JP2015080494A - 電気刺激装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】疼痛を緩和することが可能な電気刺激装置を提供する。
【解決手段】刺激電極5A〜5Cが配置された複数の電極リード2A〜2Cを直列に連結した連結リードと電気的刺激信号を出力する刺激回路を有する刺激装置とを接続する。リード識別情報を各電極リード2A〜2Cに付し、電極リード2A〜2Cを一意に識別する。また、刺激電極5A〜5Cの配置に対応して電極識別情報を刺激電極5A〜5Cに付し、同一の電極リード2A〜2C内にある刺激電極5A〜5Cを一意に識別する。そして、刺激装置の刺激回路は、リード識別情報及び電極識別情報を用いて、連結リードを構成する複数の電極リード2A〜2Cの中から電極リードと該電極リード内の刺激電極を指定し、指定した電極リード内の刺激電極に電気的刺激信号を供給する。
【選択図】図5
【解決手段】刺激電極5A〜5Cが配置された複数の電極リード2A〜2Cを直列に連結した連結リードと電気的刺激信号を出力する刺激回路を有する刺激装置とを接続する。リード識別情報を各電極リード2A〜2Cに付し、電極リード2A〜2Cを一意に識別する。また、刺激電極5A〜5Cの配置に対応して電極識別情報を刺激電極5A〜5Cに付し、同一の電極リード2A〜2C内にある刺激電極5A〜5Cを一意に識別する。そして、刺激装置の刺激回路は、リード識別情報及び電極識別情報を用いて、連結リードを構成する複数の電極リード2A〜2Cの中から電極リードと該電極リード内の刺激電極を指定し、指定した電極リード内の刺激電極に電気的刺激信号を供給する。
【選択図】図5
Description
本発明は、生体を電気刺激する電気刺激療法に使用される電気刺激装置に関し、特に、生体内に低侵襲で植込むことが可能な電気刺激装置に関する。
従来、薬物療法等を用いる痛み治療を行っても有用な効果を示さない場合や、副作用等によりその治療が継続できない場合に、神経を電気刺激することにより痛みを緩和する電気刺激療法が効果をあげている。電気刺激療法の1つである脊髄電気刺激療法は、脊髄を介して脳へ伝播する痛みを緩和するために、SCS(Spinal Cord Stimulation)システムを利用して脊髄の神経を電気刺激するものである。このSCSシステムには、生体を電気刺激する刺激電極を有する電極リード、刺激電極に電気的な刺激信号(以下、「電気的刺激信号」という)を供給する刺激装置(IPG:Implantable Pulse Generator)を有する電気刺激装置が含まれる。脊髄電気刺激療法では、脊髄を覆う脊髄硬膜の背側にある空間の硬膜外腔に電極リードを導き、患者の痛みに関与している神経が通っている脊髄レベルを刺激電極で電気刺激を行うことで、疼痛領域にパレステジアと呼ばれる刺激感覚を起こし、疼痛を緩和しようとするものである。
しかしながら、脊髄電気刺激療法では、疼痛領域にパレステジアを一致させるように刺激電極を留置することが難しく、疼痛のない領域にパレステジアが起こった場合には患者が不快と感じることがあった。また、硬膜外腔から遠い、脊髄の深い領域を通る神経を刺激することは難しく、例えば、腰痛を緩和することは困難であった。これに対し、近年、SCSシステムの電極リードを疼痛領域の最大疼痛部位の皮下に植込み、最大疼痛部位の末梢神経終末を電気刺激することで限局的にパレステジアを起こして疼痛緩和を行う末梢神経刺激療法(PNFS:Peripheral Nerve Field Stimulation)が臨床応用されつつある。
生体内に植え込まれる電極リードについて、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。特許文献1に開示された生体刺激技術は、生体内に植え込むリードに複数の電極を配置し、各電極の極性をプログラムによって制御することにより有効刺激面積の変更を可能にするものである。この特許文献1に開示された生体刺激技術によれば、生体刺激装置のリードを生体内に植え込んだ後でも、有効刺激面積を変更して刺激部位(面積)の調整を可能にしている。
しかし、SCSシステムで使用される従来の電極リードは、その先端部にのみ刺激電極が設けられているため、刺激電極が配置された狭い領域の疼痛にしか効果がなかった。それゆえ、広範囲の疼痛を緩和するためには多数本の電極リードを皮下に植込み、かつ多数本の電極リードに設けられた刺激電極に電気的刺激信号を供給する複数個の刺激装置を皮下に植込む必要があるが、植込み手技が煩雑になるとともに生体への侵襲が大きかった。また、疼痛領域に電極リードの先端部が置かれるために、それが機械的刺激となって疼痛領域に潰瘍や紅斑が発生して、状態をさらに悪化させる場合があった。また、通常では痛みと感じない微小刺激がとても痛く認識される感覚異常(アロディニア)を患者が有する場合には、直接疼痛領域内に刺激電極を留置することは困難であった。
また、特許文献1には、リードに配置された複数の電極が占める面積の範囲内において有効刺激面積を変更可能な技術(Fig.14)も開示されているが、電気刺激を行える刺激部位(面積)が限定されている。
本発明はこのような状況に鑑みて成されたものであり、疼痛領域の形状と広さに応じて、柔軟に電極リードを配置し、効率的な数の刺激電極を皮下に配置して、疼痛を緩和することを目的とする。
本発明に係る電気刺激装置は、刺激電極が配置された複数の電極リードを直列に連結した連結リードと、電気的刺激信号を出力する刺激回路を有する刺激装置とから構成される。
電極リードは、可撓性を有し内部に導線が配線されたリード部と、該リード部の刺激装置が接続される側の端部に設けられた第1の端子部と、該リード部の刺激装置が接続される側と反対側の端部に設けられた第2の端子部と、第1の端子部及び第2の端子部の間に設けられ当該第1の端子部及び当該第2の端子部と電気的に接続される一以上の刺激電極と、を備える。
さらに、電極リードは、刺激電極ごとに設けられた電極制御部と、刺激電極の配置に対応して付された電極識別情報を記憶する電極識別情報記憶部と、リード部ごとに設けられ各電極制御部と接続するリード制御部と、リード部を識別するリード識別情報を記憶するリード識別情報記憶部と、を備える。
このようにリード識別情報を各電極リードに付し、電極リードを一意に識別する。また、刺激電極の配置に対応して電極識別情報を刺激電極に付し、同一の電極リード内にある刺激電極を一意に識別する。そして、刺激装置の刺激回路は、リード識別情報及び電極識別情報を用いて、連結リードを構成する複数の電極リードの中から電極リードと該電極リード内の刺激電極を指定し、指定した電極リード内の刺激電極に電気的刺激信号を供給する。
電極リードは、可撓性を有し内部に導線が配線されたリード部と、該リード部の刺激装置が接続される側の端部に設けられた第1の端子部と、該リード部の刺激装置が接続される側と反対側の端部に設けられた第2の端子部と、第1の端子部及び第2の端子部の間に設けられ当該第1の端子部及び当該第2の端子部と電気的に接続される一以上の刺激電極と、を備える。
さらに、電極リードは、刺激電極ごとに設けられた電極制御部と、刺激電極の配置に対応して付された電極識別情報を記憶する電極識別情報記憶部と、リード部ごとに設けられ各電極制御部と接続するリード制御部と、リード部を識別するリード識別情報を記憶するリード識別情報記憶部と、を備える。
このようにリード識別情報を各電極リードに付し、電極リードを一意に識別する。また、刺激電極の配置に対応して電極識別情報を刺激電極に付し、同一の電極リード内にある刺激電極を一意に識別する。そして、刺激装置の刺激回路は、リード識別情報及び電極識別情報を用いて、連結リードを構成する複数の電極リードの中から電極リードと該電極リード内の刺激電極を指定し、指定した電極リード内の刺激電極に電気的刺激信号を供給する。
本発明によれば、リード部の第1の端子部と第2の端子部の間に設けられた刺激電極により、疼痛領域を電気刺激し、疼痛を緩和することができる。すなわち、疼痛領域の形状と広さに応じて、柔軟に電極リードを配置し、効率的な数の刺激電極を皮下に配置して、疼痛を緩和することができる。
以下、本発明を実施するための形態例について説明する。以下に述べる実施形態例は、本発明の好適な具体例である。そのため、技術的に好ましい種々の限定が付されている。しかしながら、本発明の範囲は、下記の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。例えば、以下の説明で挙げる各パラメータの数値的条件は好適例に過ぎず、説明に用いた各図における寸法、形状及び配置関係も概略的なものである。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
説明は、以下の順序で行う。
1.一実施形態
1−1.電気刺激装置の全体構成
1−2.電極リードの構成
1−3.電極リードの内部構成
1−4.リードICチップの内部構成
1−5.電極ICチップの内部構成
1−6.各電極リード内の刺激電極の管理
1−7.刺激回路の回路構成
1−8.刺激装置及び電極リードの動作
1−9.電極リードの植込み方法
2.変形例
説明は、以下の順序で行う。
1.一実施形態
1−1.電気刺激装置の全体構成
1−2.電極リードの構成
1−3.電極リードの内部構成
1−4.リードICチップの内部構成
1−5.電極ICチップの内部構成
1−6.各電極リード内の刺激電極の管理
1−7.刺激回路の回路構成
1−8.刺激装置及び電極リードの動作
1−9.電極リードの植込み方法
2.変形例
<1.一実施形態>
[1−1.電気刺激装置の全体構成]
始めに、本発明の一実施形態に係る電気刺激装置1の機械的な構成例を図1と図2を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電気刺激装置1を構成する電極リード2A〜2Cと、刺激装置20の概略構成例を示す斜視図である。
図2は、連結された電極リード2A〜2Cの概略構成例を示す斜視図である。図2Aは、1本の電極リード2Aの概略構成例を示す斜視図である。図2Bは、3本の電極リード2A〜2Cを直列に連結した連結リード2の概略構成例を示す斜視図である。
[1−1.電気刺激装置の全体構成]
始めに、本発明の一実施形態に係る電気刺激装置1の機械的な構成例を図1と図2を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電気刺激装置1を構成する電極リード2A〜2Cと、刺激装置20の概略構成例を示す斜視図である。
図2は、連結された電極リード2A〜2Cの概略構成例を示す斜視図である。図2Aは、1本の電極リード2Aの概略構成例を示す斜視図である。図2Bは、3本の電極リード2A〜2Cを直列に連結した連結リード2の概略構成例を示す斜視図である。
