JP2015081614A - グリス塗布装置及びこれに用いるグリス塗布用アタッチメント、グリス塗布方法、並びにラウンドリクライニング装置の製造方法 - Google Patents

Abstract

【課題】グリス塗布装置及びこれに用いるグリス塗布用アタッチメント、グリス塗布方法において、グリス塗布対象物の所望のグリス塗布ポイントに対して均一かつ高い位置精度でグリスを塗布し、装置の小型化、低コスト化及び構造の簡単化を図り、しかもグリス塗布対象物のグリス塗布時間及び組立時間を短くして組立ラインの稼働効率を向上させる。【解決手段】グリス塗布用アタッチメント３０は、グリス供給用ユニットが供給したグリスを受け取ってこれを送り出す単一のグリス送出通路３１と、グリス送出通路３１から分岐した複数のグリス分岐通路３２と、グリス分岐通路３２の先端に接続された複数のグリス吐出口３３と、を有している。グリス分岐通路３２は、グリス送出通路３１を中心として放射状に延びるように設けられている。グリス吐出口３３は、グリス送出通路３１を中心とする同一円周上の異なる位置に設けられている。【選択図】図３

Description

本発明は、グリス塗布装置及びこれに用いるグリス塗布用アタッチメント、グリス塗布方法、並びにラウンドリクライニング装置の製造方法に関する。

従来、グリス塗布装置として、ディスペンサ（定量ポンプ）を使用してグリスタンク内のグリスをブラシに供給し、このブラシによってグリス塗布対象物にグリスを塗布するものが知られている。ディスペンサはブラシへのグリス供給量の総和を調整することができるが、ブラシの全域に亘って均一にグリスを供給することはできない。このため、ブラシによってグリス塗布対象物の全域に亘って均一にグリスを塗布することは難しい。

この技術課題を解決するために、特許文献１には、グリス塗布対象物に対向配置された複数のグリス溜チューブと、これらグリス溜チューブ内に溜められたグリスを押し出すピストンロッドと、これらピストンロッドのグリス溜チューブ内への押し込み機構と、グリス溜チューブとグリス塗布対象物との間隔を所定の間隔に設定する接離移動機構と、グリス溜チューブ内へのグリス供給機構と、グリス溜チューブからグリス塗布対象物に塗布されたグリスの均し機構と、を備えたグリス塗布装置が開示されている。しかし、特許文献１のグリス塗布装置は大型化、高コスト化してしまうという問題がある。

従来品のグリス塗布装置として、１台のディスペンサからグリス塗布対象物のいずれか１点にグリスを塗布する、いわゆる「１ディスペンサ１点塗布タイプ」も知られているが、グリス塗布対象物のグリス塗布ポイントと同数の「１ディスペンサ１点塗布タイプ」のグリス塗布装置を準備して、各グリス塗布装置によってグリス塗布対象物の各グリス塗布ポイントにグリスを塗布しなければならないので、グリス塗布装置の大型化、高コスト化、構造の複雑化が避けられない。また、グリスの塗布量は、仮にグリス流路やグリス吐出口の断面積が同じであるとしても、その傾斜具合によって微妙な影響を受けることが知られており、グリス塗布ポイントによっては、グリス吐出口を鉛直方向に対して斜めに傾けた状態でグリスを吐出しなければならないので、グリスの自重と吐出圧力の微妙な兼ね合いを勘案して所望のグリス塗布ポイントにグリスを吐出するのが難しい。

一方、グリス塗布装置によるグリス塗布対象物へのグリス塗布工程は、グリス塗布対象物の組立工程（生産工程）に組み込んで実行するのが普通である。つまり、グリス塗布対象物の構成部品を組み付ける各工程において、構成部品間の接触部分等にグリスを塗布していく。しかし、グリス塗布対象物の組立工程においては、グリス塗布に要する時間が長くなりがちであり、またグリス塗布に特化した工程を設けざるを得ない場合があるため、グリス塗布対象物の組立時間（タクトタイム）が長くなり、組立ラインの稼働効率が悪くなってしまう。

実開平７−１７３６１号公報

本発明は、以上の問題意識に基づいて完成されたものであり、グリス塗布装置及びこれに用いるグリス塗布用アタッチメント、グリス塗布方法、並びにラウンドリクライニング装置の製造方法において、グリス塗布対象物の所望のグリス塗布ポイントに対して均一かつ高い位置精度でグリスを塗布し、装置の小型化、低コスト化及び構造の簡単化を図り、しかもグリス塗布対象物のグリス塗布時間及び組立時間（タクトタイム）を短くして組立ラインの稼働効率を向上させることを目的とする。

