JP2015087546A - 無端ベルト - Google Patents
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Abstract
【課題】剛性と耐屈曲性とを両立させることが可能な無端ベルトを提供する。
【解決手段】無端ベルト1は、筒状に形成された樹脂製の基層2を少なくとも有する。基層2は、ポリアミドイミドおよびポリイミドから選択される1種または2種以上の樹脂を含んで構成されている。無端ベルト1は、基層2内に、独立した回転楕円体状の気孔20を多数有している。
【選択図】図2
【解決手段】無端ベルト1は、筒状に形成された樹脂製の基層2を少なくとも有する。基層2は、ポリアミドイミドおよびポリイミドから選択される1種または2種以上の樹脂を含んで構成されている。無端ベルト1は、基層2内に、独立した回転楕円体状の気孔20を多数有している。
【選択図】図2
Description
本発明は、無端ベルトに関する。
従来、様々な分野において、無端ベルトが使用されている。例えば、電子写真方式を採用する複写機、プリンター、印刷機等の画像形成装置の分野では、複数の感光体によって色別に形成した各トナー像をベルト表面に一次転写して各色のトナー像を重ね合わせ、これを用紙等の転写材に二次転写するための中間転写ベルトとして、無端ベルトが用いられている。他にも、転写材(紙)に転写されたトナーを加熱により溶融固着させて画像を形成するための定着ベルトとして、無端ベルトが用いられている。
上記無端ベルトとしては、樹脂製の基層を有する無端ベルトが広く知られている。上記無端ベルトは、通常、駆動ローラおよび従動ローラの外周に張架された状態で回転させて使用される。
上記無端ベルトとしては、例えば、特許文献1には、電子写真方式の画像形成装置に用いられるポリアミドイミドまたはポリイミド製の基層からなる無端ベルトが開示されている。
しかしながら、従来知られる無端ベルトは、以下の点で改良の余地がある。すなわち、ポリアミドイミドまたはポリイミドを用いた基層は、剛性が高く、耐屈曲性に劣る。そのため、従来の無端ベルトは、ベルト回転時にローラ部分にて屈曲が繰り返されると、折れや割れが生じやすく、耐久性に劣るという問題がある。
本発明は、上記背景に鑑みてなされたものであり、剛性と耐屈曲性とを両立させることが可能な無端ベルトを提供しようとして得られたものである。
本発明の一態様は、筒状に形成された樹脂製の基層を少なくとも有する無端ベルトであって、上記基層は、ポリアミドイミドおよびポリイミドから選択される1種または2種以上の樹脂を含んで構成されており、かつ、上記基層内に、独立した回転楕円体状の気孔を多数有していることを特徴とする無端ベルトにある。
上記無端ベルトは、基層が、ポリアミドイミドおよびポリイミドから選択される1種または2種以上の樹脂を含んで構成されている。そのため、比較的高い剛性を有する。さらに、上記無端ベルトは、基層内に、独立した回転楕円体状の気孔を多数有している。そのため、上記気孔によって基層に柔軟性が付与され、耐屈曲性を向上させることが可能となる。
よって、本発明によれば、剛性と耐屈曲性とを両立させることが可能な無端ベルトを提供することができる。
上記無端ベルト(シームレスベルト)において、基層は、ポリアミドイミドを含んで構成されていてもよいし、ポリイミドを含んで構成されていてもよい。また、基層は、導電性を付与するため、導電剤を含むことができる。
導電剤は、電子導電剤、イオン導電剤のいずれであってもよく、双方を含むこともできる。電子導電剤としては、例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト等、粉末状、繊維状等の形状を呈する炭素系材料;アルミニウム粉末、ステンレス粉末等の金属粉末;導電性酸化亜鉛(c−ZnO)、導電性酸化チタン(c−TiO2)、導電性酸化鉄(c−Fe3O4)、導電性酸化錫(c−SnO2)等の導電性金属酸化物などを例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。イオン導電剤としては、例えば、第四級アンモニウム塩、リン酸エステル、スルホン酸塩、脂肪族多価アルコール、脂肪族アルコールサルフェート、イオン液体などを例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。
基層は、導電剤以外にも、難燃剤、充填剤(炭酸カルシウム等)、レベリング剤などの各種添加剤を1種または2種以上含有することができる。なお、基層の筒径、厚みは、用途(例えば、画像形成装置の機種、大きさ等)に応じて適宜決定することができる。基層の筒径は、例えば、120〜1000mm程度とすることができる。基層の厚みは、例えば、30〜200μm程度、好ましくは40〜130μm程度、より好ましくは60〜100μm程度とすることができる。
