JP2015081239A - 脂肪蓄積抑制剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】臓器内の脂肪蓄積を効果的に抑制することができる脂肪蓄積抑制剤を提供する。
【解決手段】アウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pullulans)の培養物から得られる培養組成物を、脂肪蓄積抑制剤の有効成分として用いる。この脂肪蓄積抑制剤は、臓器内の脂肪蓄積を効果的に抑制することができる。よって、例えば脂肪肝形成やアテローム硬化性動脈瘤形成の予防又はその改善、ひいては非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)や非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の予防又はその改善などのために好適に用いられる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、臓器内の脂肪蓄積を効果的に抑制することができ、脂肪肝やアテローム硬化性動脈瘤、ひいては非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)や非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)などに対して有用な脂肪蓄積抑制剤に関するものである。
通称黒酵母とも呼ばれるアウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pullulans)は、その培養中にβ−1,3−1,6−グルカン等の有用成分を豊富に分泌する。そこで例えば下記特許文献1などには、β−1,3−1,6−グルカンを主成分とするアウレオバシジウム培養液を有効成分にして、慢性関節リウマチ、膠原病、新興自己免疫疾患、ウイルス・細菌感染症、各種癌、癌の浸潤、転移、発癌ウイルス、神経疾患、痴呆症、アルツハイマー病、肝臓疾患、肝硬変、ウイルス性肝疾患、原因不明の難病、生活習慣病(糖尿病、高血圧、動脈硬化症、骨粗しょう症など)または日本人に大変多い痔(内外痔核、痔出血)など、各種疫病の予防または治療に用いることが提案されている。
特開2002−204687号公報
しかしながら、アウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pullulans)の培養物から得られる培養組成物に臓器内の脂肪蓄積を抑制する作用効果があることは知られていなかった。そこで本発明の目的は、そのアウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pullulans)の培養物から得られる培養組成物の作用効果を利用した、脂肪肝やアテローム硬化性動脈瘤、ひいては非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)や非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)などに対して有用な脂肪蓄積抑制剤を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]アウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pullulans)の培養物から得られる培養組成物を有効成分として含有し、臓器内の脂肪蓄積を抑制するために用いることを特徴とする脂肪蓄積抑制剤。
[2]脂肪肝形成の予防又はその改善のために用いられる、上記[1]記載の脂肪蓄積抑制剤。
[3]アテローム硬化性動脈瘤形成の予防又はその改善のために用いられる、上記[1]記載の脂肪蓄積抑制剤。
[4]非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の予防又はその改善のために用いられる、上記[2]記載の脂肪蓄積抑制剤。
[5]非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の予防又はその改善のために用いられる、上記[2]記載の脂肪蓄積抑制剤。
本発明の脂肪蓄積抑制剤によれば、アウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pullulans)の培養物から得られる培養組成物を有効成分とするので、臓器内の脂肪蓄積を効果的に抑制することができる。よって、例えば脂肪肝形成やアテローム硬化性動脈瘤形成の予防又はその改善、ひいては非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)や非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の予防又はその改善などのために好適に用いられる。
