で描かれているわけではない。しかも、図28に示す例は、T2強調モードで撮影された高精細なMRI画像からトリミングされた断層画像であるため、眼球領域が比較的認識しやすいが、図10に示すようなT1強調モードによる撮影像や、図11に示すような動画撮影の1フレームとして得られた画像を用いた場合、必ずしも鮮明な断層画像は得られない。しかしながら、様々な断層画像を観察した経験があり、眼球内の生体構造にも豊富な知識をもっている専門の眼科医がオペレータとして修正作業を行うようにすれば、解析を行うのに十分適切な修正作業を行うことが可能である。
もっとも、ここで行う修正作業では、単に、判定用多角形の8頂点を眼球領域の輪郭上に載せるだけではなく、個々の頂点をそれぞれ固有の位置に配置する必要がある。図25に示すように、まず、前極点Pfについては、眼球の前極Fに配置する必要があり、後極点Pbについては、眼球の後極Bに配置する必要がある。図28に示すような断層画像を見た専門の眼科医であれば、眼球の生体構造を把握しながら、前極Fおよび後極Bの位置をほぼ正確に決定することができるので、前極点Pfおよび後極点Pbを、それぞれ前極Fおよび後極Bの位置に修正することは比較的容易に行うことができる。そこで、修正作業は、まず、前極点Pfおよび後極点Pbを正しい位置に修正する作業から行われる。
続いて、残りの6頂点、すなわち、4つの参照点Pn1,Pn2,Pw1,Pw2および2つの端点Pv1,Pv2に対する修正作業を行う。これらの6頂点は、いずれも眼球の輪郭上に配置すべき点であるが、それぞれ固有の条件を満たす位置に配置する必要がある。
図25に示すように、前極点Pfおよび後極点Pbの位置が定まると、眼軸Aを決定することができ、その中心に中心点Pgを定義することができる。また、眼軸A上において後極点Pbから前極点Pfに向けて予め設定された所定の標準距離Dsだけ隔たった位置に計測原点Poを定義することができる。既に述べたとおり、ここに示す実施例の場合、Ds=13.5mmなる設定値を用いており、解像度調整部112において、断層画像の解像度を6.44画素/mmとする調整が行われているため、標準距離Dsは、87画素分に設定されている。また、狭域参照角θn=22.5°、広域参照角θw=45°なる設定がなされている。
残りの6頂点Pn1,Pn2,Pw1,Pw2,Pv1,Pv2は、こうして定められた中心点Pg,計測原点Po,狭域参照角θn,広域参照角θwに関して、固有の条件を満足する位置に配置する必要がある。すなわち、第1狭域参照点Pn1は、計測原点Poを通り、眼軸Aに対して狭域参照角+θnをなす第1狭域参照線Ln1と眼球の後部輪郭線との交点位置に配置する必要があり、第2狭域参照点Pn2は、計測原点Poを通り、眼軸Aに対して狭域参照角−θnをなす第2狭域参照線Ln2と眼球の後部輪郭線との交点位置に配置する必要がある。
同様に、第1広域参照点Pw1は、計測原点Poを通り、眼軸Aに対して広域参照角+θwをなす第1広域参照線Lw1と眼球の後部輪郭線との交点位置に配置する必要があり、第2広域参照点Pw2は、計測原点Poを通り、眼軸Aに対して広域参照角−θwをなす第2広域参照線Lw2と眼球の後部輪郭線との交点位置に配置する必要がある。また、第1端点Pv1および第2端点Pv2は、眼軸Aの中心点Pgにおいて眼軸Aに直交する中心軸Vを定義し、この中心軸Vと眼球の輪郭線との交点位置に配置する必要がある。
このように、残りの6頂点Pn1,Pn2,Pw1,Pw2,Pv1,Pv2は、その配置位置にそれぞれ固有の条件が課されており、オペレータに、これら固有の条件を念頭に入れて、適切な位置を手作業で指定させる修正作業を行わせることは事実上困難である。そこで、多角形定義部140には、オペレータによる適切な修正作業を支援するための指示入力用インタフェースを用意しておくようにする。以下、このような指示入力用インタフェースの具体例を説明する。このような指示入力用インタフェースを用意しておけば、オペレータは、グラフィック・ゲージとして機能する判定用多角形を、眼球領域の輪郭にフィットさせるように修正作業を行えばよいので、作業効率は著しく向上する。
<4−2. 各頂点の修正条件>
図29は、図25に示す8角形の判定用多角形を用いて各頂点位置を修正する際の修正条件を示す平面図である。上述したとおり、8頂点のうち、前極点Pfについては、眼球の前極Fに配置する必要があり、後極点Pbについては、眼球の後極Bに配置する必要がある。したがって、この2点については、オペレータが所望の位置に配置できるようにしておく必要があり、ディスプレイ画面上で任意の位置に修正できるようにしておく必要がある。別言すれば、前極点Pfと後極点Pbについては、特に配置条件を設定せず、自由な位置に修正できるようにしておけばよい。図29では、このように自由な位置修正が可能な2点Pf,Pbを白丸で示してある。
前述したとおり、オペレータは、ディスプレイ画面に表示されている断層画像上で、眼球の前極Fおよび後極Bを認識し、これらの位置に2点Pf,Pbを移動させる修正作業を行う。こうして、2点Pf,Pbの位置が決定すると、眼軸Aが定まり、その中心に中心点Pgが定義され、点Pbから標準距離Dsだけ隔たった位置に計測原点Poが定義される。図29では、こうして自動的に定義される2点Pg,Poを黒四角で示してある。また、図示のとおり、中心点Pgを通り眼軸Aに直交する軸として、中心軸Vが定義され、計測原点Poを起点として、それぞれ眼軸Aに対して所定角度をなす4本の参照線Ln1,Ln2,Lw1,Lw2も定義される。
ここで、4つの参照点Pn1,Pn2,Pw1,Pw2は、それぞれ参照線Ln1,Ln2,Lw1,Lw2上の1点である必要があるので、その移動方向は、図に白矢印で示すように、それぞれ参照線Ln1,Ln2,Lw1,Lw2に沿った方向のみに制限する必要がある。同様に、2つの端点Pv1,Pv2は、いずれも中心線V上の1点である必要があるので、その移動方向は、図に白矢印で示すように、中心線Vに沿った方向のみに制限する必要がある。図29では、このように特定の線に沿ってのみ位置修正が可能な6点Pn1,Pn2,Pw1,Pw2,Pv1,Pv2を黒丸で示してある。
図29に示すような各頂点の修正条件を考慮すると、まず、指示入力部120には、現在定義されている判定用多角形の任意の1頂点を修正対象として指定するとともに、当該修正対象の位置修正に利用する修正指示点の位置を指定するオペレータからの指示を入力する機能をもたせておくのが好ましい。
たとえば、指示入力部120を、マウスなどのポインティングデバイスを利用して構成した場合、このポインティングデバイスを用いたドラッグ操作により、任意の頂点を任意の位置まで移動させる指示を与えることができる。この場合、ドラッグ開始地点の近傍に位置する頂点が修正対象として指定され、ドラッグ終了地点が修正指示点として指定されたことになる。あるいは、第1回目のクリック操作により、クリック地点の近傍に位置する頂点を修正対象として指定し、その後、ポインティングデバイスが指示している地点を随時修正指示点として取り込んで随時位置修正を行い、第2回目のクリック操作により当該修正対象についての修正作業を完了する、という方法を採用してもかまわない。
要するに、指示入力部120は、オペレータから、任意の1頂点を修正対象として指定する指示と、当該修正対象の位置修正に利用する修正指示点の位置を指定する指示と、を入力できればよい。なお、修正対象として指定された頂点の位置は、必ずしも修正指示点の位置に修正されるわけではない。具体的には、前極点Pfおよび後極点Pbについては、オペレータが指定した修正指示点の位置がそのまま修正後の新たな位置になるが、他の6点Pn1,Pn2,Pw1,Pw2,Pv1,Pv2については、必ずしもオペレータが指定した修正指示点の位置がそのまま修正後の新たな位置にはならない。
これは、これら6点が、図29に白矢印で示す方向にのみ修正が可能な点になっているためである。したがって、これら6点についての位置修正を行う場合、オペレータが指定した修正指示点の位置はあくまでも修正方向および修正距離を示す目安として利用されることになる。以下、各頂点についての具体的な修正方法を説明する。
ここでは、図27(a) に示すように、8角形からなる初期状態の判定用多角形291が断層画像280上に重ねて表示されている状態において、オペレータがドラッグ操作などを行い、この判定用多角形291を図27(b) に示す位置まで移動させる位置修正作業を完了したものとしよう。オペレータは、続いて、この判定用多角形291の形状を修正するために、8つの頂点の位置をそれぞれ修正する作業を行う必要がある。
<4−3. 前極点Pfおよび後極点Pbに対する修正>
はじめに、オペレータが、前極点Pfを断層画像上の前極Fの位置に移動する修正作業を行う場合を考えてみる。この場合、オペレータは、まず、クリック操作などにより前極点Pfを修正対象として指定する作業を行い、続いて、断層画像を目視確認しながら、前極Fの位置であると把握できる点を修正指示点として指定すればよい。
ここで述べる実施例の場合、多角形定義部140は、前極点Pfが修正対象として指定された場合には、修正指示点の位置をそのまま前極点Pfの新位置とする位置修正を行う。このとき、後極点Pbの位置を固定した状態で、眼軸A、計測原点Po、第1狭域参照点Pn1、第2狭域参照点Pn2、第1広域参照点Pw1、第2広域参照点Pw2の位置修正を行って、新たな判定用多角形を定義する処理を行う。
図30は、上記処理によって、前極点Pfについての位置修正が行われた例を示す平面図である。図30(a) は、修正前の判定用多角形の状態を示し、図30(b) は、修正後の判定用多角形の状態を示している。この例の場合、オペレータは、前極点Pfの近傍をクリックするなどの操作を行い、前極点Pfを修正対象として指定する。図30(a) では、修正対象として指定された前極点Pfを白丸で示してある。続いて、オペレータは、この前極点Pfの新位置(すなわち、断層画像上の前極Fの位置)をポインティングデバイスを用いて修正指示点として指定する。図30(a) の場合、×印で示した点Piが修正指示点である。
結局、図30(a) に示す例の場合、「前極点Pfを矢印a1の方向に移動して、修正指示点Piまでもってこい」という修正指示が与えられたことになる。多角形定義部140は、当該修正指示を受け、前極点Pfをそのまま修正指示点Piまで移動させる。図29に示す修正条件によれば、白丸で示されている前極点Pfは、自由な位置修正が可能であるので、修正指示点Piの位置をそのまま前極点Pfの新位置としても問題はない。図30(b) に示す点Pf′は、この新位置(修正指示点Piの位置)へ移動した前極点を示している。
このとき、後極点Pbの位置は変化させずに固定状態とする。ただ、前極点Pf(図30(a) )が点Pf′(図30(b) )の位置に移動したため、眼軸Aは、図30(b) に示すように、新たな眼軸A′に変化する。必然的に、中心点Pgは点Pg′の位置に移動し、計測原点Poは点Po′の位置に移動する。
また、計測原点Poを起点として定義されていた各参照線Ln1,Ln2,Lw1,Lw2の位置も変化するので(各参照角θn,θwの値はもとのままである)、これに伴って、各参照点Pn1,Pn2,Pw1,Pw2は、点Pn1′,Pn2′,Pw1′,Pw2′の位置に移動することになる。なお、この各参照点の移動の際には、新計測原点Po′と新参照点Pn1′,Pn2′,Pw1′,Pw2′との距離が、それぞれ旧計測原点Poと旧参照点Pn1,Pn2,Pw1,Pw2との距離に等しくなるような設定を行えばよい。
中心点Pgが新たな位置Pg′へ移動すると、中心点Pgを通る中心軸Vも中心軸V′に変化するので、これに伴って、各端点Pv1,Pv2は、点Pv1′,Pv2′の位置に移動することになる。この各端点の移動の際には、新中心点Pg′と新端点Pv1′,Pv2′との距離が、それぞれ旧中心点Pgと旧端点Pv1,Pv2との距離に等しくなるような設定を行えばよい。
結局、オペレータが、図30(a) に示すように、前極点Pfを修正対象として指定し、点Piを修正指示点として指定する修正指示を与えると、修正対象として指定された前極点Pfのみならず、各参照点Pn1,Pn2,Pw1,Pw2および各端点Pv1,Pv2の位置も適宜修正されることになり、図30(b) に示すように、後極点Pbを除く7頂点が、新たな位置Pf′,Pn1′,Pn2′,Pw1′,Pw2′,Pv1′,Pv2′へ移動することになる。ポインティングデバイスによって、修正指示点Piの位置を連続的に変化させる操作を行うと、前極点Pfの位置はリアルタイムで変化し、同時に、判定用多角形はリアルタイムで形状を変化させてゆくことになる。