電気刺激装置1は、神経又は筋肉の電気刺激に用いられる装置である。この電気刺激装置1は、生体内に植込まれた電極リード2A〜2Cの刺激電極5A〜5Cに電気的刺激信号を供給することにより、生体内の神経又は筋肉を刺激するものである。この電気刺激装置1は、生体内に植え込まれ、電気的刺激信号を神経又は筋肉に導いて刺激するために用いられる電極リード2A〜2Cと、刺激電極5A〜5Cに電気的刺激信号を供給する刺激装置20とを備える。以降の説明では、皮下にある神経を電気刺激する末梢神経刺激療法(PNFS)に利用できる電気刺激装置1を例に説明を行う。
ここで、直列に連結された電極リード2A〜2Cが、エクステンションリード24を介して刺激装置20に接続された状態において、刺激装置20に対して近い位置に配置される側の電極リード2A〜2Cの各々の端部を「近位端」と称し、刺激装置20に対して遠い位置に配置される側の各々の端部を「遠位端」と称する。すなわち、電極リード2A〜2Cにおいて、コネクタ7A〜7Cが設けられた側の端部は近位端となり、差込み部3A〜3Cが設けられた側の端部は遠位端となる。
始めに、図1と図2Aを参照して、電極リード2Aの構成について説明する。
電極リード2Aは、可撓性を有する長尺体として構成されるリード部6Aを有する。リード部6Aの遠位端には、電極リード2Aと連結する電極リード2Bのコネクタ7Bに差し込まれる差込み部3Aが設けられている。また、リード部6Aの近位端には、エクステンションリード24の差込み部25が差し込まれるコネクタ7Aが設けられている。差込み部3Aには、コネクタ7Aに設けられているコネクタ端子8A(第1の端子部)と同数の3個の差込み端子4A(第2の端子部)が設けられている。
電極リード2Aは、可撓性を有する長尺体として構成されるリード部6Aを有する。リード部6Aの遠位端には、電極リード2Aと連結する電極リード2Bのコネクタ7Bに差し込まれる差込み部3Aが設けられている。また、リード部6Aの近位端には、エクステンションリード24の差込み部25が差し込まれるコネクタ7Aが設けられている。差込み部3Aには、コネクタ7Aに設けられているコネクタ端子8A(第1の端子部)と同数の3個の差込み端子4A(第2の端子部)が設けられている。
そして、電極リード2Aは、リード部6Aの遠位端(一端)にある差込み部3A、及びリード部6Aの近位端(他端)にあるコネクタ7Aの間に設けられる2個の刺激電極5Aを有している。この刺激電極5Aは、コネクタ端子8Aと導線9(後述する図4を参照)によって電気的に接続され、コネクタ端子8Aから供給された電気的刺激信号により生体内の神経を電気刺激する。リード部6Aは、電極リード2Aを生体内に植込んだときに2個の刺激電極5Aが生体に接触するように刺激電極5Aを固定している。
コネクタ7Aは、その内周面上にコネクタ端子8Aを有する。コネクタ端子8Aと差込み端子4Aとは、リード部6Aの内部に埋め込んで配線された導線9により電気的に接続されている。図2Aに示すコネクタ7Aの開口部7bには、エクステンションリード24の差込み部25が差し込まれ、コネクタ7Aの内部でコネクタ端子8Aと、差込み部25の差込み端子とが電気的に接続される。コネクタ7Aの外径は、植込み時に低侵襲となるように3〜9mm程度であることが好ましい。
差込み端子4A、刺激電極5A及びコネクタ端子8Aは、リード部6Aの外周方向に沿って形成され、軸方向に一定の間隔を空けて配置されている。
差込み端子4A、刺激電極5A及びコネクタ端子8Aは、リード部6Aの外周方向に沿って形成され、軸方向に一定の間隔を空けて配置されている。
図1に示すように、リード部6Aの遠位端には、差込み部3Aと、電極リード2Bに設けられたコネクタ7Bとを固定する固定部の一例として係合部材10Aが設けられている。係合部材10Aは、リード部6Aの外周上にリード部6Aから突出するように形成されており、係合部材10Aの先端部には、電極リード2Bのコネクタ7Bの溝部7aに係合する爪部10a(後述する図3を参照)が形成されている。この爪部10aは、エクステンションリード24の差込み部25の付近に形成される係合部材26の爪部と同様の形状としてある。
電極リード2Bは、リード部6Bに4個の刺激電極5Bを設けており、この点が電極リード2Aと異なる。その他の電極リード2Bが有する差込み部3B、差込み端子4B、リード部6B、コネクタ7B、コネクタ端子8B及び係合部材10Bは、それぞれ電極リード2Aが有する差込み部3A、差込み端子4A、リード部6A、コネクタ7A、コネクタ端子8A及び係合部材10Aと同じものである。
電極リード2Cは、電極リード2Aと同様の機能及び構成を有する。すなわち、電極リード2Cが有する差込み部3C、差込み端子4C、刺激電極5C、リード部6C、コネクタ7C、コネクタ端子8C及び係合部材10Cは、それぞれ電極リード2Aが有する差込み部3A、差込み端子4A、刺激電極5A、リード部6A、コネクタ7A、コネクタ端子8A及び係合部材10Aと同じものである。
そして、少なくとも2本の電極リードが、各電極リードに設けられた差込み端子とコネクタ端子の接続により直列に連結される。本実施の形態では、図2Bに示すように、3本の電極リード2A〜2Cが順に連結された例を示している。図1に示すように、電極リード2Bのコネクタ7Bに電極リード2Aの差込み部3Aが差し込まれ、係合部材10Aによってコネクタ7Bと差込み部3Aが固定されることにより、コネクタ端子8Bと差込み端子4Aが接続される。また、電極リード2Cのコネクタ7Cに電極リード2Bの差込み部3Bが差し込まれ、係合部材10Bによってコネクタ7Cと差込み部3Bが固定されることにより、コネクタ端子8Cと差込み端子4Bが接続される。以降の説明では、直列に連結された電極リード2A〜2Cを、連結リード2と呼ぶ。
次に、再び図1を参照して刺激装置20の構成について説明する。
刺激装置20は、筐体21と、筐体21から突出するコネクタ22と、コネクタ22に一端が接続されるエクステンションリード24とを有する。筐体21の内部には、電極リード2A〜2Cが有する刺激電極5A〜5Cに対して電気的刺激信号を供給する刺激回路30が設けられている。
刺激装置20は、筐体21と、筐体21から突出するコネクタ22と、コネクタ22に一端が接続されるエクステンションリード24とを有する。筐体21の内部には、電極リード2A〜2Cが有する刺激電極5A〜5Cに対して電気的刺激信号を供給する刺激回路30が設けられている。
以降の説明では、刺激装置20に対して近い位置に配置される側のエクステンションリード24の端部を「近位端」と称し、刺激装置20に対して遠い位置に配置される側の端部を「遠位端」と称する。すなわち、エクステンションリード24において、リード部27に差込み端子23が設けられた側の端部は近位端となり、差込み部25が設けられた側の端部は遠位端となる。
筐体21は、比較的硬く、生体適合性がある金属や樹脂、例えばチタンやエポキシ等の素材を用いて、略直方体形状に形成されている。また、筐体21には、エクステンションリード24に形成された差込み端子23が差し込まれるコネクタ22が設けられている。
エクステンションリード24は、可撓性を有する長尺体として構成されるリード部27を有する。エクステンションリード24の内部には不図示の導線が配線されており、差込み部25に形成される差込み端子と、差込み端子23とが一意に対応付けられて電気的に接続されている。
差込み端子23は、筐体21のコネクタ22に差し込まれると、コネクタ22内の不図示のコネクタ端子に電気的に接続される。差込み端子23に形成された3個の端子は、差込み部25の差込み端子及び差込み端子4Aに形成された3個の端子と同様の構成としてあり、エクステンションリード24の近位端側に保持されている。そして、差込み端子23は、コネクタ22を介して筐体21の内部の刺激回路30と電気的に接続されている。
差込み部25は、電極リード2Aのコネクタ7Aに差し込まれる。差込み部25には、電極リード2Aの差込み部3Aの差込み端子4Aと同様の構成とした3個の差込み端子が形成されている。そして、電極リード2Aのコネクタ7Aに、差込み部25を差し込んで接続する構成は、電極リード2Bのコネクタ7Bに電極リード2Aの差込み部3Aを差し込んで接続する構成と同様としてある。
刺激回路30は、回路基板上にカスタムIC等の小型な部品を実装した回路であり、電源部から供給された電力によって電気的刺激信号を生成する。そして、刺激回路30は、生成した電気的刺激信号を刺激電極5A〜5Cの個々の電極に対し、独立して供給する制御を行う。なお、刺激回路30の電気的な構成については後述する(図6)。
上述した差込み端子4A〜4Cと、刺激電極5A〜5Cは、共に略円環状に形成され、リード部6A〜6Cの外周面に埋め込まれて保持されている。同様に、エクステンションリード24の差込み端子23と差込み部25の差込み端子も略円環状に形成され、リード部27の外周面に埋め込まれて保持されている。また、差込み端子4A〜4C,23、エクステンションリード24の差込み部25の差込み端子、刺激電極5A〜5C、コネクタ端子8A〜8C、リード部6A〜6C内に配線される導線9、及びエクステンションリード24内の不図示の導線には、導電性があって生体適合性がある素材が用いられる。この素材として、例えばステンレス鋼、MP35N合金、プラチナ、又はプラチナ合金(例えば、プラチナ90%/イリジウム10%合金)等がある。
リード部6A〜6C、エクステンションリード24のリード部27は、柔軟性があって、かつ生体適合性がある素材、例えばシリコーンやポリウレタン等の樹脂素材によって形成されており、その外径は、植込み時に低侵襲となるように1〜3mm程度であることが好ましい。また、コネクタ7A〜7C、係合部材10A〜10C、エクステンションリード24の係合部材26は、柔軟性があって、かつ生体適合性がある素材、例えばシリコーンやポリウレタン等の樹脂素材によって形成される。ただし、コネクタ7A〜7C、係合部材10A〜10C、エクステンションリード24の係合部材26に用いられる素材は、樹脂素材に限定されず、柔軟性があって、かつ生体適合性がある素材であればどのような素材であってもよい。
[1−2.電極リードの構成]
続いて、図3を参照して、電極リード2A,2Bを連結する際の構成の詳細について説明する。
図3は、電極リード2Aの遠位端、及び電極リード2Bの近位端の概略内部構成例を示す軸方向の断面図である。図3Aは、2本の電極リード2A,2Bの連結前の状態を示す断面図である。図3Bは、2本の電極リード2A,2Bの連結後の状態を示す断面図である。なお、図3では、導線9の記載を省略してある。
続いて、図3を参照して、電極リード2A,2Bを連結する際の構成の詳細について説明する。
図3は、電極リード2Aの遠位端、及び電極リード2Bの近位端の概略内部構成例を示す軸方向の断面図である。図3Aは、2本の電極リード2A,2Bの連結前の状態を示す断面図である。図3Bは、2本の電極リード2A,2Bの連結後の状態を示す断面図である。なお、図3では、導線9の記載を省略してある。
