JP2015079165A - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】定着ベルトの摺動負荷を小さくすることで定着ベルトの摩耗を抑制し、定着ベルトの耐久性を向上させる。
【解決手段】本発明の定着装置18は、回転可能に設けられる定着ベルト21と、定着ベルト21に圧接して定着ニップ35を形成し、回転可能に設けられる加圧部材22と、加圧部材22との間に定着ベルト21を挟み込むように設けられ、定着ベルト21を回転させる駆動部材23と、加圧部材22との間に定着ベルト21を挟み込むように設けられ、定着ベルト21と摺接する摺接部材25と、を備え、定着ベルト21は、少なくとも部分的に緩みのある状態で駆動部材23及び摺接部材25に架け渡されていることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、記録媒体にトナー像を定着させる定着装置と、この定着装置を備えた画像形成装置に関する。
従来、複写機やプリンターなどの電子写真方式の画像形成装置は、用紙などの記録媒体にトナー像を定着させる定着装置を備えている。この定着装置には、熱ローラー方式が広く使われている。熱ローラー方式とは、一対のローラーを圧接させて定着ニップを形成する方式である。しかしながら、熱ローラー方式によってニップ幅(定着ニップの幅)を十分に確保するためには、定着ニップを形成する各ローラーの外径を大きくする必要があり、これに伴って、定着ニップを形成する部材の熱容量が大きくなる。そのため、定着装置の復帰時間(記録媒体にトナー像を定着させることが可能な状態に復帰するまでの時間)が長くなり、省エネルギー化の障害となっていた。更に、定着ニップを形成する各ローラーの外径を大きくすることで、各ローラーからの記録媒体の分離性が悪化するという問題も抱えていた。
近年、上記のような問題を解消するために、ベルト定着方式が用いられている。ベルト定着方式とは、定着ベルトと加圧部材(例えば、加圧ローラー)を圧接させて定着ニップを形成する方式である。ベルト定着方式を採用することで、定着ベルトや加圧部材の外径を大きくしなくてもニップ幅を十分に確保することが可能となる。
例えば、特許文献1には、回転可能に設けられる定着ベルトと、定着ベルトに圧接して定着ニップを形成する加圧部材(特許文献1の「加圧ローラ17b」参照)と、加圧部材との間に定着ベルトを挟み込むように設けられる張架ローラーと、加圧部材との間に定着ベルトを挟み込むように設けられる摺接部材(特許文献1の「摺動体SDa」参照)と、を備えた定着装置が開示されている。
特開2003−302852号公報
特許文献1においては、張架ローラーと摺接部材に定着ベルトが張架されており、定着ベルトの全域に一定の張力が付与されている。このような状態で定着ベルトを回転させると、定着ベルトの摺動負荷(定着ベルトを摺接部材に対して摺動させるのに必要な負荷)が大きくなる。これに伴って、定着ベルトが急速に摩耗し、定着ベルトの耐久性が損なわれる恐れがある。また、摺動負荷が大きい状態で定着ベルトが回転し、摺接部材の形状に合わせて繰り返し屈曲されると、定着ベルトの破損に繋がる恐れがある。
また、定着ベルトの全域に一定の張力が付与された状態で定着ベルトを回転させるには、ニップ圧(定着ニップの圧力)を増加させる必要があり、これに伴って、定着ベルトの駆動トルク(定着ベルトを回転させるのに必要なトルク)が増大する。また、上記のようにニップ圧を増加させると、増加後のニップ圧に耐えうる強度を確保するために定着装置の各構成部品を大型化しなければならず、定着装置全体の大型化に繋がる恐れがある。更に、上記のようにニップ圧が増加すると、定着ベルトが長手方向片側に寄る力が大きくなるため、定着ベルトの端部が他の部材と干渉して破損する恐れがある。
本発明は上記事情を考慮し、定着ベルトの摺動負荷を小さくすることで定着ベルトの摩耗を抑制し、定着ベルトの耐久性を向上させることを目的とする。
本発明の定着装置は、回転可能に設けられる定着ベルトと、前記定着ベルトに圧接して定着ニップを形成し、回転可能に設けられる加圧部材と、前記加圧部材との間に前記定着ベルトを挟み込むように設けられ、前記定着ベルトを回転させる駆動部材と、前記加圧部材との間に前記定着ベルトを挟み込むように設けられ、前記定着ベルトと摺接する摺接部材と、を備え、前記定着ベルトは、少なくとも部分的に緩みのある状態で前記駆動部材及び前記摺接部材に架け渡されていることを特徴とする。