図1は試験例1の結果を示す図表であり、図1Aは普通食の給餌下におけるコントロール群およびβ−グルカン投与群の体重変化の結果を示す図表であり、図1Bは高脂肪食の給餌下におけるコントロール群およびβ−グルカン投与群の体重変化の結果を示す図表であり、図1Cは普通食の給餌下におけるコントロール群およびβ−グルカン投与群の餌の摂取量の結果を示す図表であり、図1Dは高脂肪食の給餌下におけるコントロール群およびβ−グルカン投与群の餌の摂取量の結果を示す図表である。 図2は試験例2の結果を示す図表であり、図2Aは普通食または高脂肪食の給餌下におけるコントロール群およびβ−グルカン投与群の血中コレステロール値の結果を示す図表であり、図2Bは普通食または高脂肪食の給餌下におけるコントロール群およびβ−グルカン投与群の中性脂肪値の結果を示す図表である。 図3は試験例3の結果を示す図表であり、図3Aは普通食または高脂肪食の給餌下におけるコントロール群およびβ−グルカン投与群の白色脂肪組織のヘマトキシリン・エオジン染色像の写真であり、図3Bは普通食または高脂肪食の給餌下におけるコントロール群およびβ−グルカン投与群の白色脂肪組織における脂肪細胞のサイズの画像解析の結果を示す図表であり、図3Cは普通食または高脂肪食の給餌下におけるコントロール群およびβ−グルカン投与群のCTスキャンによる白色脂肪組織周辺の脂肪量の解析の結果を示す図表であり、図3Dは普通食または高脂肪食の給餌下におけるコントロール群およびβ−グルカン投与群のCTスキャンによる白色脂肪組織周辺の筋肉量の解析の結果を示す図表である。 図4は試験例4の結果を示す図表であり、図4Aは普通食または高脂肪食の給餌下におけるコントロール群およびβ−グルカン投与群の肝臓のOil O Red染色像の写真であり、図4Bは普通食または高脂肪食の給餌下におけるコントロール群およびβ−グルカン投与群のOil O Red染色像の画像解析の結果を示す図表であり、図4Cは普通食または高脂肪食の給餌下におけるコントロール群およびβ−グルカン投与群の肝臓における中性脂肪量の結果を示す図表であり、図4Dは普通食または高脂肪食の給餌下におけるコントロール群およびβ−グルカン投与群のCTスキャンによる肝臓周辺の脂肪量の解析の結果を示す図表であり、図4Eは普通食または高脂肪食の給餌下におけるコントロール群およびβ−グルカン投与群のCTスキャンによる肝臓周辺の筋肉量の解析の結果を示す図表である。 図5は試験例5の結果を示す図表であり、図5Aは普通食または高脂肪食の給餌下におけるコントロール群およびβ−グルカン投与群の血清中ALT値の結果を示す図表であり、図5Bは普通食または高脂肪食の給餌下におけるコントロール群およびβ−グルカン投与群のヒドロキシメチルグルタリルCoAレダクターゼ(HMG-CoA reductase,HMGR)のmRNA発現量の結果を示す図表であり、図5Cは普通食または高脂肪食の給餌下におけるコントロール群およびβ−グルカン投与群のコレステロール7α-ヒドロキシラーゼ(Cyp7a1,cholesterol 7a-hydroxylase)のmRNA発現量の結果を示す図表である。 図6は試験例6の結果を示す図表であり、図6Aは普通食または高脂肪食の給餌下におけるコントロール群およびβ−グルカン投与群の大動脈のOil O Red染色像の写真であり、図6Bは普通食または高脂肪食の給餌下におけるコントロール群およびβ−グルカン投与群の大動脈のOil O Red染色像の画像解析の結果を示す図表であり、図6Cは普通食または高脂肪食の給餌下におけるコントロール群およびβ−グルカン投与群の動脈基部のOil O Red染色像およびHE染色像の写真であり、図6Dは普通食または高脂肪食の給餌下におけるコントロール群およびβ−グルカン投与群の動脈基部のOil O Red染色像の画像解析の結果を示す図表である。 図7は試験例7の結果を示す図表であり、図7Aは普通食または高脂肪食の給餌下におけるコントロール群およびβ−グルカン投与群の血中HDLコレステロール値の結果を示す図表であり、図7Bは普通食または高脂肪食の給餌下におけるコントロール群およびβ−グルカン投与群の血中LDLコレステロール値の結果を示す図表であり、図7Cは普通食または高脂肪食の給餌下におけるコントロール群およびβ−グルカン投与群の血中酸化LDLコレステロール値の結果を示す図表である。 図8は試験例8の結果を示す図表であり、図8Aは普通食または高脂肪食の給餌下におけるコントロール群およびβ−グルカン投与群のMOMA-2(Monocyte/Macrophage Marker Antibody-2)による抗体染色像の写真であり、図8Bは普通食または高脂肪食の給餌下におけるコントロール群およびβ−グルカン投与群のMOMA-2染色領域の画像解析の結果を示す図表である。
本発明においては、アウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pullulans)の培養物から得られる培養組成物を、脂肪蓄積抑制剤の有効成分とする。この培養組成物には、アウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pullulans)がその生育中に産生するβ−グルカンやその他の有用成分が豊富に含まれており、後述の実施例で示すように、これを摂取することにより臓器内の脂肪蓄積を抑制する効果が得られる。