本発明のグリス塗布装置は、グリスを供給するためのグリス供給用ユニット；及び前記グリス供給用ユニットが供給したグリスをグリス塗布対象物に塗布するためのグリス塗布用アタッチメント；を有するグリス塗布装置であって、前記グリス塗布用アタッチメントは、前記グリス供給用ユニットが供給したグリスを受け取ってこれを送り出す単一のグリス送出通路と、該単一のグリス送出通路から分岐した複数のグリス分岐通路と、該複数のグリス分岐通路の先端に接続された複数のグリス吐出口と、を有すること；前記複数のグリス分岐通路は、前記単一のグリス送出通路を中心として放射状に延びるように設けられていること；及び前記複数のグリス吐出口は、前記単一のグリス送出通路を中心とする同一円周上の異なる位置に設けられていること；を特徴としている（請求項１）。

前記単一のグリス送出通路、前記複数のグリス分岐通路及び前記複数のグリス吐出口は、各グリス吐出口からのグリスの吐出圧力が略同一となるような形状に設定されていることが好ましい（請求項２）。

前記複数のグリス吐出口は、鉛直下方に向けてグリスを吐出することが好ましい（請求項３）。

前記グリス塗布用アタッチメントは、前記複数のグリス吐出口の仕様が異なる複数種類が設けられており、この複数種類のグリス塗布用アタッチメントのいずれか１つが選択的に前記グリス供給用ユニットに接続可能となっていることが好ましい（請求項４）。

本発明のグリス塗布用アタッチメントは、グリス供給用ユニットが供給したグリスをグリス塗布対象物に塗布するためのグリス塗布用アタッチメントであって、前記グリス供給用ユニットが供給したグリスを受け取ってこれを送り出す単一のグリス送出通路と、前記単一のグリス送出通路から分岐した複数のグリス分岐通路と、前記複数のグリス分岐通路の先端に接続された複数のグリス吐出口と、を有し、前記複数のグリス分岐通路は、前記単一のグリス送出通路を中心として放射状に延びるように設けられており、前記複数のグリス吐出口は、前記単一のグリス送出通路を中心とする同一円周上の異なる位置に設けられている、ことを特徴としている（請求項５）。

前記単一のグリス送出通路、前記複数のグリス分岐通路及び前記複数のグリス吐出口は、各グリス吐出口からのグリスの吐出圧力が略同一となるような形状に設定されていることが好ましい（請求項６）。

前記複数のグリス吐出口は、鉛直下方に向けてグリスを吐出することが好ましい（請求項７）。

本発明のグリス塗布方法は、グリス供給用ユニットが供給したグリスをグリス塗布対象物に塗布するためのグリス塗布方法であって、前記グリス塗布対象物に対して、同一円周上の異なる位置に、複数のグリス塗布ポイントを設定するステップと、前記グリス供給用ユニットが供給したグリスを受け取ってこれを単一のグリス送出通路から送り出すステップと、前記単一のグリス送出通路から送り出したグリスを、該単一のグリス送出通路を中心として放射状に延びるように分岐した複数のグリス分岐通路によって分岐するステップと、前記複数のグリス分岐通路によって分岐したグリスを、該複数のグリス分岐通路の先端に接続され且つ前記単一のグリス送出通路を中心とする同一円周上の異なる位置に設けられた複数のグリス吐出口から、前記グリス塗布対象物に対して設定した前記複数のグリス塗布ポイントに向けて吐出するステップと、を有することを特徴としている（請求項８）。

本発明のグリス塗布方法は、前記複数のグリス吐出口の仕様が異なる複数種類のグリス塗布用アタッチメントのうち、いずれのグリス塗布用アタッチメントを前記グリス供給用ユニットに接続して使用するかを選択するステップをさらに有することが好ましい（請求項９）。

本発明のラウンドリクライニング装置の製造方法は、構成部品であるベースプレート、ポール、カム、ラチェットプレート及び押さえリングを組み付ける複数の組付工程と、前記複数の組付工程と同時または前記複数の組付工程の間に、前記構成部品にグリスを塗布するグリス塗布工程と、を有するラウンドリクライニング装置の製造方法であって、前記グリス塗布工程は、前記構成部品に対して、同一円周上の異なる位置に、複数のグリス塗布ポイントを設定するステップと、グリス供給用ユニットが供給したグリスを受け取ってこれを単一のグリス送出通路から送り出すステップと、前記単一のグリス送出通路から送り出したグリスを、該単一のグリス送出通路を中心として放射状に延びるように分岐した複数のグリス分岐通路によって分岐するステップと、前記複数のグリス分岐通路によって分岐したグリスを、該複数のグリス分岐通路の先端に接続され且つ前記単一のグリス送出通路を中心とする同一円周上の異なる位置に設けられた複数のグリス吐出口から、前記構成部品に対して設定した前記複数のグリス塗布ポイントに向けて吐出するステップと、を有することを特徴としている（請求項１０）。

