JP2015078129A - ドネペジルを含む線維筋痛症の治療剤 - Google Patents

ドネペジルを含む線維筋痛症の治療剤 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は,線維筋痛症の治療に有効な医薬を提供することを目的とする。【解決手段】 本発明は,ドネペジル又はドネペジルの薬学的に許容される塩を有効成分として有効量含む線維筋痛症の治療剤に関する。線維筋痛症に由来する疼痛は,炎症が見られないため良好な改善方法が見いだせていない。本発明は,そのような患者に対して,極めて効果的な疼痛改善薬を提供するものである。【選択図】図1

Description

本発明はドネペジル又はその塩を有効成分として含む線維筋痛症の治療剤に関する。より詳しく説明すると,本発明は,ドネペジル又はその塩を有効成分として含む線維筋痛症に由来する疼痛の改善剤に関する。
線維筋痛症は,通常疼痛を伴う原因不明の疾患である。
特表2008−530119号公報には,アセチルコリンエステラーゼ阻害剤を投与することを含む微小血管系に関連する疾患の治療方法が開示されている。そして,この公報は,ドネペジルをアセチルコリンエステラーゼ阻害剤の例として開示する。また,この公報は,微小血管系に関連する疾患の例として,線維筋痛症疼痛症候群を開示する。
特表2010−520885号公報には,ドロキシドパを有効成分として含む線維筋痛症の治療剤が開示されている。この公報には,コリンエステラーゼ阻害剤であるドネペジルを併用剤の一つの候補として用いることが開示されている。
国際公開WO2009−147831号パンフレットには,1,1−ジフェニル−4−ピペリジン−1−イルブタン−1−オールを有効成分として含む抗不安剤が開示されている。そして,この公報は,抗不安剤の用途の一つを線維筋痛症としている。さらに,この公報には,認知症治療薬であるドネペジル塩酸塩を併用剤として用いる点が開示されている。
特表2008−530119号公報 特表2010−520885号公報 国際公開WO2009−147831号パンフレット
しかしながら,何れの文献もドネペジル又はその塩が線維筋痛症の治療に有効であることは記載されていない。
そこで,本発明は,ドネペジル又はその塩を有効成分として含む線維筋痛症の治療に有効な医薬を提供することを目的とする。
本発明は,基本的には,ドネペジル又はその塩を有効成分として含む医薬が線維筋痛症の治療に有効であるという実施例による知見に基づく。また,本発明は,ドネペジル又はその塩が,線維筋痛症に由来する疼痛の改善に極めて有効であったという実施例に基づく。
本発明は,線維筋痛症の治療に有効な医薬を提供できる。特に本発明は,線維筋痛症に由来する疼痛の改善に極めて有効な,線維筋痛症の治療剤を提供できる。
図1は,マウスの腹腔内にドネペジルを投与した場合の,疼痛閾値と鎮痛効果を示したものである。 図2は,マウスの脳室内にドネペジルを投与した場合の,疼痛閾値と鎮痛効果を示したものである。 図3は,マウスの脊髄くも膜下にドネペジルを投与した場合の,疼痛閾値と鎮痛効果を示したものである。 図4は,マウスの腹腔内にドネペジルを5日間連続で投与した場合の,鎮痛効果の持続性を示した図である。 図5は,マウスの腹腔内にドネペジルを6日間連続で投与した場合の,鎮痛効果の持続性を示した図である。
本発明は,基本的には,ドネペジル又はその塩を有効成分として含む医薬が線維筋痛症の治療に有効であるという実施例による知見に基づく。すなわち,本発明は,基本的には,ドネペジル又はドネペジルの薬学的に許容される塩を有効成分として有効量含む線維筋痛症の治療剤に関する。
