以下、本実施の形態を図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態の情報処理装置を示す図である。情報処理装置1は、顔認証することができる装置である。情報処理装置1は、記憶部1a、センサ1b、撮像部1c、制御部1dおよび表示装置1eを有する。また、表示装置1eは、表示面1fを有する。
記憶部1aは、RAM(Random Access Memory)などの揮発性記憶装置でもよいし、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置でもよい。制御部1dは、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを含み得る。制御部1dは、プログラムを実行するプロセッサであってもよい。ここでいう「プロセッサ」には、複数のプロセッサの集合(マルチプロセッサ)も含まれ得る。
記憶部1aは、例えば、顔認証情報2および出力情報3を記憶する。
顔認証情報2には、顔認証の際に参照されるユーザごとの顔面情報が登録される。顔面情報は、例えば、ユーザの顔面を撮像した画像、あるいは、その画像から抽出されたユーザの顔面の特徴量など、画像に映った顔面の情報からユーザを特定するための情報である。例えば、顔認証情報2には、ユーザAを特定するための顔面情報A1およびユーザBを特定するための顔面情報B1が登録される。
出力情報3は、顔認証によって特定されたユーザと、そのユーザに対して表示可能な、あるいは表示不可能な表示内容に関する情報との対応関係を示す情報である。図1の例では、出力情報3には、ユーザAに対して表示可能な表示内容A2と、ユーザBに対して表示可能な表示内容B2とが登録される。この例では、顔認証の結果、ユーザAを特定した場合、表示内容A2が表示面1fに表示される。また、例えば、顔認証の結果、ユーザBを特定した場合、表示内容B2が表示面1fに表示される。
センサ1bは、表示装置1eの表示面1fの向きを検知する。図1の下部で説明する。例えば、鉛直方向にX軸、水平方向にY軸をとる。また、水平方向かつY軸に直交する方向に、図示しないZ軸をとる。そして、表示装置1eの表示面1fは、Z軸を中心軸として回転するものとする。センサ1bは、例えば、X軸方向を基準角度(すなわち角度0°)とし、図1中の右回り方向を正方向として表示面1fが向いている方向の角度を検出する。図1左下の状態では、センサ1bは表示面1fの向きを角度θ1と検出し、図1右下の状態では、センサ1bは表示面1fの向きを角度θ2と検出する。
撮像部1cは、表示面1fの前方を撮像する。これにより、表示面1fを閲覧しているユーザの顔面を撮像することができる。例えば、撮像部1cは、表示面1fの向きが角度θ1である場合、ユーザAの顔面を撮像する。ここで、ユーザの顔面を撮像する前に、顔認証を行ってもよいかを撮像するユーザに同意を求める旨を表示面1fに表示させ、同意を得た場合にユーザの顔面を撮像するようにしてもよい。
制御部1dは、センサ1bにより検知される表示面1fの向きの変化を監視する。また、制御部1dは、撮像部1cに画像を撮像するように指示をする。制御部1dは、撮像部1cにより撮像された画像に基づいて顔認証を行う。制御部1dは、例えば、顔認証情報2を参照し、撮像部1cが撮像した画像から抽出された顔面情報と、顔認証情報2に登録された顔面情報とを比較することで顔認証を行う。制御部1dは、顔認証の結果に応じた出力情報3を表示面1fに表示させる。また、顔認証できない場合は、顔認証できなかった場合に対応する専用情報を表示させてもよい。例えば、制御部1dは、顔認証できなかった旨を表示面1fに表示させる。
また、制御部1dは、表示面1fの向きが変化しはじめたことをセンサ1bから検知し、表示面1fの向きが変化している間、表示面1fに表示されている情報を隠ぺいさせてもよい。これは、表示面1fの向きが変化している間、ユーザAが見ていた情報をユーザA以外に見せないようにするためである。
具体的な処理の流れを説明する。例えば、表示面1fの向きが角度θ1である場合に、ユーザAが撮像されて顔認証が行われ、ユーザAが特定される。制御部1dは、表示面1fにユーザAに対応する表示内容A2を表示させる。ユーザAにより、表示装置1eが角度θ2の位置に動かされた場合、センサ1bは、表示面1fの向きが角度θ2であること検出する。表示面1fの向きの変化を監視している制御部1dは、表示面1fの向きが角度θ1から角度θ2に変化したことを検知する。制御部1dは、撮像部1cに画像を撮像するよう指示をする。撮像部1cは、ユーザBの顔面を撮像する。制御部1dは、顔認証情報2を参照し、撮像部1cにより撮像された画像に基づいて顔認証を行う。制御部1dは、ユーザBの顔面情報B1からユーザBを特定する。制御部1dは、出力情報3を参照し、ユーザBに対応する表示内容B2を表示面1fに表示させる。そして、表示内容がA2からB2に切り替わる。
第1の実施の形態によれば、センサ1bにより、表示面1fの向きが検知される。制御部1dにより、表示面1fの向きが変化したことが検知されると、撮像部1cにより、表示面1fの前方にいるユーザの顔面情報が取得される。そして、制御部1dにより、顔認証が行われ、顔認証の結果に応じた表示内容が表示面1fに表示される。
ここで、例として、表示面1fの向きが変化した場合に、顔認証を行わずに表示内容を変化させる場合を考える。表示面1fの向きを変えることは、どのユーザも可能である。このため、あるユーザが表示面1fの向きを自分の方向を向くように変化させたとき、その表示内容が変更されたとしても、変更後の表示内容には、そのユーザに見せてはいけない情報が含まれる可能性がある。
これに対して、第1の実施の形態によれば、顔認証により特定したユーザに対応する表示内容が表示面1fに表示されるので、表示面1fを見ているユーザに見せてはいけない情報が表示面1fに表示されることを防げる。このように、表示面1fに表示させる内容を表示面1fの前方にいるユーザごとに変更できるので、情報のセキュリティを向上できる。
[第2の実施の形態]
図2は、第2の実施の形態の情報処理装置を示す図である。情報処理装置100は、ディスプレイ101が一体化されたPCである。ディスプレイ101は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどである。情報処理装置100は、台座100aに対してディスプレイ101の表示面を傾けることが可能になっている。
また、情報処理装置100は、ディスプレイ101の表示面の前方を撮像するカメラ102を有する。カメラ102は、例えば、ディスプレイ101の外縁部に搭載される。後述するように、情報処理装置100は、カメラ102によって撮像された画像を基に顔認証を行う機能を備える。なお、カメラ102は、情報処理装置100に外付けされるものであってもよい。
図2(A)は、情報処理装置100のディスプレイ101を水平状態にした図である。以下の説明では、図2(A)に示すように、水平面に沿ってX軸およびY軸をとる。台座100aおよびディスプレイ101を水平状態にしたときには、ディスプレイ101の長辺方向をX軸方向とし、短辺方向をY軸方向とする。また、鉛直方向をZ軸方向とする。