請求項１、５、８に係る発明によれば、単一のグリス送出通路を中心とする同一円周上の異なる位置に設けられた複数のグリス吐出口から、グリス塗布対象物の同一円周上の異なる位置に設定した複数のグリス塗布ポイントに対して、均一かつ高い位置精度でグリスを吐出（塗布）することができる。また、グリス供給用ユニットにグリス塗布用アタッチメントを接続するだけでグリス塗布装置が完成し、しかも従来品のようにグリス塗布対象物のグリス塗布ポイントと同数の「１ディスペンサ１点塗布タイプ」のグリス塗布装置を設ける必要が無いので、装置の小型化、低コスト化及び構造の簡単化を図ることができる。さらに、１つのディスペンサに対して最低でも２つのグリス吐出口から同時にグリスを吐出（塗布）するので、グリス塗布対象物のグリス塗布時間及び組立時間（タクトタイム）を短くして組立ラインの稼働効率を向上させることができる。

請求項２、６に係る発明によれば、各グリス吐出口からのグリスの吐出圧力を略同一としているので、グリス塗布対象物の各グリス塗布ポイントに対してより高い均一度でグリスを吐出（塗布）することができる。

請求項３、７に係る発明によれば、各グリス吐出口が鉛直下方に向けてグリスを吐出するので、グリス吐出口の傾斜によるグリスの自重と吐出圧力の微妙な変化に起因してグリス塗布ポイント（吐出ポイント）がばらつくのを確実に防止して、常に、グリス塗布対象物の所望のグリス塗布ポイント（吐出ポイント）に対してグリスを塗布（吐出）することができる。ちなみに、グリスの塗布量は、仮にグリス流路やグリス吐出口の断面積が同じであるとしても、その傾斜具合によって微妙な影響を受けることが知られており、グリス吐出口を鉛直方向に対して斜めに傾けた状態でグリスを吐出する場合、グリスの自重と吐出圧力の微妙な兼ね合いを勘案して所望のグリス塗布ポイント（吐出ポイント）に対してグリスを塗布（吐出）することは難しい。

請求項４、９に係る発明によれば、グリス塗布対象物のグリス塗布ポイントに応じて、グリス吐出口の仕様が異なる複数種類のグリス塗布用アタッチメントのいずれかを選択使用することで、より一層の装置の小型化、低コスト化及び構造の簡単化を図ることができる。また、１つのグリス供給用ユニットに対して複数種類のグリス塗布用アタッチメントを使い回すことができて便利である。

請求項１０に係る発明によれば、ラウンドリクライニング装置の構成部品の同一円周上の異なる位置に設定した複数のグリス塗布ポイントに対して、均一にグリスを吐出（塗布）することができ、以って構成部品間の摺動具合や回動具合を滑らかに且つバラツキなく設定することができる。

本発明によるグリス塗布装置の全体構成を示す、グリス供給用ユニットとグリス塗布用アタッチメントの接続状態を示す図である。 グリス塗布装置のグリス供給用ユニットとグリス塗布用アタッチメントを分離した状態を示す図である。 図３（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）は、グリス供給用ユニットに選択的に接続される複数種類のグリス塗布用アタッチメントを示す、グリス吐出ノズル側から見た底面図である。 本発明によるグリス塗布装置によるラウンドリクライニング装置（グリス塗布対象物）のグリス塗布工程ならびに組立工程を示す図である。

図１ないし図４を参照して、本発明によるグリス塗布装置及びこれに用いるグリス塗布用アタッチメント、グリス塗布方法、並びにラウンドリクライニング装置の製造方法について説明する。

≪グリス塗布装置１０及びこれに用いるグリス塗布用アタッチメント３０の構成≫
グリス塗布装置１０は、グリスを供給するためのグリス供給用ユニット２０と、このグリス供給用ユニット２０が供給したグリスをグリス塗布対象物Ｗ（図１）に塗布するためのグリス塗布用アタッチメント３０とを有している。

グリス供給用ユニット２０は、そのグリス供給ブロック２０Ｘに、グリス貯留室２１と、このグリス貯留室２１から鉛直下方に延びるグリス送出通路２２とを有している。グリス供給用ユニット２０は、グリスタンク２３（図１）からのグリスをグリス貯留室２１に一定量ずつ貯留し、貯留した一定量のグリスをピストンシリンダ（図示せず）によってグリス送出通路２２に送り出す、いわゆる定量弁ディスペンサと呼ばれるものである。このようなグリス供給用ユニット２０は周知であるため、これ以上の詳細な説明は省略する。

グリス塗布用アタッチメント３０は、そのグリス塗布ブロック３０Ｘに、単一のグリス送出通路３１と、この単一のグリス送出通路３１から分岐した複数のグリス分岐通路３２と、この複数のグリス分岐通路３２の先端に接続された複数のグリス吐出ノズル（グリス吐出口）３３とを有している。

グリス供給用ユニット２０（のグリス供給ブロック２０Ｘ）とグリス塗布用アタッチメント３０（のグリス塗布ブロック３０Ｘ）は、固定ネジ１２によって接続／分離が可能となっている。

