JP2015086485A

JP2015086485A - 手指で容易に切断しうる糸

Info

Publication number: JP2015086485A
Application number: JP2013226183A
Authority: JP
Inventors: 孝典尾崎; Takanori Ozaki
Original assignee: Unitika Trading Co Ltd
Current assignee: Unitika Trading Co Ltd
Priority date: 2013-10-31
Filing date: 2013-10-31
Publication date: 2015-05-07

Abstract

【課題】太繊度かつ高引張強度であるにも拘わらず、手指で容易に切断しうる糸を提供する。【解決手段】セルロース短繊維群が引き揃えられてなり、実質的に撚られていないスライバーを２本準備する。セルロース短繊維の繊度は０．４〜５．０デシテックスで、繊維長は１０〜６０ｍｍ、スライバーの重量は０．０７５〜１．５ｇ／ｍである。スライバー２本を撚糸機に通して、スライバー２本間に、１．０〜７．０回／インチの撚りを掛け、重量が０．１５〜３．０ｇ／ｍの糸を得る。この糸は、撚糸機で掛けた撚りを手指で解撚すると、２本のスライバーに分離して、手指で容易に引きちぎることができる。【選択図】なし

Description

本発明は、十分な引張強度を有するにも拘わらず、手指で容易に切断しうる糸に関するものである。

従来より、手指で容易に切断しうる易切断性糸としては、比較的低繊度かつ低引張強度のものが知られている（特許文献１）。特許文献１において、低繊度とは５０デニール（５５デシテックス）以下のことであり、また低引張強度とは２〜３ｇ／デニール（≒２〜３ｇ／デシテックス≒０．０２Ｎ／デシテックス〜０．０３Ｎ／デシテックス）で糸としての引張強度は約１．７Ｎ以下のものである。かかる易切断性糸は低引張強度のため、仮止め用であり、後に切断することが前提とされているものである。

したがって、後に切断することが前提となっていない用途には、かかる易切断性糸を用いることができなかった。たとえば、農業用ネットを各支柱に縛る際に用いる糸として、易切断性糸を用いることはできず、縛り終えたとき、糸が巻回されてなるチーズから巻き戻して使用した糸を切断するには、鋏等の切断具が必要であった。かかる作業は、両手で糸を持って支柱に農業用ネットを縛り、その後、片手で切断具を取り出して糸を切断しなければならず、煩雑であるという欠点があった。

特開２０００−１８５８号公報

本発明は、太繊度かつ高引張強度であるにも拘わらず、手指で容易に切断しうる糸を提供することにある。したがって、仮止め用ではなく、後に切断することを前提としない用途に用いうる糸であって、当該用途に使用中において切断する必要が生じたときには、手指で容易に切断しうる糸を提供することにある。

本発明は、糸の構成を工夫することにより、上記課題を解決したものである。すなわち、本発明は、セルロース短繊維群が引き揃えられてなり、実質的に撚られていないスライバー２本間に、１．０〜７．０回／インチの撚りを掛けてなることを特徴とする手指で容易に切断しうる糸に関するものである。

本発明に係る糸は、セルロース短繊維群が引き揃えられてなるスライバー２本で構成されている。そして、スライバーを構成しているセルロース短繊維群相互間には、実質的に撚りが施されていないものである。かかるスライバーは、セルロース短繊維群が引き揃えられているだけなので、軸方向に引っ張ると、容易に切断しうるものである。すなわち、セルロース短繊維は、数十ｍｍの繊維長を持つものであるので、繊維長以上の間隔を置き両手の手指で把持してスライバーを引っ張ると、短繊維群相互間が素抜けて、切断しうるのである。短繊維群相互間が素抜けるのは、１本の短繊維が両手の手指で把持されていないことと、短繊維相互間が撚られていないことからである。したがって、繊維長が原則として無限である長繊維を用いることはできず、短繊維であっても撚りが掛けられているスライバーは用いることができないのである。

