JP2015086137A - ユズ種子抽出物含有組成物、食品および医薬品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ユズ種子抽出物由来のリモノイドアグリコンを含有し、血糖降下用であることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
この柑橘類のなかでも、特に、ユズ(学名:Citrus junos)については、最近の研究において、様々な優れた機能を有するとの報告がなされている。
つまり、特許文献1および特許文献2には、ユズ抽出物の用途(ヒアルロン酸産生能促進用、角質剥離用)が開示されている。
(1)ユズ種子抽出物由来のリモノイドアグリコンを含有し、血糖降下用であることを特徴とするユズ種子抽出物含有組成物。
(2)前記リモノイドアグリコンは、リモニン、ノミリン、デアセチルノミリン、およびオバクノンを含んで構成されることを特徴とする前記(1)に記載のユズ種子抽出物含有組成物。
(3)前記リモノイドアグリコンを2.5〜4質量%含有することを特徴とする前記(1)または前記(2)に記載のユズ種子抽出物含有組成物。
(4)前記(1)ないし前記(3)のいずれか1つに記載のユズ種子抽出物含有組成物を含有することを特徴とする食品。
(5)前記(1)ないし前記(3)のいずれか1つに記載のユズ種子抽出物含有組成物を有効成分として含有することを特徴とする医薬品。
本実施形態に係るユズ種子抽出物含有組成物(以下、適宜「組成物」という)は、血糖降下用であることを特徴とする。
また、本実施形態に係る組成物は、ユズ種子抽出物由来のリモノイドアグリコンを含有することを特徴とし、リモノイドアグリコンは、リモニン、ノミリン、デアセチルノミリン、およびオバクノンを含んで構成されることが好ましい。
以下、本実施形態に係るユズ種子抽出物含有組成物について、まず、ユズ種子抽出物および用途について説明し、その後、組成物の構成を説明する。
ユズ種子抽出物とは、ムクロジ目ミカン科ミカン属(柑橘類)のユズ(学名:Citrus junos)の種子から抽出して得られる抽出物である。
なお、発明者らは、ムクロジ目ミカン科ミカン属に属する複数の果実の様々な部位の組成等を確認したところ、ユズの中でも特に種子部分の抽出物に、血糖降下という機能を向上させるリモノイドアグリコンが多く含まれていることを確認した。
よって、ユズ種子抽出物のリモノイドアグリコンを用いることにより、少量の原料(ユズ種子)から多量のリモノイドアグリコンを得ることができるため、原料の使用量や原料コストを抑えることができるとともに、製造工程における抽出作業の負担の軽減や抽出時間の短縮にもつながる。
本実施形態に係るユズ種子抽出物含有組成物の新規な用途としては、次に示す用途が存在する。
血糖降下用とは、血糖値やHbA1cを降下させるという用途であり、詳細な用途としては、血糖降下用食品(健康食品)や血糖降下用医薬品である。
なお、HbA1cとは、ヘモグロビンのβ鎖のN末端のバリンにグルコースが安定的に結合したものを測定し、全体のヘモグロビン量に占める割合を算出して求められる値である。
本実施形態に係る組成物は、リモノイドアグリコン、リモノイドグリコシドを含んで構成される。
[リモノイドアグリコン]
リモノイドアグリコンは、ユズ種子抽出物由来のもの(ユズ種子抽出物に含まれているもの)であり、血糖値およびHbA1cを低下(降下)させるという効果を発揮する化合物群である。
リモニン(C26H30O8)とは、以下の構造式により表される。
ノミリン(C28H34O9)とは、以下の構造式により表される。
デアセチルノミリン(C26H32O8)とは、以下の構造式により表される。
オバクノン(C26H30O7)とは、以下の構造式により表される。
リモノイドグリコシドは、ユズ種子抽出物由来のもの(ユズ種子抽出物に含まれているもの)であり、前記したリモノイドアグリコンに糖が結合(グリコシド結合)した化合物群である。
本実施形態に係る組成物は、前記したリモノイドアグリコンおよびリモノイドグリコシド以外にも、抽出残渣である糖類などを含んでいてもよい。
また、本実施形態に係る組成物は、食品や医薬品等の素材(材料)として好適に用いる形態とするため、例えば、粉末状、顆粒状、粒状、ペースト状、ゲル状、固形状、カプセル型、または、液体状とすることができる。
≪食品≫
本実施形態に係る食品とは、前記した組成物を含有する食品であり、血糖降下用の健康食品として利用することができる。
そして、本実施形態に係る食品とは、例えば、菓子、パン、牛乳、各種飲料、うどん、そば、パスタ、米飯、調味料、香辛料、惣菜、油脂含有食品、酒類、清涼飲料が挙げられる。なお、本実施形態に係る食品は、前記した食品の種類に応じて、当業者に公知の各種成分を配合して構成すればよい。
≪医薬品≫
本実施形態に係る医薬品とは、前記した組成物を有効成分として含有する医薬品であり、血糖降下用の医薬品として利用することができる。
そして、本実施形態に係る医薬品とは、薬剤としての操作性、あるいは生体に投与された際の吸収性等を向上させるため、前記した組成物を、常法に従い適当な賦形剤等の医薬品用担体と組合せて製剤化することが好ましい。
また、本実施形態に係る医薬品は、種々の剤型での投与が可能であり、例えば、経口投与剤としては、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、細粒剤、シロップ剤、ドライシロップ剤が挙げられる。また、非経口投与剤としては、軟膏、経皮吸収性テープ等の経皮吸収剤、注射剤、坐薬、膣坐薬、噴霧剤等の経鼻投与剤が挙げられる。
≪ユズ種子抽出物含有組成物等の製造方法≫
本実施形態に係るユズ種子抽出物含有組成物の製造方法を下記の通り説明する。