上記無端ベルトは、基層内に、独立した回転楕円体状の気孔を多数有している。回転楕円体状の気孔は、換言すれば、回転楕円体の表面と似た面で囲まれた空隙を意味している。基層内において、回転楕円体状の気孔の大きさは完全に揃っている必要はなく、種々の大きさを有する回転楕円体状の気孔を含むことができる。また、基層内には、回転楕円体状ではない球状等の気孔が含まれていてもよい。なお、上記「回転楕円体」には、球は含まない。上記気孔の形状は、例えば、ベルト幅方向およびベルト周方向の基層断面を走査型電子顕微鏡にて観察することにより比較的簡易に確認することができる。また、必要に応じて、ベルト面に沿った基層断面を観察することもできる。
上記無端ベルトにおいて、回転楕円体状の気孔は、基層形成に用いられる基層形成用材料中に含まれる気泡に由来するものとすることができる。この場合は、球状の気泡が扁平化された状態で基層形成用材料が硬まることにより、独立した回転楕円体状の気孔を形成できる利点がある。
上記無端ベルトにおいて、回転楕円体状の気孔は、ベルト厚み方向に短軸、ベルト面方向に長軸を有する構成とすることができる。この場合は、剛性と耐屈曲性との両立を確実なものとすることができる上、ベルト厚み方向に長軸、ベルト面方向に短軸を有する回転楕円体状の気孔に比べ、気孔形成性に優れるなどの利点がある。
上記無端ベルトにおいて、回転楕円体状の気孔は、短軸方向の径が5μm以下、長軸方向の径が10μm以下の範囲にある構成とすることができる。この場合は、基層の引張弾性率が適度となりやすく、剛性と耐屈曲性とのバランスに優れた無端ベルトを得やすくなる。
上記短軸方向の径は、好ましくは4.5μm以下、より好ましくは4μm以下、さらに好ましくは3.5μm以下とすることができる。また、上記短軸方向の径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは0.55μm以上、さらに好ましくは0.6μm以上とすることができる。一方、上記長軸方向の径は、好ましくは9μm以下、より好ましくは8μm以下、さらに好ましくは7μm以下とすることができる。また、上記長軸方向の径は、好ましくは1μm以上、より好ましくは1.2μm以上、さらに好ましくは1.5μm以上とすることができる。なお、上記気孔は、回転楕円体状の形状を呈する。そのため、短軸方向の径<長軸方向の径の関係を満たすように上記範囲から具体的な数値を選択すればよい。また、上記範囲は、ベルト幅方向における基層断面の走査型電子顕微鏡写真を撮影し、撮影した写真における回転楕円体状の気孔の大きいものの上位から20個について、短軸方向の径および長軸方向の径が上記範囲内にあればよいことを意味する。
上記無端ベルトは、ベルト幅方向の上記基層断面において、回転楕円体状の気孔の面積占有率が0.5%以上30%以下である構成とすることができる。この場合は、気孔形成による基層の引張弾性率の低下を抑制しやすくなり、剛性と耐屈曲性とのバランスに優れた無端ベルトを得やすくなる。なお、上記面積占有率は、ベルト幅方向における基層断面の走査型電子顕微鏡写真を撮影し、撮影した写真を用紙に印刷後、回転楕円体状の気孔部分を切り取って重量を測定し、基層断面の重量に対する回転楕円体状の気孔の合計重量の割合(%)を算出することにより求めることができる。
上記面積占有率は、基層の引張弾性率が高まり、基層の剛性を高く維持しやすくなる観点から、好ましくは29.5%以下、より好ましくは25%以下、さらに好ましくは20%以下、さらにより好ましくは15%以下とすることができる。また、上記面積占有率は、基層の柔軟性が高まり、耐屈曲性を向上させやすくなる観点から、好ましくは0.5%以上、より好ましくは1%以上、さらに好ましくは1.5%以上とすることができる
上記無端ベルトは、電子写真方式の画像形成装置に用いることができる。この場合は、画像形成装置の耐久性向上に寄与することができる。上記画像形成装置としては、例えば、帯電像を用いる電子写真方式の複写機、プリンター、ファクシミリ、複合機、POD(Print On Demand)装置等を例示することができる。
上記無端ベルトは、上記基層を少なくとも有しておれば、単層あるいは二層以上の複数層から構成されていてもよい。上記無端ベルトは、具体的には、(1)基層単層からなる構成、(2)基層と、基層上に積層されたゴム弾性層とを有する構成、(3)基層と、基層上に積層された表層とを有する構成、(4)基層と、基層上に積層された導電層と、導電層上に積層されたゴム弾性層とを有する構成などとすることができる。上記(1)〜(3)の構成は、例えば、電子写真方式の画像形成装置における中間転写ベルトなどとして好適である。また、上記(4)の構成は、例えば、電子写真方式の画像形成装置における定着ベルトなどとして好適である。