具体的に使用するセルロース短繊維としては、繊維長が１０〜６０ｍｍで繊度が０．４〜５．０デシテックスのものであるが好ましい。繊維長が１０ｍｍ未満のものでは、開繊機にかかりにくく、スライバーが作成しにくくなる。繊維長が６０ｍｍを超えると、６０ｍｍを超える間隔を置かないと、切断しにくくなるので実用性に欠ける。セルロース短繊維としては、コットンやリヨセル等が用いられるが、これらの繊度は一般的に０．４〜５．０デシテックス程度である。

スライバーの重量は０．０７５〜１．５ｇ／ｍ程度であり、デシテックスに換算すると７５０〜１５０００デシテックス程度である。本発明に係る糸は、２本のスライバーで構成されているから、糸の重量は０．１５〜３．０ｇ／ｍ程度であり、デシテックスに換算すると１５００〜３００００デシテックス程度である。したがって、糸の英式綿番手は、３〜０．２番手程度となる。英式綿番手が３番手を超えると、糸の重量が少なくなり糸が細くなって、糸自体が切断されやすくなり、実用性に欠ける。また、英式綿番手が０．２番手未満になると、糸の重量が重くなり、実用性に欠ける。

２本のスライバーには、撚りが掛けられて糸となっている。撚り数は１．０〜７．０回／インチである。撚り数が１．０回／インチ未満であると、糸として引張強度が低下し、糸自体が切断されやすくなるので好ましくない。撚り数が７．０回／インチを超えると、手指で解撚しにくくなるので好ましくない。

本発明に係る糸は、農業用ネットを各支柱に縛る際に用いる糸として好適に用いうることができる。また、本発明に係る糸は、その他の各種用途にも用いることができる。たとえば、手指で切断しない用途にも用いることができ、編織物等の構成糸としても用いることができる。

本発明に係る糸は、２本のスライバーに掛けられている撚りを手指で解除することにより、容易に引きちぎれるという効果を奏する。すなわち、２本のスライバーに掛けられている撚りの方向と逆方向に手指で解撚すると、引き揃えられた短繊維群よりなる２本のスライバーに分離し、各スライバーは軸方向に手指で引っ張ることにより、短繊維相互間が素抜けて、容易に切断しうるという効果を奏するのである。

実施例１
繊度１．３デシテックス、繊維長３８ｍｍの溶剤紡糸セルロース短繊維群（レンチングファイバー社製、商品名「テンセル」）を、混打綿、カード（開繊機）、練条及びドラフトの各工程に通して、セルロース短繊維群が引き揃えられてなるスライバーを得た。このスライバーの重量は、０．７４ｇ／ｍであった。このスライバー２本を燃糸機に通して、撚り数１．７回／インチで撚りを掛けて、糸を得た。この糸の重量は、１．５ｇ／ｍであり、英式綿番手に換算すると０．４番手の糸であった。

この糸の引張強度を、ＪＩＳＬ１０９５に記載の方法に準拠して、試料長２５ｃｍで引張速度２５ｃｍ／分の条件で測定したところ、３２１．１Ｎであった。この糸は、十分に高強力なものでありながら、撚糸機で掛けた撚りを手指で解撚すると、２本のスライバーに分離して、両手で１０ｃｍ程度の間隔を置いて引っ張ると、容易に切断しうるものであった。

比較例１
撚り数を０．５回／インチに変更する他は、実施例１と同一の方法で糸を得た。この糸の引張強度は７８．３Ｎであり、各種用途に汎用的に使用しうる強度を持つものではなかった。

比較例２
撚り数を１０．０回／インチに変更する他は、実施例１と同一の方法で糸を得た。この糸の引張強度は３９２．６Ｎであり、十分に高強力なものであった。しかしながら、手指で解撚しにくく、２本のスライバーに分離しにくく、手指で容易に切断しうるものではなかった。

Claims

セルロース短繊維群が引き揃えられてなり、実質的に撚られていないスライバー２本間に、１．０〜７．０回／インチの撚りを掛けてなることを特徴とする手指で容易に切断しうる糸。
セルロース短繊維の繊度が０．４〜５．０デシテックスである請求項１記載の糸。
セルロース短繊維の繊維長が１０〜６０ｍｍである請求項１記載の糸。
スライバーの重量が０．０７５〜１．５ｇ／ｍで、糸の重量が０．１５〜３．０ｇ／ｍである請求項１記載の糸。