以下、本発明の一実施形態を、図1〜図22を参照して説明する。
この実施形態は、本発明を、オフィス等において好適に使用される事務用回転椅子である椅子Aに適用したものである。
椅子Aは、椅子本体Cに物品たる災害対応用品セットBを装着したものである。
椅子本体Cは、下端にキャスタ11を有した脚1と、この脚1に支持された支持基部2と、この支持基部2の上に配された座支持部材3と、この座支持部材3の上に支持された座4と、基端部を前記支持基部2に枢着した背支桿5と、この背支桿5に支持された背凭れ6とを具備してなる。以下、詳述する。
脚1は、先端部下面にキャスタ11を備え放射状に配された複数本の脚羽根12と、これら脚羽根12の集合部分に立設された脚支柱13と、この脚支柱13の主要部をなすガススプリング131とを具備してなる。ガススプリング131は、脚羽根12に固定されたシリンダ131aとこのシリンダ131aに対して昇降可能なロッド131bを備えた通常のものでロッド131bの先端部に前記支持基部2が装着されている。ガススプリング131の先端には、当該ガススプリング131のロック及びロック解除を行うための操作ボタン131cが設けられている。操作ボタン131cの操作は、支持基部2に回転可能に取り付けられた昇降操作用レバー24により行われる。
支持基部2は、支持基部本体21と、この支持基部本体21の下面側を覆う支持基部カバー22とを備えたものである。
支持基部本体21は、金属製のもので、底壁211と、この底壁211の両側辺から立設された左右の側壁212と、前記底壁211の後辺に立設された後壁213と、前記底壁211の後半部分に対応させて前記両側壁212間に設けられた天壁214とを備えたもので、前記ガススプリング131のロッド131bが前記底壁211及び天壁214に貫着されている。前記両側壁212の前端側には、後述するブッシュ26を取り付けるための前後方向に延びる取付孔(図示せず)が形成されている。後壁213には後述する背傾動ロック機構8を構成するロック孔213aが上下方向に所定の間隔をあけて複数列設けられている。支持基部2の前半部には前記取付孔に装着されたブッシュ26の長孔261に関連させて後述する傾動反力発生機構が収容されている。なお、長孔261内には、前後方向に移動する往復動部材たる前軸j1が配されている。
支持基部カバー22は、樹脂製のもので、脚支柱13が通過する通過孔221aが形成された底壁221と、この底壁221の前縁から斜め前方に延びた傾斜壁222と、この傾斜壁222の前端縁から立設された前壁223と、前記底壁221及び傾斜壁222の左右両側縁からそれぞれ立設された左右の側壁224とを備えている。傾斜壁222は、外面側に取扱説明書を取り付けるための説明書取付部222aを備えている。
座支持部材3は、金属製のもので、天壁31と、この天壁31の左右両側縁からそれぞれ下方に垂下させた左右の側壁32と、これら各側壁32の下縁から外方に向けて延出させた鍔33とを備えたものである。左右の側壁32の前端部は、前記支持基部2に配されたブッシュ26の長孔261に挿通された前軸j1を介して支持基部2に前後動可能に支持されている。左右の側壁32の後端部は、前記背支桿5の途中に後軸j2を介して枢着されている。
座4は、前記座支持部材3に固定された座受である座アウターシェル41と、上面を座面4sとしており前記座アウターシェル41上に案内レール機構43を介して前後方向に移動可能に配された座本体42と、座本体42を座アウターシェル41に対して移動不能にロックするためのロック機構44とを備えたものである。
座アウターシェル41は、合成樹脂製のもので、下面側の中央部分に前記座支持部材3が収容される凹陥部411を有するとともに上面に補強用のリブ412を備えており、前記座支持部材3の鍔33上にビスv1を用いて固定されている。座アウターシェル41の上面には、先端部stが基端部ktよりも幅広に形成された突起413が複数本突設されている。座アウターシェル41の下面には、前記ロック機構44を構成するレバーユニット45を取り付けるためのレバーユニット取付部414が設けられている。
座本体42は、座アウターシェル41の上に前後方向にスライド可能に配された座インナーシェル421と、この座インナーシェル421の上に設けられた座クッション(図示せず)と、この座クッション及び座インナーシェル421の周縁部を包みこむ張地である外装材422とを備えている。
座インナーシェル421は、合成樹脂製のもので、前記座アウターシェル41の突起413と協働して前記案内レール機構43を構成する前後方向に延びる複数本のスリット421aを備えている。各スリット421aは、平面視において前記突起413の基端部ktに対応した幅寸法を有する幅狭部wnと、この幅狭部wnに連続して設けられ前記突起413の先端部stの通過を許容する幅寸法を有する幅広部wmとを備えている。すなわち、座本体42は、座アウターシェル41から離脱できない状態で当該座アウターシェル41に対してスライド移動可能なスライド領域rsと座アウターシェル41から離脱可能な離脱領域rdとに位置させることができるものであり、スライド領域rsにおいては突起413がスリット421aの幅狭部wnに位置し、離脱領域rdにおいては突起413がスリット421aの幅広部wmに位置するようになっている。そして、レバーユニット45が座アウターシェル41のレバーユニット取付部414に正規の姿勢で取り付けられた場合に、離脱禁止部451aによって座本体42が離脱領域rdに移動できないように構成している。
