JP2015079806A - へテロ接合電界効果型トランジスタおよびその製造方法 - Google Patents

へテロ接合電界効果型トランジスタおよびその製造方法 Download PDF

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吹田 宗義
Muneyoshi Suita
宗義 吹田
南條 拓真
Takuma Nanjo
拓真 南條
鈴木 洋介
Yosuke Suzuki
洋介 鈴木
章文 今井
Akifumi Imai
章文 今井
健一郎 倉橋
Kenichiro Kurahashi
健一郎 倉橋
茉里香 中村
Marika Nakamura
茉里香 中村
柳生 栄治
Eiji Yagyu
栄治 柳生
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Abstract

【課題】本発明は、耐圧を向上させ、ドレイン電流−電圧特性およびパルス特性を改善できる、ヘテロ接合電界効果型トランジスタおよびその製造方法を提供する。【解決手段】本発明は、第1窒化物半導体層2上の第2窒化物半導体層3と、第2窒化物半導体層上の第3窒化物半導体層4と、第3窒化物半導体層上の第4窒化物半導体層5と、一端が第2窒化物半導体層と接触し、かつ、他端が外部まで延設された電極11とを備える。第3窒化物半導体層が、第1窒化物半導体層および第2窒化物半導体層よりもバンドギャップが小さい。【選択図】図1

Description

本発明は、窒化物を含む半導体からなるヘテロ接合電界効果型トランジスタおよびその製造方法に関するものである。
窒化物半導体を用いたHEMT(High Electron Mobility Transistor)は、高破壊電界かつ高電子移動度という特長を有しており、高周波および高出力で動作するデバイスとして期待されている。従来の、窒化物を含む半導体からなるヘテロ接合電界効果型トランジスタにおいて、高周波化に伴いゲート長の微細化が必要になると、ゲートによる二次元電子ガス(two dimension electron gas、2DEG)の変調効果が低下する、いわゆる短チャンネル効果が発生する(例えば、非特許文献1参照)。
上記の短チャンネル効果を抑制するためには、二次元電子ガスの閉じ込めを高めるエピタキシャル構造が効果的であり、AlX1Ga1−X1Nバリア層/GaNチャネル層からなる窒化物半導体を含むヘテロ接合電界効果型トランジスタにおいて、AlX1Ga1−X1N(1≧X1)バリア層のバンドギャップエネルギーよりも小さいバンドギャップエネルギーを有するAlX2Ga1−X2N(1≧X1>X2>0)からなる層をGaNチャネル層下層に設けることによって、二次元電子ガスの閉じ込めを向上させる構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2013−149732号公報
L.Kley他,"Short−channel effects in AlGAN/GaN HEMTs",Materials Science and Engineering B82,2001,p.p.238−240
特許文献1においてはさらに、AlX1Ga1−X1Nバリア層/GaNチャネル層/AlN障壁層/AlX2Ga1−X2Nバッファ層(1≧X1>X2>0)からなる構造とすることで二次元電子ガスの閉じ込めが向上し、短チャンネル効果は抑制されている。しかし、GaNチャネル層/AlN障壁層界面に正孔が形成されインパクトイオン化を引き起こしやすくなり、耐圧の低下、ドレイン電流−電圧特性におけるキンクの発生、またはパルス特性の劣化等の問題を生じる。
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、耐圧を向上させ、かつ、ドレイン電流−電圧特性およびパルス特性を改善させることができる、ヘテロ接合電界効果型トランジスタおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様に関するヘテロ接合電界効果型トランジスタは、半導体基板上に形成された、バッファ層である第1窒化物半導体層と、前記第1窒化物半導体層上に形成された、障壁層である第2窒化物半導体層と、前記第2窒化物半導体層上に形成された、チャネル層である第3窒化物半導体層と、前記第3窒化物半導体層上に形成された、バリア層である第4窒化物半導体層と、前記第4窒化物半導体層上に形成されたゲート電極と、前記第4窒化物半導体層上に形成されたソース電極と、前記第4窒化物半導体層上に形成され、前記ゲート電極の前記ソース電極が配置された側とは反対側に配置されたドレイン電極と、一端が前記第2窒化物半導体層と接触し、かつ、他端が外部まで延設された電極とを備え、前記第2窒化物半導体層がAlNからなり、0≦e<1、0≦f≦1および0≦e+f≦1とする場合に、前記第1窒化物半導体層がAlInGa1−(e+f)Nで表され、0≦x<1、0≦y≦1および0≦x+y≦1とする場合に、前記第3窒化物半導体層がAlInGa1−(x+y)Nで表され、前記第3窒化物半導体層が、前記第1窒化物半導体層および前記第2窒化物半導体層よりもバンドギャップエネルギーが小さいことを特徴とする。
本発明の一態様に関するヘテロ接合電界効果型トランジスタの製造方法は、(a)半導体基板上に、バッファ層である第1窒化物半導体層を形成する工程と、(b)前記第1窒化物半導体層上に、障壁層である第2窒化物半導体層を形成する工程と、(c)前記第2窒化物半導体層上に、チャネル層である第3窒化物半導体層を形成する工程と、(d)前記第3窒化物半導体層上に、バリア層である第4窒化物半導体層を形成する工程と、(e)前記第4窒化物半導体層上に、ゲート電極を形成する工程と、(f)前記第4窒化物半導体層上に、ソース電極を形成する工程と、(g)前記第4窒化物半導体層上において、前記ゲート電極の前記ソース電極が配置された側とは反対側にドレイン電極を形成する工程と、(h)一端が前記第2窒化物半導体層と接続され、他端が外部と接続された電極を形成する工程とを備え、前記第2窒化物半導体層がAlNからなり、0≦e<1、0≦f≦1および0≦e+f≦1とする場合に、前記第1窒化物半導体層がAlInGa1−(e+f)Nで表され、0≦x<1、0≦y≦1および0≦x+y≦1とする場合に、前記第3窒化物半導体層がAlInGa1−(x+y)Nで表され、前記第3窒化物半導体層が、前記第1窒化物半導体層および前記第2窒化物半導体層よりもバンドギャップエネルギーが小さいことを特徴とする。
本発明の上記態様によれば、第2窒化物半導体層と第3窒化物半導体層との界面に形成される正孔を、第2窒化物半導体層と接続された電極から外部へ排出できるため、耐圧を向上させ、かつ、ドレイン電流−電圧特性およびパルス特性を改善させることができる。
実施形態に関するヘテロ接合電界効果型トランジスタの構造の一例を示す図である。 実施形態に関するキャリア濃度の分布を示す図である。 実施形態に関するヘテロ接合電界効果型トランジスタの構造の一例を示す図である。 実施形態に関するキャリア濃度の分布を示す図である。 実施形態に関する二次元電子ガス濃度の分布を示す図である。 実施形態に関するヘテロ接合電界効果型トランジスタの構造の一例を示す図である。 実施形態に関するヘテロ接合電界効果型トランジスタの構造の一例を示す図である。 実施形態に関するヘテロ接合電界効果型トランジスタの構造の一例を示す図である。 実施形態に関するヘテロ接合電界効果型トランジスタの構造の一例を示す図である。 実施形態に関するヘテロ接合電界効果型トランジスタの構造の一例を示す図である。 実施形態に関するヘテロ接合電界効果型トランジスタの構造の一例を示す図である。 実施形態に関するヘテロ接合電界効果型トランジスタの構造の一例を示す図である。 実施形態に関するヘテロ接合電界効果型トランジスタの構造の一例を示す図である。 実施形態に関するヘテロ接合電界効果型トランジスタの構造の一例を示す図である。 実施形態に関するヘテロ接合電界効果型トランジスタの構造の一例を示す図である。 実施形態に関するヘテロ接合電界効果型トランジスタの構造の一例を示す図である。 実施形態に関するヘテロ接合電界効果型トランジスタの構造の一例を示す図である。 実施形態に関するヘテロ接合電界効果型トランジスタの構造の一例を示す図である。 実施形態に関するヘテロ接合電界効果型トランジスタの構造の一例を示す図である。 実施形態に関するヘテロ接合電界効果型トランジスタの構造の一例を示す図である。 実施形態に関するヘテロ接合電界効果型トランジスタの構造の一例を示す図である。 実施形態に関するヘテロ接合電界効果型トランジスタの構造の一例を示す図である。 実施形態に関するヘテロ接合電界効果型トランジスタの構造の一例を示す図である。 