以上、前極点Pfについての位置修正処理を述べたが、後極点Pbについての位置修正処理も同様である。すなわち、図29に示す修正条件によれば、後極点Pbも白丸で示されており、自由な位置修正が可能であるので、修正指示点Piの位置をそのまま後極点Pbの新位置としても問題はない。そこで、後極点Pbが修正対象として指定された場合には、修正指示点Piの位置を後極点Pbの新位置とする位置修正を行えばよい。このとき、前極点Pfの位置は固定した状態にする。ただ、後極点Pbが移動したため、これに伴って、眼軸A、中心点Pg、中心軸V、計測原点Po、各参照点Pn1,Pn2,Pw1,Pw2、各端点Pv1,Pv2の位置修正を行って、新たな判定用多角形を定義する処理が行われることになる。
<4−4. 第1端点Pv1および第2端点Pv2に対する修正>
次に、第1端点Pv1もしくは第2端点Pv2が修正対象として指定された場合の修正処理を説明する。図31は、第1端点Pv1についての位置修正が行われた例を示す平面図である。図31(a) は、修正前の判定用多角形の状態を示し、図31(b) は、修正後の判定用多角形の状態を示している。この例の場合、オペレータは、第1端点Pv1の近傍をクリックするなどの操作を行い、第1端点Pv1を修正対象として指定する。図31(a) では、修正対象として指定された第1端点Pv1を黒丸で示してある。なお、ここに示す実施例の場合、後述するように、第1端点Pv1と第2端点Pv2とは、眼軸Aに関して常に線対称となるように連動した位置修正が行われるようになっている。したがって、図31(a) では、連動して位置修正が行われることになる第2端点Pv2についても黒丸で示してある。
続いて、オペレータは、この第1端点Pv1の新位置を決定する指標として、ポインティングデバイスを用いて修正指示点を指定する。図31(a) の場合、×印で示した点Piが修正指示点として指定されている。前述したとおり、この修正指示点Piは、第1端点Pv1の新位置を直接的に示すものではない。図31(a) に示す例の場合、第1端点Pv1の位置に対して、矢印a2の方向に修正指示点Piが定義されているが、第1端点Pv1の新位置は、中心軸Vもしくはその延長線上に制限されるため、矢印a2の方向に移動させることはできない。
したがって、多角形定義部140は、第1端点Pv1が修正対象として指定された場合には、修正指示点Piの位置に応じた移動方向に、修正指示点Piの位置に応じた距離だけ、第1端点Pv1を中心軸Vに沿って移動させた位置を、第1端点Pv1の新位置とする位置修正を行う。
たとえば、図31(a) に示す例の場合、点Pv1から点Piへ向かうベクトルa2を定義し、このベクトルa2の中心軸V方向成分に応じて点Pv1を移動させる処理を行えばよい。具体的には、図の左右方向にX軸、上下方向にY軸を定義し、修正指示点PiのXY座標系における座標値を(xi,yi)とすれば、V軸の延長線上における座標値xiを有する点Pxの位置を、第1端点Pv1の新位置に決定すればよい。
なお、上述したとおり、ここに示す実施例の場合、第1端点Pv1と第2端点Pv2とは、眼軸Aに関して常に線対称となるように連動した位置修正が行われるようになっている。そのため、多角形定義部140は、第1端点Pv1および第2端点Pv2のいずれか一方が修正対象として指定された場合、当該一方の新位置について眼軸Aに関して線対称となる位置に他方の位置を自動修正する処理を行う。したがって、図31(a) に示す例の場合、第1端点Pv1の位置が点Pxの位置に修正されると、第2端点Pv2の位置も自動修正されることになる。
図31(b) は、このような修正が行われた後の状態を示す。第1端点Pv1は点Pv1′の位置(図31(a) の点Pxの位置)に修正され、これに連動して、第2端点Pv2は点Pv2′の位置に修正されている。新たな第2端点Pv2′は、新たな第1端点Pv1′について眼軸Aに関して線対称となる位置に定義される。こうして、両端点Pv1,Pv2が新たな点Pv1′,Pv2′の位置に移動すると、中心軸Vの両端は伸びて新たな中心軸V′に変化する。他の6点Pf,Pb,Pn1,Pn2,Pw1,Pw2の位置に変化はないが、判定用多角形の形状は変化することになる。
以上、第1端点Pv1についての位置修正処理を述べたが、第2端点Pv2についての位置修正処理も同様である。すなわち、第2端点Pv2が修正対象として指定された場合には、修正指示点Piの位置に応じた移動方向に、修正指示点Piの位置に応じた距離だけ、第2端点Pv2を中心軸Vに沿って移動させた位置を第2端点Pv2の新位置とする位置修正を行って、新たな判定用多角形が定義されることになる。
この場合も、第2端点Pv2を修正対象として指定しているにもかかわらず、第1端点Pv1の位置が連動して修正されることになる。要するに、ここで述べる実施例の場合、多角形定義部140は、第1端点Pv1および第2端点Pv2のいずれか一方が修正対象として指定された場合に、当該一方の新位置について眼軸Aに関して線対称となる位置に他方の位置を自動修正する処理を行い、第1端点Pv1および第2端点Pv2が眼軸Aに関して常に線対称となるように連動した位置修正が行われるようにする機能を有している。
このように両端点Pv1,Pv2を連動させて位置修正を行う機能は、本発明を実施するにあたって必須の機能ではないが、眼球は眼軸Aに関して線対称となるのが基本であるので、実用上は、両端点Pv1,Pv2については、このような連動修正機能をもたせておくのが好ましい(前述したように、眼科疾患の罹患者の場合、後極部において対称性が崩れることがあるが、そのような罹患者でも、中心軸Vの位置では、ほぼ対称になるのが一般的である)。
結局、オペレータが、図31(a) に示すように、第1端点Pv1を修正対象として指定し、ポインティングデバイスによって、修正指示点Piの位置を連続的に変化させる操作を行うと、第1端点Pv1およびこれに連動した第2端点Pv2の位置は、中心軸Vに沿って図の左右にリアルタイムで変化し、中心軸Vの長さはこれに応じて伸縮することになる。同時に、判定用多角形はリアルタイムで形状を変化させてゆくことになるが、第1端点Pv1と第2端点Pv2とは、眼軸Aに関して常に対称性を維持することになる。
なお、ここに示す実施例の場合、第1端点Pv1および第2端点Pv2を中心軸Vに沿って移動させる際に、眼軸Aを越えない範囲で移動させるような制限を設けている。これは、たとえば、図31(a) に示す例の場合、第1端点Pv1は必ず眼軸Aの右側に配置すべき点であり、第2端点Pv2は眼軸Aの必ず左側に配置すべき点であるためである。
<4−5. 参照点Pn1,Pn2,Pw1,Pw2に対する修正>
最後に、4つの参照点Pn1,Pn2,Pw1,Pw2のいずれかが修正対象として指定された場合の修正処理を説明する。図32は、第1広域参照点Pw1についての位置修正が行われた例を示す平面図である。図32(a) は、修正前の判定用多角形の状態を示し、図32(b) は、修正後の判定用多角形の状態を示している。この例の場合、オペレータは、第1広域参照点Pw1の近傍をクリックするなどの操作を行い、第1広域参照点Pw1を修正対象として指定する。図32(a) では、修正対象として指定された第1広域参照点Pw1を黒丸で示してある。
続いて、オペレータは、この第1広域参照点Pw1の新位置を決定する指標として、ポインティングデバイスを用いて修正指示点を指定する。図32(a) の場合、×印で示した点Piが修正指示点として指定されている。前述したとおり、この修正指示点Piは、第1広域参照点Pw1の新位置を直接的に示すものではない。図32(a) に示す例の場合、第1広域参照点Pw1の位置に対して、矢印a3の方向に修正指示点Piが定義されているが、第1広域参照点Pw1の新位置は、第1広域参照線Lw1上に制限されるため、矢印a3の方向に移動させることはできない。
したがって、多角形定義部140は、第1広域参照点Pw1が修正対象として指定された場合には、修正指示点Piの位置に応じた移動方向に、修正指示点Piの位置に応じた距離だけ、第1広域参照点Pw1を第1広域参照線Lw1に沿って移動させた位置を第1広域参照点Pw1の新位置とする位置修正を行って、新たな判定用多角形を定義する処理を行うことになる。
たとえば、図32(a) に示す例の場合、点Pw1から点Piへ向かうベクトルa3を定義し、このベクトルa3の第1広域参照線Lw1の方向成分に応じて点Pw1を移動させる処理を行えば、修正指示点Piの位置に応じて第1広域参照点Pw1の新たな位置を定義することができる。ただ、ここに示す実施例の場合、§4−4で述べた修正方法と同様に、図の左右方向にX軸、上下方向にY軸を定義し、修正指示点PiのXY座標系における座標値を(xi,yi)として、参照線Lw1上における座標値xiを有する点Pxの位置を、第1広域参照点Pw1の新位置に決定している。結局、ベクトルa3のX軸方向成分に応じて点Pw1を移動させる処理が行われたことになる。
図32(b) は、このような修正が行われた後の状態を示す。第1広域参照点Pw1は点Pw1′の位置(図32(a) の点Pxの位置)に修正されている。他の7点Pf,Pb,Pn1,Pn2,Pw2,Pv1,Pv2の位置に変化はないが、判定用多角形の形状は図示のとおり変化することになる。
以上、第1広域参照点Pw1についての位置修正処理を述べたが、第2広域参照点Pw1についての位置修正処理も同様である。すなわち、第2広域参照点Pw2が修正対象として指定された場合には、修正指示点Piの位置に応じた移動方向に、修正指示点Piの位置に応じた距離だけ、第2広域参照点Pw2を第2広域参照線Lw2に沿って移動させた位置を第2広域参照点Pw2の新位置とする位置修正を行って、新たな判定用多角形を定義する処理を行えばよい。
また、第1狭域参照点Pn1や第2狭域参照点Pn2についての位置修正処理も同様である。図33は、第2狭域参照点Pn2についての位置修正が行われた例を示す平面図である。図33(a) は、修正前の判定用多角形の状態を示し、図33(b) は、修正後の判定用多角形の状態を示している。この例の場合、オペレータは、第2狭域参照点Pn2の近傍をクリックするなどの操作を行い、第2狭域参照点Pn2を修正対象として指定する。図33(a) では、修正対象として指定された第2狭域参照点Pn2を黒丸で示してある。
続いて、オペレータは、この第2狭域参照点Pn2の新位置を決定する指標として、ポインティングデバイスを用いて修正指示点を指定する。図33(a) の場合、×印で示した点Piが修正指示点として指定されている。ここでも、修正指示点Piは、第2狭域参照点Pn2の新位置を直接的に示すものではない。図33(a) に示す例の場合、第2狭域参照点Pn2の位置に対して、矢印a4の方向に修正指示点Piが定義されているが、第2狭域参照点Pn2の新位置は、第2狭域参照線Ln2上に制限されるため、矢印a4の方向に移動させることはできない。したがって、多角形定義部140は、修正指示点Piの位置に応じた位置修正を行うことになる。
たとえば、図33(a) に示す例の場合、点Pn2から点Piへ向かうベクトルa4を定義し、このベクトルa4の第2狭域参照線Ln2の方向成分に応じて点Pn2を移動させる処理を行えば、修正指示点Piの位置に応じて第2狭域参照点Pn2の新たな位置を定義することができる。ただ、ここに示す実施例の場合、上述の修正方法と同様に、図の左右方向にX軸、上下方向にY軸を定義し、修正指示点PiのXY座標系における座標値を(xi,yi)として、参照線Ln2上における座標値xiを有する点Pxの位置を、第2狭域参照点Pn2の新位置に決定している。結局、ベクトルa4のX軸方向成分に応じて点Pn2を移動させる処理が行われたことになる。
図33(b) は、このような修正が行われた後の状態を示す。第2狭域参照点Pn2は点Pn2′の位置(図33(a) の点Pxの位置)に修正されている。他の7点Pf,Pb,Pn1,Pw2,Pw2,Pv1,Pv2の位置に変化はないが、判定用多角形の形状は図示のとおり変化することになる。第1狭域参照点Pn1についての位置修正処理も同様である。
要するに、多角形定義部140は、第1狭域参照点Pn1が修正対象として指定された場合には、修正指示点Piの位置に応じた移動方向に、修正指示点Piの位置に応じた距離だけ、第1狭域参照点Pn1を第1狭域参照線Ln1に沿って移動させた位置を第1狭域参照点Pn1の新位置とする位置修正を行って、新たな判定用多角形を定義する処理を行い、第2狭域参照点Pn2が修正対象として指定された場合には、修正指示点Piの位置に応じた移動方向に、修正指示点Piの位置に応じた距離だけ、第2狭域参照点Pn2を第2狭域参照線Ln2に沿って移動させた位置を第2狭域参照点Pn2の新位置とする位置修正を行って、新たな判定用多角形を定義する処理を行えばよい。
