JP2015081279A - 硬質アスファルト組成物、グースアスファルト混合物およびそれらの製造方法 - Google Patents

硬質アスファルト組成物、グースアスファルト混合物およびそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高温で加熱されても、専用運搬車から流れ出ず、流し込み舗装が出来ないなどの不具合が起こらない、耐流動性、耐ひび割れ性に優れたグースアスファルト混合物のバインダーとして好適な硬質アスファルト組成物を提供する。
【解決手段】
(A)密度0.990〜1.001g/cm、針入度300〜800、120℃動粘度50〜500mm/sであるナフテン系減圧蒸留残油40〜70重量部と(B)常圧蒸留残油及び/又は減圧蒸留残油を含む残油を、ライトリフォーメートを溶剤として抽出処理して得られる針入度1〜10、軟化点70〜200℃、アスファルテン含有量20〜70質量%の溶剤脱れきピッチ30〜60重量部との混合物100重量部と、(C)密度1.04〜1.49g/cm、軟化点70〜200℃の天然アスファルト1〜30重量部とを含む、針入度が15〜30、軟化点58〜68℃の硬質アスファルト組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、鋼床版舗装などの橋梁舗装に用いられるグースアスファルト混合物のバインダーとして好適な硬質アスファルトに関する。さらには、該硬質アスファルトをバインダーとするグースアスファルト混合物及びそれらの製造方法に関する。
現在使用されている一般的な硬質アスファルトは、石油アスファルトに天然アスファルトを混合したものである。しかし、硬質アスファルトをバインダーとして製造したグースアスファルト混合物は220〜250℃の高温で舗設されるため、硬質アスファルトが加熱劣化し専用運搬車(クッカー車)から流れ出ず、流し込み舗装が出来ない状況が発生している。そこで、耐熱性を向上し施工時の流動性に富み、鋼床版との接着性の高い硬質アスファルトの開発が要望されている。
「舗装施工便覧」、社団法人 日本道路協会、平成18年版、205〜209ページ
本発明は、高温(220〜250℃)で加熱されても、硬質アスファルトが加熱劣化し専用運搬車(クッカー車)から流れ出ず、流し込み舗装が出来ないなどの不具合が起こらない硬質アスファルトを提供すると共に、耐流動性、耐ひび割れ性に優れたグースアスファルト混合物を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するため、硬質アスファルトについて鋭意研究した結果、ナフテン系減圧蒸留残油と高アスファルテン含有量のSDAピッチおよび天然アスファルトを混合することにより得られる硬質アスファルト組成物が前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、(A)API度10〜25のナフテン系原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られる、15℃における密度が0.990〜1.001g/cm、25℃における針入度(1/10mm)が300〜800、120℃における動粘度が50〜500mm/sであるナフテン系減圧蒸留残油40〜70重量部と、(B)原油を常圧蒸留して得られる常圧蒸留残油、並びに原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られる減圧蒸留残油から選ばれる少なくとも1種を含む残油を、ライトリフォーメートを溶剤として抽出処理して得られる、25℃における針入度(1/10mm)が1〜10、軟化点が70〜200℃、アスファルテン含有量が20〜70質量%の性状を有する溶剤脱れきピッチ(SDAピッチ)30〜60重量部との混合物100重量部と、(C)15℃における密度が1.04〜1.49g/cm、軟化点が70〜200℃の天然アスファルトを1〜30重量部とを含むことを特徴とする、25℃における針入度(1/10mm)が15〜30、軟化点が58〜68℃の硬質アスファルト組成物に関する。
また、本発明は、前記硬質アスファルト組成物をバインダーとして製造したグースアスファルト混合物であって、240℃でのリュエル流動性が3〜20秒、40℃、30分での貫入量が1〜6mmであるグースアスファルト混合物に関する。