レバーユニット45は、上面に突起状をなす離脱禁止部451aを備えたフレーム451と、このフレーム451に上下方向に回動可能に支持され一端側を操作端452bとして外部に露出させるとともに他端側に係合爪452aを備えたレバー452と、前記レバー452を前記係合爪452aが上方に突出する方向に付勢するスプリング453とを備えたものである。そして、フレーム451を、座アウターシェル41のレバーユニット取付部414にビスv2を用いて取り付けた状態で、離脱禁止部451aが座アウターシェル41に設けた第一の窓415を介して座アウターシェル41上に突出するとともに、係合爪452aが座アウターシェル41に設けた第二の窓416を介して座アウターシェル41上に突出するようにしてある。座インナーシェル421の第一の窓415に対応する部位には離脱禁止部451aが挿入される溝421bが形成されている。この溝421bの前後方向の長さ寸法はスライド領域rsに略対応させてある。すなわち、座本体42が、スライド領域rs外にスライドしようとした場合には、当該離脱禁止部451aが溝421bの端部に当接して座本体42が離脱領域rdにまで移動することができないようになっている。換言すれば、離脱禁止部451aは、座本体42の座アウターシェル41に対する前後方向のスライド範囲を規制するためのスライド範囲規制手段46を兼ねているものである。スライド範囲規制手段46は、溝421bと離脱禁止部451aとを主体に構成されている。
座インナーシェル421の第二の窓415に対応する部位には、前記レバーユニット45の係合爪452aが選択的に係合する複数の係合爪係合部421cが前後方向に間隔をあけて設けられている。すなわち、このレバーユニット45と前記複数の係合爪係合部421cとによって、座本体42を座アウターシェル41に対して移動不能にロックするためのロック機構44が構成されている。換言すれば、前記ロック機構44は、前記座受たる座アウターシェル41に設けられフレーム451に支持されたレバー452を操作することにより係合爪452aがロック位置plとロック解除位置puとの間で作動するレバーユニット45と、座本体42に設けられ前記レバーユニット45の係合爪452aが係脱する係合爪係合部421cとを備えたものであり、前記レバー452の操作端452bを上方に回動操作して係合爪452aと係合爪係合部421cとの係合を一時的に解除し前記係合爪452aを異なった孔である係合爪係合部421cに係合させることにより座本体42の座アウターシェル41に対する位置を変更することができるようになっている。
このように、レバーユニット45は、座アウターシェル41に正規の姿勢で取付けられた場合に前記座本体42が座アウターシェル41から離脱するのを禁止するとともに前記正規の姿勢を解除した場合に前記座本体42が座アウターシェル41から離脱するのを許容する離脱禁止部451aを備えたものであるため、レバーユニット45を座アウターシェル41から取り外すことにより座インナーシェル421を離脱領域まで移動させることが可能になり座アウターシェル41から取り外すことができる。
背支桿5は、基端部を主軸j3を介して支持基部2に支持された背支桿本体51と、この背支桿本体51の基端側をカバーする下の背支桿カバー52と、上の背支桿カバー53とを具備してなる。
背支桿本体51は、板材により構成された下部フレーム511と、主にパイプ材により構成された上部フレーム512とを備えたものである。下部フレーム511は、支持基部2における側壁224の外面側に近接配置された左右の支持板511aとこれら支持板511aを剛結する立体構造をなす横架材511bとを具備してなる。
左右の支持板511aは、鋼板により作られた平板状のもので、前端部が主軸j3を介して支持基部3に回動可能に支持されている。左右の支持板511aの後端部には、上部フレーム512を剛結するためのパイプ取付部511cを備えている。横架材511bは、上方に開放されたチャンネル状のもので、両端を溶接継ぎ手を介して前記支持板511aの内側面に剛結されている。具体的には、横架材511bは、底壁x1と、この底壁x1の前縁に立設した前壁x2と、この前壁x2に対面させて前記底壁x1の後縁に立設した後壁x3とを備えたものである。
上部フレーム512は、基端部を前記パイプ取付部511cに溶接継ぎ手を介して剛結されたパイプ材512aと、これらパイプ材512aを結合する下ブラケット512b及び上ブラケット512cとを備えたものである。前記下ブラケット512b及び上ブラケット512cは前記パイプ材512aに溶接継ぎ手を介して剛結されたもので、これら下ブラケット512b及び上ブラケット512cに前記背凭れ6が取付けられるようになっている。
そして、この背支桿5と前記支持基部2との間に、背凭れ6を所望の後傾位置でロックするための背傾動ロック機構8が設けられている。背傾動ロック機構8は、背支桿5に設けられた係合部材513を支持基部3の壁を利用して設けられたロック孔213aに係合させて背支桿5を所定の傾動位置にロックできるようにしたものである。すなわち、この背傾動ロック機構8は、支持基部2の後壁213に複数列の係合部たるロック孔213aを上下方向に間隔をあけて設けておき、背支桿5に保持されて移動する係合部材513をそれらロック孔213aの何れかに選択的に係合することができるようにしたものである。具体的には、前記係合部材513は、前記背支桿5の横架材511bの前壁x2及び後壁x3の下端に設けられたスリットにより前後動可能に保持された板状のもので、その前縁に前記ロック孔213aのいずれかの列に係合可能な突起513aを備えている。