図2(B)は、図2(A)の状態において、X軸方向から情報処理装置100を観察した図である。情報処理装置100のディスプレイ101と台座100aとの間には、ディスプレイ101を支える支柱100bが存在する。ディスプレイ101と支柱100bとの接続部分が、ディスプレイ101の傾きが変化する際の可動部となる。また、ディスプレイ101と支柱100bとの接続部分には、傾きセンサ103が設けられている。傾きセンサ103は、ディスプレイ101の傾きを検知する。傾きセンサ103が検知する傾きは、台座100aに対するディスプレイ101の相対的な角度である。
図3は、情報処理装置のディスプレイを傾けた状態を示す図である。図3(A)は、ディスプレイ101の一方の長辺が下方向に傾いた図である。
図3(B)は、ディスプレイ101の一方の長辺が下方向に傾いた状態をX軸方向から観察した状態を示す図である。図3(B)に示すように、ディスプレイ101は、X軸を中心として回転可能になっている。以下、X軸を中心とした回転方向を“第1の方向”と称し、第1の方向に対する回転角度を“第1の方向の角度”と称する場合がある。なお、図3(A)は、ディスプレイ101が第1の方向に回転した状態の一例である。
図3(C)は、ディスプレイ101の一方の短辺が下方向に傾いた状態をY軸方向から観察した状態を示す図である。図3(C)に示すように、ディスプレイ101は、Y軸を中心として回転可能になっている。以下、Y軸を中心とした回転方向を“第2の方向”と称し、第2の方向に対する回転角度を“第2の方向の角度”と称する場合がある。
ここで、ディスプレイ101の台座100aが水平面上に置かれているものとして、傾きセンサ103が検知する角度について説明する。傾きセンサ103は、第1の方向の角度および第2の方向の角度を検出する。
第1の方向の角度は、次のように検出される。ディスプレイ101が水平状態(すなわち、Y軸と平行)である場合、傾きセンサ103は、ディスプレイ101の第1の方向の角度を0°と判断する。また、例えば、ディスプレイ101が図3(B)の左回り方向に動かされた場合、傾きセンサ103は、第1の方向の角度がプラス方向に変化したと判断する。例えば、第1の方向の角度が0°の状態から、ディスプレイ101が図3(B)の左回り方向に30°動かされた場合、傾きセンサ103は、第1の方向の角度を30°と判断する。一方、ディスプレイ101が図3(B)の右回り方向に動かされた場合、傾きセンサ103は、第1の方向の角度がマイナス方向に変化したと判断する。
第2の方向の角度は、次のように検出される。ディスプレイ101が水平状態(すなわち、X軸と平行)である場合、傾きセンサ103は、ディスプレイ101の第2の方向の角度を0°と判断する。また、例えば、ディスプレイ101が図3(C)の左回り方向に動かされた場合、傾きセンサ103は、第2の方向の角度がプラス方向に変化したと判断する。例えば、第2の方向の角度が0°の状態から、ディスプレイ101が図3(C)の左回り方向に30°動かされた場合、傾きセンサ103は、第2の方向の角度を30°と判断する。一方、ディスプレイ101が図3(C)の右回り方向に動かされた場合、傾きセンサ103は、第2の方向の角度がマイナス方向に変化したと判断する。
図4は、情報処理装置全体を回転させてディスプレイの向きを変えた状態を示す図である。図4(A)は、ディスプレイ101の長辺の一方が、情報処理装置100の台座100aと接した状態で、ディスプレイ101の長辺のもう一方が水平面と接している状態を示す図である。図4(A)に示すように、情報処理装置100は、ディスプレイ101の一方の長辺と台座100aとを載置面に接触するように立てかけて使用することが可能である。
この状態で、情報処理装置100は、Z軸を中心として回転される場合がある。この場合、ディスプレイ101の表示面の向きもZ軸を中心として回転する。以下、Z軸を中心とした回転方向を“第3の方向”と称し、第3の方向に対する回転角度を“第3の方向の角度”と称する場合がある。
図4(B)は、図4(A)の状態において、情報処理装置100をX軸方向から観察した図である。ここで、情報処理装置100は、地磁気センサ104,104aを有する。地磁気センサ104,104aは、水平面上のディスプレイ101の表示面の向きを、所定の基準方向からの角度として検知する。基準方向は、例えば北方向である。例えば、地磁気センサ104,104aは、Y軸方向が基準方向と平行であるとした場合、上方向から見て情報処理装置100がZ軸を中心として右回りに回転したとき、第3の方向の角度がプラス方向に変化したと判断する。第3の方向の角度は例えば0°から360°までの値をとり、0°の状態から情報処理装置100が360°回転したとき、第3の方向の角度は0°に戻る。なお、情報処理装置100は、地磁気センサ104,104aの2つを有しているが、1つの地磁気センサのみを有していてもよい。
なお、図4のような状態の他に、情報処理装置100は、ディスプレイ101の短辺の一方を台座100aと接触させ、他方の短辺と台座100aとを載置面に接触するように立てかけて使用することも可能である。この状態でも、上記と同様に、地磁気センサ104,104aによってディスプレイ101の第3の方向の角度が検出される。
以下の説明では、傾きセンサ103によって検出されるディスプレイ101の表示面の方向を「ディスプレイ101の傾き」と呼び、地磁気センサ104,104aによって検出されるディスプレイ101の表示面の方向を「ディスプレイ101の方位」と呼ぶ場合がある。
第2の実施の形態の情報処理装置100は、傾きセンサ103または地磁気センサ104,104aの検出結果に基づいてディスプレイ101の傾きまたは方位が変化したことを検知するとカメラ102が撮像した顔情報を基に顔認証を行い、顔認証したユーザに対応する表示内容をディスプレイ101に表示する。これにより、表示される情報のセキュリティを向上させる。
図5は、情報処理装置のハードウェア例を示す図である。情報処理装置100は、プロセッサ111、RAM112、フラッシュメモリ113、無線部114、入力デバイス115、媒体読取部116、ディスプレイ101、カメラ102、傾きセンサ103および地磁気センサ104,104aを有する。各ユニットは情報処理装置100のバスまたはインタフェースを介して接続されている。
プロセッサ111は、情報処理装置100の情報処理を制御する。プロセッサ111は、例えばCPU、DSP、ASICまたはFPGAなどである。プロセッサ111は、マルチプロセッサであってもよい。プロセッサ111は、CPU、DSP、ASIC、FPGAなどの2以上の要素の組合せであってもよい。
RAM112は、情報処理装置100の主記憶装置である。RAM112は、プロセッサ111に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部を一時的に記憶する。また、RAM112は、プロセッサ111による処理に用いる各種データを記憶する。
フラッシュメモリ113は、情報処理装置100の補助記憶装置である。フラッシュメモリ113には、OSのプログラム、アプリケーションプログラムおよび各種データが格納される。フラッシュメモリ113は、情報処理装置100に対して着脱可能な可搬型の記録媒体でもよい。