なお、上記中間転写ベルトは、潜像担持体に担持されたトナー像をベルト表面に一次転写させた後、このトナー像をベルト表面から用紙等の転写材へ二次転写させるために、画像形成装置に組み込まれる無端ベルトである。上記無端ベルトを中間転写ベルトに用いた場合は、基層内に存在する回転楕円体状の気孔によって基層の柔軟性が向上しているため、用紙に対する追従性が向上し、転写性向上を図ることができる。それ故、画像形成装置の高画質化に寄与することができる。また、上記無端ベルトを中間転写ベルトに用いた場合は、基層内に存在する回転楕円体状の気孔によって耐屈曲性が向上しているので、折れや割れなどが生じ難く、高寿命化を図ることできる。それ故、画像形成装置の耐久性向上に寄与することができる。
上記ゴム弾性層に用いられるゴムとしては、例えば、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴムなどを例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。
上記ゴム弾性層は、導電性を付与するため、上述した導電剤を含むことができる。ゴム弾性層は、導電剤以外にも、架橋剤、難燃剤、充填剤(炭酸カルシウム等)、レベリング剤などの各種添加剤を1種または2種以上含有することができる。なお、ゴム弾性層の厚みは、柔軟性、難燃性、耐摩耗性、用途などを考慮して決定することができる。ゴム弾性層の厚みは、例えば、10〜1000μm程度、好ましくは20〜400μm程度、より好ましくは30〜300μm程度とすることができる。
上記ゴム弾性層の表面は、紫外線照射処理等による光照射処理や、含塩素化合物、含フッ素化合物、およびイソシアネートから選択される1種または2種以上を含む表面処理液等による表面処理を施すことができる。この場合は、トナー離型性が向上するため、トナーがゴム弾性層表面に固着し難くなり、耐フィルミング性を向上させることができる。そのため、この場合は、中間転写ベルトとして好適である。
なお、上記基層表面に表層を設ける場合、表層を構成するための主なポリマー材料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の各種のポリマーを用いることが可能である。
上記無端ベルトは、例えば、次のように好適に製造することができる。ポリアミドイミド溶液またはポリイミド溶液に、必要に応じて上述した添加剤を適宜配合し、撹拌、混合して、気泡を含む液状の基層形成用材料を調製する。この際、基層形成用材料の粘度は、25℃で5000〜30000mPa・s程度、好ましくは5000〜28000mPa・s程度、より好ましくは5000〜25000mPa・s程度に調節しておく。
次いで、円筒状または円柱状の金型の表面に、基層形成用材料を塗工する。そして、塗工した基層形成用材料中に気泡が含まれているうちに加熱処理し、基層を形成する。加熱処理は、具体的には、塗工した基層形成用材料から気泡が抜け切ってしまわないように、上記塗工直後〜5分以内程度の間で開始することが好ましい。また、加熱条件は、150℃〜300℃程度で1時間〜3時間程度保持するという条件とすることができる。また、上記加熱は、具体的には、金型を加熱することにより、金型に接する基層形成用材料の金型側の面を主に加熱することによって行うことができる。基層形成用材料からの気泡の抜けを抑制しやすく、下方からの圧力によって気泡を扁平化しやすいからである。なお、上記のように基層形成用材料の粘度を調節するのは、塗工した基層形成用材料から気泡が抜けるのを抑制しやすくするためである。
上記基層の形成工程によれば、塗工した基層形成用材料が、熱処理時に外側から硬まり、基層形成用材料中の気泡が内部に閉じ込められる。そして、金型側から圧力が加わることにより、球状の気泡が潰れて扁平化され、基層内に、独立した回転楕円体状の気孔を多数形成することができる。
次いで、基層と金型とを分離すれば、単層の無端ベルトが得られる。ゴム弾性層や表層をさらに積層する場合は、上記基層の形成後、引き続き、ゴム弾性層形成材料や表層形成用材料を塗工し、最適条件にて加熱処理を施せばよい。そして、その後、基層と金型とを分離すれば、基層上にゴム弾性層あるいは表層を有する二層構造の無端ベルトを得ることができる。
