JP2015082536A - 太陽電池システム - Google Patents
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Abstract
Description
かかる問題に対応するために、太陽電池の受光面に表面処理を施すことによって、受光面において反射する太陽光の量を減らす試みがなされている。しかし、太陽電池の受光面に表面処理を施したとしても、受光面に入射する太陽光の一部が反射してしまうことに変わりはない。
以下の説明で、「外光入射口側から第M番目に位置する入射面と反射面とが形成する組」のことを、特に断らない限り、単に「第M番目の組」ということとし、「第M番目の組の入射面」のことを、特に断らない限り、単に「第M番目の入射面」ということとし、「第M番目の組の反射面」のことを、特に断らない限り、単に「第M番目の反射面」ということとする。また、「外光入射口から奥側に向かって受光面と平行に入射した外光」のことを、特に断らない限り、単に「外光」ということとする。
第M番目の組において、前述の式(1)〜式(5)の関係が成立している。第M番目の入射面に直接入射した外光は、先ず、この入射面から受光面に向かってまっすぐに反射し、受光面にそのまま入射する。入射面から受光面に入射したこの外光の一部は、受光面から太陽電池の半導体層に吸収される。次いで、半導体層に吸収されなかった残りの外光は、受光面から第M番目の反射面に向かってまっすぐに反射し、第M番目の反射面に入射する。さらに、第M番目の反射面に入射した外光は、この反射面から受光面に向かってまっすぐに反射し、受光面に再び入射する。
外光は、受光面に入射するたびに、その一部が受光面から半導体層に吸収され、太陽電池における電力生成のエネルギー源として利用される。したがって、外光は、受光面に入射する回数が増えることによって、受光面に入射する外光のうちで、太陽電池における電力生成のエネルギー源として利用される外光の割合が、累積的に増加することとなる。
式(1)は以下の式(1a)を含んでいる。
また、式(1)は以下の式(1b)を含んでいる。
さらに、式(1)は以下の式(1c)を含んでいる。
距離hMと距離HMと角度αMとが、式(2)の関係を満足することによって、第M番目の入射面に直接入射した外光は、この入射面で反射して受光面への1回目の入射を行った後、受光面で反射してまっすぐに第M番目の反射面に入射することになる。すなわち、第M番目の入射面に直接入射した外光が、受光面への1回目の入射を行った後、そのまま第M番目の入射面に再び入射してしまうことが防止されている。
角度αMと角度βMと入射回数RMとが、式(5)の関係を満足することによって、第M番目の入射面に直接入射した外光が、その後、第M番目の反射面から受光面への反射をRM−1回繰り返すに際して、この外光が反射する向きは、毎回、受光面が存在する向きとなる。
角度αMは、式(1)及び式(5)の関係を満足する範囲内において、0.75πに近ければ近いほど好ましい。なぜならば、第M番目の入射面で反射して受光面にまっすぐに入射する外光の入射角が、零に近づくからである。第M番目の入射面から受光面に入射する外光の入射角が零に近づくことにより、この外光のうち、受光面から半導体層に吸収される外光の割合が増加する。ここで、入射角とは、入射する外光の入射方向と、外光が入射する面の法線と、がなす角度のことを言う。
太陽電池システムを使用するに当たっては、外光入射口から入射面に直接入射する外光の入射方向が、太陽電池の受光面と平行であることが好ましい。かかる場合に、外光入射口から入射する外光は、太陽電池における電力生成のエネルギー源として最も効率よく用いられる。
複数セットの太陽電池システムを積み重ねて使用することが可能である。具体的には、各セットの外光入射口を同じ向きに向け、各セットの太陽電池の受光面を互いに平行にして積み重ねれば良い。複数セットの太陽電池システムを積み重ねて使用することによって、太陽電池の受光面の総面積を広くすることができ、発電量を増加させることが可能になる。
太陽電池の受光面において半導体層が露出している場合と、受光面がガラス等によって覆われている場合と、を比較すると、受光面に入射する光の反射率は、前者の場合の方が後者の場合よりも大きい。このため、従来ある太陽電池の受光面はガラス等によって覆われている。