上記のように少なくとも部分的に緩みのある状態で定着ベルトが駆動部材及び摺接部材に架け渡されることで、定着ベルトの全域に一定の張力が付与されている場合と比較して、定着ベルトの摺動負荷を小さくすることができる。これに伴って、定着ベルトの摩耗を抑制し、定着ベルトの耐久性を向上させることが可能となる。また、定着ベルトの回転に伴って定着ベルトが摺接部材の形状に合わせて繰り返し屈曲されても、定着ベルトが破損しにくくなる。
また、加圧部材と駆動部材の間に定着ベルトが挟み込まれているため、駆動部材の駆動力を定着ベルトに確実に伝達することができる。そのため、定着ベルトに緩みが有っても、定着ベルトを安定して回転させることが可能となる。
前記定着ニップは、前記加圧部材と前記駆動部材が前記定着ベルトを挟み込む部分に形成される第1ニップ部と、前記加圧部材と前記摺接部材が前記定着ベルトを挟み込む部分に形成される第2ニップ部と、前記第1ニップ部と前記第2ニップ部の間に形成される第3ニップ部と、を備え、前記第2ニップ部は、前記定着ベルトの回転方向において前記第1ニップ部の上流側に設けられていても良い。
このような構成を採用することにより、第1ニップ部では、定着ベルトを回転させようとする力が駆動部材から定着ベルトに働く。一方で、第2ニップ部では、定着ベルトを静止状態に保持しようとする力が摺接部材から定着ベルトに働く。そのため、定着ベルトの回転方向において第1ニップ部の上流側に第2ニップ部を設けることで、第1ニップ部と第2ニップ部の間に形成される第3ニップ部では、定着ベルトに一定の張力が付与されることになる。そのため、第3ニップ部において定着ベルトに撓みが発生するのを抑制することが可能となり、定着不良に伴う画像の劣化を防止することができる。
前記第2ニップ部にかかる力の総和は、前記第1ニップ部にかかる力の総和よりも大きくても良い。
このような構成を採用することにより、第2ニップ部において記録媒体にトナー像を確実に定着させることが可能となり、定着不良に伴う画像の劣化を一層効果的に防止することができる。
前記駆動部材に接続される駆動源を更に備え、前記駆動源によって前記駆動部材を回転させると、前記駆動部材の回転に従動して前記定着ベルト及び前記加圧部材が回転しても良い。
このような構成を採用することにより、定着ベルト及び加圧部材の回転速度を安定させることが可能となる。
前記摺接部材は、前記加圧部材との間に前記定着ベルトを挟み込むように設けられ、前記加圧部材の外周面に沿って弧状に湾曲する第1ガイド部と、記録媒体の搬送方向における前記第1ガイド部の上流側の端部から前記加圧部材と離間する側に向かって屈曲される第2ガイド部と、前記第2ガイド部の前記加圧部材と離間する側の端部から記録媒体の搬送方向における下流側に向かって屈曲される第3ガイド部と、を備え、前記第1ガイド部と前記第2ガイド部の境界部分及び前記第2ガイド部と前記第3ガイド部の境界部分は、湾曲していても良い。
上記のように第1ガイド部を加圧部材の外周面に沿って弧状に湾曲させることで、定着ベルトを加圧部材の外周面に沿った形状に変形させやすくなり、広いニップ幅を確保することが可能となる。これに伴って、定着ニップにおいて記録媒体にトナー像を確実に定着させることが可能となる。また、第1ガイド部と第2ガイド部の境界部分及び第2ガイド部と第3ガイド部の境界部分を湾曲させることで、定着ベルトと摺接部材の間の引っ掛かりを抑制することが可能となる。
前記加圧部材は、発泡体によって形成される弾性層を備えていても良い。
このような構成を採用することにより、中実な材料(無垢材)によって加圧部材の弾性層を形成する場合と比較して、加圧部材の熱容量を小さくすることが可能となる。そのため、加圧部材に奪われる熱量を少なくすることができ、定着ベルトをより迅速に加熱することが可能となる。
前記定着装置は、前記駆動部材に内包される熱源と、前記駆動部材を挟んで前記加圧部材の逆側に配置され、前記駆動部材との間に前記定着ベルトを挟み込むように設けられる巻き付け部材と、を更に備えていても良い。
このような構成を採用することにより、駆動部材の加圧部材側の領域から駆動部材の加圧部材とは逆側の領域に亘って、定着ベルトを駆動部材に確実に接触させることが可能となる。これに伴って、駆動部材からの伝熱によって定着ベルトを迅速に加熱することが可能となり、定着装置の復帰時間を短縮し、省エネルギー化を図ることが可能となる。