実施形態に関するヘテロ接合電界効果型トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 実施形態に関するヘテロ接合電界効果型トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 実施形態に関するヘテロ接合電界効果型トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 実施形態に関するヘテロ接合電界効果型トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 実施形態に関するヘテロ接合電界効果型トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 実施形態に関するヘテロ接合電界効果型トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 実施形態に関するヘテロ接合電界効果型トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 実施形態に関するヘテロ接合電界効果型トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 実施形態に関するヘテロ接合電界効果型トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 実施形態に関するヘテロ接合電界効果型トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 実施形態に関するヘテロ接合電界効果型トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 実施形態に関するヘテロ接合電界効果型トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 実施形態に関するヘテロ接合電界効果型トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 実施形態に関するヘテロ接合電界効果型トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 実施形態に関するヘテロ接合電界効果型トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 実施形態に関するヘテロ接合電界効果型トランジスタの製造工程の一例を示す図である。
以下、添付の図面を参照しながら実施形態について説明する。
なお、本実施形態において、表面、裏面または底面等の用語が用いられるが、これらの用語は、各面を便宜上区別するために用いられているものであり、実際の上下左右の方向とは関係しない。
<第1実施形態>
<構成>
図1は、ヘテロ接合電界効果型トランジスタの構造の一例を示す図である。
図1に示されるように、ヘテロ接合電界効果型トランジスタは、半絶縁性SiC基板1上に形成されたAl0.05Ga0.95Nからなる第1窒化物半導体層2(バッファ層)と、第1窒化物半導体層2上に形成されたAlNからなる第2窒化物半導体層3(障壁層)と、第2窒化物半導体層3上に形成され、第1窒化物半導体層2および第2窒化物半導体層3よりも小さいバンドギャップエネルギーを有する例えばGaNからなる第3窒化物半導体層4(チャネル層)と、第3窒化物半導体層4上に形成され、当該第3窒化物半導体層4よりも大きいバンドギャップエネルギーを有するAl0.25Ga0.75Nからなる第4窒化物半導体層5(バリア層)とを備えている。第3窒化物半導体層4(GaNチャネル層)表面には、二次元電子ガス12が模式的に示されている。
また、第4窒化物半導体層5の表面上には、ショットキー電極として形成されたNi/Auからなるゲート電極8と、当該ゲート電極8を挟んで対向して配置された、Ti/Alからなるオーミック電極であるソース電極6およびドレイン電極7とが備えられている。
素子分離領域9は、隣接するヘテロ接合型電界効果トランジスタを分離するために設けられた領域である。また、第4窒化物半導体層5表面および素子分離領域9表面においては、ソース電極6、ドレイン電極7およびゲート電極8が形成された箇所を除く領域を覆って、表面絶縁膜10が形成されている。
さらに、半絶縁性SiC基板1裏面から第1窒化物半導体層2(Al0.05Ga0.95Nバッファ層)を介し、第2窒化物半導体層3(AlN障壁層)に至るまでの開口20が形成され、当該開口20内において、一端が第2窒化物半導体層3(AlN障壁層)と接触し、かつ、他端が外部まで延設された(延び出て形成された)、Ni/Auからなる電極11が設けられている。
図2は、図1に示されたエピタキシャル構造であるAl0.25Ga0.75N/GaN/AlN/Al0.05Ga0.95N構造におけるバンド構造と二次元電子ガス12のキャリア分布との関係を、一次元バンド計算シミュレータソフトを用いて計算した結果を示した図である。図2において、縦軸はエネルギー(eV)およびキャリア濃度(cm−3)を示し、横軸は第4窒化物半導体層5(バリア層)表面からの距離(nm)を示している。ここで、第1窒化物半導体層2は、Al0.05Ga0.95Nからなり、かつ、膜厚が500nmであり、第2窒化物半導体層3は、AlNからなり、かつ、膜厚が2nmであり、第3窒化物半導体層4は、GaNからなり、かつ、膜厚が200nmであり、第4窒化物半導体層5は、Al0.25Ga0.75Nからなり、かつ、膜厚が20nmであるものとする。また、各窒化物半導体層のキャリア濃度は1×1016cm−3とし、第4窒化物半導体層5の表面ピニングエネルギーを1.54eVとして計算するものとする。
図2に示されるように、図1の各窒化物半導体層の中で最もバンドギャップエネルギーが大きい第2窒化物半導体層3(AlN障壁層)を第3窒化物半導体層4(GaNチャネル層)直下の層として形成することによって、二次元電子ガス12の分布は、第4窒化物半導体層5(AlGaNバリア層)と第3窒化物半導体層4(GaNチャネル層)との界面近くにほぼ全体が閉じ込められる。この二次元電子ガス12の閉じ込めが向上することによって、ゲート電極8のゲート長が短くなった場合でも、ゲート電極8による二次元電子ガス12の変調制御が可能となり(すなわち、短チャンネル効果が抑制され)、効率向上も含めた高周波領域でのトランジスタ特性の向上が可能となる。
一方、第3窒化物半導体層4(GaNチャネル層)と第2窒化物半導体層3(AlN障壁層)との間には大きなバンドギャップエネルギー差があり、かつ、第2窒化物半導体層3(AlN障壁層)が薄い障壁層であるために、第3窒化物半導体層4(GaNチャネル層)と第2窒化物半導体層3(AlN障壁層)との間には正孔が形成される。この正孔によってインパクトイオン化が引き起こされやすくなり、耐圧の低下、ドレイン電流−電圧特性におけるキンクの発生、またはパルス特性の劣化等の問題を生じる。
しかし、この正孔は、半絶縁性SiC基板1裏面から第2窒化物半導体層3(AlN障壁層)に到達して形成された電極11を伝導し、当該領域から排出される。この際、電極11の他端は接地(0V)もしくは負の電圧が印加されていることが望ましい。または、電極11の他端は、第4窒化物半導体層5(AlGaNバリア層)表面に備えたソース電極6と接続されていてもよい。さらに、第2窒化物半導体層3(AlN障壁層)と電極11とはオーミック性接触している、すなわち、電極11が第2窒化物半導体層3(AlN障壁層)へのオーミック電極であることが望ましい。この場合、電極11における発熱を抑え、正孔を速やかに外部へ排出できる。
このような構成により、二次元電子ガス12の閉じ込めを向上させ、かつ、装置の耐圧を向上させることができる。また、ドレイン電流−電圧特性およびパルス特性を改善させることができ、かつ、装置を高電圧および高周波で動作させることが可能となる。
半絶縁性SiC基板1裏面から第2窒化物半導体層3(AlN障壁層)に到達して形成される開口20の位置は、半絶縁性SiC基板1裏面における、ソース電極6に対向する位置であることが望ましい。これは、ドレイン電圧を正に印加した場合に、正孔がソース側に蓄積するためである。
また、電極11の構成としては、Ni/Auだけでなく、Ti、Al、Pt、Au、Ni、Pd、Ir、W、TaまたはCu等の金属、IrSi、PtSiまたはNiSi等のシリサイド、TiN、WNまたはTaN等の窒化物金属、または、これらから構成される多層膜等で形成されていてもよい。
また、電極11は、第2窒化物半導体層3(AlN障壁層)のみとオーミック接触していればよく、電極11の側壁(側面)が半絶縁性SiC基板1または第1窒化物半導体層2(Al0.05Ga0.95Nバッファ層)と電気的な接触をしている必要がない。そのため、開口20の側壁(側面)全体、さらには、側壁の第2窒化物半導体層3(AlN障壁層)との接触面の一部を絶縁膜で形成し、その後、開口20内に電極11を形成してもよい。