電極リード2Bが有するコネクタ7Bの近位端には、電極リード2Aの差込み部3Aの外径とほぼ同じ内径とした開口部7bが形成される。また、このコネクタ7Bの遠位端には、外周方向に沿って溝部7aが形成される。また、電極リード2Bのコネクタ7Bの内部には、開口部7bから遠位端に向けて開口部7bと同じ内径とした略円筒状の空間である収容部7cが形成される。この収容部7cには、電極リード2Aの差込み部3Aが収容される。
収容部7cの内周面上には、コネクタ7Bの軸方向に沿って3個のコネクタ端子8Bが設けられている。コネクタ端子8Bの各端子の配置は、収容部7cに収容される差込み部3Aに設けられた差込み端子4Aの各端子の配置に対応している。
コネクタ端子8Bは、固定機構の一例としてコイル状の金属バネであるガータスプリングによって構成されており、開口部7bの内周に対して内側に少し張り出している。また、電極リード2Aの差込み端子4Aは、ガータスプリングの内周部分に合致する凹部として形成してある。これにより、ガータスプリングの内周部分に差し込まれた差込み部3Aの差込み端子4Aに対して、ガータスプリングが締め付けることにより、コネクタ7Bが差込み部3Aを固定する。このため、電極リード2Bのコネクタ7Bから電極リード2Aの差込み部3Aが外れにくくなる。
コネクタ7Bの開口部7b付近には、更に電極リード2Aとの係合機構としての溝部7aが、コネクタ7Bの外周面に設けられている。溝部7aは、開口部7bの近位端から所定の長さだけ離れた位置に形成される。コネクタ7Bの近位端から溝部7aまでの該コネクタ7Bの外周の径は、溝部7aより遠位端側のコネクタ7Bの外周の径よりも小さくすることでコネクタ7Bの外周面に段差を形成してある。この段差により、電極リード2Bの溝部7aと、電極リード2Aの係合部材10Aの爪部10aとの接続が容易となる。
そして、差込み部3Aがコネクタ7Bに差し込まれ、溝部7aに、電極リード2Aの係合部材10Aに設けられた爪部10aが係合することで、電極リード2Aと電極リード2Bとが構造的に接続される。この係合部材10Aは、シリコーン等の柔軟性のある素材で構成されるため、電極リード2Aの電極リード2Bへの装着及び取り外しを、少ない力で容易に行うことが可能となる。
収容部7cの遠位端付近には、収容部7cの軸方向と直交する方向に固定ねじ穴7dが形成されている。この固定ねじ穴7dにねじ込まれた固定ねじ7eによって、差込み部3Aの先端付近がコネクタ7Bに固定される。固定ねじ7eの先端が接する差込み部3Aの先端付近には、不図示の固定部が略円環状に形成され、外周面に埋め込まれて保持されている。これにより、電極リード2Aが、電極リード2Bに強固に連結される。固定ねじ7eと固定部には、比較的硬く、生体適合性がある素材、例えばステンレス鋼が用いられる。
[1−3.電極リードの内部構成]
続いて、図4を参照して、連結リード2を構成する電極リード2A〜2Cの詳細について説明する。
図4は、電極リード2A〜2Cの内部構成例を示す軸方向の断面図である。
続いて、図4を参照して、連結リード2を構成する電極リード2A〜2Cの詳細について説明する。
図4は、電極リード2A〜2Cの内部構成例を示す軸方向の断面図である。
上述したように、電極リード2A〜2Cが直列に連結された連結リード2には、合計8個の刺激電極5A〜5Cが設けられている。この連結リード2を構成している電極リード2A〜2Cごとに、電極リードに設けられた刺激電極に対し近位端から遠位端にかけて電極ID(電極番号)に対応する符号を順に付し、それぞれの電極IDを図4に示している。以下では、刺激電極を識別するための情報(電極識別情報)として、電極ID(電極番号)を用いている。なお電極識別情報は、番号(数字)の他に、文字や記号、又はそれらの組み合わせでもよい。ここで、電極リード2A〜2Cの各々が備える刺激電極の電極IDは、刺激電極の配置に対応して所定の規則性を有しており、所定の値から順に付される。本実施形態では、一つの電極リードが備える複数の刺激電極に対し、電極IDとして“0”から始まり1ずつ増加させた数字を付している。
始めに、電極リード2Aの内部構成例を説明する。
電極リード2Aでは、近位端から遠位端に向けて配置された3個のコネクタ端子8Aと、近位端から遠位端に向けて配置された3個の差込み端子4Aが、導線9によって近位端から遠位端に向けて順番に電気的に接続される。
電極リード2Aでは、近位端から遠位端に向けて配置された3個のコネクタ端子8Aと、近位端から遠位端に向けて配置された3個の差込み端子4Aが、導線9によって近位端から遠位端に向けて順番に電気的に接続される。
以下の説明では、コネクタ端子8Aを構成する個々の端子に対して近位端から遠位端に向けて順に端子番号“0”〜“2”を付し、差込み端子4Aを構成する個々の端子についても、近位端から遠位端に向けて順に端子番号“0”〜“2”を付する。また、コネクタ端子8Aの端子番号“0”〜“2”の端子に接続されるそれぞれの導線を特に区別することなく、導線9と総称する。
電極リード2Aでは、リード部6A内部の電極IDが“0”の刺激電極5Aに対応する位置に、電極ICチップ50(電極制御部の一例)が設けられている。電極ICチップ50は、刺激電極5Aに対する電気的刺激信号の供給を制御するものであり、刺激電極5Aに対応して該刺激電極5Aの電極数と同じ数の電極ICチップ50が設けられる。この電極ICチップ50の詳細については後述する(図5参照)。電極ICチップ50は、電極ID“0”の刺激電極5Aと電気的に接続するとともに、端子番号“0”〜“2”の3個のコネクタ端子8Aと端子番号“0”〜“2”の3個の差込み端子4Aとを接続する、3本の導線9のそれぞれに電気的に接続している。
さらに、リード部6A内部の電極IDが“1”の刺激電極5Aに対応する位置にも、同じ仕様の電極ICチップ50が設けられている。この電極IDが“1”の刺激電極5Aに対応する電極ICチップ50も、電極IDが“0”の刺激電極5Aに対応する電極ICチップ50と同様に、電極IDが“1”の刺激電極5A及び3本の導線9と電気的に接続している。
また電極リード2Aでは、コネクタ7A内部の任意の位置に、リードICチップ40(リード制御部の一例)が設けられている。リードICチップ40は、端子番号“0”のコネクタ端子8Aと、電極ID“0”,“1”に対応する電極ICチップ50と導線9を介して接続している。リードICチップ40は、各刺激電極5Aに対応して設けられた電極ICチップ50の動作を制御するものであり、1つの電極リードに1つのリードICチップ40が設けられる。このリードICチップ40は、後述するように電極リードを識別する機能を有し、刺激装置20から電極リード2Aが指定された場合に、各電極ICチップ50の動作を制御する。リードICチップ40の詳細については後述する(図5参照)。
上述の構成により、刺激装置20から電極リード2Aの例えば端子番号“1”,“2”のコネクタ端子8Aの間に供給された電気的刺激信号が、導線9を経て、電極IDが“0”,“1”の刺激電極5Aに対応する電極ICチップ50に供給される。そして、端子番号“0”のコネクタ端子8Aと接続されたリードICチップ40及び電極ICチップ50の制御に基づいて、刺激電極5Aに電気的刺激信号が供給され、刺激電極5Aが生体を電気刺激する。
次に、電極リード2Bの内部構成例を説明する。
電極リード2Bでは、電極リード2Aと同様に、近位端から遠位端に向けて配置された端子番号“0”〜“2”のコネクタ端子8Bと、近位端から遠位端に向けて配置された端子番号“0”〜“2”の差込み端子4Bが、導線9によって近位端から遠位端に向けて順番に電気的に接続される。
電極リード2Bでは、電極リード2Aと同様に、近位端から遠位端に向けて配置された端子番号“0”〜“2”のコネクタ端子8Bと、近位端から遠位端に向けて配置された端子番号“0”〜“2”の差込み端子4Bが、導線9によって近位端から遠位端に向けて順番に電気的に接続される。
また、電極リード2Bでは、リード部6B内部の電極IDが“0”の刺激電極5Bに対応する位置に、電極ICチップ50が設けられている。電極ICチップ50は、電極ID“0”の刺激電極5Bと電気的に接続するとともに、端子番号“0”〜“2”の3個のコネクタ端子8Bと端子番号“0”〜“2”の3個の差込み端子4Bとを接続する、3本の導線9のそれぞれに電気的に接続している。さらに、リード部6B内部の電極IDが“1”〜“3”の3個の刺激電極5Bに対応する位置にも、同じ仕様の電極ICチップ50が設けられている。この電極IDが“1”〜“3”の刺激電極5Bに対応する各電極ICチップ50も、電極IDが対応する刺激電極5B及び3本の導線9のそれぞれに電気的に接続している。
また電極リード2Bにおいても電極リード2Aと同様に、コネクタ7B付近の所定の位置にリードICチップ40が設けられている。リードICチップ40は、端子番号“0”のコネクタ端子8Bと、電極ID“0”〜“3”に対応する電極ICチップ50のそれぞれと導線9を介して接続している。
次に、電極リード2Cの内部構成例を説明する。
電極リード2Cは、電極リード2Aと同じ2個の刺激電極5Cを有する。よって、電極リード2Cの内部構成は電極リード2Aと同じである。すなわち、電極リード2Cでは、リード部6C内部の電極IDが“0”,“1”の刺激電極5Cに対応する位置に、それぞれ電極ICチップ50が設けられている。各電極ICチップ50は、電極IDが対応する刺激電極5Cと電気的に接続するとともに、端子番号“0”〜“2”の3個のコネクタ端子8Cと端子番号“0”〜“2”の3個の差込み端子4Cとを接続する、3本の導線9のそれぞれに電気的に接続している。
電極リード2Cは、電極リード2Aと同じ2個の刺激電極5Cを有する。よって、電極リード2Cの内部構成は電極リード2Aと同じである。すなわち、電極リード2Cでは、リード部6C内部の電極IDが“0”,“1”の刺激電極5Cに対応する位置に、それぞれ電極ICチップ50が設けられている。各電極ICチップ50は、電極IDが対応する刺激電極5Cと電気的に接続するとともに、端子番号“0”〜“2”の3個のコネクタ端子8Cと端子番号“0”〜“2”の3個の差込み端子4Cとを接続する、3本の導線9のそれぞれに電気的に接続している。
また電極リード2Cにおいても電極リード2Aと同様に、コネクタ7C付近の所定の位置に、リードICチップ40が設けられている。リードICチップ40は、端子番号“0”のコネクタ端子8Cと、電極ID“0”,“1”に対応する電極ICチップ50のそれぞれと導線9を介して接続している。
