JP2015086934A - 捩り振動減衰装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】振子マスを設計通りに往復動させて所期の振動減衰性能を得ることができる捩り振動減衰装置を提供する。
【解決手段】回転体1の半径方向で外側部分に設けられ、その回転体1のトルク変動によって揺動する振子マス2を備えた捩り振動減衰装置において、振子マス2は、振子マス2の中心を通りかつ揺動方向に対して垂直な軸線を中心に回転させられる回転コア6を有し、回転コア6は、振子マス2が回転体1の回転中心軸線を中心軸として公転することにともない回転体1の周囲の流体から抗力を受けることにより回転コア6を回転させるブレード部8を備えている。
【選択図】図1
【解決手段】回転体1の半径方向で外側部分に設けられ、その回転体1のトルク変動によって揺動する振子マス2を備えた捩り振動減衰装置において、振子マス2は、振子マス2の中心を通りかつ揺動方向に対して垂直な軸線を中心に回転させられる回転コア6を有し、回転コア6は、振子マス2が回転体1の回転中心軸線を中心軸として公転することにともない回転体1の周囲の流体から抗力を受けることにより回転コア6を回転させるブレード部8を備えている。
【選択図】図1
Description
この発明は、クランクシャフトや動力伝達軸などの回転体の捩り振動を減衰するための装置に関し、特に転動する慣性質量体の往復運動もしくは振子運動を利用して回転体の捩り振動を減衰するように構成された装置に関するものである。
この種の装置の一例が特許文献1に記載されている。その構成について簡単に説明すると、プーリの外周側にプーリの軸線方向に凹んだ凹部が形成されており、その凹部内に剛体振り子が収容されている。その凹部の外周側の内壁面に剛体振り子が往復動する案内面が形成されており、その案内面上を剛体振り子がプーリの捩り振動に応じて転動しながら往復動することにより、プーリの前記捩り振動を減衰するように構成されている。
また、特許文献2には、ハブの外周側に形成された収容室内に、転動マスと粘性流体とが封入されて構成された装置が記載されている。その構成について簡単に説明すると、転動マスは一対の大径部と、それらの大径部の間に配置される小径部と、その小径部の外周面に放射状に取り付けられた複数のフィンとによって構成されている。上記の収容室は、ハブの軸線方向に凹んだ有底円筒形状に形成されており、その開口部がカバーによって閉じられている。また収容室の外周側の内壁面に前記大径部が接触するマス受け面が形成されている。上記のフィンの端部は大径部における外周面よりも半径方向で内周側に配置されている。そのため、例えばハブに伝達されるトルクが急変した場合に、上記のフィンが粘性流体から抗力を受けることにより、トルクの急変に伴う転動マスの運動を抑制して転動マスと収容室の壁面との衝突を防止するように構成されている。
さらに特許文献3には、2本の接合エレメントによって互いに接合された1対の振子質量体が前記接合エレメントを介して振子フランジに揺動可能に取り付けられて構成された装置が記載されている。具体的には、上記の接合エレメントはスペーサーピンであり、その各端部に振子質量体がそれぞれ取り付けられている。またスペーサーピンの中央部分にベアリングが取り付けられており、そのベアリングの外周面が振子フランジに形成された切り抜き孔に接触している。
特許文献1に記載された構成では、剛体振り子が捩り振動に応じて案内面上を転動しながら往復動する場合に、その回転中心軸線と、プーリの回転中心軸線とはほぼ平行になっている。しかしながら、プーリの回転中心軸線に対して剛体振り子の回転中心軸線が傾くと、回転中心軸線方向における凹部の壁面と剛体振り子の側面とが接触して剛体振り子が設計通りの往復動を行うことができず、その結果、所期の振動減衰性能を得ることができない可能性がある。また特許文献2に記載されている装置は、特許文献1に記載されている装置と同様に、転動マスがマス受け面上を転動しながら往復動する場合に、その回転中心軸線と、ハブの回転中心軸線とはほぼ平行になっている。そのため、特許文献1に記載されている装置における課題と同様の課題がある。
また特許文献3に記載された構成では、各振子質量体が揺動する場合に、スペーサーピンの軸線と、振子フランジの回転中心軸線とはほぼ平行に構成されている。しかしながら、振子フランジの回転中心軸線に対してスペーサーピンの軸線が傾くと、振子フランジの回転面と、振子フランジに対向している振子質量体の側面における外周部分とが接触して振子質量体が設計通りの往復動を行うことができない可能性がある。そのため、所期の振動減衰性能を得ることができない可能性がある。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、振子マスを設計通りに往復動させて所期の振動減衰性能を得ることができる捩り振動減衰装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、この発明は、回転体の半径方向で外側部分に設けられ、その回転体のトルク変動によって揺動する振子マスを備えた捩り振動減衰装置において、前記振子マスは、前記振子マスの中心を通りかつ揺動方向に対して垂直な軸線を中心に回転させられる回転コアを有し、前記回転コアは、前記振子マスが前記回転体の回転中心軸線を中心軸として公転することにともない前記回転体の周囲の流体から抗力を受けることにより前記回転コアを回転させるブレード部を備えていることを特徴とするものである。