前記定着ベルトは、記録媒体が通過する通紙領域と、前記通紙領域外に設けられる非通紙領域と、を備え、前記巻き付け部材は、前記非通紙領域のみに接触していても良い。
このような構成を採用することにより、定着ベルトの通紙領域の熱が巻き付け部材に奪われるのを防止することが可能となる。
前記定着ベルトは、記録媒体が通過する通紙領域と、前記通紙領域外に設けられる非通紙領域と、を備え、前記巻き付け部材は、前記通紙領域及び前記非通紙領域に接触していても良い。
このような構成を採用することにより、定着ベルトの通紙領域及び非通紙領域の両方を駆動部材に確実に接触させることが可能となり、駆動部材から定着ベルトへの伝熱効率を高めることが可能となる。
本発明の画像形成装置は、上記したいずれかの定着装置を備えていることを特徴とする。
本発明によれば、定着ベルトの摺動負荷を小さくすることで定着ベルトの摩耗を抑制し、定着ベルトの耐久性を向上させることが可能となる。
本発明の第1の実施形態に係るプリンターの概略を示す模式図である。 本発明の第1の実施形態に係る定着装置を示す断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る定着装置を示す右側面図である。 本発明の第2の実施形態に係る定着装置を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る定着装置を示す右側面図である。 他の異なる実施形態に係る定着装置を示す右側面図である。
<第1の実施形態>
まず、図1を用いて、プリンター1(画像形成装置)の全体の構成について説明する。
プリンター1は、箱型形状のプリンター本体2を備えており、プリンター本体2の下部には、用紙(記録媒体)を収納する給紙カセット3が収容され、プリンター本体2の上面には排紙トレイ4が設けられている。プリンター本体2の上面には、排紙トレイ4の側方に上カバー5が開閉可能に取り付けられ、上カバー5の下方にはトナーコンテナ6が収納されている。
プリンター本体2の上部には、レーザー・スキャニング・ユニット(LSU)で構成される露光器7が排紙トレイ4の下方に配置され、露光器7の下方には、画像形成部8が設けられている。画像形成部8には、像担持体である感光体ドラム10が回転可能に設けられており、感光体ドラム10の周囲には、帯電器11と、現像器12と、転写ローラー13と、クリーニング装置14とが、感光体ドラム10の回転方向(図1の矢印X参照)に沿って配置されている。
プリンター本体2の内部には、用紙の搬送経路15が設けられている。搬送経路15の上流端には給紙部16が設けられ、搬送経路15の中流部には、感光体ドラム10と転写ローラー13によって構成される転写部17が設けられ、搬送経路15の下流部には定着装置18が設けられ、搬送経路15の下流端には排紙部19が設けられている。搬送経路15の下方には、両面印刷用の反転経路20が形成されている。
次に、このような構成を備えたプリンター1の画像形成動作について説明する。
プリンター1に電源が投入されると、各種パラメーターが初期化され、定着装置18の温度設定等の初期設定が実行される。そして、プリンター1に接続されたコンピューター等から画像データが入力され、印刷開始の指示がなされると、以下のようにして画像形成動作が実行される。
まず、帯電器11によって感光体ドラム10の表面が帯電された後、露光器7からのレーザー光(図1の二点鎖線P参照)により感光体ドラム10に対して画像データに対応した露光が行われ、感光体ドラム10の表面に静電潜像が形成される。次に、この静電潜像を、現像器12がトナーによりトナー像に現像する。
一方、給紙部16によって給紙カセット3から取り出された用紙は、上記した画像形成動作とタイミングを合わせて転写部17へと搬送され、転写部17において感光体ドラム10上のトナー像が用紙に転写される。トナー像を転写された用紙は、搬送経路15を下流側へと搬送されて定着装置18に進入し、この定着装置18において用紙にトナー像が定着される。トナー像が定着された用紙は、排紙部19から排紙トレイ4に排出される。なお、感光体ドラム10上に残留したトナーは、クリーニング装置14によって回収される。