また、本発明は、前記硬質アスファルト組成物をバインダーとして製造したグースアスファルト混合物であって、動的安定度が300回/mm以上、破断時のひずみが8×10−3以上であるグースアスファルト混合物に関する。
また、本発明は、(A)API度10〜25のナフテン系原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られる、15℃における密度が0.990〜1.001g/cm、25℃における針入度(1/10mm)が300〜800、120℃における動粘度が50〜500mm/sであるナフテン系減圧蒸留残油40〜70重量部と、(B)原油を常圧蒸留して得られる常圧蒸留残油、並びに原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られる減圧蒸留残油から選ばれる少なくとも1種を含む残油を、ライトリフォーメートを溶剤として抽出処理して得られる、25℃における針入度(1/10mm)が1〜10、軟化点が70〜200℃、アスファルテン含有量が20〜70質量%の性状を有する溶剤脱れきピッチ(SDAピッチ)30〜60重量部との混合物100重量部と、(C)15℃における密度が1.04〜1.49g/cm、軟化点が70〜200℃の天然アスファルトを1〜30重量部とを混合することを特徴とする、25℃における針入度(1/10mm)が15〜30、軟化点が58〜68℃の硬質アスファルト組成物の製造方法に関する。
また、本発明は、前記方法で製造した硬質アスファルト組成物をバインダーとして用いることを特徴とする、240℃でのリュエル流動性が3〜20秒、40℃、30分での貫入量が1〜6mmであるグースアスファルト混合物の製造方法に関する。
また、本発明は、前記方法で製造した硬質アスファルト組成物をバインダーとして用いることを特徴とする、動的安定度が300回/mm以上、破断時のひずみが8×10−3以上であるグースアスファルト混合物の製造方法に関する。
本発明の硬質アスファルト組成物は、耐熱性に優れ、施工時の流動性に富み、鋼床版との接着性が高いため、それをバインダーとして配合したグースアスファルト混合物は耐流動性、耐ひび割れ性に優れ、従来問題であったアスファルトが加熱劣化し専用運搬車(クッカー車)から流れ出ず、流し込み舗装が出来ないなどの状況が改善される。
以下、本発明について詳述する。
本発明の硬質アスファルト組成物は、(A)成分として、下記性状を有するナフテン系減圧蒸留残油を含有する。
本発明に係るナフテン系減圧蒸留残油は、API度が10〜25であるオーストラリア産等のナフテン系原油を、常圧蒸留装置にてLPG、ナフサ、ガソリン、灯油、軽油等の留分と常圧蒸留残油に分留し、得られる常圧蒸留残油を更に減圧蒸留装置内で、常圧換算温度が400〜500℃前後となるように温度、減圧度等を調整して減圧蒸留を行い、潤滑油等の留分と減圧蒸留残油(VR:Vacuum Distillation Residue)とに分留し、減圧蒸留残油を採取することによって得られる。
本発明に係るナフテン系減圧蒸留残油はAPI度が10〜25の範囲のナフテン系原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られたものである。API度が上記範囲を逸脱する場合、本発明の目的とする性状を有するナフテン系減圧蒸留残油を得ることができない。
なお、本発明でいうAPI度とは、JIS K 2249「原油及び石油製品―密度試験方法及び密度・質量・容積換算表」に規定する振動式密度試験方法で密度(15℃)を測定し、これをJIS K 2249の附属書2「原油及び石油製品の密度(15℃)、API度及び比重60/60°Fの相互換算方法」により換算することにより求めた値である。
本発明に係るナフテン系減圧蒸留残油の15℃における密度は0.990〜1.001g/cmであることが必要であり、0.991〜1.000g/cmであることが好ましく、0.992〜0.998g/cmであることがより好ましい。
本発明に係るナフテン系減圧蒸留残油の25℃における針入度(1/10mm)は300〜800であることが必要であり、350〜700であることが好ましく、400〜650であることがより好ましい。ナフテン系減圧蒸留残油の25℃における針入度が前記範囲を逸脱する場合、耐ひび割れ性が劣るため好ましくない。
本発明に係るナフテン系減圧蒸留残油の120℃における動粘度は50〜500mm/sであることが必要であり、80〜400mm/sであることが好ましく、90〜350mm/sであることがより好ましい。120℃における動粘度が上記範囲を逸脱する場合、耐流動性が低下するため好ましくない。