この発明によれば、回転コアは、振子マスとともに回転体の回転中心を中心にして公転する。その場合に、ブレード部が、回転体の周囲の流体から抗力を受けることにより回転コアを回転させるトルクが生じ、そのトルクによって回転コアが回転させられる。その結果、ジャイロ効果により回転コアの回転中心軸が傾きにくくなる。つまり、回転コアおよびこれを保持している振子マスの回転中心軸線と回転体の回転中心軸線とが平行あるいはほぼ平行な状態に維持される。そのため、振子マスを設計通りに往復動させることができ、これにより所期の振動減衰性能を得ることができる。
つぎにこの発明をより具体的に説明する。図1は、この発明に係る捩り振動減衰装置の一例を示しており、回転体1は円板状の部材であって、図示しないエンジンのクランクシャフトや変速機の回転軸あるいはトルクコンバータのポンプインペラーやタービンランナーなどと一体に回転するように構成されている。この回転体1の外周側の部分に回転体1のトルク変動に応じて往復動する振子マス2が回転体1の回転方向に一定の間隔をあけて複数取り付けられている。
図2は、図1に示すII-II線に沿う断面図である。図1および図2に示すように、回転体1の外周部に、その円周方向に長く板厚方向に貫通した貫通部3が形成されている。その貫通部3内に振子マス2が収容されている。貫通部3の外周側の内壁面は、振子マス2が遠心力によって押し付けられる面であって、回転体1の中心から半径方向で外側にずれた所定の点を中心とした円弧面あるいはその円弧面に近似したサイクロイド曲面に形成された転動面4となっている。したがって、転動面4はその長手方向での中央部が、回転体1の中心から最も遠く、ここが中立点P0 となっており、その中立点P0 から左右にずれるほど回転体1の中心に次第に近づくようになっている。なお、転動面4をサイクロイド曲面として形成する場合には、中立点P0 を始点とした左右の両側がサイクロイド曲面となっている。転動面4がこのような形状に形成されていることにより、回転体1が回転して振子マス2に遠心力が作用すると、振子マス2は転動面4における中立点P0 に押し付けられ、この状態で回転体1のトルクが変動することにより振子マス2が中立点P0 を挟んで往復動する。
図3は、この発明における振子マス2の一例を示しており、図4は、図3に示すIV-IV線に沿う断面図である。振子マス2は円筒形状の転動部5と、その転動部5の内部であってかつ転動部5の回転中心軸線と同軸上に設けられた回転コア6とを備えている。また、転動部5と回転コア6との間に複数のローラー7が設けられている。なお、ローラー7は図示しない保持器に保持されていてもよい。上述した転動部5および回転コア6の各回転中心軸線は、回転体1の回転中心軸線に対して平行もしくはほぼ平行になっている。上記の転動部5は、回転体1の板厚より僅かに長く形成された円筒形状の部分5aと、その円筒部5aの両端部に円筒部5aの板厚より僅かに長く形成された抜け止め部5bとを有しており、円筒部5aの内周面と、円筒部5aの半径方向で内側における抜け止め部5bの内側壁面とによって溝部5cが構成されている。なお、上記の円筒部5aの外周面が転動面4に接触している。また、転動部5の半径方向で外側であって抜け止め部5bの内側壁面が回転体1の側面に引っ掛かることにより、回転体1の回転中心軸線方向への振子マス2の移動が規制されている。
回転コア6は、上記の転動部5の軸長もしくは幅と同程度の軸長もしくは幅を持った円柱状の部材であって、その外周部に上記の溝部5cと同形状の溝部6aが全周に亘って形成されている。その溝部6cと転動部5の溝部5cとの間に、上述した各ローラー7が配置されている。また、回転コア6の両側面に、回転コア6の回転中心から半径方向で外側に向けて円弧状に湾曲した複数のブレード部8が放射状に取り付けられている。図3に示す例では、回転コア6の回転中心軸線よりも上側に設けられたブレード部8は、矢印Aで示す回転体1の回転方向に凹んでおり、これに対して図3で下側に設けられたブレード部8は、矢印Aで示す回転体1の回転方向に凸となっている。つまり、図3で上側のブレード部8が回転体1の周囲の流体から受ける抗力と、下側のブレード部8が回転体1の周囲の流体から受ける抗力とに差を生じさせることにより、回転コア6を回転させるトルクを発生させるように構成されている。また、回転コア6の一方の側面に取り付けたブレード部8と、他方の側面に取り付けたブレード部8とは、回転コア6を挟んで対称になっている。さらに、各ブレード部8は、図3に示す例では、回転コア6の半径方向で内周側から外周側に向かって、回転中心軸線方向における幅が広くなっている。なお、図3に示す例では、各ブレード部8は回転コア6に所定の固定手段によって固定されている。