このように電極リード2A〜2Cを直列に連結することで、電極IDが付された8個の刺激電極5A〜5Cが、対応する電極ICチップ50及び導線9を介して、電極リード2Aの端子番号“0”〜“2”の中の所定のコネクタ端子8Aにそれぞれ電気的に接続される。このため、コネクタ端子8Aの所定の端子を介して、刺激装置20から刺激電極5A〜5Cに電気的刺激信号を供給することが可能である。そして、刺激装置20から指定された電極リードに設けられたリードICチップ40が各刺激電極5A〜5Cに対応する電極ICチップ50の動作を制御することにより、該当電極リードの刺激電極から電気的刺激信号が生体内の神経に出力され、疼痛部位を電気刺激することが可能となる。
[1−4.リードICチップの内部構成]
次に、図5を参照して、連結リード2を構成する電極リード2A〜2Cの内部構成について更に具体的に説明する。以下では、電極リード2AのリードICチップ40及び電極ICチップ50を例に挙げて説明する。
図5は、電極リード2AのリードICチップ40及び電極ICチップ50の内部構成例を示すブロック図である。図5において、電極IDが“0”の刺激電極5Aを「刺激電極5A(0)」、電極IDが“1”の刺激電極5Aを「刺激電極5A(1)」と表している。
次に、図5を参照して、連結リード2を構成する電極リード2A〜2Cの内部構成について更に具体的に説明する。以下では、電極リード2AのリードICチップ40及び電極ICチップ50を例に挙げて説明する。
図5は、電極リード2AのリードICチップ40及び電極ICチップ50の内部構成例を示すブロック図である。図5において、電極IDが“0”の刺激電極5Aを「刺激電極5A(0)」、電極IDが“1”の刺激電極5Aを「刺激電極5A(1)」と表している。
まず、リードICチップ40の内部構成例について説明する。
電極リード2Aのコネクタ7A内部に設けられたリードICチップ40は、リードICチップ電源部41と、リードICチップ制御部42と、リードID記憶部43(リード識別情報記憶部の一例)と、電極数記憶部44と、ゲート部45とを備える。
電極リード2Aのコネクタ7A内部に設けられたリードICチップ40は、リードICチップ電源部41と、リードICチップ制御部42と、リードID記憶部43(リード識別情報記憶部の一例)と、電極数記憶部44と、ゲート部45とを備える。
神経に対する電気的な刺激は、少なくとも2つの刺激電極の間に電気的刺激信号(刺激パルス信号及び基準電位信号)を与えることによって行われる。すなわち、少なくとも1つの刺激電極に刺激パルス信号が印加され、少なくとも1つの刺激電極に基準電位信号が印加される。
コネクタ7Aのコネクタ端子8Aの端子番号“2”の端子には刺激パルスラインL1が接続され、コネクタ端子8Aの端子番号“1”の端子には基準電位ラインL2が接続され、コネクタ端子8Aの端子番号“0”の端子には制御電源ラインL3が接続されている。
刺激パルスラインL1は、電気的刺激信号を構成する刺激パルス信号を伝送するラインである。以下、刺激パルス信号を単に「刺激パルス」と記すことがある。ここでは、刺激パルスラインL1は、端子番号“2”のコネクタ端子8Aと接続している。
基準電位ラインL2は、電気的刺激信号を構成する基準電位信号を伝送するラインである。ここでは、基準電位ラインL2は、端子番号“1”のコネクタ端子8Aと接続している。基準電位は、リードICチップ40と電極ICチップ50の各部における基準電位と同じである。
制御電源ラインL3は、刺激装置20とリードICチップ40、及び刺激装置20と電極ICチップ50との間で、制御信号と電源信号からなるシリアル信号が伝送されるラインである。ここでは、制御電源ラインL3は、端子番号“0”のコネクタ端子8Aと接続している。制御信号は、リードICチップ40及び電極ICチップ50において電気刺激の設定を行うための情報を含む信号である。電源信号は、リードICチップ40及び電極ICチップ50の各電源部に供給されるバースト波の信号(バースト信号)である。以下では、この制御信号と電源信号を含むシリアル信号を「制御電源信号」と記す。なお、制御電源ラインL3は、電極ICチップ50又はリードICチップ40から出力される応答信号も伝送する。
基準電位ラインL2は、電気的刺激信号を構成する基準電位信号を伝送するラインである。ここでは、基準電位ラインL2は、端子番号“1”のコネクタ端子8Aと接続している。基準電位は、リードICチップ40と電極ICチップ50の各部における基準電位と同じである。
制御電源ラインL3は、刺激装置20とリードICチップ40、及び刺激装置20と電極ICチップ50との間で、制御信号と電源信号からなるシリアル信号が伝送されるラインである。ここでは、制御電源ラインL3は、端子番号“0”のコネクタ端子8Aと接続している。制御信号は、リードICチップ40及び電極ICチップ50において電気刺激の設定を行うための情報を含む信号である。電源信号は、リードICチップ40及び電極ICチップ50の各電源部に供給されるバースト波の信号(バースト信号)である。以下では、この制御信号と電源信号を含むシリアル信号を「制御電源信号」と記す。なお、制御電源ラインL3は、電極ICチップ50又はリードICチップ40から出力される応答信号も伝送する。
コネクタ7Aに配置された端子番号“2”のコネクタ端子8Aは、端子番号“2”の差込み端子4Aと、各刺激電極5Aに対応して設けられた電極ICチップ50のスイッチ部54の各々に電気的に接続している。
また、端子番号“1”のコネクタ端子8Aは、端子番号“1”の差込み端子4Aと、各電極ICチップ50のスイッチ部54に電気的に接続するとともに、リードICチップ電源部41及び電極ICチップ電源部51の不図示の端子と接続して、各電源部に供給される電源信号から電力を得るための基準電位となる。各スイッチ部54は、対応する刺激電極5Aと電気的に接続されている。
また、端子番号“0”のコネクタ端子8Aは、端子番号“0”の差込み端子4A、並びに、リードICチップ電源部41、リードICチップ制御部42及びゲート部45と電気的に接続している。さらに、端子番号“0”のコネクタ端子8Aは、リードICチップ40のゲート部45を介して、各刺激電極5Aに対応して設けられた電極ICチップ50の電極ICチップ制御部52の各々と電気的に接続している。
また、端子番号“1”のコネクタ端子8Aは、端子番号“1”の差込み端子4Aと、各電極ICチップ50のスイッチ部54に電気的に接続するとともに、リードICチップ電源部41及び電極ICチップ電源部51の不図示の端子と接続して、各電源部に供給される電源信号から電力を得るための基準電位となる。各スイッチ部54は、対応する刺激電極5Aと電気的に接続されている。
また、端子番号“0”のコネクタ端子8Aは、端子番号“0”の差込み端子4A、並びに、リードICチップ電源部41、リードICチップ制御部42及びゲート部45と電気的に接続している。さらに、端子番号“0”のコネクタ端子8Aは、リードICチップ40のゲート部45を介して、各刺激電極5Aに対応して設けられた電極ICチップ50の電極ICチップ制御部52の各々と電気的に接続している。
リードICチップ電源部41は、不図示の整流回路を内蔵しており、端子番号“0”のコネクタ端子8Aから供給された制御電源信号に含まれる電源信号を整流して電力を取得する。そして、リードICチップ電源部41は、取得した電力をリードICチップ40内の各ブロックへ供給している。
リードICチップ制御部42は、端子番号“0”のコネクタ端子8Aから供給された制御電源信号に含まれる制御信号に基づいて、所定の制御を行う。すなわちリードICチップ制御部42は、制御電源信号内の制御信号に含まれるリードID(リード識別情報)が、リードID記憶部43に保存されている当該電極リード2Aに対して付されたリードIDと一致する否かを判定する。制御信号に含まれるリードIDと当該リードICチップ40のリードIDが一致する場合には、リードICチップ制御部42は、ゲート部45をオン状態にして刺激電極5A側へ制御電源信号を供給する。このリードICチップ制御部42には、例えば、カスタムICやマイクロコンピュータ等の演算制御装置を用いることができる。
リードID記憶部43には、例えば電極リード2Aを製造した段階で、当該電極リード2A(リード部6A)を一意に識別できるリードID(リード番号)が保存される。リードID記憶部43には、不揮発性のメモリが用いられる。以下では、電極リード(リード部)を識別するための情報(リード識別情報)として、リードID(リード番号)を用いている。なおリード識別情報は、番号(数字)の他に、文字や記号、又はそれらの組み合わせでもよい。
電極数記憶部44は、電極リード2Aに配置された刺激電極5Aの電極数を記憶しており、図5の例では、刺激電極5Aが2個であるという情報が電極数記憶部44に保存されている。電極数記憶部44に電極数を記憶させる処理は、一例として電極リード2Aを製造した段階で行われる。本実施形態では、リードIDと電極IDによって電極リード2A〜2Cを一意に識別することにより、電極リード2A〜2Cの刺激電極5A〜5Cの電極IDを相対値化する。電極数記憶部44には、不揮発性のメモリが用いられる。
ゲート部45は、切替え部の一例であり、リードICチップ制御部42から出力されるゲート信号に基づいて、端子番号“0”のコネクタ端子8Aと各刺激電極5Aに対応する電極ICチップ50の電極ICチップ制御部52を接続状態(オン)にする。ゲート信号が入力されない場合には、ゲート部45はオフ状態である。ゲート部45がオンのとき、端子番号“0”のコネクタ端子8Aから入力された制御電源信号が、電極リード2Aの刺激電極5A(0),5A(1)に対応する各電極ICチップ50の電極ICチップ制御部52へ供給される。ゲート部45は、一例としてFET(電界効果トランジスタ)などのスイッチ素子を用いて構成される。
[1−5.電極ICチップの内部構成]
次に、電極ICチップ50の内部構成例について説明する。ここでは、電極ICチップ50として、刺激電極5A(0)に対応する電極ICチップ50を例に説明する。
次に、電極ICチップ50の内部構成例について説明する。ここでは、電極ICチップ50として、刺激電極5A(0)に対応する電極ICチップ50を例に説明する。
図5に示すように、刺激電極5A(0)に対応する電極ICチップ50は、電極ICチップ電源部51と、電極ICチップ制御部52と、電極ID記憶部53(電極識別情報記憶部の一例)と、スイッチ部54とを備える。
電極ICチップ電源部51は、リードICチップ電源部41と同様の機能を有している。すなわち電極ICチップ電源部51は、不図示の整流回路を内蔵しており、端子番号“0”のコネクタ端子8Aから供給された制御電源信号に含まれる電源信号を整流して電力を取得し、取得した電力を電極ICチップ50内の各ブロックへ供給している。
電極ICチップ制御部52は、ゲート部45を介して端子番号“0”のコネクタ端子8Aから供給された制御電源信号に含まれる制御信号に基づいて、スイッチ部54の接続の制御を行う。