このように、参照点Pn1,Pn2,Pw1,Pw2に対する修正処理は、それぞれ別個独立して行われ、修正対象として指定された1点のみが移動対象となり、他の7頂点は固定されたまま影響を受けない。オペレータが、所定の参照点を修正対象として指定し、ポインティングデバイスによって、修正指示点Piの位置を連続的に変化させる操作を行うと、修正対象として指定された参照点のみが所定の参照軸に沿ってリアルタイムで変化し、同時に、判定用多角形はリアルタイムで形状を変化させてゆくことになる。
<4−6. 4角形・6角形を用いる実施例についての修正>
これまで、判定用多角形として8角形を用いる実施例についての修正処理を説明してきたが、4角形・6角形を用いる実施例についての修正処理も同様に行うことができる。たとえば、図16に示すような4角形からなる判定用多角形や、図19に示すような6角形からなる判定用多角形を用いる実施例の場合、参照点としては、第1参照点Pr1と第2参照点Pr2とが定義されることになるが、基本的には、これまで述べてきた8角形からなる判定用多角形を用いる実施例と同様の修正処理を行えばよい。
たとえば、前極点Pfが修正対象として指定された場合には、修正指示点の位置を前極点Pfの新位置とする位置修正を行い、後極点Pbの位置を固定した状態で、眼軸A、計測原点Po、第1参照点Pr1、第2参照点Pr2の位置修正を行って、新たな判定用多角形を定義する処理を行い、後極点Pbが修正対象として指定された場合には、修正指示点の位置を後極点Pbの新位置とする位置修正を行い、前極点Pfの位置を固定した状態で、眼軸A、計測原点Po、第1参照点Pr1、第2参照点Pr2の位置修正を行って、新たな判定用多角形を定義する処理を行えばよい。
また、第1参照点Pr1が修正対象として指定された場合には、修正指示点の位置に応じた移動方向に、修正指示点の位置に応じた距離だけ、第1参照点Pr1を第1参照線Lr1に沿って移動させた位置を第1参照点Pr1の新位置とする位置修正を行って、新たな判定用多角形を定義する処理を行い、第2参照点Pr2が修正対象として指定された場合には、修正指示点の位置に応じた移動方向に、修正指示点の位置に応じた距離だけ、第2参照点Pr2を第2参照線Lr2に沿って移動させた位置を第2参照点Pr2の新位置とする位置修正を行って、新たな判定用多角形を定義する処理を行えばよい。
<<< §5. 本発明の第2の実施形態の基本構成 >>>
ここでは、これまで述べてきた第1の実施形態の変形例として、第2の実施形態を述べる。この第2の実施形態は、第1の実施形態に係る画像解析装置に、更に、頂点位置の自動補正機能を付加したものである。
既に述べたとおり、本発明に係る画像解析装置は、専門知識を有する眼科医自身がオペレータとして利用することを前提として開発された装置であり、眼球の形態異常判定に用いる様々なパラメータは、オペレータがフィットさせた判定用多角形に基づいて抽出される。すなわち、眼科医自身が判定用多角形の位置や形状の修正作業を行うことになるため、眼科医の観察によって眼球の輪郭認識が可能な断層画像が用意されている限り、判定用多角形の各頂点の位置が大きな誤差を生じることはないと考えられる。
しかしながら、§4で述べたとおり、判定用多角形の各頂点位置の修正作業は、ディスプレイ画像を目視確認しながら、マウスなどのポインティングデバイスを利用して行うことになるため、数画素の単位まで正確な位置指定を行うことは困難である。ここで述べる第2の実施形態に係る画像解析装置には、頂点位置を自動補正する機能が付加されているため、オペレータが判定用多角形に対する修正作業を完了した後、この自動補正機能を利用して、数画素の単位まで正確な位置指定を行うことが可能になる。
図34は、この第2の実施形態に係る画像解析装置100Aの基本構成を示すブロック図である。図示の画像解析装置100Aは、図12に示す第1の実施形態に係る画像解析装置100に、更に、頂点位置補正部170を付加したものであり、その他の構成要素については変わりはない。そこで、以下、この頂点位置補正部170の機能を説明する。
頂点位置補正部170は、断層画像表示部130によって現在表示されている断層画像を解析することにより、眼球の境界位置を認識する機能を有し、多角形定義部140が定義した判定用多角形を構成する全頂点もしくは一部の頂点の位置を、認識した境界位置に補正する処理を行う機能をもった構成要素である。実際には、この頂点位置補正部170も、他の構成要素と同様に、コンピュータにプログラムを組み込むことによって実現される。
既に述べたとおり、多角形定義部140は、オペレータからの修正指示に基づいて判定用多角形の各頂点位置を修正する処理を行う機能を有している。これまで述べてきた第1の実施形態に係る画像解析装置100の場合、オペレータが修正作業を完了したと判断したときに(すなわち、ディスプレイ画面上で、判定用多角形が眼球領域に十分フィットした状態になったと確認できたときに)、判定情報抽出部150に対して判定指示を与え、種々のパラメータ値を抽出する処理を実行させることになる。ここで述べる第2の実施形態に係る画像解析装置100Aの場合、オペレータは、修正作業を完了したと判断した後、必要に応じて、頂点位置補正部170に対して補正指示を与えることができる。
補正指示が与えられた場合、頂点位置補正部170は、その時点で多角形定義部140によって定義されている判定用多角形の各頂点に対して位置の補正処理を実行する。具体的には、頂点位置補正部170は、眼球の境界位置を認識し、当該境界位置から外れている頂点については、当該境界位置まで移動させる補正処理を行うことになる。補正後の判定用多角形は、ディスプレイ装置160の画面上に表示されるので、オペレータは、補正後の判定用多角形をディスプレイ画面上で確認した上で、判定情報抽出部150に対して判定指示を与えることができる。判定情報抽出部150は、頂点位置補正部170による補正が行われている場合は、補正後の判定用多角形に基づいて眼球の形態異常判定に用いる情報、すなわち、種々のパラメータを抽出する処理を行う。このため、より正確な判定情報の抽出が可能になる。
図35は、図34に示す頂点位置補正部170の詳細構成を示すブロック図である。図示のとおり、この頂点位置補正部170は、補正軸決定部171、探索対象区間設定部172、差分演算部173、新位置決定部174を有しており、上述したとおり、オペレータからの補正指示を受けて断層画像から眼球の境界位置を認識し、多角形定義部140が定義した補正前の判定用多角形の頂点に対して必要な位置補正を施し、補正後の判定用多角形を出力する処理を実行する。以下、図36を参照しながら、頂点位置補正部170によって実施される頂点位置補正処理の具体例を説明する。
図36には、断層画像上の眼球領域252に重ねて定義された判定用多角形279(8角形の実施例)が示されている。ここでは、説明の便宜上、眼球領域252の輪郭Cに対して、判定用多角形279が大幅に外れた例を示しているが、実際には、この状態は、オペレータが修正作業を完了した状態であり、判定用多角形279が眼球領域252に十分フィットした状態になっているものとする。別言すれば、ディスプレイ画面上で確認する限り、判定用多角形279と眼球領域252の輪郭Cとのずれは微小であり、オペレータの観点からは、判定用多角形279の8頂点は、いずれも輪郭Cに載っていると認識されているものとする。
ただ、前述したとおり、実際には、マウスなどのポインティングデバイスを用いた手作業では、8頂点の位置を数画素の単位まで正確に指定することは困難である。図36に示す例では、各頂点の本来の位置(輪郭C上の位置)を×印で示してある。頂点位置補正部170は、図36に黒丸で示されている各頂点を、×印で示されている本来の位置に自動的に補正する処理を実行する。
そのために、まず、補正軸決定部171において、各頂点ごとに所定の補正軸が決定される。具体的には、補正対象頂点が前極点Pfもしくは後極点Pbである場合には、眼軸Aを補正軸と定め、補正対象頂点が参照点Pn1,Pn2,Pw1,Pw2である場合には、それぞれ参照線Ln1,Ln2,Lw1,Lw2を補正軸と定め、補正対象頂点が第1端点Pv1もしくは第2端点Pv2である場合には、中心軸Vを補正軸と定める。なお、図16に示すような4角形からなる判定用多角形や、図19に示すような6角形からなる判定用多角形を用いる実施例の場合、補正対象頂点が参照点Pr1,Pr2である場合には、それぞれ参照線Lr1,Lr2を補正軸と定めればよい。各頂点の位置補正は、対応する補正軸に沿って移動させることによって行われる。
一方、探索対象区間設定部172は、補正対象頂点からの距離が所定の探索対象距離以下である補正軸上の区間として探索対象区間を設定する処理を行う。この処理を、図37を参照しながら、具体的に説明しよう。この図37において、中央に黒丸で示されている点Pξは補正対象頂点であり、一点鎖線で示されている軸Aξは、当該補正対象頂点Pξについての補正軸である。たとえば、図36に示す例において、第1端点Pv1が補正対象頂点Pξになった場合、中心軸Vが補正軸Aξになる。
図37に示す例の場合、補正対象頂点Pξからの距離が所定の探索対象距離Dξ以下である補正軸Aξ上の区間として探索対象区間が設定されている。すなわち、この例の場合、白丸で示されている探索領域左端点PLと探索領域右端点PRとに挟まれた補正軸Aξ上の区間が、探索対象区間として設定されることになる。
差分演算部173は、断層画像を構成する画素のうち、探索対象区間上に位置する画素を探索対象画素として抽出し、個々の探索対象画素について補正軸Aξに沿って隣接する画素との画素値の差を求める処理を行う。図37では、探索領域左端点PLと探索領域右端点PRとに挟まれた補正軸Aξ上の探索対象区間内に、画素Q(1)〜Q(11)が配置されている例が示されている。したがって、この例の場合、これら11個の画素Q(1)〜Q(11)が探索対象画素として抽出され、補正軸Aξに沿って隣接する画素との画素値の差が求められる。
ここに示す実施例の場合、ある着目画素の画素値と、その左隣の画素の画素値との差を、当該着目画素について求められた差として取り扱うようにしている。すなわち、一般式で示せば、第i番目の着目画素Q(i)について求められる差Δ(i)は、当該着目画素Q(i)の画素値K(i)とその左に位置する隣接画素Q(i−1)の画素値K(i−1)との差として定義され、Δ(i)=|K(i)−K(i−1)|なる式で与えられる。差分演算部173は、すべての探索対象画素Q(1)〜Q(11)について、上記式に基づく差Δ(1)〜Δ(11)を求める演算を行う。
そして、新位置決定部174は、探索対象画素のうち最も大きな差が得られた画素の位置を補正対象頂点の新位置に決定する。たとえば、図37に示す例において、差分演算部173によって求められた差Δ(1)〜Δ(11)の中で、第i番目の差Δ(i)が最大値であった場合には、第i番目の探索対象画素Q(i)の位置が、補正対象頂点Pξの新位置になる。図38は、このような方法で、補正対象頂点Pξの位置を新位置Pξ′(×印で示す)に補正した状態を示している。
このような補正処理は、断層画像を解析することにより眼球の境界Cを認識し、補正対象頂点Pξを、この境界Cの位置に補正する処理に他ならない。すなわち、図38に示すとおり、第i番目の探索対象画素Q(i)について最大の差Δ(i)が得られたということは、当該画素Q(i)と隣接画素との間に境界Cが認識されたことを意味するので、補正対象頂点Pξを探索対象画素Q(i)の位置Pξ′に補正することは、境界Cの位置に補正することと同じになる。
なお、図37および図38では、説明の便宜上、補正対象頂点Pξの位置が特定の画素の位置(画素を矩形で示した場合、その中心位置)に正確に一致し、各画素が補正軸Aξに沿って配列され、探索対象距離Dξが、画素の配置ピッチの5.5倍に設定された好都合な例を示したため、1行に並んだ11個の画素Q(1)〜Q(11)が探索対象画素として抽出されることになっているが、実際には、補正対象頂点Pξの位置は特定の画素の位置に正確には一致せず、補正軸Aξは画素の配列方向に対して任意の角度だけ傾斜しており、探索対象距離Dξも画素ピッチとは無関係な値に設定されるケースも決して少なくない。このようなケースでも、補正軸Aξ上に設定された探索対象区間に位置する整数個の画素を探索対象画素として抽出し、同様の処理を行えば、多少の誤差が生じたとしても、実用上支障のない補正が可能である。