次に、図2、図3を用いて、定着装置18について詳細に説明する。以下、説明の便宜上、図2における紙面手前側を定着装置18の前側(正面側)とする。図2の矢印Yは、用紙の搬送方向を示している。図3の矢印Frは、定着装置18の前側(正面側)を示している。
図2に示されるように、定着装置18は、定着ベルト21と、定着ベルト21の下側(外側)に配置される加圧ローラー22(加圧部材)と、定着ベルト21の内側に配置される駆動ローラー23(駆動部材)と、駆動ローラー23に内包されるヒーター24(熱源)と、定着ベルト21の内側において駆動ローラー23の左側(用紙の搬送方向における上流側)に配置される摺接部材25と、を備えている。
定着ベルト21は、前後方向に長い筒状を成している。定着ベルト21は、回転可能に設けられている。図2の矢印Aは、定着ベルト21の回転方向を示している。定着ベルト21は、可撓性を有しており、周方向には無端状である。定着ベルト21は、上部21aに緩みのある状態で駆動ローラー23及び摺接部材25に架け渡されている。つまり、定着ベルト21は、駆動ローラー23及び摺接部材25に張架されていない。
定着ベルト21は、例えば、内側から順に、基材層と、この基材層に周設される弾性層と、この弾性層を被覆する離型層と、によって構成されている。定着ベルト21の基材層は、例えば、PI(ポリイミド)などの樹脂又はSUSやニッケルなどの金属によって形成されている。定着ベルト21の基材層は、例えば、厚さ15μm〜100μmである。定着ベルト21の弾性層は、例えば、シリコンゴムによって形成されている。定着ベルト21の弾性層は、例えば、厚さ50μm〜500μmである。定着ベルト21の離型層は、例えば、PFAチューブによって形成されている。定着ベルト21の離型層は、例えば、厚さ15μm〜70μmである。なお、各図において、定着ベルト21の各層(基材層、弾性層、離型層)は、特に区別されずに表示されている。
加圧ローラー22は、前後方向に長い略円筒状を成している。加圧ローラー22は、回転可能に設けられている。加圧ローラー22は、定着ベルト21に対向すると共に、定着ベルト21に圧接している。
加圧ローラー22は、例えば、内側から順に、円筒状の芯金26と、この芯金26に周設される弾性層27と、この弾性層27を被覆する離型層(図示せず)と、によって構成されている。加圧ローラー22の芯金26は、例えば、アルミニウムなどの金属によって形成されている。加圧ローラー22の弾性層27は、例えば、発泡シリコンゴム(発泡体)によって形成されている。加圧ローラー22の弾性層27は、例えば、厚さ1mm〜10mmである。加圧ローラー22の離型層は、例えば、PFAチューブによって形成されている。加圧ローラー22の離型層は、例えば、厚さ15μm〜70μmである。
駆動ローラー23は、例えば、アルミニウムやSUSや鉄などの金属によって形成されている。駆動ローラー23は、例えば、厚さ0.3mm〜0.7mmである。駆動ローラー23の外径は、加圧ローラー22の外径よりも小さい。駆動ローラー23の外径は、好ましくは、加圧ローラー22の外径の20%〜80%である。駆動ローラー23の前後両端部は、定着ベルト21の前後両端部よりも前後方向外側まで延びている(図3参照)。
図2に示されるように、駆動ローラー23は、モーター等によって構成される駆動源28に接続されており、駆動源28によって駆動ローラー23を回転させることができるようになっている。駆動ローラー23は、加圧ローラー22との間に定着ベルト21を挟み込むように設けられている。
ヒーター24は、例えば、ハロゲンヒーターやカーボンヒーターによって構成されている。ヒーター24は、通電によって発熱し、駆動ローラー23を加熱するように構成されている。
摺接部材25は、例えば、基材層と、この基材層の表面を覆う表面層と、を備えている。摺接部材25の基材層は、例えば、アルミニウムやSUSや鉄などの金属又は液晶ポリマーやPPS(ポリフェニレンサルファイド)などの耐熱性樹脂によって形成されている。摺接部材25の表面層は、定着ベルト21の内周面と部分的に摺接している。摺接部材25の表面層は、例えば、耐熱性及び滑り性を備えたフッ素コーティングやセラミックコーティングによって形成されるか、又は、不織布によって形成されている。なお、各図において、摺接部材25の各層(基材層、表面層)は、特に区別されずに表示されている。