図3は、ヘテロ接合電界効果型トランジスタの構造の一例を示す図である。ただし図1に示された構造とは異なり、開口20の側壁全体、さらには半絶縁性SiC基板1裏面全体において電極部絶縁膜100が形成され、電極11は、電極部絶縁膜100が形成されていない開口20の底部において、第2窒化物半導体層3(AlN障壁層)とオーミック性接触している。
図3における電極部絶縁膜100の形成方法としては、例えば蒸着法、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition:気相成長法)法、Cat(Catalytic)‐CVD法またはALE(Atomic Layer Epitaxy)法等が想定される。また、電極部絶縁膜100は、Al、Ga、Si、Hf、Ti、Zr、TaまたはV等のうち少なくとも1種類以上の原子を含む酸化物、窒化物または酸窒化物等からなる絶縁膜であることが望ましい。
図2では、第1窒化物半導体層2がAl0.05Ga0.95Nであるものとして説明したが、第1窒化物半導体層2がGaNである場合における二次元電子ガスのキャリア分布を図4に示す。なお、第1窒化物半導体層2以外の各窒化物半導体層は、図2において示されたものと同様であり、縦軸はエネルギー(eV)およびキャリア濃度(cm−3)を示し、横軸は第4窒化物半導体層5(バリア層)表面からの距離(nm)を示している。
図4に示されるように、第4窒化物半導体層5(AlGaNバリア層)と第3窒化物半導体層4(GaNチャネル層)との界面近傍に分布する二次元電子ガス12については図2に示される場合とほぼ同様であるが、第2窒化物半導体層3(AlN障壁層)と第1窒化物半導体層2(GaNバッファ層)との界面にも二次元電子ガスが生じ、ダブルチャネル構造となっている。従って、ダブルチャネルが形成されないように(すなわち、第2窒化物半導体層3と第1窒化物半導体層2との界面に二次元電子ガスが生じないように)、第1窒化物半導体層2のバンドギャップエネルギーを第3窒化物半導体層4のバンドギャップエネルギーよりも大きくする必要がある。
また、図2および図4では、第2窒化物半導体層3であるAlN層の膜厚が2nmであるものとして説明したが、第2窒化物半導体層3の膜厚を大きく(厚く)すると、第1窒化物半導体層2と第2窒化物半導体層3との界面にチャネルが形成されてダブルチャネル構造となり、リーク電流の増加、または、耐圧の低下が生じるため望ましくない。第2窒化物半導体層3は、第2窒化物半導体層3の上下層である第1窒化物半導体層2および第3窒化物半導体層4とのバンドギャップエネルギーの差が大きく、また、第2窒化物半導体層3の膜厚が小さい(薄い)ことで急激なバンドギャップエネルギー差を生じさせることができるため望ましい。
図5は、第2窒化物半導体層3と第1窒化物半導体層2との間において発生する二次元電子ガス濃度のAlN層厚さ依存性を示した図である。図5において、縦軸は二次元電子ガス濃度(cm−3)を示し、横軸はAlN膜厚(nm)を示している。ここで、第1窒化物半導体層2は、Al0.05Ga0.95Nからなり、かつ、膜厚が300nmであり、第3窒化物半導体層4は、GaNからなり、かつ、膜厚が200nmであり、第4窒化物半導体層は、Al0.25Ga0.75Nからなり、かつ、膜厚が20nmであるものとする。第2窒化物半導体層3のAlN膜厚を1nm、2nm、5nmおよび10nmとした場合についてそれぞれ計算したものである。
図5に示されるように、第2窒化物半導体層3(AlN障壁層)の膜厚が増加すると、第2窒化物半導体層3と第1窒化物半導体層2との界面における伝導帯準位がフェルミ準位よりも低くなり、第2窒化物半導体層3と第1窒化物半導体層2との間においてキャリアが発生してキャリア濃度が増加するため、ダブルチャネル構造となってしまう。従って、第2窒化物半導体層3と第1窒化物半導体層2との間において発生するキャリア濃度は、窒化物半導体のバックグラウンドレベルである1×1015cm−3よりも低いことが望ましく、ダブルチャネルを形成しないためにも、図5に示されるように第2窒化物半導体層3の膜厚は4nm以下とすることが望ましく、さらに薄くする方がより望ましい。すなわち、第1窒化物半導体層2と第2窒化物半導体層3との界面における伝導体準位は、フェルミ準位よりも高くなる構造がよい。このようにすれば、ダブルチャネルは形成されず、二次元電子ガスの閉じ込めが向上する。
なお、上記では、本実施形態におけるヘテロ接合電界効果型トランジスタの代表的な構造(図1参照)について説明したが、下記に示すような各構造にしても同様の効果が得られる。以下、本実施形態によるヘテロ接合電界効果型トランジスタの各変形例について説明する。
<変形例1>
上記の図1および図3では、第2窒化物半導体層3(AlN障壁層)と接続される電極11(Ni/Au電極)が半絶縁性SiC基板1裏面から形成された構造として説明したが、第4窒化物半導体層5(AlGaNバリア層)表面から第2窒化物半導体層3(AlN障壁層)と接続されるように電極11(Ni/Au電極)が形成された構造であっても上記と同様の効果を奏する。
図6は、ヘテロ接合電界効果型トランジスタの構造の一例を示す図(断面図)であり、図7は、図6に示された構造の上面図である。
図6に示されるように、電極11が第2窒化物半導体層3(AlN障壁層)と接続されるための開口20aは、第4窒化物半導体層5(AlGaNバリア層)表面から形成されている。また図7に示されるように、開口20aは、第4窒化物半導体層5(AlGaNバリア層)表面における領域23内に形成され、より望ましくは領域24内に形成される。開口20aの第4窒化物半導体層5(AlGaNバリア層)表面側から見た形状および面積は特に制限されるものではなく、領域23内(望ましくは領域24内)に収まるものであればよい。
ここで領域23は、素子分離領域9に囲まれ、かつ、ソース電極6のゲート電極8側の端部21よりもゲート電極8から離れる方向の、第4窒化物半導体層5(AlGaNバリア層)表面の領域である。また領域24は、領域23のうち、ソース電極6のゲート電極8側とは反対側の端部22よりもゲート電極8から離れる方向の、第4窒化物半導体層5(AlGaNバリア層)表面の領域である。図7においては、開口20aは領域24内に形成され、電極11(の他端)が開口20a内に形成されている。
電極11(Ni/Au)の他端(第2窒化物半導体層3と接続されていない端部)は接地(0V)もしくは負の電圧を印加していることが望ましい。また図8に示されるように、電極11a(Ni/Au)の他端(第2窒化物半導体層3(AlN障壁層)と接触していない端部)がソース電極6と接続されていてもよい。
その際、電極11の側壁は、第4窒化物半導体層5(AlGaNバリア層)および第3窒化物半導体層4(GaNチャネル層)と電気的な接触をしている必要がないため、電極11の側壁全体、さらには、側壁の第2窒化物半導体層3(AlN障壁層)との接触面の一部を電極部絶縁膜100で形成し、その後、開口20a内に電極11を形成してもよい(図9参照)。ここで形成される電極部絶縁膜100は、半絶縁性SiC基板1裏面に電極11が形成された場合と同様の形成方法でよく、その場合と同様の元素から構成される。この電極部絶縁膜100は、開口20aの形成後、第4窒化物半導体層5(AlGaNバリア層)表面に形成される表面絶縁膜10と同時に形成されてもよい。
上記の図1では、Al0.25Ga0.75N/GaN/AlN/Al0.05Ga0.95N構造として説明したが、第4窒化物半導体層5のバンドギャップエネルギーが第3窒化物半導体層4のバンドギャップエネルギーより大きくなるように、第1窒化物半導体層2、第3窒化物半導体層4および第4窒化物半導体層5を、AlInGa1−(x+y)N(0≦x<1、0≦y≦1および0≦x+y≦1)のAl、InおよびGaの組成を決めた構造としても上記と同様の効果が得られる。
また、第1窒化物半導体層2が第3窒化物半導体層4よりもバンドギャップエネルギーが大きくなるように、第1窒化物半導体層2をAlInGa1−(e+f)N(0≦e<1、0≦f≦1および0≦e+f≦1)のAl、InおよびGaの組成を決めた構造としても、上記と同様の効果が得られる。
窒化物半導体からなるヘテロ接合電界効果型トランジスタは、チャネル層に用いる半導体材料の絶縁破壊電界が高いほど耐圧が高くなる。従って、本実施形態に関するヘテロ接合電界効果型トランジスタにおいて、上記と同様、第4窒化物半導体層5のバンドギャップエネルギーが第3窒化物半導体層4のバンドギャップエネルギーより大きいという条件を満たした上で、第3窒化物半導体層4のバンドギャップエネルギーがGaNのバンドギャップエネルギーよりも大きくなるように、第3窒化物半導体層4をAlInGa1−(x+y)N(0≦x<1、0≦y≦1および0≦x+y≦1)のAl、InおよびGaの組成を決めた構造とすることによって、上記(第3窒化物半導体層4がGaNの場合)の効果に加えてさらなる高耐圧化が可能になる。
第1、第3および第4窒化物半導体層AlInGa1−(x+y)N(0≦x<1、0≦y≦1および0≦x+y≦1)は、上記のバンドギャップエネルギーの条件を満たす四元窒化物半導体だけではなく、図1の説明で用いられたAlGaN以外の三元窒化物半導体であるAlInNまたはInGaNを用いても上記と同様の効果が得られる。