本発明の有効成分として用いる、アウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pullulans)の培養物から得られる培養組成物(以下「アウレオバシジウム由来培養組成物」という。)としては、アウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pullulans)を培養した培養物そのもの、遠心分離等により菌体を分離除去した培養液、その培養液の濃縮液、その培養液の希釈液、あるいはその培養液から水分を除いた固形物などが挙げられる。また、それらだけでなく、限外濾過や含水エタノール沈殿により低分子夾雑物を除いたり、その他の公知の分画手段に処したりして、β−グルカンの含有量を高めた培養組成物も含まれる。なお、アウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pullulans)の培養物は、増粘安定剤等の食品添加物として使用されているものであり安全性が高い。
本発明において用いられる上記アウレオバシジウム由来培養組成物は、アウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pullulans)を培養することにより生産されるβ−グルカンを、その培養物の質量100gに対する含有量に換算して、50〜3,000mg含有するものであることが好ましく、100〜2,000mg含有するものであることがより好ましい。
なお、β−グルカンの含有量の決定は、例えば次のような方法で行うことができる。すなわち、培養液にアミラーゼ、アミログルコシダーゼ、プロテアーゼ等を用いて酵素処理を施し、蛋白質や、プルラン等のα−グルカンを除き、エタノール沈殿を行う。更に、ガラスフィルターでろ過し、高分子試料を得る。このとき、単糖を含む低分子物質を除くため、80%エタノールで充分に洗浄する。洗浄した高分子試料はアセトンで更に洗浄し、硫酸を加え、加水分解を行う。加水分解後、中和し、そのろ液を採取して、グルコースオキシダーゼ法によりブドウ糖を定量し、下記数式1に基づいて計算した値をβ−グルカン量とする。
・数式1:β−グルカン(g/100g)=ブドウ糖(g/100g)×0.9
また、β−グルカンの含有量の決定は、いわゆる糖鎖含有高分子物質(多糖)量として決定することもできる。この場合は、培養液にアミラーゼ、アミログルコシダーゼ、プロテアーゼ等を用いて酵素処理を施し、蛋白質や、プルラン等のα−グルカンを除き、エタノール沈殿を行う。更に、ガラスフィルターでろ過し、高分子試料を得る。このとき、単糖を含む低分子物質を除くため、80%エタノールで充分に洗浄する。洗浄した高分子試料はアセトンで更に洗浄したものの重量を測定することで糖鎖含有高分子物質(多糖)量とする。
なお、このようにして定量されるβ−グルカンは、硫酸基、リン酸基等の官能基を有するもの、あるいはβ−グルカンの構成糖であるグルコース以外の糖からなる多糖などをも含むものとして定量される。したがって、このように広義の糖鎖含有高分子物質(多糖)としてβ−グルカンを定量した場合には、アウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pullulans)を培養することにより生産されるβ−グルカンの含有量は、その培養物の質量100gに対する含有量に換算して、70〜5,000mg含有するものであることが好ましく、140〜3,000mg含有するものであることがより好ましい。
本発明において用いられるアウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pullulans)としては、例えばアウレオバシジウム プルランス M−1(Aureobasidium pullulans M-1、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP-08615)や、アウレオバシジウム プルランス M−2(Aureobasidium pullulans M-2、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP-10014)などが好適に用いられる。なお、これらの菌株が産生するβ−グルカンは、NMR測定(13CNMR :Varian社UNITY INOVA500型、1HNMR : Varian社UNITY INOVA600型)による構造解析で、グルコースがβ−1,3結合した主鎖からβ−1,6結合でグルコースが分岐した構造を有するβ−1,3−1,6−グルカンであることが明らかとなっている。
アウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pullulans)の培養は、公知の方法(特開昭57−149301号公報等参照)に準じて行うことができる。すなわち、炭素源(ショ糖)0.5〜5.0質量%、N源0.1〜5.0質量%、その他微量物質(例えば、ビタミン類、無機質)を加えた培地(pH5.2〜6.0)に菌を接種し、温度20〜30℃で2〜14日間通気培養、好ましくは通気撹拌培養すればよい。β−グルカンが生成されるにしたがって培養液の粘度が上昇し、粘性の高いジェル状になる。このようにして得られる培養液には、通常、0.6〜10質量%の固形分が含まれており、該固形分中にはβ−グルカンが5〜80質量%含まれている。また、β−グルカン以外にも、例えば、リン、カリウム、マグネシウム、ビタミンC等の他の有用成分も含まれている。
アウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pullulans)の培養は、また、それを培養する培養液中に死菌化された微生物を加えて、栄養成分として資化させるようにして培養してもよい。この場合、その死菌体の培養液中への配合量は、用いる菌体の種類によっても異なるが、通常、100個/mL(培養液)〜100兆個/mL(培養液)程度であることが好ましい。微生物の死菌化は加熱殺菌等によって行うことができる。
上記死菌化された微生物として用いる微生物としては、窒素源等のアウレオバシジウム微生物の栄養源を含むものであれば特に制限はないが、例えば乳酸菌や酵母などが挙げられる。乳酸菌としては、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシューム(E.fecium)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidphilus)、ラクトバチルス・ガセリ(L.gasseri)、ラクトバチルス・マリ(L.mali)、ラクトバチルス・プランタラム(L.plantarum)、ラクトバチルス・ブヒネリ(L.buchneri)、ラクトバチルス・カゼイ(L.casei)、ラクトバチルス・ジョンソニー(L.johnsonii)、ラクトバチルス・ガリナラム(L.gallinarum)、ラクトバチルス・アミロボラス(L.amylovorus)、ラクトバチルス・ブレビス(L.brevis)、ラクトバチルス・ラムノーザス(L.rhamnosus)、ラクトバチルス・ケフィア(L.kefir)、ラクトバチルス・パラカゼイ(L.paracasei)、ラクトバチルス・クリスパタス(L.crispatus)等のラクトバチルス属細菌、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptcoccus thermophilus)等のストレプトコッカス属細菌、ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)等のラクトコッカス属細菌、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(B.longum)、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティス(B.adolescentis)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(B.infantis)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(B.breve)、ビフィドバクテリウム・カテヌラータム(B.catenulatum)等のビフィドバクテリウム属細菌、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・コアグランス(B.coagulans)等のバチルス属細菌、クロストリジウム・ブチリカム(Clostoridium butilicum)等のクロストリジウム属細菌などを用いることができる。
酵母としては、不完全菌類も含み、アウレオバシジウム・プルランス(Aureobasidium pullulans)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロマイセス・インタメディウス(Saccharomyces intemedius)、サッカロマイセス・ヴァリドウス(Saccharomyces validus)、サッカロマイセス・エリプソイデウス(Saccharomyces ellipsoideus)、サッカロマイセス・マリリスラー(マリーリスラー)(Saccharomyces mali risler)、サッカロマイセス・マンシュリカス(Saccharomyces mandschuricus)、サッカロマイセス・フォルデルマニ(Saccharomyces Vordermannii )、サッカロマイセス・ペーカー(Saccharomyces Peka)、サッカロマイセス・シアシング(Saccharomyces shasshing)、サッカロマイセス・ピリフォルミス(Saccharomyces piriformis)、サッカロマイセス・アナメンシス(Saccharomyces anamensis)、サッカロマイセス・カルティラギノースス(Saccharomyces cartilaginosus)、サッカロマイセス・アワモリ(Saccharomyces Awamori)、サッカロマイセス・バタタエ(Saccharomyces Batatae)、サッカロマイセス・コレアヌス(Saccharomyces Coreanus)、サッカロマイセス・ロブストウス(Saccharomyces robustus)、サッカロマイセス・カールスベルゲンシス(Saccharomyces Carlsbergensis)、サッカロマイセス・モナセンシス(Saccharomyces Monacensis)、サッカロマイセス・マルキシアヌス(Saccharomyces Marxianus)、ザイゴサッカロマイセス(チゴサッカロマイセス)・マヨール(Zygosaccharomyces major)、サッカロマイセス・ラクティス(Saccharomyces lactis)、サッカロマイセス・ルクシー(Saccharomyces Rouxii)、ハンゼヌーラ・アノマーラ(Hansenula anomala)などを用いることができる。