上記無端ベルトの製造方法によれば、基層形成に用いられる基層形成用材料中に含まれる気泡を積極的に利用して、基層内に、独立した回転楕円体状の気孔を多数形成することができる。また、発泡剤等を利用しないので、無端ベルトの製造コストの削減等に寄与することができる。
なお、上述した各構成は、上述した各作用効果等を得るなどのために必要に応じて任意に組み合わせることができる。
実施例に係る無端ベルトについて、図面を用いて具体的に説明する。
図1〜図3に示すように、無端ベルト1は、筒状に形成された樹脂製の基層2を少なくとも有している。基層2は、ポリアミドイミドおよびポリイミドから選択される1種または2種以上の樹脂を含んで構成されている。無端ベルト1は、基層2内に、独立した回転楕円体状の気孔20を多数有している。
本例では、具体的には、回転楕円体状の気孔20は、ベルト厚み方向Tに短軸、ベルト面方向Sに長軸を有している。また、回転楕円体状の気孔20は、基層2の形成に用いられる基層形成用材料中に含まれていた気泡に由来するものである。
また本例では、無端ベルト1は、具体的には、基層2単層から構成されている。図示はしないが、無端ベルト1は、さらに、基層2の外周にゴム弾性層や樹脂製の表層等が積層されていてもよい。また、基層2は、電子導電剤を含有することによって導電化されている。無端ベルト1は、電子写真方式を採用するプリンター、複写機、複合機、POD(Print On Demand)装置等の画像形成装置における中間転写ベルトとして用いられるものである。
以下、無端ベルトの試料を複数作製し、各種評価を行った。その実験例について説明する。
<基層形成用材料の調製>
ポリアミドイミド(PAI)(東洋紡績(株)製「バイロマックスHR−16NN」)100質量部と、カーボンブラック(電気化学工業(株)製「デンカブラック」)10質量部と、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)所定質量部とを準備し、これらを混合することにより、後述の表1に示す粘度の異なる液状の各基層形成用材料を調製した。なお、粘度の調節は、NMPの量を変えて固形分濃度を調節することにより行った。また、粘度測定は、25℃にてB型粘度計を用いて行った。
ポリアミドイミド(PAI)(東洋紡績(株)製「バイロマックスHR−16NN」)100質量部と、カーボンブラック(電気化学工業(株)製「デンカブラック」)10質量部と、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)所定質量部とを準備し、これらを混合することにより、後述の表1に示す粘度の異なる液状の各基層形成用材料を調製した。なお、粘度の調節は、NMPの量を変えて固形分濃度を調節することにより行った。また、粘度測定は、25℃にてB型粘度計を用いて行った。
<無端ベルト試料の作製>
アルミニウム製の円筒状金型を準備した。また、ノズルを有するディスペンサ(液体定量吐出装置)を準備した。このディスペンサのノズルは、内径φ=1mmのニードルノズルである。上記調製した所定の液状の基層形成用材料を、エアー加圧タンクに収容し、金型の外周面とノズルとのクリアランスを1mmとして、金型およびノズルをセットした。
アルミニウム製の円筒状金型を準備した。また、ノズルを有するディスペンサ(液体定量吐出装置)を準備した。このディスペンサのノズルは、内径φ=1mmのニードルノズルである。上記調製した所定の液状の基層形成用材料を、エアー加圧タンクに収容し、金型の外周面とノズルとのクリアランスを1mmとして、金型およびノズルをセットした。
次いで、金型を垂直にした状態で、回転数60rpmで軸中心に回転させながら、基層形成用材料を吐出するノズルを、1mm/secの移動速度で軸方向下方に移動させるとともに、エアー加圧タンクに0.4MPaの圧力をかけて基層形成用材料をノズルに圧送し、ノズルから基層形成用材料を吐出させ、金型の外周面上にらせん状に塗工し、らせん状塗膜の連続体からなる全体塗膜を形成した。
次いで、上記塗工から加熱処理までの時間を、後述の表1の通りとし、金型とともに全体塗膜を加熱処理した。この際、上記全体塗膜の加熱は、金型を加熱することにより行った。また、加熱条件は、2.1℃/分で250℃まで昇温し、250℃で1時間保持するという条件とした。これにより、金型の外周面上に、電子導電性を有するポリアミドイミド製の筒状の基層(厚み80μm、筒径φ320mm)を形成した。
次いで、基層の一端縁と金型の外周面との間に高圧エアーを吹き込み、金型を抜き取った。以上により、試料1〜試料12の無端ベルトを作製した。
<基層構造の観察>