このような頂点位置の補正処理は、すべての頂点について行うようにしてもよいし、オペレータが選択した特定の頂点のみについて行うようにしてもよい。また、§4で述べた実施例の場合、修正処理を行う際に第1端点Pv1と第2端点Pv2とは連動して中心軸Vに沿って移動し、両者は、常に眼軸Aに関して線対称となる位置に配置されることを説明したが、ここで述べる補正処理を行うに際して、両者の対称性は不問としている。すなわち、頂点位置補正部170による補正処理を施した後は、第1端点Pv1と第2端点Pv2との眼軸Aに関する対称性は必ずしも維持されないことになる。これは、あくまでも輪郭C上への位置補正を、対称性維持よりも優先する対応を行うためである。
<<< §6. 本発明の第3の実施形態の基本構成 >>>
続いて、更なる変形例として第3の実施形態を述べる。この第3の実施形態は、第2の実施形態に係る画像解析装置に、更に、眼軸の傾斜補正機能を付加したものである。
図3および図4には、健常者および罹患者の一般的な眼球構造を示し、前極Fと後極Bとを結ぶ軸として眼軸Aが定義できることを示した。断層画像上でこのような眼軸Aを正しく定義するためには、当該断層画像自身が眼軸Aを含む切断面になっている必要がある。たとえば、図1に示すサジタル像や図2に示すアキシャル像は、眼球を含む断層画像になっており、眼軸は、通常、この断層画像面内に含まれることになる。これは、一般的なMRIやCT撮影装置では、撮影対象となる被験者は、頭部が鉛直上方を向く姿勢で寝かされ、真上を見上げる状態で撮影が行われるためである。
図39は、一般的なMRI撮影装置における理想的な撮影態様を示す斜視図である。ここでは、説明の便宜上、図示の方向にX軸、Y軸、Z軸をとったXYZ三次元座標系を定義する。通常、被験者300は、図示のとおり、水平面310(XY平面)に鉛直上方を向く姿勢で寝かされ、真上を見上げる状態で撮影が行われる。したがって、被験者300が鉛直上方を注視していれば、眼軸は鉛直方向を向くことになる。
ここでは、説明の便宜上、眼軸方向を示すために、図示のような眼軸方向ベクトルA1を定義する。この眼軸方向ベクトルA1は、被験者の視線方向を示すベクトルにほぼ一致する。前述したとおり、病理学上の眼軸は生体組織の構造に基づいて決定されるため、光学的な光軸に正確に一致するものではないが、実用上は、ほぼ同じものと考えて差し支えない。したがって、被験者が真上を注視していれば、眼軸方向ベクトルA1は鉛直上方を向くことになる。
次に、図示のようなアキシャル像投影面320およびサジタル像投影面330を定義する。アキシャル像は、被験者300をXZ平面に平行な面で切断して得られる体軸断面像であるが、ここでは、当該体軸断面像をXZ平面に正射影投影し、アキシャル像投影面320上にアキシャル像が得られたものとしよう。この場合、眼球のアキシャル像は、図示のとおり、XZ平面まで平行移動した眼球の断面になり、眼軸方向ベクトルA1の投影像として眼軸方向ベクトルA2が得られる。
一方、サジタル像は、被験者300をYZ平面に平行な面で切断して得られる矢状断面像であるが、ここでは、当該矢状断面像をYZ平面に正射影投影し、サジタル像投影面330上にサジタル像が得られたものとしよう。この場合、眼球のサジタル像は、図示のとおり、YZ平面まで平行移動した眼球の断面になり、眼軸方向ベクトルA1の投影像として眼軸方向ベクトルA3が得られる。
もし、被験者が真上を注視しており、眼軸方向ベクトルA1が鉛直上方を向いていれば、眼軸方向ベクトルA1,A2,A3は、いずれもZ軸に平行なベクトルになり、その長さは等しくなる。別言すれば、アキシャル像投影面320上に得られたアキシャル像に基づいて決定した眼軸長や、サジタル像投影面330上に得られたサジタル像に基づいて決定した眼軸長は、本来の眼球の眼軸長を正しく反映したものになる。
これに対して、図40は、被験者が斜め方向を注視している特異な撮影態様を示す斜視図である。この場合、眼軸方向ベクトルA4は斜め方向を向くことになるので、アキシャル像投影面320に形成されるアキシャル像上の眼軸方向ベクトルA5や、サジタル像投影面330に形成されるサジタル像上の眼軸方向ベクトルA6も斜め方向を向くことになり、Z軸に平行なベクトルにはならない。したがって、アキシャル像投影面320上に得られたアキシャル像に基づいて決定した眼軸長や、サジタル像投影面330上に得られたサジタル像に基づいて決定した眼軸長は、本来の眼球の眼軸長に比べて短くなってしまう。
このような幾何学的な考察によれば、図40に示すような特異な撮影態様で撮影された断層画像に基づく解析結果には、誤差が含まれていることがわかる。具体的には、図21に示す4つのパラメータのうち、眼軸長Da、後端先鋭度φ、中心軸長Dvについては、本来の値よりも小さな値が算出されることになる(非対称度Rは、面積比として算出されるので影響を受けない)。
もちろん、通常の撮影態様は、ほぼ図39に示すものに近くなるので、算出されたパラメータに大きな誤差は生じないが、より正確なパラメータ値を得るためには、何らかの補正が必要である。また、図11に例示するように、被験者に意図的に眼球を動かしてもらいながら撮影を行った動画から、フレーム単位の断層画像を取り出して解析を行う場合には、上述した幾何学的な誤差が無視できなくなる。ここで述べる第3の実施形態は、このような誤差を補正するための付加機能を備えた画像解析装置を提案するものである。
図41は、この第3の実施形態に係る画像解析装置100Bの基本構成を示すブロック図である。図示の画像解析装置100Bは、図34に示す第2の実施形態に係る画像解析装置100Aに、更に、傾斜補正部180を付加したものであり、その他の構成要素については変わりはない。そこで、以下、この傾斜補正部180の機能を説明する。なお、図12に示す第1の実施形態に係る画像解析装置100に傾斜補正部180を付加する構成にすることも可能であり、そのような構成を採用する場合には、頂点位置補正部170は不要である。
傾斜補正部180は、図40に示すような特異な撮影態様で撮影された断層画像に基づく解析結果に含まれる誤差、すなわち、撮影時の眼軸の傾斜に起因して生じる誤差を補正する処理を行う構成要素である。実際には、この傾斜補正部180も、他の構成要素と同様に、コンピュータにプログラムを組み込むことによって実現される。
この傾斜補正部180による補正を行うには、互いに直交する断面に関する一対の断層画像が必要である。そこで、この画像解析装置100Bにおける断層画像入力部110は、同一の被験者頭部について同時撮影することにより得られた、互いに直交する断面に関する第1の断層画像および第2の断層画像を、水平軸および鉛直軸を示す情報とともに入力する機能を有している。実用上は、第1の断層画像および第2の断層画像として、アキシャル像およびサジタル像を用いればよい。
ここでは、図40に示す例のように、アキシャル像投影面320上に得られたアキシャル像(たとえば、図2に示す画像)とサジタル像投影面330上に得られたサジタル像(たとえば、図1に示す画像)とが、同一の被験者頭部について同時撮影され、これら一対の断層画像が断層画像入力部110によって取り込まれたものとしよう。こうして取り込まれた断層画像には、撮影時の水平軸(X軸もしくはY軸)および鉛直軸(Z軸)を示す情報が含まれている。現実的には、アキシャル像とサジタル像の2種類の断面像を同時に取得することは不可能であるため、アキシャル像を体軸方向に微小ステップ間隔で連続撮像する3次元ボリューム撮影を行い、取得されたボクセル画像より、計算によりサジタル像を算出する方法をとる。これにより、擬似的に同時期に撮像されたアキシャル像およびサジタル像を取得できる。
たとえば、図1に示すサジタル像の場合、画像の上下方向は水平軸(Y軸)を示しており、画像の左右方向は鉛直軸(Z軸)を示している。同様に、図2に示すアキシャル像の場合、画像の上下方向は鉛直軸(Z軸)を示しており、画像の左右方向は水平軸(X軸)を示している。別言すれば、矩形状の断層画像の輪郭線を構成する4辺が、撮影時の水平軸および鉛直軸を示していることになる。
続いて、傾斜補正部180による傾斜補正処理の基本原理を図42を参照しながら説明する。図42(a) は、図40に示すような特異な撮影態様でアキシャル像投影面320上に得られたアキシャル像上でのフィッティング作業が完了した判定用多角形を示し、図42(b) は、同撮影態様でサジタル像投影面330上に得られたサジタル像上でのフィッティング作業が完了した判定用多角形を示す。いずれも、同一の被験者頭部について同時撮影された同一の眼球の断層画像上で定義された判定用多角形である。
上述したように、図40に示す特異な撮影態様では、撮影時の被験者の視線方向が斜めを向いているため、いずれの画像上でも、判定用多角形に基づいて抽出された眼軸Aは傾斜している。たとえば、図42(a) に示すアキシャル像上の判定用多角形の場合、眼軸Aは鉛直軸G(Z軸に平行な軸)に対して傾斜角αをなす。同様に、図42(b) に示すサジタル像上の判定用多角形の場合、眼軸Aは鉛直軸G(Z軸に平行な軸)に対して傾斜角βをなす。このため、これらの断層画像上で定義された判定用多角形の眼軸Aの長さDaおよび中心軸Vの長さDvは、実際の寸法よりも短くなり、後極先鋭度φの大きさは、実際の角度よりも小さくなる。
このように、これらの断層画像に基づいて算出されたパラメータDa,Dv,φは、眼軸Aの傾斜に起因する誤差を含んだものになるが、当該誤差は、相互に情報を交換し合うことにより補正が可能である。
図40を見ればわかるとおり、アキシャル像投影面320上に得られた眼軸方向ベクトルA5は、実際の眼軸方向ベクトルA4のX軸方向に関する傾斜の情報を有している。図42(a) に示す眼軸Aは、この眼軸方向ベクトルA5に対応するものであり、眼軸傾斜角αは、実際の眼軸方向ベクトルA4のX軸方向に関する傾斜度を示している。したがって、このアキシャル像投影面320上のアキシャル像から得られた眼軸傾斜角αを利用して、サジタル像投影面330上のサジタル像から得られたパラメータDa,Dv,φに対する傾斜補正を行うことができる。すなわち、サジタル像上の各部の寸法は、実際の寸法のcosα倍に縮小されていることになるので、サジタル像から得られたパラメータDa,Dv,φに対しては、1/cosαを乗ずる補正を行えばよい。
同様に、サジタル像投影面330上に得られた眼軸方向ベクトルA6は、実際の眼軸方向ベクトルA4のY軸方向に関する傾斜の情報を有している。図42(b) に示す眼軸Aは、この眼軸方向ベクトルA6に対応するものであり、眼軸傾斜角βは、実際の眼軸方向ベクトルA4のY軸方向に関する傾斜度を示している。したがって、このサジタル像投影面330上のサジタル像から得られた眼軸傾斜角βを利用して、アキシャル像投影面320上のアキシャル像から得られたパラメータDa,Dv,φに対する傾斜補正を行うことができる。すなわち、アキシャル像上の各部の寸法は、実際の寸法のcosβ倍に縮小されていることになるので、アキシャル像から得られたパラメータDa,Dv,φに対しては、1/cosβを乗ずる補正を行えばよい。
なお、図42(a) および(b) に示す例では、いずれも眼軸Aと鉛直軸Gとのなす角度を眼軸傾斜角αもしくはβと定義しているが、眼軸Aの傾斜状態によっては、鉛直軸Gの代わりに、水平軸Hとのなす角度を眼軸傾斜角αもしくはβと定義するようにする。すなわち、ここで行う補正では、0°≦α≦45°、0°≦β≦45°を前提としており、眼軸傾斜角αやβは、眼軸Aと鉛直軸Gとのなす角度および眼軸Aと水平軸Hとのなす角度のうち、いずれか小さい方の角度と定義している。
この第3の実施形態に係る画像解析装置を利用した解析手順は、次のようになる。まず、断層画像入力部110によって、同一の被験者頭部について同時撮影することにより得られた同一の眼球についての、互いに直交する断面に関する第1の断層画像(たとえば、アキシャル像)および第2の断層画像(たとえば、サジタル像)を、鉛直軸および水平軸を示す情報とともに入力する。そして、多角形定義部140を用いて、各断層画像について、それぞれ判定用多角形を眼球領域にフィットさせる修正作業を行い、必要に応じて、頂点位置補正部170による頂点位置補正処理を行う。その結果、たとえば、図42(a) ,(b) に示すように、最終的な判定用多角形が定義される。