また、上記アウレオバシジウム由来培養組成物として、β−グルカンの含有量を高めた培養組成物を用いる場合、例えば、アウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pullulans)の培養物を珪藻土等で濾過することによって不溶物を取り除いた後、粉末状の活性炭等を用いて低分子化合物を吸着、除去し、これを分画分子量5,000〜500万、より好ましくは分画分子量50万〜200万の限外濾過膜で限外濾過し、その非通過画分に回収されたβ−グルカンを含水エタノール沈殿させて得られたものなどを用いることができる。このようにして得られたβ−グルカンの含有量を高めた培養組成物は、典型的には、上記広義の糖鎖含有高分子物質(多糖)としてβ−グルカンを定量した場合の値にして、β−グルカンを固形分中40〜100質量%含有する組成物であり、より典型的にはβ−グルカンを固形分中70〜100質量%含有する組成物である。
上述したように、アウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pullulans)の培養物から得られる培養組成物には、アウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pullulans)がその生育中に産生するβ−グルカンやその他の有用成分が豊富に含まれており、これを摂取することにより臓器内の脂肪蓄積を抑制する効果が得られる。よって、例えば肝脂肪を予防したりその症状を改善したりしたいヒトが上記アウレオバシジウム由来培養組成物を摂取することにより、それを実現できる。また、例えばアテローム硬化性動脈瘤を予防したりその症状を改善したりしたいヒトが上記アウレオバシジウム由来培養組成物を摂取することにより、それを実現できる。また、例えば非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を予防したりその症状を改善したりしたいヒト、また非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の10%程度が発症すると言われている非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を予防したりその症状を改善したりしたいヒトが上記アウレオバシジウム由来培養組成物を摂取することにより、それを実現できる。また、健康な状態での脂肪蓄積抑制は、かえって健康に好ましくないと考えられる。この点、後述する実施例で示すように、上記アウレオバシジウム由来培養組成物の摂取は、高脂肪食における脂肪蓄積抑制効果にくらべて、普通食における悪影響がほとんどない。よって、高脂肪食摂取時や高脂肪食の習慣のあるヒト、あるいは慢性的に脂肪の蓄積傾向の高いヒトなどに適用されることが、特に好ましい。
上記アウレオバシジウム由来培養組成物の投与量は、症状の強弱、体調、年齢、投与方法、投与回数、投与時期などによって適宜決定することができる。また、副作用が少なく、長期摂取が可能である。そのため、長期間摂取させるようにし、効果を持続的に発揮させることが好ましい。一般的な投与量を例示すれば、例えば、アウレオバシジウム由来培養組成物の内容物の一つであるβ−グルカンの量に換算して、1日およそ0.02〜200mg/kg(体重)の量で摂取する。更に、ペット、家畜など動物にも、ヒト同様に適用することができる。
本発明の脂肪蓄積抑制剤の形態は、上記アウレオバシジウム由来培養組成物の有効量を摂取できるような形態であればよく、特に制限はない。例えば粉末状、顆粒状、液状、ゼリー状、クリーム状等の形態にしてもよい。また、それらの形態に応じて添加剤、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、油脂、アルコール、糖アルコール、水、オリゴ糖、水溶性高分子多糖などを加えることができる。更にまた、必要に応じて、蛋白質源、脂肪源、炭水化物源、繊維源、ビタミン、ミネラル、甘味剤、呈味剤、酸味料、香料、着色剤、保存剤などを配合してもよい。あるいは、動物餌用に適する大豆粕、大豆油、小麦、トウモロコシ、米、フスマ、脱脂米糠などを配合してもよい。
以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
<調製例1>(培養物の調製)
以下のようにしてアウレオバシジウム プルランス M-2(Aureobasidium pullulans M-2)(FERM BP-10014)の培養液(以下、「アウレオバシジウム培養液」という。)を調製した。
予め調製した前培養液を、ショ糖1%、アスコルビン酸0.1%、米糠0.1%を含む液体培地(pH5.3)に適量接種して、25℃、72〜96時間(製造バッチによって異なる)、通気撹拌培養を行った。培養終了後、この培養液を121℃、15分間殺菌した。なお、得られた殺菌後の培養液は、固形分およそ1.2質量%を含む。