すなわち電極ICチップ制御部52は、制御電源信号内の制御信号に含まれる電極IDが、電極ID記憶部53に保存されている当該刺激電極5A(0)に対して付された電極IDと一致する否かを判定する。制御信号に含まれる電極IDと当該電極ICチップ50の電極IDが一致する場合には、電極ICチップ制御部52は、制御信号に含まれる選択信号に基づいてスイッチ部54の接続の切り替えを行う。この電極ICチップ制御部52には、例えばカスタムICやマイクロコンピュータ等の演算制御装置を用いることができる。
電極ID記憶部53は、例えば電極リード2Aを製造した段階で、電極リード2Aに設けられた刺激電極5A(0)を識別できる電極ID(電極識別情報)が保存される。電極ID記憶部53には、不揮発性のメモリが用いられる。
スイッチ部54は、電極ICチップ制御部52から出力される選択信号に基づいて、内部スイッチを切り替える。すなわち、スイッチ部54は、刺激電極5A(0)と接続するラインを切り替えて、刺激電極5A(0)に供給される電気的刺激信号を切り替える。刺激電極5A(0)に信号を供給する形態としては、刺激電極5A(0)と刺激パルスラインL1を接続して刺激パルスを供給する形態、基準電位ラインL2と接続して基準電位信号を供給する形態、並びに何ら信号を供給しない無接続の形態がある。スイッチ部54は、例えばFET(電界効果トランジスタ)などのスイッチ素子を用いて構成される。なお、スイッチ部54は、選択信号によって内部スイッチを切り替えた後、次の選択信号が受信されるまで、その切り替えた内部スイッチの状態を維持する。
以上、刺激電極5A(0)に対応する電極ICチップ50を例に説明したが、刺激電極5A(1)に対応する電極ICチップ50でも同様である。また、電極リード2AのリードICチップ40及び各電極ICチップ50の内部構成例は、電極リード2B,2Cに関しても同様である。電極リード2A〜2Cを連結した場合には、電極リード2Aの端子番号“2”のコネクタ端子8Aに供給された刺激パルスは、導線9を通じて電極リード2B,2Cの各刺激電極に対応する電極ICチップ50内のスイッチ部54にも供給される。
また、電極リード2Aの端子番号“1”のコネクタ端子8Aに供給された基準電位信号は、導線9を通じて電極リード2B,2Cの各電極ICチップ50内のスイッチ部54にも供給される。
また、電極リード2Aの端子番号“0”のコネクタ端子8Aに供給された制御電源信号は、電極リード2B,2CのリードICチップ40内のリードICチップ電源部41、及び各電極ICチップ50内の電極ICチップ電源部51にも供給される。さらに電極リード2Aに供給された制御電源信号は、電極リード2B,2Cのゲート部45を介して各電極ICチップ50内の電極ICチップ制御部52にも供給される。
また、電極リード2Aの端子番号“1”のコネクタ端子8Aに供給された基準電位信号は、導線9を通じて電極リード2B,2Cの各電極ICチップ50内のスイッチ部54にも供給される。
また、電極リード2Aの端子番号“0”のコネクタ端子8Aに供給された制御電源信号は、電極リード2B,2CのリードICチップ40内のリードICチップ電源部41、及び各電極ICチップ50内の電極ICチップ電源部51にも供給される。さらに電極リード2Aに供給された制御電源信号は、電極リード2B,2Cのゲート部45を介して各電極ICチップ50内の電極ICチップ制御部52にも供給される。
[1−6.各電極リード内の刺激電極の管理]
上述したように、電極リード2Aでは、刺激電極5Aの電極数は2個であり、刺激電極5Aの電極IDは近位端から遠位端に向かって順に“0”,“1”としている。このような電極IDの割り付けは、他の電極リード2B、2Cでも同様に行われ、電極リード2Bの電極IDは近位端から遠位端に向かって順に“0”,“1”,“2”,“3”とされ、電極リード2Cの電極IDは近位端から遠位端に向かって順に“0”,“1”とされる。このように、電極リード2Aが備える刺激電極5Aの電極IDが、他の電極リード2B,2Cが備える刺激電極の電極IDと重複する値を有している。
上述したように、電極リード2Aでは、刺激電極5Aの電極数は2個であり、刺激電極5Aの電極IDは近位端から遠位端に向かって順に“0”,“1”としている。このような電極IDの割り付けは、他の電極リード2B、2Cでも同様に行われ、電極リード2Bの電極IDは近位端から遠位端に向かって順に“0”,“1”,“2”,“3”とされ、電極リード2Cの電極IDは近位端から遠位端に向かって順に“0”,“1”とされる。このように、電極リード2Aが備える刺激電極5Aの電極IDが、他の電極リード2B,2Cが備える刺激電極の電極IDと重複する値を有している。
以上説明した本実施形態では、リードIDを利用して電極リード2A〜2Cを一意に識別することにより、電極リード2A〜2Cの刺激電極5A〜5Cの電極IDを相対値化することができる。すなわち、電極リード2A〜2Cの連結の順番に関わらず、リードIDと電極IDを組み合わせて刺激電極5A〜5Cを特定することができる。よって、3本の電極リード2A〜2Cの連結の順番に、刺激電極5A〜5Cに対し電極IDを割り付ける必要がなく、刺激電極5A〜5Cの管理が容易になる。
また、本実施形態によれば、電極リードに設けた刺激電極の電極IDを相対値化することができるので、多数の電極リードを連結させることができる。そして多数の電極リードを連結した連結リードについて、各電極リードの刺激電極の電極IDを容易に管理することができる。
また、本実施形態では、電極リード2A〜2Cに設けた刺激電極5A〜5Cの電極数よりも、導線9の本数を少なくすることができるので、電極リード2A〜2Cを連結してもリード部6A〜6Cの各々の径を小さく抑えることができる。それゆえ、低侵襲の連結リードを形成することが可能になる。
また、各電極リードのリードICチップ40がリードIDを利用して電極リードを識別し、該当する電極リード内の電極ICチップ制御部のみに制御電源信号が供給されるので、省電力化が図れる。
なお、上述したリードICチップ40は、コネクタ7A内部の任意の位置に設けたが、任意の位置のリード部6A内部に設けてもよいし、電極ICチップ50の一つがリードICチップ40の機能を兼ね備えていてもよい。
[1−7.刺激回路の回路構成]
次に、刺激装置20に収納された刺激回路30の電気的な構成について、図6を参照して説明する。
図6は、刺激回路30の電気的構成を示す機能ブロック図である。
次に、刺激装置20に収納された刺激回路30の電気的な構成について、図6を参照して説明する。
図6は、刺激回路30の電気的構成を示す機能ブロック図である。
刺激回路30は、コイル部31と、充電部32と、充電池33と、通信部34と、制御部35と、刺激パラメータ設定部36と、刺激出力発振部37と、制御パラメータ設定部38と、制御出力発振部39と、電源部33Aとを備える。
コイル部31は、例えばコイルとコンデンサで構成される共振回路である。このコイル部31は、充電池33の充電を行う場合、体外に配置されたコントローラ60から送信される充電用の電磁波を受信する。そして、電磁波の受信に伴ってコイル部31から発生する交流電流が充電部32に出力される。また、コイル部31は体外に配置されたコントローラ60から送信される、所定の情報が乗せられた電磁波を受信し、受信した電磁波に応じた交流電流(交流信号)が当該コイル部31から通信部34に出力される。
充電部32は、不図示の整流回路を内蔵し、コイル部31から出力された交流電流を直流電流に変換して電力を取得する。そして、取得した電力で充電池33の充電を行う。充電池33は、例えばリチウムイオン電池等の充電可能な二次電池である。この充電池33は、蓄積している電力を、刺激回路30を構成する各ブロックに供給している。
通信部34は、コイル部31が受信した交流信号を復調し、交流信号に含まれている情報を取り出す。そして、取り出した情報を、制御部35を介して刺激パラメータ設定部36及び制御パラメータ設定部38に出力する。刺激パラメータ設定部36に出力される情報は、電気的刺激信号の刺激強度に関する情報である。また、制御パラメータ設定部38に出力される情報は、連結リード2の構成に関する情報(電極構成情報)や刺激電極に与える電気的刺激信号に関する情報(接続情報)である。
電気的刺激信号の刺激強度は、当該電気的刺激信号を構成する刺激パルスのパルス電圧、パルス電流、パルス幅あるいは周波数により決定されるものであり、これらパルス電圧等の値が、刺激パラメータとして設定される。また、電気的刺激信号を出力する電極リード2A〜2CのリードID及び該当電極リード内の刺激電極の電極IDの情報(電極構成情報)と、該当刺激電極に与える電気的刺激信号の極性を変更するための情報(接続情報)とが、制御パラメータとして設定される。
刺激パラメータ設定部36は、制御部35から入力される電気的刺激信号の刺激強度に関する情報に基づいて刺激パラメータを設定し、この刺激パラメータに基づいて、例えば刺激出力発振部37で発生する電気的刺激信号の刺激強度を変更するための刺激強度変更信号を生成する。
刺激出力発振部37は、例えば刺激パラメータ設定部36から入力される刺激強度変更信号に基づいて電気的刺激信号を構成する刺激パルスを生成し、生成した刺激パルスをコネクタ22の刺激パルスラインL1に接続する端子へ出力する。
制御パラメータ設定部38は、制御部35から入力される電極構成情報と接続情報に基づいて制御パラメータを設定する。
制御出力発振部39は、制御パラメータ設定部38から入力される制御パラメータに基づいてシリアル信号である制御電源信号を生成し、生成した制御電源信号をコネクタ22の制御電源ラインL3と接続している端子へ出力する。生成された制御電源信号には、電源部33Aから供給される電力に基づく電源信号(バースト信号)が付加されている。電源部33Aの基準電位に接続された不図示の端子は、コネクタ22の基準電位ラインL2に接続する端子と接続している。
なお、制御部35には、例えばマイクロコンピュータ等が用いられている。制御部35は、刺激回路30の各ブロックを制御する。また、制御部35は、制御部35内部のメモリ35aに、電極リード2A〜2Cからなる連結リード2の構成に関する情報を保存している。連結リード2の構成に関する情報は、電極リード2A〜2Cの連結の順番(リードIDの順番)及び各電極リードの刺激電極の電極数である。この連結リード2の構成に関する情報の保存は、一例として、刺激装置20に接続されたエクステンションリード24の差込み部25に連結リード2を連結した後、初期処理を行うタイミングで行われる。医師は、電極リード2A〜2Cのそれぞれの包材に記されたリードIDを電極リード2A〜2Cの連結の順番でコントローラ60に入力し、刺激装置との間で通信を行うことで連結リード2の構成に関する情報が制御部35内部のメモリ35aに保存される。
また、刺激回路30は、制御電源ラインL3に繋がる不図示の応答信号受信部を有している。応答信号受信部は、コネクタ22を介して電極リード2A〜2Cから出力された応答信号(シリアル信号)を受信し、制御部35へ送信する機能を備える。