摺接部材25は、第1ガイド部31と、第1ガイド部31の左端部(用紙の搬送方向における上流側の端部)から上側(加圧ローラー22と離間する側)に向かって屈曲される第2ガイド部32と、第2ガイド部32の上端部(加圧ローラー22と離間する側の端部)から右側(用紙の搬送方向における下流側)に向かって屈曲される第3ガイド部33と、を備えている。第1ガイド部31と第2ガイド部32の境界部分Z1及び第2ガイド部32と第3ガイド部33の境界部分Z2は、エッジを有しておらず、湾曲している。
第1ガイド部31は、定着ベルト21の内周面と摺接している。第1ガイド部31は、加圧ローラー22との間に定着ベルト21を挟み込むように設けられている。第1ガイド部31は、加圧ローラー22の外周面に沿って弧状に湾曲している。第1ガイド部31の右端部(用紙の搬送方向における下流側の端部)は、駆動ローラー23の外周面と間隔34を介して対向している。
第2ガイド部32は、略上下方向(正確には、上方に向かって僅かに左方に傾斜する方向)に沿って直線状に延びている。第2ガイド部32は、定着ベルト21の内周面と摺接している。第3ガイド部33は、第1ガイド部31及び第2ガイド部32よりも長さが短い。第3ガイド部33は、定着ベルト21の内周面と離間している。
図2に示されるように、定着ベルト21と加圧ローラー22の圧接部分には、定着ニップ35が形成されている。定着ニップ35にかかる力は、全体で100N以下に設定されている。
定着ニップ35は、第1ニップ部36と、第1ニップ部36よりも左側に設けられる第2ニップ部37と、第1ニップ部36と第2ニップ部37の間に形成される第3ニップ部38と、を備えている。
第1ニップ部36は、加圧ローラー22と駆動ローラー23が定着ベルト21を挟み込む部分に形成されている。第1ニップ部36は、駆動ローラー23によって定着ベルト21の内側からバックアップされている。
第2ニップ部37は、加圧ローラー22と摺接部材25の第1ガイド部31が定着ベルト21を挟み込む部分に形成されている。第2ニップ部37は、摺接部材25の第1ガイド部31によって定着ベルト21の内側からバックアップされている。第2ニップ部37は、定着ベルト21の回転方向(図2の矢印A参照)において第1ニップ部36の上流側に設けられている。第2ニップ部37にかかる力の総和は、第1ニップ部36にかかる力の総和よりも大きくなるように構成されている。つまり、加圧ローラー22と摺接部材25の第1ガイド部31が定着ベルト21を挟み込む力は、加圧ローラー22と駆動ローラー23が定着ベルト21を挟み込む力よりも大きい。
第3ニップ部38は、間隔34と対応する位置に設けられている。そのため、第3ニップ部38は、定着ベルト21の内側からバックアップされていない。
上記のように構成された定着装置18において、用紙にトナー像を定着させる際には、図2に矢印Bで示されるように、駆動源28によって駆動ローラー23を回転させる。これに伴って、図2に矢印A、Cで示されるように、駆動ローラー23の回転に従動して定着ベルト21及び加圧ローラー22が回転する。つまり、駆動ローラー23が定着ベルト21及び加圧ローラー22を回転させる。この時、定着ベルト21は、加圧ローラー22と駆動ローラー23に挟み込まれた状態で、摺接部材25側から駆動ローラー23側に向かって回転する。
また、用紙にトナー像を定着させる際には、ヒーター24を稼働(点灯)させる。このようにヒーター24が稼働すると、ヒーター24によって駆動ローラー23が内側から加熱され、駆動ローラー23からの伝熱によって定着ベルト21が内側から加熱される。この状態で、用紙が定着ニップ35を通過すると、トナー像が加熱及び加圧されて用紙に定着する。
本実施形態では上記のように、上部21aに緩みのある状態で定着ベルト21が駆動ローラー23及び摺接部材25に架け渡されている。そのため、定着ベルト21の全域に一定の張力が付与されている場合と比較して、定着ベルト21の摺動負荷を小さくすることができる。これに伴って、定着ベルト21の摩耗を抑制し、定着ベルト21の耐久性を向上させることが可能となる。また、定着ベルト21の回転に伴って定着ベルト21が摺接部材25の形状に合わせて繰り返し屈曲されても、定着ベルト21が破損しにくくなる。