無線部114は、無線通信を行えるインタフェースである。無線部114は、アクセスポイント11と通信することで、アクセスポイント11が接続されたネットワークにアクセスできる。無線部114は、当該ネットワークに接続された他のコンピュータとプログラムやデータの送受信を行える。なお、情報処理装置100は、無線部114に代えて、または、無線部114と併せて有線で通信を行えるインタフェースを備えてもよい。
入力デバイス115は、ユーザによる操作入力を検出し、入力信号をプロセッサ111に出力する。入力デバイス115としては、例えば、タッチパネルやキーパッドなどを用いることができる。
媒体読取部116は、プロセッサ111からの命令に従って、可搬型の記録媒体12からプログラムやデータを読み取ったり、記録媒体12に対してプログラムやデータを書き込んだりする。例えば、記録媒体12は媒体読取部116に対して着脱可能なカード型の記録媒体(メモリカード)である。媒体読取部116は、記録媒体12から読み取ったプログラムやデータをRAM112またはフラッシュメモリ113に格納する。媒体読取部116は、レーザ光などを利用して、光ディスクに記録されたプログラムやデータを読み取る駆動装置でもよい。
その場合、記録媒体12として光ディスクを利用できる。光ディスクとしては、例えば、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などを使用できる。例えば、媒体読取部116は、例えば、プロセッサ111からの命令に従って、光ディスクから読み取ったプログラムやデータをRAM112またはフラッシュメモリ113(あるいは、HDDなどの他の記憶装置)に格納する。
ディスプレイ101は、プロセッサ111からの命令に従って画像を表示する。カメラ102は、画像を撮像し、撮像された画像を示す画像データをプロセッサ111に送信する。
傾きセンサ103は、ディスプレイ101の第1の方向および第2の方向の各角度を検出し、それらの検出結果をプロセッサ111に送信する。地磁気センサ104,104aは、ディスプレイ101の第3の方向の角度を検出し、検出結果をプロセッサ111に送信する。
図6は、情報処理装置の機能の構成例を示す図である。情報処理装置100は、記憶部120、センサ部130、撮像部140、監視部150および表示制御部160を有する。
記憶部120は、RAM112やフラッシュメモリ113の所定の記憶領域を用いて実現される。記憶部120は、監視部150および表示制御部160の処理に用いられる情報を記憶する。記憶部120が記憶する情報には、ユーザテーブルおよび表示情報テーブルが含まれる。ユーザテーブルには、ディスプレイ101を閲覧するユーザと、ユーザに対応する画面表示内容との対応関係を示す情報が登録される。表示情報テーブルは、ディスプレイ101に表示される情報が登録される。また、記憶部120は、時刻を記憶する。また、記憶部120には、OSに保持されている時刻の情報が記憶されていてもよい。
センサ部130は、傾きセンサ103および地磁気センサ104,104aによって実現される。センサ部130は、ディスプレイ101の第1の方向、第2の方向、第3の方向のそれぞれについての角度を検出する。なお、センサ部130は、傾きセンサ103および地磁気センサ104,104aから送信される検出信号に基づいて、上記各角度を算出する機能を含んでもよい。このような機能は、例えば、プロセッサ111が所定のプログラムを実行することで実現される。
撮像部140は、カメラ102によって実現される。撮像部140は、ディスプレイ101の前方を撮像する。これにより、ディスプレイ101を閲覧しているユーザの顔面を撮像することができる。
監視部150および表示制御部160の処理は、プロセッサ111が所定のプログラムを実行することによって実現される。例えば、監視部150の処理は、ディスプレイ101の傾きまたは方位の変化を監視するための常駐プログラム(アプリケーションプログラムの一種)の実行により実現される。また、表示制御部160の処理は、記憶部120の表示情報テーブルに登録された情報を表示するための情報表示プログラム(アプリケーションプログラムの一種)の実行により実現される。あるいは、監視部150および表示制御部160の処理は、同一のアプリケーションプログラムの実行により実現されてもよい。
監視部150は、一定の時間間隔でディスプレイ101の傾きまたは方位を監視する。一定の時間間隔とは、例えば、0.2秒間隔である。
監視部150は、傾きセンサ103による第1の方向または第2の方向の角度の検出結果に基づいて、ディスプレイ101の傾きが変化している状態か否かを判定する。例えば、監視部150は、一定時間における角度の変化が所定の閾値以上となったとき、傾きの変化が開始されたと判定する。その後、監視部150は、角度が一定時間以上変化しなくなったとき、傾きの変化が終了したと判定する。
また、監視部150は、地磁気センサ104,104aによる第3の方向の角度の検出結果に基づいて、ディスプレイ101の方位が変化している状態か否かを判定する。方位が変化している状態か否かの判定手順としては、傾きが変化している状態か否かの場合と同様の手順が用いられる。
表示制御部160は、監視部150による判定に基づき、傾きまたは方位が変化している期間において、ディスプレイ101に表示されている情報を隠ぺいする。ここで、表示されている情報とは、上記の情報表示プログラムの実行による表示情報である。
また、表示制御部160は、傾きまたは方位が変化している期間が終了すると、ディスプレイ101の傾きまたは方位が閾値の角度以上、変化したか判定する。変化した場合、表示制御部160は、撮像部140に撮像を指示する。ここで、表示制御部160は、撮像部140が撮像する前に顔認証を行ってもよいか、撮像する対象者に同意を求める旨をディスプレイ101に表示させ、同意を得た場合に撮像部140に撮像を指示する。表示制御部160は、撮像した情報に基づいて顔認証をする。表示制御部160は、ユーザテーブルと顧客テーブルとを参照し、顔認証の結果に応じた表示内容をディスプレイ101に表示させる。
図7は、傾き・方位管理テーブルの例を示す図である。傾き・方位管理テーブル121は、ディスプレイ101の傾きおよび方位を監視するために監視部150によって参照および更新される。傾き・方位管理テーブル121は、記憶部120に格納される。
傾き・方位管理テーブル121は、傾き(第1の方向および第2の方向)、方位、時刻、傾き変更中フラグ、方位変更中フラグ、傾き監視用閾値、方位監視用閾値および経過時間の項目を含む。
傾きの項目には、傾きセンサ103により検知されたディスプレイ101の第1の方向の角度および第2の方向の角度が登録される。方位の項目には、地磁気センサ104,104aにより検知されたディスプレイ101の第3の方向の角度が登録される。時刻の項目には、傾きの項目または方位の項目における角度の最終更新時刻が登録される。