これらのうち好ましくは、エタノール(10体積%以上100体積%以下)、メタノール(10体積%以上99.5体積%未満)、1−ブタノール(30体積%以上99.5体積%未満)、ヘキサン(5体積%70体積%未満)及び水から選択される有機溶媒を用いることができ、より好ましくは、エタノール又は水を用いることができ、最も好ましくはエタノールを用いることができる。
例えば、極性溶媒として、10体積%以上100体積%以下のエタノール溶媒を用いることができ、好ましくは50体積%以上100体積%以下のエタノール溶媒を用いることができ、より好ましくは70体積%程度のエタノール溶媒用いることができる。なお、70体積%のエタノール溶媒とは、水とエタノールの体積比3:7の混合物を指す。
(実験飼育の条件)
糖尿病発症モデルマウスとして3週齢のKKAyマウスを日本クレアより購入し、7日間の予備飼育後に実験飼育を行った。なお、マウスの飼育条件は、温度23±1℃、湿度55±10%、午前7時〜午後7時の間点灯(その他は消灯)、水と飼料は自由摂取させた。
実験飼料は、AIN−93Gを用い、これにユズ種子抽出物を1質量%または3質量%となるように、あるいはピオグリタゾンを0.03質量%となるように混餌して投与した。
コントロール群、ユズ種子抽出物1質量%添加群、ユズ種子抽出物3%添加群、ピオグリタゾン0.03質量%添加群は、各群10匹で7日間の予備飼育後、28日間実験飼料で飼育した。
実験飼育開始後、所定日数経過した日の午前9〜11時の間に尾静脈より採血し、血糖値検査装置(HORIBA社製、アントセンスIII及びバイエル社製、DCA2000)を用いて血糖値およびHbA1cを計測した。そして、計測した血糖値およびHbA1cについて、各群の平均値を算出した。
なお、実験において計測および算出したHbA1cは、全てJDS値である。
なお、図中の「p<数値vs control」とは、control群に対してp値が表記した数値より小さいという意味である。
図1の結果が示すように、コントロール群は、日数が経過するにしたがい血糖値が上昇しているのに対し、ユズ種子抽出物添加群は、血糖値の上昇を抑制し、血糖値を低下させていることがわかる。そして、ユズ種子抽出物1質量%添加群の結果から、血糖値低下の効果を十分に確認することができ、特に、ユズ種子抽出物3%添加群の結果は、0日目よりも14、27日目の血糖値の方が低くなるとともに、ピオグリタゾンを投与した群と比較しても、同等以上の血糖値低下の効果を確認することができた。
実験飼育の条件、実験結果の測定方法については、前記実験1と同様の条件(ただし各群8匹または9匹)および方法を用いた。
実験飼料についても、前記実験1と基本同様のものを用いているが、実験飼料にユズ種子抽出物(飼料中3質量%)を含有させた飼料以外にも、リモノイドアグリコン、リモノイドグリコシド(ともにユズ種子抽出物群の摂取量と等量になるように調製)を含有させた飼料を使用した。
なお、リモノイドアグリコンおよびリモノイドグリコシドは、ユズ種子抽出物から分画して得られたものを使用した。
図3の結果が示すように、リモノイドグリコシド添加群は、7日目ではコントロール群と比較し血糖値の上昇をある程度抑制できているが、日数が経過するにしたがいコントロール群が示す血糖値と略同じ値を示す結果となった。
一方、リモノイドアグリコン添加群は、7日目以降、コントロール群と比較し、大幅に血糖値を低下させるという結果となった。また、リモノイドアグリコン添加群は、ユズ種子抽出物添加群(図3中のtotal)が示す血糖値と略同じ値を示す結果となった。
また、実験飼料としてリモノイドアグリコンを所定量含有(2.5質量%、4質量%)させたもので、実験2と同様の実験を行ったが、いずれの実験結果も、血糖値およびHbA1cを低下させるという結果となった。よって、リモノイドアグリコンを2.5〜4質量%含有するユズ種子抽出物であれば、血糖値およびHbA1cを低下させる効果を確実に発揮できることも確認できた。
実験2で得られたリモノイドアグリコンをシリカゲルカラム(daisogel 1002A IR60−40/63A)を用いて分画し、4種のリモノイドアグリコンを得た。これらのサンプルを定法に基づきLC−MS解析に供した結果を図5〜8に示す。
図5から、このサンプルのm/zは473.2162であり、このリモノイドアグリコンがデアセチルノミリン([M+H]+は473.2175)であることがわかる。また、図6から、このサンプルのm/zは471.2006であり、このリモノイドアグリコンがリモニン([M+H]+は471.2019)であることがわかる。また、図7より、このサンプルのm/zは515.2283であり、このリモノイドアグリコンがノミリン([M+H]+は515.2281)であることがわかる。また、図8より、このサンプルのm/zは455.2055であり、このリモノイドアグリコンがオバクノン([M+H]+は455.2070)であることがわかる。
Claims (5)
- ユズ種子抽出物由来のリモノイドアグリコンを含有し、
血糖降下用であることを特徴とするユズ種子抽出物含有組成物。 - 前記リモノイドアグリコンは、リモニン、ノミリン、デアセチルノミリン、およびオバクノンを含んで構成されることを特徴とする請求項1に記載のユズ種子抽出物含有組成物。
- 前記リモノイドアグリコンを2.5〜4質量%含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のユズ種子抽出物含有組成物。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のユズ種子抽出物含有組成物を含有することを特徴とする食品。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のユズ種子抽出物含有組成物を有効成分として含有することを特徴とする医薬品。
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