なお、本発明において、15℃における密度はJIS K 2207「石油アスファルト−密度試験方法」により、25℃における針入度(1/10mm)はJIS K 2207「石油アスファルト−針入度試験方法」により、120℃における動粘度は、JIS K 2283「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」により測定した値である。
本発明の硬質アスファルト組成物は、(B)成分として、下記性状を有する溶剤脱れきピッチ(SDAピッチ)を含有する。
本発明に係る溶剤脱れきピッチ(SDAピッチ)は、原油を常圧蒸留して得られる常圧蒸留残油、並びに原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られる減圧蒸留残油から選ばれる少なくとも1種を含む残油を、ライトリフォーメートを溶剤として抽出処理することにより得られる。
本発明において溶剤として用いるライトリフォーメートは、原油を常圧蒸留してナフサ留分を得、そのナフサ留分を接触改質装置で改質した後に他の成分から分留して得られたものである。より詳細には、ライトリフォーメートは、以下に示すようにして得られる。
まず、原料である原油を常圧蒸留装置によって分留して、ナフサ留分(主に30〜230℃の留分)を得る。ナフサ留分は、常圧蒸留装置によって軽質ナフサ留分(例えば沸点30〜90℃相当)と重質ナフサ留分(例えば沸点80〜180℃相当)とに予め分留して、その後水素化精製(水素化脱硫処理)しても良いし、水素化精製(水素化脱硫処理)装置でナフサ留分を水素化処理した後、軽質ナフサと重質ナフサに分留しても良い。
続いて、接触改質装置によって重質ナフサ(主として沸点80〜180℃)を改質して芳香族系炭化水素を主体とするリフォーメートとする。このようにして得られたリフォーメートは、15℃における密度が0.78〜0.81g/cm、リサーチ法オクタン価が96〜104、モーター法オクタン価が86〜89であり、芳香族分含有量が50〜70容量%、飽和分含有量が30〜50容量%である。
その後、精留装置によってリフォーメートを、炭素数5の炭化水素を主成分とするライトリフォーメートと、C6+留分とに分離する。C6+留分は、炭素数6以上の芳香族系炭化水素を主成分とするものであり、他に炭素数6以上の飽和炭化水素、オレフィン系炭化水素、及びナフテン系炭化水素などの成分を含むものである。ライトリフォーメート及びC6+留分に含まれる各成分含有量は、例えば、GC(ガスクロマトグラフ)分析(JIS K 2536「石油製品‐成分試験方法」)などにより求めることができる。
ライトリフォーメートとC6+留分との分留条件は、ライトリフォーメート中にベンゼンが含まれないように分留できれば特に限定されるものではないが、例えばライトリフォーメート中のC6+留分が30容量%以下となるように適宜調整される。
このようにして得られたライトリフォーメートは、ブタンを5〜15容量%、ペンタンを60〜80容量%、ヘキサンを5〜30容量%含むものである。
なお、ここでいうブタン、ペンタン、ヘキサンとは、各々炭素数4、5、6のノルマルパラフィンとイソパラフィンの混合物であっても良い。
ライトリフォーメートを溶剤として残油から溶剤脱れきピッチを抽出する際には、溶剤抽出装置のミキサーなどの混合装置によって、残油と溶剤とを混合してから、溶剤の臨界圧力以上で臨界温度以下の一定の条件に保たれている溶剤抽出装置のアスファルテン分離槽に供給する。アスファルテン分離槽内では、残油に含まれるアスファルトが沈殿する。この沈殿物を、アスファルテン分離槽の底部から連続的に抜出し、抜出した沈殿物から、わずかに含まれる溶剤をストリッパーによって除去する。なお、アスファルテン分離槽の上部から抜き出された油は脱れき油(DAO:Deasphalted Oil)として利用する。
ライトリフォーメートを溶剤として残油から溶剤脱れきピッチを抽出する際には、抽出温度を150℃〜200℃とし、溶剤と残油との流量比(溶剤/残油)を5/1〜8/1として行うことが好ましい。