半導体層と対向する光を反射可能な部材の面は、光が正反射する平面であっても良いし、光が乱反射する平面であっても良い。ただし、半導体層を透過した外光を反射させる際に、その反射方向をコントロールするという観点からは、半導体層と対向する光を反射可能な部材の面は、平滑で凹凸等を有さず、光が乱反射せずに正反射する平面であることが好ましい。
半導体層の受光面とは反対側の面を覆う光を反射可能な部材が、金属によって形成されている場合、この部材が太陽電池の電極を兼ねていても良い。
また、太陽電池を薄型化することによって、太陽電池の軽量化が可能となり、ひいては太陽電池の製造コスト低減にもつながる。さらに、太陽電池を薄型化することによって、同一容積の空間内に配置可能な太陽電池の数が増え、単位容積あたりの発電量を増やすことが可能となる。
図1及び図2に示すように、1セットの太陽電池システム1は、1個の太陽電池10と1個の受光装置20とを有している。
受光面12は、平滑に仕上げられた平面であり、凹凸を有していない。太陽電池10において、受光面12に入射した外光のうち、受光面12から半導体層11に吸収されなかった外光は、受光面12において、乱反射せずに正反射する構成となっている。
以下の説明において、「受光面12の法線方向」のことを、特に断らない限り、単に「上下方向」と言うこととする。そして、「受光面12の法線方向において、受光装置20が存在する側」のことを、特に断らない限り、単に「上側」と言うこととし、「受光面12の法線方向において、太陽電池10が存在する側」のことを、特に断らない限り、単に「下側」と言うこととする。すなわち、図1〜図6において、各図の上方側が、上側であり、各図の下方側が、下側である。
なお、受光装置20の長手方向とは、図1及び図3〜図6においては、図の左右方向であり、図2においては、図の表側から裏側に向かう方向である。また、受光面12の短手方向とは、図2において、図の左右方向である。
外光反射部30は受光面12と対向している。また、受光装置20の長手方向の一方の端部22は、外界に向かって開口しており、この開口部分が外光入射口31をなしている。受光装置20の長手方向の他方の端部23は、閉塞している。
外光反射部30において、入射面32と反射面33とが、外光入射口31側から奥側に向かって交互に並んで配置されている。入射面32と反射面33とは、ともに、平滑で凹凸を有しない銀の鏡面によって形成されており、入射面32と反射面33に入射する外光が乱反射せずに正反射する構成となっている。
入射面32の法線ベクトルと受光面12の法線ベクトルとは、互いに交差している。すなわち、1面の入射面32において、受光面12から外光入射口31側端部までの上下方向の距離と、受光面12から奥側端部までの上下方向の距離と、を比較すると、前者の方が後者よりも長い。
第M番目の組34Mを形成する入射面32Mと反射面33Mに着目する(図3を参照)。ただし、Mは、M≦Nの関係を満足する正の整数である。2≦Mの場合、入射面32Mは、外光入射口31側において、第M−1番目の組34M−1の反射面33M−1に隣接している。また、反射面33Mは、奥側において、外光入射口31側から第M+1番目にある入射面32M+1に隣接している。
外光入射口31側から奥側を受光面12と平行に見たときに、入射面32Mの直接視認可能な部分のうち、最も受光面12から離れた位置が、位置PA1である。位置PA1と、境界線35Mと、の間の、受光面12の法線ベクトル方向の距離が、距離hMとである。そして、境界線35Mと、受光面12と、の間の、受光面12の法線ベクトル方向の距離が、距離HMである。
角度αM、角度βM、距離hM、距離HM及び長さLMの間には、前述の式(1)〜式(5)の関係が成立している。ここで、RMは、2以上の正の整数であり、外光入射口31から第M番目の入射面32Mに受光面12と平行に直接入射した外光が、その後、繰り返し受光面12に入射する回数である。同様の関係が、入射面32と反射面33とによって形成されるすべての組において成立している。