係合部材513は、付勢機構8aにより前方に弾性付勢されるロック可能状態と後方に弾性付勢されるロック解除状態(図示せず)のいずれかの状態におかれる。付勢機構8aは、ロック位置Paとロック解除位置Pbとの間で移動操作可能な後傾ロック操作レバー514と、この後傾ロック操作レバー514がロック位置Paにある場合に係合部材513を前方に弾性付勢するとともに前記後傾ロック操作レバー514がロック解除位置Pbにある場合に係合部材513を後方に弾性付勢するねじりコイルスプリング515とを具備してなる。ねじりコイルスプリング515は、一端を前記後傾ロック操作レバー514に支持させるとともに他端を係合部材513に支持させたものであり、前記後傾ロック操作レバー514をロック位置Paからロック解除位置Pbまで移動させる際に思案点を通過して前記係合部材513に対する付勢方向が反転するように配置されている。この実施形態における付勢機構8aは、後傾ロック操作レバー514がロック位置Paにある場合は前記係合部材513を前方に付勢し、後傾ロック操作レバー514がロック解除位置Pbにある場合は前記係合部材513を後方に付勢するように構成されている。
下の背支桿カバー52は、座面4aよりも下に設けられており、ベルト等の支持部材Eによって吊り下げ支持された物品である災害対応用品セットBが添接し得る添接部521を備えている。添接部521は、災害対応用品セットBにおける収納部材B2の側面側が添接し得る縦部たる立壁521aと前記収納部材B2の上面側が添接し得る横部たる天壁521bとを備えたものである。そして、立壁521a及び天壁521bを主体にして災害対応用品セットBを配するための空間spが形成されている。すなわち、添接部521は背支桿5に配されたものであり、前記縦部が前記背支桿5に形成された立壁521aであり、前記横部が前記背支桿5に形成された天壁521bである。
具体的に説明すれば、前記下の背支桿カバー52は、支持基部2及び背支桿5の下部フレーム511の一部を下側から覆う底壁522と、この底壁522の後端から上方に立ち上がる前記立壁521aと、この立壁521aの上端から後方に延びる前記天壁521bと、これら天壁521b、立壁521a、及び底壁522の両側に一体に設けられた左右の側壁524とを備えた合成樹脂製のもので、前記天壁521bと立壁521aとによって、側面視L字状の部位を形成している。このようにして立壁521aと天壁521bとを備えた物品の取付部である添接部521によって囲まれた前記空間spは、前記支持基部3の後方に形成されており、この空間spに前記天壁521b及び立壁521aに添接させた状態で物品である災害対応用品セットBが配されている。災害対応用品セットBは、収納部材B2に災害発生時に応急的に対応するための頭部保護用帽子や懐中電灯等の災害対応用品を収納させたものである。
上の背支桿カバー53は、背支桿5の下部フレーム511と上部フレーム512の結合部分を覆うためのもので、ボルト挿通孔(図示せず)を通して下の背支桿カバー52のナット部521cに螺着したボルト(図示せず)により背支桿本体51に取付けられている。
背凭れ6は、背凭れ本体61とこの背凭れ本体61の後に配された背アウターシェル62とを備えたものである。
背凭れ本体61は、背インナーシェル612と、この背インナーシェル612の前面に添接させた背クッション(図示せず)と、この背クッション及び前記背インナーシェル612の周縁部を覆う張地である外装材613とを具備している。背インナーシェル612は、背アウターシェル62により覆われる背アウターシェル取付領域612aと、この背アウターシェル取付領域612aよりも上に延出する上部延出領域612bとに区成される合成樹脂製のもので、前記背アウターシェル取付領域612aは囲繞壁yaにより包囲されている。背アウターシェル取付領域612aの背面側には、多数の縦リブyb及び横リブycが格子状に設けられており、これら縦リブyb及び横リブycを避ける位置に、上下の背支桿取付部ydと、背アウターシェル62の周縁部を取付けるための複数のボス部yeと、前記背アウターシェル62の上縁部を固定するためのナット部yfとが設けられている。上部延出領域612bは、背面側に多数の縦リブyg及び横リブyhを備えたもので、前面及び背面のすべてが外装材613により覆われている。
背アウターシェル62は、背アウターシェル本体621と、この背アウターシェル本体621の上部に配され使用者が把持し得るハンドル部622を有したハンドルユニットHUと、前記ハンドル部622の下側に形成された手指挿通用の開口部624の背面視における奥方に配された立壁部623とを備えている。
詳述すれば、背アウターシェル本体621は、前記背インナーシェル612の背アウターシェル取付領域612aに対応する形状をなすもので、その周縁に前記背インナーシェル612の囲繞壁yaの外側に嵌合する周囲壁621aを備えている。なお、背アウターシェル本体621の上端部中間領域には背面側に凹陥部621bが形成されておりこの凹陥部621bに対応する部分は前記周囲壁yaが存在していない。凹陥部621bは、前記ハンドル部622を装着するためのもので、その奥壁wkに前記ハンドル部622を取付けるための取付部621cが設けられている。取付部621cは、平坦な座面zaとこの座面zaに対応する部位に貫設されたボルト挿通孔zbとを備えている。背アウターシェル本体621における背インナーシェル612のボス部yeに対応する部位にはボス部yeに係わり合う凸状部621eが形成されている。