グリス送出通路３１は、グリス供給用ユニット２０のグリス送出通路２２と同一軸線上を鉛直下方に延びており、該グリス送出通路２２と同一の断面形状を有している。グリス供給用ユニット２０とグリス塗布用アタッチメント３０の接続状態では、グリス送出通路２２とグリス送出通路３１の軸線が高精度に一致してこれらが１つのグリス送出通路として機能する。これにより、グリス送出通路３１は、グリス供給用ユニット２０が供給したグリスを受け取ってこれを送り出すことができる。

複数のグリス分岐通路３２は、単一のグリス送出通路３１の軸線に直交する平面内で、単一のグリス送出通路３１を中心として放射状に延びるように設けられている。複数のグリス分岐通路３２は、その延長方向が単一のグリス送出通路３１を中心として周方向に異なっている点を除いて、全くの同一仕様である。すなわち、各グリス分岐通路３２は、長さ、太さ、断面形状、断面積、総容積等のパラメータが同一である。これにより、各グリス分岐通路３２は、グリス送出通路３１が送り出したグリスを等量ずつ分岐することができる。

複数のグリス吐出ノズル３３は、その吐出口を鉛直下方に向けて、単一のグリス送出通路３１を中心とする同一円周上の異なる位置に設けられている。各グリス吐出ノズル３３は、全くの同一仕様であり、長さ、太さ、断面形状、断面積、総容積等のパラメータが同一である。これにより、各グリス吐出ノズル３３は、各グリス分岐通路３２が等量ずつ分岐したグリスを、鉛直下方に向けて且つ略同一の吐出圧力で吐出することにより、グリス塗布対象物Ｗの同一円周上の異なる位置に設定した複数のグリス塗布ポイントに対して均一かつ高い位置精度でグリスを塗布することができる。

図１に示すように、グリス塗布対象物Ｗは、グリス塗布対象物載置ステージ（以下では「載置ステージ」と略称する）１４に載置されており、この載置ステージ１４は、載置ステージ駆動機構１６による三次元駆動と回転駆動が可能となっている。これにより、グリス塗布対象物Ｗは、載置ステージ１４と載置ステージ駆動機構１６によって、グリス塗布用アタッチメント３０の複数のグリス吐出ノズル３３に対する姿勢変形が自在であり、グリス塗布対象物Ｗのグリス塗布ポイントを自由に設定することができる。

グリス塗布用アタッチメント３０は、複数のグリス吐出ノズル３３の仕様が異なる複数種類が設けられており、この複数種類のグリス塗布用アタッチメントのいずれか１つが選択的にグリス供給用ユニット２０に接続可能となっている。「グリス吐出ノズルの仕様が異なる」とは、例えば、以下の（１）〜（５）のようなものが該当する。
（１）グリス吐出ノズルの数が異なる。
（２）グリス吐出ノズルが同一円周上に位置するその円の大きさ（径）が異なる。
（３）グリス吐出ノズルが同一円周上に等角度間隔で配置されているか否かが異なる。
（４）グリス吐出ノズルの長さ、太さ、断面形状、断面積、総容積等のパラメータが異なる。
（５）グリス吐出ノズルからのグリスの吐出圧力が異なる。

図３（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）は、一例として、３種類のグリス塗布用アタッチメント３０Ａ、３０Ｂ、３０Ｃを示している。

図３（Ａ）に示すグリス塗布用アタッチメント３０Ａは、単一のグリス送出通路３１Ａと、この単一のグリス送出通路３１Ａを中心として非等角度間隔で延びる３つのグリス分岐通路３２Ａと、この３つのグリス分岐通路３２Ａの先端に接続された３つのグリス吐出ノズル３３Ａと、を有している。

図３（Ｂ）に示すグリス塗布用アタッチメント３０Ｂは、単一のグリス送出通路３１Ｂと、この単一のグリス送出通路３１Ｂを中心として等角度間隔（６０°間隔）で延びる６つのグリス分岐通路３２Ｂと、この６つのグリス分岐通路３２Ｂの先端に接続された６つのグリス吐出ノズル３３Ｂと、を有している。６つのグリス吐出ノズル３３Ｂが同一円周上に位置するその円の大きさ（径）は、図３（Ａ）の３つのグリス吐出ノズル３３Ａが同一円周上に位置するその円の大きさ（径）よりも大きい。

図３（Ｃ）に示すグリス塗布用アタッチメント３０Ｃは、単一のグリス送出通路３１Ｃと、この単一のグリス送出通路３１Ｃを中心として第１の等角度間隔で延びる３つのグリス分岐通路３２Ｃのセットを単位としてこのセットを第２の等角度間隔で３セット配置してなる９つのグリス分岐通路３２Ｃと、この９つのグリス分岐通路３２Ｃの先端に接続された９つのグリス吐出ノズル３３Ｃと、を有している。第２の等角度間隔は第１の等角度間隔よりも大きく、その結果、各９つのグリス分岐通路３２Ｃとグリス吐出ノズル３３Ｃは非等角度間隔で配置されている。９つのグリス吐出ノズル３３Ｃが同一円周上に位置するその円の大きさ（径）は、図３（Ａ）の３つのグリス吐出ノズル３３Ａが同一円周上に位置するその円の大きさ（径）よりも大きく、図３（Ｂ）の６つのグリス吐出ノズル３３Ｂが同一円周上に位置するその円の大きさ（径）と略同一である。