線維筋痛症は,通常疼痛を伴う原因不明の疾患である。線維筋痛症の発現機序は解明されていないため,治療方法も確立されていない。一方,ドネペジル又はその塩は,従来認知症治療薬として用いられてきた。本明細書における実施例によれば,ドネペジル又はその塩は,線維筋痛症に由来する疼痛の改善に有効であり,このような慢性疼痛を示さない急性の痛みには影響しないことが示された。線維筋痛症に由来する疼痛は,通常の疼痛と異なる。すなわち,線維筋痛症に由来する疼痛は,疼痛点や疼痛個所において炎症が見られない場合がある。ドネペジル又はその塩は,特に炎症が見られない疼痛を大変効果的に改善する。疼痛個所に炎症が見られる場合はNSAIDs等の治療剤が既に存在する。しかし,線維筋痛症に由来する疼痛は,炎症が見られないため良好な改善方法が見いだせていない。このため,線維筋痛症に罹患した者は,原因不明の疼痛に悩まされた。一方,本発明は,そのような患者に対して,極めて効果的な疼痛改善薬を提供するものである。
ドネペジルは,ドネペジル塩酸塩がアリセプト(登録商標)として製造販売されている。このため,ドネペジル及びその薬学的に許容される塩は,公知の方法に基づいて製造できるほか,アリセプト(登録商標)を購入することで入手できる。
ドネペジルの薬学的に許容される塩の例は,硫酸,塩酸,燐酸などの鉱酸との塩,酢酸,シュウ酸,乳酸,酒石酸,フマール酸,マレイン酸,メタンスルホン酸,ベンゼンスルホン酸などの有機酸との塩,トリメチルアミン,メチルアミンなどのアミンとの塩,又はナトリウムイオン,カリウムイオン,カルシウムイオンなどの金属イオンとの塩であり。経時変化により,水分を含有することとなった化合物については,そのような水分も薬学的に許容される塩に含まれる。ドネペジルの薬学的に許容される塩の好ましい例は,ドネペジル塩酸塩である。
本発明の薬剤は,有効成分であるドネペジル又はその塩と,1種又は2種以上の薬学的に許容される担体,賦形剤及び希釈剤と組み合わされて薬剤又は医薬的組成物とされうる。また,ドネペジル又はその塩以外に,上記した各併用剤を適宜含有しても良い。また,担体,賦形剤又は希釈剤としては,例えば,生理食塩水,水,乳糖,デキストロース,フラクトース,ショ糖,ソルビトール,マンニトール,ポリエチレングリコール,プロピレングリコール,でんぷん,ガム,ゼラチン,アルギネート,ケイ酸カルシウム,リン酸カルシウム,セルロース,水シロップ,メチルセルロース,ポリビニルピロリドン,アルキルパラヒドロキシベンゾエート,タルク,ステアリン酸マグネシウム,ステアリン酸,グリセリン,ゴマ油,オリーブ油,大豆油などの各種油があげられる。これらの中では,生理食塩水が好ましい。
本発明の薬剤は,通常用いられる製剤技術によって,錠剤,丸剤,カプセル剤,顆粒剤,粉剤,液剤,乳剤,懸濁剤,軟膏剤,注射剤,皮膚貼付剤などの経口又は非経口用医薬として調製される。本発明における剤型として,液剤又は注射剤が好ましく,具体的には,注射剤又は灌流液がより好ましい。例えば,ドネペジル又はその塩,及び希釈剤を適宜混ぜ合わせて攪拌することにより液剤を得ればよい。得られた液剤は,アンプル,プレフィルシリンジあるいは薬剤パックなどに封入してもよい。錠剤は,ドネペジル又はその塩及び担体の粉末を混合し,打錠機で成形することで得ることができる。すなわち,本発明は,ドネペジル又はドネペジルの薬学的に許容される塩を有効成分として有効量含む線維筋痛症の治療剤の製造方法をも提供する。また,本発明は,線維筋痛症の治療剤を製造するためのドネペジル又はドネペジルの薬学的に許容される塩の使用をも提供する。
本発明の薬剤の投与方法として,成人患者(60kg)に対して,1回当たりドネペジル又はその塩を,0.1μg以上5mg以下を1日1回又は数回に分けて経口又は非経口投与するものがあげられる。ドネペジル又はその塩の投与量は,1μg以上1mg以下でもよく,10μg以上500μg以下でもよい。所定のドネペジル又はその塩濃度を有する薬剤を灌流または静脈注射により投与することも好ましい。投与量は,治療対象となる疾病の種類,患者の年齢,体重,及び症状などに応じて適宜調整すればよい。すなわち,本発明は,ドネペジル又はドネペジルの薬学的に許容される塩を対象となるヒト又は非ヒト動物に投与する工程を含む,線維筋痛症に罹患した動物の治療方法をも提供する。
以下,実施例を用いて本発明を具体的に説明する。しかしながら,本発明は,本明細書に開示された発明から当業者にとって自明な範囲で適宜調整することができるものであり,以下の実施例に限定されるものではない。
モデルマウスの作成