ハンドルユニットHUは、前記背アウターシェル本体621と別体に形成された合成樹脂製のもので、このハンドルユニットHUと背アウターシェル本体621とが、共通のボルトv3により前記背凭れ本体61に対して共締めされている。具体的に説明すれば、ハンドルユニットHUは、前記背アウターシェル本体621の凹陥部621bに嵌合するもので左右の側壁zcと、これら側壁zcの上側に架設されたハンドル部622と、前記側壁zcの下縁部間に架設された下壁zdと、前記側壁zcの前縁部間に架設された前壁zeとを備えたもので、前記ハンドル部622と前記下壁zdとの間に手指を挿入するための開口部624が形成されている。前記前壁zeには、ボルト挿通孔zfが形成されており、このハンドルユニットHUを背アウターシェル62の凹陥部621bに嵌合させた状態で前記前壁zeが前記凹陥部621bの奥壁wkに添接するとともにこの前壁zeのボルト挿通孔zfと前記奥壁wkのボルト挿通孔zbが合致するようになっている。そして、これらボルト挿通孔zf、zbを通過させたボルトv3を背インナーシェル612のナット部yfに螺着することによってハンドル部622と背アウターシェル本体621とを背凭れ本体61に共締めしている。ハンドルユニットHUを背アウターシェル本体621の凹陥部621bに装着した状態では、このハンドルユニットHUの背面と背アウターシェル本体621の背面とが面一に連続するようになっている。なお、ハンドルユニットHUの前壁に設けられたボルト挿通孔zfはボルトv3の頭部を収容するための座ぐり孔zf1を備えており、共締めしたボルトv3の頭部は前記前壁ze内に埋没するようになっている。この状態で、前記前壁zeの背面に立壁部を構成するカバー623を着脱可能に添設している。
カバー623は、ボルトv3の頭部やその周囲の部位を外部から視認されないように覆い隠すとともに開口部624から挿入された手指が奥方に及んだ場合に当接され得るようにしたものである。カバー623は、背面視において前記開口部624を通して背凭れ本体61が視認できない大きさに設定された樹脂製のものである。カバー623は、長方形状のもので下縁にハンドルユニットHUの位置決め孔zgに係合する係合突起623aを有するとともに、上縁に背アウターシェル本体621の係合孔621dに部材の弾性変形を利用して係合する弾性爪623bを備えている。このカバー623は後傾した状態で係合突起623aを位置決め孔zgに係合させた上で前方に回動させることにより前記弾性爪623bが前記係合孔621dに係合してハンドルユニットHUの前壁zeの背面に添接した状態で装着されるようになっている。
以上のようにしてなる椅子本体Cは、図13及び図14に示すように、使用位置(U)からロッキング位置(R)まで背凭れ6を移動させることができるようになっており、後方への押圧力が解消した場合に前記背凭れ6が傾動反力発生機構9の働きにより使用位置(U)に自己復帰するようになっている。そして、シンクロロッキング機構SYの働きにより、背凭れ6を傾動させた場合に、その傾動に連動して座4が一定の割合で傾動するように構成されている。
傾動反力発生機構9は、前記支持基部2内に設けられたもので、対をなすスプリングSと、これらスプリングSの基端部を保持する基端側スプリングリテーナ91と、前記スプリングSの先端部を保持する先端側スプリングリテーナ92とを具備してなるもので、前記スプリングSの付勢力を前記先端側スプリングリテーナ92を介して前軸j1に伝達することにより前記座4及び背凭れ6を使用位置(U)方向に付勢するようになっている。そして、前記基端側スプリングリテーナ91の位置を反力調整機構93により変更することにより前記スプリングSによる付勢力の大きさを変更することができるようになっている。先端側スプリングリテーナ92は、その前面に断面半円形をなす溝921を備えておりその溝921に前記前軸j1の中間部分を保持させている。反力調整機構93は、軸心を左右方向に向けて配設され反力調整レバー94を回転操作することにより軸心回りに当該反力調整レバー94と一体に回転する送りねじ部材941と、この送りねじ部材941に螺着され、当該送りねじ部材941の正逆回転に伴って左右方向に往復動作する進退部材95と、この進退部材95の左右方向への進退動作を前記基端側スプリングリテーナ91の前後方向の位置変化に変換するカム機構96とを備えた通常の構成のものである。
シンクロロッキング機構SYは、座4を支持する座支持部材3の前端側を前軸j1を介して支持基部2に前後移動可能に支持させるとともに前記座支持部材3の後端側を後軸j2を介して背支桿5の途中に支持させたものである。このシンクロロッキング機構SYによれば、背凭れ6を使用位置(U)からロッキング位置(R)まで後傾させた場合に、座支持部材3が後端側を沈み込ませながら後退動作を行うことになり、前軸jが支持基部2に配されたブッシュ26の長孔261に沿って使用位置(U)からロッキング位置(R)にまで移動するようになっている。この椅子本体Cは、前記座4及び背凭れ6のシンクロロッキング動作に伴って往復動作を行う往復動部材たる前軸j1と、この前軸j1を初期位置p2において係止する規制部材25とを具備してなり、前記規制部材25を取付ける前の状態において前記前軸j1が前記スプリングSの付勢力がゼロとなる組み付け位置p1から前記初期位置p2を経由してロッキング位置p3にまで移動し得るように構成しておき、前記前軸j1を前記初期位置p2よりもロッキング位置p3側に移動させた状態で前記規制部材25を後付けできるように構成されている。すなわち、前記長孔261の一端側に前記規制部材25を後付けするための規制部材取付部262が設けられている。