残油の抽出温度は、残油の性状に応じて適宜決定されるものであって、溶剤脱れきピッチの軟化点が一定となるように調整される。抽出温度が150℃未満であると、溶剤脱れきピッチの軟化点が200℃以上となり、溶剤抽出装置内からSDAピッチを取り出すことが困難となる。そのため、SDAピッチの生産性が低下する。抽出温度が200℃を超えると、溶剤脱れきピッチの軟化点が100℃以下となり、SDAピッチ中のアスファルテン分が低下し、好ましくない。また、溶剤と残油との流量比(溶剤/残油)が5/1未満であると、溶剤が少ないため、アスファルテン分離槽での抽出効率が低下し、SDAピッチ中のアスファルテン分が低下して好ましくない。溶剤と残油との流量比(溶剤/残油)が8/1を超えると、必要以上の溶剤を循環させることで、溶剤抽出装置のエネルギー消費量が増大し、非経済的な運転となり、好ましくない。
本発明に係る溶剤脱れきピッチ(SDAピッチ)の25℃における針入度(1/10mm)は1〜10であることが必要であり、1〜8であることが好ましく、1〜7であることがより好ましい。25℃における針入度が上記範囲を逸脱する場合は、耐ひび割れ性が低下するため好ましくない。
本発明に係る溶剤脱れきピッチ(SDAピッチ)の軟化点は70〜200℃であることが必要であり、好ましくは90〜200℃であり、より好ましくは110〜195℃である。軟化点が上記範囲を逸脱する場合は、耐流動性、耐ひびわれ性が低下するため好ましくない。
本発明に係る溶剤脱れきピッチ(SDAピッチ)のアスファルテン含有量は20〜70質量%であることが必要であり、好ましくは30〜70質量%であり、より好ましくは35〜70質量%である。アスファルテン含有量が上記範囲を逸脱する場合は、耐流動性が低下するため好ましくない。
なお、本発明でいう軟化点とは、JIS K 2207「石油アスファルト−軟化点試験方法(環球法)」により測定した値である。また、アスファルテン含有量は、石油学会規格「アスファルトのカラムクロマトグラフィ−による組成分析法」(JPI−5S−22−83)により測定した値である。
本発明の硬質アスファルト組成物は、(C)成分として、下記性状を有する天然アスファルトを含有する。
天然アスファルトは、一般的に、変成過程によりレーキアスファルト(湧出鉱床)、ロックアスファルト(浸透鉱床)およびアスファルタイト(割目充填鉱床)に分類される。アスファルトの添加材として利用する天然アスファルトとしては、硬質で改質効果が高く、品質が安定しており、しかも埋蔵量の多いトリニダッドレイクアスファルトが挙げられる。
本発明に係る天然アスファルトの15℃における密度は1.04〜1.49g/cmであることが必要であり、1.14〜1.47g/cmが好ましく、1.20〜1.46g/cmがより好ましい。また、軟化点は70〜200℃であることが必要であり、80〜160℃であることが好ましく、85〜150℃であることがより好ましい。
天然アスファルトの密度が上記範囲を逸脱する場合は、耐流動性が低下するため好ましくない。また、軟化点が上記範囲を逸脱する場合は、耐ひび割れ性および耐流動性が低下するため好ましくない。
本発明の硬質アスファルト組成物は、ナフテン系減圧蒸留残油40〜70重量部とSDAピッチ30〜60重量部、好ましくはナフテン系減圧蒸留残油45〜65重量部とSDAピッチ35〜55重量部とを混合して得られる混合物100重量部に、天然アスファルト1〜30重量部、好ましくは2〜29重量部、より好ましくは3〜28重量部を配合することにより得られる。
ナフテン系減圧蒸留残油とSDAピッチの混合物中のナフテン系減圧蒸留残油とSDAピッチの混合割合が上記範囲を逸脱すると、社団法人 日本道路協会「舗装調査・試験法便覧」の硬質アスファルト規格を満たさないため好ましくない。天然アスファルトの含有量が上記範囲を逸脱すると、社団法人 日本道路協会「舗装調査・試験法便覧」のグースアスファルト規格を満たさないため好ましくない。
本発明の硬質アスファルト組成物は、25℃における針入度(1/10mm)が15〜30であり、軟化点は58〜68℃である。
25℃における針入度(1/10mm)が上記範囲を逸脱すると、最適なグースアスファルト混合物が得られず、鋼床版等との接着性(防水性)あるいは強度の低下を招くため好ましくない。また軟化点が上記範囲を逸脱すると、最適なグースアスファルト混合物が得られず、鋼床版等との接着性(防水性)あるいは強度の低下を招くため好ましくない。
本発明の硬質アスファルト組成物は、グースアスファルト混合物の製造に好適に使用される。グースアスファルト混合物は、硬質アスファルトと、粗骨材、細骨材およびフィラー等を配合して、プラントで混合したのち、流し込み施工が可能な作業性(流動性)と安定性が得られるように、クッカーの中で高温で撹拌、混合(混練)することにより得られる。