<調製例2>(β−グルカンの調製)
上記アウレオバシジウム培養液を珪藻土で濾過することによって不溶物を取り除いた後、粉末状の活性炭を用いて低分子化合物を吸着、除去し、分画分子量20,000の限外濾過膜での限外濾過に供した。その後、限外濾過の非通過画分に回収されたβ−グルカンを80%エタノールで沈殿させ、得られた沈殿を精製水で再溶解し、エタノールを加熱により除去したものを以下の試験に用いた。なお、このように調製されたβ−グルカンは、低分子画分が除かれてβ−グルカンの含有量が高められている一方、β−グルカンの構成糖であるグルコース以外の糖からなる多糖などが含まれていた。
<試験例1>(体重変化)
C57BL/6Nマウス(8週齢,雄)(日本クレア株式会社)を、(1)普通食の給餌下におけるコントロール群、(2)普通食の給餌下におけるβ−グルカン投与群、(3)高脂肪食の給餌下におけるコントロール群、(4)高脂肪食の給餌下におけるβ−グルカン投与群の計4群に分け、試験を実施した。β−グルカン投与群には、上記調製例2で調製したβ−グルカンを、投与量がおよそ20 mg/kg/dayとなるように0.2 mg/mlの濃度で、マウスの飲用水中に混合したものを自由摂取により投与した。コントロール群にはアウレオバシジウム培養液より、β−グルカンを除去した限外濾過膜の通過画分をβ−グルカンと同等の希釈濃度で飲用水中に混合したものを投与した。高脂肪食としては、0.15質量%のコレステロールおよび21質量%の乳脂肪を含有する、市販の製品「57BD,Test Diet」(商品名、Purina Mills社)を用いた。
β−グルカンの1週間の前投与後、高脂肪食または普通食の給餌を開始し、マウスの餌の摂取量および体重変化を16週間計測した。また、実験実施期間を通じて、飲用水中に混合したβ−グルカンの自由摂取による投与を継続した。
その結果、普通食給餌群ではコントロール群とβ−グルカン投与群とで体重変化に差は認められなかった(図1A)。高脂肪食給餌群ではβ−グルカン投与群で、コントロール群に比べて、若干の体重増加の抑制傾向が認められたものの、その効果は顕著ではなかった(図1B)。餌の摂取量に関しても、普通食給餌群と高脂肪食給餌群ともに、β−グルカン投与の影響は認められなかった(図1C,1D)。よって、β―グルカン投与は、マウスに対して著しい体重の減少や食欲の減衰などの好ましくない副作用を有さないことが示された。
<試験例2>(血清学的解析)
試験例1と同様にして高脂肪食または普通食の給餌開始後、16週が経過したマウスより血液を採取し、血清学的解析を行った。血清学的解析は市販のキットを用い、メーカー推奨のプロトコルに従って解析を行った。具体的には血中コレステロール値の解析には「コレステロールE-テストワコー」(商品名、和光純薬工業株式会社)、中性脂肪値の解析には「トリグリセライド E-テストワコー」(商品名、和光純薬工業株式会社)を用いた。
その結果、高脂肪食給餌群ではβ−グルカンの経口投与によって、血中コレステロール値(図2A)及び中性脂肪値(図2B)がコントロール群に比べて有意に抑制されることが明らかとなった。一方、普通食給餌群ではβ−グルカン投与の影響は確認できなかった(図2A,2B)。
<試験例3>(白色脂肪組織における脂肪蓄積)
試験例1と同様にして高脂肪食または普通食の給餌開始後、16週が経過したマウスの精巣上体白色脂肪組織周辺のCTスキャンを行ない、CTスキャンによる脂肪量および筋肉量の解析を行なった。CTスキャンおよびスキャン画像のデータ解析には、CTスキャンシステム「Latheta LCT-200」(商品名、ALOKA社)を用いた。また、CTスキャン後に白色脂肪組織を採取して10%中性緩衝ホルマリン液で固定し、常法に従ってヘマトキシリン・エオジン染色(HE染色)を行い、脂肪細胞のサイズを画像解析した。
その結果、高脂肪食給餌群ではβ−グルカンの経口投与によって、白色脂肪組織の細胞肥大がコントロール群に比べて有意に抑制されることが明らかとなった(図3A,3B)。また、CTスキャンによる解析結果でもそのことが裏付けられた(図3C)。一方、普通食給餌群ではβ−グルカン投与の影響は確認できなかった(図3A〜3C)。また、CTスキャンによる白色脂肪組織周辺の筋肉量の解析結果では、普通食給餌群と高脂肪食給餌群ともに、β−グルカン投与の影響は認められなかった(図3D)。
<試験例4>(肝臓における脂肪蓄積)
試験例1と同様にして高脂肪食または普通食の給餌開始後、16週が経過したマウスの肝臓周辺のCTスキャンを行ない、CTスキャンによる脂肪量および筋肉量の解析を行なった。CTスキャンおよびスキャン画像のデータ解析には、CTスキャンシステム「Latheta LCT-200」(商品名、ALOKA社)を用いた。また、CTスキャン後に肝臓を採取し、Oil O Redを用いた脂肪染色および肝臓中の中性脂肪値の解析を行った。
Oil O Redを用いた脂肪染色は、採取した肝臓をOCTコンパウンドに包埋後、凍結切片を作製し、常法に従ってOil O Red染色することにより行った。