ここで、図7を参照して、制御電源ラインL3へ伝送される制御電源信号のデータ構造を説明する。
図7は、電極ICチップ50に接続情報の設定を行うための制御電源信号のデータ構造の例を示している。この制御電源信号には、電極リードのリードID及び該リードIDに対応する電極リード内の刺激電極の電極IDを含むID情報(電極構成情報)と、該電極IDに該当する刺激電極の設定情報(接続情報)とからなる制御信号372が含まれている。この制御信号372に続いて、矩形波の繰り返しからなるバースト信号である電源信号373が付加されている。制御出力発振部39では、制御信号372及び電源信号373の先頭にローレベルのスタート信号371を付加して制御電源ラインL3へ送信する。リードICチップ40は、このスタート信号371を検出することで制御信号が送信されたことを認識する。
図7は、電極ICチップ50に接続情報の設定を行うための制御電源信号のデータ構造の例を示している。この制御電源信号には、電極リードのリードID及び該リードIDに対応する電極リード内の刺激電極の電極IDを含むID情報(電極構成情報)と、該電極IDに該当する刺激電極の設定情報(接続情報)とからなる制御信号372が含まれている。この制御信号372に続いて、矩形波の繰り返しからなるバースト信号である電源信号373が付加されている。制御出力発振部39では、制御信号372及び電源信号373の先頭にローレベルのスタート信号371を付加して制御電源ラインL3へ送信する。リードICチップ40は、このスタート信号371を検出することで制御信号が送信されたことを認識する。
[1−8.刺激装置及び電極リードの動作]
図8のフローチャートを参照して、電気刺激装置1の刺激装置20の動作例を説明する。
まず、医師などの操作者は、体外のコントローラ60(図6参照)の操作画面を操作して刺激装置20の刺激回路30の電源を投入する。電源投入後、刺激回路30の制御部35は、所定の初期設定を行う(ステップS1)。
図8のフローチャートを参照して、電気刺激装置1の刺激装置20の動作例を説明する。
まず、医師などの操作者は、体外のコントローラ60(図6参照)の操作画面を操作して刺激装置20の刺激回路30の電源を投入する。電源投入後、刺激回路30の制御部35は、所定の初期設定を行う(ステップS1)。
次に、制御部35は、メモリ35aに設定された治療フラグがオンか否かを判定する(ステップS2)。なお、刺激装置20の刺激回路30の電源投入直後は、初期状態として治療フラグはオフにセットされる。治療フラグがオンの場合は刺激パルス発生の処理を行う(ステップS3)。すなわち、連結リード2へ刺激パルスを供給して神経を電気刺激する。この刺激パルス発生の処理については、図10を参照して後述する。
上記ステップS2の判定処理で、治療フラグがオフの場合は、制御部35は、通信部34がコントローラ60からコマンドを受信したか否かを判定する(ステップS4)。コマンドを受信しない場合、ステップS2の判定処理に戻る。
上記ステップS4の判定処理で、コマンドを受信したと判定した場合、制御部35は、通信部34により受信したコマンドの解読を行う(ステップS5)。
制御部35は、コマンドを解読した結果、受信したコマンドが刺激装置20への設定コマンドであるか否かを判定する(ステップS6)。ここで、刺激装置20への設定コマンドである場合には、制御部35は、コイル部31が受信した交流信号に含まれている情報に従って、刺激パラメータ設定部36を駆動して刺激パラメータを設定する(ステップS7)。この処理が終了後、ステップS2に戻る。
上記ステップS6の判定処理で、刺激装置20への設定コマンドではないと判定した場合、制御部35は、受信したコマンドが、電極リード2A〜2Cのいずれかの刺激電極への設定コマンドであるか否かを判定する(ステップS8)。ここで、刺激電極への設定コマンドである場合、制御部35は、制御パラメータ設定部38が設定した制御パラメータを、制御出力発振部39から制御電源ラインL3を介して、指定されたリードIDの電極リードに送出する(ステップS9)。その後、制御部35は、制御電源ラインL3に繋がる不図示の応答信号受信部を介して、その指定された電極リードから設定完了の応答信号を受信する(ステップS10)。この処理が終了後、ステップS2に戻る。
上記ステップS8の判定処理で、刺激電極に対する設定コマンドではないと判定した場合、制御部35は、受信したコマンドが、電極リード2A〜2Cに対する治療開始コマンドであるか否かを判定する(ステップS11)。
上記ステップS11の判定処理で、電極リード2A〜2Cに対する治療開始コマンドであると判定した場合、制御部35は、メモリ35aに対して治療フラグをオンに設定する(ステップS12)。
一方、上記ステップS11の判定処理で、電極リード2A〜2Cに対する治療開始コマンドでないと判定した場合、制御部35は、受信したコマンドが、電極リード2A〜2Cに対する治療停止コマンドであるか否かを判定する(ステップS13)。電極リード2A〜2Cに対する治療停止コマンドであると判定した場合、制御部35は、メモリ35aに対して治療フラグをオフに設定する(ステップS14)。
ステップS12又はS14の処理が終了後、ステップS2に戻って、上述の一連の処理を繰り返す。
次に、図9のフローチャートを参照して、刺激電極への接続情報の設定処理を説明する。以下では、電極リード2Aを例に説明する。
図8のステップS9において、刺激装置20がコントローラ60から送信された刺激電極への設定コマンドを受信すると、制御電源ラインL3に設定すべき制御パラメータが送出される。
まず、刺激装置20から最も近位端側にある電極リード2AのリードICチップ制御部42は、制御電源ラインL3から制御信号を受信したか否かを判定する(ステップS21)。制御信号を受信しない場合、ステップS21の判定処理を繰り返す。
上記ステップS21の判定処理で、制御信号を受信したと判定した場合、リードICチップ制御部42は、制御信号に含まれるリードIDと電極リード2AのリードIDが一致するか否かを判定する(ステップS22)。リードIDが一致する場合(ステップS22の一致)には、リードICチップ制御部42は、ゲート部45をオンし、刺激電極5Aの電極ICチップ制御部52へ制御信号を供給する。リードIDが一致しない場合(ステップS22の不一致)には、リードICチップ制御部42は、ゲート部45をオフのままとし、ステップS21へ戻る。
次に、刺激電極5A(0)と刺激電極5A(1)のそれぞれの電極ICチップ制御部52は、制御信号に含まれる電極IDとそれぞれの電極ID記憶部53に記憶されている電極IDが一致するか否かを判定する(ステップS23)。電極IDが一致しない場合(ステップS23の不一致)には、刺激電極5Aの接続情報の設定処理を終了する。
電極IDが一致する場合(ステップS23の一致)には、その一致した電極IDに対応する電極ICチップ制御部52は、該当する刺激電極5Aに対応するスイッチ部54を、制御信号に含まれる接続情報に基づいて制御する(ステップS24)。これにより、刺激電極5A(0)及び/又は刺激電極5A(1)に電気的刺激信号が供給され、生体が電気刺激される。
そして、一致した電極IDに対応する電極ICチップ制御部52は、制御電源ラインL3を通じて、接続情報の設定完了を示す応答信号を刺激装置20へ送信する(ステップS25)。この処理が終了後、本フローチャートの接続情報の設定処理を終了する。
上記ステップS22の判定処理において、制御電源信号に含まれるリードIDと電極リード2AのリードIDが一致しない場合には、電極リード2BのリードICチップ制御部42が、ステップS21,S22の処理を行う。さらに、制御電源信号に含まれるリードIDと電極リード2BのリードIDが一致しない場合には、電極リード2CのリードICチップ制御部42が、ステップS21,S22の処理を行う。これらの各電極リードのリードICチップ制御部42による処理は並列に行われる。
上記の制御電源信号に含まれるリードIDと電極リード2AのリードIDが一致しない場合には、電極リード2B,2Cに設けられた刺激電極5B,5Cに対応する電極ICチップ制御部52も同様に、ステップS23〜S25の処理を行う。
次に、図10のフローチャートを参照して、刺激装置20の刺激回路30による刺激パルス発生処理(図8のステップS3)を説明する。
まず、刺激回路30の制御部35は、刺激パラメータ設定部36に設定されている刺激パラメータに基づいて電気的刺激信号を発生させるタイミングであるか否かを判定する(ステップS31)。電気的刺激信号を発生させるタイミングは、一例として刺激パラメータに含まれるパルスの「周波数」により規定されている。電気的刺激信号を発生させるタイミングでない場合は、図8のステップS4に進む。
一方、ステップS31の判定処理で、電気的刺激信号を発生させるタイミングであると判定した場合、制御部35は、刺激出力発振部37を駆動して刺激パラメータ設定部36に設定されている刺激パラメータに基づく刺激パルスを生成し、刺激パルスラインL1に出力する(ステップS32)。そして、電極ICチップ50のスイッチ部54で刺激パルスラインL1と基準電位ラインL2に接続された刺激電極間で電気刺激することができる。
[1−9.電極リードの植込み方法]
次に、従来の電極リードの植込み方法と、本実施形態に係る電極リードの植込み方法について説明する。
次に、従来の電極リードの植込み方法と、本実施形態に係る電極リードの植込み方法について説明する。
<従来の電極リードの植込み方法>
始めに、SCSシステムを応用して、末梢神経刺激療法を行うための従来の電極リードの植込み方法について説明する。
図11は、従来の電極リード104を生体100の皮下に植込む手順を示す説明図である。図11A〜図11Dは、電極リード104の植込み手順1〜4を示す説明図である。
始めに、SCSシステムを応用して、末梢神経刺激療法を行うための従来の電極リードの植込み方法について説明する。
図11は、従来の電極リード104を生体100の皮下に植込む手順を示す説明図である。図11A〜図11Dは、電極リード104の植込み手順1〜4を示す説明図である。
(手順1)
医師は、診察により、患者の生体100における疼痛領域101のうちで、最大疼痛部位102を特定する(図11A)。
(手順2)
次に、医師は、中空の穿刺針103を、特定した最大疼痛部位102から離れた位置から皮下に穿刺し、穿刺針103の針先を特定した最大疼痛部位102に達するまで進める(図11B)。
(手順3)
次に、医師は、穿刺針103の中空部分にSCSシステムで用いられる電極リード104を挿入する(図11C)。この電極リード104の一端には、図11Dに示す刺激電極106が設けられているため、この刺激電極106が最大疼痛部位102に一致するように電極リード104が挿入される。
(手順4)