≪グリス塗布装置１０を用いたグリス塗布方法ならびにラウンドリクライニング装置の製造方法≫
図４を参照して、グリス塗布対象物をラウンドリクライニング装置４０とした場合を例示して、本発明のグリス塗布装置１０を用いたグリス塗布方法ならびにラウンドリクライニング装置４０の製造方法について説明する。

ラウンドリクライニング装置４０は、シートレール（図示せず）を介して床面側に支持されるシートクッション（図示せず）に対して、該シートクッションの後部に支持されたシートバック（図示せず）を傾動可能に接続するものである。ラウンドリクライニング装置４０は、その構成部品として、１つのベースプレート４１、３つのポール４２、１つのカム４３、１つの楔部材４３Ｗ、１つの回転中心軸部材４４、１つのラチェットプレート４５及び１つの押さえリング４６を有している。ベースプレート４１は、シートクッションを構成するシートクッションフレーム（ともに図示せず）への固定部材であり、ラチェットプレート４５は、シートバックを構成するシートバックフレーム（ともに図示せず）への固定部材である。ベースプレート４１とラチェットプレート４５の相対回転の規制と許容を制御するロック機構の一部として、３つのポール４２と１つの楔部材４３Ｗが機能する。３つのポール４２は、ラチェットプレート４５の内歯ギヤ（図示せず）に噛合する外歯ギヤ４２ａを有しており、ベースプレート４１の摺動ガイド溝に対して径方向に摺動自在である。カム４３は、３つのポール４２と１つの楔部材４３Ｗの内径側に位置する。回転中心軸部材４４は、カム４３の中心に形成された嵌合穴４３ａに嵌合する非円形（小判型）断面の回転伝達部４４ａを有しており、カム４３と回転中心軸部材４４が一体的に回転するようになっている。押さえリング４６は、ベースプレート４１とラチェットプレート４５を、両者の相対回転を許容しつつその回転軸に沿う方向へは分離しないように結合する。なお、回転中心軸部材４４を省略して、カム４３を回転駆動する別の回転駆動手段（例えばカム４３の非円形嵌合部に回転伝達可能に嵌まる非円形シャフトとこの非円形シャフトを回転駆動する駆動源）を設ける態様も可能であるため、回転中心軸部材４４は、ラウンドリクライニング装置４０の必須の構成要素ではない。

ラウンドリクライニング装置４０のロック状態では、付勢部材（図示せず）によって、３つのポール４２の外歯ギヤ４２ａがラチェットプレート４５の内歯ギヤ（図示せず）に噛合しており、ベースプレート４１（シートクッション）とラチェットプレート４５（シートバック）の相対回転が規制される。ロック解除部材（図示せず）によってカム４３及び回転中心軸部材４４の結合体を回転させることにより、３つのポール４２の外歯ギヤ４２ａとラチェットプレート４５の内歯（図示せず）の噛合が解除され、ベースプレート４１（シートクッション）とラチェットプレート４５（シートバック）の相対回転が許容されたラウンドリクライニング装置４０のアンロック状態となり、シートバック（図示せず）の角度調整が可能になる。

ラウンドリクライニング装置４０の各構成部品４１〜４６は、図示しないトランスファー搬送装置によって搬送されながら複数の組付工程によって順次組み付けられていき、複数の組付工程と同時または複数の組付工程の間に、各構成部品４１〜４６の接触部分等のグリス塗布ポイントに、グリス塗布装置１０によってグリスを塗布するグリス塗布工程が組み込まれる。

［工程１］
ベースプレート４１に対して、同一円周上の異なる位置に、９つのグリス塗布ポイントを設定する。グリス供給用ユニット２０には、複数種類のグリス塗布用アタッチメントのうち、９つのグリス塗布ポイントに適合した図３（Ｃ）のグリス塗布用アタッチメント３０Ｃが選択接続されている。グリス供給用ユニット２０が供給したグリスを単一のグリス送出通路３１Ｃから送り出し、単一のグリス送出通路３１Ｃから送り出したグリスを、単一のグリス送出通路３１Ｃを中心として放射状に延びるように分岐した９つのグリス分岐通路３２Ｃによって分岐し、９つのグリス分岐通路３２Ｃによって分岐したグリスを、９つのグリス分岐通路３２Ｃの先端に接続され且つ単一のグリス送出通路３１Ｃを中心とする同一円周上の異なる位置に設けられた９つのグリス吐出口３３Ｃから、ベースプレート４１に対して設定した９つのグリス塗布ポイントに向けて吐出（塗布）する。