本発明の硬質アスファルト組成物をバインダーとして製造されたグースアスファルト混合物(以下、本発明のグースアスファルト混合物)は以下の性状を備える。
本発明のグースアスファルト混合物の240℃でのリュエル流動性は3〜20秒であり、好ましくは5〜19秒である。240℃でのリュエル流動性が上記範囲を逸脱すると、クッカー車からの流し込み舗装が出来なくなるため好ましくない。
本発明のグースアスファルト混合物の40℃、30分での貫入量は1〜6mmであり、好ましくは1〜3mmである。40℃、30分での貫入量が上記範囲を逸脱すると、グースアスファルト混合物の熱安定性が悪いため好ましくない。
本発明のグースアスファルト混合物の動的安定度は300回/mm以上であり、好ましくは500回以上、より好ましくは700回以上である。動的安定度が上記範囲を逸脱すると、表層の舗装に影響し早期にわだち掘れ等が発生するため好ましくない。
本発明のグースアスファルト混合物の破断時のひずみは8×10−3以上であり、好ましくは8.1×10−3以上、より好ましくは8.2×10−3以上である。破断時のひずみが上記範囲を逸脱すると、鋼床版舗装でのたわみ追従性が悪化し、早期にひび割れ・剥離が発生するため好ましくない。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
(実施例1〜5、比較例1〜4)
表1に示すナフテン系減圧蒸留残油(VR)、SDAピッチおよび天然アスファルトをブレンドして25℃における針入度15〜30(1/10mm)の硬質アスファルト組成物を製造した。各成分の性状を表1に示す。
なお、ナフテン系減圧蒸留残油(VR)はAPI度20のオーストラリア産ナフテン系原油を常圧蒸留および減圧蒸留して得られたものであり、天然アスファルトはトリニダッドレイクアスファルト(TLA)を使用した。
次に、製造した硬質アスファルト組成物をバインダーとして骨材と混合しグースアスファルト混合物を製造した。なお、骨材配合は「舗装施工便覧」に記載されているグースアスファルト混合物の標準的な粒度範囲の中央値とした。
グースアスファルト混合物の性能について、施工のしやすさをリュエル流動性試験により評価し、高温におけるグースアスファルト混合物の安定性を貫入試験で評価した。また、耐ひび割れ性は曲げ試験、耐流動性はホイールトラッキング試験による動的安定度により評価した。各成分の混合割合および評価結果を表2および表3に示す。
なお、貫入試験およびリュエル流動性試験は、各々、社団法人 日本道路協会「舗装調査・試験法便覧」の「C001グースアスファルト混合物の貫入試験方法」、「C002グースアスファルト混合物のリュエル流動性試験方法」記載の方法で行い、またホイールトラッキング試験および曲げ試験は、各々、社団法人 日本道路協会「舗装調査・試験法便覧」の「B003ホイールトラッキング試験方法」、「B005曲げ試験方法」記載の方法で行った。
以下に試験法の概略を記す。
(1)リュエル流動性試験
グースアスファルト混合物を所定の容器に採取し、その混合物中で錘球(995g)が自重で5cm沈下するのに要する時間(秒)を測定する。沈下秒数が小であれば流動性は大きい。
(2)貫入試験
グースアスファルト混合物を7cm立方体の供試体を造れるモールドに詰めて成形する。冷却した供試体を40±1℃の温水中に4時間保った後、同じ温度の温水中で、この供試体に貫入面の面積が500mmの円を持つ棒を通じて515Nの荷重を載荷させ、30分経過したときの貫入量を測定する。貫入量が大きいと供用時の高温安定性が小さく、わだち掘れを生じやすい。
(3)曲げ試験
アスファルトと骨材を加熱混合したアスファルト混合物を所定の型枠(300×300×50mm)に入れ、整形した後、300×100×50mmの形状に切り出して供試体を作製し、−10℃で養生後、供試体を載荷試験機にセットし、載荷速度50mm/minで中央部に集中載荷する。最大荷重を示して供試体が破断するまで載荷を行い、荷重と変形量を求め、破断時(最大荷重時)の曲げ強度および破断時のひずみを求める。
一般的に、破断時の曲げ強度およびひずみの値が大きいほど、ひび割れに対する耐久性が良いことを示す。
(4)ホイールトラッキング試験
アスファルトと骨材を加熱混合したアスファルト混合物を所定の型枠(300×300×50mm)に入れ整形した供試体を60℃の恒温室で規定荷重(686±10N)の小型車輪を往復させ、45分および60分における変形量(わだち掘れ量)を測定し、動的安定度(回/mm)を求め、混合物のわだち掘れに対する抵抗性を評価する。