ここで、判定情報抽出部150に対して判定指示を与えると、最終的に定義された判定用多角形に基づいて、それぞれパラメータDa,Dv,φ,Rが抽出されることになるが、その際に、パラメータDa,Dv,φに対して傾斜補正部180による補正処理が実行されることになる。具体的には、各断層画像について、眼軸Aと鉛直軸Gとのなす角度および眼軸Aと水平軸Hとのなす角度のうちのいずれか小さい方の角度が眼軸傾斜角として求められる。そして、第1の断層画像についての眼軸傾斜角をα、第2の断層画像についての眼軸傾斜角をβとしたときに、第1の断層画像に基づいて抽出された後極先鋭度φ、中心軸長Dv、眼軸長Daに対しては、1/cosβを乗ずる補正を行い、第2の断層画像に基づいて抽出された後極先鋭度φ、中心軸長Dv、眼軸長Daに対しては、1/cosαを乗ずる補正が行われる。
そして、判定情報抽出部150は、眼球の形態異常判定に用いる最終的な情報として、傾斜補正部180による補正が行われた後の第1の断層画像から得られた値と第2の断層画像から得られた値との平均値を提示する処理を行う。これにより、撮影時の眼軸Aの傾斜に起因して生じる誤差を補正した、より正確なパラメータ値を得ることができるようになる。
もっとも、完全な傾斜補正を行うためには、理論的には、互いに直交する3種類の断面画像の情報が必要になるので、上述した傾斜補正部180による補正は、必ずしも正確なものにはならない。しかしながら、上例のように、アキシャル像とサジタル像との2種類の断面画像の情報が得られれば、実用上、十分な精度をもった補正が可能である。
なお、MRI撮影装置では、寝台面が水平になるように設置されるため、上記説明における「水平面」とは、実質的に寝台面を指し、「鉛直」とは当該寝台面に垂直な方向を指すことになる。
<<< §7. 本発明に係る画像解析方法 >>>
これまで、本発明を、眼科疾患判定用の画像解析装置として捉えて、様々な実施形態を述べてきたが、本発明は、眼科疾患判定用の画像解析方法として捉えることも可能である。ここでは、本発明を方法発明として捉えた説明を簡単に行っておく。図43は、本発明に係る画像解析方法の手順を示す流れ図である。この手順は、§6において第3の実施形態として述べた画像解析装置による解析手順に対応し、頭部の断層画像に基づいて眼球の形態異常判定に用いる情報を抽出する眼科疾患判定用の画像解析方法を示すものである。
まず、ステップS1において、コンピュータが、被験者頭部の眼球を含む二次元断層画像を入力し、この断層画像をディスプレイ画面に表示する断層画像表示段階が実行される。この段階により、ディスプレイ画面上には、たとえば、図28(a) に示すような断層画像が表示される。
続くステップS2では、コンピュータが、所定形状をもった判定用多角形を定義し、これを断層画像に重ねて表示する判定用多角形定義段階が実行される。この段階により、ディスプレイ画面上には、たとえば、図28(b) に示すように、断層画像に重ねて、初期状態の判定用多角形が表示される。
更に、ステップS3では、コンピュータが、オペレータからの修正指示に基づいて、この判定用多角形の位置および形状(向きも含む)を断層画像に重ねて表示した状態で修正する判定用多角形修正段階が実行される。この段階により、ディスプレイ画面上には、たとえば、図28(c) に示すように、断層画像上の眼球領域にフィットするような判定用多角形が表示される。
続く、ステップS4では、コンピュータが、断層画像を解析することにより眼球の境界位置を認識し、ステップS3の判定用多角形修正段階で修正した判定用多角形を構成する全頂点もしくは一部の頂点の位置を境界位置に補正する頂点位置補正段階の処理が実行される。この頂点位置補正段階の処理の詳細は、§5において第2の実施形態として述べたとおりである。この処理は、本発明を実施する上で必須の処理ではないが、§5で述べたとおり、この頂点位置補正を行うことにより、数画素の単位まで正確に頂点位置を指定することが可能になる。
次に、ステップS5において、傾斜補正用の画像取込を行うか否かに基づく分岐が行われる。傾斜補正は、§6において第3の実施形態として述べた処理であり、互いに直交する断面に関する2通りの断層画像を必要とする処理である。したがって、傾斜補正を行う場合には、ステップS1からの処理をもう1回繰り返し、傾斜補正に用いるもう1枚の画像を取り込んで同様の処理を実行することになる。
傾斜補正を行わない場合は、そのままステップS6へと進み、コンピュータが、修正もしくは補正完了後の判定用多角形に基づいて、眼球の形態異常判定に用いる情報を抽出し、これをオペレータに提示する判定情報提示段階が実行される。傾斜補正を行う場合は、ステップS1〜S4の処理が、互いに直交する断面に関する2通りの断層画像(たとえば、アキシャル像とサジタル像)についてそれぞれ実行され、ステップS6の判定情報提示段階では、§6で述べた傾斜補正が行われる。
なお、この図43に示すステップS1〜S6の処理は、いずれもコンピュータによって実行される処理であり、コンピュータが、インストールされた専用のプログラムに基づいて実行する処理ということになる。
ステップS2で定義する判定用多角形としては、眼球の前極に配置すべき前極点Pfと、眼球の後極に配置すべき後極点Pbと、眼球の後部輪郭線上の後極を挟んだ両側に配置すべき一対の参照点と、の少なくとも4点を頂点とする多角形を用いればよい。具体的な判定用多角形のバリエーションと、当該判定用多角形から眼球の形態異常判定に用いる情報として抽出されるパラメータとの関係は、§3で詳述したとおりである。
たとえば、図19に示す6角形の判定用多角形をもちいる実施例(§3−3で述べた実施例)の場合、判定用多角形定義段階S2において、前極点Pfと後極点Pbとを結ぶ眼軸Aを定義し、この眼軸A上において後極点Pbから前極点Pfに向けて予め設定された所定の標準距離Dsだけ隔たった位置に計測原点Poを定義し、この計測原点Poを通り、眼軸Aに対して所定の参照角+θをなす第1参照線Lr1および−θをなす第2参照線Lr2を定義し(但し、0°<θ<90°)、第1参照線Lr1と眼球の後部輪郭線との交点位置に配置すべき点として第1参照点Pr1を定義し、第2参照線Lr2と眼球の後部輪郭線との交点位置に配置すべき点として第2参照点Pr2を定義し、眼軸Aの中心点Pgにおいて眼軸Aに直交する中心軸Vを定義し、この中心軸Vと眼球の輪郭線との交点位置に配置すべき点として、第1端点Pv1および第2端点Pv2を定義し、Pf,Pb,Pr1,Pr2,Pv1,Pv2の6点を頂点として含む6角形を判定用多角形として定義すればよい。もちろん、更に頂点を追加して、少なくとも、Pf,Pb,Pr1,Pr2,Pv1,Pv2の6点を頂点として含むK角形(K≧6)を定義することもできる。
この場合、判定用多角形修正段階S3では、次のような方法で各頂点に対する位置修正を行うようにすればよい。
まず、前極点Pfもしくは後極点Pbに対する修正指示があった場合には、前極点Pfもしくは後極点Pbを、修正指示に応じた任意の位置に修正する修正処理を行い、修正処理後の前極点Pfおよび後極点Pbを用いて、眼軸A、計測原点Po、第1参照線Lr1、第2参照線Lr2、中心点Pg、中心軸Vを新たに定義し、第1参照点Pr1、第2参照点Pr2、第1端点Pv1、第2端点Pv2の位置を新たに定義する修正処理を行えばよい。
また、第1参照点Pr1もしくは第2参照点Pr2に対する修正指示があった場合には、第1参照点Pr1もしくは第2参照点Pr2を、第1参照線Lr1もしくは第2参照線Lr2上の修正指示に応じた位置に修正する修正処理を行えばよい。
そして、第1端点Pv1もしくは第2端点Pv2に対する修正指示があった場合には、第1端点Pv1もしくは第2端点Pv2を、中心軸V上の修正指示に応じた位置に修正する修正処理を行えばよい。実用上は、既に述べたとおり、第1端点Pv1および第2端点Pv2が眼軸Aに関して常に線対称となるように連動した位置修正が行われるようにするのが好ましい。
このように、少なくとも、Pf,Pb,Pr1,Pr2,Pv1,Pv2の6点を頂点として含むK角形(K≧6)を判定用多角形として定義した場合、判定情報提示段階S6では、眼軸長Da、中心軸長Dv、非対称度R、後極先鋭度φという4種類のパラメータを、眼球の形態異常判定に用いる情報として提示することができる。ここで、眼軸長Daは、前極点Pfと後極点Pbとの距離として算出されるパラメータであり、中心軸長Dvは、第1端点Pv1と第2端点Pv2との距離として算出されるパラメータであり、非対称度Rは、計測原点Po、後極点Pb、第1参照点Pr1を頂点とする第1参照三角形Tr1と、計測原点Po、後極点Pb、第2参照点Pr2を頂点とする第2参照三角形Tr2との面積比として算出されるパラメータであり、後極先鋭度φは、第1参照点Pr1、後極点Pb、第2参照点Pr2の3点によって定義される角Pr1-Pb-Pr2として算出されるパラメータである。
一方、図25に示す8角形の判定用多角形をもちいる実施例(§3−5で述べた実施例)の場合、判定用多角形定義段階S2において、前極点Pfと後極点Pbとを結ぶ眼軸Aを定義し、この眼軸A上において後極点Pbから前極点Pfに向けて予め設定された所定の標準距離Dsだけ隔たった位置に計測原点Poを定義し、計測原点Poを通り、眼軸Aに対して所定の狭域参照角+θnをなす第1狭域参照線Ln1および−θnをなす第2狭域参照線Ln2を定義し(但し、0°<θn<90°)、第1狭域参照線Ln1と眼球の後部輪郭線との交点位置に配置すべき点として第1狭域参照点Pn1を定義し、第2狭域参照線Ln2と眼球の後部輪郭線との交点位置に配置すべき点として第2狭域参照点Pn2を定義する。
更に、計測原点Poを通り、眼軸Aに対して所定の広域参照角+θwをなす第1広域参照線Lw1および−θwをなす第2広域参照線Lw2を定義し(但し、θn<θw<90°)、第1広域参照線Lw1と眼球の後部輪郭線との交点位置に配置すべき点として第1広域参照点Pw1を定義し、第2広域参照線Lw2と眼球の後部輪郭線との交点位置に配置すべき点として第2広域参照点Pw2を定義し、眼軸Aの中心点Pgにおいて眼軸Aに直交する中心軸Vを定義し、この中心軸Vと眼球の輪郭線との交点位置に配置すべき点として、第1端点Pv1および第2端点Pv2を定義する。
そして、Pf,Pb,Pn1,Pn2,Pw1,Pw2,Pv1,Pv2の8点を頂点として含む8角形を判定用多角形として定義すればよい。もちろん、更に頂点を追加して、少なくとも、Pf,Pb,Pn1,Pn2,Pw1,Pw2,Pv1,Pv2の8点を頂点として含むK角形(K≧8)を定義することもできる。
この場合、判定用多角形修正段階S3では、次のような方法で各頂点に対する位置修正を行うようにすればよい。
まず、前極点Pfもしくは後極点Pbに対する修正指示があった場合には、前極点Pfもしくは後極点Pbを、修正指示に応じた任意の位置に修正する修正処理を行い、修正処理後の前極点Pfおよび後極点Pbを用いて、眼軸A、計測原点Po、第1狭域参照線Ln1、第2狭域参照線Ln2、第1広域参照線Lw1、第2広域参照線Lw2、中心点Pg、中心軸Vを新たに定義し、第1狭域参照点Pn1、第2狭域参照点Pn2、第1広域参照点Pw1、第2広域参照点Pw2、第1端点Pv1、第2端点Pv2の位置を新たに定義する修正処理を行えばよい。
第1狭域参照点Pn1もしくは第2狭域参照点Pn2に対する修正指示があった場合には、第1狭域参照点Pn1もしくは第2狭域参照点Pn2を、第1狭域参照線Ln1もしくは第2狭域参照線Ln2上の修正指示に応じた位置に修正する修正処理を行えばよい。
第1広域参照点Pw1もしくは第2広域参照点Pw2に対する修正指示があった場合には、第1広域参照点Pw1もしくは第2広域参照点Pw2を、第1広域参照線Lw1もしくは第2広域参照線Lw2上の修正指示に応じた位置に修正する修正処理を行えばよい。
そして、第1端点Pv1もしくは第2端点Pv2に対する修正指示があった場合には、第1端点Pv1もしくは第2端点Pv2を、中心軸V上の修正指示に応じた位置に修正する修正処理を行えばよい。実用上は、既に述べたとおり、第1端点Pv1および第2端点Pv2が眼軸Aに関して常に線対称となるように連動した位置修正が行われるようにするのが好ましい。
このように、少なくとも、Pf,Pb,Pn1,Pn2,Pw1,Pw2,Pv1,Pv2の8点を頂点として含むK角形(K≧8)を判定用多角形として定義した場合、判定情報提示段階S6では、眼軸長Da、中心軸長Dv、非対称度R、後極先鋭度φという4種類のパラメータを、眼球の形態異常判定に用いる情報として提示することができる。ここで、眼軸長Daは、前極点Pfと後極点Pbとの距離として算出されるパラメータであり、中心軸長Dvは、第1端点Pv1と第2端点Pv2との距離として算出されるパラメータであり、後極先鋭度φは、第1狭域参照点Pn1、後極点Pb、第2狭域参照点Pn2の3点によって定義される角Pn1-Pb-Pn2として算出されるパラメータである。