傾き変更中フラグの項目には、ディスプレイ101の傾きが変化中であるか否かを示す情報が登録される。方位変更中フラグの項目には、ディスプレイ101の方位が変化中であるか否かを示す情報が登録される。傾き変更中フラグおよび方位変更中フラグのどちらの項目にも、変化中である場合には“true”が登録され、変化中でない場合には“false”が登録される。
傾き監視用閾値、方位監視用閾値および経過時間の項目には、基本的に、処理の開始前にあらかじめ決められた値が登録される。傾き監視用閾値の項目には、ディスプレイ101の傾きが変化したと判断する角度が登録される。方位監視用閾値の項目には、ディスプレイ101の方位が変化したと判断する角度が登録される。経過時間の項目には、ディスプレイ101の傾きまたは方位の変化が止まったと判断する時間が登録される。
図8は、表示制御管理テーブルの例を示す図である。表示制御管理テーブル122は、ディスプレイ101に表示させる情報を制御するために表示制御部160によって参照および更新される。表示制御管理テーブル122は、記憶部120に格納される。
表示制御管理テーブル122は、判定用ユーザ、傾き(第1の方向および第2の方向)、方位、傾き判定用閾値(第1の方向および第2の方向)および方位判定用閾値の項目を含む。
判定用ユーザの項目には、前回、顔認証により特定されたユーザのユーザ名が登録される。傾きの項目には、表示制御部160によって前回判定された、ディスプレイ101の傾き(第1の方向の角度および第2の方向の角度)が登録される。方位の項目には、表示制御部160によって前回判定された、ディスプレイ101の方位(第3の方向の角度)が登録される。
傾き判定用閾値(第1の方向および第2の方向)および方位判定用閾値の項目には、基本的に、処理の開始前にあらかじめ決められた値が登録される。
傾き判定用閾値の項目には、顔認証を行うための条件を示す、第1の方向および第2の方向それぞれの角度の閾値が登録される。図8の例では、第1の方向についての傾き判定用閾値として“30°以上、−30°以下”と登録されている。これは、第1の方向の角度が30°以上か、または−30°以下である場合に、顔認証が行われることを示す。なお、この場合、後述する表示制御部160の処理により、第1の方向についての傾きの項目には、30°以上か、または−30°以下の値のみが登録されることになる。
方位判定用閾値の項目には、顔認証を行うための条件を示す、第3の方向の角度の閾値が登録される。図8の例では、方位判定用閾値として“60°”と登録されている。これは、第3の方向の角度が60°以上変化した場合に、顔認証が行われることを示す。
図9は、表示情報テーブルの例を示す図である。表示情報テーブル123は、ディスプレイ101に表示される情報が登録される。表示情報テーブル123は、記憶部120に格納される。表示情報テーブル123は、ユーザ、生年月日、電話番号、パスワード、承認日および承認者の項目を含む。
ユーザの項目には、情報表示の対象となるユーザのユーザ名が登録される。生年月日の項目には、該当ユーザの生年月日が登録される。電話番号の項目には、該当ユーザの電話番号が登録される。パスワードの項目には、該当ユーザが使用するパスワードが登録される。承認日の項目には、本レコードの項目の登録を承認した日が登録される。承認者の項目には、本レコードの項目の登録を承認した者の名前が登録される。
例えば、表示情報テーブル123には、ユーザがU1、生年月日が1980/6/14、電話番号がTel1、パスワードがPS1、承認日が2010/1/20および承認者がK1という情報が登録される。これは、ディスプレイ101に表示される、ユーザU1に関する情報として、生年月日1980/6/14、電話番号Tel1、パスワードPS1、承認日2010/1/20、承認者K1が登録されていることを示す。
図10は、ユーザテーブルの例を示す図である。ユーザテーブル124は、顔認証をするための情報や顔認証の結果、表示情報テーブル123に登録された情報のうちのどの情報をディスプレイ101に表示させるかを識別する情報が登録される。ユーザテーブル124は、記憶部120に格納される。ユーザテーブル124は、ユーザ、顔認証情報、生年月日、電話番号、パスワード、承認日・承認者および登録日の項目を含む。
ユーザの項目には、ディスプレイ101を閲覧するユーザのユーザ名が登録される。ユーザテーブル124に登録されるユーザは、表示情報テーブル123に登録されるユーザと重複していてもよいし、あるいは、全く別であってもよい。顔認証情報の項目には、顔認証の際に参照されるユーザごとの顔面情報が登録される。
生年月日、電話番号、パスワードの項目は、それぞれ表示情報テーブル123の生年月日、電話番号、パスワードの項目に対応している。また、承認日・承認者の項目は、表示情報テーブル123の承認日および承認者の項目に対応している。ユーザ、生年月日、電話番号、パスワードの項目には、表示情報テーブル123において対応する項目に登録された情報をディスプレイ101に表示することが、許可されているか否かを識別する情報が登録される。承認日・承認者の項目には、表示情報テーブル123における承認日および承認者の項目に登録された情報をディスプレイ101に表示することが、許可されているか否かを示す情報が登録される。
例えば、ユーザテーブル124には、ユーザがU1、顔認証情報がFI1、生年月日がtrue、電話番号がtrue、パスワードがtrue、承認日・承認者がfalse、登録日が2010/1/16という情報が登録される。これは、ユーザU1を特定する顔認証情報がFI1であることを示す。また、顔認証によりユーザU1が特定されたときに、ディスプレイ101の表示対象になっているユーザに関する項目のうち、生年月日、電話番号およびパスワードの表示は許可されているものの、承認日および承認者の表示は許可されていないことを示す。また、これらの項目が登録された日が2010/1/16であることを示す。
次に、監視部150が、傾きセンサ103により検知されたディスプレイ101の角度からディスプレイ101の傾きが変化しているか否かを監視する場合の処理を説明する。以下の図11および図12では、ディスプレイ101が第1の方向に回転される場合を想定する。
図11は、監視処理(その1)の例を示すフローチャートである。以下、図11に示す処理をステップ番号に沿って説明する。また、例えば、傾き・方位管理テーブル121の傾きの項目には、監視部150の初回起動時において、初期値として第1の方向が0°、第2の方向が0°という情報が登録される。以下、第1の方向についての傾きが監視されるものとする。
(ステップS11)監視部150は、センサ部130から現在のディスプレイ101の傾き(すなわち、第1の方向の角度)を取得する。また、監視部150は、記憶部120から現在の時刻を取得する。
(ステップS12)監視部150は、傾き・方位管理テーブル121を参照し、“傾き変更中フラグ=true”であるか否か判定する。“傾き変更中フラグ=true”の場合、処理をステップS17に進める。“傾き変更中フラグ=true”でない場合、処理をステップS13に進める。
(ステップS13)監視部150は、現在のディスプレイ101の傾きが、傾き・方位管理テーブル121に登録されている、第1の方向についての傾きよりも、閾値以上変化しているか判定する。閾値としては、傾き・方位管理テーブル121の傾き監視用閾値の項目に登録された値が用いられる。