［工程２］
ベースプレート４１に対して３つのポール４２を組み付ける。ベースプレート４１に対して、同一円周上の異なる位置に、３つのグリス塗布ポイントを設定する。グリス供給用ユニット２０には、複数種類のグリス塗布用アタッチメントのうち、３つのグリス塗布ポイントに適合したグリス塗布用アタッチメントが選択接続されている。選択接続されたグリス塗布用アタッチメントを用いて、ベースプレート４１に対して設定した３つのグリス塗布ポイントに向けてグリスを吐出（塗布）する。

［工程３］
載置ステージ１４と載置ステージ駆動機構１６によってベースプレート４１（及びポール４２）を１２０°回転させる。この回転後に［工程２］と同様にして、選択接続されたグリス塗布用アタッチメントを用いて、ベースプレート４１に対して設定した３つのグリス塗布ポイントに向けてグリスを吐出（塗布）する。

［工程４］
載置ステージ１４と載置ステージ駆動機構１６によってベースプレート４１（及びポール４２）をさらに１２０°回転させる。この回転後に［工程２］及び［工程３］と同様にして、選択接続されたグリス塗布用アタッチメントを用いて、ベースプレート４１に対して設定した３つのグリス塗布ポイントに向けてグリスを吐出（塗布）する。

［工程５］
ベースプレート４１に対してカム４３と楔部材４３Ｗを組み付ける。ポール４２とカム４３の接触部に対して、同一円周上の異なる位置に、３つのグリス塗布ポイントを設定する。グリス供給用ユニット２０には、複数種類のグリス塗布用アタッチメントのうち、３つのグリス塗布ポイントに適合したグリス塗布用アタッチメントが選択接続されている。選択接続されたグリス塗布用アタッチメントを用いて、ベースプレート４１上のポール４２とカム４３の接触部に対して設定した３つのグリス塗布ポイントに向けてグリスを吐出（塗布）する。

［工程６］
ベースプレート４１に対して回転中心軸部材４４を組み付ける。ベースプレート４１とポール４２の接触部に対して、同一円周上の異なる位置に、９つのグリス塗布ポイントを設定する。グリス供給用ユニット２０には、複数種類のグリス塗布用アタッチメントのうち、９つのグリス塗布ポイントに適合したグリス塗布用アタッチメントが選択接続されている。選択接続されたグリス塗布用アタッチメントを用いて、ベースプレート４１とポール４２の接触部に対して設定した９つのグリス塗布ポイントに向けてグリスを吐出（塗布）する。

［工程７］
回転中心軸部材４４に対して、同一円周上の異なる位置に、３つのグリス塗布ポイントを設定する。グリス供給用ユニット２０には、複数種類のグリス塗布用アタッチメントのうち、３つのグリス塗布ポイントに適合したグリス塗布用アタッチメントが選択接続されている。選択接続されたグリス塗布用アタッチメントを用いて、回転中心軸部材４４に対して設定した３つのグリス塗布ポイントに向けてグリスを吐出（塗布）する。

［工程８］
ベースプレート４１に対してラチェットプレート４５と押さえリング４６を組み付ける。ラチェットプレート４５と押さえリング４６の接触部に対して、同一円周上の異なる位置に、８つのグリス塗布ポイントを設定する。グリス供給用ユニット２０には、複数種類のグリス塗布用アタッチメントのうち、８つのグリス塗布ポイントに適合したグリス塗布用アタッチメントが選択接続されている。選択接続されたグリス塗布用アタッチメントを用いて、ラチェットプレート４５と押さえリング４６の接触部に対して設定した８つのグリス塗布ポイントに向けてグリスを吐出（塗布）する。

図４の例では、［工程１］、［工程２］〜［工程４］、［工程５］、［工程６］、［工程７］及び［工程８］で各１つ、合計６つのグリス塗布装置１０（グリス供給ユニット２０）を用いることにより、ラウンドリクライニング装置４０の構成部品に設定した４１点のグリス塗布ポイントにグリスを吐出（塗布）する、いわゆる「６ディスペンサ４１点塗布タイプ（多点塗布タイプ）」のグリス塗布装置を実現することに成功している。このため、従来技術のような、グリス塗布対象物のグリス塗布ポイントと同数の「１ディスペンサ１点塗布タイプ」のグリス塗布装置を準備して、各グリス塗布装置によってグリス塗布対象物の各グリス塗布ポイントにグリスを塗布するタイプと比較して、飛躍的に、装置の小型化、低コスト化及び構造の簡単化を図ることができる。