線維筋痛症の動物実験モデルとして,ICS(Intermittent Cold Stress)モデルマウスを使用した。このモデルマウスでは,ストレス後から長期的に痛覚過敏が生じることが明らかになっており,ヒトでの臨床症状と大変類似している。
ICSマウスモデルの飼育環境温度は,昼間は30分毎に室温(24℃)と低温(4℃)を繰り返し,夜間は低温とした。飼育環境は,湿気をさけるためケージを上下反転させたものをケージの網の上に置き,ケージと網の間には一般実験用の固形飼料(MF,オリエンタル,東京)のかけらを使用して隙間をつくった。また,固形飼料および水分として滅菌性精製水を寒天(朝日株式会社)で固め(100 mlに対して寒天1 g)約1cm角に切ったものを自由に摂取させ恒湿(55±5%)で明/暗12時間(明8時〜20時)条件化にて飼育した。
0日目に,16:30に低温条件下である冷蔵庫内へ使用するマウスを移動し,翌日の10:00まで飼育する。
翌日(1日目)の10:00に室温に移し以後16:30まで30分ごとに低温条件下と室温条件で交互に飼育する。
2日目も1日目と同様に飼育し,3日目の10:00に室温に移し終了とする。
対照群(非ストレス負荷マウス)は3日間終始室温で飼育した。
疼痛関連行動評価法
疼痛関連行動評価には,Hargreaves試験(Thermal paw−withdrawal試験:熱性刺激疼痛試験法)を用いた。モデルマウスを,ガラス板の上に置いたプラスチックのケージの中に置き,30分以上同じ環境下において適応化させた。熱刺激をガラス板の下から後肢足蹠の中心に投射し,マウスが後肢の逃避反応を示すまでの潜時(Paw Withdrawal Latency PWL)を測定し評価した。実験には正常な動物で10−12秒の潜時になる程度の刺激を行い,組織損傷を防ぐためにCut off timeを20秒に設定した。
疼痛過敏の経日的評価
疼痛過敏の経日的評価はHargreaves試験法にて測定した。ICSストレスを与え始める日を0日目,ICSストレスを与え終わった日をpost stress 1日目(P1)とし,その後P15まで疼痛閾値を測定した。潜時および強さは3回以上測定し,平均値を採用した。また,次の閾値を測定するまでに10分間の間隔をあけた。その理由は,前に測定した熱刺激の影響をふせぐためである。
鎮痛効果の評価法
鎮痛効果はHargreaves試験法を用い評価した。一定時間のアダプテーションのあと,ドネペジルを溶かした薬液を経口単回投与し逃避反応を示すまでの潜時を測定した。潜時は薬物投与後から10分おきに60分間測定した。対照群として滅菌精製水を投与した。ドネペジルの鎮痛効果は,経時的反応曲線から曲線下面積(AUC)を算出し,薬物投与前の閾値においてx軸の方向に平行線を引いた場合における曲線下面積を差し引いて算出した。
経日的データおよび鎮痛効果のAUCについては,独立2群のt検定を用いて分析した。AUCについては,ICSストレスマウス群において,薬物投与群と非投与群とを比較した。経時的データの統計学上の分析にはSheffe’s F testを用いた。これは,独立多群のすべての群間で比較を行うもので,まず一元配置分散分析法を行い,群間に有意差が存在すると判定されたら,どの群間に差があるのかを多重検定法を用いて判定するものである。これは,同じ時点における個々のドネペジルの用量の鎮痛効果をvehicle(Veh)群と比較している。
腹腔内投与による鎮痛効果
非ストレス負荷マウス及びICSストレスマウスの腹腔内に,ドネペジルを各々0.1μg/kg,1μg/kg,10μg/kg,100μg/kg,1000μg/kg投与した。ICSストレスマウスでは,ICSストレス負荷後5日目にドネペジルを1回投与した。その後,非ストレス負荷マウス及びICSストレスマウスのドネペジル投与による鎮痛効果をHargreaves試験法により測定した。
図1(a)は,非ストレス負荷マウスに対し,ドネペジルを各々10μg/kg,1000μg/kg投与した場合と,ドネペジルを投与しなかった場合の疼痛閾値を測定した結果を示している。非ストレス負荷マウスに,ドネペジルを投与した場合の疼痛閾値と,投与しなかった場合の疼痛閾値の間には,有意な差は見られなかった。