詳述すれば、前記支持基部2の前端部に長孔状をなす取付孔を形成しておき、この取付孔に前軸j1を前後方向に往復動作可能に案内するための長孔261を有した樹脂製のブッシュ26が設けられている。このブッシュ26の前端側に前記長孔261に連続させて前記規制部材取付部262が形成されている。前記長孔261は、前記前軸j1に対応した幅寸法を有しており、前記規制部材取付部262は、前記長孔261の幅寸法よりも大きな開口幅を有したものである。規制部材25は、前記規制部材取付部262に嵌合し得る異形横断面を有する軸状のもので前記長孔261に臨む部位に前軸j1を係止するための係止部251を備えている。前記前軸j1は、通常使用時においては、規制部材25の係止部251に当接する初期位置p2から後方のロッキング位置p3までの間で前後方向に往復動作するようになっている。規制部材25は、内方端に位置決め用の鍔252を有するとともにその鍔252の内側に手指でつまむようにして把持可能なつまみ部253を備えており、そのつまみ部253を摘んで規制部材25を前記規制部材取付部262に内側から挿入することにより後付けできるようにしてある。
なお、この規制部材25と前記ブッシュ26との間には、前記鍔252が前記ブッシュ26に当接する正規の位置まで規制部材25が挿入された状態で相互に係合する抜け止め機構27が設けられている。抜け止め機構27は、規制部材25側に設けられた係合部254と、ブッシュ26側に設けられ前記規制部材25の挿入動作を利用して前記係合部254に弾性係合する弾性爪263とを備えたものである。前記長孔261を形成するブッシュ26と規制部材25は、前記前軸j1の両端部に対応させて支持基部2の左右の側壁212にそれぞれ設けられている。
前記両規制部材25が装着される前の段階においては、前軸j1が前記規制部材取付部262内に進入する位置すなわち前記スプリングSの付勢力がゼロとなる組み付け位置p1に存在することが可能となる。そのため、規制部材25を取付けていない前段階において組み付け位置p1に前軸j1を挿入して無負荷状態で先端側スプリングリテーナ92に当接させ、しかる後に、背凭れ6を後傾させながら前軸j1を前記初期位置p2を通過させてロッキング位置p3方向に移動させその状態で前記各規制部材25を前記各規制部材取付部262にそれぞれ内側から装着する。その状態で背凭れ6に対する後方への押圧力を解除すれば前記スプリングSの付勢力により前記前軸j1が前方に移動し前記規制部材25に当接する初期位置p2で係止されることになる。初期位置p2においては、スプリングSの予圧により前記前軸j1が初期位置p2に安定保持され前記背凭れ6及び座4が使用位置(U)に静止した状態となる。
この実施形態における椅子本体Cは、前記座4及び背凭れ6のシンクロロッキング動作に伴って往復動作を行う往復動部材たる前軸j1と、この前軸j1の動作範囲における略全域に亘って当該前軸j1を対向する二方向から挟圧しその往復動作に摩擦抵抗を与える樹脂製の抵抗部材28とを具備している。
前記抵抗部材28は、前記前軸j1を挟持する対をなす挟圧部281とこれら挟圧部の一端同士を連結する第一の連結部282と前記挟圧部281の他端同士を連結する第二の連結部283とを備えた環状のものである。前記抵抗部材28は、前記挟圧部281間の離間寸法w2を前記前軸j1の直径w1、すなわち前軸j1における挟圧方向の外径寸法w1よりも小さく設定したものであり、部材の弾性反発力により前記両挟圧部281を前記抵抗部材28に弾性的に圧接している。なお、前記挟圧部281間の離間距離w2は、前軸j1の前記外形寸法w1の約5分の3に設定されている。前記抵抗部材28は、前記ブッシュ26に一体的に設けられたものである。抵抗部材28は、前記第一、第二の連結部282、283が前記ブッシュ26に一体化されているとともに前記両挟圧部281の大部分がスリットを介して前記ブッシュ26と離間している。具体的に説明すれば、前記両挟圧部281は板ばね状のものであり、前記第一の連結部282はこれら両挟圧部281の端部を連結する側面視U字状をなすものである。第二の連結部283は、前記規制部材取付部262を兼ねたものであり、この規制部材取付部262と前記第一の連結部282とは前記ブッシュ26と一体化されている。ブッシュ26と抵抗部材28は、POM(ポリアセタール)樹脂を用いて一体に成形されたものである。
この実施形態における椅子本体Cは、以上説明した構造に加え、次のような構成をなしている。この椅子本体Cの背凭れ6は、下半部6bがやや前傾した状態でその両端部が着座者の両側を包囲するように湾曲した幅広な形状をなすものである。上半部6aは、側面視においてくの字状に屈曲する屈曲部6cを介して前記下半部6bに連続するやや後傾したものである。上半部6aは、前記下半部6bよりも幅の狭い形態をなしている。そして、上半部6aよりも前側方に延出した下半部6bの上面6sが肘掛け7の上面7sと略連続するように設定されている。
肘掛け7は、後方に開放された側面視コ字形をなす肘掛本体71と、この肘掛本体71を座4の座アウターシェル41に取付ける取付アーム72とを備えたもので、前記肘掛本体71の上面である肘当て面7sが前記背凭れ6の下半部6bの上面6sに略連続するように設定されている。また、肘掛本体71の下面711は、背凭れ6の下面6uと略連続するように設定されている。このようにしてなる椅子本体Cに前記災害対応用品セットBが装着されている。換言すれば、この椅子Aは、災害時に使用され得る災害対応用品を備えたもので、前記椅子本体Cと前記災害対応用品セットBとを具備してなる。