一方、この8角形を用いる実施例の場合、非対称度Rは、実際には、狭域非対称度Rnと広域非対称度Rwという2つのパラメータによって構成される。狭域非対称度Rnは、計測原点Po、後極点Pb、第1狭域参照点Pn1を頂点とする第1狭域参照三角形Tn1と、計測原点Po、後極点Pb、第2狭域参照点Pn2を頂点とする第2狭域参照三角形Tn2との面積比として算出されるパラメータであり、広域非対称度Rwは、計測原点Po、後極点Pb、第1広域参照点Pw1を頂点とする第1広域参照三角形Tw1と、計測原点Po、後極点Pb、第2広域参照点Pw2を頂点とする第2広域参照三角形Tw2との面積比として算出されるパラメータである。
判定情報提示段階S6では、狭域非対称度Rnおよび広域非対称度Rwのいずれか一方だけを非対称度Rの代表値として提示してもよいし、双方をそれぞれ提示してもよい。あるいは、両者の平均を非対称度Rの代表値として提示してもよい。この2通りの非対称度Rn,Rwについての取扱いの詳細は、既に図24の表を参照して説明したとおりである。
傾斜補正を行う場合は、ステップS1〜S4の処理が、互いに直交する断面に関する2通りの断層画像について実行される。すなわち、断層画像表示段階S1では、同一の被験者頭部について同時撮影することにより得られた同一の眼球についての、互いに直交する断面に関する第1の断層画像(たとえば、アキシャル像)および第2の断層画像(たとえば、サジタル像)が、鉛直軸および水平軸を示す情報とともに入力される。
そして、判定情報提示段階S6では、各断層画像について、それぞれ眼軸Aと鉛直軸Gとのなす角度および眼軸Aと水平軸とのなす角度のうちのいずれか小さい方の角度を眼軸傾斜角として求め、第1の断層画像についての眼軸傾斜角をα、第2の断層画像についての眼軸傾斜角をβとしたときに、第1の断層画像に基づいて抽出された後極先鋭度φ、中心軸長Dv、眼軸長Daに対しては、1/cosβを乗ずる補正を行い、第2の断層画像に基づいて抽出された後極先鋭度φ、中心軸長Dv、眼軸長Daに対しては、1/cosαを乗ずる補正を行う傾斜補正処理が行われる。
<<< §8. 具体的な画像解析例 >>>
最後に、本発明に係る眼科疾患判定用の画像解析装置を用いて、実際に行った画像解析の実例を、図44〜図48に提示しておく。ここに示す例は、いずれも§3−5で説明した8角形を判定用多角形として用いた実施例による解析例であり、何らかの眼科疾患を罹患している患者の断層画像上に、8角形からなる判定用多角形をフィットさせる修正作業を完了した状態のディスプレイ画面を示すものである。
まず、図44(a) は、高解像度サジタル像上で判定用多角形をフィットさせた実例を示し、図44(b) は、低解像度サジタル像上で判定用多角形をフィットさせた実例を示す。専門の眼科医が修正作業を行えば、低解像度の画像を用いても的確な位置に判定用多角形の各頂点を配置することができ、正確なパラメータ値を得ることができる。
同様に、図45(a) は、高解像度アキシャル像上で判定用多角形をフィットさせた実例を示し、図45(b) は、低解像度アキシャル像上で判定用多角形をフィットさせた実例を示す。図示のようなアキシャル像の場合、左眼と右眼とを同一画面上に表示させた状態で、2組の判定用多角形を重ねて表示し、左右両眼について判定用多角形をフィットさせる修正処理を同一画面上で進めることができる。
また、図46(a) ,(b) ,(c) は、左眼の動きを動画として撮影したサジタル像の代表フレームについて判定用多角形をフィットさせた実例を示し、図47(a) ,(b) ,(c) は、右眼の動きを動画として撮影したサジタル像の代表フレームについて判定用多角形をフィットさせた実例を示す。眼球の上下の動きを捉えた動画から取り出したフレーム画像を用いているため、かなり低い解像度をもった画像になる。一方、図48(a) ,(b) ,(c) は、両眼の動きを動画として撮影したアキシャル像の代表フレームについて判定用多角形をフィットさせた実例を示す。眼球の左右の動きを捉えた動画から取り出したフレーム画像を用いているため、やはりかなり低い解像度をもった画像になる。
このように、動画を構成する低解像度のフレーム画像を用いた場合でも、専門の眼科医が修正作業を行えば、正確な位置に判定用多角形の各頂点を配置することができ、実用上、十分なパラメータ値を得ることができる。眼科疾患によっては、眼球の動きによって眼球組織の変性態様に変化が生じるものもあるので、動画に基づく解析を行うことによって、更に有用な情報を得ることが期待できる。
10:眼球(健常者)
11:眼球本体部
12:角膜
13:虹彩
14:水晶体
20:眼球(眼科疾患の罹患者)
21:眼球本体部
22:角膜
23:虹彩
14:水晶体
100,100A,100B:画像解析装置
110:断層画像入力部
111:画像取込部
112:解像度調整部
113:トリミング処理部
120:指示入力部
130:断層画像表示部
140:多角形定義部
150:判定情報抽出部
160:ディスプレイ装置
170:頂点位置補正部
171:補正軸決定部
172:探索対象区間設定部
173:差分演算部
174:新位置決定部
180:傾斜補正部
200:オペレータからの指示
210:断層画像
220:断層画像(トリミング済)
230:断層画像(説明用:眼球領域内部をハッチング表示)
231:眼球領域
241:判定用多角形(初期状態)
242:判定用多角形(修正後)
251,252:眼球領域
261,262:判定用多角形
271〜279:判定用多角形
280:断層画像(説明用:眼球領域内部をハッチング表示)
281:眼球領域
291:判定用多角形(初期状態)
292:判定用多角形(修正後)
300:被験者
310:水平面(XY平面)
320:アキシャル像投影面(XZ平面)
330:サジタル像投影面(YZ平面)
A,A′:眼軸
A1〜A6:眼軸方向ベクトル
Aξ:補正軸
a1〜a4:修正指示の方向を示す矢印
B:後極
C:眼球の輪郭
Da:眼軸長
Ds:標準距離
Dv:中心軸長
Dξ:探索対象距離
F:前極
G:鉛直軸
H:水平軸
K(i−1),K(i):画素値
L1,L2:参照線
Ln1:第1狭域参照線
Ln2:第2狭域参照線
Lr1:第1参照線
Lr2:第2参照線
Lw1:第1広域参照線
Lw2:第2広域参照線
O:座標系の原点
P1,P2:多角形の頂点
Pb:後極点
Pf,Pf′:前極点
Pg,Pg′:中心点
Pi:修正指示点
PL:探索領域左端点
Pn1,Pn1′:第1狭域参照点
Pn2,Pn2′:第2狭域参照点
Po,Po′:計測原点
PR:探索領域右端点
Pr1:第1参照点
Pr2:第2参照点
Pv1,Pv1′:第1端点
Pv2,Pv2′:第2端点
Pw1,Pw1′:第1広域参照点
Pw2,Pw2′:第2広域参照点
Px:修正位置
Pξ:補正対象頂点
Pξ′:補正頂点
Q(1),Q(i−1),Q(i),Q(11):画素
R:非対称度
Rn:狭域非対称度
Rw:広域非対称度
S1〜S6:流れ図の各ステップ
Sb:下側の参照三角形の面積
Se:耳側の参照三角形の面積
Sn:鼻側の参照三角形の面積
St:上側の参照三角形の面積
T1,T2:参照三角形
Tn1:第1狭域参照三角形
Tn2:第2狭域参照三角形
Tr1:第1参照三角形
Tr2:第2参照三角形
Tw1:第1広域参照三角形
Tw2:第2広域参照三角形
V,V′:中心軸
X:三次元座標系の座標軸
Y:三次元座標系の座標軸
Z:三次元座標系の座標軸
α:第1の断層画像の眼軸傾斜角
β:第2の断層画像の眼軸傾斜角
Δ(i):画素値の差
θ:参照角
θn:狭域参照角
θw:広域参照角
φ:判定用多角形の内角(後極先鋭度)
ω:判定用多角形の内角

Claims (36)

  1. 頭部の断層画像に基づいて眼球の形態異常判定に用いる情報を抽出する眼科疾患判定用の画像解析装置であって、
    オペレータからの指示を入力する指示入力部と、
    オペレータに対して情報提示を行うディスプレイ装置と、
    被験者頭部の眼球を含む二次元断層画像を入力する断層画像入力部と、
    オペレータからの表示指示に基づいて、前記ディスプレイ装置の画面に前記断層画像を表示する断層画像表示部と、
    所定形状をもった判定用多角形を定義し、これを前記ディスプレイ装置の画面に前記断層画像に重ねて表示する処理を行い、オペレータからの修正指示に基づいて、前記判定用多角形の位置および形状を修正する多角形定義部と、
    オペレータからの判定指示があったときに、その時点で定義されている前記判定用多角形に基づいて、眼球の形態異常判定に用いる情報を抽出し、これをオペレータに提示する判定情報抽出部と、
    を備えることを特徴とする眼科疾患判定用の画像解析装置。
  2. 請求項1に記載の画像解析装置において、
    多角形定義部が、眼球の前極に配置すべき前極点Pfと、眼球の後極に配置すべき後極点Pbと、眼球の後部輪郭線上の前記後極を挟んだ両側に配置すべき一対の参照点と、の少なくとも4点を頂点とする多角形を定義することを特徴とする眼科疾患判定用の画像解析装置。
  3. 請求項2に記載の画像解析装置において、
    多角形定義部が、前極点Pfと後極点Pbとを結ぶ眼軸Aを定義し、この眼軸A上において前記後極点Pbから前記前極点Pfに向けて予め設定された所定の標準距離Dsだけ隔たった位置に計測原点Poを定義し、この計測原点Poを通り、前記眼軸Aに対して所定の参照角+θをなす第1参照線Lr1および−θをなす第2参照線Lr2を定義し(但し、0°<θ<90°)、前記第1参照線Lr1と眼球の後部輪郭線との交点位置に配置すべき点として第1参照点Pr1を定義し、前記第2参照線Lr2と眼球の後部輪郭線との交点位置に配置すべき点として第2参照点Pr2を定義し、少なくとも、Pf,Pb,Pr1,Pr2の4点を頂点として含むK角形(K≧4)を定義することを特徴とする眼科疾患判定用の画像解析装置。
  4. 請求項3に記載の画像解析装置において、
    指示入力部が、現在定義されている判定用多角形の任意の1頂点を修正対象として指定するとともに、当該修正対象の位置修正に利用する修正指示点の位置を指定するオペレータからの指示を入力し、
    多角形定義部が、
    前極点Pfが修正対象として指定された場合には、前記修正指示点の位置を前極点Pfの新位置とする位置修正を行い、後極点Pbの位置を固定した状態で、眼軸A、計測原点Po、第1参照点Pr1、第2参照点Pr2の位置修正を行って、新たな判定用多角形を定義する処理を行い、
    後極点Pbが修正対象として指定された場合には、前記修正指示点の位置を後極点Pbの新位置とする位置修正を行い、前極点Pfの位置を固定した状態で、眼軸A、計測原点Po、第1参照点Pr1、第2参照点Pr2の位置修正を行って、新たな判定用多角形を定義する処理を行い、
    第1参照点Pr1が修正対象として指定された場合には、前記修正指示点の位置に応じた移動方向に、前記修正指示点の位置に応じた距離だけ、第1参照点Pr1を第1参照線Lr1に沿って移動させた位置を第1参照点Pr1の新位置とする位置修正を行って、新たな判定用多角形を定義する処理を行い、
    第2参照点Pr2が修正対象として指定された場合には、前記修正指示点の位置に応じた移動方向に、前記修正指示点の位置に応じた距離だけ、第2参照点Pr2を第2参照線Lr2に沿って移動させた位置を第2参照点Pr2の新位置とする位置修正を行って、新たな判定用多角形を定義する処理を行うことを特徴とする眼科疾患判定用の画像解析装置。
  5. 請求項3または4に記載の画像解析装置において、
    判定情報抽出部が、計測原点Po、後極点Pb、第1参照点Pr1を頂点とする第1参照三角形Tr1と、計測原点Po、後極点Pb、第2参照点Pr2を頂点とする第2参照三角形Tr2との面積比を非対称度Rとして算出し、この非対称度Rを眼球の形態異常判定に用いる情報として提示することを特徴とする眼科疾患判定用の画像解析装置。
  6. 請求項5に記載の画像解析装置において、
    断層画像入力部が、断層画像としてアキシャル像を入力する際には耳側/鼻側を区別する情報を、サジタル像を入力する際には上側/下側を区別する情報を入力する機能を更に有し、