また、例えば図1においては、第2窒化物半導体層3を二元合金のAlN層とすることによって合金散乱を低減することができたが、第3窒化物半導体層4と第4窒化物半導体層5との間にもAlN層を形成した構造とすることによって、合金散乱をさらに低減することができる。また当該構造によれば、キャリアの移動度の向上、電流値の増加および相互コンダクタンスの向上が図られることにより、高出力および高周波特性を向上させることが可能となる。
図1における半絶縁性SiC基板1は、Si、サファイア、GaNまたはAlN等でもあってもよい。
<変形例2>
また図10および図11に示されるように、ソース電極6下方およびドレイン電極7下方の、少なくとも一部の半導体層内において、窒化物半導体にとってn型不純物となるSiが高濃度にドーピングされた高濃度n型不純物領域13が形成されていてもよい。ここで高濃度n型不純物領域13は、n型不純物濃度が第1〜第4窒化物半導体層よりも高い領域である。なお図10は、電極11(Ni/Au電極)が半絶縁性SiC基板1裏面から層構造を貫通して形成された場合を示した図であり、図11は、電極11(Ni/Au電極)が第4窒化物半導体層5(AlGaNバリア層)表面から層構造を貫通して形成された場合を示した図である。
このような構造にすることによって、ソース電極6およびドレイン電極7と、これらの各電極と接触する第4窒化物半導体層5との間における接触抵抗が低減されるだけでなく、第3窒化物半導体層4と第4窒化物半導体層5との界面において発生する二次元電子ガス12と、ソース電極6およびドレイン電極7との間における抵抗を低減することができる。よって、トランジスタの高効率化または大電流化による高出力化に有利であり、より好ましい構造と言える。
なお、高濃度n型不純物領域13のドーピングされる不純物はSiに限られず、n型不純物が高濃度にドーピングされていればよい。すなわち、窒化物半導体中でn型の不純物準位を形成する材料(O、C、Nまたは空孔等)がドーピングされていればよい。また、ドーピングの方法としては、イオン注入法または熱拡散法を用いて高濃度n型不純物領域13を形成してもよいし、ソース電極6下方およびドレイン電極7下方の窒化物半導体層をエッチング等で除去後、当該領域にn型不純物を添加した例えばn−GaNを再成長法で形成してもよい。また、図10および図11において、n型不純物が高濃度にドーピングされた高濃度n型不純物領域13は、窒化物半導体層の表面から第3窒化物半導体層4(チャネル層)に至る領域にまで形成されているが、当該領域に限らず、当該領域よりも大きいあるいは小さくても、ソース電極6およびドレイン電極7の下側の少なくとも一部の窒化物半導体層内に形成されていれば上記の効果が得られる。
<変形例3>
また、図1、図3または図6〜図11におけるソース電極6下方およびドレイン電極7下方の少なくとも一部の窒化物半導体層は、図12および図13に示されるように除去されていてもかまわない。すなわち、例えば図12および図13に示されるように、ソース電極6aの一部およびドレイン電極7aの一部が第4窒化物半導体層5内に埋め込まれるように形成されていてもよい。なお図12は、電極11(Ni/Au電極)が半絶縁性SiC基板1裏面から層構造を貫通して形成された場合を示した図であり、図13は、電極11(Ni/Au電極)が第4窒化物半導体層5(AlGaNバリア層)表面から層構造を貫通して形成された場合を示した図である。
このような構造にすることによって、第3窒化物半導体層4(チャネル層)と第4窒化物半導体層5(バリア層)との界面において発生する二次元電子ガス12と、ソース電極6aおよびドレイン電極7aとの間における抵抗を低減することができる。よって、トランジスタの高効率化または大電流化による高出力化に有利となり、より好ましい構造と言える。
なお、図12および図13において、第4窒化物半導体層5(バリア層)を除去する深さ方向の限度は、第3窒化物半導体層4と第4窒化物半導体層5との界面までとし、ソース電極6a下方およびドレイン電極7a下方の少なくとも一部の窒化物半導体層内が除去されていれば上記の効果が得られる。
また、図1、図3または図6〜図13に示されたソース電極およびドレイン電極は、必ずしもTi/Alである必要はなく、オーミック特性が得られれば、Ti、Al、Nb、Hf、Zr、Sr、Ni、Ta、Au、Pt、V、MoまたはW等の金属、またはこれらから構成される多層膜で形成されていてもよい。
<変形例4>
また、図1、図3または図6〜図13に示されたゲート電極8は、図14および図15に示されるように、ゲート電極の底面が第4窒化物半導体層5(バリア層)表面と接触しない、すなわち、ゲート電極8aの一部が第4窒化物半導体層5内に埋没して形成されていることによって、ゲート電極底面が第4窒化物半導体層5表面と接触している場合に比べて、電流コラプスを抑制し相互コンダクタンスを増加させることができる(図14および図15におけるゲート電極8a参照)。なお図14は、電極11(Ni/Au電極)が半絶縁性SiC基板1裏面から層構造を貫通して形成された場合を示した図であり、図15は、電極11(Ni/Au電極)が第4窒化物半導体層5(AlGaNバリア層)表面から層構造を貫通して形成された場合を示した図である。
<変形例5>
また、図1、図3または図6〜図15に示されたゲート電極は、必ずしもその断面形状が各図に示すような四角形である必要はなく、例えば、図16および図17に示されるような断面形状がT型またはY型である構造、すなわち、表面絶縁膜10表面には接触せず、表面絶縁膜10上に延び出て形成されたゲート電極81であってもよい。当該構造においては、第4窒化物半導体層5に接触する底面よりも、当該底面と対向する上面の面積の方が広い。このような構造にすることによって、ゲート電極81が窒化物半導体層と接触する面積を維持したまま、ゲート抵抗を低減することができる。なお図16は、電極11(Ni/Au電極)が半絶縁性SiC基板1裏面から層構造を貫通して形成された場合を示した図であり、図17は、電極11(Ni/Au電極)が第4窒化物半導体層5(AlGaNバリア層)表面から層構造を貫通して形成された場合を示した図である。
<変形例6>
また、図16および図17では、T型のゲート電極81の傘下(ゲート電極81における第4窒化物半導体層5と接触している面よりも拡がって形成されている傘部の、第4窒化物半導体層5に対向する側)が表面絶縁膜10と接触していない構造を示されているが、図18および図19に示されるように、T型のゲート電極81aの傘下が表面絶縁膜10と接触しつつ、表面絶縁膜10上に延び出て形成されていてもよい。このような構造にすることによって、高電圧動作時においてゲート電極81aのドレイン電極7側の端部に集中する電界を緩和させることができ、電流コラプスを抑制するとともに耐圧を高くすることができる。なお図18は、電極11(Ni/Au電極)が半絶縁性SiC基板1裏面から層構造を貫通して形成された場合を示した図であり、図19は、電極11(Ni/Au電極)が第4窒化物半導体層5(AlGaNバリア層)表面から層構造を貫通して形成された場合を示した図である。
<変形例7>
また、図20および図21に示されるように、表面絶縁膜10aをゲート電極81の傘下のみ(ゲート電極81上面の下方のみ)に形成してもよい。このような構造にすることによって、ソース電極6とゲート電極81との間、または、ゲート電極81とドレイン電極7との間において発生する容量を低減できることができ、高周波動作時の利得および効率を向上させることが可能となる。なお図20は、電極11(Ni/Au電極)が半絶縁性SiC基板1裏面から層構造を貫通して形成された場合を示した図であり、図21は、電極11(Ni/Au電極)が第4窒化物半導体層5(AlGaNバリア層)表面から層構造を貫通して形成された場合を示した図である。
また、図1、図3または図6〜図21に示された表面絶縁膜10または表面絶縁膜10aは、Al、Ga、Si、Hf、Ti、Zr、TaまたはV等のうち少なくとも1種類以上の原子の酸化物、窒化物または酸窒化物等、またはこれらから構成される多層膜等で形成されていてもよい。
また、図1、図3または図6〜図21に示されたゲート電極は、必ずしもNi/Auである必要はなく、Ti、Al、Pt、Au、Ni、Pd、Ir、W、TaまたはCu等の金属、IrSi、PtSiまたはNiSi等のシリサイド、またはTiN、WNまたはTaN等の窒化物金属、もしくはこれらから構成される多層膜等で形成されていてもよい。
なお、上述した構造は全て個々に採用する必要はなく、例えば図22および図23に示されるように、それぞれを組み合わせた構造としてもよい(ゲート電極81bの一部が、第4窒化物半導体層5内に埋没して形成されている)。なお図22は、電極11(Ni/Au電極)が半絶縁性SiC基板1裏面から層構造を貫通して形成された場合を示した図であり、図23は、電極11(Ni/Au電極)が第4窒化物半導体層5(AlGaNバリア層)表面から層構造を貫通して形成された場合を示した図である。