災害対応用品セットBは、収納部材B2の内部に一人分の内容に略相応する前記災害対応用品を収納させたものであり、この災害対応用品セットBを取り付けるための取付部である添接部521を前記背支桿5に配している。すなわち、災害対応用品は、前記座4の座面4sよりも下の位置に配されている。災害対応用品セットBは、添接部521に添接した状態で背支桿5に対して支持部材Eによって吊り下げ支持されている。この実施形態における支持部材Eは、端部に着脱可能な面ファスナを備えたベルト状の部材を主体に構成されたものであり、上の背支桿カバー53上を通過させて背支桿5に巻回された上で、災害対応用品セットBを吊り下げ支持している。
以下、災害対応用品セットB及び支持部材Eについて図2〜図4を用いて詳述する。
災害対応用品セットBは、ベルト状の部材を主体に構成された支持部材Eによって、外部から視認可能な態様で前記椅子本体Cに対して着脱可能に取り付けられるもので、薄型箱状をなす前記収納部材B2と、図示しない前記災害対応用品とを備えてなる。
収納部材B2は、内部に前記災害対応用品を収容可能な空間を備えた比較的剛性を有したもので、平面視略矩形状をなす底壁B21と、この底壁B21の前縁から上方に延出する前壁B22と、この前壁B22の左右両側縁から後方に延出する左右の側壁B23と、これら左右の側壁B23間に設けられる後壁B24と、この後壁B24の上縁から前方に延出する平面視矩形状をなす天壁B25とを備えている。前記底壁B21及び天壁B25には、当該収納部材B2を金属部分に装着可能にするための図示しないマグネットが設けられている。前記左右の側壁B23及び後壁B24には、災害発生時又は点検時に前記空間内の前記災害対応用品を出し入れ可能にするべく、前記前壁B22を中心に底壁B21及び天壁B25を展開することができるファスナB26が設けられている。また、この収納部材B2は、外面に内容物を把握させるための図示しない表示部を備えている。
収納部材B2は、その全体が前記空間sp内に配される大きさをなしており、図4に示すように収納部材B2の前後幅寸法が前記背支桿5の天壁521bの前後幅寸法と略同一に設定されているとともに、収納部材B2の高さ寸法が前記背支桿5の立壁521aの高さ寸法と略同一に設定されている。また、図3に示すように、収納部材B2の左右幅寸法が前記背支桿5の立壁521a及び天壁521bの左右幅寸法と略同一に設定されている。
災害対応用品は、災害発生時に各個人が安全な場所まで避難するために最低限必要となるアイテムであり、例えば、ガラスなどの飛散物から頭部を保護するセーフティハットや、わずかな息でも人間の耳に届きやすい音の出るホイッスル、ガス漏れの危険がある場所でも使えるセーフティライト、倒壊物などによる粉塵の吸引を防ぐ立体マスク等である。前記セーフティハットは、前頭部、頭頂部に衝撃緩衝材と樹脂シートを内包した折り畳み式の簡易ヘルメットで、後側にはシコロが設けられている。このセーフティハットは、飛散物から頭部や首筋を保護するとともに、撥水加工を施しているので簡易雨具としても使用可能である。なお、この他に、災害対応用品として、けがをした際の応急処置に役立つ救急セット、手の保護や防寒具としても使える滑り止め付きの軍手、乾電池式の携帯電話充電器、バッグに収まらない荷物の運搬に重宝する簡易サブバッグ、非常時の書き置きに最適な耐水性の伝言ラベルと多用途の筆記具のセット、保湿効果抜群で雨具の代わりにもなるアルミブランケット、のこぎりや缶切り・ドライバー等の機能が詰まった多目的ナイフ、移動や作業時の降雨対策に最適なレインコート、長時間にわたる徒歩移動時の靴擦れ対策に最適なクッション材付きの靴擦れ防止シート、水道が止まった際に手拭きや応急手当用として重宝するウェットティッシュ、水の運搬等様々な用途に応用できるビニール袋、ハンドルを繰り返し握ることで発電する電池不要のLEDライト、AM・FMが受信可能な小型ラジオ、小型の白色LEDライト、乾電池、カンパンに代表される食料品等が収納部材B2内に収納されていてもよい。
支持部材Eは、前記上の背支桿カバー52及び前記災害対応用品セットBの収納部材B2を一体的に巻回可能な長さを有するものであり、例えば伸縮不能な素材で作られたものである。詳述すれば、支持部材Eは、前記左右の側壁524の外面側に垂れ下がる変形可能な左右の垂れ下がり部E1と、これら左右の垂れ下がり部E1の上端部間を前記天壁521bの上方で連結する図示しない連結部と、前記左右の垂れ下がり部E1の端部に設けられる図示しない前記面ファスナとを備えている。左右の垂れ下がり部E1の端部同士は、収納部材B2の底壁B21の下側で面ファスナにより結合されている。詳述すれば、災害対応用品セットBの下方には、背支桿カバー52から吊り下げられた支持部材Eのみが存在し、災害対応用品セットBは、その荷重の略全てを支持部材Eで受けるようになっている。
以上説明したように、本実施形態に係る椅子Aは、座面4sよりも下に設けられ支持部材Eによって吊り下げ支持された物品である災害対応用品セットBが添接し得る添接部521を備えているので、椅子本体Cの設計の自由度を不用意に損ねることなしに、着座者や周囲の人々に邪魔にならず、かつ、椅子本体Cの他の構成部位に干渉しない態様で、災害対応用品セットBを椅子本体Cに支持させることができる。すなわち、支持基部2や座4の従来の構造をできる限り生かしたままで、災害対応用品セットBを取り付けることができる。そのため、災害対応用品セットBを吊り下げ支持させた状態で、各自で災害対応用品セットBを個人管理できる。特に、災害対応用品セットBが添接部521にしっかりと縛り付けられて保持されているので、地震の揺れや火災が発生したときに慌てて急に椅子Aを動かしたり、椅子Aを転倒させたりしても、災害対応用品セットBが椅子本体Cから外れることがない。