各無端ベルト試料を、ベルト幅方向およびベルト周方向で切断し、各方向の基層断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察した。その結果、試料1〜試料9の無端ベルトについては、ベルト幅方向およびベルト周方向ともに独立した楕円状の気孔が多数確認された。この結果から、試料1〜試料9の無端ベルトは、基層内に、独立した回転楕円体状の気孔を多数有していることが確認された。また、回転楕円体状の気孔は、ベルト厚み方向に短軸、ベルト面方向に長軸を有していた。なお、図4に試料3、図5に試料2、図6に試料1の無端ベルトにおけるベルト幅方向の基層断面のSEM写真を示す。
各無端ベルト試料を、ベルト幅方向およびベルト周方向で切断し、各方向の基層断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察した。その結果、試料1〜試料9の無端ベルトについては、ベルト幅方向およびベルト周方向ともに独立した楕円状の気孔が多数確認された。この結果から、試料1〜試料9の無端ベルトは、基層内に、独立した回転楕円体状の気孔を多数有していることが確認された。また、回転楕円体状の気孔は、ベルト厚み方向に短軸、ベルト面方向に長軸を有していた。なお、図4に試料3、図5に試料2、図6に試料1の無端ベルトにおけるベルト幅方向の基層断面のSEM写真を示す。
これらに対し、試料10〜試料12の無端ベルトは、ベルト幅方向およびベルト周方向のいずれの方向についても独立した楕円状の気孔が見られなかった。この結果から、試料10〜試料12の無端ベルトは、基層内に、独立した回転楕円体状の気孔がないことが確認された。なお、図7に試料10の無端ベルトにおけるベルト幅方向の基層断面のSEM写真を示す。
上記のような結果が得られたのは、次の理由による。すなわち、試料1〜試料9の無端ベルトの作製は、基層形成時における基層形成用材料の粘度が上述した範囲に調整されている。さらに、基層形成用材料の金型への塗工後、塗工した基層形成用材料から気泡が抜け切ってしまわない範囲の時間内にて塗工した基層形成用材料を加熱処理している。そのため、塗工した基層形成用材料が、加熱処理によって外側から硬まり、基層形成用材料中の気泡が内部に閉じ込められるとともに、金型側から圧力が加わることにより、基層形成用材料に含まれていた球状の気泡が扁平化され、基層内に、独立した回転楕円体状の気孔が多数形成されたと考えられる。また、金型を加熱することにより、金型に接する基層形成用材料の金型側の面を主に加熱したことも、回転楕円体状の気孔の形成に有利に働いたものと考えられる。
これらに対し、試料10、試料11の無端ベルトは、基層形成時における基層形成用材料の粘度が他に比べて低かったため、基層形成用材料中の気泡が抜けやすく、その結果、回転楕円体状の気孔が形成されなかったものと考えらえる。また、試料12の無端ベルトは、基層形成時における基層形成用材料の粘度は上述した所定の範囲内である。しかし、基層形成用材料の金型への塗工後、30分間放置したため、その間に基層形成用材料中の気泡が抜けきってしまい、その結果、回転楕円体状の気孔が形成されなかったものと考えらえる。
<回転楕円体状の気孔の寸法>
各無端ベルト試料について、上述した方法により、回転楕円体状の気孔の短軸方向の径、長軸方向の径の分布を調べた。
各無端ベルト試料について、上述した方法により、回転楕円体状の気孔の短軸方向の径、長軸方向の径の分布を調べた。
<回転楕円体状の気孔の面積占有率>
各無端ベルト試料について、上述した方法により、回転楕円体状の気孔の面積占有率を算出した。
各無端ベルト試料について、上述した方法により、回転楕円体状の気孔の面積占有率を算出した。
<基層の引張弾性率>
JIS K6251に準拠し、全自動引張り試験装置((株)東洋精機製作所製、「ストログラフAE」)を用い、各無端ベルト試料における基層の引張弾性率を測定した。なお、試験片は、ベルト周方向と引張方向が一致するように基層から打ち抜き採取したJIS2号ダンベル試験片を用いた。また、引張試験速度は10mm/分、標点間距離は50mmとした。引張弾性率が3000MPa以上の場合を剛性に優れるとして「A」、引張弾性率が2000MPa以上3000MPa未満の場合を比較的剛性が高く、許容範囲であるとして「B」とした。
JIS K6251に準拠し、全自動引張り試験装置((株)東洋精機製作所製、「ストログラフAE」)を用い、各無端ベルト試料における基層の引張弾性率を測定した。なお、試験片は、ベルト周方向と引張方向が一致するように基層から打ち抜き採取したJIS2号ダンベル試験片を用いた。また、引張試験速度は10mm/分、標点間距離は50mmとした。引張弾性率が3000MPa以上の場合を剛性に優れるとして「A」、引張弾性率が2000MPa以上3000MPa未満の場合を比較的剛性が高く、許容範囲であるとして「B」とした。