このように、本実施形態では、グリス塗布用アタッチメント３０（３０Ａ、３０Ｂ、３０Ｃ）が、グリス供給用ユニット２０が供給したグリスを受け取ってこれを送り出す単一のグリス送出通路３１（３１Ａ、３１Ｂ、３１Ｃ）と、この単一のグリス送出通路から分岐した複数のグリス分岐通路３２（３２Ａ、３２Ｂ、３２Ｃ）と、この複数のグリス分岐通路の先端に接続された複数のグリス吐出口３３（３３Ａ、３３Ｂ、３３Ｃ）と、を有している。複数のグリス分岐通路３２（３２Ａ、３２Ｂ、３２Ｃ）は、単一のグリス送出通路３１（３１Ａ、３１Ｂ、３１Ｃ）を中心として放射状に延びるように設けられている。複数のグリス吐出口３３（３３Ａ、３３Ｂ、３３Ｃ）は、単一のグリス送出通路３１（３１Ａ、３１Ｂ、３１Ｃ）を中心とする同一円周上の異なる位置に設けられている。

これにより、単一のグリス送出通路３１（３１Ａ、３１Ｂ、３１Ｃ）を中心とする同一円周上の異なる位置に設けられた複数のグリス吐出口３３（３３Ａ、３３Ｂ、３３Ｃ）から、グリス塗布対象物の同一円周上の異なる位置に設定した複数のグリス塗布ポイントに対して、均一かつ高い位置精度でグリスを吐出（塗布）することができる。また、グリス供給用ユニット２０にグリス塗布用アタッチメント３０（３０Ａ、３０Ｂ、３０Ｃ）を接続するだけでグリス塗布装置１０が完成し、しかも上記従来技術のようにグリス塗布対象物のグリス塗布ポイントと同数の「１ディスペンサ１点塗布タイプ」のグリス塗布装置を設ける必要が無いので、装置の小型化、低コスト化及び構造の簡単化を図ることができる。さらに、１つのディスペンサに対して最低でも２つのグリス吐出口３３（３３Ａ、３３Ｂ、３３Ｃ）から同時にグリスを吐出（塗布）するので、グリス塗布対象物のグリス塗布時間及び組立時間（タクトタイム）を短くして組立ラインの稼働効率を向上させることができる。

以上の実施形態では、グリス塗布対象物をラウンドリクライニング装置４０としてその構成部品間の接触部分等にグリスを塗布する場合を例示して説明したが、本発明がラウンドリクライニング装置４０以外のグリス塗布対象物にも適用可能であることは勿論である。

以上の実施形態では、複数のグリス吐出ノズル３３（３３Ａ、３３Ｂ、３３Ｃ）がその吐出口を鉛直下方に向けており、鉛直下方に向けてグリスを吐出する場合を例示して説明した。しかし、複数のグリス吐出ノズルの吐出口を全て鉛直方向に対して同一傾斜で斜めに傾けて、鉛直方向に対して傾いた方向に向けてグリスを吐出してもよい。

以上の実施形態では、複数のグリス分岐通路３２（３２Ａ、３２Ｂ、３２Ｃ）が、単一のグリス送出通路３１（３１Ａ、３１Ｂ、３１Ｃ）の軸線に直交する平面内で延びている場合を例示して説明した。しかし、複数のグリス分岐通路は、単一のグリス送出通路の軸線に直交する平面に対して交わる（傾斜する）方向に延びていてもよい。

以上の実施形態（特に図３、図４）では、複数のグリス分岐通路、複数のグリス吐出ノズル及び複数のグリス塗布ポイントを各３つ以上とした場合を例示して説明したが、これらは複数あればよく、例えば、グリス分岐通路、グリス吐出ノズル及びグリス塗布ポイントを各２つずつとする態様も可能である。

１０ グリス塗布装置
１２ 固定ネジ
１４ グリス塗布対象物載置ステージ（載置ステージ）
１６ 載置ステージ駆動機構
２０ グリス供給用ユニット
２０Ｘ グリス供給ブロック
２１ グリス貯留室
２２ グリス送出通路
２３ グリスタンク
３０ ３０Ａ ３０Ｂ ３０Ｃ グリス塗布用アタッチメント
３０Ｘ グリス塗布ブロック
３１ ３１Ａ ３１Ｂ ３１Ｃ グリス送出通路
３２ ３２Ａ ３２Ｂ ３２Ｃ グリス分岐通路
３３ ３３Ａ ３３Ｂ ３３Ｃ グリス吐出ノズル（グリス吐出口）
４０ ラウンドリクライニング装置（グリス塗布対象物）
４１ ベースプレート（グリス塗布対象物）
４２ ポール（グリス塗布対象物）
４２ａ 外歯ギヤ
４３ カム（グリス塗布対象物）
４３ａ 嵌合穴
４３Ｗ 楔部材（グリス塗布対象物）
４４ 回転中心軸部材（グリス塗布対象物）
４４ａ 回転伝達部
４５ ラチェットプレート（グリス塗布対象物）
４６ 押さえリング（グリス塗布対象物）

Claims (10)