その後、医師は、電極リード104を生体100内に植込んだまま、生体100から穿刺針103を抜き、さらに電極リード104上から穿刺針103を取り去る。そして、電極リード104の差込み端子105を不図示の体外の刺激装置と接続し、この体外の刺激装置から電極リード104の刺激電極106に様々なパターンの電気的刺激信号を供給して、疼痛緩和に適した刺激電極106の最大疼痛部位102における位置や電気的刺激信号のパラメータ等を調整、決定する。最後に、医師は、電極リード104の差込み端子105を刺激装置107と接続し(図11D)、電極リード104と共に刺激装置107を生体内の皮下に植込む。
医師は、診察により、患者の生体100における疼痛領域101のうちで、最大疼痛部位102を特定する(図11A)。
(手順2)
次に、医師は、中空の穿刺針103を、特定した最大疼痛部位102から離れた位置から皮下に穿刺し、穿刺針103の針先を特定した最大疼痛部位102に達するまで進める(図11B)。
(手順3)
次に、医師は、穿刺針103の中空部分にSCSシステムで用いられる電極リード104を挿入する(図11C)。この電極リード104の一端には、図11Dに示す刺激電極106が設けられているため、この刺激電極106が最大疼痛部位102に一致するように電極リード104が挿入される。
(手順4)
その後、医師は、電極リード104を生体100内に植込んだまま、生体100から穿刺針103を抜き、さらに電極リード104上から穿刺針103を取り去る。そして、電極リード104の差込み端子105を不図示の体外の刺激装置と接続し、この体外の刺激装置から電極リード104の刺激電極106に様々なパターンの電気的刺激信号を供給して、疼痛緩和に適した刺激電極106の最大疼痛部位102における位置や電気的刺激信号のパラメータ等を調整、決定する。最後に、医師は、電極リード104の差込み端子105を刺激装置107と接続し(図11D)、電極リード104と共に刺激装置107を生体内の皮下に植込む。
このような従来の電極リード104では、最大疼痛部位102の近傍だけを電気刺激するに過ぎず、疼痛領域101の全体を電気刺激できなかった。また、最大疼痛部位102の位置が変化したときには、電極リード104を植込み直す以外の方法では変化した最大疼痛部位102に追従して電気刺激を与えることができなかった。また、1本の電極リード104では一箇所にしか電気刺激を与えられない。さらに、刺激装置107により、広範囲の疼痛領域101に電気刺激を与えるためには強い電圧の電気的刺激信号を刺激電極106に供給する必要があるため、刺激に伴う不快感を与える可能性があった。また、刺激電極106を最大疼痛部位102に置くことで、電極リード104の端部が最大疼痛部位102内で機械的刺激となって、潰瘍や紅斑が生じやすくなり、さらに状態を悪化させる場合があった。
<本実施形態に係る電極リードの植込み方法>
図12は、本実施形態例に係る電極リード2A〜2Cを生体70の皮下に植込みを行う手順を示す説明図である。図12A〜図12Cは、電極リード2A〜2Cの植込み手順1〜3を示す説明図である。図13は、本実施形態に係る電気刺激装置1を生体の皮下に植込んだ状態を示す説明図である。
(手順1)
医師は、診察により、患者の生体70における疼痛領域71及び最大疼痛部位72を特定する。次に、特定した疼痛領域71に基づいて、電極リード2Aの生体70への予定する挿入部、挿出部に小切開を作製する。続いて、作製した挿入部から牽引ワイヤ73を生体70の皮下組織内に押し進め、作製した挿出部から体表へ牽引ワイヤ73を出す。その後、牽引ワイヤ73に電極リード2Aの差込み部3Aの先端を取り付け、この牽引ワイヤ73を引っ張りながら、皮下内に電極リード2Aを移動させて、最大疼痛部位72を含む疼痛領域71の下端に配置する(図12A)。
図12は、本実施形態例に係る電極リード2A〜2Cを生体70の皮下に植込みを行う手順を示す説明図である。図12A〜図12Cは、電極リード2A〜2Cの植込み手順1〜3を示す説明図である。図13は、本実施形態に係る電気刺激装置1を生体の皮下に植込んだ状態を示す説明図である。
(手順1)
医師は、診察により、患者の生体70における疼痛領域71及び最大疼痛部位72を特定する。次に、特定した疼痛領域71に基づいて、電極リード2Aの生体70への予定する挿入部、挿出部に小切開を作製する。続いて、作製した挿入部から牽引ワイヤ73を生体70の皮下組織内に押し進め、作製した挿出部から体表へ牽引ワイヤ73を出す。その後、牽引ワイヤ73に電極リード2Aの差込み部3Aの先端を取り付け、この牽引ワイヤ73を引っ張りながら、皮下内に電極リード2Aを移動させて、最大疼痛部位72を含む疼痛領域71の下端に配置する(図12A)。
(手順2)
次に、医師は、電極リード2Aを生体70の皮下に植込んだ手順と同様の手順を繰り返し、疼痛領域71に重なる位置に電極リード2Bを植込み、疼痛領域71の上端に電極リード2Cを植込む(図12B)。植込んだ電極リード2A〜2Cに設けられている電極数は8個であるが、電極数は8個以上又は8個未満でもよい。また、刺激電極5A〜5Cが疼痛領域71に対して適切に配置されるように電極リード2A〜2Cの位置合せを行う。このとき、電極リード2A,2Cは、略平行に配置され、電極リード2Bは、電極リード2A,2Cの間で斜めに配置される。そして、電極リード2A〜2Cを直列に連結しやすくなるように、電極リード2Aの差込み部3Aと電極リード2Bのコネクタ7Bが近くに配置され、電極リード2Bの差込み部3Bと電極リード2Cのコネクタ7Cが近くに配置される。
次に、医師は、電極リード2Aを生体70の皮下に植込んだ手順と同様の手順を繰り返し、疼痛領域71に重なる位置に電極リード2Bを植込み、疼痛領域71の上端に電極リード2Cを植込む(図12B)。植込んだ電極リード2A〜2Cに設けられている電極数は8個であるが、電極数は8個以上又は8個未満でもよい。また、刺激電極5A〜5Cが疼痛領域71に対して適切に配置されるように電極リード2A〜2Cの位置合せを行う。このとき、電極リード2A,2Cは、略平行に配置され、電極リード2Bは、電極リード2A,2Cの間で斜めに配置される。そして、電極リード2A〜2Cを直列に連結しやすくなるように、電極リード2Aの差込み部3Aと電極リード2Bのコネクタ7Bが近くに配置され、電極リード2Bの差込み部3Bと電極リード2Cのコネクタ7Cが近くに配置される。
(手順3)
次に、医師は、皮下に植込んだ電極リード2A〜2Cを直列に連結する(図12C)。この連結は、生体70から露出するコネクタ7Bに差込み部3Aを差込み、コネクタ7Cに差込み部3Bを差し込むことで行われる。そして、医師は、電極リード2Aのコネクタ7Aを不図示の体外の刺激装置と接続し、この体外の刺激装置から様々なパターンの刺激を行って、疼痛の緩和に適した電極リード2A〜2Cの位置、電気的刺激信号のパラメータ等を調整、決定する。
次に、医師は、皮下に植込んだ電極リード2A〜2Cを直列に連結する(図12C)。この連結は、生体70から露出するコネクタ7Bに差込み部3Aを差込み、コネクタ7Cに差込み部3Bを差し込むことで行われる。そして、医師は、電極リード2Aのコネクタ7Aを不図示の体外の刺激装置と接続し、この体外の刺激装置から様々なパターンの刺激を行って、疼痛の緩和に適した電極リード2A〜2Cの位置、電気的刺激信号のパラメータ等を調整、決定する。
(手順4)
次に、医師は、電極リード2A,2Bの接続部位、電極リード2B,2Cの接続部位、及び電極リード2Cの差込み部3Cの付近を切開して、電極リード2A〜2Cの生体70から露出している部分を螺旋状にまとめて、コネクタ7B、7Cと共に生体70の皮下に押し込む。そして、医師は、全ての切開口を縫合する。
次に、医師は、電極リード2A,2Bの接続部位、電極リード2B,2Cの接続部位、及び電極リード2Cの差込み部3Cの付近を切開して、電極リード2A〜2Cの生体70から露出している部分を螺旋状にまとめて、コネクタ7B、7Cと共に生体70の皮下に押し込む。そして、医師は、全ての切開口を縫合する。
(手順5)
次に、医師は、電極リード2Aのコネクタ7Aと刺激装置20を接続し、コネクタ7Aと共に刺激装置20を患者の腰部又は腹部に形成された皮下ポケット内に植込んで、電気刺激装置1の植込みを完了する(図13)。なお、本実施形態において電極リード2Cの差込み部3Cに接続される電極リードは存在しないため、差込み端子4Cが生体に露出しないように、差込み部3Cをキャップ等によって覆うことが望ましい。
次に、医師は、電極リード2Aのコネクタ7Aと刺激装置20を接続し、コネクタ7Aと共に刺激装置20を患者の腰部又は腹部に形成された皮下ポケット内に植込んで、電気刺激装置1の植込みを完了する(図13)。なお、本実施形態において電極リード2Cの差込み部3Cに接続される電極リードは存在しないため、差込み端子4Cが生体に露出しないように、差込み部3Cをキャップ等によって覆うことが望ましい。
次に、医師は、電極リード2A〜2Cの包材に記された電極リード2A〜2CのリードIDを連結順にコントローラ60に入力し、刺激装置20と通信することで連結した電極リード2A〜2Cそれぞれの刺激電極数を取得する。このとき、刺激装置20の制御部35では、コントローラ60から受信したリードIDを元に電極リード2A〜2CのリードICチップ40の電極数記憶部44に記憶された電極数を読み出し、この値をコントローラ60に送信する。そして、コントローラ60の操作画面では、刺激装置20から入手した電極数の情報を元に、連結リード2の刺激電極5A〜5Cの構成がグラフィカルに表示される。医師は、この操作画面上で、電気的刺激信号を印加する刺激電極、すなわち、刺激パルスを印加する刺激電極と基準電位を印加する刺激電極を指定し、刺激装置20に対して設定コマンドを送ることで所望の電気刺激を行うことができる。
以上説明した本実施形態例に係る電気刺激装置1によれば、電極リード2A〜2Cを生体70の皮下に植込んで、複数の刺激電極5A〜5Cにより末梢神経刺激療法を行うようにした。これにより、従来よりも広範囲の疼痛領域71に配置した刺激電極5A〜5Cにより最大疼痛部位72に電気刺激を与えることが可能となる。このため、最大疼痛部位72を含む疼痛領域71の全体にわたって電気刺激を行い、疼痛を緩和することができる。
また、電気刺激装置1は、硬膜外腔に電極リードを植込むSCSシステムに対し、刺激装置20、電極リード2A〜2C、エクステンションリード24の全てを皮下に植込むことができる。そのため、とても低侵襲な術式で植え込みを行うことができ、患者の生体70に与える負担が小さい。また、SCSシステムでの硬膜外腔への電極リード植込みの際に起こる硬膜外血腫、神経損傷、硬膜穿刺といったトラブルを避けることができる。