また、上部21aに緩みのある状態で定着ベルト21が駆動ローラー23及び摺接部材25に架け渡されているため、ニップ圧を増加させなくても、十分なニップ幅を確保することができる。これに伴って、定着ベルト21の駆動トルクを減少させることが可能となる。また、上記のようにニップ圧を増加させる必要が無いため、増加したニップ圧に耐えうる強度を持たせるために定着装置18の各構成部品を大型化する必要が無い。そのため、定着装置18全体の小型化を図ることが可能になると共に、定着装置18を安価に製造することができる。また、ニップ圧の増加を防止することで、定着ベルト21が前後方向片側に寄る力を小さくすることができるため、定着ベルト21の端部が他の部材に接触して破損するのを防止することができる。
また、加圧ローラー22と駆動ローラー23の間に定着ベルト21が挟み込まれているため、駆動ローラー23の駆動力を定着ベルト21に確実に伝達することができる。そのため、定着ベルト21の上部21aに緩みが有っても、定着ベルト21を安定して回転させることが可能となる。
また、加圧ローラー22と駆動ローラー23の間及び加圧ローラー22と摺接部材25の第1ガイド部31の間に定着ベルト21を挟み込むことで、定着ニップ35における定着ベルト21と加圧ローラー22の密着性を高めることが可能となる。そのため、適切なニップ圧を確保することができ、定着不良に伴う画像の劣化を抑制することが可能となる。
また、定着ベルト21の回転時に、第1ニップ部36では、定着ベルト21を回転させようとする力が駆動ローラー23から定着ベルト21に働く。一方で、第2ニップ部37では、定着ベルト21を静止状態に保持しようとする力が摺接部材25の第1ガイド部31から定着ベルト21に働く。そのため、定着ベルト21の回転方向において第1ニップ部36の上流側に第2ニップ部37を設けることで、第1ニップ部36と第2ニップ部37の間に形成される第3ニップ部38では、定着ベルト21に一定の張力が付与されることになる。そのため、第3ニップ部38において定着ベルト21に撓みが発生するのを抑制することが可能となり、定着不良に伴う画像の劣化を防止することができる。
また、第2ニップ部37にかかる力の総和が第1ニップ部36にかかる力の総和よりも大きい。そのため、第2ニップ部37において用紙にトナー像を確実に定着させることが可能となり、定着不良に伴う画像の劣化を一層効果的に防止することができる。
また、駆動源28によって駆動ローラー23を回転させると、駆動ローラー23の回転に従動して定着ベルト21及び加圧ローラー22が回転するように構成されている。このような構成を採用することにより、定着ベルト21及び加圧ローラー22の回転速度を安定させることが可能となる。
また、摺接部材25の第1ガイド部31を加圧ローラー22の外周面に沿って弧状に湾曲させることで、定着ベルト21を加圧ローラー22の外周面に沿った形状に変形させやすくなり、広いニップ幅を確保することが可能となる。これに伴って、定着ニップ35において用紙にトナー像を確実に定着させることが可能となる。また、第1ガイド部31と第2ガイド部32の境界部分Z1及び第2ガイド部32と第3ガイド部33の境界部分Z2を湾曲させることで、定着ベルト21と摺接部材25の間の引っ掛かりを抑制することが可能となる。
また、加圧ローラー22は、発泡シリコンゴム(発泡体)によって形成される弾性層27を備えている。このような構成を採用することにより、中実な材料(無垢材)によって加圧ローラー22の弾性層27を形成する場合と比較して、加圧ローラー22の熱容量を小さくすることが可能となる。そのため、加圧ローラー22に奪われる熱量を少なくすることができ、定着ベルト21をより迅速に加熱することが可能となる。
また、本実施形態では、駆動ローラー23の外径が加圧ローラー22の外径よりも小さいため、駆動ローラー23の熱容量を小さくすることが可能となり、駆動ローラー23を短時間で加熱することが可能となる。
また、定着ベルト21を用いて定着ニップ35を形成しているため、定着ベルト21や加圧ローラー22の外径を大きくしなくても十分なニップ幅を確保することが可能となる。そのため、定着ニップ35を形成する部材の熱容量を減少させ、省エネルギー化及び定着装置18の復帰時間の短縮を図ることが可能となる。更に、定着ベルト21の外径を小さくすることで、定着ベルト21から用紙を容易に分離することが可能となる。
また、摺接部材25の表面層は、耐熱性及び滑り性を備えたフッ素コーティングやセラミックコーティングによって形成されるか、又は、不織布によって形成されている。そのため、定着ベルト21の摺動負荷を軽減し、定着ベルト21の駆動トルクを小さくすることが可能になると共に、定着ベルト21の摩耗を抑制することができる。