前記添接部521が、上下方向に伸び前記災害対応用品セットBの側面側が添接し得る縦部と、前後方向に伸び前記災害対応用品セットBの上面側が添接し得る横部とを備えたものである。すなわち、本実施形態では、添接部521が、収納部材B2の前壁B22の前面B28側が添接し得る縦壁521aの背面と、収納部材B2の天壁B25の上面B20が添接し得る天壁521bの下面とを備えたものである。そして、前記縦部である立壁521a及び横部である天壁521bを主体にして、前記災害対応用品セットBを配するための空間spが形成されている。そのため、災害対応用品セットBを前後方向及び上下方向に位置決めさせることができ、ガタつきを抑制することが可能となる。特に、本実施形態は、対向する側部及び後部が開放されたものであるので、災害対応用品セットBの収納状態を外部から容易に視認できる。
脚1に支持された支持基部2と、背凭れ6を支持するとともに基端側を前記支持基部2に枢着させた背支桿5とを備えてなる椅子Aであって、前記添接部521が前記背支桿5に配されているので、着座姿勢からアクセスしやすい背支桿5に災害対応用品セットBを取り付けることができる。また、背凭れ6に後傾荷重がかかって背支桿5及び背凭れ6が後傾動作するのに伴って、添接部521に設けられた災害対応用品セットBが下方に移動する。換言すれば、前記椅子本体Cが、座4及び背凭れ6を連動して後傾させ得るように構成されたものであって、前記災害対応用品セットBが、前記座4及び背凭れ6を後傾した際に、前記椅子本体Cを構成する脚1、支持基部2、背支桿5などの部位に接触し得ない位置に取り付けられている。そのため、このようなシンクロロッキング機構SYを有する椅子Aの通常の使用を妨げずに災害対応用品セットB2を備蓄することができる。
前記横部が前記背支桿5に形成された天壁521bであり、前記縦部が前記背支桿5に形成された立壁521aであるので、背支桿5の下方のデッドスペースを有効活用できる。特に、本実施形態では、収納部材B2の後壁B24の背面B29側が背支桿カバー52の天壁521bの後端部及び背凭れ6の背面側より内方に位置するように設定されている。そのため、当該収容部材B2が邪魔になったり、収容部材B2を他の家具等にぶつけてしまったりするという不具合を抑制できる。
また、本実施形態では、災害対応用品セットBの全体が、前記座面4sより下に配されており、座面4sよりも上側に配されることはない。そのため、例えば椅子本体Cの上部に取り付けられるハンガー等とは異なり、着座者の通常の使用を妨げない位置に災害対応用品セットBを収納させることができる。
特に、前記背支桿5が、背支桿本体51をカバーする背支桿カバー52を備え、この背支桿カバー52の前記天壁521bと立壁521aとによって、側面視L字状の部位を形成しているので、前記空間spを容易に形成できる。すなわち、比較的自由な形状に設計できる合成樹脂製の背支桿カバー52に前記空間spを形成するので、前記災害対応用品セットBを収納しやすい形状に設計できる。換言すれば、災害対応用品セットBの収納部材B2の前壁B22の前面B28側及び天壁B25の上面B20側をそれぞれぴったりと沿わせることのできる立壁521a及び天壁521bを形成することができる。したがって、収容面である前記添接部521に災害対応用品セットBを押し付けて保持させることができる。また、このような背支桿カバー52を背支桿5に取り付けたものであれば、災害対応用品セットBを吊り下げ支持したとき、及び、災害対応用品セットBを吊り下げ支持していないときのいずれの状態であっても、背支桿5の背面側からの外観を良好なものとすることができる。
前記空間spが、前記支持基部2の後部に形成されているので、支持基部2の後方のデッドスペースを有効活用できる。特に、本実施形態では、収納部材B2の底壁B21の下面B27側が支持基部2の下端よりも上方に位置するように設定されているので、当該収容部材B2が邪魔になる等の不具合を抑制できる。
前記支持部材Eが、ベルト状の部材を主体に構成されているので、比較的簡単な構成で災害対応用品セットBを椅子本体Cに取り付けることができる。特に、支持部材Eが、前記椅子本体Cや災害対応用品セットBとは別体に設けられた変形可能なものであるため、椅子本体Cや災害対応用品セットBに特別な加工を施すことなく、災害対応用品セットBを椅子本体Cに取り付けることができる。
また、本発明の物品の一例として本実施形態では、収納部材B2に災害対応用品を収納させた災害対応用品セットBを吊り下げ支持するようにしたので、椅子本体Cの下方のデッドスペースを有効活用して、災害対応用品を備蓄できる。そのため、平時には災害対応用品が通常の着座、具体的には着座者が背凭れ6に凭れた際のロッキング動作や、昇降操作用レバー24、後傾ロック操作レバー514、反力調整レバー94等の操作部の操作の邪魔になることがない。一方、災害時には着座姿勢から手の届く範囲に配された災害対応用品、特に、安全な場所への避難にすぐに役立つ携帯照明具、笛、保護帽、マスク等を備えた場所に簡単にアクセスできるので、緊急時の避難に役立つ。
特に、本実施形態のようなキャスタ11付きの事務用回転椅子Aに災害対応用品を備えたものであれば、災害対応用品として比較的重量のあるものが収容されていても、椅子Aを容易に動かすことができ、通常の執務作業に支障を来すことがない。
本実施形態の災害対応用品は、ケース状の前記収納部材B2に収納されているので、汚れの付着や、劣化又は破損等を抑制することができる。