この判定は、ユーザがディスプレイ101の傾きを少し変えることは一般的にあることなので、少しの変化はディスプレイ101の傾きが変化したと判断しないようにするために設けている。これにより、傾きの微少な変化があったときに表示が隠ぺいされなくなり、使い勝手が向上する。
例えば、現在のディスプレイ101の傾きが−15°、傾き・方位管理テーブル121に登録されている傾きが60°の場合、現在のディスプレイ101は、傾き・方位管理テーブル121に登録されている傾きから75°(60°−(−15°))の変化があったことになる。監視部150は、現在の傾きは閾値5°以上変化したと判定する。
閾値以上変化した場合、処理をステップS14に進める。閾値以上変化していない場合、処理を終了する。
(ステップS14)監視部150は、ディスプレイ101の傾きが変化し始めたことを検出する。そして、監視部150は、表示制御部160にディスプレイ101の傾きが変化し始めた旨を通知する。
(ステップS15)監視部150は、傾き・方位管理テーブル121の傾き変更中フラグにtrueを登録する。
(ステップS16)監視部150は、傾き・方位管理テーブル121にステップS11で取得したディスプレイ101の傾きおよび時刻を登録する。そして、処理を終了する。
(ステップS17)監視部150は、現在のディスプレイ101の傾きは、傾き・方位管理テーブル121に登録されている傾きと異なるか判定する。異なる場合、処理をステップS16に進める。同じ場合、処理をステップS18に進める。
(ステップS18)監視部150は、ステップS11で取得した時刻は、傾き・方位管理テーブル121に登録されている時刻より、傾き・方位管理テーブル121に登録されている経過時間(閾値)以上、経過しているか判定する。例えば、ステップS11で取得した時刻が17:22:11.2、傾き・方位管理テーブル121に登録されている時刻が17:22:10.6の場合、監視部150は、閾値0.5秒以上経過していると判定する。
時間が閾値以上経過している場合、処理をステップS19に進める。時間が閾値以上経過していない場合、処理を終了する。
(ステップS19)監視部150は、傾き・方位管理テーブル121の傾き変更中フラグにfalseを登録する。
(ステップS20)監視部150は、ディスプレイ101の傾きの変化が止まったことを検出する。そして、監視部150は、表示制御部160にディスプレイ101の傾きの変化が止まった旨を通知する。そして、処理を終了する。
以上の図11の処理は、所定の時間間隔で繰り返し実行される。これにより、監視部150は、所定の時間間隔でディスプレイ101の傾きの変化を監視する。所定の時間間隔とは、例えば、0.2秒間隔である。
次に、ディスプレイ101の傾きが変化したことに伴い表示制御部160が処理する内容について説明する。
図12は、傾き変更に伴う表示制御処理の例を示すフローチャートである。以下、図12に示す処理をステップ番号に沿って説明する。以下、第1の方向についての傾きが変化したものとする。また、ディスプレイ101には、情報表示プログラムに対応するウィンドウ(以下、“情報表示ウィンドウ”と呼ぶ)が表示されているものとする。情報表示ウィンドウには、例えば、表示情報テーブル123に登録されているいずれかのユーザに関する情報が表示されている。
(ステップS31)表示制御部160は、監視部150からディスプレイ101の傾きが変化し始めた旨の通知を受けると、情報表示ウィンドウの表示内容を隠ぺいする。この通知は、図11のステップS14で出力されるものである。隠ぺいの方法としては、例えば、情報表示ウィンドウ内を特定の色や模様で塗りつぶした状態にする方法がある。また、このとき、情報表示ウィンドウ内に“表示切り替え中”といった文字情報が表示されてもよい。なお、隠ぺいされた表示内容は、記憶部120(例えば、RAM112)に保持される。
ステップS31で表示内容を隠ぺいする理由は、ディスプレイ101の傾きが変化し続けている間は、ディスプレイ101を誰が閲覧しているのかを確定することができず、表示可能な情報を正確に判断できないからである。
(ステップS32)表示制御部160は、ディスプレイ101の傾きの変化が止まったか判定する。すなわち、表示制御部160が監視部150からディスプレイ101の傾きの変化が止まった旨の通知を受けたかを判定する。この通知は、図11のステップS20で出力されるものである。傾きの変化が止まった場合、処理をステップS33に進める。傾きの変化が止まっていない場合、処理をステップS32に進める。
(ステップS33)表示制御部160は、センサ部130から現在のディスプレイ101の傾き(第1の方向の角度)を取得する。表示制御部160は、表示制御管理テーブル122の傾き判定用閾値を参照し、現在のディスプレイ101の傾きが30°以上、または−30°以下という、顔認証を行うための条件を満たすか判定する。例えば、表示制御部160は、現在のディスプレイ101の傾きが−40°の場合、条件を満たすと判定する。条件を満たす場合、処理をステップS34に進める。条件を満たさない場合、処理をステップS39に進める。
(ステップS34)表示制御部160は、撮像部140に画像を撮像するよう指示をする。撮像部140は、ユーザの顔面を撮像する。表示制御部160は、ユーザテーブル124を参照し、撮像部140により撮像された画像に基づいて顔認証を行う。例えば、撮像部140により撮像された画像と顔画像FI2と類似している場合、表示制御部160は、撮像部140が撮像したユーザをユーザU2と特定する。
なお、このステップS34では、表示制御部160は、撮像部140に撮像を指示する前に、顔認証を行ってもよいか同意を求める旨をディスプレイ101に表示させることが望ましい。表示制御部160は、ディスプレイ101の閲覧者の操作により同意が得られた場合に、撮像部140に画像の撮像を指示する。一方、同意が得られなかった場合には、表示制御部160は、例えば、表示内容を隠ぺいしたまま、“情報を表示することができません”といったメッセージをディスプレイ101に表示し、処理を終了する。この場合には、表示内容が隠ぺいされた状態のままになるが、再度ディスプレイ101の傾きが変更されることで図12の処理が実行され、これにより情報の表示が再開され得る。
(ステップS35)表示制御部160は、表示制御管理テーブル122に登録されている判定用ユーザと顔認証により特定したユーザが、同じユーザであるか判定する。同じユーザでない場合、処理をステップS36に進める。同じユーザである場合、処理をステップS39に進める。
(ステップS36)表示制御部160は、ユーザテーブル124のレコードのうちステップS34での顔認証により特定されたユーザのレコードに基づいて、記憶部120に保持された、隠ぺいされた表示内容を、特定されたユーザに合わせて変更する。これにより、隠ぺい前に情報表示ウィンドウに表示されていたユーザに関する情報のうち、顔認証により特定されたユーザ(閲覧者)に対する表示が許可された情報のみが、表示内容に含まれるようにする。なお、表示内容の変更の具体例については後述する。