<基層の耐屈曲性>
各無端ベルト試料から、ベルト周方向と長手方向が一致するように短冊状試験片(15mm×115mm)を切り出し、25℃×45%RH環境下において、MIT耐折疲労試験機((株)東洋精機製作所製「MIT−DA」)を用いてMIT試験を行い、MIT回数を測定した。試験条件は、スプリング介在状態で荷重0.25kg、反復速度175サイクル/分、振り角90°とした。なお、MIT回数は、耐屈曲性の評価の指標となるものであり、このMIT回数が多い程、耐屈曲性に優れていることを示す。この際、MIT回数が3000回以上の場合を耐屈曲性に優れるとして「A」、3000回未満の場合を耐屈曲性に劣るとして「C」とした。
各無端ベルト試料から、ベルト周方向と長手方向が一致するように短冊状試験片(15mm×115mm)を切り出し、25℃×45%RH環境下において、MIT耐折疲労試験機((株)東洋精機製作所製「MIT−DA」)を用いてMIT試験を行い、MIT回数を測定した。試験条件は、スプリング介在状態で荷重0.25kg、反復速度175サイクル/分、振り角90°とした。なお、MIT回数は、耐屈曲性の評価の指標となるものであり、このMIT回数が多い程、耐屈曲性に優れていることを示す。この際、MIT回数が3000回以上の場合を耐屈曲性に優れるとして「A」、3000回未満の場合を耐屈曲性に劣るとして「C」とした。
表1に、無端ベルト試料の作製条件および各種測定結果をまとめて示す。
表1によれば、次のことが分かる。すなわち、試料1〜試料9の無端ベルトは、基層が、ポリアミドイミドを含んで構成されている。そのため、比較的高い剛性を有している。さらに、試料1〜試料9の無端ベルトは、基層内に、独立した回転楕円体状の気孔を多数有している。そのため、上記回転楕円体状気孔によってスポンジ効果が生まれ、基層に柔軟性を付与することができる。そのため、試料1〜試料9の無端ベルトは、耐屈曲性を向上させることができる。つまり、試料1〜試料9の無端ベルトによれば、剛性と耐屈曲性とを両立させることができることが確認された。
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、上記実験例では、基層を構成する樹脂として、ポリアミドイミドを用いたが、同様に剛性の高い樹脂であるポリイミドを用いても同様の結果が得られることは容易に類推することが可能である。
1 無端ベルト
2 基層
20 回転楕円体状の気孔
2 基層
20 回転楕円体状の気孔
Claims (6)
- 筒状に形成された樹脂製の基層を少なくとも有する無端ベルトであって、
上記基層は、ポリアミドイミドおよびポリイミドから選択される1種または2種以上の樹脂を含んで構成されており、かつ、
上記基層内に、独立した回転楕円体状の気孔を多数有していることを特徴とする無端ベルト。 - 上記回転楕円体状の気孔は、ベルト厚み方向に短軸、ベルト面方向に長軸を有することを特徴とする請求項1に記載の無端ベルト。
- 上記回転楕円体状の気孔は、短軸方向の径が5μm以下、長軸方向の径が10μm以下の範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の無端ベルト。
- ベルト幅方向の上記基層断面において、上記回転楕円体状の気孔の面積占有率が0.5%以上30%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の無端ベルト。
- 上記基層上にゴム弾性層が積層されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の無端ベルト。
- 電子写真方式の画像形成装置に用いられることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の無端ベルト。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013225864A JP2015087546A (ja) | 2013-10-30 | 2013-10-30 | 無端ベルト |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013225864A JP2015087546A (ja) | 2013-10-30 | 2013-10-30 | 無端ベルト |
Publications (1)
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