    判定情報抽出部が、アキシャル像については、耳側の参照三角形の面積をSe、鼻側の参照三角形の面積をSnとしたときに、非対称度RをR=Se/SnもしくはR=Sn/Seなる式に基づいて算出し、サジタル像については、上側の参照三角形の面積をSt、下側の参照三角形の面積をSbとしたときに、非対称度RをR=St/SbもしくはR=Sb/Stなる式に基づいて算出することを特徴とする眼科疾患判定用の画像解析装置。
  7. 請求項3〜6のいずれかに記載の画像解析装置において、
    判定情報抽出部が、第1参照点Pr1、後極点Pb、第2参照点Pr2の3点によって定義される内角Pr1-Pb-Pr2を後極先鋭度φとして算出し、この後極先鋭度φを眼球の形態異常判定に用いる情報として提示することを特徴とする眼科疾患判定用の画像解析装置。
  8. 請求項3〜7のいずれかに記載の画像解析装置において、
    多角形定義部が、眼軸Aの中心点Pgにおいて眼軸Aに直交する中心軸Vを定義し、この中心軸Vと眼球の輪郭線との交点位置に配置すべき点として、第1端点Pv1および第2端点Pv2を定義し、Pf,Pb,Pr1,Pr2,Pv1,Pv2の6点を頂点として含む6角形を定義し、
    判定情報抽出部が、前記第1端点Pv1と前記第2端点Pv2との距離を中心軸長Dvとして算出し、この中心軸長Dvを眼球の形態異常判定に用いる情報として提示することを特徴とする眼科疾患判定用の画像解析装置。
  9. 請求項8に記載の画像解析装置において、
    指示入力部が、現在定義されている判定用多角形の任意の1頂点を修正対象として指定するとともに、当該修正対象の位置修正に利用する修正指示点の位置を指定するオペレータからの指示を入力し、
    多角形定義部が、
    第1端点Pv1が修正対象として指定された場合には、前記修正指示点の位置に応じた移動方向に、前記修正指示点の位置に応じた距離だけ、第1端点Pv1を中心軸Vに沿って眼軸Aを越えない範囲で移動させた位置を第1端点Pv1の新位置とする位置修正を行って、新たな判定用多角形を定義する処理を行い、
    第2端点Pv2が修正対象として指定された場合には、前記修正指示点の位置に応じた移動方向に、前記修正指示点の位置に応じた距離だけ、第2端点Pv2を中心軸Vに沿って眼軸Aを越えない範囲で移動させた位置を第2端点Pv2の新位置とする位置修正を行って、新たな判定用多角形を定義する処理を行うことを特徴とする眼科疾患判定用の画像解析装置。
  10. 請求項9に記載の画像解析装置において、
    多角形定義部が、第1端点Pv1および第2端点Pv2のいずれか一方が修正対象として指定された場合に、当該一方の新位置について眼軸Aに関して線対称となる位置に他方の位置を自動修正する処理を行い、第1端点Pv1および第2端点Pv2が眼軸Aに関して常に線対称となるように連動した位置修正が行われることを特徴とする眼科疾患判定用の画像解析装置。
  11. 請求項2に記載の画像解析装置において、
    多角形定義部が、
    前極点Pfと後極点Pbとを結ぶ眼軸Aを定義し、この眼軸A上において前記後極点Pbから前記前極点Pfに向けて予め設定された所定の標準距離Dsだけ隔たった位置に計測原点Poを定義し、
    前記計測原点Poを通り、前記眼軸Aに対して所定の狭域参照角+θnをなす第1狭域参照線Ln1および−θnをなす第2狭域参照線Ln2を定義し(但し、0°<θn<90°)、前記第1狭域参照線Ln1と眼球の後部輪郭線との交点位置に配置すべき点として第1狭域参照点Pn1を定義し、前記第2狭域参照線Ln2と眼球の後部輪郭線との交点位置に配置すべき点として第2狭域参照点Pn2を定義し、
    前記計測原点Poを通り、前記眼軸Aに対して所定の広域参照角+θwをなす第1広域参照線Lw1および−θwをなす第2広域参照線Lw2を定義し(但し、θn<θw<90°)、前記第1広域参照線Lw1と眼球の後部輪郭線との交点位置に配置すべき点として第1広域参照点Pw1を定義し、前記第2広域参照線Lw2と眼球の後部輪郭線との交点位置に配置すべき点として第2広域参照点Pw2を定義し、
    少なくとも、Pf,Pb,Pn1,Pn2,Pw1,Pw2の6点を頂点として含むK角形(K≧6)を定義することを特徴とする眼科疾患判定用の画像解析装置。
  12. 請求項11に記載の画像解析装置において、
    指示入力部が、現在定義されている判定用多角形の任意の1頂点を修正対象として指定するとともに、当該修正対象の位置修正に利用する修正指示点の位置を指定するオペレータからの指示を入力し、
    多角形定義部が、
    前極点Pfが修正対象として指定された場合には、前記修正指示点の位置を前極点Pfの新位置とする位置修正を行い、後極点Pbの位置を固定した状態で、眼軸A、計測原点Po、第1狭域参照点Pn1、第2狭域参照点Pn2、第1広域参照点Pw1、第2広域参照点Pw2の位置修正を行って、新たな判定用多角形を定義する処理を行い、
    後極点Pbが修正対象として指定された場合には、前記修正指示点の位置を後極点Pbの新位置とする位置修正を行い、前極点Pfの位置を固定した状態で、眼軸A、計測原点Po、第1狭域参照点Pn1、第2狭域参照点Pn2、第1広域参照点Pw1、第2広域参照点Pw2の位置修正を行って、新たな判定用多角形を定義する処理を行い、
    第1狭域参照点Pn1が修正対象として指定された場合には、前記修正指示点の位置に応じた移動方向に、前記修正指示点の位置に応じた距離だけ、第1狭域参照点Pn1を第1狭域参照線Ln1に沿って移動させた位置を第1狭域参照点Pn1の新位置とする位置修正を行って、新たな判定用多角形を定義する処理を行い、
    第2狭域参照点Pn2が修正対象として指定された場合には、前記修正指示点の位置に応じた移動方向に、前記修正指示点の位置に応じた距離だけ、第2狭域参照点Pn2を第2狭域参照線Ln2に沿って移動させた位置を第2狭域参照点Pn2の新位置とする位置修正を行って、新たな判定用多角形を定義する処理を行い、
    第1広域参照点Pw1が修正対象として指定された場合には、前記修正指示点の位置に応じた移動方向に、前記修正指示点の位置に応じた距離だけ、第1広域参照点Pw1を第1広域参照線Lw1に沿って移動させた位置を第1広域参照点Pw1の新位置とする位置修正を行って、新たな判定用多角形を定義する処理を行い、
    第2広域参照点Pw2が修正対象として指定された場合には、前記修正指示点の位置に応じた移動方向に、前記修正指示点の位置に応じた距離だけ、第2広域参照点Pw2を第2広域参照線Lw2に沿って移動させた位置を第2広域参照点Pw2の新位置とする位置修正を行って、新たな判定用多角形を定義する処理を行うことを特徴とする眼科疾患判定用の画像解析装置。
  13. 請求項11または12に記載の画像解析装置において、
    判定情報抽出部が、
    計測原点Po、後極点Pb、第1狭域参照点Pn1を頂点とする第1狭域参照三角形Tn1と、計測原点Po、後極点Pb、第2狭域参照点Pn2を頂点とする第2狭域参照三角形Tn2との面積比を狭域非対称度Rnとして算出し、
    計測原点Po、後極点Pb、第1広域参照点Pw1を頂点とする第1広域参照三角形Tw1と、計測原点Po、後極点Pb、第2広域参照点Pw2を頂点とする第2広域参照三角形Tw2との面積比を広域非対称度Rwとして算出し、
    前記狭域非対称度Rnおよび前記広域非対称度Rwのいずれか一方もしくは双方またはその平均を眼球の形態異常判定に用いる情報として提示することを特徴とする眼科疾患判定用の画像解析装置。
  14. 請求項13に記載の画像解析装置において、
    判定情報抽出部が、狭域非対称度Rnおよび広域非対称度Rwのうち、値1との差の絶対値が大きい方を非対称度Rとして眼球の形態異常判定に用いる情報として提示することを特徴とする眼科疾患判定用の画像解析装置。
  15. 請求項13または14に記載の画像解析装置において、
    断層画像入力部が、断層画像としてアキシャル像を入力する際には耳側/鼻側を区別する情報を、サジタル像を入力する際には上側/下側を区別する情報を入力する機能を更に有し、
    判定情報抽出部が、アキシャル像については、耳側の参照三角形の面積をSe、鼻側の参照三角形の面積をSnとしたときに、非対称度RをR=Se/SnもしくはR=Sn/Seなる式に基づいて算出し、サジタル像については、上側の参照三角形の面積をSt、下側の参照三角形の面積をSbとしたときに、非対称度RをR=St/SbもしくはR=Sb/Stなる式に基づいて算出することを特徴とする眼科疾患判定用の画像解析装置。
  16. 請求項11〜15のいずれかに記載の画像解析装置において、
    判定情報抽出部が、第1狭域参照点Pn1、後極点Pb、第2狭域参照点Pn2の3点によって定義される内角Pn1-Pb-Pn2を後極先鋭度φとして算出し、この後極先鋭度φを眼球の形態異常判定に用いる情報として提示することを特徴とする眼科疾患判定用の画像解析装置。
  17. 請求項11〜16のいずれかに記載の画像解析装置において、
    多角形定義部が、眼軸Aの中心点Pgにおいて眼軸Aに直交する中心軸Vを定義し、この中心軸Vと眼球の輪郭線との交点位置に配置すべき点として、第1端点Pv1および第2端点Pv2を定義し、Pf,Pb,Pn1,Pn2,Pw1,Pw2,Pv1,Pv2の8点を頂点として含む8角形を定義し、
    判定情報抽出部が、前記第1端点Pv1と前記第2端点Pv2との距離を中心軸長Dvとして算出し、この中心軸長Dvを眼球の形態異常判定に用いる情報として提示することを特徴とする眼科疾患判定用の画像解析装置。
  18. 請求項17に記載の画像解析装置において、
    多角形定義部が、判定用多角形を構成する各辺とともに、眼軸A,中心軸V,第1狭域参照線Ln1,第2狭域参照線Ln2,第1広域参照線Lw1,第2広域参照線Lw2をディスプレイ装置の画面上に表示することを特徴とする眼科疾患判定用の画像解析装置。
  19. 請求項17または18に記載の画像解析装置において、
    指示入力部が、現在定義されている判定用多角形の任意の1頂点を修正対象として指定するとともに、当該修正対象の位置修正に利用する修正指示点の位置を指定するオペレータからの指示を入力し、
    多角形定義部が、
    第1端点Pv1が修正対象として指定された場合には、前記修正指示点の位置に応じた移動方向に、前記修正指示点の位置に応じた距離だけ、第1端点Pv1を中心軸Vに沿って眼軸Aを越えない範囲で移動させた位置を第1端点Pv1の新位置とする位置修正を行って、新たな判定用多角形を定義する処理を行い、
    第2端点Pv2が修正対象として指定された場合には、前記修正指示点の位置に応じた移動方向に、前記修正指示点の位置に応じた距離だけ、第2端点Pv2を中心軸Vに沿って眼軸Aを越えない範囲で移動させた位置を第2端点Pv2の新位置とする位置修正を行って、新たな判定用多角形を定義する処理を行うことを特徴とする眼科疾患判定用の画像解析装置。
  20. 請求項19に記載の画像解析装置において、
    多角形定義部が、第1端点Pv1および第2端点Pv2のいずれか一方が修正対象として指定された場合に、当該一方の新位置について眼軸Aに関して線対称となる位置に他方の位置を自動修正する処理を行い、第1端点Pv1および第2端点Pv2が眼軸Aに関して常に線対称となるように連動した位置修正が行われることを特徴とする眼科疾患判定用の画像解析装置。
  21. 請求項11〜20のいずれかに記載の画像解析装置において、
    狭域参照角θnを22.5°に設定し、広域参照角θwを45°に設定したことを特徴とする眼科疾患判定用の画像解析装置。
  22. 請求項2〜21のいずれかに記載の画像解析装置において、
    判定情報抽出部が、前極点Pfと後極点Pbとの距離を眼軸長Daとして算出し、この眼軸長Daを眼球の形態異常判定に用いる情報として提示することを特徴とする眼科疾患判定用の画像解析装置。
  23. 請求項2〜22のいずれかに記載の画像解析装置において、
    断層画像を解析することにより眼球の境界位置を認識する機能を有し、多角形定義部が定義した判定用多角形を構成する全頂点もしくは一部の頂点の位置を前記境界位置に補正する処理を行う頂点位置補正部を更に備えることを特徴とする眼科疾患判定用の画像解析装置。
  24. 請求項23に記載の画像解析装置において、
    頂点位置補正部が、