太陽電池システム1は、屋外に設置されている。外光入射口31は太陽の方向を向いている。外光としての太陽光が、外光入射口31から空洞21の中に射し込む。外光入射口31から空洞21の中への太陽光の入射方向は、受光面12と、平行になっている。
入射面32Mに直接入射する太陽光は、入射面32Mに当たって反射する。角度αMが前述の式(1a)の関係を満足しているので、入射面32Mで反射する太陽光は、奥側へ向かって進み、外光入射口31側へ戻ることはない。
入射面32Mの位置PA1に直接入射した太陽光は、位置PA1で反射し、位置PA1から受光面12の位置PB1にまっすぐに入射する。角度αMが、前述の式(1a)の関係を満足しているので、位置PB1は、位置PA1よりも奥側となる。
さらに、長さLMは前述の式(3)及び式(4)の関係を満足しているので、位置PB1で反射した太陽光は、反射面33Mにまっすぐに入射し、反射面33Mの奥側に隣接する入射面32M+1に位置PB1からまっすぐに入射することもない。
このようにして、入射面32Mの位置PA1に直接入射した太陽光は、受光面12と反射面33Mとの間で、入射と反射を繰り返すこととなり、入射面32Mから受光面12に1回まっすぐに入射して反射した後、受光面12から反射面33Mに、少なくともRM−1回まっすぐに入射して反射するとともに、反射面33Mから受光面12に、少なくともRM−1回まっすぐに入射して反射する。したがって、入射面32Mの位置PA1に直接入射した太陽光は、少なくともRM回、受光面12に繰り返し入射する。なお、図4には、RM=4の場合が図示されている。
入射面32Mの位置PA2に直接入射した太陽光は、位置PA2で反射し、位置PA2から受光面12の位置PD1にまっすぐに入射する。角度αMが、前述の式(1a)の関係を満足しているので、位置PD1は、位置PA2よりも奥側にある。また、位置PD1は、位置PB1よりも奥側にある。
そして、反射面33Mの位置PE1に入射した太陽光は、位置PE1で反射し、位置PE1から受光面12の位置PD2にまっすぐに入射し、位置PD2で反射する。位置PD2は、位置PB2よりも奥側にある。
入射面32Mの位置PA3に直接入射した太陽光は、位置PA3で反射し、位置PA3から受光面12の位置PF1にまっすぐに入射する。角度αMが、前述の式(1a)の関係を満足しているので、位置PF1は、位置PA3よりも奥側にある。また、位置PF1は、位置PB1よりも奥側にあり、位置PD1よりも外光入射口31側にある。
そして、反射面33Mの位置PG1に入射した太陽光は、位置PG1で反射し、位置PG1から受光面12の位置PF2にまっすぐに入射し、位置PF2で反射する。位置PF2は、位置PB2よりも奥側にあり、位置PD2よりも外光入射口31側にある。
太陽光が受光面12に少なくともRM回繰り返し入射することによって、外光入射口31から受光装置20の中に射し込んだ太陽光のうち、太陽電池10で電力生成に用いられない外光の割合が、累積的に減少し、受光面12に入射する太陽光をエネルギー源として効率よく電力生成に利用することができる。
太陽電池10の半導体層11において、受光面12と反対側の面を、銀によって形成された光を反射する部材によって覆っても良い。受光面12に入射して半導体層11を透過した太陽光は、この部材によって反射して半導体層11に戻る。したがって、半導体層11をいったん透過した太陽光をも、エネルギー源として電力生成に利用することができる。また、この部材によって反射して半導体層11に戻った外光の一部は、半導体層11を再び透過し、受光面12から入射面32M又は反射面33Mに入射し、その後、さらに受光面12に入射し、エネルギー源として電力生成に利用されることとなる。
この場合、入射面32M及び反射面33Mから受光面12に入射する太陽光の入射角は、ほぼ零である。この場合における入射回数RMと、入射面32Mに直接入射した太陽光のうち、RM回受光面12に入射して半導体層11に吸収される太陽光の割合と、の関係を、次の表3に示す。
この場合も、入射面32M及び反射面33Mから受光面12に入射する太陽光の入射角は、ほぼ零である。この場合における入射回数RMと、入射面32Mに直接入射した太陽光のうち、RM回受光面12に入射して半導体層11に吸収される太陽光の割合と、の関係を、次の表4に示す。