本実施形態では、基材層と弾性層と離型層とによって定着ベルト21が構成される場合について説明したが、他の異なる実施形態では、基材層と離型層とによって定着ベルト21が構成されていても良い。つまり、定着ベルト21に弾性層が設けられていなくても良い。このように定着ベルト21に弾性層を設けない場合には、例えば、厚さ15μm〜70μmのPFAチューブの代わりに、厚さ10μm〜70μmのフッ素コーティングを定着ベルト21の離型層として用いても良い。
本実施形態では、加圧ローラー22の弾性層27が発泡シリコンゴム(発泡体)によって形成される場合について説明した。一方で、他の異なる実施形態では、加圧ローラー22の弾性層27がソリッドゴム(中実な材料)によって形成されていても良い。
本実施形態では、ハロゲンヒーターやカーボンヒーターによって構成されるヒーター24を熱源として用いる場合について説明したが、他の異なる実施形態では、セラミックヒーターやIHコイルなどを熱源として用いても良い。
本実施形態では、プリンター1に本発明の構成を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、複写機、ファクシミリ、複合機等の他の画像形成装置に本発明の構成を適用することも可能である。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態に係る定着装置41について、図4及び図5を用いて説明する。以下、説明の便宜上、図4における紙面手前側を定着装置41の前側(正面側)とする。図4の矢印Yは、用紙の搬送方向を示している。図5の矢印Frは、定着装置41の前側(正面側)を示している。なお、巻き付けローラー42(巻き付け部材)以外の構成については、第1の実施形態と同様であるため、第1の実施形態と同一の参照符号を図中に付し、説明を省略する。
図4に示されるように、巻き付けローラー42は、駆動ローラー23を挟んで加圧ローラー22の逆側に配置されている。巻き付けローラー42は、駆動ローラー23との間に定着ベルト21を挟み込むように設けられている。巻き付けローラー42は、前後方向に延びるローラー軸43を中心に回転可能に設けられている。
図5に示されるように、定着ベルト21は、用紙が通過する通紙領域R1と、通紙領域R1の前後両側(通紙領域R1外)に設けられ、用紙が通過しない非通紙領域R2と、を備えている。巻き付けローラー42は、定着ベルト21の通紙領域R1には接触しておらず、定着ベルト21の非通紙領域R2のみに接触している。
巻き付けローラー42は、円筒状の芯金と、この芯金の表面を被覆する表面層と、を備えている。巻き付けローラー42の芯金は、例えば、アルミニウムやSUSや鉄などの金属によって形成されている。巻き付けローラー42の表面層は、例えば、フッ素樹脂のコーティング又はフッ素樹脂のチューブによって形成されている。
上記のように巻き付けローラー42を設けることで、駆動ローラー23の下側(加圧ローラー22側の領域)から駆動ローラー23の上側(加圧ローラー22とは逆側の領域)に亘って、定着ベルト21を駆動ローラー23に確実に接触させることが可能となる。これに伴って、駆動ローラー23からの伝熱によって定着ベルト21を迅速に加熱することが可能となり、定着装置41の復帰時間を短縮し、省エネルギー化を図ることが可能となる。
また、巻き付けローラー42は、定着ベルト21の非通紙領域R2のみに接触している。そのため、定着ベルト21の通紙領域R1の熱が巻き付けローラー42に奪われるのを防止することが可能となる。
本実施形態では、巻き付けローラー42が定着ベルト21の非通紙領域R2のみに接触する場合について説明した。一方で、他の異なる実施形態では、図6に示されるように、巻き付けローラー42が定着ベルト21の通紙領域R1及び非通紙領域R2(定着ベルト21の略全域)に接触していても良い。このような構成を採用することにより、定着ベルト21の通紙領域R1及び非通紙領域R2の両方を駆動ローラー23に確実に接触させることが可能となり、駆動ローラー23から定着ベルト21への伝熱効率を高めることが可能となる。
1 プリンター(画像形成装置)
18 定着装置
21 定着ベルト
22 加圧ローラー(加圧部材)
23 駆動ローラー(駆動部材)