(ステップS37)表示制御部160は、表示制御管理テーブル122の判定用ユーザの項目に、顔認証により特定されたユーザのユーザIDを登録する。
(ステップS38)表示制御部160は、表示制御管理テーブル122にステップS33で取得したディスプレイ101の傾きを登録する。なお、このステップS38は、ディスプレイ101の傾きがステップS33での条件を満たす場合のみ実行される。このため、傾き・方位管理テーブル121に登録される傾きは、ステップS33での条件を満たす範囲の値(30°以上、または−30°以下)のみとなる。
(ステップS39)表示制御部160は、情報表示ウィンドウの隠ぺいを解除して、記憶部120に保持された、隠ぺいされた表示内容を情報表示ウィンドウに表示させる。そして、処理を終了する。
このステップS39では、ステップS35で“同じユーザ”と判定された場合、すなわち、ディスプレイ101の閲覧者が変わったと判定された場合には、ステップS36で変更された表示内容が情報表示ウィンドウに表示される。一方、ステップS35で閲覧者が変わっていないと判定された場合には、隠ぺい前と同じ表示内容が情報表示ウィンドウに表示される。
以上の図12の処理によれば、ステップS33でディスプレイ101の傾きが30°以上、または−30°以下という条件を満たし、かつ、ステップS35で閲覧者が変わったと判定された場合に、新たな閲覧者に対して許可された情報のみが表示されるように情報表示ウィンドウ内の表示が切り替えられる。これにより、表示対象の情報のセキュリティを向上させることができる。
なお、ステップS35で閲覧者が変わったと判定される場合とは、通常、ディスプレイ101の傾きが大きく変化した場合である。ここで、ディスプレイ101の第1の方向の可動範囲が60°以内(水平面を基準としてプラスマイナス30°以内)であるとすると、ステップS33で傾きが30°以上、または−30°以下という条件を満たし、かつ、ステップS35で閲覧者が変わったと判定された場合とは、ディスプレイ101の傾きが60°以上変化した場合となる。すなわち、図12の処理では、ディスプレイ101の傾きが閾値60°以上変化したとき、顔認証によって特定された閲覧者がそれ以前の閲覧者と異なる場合に、表示内容が変更されることになる。
なお、以上の図11および図12では、ディスプレイ101が第1の方向に回転される場合について説明した。ディスプレイ101が第2の方向に回転される場合には、センサ部130から第1の方向の角度の代わりに第2の方向の角度を取得して、上記の図11および図12と同様の処理が行われる。
次に、情報処理装置100が第3の方向に回転される場合を想定し、監視部150が、地磁気センサ104,104aにより検知したディスプレイ101の第3の方向の角度からディスプレイ101の方位が変化しているか否かを監視する場合の処理を説明する。
図13は、監視処理(その2)の例を示すフローチャートである。以下、図13に示す処理をステップ番号に沿って説明する。また、例えば、傾き・方位管理テーブル121の方位の項目には、監視部150の初回起動時において、初期値として0°という情報が登録される。
(ステップS41)監視部150は、センサ部130から現在のディスプレイ101の第3の方向の角度を取得する。また、監視部150は、記憶部120から現在の時刻を取得する。
(ステップS42)監視部150は、傾き・方位管理テーブル121を参照し、“方位変更中フラグ=true”であるか否か判定する。“方位変更中フラグ=true”の場合、処理をステップS47に進める。“方位変更中フラグ=true”でない場合、処理をステップS43に進める。
(ステップS43)監視部150は、現在のディスプレイ101の第3の方向の角度は、傾き・方位管理テーブル121の方位の項目に登録されている角度よりも、閾値以上変化しているか判定する。閾値としては、傾き・方位管理テーブル121の方位監視用閾値の項目に登録された値が用いられる。
例えば、現在のディスプレイ101の第3の方向の角度が30°、傾き・方位管理テーブル121の方位の項目に登録されている角度が0°の場合、現在のディスプレイ101は、30°(30°−0°)の変化があったことになる。監視部150は、現在の第3の方向の角度は監視用閾値5°以上変化したと判定する。
なお、例えば、ディスプレイ101の方位が、検出される角度が増加する回転方向に対して、角度270°の位置から角度0°の位置に変わった場合、監視部150は、0°を360°として差分を計算する。すなわち、この場合、監視部150は、0°−270°の差分を求めるのではなく、360°−270°の差分を求める。
監視用閾値以上変化した場合、処理をステップS44に進める。監視用閾値以上変化していない場合、処理を終了する。
(ステップS44)監視部150は、ディスプレイ101の方位が変化し始めたことを検出する。そして、監視部150は、表示制御部160にディスプレイ101の方位が変化し始めた旨を通知する。
(ステップS45)監視部150は、傾き・方位管理テーブル121の方位変更中フラグにtrueを登録する。
(ステップS46)監視部150は、傾き・方位管理テーブル121の方位および時刻の項目に、ステップS41で取得したディスプレイ101の第3の方向の角度および時刻を登録する。そして、処理を終了する。
(ステップS47)監視部150は、現在のディスプレイ101の第3の方向の角度は、傾き・方位管理テーブル121の方位の項目に登録されている角度と異なるか判定する。異なる場合、処理をステップS46に進める。同じ場合、処理をステップS48に進める。
(ステップS48)監視部150は、ステップS41で取得した時刻は、傾き・方位管理テーブル121に登録されている時刻より、傾き・方位管理テーブル121に登録されている経過時間(閾値)以上、経過しているか判定する。時間が閾値以上経過している場合、処理をステップS49に進める。時間が閾値以上経過していない場合、処理を終了する。
(ステップS49)監視部150は、傾き・方位管理テーブル121の方位変更中フラグにfalseを登録する。
(ステップS50)監視部150は、ディスプレイ101の方位の変化が止まったことを検出する。そして、監視部150は、表示制御部160にディスプレイ101の方位の変化が止まった旨を通知する。そして、処理を終了する。
以上の図13の処理は、所定の時間間隔で繰り返し実行される。これにより、監視部150は、所定の時間間隔でディスプレイ101の方位の変化を監視する。所定の時間間隔とは、例えば、0.2秒間隔である。
次に、ディスプレイ101の方位が変化したことに伴い表示制御部160が処理する内容について説明する。
図14は、方位変更に伴う表示制御処理の例を示すフローチャートである。以下、図14に示す処理をステップ番号に沿って説明する。なお、ディスプレイ101には情報表示ウィンドウが表示され、情報表示ウィンドウには、例えば、表示情報テーブル123に登録されているいずれかのユーザに関する情報が表示されているものとする。
(ステップS61)表示制御部160は、監視部150からディスプレイ101の方位が変化し始めた旨の通知を受けると、情報表示ウィンドウの表示内容を隠ぺいする。この通知は、図13のステップS44で出力されるものである。隠ぺいの方法としては、図12の場合と同様の方法を用いることができる。なお、隠ぺいされた表示内容は、記憶部120(例えば、RAM112)に保持される。