このように、この発明に係る捩り振動減衰装置は、全体としてコロ軸受のように構成されている。転動部5がコロ軸受におけるアウターレースに相当する構成となっており、回転コア6がコロ軸受におけるインナーレースに相当する構成となっている。
次に、上述したこの発明に係る捩り振動減衰装置の作用・効果について説明する。回転体1にトルクが作用して回転体1が図1に矢印Aで示す方向に回転し始めると、振子マス2は回転体1の回転中心軸線を中心軸として公転するとともに遠心力によって、転動面4における中立点P0 に押し付けられる。その状態で回転体1のトルクが変動すると、振子マス2が中立点P0 を中心にして往復動する。また、振子マス2が公転すると、回転体1の周囲の流体がブレード部8に衝突する。その場合、上述したように、図3での上側のブレード部8が流体から受ける抗力と、図3での下側のブレード部8が流体から受ける抗力とに差が生じる。またここで、上述したように、転動部5と回転コア6との間にローラー7が設けられている。そのため、この抗力の差に応じたトルクが回転コア6に生じ、そのトルクによって回転コア6が図1や図3に矢印Bで示す方向に回転させられる。つまり回転コア6が転動部5に対して回転する。なお、例えば回転体1がトルクコンバータの内部に設けられている場合には、ブレード部8はトルクコンバータ内の潤滑油から抗力を受ける。また、回転体1が大気中に露出されている場合には、ブレード部8は回転体1の周囲の空気から抗力を受ける。
その結果、ジャイロ効果により回転コア6および振子マス2の姿勢が変化しにくくなり、それらの回転中心軸線が回転体1の回転中心軸線に対して平行あるいはほぼ平行な状態に維持される。そのため、例えばエンジンや車両の走行に伴う振動などの外力が振子マス2に作用しても、振子マス2が回転体1の側面に接触することがなく、あるいは接触するとしても僅かであるから、振子マス2を設計通りに往復動させることができる。またこれにより所期の振動減衰特性を得ることができる。なお、エンジン回転数および回転体1の回転数が「0」に向けて低下している過渡状態であっても、振子マス2の姿勢が変化しにくくなる。
図5は、この発明における振子マスの他の例を示しており、図6は、図5に示すVI-VI線に沿う断面図であり、図7は、図5に示すVII-VII線に沿う断面図である。ここに示す例は、例えば切削によって回転コア6の両側面にブレード部8を一体的に形成した例である。そのため、図5から図7に示す構成の捩り振動減衰装置では、図3および図4に示す例と比較して部品点数を少なくできる。また、図3および図4に示す例と同様に、振子マス2を設計通りに往復動させて所期通りの振動減衰性能を得ることができる。
なお、この発明は上述した例に限定されないのであって、貫通部3の外周側の内壁面を溝状に窪ませ、その溝に転動部5を配置するなど、適宜に形状あるいは構造を変更してもよい。
1…回転体、 2…振子マス、 6…回転コア、 8…ブレード部。
Claims (1)
- 回転体の半径方向で外側部分に設けられ、その回転体のトルク変動によって揺動する振子マスを備えた捩り振動減衰装置において、
前記振子マスは、前記振子マスの中心を通りかつ揺動方向に対して垂直な軸線を中心に回転させられる回転コアを有し、
前記回転コアは、前記振子マスが前記回転体の回転中心軸線を中心軸として公転することにともない前記回転体の周囲の流体から抗力を受けることにより前記回転コアを回転させるブレード部を備えていることを特徴とする捩り振動減衰装置。
Priority Applications (1)
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JP2013225390A JP2015086934A (ja) | 2013-10-30 | 2013-10-30 | 捩り振動減衰装置 |
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JP2017141867A (ja) * | 2016-02-09 | 2017-08-17 | トヨタ自動車株式会社 | 振動低減装置の製造方法 |
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2013
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