以上では、トランジスタとして動作する必要最小限の要素のみを記載したが、本実施形態によるヘテロ接合電界効果型トランジスタは、最終的には配線およびバイアホール等が形成された構造においてデバイスとして用いられる。
<効果>
本実施形態によれば、ヘテロ接合電界効果型トランジスタが、半導体基板(半絶縁性SiC基板1)上に形成された、バッファ層である第1窒化物半導体層2と、第1窒化物半導体層2上に形成された、障壁層である第2窒化物半導体層3と、第2窒化物半導体層3上に形成された、チャネル層である第3窒化物半導体層4と、第3窒化物半導体層4上に形成された、バリア層である第4窒化物半導体層5と、第4窒化物半導体層5上に形成されたゲート電極8と、第4窒化物半導体層5上に形成されたソース電極6と、第4窒化物半導体層5上に形成され、ゲート電極8のソース電極6が配置された側とは反対側に配置されたドレイン電極7と、一端が第2窒化物半導体層3と接触し、かつ、他端が外部まで延設された電極11とを備える。
第2窒化物半導体層3はAlNからなる。また、0≦e<1、0≦f≦1および0≦e+f≦1とする場合に、第1窒化物半導体層2がAlInGa1−(e+f)Nで表される。また、0≦x<1、0≦y≦1および0≦x+y≦1とする場合に、第3窒化物半導体層4がAlInGa1−(x+y)Nで表される。
また、第3窒化物半導体層4が、第1窒化物半導体層2および第2窒化物半導体層3よりもバンドギャップエネルギーが小さい。
なお、ゲート電極8は、ゲート電極8a、ゲート電極81またはゲート電極81aと入れ替えることも可能である。また、ソース電極6は、ソース電極6aと入れ替えることも可能である。また、ドレイン電極7は、ドレイン電極7aと入れ替えることも可能である。また、電極11は、電極11aと入れ替えることも可能である。
このような構成によれば、第2窒化物半導体層3と第3窒化物半導体層4との界面に形成される正孔を、第2窒化物半導体層3と接続された電極11から外部へ排出できるため、耐圧を向上させ、かつ、ドレイン電流−電圧特性およびパルス特性を改善させることができる。
また、二次元電子ガスの閉じ込めを向上させることができる。また、高電圧および高周波での動作が可能となる。
また、本実施形態によれば、ヘテロ接合電界効果型トランジスタが、電極11の、層構造を貫通する側面を覆って形成された絶縁膜である電極部絶縁膜100を備える。
このような構成によれば、電極11(Ni/Au電極)が半絶縁性SiC基板1裏面から層構造を貫通して形成された場合においては、ドレインリーク電流を抑制することができる。また、電極11(Ni/Au電極)が第4窒化物半導体層5(AlGaNバリア層)表面から層構造を貫通して形成された場合においては、ゲートリーク電流を抑制することができる。
<第2実施形態>
<製造工程>
次に、本実施形態によるヘテロ接合電界効果型トランジスタの製造工程について説明する。
図24〜図39は、本実施形態におけるヘテロ接合電界効果型トランジスタの製造工程の一例を示す図である。なお、これらの図において、第1実施形態において付した符号と同一の符号を付した構成要素は、同一または対応する構成要素を示すものとする。
まず、図24に示されるように、例えば、サファイア、SiC(炭化珪素)、GaNまたはSi等からなる基板を準備する。本実施形態では、半絶縁性SiC基板1を準備する。
次に、例えば、MBE(Molecular Beam Epitaxy:分子線エピタキシャル成長法)またはCVD(Chemical Vapor Deposition:気相成長法)により、半絶縁性SiC基板1の主表面上に、第1窒化物半導体層2、AlNからなる第2窒化物半導体層3、チャネル層である第3窒化物半導体層4およびバリア層である第4窒化物半導体層5を順次に積層する。以下では、Al0.2Ga0.8N(第4窒化物半導体層)/GaN(第3窒化物半導体層)/AlN(第2窒化物半導体層)/Al0.05Ga0.95N(第1窒化物半導体層)の構造を半絶縁性SiC基板1上にエピタキシャル成長させる一例について説明する。
第1窒化物半導体層2のバンドギャップエネルギーは、第2窒化物半導体層3(AlN層)との界面にチャネルを形成しないようにするために、第3窒化物半導体層4のバンドギャップエネルギーよりも大きくする必要がある。
また、第1窒化物半導体層2の膜厚は、半絶縁性SiC基板1との格子不整合による転移を上層のエピタキシャル結晶層(第2窒化物半導体層3)に及ぼさない厚さであることが望ましい。ここでは、第1窒化物半導体層2をAl0.05Ga0.95Nとし膜厚を300nmとした。
第2窒化物半導体層3(AlN層)は、各窒化物半導体層中で最もバンドギャップエネルギーが大きいため、AlNの価電子帯は電子に対する障壁(障壁層)となる。従って、第2窒化物半導体層3の膜厚は4nm以下程度の薄い層である方が、隣接する層(第1窒化物半導体層および第3窒化物半導体層)との間で急激なバンドギャップエネルギー差を生じさせることができるため望ましい。第2窒化物半導体層3の膜厚を4nmより厚くすると、第1窒化物半導体層2との界面にチャネルを形成してダブルチャネル構造となり、リーク電流の増加または耐圧の低下が生じる。これらを抑制するためにも、第2窒化物半導体層3の膜厚は4nm以下であることが望ましい。本実施形態では、第2窒化物半導体層3(AlN層)の膜厚を2nmとした。
また、第3窒化物半導体層4(チャネル層)はGaNとし膜厚を200nmとした。また、第4窒化物半導体層5(バリア層)はAl0.25Ga0.75Nとし膜厚を300nmとした。
なお、第1窒化物半導体層2、第2窒化物半導体層3、第3窒化物半導体層4および第4窒化物半導体層5の不純物濃度は1×1018cm−3以下であればよく、特に第4窒化物半導体層5(バリア層)の不純物濃度は、高耐圧層とするために1×1018cm−3以下に設定される。ここで、不純物の導電型は常にn型である。窒化物半導体層では、意図的に不純物を導入しない場合(ノンドープ)であっても、成長炉または雰囲気ガス中から不純物が窒化物半導体中に入り、窒化物半導体はn型の不純物を含むことになる。従って、結晶成長時においてノンドープであっても、実際の不純物濃度が1×1018cm−3以下であればよい。
また、第3窒化物半導体層4の形成後、AlN層を形成し、続けてバリア層としての第4窒化物半導体層5を形成することで、上述のエピタキシャル構造を形成することができる。このときのAlN層の厚さとしては、第2窒化物半導体層3(AlN障壁層)と同様に、4nm以下程度の薄い層の方が急激なバンドギャップエネルギー差を生じさせることができるため望ましく、特に1〜2nmとすることがより望ましい。
このようなエピタキシャル構造を備えた半絶縁性SiC基板1上に、後述するトランジスタの製造方法によって、上述のような構造の窒化物半導体ヘテロ接合電界効果型トランジスタを作製することができる。
次に、図25に示されるように、レジストパターン等をマスク14として、ソース電極6を形成する領域の下方およびドレイン電極7を形成する領域の下方の少なくとも一部の窒化物半導体層内に、イオン注入法等を用いて、注入ドーズ量1×1013〜1×1017(cm−2)、かつ、注入エネルギー10〜1000(keV)の条件下で、各窒化物半導体層においてn型となるSi等のイオン15を打ち込む。そして、その後の熱処理によって高濃度n型不純物領域13を形成する。
高濃度n型不純物領域13の不純物濃度は、結晶成長時に意図的にn型のGaNまたはAlGaNを形成する際に用いられるのと同等かそれ以上が望ましく、例えば1×1018cm−3以上、より好ましくは1×1019cm−3以上、またはそれより高い濃度であることが望ましい。
高濃度n型不純物領域13内の不純物の望ましい分布の一つとしては、ソース電極6下方およびドレイン電極7下方の半導体表面から、電子の流れる第4窒化物半導体層5(バリア層)と第3窒化物半導体層4(チャネル層)との界面および当該界面よりチャネル層側に10nm程度までの領域で、例えば1×1018cm−3以上の高い不純物濃度を有する分布がある。このような不純物分布を形成する注入量および注入エネルギーの決め方としては、モンテカルロ計算によって注入エネルギーおよび照射対象物の構造をパラメータにしてイオンの飛程をシミュレートすることで、上記条件を満たす注入エネルギーおよび注入ドーズ量を決めることができる。
ここで、注入されたイオンにより第4窒化物半導体層5を構成する原子(Al、Ga、InまたはN等)が真空中に跳ね飛ばされることを抑制するために、第4窒化物半導体5上に10〜100nm程度の窒化膜(SiNまたはAlN等)あるいは酸化膜等(SiOまたはAl等)の表面絶縁膜10を形成した後、注入マスクとしてのレジストパターンを形成してもよい(図26参照)。