10 太陽電池
11 半導体層
12 受光面
20 受光装置
21 空洞
22、23 受光装置の長手方向の端部
30 外光反射部
31 外光入射口
32、32M−1、32M、32M+1 入射面
33、33M−1、33M 反射面
34、34M−1、34M、32M+1 入射面と反射面とが形成する組
35M 境界線
αM 第M番目の入射面の法線ベクトルと受光面の法線ベクトルとがなす角度
βM 第M番目の反射面の法線ベクトルと受光面の法線ベクトルとがなす角度
hM 外光入射口側から奥側を受光面と平行に見たときに、第M番目の入射面の直接視認可能な部分のうち、最も受光面から離れた位置と、最も受光面に近い位置と、の間の受光面の法線ベクトル方向の距離
HM 外光入射口側から奥側を受光面と平行に見たときに、第M番目の入射面の直接視認可能な部分のうち、最も受光面に近い位置と、受光面と、の間の受光面の法線ベクトル方向の距離
LM 第M番目の反射面において、その外光入射口側端部からその奥側端部までのこの反射面に沿った長さ
PA1、PA2、PA3 太陽光が外光入射口から直接入射する第M番目の入射面上の位置
PB1、PD1、PF1 太陽光が第M番目の入射面で反射してそのまままっすぐに入射する受光面上の位置
PB2、PB3、PB4、PD2、PD3、PD4、PF2、PF3、PF4 太陽光が第M番目の反射面で反射してそのまままっすぐに入射する受光面上の位置
PC1、PC2、PC3、PE1、PE2、PE3、PG1、PG2、PG3 太陽光が受光面で反射してそのまままっすぐに入射する第M番目の反射面上の位置
Claims (3)
- 太陽電池と受光装置とを有する太陽電池システムであって、
前記受光装置は、太陽電池の受光面に対向して設置される外光反射部を有し、
前記外光反射部は、外界に向かって開口する外光入射口を有し、
前記外光反射部において、入射面と反射面とが隣接してなる組が、前記外光入射口側から前記外光入射口とは反対側の奥側に向かって、N組(ただし、Nは正の整数)並んで配置されており、
前記入射面と前記反射面とが形成するそれぞれの前記組において、前記入射面が、前記外光入射口側に配置され、前記反射面が、前記奥側に配置されており、
前記外光入射口側から前記奥側を前記受光面と平行に見ると、前記入射面は、前記外光入射口側を向いて、少なくとも、前記入射面の前記受光面側部分を直接視認可能な状態で配置されており、前記反射面は、前記奥側を向いて、直接視認不可能な状態で配置されており、
前記外光入射口側から第M番目(ただし、Mは正の整数であり、M≦N)に位置する前記入射面と前記反射面とが形成する前記組において、
前記入射面の法線ベクトルと、前記受光面の法線ベクトルと、が、なす角度αMと、
前記反射面の法線ベクトルと、前記受光面の法線ベクトルと、が、なす角度βMと、
前記外光入射口側から前記外光反射部の奥側を前記受光面と平行に見たときに、前記入射面の直接視認可能な部分のうちの最も前記受光面から離れた位置と、前記受光面と、の間の、前記受光面の法線ベクトル方向の距離hMと、
前記入射面と前記反射面との境界線と、前記受光面と、の間の、前記受光面の法線ベクトル方向の距離HMと、
前記外光入射口側の端部から前記奥側の端部までの前記反射面に沿った方向の前記反射面の長さLMと、
前記外光入射口から前記受光面と平行に前記入射面へ直接入射した外光が、前記受光面に入射する最小限の入射回数RM(ただし、RMは2以上の正の整数)と、の間に、
- 前記入射面と前記反射面とが、平滑で凹凸を有しない面によって形成されており、
前記受光面において、太陽電池の半導体層が露出しており、
前記受光面が、平滑で凹凸を有しない面によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池システム。 - 前記半導体層において、前記受光面とは反対側の面が、光を反射可能な部材によって覆われていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の太陽電池システム。
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