1. グリスを供給するためのグリス供給用ユニット；及び
   前記グリス供給用ユニットが供給したグリスをグリス塗布対象物に塗布するためのグリス塗布用アタッチメント；を有するグリス塗布装置であって、
   前記グリス塗布用アタッチメントは、前記グリス供給用ユニットが供給したグリスを受け取ってこれを送り出す単一のグリス送出通路と、該単一のグリス送出通路から分岐した複数のグリス分岐通路と、該複数のグリス分岐通路の先端に接続された複数のグリス吐出口と、を有すること；
   前記複数のグリス分岐通路は、前記単一のグリス送出通路を中心として放射状に延びるように設けられていること；及び
   前記複数のグリス吐出口は、前記単一のグリス送出通路を中心とする同一円周上の異なる位置に設けられていること；を特徴とするグリス塗布装置。
2. 請求項１記載のグリス塗布装置において、
   前記単一のグリス送出通路、前記複数のグリス分岐通路及び前記複数のグリス吐出口は、各グリス吐出口からのグリスの吐出圧力が略同一となるような形状に設定されているグリス塗布装置。
3. 請求項１または２記載のグリス塗布装置において、
   前記複数のグリス吐出口は、鉛直下方に向けてグリスを吐出するグリス塗布装置。
4. 請求項１ないし３のいずれか１項記載のグリス塗布装置において、
   前記グリス塗布用アタッチメントは、前記複数のグリス吐出口の仕様が異なる複数種類が設けられており、この複数種類のグリス塗布用アタッチメントのいずれか１つが選択的に前記グリス供給用ユニットに接続可能となっているグリス塗布装置。
5. グリス供給用ユニットが供給したグリスをグリス塗布対象物に塗布するためのグリス塗布用アタッチメントであって、
   前記グリス供給用ユニットが供給したグリスを受け取ってこれを送り出す単一のグリス送出通路と、
   前記単一のグリス送出通路から分岐した複数のグリス分岐通路と、
   前記複数のグリス分岐通路の先端に接続された複数のグリス吐出口と、を有し、
   前記複数のグリス分岐通路は、前記単一のグリス送出通路を中心として放射状に延びるように設けられており、
   前記複数のグリス吐出口は、前記単一のグリス送出通路を中心とする同一円周上の異なる位置に設けられている、ことを特徴とするグリス塗布用アタッチメント。
6. 請求項５記載のグリス塗布用アタッチメントにおいて、
   前記単一のグリス送出通路、前記複数のグリス分岐通路及び前記複数のグリス吐出口は、各グリス吐出口からのグリスの吐出圧力が略同一となるような形状に設定されているグリス塗布用アタッチメント。
7. 請求項５または６記載のグリス塗布用アタッチメントにおいて、
   前記複数のグリス吐出口は、鉛直下方に向けてグリスを吐出するグリス塗布用アタッチメント。
8. グリス供給用ユニットが供給したグリスをグリス塗布対象物に塗布するためのグリス塗布方法であって、
   前記グリス塗布対象物に対して、同一円周上の異なる位置に、複数のグリス塗布ポイントを設定するステップと、
   前記グリス供給用ユニットが供給したグリスを受け取ってこれを単一のグリス送出通路から送り出すステップと、
   前記単一のグリス送出通路から送り出したグリスを、該単一のグリス送出通路を中心として放射状に延びるように分岐した複数のグリス分岐通路によって分岐するステップと、
   前記複数のグリス分岐通路によって分岐したグリスを、該複数のグリス分岐通路の先端に接続され且つ前記単一のグリス送出通路を中心とする同一円周上の異なる位置に設けられた複数のグリス吐出口から、前記グリス塗布対象物に対して設定した前記複数のグリス塗布ポイントに向けて吐出するステップと、を有することを特徴とするグリス塗布方法。
9. 請求項８記載のグリス塗布方法において、
   前記複数のグリス吐出口の仕様が異なる複数種類のグリス塗布用アタッチメントのうち、いずれのグリス塗布用アタッチメントを前記グリス供給用ユニットに接続して使用するかを選択するステップをさらに有するグリス塗布方法。
10. 構成部品であるベースプレート、ポール、カム、ラチェットプレート及び押さえリングを組み付ける複数の組付工程と、
    前記複数の組付工程と同時または前記複数の組付工程の間に、前記構成部品にグリスを塗布するグリス塗布工程と、を有するラウンドリクライニング装置の製造方法であって、
    前記グリス塗布工程は、
    前記構成部品に対して、同一円周上の異なる位置に、複数のグリス塗布ポイントを設定するステップと、
    グリス供給用ユニットが供給したグリスを受け取ってこれを単一のグリス送出通路から送り出すステップと、
    前記単一のグリス送出通路から送り出したグリスを、該単一のグリス送出通路を中心として放射状に延びるように分岐した複数のグリス分岐通路によって分岐するステップと、
    前記複数のグリス分岐通路によって分岐したグリスを、該複数のグリス分岐通路の先端に接続され且つ前記単一のグリス送出通路を中心とする同一円周上の異なる位置に設けられた複数のグリス吐出口から、前記構成部品に対して設定した前記複数のグリス塗布ポイントに向けて吐出するステップと、
    を有することを特徴とするラウンドリクライニング装置の製造方法。

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