その後、熱処理を行い、注入したイオンを活性化させることによって、ソース電極6下方およびドレイン電極7下方の高濃度n型不純物領域13を低抵抗化させる。この熱処理の際に、半導体表面から窒素原子が抜けることを防止するために、第4窒化物半導体層5上に10〜100nm程度の窒化膜(SiNまたはAlN等)、酸化膜等(SiOまたはAl等)の表面絶縁膜10で窒化物半導体の表面を被った後に熱処理を行ってもよい。
次に、図27に示されるように、マスク14を除去した後、例えばTi、Al、Nb、Hf、Zr、Sr、Ni、Ta、Au、Pt、V、MoまたはW等の金属、もしくはこれらから構成される多層膜からなるソース電極6およびドレイン電極7を蒸着法またはスパッタ法を用いて堆積し、さらにリフトオフ法等により形成する。なお、図26において示された表面絶縁膜10は形成されていないものとして説明する(すなわち、図25の後の工程として説明する)。また、電極形成後に熱処理を行い半導体層との反応層(合金層)を形成し、接触抵抗およびアクセス抵抗のさらなる低減を行ってもよい。
次に、図28に示されるように、レジストパターン等をマスク14aとして、トランジスタを作製する領域外の第1窒化物半導体層2から第4窒化物半導体層5にかけて、例えばHe、N、O、Mg、Ar、Ca、Fe、Zn、SrまたはBa等のイオン15を照射するイオン注入法(図28参照)またはエッチング等を用いて、素子分離領域9を形成する。
次に、図29に示されるように、マスク14aを除去した後、Ti、Al、Pt、Au、NiまたはPd等の金属、あるいはIrSi、PtSiまたはNiSi等のシリサイド、あるいはTiN、WNまたはTaN等の窒化物金属、もしくはこれらから構成される多層膜からなるゲート電極8を、蒸着法またはスパッタ法を用いて堆積し、リフトオフ法等により形成する。なお、図29においては高濃度n型不純物領域13が図示を省略されているが、実際に高濃度n型不純物領域13の形成が省略されてもよい。以降では、高濃度n型不純物領域13が形成されていない場合について説明していく。
次に、図30に示されるように、Al、Ga、Si、Hf、Ti、Zr、TaまたはV等のうち少なくとも1種類以上の原子の酸化物、窒化物または酸窒化物等、もしくはこれらから構成される多層膜からなる表面絶縁膜10を、プラズマCVD法、Cat‐CVD法あるいはスパッタ法等によって形成する。なお、図26において示されるように既に表面絶縁膜10が形成されている場合は、図30に示される工程は省略される。
次に、図31に示されるように、半絶縁性SiC基板1裏面に開口を有するレジストパターン等をマスク14bとして、Cl等を用いたドライエッチング法等によって、半絶縁性SiC基板1および第1窒化物半導体層2を除去し、開口20を形成する。
このレジストパターンの開口位置は、ソース電極6に対向する位置に設けることが望ましく、両面アライナー等を用いることで重ね合わせ精度よく形成することができる。また、半絶縁性SiC基板1を研磨等によってあらかじめ薄板化しておき、開口を有するレジストマスクによって半絶縁性SiC基板1および第1窒化物半導体層2をエッチング除去してもよい。
続けて、Ti、Al、Pt、Au、NiまたはPd等の金属、あるいはIrSi、PtSiまたはNiSi等のシリサイド、あるいはTiN、WNまたはTaN等の窒化物金属、もしくはこれらから構成される多層膜からなり、第2窒化物半導体層3にオーミック接触する金属を蒸着法またはスパッタ法を用いて堆積し、リフトオフ法等により電極11を形成する。
以上の方法により、図1に示された構造を持ったヘテロ接合電界効果型トランジスタが作製できる。以上では、トランジスタとして動作する必要最小限の要素しか記載していないが、最終的には配線等の形成プロセスを経てデバイスとして用いられる。
また以上の記載では、エピタキシャル結晶作製後の製造工程順の一例として、ソース電極6下方およびドレイン電極7下方における低抵抗層の形成、当該低抵抗層上におけるソース電極6およびドレイン電極7の形成、素子分離領域9の形成、ゲート電極8の形成、表面絶縁膜10の形成、開口20の形成、さらには電極11の形成の順に製造することについて説明した。しかし、ゲート電極8の形成後に素子分離領域9の形成を行ってもよい。また、表面絶縁膜10を形成し、さらにゲート形成領域の表面絶縁膜10を除去した後に、ゲート電極8を形成してもよい。また、表面絶縁膜10の形成後に素子分離領域9を形成し、さらにゲート形成領域の表面絶縁膜10を除去した後に、ゲート電極8を形成してもよい。
なお、図24に示された構造をMOCVD法(Metal OrganicChemical Vapor Deposition)を用いて半絶縁性SiC基板1上にエピタキシャル成長させる場合に、窒化物半導体の原料ガスとなるトリメチルアンモニウム、トリメチルガリウム、トリメチルインジウム、アンモニア、あるいは、n型ドーパントの原料ガスとなるシラン等の、流量、圧力、温度または時間等を調整し、各窒化物半導体層を所望の組成、膜厚およびドーピング濃度とすることによって、図1に示された種々の窒化物半導体ヘテロ接合電界効果型トランジスタを作製することができる。
また、図25および図26に示されたソース電極6およびドレイン電極7の形成領域へのイオン注入(n型不純物)前に、図32に示されるように、レジストパターン等をマスク14cとして、Cl等を用いたドライエッチング法等によって、ソース電極6を形成する領域の下方およびドレイン電極7を形成する領域の下方の少なくとも一部の窒化物半導体層内を除去することによって、図12および図13に示されるような構造の窒化物半導体ヘテロ接合電界効果型トランジスタを作製することができる。
なお、ソース電極6の形成領域下方およびドレイン電極7の形成領域下方への低抵抗層の形成工程は、図32に示されたエッチング工程の前後いずれであってもよい。形成した低抵抗層上にリフトオフ法等によりソース電極6およびドレイン電極7を形成することによって、図12および図13に示されるような構造の窒化物半導体ヘテロ接合電界効果型トランジスタが作製できる。
また、図29に示されるゲート電極8を形成する前に、図33に示されるように、レジストパターン等をマスク140として、ゲート電極を形成するゲート形成領域16の第4窒化物半導体層5の一部を、Cl等を用いたドライエッチング法等によって除去する。エッチングを行う際に、エッチング時間またはガス流量を調整することによって、所望のエッチング深さを形成することができる。その後、図29で示された方法でゲート電極を形成することで、図14および図15に示されるようなリセス深さをもつ構造の窒化物半導体へテロ接合電界効果型トランジスタを作製することができる。
また、図29に示されるゲート電極8の形成前に、図34に示されるように、窒化物半導体層の表面を、例えば蒸着法、プラズマCVD法、Cat‐CVD法またはALE法等を用いて、Al、Ga、Si、Hf、Ti、Zr、TaまたはV等のうち少なくとも1種類以上の原子を含む酸化物、窒化物または酸窒化物等からなる表面絶縁膜10を堆積し、そして、ゲート電極を形成するゲート形成領域16に開口を持つマスク140または酸化膜マスク等を介して、ドライエッチングあるいはウェットエッチングによってゲート形成領域16の表面絶縁膜10を除去する。マスク140の除去後、エッチングによって開口した表面絶縁膜10の開口よりも広い開口を有するレジストパターンを利用して、蒸着法によってゲートメタルとなる電極金属を堆積させ、リフトオフ法等によってゲート電極81aを形成することで、図18および図19に示される構造の窒化物半導体電界効果型トランジスタを作製することができる。
また、最終的にデバイスとして使用するには、ソース電極6上およびドレイン電極7上を覆うように形成された表面絶縁膜10の一部を、例えばフッ酸等を用いてウェットエッチングして除去した後、配線電極を形成する必要がある。ここで、表面絶縁膜10を形成した後に、ウェットエッチングで容易に除去できる絶縁膜110(例えばSiO等)を表面絶縁膜10上に形成する。その後、図35に示されるように、ゲート電極8を形成するゲート形成領域16に開口を持つマスク140を介して、ドライエッチングまたはウェットエッチングによってゲート形成領域16の絶縁膜110および表面絶縁膜10を順次除去する。
マスク140の除去後、エッチングによって開口した絶縁膜110および表面絶縁膜10の開口よりも広い開口を有するレジストパターンを利用して、蒸着法によってゲートメタルとなる電極金属を堆積させ、リフトオフ法等によってゲート電極81を形成する。そして、ウェットエッチングされやすい絶縁膜110を例えばバッファードフッ酸によって除去することで、ゲート電極81の傘下の絶縁膜110がない構造である、図16および図17に示される構造の窒化物半導体電界効果型トランジスタを作製することができる。さらに、ウェットエッチングの処理条件(時間または濃度)を調整することによって、所望の領域に表面絶縁膜10aを残した図20および図21に示される構造の窒化物半導体電界効果型トランジスタを作製することができる。
また、ゲートリセス構造を形成した後に、種々の形状のゲート電極8を形成してもよい。