図1(b)は,ICSストレスマウスに対し,ドネペジルを各々0.1μg/kg,1μg/kg,10μg/kg,100μg/kg,1000μg/kg投与した場合と,ドネペジルを投与しなかった場合の疼痛閾値を測定した結果を示している。ドネペジルを投与しなかった場合は,疼痛閾値が約6秒を示したままであるが,ドネペジルを0.1μg/kg投与した場合は,投与後90分後に,疼痛閾値が約7.5秒まで上昇している。さらに,ドネペジルを1μg/kg投与した場合は,投与後60分後に,疼痛閾値が約8秒まで上昇し,10μg/kg,100μg/kg,1000μg/kg投与した場合はドネペジルの投与量に依存して,疼痛閾値が上昇した。ドネペジルを1000μg/kg投与した場合は,投与後60分後に,疼痛閾値が約11秒まで上昇した。
ドネペジル投与前は,飼育環境温度の変化によるストレスを与えたICSストレスマウスの疼痛閾値は,非ストレス負荷マウスの疼痛閾値と比較して低い値になっている。これは,ICSストレスマウスが痛覚過敏になっていることを示している。しかし,ICSストレスマウスにドネペジルを投与すると,投与後30分以降から疼痛閾値が上がり始める。疼痛閾値の上昇は,鎮痛効果が高まることを示している。つまり,投与後30分以降に,ICSストレスマウスの痛覚過敏が緩和されることがわかった。
図1(b)で示されているように,ICSストレスマウスでは,ドネペジルにより,有意な鎮痛効果を示すことがわかった。また,鎮痛効果はドネペジルの投与量に依存して増加することがわかった。また,ドネペジルを1回投与した場合は,ドネペジルの投与後30分から鎮痛効果が表れ,投与後120分〜180分の間に鎮痛効果が低下することがわかった。
図1(c)は,非ストレス負荷マウス及びICSストレスマウスに対する鎮痛効果を,AUCを用いて評価したものである。非ストレス負荷マウスでは,有意なAUCの増加は見られなかった。一方,ICSストレスマウスでは,ドネペジルの投与により,AUCが増加していることがわかる。ICSストレスマウスでは,10μg/kgの投与量までは,投与量に依存してAUCが増加する。10μg/kg投与した場合のAUCは,約400であった。100μg/kg,1000μg/kg投与した場合のAUCは10μg/kg投与した場合のAUCと同等レベルであった。このことから,ICSストレスマウスでは,腹腔内にドネペジルを投与することにより,鎮痛効果が得られることがわかった。
脊髄くも膜下腔内投与による鎮痛効果
非ストレス負荷マウス及びICSストレスマウスの脊髄くも膜下腔内に,ドネペジルを各々1ng,10ng,100ng,1000ng投与した。ICSストレスマウスでは,ICSストレス負荷後7日目にドネペジルを1回投与した。その後,非ストレス負荷マウス及びICSストレスマウスのドネペジル投与による鎮痛効果をHargreaves試験法により測定した。
図2(a)は,非ストレス負荷マウスに対し,ドネペジルを1000ng投与した場合と,ドネペジルを投与しなかった場合の疼痛閾値を測定した結果を示している。非ストレス負荷マウスに,ドネペジルを投与した場合の疼痛閾値と,投与しなかった場合の疼痛閾値の間には,有意な差は見られなかった。
図2(b)は,ICSストレスマウスに対し,ドネペジルを各々1ng,10ng,100ng,1000ng投与した場合と,ドネペジルを投与しなかった場合の疼痛閾値を測定した結果を示している。ドネペジルを投与しなかった場合は,疼痛閾値が約6秒を示したままである。一方,ドネペジルを10ng,100ng,1000ng投与した場合には,投与後30分のみに疼痛閾値が上昇する傾向を示している。尚,ドネペジルを1ng投与した場合には,疼痛閾値の上昇は見られなかった。
ドネペジルを脊髄くも膜下に投与した場合,高用量のドネペジルの投与により,鎮痛効果が得られることがわかった。鎮痛効果は,投与後60分で低下することがわかった。