(ステップS62)表示制御部160は、ディスプレイ101の方位の変化が止まったか判定する。すなわち、表示制御部160が監視部150からディスプレイ101の方位の変化が止まった旨の通知を受けたかを判定する。この通知は、図13のステップS50で出力されるものである。方位の変化が止まった場合、処理をステップS63に進める。方位の変化が止まっていない場合、処理をステップS62に進める。
(ステップS63)表示制御部160は、センサ部130から現在のディスプレイ101の第3の方向の角度を取得する。表示制御部160は、表示制御管理テーブル122の方位および方位判定用閾値の各項目を参照し、現在のディスプレイ101の第3の方向の角度が、方位判定用閾値以上変化したか判定する。例えば、現在のディスプレイ101の第3の方向の角度が180°、表示制御管理テーブル122の方位の項目に登録された角度が0°の場合、現在のディスプレイ101の第3の方向の角度は、180°(180°−0°)変化したことになる。この場合、表示制御部160は、方位判定用閾値60°以上変化したと判定する。判定用閾値よりも変化した場合、処理をステップS64に進める。判定用閾値よりも変化していない場合、処理をステップS69に進める。
(ステップS64)表示制御部160は、撮像部140に画像を撮像するよう指示をする。撮像部140は、ユーザの顔面を撮像する。表示制御部160は、ユーザテーブル124を参照し、撮像部140により撮像された画像に基づいて顔認証を行って、ディスプレイ101を閲覧しているユーザを特定する。
なお、図12のステップS34の場合と同様、このステップS64でも、表示制御部160は、撮像部140に撮像を指示する前に、顔認証を行ってもよいか同意を求める旨をディスプレイ101に表示させることが望ましい。表示制御部160は、ディスプレイ101の閲覧者の操作により同意が得られた場合に、撮像部140に画像の撮像を指示する。一方、同意が得られなかった場合には、表示制御部160は、例えば、表示内容を隠ぺいしたまま、“情報を表示することができません”といったメッセージをディスプレイ101に表示し、処理を終了する。
(ステップS65)表示制御部160は、表示制御管理テーブル122に登録されている判定用ユーザと顔認証により特定したユーザが、同じユーザであるか判定する。同じユーザの場合、処理をステップS69に進める。同じユーザでない場合、処理をステップS66に進める。
(ステップS66)表示制御部160は、ユーザテーブル124のレコードのうちステップS64での顔認証により特定されたユーザのレコードに基づいて、記憶部120に保持された、隠ぺいされた表示内容を、特定されたユーザに合わせて変更する。これにより、隠ぺい前に情報表示ウィンドウに表示されていたユーザに関する情報のうち、顔認証により特定されたユーザ(閲覧者)に対する表示が許可された情報のみが、表示内容に含まれるようにする。
(ステップS67)表示制御部160は、表示制御管理テーブル122の判定用ユーザの項目に、顔認証により特定されたユーザのユーザIDを登録する。
(ステップS68)表示制御部160は、表示制御管理テーブル122の方位の項目にステップS41で取得したディスプレイ101の第3の方向の角度を登録する。
(ステップS69)表示制御部160は、情報表示ウィンドウの隠ぺいを解除して、記憶部120に保持された、隠ぺいされた表示内容を情報表示ウィンドウに表示させる。そして、処理を終了する。
以上の図14の処理によれば、ステップS63でディスプレイ101の方位が閾値以上変化したと判定された場合に、ステップS64で顔認証が行われる。そして、ステップS65で閲覧者が変わったと判定された場合に、ステップS69で、新たな閲覧者に対して許可された情報のみが表示されるように情報表示ウィンドウ内の表示が切り替えられる。これにより、表示対象の情報のセキュリティを向上させることができる。
図15は、第2の実施の形態の表示内容変更の具体例を示す図である。例えば、ユーザU1とユーザU2は対称の位置にいるとする。ユーザU1とユーザU2との間に情報処理装置100が設置されている。ディスプレイ101は、ユーザU1の方を向いている。
また、例として、ユーザU1,U2は同じ企業の社員であり、ディスプレイ101の情報表示ウィンドウには、顧客であるユーザU11の情報が表示されるシーンを想定する。この場合、情報表示ウィンドウには、表示情報テーブル123に登録されたユーザU11の情報が表示されるものとする。
図15(A)は、ユーザU1が撮像されて顔認証が行われ、ユーザU1に対応する表示内容がディスプレイ101に表示された状態を示した図である。ここで、ユーザテーブル124におけるユーザU1のレコードにおいて、生年月日、電話番号、パスワードの各項目に“true”が登録されているものとする。この場合、図15(A)のように、情報表示ウィンドウには、表示情報テーブル123に登録されたユーザU11の情報として、“名前:U11”、“生年月日:1980/4/14”、“電話番号:Tel11”、“パスワード:PS11”が表示される。なお、ここでは名前は無条件に表示が許可されているものとする。
図15(B)は、ユーザU1によりディスプレイ101がユーザU2の方に方位が変わった状態を示す図である。ディスプレイ101においては、情報表示ウィンドウ内の表示内容が隠ぺいされる。これとともに、ディスプレイ101には、ユーザU2に対して、顔認証を行ってもよいか同意を求める旨が表示される。例えば、同意する場合にはOKボタン、同意しない場合にはNGボタンを画面上に表示させ、何れかのボタンを押下することで同意の有無を判断するようにしてもよい。
ユーザU2が顔認証に対して同意する旨の操作を行った場合、情報処理装置100はユーザU2を顔認証する。
図15(C)は、顔認証によりユーザU2が特定された結果、ユーザU2に対応する表示内容がディスプレイ101に表示された状態を示す図である。ここで、ユーザテーブル124におけるユーザU2のレコードにおいて、生年月日および電話番号の各項目に“true”が登録され、パスワードの各項目に“false”が登録されているものとする。この場合、情報表示ウィンドウにおいては、ユーザU11の生年月日および電話番号は表示されたままになるが、パスワードは非表示状態となる。
このように、ディスプレイ101がユーザU2の方に向いている場合、ユーザU2に対して見せるのが好ましくない項目の情報の表示を阻止ことができる。上記のような企業内での情報閲覧の例では、例えば、情報を閲覧するユーザの役職や所属部署などに応じて、表示を許可する項目と許可しない項目とが、ユーザテーブル124に設定されればよい。
また、他の例としては、企業の社員と顧客とが情報を閲覧するシーンが考えられる。例えば、社員であるユーザU1と、顧客であるユーザU2が、表示情報テーブル123に登録されたユーザU2の情報を閲覧するシーンが考えられる。この場合、例えば、企業内でのみ管理される情報(例えば、図9に示す承認日、承認者など)を顧客に見せないように表示内容を制御することができる。