肝臓中の中性脂肪値の解析は、凍結した肝臓をSET緩衝液(250mM Sucrose,2mM EDTA,10mM Tris-HCl (pH7.4))中で5.0 mm径のグラスビーズと共にホモジナイズ(30sec,3,200rpm)し、2回凍結-融解を繰返した後、27ゲージのシリンジに3回通し、さらにもう一度凍結-融解を行ったサンプル中に含まれる中性脂肪量を「トリグリセライド E-テストワコー」(商品名、和光純薬工業株式会社)で測定することにより行った。数値は同サンプル中に含まれるタンパク質量を「BCA Protein Assay Kit」(商品名、Thermo Pierce社)で測定し、タンパク質量あたりの中性脂肪含有量で表した。
その結果、高脂肪食給餌群ではβ−グルカンの経口投与によって、肝臓に蓄積する脂肪がコントロール群に比べて有意に抑制されることが明らかとなった(図4A,4B)。また、肝臓中の中性脂肪値(図4C)や、CTスキャンによる解析結果(図4D)でもそのことが裏付けられた。一方、普通食給餌群ではβ−グルカン投与の影響は確認できなかった(図4A〜4D)。また、CTスキャンによる肝臓周辺の筋肉量の解析結果では、普通食給餌群と高脂肪食給餌群ともに、β−グルカン投与の影響は認められなかった(図4E)。
<試験例5>(肝臓障害マーカーおよびコレステロール代謝遺伝子発現)
β−グルカンの経口投与が高脂肪食の摂取による肝臓への中性脂肪蓄積を抑制する作用を示したことから、β−グルカンが高脂肪食摂取による肝臓障害を予防する作用を有する可能性を考え、肝臓の障害マーカーである血清中のALT値について解析を行った。具体的には、試験例1と同様にして高脂肪食または普通食の給餌開始後、16週が経過したマウスより血液を採取し、その血清中のALT値について解析を行った。ALT値の解析は「トランスアミナーゼC IIテストワコー」(商品名、和光純薬工業株式会社)を用い、メーカーが推奨するプロトコルに従って行った。
その結果、β−グルカンの経口投与により、高脂肪食給餌による血清中のALT値の上昇が有意に抑制されることが明らかとなった(図5A)。
β−グルカンの経口投与が肝機能に及ぼす効果について明らかにするために、試験例1において高脂肪食または普通食の給餌開始後、16週が経過したマウスの肝臓を採取し、コレステロールの合成の律速酵素であるヒドロキシメチルグルタリルCoAレダクターゼ(HMG-CoA reductase,HMGR)、およびコレステロールを分解し、胆汁酸を整合性する経路の律速酵素であるコレステロール7α-ヒドロキシラーゼ(Cyp7a1,cholesterol 7a-hydroxylase)のmRNA発現についてリアルタイムRT-PCR法によって解析を行った。肝臓からのRNAの抽出試薬には「TRIzol」(商品名、Invitrogen,Life Technologies社)を用い、cDNA合成には逆転写反応キット「Transcriptor Universal cDNA Master」(商品名、Roche社)を用いた。リアルタイムPCRによる各mRNA発現量の解析は、それぞれのmRNAに特異的なPCRプライマーならびに「Fast Start DNA MasterPLUS SYBR GreenI」および「Light Cycler」(いずれも商品名、Roche社)を用いて、メーカーが推奨するプロトコルに従って反応および解析を行った。
その結果、β−グルカンの経口投与により、高脂肪食給餌群におけるヒドロキシメチルグルタリルCoAレダクターゼ(HMG-CoA reductase,HMGR)(図5B)およびコレステロール7α-ヒドロキシラーゼ(Cyp7a1,cholesterol 7a-hydroxylase)(図5C)のmRNA発現が有意に亢進することが明らかとなった。このことから、β―グルカンの経口投与が肝臓におけるコレステロール代謝能を向上させる作用を有することが示された。また、コレステロール合成経路の酵素であるヒドロキシメチルグルタリルCoAレダクターゼ(HMG-CoA reductase,HMGR)のmRNA発現亢進は、コレステロール分解経路の酵素であるコレステロール7α-ヒドロキシラーゼ(Cyp7a1,cholesterol 7a-hydroxylase)の発現が亢進したことにより、コレステロールの量が低下したことに伴って生じたものと推察された。
<試験例6>(アテローム硬化性動脈瘤の形成)
アポリポ蛋白 E (Apolipoprotein E,ApoE)はリポ蛋白を構成している主要なアポリポ蛋白の1つであり、主として肝細胞で産生され、全身の他の臓器へのコレステロールや脂肪酸の運搬に関与している。ApoEを欠損したマウスは高脂肪食給餌により、アテローム硬化性動脈瘤を容易に発症するモデルマウスとして広く用いられている。
そこでC57BL/6を遺伝背景として持つApoE欠損マウス(Jackson Laboratory社)を、 (1)普通食の給餌下におけるコントロール群、(2)普通食の給餌下におけるβ−グルカン投与群、(3)高脂肪食の給餌下におけるコントロール群、(4)高脂肪食の給餌下におけるβ−グルカン投与群の計4群に分け、試験を実施した。β−グルカン投与群には、上記調製例2で調製したβ−グルカンを、投与量がおよそ20 mg/kg/dayとなるように0.2 mg/mlの濃度で、マウスの飲用水中に混合したものを自由摂取により投与した。コントロール群にはアウレオバシジウム培養液より、β−グルカンを除去した限外濾過膜の通過画分をβ−グルカンと同等の希釈濃度で飲用水中に混合したものを投与した。高脂肪食としては、0.15質量%のコレステロールおよび21質量%の乳脂肪を含有する、市販の製品(「57BD,Test Diet」、Purina Mills社)を用いた。