また、図18および図19に示されるソース電極形成領域下およびドレイン電極形成領域下の低抵抗領域(高濃度n型不純物領域13)の形成、および、ソース電極6およびドレイン電極7の形成、図28に示される素子分離領域9の形成、図29および図33〜35に示されるゲート電極の形成の3つの工程は、必ずしもこの順に行われる必要はなく、工程の順番が入れ替えられてもよい。例えば、ソース電極6およびドレイン電極7を形成する前に、素子分離領域9を形成してもよい。また、リセス形成、絶縁膜形成、さらにはゲート電極形成の順に形成した後に、再度絶縁膜形成を行い、ゲート電極と第4窒化物半導体層5との側面における絶縁性を高めてもよい。
また、図31に示される半絶縁性SiC基板1および第1窒化物半導体層2を除去して開口20を形成した後に、レジストを除去し、Al、Ga、Si、Hf、Ti、Zr、TaまたはV等のうち少なくとも1種類以上の原子の酸化物、窒化物または酸窒化物等、もしくはこれらから構成される多層膜からなる電極部絶縁膜100を、プラズマCVD法、Cat‐CVD法、あるいはスパッタ法によって形成する。
開口を有するレジストパターンをマスク14bとして形成し、塩素を含まないフッ素系のガス(CF、C、CまたはCHF等)、このフッ素系ガスにArまたは酸素を混合したガスを用いたドライエッチング法等、または、フッ酸またはバッファードフッ酸を用いたウェットエッチング法によって、第2窒化物半導体層3に形成された電極部絶縁膜100を除去する(図36)。その後、リフトオフ法等により、第2窒化物半導体層3にオーミック接触する金属を蒸着法またはスパッタ法等を用いて堆積させて電極11を形成することで、図3に示される構造の窒化物半導体電界効果型トランジスタを作製することができる。
また、図30に示される表面絶縁膜10の形成前に、第4窒化物半導体5表面に開口を有するレジストパターン等をマスク14dとして、Cl等を用いたドライエッチング法等によって第4窒化物半導体層5、さらには第3窒化物半導体層4を順次除去し、第2窒化物半導体層3(AlN障壁層)と接続するための開口20aを形成する(図37)。開口20aは、第4窒化物半導体層5(AlGaNバリア層)表面における領域23内に形成され、より望ましくは領域24内に形成される(図38)。開口20aを形成した後、リフトオフ法等により第2窒化物半導体層3(AlN障壁層)にオーミック接触する金属を蒸着法またはスパッタ法を用いて堆積させて電極11を形成することで、図6に示される構造の窒化物半導体電界効果型トランジスタを作製することができる。
また、図37で示された、第2窒化物半導体層3(AlN障壁層)と接続するための開口20aを形成する際のドライエッチングにおいて、第4窒化物半導体5の除去にはCl等を用い、第3窒化物半導体4の除去にもCl等を用いてもよいが、第3窒化物半導体4を完全に除去せずに、エッチングガスに塩素を含まないフッ素系のガス(CF、C、CまたはCHF等)、または、このフッ素系ガスにArまたは酸素を混合したガスを用いることで、第3窒化物半導体4を除去した後、AlNからなる第2窒化物半導体3のエッチングが始まると、AlNはこのフッ素系ガスでエッチングされにくいためエッチングはほぼ停止する。すなわち、第2窒化物半導体3(AlN障壁層)手前でエッチングガスをフッ素系に切りかえることで、確実に第2窒化物半導体3(AlN障壁層)までの開口を形成することができる。
ここで、電極11の他端(第2窒化物半導体層3(AlN障壁層)と接続されていない端部)は接地(0V)もしくは負の電圧を印加していることが望ましい。または、ソース電極6と接続されていてもよく、抵抗の低い金属で電極11とソース電極6とを接続することで、図8に示される構造の窒化物半導体電界効果型トランジスタを作製することができる。
また、第2窒化物半導体層3(AlN障壁層)と接続するための開口20aを形成後、電極11は、第2窒化物半導体層3のみとオーミック接触すればよく、電極11の側壁が第4窒化物半導体層5(AlGaNバリア層)および第3窒化物半導体層4(GaNチャネル層)と電気的な接触が必要ないため、電極11の側壁全体、さらには、側壁の第2窒化物半導体層3(AlN障壁層)との接触面の一部を電極部絶縁膜100で形成し、第2窒化物半導体層3(AlN障壁層)に電気的な接続をするための絶縁膜を開口加工し、その後、開口20a内に電極11を形成してもよい(図39)。この際、絶縁膜加工は、第2窒化物半導体層3(AlN障壁層)上だけではなく、ソース電極6、ドレイン電極7およびゲート電極8への配線形成のための開口加工も同時に行うことができ、さらに、電極11の形成も上記配線と同じ金属種で形成してもよい。絶縁膜の膜種、形成方法、加工法さらには電極11の金属種およびその形成方法は、図36における場合と同様に行うことで、図9に示される構造の窒化物半導体電界効果型トランジスタを作製することができる。
また、ゲート電極8形成前に、第2窒化物半導体層3(AlN障壁層)と接続するための開口を形成し、電極部絶縁膜100を形成する。その後、第2窒化物半導体層3(AlN障壁層)と接続するための開口と、ゲート電極8を形成するためのゲート形成領域16に形成する開口とを同時に絶縁膜加工によって形成し、続けて、同じ種類の金属電極を形成することで、図18および図19に示される構造の窒化物半導体電界効果型トランジスタを作製することができる。
また、上述したプロセスは全て個々に採用する必要はなく、それぞれを組み合わせたプロセスによって図22および図23に示されるような構造が形成できる。
以上のことから、本実施形態によれば、窒化物半導体からなるヘテロ接合電界効果型トランジスタにおいて、図1に示される各窒化物半導体層の中で最もバンドギャップエネルギーが大きい第2窒化物半導体層3(AlN障壁層)を第3窒化物半導体層4(GaNチャネル層)の直下層として形成することによって、二次元電子ガス12の分布は、第4窒化物半導体層5(AlGaNバリア層)と第3窒化物半導体層4との界面近くにほぼ全体が閉じ込められる。
この二次元電子ガス12の閉じ込めが向上することによって、ゲート電極8のゲート長が短くなっても、ゲート電極8による二次元電子ガス12の変調制御が可能となり(すなわち、短チャンネル効果が抑制され)、効率向上も含めた高周波領域でのトランジスタ特性の向上が可能となる。
一方、第3窒化物半導体層4(GaNチャネル層)と第2窒化物半導体層3(AlN障壁層)の間には大きなバンドギャップエネルギー差があり、かつ、第2窒化物半導体層3(AlN障壁層)が薄い障壁層であるために、第3窒化物半導体層4(GaNチャネル層)と第2窒化物半導体層3(AlN障壁層)との間には正孔が形成される。この正孔によってインパクトイオン化が引き起こされやすくなり、耐圧の低下、ドレイン電流−電圧特性におけるキンクの発生、またはパルス特性の劣化等の問題を生じる。
しかし、この正孔は、半絶縁性SiC基板1の裏面から第2窒化物半導体層3(AlN障壁層)に到達して形成された電極11を伝導し、当該領域から排出される。この際、電極11の他端は接地(0V)もしくは負の電圧を印加していることが望ましい。または、電極11の他端は、第4窒化物半導体層5(AlGaNバリア層)表面に備えたソース電極6と接続されていてもよい。さらに、第2窒化物半導体層3(AlN障壁層)と電極11とはオーミック性接触している、すなわち、電極11が第2窒化物半導体層3(AlN障壁層)へのオーミック電極であることが望ましい。この場合、電極11における発熱を抑え、正孔を速やかに外部へ排出できる。
このような構成により、二次元電子ガス12の閉じ込めを向上させ、かつ、装置の耐圧を向上させることができる。また、ドレイン電流−電圧特性およびパルス特性を改善させることができ、かつ、装置を高電圧および高周波で動作させることが可能となる。
<効果>
本実施形態によれば、半導体基板(半絶縁性SiC基板1)上に、バッファ層である第1窒化物半導体層2を形成する工程と、第1窒化物半導体層2上に、障壁層である第2窒化物半導体層3を形成する工程と、第2窒化物半導体層3上に、チャネル層である第3窒化物半導体層4を形成する工程と、第3窒化物半導体層4上に、バリア層である第4窒化物半導体層5を形成する工程と、第4窒化物半導体層5上に、ゲート電極8を形成する工程と、第4窒化物半導体層5上に、ソース電極6を形成する工程と、第4窒化物半導体層5上において、ゲート電極8のソース電極6が配置された側とは反対側にドレイン電極7を形成する工程と、一端が第2窒化物半導体層3と接続され、他端が外部と接続された電極11を形成する工程とを備える。
ここで、第2窒化物半導体層3はAlNからなる。また、0≦e<1、0≦f≦1および0≦e+f≦1とする場合に、第1窒化物半導体層2がAlInGa1−(e+f)Nで表される。また、0≦x<1、0≦y≦1および0≦x+y≦1とする場合に、第3窒化物半導体層4がAlInGa1−(x+y)Nで表される。
また、第3窒化物半導体層4は、第1窒化物半導体層2および第2窒化物半導体層3よりもバンドギャップエネルギーが小さい。