図2(c)は,非ストレス負荷マウス及びICSストレスマウスに対する鎮痛効果を,AUCを用いて評価したものである。非ストレス負荷マウスでは,有意なAUCの増加は見られなかった。一方,ICSストレスマウスでは,ドネペジルを10ng,100ng投与した場合は,AUCが約180まで増加する傾向を示したが,有意な差を示すところまでにはいたらなかった。このことから,ICSストレスマウスでは,脊髄くも膜下腔内にドネペジルを10ng,100ng投与することにより,弱い鎮痛効果が得られることがわかった。
脳室内投与による鎮痛効果
非ストレス負荷マウス及びICSストレスマウスの脳室内に,ドネペジルを各々1ng,10ng,100ng投与した。ICSストレスマウスでは,ICSストレス負荷後9日目にドネペジルを1回投与した。その後,非ストレス負荷マウス及びICSストレスマウスのドネペジル投与による鎮痛効果をHargreaves試験法により測定した。
図3(a)は,非ストレス負荷マウスに対し,ドネペジルを100ng投与した場合と,ドネペジルを投与しなかった場合の疼痛閾値を測定した結果を示している。非ストレス負荷マウスに,ドネペジルを投与した場合の疼痛閾値と,投与しなかった場合の疼痛閾値の間には,有意な差は見られなかった。
図3(b)は,ICSストレスマウスに対し,ドネペジルを各々1ng,10ng,100ng投与した場合と,ドネペジルを投与しなかった場合の疼痛閾値を測定した結果を示している。ドネペジルを投与しなかった場合は,疼痛閾値が約6秒を示したままであるが,ドネペジルを投与した場合は,投与後30分以降から疼痛閾値が上昇している。ICSストレスマウスに100ngのドネペジルを投与した場合においては,投与後60分に正常な動物の疼痛閾値である10秒程度まで上昇していることがわかる。
また,疼痛閾値の上昇は,ドネペジルの投与量に依存して大きくなっている。ICSストレスマウスでは,ドネペジルにより,有意で強力な鎮痛効果を示すことがわかった。また,鎮痛効果はドネペジルの投与量に依存して増加することがわかった。
図3(c)は,非ストレス負荷マウス及びICSストレスマウスに対する鎮痛効果を,AUCを用いて評価したものである。非ストレス負荷マウスでは,有意なAUCの増加は見られなかった。一方,ICSストレスマウスでは,ドネペジルの投与量に依存して,AUCが増加している。ドネペジルを100ng投与した場合は,AUCが約300まで増加した。このことから,ICSストレスマウスでは,ドネペジルの投与量に依存して,高い鎮痛効果が得られることがわかった。
また,ドネペジルを脳室内に投与する場合の方が,ドネペジルを腹腔内又は脊髄くも膜下腔内に投与する場合に比べ,ドネペジルの投与量が少なくても,大きな鎮痛効果を得られることがわかった。
ピレンゼピン前処置によるドネペジル鎮痛拮抗作用
非ストレス負荷マウス及びICSストレスマウスに,ピレンゼピン前処置をし,その後,腹腔内ドネペジルを10μg/kg投与した。ピレンゼピン前処置は,ドネペジルを腹腔内に投与する10分前に,脊髄くも膜下腔内又は脳室内にピレンゼピンを各々0.1μg,0.3μg,1μg投与することで行った。ドネペジルの投与後,非ストレス負荷マウス及びICSストレスマウスのドネペジル投与による鎮痛効果をHargreaves試験法により測定した。
ピレンゼピンは,アセチルコリンの受容体であるムスカリン受容体の拮抗薬である。ピレンゼピンは,ムスカリン受容体のM1受容体及びM3受容体に選択的に結合する拮抗薬である。尚,脳内には,M3受容体が存在しないため,ピレンゼピンは,M1受容体に選択的に結合する拮抗薬である。
図4(a)は,ピレンゼピンを脊髄くも膜下腔内に投与した場合の鎮痛効果を,AUCを用いて評価したものである。ピレンゼピン前処置を行なっていないICSストレスマウスでは,10μg/kgのドネペジル投与により,AUCが約350まで増加する。脊髄くも膜下腔内にピレンゼピンを0.1μg又は0.3μg投与しピレンゼピン前処置を行ったICSストレスマウスでは,10μg/kgのドネペジル投与によりAUCが約250まで増加した。この値は,ピレンゼピン前処置を行なっていないICSストレスマウスのAUCの値と同等レベルであった。一方,1μg投与しピレンゼピン前処置を行ったICSストレスマウスでは,10μg/kgのドネペジルを投与してもAUCの増加が見られなかった。