また、医師は、電極リード2A〜2Cを、それぞれ真っ直ぐの状態で生体70の皮下に植込むことにより、生体70の挿入部、挿出部から出た電極リード2A〜2Cの両端を持ちながら容易に刺激電極5A〜5Cの位置を変えやすい。このため、医師は、刺激電極5A〜5Cの植込み位置を決定することが容易であり、SCSシステムに比べて手術時間を短くすることができる。また、電極リード2A〜2Cが生体70から露出する部分とコネクタ7A〜7Cとが、まとめて皮下に植込まれている。このため、患者が体位を変えても、電極リード2A〜2Cのまとめられた部分が患者の動きに追随するため、刺激電極5A〜5Cの位置ズレを抑えることができる。
また、従来であれば複数本の電極リードを植込むためには、マルチコネクタを有する刺激装置を用いたり、スプリッターと呼ばれる分配器を用いたりする必要があったが、複数本の電極リードを刺激装置から疼痛領域まで引き回してこなければならず、植込みの際にとても煩雑な作業となっていた。しかし、本実施形態に係る直列に連結された電極リード2A〜2Cでは、1本の電極リード2Aを刺激装置20から疼痛領域まで引き回せばよく、植込みの負担を減らすことができる。
また、従来のSCSシステムでは、X線透視下で硬膜外腔に電極リードを植込むため、手術に長時間を要していた。しかし、本実施形態に係る電極リード2A〜2Cは、皮下に植込むため、X線透視を必要とせずに手術が可能であり、患者に対する放射線被曝のおそれがない。
<2.変形例>
なお、本発明には、様々な変形例を想定し得る。
例えば、刺激電極5A〜5Cを構成する電極の個数の組み合わせとして、2個、4個、2個の電極を組み合わせたものとしているが、これらの個数はあくまでも一例であって、その他の個数を有する刺激電極を組み合わせてもよい。例えば、刺激電極5A〜5Cを構成する電極の個数を同数としてもよいし、互いに異ならせてもよい。また、電気刺激装置1に用いる電極リードの本数は、3本に限らず、2本以下又は4本以上に適宜増減して用いてもよい。また、電極リード毎に配置された刺激電極の間隔を一定とせずに、異ならせてもよい。
なお、本発明には、様々な変形例を想定し得る。
例えば、刺激電極5A〜5Cを構成する電極の個数の組み合わせとして、2個、4個、2個の電極を組み合わせたものとしているが、これらの個数はあくまでも一例であって、その他の個数を有する刺激電極を組み合わせてもよい。例えば、刺激電極5A〜5Cを構成する電極の個数を同数としてもよいし、互いに異ならせてもよい。また、電気刺激装置1に用いる電極リードの本数は、3本に限らず、2本以下又は4本以上に適宜増減して用いてもよい。また、電極リード毎に配置された刺激電極の間隔を一定とせずに、異ならせてもよい。
また、刺激装置20には筐体21から突出するコネクタ22を設けたが、コネクタ22を筐体21の内部に収めて筐体21から突出する部位をなくし、刺激装置20のサイズを小さくしてもよい。
また、刺激装置20と電極リード2Aは、エクステンションリード24を介して接続されるように構成したが、電極リード2Aのコネクタ7Aを差込み部3Aと同形状の差込み部とすることで、差込み端子4Aが刺激装置20のコネクタ22に接続されるように構成してもよい。
また、リード部6Aには、電極の間隔を広げた刺激電極5Aが配置されるように構成してもよい。これにより、例えば、刺激電極5Aの電極間で折り曲げて皮下に植込まれた1本の電極リード2Aだけでも、生体70を電気刺激することができる。
また、図12に示したように略Z形状のパターンで電極リード2A〜2Cを生体70に植込むようにしたが、その他のパターンで電極リード2A〜2Cを植込んでもよい。例えば、略四角状、略W形状、略M形状等の様々なパターンを利用することができる。また、電極リード2A,2B,2Cの順に直列に連結するだけでなく、例えば、電極リード2B,2A,2Cの順に直列に連結してもよい。
また、上述した実施の形態では、各電極リード2A〜2Cのコネクタ7A〜7C付近にリードICチップ40を内蔵したため、電極リード2A〜2Cのコネクタ7A〜7C側が近位端になり、差込み部3A〜3C側が遠位端となるよう構成している。しかし、リードICチップ40を各電極リード2A〜2Cの差込み部3A〜3C付近に内蔵し、電極リード2A〜2Cの近位端側に差込み部3A〜3Cを配置し、遠位端側にコネクタ7A〜7Cを配置した構成としてもよい。この場合、近位端側に配置した差込み部3A〜3Cの差込み端子4A〜4Cが第1の端子部となり、遠位端側に配置したコネクタ7A〜7Cのコネクタ端子8A〜8Cが第2の端子部となる。また、刺激装置20のエクステンションリード24の連結リードと接続する側の端部には、コネクタが配置される。
また、図9のフローチャートの説明において、電極リード2A〜2Cが近位端から遠位端に向けて順に処理を実行する構成を説明したが、電極リード2A〜2CのそれぞれのリードICチップ制御部42が並行して処理を行うようにしてもよい。また、図9のフローチャートの説明において、同一の電極リード内において、刺激電極に対応する電極ICチップ制御部52が近位端から遠位端に向けて順に処理を実行する構成を説明したが、各電極ICチップ制御部52が並行して処理を行うようにしてもよい。
また、本発明は上述した実施形態例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りその他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
1…電気刺激装置、 2A〜2C…電極リード、 3A〜3C…差込み部、 4A〜4C…差込み端子、 5A〜5C…刺激電極、 6A〜6C…リード部、 7A〜7C…コネクタ、 8A〜8C…コネクタ端子、 9…導線、 10A〜10C…係合部材、 20…刺激装置、 30…刺激回路、35…制御部、 35a…メモリ、 36…刺激パラメータ設定部、 37…刺激出力発振部、 38…制御パラメータ設定部、 39…制御出力発振部、 33A…電源部、 40…リードICチップ、 41…リードICチップ電源部、 42…リードICチップ制御部、 43…リードID記憶部、 44…電極数記憶部、 45…ゲート部、 50…電極ICチップ、 51…電極ICチップ電源部、 52…電極ICチップ制御部、 53…電極ID記憶部、 54…スイッチ部、 372,372a…制御信号、 373…電源信号、 L1…刺激パルスライン、 L2…基準電位ライン、 L3…制御電源ライン
Claims (5)
- 電気的刺激信号を出力する刺激回路を有する刺激装置と、
可撓性を有し内部に導線が配線されたリード部と、該リード部の前記刺激装置が接続される側の端部に設けられた第1の端子部と、該リード部の前記刺激装置が接続される側と反対側の端部に設けられた第2の端子部と、前記第1の端子部及び前記第2の端子部の間に設けられ当該第1の端子部及び当該第2の端子部と電気的に接続される一以上の刺激電極と、前記刺激電極ごとに設けられた電極制御部と、前記刺激電極の配置に対応して付された電極識別情報を記憶する電極識別情報記憶部と、前記各電極制御部と接続されるリード制御部と、前記リード部を識別するリード識別情報を記憶するリード識別情報記憶部と、
を有する電極リードと、を備え、
直列に連結された複数の前記電極リードが前記刺激装置に接続された状態において、前記刺激装置の前記刺激回路は、前記リード識別情報及び前記電極識別情報を用いて前記電極リードと該電極リード内の前記刺激電極を指定し、指定した前記電極リード内の前記刺激電極に前記電気的刺激信号を供給する
電気刺激装置。 - 前記リード制御部は、前記リード識別情報記憶部に記憶された前記リード識別情報と、前記刺激回路から入力された制御信号に含まれるリード識別情報が一致している場合に、前記刺激回路から入力された前記制御信号を、当該電極リード内の前記各電極制御部に送信する
請求項1に記載の電気刺激装置。 - 前記電極制御部は、前記電極識別情報記憶部に記憶された前記電極識別情報と、前記リード制御部から送信された前記制御信号に含まれる電極識別情報が一致している場合に、前記制御信号に基づいて、対応する前記刺激電極に前記刺激回路から出力された前記電気的刺激信号が供給されるように制御を行う
請求項2に記載の電気刺激装置。 - 前記直列に連結された複数の前記電極リードにおいて、一の前記電極リードの前記電極識別情報記憶部が記憶する前記電極識別情報としての電極番号が、他の前記電極リードの前記電極識別情報記憶部が記憶する前記電極識別情報としての電極番号と重複する値を有する
請求項1〜3のいずれかに記載の電気刺激装置。 - 前記直列に連結された複数の前記電極リードにおいて、前記電極リードが備える一以上の前記刺激電極の配置に対応して付される前記電極識別情報としての前記電極番号は、所定の値から順に付されている
請求項4に記載の電気刺激装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013218443A JP2015080494A (ja) | 2013-10-21 | 2013-10-21 | 電気刺激装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2013218443A JP2015080494A (ja) | 2013-10-21 | 2013-10-21 | 電気刺激装置 |
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JP2015080494A true JP2015080494A (ja) | 2015-04-27 |
Family
ID=53011441
Family Applications (1)
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JP2013218443A Pending JP2015080494A (ja) | 2013-10-21 | 2013-10-21 | 電気刺激装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2015080494A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113574918A (zh) * | 2019-03-15 | 2021-10-29 | 欧姆龙株式会社 | 安全装置配置克隆 |
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2013
- 2013-10-21 JP JP2013218443A patent/JP2015080494A/ja active Pending
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CN113574918A (zh) * | 2019-03-15 | 2021-10-29 | 欧姆龙株式会社 | 安全装置配置克隆 |
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