このような構成によれば、第2窒化物半導体層3と第3窒化物半導体層4との界面に形成される正孔を、第2窒化物半導体層3と接続された電極11から外部へ排出できるため、耐圧を向上させ、かつ、ドレイン電流−電圧特性およびパルス特性を改善させることができる。
また、二次元電子ガスの閉じ込めを向上させることができる。また、高電圧および高周波での動作が可能となる。
上記実施形態では、各構成要素の材質、材料、実施の条件等についても記載しているが、これらは例示であって記載したものに限られるものではない。
なお本発明は、その発明の範囲内において、各実施形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施形態において任意の構成要素の省略が可能である。
1 半絶縁性SiC基板、2 第1窒化物半導体層、3 第2窒化物半導体層、4 第3窒化物半導体層、5 第4窒化物半導体層、6,6a ソース電極、7,7a ドレイン電極、8,8a,81,81a,81b ゲート電極、9 素子分離領域、10,10a,110 表面絶縁膜、11,11a 電極、12 二次元電子ガス、13 高濃度n型不純物領域、14,14a,14b,14c,14d,140 マスク、15 イオン、16 ゲート形成領域、20,20a 開口、21,22 端部、23,24 領域、100 電極部絶縁膜。

Claims (20)

  1. 窒化物半導体からなるヘテロ接合電界効果型トランジスタであって、
    半導体基板上に形成された、バッファ層である第1窒化物半導体層と、
    前記第1窒化物半導体層上に形成された、障壁層である第2窒化物半導体層と、
    前記第2窒化物半導体層上に形成された、チャネル層である第3窒化物半導体層と、
    前記第3窒化物半導体層上に形成された、バリア層である第4窒化物半導体層と、
    前記第4窒化物半導体層上に形成されたゲート電極と、
    前記第4窒化物半導体層上に形成されたソース電極と、
    前記第4窒化物半導体層上に形成され、前記ゲート電極の前記ソース電極が配置された側とは反対側に配置されたドレイン電極と、
    一端が前記第2窒化物半導体層と接触し、かつ、他端が外部まで延設された電極とを備え、
    前記第2窒化物半導体層がAlNからなり、
    0≦e<1、0≦f≦1および0≦e+f≦1とする場合に、
    前記第1窒化物半導体層がAlInGa1−(e+f)Nで表され、
    0≦x<1、0≦y≦1および0≦x+y≦1とする場合に、
    前記第3窒化物半導体層がAlInGa1−(x+y)Nで表され、
    前記第3窒化物半導体層が、前記第1窒化物半導体層および前記第2窒化物半導体層よりもバンドギャップエネルギーが小さいことを特徴とする、
    ヘテロ接合電界効果型トランジスタ。
  2. 前記電極が、前記半導体基板側または前記第4窒化物半導体層側から層構造を貫通し、前記第2窒化物半導体層に達して形成されていることを特徴とする、
    請求項1に記載のヘテロ接合電界効果型トランジスタ。
  3. 前記電極の、前記層構造を貫通する側面を覆って形成された絶縁膜である電極部絶縁膜をさらに備えることを特徴とする、
    請求項2に記載のヘテロ接合電界効果型トランジスタ。
  4. 前記電極が前記第4窒化物半導体層側から前記層構造を貫通して形成されている場合、
    前記電極の前記他端が、前記ソース電極と接続されていることを特徴とする、
    請求項2または3に記載のヘテロ接合電界効果型トランジスタ。
  5. 前記電極が前記第4窒化物半導体層側から前記層構造を貫通して形成されている場合、
    前記電極の前記他端が、前記ソース電極の前記ゲート電極側の端部よりも前記ゲート電極から離れる方向の、前記第4窒化物半導体層表面の領域内に配置されていることを特徴とする、
    請求項2〜4のいずれか1項に記載のヘテロ接合電界効果型トランジスタ。
  6. 前記電極の前記他端が、前記ソース電極の前記端部とは反対側の端部よりも前記ゲート電極から離れる方向の、前記第4窒化物半導体層表面の領域内に配置されていることを特徴とする、
    請求項5に記載のヘテロ接合電界効果型トランジスタ。
  7. 前記電極が前記半導体基板側から前記層構造を貫通して形成されている場合、
    前記電極が、前記半導体基板裏面における前記ソース電極に対向する位置に配置されていることを特徴とする、
    請求項2に記載のヘテロ接合電界効果型トランジスタ。
  8. 前記電極が、前記第2窒化物半導体層とオーミック接触していることを特徴とする、
    請求項1〜7のいずれか1項に記載のヘテロ接合電界効果型トランジスタ。
  9. 0≦c<1、0≦d≦1および0≦c+d≦1とする場合に、
    前記第4窒化物半導体層がAlInGa1−(c+d)Nで表され、
    前記第4窒化物半導体層が、前記第3窒化物半導体層よりもバンドギャップエネルギーが大きいことを特徴とする、
    請求項1〜8のいずれか1項に記載のヘテロ接合電界効果型トランジスタ。
  10. 前記第1窒化物半導体層と前記第2窒化物半導体層との界面における伝導体準位が、フェルミ準位よりも高いことを特徴とする、
    請求項1〜9のいずれか1項に記載のヘテロ接合電界効果型トランジスタ。
  11. 前記第3窒化物半導体層は、バンドギャップエネルギーがGaNよりも大きいことを特徴とする、
    請求項1〜10のいずれか1項に記載のヘテロ接合電界効果型トランジスタ。
  12. 前記ソース電極下方および前記ドレイン電極下方において形成された、n型不純物濃度が前記第1〜第4窒化物半導体層よりも高いn型不純物領域をさらに備えることを特徴とする、
    請求項1〜11のいずれか1項に記載のヘテロ接合電界効果型トランジスタ。
  13. 前記ソース電極の一部および前記ドレイン電極の一部が、前記第4窒化物半導体層内に埋没して形成されていることを特徴とする、
    請求項1〜12のいずれか1項に記載のヘテロ接合電界効果型トランジスタ。
  14. 前記ゲート電極の一部が、前記第4窒化物半導体層内に埋没して形成されていることを特徴とする、
    請求項1〜13のいずれか1項に記載のヘテロ接合電界効果型トランジスタ。
  15. 前記ゲート電極が、前記第4窒化物半導体層に接触する底面よりも前記底面と対向する上面の面積が広いことを特徴とする、
    請求項1〜14のいずれか1項に記載のヘテロ接合電界効果型トランジスタ。
  16. 前記ソース電極、前記ドレイン電極および前記ゲート電極が形成された箇所を除く前記第4窒化物半導体層表面に形成された絶縁膜である表面絶縁膜をさらに備えることを特徴とする、
    請求項1〜15のいずれか1項に記載のヘテロ接合電界効果型トランジスタ。
  17. 前記表面絶縁膜が、前記ゲート電極上面の下方のみに形成されていることを特徴とする、
    請求項16に記載のヘテロ接合電界効果型トランジスタ。
  18. 前記ゲート電極が、前記表面絶縁膜表面に接触しつつ、前記表面絶縁膜上に延び出て形成されていることを特徴とする、
    請求項16または17に記載のヘテロ接合電界効果型トランジスタ。
  19. 前記ゲート電極が、前記表面絶縁膜表面には接触せず、前記表面絶縁膜上に延び出て形成されていることを特徴とする、
    請求項16または17に記載のヘテロ接合電界効果型トランジスタ。
  20. (a)半導体基板上に、バッファ層である第1窒化物半導体層を形成する工程と、
    (b)前記第1窒化物半導体層上に、障壁層である第2窒化物半導体層を形成する工程と、
    (c)前記第2窒化物半導体層上に、チャネル層である第3窒化物半導体層を形成する工程と、
    (d)前記第3窒化物半導体層上に、バリア層である第4窒化物半導体層を形成する工程と、
    (e)前記第4窒化物半導体層上に、ゲート電極を形成する工程と、
    (f)前記第4窒化物半導体層上に、ソース電極を形成する工程と、
    (g)前記第4窒化物半導体層上において、前記ゲート電極の前記ソース電極が配置された側とは反対側にドレイン電極を形成する工程と、
    (h)一端が前記第2窒化物半導体層と接続され、他端が外部と接続された電極を形成する工程とを備え、
    前記第2窒化物半導体層がAlNからなり、
    0≦e<1、0≦f≦1および0≦e+f≦1とする場合に、
    前記第1窒化物半導体層がAlInGa1−(e+f)Nで表され、
    0≦x<1、0≦y≦1および0≦x+y≦1とする場合に、
    前記第3窒化物半導体層がAlInGa1−(x+y)Nで表され、
    前記第3窒化物半導体層が、前記第1窒化物半導体層および前記第2窒化物半導体層よりもバンドギャップエネルギーが小さいことを特徴とする、
    ヘテロ接合電界効果型トランジスタの製造方法。
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