このことから,ピレンゼピンを0.1μg又は0.3μg投与しピレンゼピン前処置をしたICSストレスマウスでは,ドネペジルが作用するが,より高用量の1μgのピレンゼピン前処置を行ったICSストレスマウスでは,ドネペジルの作用効力が減少することがわかった。
図4(b)は,ピレンゼピンを脳室内に投与した場合の鎮痛効果を,AUCを用いて評価したものである。ピレンゼピン前処置を行なっていないICSストレスマウスでは,10μg/kgのドネペジル投与により,AUCが約350まで増加する。一方,各々0.1μg,0.3μg,1μg投与しピレンゼピン前処置を行ったICSストレスマウスでは,10μg/kgのドネペジルを投与してもAUCの増加が見られなかった。
このことから,ピレンゼピン前処置をしたICSストレスマウスでは,ピレンゼピンの投与量が少ない場合においても,ドネペジルの作用効力が減少することがわかった。
図4(a)では,ピレンゼピンを脊髄くも膜下腔内に投与し,図4(b)では脳室内に投与している。図4(a)及び図4(b)の結果を比較すると,ピレンゼピンを脳室内に投与した場合の方が,ドネペジルの作用効力が減少することがわかる。つまり,ドネペジルは,脳室内において,ピレンゼピンによる拮抗作用の影響を受けていることがわかる。ピレンゼピンは,脳室内ではM1受容体と結合する拮抗薬である。このことから,ドネペジルは,脳室内のM1受容体と結合し,鎮痛作用を発揮することが示唆された。
連続投与による疼痛閾値の回復効果
非ストレス負荷マウス及びICSストレスマウスの腹腔内にドネペジルを0.1μg/kg,1μg/kg,10μg/kgの用量で連続して6日間投与した。ICSストレスマウスでは,ICSストレス負荷後5日目〜10日目にドネペジルを連続投与した。その後までICSストレス負荷後20日まで疼痛閾値を測定した。
図5(a)は,非ストレス負荷マウス及びICSストレスマウスの腹腔内にドネペジルを6日間連続投与した場合の,疼痛閾値を示したものである。
図5(a)に示されているように,ドネペジルを6日間連続して腹腔内に投与すると,10μg/kgの投与量においては,P20まで疼痛閾値が高い値のまま維持される。また,ドネペジルを1μg/kg及び0.1μg/kg投与した場合においても,疼痛閾値の上昇が見られ,P16までは疼痛閾値が高い値のまま維持される。
図5(b)は,ドネペジルを6日間連続して投与した場合の,投与直後の疼痛閾値の経時変化を示したものである。連続投与の1回目の投与の後は,疼痛閾値が投与後120分以降で顕著に低下している。一方,連続投与の2回目の投与後は,疼痛閾値の低下の程度が小さくなっており,連続投与の3回目の投与後は,疼痛閾値の低下が起こっていない。
このことから,ドネペジルを連続投与することにより,投与後の疼痛閾値の低下が起こらなくなっていることがわかった。
以上の結果より,ドネペジルを連続投与することにより,鎮痛効果が維持され,線維筋痛症が完治することがわかった。また,ドネペジルを連続投与することにより,投与量を少なくしても,継続的な鎮痛効果が得られることがわかった。
本発明は,線維筋痛症の治療剤に関するため,製薬産業において利用され得る。また,線維筋痛症は原因不明の疾患であるため,本発明により多くの患者の症状が軽減されることが期待される。

Claims (4)

  1. ドネペジル又はドネペジルの薬学的に許容される塩を有効成分として有効量含む線維筋痛症の治療剤。
  2. 請求項1に記載の線維筋痛症の治療剤であって,前記ドネペジル又はドネペジルの薬学的に許容される塩が,ドネペジル塩酸塩である,剤。
  3. 請求項1に記載の線維筋痛症の治療剤であって,線維筋痛症に由来する疼痛の改善剤である,剤。
  4. 請求項1に記載の線維筋痛症の治療剤であって,線維筋痛症に由来する炎症を伴わない疼痛個所における疼痛の改善剤である,剤。
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