図16は、第2の実施の形態の表示内容制御例を示す図である。例えば、ユーザU1とユーザU3は対称の位置にいるとする。ユーザU1とユーザU3との間に情報処理装置100が設置されている。ディスプレイ101は、ユーザU1の方を向いている。
図16(A)は、ユーザU1が撮像されて顔認証が行われ、ユーザU1に対応する表示内容がディスプレイ101に表示された状態を示した図である。表示内容は、ユーザU1の個人情報などである。
図16(B)は、ユーザU1によりディスプレイ101がユーザU3の方に方位が変わった状態を示す図である。ユーザU3が顔認証に対して同意する旨の操作を行った場合、情報処理装置100はユーザU3を顔認証する。
図16(C)は、ユーザU3の顔認証を行った結果、ユーザU3の情報がユーザテーブル124に登録されておらず、顔認証に失敗した状態を示す図である。この場合、例えば、表示制御部160は、ユーザテーブル124へ情報を登録するためのユーザ登録画面をディスプレイ101に表示させてもよい。
以上説明した第2の実施の形態によれば、センサ部130により、ディスプレイ101の傾きまたは方位が検知される。ディスプレイ101の傾きまたは方位が所定の閾値以上変化したことが検知されると、撮像部140により、ディスプレイ101の前方にいるユーザの顔面情報が取得される。そして、表示制御部160により、顔認証が行われ、顔認証の結果に応じた表示内容がディスプレイ101に表示される。
ここで、例として、ディスプレイ101の傾きまたは方位が変化した場合に、顔認証を行わずに表示内容を変化させる場合を考える。ディスプレイ101の傾きまたは方位を変えることは、どのユーザも可能である。このため、あるユーザがディスプレイ101の向きを自分の方向を向くように変化させたとき、その表示内容が変更されたとしても、変更後の表示内容には、そのユーザに見せてはいけない情報が含まれる可能性がある。
これに対して、第2の実施の形態によれば、顔認証により特定したユーザに対応する表示内容がディスプレイ101に表示されるので、ディスプレイ101を見ているユーザに見せてはいけない情報がディスプレイ101に表示されることを防げる。このように、ディスプレイ101に表示させる内容をディスプレイ101の前方にいるユーザごとに変更できるので、情報のセキュリティを向上できる。
なお、傾き変更処理及び方位変更処理において、ディスプレイ101の向きが閾値以上変化しているか否かの判定処理を行わずに顔認証を行ってもよい。すなわち、傾き変更処理ではステップS33、方位変更処理ではステップS63の処理を行わなくてもよい。
また、傾き変更処理及び方位変更処理において、顔認証後、パスワード入力画面に切り替え、ユーザにパスワードの入力を求めてもよい。例えば、表示制御部160は、ユーザU1に対して顔認証を行い、ユーザU1を特定する。表示制御部160は、パスワード入力画面に切り替え、ユーザU1にパスワードの入力を要求する。ユーザU1は、パスワードPS1を入力する。表示制御部160は、表示情報テーブル123に登録されているユーザU1のパスワードPS1と、ユーザU1が入力したパスワードPS1とが一致するため、顔認証したユーザがユーザU1であること再確認できる。このように、顔認証後、ユーザにパスワードの入力を求めることで、セキュリティを高めることができる。
[第3の実施の形態]
第2の実施の形態の情報処理装置100は、次のように変形することもできる。以下、第3の実施の形態の情報処理装置について、第2の実施の形態と同様の符号を用いて説明する。
第3の実施の形態の情報処理装置は、顔認識によって特定されたユーザごとに、個別のアカウントでログオンさせる。これにより、ディスプレイ101を閲覧するユーザごとに、表示の設定を変更したり、参照できるデータを制限することができる。
図17は、第3の実施の形態で利用されるユーザテーブルの一例を示す図である。このユーザテーブル124aは、表示制御部160によって参照される。ユーザテーブル124aは、記憶部120に格納される。なお、第3の実施の形態においては、表示制御部160の処理は、例えば、OSプログラムの実行によって実現される。
ユーザテーブル124aは、ユーザ、顔認証情報、アカウント名、パスワード、個人情報、文字サイズ、画面拡大率および登録日の項目を含む。
ユーザの項目には、ディスプレイ101を閲覧するユーザのユーザ名が登録される。顔認証情報の項目には、顔認証の際に参照されるユーザごとの顔面情報が登録される。アカウント名の項目には、ログオン時のユーザのアカウントID(Identifier)が登録される。パスワードの項目には、ログオン時に入力されるパスワードが登録される。個人情報の項目には、ユーザに関する様々な個人情報が登録される。
文字サイズの項目には、文字サイズを示す情報が登録される。画面拡大率の項目には、画面拡大率を示す情報が登録される。登録日の項目には、本レコードの項目を登録した日が登録される。
表示制御部160は、ディスプレイ101の傾きまたは方位が所定の閾値以上変化し、顔認証に成功した場合に、ユーザテーブル124aのレコードのうち、顔認証により特定されたユーザのレコードを参照する。そして、表示制御部160は、特定されたユーザのアカウント名およびパスワードを用いて、自動的にログオンアカウントの切り替え処理(すなわち、再ログオン)を行う。なお、例えば、表示制御部160は、パスワード入力画面を表示させ、入力されたパスワードを登録されたパスワードと比較することで認証を行ってもよい。
ログオンアカウントの切り替え後、表示制御部160は、特定されたユーザについて登録された文字サイズおよび画面拡大率によって表示を行う。また、表示制御部160は、特定されたユーザについての個人情報のみ表示を許可し、ユーザテーブル124aに登録された他のユーザについての個人情報の表示を不許可にすることもできる。
なお、第1〜第3の実施の形態の情報処理は、各実施の形態の情報処理装置が備えるプロセッサにプログラムを実行させることで実現できる。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体(例えば、光ディスク、メモリ装置およびメモリカードなど)に記録できる。
プログラムを流通させる場合、例えば、当該プログラムを記録した可搬記録媒体が提供される。また、プログラムを他のコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワーク経由でプログラムを配布することもできる。コンピュータは、例えば、可搬記録媒体に記録されたプログラムまたは他のコンピュータから受信したプログラムを、記憶装置に格納し、当該記憶装置からプログラムを読み込んで実行する。ただし、可搬記録媒体から読み込んだプログラムを直接実行してもよく、他のコンピュータからネットワークを介して受信したプログラムを直接実行してもよい。
また、上記の情報処理の少なくとも一部を、DSP、ASIC、PLD(Programmable Logic Device)などの電子回路で実現することもできる。
以上、図示の実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に他の任意の構成物や工程が付加されていてもよい。