動的安定度(DS:Dynamic Stability)の値が大きいほど、高温時における加熱アスファルト混合物の耐流動性が良いことを示す。一般的には、わだち掘れの発生を抑制するためには動的安定度が300以上である必要がある。
Figure 2015081279
Figure 2015081279
Figure 2015081279
表2および表3から明らかなように、実施例1〜5のグースアスファルト混合物はいずれも、リュエル流動性、貫入量、破断時のひずみ、耐流動性において優れた特性を示した。一方、比較例1〜4のグースアスファルト混合物はいずれも、リュエル流動性、貫入量、破断時のひずみ、耐流動性が、不十分な性能であった。
本発明の硬質アスファルト組成物をバインダーとして配合したグースアスファルト混合物は耐流動性、耐ひび割れ性に優れるため舗装作業が向上し有用である。

Claims (6)

  1. (A)API度10〜25のナフテン系原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られる、15℃における密度が0.990〜1.001g/cm、25℃における針入度(1/10mm)が300〜800、120℃における動粘度が50〜500mm/sであるナフテン系減圧蒸留残油40〜70重量部と、(B)原油を常圧蒸留して得られる常圧蒸留残油、並びに原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られる減圧蒸留残油から選ばれる少なくとも1種を含む残油を、ライトリフォーメートを溶剤として抽出処理して得られる、25℃における針入度(1/10mm)が1〜10、軟化点が70〜200℃、アスファルテン含有量が20〜70質量%の性状を有する溶剤脱れきピッチ(SDAピッチ)30〜60重量部との混合物100重量部と、(C)15℃における密度が1.04〜1.49g/cm、軟化点が70〜200℃の天然アスファルトを1〜30重量部とを含むことを特徴とする、25℃における針入度(1/10mm)が15〜30、軟化点が58〜68℃の硬質アスファルト組成物。
  2. 請求項1に記載の硬質アスファルト組成物をバインダーとして製造したグースアスファルト混合物であって、240℃でのリュエル流動性が3〜20秒、40℃、30分での貫入量が1〜6mmであるグースアスファルト混合物。
  3. 請求項1に記載の硬質アスファルト組成物をバインダーとして製造したグースアスファルト混合物であって、動的安定度が300回/mm以上、破断時のひずみが8×10−3以上であるグースアスファルト混合物。
  4. (A)API度10〜25のナフテン系原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られる、15℃における密度が0.990〜1.001g/cm、25℃における針入度(1/10mm)が300〜800、120℃における動粘度が50〜500mm/sであるナフテン系減圧蒸留残油40〜70重量部と、(B)原油を常圧蒸留して得られる常圧蒸留残油、並びに原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られる減圧蒸留残油から選ばれる少なくとも1種を含む残油を、ライトリフォーメートを溶剤として抽出処理して得られる、25℃における針入度(1/10mm)が1〜10、軟化点が70〜200℃、アスファルテン含有量が20〜70質量%の性状を有する溶剤脱れきピッチ(SDAピッチ)30〜60重量部との混合物100重量部と、(C)15℃における密度が1.04〜1.49g/cm、軟化点が70〜200℃の天然アスファルトを1〜30重量部とを混合することを特徴とする、25℃における針入度(1/10mm)が15〜30、軟化点が58〜68℃の硬質アスファルト組成物の製造方法。
  5. 請求項4に記載の方法で製造した硬質アスファルト組成物をバインダーとして用いることを特徴とする、240℃でのリュエル流動性が3〜20秒、40℃、30分での貫入量が1〜6mmであるグースアスファルト混合物の製造方法。
  6. 請求項4に記載の方法で製造した硬質アスファルト組成物をバインダーとして用いることを特徴とする、動的安定度が300回/mm以上、破断時のひずみが8×10−3以上であるグースアスファルト混合物の製造方法。
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