    補正対象頂点が前極点Pfもしくは後極点Pbである場合には、眼軸Aを補正軸と定め、補正対象頂点が参照点Pr1,Pr2,Pn1,Pn2,Pw1,Pw2である場合には、それぞれ参照線Lr1,Lr2,Ln1,Ln2,Lw1,Lw2を補正軸と定め、補正対象頂点が第1端点Pv1もしくは第2端点Pv2である場合には、中心軸Vを補正軸と定める補正軸決定部と、
    補正対象頂点からの距離が所定の探索対象距離以下である前記補正軸上の区間として探索対象区間を設定する探索対象区間設定部と、
    断層画像を構成する画素のうち前記探索対象区間上に位置する画素を探索対象画素として抽出し、個々の探索対象画素について前記補正軸に沿って隣接する画素との画素値の差を求める差分演算部と、
    探索対象画素のうち最も大きな差が得られた画素の位置を補正対象頂点の新位置に決定する新位置決定部と、
    を有することを特徴とする眼科疾患判定用の画像解析装置。
  25. 請求項7,8,16,17,22のいずれかに記載の画像解析装置において、
    断層画像入力部が、同一の被験者頭部について同時撮影することにより得られた同一の眼球についての、互いに直交する断面に関する第1の断層画像および第2の断層画像を、鉛直軸および水平軸を示す情報とともに入力し、
    各断層画像について、それぞれ前極点Pfと後極点Pbとを結ぶ眼軸Aと前記鉛直軸とのなす角度および前記眼軸Aと前記水平軸とのなす角度のうちのいずれか小さい方の角度を眼軸傾斜角として求め、第1の断層画像についての眼軸傾斜角をα、第2の断層画像についての眼軸傾斜角をβとしたときに、前記第1の断層画像に基づいて抽出された後極先鋭度φ、中心軸長Dv、眼軸長Daに対しては、1/cosβを乗ずる補正を行い、前記第2の断層画像に基づいて抽出された後極先鋭度φ、中心軸長Dv、眼軸長Daに対しては、1/cosαを乗ずる補正を行う傾斜補正部を更に備え、
    判定情報抽出部が、眼球の形態異常判定に用いる情報として、前記傾斜補正部による補正が行われた後の第1の断層画像から得られた値と第2の断層画像から得られた値との平均値を提示することを特徴とする眼科疾患判定用の画像解析装置。
  26. 請求項1〜25のいずれかに記載の画像解析装置において、
    断層画像入力部が、断層画像撮影装置によって撮影された撮影画像のデータを取り込む画像取込部と、前記撮影画像の解像度を調整する解像度調整部と、前記撮影画像をトリミングするトリミング処理部と、を有し、解像度調整およびトリミングが施された撮影画像が断層画像として表示されるようにすることを特徴とする眼科疾患判定用の画像解析装置。
  27. 請求項1〜26のいずれかに記載の画像解析装置としてコンピュータを機能させるプログラム。
  28. 頭部の断層画像に基づいて眼球の形態異常判定に用いる情報を抽出する眼科疾患判定用の画像解析方法であって、
    コンピュータが、被験者頭部の眼球を含む二次元断層画像を入力し、この断層画像をディスプレイ画面に表示する断層画像表示段階と、
    コンピュータが、所定形状をもった判定用多角形を定義し、これを前記断層画像に重ねて表示する判定用多角形定義段階と、
    コンピュータが、オペレータからの修正指示に基づいて、前記判定用多角形の位置および形状を前記断層画像に重ねて表示した状態で修正する判定用多角形修正段階と、
    コンピュータが、修正完了後の前記判定用多角形に基づいて、眼球の形態異常判定に用いる情報を抽出し、これをオペレータに提示する判定情報提示段階と、
    を有することを特徴とする眼科疾患判定用の画像解析方法。
  29. 請求項28に記載の画像解析方法において、
    判定用多角形として、眼球の前極に配置すべき前極点Pfと、眼球の後極に配置すべき後極点Pbと、眼球の後部輪郭線上の前記後極を挟んだ両側に配置すべき一対の参照点と、の少なくとも4点を頂点とする多角形を定義することを特徴とする眼科疾患判定用の画像解析方法。
  30. 請求項29に記載の画像解析方法において、
    判定用多角形定義段階で、前極点Pfと後極点Pbとを結ぶ眼軸Aを定義し、この眼軸A上において前記後極点Pbから前記前極点Pfに向けて予め設定された所定の標準距離Dsだけ隔たった位置に計測原点Poを定義し、この計測原点Poを通り、前記眼軸Aに対して所定の参照角+θをなす第1参照線Lr1および−θをなす第2参照線Lr2を定義し(但し、0°<θ<90°)、前記第1参照線Lr1と眼球の後部輪郭線との交点位置に配置すべき点として第1参照点Pr1を定義し、前記第2参照線Lr2と眼球の後部輪郭線との交点位置に配置すべき点として第2参照点Pr2を定義し、前記眼軸Aの中心点Pgにおいて前記眼軸Aに直交する中心軸Vを定義し、この中心軸Vと眼球の輪郭線との交点位置に配置すべき点として、第1端点Pv1および第2端点Pv2を定義し、少なくとも、Pf,Pb,Pr1,Pr2,Pv1,Pv2の6点を頂点として含むK角形(K≧6)を定義し、
    判定用多角形修正段階で、
    前記前極点Pfもしくは前記後極点Pbに対する修正指示があった場合には、前記前極点Pfもしくは前記後極点Pbを、修正指示に応じた任意の位置に修正する修正処理を行い、修正処理後の前極点Pfおよび後極点Pbを用いて、眼軸A、計測原点Po、第1参照線Lr1、第2参照線Lr2、中心点Pg、中心軸Vを新たに定義し、第1参照点Pr1、第2参照点Pr2、第1端点Pv1、第2端点Pv2の位置を新たに定義する修正処理を行い、
    前記第1参照点Pr1もしくは前記第2参照点Pr2に対する修正指示があった場合には、前記第1参照点Pr1もしくは前記第2参照点Pr2を、前記第1参照線Lr1もしくは前記第2参照線Lr2上の修正指示に応じた位置に修正する修正処理を行い、
    前記第1端点Pv1もしくは前記第2端点Pv2に対する修正指示があった場合には、前記第1端点Pv1もしくは前記第2端点Pv2を、前記中心軸V上の修正指示に応じた位置に修正する修正処理を行うことを特徴とする眼科疾患判定用の画像解析方法。
  31. 請求項30に記載の画像解析方法において、
    判定情報提示段階で、前極点Pfと後極点Pbとの距離を眼軸長Daとして算出し、第1端点Pv1と第2端点Pv2との距離を中心軸長Dvとして算出し、計測原点Po、後極点Pb、第1参照点Pr1を頂点とする第1参照三角形Tr1と、計測原点Po、後極点Pb、第2参照点Pr2を頂点とする第2参照三角形Tr2との面積比を非対称度Rとして算出し、第1参照点Pr1、後極点Pb、第2参照点Pr2の3点によって定義される角Pr1-Pb-Pr2を後極先鋭度φとして算出し、前記眼軸長Da、前記中心軸長Dv、前記非対称度R、前記後極先鋭度φを眼球の形態異常判定に用いる情報として提示することを特徴とする眼科疾患判定用の画像解析方法。
  32. 請求項29に記載の画像解析方法において、
    判定用多角形定義段階で、前極点Pfと後極点Pbとを結ぶ眼軸Aを定義し、この眼軸A上において前記後極点Pbから前記前極点Pfに向けて予め設定された所定の標準距離Dsだけ隔たった位置に計測原点Poを定義し、前記計測原点Poを通り、前記眼軸Aに対して所定の狭域参照角+θnをなす第1狭域参照線Ln1および−θnをなす第2狭域参照線Ln2を定義し(但し、0°<θn<90°)、前記第1狭域参照線Ln1と眼球の後部輪郭線との交点位置に配置すべき点として第1狭域参照点Pn1を定義し、前記第2狭域参照線Ln2と眼球の後部輪郭線との交点位置に配置すべき点として第2狭域参照点Pn2を定義し、前記計測原点Poを通り、前記眼軸Aに対して所定の広域参照角+θwをなす第1広域参照線Lw1および−θwをなす第2広域参照線Lw2を定義し(但し、θn<θw<90°)、前記第1広域参照線Lw1と眼球の後部輪郭線との交点位置に配置すべき点として第1広域参照点Pw1を定義し、前記第2広域参照線Lw2と眼球の後部輪郭線との交点位置に配置すべき点として第2広域参照点Pw2を定義し、前記眼軸Aの中心点Pgにおいて前記眼軸Aに直交する中心軸Vを定義し、この中心軸Vと眼球の輪郭線との交点位置に配置すべき点として、第1端点Pv1および第2端点Pv2を定義し、少なくとも、Pf,Pb,Pn1,Pn2,Pw1,Pw2,Pv1,Pv2の8点を頂点として含むK角形(K≧8)を定義し、
    判定用多角形修正段階で、
    前記前極点Pfもしくは前記後極点Pbに対する修正指示があった場合には、前記前極点Pfもしくは前記後極点Pbを、修正指示に応じた任意の位置に修正する修正処理を行い、修正処理後の前極点Pfおよび後極点Pbを用いて、眼軸A、計測原点Po、第1狭域参照線Ln1、第2狭域参照線Ln2、第1広域参照線Lw1、第2広域参照線Lw2、中心点Pg、中心軸Vを新たに定義し、第1狭域参照点Pn1、第2狭域参照点Pn2、第1広域参照点Pw1、第2広域参照点Pw2、第1端点Pv1、第2端点Pv2の位置を新たに定義する修正処理を行い、
    前記第1狭域参照点Pn1もしくは前記第2狭域参照点Pn2に対する修正指示があった場合には、前記第1狭域参照点Pn1もしくは前記第2狭域参照点Pn2を、前記第1狭域参照線Ln1もしくは前記第2狭域参照線Ln2上の修正指示に応じた位置に修正する修正処理を行い、
    前記第1広域参照点Pw1もしくは前記第2広域参照点Pw2に対する修正指示があった場合には、前記第1広域参照点Pw1もしくは前記第2広域参照点Pw2を、前記第1広域参照線Lw1もしくは前記第2広域参照線Lw2上の修正指示に応じた位置に修正する修正処理を行い、
    前記第1端点Pv1もしくは前記第2端点Pv2に対する修正指示があった場合には、前記第1端点Pv1もしくは前記第2端点Pv2を、前記中心軸V上の修正指示に応じた位置に修正する修正処理を行うことを特徴とする眼科疾患判定用の画像解析方法。
  33. 請求項32に記載の画像解析方法において、
    判定情報提示段階で、前極点Pfと後極点Pbとの距離を眼軸長Daとして算出し、第1端点Pv1と第2端点Pv2との距離を中心軸長Dvとして算出し、計測原点Po、後極点Pb、第1狭域参照点Pn1を頂点とする第1狭域参照三角形Tn1と、計測原点Po、後極点Pb、第2狭域参照点Pn2を頂点とする第2狭域参照三角形Tn2との面積比を狭域非対称度Rnとして算出し、計測原点Po、後極点Pb、第1広域参照点Pw1を頂点とする第1広域参照三角形Tw1と、計測原点Po、後極点Pb、第2広域参照点Pw2を頂点とする第2広域参照三角形Tw2との面積比を広域非対称度Rwとして算出し、第1狭域参照点Pn1、後極点Pb、第2狭域参照点Pn2の3点によって定義される角Pn1-Pb-Pn2を後極先鋭度φとして算出し、前記眼軸長Da、前記中心軸長Dv、前記後極先鋭度φ、そして前記狭域非対称度Rnおよび前記広域非対称度Rwのいずれか一方もしくは双方またはその平均を、眼球の形態異常判定に用いる情報として提示することを特徴とする眼科疾患判定用の画像解析方法。
  34. 請求項31または33に記載の画像解析方法において、
    断層画像表示段階で、同一の被験者頭部について同時撮影することにより得られた同一の眼球についての、互いに直交する断面に関する第1の断層画像および第2の断層画像を、鉛直軸および水平軸を示す情報とともに入力し、
    判定情報提示段階で、各断層画像について、それぞれ前極点Pfと後極点Pbとを結ぶ眼軸Aと前記鉛直軸とのなす角度および前記眼軸Aと前記水平軸とのなす角度のうちのいずれか小さい方の角度を眼軸傾斜角として求め、第1の断層画像についての眼軸傾斜角をα、第2の断層画像についての眼軸傾斜角をβとしたときに、前記第1の断層画像に基づいて抽出された後極先鋭度φ、中心軸長Dv、眼軸長Daに対しては、1/cosβを乗ずる補正を行い、前記第2の断層画像に基づいて抽出された後極先鋭度φ、中心軸長Dv、眼軸長Daに対しては、1/cosαを乗ずる補正を行うことを特徴とする眼科疾患判定用の画像解析方法。
  35. 請求項28〜34のいずれかに記載の画像解析方法において、
    コンピュータが、断層画像を解析することにより眼球の境界位置を認識し、判定用多角形修正段階で修正した判定用多角形を構成する全頂点もしくは一部の頂点の位置を前記境界位置に補正する処理を行う頂点位置補正段階を更に有し、
    判定情報提示段階で、補正完了後の判定用多角形に基づいて、眼球の形態異常判定に用いる情報を抽出し、これをオペレータに提示することを特徴とする眼科疾患判定用の画像解析方法。
  36. 請求項28〜35のいずれかに記載の画像解析方法を構成する各段階をコンピュータに実行させるプログラム。
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