β−グルカンの1週間の前投与後、高脂肪食または普通食の給餌を開始し、実験実施期間を通じて、飲用水中に混合したβ−グルカンの自由摂取による投与を継続した。
高脂肪食または普通食の給餌開始後、16週が経過したマウスより大動脈を採取して10%中性緩衝ホルマリン液で固定し、常法に従ってOil O Redを用いた脂肪染色を行った。また、同様に動脈基部を採取して10%中性緩衝ホルマリン液で固定し、常法に従ってその切片を作製してOil O Red染色およびヘマトキシリン・エオジン染色(HE染色)を行った。
その結果、高脂肪食の給餌によって生じたアテローム硬化性動脈瘤の形成がβ−グルカンの経口投与によって有意に抑制されることが明らかとなった(図6A,6B)。また、動脈基部の血管内皮における脂肪の蓄積がβ−グルカンの経口投与によって有意に抑制されることが明らかとなった(図6C,6D)。
<試験例7>(血中コレステロール値)
アテローム硬化性動脈瘤の形成には血中コレステロール値が密接に関与している。そこで試験例6と同様にして高脂肪食または普通食の給餌開始後、16週が経過したマウスより血液を採取し、その血清中の血中LDLコレステロール値および血中HDLコレステロール値、ならびに血中酸化LDLコレステロール値について解析を行った。血中HDLコレステロール値の解析には「HDLコレステロールE-テストワコー」(商品名、和光純薬工業株式会社)を用い、血中酸化LDLコレステロール値の解析には市販のキット「ELISA Kit for oxidized low density lipoprotein」(商品名、USCN Life Science社)を用いた。また、血中コレステロール値について「コレステロールE-テストワコー」(商品名、和光純薬工業株式会社)、中性脂肪値について「トリグリセライドE-テストワコー」(商品名、和光純薬工業株式会社)をそれぞれ用いて、別途解析し、血中コレステロール値から上記HDLコレステロール値を減算し、さらに中性脂肪値に0.2を乗じた値を減算した値をLDLコレステロール値とした。各解析は、それぞれメーカーの推奨するプロトコルに従って行った。
その結果、普通食または高脂肪食を給餌したApoE欠損マウスの血中HDLコレステロール値および血中LDLコレステロール値についてβ−グルカンの効果は顕著には認められなかった(図7A,7B)。一方血中酸化LDLコレステロール値についてみると、高脂肪食を給餌したApoE欠損マウスにおける血中酸化LDLコレステロール値の増加がβ−グルカンの経口投与によって有意に抑制された(図7C)。このことから、β−グルカンの経口投与が高脂肪食を給餌したときの酸化LDLコレステロールの増加を抑制することにより、ApoE欠損マウスにおけるアテローム硬化性動脈瘤の形成抑制に働いているものと推察された。
<試験例8>(動脈基部におけるマクロファージの関与)
アテローム硬化性動脈瘤の形成には血液中の単球に由来するマクロファージが重要な役割を果たしている。即ち、血管壁に浸潤した単球はマクロファージへと分化し、細胞表面に発現したスカベンジャー受容体を介して酸化LDLコレステロールを取り込み、細胞内に多量の脂肪滴を蓄積した泡沫細胞に変化する。この泡沫細胞の蓄積と繊維化がアテローム硬化性動脈瘤の形成に関与すると言われている。そこで、試験例6と同様にして高脂肪食または普通食の給餌開始後、16週が経過したマウスより動脈基部を採取して、常法に従ってその切片を作製して、マクロファージのマーカーであるMOMA-2 (Monocyte/Macrophage Marker Antibody-2)を用いて、動脈基部組織の抗体染色を行った。
その結果、普通食あるいは高脂肪食を給餌したマウスにおけるMOMA-2で染色される領域がβ−グルカンの経口投与によって有意に減少していることが明らかとなった(図8A,8B)。このことから、β−グルカンの経口投与が血管壁へのマクロファージの蓄積を抑制することにより、ApoE欠損マウスにおけるアテローム硬化性動脈瘤の形成抑制に働いているものと推察された。

Claims (5)

  1. アウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pullulans)の培養物から得られる培養組成物を有効成分として含有し、臓器内の脂肪蓄積を抑制するために用いることを特徴とする脂肪蓄積抑制剤。
  2. 脂肪肝形成の予防又はその改善のために用いられる、請求項1記載の脂肪蓄積抑制剤。
  3. アテローム硬化性動脈瘤形成の予防又はその改善のために用いられる、請求項1記載の脂肪蓄積抑制剤。
  4. 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の予防又はその改善のために用いられる、請求項2記載の脂肪蓄積抑制剤。
  5. 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の予防又はその改善のために用いられる、請求項2記載の脂肪蓄積抑制剤。

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