24 ヒーター(熱源)
25 摺接部材
27 (加圧ローラーの)弾性層
28 駆動源
31 第1ガイド部
32 第2ガイド部
33 第3ガイド部
35 定着ニップ
36 第1ニップ部
37 第2ニップ部
38 第3ニップ部
41 定着装置
42 巻き付けローラー(巻き付け部材)
R1 通紙領域
R2 非通紙領域
Z1 (第1ガイド部と第2ガイド部の)境界部分
Z2 (第2ガイド部と第3ガイド部の)境界部分

Claims (10)

  1. 回転可能に設けられる定着ベルトと、
    前記定着ベルトに圧接して定着ニップを形成し、回転可能に設けられる加圧部材と、
    前記加圧部材との間に前記定着ベルトを挟み込むように設けられ、前記定着ベルトを回転させる駆動部材と、
    前記加圧部材との間に前記定着ベルトを挟み込むように設けられ、前記定着ベルトと摺接する摺接部材と、を備え、
    前記定着ベルトは、少なくとも部分的に緩みのある状態で前記駆動部材及び前記摺接部材に架け渡されていることを特徴とする定着装置。
  2. 前記定着ニップは、
    前記加圧部材と前記駆動部材が前記定着ベルトを挟み込む部分に形成される第1ニップ部と、
    前記加圧部材と前記摺接部材が前記定着ベルトを挟み込む部分に形成される第2ニップ部と、
    前記第1ニップ部と前記第2ニップ部の間に形成される第3ニップ部と、を備え、
    前記第2ニップ部は、前記定着ベルトの回転方向において前記第1ニップ部の上流側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記第2ニップ部にかかる力の総和は、前記第1ニップ部にかかる力の総和よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
  4. 前記駆動部材に接続される駆動源を更に備え、
    前記駆動源によって前記駆動部材を回転させると、前記駆動部材の回転に従動して前記定着ベルト及び前記加圧部材が回転することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の定着装置。
  5. 前記摺接部材は、
    前記加圧部材との間に前記定着ベルトを挟み込むように設けられ、前記加圧部材の外周面に沿って弧状に湾曲する第1ガイド部と、
    記録媒体の搬送方向における前記第1ガイド部の上流側の端部から前記加圧部材と離間する側に向かって屈曲される第2ガイド部と、
    前記第2ガイド部の前記加圧部材と離間する側の端部から記録媒体の搬送方向における下流側に向かって屈曲される第3ガイド部と、を備え、
    前記第1ガイド部と前記第2ガイド部の境界部分及び前記第2ガイド部と前記第3ガイド部の境界部分は、湾曲していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の定着装置。
  6. 前記加圧部材は、発泡体によって形成される弾性層を備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の定着装置。
  7. 前記駆動部材に内包される熱源と、
    前記駆動部材を挟んで前記加圧部材の逆側に配置され、前記駆動部材との間に前記定着ベルトを挟み込むように設けられる巻き付け部材と、を更に備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の定着装置。
  8. 前記定着ベルトは、
    記録媒体が通過する通紙領域と、
    前記通紙領域外に設けられる非通紙領域と、を備え、
    前記巻き付け部材は、前記非通紙領域のみに接触していることを特徴とする請求項7に記載の定着装置。
  9. 前記定着ベルトは、
    記録媒体が通過する通紙領域と、
    前記通紙領域外に設けられる非通紙領域と、を備え、
    前記巻き付け部材は、前記通紙領域及び前記非通紙領域に接触していることを特徴とする請求項7に記載の定着装置。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の定着装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。
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