なお、本発明は、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。
本発明の事務用の椅子は、背凭れを有しないもの、すなわち、脚とこの脚の上に支持される座とを備えたものであってもよい。また、脚がキャスタを備えないものであってもよい。
物品は、支持部材によって吊り下げ支持可能なものであればどのようなものであってもよく、上述した災害対応用品セットには限られず種々変更可能である。また、物品は、収容部材の中に収容されたものに限られず、直接支持部材を介して椅子本体に吊り下げ支持されるものであってもよい。
添接部の大きさ、形状は種々変更可能であり、縦部と横部を備えたものに限られない。例えば、物品の上面側のみで添接部に添接して吊り下げ支持されるものや、図23に示すような物品の側面側のみで添接部に添接して吊り下げ支持されるものが挙げられる。なお、図23では、前記実施形態に対応する部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。図23に示す椅子Aは、下の背支桿カバー52が、収納部材B2の側面側が添接し得る縦部を有する添接部521を備えたものである。そして、災害対応用品セットBは、添接部521に添接した状態で背支桿5に対して支持部材Eによって吊り下げ支持されており、具体的には、支持部材Eの前後方向に延びる延出部の端部同士が、収納部材B2の後壁B24の後ろ側で面ファスナにより結合されている。
また、図24に示すように、添接部521が湾曲形状をなすものであってもよい。なお、図24では、前記実施形態に対応する部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
また、添接部の縦部や横部は、物品を配するための空間を形成するものであればどのようなものであってもよく、例えば、フレームにより形成されたもの等種々変更可能である。すなわち、前記空間が壁体によって形成されたものには限られない。また、前記空間は、壁等によって全方位が囲まれていないものであってもよい。
さらに、添接部の縦部、横部はそれぞれ接地面に対して垂直なもの、水平なものに限られず、傾斜しているものや、湾曲しているものであってもよい。
添接部は、前述した実施形態では前記支持基部に枢着された背支桿に設けられるようにしていたが、この他に、例えば、脚や支持基部、座のアウターシェル、肘掛けの支持桿の下部等、その他の部分に設けられるようにしてもよい。すなわち、座面よりも下に設けられるものであれば、支持基部の後方に限らず、例えば支持基部の側方等種々変更可能である。なお、肘掛けの支持桿の下部に災害対応用品セットを取り付ける際には、昇降操作用レバー、後傾ロック操作レバー、反力調整レバー等の操作部が配されていない側に設けるようにすれば、このような操作部の操作の際にも邪魔にならない。また、背支桿や支持基部に設ける場合には、直接取付部が設けられるものと、背支桿や支持基部の外側に外面に露出するカバーが設けられており、これらのカバーに取付部が設けられるものが考えられる。
支持部材は、前述した実施形態のように収納部材及び椅子本体とは別個独立したものの他、椅子の構成要素の一部を利用したものや、物品側に一体的に取り付けられているもの、収納部材と椅子本体の添接部のうちいずれか一方に一体又は一体的に設けられた係合突部と、この係合突部と係わり合い前記収納部材と椅子本体の添接部のうち他方に一体又は一体的に設けられた係合凹部とを備えたものであってもよい。
具体的な一例としては、図25及び図26に示すように、支持部材Eが、収納部材B2に一体的に設けられた係合突部E21と、この係合突部E21と係わり合い前記背支桿5の添接部521に一体的に設けられた係合凹部E31とを備えたものが挙げられる。詳述すれば、前記係合突部E21は、箱状をなす収納部材B2の天壁B25の上面B20側にビスE22を用いて取り付けられる取付具E2に形成されたものである。この係合突部E21は、前記係合凹部E31に対して前後方向にスライド移動させることによって、当該係合凹部E31に着脱可能なものである。前記係合凹部E31は、外方に向かって開口し、前記背支桿5の背支桿カバー52の外面における添接部521に取り付けられる取付具E3に形成されたものである。しかして、前記係合突部E21を前記係合凹部E31に係わり合わせた状態で、図25に二点鎖線で示すように、前記背支桿5に形成された添接部521に、前記係合突部E21及び係合凹部E31からなる支持部材Eを介して物品である災害対応用品セットBが支持されることとなる。なお、図25及び図26では、前記実施形態に対応する部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
また、支持部材は、ベルト状の部材を主体に構成されたものの他に、ネット状の部材を主体に構成されたものや、ベルト状の部材とネット状の部材とを組み合わせて構成されたものであってもよく、マグネットを主体に構成されたものであってもよい。
さらに、支持部材がベルト状の部材である場合であっても、支持部材の大きさや形状は図示したものに限られず種々変更可能である。支持部材は、例えば環状をなすゴムバンド等、弾性変形(伸縮)可能な素材で形成されたものであってもよく、この場合には、支持部材を弾性変形させることにより椅子本体に対して災害対応用品セットを着脱させるようにすればよい。
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。